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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ガスバリア性積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20230627BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20230627BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B32B27/00 B
B32B27/10
B65D65/40 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022072394
(22)【出願日】2022-04-26
(65)【公開番号】P2023033091
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2021138246
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野一色 泰友
(72)【発明者】
【氏名】若林 美咲
(72)【発明者】
【氏名】社本 裕太
(72)【発明者】
【氏名】浪岡 萌夏
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-021475(JP,A)
【文献】特開2003-154609(JP,A)
【文献】特開2021-020398(JP,A)
【文献】特開2004-204366(JP,A)
【文献】登録実用新案第3233001(JP,U)
【文献】特開平07-256811(JP,A)
【文献】実開昭53-148776(JP,U)
【文献】特開2022-104489(JP,A)
【文献】特許第6930649(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2003/0199218(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0385929(US,A1)
【文献】米国特許第05275886(US,A)
【文献】特開2017-226186(JP,A)
【文献】特表2014-509564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 9/06
B32B 27/00
B32B 27/10
B65D 65/40
D21H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材層と、接着剤層と、樹脂層とをこの順に積層してなるガスバリア性積層体であって、
接着剤層と樹脂層との間に、無機酸化物蒸着層を有していてもよく、
ガスバリア性積層体は、実質的に紙基材層、接着剤層および樹脂層からなるか、または、実質的に紙基材層、接着剤層、無機酸化物蒸着層および樹脂層からなり、紙基材層と接着剤層との間に不透明層を有さず、
樹脂層が、ドライラミネート層であり
ガスバリア性積層体の全光線透過率が70%以上であり、
23℃、50%RHにおける酸素透過度が10mL/(m・day・atm)以下であり、
40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が20g/(m・day)以下であり、
樹脂層同士を160℃、0.2MPa、1秒間接着した時のヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、
ガスバリア性積層体中の紙基材の含有量が50質量%以上である、
ガスバリア性積層体。
【請求項2】
樹脂層を構成する樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリ塩化ビニリデン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
【請求項3】
紙基材がグラシン紙である、請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
【請求項4】
アルミニウム蒸着層を有さない、請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
【請求項5】
紙基材の全光線透過率が70%以上である、請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
【請求項6】
樹脂層の坪量が5g/m以上40g/m以下である、請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
【請求項7】
前記接着剤層が、ポリウレタン系接着剤およびエポキシ樹脂系接着剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
【請求項8】
紙基材と樹脂フィルムとを、接着剤を介して積層する工程を有し、
紙基材の全光線透過率が70%以上であり、
該樹脂フィルムが、樹脂フィルムのみからなるか、または、無機酸化物蒸着層が設けられた樹脂フィルムである、
請求項1または2に記載のガスバリア性積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂層(例えば、樹脂フィルムなど)にガスバリア性を付与するために、樹脂層上に、ガスバリア層を備えて構成されるガスバリア性積層体が知られている。
