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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】水循環浄化システム
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/01 20060101AFI20230627BHJP
   E03B 3/02 20060101ALI20230627BHJP
   C02F 3/06 20230101ALI20230627BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20230627BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20230627BHJP
【FI】
E03C1/01
E03B3/02 Z
C02F3/06
C02F1/28 D
C02F1/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022540706
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2022012082
【審査請求日】2022-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】金尾 祥陛
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-211174(JP,A)
【文献】特開平09-296494(JP,A)
【文献】特開昭50-025042(JP,A)
【文献】特開平10-337557(JP,A)
【文献】特開平11-114551(JP,A)
【文献】特開平10-054067(JP,A)
【文献】特開平05-324601(JP,A)
【文献】特開2015-107465(JP,A)
【文献】特開平08-229590(JP,A)
【文献】国際公開第2003/033420(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00-3/04
E03B 3/02-03
E03C 1/00-33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上水を利用するシャワー手洗い装置と、
前記シャワー手洗い装置が排出した水を浄化する活性炭フィルタを有する第1浄化装置と、
前記第1浄化装置が浄化した、前記シャワー手洗い装置が利用するための上水を溜める第1タンクと、
前記第1タンクに溜まる上水の量を測定する第1測定部と、
中水を利用するトイレと、
前記トイレが排出した水を浄化する沈殿分離室と、ばっ気処理室と、第1貝殻接触ばっ気室と、第2貝殻接触ばっ気室と、沈殿ろ過室と、活性炭吸着室とを有する第2浄化装置と、
前記第2浄化装置により浄化され、前記トイレが利用するための中水を溜める第2タンクと、
前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給する第2ポンプと、
雨水を溜める雨水タンクと、
前記雨水タンクに溜まる水の量を測定する貯留雨水量測定部と、
前記雨水タンクに溜まる雨水を第1浄化装置に供給可能な第1ポンプと、
前記第1測定部により測定された前記第1タンクに溜まる上水の量が所定の量よりも少ない場合、且つ前記貯留雨水量測定部により測定された前記雨水タンクに溜まる雨水の量が所定下限量よりも多い場合に、前記第1ポンプが前記雨水タンクに溜まる雨水を前記第1浄化装置に供給するように制御し、
前記第1測定部により測定された前記第1タンクに溜まる上水の量が前記所定の量よりも少ない場合、且つ前記貯留雨水量測定部により測定された前記雨水タンクに溜まる雨水の量が前記所定下限量よりも少ない場合に、前記第2ポンプが前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給するように制御する制御部と、を備える、水循環浄化システム。
【請求項2】
前記第2タンクに溜まる中水の量を測定する第2測定部を備え、
前記制御部は、前記第1測定部により測定された前記第1タンクに溜まる上水の量が前記所定の量よりも少ない場合、且つ前記第2測定部により測定された前記第2タンクに溜まる中水の量が所定上限量よりも多い場合に、前記第2ポンプに前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給させる、請求項1に記載の水循環浄化システム。
【請求項3】
