(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】人工組換え染色体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/18 20060101AFI20230627BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230627BHJP
C12N 15/87 20060101ALI20230627BHJP
C12N 5/073 20100101ALI20230627BHJP
A01K 67/027 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C12N5/18 ZNA
C12N15/09 100
C12N15/87 Z
C12N5/073
A01K67/027
(21)【出願番号】P 2019572716
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 KR2019015351
(87)【国際公開番号】W WO2020209458
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519461646
【氏名又は名称】ヒューマブ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オー、チャン キュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン イク
(72)【発明者】
【氏名】カン、ホ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、アエ ジン
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079857(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00-28
C12N 15/00-90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの人工組換え染色体を含むトランスジェニックマウス細胞を作製するための方法であって、
i)ヒト天然セントロメア、ヒト免疫グロブリン遺伝子(Ig遺伝子)、およびヒト天然テロメアを含む第1のヒト染色体を含むヒト細胞を調整する段階と、
i
i)操作されたヒト細胞を作製するために、前記ヒト細胞を
処理する段階であって、
前記ヒト細胞は、第1のリコンビナーゼ認識配列(第1のRRS)と第2のリコンビナーゼ認識配列(第2のRRS)との間に位置する
前記ヒトIg遺伝子を含む第1の操作されたヒト染色体を含み、
前記第1のRRSおよび前記第2のRRSは、それぞれ、前記第1の操作されたヒト染色体の
前記ヒト
天然セントロメアと
前記ヒト
天然テロメアとの間に位置する、段階と、
ii
i)操作された前記ヒト細胞を処理して、前記第1の操作されたヒト染色体を含む第1のヒトミクロセルを作製する段階と、
iv)マウス天然セントロメア、マウスIg遺伝子、およびマウス天然テロメアを含む第1のマウス染色体を含むマウス細胞を調整する段階と、
v)操作されたマウス細胞を作製するために、前記マウス細胞を
処理する段階であって、
前記マウス細胞は、第3のリコンビナーゼ認識配列(第3のRRS)と、第4のリコンビナーゼ認識配列(第4のRRS)との間に位置する
前記マウスIg遺伝子を含む第2の操作されたマウス染色体を含み、
前記第3のRRSおよび前記第4のRRSは、それぞれ、前記第2の操作されたマウス染色体の
前記マウス
天然セントロメアと
前記マウス
天然テロメアとの間に位置し、
前記第1のRRSは前記第3のRRSと対合することができ、前記第2のRRSは前記第4のRRSと対合することができる、段階と、
v
i)前記
操作されたマウス細胞を前記第1のヒトミクロセルと接触させて、前記第1の操作されたヒト染色体と、前記第2の操作されたマウス染色体とを含む融合細胞を作製する段階と、
v
ii)部位特異的リコンビナーゼ(SSR)を前記融合細胞に適用することにより、前記融合細胞において、第3の操作された組換え染色体を含む前記トランスジェニックマウス細胞が作製されるように、前記第1の操作されたヒト染色体の前記ヒトIg遺伝子と、前記第2の操作されたマウス染色体の前記マウスIg遺伝子との間の染色体交換が引き起こされる段階であって、
前記第3の操作された組換え染色体は、前記マウス
天然セントロメア、前記マウス
天然テロメア、および前記マウス
天然セントロメアと前記マウス
天然テロメアとの間に位置する前記ヒトIg遺伝子を含み、
前記第3の操作された組換え染色体は、前記マウスIg遺伝子を含ま
ず、前記第3の操作された組換え染色体は、前記第3のRRSと前記第4のRRSとの間に位置する前記マウスIg遺伝子を除いて、前記第2の操作されたマウス染色体の他の内因性遺伝子を含む、段階と、
を有する、方法。
【請求項2】
前記第1のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであり、および、
前記第3のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであり、および、
前記第4のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記SSRはCreリコンビナーゼである、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであり、および、
前記第3のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つである、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであり、および、
前記第4のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つである、
請求項1または5に記載の方法。
【請求項7】
前記SSRは、フリッパーゼ(FLP)、インテグラーゼ、およびトランスポザーゼから選択される1つである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の操作された組換え染色体を含む前記トランスジェニックマウス細胞は、有糸分裂または減数分裂を経ることができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の操作された組換え染色体を含む前記トランスジェニックマウス細胞は、前記ヒトIg遺伝子を発現するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの人工組換え染色体を含むトランスジェニックマウス細胞を使用してトランスジェニックマウスを作製するための方法であって、
i)ヒト天然セントロメア、ヒト免疫グロブリン遺伝子(Ig遺伝子)、およびヒト天然テロメアを含む第1のヒト染色体を含むヒト細胞を調整する段階と、
i
i)操作されたヒト細胞を作製するために、前記ヒト細胞を
処理する段階であって、
前記ヒト細胞は、第1のリコンビナーゼ認識配列(第1のRRS)と第2のリコンビナーゼ認識配列(第2のRRS)との間に位置する
前記ヒトIg遺伝子を含む第1の操作されたヒト染色体を含み、
前記第1のRRSおよび前記第2のRRSは、それぞれ、前記第1の操作されたヒト染色体の
前記ヒト
天然セントロメアと
前記ヒト
天然テロメアとの間に位置する、段階と、
ii
i)操作された前記ヒト細胞を処理して、前記第1の操作されたヒト染色体を含む第1のヒトミクロセルを作製する段階と、
iv)マウス天然セントロメア、マウスIg遺伝子、およびマウス天然テロメアを含む第1のマウス染色体を含むマウス細胞を調整する段階と、
v)操作されたマウス細胞を作製するために、前記マウス細胞を
処理する段階であって、
前記マウス細胞は、第3のリコンビナーゼ認識配列(第3のRRS)と、第4のリコンビナーゼ認識配列(第4のRRS)との間に位置する
前記マウスIg遺伝子を含む第2の操作されたマウス染色体を含み、
前記第3のRRSおよび前記第4のRRSは、それぞれ、前記第2の操作されたマウス染色体の
前記マウス
天然セントロメアと
前記マウス
天然テロメアとの間に位置し、
前記第1のRRSは前記第3のRRSと対合することができ、前記第2のRRSは前記第4のRRSと対合することができる、段階と、
v
i)前記
操作されたマウス細胞を前記第1のヒトミクロセルと接触させて、前記第1の操作されたヒト染色体と、前記第2の操作されたマウス染色体とを含む融合細胞を作製する段階と、
v
ii)部位特異的リコンビナーゼ(SSR)を前記融合細胞に適用することにより、前記融合細胞において、第3の操作された組換え染色体を含む前記トランスジェニックマウス細胞が作製されるように、前記第1の操作されたヒト染色体の前記ヒトIg遺伝子と、前記第2の操作されたマウス染色体の前記マウスIg遺伝子との間の染色体交換が引き起こされる段階であって、
前記第3の操作された組換え染色体は、前記マウス
天然セントロメア、前記マウス
天然テロメア、および前記マウス
天然セントロメアと前記マウス
天然テロメアとの間に位置する前記ヒトIg遺伝子を含み、
前記第3の操作された組換え染色体は、前記マウスIg遺伝子を含ま
ず、前記第3の操作された組換え染色体は、前記第3のRRSと前記第4のRRSとの間に位置する前記マウスIg遺伝子を除いて、前記第2の操作されたマウス染色体の他の内因性遺伝子を含む、段階と、
vi
ii)子孫を作製するために、前記第3の操作された組換え染色体を含むキメラ胚盤胞を代理母の子宮に移植する段階であって、
ここで、前記キメラ胚盤胞は、前記第3の操作された組換え染色体を含む前記トランスジェニックマウス細胞を胚盤胞に注入することによって作製される、段階とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における開示は、人工組換え染色体およびその使用に関し、より詳細には、2つ以上の染色体の組換えによって生成される人工組換え染色体、およびそれを含む細胞を使用するトランスジェニック動物の作製に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスジェニック動物は、外因性タンパク質をコードするDNAを発現することによって、または内因性遺伝子を不活性化することによって、遺伝子工学の発展に寄与することがある。
【0003】
トランスジェニック動物を作製するためには、一般に、外因性タンパク質をコードするDNAを動物細胞のゲノムに挿入し、それにより生成される細胞を使用して動物が作製される。ここで、外因性タンパク質をコードするDNAを動物細胞のゲノムに挿入するために、外因性タンパク質をコードするDNAを含有するベクターを使用し、ベクターを作製するために、外因性タンパク質をコードするDNAをクローニングする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トランスジェニック動物を作製するには、一般に、外因性タンパク質をコードするDNAを動物細胞のゲノムに挿入し、それにより生成される細胞を使用して動物が作製される。ここで、外因性タンパク質をコードするDNAを動物細胞のゲノムに挿入するために、外因性タンパク質をコードするDNAを含むベクターを使用し、ベクターを作製するために、外因性タンパク質をコードするDNAをクローニングする。この方法では、外因性タンパク質をコードするDNAのサイズに従って、1つまたは2つ以上のベクターを使用する。たとえば、外因性タンパク質をコードするDNAのサイズが数十キロベース以上である場合、外因性タンパク質をコードするDNAは断片化され、次いで複数のベクターを使用して挿入される。1つのベクターではなく複数のベクターを使用してDNAが挿入される場合、外因性タンパク質をコードする完全長DNAが挿入される細胞の収量効率が低減する問題がある。