特許文献1には、樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面に接して位置する酸素バリア性皮膜とを有し、酸素バリア性皮膜が水溶性高分子(A)、無機層状鉱物(B)、水性ポリウレタン樹脂(C)を含むコーティング剤から形成された皮膜であるガスバリア性フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-97158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたガスバリア性積層体は、樹脂基材上にコーティングにより酸素バリア層を形成しており、コーター設備を必要とし、設備上および工程上の問題がある。
【0005】
本発明は、紙基材層と樹脂層とを積層すること、すなわち、ガスバリア層を塗工することなく、ドライプロセスにより積層可能なガスバリア性積層体を提供することを目的とする。さらに、本発明は、環境負荷が低減され、高いガスバリア性が得られると共に、ヒートシール性に優れ、さらに透明性に優れたガスバリア性積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の<1>~<8>に関する。
<1> 紙基材層と、樹脂層とを積層してなるガスバリア性積層体であって、ガスバリア性積層体の全光線透過率が70%以上であり、23℃、50%RHにおける酸素透過度が10mL/(m・day・atm)以下であり、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が20g/(m・day)以下であり、樹脂層同士を160℃、0.2MPa、1秒間接着した時のヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、ガスバリア性積層体中の紙基材の含有量が50質量%以上である、ガスバリア性積層体。
<2> 樹脂層を構成する樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリ塩化ビニリデン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>に記載のガスバリア性積層体。
<3> 紙基材がグラシン紙である、<1>または<2>に記載のガスバリア性積層体。
<4> アルミニウム蒸着層を有さない、<1>~<3>のいずれか1つに記載のガスバリア性積層体。
<5> 実質的に、紙基材層、接着剤層および樹脂層からなる、<1>~<4>のいずれか1つに記載のガスバリア性積層体。
<6> 実質的に、紙基材層、接着剤層、無機酸化物蒸着層および樹脂層からなる、<1>~<4>のいずれか1つに記載のガスバリア性積層体。
<7> 紙基材の全光線透過率が70%以上である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のガスバリア性積層体。
<8> 樹脂層の坪量が5g/m以上40g/m以下である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のガスバリア性積層体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、樹脂層と紙基材層とを積層すること、すなわち、ガスバリア層を塗工することなく、ドライプロセスにより積層可能なガスバリア性積層体を提供することができる。さらに、本発明によれば、環境負荷が低減され、高いガスバリア性が得られると共に、ヒートシール性に優れ、さらに透明性に優れたガスバリア性積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[ガスバリア性積層体]
本実施形態のガスバリア性積層体(以下、単に「ガスバリア性積層体」ともいう)は、紙基材層と、樹脂層とを積層してなるガスバリア性積層体であって、ガスバリア性積層体の全光線透過率が70%以上であり、23℃、50%RHにおける酸素透過度が10mL/(m・day・atm)以下であり、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が20g/(m・day)以下であり、樹脂層同士を160℃、0.2MPa、1秒間接着した時のヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、ガスバリア性積層体中の紙基材の含有量が50質量%以上である。
なお、本実施形態において、ガスバリア性とは、主に酸素および水蒸気に対するバリア性を意味し、他のガスに対してもバリア性を有していてもよい。
また、紙基材層は、紙基材からなり、紙基材層と紙基材とを同義に使用する場合がある。
【0009】
本実施形態のバリア性積層体によれば、特定の紙基材層と樹脂層とを積層すること、すなわち、ガスバリア層を塗工することなく、紙基材上に押出ラミネートまたは貼り合わせ等により樹脂層を設けることで、ドライプロセスにより積層可能であり、環境負荷が低減され、かつ、高いガスバリア性が得られるガスバリア性積層体を提供することができる。なお、「ドライプロセスにより積層可能である」とは、ガスバリア層を塗工により形成せずに、ガスバリア性積層体が得られることを意味するものである。さらに、該ガスバリア性積層体は、ヒートシール性に優れると共に、透明性に優れ、例えば、ガスバリア性積層体を使用して包装材を作製した場合には、内容物の視認が可能という優れた効果を有する。
