(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】スラブの支持構造および建築物
(51)【国際特許分類】
E02D 27/08 20060101AFI20230627BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20230627BHJP
E02D 27/12 20060101ALI20230627BHJP
E04B 5/48 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
E02D27/08
E02D27/00 Z
E02D27/12 Z
E04B5/48 B
(21)【出願番号】P 2022011971
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高山 博樹
(72)【発明者】
【氏名】松原 由幸
(72)【発明者】
【氏名】志水 洸介
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-077466(JP,A)
【文献】特開2015-105539(JP,A)
【文献】特開平07-119162(JP,A)
【文献】特開2000-045411(JP,A)
【文献】特開2007-254957(JP,A)
【文献】特開平10-220645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/08
E02D 27/00
E02D 27/12
E04B 5/48
F16L 1/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎と独立して前記基礎の外側に設けられるスラブの支持構造であって、
スラブと、前記スラブの下の地中に埋設される配管と、前記配管の近くに設けられる杭と、前記スラブを支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、前記配管に接触せず、かつ、前記杭と前記スラブとの間に設けられる、
スラブの支持構造。
【請求項2】
前記杭は、前記配管の下に設けられ、
前記支持部は、埋設材によって構成され、
前記埋設材は、前記杭の上面から前記スラブまで積み上げられる、
請求項1に記載のスラブの支持構造。
【請求項3】
前記杭は、前記支持部を含み、
前記杭には、前記支持部に隣接するように、前記配管が配置される空間を構成する切欠部が設けられる、
請求項1に記載のスラブの支持構造。
【請求項4】
前記杭は、前記配管の下に設けられ、
前記支持部は、前記スラブから下方に延びて前記杭に繋がる下垂部として構成され、
前記下垂部は、前記スラブと一体に構成される、
請求項1に記載のスラブの支持構造。
【請求項5】
前記スラブは、フーチングを有する基礎の近くに設けられ、
前記支持部としての第1支持部とは別の第2支持部を有し、
前記第2支持部は、前記スラブと前記フーチングとの間に設けられる、
請求項1~4のいずれか一項に記載のスラブの支持構造。
【請求項6】
前記第1支持部は、第1埋設材によって構成され、
前記第2支持部は、第2埋設材によって構成され、
前記第1埋設材は、前記杭の上面から前記スラブまで積み上げられ、
前記第2埋設材は、前記スラブと前記フーチングとの間に積み上げられる、
請求項5に記載のスラブの支持構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のスラブの支持構造を備える、建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スラブの支持構造および建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に杭または杭状の構造物(以下、単に、杭という。)を設けることによって地盤を改良する技術が知られている(例えば、特許文献1)。地中に配管が配置される場合、杭は、配管と干渉しないように埋められる。具体的には、杭は、配管の周囲に配置される。また、杭の頭部が配管に接触しないように、配管よりも下に埋められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築物の基礎の近くに配管が埋設される場合がある。この場合において、スラブが配管の上に配置されることがある。杭は、配管の下、または配管の周囲に配置されるため、スラブは、杭によって支持されない。このため、スラブに上から荷重が加わるとスラブが沈下または劣化する虞がある。このような観点から、スラブの支持構造および建築物に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するスラブの支持構造は、建築物の基礎と独立して前記基礎の外側に設けられるスラブの支持構造であって、スラブと、前記スラブの下の地中に埋設される配管と、前記配管の近くに設けられる杭と、前記スラブを支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記配管に接触せず、かつ、前記杭と前記スラブとの間に設けられる。この構成によれば、スラブは、支持部を介して杭によって支持されるため、スラブの沈下または劣化を抑制できる。