前記第1タンクに溜まる上水を前記トイレに供給可能な第3ポンプを備える、請求項1又は2に記載の水循環浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水循環浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用した水を浄化し循環させて再利用する技術が知られている。この種の技術を示すものとして例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、トイレから排出された汚水中の固形分を分離する沈殿分離室と、沈殿分離室から導出された分離水をばっ気処理するばっ気処理室と、ばっ気処理室から導出された処理水をさらにばっ気処理する第1、第2貝殻ばっ気室と、第2貝殻接触ばっ気室から導出された上澄み処理水を脱色処理する活性炭吸着室とが設けられる処理タンクから導出された処理水を給水手段によりトイレの給水タンクに供給する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3659591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に示す技術では、利用者から排出された水がトイレ(利用設備)を介して循環する水に加わって徐々に増えてしまうことから、増えた水のうち余分な水を排出しなければならず、排出する水を更に有効に活用することが求められていた。
【0005】
本発明は、循環させる水をより効率的に利用可能な水循環浄化システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る水循環浄化システムは、上水を利用して中水を排出する第1利用設備と、前記第1利用設備が排出した中水を上水に浄化する第1浄化装置と、前記第1浄化装置が浄化した、前記第1利用設備が利用するための上水を溜める第1タンクと、中水を利用して下水を排出する第2利用設備と、前記第2利用設備が排出した下水を前記第2利用設備が利用するための中水に浄化する第2浄化装置と、前記第1タンクに溜まる上水が所定の量よりも少ない場合に、前記第1浄化装置が前記第2浄化装置により浄化された中水を上水に浄化するように制御する制御部と、を備える。
【0007】
(1)の水循環浄化システムは、循環させる水をより効率的に利用可能な水循環浄化システムを提供できる。
【0008】
(2) 本発明に係る水循環浄化システムは、前記第2浄化装置により浄化され、前記第2利用設備が利用するための中水を溜める第2タンクと、前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給する供給装置と、を備え、前記制御部は、前記第1タンクに溜まる上水が前記所定の量よりも少ない場合に、前記供給装置が前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給するように制御することが好ましい。
【0009】
(2)の水循環浄化システムは、第2タンクに溜めた中水を第1浄化装置で浄化して第1タンクに溜めることができるため、第1タンクに溜まる上水が所定の量よりも少なくなった場合に、よりタイムリーに供給装置により第1浄化装置に供給することができ、より確実に循環する水の減少を抑制できる。
【0010】
(3) 本発明に係る水循環浄化システムは、前記第1タンクに溜まる上水の量を測定する第1測定部を備え、前記制御部は、前記第1測定部により測定された前記第1タンクに溜まる上水の量が前記所定の量よりも少ない場合に、前記供給装置に前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給させることが好ましい。
【0011】
(3)の水循環浄化システムは、第1タンクに溜まる上水が所定の量よりも少なくなった場合に自動で第2タンクに溜まる中水を第1浄化装置にタイムリーに供給することができ、より確実に循環する水の減少を抑制できる。
【0012】
(4) 本発明に係る水循環浄化システムは、雨水を溜める雨水タンクと、前記雨水タンクに溜まる水の量を測定する貯留雨水量測定部と、を備え、前記制御部は、前記第1測定部により測定された前記第1タンクに溜まる上水の量が前記所定の量よりも少ない場合、且つ前記貯留雨水量測定部により測定された前記雨水タンクに溜まる雨水の量が所定下限量よりも多い場合に、前記供給装置に前記雨水タンクに溜まる雨水を前記第1浄化装置に供給させ、前記第1測定部により測定された前記第1タンクに溜まる上水の量が前記所定の量よりも少ない場合、且つ前記貯留雨水量測定部により測定された前記雨水タンクに溜まる雨水の量が前記所定下限量よりも少ない場合に、前記供給装置に前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給させることが好ましい。