上記の効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように考えられる。全光線透過率が70%以上であるガスバリア性積層体は、紙基材として、全光線透過率が70%以上である紙基材を用いる必要がある。驚くべきことに、紙基材として全光線透過率が70%以上の紙基材を使用することにより、高いガスバリア性が得られ、さらに、高い透明性が得られた。従来、紙基材が高いガスバリア性を有することは知られていなかったが、全光線透過率が70%以上である特定の紙基材を使用することにより酸素バリア性が付与されることを見出したものである。なお、樹脂層と紙基材層とは、紙基材に樹脂を押出ラミネートまたは貼り合わせするなど、ドライプロセスにより積層可能であり、かつ、紙基材層をバリア性積層体の50質量%以上とすることにより、環境負荷が低減されたガスバリア性積層体が得られたと考えられる。
また、樹脂層を設けることで、より優れたガスバリア性が得られると共に、ヒートシール性が付与され、ガスバリア性積層体を包装材等として使用する場合の加工性にも優れる。
【0010】
本実施形態のガスバリア性積層体は、紙基材層と樹脂層とを積層してなり、紙基材層と樹脂層が直接に接していてもよいが、接着剤層を介して積層されていてもよく、また、樹脂層と接着剤層との間に、無機酸化物蒸着層を有していてもよい。なお、ヒートシール性の観点から、紙基材層と反対面の最上層は、樹脂層である。
また、ガスバリア性積層体の透明性の観点から、金属蒸着層などの不透明層を有しないことが好ましく、特に、アルミニウム蒸着層を有さないことが好ましい。
以下、各層について説明する。
【0011】
<紙基材層>
本実施形態のガスバリア性積層体に用いられる紙基材層は、主に紙基材からなり、透明性に優れたガスバリア性積層体を得る観点から、該紙基材の全光線透過率が70%以上であることが好ましい。「主に紙基材からなる」とは、紙基材層中の紙基材の含有量が、50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であることをいう(上限値100質量%)。したがって、紙基材層としては、紙基材の表面にサイズ剤等の表面処理剤が塗工された形態も許容される。
紙基材は、全光線透過率を70%以上とするため、高度に叩解されたパルプを使用することが好ましい。
【0012】
(全光線透過率)
紙基材の全光線透過率は、優れた透明性を得る観点から、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上であり、そして、100%であってもよく、入手容易性の観点から、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
紙基材の全光線透過率は、JIS K 7375:2008に準拠して測定される。
【0013】
(坪量)
紙基材の坪量は、製造や加工の容易性および強度や寸法安定性の観点、並びにガスバリア性の観点から、好ましくは20g/m以上であり、より好ましくは25g/m以上、さらに好ましくは28g/m以上であり、そして、好ましくは40g/m以下、より好ましくは38g/m以下、さらに好ましくは36g/m以下である。
なお、紙基材は、上記の全光線透過率とするため、高度に叩解されたパルプを使用するため、脱水が困難であり、高い坪量の紙基材とすることが困難であるため、上記の坪量の範囲とすることが好ましい。
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
【0014】
(厚さ)
また、紙基材の厚さは、製造や加工の容易性および強度や寸法安定性の観点、並びにガスバリア性の観点から、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上、よりさらに好ましくは28μm以上であり、そして、好ましくは50μm以下、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、よりさらに好ましくは37μm以下である。
【0015】
(密度)
紙基材の密度(緊度ともいう)は、ガスバリア性および製造容易性の観点から、好ましくは0.80g/cm以上、より好ましくは0.90g/cm以上、さらに好ましくは0.95g/cm以上であり、そして、好ましくは1.40g/cm以下、より好ましくは1.30g/cm以下、さらに好ましくは1.20g/cm以下である。
紙基材の密度は、上述した測定方法により得られた、紙基材の坪量および厚さから算出される。
【0016】
(変則フリーネス)
本実施形態の紙基材は、透明性を向上させる観点から、紙基材を構成するパルプの変則フリーネスが100mL以上600mL以下であることが好ましい。ここで、変則フリーネスとは、JIS P 8121:2012に規定のカナダ標準ろ水度法において、パルプ採取量を3gから0.3gに変更し、JIS規格スクリーンプレートを80メッシュワイヤーに変更して測定したフリーネス(濾水度)である。紙基材を構成するパルプの変則フリーネスが前記下限値以上であると、紙基材の寸法安定性が高くなり、ボコツキが生じにくく、前記上限値以下であると、紙基材の透明性を維持できるので好ましい。