【0006】
(2)上記(1)に記載のスラブの支持構造において、前記杭は、前記配管の下に設けられ、前記支持部は、埋設材によって構成され、前記埋設材は、前記杭の上面から前記スラブまで積み上げられる。この構成によれば、スラブは、埋設材を介して杭によって支持されるため、スラブの沈下または劣化を抑制できる。
【0007】
(3)上記(1)に記載のスラブの支持構造において、前記杭は、前記支持部を含み、前記杭には、前記支持部に隣接するように、前記配管が配置される空間を構成する切欠部が設けられる。この構成によれば、杭によってスラブが支持されるため、スラブの沈下または劣化を抑制できる。
【0008】
(4)上記(1)に記載のスラブの支持構造において、前記杭は、前記配管の下に設けられ、前記支持部は、前記スラブから下方に延びて前記杭に繋がる下垂部として構成され、前記下垂部は、前記スラブと一体に構成される。この構成によれば、下垂部を介して杭によってスラブが支持されるため、スラブの沈下または劣化を抑制できる。
【0009】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のスラブの支持構造において、前記スラブは、フーチングを有する基礎の近くに設けられ、前記支持部としての第1支持部とは別の第2支持部を有し、前記第2支持部は、前記スラブと前記フーチングとの間に設けられる。この構成によれば、第1支持部および第2支持部によってスラブが支持されるため、スラブの沈下または劣化を更に抑制できる。
【0010】
(6)上記(5)に記載のスラブの支持構造において、前記第1支持部は、第1埋設材によって構成され、前記第2支持部は、第2埋設材によって構成され、前記第1埋設材は、前記杭の上面から前記スラブまで積み上げられ、前記第2埋設材は、前記スラブと前記フーチングとの間に積み上げられる。この構成によれば、第1埋設材によって第1支持部を簡単に形成できる。第2埋設材によって第2支持部を簡単に形成できる。このように、施工が簡易である。
【0011】
(7)課題を解決する建築物は、上記(1)~(6)のいずれか1つのスラブの支持構造を備える。この構成によれば、建築物のスラブの沈下または劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示のスラブの支持構造および建築物は、スラブの沈下または劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】第1実施形態のスラブの支持構造の断面図である。
【
図3】第2実施形態のスラブの支持構造の断面図である。
【
図4】第3実施形態のスラブの支持構造の断面図である。
【
図5】第3実施形態のスラブの支持構造の斜視図である。
【
図6】第3実施形態のスラブの支持構造について、支持部の第1変形例の断面図である。
【
図7】第3実施形態のスラブの支持構造について、支持部の第2変形例の断面図である。
【
図8】第4実施形態のスラブの支持構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1および
図2を参照して、建築物1について説明する。
図1に示されるように、建築物1の一例は、地盤Gに設けられる基礎2と、基礎2に設けられる建築物本体3と、を備える。建築物1として、住宅、店舗、オフィスビル、商業施設、公共施設、および、工場が挙げられる。
【0015】
地盤Gは、杭5によって補強される。例えば、軟弱地盤に杭5が設けられる。杭5の一例は、柱状改良工法によって形成される柱状構造体である。柱状構造体は、セメントミルクと地盤Gの土とによって構成される。
【0016】
杭5は、地盤Gに埋設される既製杭であってもよい。既製杭として、鋼管およびコンクリート杭が挙げられる。複数の杭5の幾つかは、基礎2を支持する。複数の杭5の幾つかは、基礎2の周囲にも配置される。複数の杭5の幾つかは、基礎2と独立して基礎2の外側に設けられるスラブ9の下にも配置される。このようなスラブ9は、外構スラブとも呼ばれる。以降では、このようなスラブ9(外構スラブ)を単に「スラブ9」という。また、スラブ9の下に配置される杭5Aと、基礎2を支持する杭5Bとを区別するため、それぞれ別の符号をつけて説明する。
【0017】
スラブ9の下に配置される杭5Aは、上下方向において、配管6の下に設けられる。具体的には、上空から地面を見たときに、杭5Aの少なくとも一部は、スラブ9に重なる。上空から地面を見たときに、杭5Aの少なくとも一部は、配管6と重なる。上空から地面を見たときに、杭5Aは、配管6からずれたところに配置されてもよい。
【0018】
スラブ9の支持構造10の杭5Aは、基礎2を支持する杭5Bと長さと概ね等しい。スラブ9の支持構造10の杭5Aは、基礎2を支持する杭5Bとともに施工される。
【0019】
