(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】バルブ構造、および、過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 37/18 20060101AFI20230627BHJP
F16F 1/32 20060101ALI20230627BHJP
F16F 1/18 20060101ALI20230627BHJP
F16F 15/073 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F02B37/18 D
F16F1/32
F16F1/18 Z
F16F15/073
(21)【出願番号】P 2022546254
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2021030972
(87)【国際公開番号】W WO2022050126
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2020148125
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 国彰
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 昭光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔平
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/008697(WO,A1)
【文献】特表2015-522135(JP,A)
【文献】国際公開第2017/125241(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0232472(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/18
F16F 1/32
F16F 1/18
F16F 15/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体と、前記弁体から軸方向に延在する軸部と、前記軸部に設けられ、前記弁体に対して前記軸方向に離隔した離隔部とを含むバルブユニットと、
前記弁体と前記離隔部との間に位置し、挿通孔を含む取付板であって、前記挿通孔には前記軸部が挿通される、取付板と、
前記取付板に設けられた第1挟持面、および、前記バルブユニットに設けられ、前記第1挟持面に対して前記軸方向に離隔する第2挟持面を含む挟持部と、
前記バルブユニットおよび前記取付板のいずれか一方に設けられる突出部であって、当該突出部の先端は、前記第1挟持面および前記第2挟持面を超えて前記軸方向に突出する、突出部と、
前記第1挟持面および前記第2挟持面の間に位置する接触部、および、前記接触部よりも前記軸部の径方向内側または外側に位置し、前記突出部に接触する被押圧部を有する弾性部材と、
を備えるバルブ構造。
【請求項2】
前記バルブユニットおよび前記取付板のいずれか他方に設けられ、前記突出部に対して前記軸方向に対向する対向部を備える、請求項1に記載のバルブ構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の前記バルブ構造を備える過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブ構造、および、過給機に関する。本出願は2020年9月3日に提出された日本特許出願第2020-148125号に基づく優先権の利益を主張し、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるバルブ構造が知られている。このバルブ構造は、弁体および座金を含むバルブユニットと、取付板と、皿ばねで構成される弾性部材とを備える。バルブユニットは、弁体と座金とを接続する軸部を備えており、取付板に軸部が挿通されている。弁体、取付板および座金の間にはクリアランスが確保されており、取付板は軸部に沿って移動可能に設けられる。弾性部材は、座金と取付板との間に設けられ、取付板を弁体側に付勢する。
【0003】
特許文献1に示されるバルブ構造は、車両用過給機のウェイストゲートバルブとして設けられる。ウェイストゲートバルブは、タービンに設けられるバイパス流路を開閉する。バイパス流路を閉じる場合、取付板に接続されたアクチュエータが駆動される。アクチュエータの動力により、取付板がウェイストゲートバルブの弁体をシート面に押圧する。弁体の取付板側の面にテーパ面が形成されており、弁体の傾きが許容される。
【0004】
バイパス流路を開く場合、弁体がシート面から離隔する。このとき、バイパス流路から排出される排気ガスの排気脈動が弁体に伝達する。排気脈動により弁体が振動すると、バルブユニットと取付板との接触により、騒音が発生するおそれがある。弾性部材の付勢力により、取付板が弁体に押し付けられることで、騒音の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
弾性部材は、通常、プレス成型されるため、寸法のばらつきが生じる。弾性部材の寸法のばらつきは、取付板に作用する付勢力のばらつきを生じさせる。付勢力が強いと、弁体がシート面に押し付けられた際に、弁体が傾きにくくなり、シール性が低下する。一方、付勢力が弱いと、バイパス流路を開いたときに、騒音が発生するおそれが高まる。したがって、弾性部材の付勢力のばらつきを低減する技術が要求される。
【0007】
本開示は、弾性部材の付勢力のばらつきを低減することが可能なバルブ構造および過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のバルブ構造は、弁体と、弁体から軸方向に延在する軸部と、軸部に設けられ、弁体に対して軸方向に離隔した離隔部とを含むバルブユニットと、弁体と離隔部との間に位置し、挿通孔を含む取付板であって、挿通孔には軸部が挿通される、取付板と、取付板に設けられた第1挟持面、および、バルブユニットに設けられ、第1挟持面に対して軸方向に離隔する第2挟持面を含む挟持部と、バルブユニットおよび取付板のいずれか一方に設けられる突出部であって、突出部の先端は、第1挟持面および第2挟持面を超えて軸方向に突出する、突出部と、第1挟持面および第2挟持面の間に位置する接触部、および、接触部よりも軸部の径方向内側または外側に位置し、突出部に接触する被押圧部を有する弾性部材と、を備える。
【0009】
バルブ構造は、バルブユニットおよび取付板のいずれか他方に設けられ、突出部に対して軸方向に対向する対向部を備えてもよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の過給機は、上記のバルブ構造を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、弾性部材の付勢力のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2は、タービンハウジングの外観図である。
【
図4】
図4は、バルブユニットと取付板の接続構造を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、