紙基材を構成するパルプ繊維の変則フリーネスは、150mL以上500mL以下であることがより好ましく、200mL以上400mL以下であることがさらに好ましい。変則フリーネスを調製するために、パルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
紙基材を構成するパルプの変則フリーネスは、JIS P 8220-1:2012に準拠して離解したパルプを試料として、上述の方法により測定すればよい。
【0017】
紙基材としては、上述した全光線透過率を有していれば特に限定されないが、グラシン紙が好ましい。なお、グラシン紙の中で、特に高叩解で高い全光線透過率を示すグラシン紙は、グラファン紙とも呼ばれており、グラファン紙を使用することがより好ましい。
一般にグラシン紙は、パルプ原料として針葉樹ケミカルパルプを主成分として有し、高叩解して酸性乃至中性にて抄紙し、スーパーカレンダー等により圧縮処理して仕上げられる。
パルプの具体例としては、例えば、スプルースやヘムロック等の針葉樹材からなるケミカルパルプが最適であるが、それ以外に広葉樹材からなるケミカルパルプや、メカニカルパルプ、古紙、合成パルプ等を混合配合してもよい。
【0018】
ガスバリア性積層体中の紙基材の含有量は、環境負荷を低減する観点から、50質量%以上であり、好ましくは52質量%以上である。上限は特に限定されないが、ガスバリア性およびヒートシール性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、よりさらに好ましくは65質量%以下である。
【0019】
<樹脂層>
樹脂層としては、単一の樹脂で構成された単層フィルム、複数の樹脂を用いた単層または積層フィルム等が挙げられる。樹脂層は、樹脂を含有する層であり、例えば、他の基材(金属、木材、紙、セラミックス等)に積層された積層樹脂層を含むものではない。なお、本実施形態のガスバリア性積層体は、2層以上の樹脂層を有していてもよい。
樹脂層を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(特に、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド系樹脂(特に、ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂)、生分解性樹脂等が好ましく例示される。これらの中でも、樹脂層を構成する樹脂としては、ガスバリア性およびヒートシール性の観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリ塩化ビニリデン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、ポリオレフィン樹脂を含むことがより好ましく、ポリオレフィン樹脂であることがさらに好ましい。
また、樹脂層が2種以上の樹脂層からなる積層樹脂層である場合、ヒートシール性の観点から、紙基材層と反対面がポリオレフィン樹脂層であることが好ましく、ポリエチレン樹脂層であることがより好ましい。
【0020】
ポリオレフィン樹脂は、ガスバリア性およびヒートシール性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン-プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくとも一方であることがさらに好ましい。
なお、ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)でもよく、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)でもよく、中密度ポリエチレン(MDPE)でもよく、高密度ポリエチレン(HDPE)でもよい。
また、樹脂層は、未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されていてもよい。
樹脂層を構成する樹脂がポリプロピレンである場合は、ヒートシール性の観点から、樹脂層の紙基材層が積層されている面とは反対側に、ヒートシール層を設けることが好ましい。ヒートシール層は、公知のヒートシール剤を用いて形成することができる。ヒートシール層としては、ポリエチレン樹脂層が好ましく例示される。
【0021】
ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などが例示される。また、ガスバリア性に優れたMXD6(メタキシリレンジアミン-アジピン酸重縮合体)などを使用してもよい。
また、ポリアミド樹脂は、延伸されていてもよく、また、無延伸であってもよい。
【0022】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やこれらの誘導体などが例示される。
なお、後述する生分解性樹脂の多くはポリエステル樹脂にも該当する。
【0023】
ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)は、塩素を含むビニリデン基を重合させた合成樹脂であり、塩化ビニル、アクリロニトリル等との共重合体であってもよい。
【0024】
生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、3-ヒドロキシブタン酸・3-ヒドロキシヘキサン酸共重合体(PHBH)等が例示され、これらの中でも、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)が好ましく、ポリブチレンサクシネート(PBS)がより好ましい。