スラブ9は、基礎2の外周の外側に設けられる。スラブ9は、地盤面に設けられる。スラブ9は、コンクリートによって構成される。スラブ9は、鉄筋によって補強されてもよい。スラブ9は、基礎2に部分的に接触するように設けられる。スラブ9は、基礎2から離れるように設けられてもよい。例えば、スラブ9は、建築物本体3の室外に設置される装置8を支持する。スラブ9に設置される装置8の例として、給湯器、および、蓄電池が挙げられる。
【0020】
地盤Gには、配管6が埋められる。配管6として、給水管、排水管、ガス管、および、電線またはケーブル用の配管6、が挙げられる。配管6の周囲は土で覆われる。本実施形態では、配管6の一部は、スラブ9の下に配置される。例えば、建蔽率が高い物件において、敷地の境界線と建築物1の外壁との間の狭いスペースに、給湯器用のスラブ9が設けられる。このような場合に、配管6は、スラブ9の下に配置される。
【0021】
建築物1は、スラブ9の支持構造10を備える。スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する支持部11と、を備える。
【0022】
支持部11は、スラブ9を支持する。支持部11は、スラブ9に加わる荷重を杭5Aに直接または間接的に伝える。支持部11は、土に比べて流動性が低く、かつ、加圧によって潰れ難い構造を有する。支持部11は、配管6に接触せず、かつ、杭5Aとスラブ9との間に設けられる。
【0023】
本実施形態では、支持部11は、1または複数の埋設材12によって構成される。埋設材12は、杭5Aの上面からスラブ9まで積み上げられる。埋設材12は、配管6に接触しないように、杭5Aの上に積み上げられる。埋設材12は、上空から地面を見たときに、埋設材12の重心が杭5Aの上端面に重なるように配置される。最上位の埋設材12は、スラブ9の下面に接触する。最上位の埋設材12とスラブ9との間に土が介在してもよい。
【0024】
埋設材12として、土嚢、コンクリートブロック、および、発泡樹脂ブロックが挙げられる。例えば、土嚢として、袋にクラッシャランが詰められた土嚢が使用される。このような土嚢によれば、支持部11の形状が安定する。埋設材12および配管6は、土で埋められる。埋設材12および配管6が埋められた地盤Gは転圧によって固められる。転圧で固められた地盤Gの上にスラブ9が設けられる。
【0025】
本実施形態の作用を説明する。
スラブ9に支持部11が設けられていない場合、スラブ9の下の土が沈下すると、スラブ9が傾く虞がある。土の沈下は、雨または地震によって生じ得る。また、スラブ9の傾きにより、スラブ9に亀裂が入り、スラブ9が劣化する。また、地盤沈下によってスラブ9の位置が低くなる。
【0026】
本実施形態では、スラブ9は、スラブ9の支持構造10によって支持される。スラブ9の支持構造10は、支持部11を有する。スラブ9は、支持部11によって支持される。支持部11は、杭5Aとスラブ9との間に設けられる。スラブ9に加わる荷重は、支持部11を介して杭5Aに伝わる。このため、スラブ9は、支持部11を介して杭5Aによって支持されるため、スラブ9が安定する。
【0027】
本実施形態の効果を説明する。
(1)スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する支持部11と、を備える。支持部11は、配管6に接触せず、かつ、杭5Aとスラブ9との間に設けられる。この構成によれば、スラブ9は、支持部11を介して杭5Aによって支持されるため、スラブ9の沈下または劣化を抑制できる。
【0028】
(2)スラブ9の支持構造10において、杭5Aは、配管6の下に設けられる。支持部11は、埋設材12によって構成される。埋設材12は、杭5Aの上面からスラブ9まで積み上げられる。この構成によれば、スラブ9は、埋設材12を介して杭5Aによって支持されるため、スラブ9の沈下または劣化を抑制できる。
【0029】
(3)建築物1は、スラブ9の支持構造10を備える。この構成によれば、建築物1のスラブ9の沈下または劣化を抑制できる。例えば、スラブ9に給湯器のような大重量の設備が設置される場合、設備の重量に起因して発生し得るスラブ9の沈下を抑制できる。
【0030】
<第2実施形態>
図3を参照して、第2実施形態に係るスラブ9の支持構造10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する支持部11Aと、を備える。
【0032】
スラブ9の支持構造10の杭5Aは、基礎2を支持する杭5Bと長さが異なる。スラブ9の支持構造10の杭5Aは、スラブ9を直接に支持できるように構成される。スラブ9の支持構造10の杭5Aの上端面は、基礎2を支持する杭5Bの上端面よりも高いところに位置する。スラブ9の支持構造10の杭5Aは、スラブ9を支持するように延びる。
【0033】
杭5Aは、支持部11Aを含む。支持部11Aは、スラブ9を支持する。支持部11Aは、スラブ9に加わる荷重を杭5Aに直接に伝える。支持部11Aは、配管6に接触せず、かつ、杭5Aとスラブ9との間に設けられる。支持部11Aは、杭5Aからスラブ9に向かって延びるように構成される。杭5Aには、支持部11Aに隣接するように、切欠部13が設けられる。切欠部13は、配管6が配置される空間を構成する。