図3に示すバルブユニットが矢印c方向に回転した後のタービンハウジングの内観図である。
【
図6】
図6は、本実施形態にかかるバルブユニット、取付板および弾性部材の概略断面図である。
【
図8】
図8は、組み付け前のバルブユニット、取付板および弾性部材を説明する図である。
【
図9】
図9は、バルブユニット、取付板および弾性部材の組み付け行程を説明する図である。
【
図10】
図10は、第1変形例にかかるバルブユニット、取付板および弾性部材の概略断面図である。
【
図11】
図11Aは、第2変形例にかかるバルブユニット、取付板および弾性部材の概略断面図である。
図11Bは、第3変形例にかかるバルブユニット、取付板および弾性部材の概略断面図である。
【
図12】
図12は、第4変形例にかかるバルブユニット、取付板および弾性部材の概略断面図である。
【
図13】
図13は、第5変形例にかかるバルブユニット、取付板および弾性部材の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、過給機TCの概略断面図である。以下では、
図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。
図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。
図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備えて構成される。過給機本体1は、ベアリングハウジング3と、タービンハウジング5と、コンプレッサハウジング7とを含む。タービンハウジング5は、ベアリングハウジング3の左側に締結機構9によって連結される。コンプレッサハウジング7は、ベアリングハウジング3の右側に締結ボルト11によって連結される。
【0015】
ベアリングハウジング3の外周面には、突起3aが設けられる。突起3aは、タービンハウジング5近くに設けられる。突起3aは、ベアリングハウジング3の径方向に突出する。タービンハウジング5の外周面には、突起5aが設けられる。突起5aは、ベアリングハウジング3近くに設けられる。突起5aは、タービンハウジング5の径方向に突出する。ベアリングハウジング3とタービンハウジング5は、締結機構9によってバンド締結される。締結機構9は、例えば、Gカップリングで構成される。締結機構9は、突起3a、5aを挟持する。
【0016】
ベアリングハウジング3には、軸受孔3bが形成される。軸受孔3bは、ベアリングハウジング3を過給機TCの左右方向に貫通する。軸受孔3bには、軸受が配される。軸受には、シャフト13が挿通される。軸受は、シャフト13を回転可能に支持する。本実施形態では、軸受は、すべり軸受である。ただし、これに限定されず、軸受は、転がり軸受であってもよい。シャフト13の左端部には、タービンインペラ15が設けられる。タービンインペラ15は、タービンハウジング5に回転可能に収容される。シャフト13の右端部には、コンプレッサインペラ17が設けられる。コンプレッサインペラ17は、コンプレッサハウジング7に回転可能に収容される。
【0017】
コンプレッサハウジング7には、吸気口19が形成される。吸気口19は、過給機TCの右側に開口する。吸気口19は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の面によって、ディフューザ流路21が形成される。ディフューザ流路21は、空気を加圧する。ディフューザ流路21は、環状に形成される。ディフューザ流路21は、径方向内側において、コンプレッサインペラ17を介して吸気口19に連通している。
【0018】
コンプレッサハウジング7には、コンプレッサスクロール流路23が形成される。コンプレッサスクロール流路23は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路23は、例えば、ディフューザ流路21よりもシャフト13の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路23は、不図示のエンジンの吸気口と、ディフューザ流路21とに連通している。コンプレッサインペラ17が回転すると、吸気口19からコンプレッサハウジング7内に空気が吸気される。吸気された空気は、コンプレッサインペラ17の翼間を流通する過程において加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路21およびコンプレッサスクロール流路23で加圧される。加圧された空気は、エンジンの吸気口に導かれる。
【0019】
タービンハウジング5には、吐出口25が形成される。吐出口25は、過給機TCの左側に開口する。吐出口25は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。タービンハウジング5の内部には、内部空間27が形成される。内部空間27は、吐出口25に開口する。内部空間27は、タービンインペラ15より下流側(吐出口25近く)に形成される。
【0020】
タービンハウジング5には、連通路29と、タービンスクロール流路31とが形成される。タービンスクロール流路31は、環状に形成される。タービンスクロール流路31は、例えば、連通路29よりもシャフト13の径方向外側に位置する。タービンスクロール流路31は、ガス流入口33(
図2参照)と連通する。ガス流入口33には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。連通路29は、タービンインペラ15を介してタービンスクロール流路31と吐出口25(内部空間27)とを接続する。ガス流入口33からタービンスクロール流路31に導かれた排気ガスは、連通路29、タービンインペラ15、および、内部空間27を介して吐出口25に導かれる。吐出口25に導かれる排気ガスは、流通過程においてタービンインペラ15を回転させる。
【0021】
タービンインペラ15の回転力は、シャフト13を介してコンプレッサインペラ17に伝達される。コンプレッサインペラ17が回転すると、上記のとおりに空気が加圧される。こうして、空気がエンジンの吸気口に導かれる。
【0022】
図2は、タービンハウジング5の外観図である。
図2に示すように、タービンハウジング5には、バルブ装置100が設けられる。バルブ装置100は、アクチュエータ110およびリンク機構120を備える。リンク機構120は、ロッド122と、連結ピン124と、リンクプレート126と、回転軸128とを含む。
図2に示すように、アクチュエータ110、ロッド122、連結ピン124、および、リンクプレート126は、タービンハウジング5の外部に配される。
【0023】
アクチュエータ110は、ロッド122に接続される。アクチュエータ110は、ロッド122を、ロッド122の中心軸方向(
図2中、矢印a方向および矢印b方向)に移動させる。ロッド122の一端はアクチュエータ110に接続され、他端が連結ピン124に接続される。連結ピン124は、ロッド122とリンクプレート126とを連結する。本実施形態では、連結ピン124は、ロッド122に固定される。連結ピン124は、リンクプレート126を回転可能に支持する。
【0024】
リンクプレート126には、ピン孔126aと、軸孔126bとが形成される。ピン孔126aには、連結ピン124が挿通される。軸孔126bには、回転軸128が挿通される。回転軸128は、リンクプレート126に固定される。回転軸128は、リンクプレート126と一体的に回転する。