【0025】
樹脂層として、2種以上の樹脂層が積層された、積層フィルムを使用してもよく、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン積層フィルム、ポリアミド樹脂/ポリ塩化ビニリデン樹脂積層フィルム、ポリエチレン/ポリエステル樹脂積層フィルム等が例示される。
【0026】
樹脂層としては、適宜、市販されている樹脂フィルムを使用してもよく、例えば、TUXシリーズ(三井化学東セロ株式会社製、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム)、FOHシリーズ(フタムラ化学株式会社、ヒートシールOPP)、ハーデンシリーズ(東洋紡株式会社製、ナイロンをベースとしたフィルム)、エコシアールシリーズ(東洋紡株式会社製、PETをベースとしたフィルム)などが挙げられる。
【0027】
(坪量)
樹脂層の坪量は、後述するガスバリア性積層体中の樹脂層の含有量を満たす範囲で適宜選択すればよいが、ガスバリア性およびヒートシール性の観点から、好ましくは5g/m以上、より好ましくは10g/m以上、さらに好ましくは15g/m以上であり、そして、好ましくは40g/m以下、より好ましくは35g/m以下であり、さらに好ましくは30g/m以下である。
樹脂層、紙基材層、ガスバリア性積層体の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。また、得られたガスバリア性積層体の坪量から、紙基材の坪量を差し引くことで、樹脂層の坪量を算出してもよい。
【0028】
ガスバリア性積層体中の樹脂層の含有量は、環境負荷低減の観点から、50質量%以下であり、好ましくは46質量%以下、より好ましくは42質量%以下であり、そして、ガスバリア性積層体としての適度な強度(剛性)を得る観点、ガスバリア性の観点、製造容易性の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
【0029】
(厚さ)
樹脂層の厚さは、上述したガスバリア層中の樹脂層の含有量を満たす範囲で適宜選択すればよく、特に限定されないが、樹脂層を構成する樹脂の密度、ガスバリア性積層体としての適度な強度(剛性)を得る観点、ガスバリア性の観点、樹脂層形成容易性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは12μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、そして、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
樹脂層の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
また、ガスバリア性積層体の厚さから、紙基材の厚さを差し引くことにより求めてもよい。
【0030】
(密度)
樹脂層の密度は、ガスバリア性積層体としての適度な強度(剛性)を得る観点、水蒸気バリア性の観点、および入手容易性の観点から、好ましくは0.70g/cm以上、より好ましくは0.80g/cm以上、さらに好ましくは0.85g/cm以上、よりさらに好ましくは0.90g/cm以上であり、そして、好ましくは1.80g/cm以下、より好ましくは1.60g/cm以下、さらに好ましくは1.50g/cm以下である。
樹脂層の密度は、上述した測定方法により得られた、樹脂層の坪量および厚さから算出される。
【0031】
樹脂層は、フィラー、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、可塑剤、酸化剤等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
樹脂層は、溶融押出法等の公知の方法により製造すればよく、特に限定されない。
また、押出機で加熱溶融した樹脂を、例えばTダイなどによりフィルム状に押出し、エアーナイフキャスト法、静電印加キャスト法などの公知のキャスティング法により冷却ドラム上で冷却固化して、樹脂フィルムを得た後、必要に応じてフィルムに、延伸処理(一軸延伸処理、二軸延伸処理など)を施してもよい。
【0033】
<ガスバリア性積層体>
ガスバリア性積層体は、樹脂層と、紙基材層とを積層してなり、いずれの方法により積層されていてもよいが、紙基材に樹脂を押出ラミネートしてもよく、また、紙基材と樹脂層(例えば、樹脂フィルム等)とを接着剤を用いて貼り合わせてもよい。これらの中でも、製造容易性の観点から、接着剤を用いて貼り合わせることが好ましい。また、樹脂層と接着剤層との間に、無機酸化物蒸着層を有していてもよい。
すなわち、ガスバリア性積層体は、積層順で、実質的に紙基材層および樹脂層からなるか、実質的に紙基材層、接着剤層、および樹脂層からなるか、または実質的に紙基材層、接着剤層、無機酸化物蒸着層、および樹脂層からなることが好ましく、実質的に紙基材層、接着剤層、および樹脂層からなるか、実質的に紙基材層、接着剤層、無機酸化物蒸着層、および樹脂層からなることがより好ましい。