【0034】
杭5Aが、柱状改良工法によって形成される場合、杭5A(すなわち柱状構造体)が固まる前に、杭5Aの頭部を削ることによって切欠部13が形成される。杭5Aが鋼管である場合、杭5Aの頭部の一部を切断機で切ることによって切欠部13が形成される。杭5Aの切除部分の形状は、限定されない。
【0035】
一例では、杭5Aの頭部は、杭5Aの中心軸Cに沿う第1切断面13Aと、杭5Aの中心軸Cに直交する第2切断面13Bとが残るように、切除される。他の例では、杭5Aの頭部は、杭5Aの中心軸Cに対して傾斜する面が形成されるように、切除される。杭5Aの頭部において、切除によって残された部分が支持部11Aを構成する。支持部11Aは、直接または間接的にスラブ9に接触するように残される。支持部11Aとスラブ9との間には土が介在してもよい。
【0036】
本実施形態の効果を説明する。
スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する支持部11Aと、を備える。杭5Aは、支持部11Aを含む。杭5Aには、支持部11Aに隣接するように切欠部13が設けられる。切欠部13は、支持部11Aに隣接するように空間を構成する。空間には、配管6が配置される。この構成によれば、杭5Aによってスラブ9が支持されるため、スラブ9の沈下または劣化を抑制できる。
【0037】
<第3実施形態>
図4~
図7を参照して、第3実施形態に係るスラブ9の支持構造10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0038】
スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する支持部11Bと、を備える。
【0039】
スラブ9の支持構造10の杭5Aは、基礎2を支持する杭5Bと長さと概ね等しい。スラブ9の支持構造10の杭5Aは、基礎2を支持する杭5Bとともに施工される。杭5Aは、スラブ9の下に配置される。上空から地面を見たときに、杭5Aの少なくとも一部は、スラブ9と重なる。
【0040】
スラブ9の下に配置される杭5Aは、上下方向において、配管6の下に設けられる。上空から地面を見たときに、杭5Aの少なくとも一部は、配管6と重なる。上空から地面を見たときに、杭5Aは、配管6からずれたところに配置されてもよい。
【0041】
スラブ9は、支持部11Bを含む。支持部11Bは、スラブ9に加わる荷重を杭5Aに直接に伝える。支持部11Bは、配管6に接触せず、かつ、スラブ9と杭5Aとの間に設けられる。支持部11Bは、スラブ9から杭5Aに向かって延びるように構成される。
【0042】
図4に示されるように、支持部11Bは、スラブ9から下方に延びて杭5Aに繋がる下垂部14として構成される。下垂部14は、スラブ9と一体に構成される。
図5に示されるように、下垂部14は、杭5Aに繋がるように構成される。
図5に示される例では、配管6を間に挟むように2個の下垂部14が構成される。
【0043】
スラブ9および下垂部14は、次のように形成される。杭5Aの上端面に、下垂部用型枠が構築される。さらに、下垂部用型枠に繋がるようにスラブ用型枠が構築される。下垂部用型枠およびスラブ用型枠内にコンクリートを流し込むことによって、下垂部14を有するスラブ9が形成される。
【0044】
スラブ9および下垂部14は、別々の工程で形成されてもよい。例えば、第1工程で、下垂部14が形成される。下垂部14が固まった後、第2工程で、スラブ9が形成される。
【0045】
スラブ9に設けられる下垂部14の個数は、1個でもよいし、2個であってもよいし、3個以上でもよい。全ての下垂部14について断面積を足し合わせた総面積は、スラブ9に設置される装置8の重さに応じて設定される。
【0046】
図6には、スラブ9に設けられる下垂部14の第1変形例が示される。
図6は、下垂部14を水平面で切断した断面図である。この例では、スラブ9は、4個の下垂部14Aを有する。下垂部14Aの断面形状は円形である。このような下垂部14Aは、円形の筒状の型枠によって形成できる。
【0047】
図7には、スラブ9に設けられる下垂部14の第2変形例が示される。
図7は、下垂部14を水平面で切断した断面図である。この例では、スラブ9は、4個の下垂部14Bを有する。下垂部14Bの断面形状は矩形である。このような下垂部14Bは、矩形の筒状の型枠によって形成できる。
【0048】
本実施形態の効果を説明する。
スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する支持部11Bと、を備える。杭5Aは、配管6の下に設けられる。支持部11Bは、スラブ9から下方に延びて杭5Aに繋がる下垂部14として構成される。下垂部14は、スラブ9と一体に構成される。この構成によれば、下垂部14を介して杭5Aによってスラブ9が支持される。このため、スラブ9の沈下または劣化を抑制できる。
【0049】