【0013】
(4)の水循環浄化システムは、雨水を溜める雨水タンクも備え、汚水を浄化した中水よりも感情的により抵抗の少ない雨水を優先的に洗浄して上水として利用できる。
【0014】
(5) 本発明に係る水循環浄化システムは、前記第2タンクに溜まる中水の量を測定する第2測定部を備え、前記制御部は、前記第1測定部により測定された前記第1タンクに溜まる上水の量が前記所定の量よりも少ない場合、且つ前記第2測定部により測定された前記第2タンクに溜まる中水の量が所定上限量よりも多い場合に、前記供給装置に前記第2タンクに溜まる中水を前記第1浄化装置に供給させることが好ましい。
【0015】
(5)の水循環浄化システムは、第2タンクに水が溜まりすぎることを抑制でき、循環する水をより有効に活用できる。
【0016】
(6) 本発明に係る水循環浄化システムは、前記第1タンクに溜まる上水を前記第2利用設備に供給可能な第2供給装置を備えることが好ましい。
【0017】
(6)の水循環浄化システムは、より柔軟に水を循環させて再利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、循環させる水をより効率的に利用可能な水循環浄化システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る水循環浄化システムSの一例を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る水補給処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態に係る温水洗浄処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の変形例に係る水補給処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る水循環浄化システムSについて、図1を用いて説明する。図1において、ブロック間に表示された矢印は、循環する水の流れを示すものである。また、図1において、ブロック間に表示された点線は、通信可能に接続されていることを示すものである。
【0021】
水循環浄化システムSは、システム内で水の利用と利用後の水の浄化を行い、水を循環させて再利用するシステムである。水循環浄化システムSは、第1循環系統1と、第2循環系統2と、供給部3と、補給部4と、不図示の電源と、制御部50と、を含む。従来のトイレを利用設備とした技術では、利用設備を介して人体内の水分が入るため、徐々に余水タンクの水が溜まってしまうが、浄化装置の洗浄・水張りに使用する以外はバキューム車で汲み取り排出しないといけない。一方、シャワーや手洗い設備等を利用設備とした技術では、利用設備が上水を利用して中水を排出するようなシャワーや洗面台等である場合に、利用設備を利用する度に利用者の体に循環する水の一部が付着して外部に出ていくため、循環する水が減ってしまう。本発明の実施形態に係る水循環浄化システムSは、トイレを利用設備とするような水が溜まっていく水の循環浄化のシステムからシャワーや洗面台を利用設備とするような水が減っていく水の循環浄化のシステムに供給することができ、循環させる水をより効率的に利用可能としている。
【0022】
水循環浄化システムSにおいて利用される水は、利用の目的に応じた水質が要求される。例えば、シャワーや手洗い等で利用する場合の水質は上水であることが要求される。一方、トイレ等で利用される場合の水質は、上水であることまでは要求されず、中水以上であればよい。
【0023】
よって、本実施形態に係る水循環浄化システムSは、上水を要求する利用設備に応じた上水に浄化可能な第1循環系統1と、中水以上の水質を要求する利用設備に応じた中水に浄化可能な第2循環系統2と、で構成され、より効率的に水を循環浄化して再利用可能としている。
【0024】
<第1循環系統>
第1循環系統1は、中水を上水に浄化して水の循環利用を行うための構成である。第1循環系統1は、第1浄化装置10と、第1タンク11と、第1利用部としてのシャワー手洗い装置12と、第1浄化水供給ラインL10と、第1利用用水供給ラインL11と、第1利用済水供給ラインL12と、を有する。
【0025】
第1浄化水供給ラインL10は、第1浄化装置10と第1タンク11とを接続し、第1浄化装置10で浄化された水が第1タンク11に供給される流路である。
【0026】
第1利用用水供給ラインL11は、第1タンク11とシャワー手洗い装置12とを接続し、第1タンク11で溜まる上水がシャワー手洗い装置12に供給される流路である。