【0005】
上述の問題を解決するために、本発明は、挿入されることになる遺伝子のサイズに関わらず、挿入されることになる遺伝子を動物細胞のゲノムに効率的に挿入する方法を提供することを対象とする。
【0006】
本発明はまた、人工組換え染色体およびそれを作製する方法を提供することを対象とする。
【0007】
本発明はまた、人工組換え染色体を含む細胞およびそれを作製する方法を提供することを対象とする。
【0008】
本発明はまた、人工組換え染色体を含む細胞を使用してトランスジェニック動物を作製する方法を提供することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
技術的問題を解決するために、本明細書における開示の一態様は、別個のクローニングなしで、動物細胞のゲノムに挿入されることになる完全長遺伝子(コード領域、非コード領域など)を挿入する方法を提供する。本明細書における開示の別の態様は、上記のように生成されるトランスジェニック動物細胞を使用してトランスジェニック動物を作製する方法を提供する。
【0010】
本明細書における開示の態様によれば、本発明は、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法を提供する。
【0011】
一実施形態において、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、
i)第1の標的細胞および第2の標的細胞を調製する段階と、
ii)第2の標的細胞を使用して1個または複数のミクロセルを作製する段階と、
iii)第1の標的細胞および1個または複数のミクロセルを使用して融合細胞を作製する段階と、
iv)部位特異的リコンビナーゼ(SSR)で融合細胞を処理することによって、人工組換え染色体を含む細胞を作製する段階とを含んでもよい。
【0012】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。
【0013】
第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0014】
ここで、第1の標的染色体は、第1の部分、第1のリコンビナーゼ認識配列(第1のRRS)および第1の断片を含んでもよい。第1のRRSは、第1の部分と第1の断片との間に位置してもよい。
【0015】
ここで、第2の標的染色体は、第2の部分、第2のリコンビナーゼ認識配列(第2のRRS)、および第2の断片を含んでもよい。第2のRRSは、第2の部分と第2の断片との間に位置してもよい。
【0016】
1個または複数のミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0017】
ここで、第2の標的染色体の断片は、第2のRRSおよび第2の断片を含んでもよい。
【0018】
融合細胞は、第1の標的染色体および第2の標的染色体、または第1の標的染色体および第2の標的染色体の断片を含んでもよい。
【0019】
SSRは、第1の標的染色体に存在する第1のRRSと第2の標的染色体に存在する第2のRRSとの対合を認識することによって組換えを誘導してもよい。
【0020】
ここで、第1の標的染色体に存在する第1の断片は、組換えによって、第2の標的染色体に存在する第2の断片と交換されてもよい。
【0021】
それによって、第1の部分および第2の断片を有する第1の人工組換え染色体が作製されてもよい。
【0022】
ここで、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の標的染色体を含まない場合がある。
【0023】
1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の人工組換え染色体をさらに含んでもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第2の部分および第1の断片を含んでもよい。
【0024】
第1の部分は、第1の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち一方を含んでもよい。ここで、第1の断片は、第1の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち他方を含んでもよい。
【0025】
第2の部分は、第2の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち一方を含んでもよい。ここで、第2の断片は、第2の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち他方を含んでもよい。
【0026】
第1のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであってもよく、第2のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであってもよい。ここで、第1のRRSは、第2のRRSと対合することができてもよい。ここで、SSRはCreリコンビナーゼであってもよく、SSRは第1のRRSおよび第2のRRSを認識することができてもよい。
【0027】
代替的には、第1のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであってもよく、第2のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであってもよい。ここで、第1のRRSは、第2のRRSと対合することができてもよい。ここで、SSRは、フリッパーゼ(FLP)、インテグラーゼ、およびトランスポザーゼから選択される1つであってもよく、SSRは第1のRRSおよび第2のRRSを認識することができてもよい。
【0028】
1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞は、体細胞分裂(有糸分裂)または減数分裂を経てもよい。
【0029】
別の実施形態において、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を作製するための方法は、
i)第1の標的細胞および第2の標的細胞を調製する段階と、
ii)第2の標的細胞を使用して1個または複数のミクロセルを作製する段階と、
iii)第1の標的細胞および1個または複数のミクロセルを使用して融合細胞を作製する段階と、
iv)部位特異的リコンビナーゼ(SSR)で融合細胞を処理することによって、人工組換え染色体を含む細胞を作製する段階とを含んでもよい。
【0030】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。
【0031】
ここで、第1の標的染色体は、第1の部分、第1のリコンビナーゼ認識配列(第1のRRS)、第1の断片、第2のリコンビナーゼ認識配列(第2のRRS)および第2の部分を含んでもよい。
【0032】
ここで、第1の部分は、第1の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち一方を含んでもよく、第2の部分は、第1の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち他方を含んでもよい。
【0033】
ここで、第1の断片は、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置してもよい。
【0034】
第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0035】
ここで、第2の標的染色体は、第3の部分、第3のリコンビナーゼ認識配列(第3のRRS)、第2の断片、第4のリコンビナーゼ認識配列(第4のRRS)、および第4の部分を含んでもよい。
【0036】
ここで、第3の部分は、第2の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち一方を含んでもよく、第4の部分は、第2の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち他方を含んでもよい。
【0037】
ここで、第2の断片は、第3のRRSと第4のRRSとの間に位置してもよい。
【0038】
1個または複数のミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0039】
ここで、第2の標的染色体の断片は、第3のRRS、第2の断片、および第4のRRSを含んでもよい。
【0040】
融合細胞は、第1の標的染色体および第2の標的染色体、または第1の標的染色体および第2の標的染色体の断片を含んでもよい。
【0041】
SSRは、第1の標的染色体に存在する第1のRRSと第2の標的染色体に存在する第3のRRSとの対合、および第1の標的染色体に存在する第2のRRSと第2の標的染色体に存在する第4のRRSとの対合を認識することによって組換えを誘導してもよい。
【0042】
ここで、第1の標的染色体に存在する第1の断片は、組換えによって、第2の標的染色体に存在する第2の断片と交換されてもよい。
【0043】
それによって、第1の部分、第2の断片、および第2の部分を含む第1の人工組換え染色体が作製されてもよい。
【0044】
ここで、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の標的染色体を含まない場合がある。
【0045】
1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の人工組換え染色体をさらに含んでもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第3の部分、第1の断片、および第4の部分を含んでもよい。
【0046】
第1の部分は、第1の標的染色体のセントロメアを含んでもよい。代替的には、第1の断片は、第1の標的染色体のセントロメアを含んでもよい。
【0047】
第3の部分は、第2の標的染色体のセントロメアを含んでもよい。第2の断片は、第2の標的染色体のセントロメアを含んでもよい。
【0048】
第1のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであってもよく、第3のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであってもよい。ここで、第1のRRSは、第3のRRSと対合することができてもよい。
【0049】
第2のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであってもよく、第4のRRSは、loxPおよびloxPバリアントから選択される1つであってもよい。ここで、第2のRRSは、第4のRRSと対合することができてもよい。
【0050】
ここで、SSRはCreリコンビナーゼであってもよい。
【0051】
代替的には、第1のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであってもよく、第3のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであってもよい。ここで、第1のRRSは、第3のRRSと対合することができてもよい。
【0052】
第2のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであってもよく、第4のRRSは、FRT、attP、attB、ITR、およびそれらのバリアントから選択される1つであってもよい。ここで、第2のRRSは、第4のRRSと対合することができてもよい。
【0053】
ここで、SSRは、フリッパーゼ(FLP)、インテグラーゼ、およびトランスポザーゼから選択される1つであってもよい。
【0054】
1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞は、体細胞分裂(有糸分裂)または減数分裂を経てもよい。