<第4実施形態>
図8を参照して、第4実施形態に係るスラブ9の支持構造10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
本実施形態のスラブ9は、基礎2の近くに設けられる。基礎2は、フーチング4を有する。スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する第1支持部16および第2支持部17と、を備える。第1支持部16は、第1実施形態の支持部11と同じ構造を有する。
【0051】
第1支持部16および第2支持部17は、スラブ9を支持する。第1支持部16および第2支持部17は、スラブ9に加わる荷重を杭5Aに直接または間接的に伝える。第1支持部16および第2支持部17は、土に比べて流動性が低く、かつ、加圧によって潰れ難い構造を有する。第1支持部16は、配管6に接触せず、かつ、杭5Aとスラブ9との間に設けられる。第2支持部17は、配管6に接触せず、かつ、スラブ9とフーチング4との間に設けられる。さらに、第2支持部17は、第3支持部18によって支持されてもよい。
【0052】
第1支持部16は、第1埋設材21によって構成される。第2支持部17は、第2埋設材22によって構成される。第3支持部18は、第3埋設材23によって構成される。
第1埋設材21は、配管6に接触しないように、杭5Aの上面からスラブ9まで積み上げられる。第2埋設材22は、配管6に接触しないように、スラブ9とフーチング4との間に積み上げられる。第3埋設材23は、配管6に接触しないように、フーチング4から食み出る第2埋設材22と杭5Aの間に積み上げられる。最も下に位置する第2埋設材22は、フーチング4と第3埋設材23によって支持される。
【0053】
本実施形態の効果を説明する。
(1)スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する第1支持部16および第2支持部17と、を備える。スラブ9は、フーチング4を有する基礎2の近くに設けられる。第1支持部16は、スラブ9と杭5Aとの間に設けられる。第2支持部17は、スラブ9とフーチング4との間に設けられる。この構成によれば、第1支持部16および第2支持部17によってスラブ9が支持されるため、スラブ9の沈下または劣化を更に抑制できる。
【0054】
(2)第1支持部16は、第1埋設材21によって構成される。第2支持部17は、第2埋設材22によって構成される。第1埋設材21は、杭5Aの上面からスラブ9まで積み上げられる。第2埋設材22は、スラブ9とフーチング4との間に積み上げられる。この構成によれば、第1埋設材21によって第1支持部16を簡単に形成できる。第2埋設材22によって第2支持部17を簡単に形成できる。このように、施工が簡易である。
【0055】
<変形例>
上記実施形態は、スラブ9の支持構造10および建築物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。スラブ9の支持構造10および建築物1は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0056】
スラブ9は、建築物1の基礎2の近くに設けられる構造体に限定されない。例えば、スラブ9は、太陽光パネルを設置する土台として構成されてもよい。杭5によって改良された地盤Gに太陽光パネルが設置される場合がある。この場合において、スラブ9の下に配管6が埋設される場合、本開示のスラブ9の支持構造10を適用できる。スラブ9の支持構造10によれば、太陽光パネルの設置状態を安定させることができる。
【0057】
スラブ9は、建築物1に隣接する駐車場の土台として構成されてもよい。杭5によって改良された地盤Gであって、スラブ9の下に配管6が埋設される場合、本開示のスラブ9の支持構造10が適用できる。スラブ9の支持構造10によれば、駐車面に陥没が生じることを抑制できる。
【0058】
第4実施形態において、第1支持部16は、第2実施形態の支持部11Aに準じた構造を有してもよい。また、第1支持部16は、第3実施形態の支持部11Bに準じた構造を有してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…建築物、2…基礎、4…フーチング、5…杭、5A…杭、5B…杭、6…配管、9…スラブ、10…支持構造、11…支持部、11A…支持部、11B…支持部、12…埋設材、13…切欠部、14…下垂部、14A…下垂部、14B…下垂部、16…第1支持部、17…第2支持部、21…第1埋設材、22…第2埋設材。
【要約】
【課題】スラブの沈下または劣化を抑制できる、スラブの支持構造および建築物を提供する。
【解決手段】スラブ9の支持構造10は、建築物の基礎と独立して基礎の外側に設けられる。スラブ9の支持構造10は、スラブ9と、スラブ9の下の地中に埋設される配管6と、配管6の近くに設けられる杭5Aと、スラブ9を支持する支持部11と、を備える。支持部11は、配管6に接触せず、かつ、杭5Aとスラブ9との間に設けられる。
【選択図】
図1