【0027】
第1利用済水供給ラインL12は、シャワー手洗い装置12と第1浄化装置10とを接続し、シャワー手洗い装置12で生ずる中水が第1浄化装置10に供給される流路である。
【0028】
第1循環系統1では、第1浄化水供給ラインL10と第1利用用水供給ラインL11と第1利用済水供給ラインL12とを介して、図1に示すように第1浄化装置10、第1タンク11、シャワー手洗い装置12、第1浄化装置10の順で水が循環する。
【0029】
第1浄化装置10は、シャワー手洗い装置12が排出した中水を浄化して上水にする。中水は、例えば雑用水や雨水である。第1浄化装置10は、例えば第1利用済水供給ラインL12と接続してシャワー手洗い装置12から排出される中水の吸引を行う不図示のポンプと、当該ポンプで吸引された中水を浄化するための活性炭フィルタ等で構成される不図示の浄化部と、を有する。
【0030】
第1タンク11は、第1浄化装置10が浄化した、シャワー手洗い装置12で利用するための上水を溜めるタンクである。第1タンク11は、第1浄化水供給ラインL10に接続される。第1タンク11は、第1浄化装置10により浄化された上水が溜まる空間が内部に形成されたタンク本体11aと、タンク本体11aの内部に設けられ、内部に溜まる水を測定可能な第1測定部としての水位計11bと、を有する。水位計11bは、例えば電極式水位計でもよいしフロート式水位計でもよい。
【0031】
シャワー手洗い装置12は、シャワーや洗面所等の上水を利用した設備であり、使用後の中水を排出する。シャワー手洗い装置12は、例えば第1利用用水供給ラインL11と接続されて第1タンク11から上水を吸引する不図示のポンプと、ポンプから吸引された上水を利用するシャワーユニットや洗面台等と、を有する。
【0032】
<第2循環系統>
第2循環系統2は、下水を中水に浄化して水の循環利用を行うための構成である。第2循環系統2は、第2浄化装置20と、第2タンク21と、第2利用部としてのトイレ22と、第2浄化水供給ラインL20と、第2利用用水供給ラインL21と、第2利用済水供給ラインL22と、を有する。
【0033】
第2浄化水供給ラインL20は、第2浄化装置20と第2タンク21とを接続し、第2浄化装置20で浄化された水が第2タンク21に供給される流路である。
【0034】
第2利用用水供給ラインL21は、第2タンク21とトイレ22とを接続し、第2タンク21で溜まる中水がトイレ22に供給される流路である。
【0035】
第2利用済水供給ラインL22は、トイレ22と第2浄化装置20とを接続し、トイレ22で生ずる下水が第2浄化装置20に供給される流路である。
【0036】
第2循環系統2では、第2浄化水供給ラインL20と第2利用用水供給ラインL21と第2利用済水供給ラインL22とを介して、図1に示すように第2浄化装置20、第2タンク21、トイレ22、第2浄化装置20の順で水が循環する。
【0037】
第2浄化装置20は、トイレ22が排出した下水を再度トイレで利用するために中水に浄化する。第2浄化装置20は、例えば第2利用済水供給ラインL22と接続されてトイレ22からの下水の吸引を行う不図示のポンプと、当該ポンプに吸引された下水を浄化する不図示の浄化部と、を有する。当該浄化部は、例えば沈殿分離室と、ばっ気処理室と、第1貝殻接触ばっ気室と、第2貝殻接触ばっ気室と、沈殿ろ過室と、活性炭吸着室と、を有しても良い。
【0038】
沈殿分離室では、汚水中の固形分が分離される。ばっ気処理室では、沈殿分離室から導出された分離水がばっ気処理される。第1、2貝殻接触ばっ気室では、ばっ気処理室から導出された処理水がさらにばっ気処理される。沈殿ろ過室では、第2貝殻接触ばっ気室から導出された処理水が沈殿ろ過される。活性炭吸着室では、沈殿ろ過室から導出された上澄み処理水が脱色処理される。
【0039】
第2タンク21は、第2浄化装置20により浄化された、トイレ22で利用するための中水を溜めるタンクである。第2タンク21は、第2浄化水供給ラインL20に接続され、第2浄化装置20により浄化された中水が溜まる空間が内部に形成されたタンク本体21aと、タンク本体21aの内部に設けられ、内部に溜まる水を測定可能な第2測定部としての水位計21bと、を有する。水位計21bは、例えば電極式水位計でもよいしフロート式水位計でもよい。
【0040】
トイレ22は、中水や上水を利用する設備であり、使用後の下水を排出する。トイレ22は、例えば第2利用用水供給ラインL21と接続されて第2タンク21からの中水を吸引する不図示のポンプと、便器等のトイレ本体22aと、トイレ本体22aに設けられユーザの臀部を洗浄する洗浄動作を行う温水洗浄装置22bと、を有する。温水洗浄装置は、不図示の上水を溜めるタンクを有し、タンク内の上水を用いてユーザの臀部を洗浄する。