【0055】
本明細書における開示の別の態様によれば、本発明は、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を使用して、トランスジェニック非ヒト動物を作製する方法を提供する。
【0056】
一実施形態において、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を使用してトランスジェニック非ヒト動物を作製するための方法は、
i)第1の標的細胞および第2の標的細胞を調製する段階と、
ii)第2の標的細胞を使用して1個または複数のミクロセルを作製する段階と、
iii)第1の標的細胞および1個または複数のミクロセルを使用して融合細胞を作製する段階と、
iv)部位特異的リコンビナーゼ(SSR)で融合細胞を処理することによって、人工組換え染色体を含む細胞を作製する段階と、
v)子孫を作製するために、第1の人工組換え染色体を含むキメラ胚盤胞を代理母の子宮に移植する段階とを含んでもよい。
【0057】
第1の標的細胞は、胚性幹細胞であってもよい。
【0058】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0059】
ここで、第1の標的染色体は、第1の部分、第1のリコンビナーゼ認識配列(第1のRRS)および第1の断片を含んでもよい。第1のRRSは、第1の部分と第1の断片との間に位置してもよい。
【0060】
ここで、第2の標的染色体は、第2の部分、第2のリコンビナーゼ認識配列(第2のRRS)、および第2の断片を含んでもよい。第2のRRSは、第2の部分と第2の断片との間に位置してもよい。
【0061】
1個または複数のミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、第2の標的染色体の断片は、第2のRRSおよび第2の断片を含んでもよい。
【0062】
融合細胞は、第1の標的染色体および第2の標的染色体、または第1の標的染色体および第2の標的染色体の断片を含んでもよい。
【0063】
SSRは、第1の標的染色体に存在する第1のRRSと第2の標的染色体に存在する第2のRRSとの対合を認識することによって組換えを誘導してもよい。
【0064】
ここで、第1の標的染色体に存在する第1の断片は、第2の標的染色体に存在する第2の断片と交換されてもよい。
【0065】
それによって、第1の部分および第2の断片を含む第1の人工組換え染色体が作製されてもよい。
【0066】
ここで、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の標的染色体を含まない場合がある。
【0067】
キメラ胚盤胞は、第1の人工染色体を含む細胞を胚盤胞に注入することによって作製してもよい。
【0068】
別の実施形態において、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を使用してトランスジェニック非ヒト動物を作製するための方法は、
i)第1の標的細胞および第2の標的細胞を調製する段階と、
ii)第2の標的細胞を使用して1個または複数のミクロセルを作製する段階と、
iii)第1の標的細胞および1個または複数のミクロセルを使用して融合細胞を作製する段階と、
iv)部位特異的リコンビナーゼ(SSR)で融合細胞を処理することによって、人工組換え染色体を含む細胞を作製する段階と、
v)子孫を作製するために、第1の人工組換え染色体を含むキメラ胚盤胞を代理母の子宮に移植する段階とを含んでもよい。
【0069】
第1の標的細胞は、胚性幹細胞であってもよい。
【0070】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0071】
第1の標的染色体は、第1の部分、第1のリコンビナーゼ認識配列(第1のRRS)、第1の断片、第2のリコンビナーゼ認識配列(第2のRRS)、および第2の部分を含んでもよい。
【0072】
ここで、第1の部分は、第1の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち一方を含んでもよく、第2の部分は、第1の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち他方を含んでもよい。
【0073】
ここで、第1の断片は、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置してもよい。
【0074】
第2の標的染色体は、第3の部分、第3のリコンビナーゼ認識配列(第3のRRS)、第2の断片、第4のリコンビナーゼ認識配列(第4のRRS)、および第4の部分を含んでもよい。
【0075】
ここで、第3の部分は、第2の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち一方を含んでもよく、第4の部分は、第2の標的染色体の両側に位置するテロメア末端のうち他方を含んでもよい。
【0076】
ここで、第2の断片は、第3のRRSと第4のRRSとの間に位置してもよい。
【0077】
1個または複数のミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含む。ここで、第2の標的染色体の断片は、第3のRRS、第2の断片、および第4のRRSを含んでもよい。
【0078】
融合細胞は、第1の標的染色体および第2の標的染色体、または第1の標的染色体および第2の標的染色体の断片を含んでもよい。
【0079】
SSRは、第1の標的染色体に存在する第1のRRSと第2の標的染色体に存在する第3のRRSとの対合、および第1の標的染色体に存在する第2のRRSと第2の標的染色体に存在する第4のRRSとの対合を認識することによって組換えを誘導してもよい。
【0080】
ここで、第1の標的染色体に存在する第1の断片は、第2の標的染色体に存在する第2の断片と交換されてもよい。
【0081】
それによって、第1の部分、第2の断片、および第2の部分を含む第1の人工組換え染色体が作製されてもよい。
【0082】
ここで、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の標的染色体を含まない場合がある。
【0083】
キメラ胚盤胞は、第1の人工染色体を含む細胞を胚盤胞に注入することによって作製してもよい。
【発明の効果】
【0084】
本明細書によって開示される技術によれば、以下の効果が示される。
【0085】
第1に、人工組換え染色体およびそれを作製する方法を提供することができる。さらに、より大きい外因性DNAセグメントを含む人工組換え染色体を提供することができる。
【0086】
第2に、人工組換え染色体を含む細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。さらに、より大きい外因性DNAセグメントを標的染色体に提供することによって、人工組換え染色体を含む細胞、およびそれを調製する方法を提供することができる。
【0087】
第3に、人工組換え染色体を含む細胞を使用してトランスジェニック動物を作製する方法を提供することができる。さらに、より大きい外因性DNAセグメントを標的染色体に提供することによって、人工組換え染色体を含む細胞を使用してトランスジェニック動物を作製する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】例示的な実施形態によるフローチャートである。
【0089】
【
図2】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図3】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図4】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図5】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図6】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図7】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図8】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図9】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【
図10】標的染色体からの人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【0090】
【
図11】第1の非標的供給源染色体に第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを提供することによって、第1の標的染色体の作製を例示する概略図である。
【0091】
【
図12】第2の非標的供給源染色体に第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNAを提供することによって、第2の標的染色体の作製を例示する概略図である。
【0092】
【
図13】第1の標的染色体および第2の標的染色体からの第1の人工組換え染色体および第2の人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【0093】
【
図14】第1の人工組換え染色体からの最終の人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【0094】
【
図15】第1の非標的供給源染色体に第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを提供することによって、第1の標的染色体の作製を例示する概略図である。
【0095】
【
図16】第1の標的染色体の標的遺伝子の逆位を例示する概略図である。
【0096】
【
図17】第2の非標的供給源染色体に第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNAを提供することによって、第2の標的染色体の作製を例示する概略図である。
【0097】
【
図18】第2の標的染色体の標的遺伝子の逆位を例示する概略図である。
【0098】
【
図19】第1の標的染色体および第2の標的染色体からの第1の人工組換え染色体および第2の人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【0099】
【
図20】第1の人工組換え染色体からの最終の人工組換え染色体の作製を例示する概略図である。
【0100】
【
図21】例示的な実施形態による標的染色体のDNA構造に関する概略図である。
【
図22】例示的な実施形態による標的染色体のDNA構造に関する概略図である。
【
図23】例示的な実施形態による標的染色体のDNA構造に関する概略図である。
【
図24】例示的な実施形態による標的染色体のDNA構造に関する概略図である。
【0101】
【
図25】例示的な実施形態による標的細胞を選択した結果を例示する。
【
図26】例示的な実施形態による標的細胞を選択した結果を例示する。
【0102】
【
図27】例示的な実施形態によるミクロセルを例示する。
【0103】
【
図28】例示的な実施形態による融合細胞を調製するプロセスを例示する。
【0104】
【
図29】例示的な実施形態による標的染色体を含む融合細胞を例示する。
【0105】
【
図30】例示的な実施形態による人工組換え染色体を含む融合細胞を例示する。
【0106】
【
図31】例示的な実施形態による、人工組換え染色体を含む融合細胞と標的染色体を含む融合細胞との比較を例示する。
【
図32】例示的な実施形態による、人工組換え染色体を含む融合細胞と標的染色体を含む融合細胞との比較を例示する。
【