【0025】
アクチュエータ110が駆動すると、ロッド122は、
図2中、矢印a方向、または、矢印b方向に移動する。ロッド122が
図2中、矢印a方向に移動すると、リンクプレート126は、回転軸128を中心として、
図2中、矢印c方向に回転する。ロッド122が
図2中、矢印b方向に移動すると、リンクプレート126は、回転軸128を中心として、
図2中、矢印d方向に回転する。
【0026】
図3は、
図2のIII矢視図である。
図3は、タービンハウジング5の内観図である。
図3に示すように、バルブ装置100は、軸受部材130と、取付板140と、バルブユニット200とをさらに含む。軸受部材130、取付板140、および、バルブユニット200は、タービンハウジング5の内部空間27に配される。
【0027】
タービンハウジング5には、貫通孔5bが形成される。貫通孔5bには、軸受部材130が挿通される。軸受部材130は、円筒形状である。軸受部材130には、回転軸128が挿通される。軸受部材130は、回転軸128を回転可能に支持する。
【0028】
回転軸128の一端はタービンハウジング5の外部に配され、他端がタービンハウジング5の内部に配される。回転軸128の一端はリンクプレート126に接続され、他端が取付板140に接続される。取付板140は、回転軸128に一体的に取り付けられる。例えば、取付板140は、回転軸128に溶接され、回転軸128と一体的に回転する。取付板140は、本実施形態では回転軸128と別体で構成される。しかし、これに限定されず、取付板140は、回転軸128と一体で構成されてもよい。取付板140のうち、回転軸128と接続される部分と反対側の位置には、バルブユニット200が取り付けられる。
【0029】
図4は、バルブユニット200と取付板140の接続構造を説明するための説明図である。
図4に示すように、バルブユニット200は、弁体202と、軸部204と、離隔部206とを含む。弁体202は、切頭円錐形状であり、大径側に当接面202aが設けられている。弁体202のうち、小径側、すなわち、当接面202aと反対側には、軸部204が設けられる。軸部204は、弁体202と一体に形成されており、弁体202から軸方向に延在する。
【0030】
軸部204には、離隔部206が取り付けられる。ここでは、離隔部206は、弁体202および軸部204とは別部材の板金で構成されている。離隔部206は、中心に孔206aを含む円盤形状であり、弁体202に対して軸方向に離隔している。離隔部206の孔206aには、軸部204が挿通されている。
【0031】
取付板140は、弁体202と離隔部206との間に位置する。取付板140には、挿通孔140aが形成される。挿通孔140aに軸部204が挿通される。詳しくは後述するが、軸部204の先端がかしめられることで、離隔部206が軸部204に取り付けられる。ただし、離隔部206は、例えば、溶接や接着などにより軸部204に取り付けられてもよい。
【0032】
図1に示すように、タービンハウジング5には、バイパス流路35およびウェイストゲートポート37が形成される。バイパス流路35の一端はタービンスクロール流路31に接続され、他端がウェイストゲートポート37を介して内部空間27に接続される。バイパス流路35は、タービンスクロール流路31と内部空間27とを接続する。バイパス流路35およびウェイストゲートポート37は、タービンインペラ15よりも径方向外側に位置する。ウェイストゲートポート37は、タービンインペラ15より下流側(吐出口25側)に形成される。バイパス流路35は、タービンスクロール流路31を流通する排気ガスの一部を、タービンインペラ15を迂回して内部空間27に導く。
【0033】
ウェイストゲートポート37は、タービンハウジング5の内部空間27を形成する内壁のうち、弁体202が当接可能な座面39に形成される。弁体202の当接面202aは、ウェイストゲートポート37の内径よりも外径が大きい。本実施形態では、バルブユニット200は、ウェイストゲートバルブとして機能する。弁体202は、座面39と当接した状態において、ウェイストゲートポート37を閉塞する。ウェイストゲートポート37が閉塞されると、タービンスクロール流路31を流通する排気ガスは、バイパス流路35を介して内部空間27に流出しなくなる。
【0034】
弁体202は、座面39から離隔した状態において、ウェイストゲートポート37を開放する。ウェイストゲートポート37が開放されると、タービンスクロール流路31を流通する排気ガスの一部が、バイパス流路35およびウェイストゲートポート37を介して内部空間27に流出する。
【0035】
図3に戻り、アクチュエータ110(
図2参照)の駆動により、回転軸128が
図3中、矢印c方向に回転すると、回転軸128と一体的に取付板140が
図3中、矢印c方向に回転する。取付板140が
図3中、矢印c方向に回転すると、取付板140に保持されたバルブユニット200が、回転軸128を回転中心として、
図3中、矢印c方向に回転する。
【0036】
図5は、
図3に示すバルブユニット200が矢印c方向に回転した後のタービンハウジング5の内観図である。
図5に示すように、バルブユニット200が矢印c方向に回転すると、弁体202が座面39から離隔する方向に移動する。弁体202が座面39から離隔すると、ウェイストゲートポート37が開放される。
【0037】
一方、アクチュエータ110(
図2参照)の駆動により、取付板140が
図5中、矢印d方向に回転すると、弁体202は、回転軸128を回転中心として、
図5中、矢印d方向に回転する。弁体202が矢印d方向に回転すると、
図3に示すように、弁体202は、座面39に近接する方向に移動する。弁体202が座面39に当接すると、ウェイストゲートポート37が閉塞される。
【0038】
図4に示すように、取付板140と離隔部206との間には隙間が形成される。この隙間には、弾性部材300が設けられる。すなわち、弾性部材300は、取付板140と離隔部206との間に設けられる。詳しくは後述するが、弾性部材300は、中心に貫通孔300aを含む円盤形状の平板部材で構成され、取付板140を弁体202に向かって付勢する。換言すれば、弾性部材300は、取付板140と離隔部206とが離隔する方向に付勢力を作用させる。
【0039】
取付板140は、弁体202と離隔部206との間で、僅かに軸部204の軸方向に移動可能である。また、挿通孔140aの内径は、軸部204の直径よりも大きい。したがって、バルブユニット200は、取付板140に対して僅かに傾倒することができる。弁体202が座面39に当接するとき、弁体202が傾倒することで、座面39に対して体202が片当たりせず、シール性が確保される。
【0040】
一方、弁体202が座面39から離隔し、ウェイストゲートポート37が開放されると、ウェイストゲートポート37から内部空間27に排気ガスが排出される。このとき、バイパス流路35から排出される排気ガスの排気脈動が弁体202に伝達する。排気脈動により、弁体202が振動すると、弁体202と取付板140との接触により、騒音が発生するおそれがある。本開示によれば、弾性部材300の付勢力により、取付板140が弁体202に押し付けられるため、騒音の発生が抑制される。
【0041】