【0041】
<供給部>
供給部3は、第1循環系統1、第2循環系統2、補給部4の間における水の供給を行うための構成である。供給部3は、第1ポンプ30と、供給装置としての第2ポンプ31と、第2供給装置としての第3ポンプ32と、雨水供給ラインL30と、第2タンク水供給ラインL31と、第1タンク水供給ラインL32と、を含む。
【0042】
雨水供給ラインL30は、雨水タンク40と第1利用済水供給ラインL12とを接続し、雨水タンク40で溜まる中水が、第1利用済水供給ラインL12を介して第1浄化装置10に供給される流路である。
【0043】
第2タンク水供給ラインL31は、第2タンク21と第1利用済水供給ラインL12とを接続し、第2タンク21で溜まる中水が、第1利用済水供給ラインL12を介して第1浄化装置10に供給される流路である。
【0044】
第1タンク水供給ラインL32は、第1タンク11とトイレ22の温水洗浄装置22bとを接続し、第1タンク11に溜まる上水が温水洗浄装置22bに供給される流路である。
【0045】
第1ポンプ30は、補給部4から第1循環系統1に水を補給するための構成である。第1ポンプ30は、雨水供給ラインL30を介して補給部4の雨水タンク40に溜まる雨水としての中水を第1循環系統1の第1浄化装置10に供給する。なお、本実施形態において、雨水の水質は、雑用水、即ち中水と同等なものとして扱う。しかし、水質の区分は、これに限らない。このようにして、第1ポンプ30は、図1に示すように補給部4から第1循環系統1に雨水としての中水を供給している。
【0046】
第2ポンプ31は、第2循環系統2から第1循環系統1に中水を補給するための構成である。第2ポンプ31は、第2タンク水供給ラインL31を介して第2循環系統2の第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水を第1循環系統1の第1浄化装置10に供給する。このようにして、第2ポンプ31は、図1に示すように第2循環系統2から第1循環系統1に中水を供給している。
【0047】
第3ポンプ32は、第1循環系統1から第2循環系統2に上水を補給するための構成である。第3ポンプ32は、第1タンク水供給ラインL32を介して第1循環系統1の第1タンク11のタンク本体11aに溜まる上水を第2循環系統2の温水洗浄装置22bに供給する。このようにして、第3ポンプ32は、図1に示すように第1循環系統1から第2循環系統2に水を供給している。
【0048】
<補給部>
補給部4は、雨水タンク40を有し、第1循環系統において循環する水の量が減った場合に、外部から水を補給するための構成である。例えば、第1循環系統では、シャワー手洗い装置12で利用する場合は、利用者が体や手を洗うと、それらに水が付着して外部に出て行ってしまい、循環する水が減ってしまうため、減った水を補給する。
【0049】
雨水タンク40は、雨水を溜めるためのタンクである。雨水タンク40は、不図示の雨どい等を有する集水部と、集水部で集水した雨水を溜めるタンク本体40aと、タンク本体40a内部に設けられ、タンク本体40aに溜まる中水の水位を測定する貯留雨水量測定部としての水位計40bと、を有する。水位計40bは、例えば電極式水位計でもよいしフロート式水位計でもよい。
【0050】
なお、補給部4の構成は、雨水タンク40に限らず、例えば雨水タンク40に代えて、上水管から水を取得してもよいし、河川や井戸から水を取得してもよい。また、本実施形態に係る補給部4は、第1循環系統1に水を補給しているが、第2循環系統2に水を補給してもよい。
【0051】
<電源部>
電源部は、水循環浄化システムSに電力を供給するための構成である。電源部は、例えば太陽光電池等のバッテリーを備えてもよい。なお、電源部は、外部から電源の供給を受ける構成でもよい。
【0052】
<制御部>
制御部50は、水循環浄化システムSの各種の動作を制御する。制御部50は、例えばCPU等のプロセッサ等で構成される。本実施形態に係る水循環浄化システムSにおける制御は、当該プロセッサ等の動作により実現される。しかし、水循環浄化システムSにおける制御は、制御回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0053】
制御部50は、第1タンク11の水位計11bと、第2タンク21の水位計21bと、雨水タンク40の水位計40bのそれぞれに通信可能に接続されており、第1タンクの水位計11bと、第2タンク21の水位計21bと、雨水タンク40の水位計40bのそれぞれの検出結果を取得することができる。
【0054】