図33】例示的な実施形態による、人工組換え染色体を含む融合細胞と標的染色体を含む融合細胞との比較を例示する。
【0107】
【
図34】例示的な実施形態による、人工組換え染色体を含む融合細胞を選択し、人工組換え染色体を確認した結果を例示する。
【
図35】例示的な実施形態による、人工組換え染色体を含む融合細胞を選択し、人工組換え染色体を確認した結果を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0108】
別に定義されていない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書において説明される方法および物質と同様または均等の方法および物質を、本発明の実践または実験において使用することができるが、好適な方法および材料を以下に説明する。本明細書において言及されるすべての公報、出願特許、特許、および他の参考文献は、それらの全体を参照により引用される。さらに、物質、方法、および実施例は、単に説明のためであって、限定されることは意図されない。
【0109】
以下に、本発明を説明する。
【0110】
本明細書における開示は、人工組換え染色体、およびそれを含む細胞の作製に関する。
【0111】
トランスジェニック動物は、人工的な形質が導入された動物であり、様々な疾病、ならびに治療剤の機序および開発の研究のために使用される。トランスジェニック動物を作製するために、トランスジェニック動物を作製する方法は、動物細胞に所望の形質を導入するプロセスを含む。この目的のために現在では、クローニングベクターを使用する方法が用いられる。
【0112】
クローニングベクターを使用する方法は、トランスジェニック動物において、発現されることが望ましい所望の形質、すなわち標的遺伝子をクローニングし、人工的に作製されたベクターを動物細胞に送達して遺伝子をゲノムに挿入する方法である。そのような方法では、プラスミド、バクテリア人工染色体(BAC)、または酵母人工染色体(YAC)を使用する。BACまたはYACは、プラスミドと比較してより大きい断片(150~350kbp)を運ぶことができるDNA構築物であり、形質転換のために広く使用されている。特に、BACまたはYACが、プラスミドと比較して比較的より大きい断片を運ぶことができるという利点に起因して、大きい標的遺伝子の形質導入のために使用される。
【0113】
しかしながら、大きい標的遺伝子のためには、複数のBACまたはYACが必要とされる。たとえば、ヒト抗体を産生するマウスを作製する場合、そのマウスを作製するために、ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子が導入されるマウス細胞を作製する必要がある。この目的のために、サイズが1250キロベース(kb)のヒト免疫グロブリン重(IGH)遺伝子をクローニングする形質転換ベクターを作製する必要がある。形質転換ベクターがBACである場合、異なるDNA断片をそれぞれが有する、少なくとも4~9個のBACが作製される。それによって作製されたBACは、マウス細胞に順次導入され、ゲノムに挿入される。すなわち、第1のBACがマウス細胞に導入されてゲノムに挿入され、第1のBAC挿入マウス細胞が選択される。第2のBACが、選択されたマウス細胞に導入されてゲノムに挿入され、第2のBAC挿入マウス細胞が選択される。標的遺伝子、すなわち完全長ヒトIGH遺伝子(全DNA)がゲノムに挿入されるマウス細胞を選択するために、上で説明されるプロセスを繰り返すことが必要である。そのような繰り返されるプロセスは、完全長標的遺伝子が挿入されるマウス細胞の収量を低減する要因である。さらに、形質導入および選択の繰り返しが原因となる時間消費およびコスト消費などの問題が生じる。その上、複数のBACを作出する時間およびコストはかなり大きい。
【0114】
これらの問題を解決するために、本発明は、染色体間の組換えを使用する形質転換技術を開発した。
【0115】
本明細書における開示は、BACおよびYACなどの形質転換ベクターを使用する従来のシステムが、染色体間の組換えによって人工組換え染色体を作製することによって取って替わられ得ることを示す。
【0116】
本明細書において開示される方法では、BACまたはYACの代わりに染色体を使用する形質導入(形質転換)法を説明する。従来の方法において使用されてきたBACまたはYACの代わりに染色体を使用する形質転換法は、1つの染色体の動物細胞への導入および組換えによって、動物のゲノムに標的遺伝子を挿入し、形質転換(形質導入)された動物細胞を作出することである。
【0117】
本明細書において開示される染色体を使用する形質転換法は、3つのステップに大きく分けられてもよい。
【0118】
第1のステップは、標的遺伝子すなわち形質導入(形質転換)のための遺伝子を含む染色体、および組換えに必要とされる要素を含めるために、標的遺伝子が挿入されることになる染色体を、人工的に操作することである。このプロセスは、標的遺伝子を含む染色体を有するドナー細胞、および標的遺伝子が挿入されることになる染色体を有するレシピエント細胞において、実施してもよい。組換えに必要とされる要素は、リコンビナーゼを使用する組換えまたは相同組換えを可能にする因子であってもよい。たとえば、リコンビナーゼが使用される場合、リコンビナーゼによって認識される部位は、組換えに必要とされる要素であると見なされてもよい。一例において、Creリコンビナーゼが使用される場合、組換えに必要とされる要素はloxPであってもよい。別の例において、フリッパーゼ(FLP)リコンビナーゼが使用される場合、組換えに必要とされる要素はFRTであってもよい。このプロセスの目的は、リコンビナーゼによって認識され得る部位、または染色体間の組換えにおける相同組換えのための相同的な部位を提供することである。プロセスは、標的遺伝子を含む染色体に含まれる、組換えに必要とされる要素、および標的遺伝子が挿入されることになる染色体に含まれる、組換えに必要とされる要素の、位置および対合を考慮して設計されるべきである。位置は、標的遺伝子の挿入位置と高度に関連付けられていてもよく、対合は組換えの成功および組換えの種類を決定してもよい。上で説明されるプロセスを通して、組換えに必要とされる要素が挿入された標的遺伝子を含む染色体を有する細胞(ドナー細胞)、および組換えに必要とされる要素が挿入される染色体を有する細胞(レシピエント細胞)が作製される。ここで、ドナー細胞の染色体に含まれる、組換えに必要とされる要素は、レシピエント細胞の染色体に含まれる、組換えに必要とされる要素と対合される。
【0119】
第2のステップは、ミクロセルの作製およびそれを使用する細胞融合に対する。このプロセスでは、先のプロセスにおいて作製される細胞(ドナー細胞)を使用し、このプロセスにおいて作製されるミクロセルは、組換えに必要とされる要素が挿入された標的遺伝子を含む染色体を有する。代替的には、このプロセスにおいて作製されるミクロセルは、組換えに必要とされる要素が挿入された標的遺伝子を含む染色体の断片を有し、ここで、断片は、組換えに必要とされる要素が挿入された標的遺伝子を含む。このプロセスは、当技術分野で従来公知の、ミクロセル仲介染色体トランスファー(MMCT)を用いて実施してもよい。MMCTは、染色体をドナー細胞からレシピエント細胞にトランスファーするために一般に用いられる技術である(Thorfinn Ege et al.、1974;Thorfinn Ege et al.、1977)。プロセスによって作製されるミクロセルは、染色体または染色体断片を含み、染色体または染色体断片は、人工クローニングによって複製されたプラスミドなどのクローニングベクターではない。さらに、染色体または染色体断片は、組換えに必要とされる要素を含み、当該要素は、レシピエント細胞に含まれる、組換えに必要とされる要素と対合される。作製されるミクロセルは、レシピエント細胞と融合される。このプロセスによって、組換えに必要とされる要素が挿入された標的遺伝子を含むドナー細胞の染色体は、ミクロセルの融合によってレシピエント細胞に導入される(トランスファーされる)。
【0120】
第3のステップは、リコンビナーゼまたは相同組換えを使用して、人工組換え染色体を有する細胞を作製することである。このプロセスは、先のプロセスにおいて作製された細胞、すなわちリコンビナーゼまたは相同組換えによって誘導された因子での細胞融合によって作製された融合細胞を、処理することによって、染色体間の組換えを誘導することである。このプロセスにおいて、リコンビナーゼが処理される場合、リコンビナーゼによって認識される部位、すなわち組換えに必要とされる要素を有する染色体間の組換えが誘導される。換言すれば、組換えに必要とされる要素を含む標的遺伝子を有する染色体と、組換えに必要とされる要素を有する、標的遺伝子が挿入されることになる染色体との間の組換えが、誘導される。結果として、2つの染色体間の組換えに起因して、標的遺伝子の転座によって新規な人工組換え染色体が生成される。ここで、生成される人工組換え染色体は、所望の形質(標的遺伝子)が挿入されることになる染色体に、標的遺伝子が挿入される染色体である。換言すれば、生成される人工組換え染色体は、染色体間の組換えによって、ドナー細胞の染色体の一部(すなわち、標的遺伝子)をレシピエント細胞の染色体(すなわち、標的遺伝子が挿入されることになる染色体)に挿入することによって生成される染色体である。トランスジェニック動物は、人工組換え染色体を有する細胞を使用して作製されてもよい。
【0121】
上で説明される例を使用して説明されるように、ヒト抗体を産生するマウスを作製する場合、サイズが1250kbのヒトIGH遺伝子がマウス細胞に導入されなくてはならない。本明細書において開示される染色体を使用する形質転換法を用いる場合、ヒトIGH遺伝子、すなわちヒト染色体14を含む染色体がマウス細胞に導入される。ここで、ヒトIGH遺伝子を含む染色体は、組換えに必要とされる要素を、標的遺伝子、すなわちヒトIGH遺伝子の両端に含むように、人工的に操作された染色体である。ヒト染色体14をマウス細胞に導入または送達するために、ミクロセル仲介染色体トランスファー(MMCT)を使用してもよい。ミクロセルおよびマウス細胞が融合される融合細胞は、MMCTによって作製され、マウス細胞およびヒト染色体14の全染色体を含む。導入されたヒト染色体14と、標的遺伝子が挿入されることが望ましい染色体(たとえば、マウスIGH遺伝子を含むマウス染色体12)との間の組換えは、融合細胞を組換え酵素で処理することによって誘導される。ここで、標的遺伝子が挿入されることが望ましい染色体(たとえば、マウスIGH遺伝子を含むマウス染色体12)は、ヒト染色体14のような、標的遺伝子が挿入されることが望ましい遺伝子座(たとえば、マウスIGH遺伝子の両末端)で組換えに必要とされる要素を含むように、人工的に操作される染色体である。組換え誘導プロセスによって、ヒト染色体14のヒトIGH遺伝子は、標的遺伝子が挿入されることが望ましい遺伝子座(たとえば、マウスIGH遺伝子座)に挿入されるか、または当該遺伝子座で置き換えられる。挿入に関して、ヒトIGH遺伝子はマウスIGH遺伝子座位の上流または下流に挿入されてもよい。置き換えに関して、マウスIGH遺伝子座に位置するマウスIGH遺伝子は、ヒトIGH遺伝子で置き換えられてもよい。組換え(挿入または置き換え)は、組換えに必要とされる要素の設計に従って異なってもよい。上述の実施形態は、単に例であり、標的遺伝子は選択的に修飾され、多様化され得る。
【0122】
本明細書において開示される、染色体を使用する形質転換法は、人工クローニングのステップなしで細胞に存在する染色体を使用し、BACおよびYACなどの形質転換ベクターを使用する従来システムとの技術的な違いを有する。さらに、本明細書において開示される、染色体を使用する形質転換法は、標的遺伝子、特に大きい標的遺伝子が導入される場合にBACおよびYACなどの形質転換ベクターを使用する連続的な導入の数を著しく低減することによって、従来技術の問題(効率、時間、コストなど)を解決することができる新規の技術である。