従来のウェイストゲートバルブでは、本開示の弾性部材300に代えて、プレス成型された皿ばねが用いられている。プレス成型された皿ばねには、寸法のばらつきが生じ易い。皿ばねの寸法のばらつきは、取付板140に作用する付勢力のばらつきを生じさせる。付勢力が強いと、弁体202が座面39に押し付けられた際に、弁体202が傾きにくくなり、シール性が低下する。一方、付勢力が弱いと、ウェイストゲートポート37を開いたときに、騒音が発生するおそれが高まる。本開示によれば、以下に説明するバルブ装置100のバルブ構造により、弾性部材300の付勢力のばらつきが低減される。
【0042】
図6は、本実施形態にかかるバルブユニット200、取付板140および弾性部材300の概略断面図である。弁体202は、当接面202aと反対側に隆起部202bが設けられる。隆起部202bは、軸部204の軸方向に直交する円形の断面形状を有し、軸部204の軸方向(以下、単に軸方向という)に延在する。ここでは、隆起部202bの軸方向の長さが、当接面202aから隆起部202bまでの軸方向の厚みよりも小さい。
【0043】
隆起部202bは、当接面202aと反対側、すなわち、軸部204近くに位置している。隆起部202bの先端には、軸方向に交差するテーパ面202cが形成されている。ここでは、テーパ面202cは、径方向内側の部分が、軸方向に突出するように傾斜する。テーパ面202cの外径は、当接面202aの外径よりも小さい。
【0044】
軸部204は、大径部204aおよび小径部204bを含む。大径部204aは、テーパ面202cの中心から軸方向に延在する。大径部204aの直径は、テーパ面202cの直径よりも小さい。小径部204bは、大径部204aの先端側に設けられる。換言すれば、小径部204bは、大径部204aに対して、弁体202と反対側に位置する。小径部204bの直径は、大径部204aの直径よりも小さい。小径部204bは、大径部204aと連続しており、大径部204aと小径部204bとの接続部位には、段差面204cが形成されている。段差面204cは、軸方向に交差する環状の平面である。ここでは、段差面204cが、軸方向と直交している。
【0045】
取付板140は、挿通孔140aを含む本体部140bを備える。本体部140bは、弁体202側に位置する第1表面(本開示において、弁体側対向面とも称され得る)140cを備える。第1表面140cは平面で構成され、テーパ面202cと対向する。また、本体部140bは、離隔部206側に位置する第2表面(本開示において、離隔部側対向面とも称され得る)140dを備える。第2表面140dは平面で構成され、離隔部206と対向する。
【0046】
本体部140bの第2表面140dには、環状突起142が設けられる。環状突起142は、第2表面140dから離隔部206に向かって突出する。環状突起142は、挿通孔140aの周縁に設けられる。環状突起142の突出方向の先端には、第1挟持面142aが設けられる。第1挟持面142aは、環状の平面で構成される。挿通孔140aは、第1表面140cから第1挟持面142aまで貫通する。
【0047】
挿通孔140aには、軸部204の大径部204aが挿通されている。挿通孔140aの内径は、大径部204aの直径よりも大きい。また、第1表面140cから第1挟持面142aまでの長さ、すなわち、挿通孔140aの軸方向の長さは、大径部204aの軸方向の長さよりも小さい。したがって、大径部204aのうち、小径部204b近くの端部、および、段差面204cは、挿通孔140aの外側に位置する。
【0048】
離隔部206は、取付板140近くに位置する第2挟持面206bを備える。第2挟持面206bは平面で構成され、取付板140の第1挟持面142aに対して、軸方向に離隔して対向する。また、上記したように、離隔部206の中心には孔206aが形成されている。孔206aには、軸部204の小径部204bが挿通されている。
【0049】
離隔部206の外径は、環状突起142の外径よりも大きい。小径部204bの軸方向の長さは、孔206aの軸方向の長さよりも大きい。したがって、小径部204bの先端は、孔206aから突出する。第2挟持面206bが軸部204の段差面204cに突き当てられた状態で、孔206aから突出した小径部204bの先端がかしめられる。これにより、離隔部206と、軸部204との相対移動が規制される。
【0050】
離隔部206には、突出部208が設けられる。突出部208は、第2挟持面206bよりも径方向外側に設けられ、取付板140に向かって軸方向に突出する。突出部208は、離隔部206の外周縁に設けられている。また、突出部208の先端は、環状突起142の第1挟持面142aおよび離隔部206の第2挟持面206bを超えて軸方向に突出している。
【0051】
ただし、突出部208の先端は、取付板140の第2表面140dと軸方向に離隔している。離隔部206と取付板140とは、軸方向に非接触であり、両者の間に隙間が形成されている。
【0052】
弾性部材300は、離隔部206と取付板140との間に形成される隙間に設けられる。上記したように、弾性部材300は、円盤形状の平板部材で構成され、外力が作用していない状態では、平面形状を維持している。取付板140にバルブユニット200が組付けられた状態では、弾性部材300に対して、弾性部材300の弾性変形の範囲内で外力が作用する。つまり、弾性部材300には、平面形状に戻ろうとする復元力が常時はたらく。この復元力が、取付板140を弁体202に向かって付勢する付勢力となる。なお、弾性部材300には、外周縁から径方向内側に向けて延在するスリットが複数設けられてもよい。スリットが設けられることで、弾性変形した際の歪みが軽減される。
【0053】
図7は、
図6の一点鎖線部分の拡大図である。
図7に示すように、ここでは、突出部208の軸方向の突出高さがL1で示されている。同様に、環状突起142の軸方向の突出高さがL2で示されている。また、
図7に示すL3は、取付板140と、離隔部206との軸方向の最大離隔量である。この最大隙間量は、取付板140と弁体202との最大離隔量とも言える。また、
図7には、弾性部材300の厚み、すなわち、板厚がL4と示されている。したがって、取付板140の軸方向のあそび、すなわち、バルブユニット200と取付板140との間の最大隙間量は、L3-L4となる。つまり、取付板140は、バルブユニット200に対して、軸方向にL3-L4だけ相対移動可能である。
【0054】
また、本実施形態では、環状突起142の突出高さL2は、突出部208の突出高さL1よりも大きい。突出部208の突出高さL1は、取付板140と離隔部206との最大隙間量L3よりも大きい。すなわち、ここでは、L2>L1>L3の寸法関係が維持されている。この寸法関係により、突出部208の先端が、第1挟持面142aよりも取付板140に向かって突出する。
【0055】
第1挟持面142aと第2挟持面206bとによって、挟持部220が構成される。すなわち、挟持部220は、取付板140に設けられた第1挟持面142a、および、バルブユニット200に設けられ、第1挟持面142aに対して軸方向に離隔する第2挟持面206bを含む。挟持部220は、第1挟持面142aと第2挟持面206bとが大凡対向する範囲に設けられ、弾性部材300を挟持する。
【0056】