なお、例えば、実質的に「紙基材層、接着剤層、および樹脂層からなる」とは、ガスバリア性積層体の全体の質量に対する紙基材層、接着剤層、および樹脂層の合計質量が、90質量%以上であることを意味し、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。同様に、例えば、「実質的に紙基材層、接着剤層、無機酸化物蒸着層、および樹脂層からなる」とは、ガスバリア性積層体の全体の質量に対する紙基材層、接着剤層、無機酸化物蒸着層、および樹脂層の合計質量が、90質量%以上であることを意味し、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
【0034】
(無機酸化物蒸着層)
無機酸化物蒸着層を構成する無機酸化物としては、シリコン酸化物(シリカ、SiO)、アルミニウム酸化物(アルミナ、AlO)、インジウム錫酸化物(ITO)、AlON、SiONなどが例示される。
これらの中でも、ガスバリア性および透明性の観点から、アルミナおよびシリカからなる群より選択される少なくとも1種の使用が好ましく、シリカおよびアルミナの併用がより好ましい。すなわち、無機酸化物蒸着層は、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層、シリカ・アルミナ二元蒸着層のいずれかであることが好ましく、シリカ・アルミナ二元蒸着層であることがより好ましい。
無機酸化物蒸着層を有する場合、無機蒸着層の厚みは、好ましくは1000nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
無機酸化物蒸着層は、公知の蒸着方法で形成することができる。あるいは、無機酸化物蒸着層を有する市販フィルムを用いて、無機酸化物蒸着層としてもよい。無機酸化物蒸着層を有する市販フィルムとしては、東洋紡株式会社製のエコシアールVE034などが挙げられる。
なお、無機酸化物蒸着層を有する場合、無機酸化物蒸着層の保護層である樹脂層をさらに有していてもよく、この場合には、紙基材層、接着剤層、保護層(樹脂層)、無機酸化物蒸着層、および樹脂層をこの順で有する。
【0035】
(接着剤層)
接着剤を用いて貼り合わせる場合、使用する接着剤としては特に限定されず、無溶剤型、有機溶剤型、水系型などのいずれでもよいが、紙基材の形状安定性を確保する観点から、有機溶剤型の接着剤、または無溶剤型の接着剤を使用することが好ましい。
接着剤を構成する主成分としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、天然ゴム、カゼイン、澱粉等が例示される。これらの中でも、入手容易性および良好な接着性が得られる観点から、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンが好ましく、ポリウレタンがより好ましい。あるいは、ガスバリア性(特に酸素バリア性)の観点からは、ポリウレタン、エポキシ樹脂が好ましい。接着剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
接着剤としては、市販されている接着剤を適宜使用してもよい。ポリウレタン系接着剤としては、例えば、ニッポランID-816(東ソー株式会社製)とHARDENER300(東ソー株式会社製)との組み合わせ、PASLIM VM001(DICグラフィックス株式会社製)とPASLIM VM108CP(DICグラフィックス株式会社製)との組み合わせ、PASLIM VM001(DICグラフィックス株式会社製)とPASLIM VM303CP(DICグラフィックス株式会社製)との組み合わせ、PASLIM NS-680A(DICグラフィックス株式会社製)とPASLIM HA-680B(DICグラフィックス株式会社製)との組み合わせが例示される。エポキシ樹脂系接着剤としては、例えば、MAXIVE M-100(三菱ガス化学株式会社製)と、MAXIVE C-93(三菱ガス化学株式会社製)との組み合わせが例示される。
なお、樹脂層に接着剤を塗布後に、樹脂層と紙基材とを積層してもよく、紙基材に接着剤を塗布後に、紙基材と樹脂層とを積層してもよく、また、樹脂層と紙基材との両方に接着剤を塗布後に、樹脂層と紙基材とを積層してもよく、特に限定されないが、形状安定性の観点から、樹脂層に接着剤を塗布後に、紙基材を積層することが好ましい。
なお、例えば、無機酸化物蒸着層を有する場合には、樹脂層に無機酸化物蒸着層を設けた樹脂フィルムに接着剤を塗布し、紙基材と積層することが好ましい。
【0036】
接着剤の塗布方法としては、従来公知の方法の中から適宜選択すればよく、特に限定されないが、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スプレーコーターなどが例示される。
接着剤の付与量は特に限定されないが、乾燥後の付与量(塗工量)は、樹脂層と紙基材層との密着性を高める観点から、好ましくは1g/m以上、より好ましくは2g/m以上、さらに好ましくは3g/m以上であり、そして、好ましくは40g/m以下、より好ましくは20g/m以下、さらに好ましくは10g/m以下、よりさらに好ましくは5g/m以下である。
なお、接着剤により貼り合わせた場合、接着剤の厚みは樹脂層および紙基材の厚みには含めず、また、接着剤の坪量は、樹脂層および紙基材の坪量には含めないものとする。
【0037】
[ガスバリア性積層体の物性等]
(全光線透過率)