【0123】
本明細書において開示される、染色体を使用する形質転換法によれば、導入されることになる遺伝子、すなわち標的遺伝子の全配列はクローニングされない。ゲノムに1つの標的遺伝子を導入するために、本明細書において開示される、染色体を使用する形質転換法によれば、細胞融合に続いて、融合細胞は、染色体の組換えのためにリコンビナーゼ(または相同組換えによって誘導される因子)で処理され、ミクロセルとさらには融合されない。しかしながら、2つ以上の標的遺伝子があり、各標的遺伝子が異なる染色体上に位置している場合、染色体を使用する形質転換法は、各標的遺伝子をゲノムに導入することによって行われ、この時、染色体を使用する形質転換法によって生成される第1の標的遺伝子が導入される細胞に第2の標的遺伝子を導入するために、ミクロセルを融合するステップがさらに実施される。
【0124】
以下に、本明細書において開示される、染色体を使用する形質転換法、すなわち、人工組換え染色体を作製する方法を詳細に説明する。
【0125】
本明細書における開示の一態様は、人工組換え染色体に関する。
【0126】
「人工組換え染色体」は、2つ以上の供給源細胞から提供される2つ以上の染色体が部分的に組み換えられた染色体を指す。さらに、人工組換え染色体はまた、2つ以上の供給源細胞から提供される2つ以上の染色体が部分的に組み換えられた染色体の複製によって生成される染色体を含む。一例において、人工組換え染色体は、第1の供給源細胞から提供される染色体および第2の供給源細胞から提供される染色体が、部分的に組み換えられた染色体であってもよい。ここで、第1の供給源細胞から提供される染色体は、第1の供給源染色体であってもよく、第1の供給源染色体は、第1の供給源細胞に含まれてもよい。ここで、第2の供給源細胞から提供される染色体は、第2の供給源染色体であってもよく、第2の供給源染色体は、第2の供給源細胞に含まれてもよい。
【0127】
少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞は、「組換え細胞」と呼ばれる。ここで、組換え細胞は、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体、および少なくとも1つまたは複数の供給源染色体を含む。
【0128】
「供給源染色体」は、人工組換え染色体を作製するために提供される染色体を指す。供給源染色体は、天然の染色体と人工的に操作された染色体の両方を含む。天然の染色体は、天然に存在する染色体であり、いかなる人工的な修飾もないインタクトな染色体である。たとえば、ヒト神経細胞は、46個の天然に存在する染色体を有する。人工的に操作された染色体は、天然の染色体を人工的に修飾することによって作製された染色体を指す。ここで、人工的な修飾は、天然の染色体を構成する1つまたは複数のヌクレオチドの削除、挿入、もしくは置換、またはそれらの組み合わせを含む。人工的に操作された染色体は、以下に説明する標的染色体、当該染色体を作製するプロセスにおいて生成される染色体、および標的染色体を作製する目的以外での人工的な修飾を含む染色体のすべてを含む。たとえば、標的染色体を作製する目的以外で、人工的な修飾を含む染色体は、外因性タンパク質をその発現のためにコードする外因性核酸が挿入された染色体であってもよい。
【0129】
「供給源細胞」は、供給源染色体を含む細胞を指す。供給源細胞は、天然の染色体を含む細胞と、人工的に操作された染色体を含む細胞との両方を含んでもよい。ここで、人工的に操作された染色体を含む細胞は、標的染色体を含む標的細胞、当該細胞を作製するプロセスにおいて生成される細胞、および標的染色体を作製する目的以外での人工的な修飾を有する染色体を含む細胞のすべてを含む。さらに、本発明において、人工組換え染色体以外の染色体を含む細胞、すなわち人工組換え染色体を含まない細胞も、供給源細胞と呼ばれてもよい。[人工組換え染色体]
【0130】
人工組換え染色体は、第1の供給源染色体から提供される染色体配列の一部と第2の供給源染色体から提供される全染色体配列とを組み換えることによって作製される染色体であってもよい。
【0131】
人工組換え染色体は、第1の供給源染色体から提供される全染色体配列と第2の供給源染色体から提供される染色体配列の一部とを組み換えることによって作製される染色体であってもよい。
【0132】
人工組換え染色体は、第1の供給源染色体から提供される全染色体配列と第2の供給源染色体から提供される全染色体配列とを組み換えることによって作製される染色体であってもよい。
【0133】
人工組換え染色体は、第1の供給源染色体から提供される染色体配列の一部と第2の供給源染色体の染色体配列の一部とを組み換えることによって作製される染色体であってもよい。
【0134】
第1の供給源染色体は、第1の供給源細胞に含まれてもよい。
【0135】
第2の供給源染色体は、第2の供給源細胞に含まれてもよい。
【0136】
第1の供給源染色体は、第1の供給源細胞に由来してもよい。
【0137】
第2の供給源染色体は、第2の供給源細胞に由来してもよい。
【0138】
第1の供給源染色体は、第1の供給源細胞に含まれ、第2の供給源染色体は、第2の供給源細胞に含まれてもよい。この場合、第1の供給源細胞および第2の供給源細胞は、同じ種類の細胞であってもよい。たとえば、第1の供給源細胞および第2の供給源細胞は、マウス線維芽細胞であってもよく、個別の細胞として存在してもよい。第1の供給源染色体は、第2の供給源染色体と異なってもよい。代替的には、第1の供給源染色体および第2の供給源染色体は、相同染色体であってもよい。
【0139】
第1の供給源細胞および第2の供給源細胞は、同じ個体に由来してもよい。
【0140】
第1の供給源細胞および第2の供給源細胞は、異なる個体に由来してもよい。ここで、異なる個体は、同種および異種の個体を含んでもよい。
【0141】
供給源細胞は、ヒト細胞に由来してもよい。
【0142】
供給源細胞は、非ヒト細胞に由来してもよい。たとえば、非ヒト細胞は、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞に由来してもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0143】
供給源細胞は、体細胞に由来してもよい。たとえば、体細胞は、たとえば、線維芽細胞(線維芽の細胞)であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0144】
供給源細胞は、免疫細胞に由来してもよい。たとえば、免疫細胞は、B細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、好塩基球、または好酸球であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0145】
供給源細胞は、生殖細胞に由来してもよい。たとえば、生殖細胞は、精子、精母細胞、精原幹細胞、卵子、卵母細胞、卵原幹細胞、または受精卵であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0146】
供給源細胞は、幹細胞に由来してもよい。たとえば、幹細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、臍帯血幹細胞、精原幹細胞、または卵原幹細胞に由来してもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0147】
1つの例示的な実施形態において、人工組換え染色体は、第1の断片および第2の断片を含んでもよい。
【0148】
第1の断片は、第1の供給源細胞の第1の供給源染色体の一部であってもよい。
【0149】
ここで、第1の断片は、第1のテロメアを含んでもよい。第1のテロメアは、第1の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0150】
ここで、第1の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0151】
第2の断片は、第2の供給源細胞の第2の供給源染色体の一部であってもよい。
【0152】
ここで、第2の断片は、セントロメアおよび第2のテロメアを含んでもよい。セントロメアは、第2の供給源染色体のセントロメアであってもよい。第2のテロメアは、第2の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0153】
ここで、第2の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0154】
ここで、第2の供給源細胞および第1の供給源細胞は、異種の個体に由来してもよい。たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞である場合、第2の供給源細胞は、マウス細胞であってもよい。
【0155】
代替的には、第2の供給源細胞および第1の供給源細胞は、同種の個体に由来してもよい。たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞である場合、第2の供給源細胞は、ヒト細胞であってもよい。
【0156】
第1の断片および第2の断片は、リン酸ジエステル結合によって接続されてもよい。
【0157】
人工組換え染色体は、異種の個体に由来する2つのテロメアを有してもよい。
【0158】
人工組換え染色体は、異なる長さを有する2つのテロメアを有してもよい。
【0159】
ここで、人工組換え染色体は、第1の供給源染色体と同じでない場合があり、人工組換え染色体は、第2の供給源染色体と同じでない場合がある。
【0160】
別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体は、第1の断片、第2の断片、および第3の断片を含んでもよい。
【0161】
第1の断片は、第1の供給源細胞の第1の供給源染色体の一部であってもよい。
【0162】
ここで、第1の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0163】
第2の断片は、第2の供給源細胞の第2の供給源染色体の一部であってもよい。
【0164】
ここで、第2の断片は、セントロメアおよび第1のテロメアを含んでもよい。セントロメアは、第2の供給源染色体のセントロメアであってもよい。第1のテロメアは、第2の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0165】
第3の断片は、第2の供給源細胞の第2の供給源染色体の一部であってもよい。
【0166】
ここで、第3の断片は、第2のテロメアを含んでもよい。第2のテロメアは、第2の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0167】
ここで、第2の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0168】
ここで、第2の供給源細胞および第1の供給源細胞は、異種の個体に由来してもよい。たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞である場合、第2の供給源細胞は、マウス細胞であってもよい。
【0169】
代替的には、第2の供給源細胞および第1の供給源細胞は、同種の個体に由来してもよい。たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞である場合、第2の供給源細胞は、ヒト細胞であってもよい。
【0170】
第1の断片および第2の断片は、リン酸ジエステル結合によって接続されてもよい。
【0171】
第1の断片および第3の断片は、リン酸ジエステル結合によって接続されてもよい。
【0172】
人工組換え染色体は、[第2の断片]-[第1の断片]-[第3の断片]の配列からなってもよい。
【0173】