弾性部材300は、第1挟持面142aおよび第2挟持面206bの間に位置する接触部302を有する。つまり、接触部302は、弾性部材300のうち、第1挟持面142aおよび第2挟持面206bの間に位置する部位である。接触部302には、第1挟持面142aに接触する第1接触点302aと、第2挟持面206bに接触する第2接触点302bとが設けられる。
【0057】
第1接触点302aは、環状突起142の先端、すなわち、第1挟持面142aの外周縁に接触する。第2接触点302bは、弾性部材300のうち、離隔部206に対向する面の内周端に設けられる。したがって、第2接触点302bは、第1接触点302aよりも弾性部材300の内径側に位置している。
【0058】
また、弾性部材300は、被押圧部304を有する。被押圧部304は、接触部302よりも径方向外側に位置し、突出部208に接触する。被押圧部304は、弾性部材300のうち、離隔部206に対向する面の外周側に設けられ、突出部208の先端の内周縁に接触している。
【0059】
被押圧部304は、第1接触点302aよりも径方向外側に位置する。第1接触点302aは、第2接触点302bよりも径方向外側に位置する。また、被押圧部304は、第1接触点302aよりも、取付板140近くに位置する。第1接触点302aは、第2接触点302bよりも、取付板140近くに位置する。
【0060】
図8は、組み付け前のバルブユニット200、取付板140および弾性部材300を説明する図である。
図9は、バルブユニット200、取付板140および弾性部材300の組み付け行程を説明する図である。
図8に示すように、バルブユニット200、取付板140および弾性部材300の組み付け時には、軸部204が、取付板140、弾性部材300および離隔部206に順に挿通される。
【0061】
具体的には、
図9の上段に示すように、まず、取付板140の挿通孔140aに、大径部204aが挿通される。このとき、取付板140の第1表面140cが、テーパ面202cに面接触する。この状態では、軸部204の段差面204cが、取付板140の第1挟持面142aから突出している。
【0062】
次に、弾性部材300の貫通孔300aに、大径部204aが挿通される。貫通孔300aの内径は、大径部204aの直径よりも大きい。貫通孔300aに大径部204aが挿通された状態では、弾性部材300が第1挟持面142aに面接触する。また、弾性部材300の板厚(
図7のL4参照)は、取付板140と離隔部206との軸方向の最大離隔量(
図7のL3参照)よりも小さい。したがって、この状態では、軸部204の段差面204cが、弾性部材300の貫通孔300aから突出している。
【0063】
次に、離隔部206の孔206aに、小径部204bが挿通される。このとき、離隔部206の突出部208が、弾性部材300に接触する。そして、
図9の上段に示す状態から、
図9の中段に示すように、離隔部206が取付板140に向けて軸方向に押し込まれる。段差面204cの外径は、孔206aの内径よりも大きいため、第2挟持面206bが段差面204cに接触したところで、離隔部206が静止する。
【0064】
離隔部206が取付板140に向けて軸方向に押し込まれる過程では、突出部208が、弾性部材300の被押圧部304を、取付板140に向かって押圧する。このとき、弾性部材300の接触部302が、第1挟持面142aと第2挟持面206bとの間に挟持される。したがって、離隔部206は、
図9の上段に示す状態から中段に示す状態まで、弾性部材300の弾性力に抗して、軸方向に押し込まれることとなる。つまり、
図9の中段に示す状態では、離隔部206の突出部208に対して、取付板140から離隔する方向の付勢力が作用している。また、取付板140の環状突起142に対して、離隔部206から弁体202に向かう方向の付勢力が作用している。
【0065】
そして、上記の状態を保持したまま、
図9の下段に示すように、小径部204bの先端がかしめられる。これにより、弾性部材300の被押圧部304には、突出部208によって取付板140に向かって押圧する力が常時作用する。また、弾性部材300の第1接触点302aには、環状突起142によって離隔部206に向かって押圧する力が常時作用する。また、弾性部材300の第2接触点302bには、第2挟持面206bによって取付板140に向かって押圧する力が常時作用する。このように、弾性部材300の復元力が、取付板140を弁体202に付勢する付勢力として作用する。
【0066】
上記の構成によれば、突出部208の突出高さ(
図7のL1参照)、環状突起142の突出高さ(
図7のL2参照)、および、大径部204aの軸長の寸法管理により、弾性部材300の付勢力のばらつきが抑制される。従来のように、プレス成型された皿ばねの寸法管理に比べて、バルブユニット200および取付板140の寸法管理は容易である。したがって、本開示によれば、従来に比して、弾性部材300の付勢力のばらつきを容易に抑制することができる。
【0067】
図10は、第1変形例にかかるバルブユニット400、取付板150および弾性部材300の概略断面図である。第1変形例では、上記実施形態の取付板140に代えて、取付板150が設けられる。第1変形例は、取付板150の構成のみが上記実施形態と異なり、その他の構成は、全て上記実施形態と同じである。したがって、ここでは、上記実施形態と異なる構成について説明し、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
図10に示すように、取付板150は、挿通孔150aを含む本体部150bを備える。本体部150bには、テーパ面202cに対向する第1表面150cが設けられる。また、本体部150bには、離隔部206に向かって突出する環状突起152が設けられる。環状突起152の突出方向の先端には、第1挟持面152aが形成されている。ここで、環状突起152の外径は、離隔部206の外径よりも小さい。
【0069】
また、上記実施形態では、本体部140bの第2表面140dが、突出部208に軸方向に対向している。一方、第1変形例においては、取付板150の本体部150bには、突出部208に軸方向に対向する部位が一部しか設けられていない。
【0070】
第1変形例においても、取付板150の第1挟持面152aと、離隔部206の第2挟持面206bとによって、挟持部220が構成される。挟持部220には、弾性部材300の接触部302が位置している。そして、接触部302には、第1挟持面152aに接触する第1接触点302aと、第2挟持面206bに接触する第2接触点302bとが設けられる。
【0071】
また、離隔部206には、突出部208が設けられている。突出部208は、挟持部220の径方向外側に位置する。突出部208の先端は、第1挟持面152aを超えて、取付板150に向かって突出している。弾性部材300の被押圧部304は、突出部208に接触している。このように、第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、挟持部220および接触部302が、突出部208および被押圧部304よりも径方向内側に設けられている。そして、弾性部材300は、離隔部206に設けられた突出部208により、取付板150向かって押圧される。したがって、第1変形例によっても、上記実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0072】