ガスバリア性積層体の全光線透過率は、優れた透明性を得る観点から、70%以上であり、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上であり、そして、100%であってもよく、製造容易性の観点から、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
ガスバリア性積層体の全光線透過率は、JIS K 7375:2008に準拠して測定される。
【0038】
(酸素透過度)
ガスバリア性積層体の酸素透過度は、低いほど酸素が透過しないことから好ましい。23℃50%RHの条件における酸素透過度は、ガスバリア性の観点から、10mL/(m・day・atm)以下であり、好ましくは6mL/(m・day・atm)以下、より好ましくは4mL/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは2mL/(m・day・atm)以下である。
ガスバリア性積層体の酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を使用し、上記の条件にて測定される。
【0039】
(水蒸気透過度)
ガスバリア性積層体の水蒸気透過度は、低いほど水蒸気が透過しないことから好ましい。40℃、90%RHにおける水蒸気透過度は、ガスバリア性の観点から、20g/(m・day)以下であり、好ましくは18g/(m・day)以下、より好ましくは15g/(m・day)以下、さらに好ましくは10g/(m・day)以下である。
ガスバリア性積層体の水蒸気透過度は、JIS Z 0208:1976に準拠し、ガスバリア性積層体の樹脂層が内側となるように、透湿カップを作製して測定される(条件B:温度40±0.5℃、相対湿度90±2%)。
【0040】
(ヒートシール剥離強度)
本実施形態のガスバリア性積層体は、ヒートシール性に優れる。
ガスバリア性積層体の樹脂層同士を160℃、0.2MPa、1秒間接着した時のヒートシール剥離強度が2N/15mm以上であり、好ましくは3N/15mm以上、より好ましくは5N/15mm以上である。ヒートシール剥離強度の上限は、特に限定されないが、例えば25N/15mm以下である。
ヒートシール剥離強度は、2枚のガスバリア性積層体の樹脂層同士が向き合うように重ね、シール圧力0.2MPa、シール温度160℃、シール時間1秒間の条件でヒートシールし、JIS Z0238:1999に準拠して測定する。具体的には、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度とする。
【0041】
本実施形態のガスバリア性積層体は、ガスバリア性(酸素バリア性および水蒸気バリア性)およびヒートシール性に優れ、例えば、保香性を必要とする包装用紙(例えば、牛乳用紙パック、ジュース用紙パック、食品包装、医薬品包装等)として好適に用いられる。また、透明性に優れ、包装用紙として使用する場合には、内容物の視認が可能であるとの効果をも有する。
【実施例
【0042】
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。また、実施例および比較例の操作は、特に断らない限り、20~25℃、40~50%RHの条件で行った。
【0043】
[評価および分析]
実施例および比較例で使用した紙基材、および得られたバリア性積層体について、以下の評価および分析を行った。
(坪量)
紙基材およびガスバリア性積層体の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定した。
また、樹脂層の坪量については、ガスバリア性積層体の坪量から紙基材の坪量を差し引くことにより算出した。
【0044】
(厚さ)
紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定した。
また、樹脂層の厚さは、得られたバリア性積層体の厚さをJIS P 8118:2014に準拠して測定した後、紙基材の厚さを引くことで算出した。
【0045】
(全光線透過率)
全光線透過率は、JIS K 7375:2008に準拠して測定した。
【0046】
(酸素透過度)
ガスバリア性積層体の酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を使用し、23℃、かつ50%RHの条件にて測定した。
【0047】
(水蒸気透過度)
ガスバリア性積層体の水蒸気透過度は、JIS Z 0208:1976に準拠し、ガスバリア性積層体の樹脂層が内側となるように、透湿カップを作製して測定した(条件B:温度40±0.5℃、相対湿度90±2%)。
【0048】
(ヒートシール剥離強度)
2枚のガスバリア性積層体を樹脂層同士が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製、TP-701-B)を用いて、シール圧力0.2MPa、シール温度160℃、シール時間1秒間の条件でヒートシールした。続いて、JIS Z0238:1999に準拠し、ヒートシール剥離強度を測定した。具体的には、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて引張速度300mm/minでT字剥離し、記録された最大荷重をヒートシール剥離強度とした。
【0049】
実施例1
紙基材として、グラシン紙(坪量35g/m、厚さ35μm、全光線透過率81.6%、王子エフテックス株式会社製、グラファン、離解パルプの変則フリーネス250mL)を使用した。