ここで、第1の断片は、逆位の形を有してもよい。ここで、逆位の形は、第1の供給源染色体に存在する第1の断片の逆位であってもよい。この場合、人工組換え染色体を含む細胞において、第1の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現しない場合がある。代替的には、人工組換え染色体を含む細胞は、第1の供給源染色体を含む第1の供給源細胞と比較して、第1の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。
【0174】
人工組換え染色体は、両方のテロメアが同じ個体に由来してもよい。
【0175】
ここで、人工組換え染色体は、第1の供給源染色体と同じでない場合があり、人工組換え染色体は、第2の供給源染色体と同じでない場合がある。
【0176】
さらに別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体は、第1の断片、第2の断片、および第3の断片を含んでもよい。
【0177】
第1の断片は、第1の供給源細胞の第1の供給源染色体の一部であってもよい。
【0178】
ここで、第1の断片は、セントロメアを含んでもよい。セントロメアは、第1の供給源染色体のセントロメアであってもよい。
【0179】
ここで、第1の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0180】
第2の断片は、第2の供給源細胞の第2の供給源染色体の一部であってもよい。
【0181】
ここで、第2の断片は、第1のテロメアを含んでもよい。第1のテロメアは、第2の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0182】
第3の断片は、第2の供給源細胞の第2の供給源染色体の一部であってもよい。
【0183】
ここで、第3の断片は、第2のテロメアを含んでもよい。第2のテロメアは、第2の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0184】
ここで、第2の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0185】
ここで、第2の供給源細胞および第1の供給源細胞は、異種の個体に由来してもよい。たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞である場合、第2の供給源細胞は、マウス細胞であってもよい。
【0186】
代替的には、第2の供給源細胞および第1の供給源細胞は、同種の個体に由来してもよい。たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞である場合、第2の供給源細胞は、ヒト細胞であってもよい。
【0187】
第1の断片および第2の断片は、リン酸ジエステル結合によって接続されてもよい。
【0188】
第1の断片および第3の断片は、リン酸ジエステル結合によって接続されてもよい。
【0189】
人工組換え染色体は、[第2の断片]-[第1の断片]-[第3の断片]の配列からなってもよい。
【0190】
ここで、第1の断片は、逆位の形を有してもよい。ここで、逆位の形は、第1の供給源染色体に存在する第1の断片の逆位であってもよい。この場合、人工組換え染色体を含む細胞において、第1の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現しない場合がある。代替的には、人工組換え染色体を含む細胞は、第1の供給源染色体を含む第1の供給源細胞と比較して、第1の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。
【0191】
人工組換え染色体は、両方のテロメアが同じ個体に由来してもよい。
【0192】
ここで、人工組換え染色体は、第1の供給源染色体と同じでない場合があり、人工組換え染色体は、第2の供給源染色体と同じでない場合がある。
【0193】
さらに別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体は、第1の断片、第2の断片、および第3の断片を含んでもよい。
【0194】
第1の断片は、第1の供給源細胞の第1の供給源染色体の一部であってもよい。
【0195】
ここで、第1の断片は、第1のテロメアを含んでもよい。第1のテロメアは、第1の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0196】
ここで、第1の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0197】
第2の断片は、第2の供給源細胞の第2の供給源染色体の一部であってもよい。
【0198】
ここで、第2の断片は、セントロメアを含んでもよい。セントロメアは、第2の供給源染色体のセントロメアであってもよい。
【0199】
ここで、第2の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0200】
第3の断片は、第3の供給源細胞の第3の供給源染色体の一部であってもよい。
【0201】
ここで、第3の断片は、第2のテロメアを含んでもよい。第2のテロメアは、第3の供給源染色体の両方のテロメアのうち一方であってもよい。
【0202】
ここで、第3の供給源細胞は、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞であってもよい。
【0203】
ここで、第3の供給源細胞は、第1の供給源細胞および第2の供給源細胞に対して異種の個体に由来してもよい。たとえば、第1の供給源細胞および第2の供給源細胞がヒト細胞である場合、第3の供給源細胞は、マウス細胞であってもよい。代替的には、たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞であり、第2の供給源細胞がマウス細胞である場合、第3の供給源細胞は、ラット細胞であってもよい。
【0204】
代替的には、第3の供給源細胞および第1の供給源細胞が異種の個体に由来し、第3の供給源細胞および第2の供給源細胞が同種の個体に由来する。たとえば、第1の供給源細胞がヒト細胞であり、第2の供給源細胞がマウス細胞である場合、第3の供給源細胞は、マウス細胞であってもよい。
【0205】
代替的には、第3の供給源細胞および第1の供給源細胞が同種の個体に由来し、第3の供給源細胞および第2の供給源細胞が異種の個体に由来する。たとえば、第1の供給源細胞がマウス細胞であり、第2の供給源細胞がラット細胞である場合、第3の供給源細胞は、マウス細胞であってもよい。
【0206】
第1の断片および第2の断片は、リン酸ジエステル結合によって接続されてもよい。
【0207】
第2の断片および第3の断片は、リン酸ジエステル結合によって接続されてもよい。
【0208】
人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第2の断片]-[第3の断片]の配列からなってもよい。
【0209】
ここで、第2の断片は、逆位の形を有してもよい。ここで、逆位の形は、第2の供給源染色体に存在する第2の断片の逆位であってもよい。この場合、人工組換え染色体を含む細胞において、第2の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現しない場合がある。代替的には、人工組換え染色体を含む細胞は、第2の供給源染色体を含む第2の供給源細胞と比較して、第2の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。
【0210】
人工組換え染色体は、テロメアの両端が同じ個体に由来してもよい。
【0211】
代替的には、人工組換え染色体は、異種の個体に由来する2つのテロメアを有してもよい。人工組換え染色体は、異なる長さを有する2つのテロメアを有してもよい。
【0212】
ここで、人工組換え染色体は、第1の供給源染色体、第2の供給源染色体、または第3の供給源染色体と同じではない。
【0213】
本明細書における開示の別の態様は、人工組換え染色体を作製する方法に関する。
【0214】
人工組換え染色体は、供給源染色体から作製されてもよい。
【0215】
供給源染色体は、人工的に操作された染色体であってもよい。
【0216】
人工的に操作された染色体は、標的染色体であってもよい。
【0217】
「標的染色体」は、組換えのために、天然の染色体上に1つまたは複数の構成要素をさらに含む染色体を意味する。一例において、標的染色体は、天然の染色体上に1つまたは複数のリコンビナーゼ認識部位(RRS)をさらに含む染色体であってもよい。別の例において、標的染色体は、天然の染色体上に、1つまたは複数の、染色体交換のための人工配列(artificial sequences for chromosome exchange)(ASCE)をさらに含む染色体であってもよい。
【0218】
標的染色体は、天然の染色体から作製されてもよい。
【0219】
供給源染色体に関する説明は、上記と同じである。
【0220】
一例において、第1の標的染色体は、第1の天然の染色体から作製されてもよい。第1の標的染色体は、第1の天然の染色体上に1つまたは複数のRRSを含んでもよい。第1の標的染色体は、第1の天然の染色体上に1つまたは複数のASCEを含んでもよい。
【0221】
別の例において、第2の標的染色体は、第2の天然の染色体から作製されてもよい。第2の標的染色体は、第2の天然の染色体上に1つまたは複数のRRSを含んでもよい。第2の標的染色体は、第2の天然の染色体上に1つまたは複数のASCEを含んでもよい。
【0222】
「リコンビナーゼ認識部位(RRS)」は、部位特異的リコンビナーゼによって、組換え部位を提供することができる核酸配列を意味する。一例において、RRSは、loxP部位またはそのバリアント(表1)であってもよい。別の例において、RRSは、FRT部位またはそのバリアントであってもよい。一例において、RRSは、attP/attBまたはそのバリアントであってもよい。別の例において、RRSは、逆位末端反復(ITR)配列またはそのバリアントであってもよく、当該配列またはそのバリアントは、1つまたは複数のトランスポザーゼによって認識される。しかしながら、RRSはそれらに限定されない。
【0223】
天然の染色体から標的染色体を構築するために、部位特異的組換えシステムが用いられてもよい。部位特異的組換えシステムは、RRSに作用するSSRを使用するシステムであり、当技術分野で公知である。部位特異的組換えシステムは、Cre-loxを含んでもよい。部位特異的組換えシステムは、FLP/FRTを含んでもよい。部位特異的組換えシステムは、φC31インテグラーゼ-attP/attBを含んでもよい。部位特異的組換えシステムは、トランスポゾンITRを含んでもよい。しかしながら、RRSおよびSSR媒介部位特異的組換えシステムは、それらに限定されず、様々な種類のリコンビナーゼ、インテグラーゼ、リゾルバーゼ、またはトランスポザーゼがSSRとして使用され、SSRに応じて、RRSが様々な形態に修飾され、設計され得る。
【0224】
RRSは、公知の配列であってもよい。一例において、RRSは、loxPまたはそのバリアントであってもよい。
【0225】
たとえば、loxPバリアントは、Lox m2/71、Lox m2/66、Lox71、およびLox66のうち1つまたは複数であってもよい。loxPバリアントのDNA配列は、以下の表1に開示される。以下に、配列番号をSEQ ID NOとして列挙する。
[表1]
loxPバリアントのDNA配列
【表1】
【0226】
RRSは、公知の配列であってもよい。別の例において、RRSは、FRT部位またはそのバリアントであってもよい。
【0227】