図11Aは、第2変形例にかかるバルブユニット500、取付板160および弾性部材300の概略断面図である。第2変形例では、上記実施形態の取付板140に代えて、取付板160が設けられ、上記実施形態の離隔部206に代えて、離隔部506が設けられる。第2変形例は、取付板160および離隔部506の構成のみが上記実施形態と異なり、その他の構成は、全て上記実施形態と同じである。したがって、ここでは、上記実施形態と異なる構成について説明し、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0073】
図11Aに示すように、取付板160は、挿通孔160aを含む本体部160bを備える。本体部160bには、テーパ面202cに対向する第1表面160cが設けられる。また、本体部160bには、第1表面160cと反対側に第1挟持面160dが設けられる。第1挟持面160dは、離隔部506に対向する。第1挟持面160dの径方向外側には、離隔部506に向かって突出する突出部162が設けられる。
【0074】
突出部162は、第1挟持面160dよりも径方向外側において、環状に延在する。突出部162は、挿通孔160aから径方向に離隔して設けられている。第1表面160cがテーパ面202cに接触した状態では、軸部204の段差面204cが、挿通孔160aから突出する。このとき、突出部162の先端は、段差面204cよりも、離隔部506に向かって突出する。
【0075】
離隔部506は、弁体202および軸部204とは別部材の板金で構成されている。離隔部506は、中心に孔506aを含む円盤形状であり、弁体202に対して軸方向に離隔している。離隔部506の孔506aには、軸部204の小径部204bが挿通されている。
【0076】
離隔部506は、取付板160に対向する表面(本開示において、取付板側対向面とも称され得る)506bを備える。ここでは、表面506bの外径は、突出部162の外径と大凡等しい。表面506bには、環状突起508が設けられる。環状突起508は、表面506bから取付板160に向かって突出する。環状突起508は、孔506aの周縁に設けられる。環状突起508の突出方向の先端には、第2挟持面508aが設けられる。第2挟持面508aは、環状の平面で構成される。
【0077】
離隔部506は、小径部204bの先端がかしめられることで、弁体202および軸部204に取り付けられる。この状態では、第2挟持面508aが段差面204cに接触している。環状突起508の外径は、段差面204cの外径よりも大きく、突出部162の内径よりも小さい。したがって、第2挟持面508aのうち、段差面204cに対向する部位よりも径方向外側の部位は、第1挟持面160dと軸方向に対向する。
【0078】
第2挟持面508aと第1挟持面160dとは、軸方向に離隔している。第2挟持面508aと第1挟持面160dとの間の隙間量により、取付板160と、離隔部506との軸方向の最大離隔量が設定される。そして、第2挟持面508aと第1挟持面160dとにより、挟持部220が構成される。
【0079】
また、取付板160に設けられる突出部162と、第2挟持面508aおよび挟持部220とは、径方向に離隔している。さらに、突出部162の先端は、環状突起508の第2挟持面508aを超えて離隔部506に向かって突出する。つまり、突出部162の軸方向の高さは、第2挟持面508aと第1挟持面160dとの間の最大離隔量よりも大きい。
【0080】
弾性部材300は、第2挟持面508aおよび第1挟持面160dの間に位置する接触部302を有する。つまり、接触部302は、弾性部材300のうち、第2挟持面508aおよび第1挟持面160dの間に位置する部位である。接触部302には、第1挟持面160dに接触する第1接触点302aと、第2挟持面508aに接触する第2接触点302bとが設けられる。
【0081】
第1接触点302aは、弾性部材300のうち、取付板160に対向する面の内周端に設けられる。第2接触点302bは、環状突起508の先端、すなわち、第2挟持面508aの外周縁に接触する。したがって、第1接触点302aは、第2接触点302bよりも径方向内側に位置している。
【0082】
また、弾性部材300は、被押圧部304を有する。被押圧部304は、接触部302よりも径方向外側に位置し、突出部162に接触する。被押圧部304は、弾性部材300のうち、取付板160に対向する面の外周側に設けられ、突出部162の先端の内周縁に接触している。
【0083】
被押圧部304は、第2接触点302bよりも径方向外側に位置する。第2接触点302bは、第1接触点302aよりも径方向外側に位置する。また、被押圧部304は、第2接触点302bよりも、離隔部506近くに位置する。第2接触点302bは、第1接触点302aよりも、離隔部506近くに位置する。
【0084】
これにより、弾性部材300の被押圧部304には、突出部162によって離隔部506に向かって押圧する力が常時作用する。また、弾性部材300の第2接触点302bには、環状突起508によって取付板160に向かって押圧する力が常時作用する。また、弾性部材300の第1接触点302aには、第1挟持面160dによって離隔部506に向かって押圧する力が常時作用する。弾性部材300の復元力が、取付板160を弁体202に付勢する付勢力として作用する。
【0085】
上記の構成によれば、突出部162の突出高さ、環状突起508の突出高さ、および、大径部204aの軸長の寸法管理により、弾性部材300の付勢力のばらつきが抑制される。すなわち、第2変形例によっても、上記実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0086】
図11Bは、第3変形例にかかるバルブユニット600、取付板160および弾性部材300の概略断面図である。第3変形例では、上記第2変形例の離隔部506に代えて、離隔部606が設けられる。第3変形例は、離隔部606の構成のみが上記第2変形例と異なり、その他の構成は、全て上記第2変形例と同じである。したがって、ここでは、上記第2変形例と異なる構成について説明し、上記第2変形例と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0087】
図11Bに示すように、離隔部606は、弁体202および軸部204とは別部材の板金で構成されている。離隔部606は、中心に孔606aを含む環状本体部608を備える。離隔部606は、弁体202に対して軸方向に離隔している。離隔部606の孔606aには、軸部204の小径部204bが挿通されている。
【0088】
離隔部606の環状本体部608は、取付板160に対向する第2挟持面608aを備える。第2挟持面608aは、環状の平面で構成され、段差面204cに接触する。環状本体部608および第2挟持面608aの外径は、段差面204cの外径よりも大きく、突出部162の内径よりも小さい。したがって、第2挟持面608aのうち、段差面204cに対向する部位よりも径方向外側の部位は、第1挟持面160dと軸方向に対向する。
【0089】
第2挟持面608aと第1挟持面160dとは、軸方向に離隔している。第2挟持面608aと第1挟持面160dとの間の隙間量により、取付板160と、離隔部606との軸方向の最大離隔量が設定される。そして、第2挟持面608aと第1挟持面160dとにより、挟持部220が構成される。
【0090】
図11Bと