また、制御部50は、第1ポンプ30、第2ポンプ31、第3ポンプ32と通信可能に接続されており、第1ポンプ30、第2ポンプ31、第3ポンプ32の動作を制御可能である。このため、制御部50は、第1タンクの水位計11bと雨水タンク40の水位計40bの検出結果に基づいて第1ポンプ30と第2ポンプ31の動作を制御する水補給処理や第3ポンプ32の動作を制御する温水洗浄処理を実行できる。
【0055】
次に、制御部50が実行する水補給処理や温水洗浄処理について、図2、3を用いて説明する。水補給処理は、第1タンク11に溜まる上水の量が所定の量よりも少ない場合に実行される。制御部50は、水補給処理において、雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水が所定下限量よりも多い場合に雨水タンク40に溜まる中水を、第1ポンプ30を制御することで第1循環系統1の第1浄化装置10に供給させる。
【0056】
一方、制御部50は、水補給処理において、雨水タンク40に溜まる中水が所定下限量よりも少ない場合に第2循環系統2の第2タンク21に溜まる中水を、第2ポンプ31を制御することで第1循環系統1の第1浄化装置10に供給させる。
【0057】
即ち、本実施形態に係る水循環浄化システムSでは、第1タンク11のタンク本体11aに溜まる上水が少なくなった場合のタンク本体11aへの補給は、第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水からの補給よりも雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水からの補給を優先する。
【0058】
また、温水洗浄処理は、ユーザにより温水洗浄便座の使用時に、第1循環系統1の第1タンク11のタンク本体11aに溜まる上水を第3ポンプ32に第2循環系統2の温水洗浄装置22bに供給させ、第2利用部としてのトイレ22の温水洗浄装置22bに洗浄動作をさせる処理である。温水洗浄装置で使用する水は、上水のような水質が要求されるが、水循環浄化システムSでは、第1循環系統1で浄化された上水を第2循環系統2で利用できるため、より柔軟に且つ効率的に循環する水を浄化して利用できる。
【0059】
<水補給処理>
本実施形態に係る水循環浄化システムSにおいて制御部50が実行する水補給処理について、図2を用いて説明する。補給処理は、水循環浄化システムSの電源がONになったタイミングで開始され、例えばメンテナンス等で電源をOFFにするタイミングで終了する。
【0060】
まず、制御部50は、第1タンク11の水位計11bにより測定されたタンク本体11aに溜まる上水の量が所定の量以下か否かを確認する(ステップS10)。所定の量は、例えば第1利用設備としてのシャワー手洗い装置12における一回の使用量で規定される。即ち、第1タンク11のタンク本体11aに溜まる上水の量が残り1回の利用分を満たさない場合に、水補給処理が行われる。しかし、所定の量の規定は、これに限らない。
【0061】
タンク本体11aに溜まる上水の量が所定以下ではない場合(ステップS10:NO)、制御部50は、処理をステップS10に移行させ、タンク本体11aに溜まる上水の量が所定以下になるまで同じ処理を繰り返す。タンク本体11aに溜まる上水の量が所定の量以下の場合(ステップS10:YES)、制御部50は、雨水タンク40の水位計40bにより測定されたタンク本体40aに溜まる中水の量が所定下限量以上か否かを確認する(ステップS11)。
【0062】
所定下限量は、例えば雨水タンク40のタンク本体40aの底に水がない状態で規定される。即ち、雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水が無くなってから第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水を第1浄化装置10に補給する。しかし、所定下限量の規定は、これに限らない。
【0063】
雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水の量が所定下限量以上の場合(ステップS11:YES)、制御部50は、第1ポンプ30に雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる水を第1浄化装置10に供給させ(ステップS12)、処理をステップS14に移行させる。
【0064】
一方、雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水の量が所定下限量未満の場合(ステップS11:NO)、制御部50は、第2ポンプ31に第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水を第1浄化装置10に供給させ(ステップS13)、処理をステップS14に移行させる。