さらに別の例において、RRSは、attP/attBまたはそのバリアントであってもよい。さらに別の例において、RRSは、ITR配列またはそのバリアントであってもよく、当該配列またはそのバリアントは、トランスポザーゼによって認識される。ここで、ITRは、トランスポゾンITRであってもよく、トランスポゾンITRはトランスポゾン末端反復(TR)配列を含んでもよい。たとえば、トランスポゾンITR配列は、ピギーバック末端反復(PB-TR)含んでもよい。
【0228】
RRSおよびそのバリアントのDNA配列は、以下の表2に列挙される。
[表2]
RRSのDNA配列
【表2】
【0229】
「染色体交換のための人工配列(ASCE)」は、相同組換え(HR)によって、組換え部位を提供することができる核酸配列を意味する。ASCEは人工配列であってもよい。ASCEは、標的染色体に含まれる人工配列であってもよい。たとえば、第1の標的染色体は、第1のASCEを含んでもよい。第2の標的染色体は、第2のASCEを含んでもよい。ここで、第1の標的染色体に含まれる第1のASCEおよび第2の標的染色体に含まれる第2のASCEは、次の相同組換えにおいて使用されてもよい。
【0230】
天然の染色体から標的染色体を構築するために、相同組換えが用いられてもよい。相同組換えは、染色体の二本鎖切断(DSB)および/または一本鎖切断(SSB)によって実施されてもよい。SSBおよび/またはDSBは、天然に生じてもよい。SSBおよび/またはDSBは、染色体切断物質(染色体における異常の原因となる物質)によって生じさせてもよい。染色体切断物質は、電離放射線、UV、X線、γ線、反応性酸素種、または特定の化学物質であってもよい。特定の化学物質は、たとえば、ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、カンプトテシン、4-ニトロキノリン1-酸化物(4-NQO)、シスプラチン、またはEMSまたはMMSなどのメチル化剤であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。SSBおよび/またはDSBは、操作されたヌクレアーゼによって生じさせてもよい。たとえば、SSBおよび/またはDSBは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート/CRISPR関連タンパク質(CRISPR/Cas)のうち、いずれか1つまたは複数によって生じさせてもよい。
【0231】
1つの例示的な実施形態において、人工組換え染色体は、少なくとも2つ以上の標的染色体によって作製されてもよい。
【0232】
少なくとも2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0233】
ここで、第1の標的染色体は、1つまたは複数のRRSを含んでもよい。
【0234】
ここで、第2の標的染色体は、1つまたは複数のRRSを含んでもよい。
【0235】
ここで、第1の標的染色体に含まれるRRSおよび第2の標的染色体に含まれるRRSは、部位特異的リコンビナーゼ(SSR)によって認識されてもよい。ここで、第1の標的染色体に含まれるRRSおよび第2の標的染色体に含まれるRRSは、互いと対合されてもよい。
【0236】
人工組換え染色体は、第1の標的染色体の一部および第2の標的染色体の一部を含んでもよい。
【0237】
ここで、人工組換え染色体は、第1の標的染色体に含まれるRRSおよび第2の標的染色体に含まれるRRSの対合を使用する部位特異的組換えによって生成されてもよい。
【0238】
一例において、第1の標的染色体が[第1の断片]-[第1のRRS]-[第2の断片]からなり、第2の標的染色体が[第3の断片]-[第2のRRS]-[第4の断片]からなる場合、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第4の断片]、[第3の断片]-[第2の断片]、または[第2の断片]-[第4の断片]からなってもよい。
【0239】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第1のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第1のRRS]-[第4の断片]、[第3の断片]-[第1のRRS]-[第2の断片]、または[第2の断片]-[第1のRRS]-[第4の断片]からなってもよい。
【0240】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第2のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第2のRRS]-[第4の断片]、[第3の断片]-[第2のRRS]-[第2の断片]、または[第2の断片]-[第2のRRS]-[第4の断片]からなってもよい。
【0241】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第3のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第3のRRS]-[第4の断片]、[第3の断片]-[第3のRRS]-[第2の断片]、または[第2の断片]-[第3のRRS]-[第4の断片]からなってもよい。ここで、第3のRRSは、第1のRRSおよび第2のRRSの組換えによって生成されるRRSであってもよく、第1のRRSおよび第2のRRSと同じでない場合がある。
【0242】
別の例において、第1の標的染色体が[第1の断片]-[第1のRRS]-[第2の断片]-[第2のRRS]-[第3の断片]からなり、第2の標的染色体が[第4の断片]-[第3のRRS]-[第5の断片]-[第4のRRS]-[第6の断片]からなる場合、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第5の断片]-[第3の断片]、または[第4の断片]-[第2の断片]-[第6の断片]からなってもよい。
【0243】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第1のRRS]-[第5の断片]-[第2のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第1のRRS]-[第5の断片]-[第4のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第3のRRS]-[第5の断片]-[第2のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第3のRRS]-[第5の断片]-[第4のRRS]-[第3の断片]、[第4の断片]-[第1のRRS]-[第2の断片]-[第2のRRS]-[第6の断片]、[第4の断片]-[第1のRRS]-[第2の断片]-[第4のRRS]-[第6の断片]、[第4の断片]-[第3のRRS]-[第2の断片]-[第2のRRS]-[第6の断片]、または[第4の断片]-[第3のRRS]-[第2の断片]-[第4のRRS]-[第6の断片]からなってもよい。
【0244】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第5のRRS]-[第5の断片]-[第2のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第5のRRS]-[第5の断片]-[第4のRRS]-[第3の断片]、[第4の断片]-[第5のRRS]-[第2の断片]-[第2のRRS]-[第6の断片]、または[第4の断片]-[第5のRRS]-[第2の断片]-[第4のRRS]-[第6の断片]からなってもよい。ここで、第5のRRSは、第1のRRSおよび第3のRRSの組換えによって生成されるRRSであってもよく、第1のRRSおよび第3のRRSと同じでない場合がある。
【0245】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第1のRRS]-[第5の断片]-[第6のRRS]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第3のRRS]-[第5の断片]-[第6のRRS]-[第3の断片]、[第4の断片]-[第1のRRS]-[第2の断片]-[第6のRRS]-[第6の断片]、または[第4の断片]-[第3のRRS]-[第2の断片]-[第6のRRS]-[第6の断片]からなってもよい。ここで、第6のRRSは、第2のRRSおよび第4のRRSの組換えによって生成されるRRSであってもよく、第2のRRSおよび第4のRRSと同じでない場合がある。
【0246】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第5のRRS]-[第5の断片]-[第6のRRS]-[第3の断片]、または[第4の断片]-[第5のRRS]-[第2の断片]-[第6のRRS]-[第6の断片]からなってもよい。ここで、第5のRRSは、第1のRRSおよび第3のRRSの組換えによって生成されるRRSであってもよく、第1のRRSおよび第3のRRSと同じでない場合がある。ここで、第6のRRSは、第2のRRSおよび第4のRRSの組換えによって生成されるRRSであってもよく、第2のRRSおよび第4のRRSと同じでない場合がある。
【0247】
別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体は、少なくとも2つ以上の標的染色体によって作製されてもよい。
【0248】
少なくとも2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0249】
ここで、第1の標的染色体は、1つまたは複数のASCEを含んでもよい。
【0250】
ここで、第2の標的染色体は、1つまたは複数のASCEを含んでもよい。
【0251】
ここで、第1の標的染色体に含まれるASCEは、第2の標的染色体に含まれる配列と相同的な配列であってもよい。
【0252】
人工組換え染色体は、第1の標的染色体の一部および第2の標的染色体の一部を含んでもよい。
【0253】
ここで、人工組換え染色体は、第1の標的染色体に含まれるASCEおよび第2の標的染色体に含まれるASCEの相同性を使用する相同組換えによって生成されてもよい。
【0254】
一例において、第1の標的染色体が[第1の断片]-[第1のASCE]-[第2の断片]-[第2のASCE]-[第3の断片]からなり、第2の標的染色体が[第4の断片]-[第3のASCE]-[第5の断片]-[第4のASCE]-[第6の断片]からなる場合、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第5の断片]-[第3の断片]、または[第4の断片]-[第2の断片]-[第6の断片]からなってもよい。
【0255】
代替的には、人工組換え染色体は、[第1の断片]-[第1のASCE]-[第5の断片]-[第2のASCE]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第1のASCE]-[第5の断片]-[第4のASCE]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第3のASCE]-[第5の断片]-[第2のASCE]-[第3の断片]、[第1の断片]-[第3のASCE]-[第5の断片]-[第4のASCE]-[第3の断片]、[第4の断片]-[第1のASCE]-[第2の断片]-[第2のASCE]-[第6の断片]、[第4の断片]-[第1のASCE]-[第2の断片]-[第4のASCE]-[第6の断片]、[第4の断片]-[第3のASCE]-[第2の断片]-[第2のASCE]-[第6の断片]、または[第4の断片]-[第3のASCE]-[第2の断片]-[第4のASCE]-[第6の断片]からなってもよい。
【0256】
本明細書における開示のさらに別の態様は、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法に関する。
【0257】
1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法では、細胞融合を用いてもよい。