図11Aとを比較しても明らかなように、第3変形例の離隔部606は、第2変形例の離隔部506における環状突起508のみで構成されている。つまり、第3変形例の離隔部606は、第2変形例の離隔部506から、環状突起508の径方向外側の部位を省略した構成である。したがって、離隔部606は、突出部162に軸方向に対向する部位を有していない点のみが離隔部506と異なり、その他の構成は、離隔部506と等しい。第3変形例によっても、上記第2変形例と同様の作用効果が実現される。
【0091】
図12は、第4変形例にかかるバルブユニット700、取付板170および弾性部材300の概略断面図である。第4変形例では、上記実施形態の取付板140に代えて、取付板170が設けられ、上記実施形態の離隔部206に代えて、離隔部706が設けられる。第4変形例は、取付板170および離隔部706の構成のみが上記実施形態と異なり、その他の構成は、全て上記実施形態と同じである。したがって、ここでは、上記実施形態と異なる構成について説明し、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0092】
図12に示すように、取付板170は、挿通孔170aを含む本体部170bを備える。本体部170bには、テーパ面202cに対向する第1表面170cが設けられる。また、本体部170bには、第1表面170cと反対側に第1挟持面170dが設けられる。第1挟持面170dは、離隔部706に対向する。第1挟持面170dの径方向内側には、離隔部706に向かって突出する突出部172が設けられる。
【0093】
突出部172は、第1挟持面170dよりも径方向内側に設けられ、環状に延在する。突出部172は、挿通孔170aの周縁に設けられている。つまり、挿通孔170aは、第1表面170cから突出部172まで貫通する。第1表面170cがテーパ面202cに接触した状態では、軸部204の段差面204cが、挿通孔170aから突出する。
【0094】
離隔部706は、弁体202および軸部204とは別部材の板金で構成されている。離隔部706は、中心に孔706aが形成された円盤形状であり、弁体202に対して軸方向に離隔している。離隔部706の孔706aには、軸部204の小径部204bが挿通されている。
【0095】
離隔部706は、取付板170に対向する表面706bを備える。表面706bには、環状突起708が設けられる。環状突起708は、表面706bから取付板170に向かって突出する。環状突起708は、離隔部706の外周縁に設けられる。環状突起708の突出方向の先端には、第2挟持面708aが設けられる。第2挟持面708aは、環状の平面で構成される。
【0096】
離隔部706は、小径部204bの先端がかしめられることで、弁体202および軸部204に取り付けられる。この状態では、表面706bが段差面204cに接触している。環状突起708の内径は、段差面204cの外径よりも大きく、さらに、突出部172の外径よりも大きい。第2挟持面708aは、第1挟持面170dと軸方向に対向する。
【0097】
第2挟持面708aと第1挟持面170dとは、軸方向に離隔している。第2挟持面708aと第1挟持面170dとの間の隙間量により、取付板170と、離隔部706との軸方向の最大離隔量が設定される。第2挟持面708aと第1挟持面170dとの間の隙間量は、弾性部材300の板厚よりも大きい。そして、第2挟持面708aと第1挟持面170dとにより、挟持部220が構成される。
【0098】
また、取付板170に設けられる突出部172と、第2挟持面708aおよび挟持部220とは、径方向に離隔している。さらに、突出部172の先端は、環状突起708の第2挟持面708aを超えて離隔部706に向かって突出する。つまり、突出部172の軸方向の高さは、第2挟持面708aと第1挟持面170dとの間の最大離隔量よりも大きい。
【0099】
弾性部材300は、第2挟持面708aおよび第1挟持面170dの間に位置する接触部302を有する。つまり、接触部302は、弾性部材300のうち、第2挟持面708aおよび第1挟持面170dの間に位置する部位である。接触部302には、第1挟持面170dに接触する第1接触点302aと、第2挟持面708aに接触する第2接触点302bとが設けられる。
【0100】
第1接触点302aは、弾性部材300のうち、取付板170に対向する面の外周端に設けられる。第2接触点302bは、環状突起708の先端、すなわち、第2挟持面708aの内周縁に接触する。したがって、第2接触点302bは、第1接触点302aよりも径方向内側に位置している。
【0101】
また、弾性部材300は、被押圧部304を有する。被押圧部304は、接触部302よりも径方向内側に位置し、突出部172に接触する。被押圧部304は、弾性部材300のうち、取付板170に対向する面の内周側に設けられ、突出部172の先端の外周縁に接触している。
【0102】
被押圧部304は、第2接触点302bよりも径方向内側に位置する。第2接触点302bは、第1接触点302aよりも径方向内側に位置する。また、被押圧部304は、第2接触点302bよりも、離隔部706側に位置する。第2接触点302bは、第1接触点302aよりも、離隔部706側に位置する。
【0103】
これにより、弾性部材300の被押圧部304には、突出部172によって離隔部706に向かって押圧する力が常時作用する。また、弾性部材300の第2接触点302bには、環状突起708によって取付板170に向かって押圧する力が常時作用する。また、弾性部材300の第1接触点302aには、第1挟持面170dによって離隔部706に向かって押圧する力が常時作用する。弾性部材300の復元力が、取付板170を弁体202に付勢する付勢力として作用する。
【0104】
上記の構成によれば、突出部172の突出高さ、環状突起708の突出高さ、および、大径部204aの軸長の寸法管理により、弾性部材300の付勢力のばらつきが抑制される。すなわち、第4変形例によっても、上記実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0105】
図13は、第5変形例にかかるバルブユニット800、取付板180および弾性部材300の概略断面図である。ここでは、上記実施形態と異なる構成について説明し、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。バルブユニット800は、弁体202と、軸部204と、離隔部806とを含む。弁体202は、当接面202aを備える。また、弁体202には、当接面202aと反対側に隆起部202bが設けられる。隆起部202bは、軸方向に直交する円形の断面形状を有し、軸方向に延在する。ここでは、隆起部202bの軸方向の長さが、当接面202aから隆起部202bまでの軸方向の厚みよりも小さい。
【0106】
隆起部202bは、当接面202aと反対側、すなわち、軸部204近くに位置している。隆起部202bの先端には、軸部204の軸方向に交差する第2挟持面802dが形成されている。ここでは、第2挟持面802dは、軸部204に直交する環状の平面である。ただし、第2挟持面802dは、上記のテーパ面202cと同様に傾斜してもよい。第2挟持面802dの中心から、軸部204が軸方向に延在する。また、第2挟持面802dの径方向外側には、突出部808が設けられる。突出部808は、隆起部202bの外周縁に設けられており、軸部204と径方向に離隔している。
【0107】