【0065】
制御部50は、ステップS14において水循環浄化システムSの電源OFFの操作があったか否かを確認する(ステップS14)。水循環浄化システムSの電源OFFの操作がない場合(ステップS14:NO)、制御部50は、処理をステップS10に移行させる。水循環浄化システムSの電源OFFの操作があった場合(ステップS14:YES)、制御部50は、処理を終了させる。
【0066】
<温水洗浄処理>
次に、本実施形態に係る水循環浄化システムSにおいて制御部50が実行する温水洗浄処理について、図3を用いて説明する。温水洗浄処理は、トイレ22の温水洗浄装置22bがユーザの臀部を洗浄し洗浄で減った分の水を第1タンク11から供給する処理である。温水洗浄処理は、水循環浄化システムSの電源がONになったタイミングで開始され、例えばメンテナンス等で電源をOFFにするタイミングで終了する。
【0067】
制御部50は、温水洗浄便座の使用操作が行われたか否かを確認する(ステップS20)。温水洗浄便座の使用操作は、例えばトイレ本体22aに設けられた温泉洗浄装置22bの動作開始ボタンを押す操作を示す。温水洗浄便座の使用操作が行われていない場合(ステップS20:NO)、制御部50は、処理をステップS20に移行させ、温水洗浄便座の使用操作が行われるまで同じ処理を繰り返す。温水洗浄便座の使用操作が行われた場合(ステップS20:YES)、制御部50は、第3ポンプ32に第1タンク11のタンク本体11aに溜まる上水をトイレ22の温水洗浄装置22bに供給させる(ステップS21)。
【0068】
次に、制御部50は、水循環浄化システムSの電源OFFの操作があったか否かを確認する(ステップS22)。水循環浄化システムSの電源OFFの操作がない場合(ステップS22:NO)、制御部50は、処理をステップS20に移行させる。水循環浄化システムSの電源OFFの操作があった場合(ステップS22:YES)、制御部50は、処理を終了させる。
【0069】
以上説明した本発明の一実施形態に係る水循環浄化システムSは、循環する水を浄化しつつ利用形態に応じて効率的に再利用することができる。また本発明の一実施形態に係る水循環浄化システムSは、災害により上下水道が使用できない場合や砂漠地帯等の上下水道が整備されていない地域において、新規に上下水道等の敷設をする必要がなく、またそれらのインフラの使用料も不要であることからイニシャルコストやランニングコストを抑制できる。
【0070】
また、本発明の一実施形態に係る水循環浄化システムSは、敷設にかかる時間もより少なく、移動も容易であるため、災害現場や砂漠地帯等の従来のインフラの整備に時間がかかる場所にも設けることができ、より容易且つ柔軟に衛生・健康面での改善を図ることができる。
【0071】
[変形例]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
能である。
【0072】
変形例に係る水循環浄化システムSの構成は、上述の実施形態と同様の構成の場合、同じ名称及び符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0073】
例えば、上述の実施形態に係る水循環浄化システムSでは、第1タンク11のタンク本体11aに溜まる上水が所定の量よりも少なくなった場合に、雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水を優先的に第1浄化装置10に供給し、タンク本体40aに溜まる中水が所定下限量よりも少ない場合に第2タンク21のタンク本体21aから第1浄化装置10に供給する制御を行っていたが、これに限らない。
【0074】
例えば、変形例に係る制御部50は、第1タンク11の水位計11bにより測定された第1タンク11に溜まる上水の量が所定の量よりも少ない場合、且つ第2タンク21の水位計21bにより測定された第2タンク21に溜まる中水の量が所定上限量よりも多い場合に、第2ポンプ31に第2タンク21に溜まる中水を第1浄化装置10に供給させてもよい。本実施形態では、所定上限量は、例えば第2タンクが溜めることのできる水の9割の量と規定される。しかし、所定上限量は、これに限らず設定可能である。
【0075】
<変形例に係る水補給処理>
本変形例に係る水循環浄化システムSにおいて制御部50が実行する補給処理について、図4を用いて説明する。補給処理は、水循環浄化システムSの電源がONになったタイミングで開始され、例えばメンテナンス等で電源をOFFにするタイミングで終了する。