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名ノバテックPP FL4、融解ピーク温度Tm:164℃、MFR:5.0g/10分)と、ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、商品名ノバテックLL UF240、融解ピーク温度Tm:123℃、MFR2.1g/10分、密度0.920g/cm)とを、それぞれ別の押出機に投入し、多層スロットダイからTダイ法にて共押出して積層フィルム化した後、2軸延伸して、ヒートシール層として片面にポリエチレン層を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルム(片面ヒートシールOPP、坪量18.2g/m、ポリプロピレン厚さ18μm、ポリエチレン厚さ2μm、総厚さ20μm)を作製した。
前記片面ヒートシールOPPのOPP面(二軸延伸ポリプロピレンフィルム面)に、ニッポランID-816(東ソー株式会社製)18部およびHARDENER300(東ソー株式会社製)1部を混合した接着剤を4g/m(厚さ5μm)になるようにグラビアコーターにより塗布した後に、紙基材であるグラシン紙とドライラミネートし、ガスバリア性積層体(グラシン紙/接着剤層/OPP層/ポリエチレン層)を作製した。なお、片面ヒートシールOPPのヒートシール層(ポリエチレン層)と反対側の面(OPP面)がグラシン紙に接するようにドライラミネートした。
【0050】
実施例2
片面ヒートシールOPPの代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(T.U.X.(登録商標) FCD、三井化学東セロ株式会社製、坪量27.6g/m、厚さ30μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層体(グラシン紙/接着剤層/ポリエチレン層)を作製した。
【0051】
実施例3
片面ヒートシールOPPの代わりに、ポリ塩化ビニリデンコートポリアミド樹脂フィルム(ハーデン(登録商標) N8102、東洋紡株式会社製、坪量17.3g/m、厚さ15μm)を使用し、当該フィルムのポリ塩化ビニリデン樹脂層面に、ニッポランID-816(東ソー株式会社製)18部およびHARDENER300(東ソー株式会社製)1部を混合した接着剤を4g/m(厚さ5μm)になるように塗布した後に、グラシン紙とドライラミネートし、ガスバリア性積層体(グラシン紙/接着剤層/ポリ塩化ビニリデン樹脂層/ポリアミド樹脂層)を作製した。
【0052】
実施例4
片面ヒートシールOPPの代わりにシリカ・アルミナ二元蒸着ポリエステル樹脂フィルム(エコシアールVE034、東洋紡株式会社製、坪量28.0g/m、厚さ20μm)を使用し、当該フィルムの二元蒸着層が設けられた側の面に、ニッポランID-816(東ソー株式会社製)18部およびHARDENER300(東ソー株式会社製)1部を混合した接着剤を4g/m(厚さ5μm)になるように塗布した後に、グラシン紙とドライラミネートし、ガスバリア性積層体(グラシン紙/接着剤層/無機酸化物蒸着層/ポリエステル樹脂層)を作製した。
【0053】
実施例5
ニッポランID-816(東ソー株式会社製)18部およびHARDENER300(東ソー株式会社製)1部を混合した接着剤の代わりに、PASLIM VM001(DICグラフィックス株式会社製)100部およびPASLIM VM108CP(DICグラフィックス株式会社製)50部を混合した接着剤(ウレタン系ガスバリア性接着剤)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層体(グラシン紙/接着剤層/OPP層/ポリエチレン層)を作製した。
【0054】
実施例6
ニッポランID-816(東ソー株式会社製)18部およびHARDENER300(東ソー株式会社製)1部を混合した接着剤の代わりにMAXIVE M-100(三菱ガス化学株式会社製)100部およびMAXIVE C-93(三菱ガス化学株式会社製)320部を混合した接着剤(エポキシ系ガスバリア性接着剤)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層体(グラシン紙/接着剤層/OPP層/ポリエチレン層)を作製した。
【0055】
比較例1
グラシン紙の代わりに晒クラフト紙(坪量50g/m、厚さ68μm、全光線透過率30.1%)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性積層体を作製した。
【0056】
比較例2
グラシン紙の代わりに片艶紙(坪量50g/m、厚さ60μm、全光線透過率25.4%)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を作製した。
【0057】
比較例3
片面ヒートシールOPPの代わりにアルミ蒸着CPP(ATAC VM-CP F、株式会社メイワパックス製、坪量18.2g/m、厚さ20μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を作製した。
【0058】
【表1】
【0059】
表1から分かるように、本実施例のバリア性積層体によれば、ドライプロセスにより積層可能であり、かつ、環境負荷が低減され、さらに、ガスバリア性、ヒートシール性および透明性に優れるガスバリア性積層体が提供される。