取付板180は、挿通孔180aを含む本体部180bを備える。本体部180bには、第2挟持面802dに対向する第1表面180cが設けられる。また、本体部180bには、第1表面180cと反対側に第2表面180dが設けられる。第1表面180cには、環状突起182が設けられる。環状突起182は、第1表面180cから弁体202側に突出する。環状突起182は、取付板180の内周縁に設けられる。環状突起182の突出方向の先端には、第1挟持面182aが設けられる。第1挟持面182aは、環状の平面で構成される。挿通孔180aは、第2表面180dから第1挟持面182aまで貫通する。
【0108】
挿通孔180aには、軸部204の大径部204aが挿通されている。挿通孔180aの内径は、大径部204aの直径よりも大きい。また、第2表面180dから第1挟持面182aまでの長さ、すなわち、挿通孔180aの軸方向の長さは、大径部204aの軸方向の長さよりも小さい。
【0109】
離隔部806には、小径部204bが挿通される。離隔部806が段差面204cに突き当てられた状態で、小径部204bの先端がかしめられる。これにより、離隔部806と、軸部204との相対移動が規制される。
【0110】
弾性部材300には、弁体202と取付板180との間に形成される隙間に設けられる。より詳細には、環状突起182の第1挟持面182aは、弁体202の第2挟持面802dと軸方向に離隔して対向する。第1挟持面182aと第2挟持面802dとの最大離隔量は、弾性部材300の板厚よりも大きい。そして、第1挟持面182aと第2挟持面802dとによって、挟持部220が構成される。
【0111】
また、弁体202に設けられる突出部808と、第1挟持面182aおよび挟持部220とは、径方向に離隔している。さらに、突出部808の先端は、環状突起182の第1挟持面182aを超えて取付板180に向かって突出する。つまり、突出部808の軸方向の高さは、第1挟持面182aと第2挟持面802dとの間の最大離隔量よりも大きい。
【0112】
弾性部材300は、第1挟持面182aおよび第2挟持面802dの間に位置する接触部302を有する。つまり、接触部302は、弾性部材300のうち、第1挟持面182aおよび第2挟持面802dの間に位置する部位である。接触部302には、第1挟持面182aに接触する第1接触点302aと、第2挟持面802dに接触する第2接触点302bとが設けられる。
【0113】
第1接触点302aは、環状突起182の先端、すなわち、第1挟持面182aの外周縁に接触する。第2接触点302bは、弾性部材300のうち、弁体202側の面の内周端に設けられる。したがって、第1接触点302aは、第2接触点302bよりも径方向外側に位置している。
【0114】
また、弾性部材300は、被押圧部304を有する。被押圧部304は、接触部302よりも径方向外側に位置し、突出部808に接触する。被押圧部304は、弾性部材300のうち、弁体202側の面の外周側に設けられ、突出部808の先端の内周縁に接触している。
【0115】
被押圧部304は、第1接触点302aよりも径方向外側に位置する。第1接触点302aは、第2接触点302bよりも径方向外側に位置する。また、被押圧部304は、第1接触点302aよりも、取付板180近くに位置する。第1接触点302aは、第2接触点302bよりも、取付板180近くに位置する。
【0116】
上記の構成によれば、弾性部材300が、弁体202を、取付板180から離隔する方向に押圧する。突出部808の突出高さ、環状突起182の突出高さ、および、大径部204aの軸長の寸法管理により、弾性部材300の付勢力のばらつきが抑制される。すなわち、第5変形例によっても、上記実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0117】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0118】
上記実施形態および各変形例では、バルブ装置100がウェイストゲートポート37を開閉するウェイストゲートバルブである例について説明した。しかし、これに限定されず、バルブ装置100は、開口を開閉する他のバルブに適用することも可能である。例えば、バルブ装置100は、ツインスクロール型過給機のタービンハウジングにおいて、2つのタービンスクロール流路を連通する開口を開閉するバルブに適用されてもよい。
【0119】
上記実施形態および第1変形例では、離隔部206に設けられた突出部208が、挟持部220よりも径方向外側に位置する。ただし、上記実施形態および第1変形例において、環状突起142は、突出部208よりも径方向外側に設けられてもよい。この場合、突出部208は、挟持部220よりも径方向内側に位置する。
【0120】
上記第5変形例では、弁体202に設けられた突出部808が挟持部220よりも径方向外側に位置する。ただし、上記第5変形例において、環状突起182は、突出部808よりも径方向外側に設けられてもよい。この場合、突出部808は、挟持部220よりも径方向内側に位置する。
【0121】
上記第5変形例では、弁体202に第2挟持面802dおよび突出部808が設けられ、取付板180に環状突起182および第1挟持面182aが設けられる。ただし、第5変形例において、弁体202に環状突起182および第1挟持面182aが設けられ、取付板180に第2挟持面802dおよび突出部808が設けられてもよい。この場合、突出部808は、環状突起182よりも、径方向内側に設けられてもよいし、径方向外側に設けられてもよい。
【0122】
いずれにしても、挟持部は、取付板に設けられた第1挟持面、および、バルブユニットに設けられ、第1挟持面に対して軸方向に離隔する第2挟持面を含んで構成されればよい。また、突出部は、バルブユニットおよび取付板のいずれか一方に設けられればよく、突出部の先端は、第1挟持面および第2挟持面を超えて軸方向に突出すればよい。また、弾性部材は、第1挟持面および第2挟持面の間に位置する接触部、および、接触部よりも軸部の径方向内側または外側に位置し、突出部に接触する被押圧部を有すればよい。
【0123】
上記実施形態、第2変形例、第4変形例および第5変形例では、バルブユニットおよび取付板のうち、突出部が設けられていない方に、突出部に対して軸方向に対向する対向部が設けられる。具体的には、実施形態の第2表面140d、第2変形例の表面506b、第4変形例の第1挟持面170d、第5変形例の第1表面180cが、突出部に軸方向に対向する対向部として機能する。このように、対向部が設けられる方が、対向部が設けられない場合に比べて、弾性部材300が外部に晒されにくくなる。その結果、対向部が設けられることで、高温環境下における弾性部材300の耐久性が向上する。
【符号の説明】
【0124】
140、150、160、170、180 取付板
140a、150a、160a、170a、180a 挿通孔
140d 第2表面
142a、152a、160d、170d、182a 第1挟持面
162、172、208、808 突出部
180c 第1表面
200、400、500、600、700、800 バルブユニット
202 弁体
204 軸部
206、506、606、706、806 離隔部
206b、508a、608a、708a、802d 第2挟持面
220 挟持部
300 弾性部材
302 接触部
304 被押圧部
506b 表面