【0076】
まず、制御部50は、第1タンク11の水位計11bにより測定されたタンク本体11aに溜まる上水の量が所定の量以下か否かを確認する(ステップS30)。タンク本体11aに溜まる上水の量が所定の量以下ではない場合(ステップS30:NO)、制御部50は、処理をステップS30に移行させ、タンク本体11aに溜まる上水の量が所定の量以下になるまで同じ処理を繰り返す。タンク本体11aに溜まる上水の量が所定の量以下の場合(ステップS30:YES)、制御部50は、雨水タンク40の水位計40bにより測定されたタンク本体40aに溜まる中水の量が所定下限量以上か否かを確認する(ステップS31)。
【0077】
雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水の量が所定下限量未満の場合(ステップS31:NO)、制御部50は、第2ポンプ31に第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水を第1浄化装置10に供給させ(ステップS34)、処理をステップS35に移行させる。
【0078】
一方、雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水の量が所定下限量以上の場合(ステップS31:YES)、制御部50は、第2タンク21の水位計21bにより測定されたタンク本体21aに溜まる中水の量が所定上限量以上か否かを確認する(ステップS32)。
【0079】
第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水の量が所定上限量以上ではない場合(ステップS32:NO)、制御部50は、第1ポンプ30に雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる水を第1浄化装置10に供給させ(ステップS33)、処理をステップS35に移行させる。一方、第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水の量が所定上限量以上の場合(ステップS32:YES)、制御部50は、第2ポンプ31に第2タンク21のタンク本体21aに溜まる中水を第1浄化装置10に供給させ(ステップS34)、処理をステップS35に移行させる。このため、タンク本体21aに水が溜まりすぎて溢れる等の状況を抑制できる。
【0080】
制御部50は、ステップS35において水循環浄化システムSの電源OFFの操作があったか否かを確認する(ステップS35)。水循環浄化システムSの電源OFFの操作がない場合(ステップS35:NO)、制御部50は、処理をステップS30に移行させる。水循環浄化システムSの電源OFFの操作があった場合(ステップS35:YES)、制御部50は、処理を終了させる。
【0081】
<その他の変形例>
また、本実施形態に係る水循環浄化システムSでは、雨水タンク40のタンク本体40aに溜まる中水を、第1タンク11に溜まる上水の量が所定の量よりも減った場合に第1浄化装置10に供給していたが、第2タンク21に溜まる中水の量が所定の量よりも減った場合に第2タンク21に供給させてもよい。
【0082】
また、本実施形態に係る水循環浄化システムSでは、内部で循環する水のみを利用していたが、これに限らず、外部から水が供給されてもよい。例えば、第1タンク11に外部から上水を供給してもよいし、第2タンク21に外部から上水や中水を供給してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 第1浄化装置
11 第1タンク
12 シャワー手洗い装置(第1利用設備)
20 第2浄化装置
22 トイレ(第2利用設備)
50 制御部
S 水循環浄化システム
【要約】
循環させる水をより効率的に利用可能な水循環浄化システムを提供すること。
水循環浄化システムSは、シャワー手洗い装置12と、第1浄化装置10と、第1タンク11と、トイレ22と、第2浄化装置20と、制御部50と、を備える。シャワー手洗い装置12は、上水を利用して中水を排出する。第1浄化装置10は、シャワー手洗い装置12が排出した中水を上水に浄化する。第1タンク11は、第1浄化装置10が浄化した、シャワー手洗い装置12が利用するための上水を溜める。トイレ22は、中水を利用して下水を排出する。第2浄化装置20は、トイレ22が排出した下水をトイレ22が利用するための中水に浄化する。制御部50は、第1タンク11に溜まる上水が所定の量よりも少ない場合に、第1浄化装置10が第2浄化装置20により浄化された中水を浄化するように制御する。
図1
図2
図3
図4