【0258】
「細胞融合」は、2個以上の細胞間の融合、および/または1個または複数の細胞と1個または複数の細胞類似体との間の融合を意味する。ここで、融合は、2個以上の細胞間の合体(または混合)によって1個の細胞を作製すること、および/または1個または複数の細胞と1個または複数の細胞類似体との間の合体(または混合)によって1個の細胞を作製することであってもよい。ここで、細胞類似体は、ゲノムの一部または全染色体の一部を含むが、通常の体細胞分裂(有糸分裂)または減数分裂を経ない、細胞または細胞由来物質であってもよい。
【0259】
細胞融合により、融合細胞を作製してもよい。
【0260】
「融合細胞」は、供給源細胞が1つまたは複数の染色体または染色体断片を有するように作製される細胞を意味する。ここで、1つまたは複数の染色体または染色体断片は、供給源細胞中に天然に存在しない、さらに加えられる染色体または染色体断片である。ここで、1つまたは複数の染色体または染色体断片は、供給源染色体、供給源染色体の断片、人工組換え染色体、または人工組換え染色体の断片であってもよい。
【0261】
「融合細胞」は、1つまたは複数の供給源染色体または供給源染色体断片が供給源細胞に含まれる細胞であってもよい。ここで、1つまたは複数の供給源染色体または供給源染色体断片は、供給源細胞中に天然に存在しない、供給源細胞にさらに加えられる染色体または染色体断片であってもよい。
【0262】
たとえば、ヒト線維芽細胞が供給源細胞である場合、融合細胞は、1つまたは複数のマウス線維芽細胞由来染色体を含む、ヒト線維芽細胞融合細胞であってもよい。ここで、ヒト線維芽細胞融合細胞は、ヒト線維芽細胞、すなわち供給源細胞とは異なるゲノムを有してもよく、また、マウス線維芽細胞とは異なるゲノムを有してもよい。ここで、ヒト線維芽細胞融合細胞は、2n(46)個のヒト線維芽細胞由来染色体および1つのマウス線維芽細胞由来染色体を含んでもよい。代替的には、ヒト線維芽細胞融合細胞は、2n-1(45)個のヒト線維芽細胞由来染色体および1つのマウス線維芽細胞由来染色体を含んでもよい。
【0263】
融合細胞は、1つまたは複数の組換え染色体が供給源細胞に含まれる細胞であってもよい。ここで、1つまたは複数の組換え染色体は、融合細胞における染色体間の組換えによって作製されてもよい。ここで、組換え染色体は、人工組換え染色体であってもよい。
【0264】
たとえば、マウス胚性幹細胞(ESC)が供給源細胞である場合、融合細胞は、ヒト線維芽細胞に由来する1つまたは複数の染色体を含むマウス融合ESCであってもよい。ここで、マウス融合ESCは、マウスESC、すなわち供給源細胞とは異なるゲノムを有してもよく、また、ヒト線維芽細胞とは異なるゲノムを有してもよい。ここで、マウス融合ESCは、2n(40)個のマウスESC由来染色体および1つのヒト線維芽細胞由来染色体を含んでもよい。代替的には、マウス融合ESCは、2n-1(39)個のマウスESC由来染色体、および1つのヒト線維芽細胞由来染色体を含んでもよい。代替的には、マウス融合ESCは、2n-1(39)個のマウスESC由来染色体、および2つの組換え染色体を含んでもよく、ここで、2つの組換え染色体は、1つのマウスESC由来染色体と1つのヒト線維芽細胞由来染色体との組換えによって生成されてもよい。代替的には、マウス融合ESCは、2n-1(39)個のマウスESC由来染色体、および1つの組換え染色体を含んでもよく、ここで、1つの組換え染色体は、1つのマウスESC由来染色体と1つのヒト線維芽細胞由来染色体との組換えによって生成されてもよい。
【0265】
融合細胞は、2n+1個の染色体を有する動物細胞であってもよい。
【0266】
融合細胞は、2n個の染色体を有する動物細胞であってもよい。ここで、2n個の染色体は、少なくとも1つの人工組換え染色体を含んでもよい。
【0267】
融合細胞は、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞であってもよい。
【0268】
融合細胞は、通常の体細胞分裂(有糸分裂)または減数分裂を経てもよい。
【0269】
融合細胞は、n+1個の染色体を有する動物生殖細胞であってもよい。
【0270】
融合細胞は、n個の染色体を有する動物生殖細胞であってもよい。ここで、n個の染色体は、少なくとも1つの人工組換え染色体を含んでもよい。
【0271】
融合細胞は、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を含んでもよい。
【0272】
人工組換え染色体に関する説明は、上記と同じである。
【0273】
1つの例示的な実施形態において、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、
i)標的細胞の作製と、 ii)標的細胞を使用する、ミクロセルの作製と、 iii)ミクロセルを使用する、融合細胞の作製と、 iv)融合細胞を使用する、人工組換え染色体を含む細胞の作製とを含んでもよい。
【0274】
ステップi)において作製される標的細胞は、2つ以上の標的細胞を含んでもよい。
【0275】
ここで、2つ以上の標的細胞は、ドナー細胞およびレシピエント細胞を含む場合がある。
【0276】
ステップii)で使用される標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0277】
ステップiii)で使用されるミクロセルは、レシピエント細胞と融合されてもよい。
【0278】
各ステップは、以下で詳細に説明される。
i)標的細胞の作製
【0279】
ステップi)において作製される標的細胞は、2つ以上の標的細胞を含んでもよい。
【0280】
2つ以上の標的細胞は、ドナー細胞およびレシピエント細胞を含んでもよい。ドナー細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含む細胞であってもよく、レシピエント細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含む細胞であってもよい。ここで、ドナー細胞に含まれる標的染色体は、レシピエント細胞に含まれる標的染色体と会合していてもよい。この会合は、ドナー細胞に含まれる標的染色体とレシピエント細胞に含まれる標的染色体との間の組換えを誘導することができる構成要素間の、対合または相補的結合の可能性である場合がある。
【0281】
ここで、構成要素は、RRSまたはASCEであってもよく、RRSまたはASCEは上述されている。
【0282】
会合は、ドナー細胞に含まれる標的染色体に存在するRRSとレシピエント細胞に含まれる標的染色体に存在するRRSとの対合であってもよい。
【0283】
たとえば、ドナー細胞に含まれる標的染色体は1つまたは複数のRRS(たとえば、第1のRRS)を含み、レシピエント細胞に含まれる標的染色体は1つまたは複数のRRS(たとえば、第2のRRS)を含む。ここで、ドナー細胞に含まれる標的染色体のRRS(たとえば、第1のRRS)、およびレシピエント細胞に含まれる標的染色体のRRS(たとえば、第2のRRS)は、互いに対合されるように設計されてもよい。
【0284】
別の例において、ドナー細胞に含まれる標的染色体は、2つ以上のRRS(たとえば、第1のRRSおよび第2のRRS)を含み、レシピエント細胞に含まれる標的染色体は、2つ以上のRRS(たとえば、第3のRRSおよび第4のRRS)を含み、ドナー細胞に含まれる標的染色体の1つのRRS(たとえば、第1のRRS)およびレシピエント細胞に含まれる標的染色体の2つのRRS(たとえば、第3のRRSおよび第4のRRS)の一方は、互いに対合されるように設計される必要があり、さらに、ドナー細胞に含まれる標的染色体の他のRRS(たとえば、第2のRRS)およびレシピエント細胞に含まれる標的染色体の2つのRRS(たとえば、第3のRRSおよび第4のRRS)の他方は、互いに対合されるように設計される必要がある。
【0285】
会合は、ドナー細胞に含まれる標的染色体に存在するASCEとレシピエント細胞に含まれる標的染色体に存在するASCEとの相補的結合であってもよい。
【0286】
ステップi)において、標的細胞、すなわちドナー細胞およびレシピエント細胞が作製されてもよい。
【0287】
以下に説明する方法に従って、ドナー細胞およびレシピエント細胞は、独立して作製されてもよい。
【0288】
「標的細胞」は、1つまたは複数の標的染色体を含む細胞である、供給源細胞の1つの種類を意味する。
【0289】
標的細胞は、少なくとも1つの標的染色体を含んでもよい。
【0290】
標的細胞は、1つまたは複数の天然の染色体を含んでもよい。
【0291】
標的染色体の説明は、上述のとおりである。
【0292】
天然の染色体の説明は、上述のとおりである。
【0293】
標的細胞は、ヒト細胞に由来してもよい。標的細胞は、非ヒト細胞に由来してもよい。たとえば、非ヒト細胞は、マウス細胞、ラット細胞、げっ歯類細胞、ゴーラル細胞、ウシ細胞、または有蹄動物細胞に由来してもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0294】
標的細胞は、体細胞に由来してもよい。たとえば、体細胞は、たとえば線維芽細胞であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0295】
標的細胞は、免疫細胞に由来してもよい。たとえば、免疫細胞は、B細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、好塩基球、または好酸球であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0296】
標的細胞は、生殖細胞に由来してもよい。たとえば、標的細胞は、精子、精母細胞、精原幹細胞、卵子、卵母細胞、卵原幹細胞、または受精卵であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0297】
標的細胞は、幹細胞に由来してもよい。たとえば、幹細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、臍帯血幹細胞、精原幹細胞、または卵原幹細胞に由来してもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0298】
標的細胞は、天然の染色体、および/または標的染色体を作製する目的以外での人工的な修飾を有する染色体を含む細胞から作製されてもよい。
【0299】
天然の染色体、および/または標的染色体を作製する目的以外での人工的な修飾を有する染色体を含む細胞は、供給源細胞の1つの種類であり、供給源細胞の説明は上述のとおりである。天然の染色体、および/または標的染色体を作製する目的以外での人工的な修飾を有する染色体を含む細胞は、非標的供給源細胞として以下に開示されており、天然の染色体、および/または標的染色体を作製する目的以外での人工的な修飾を有する染色体は、非標的供給源染色体として以下に開示される。
【0300】
標的細胞は、非標的供給源細胞から作製されてもよい。
【0301】
たとえば、第1の標的細胞は、第1の非標的供給源細胞から作製されてもよい。第1の標的細胞は、第1の非標的供給源細胞に含まれる1つおよび/または2つ以上の非標的供給源染色体の、標的染色体との置換によって作製されてもよい。
【0302】
たとえば、第2の標的細胞は、第2の非標的供給源細胞から作製されてもよい。第2の標的細胞は、第2の非標的供給源細胞に含まれる1つおよび/または2つ以上の非標的供給源染色体の、標的染色体との置換によって作製されてもよい。
【0303】
標的細胞は、非標的供給源細胞にドナーDNAを提供することによって作製されてもよい。
【0304】
ドナーDNAは、少なくとも1つのRRS、および非標的供給源染色体に対する少なくとも1つの相同腕を含んでもよい。
【0305】
たとえば、ドナーDNAは、表1に開示されるLoxPバリアントのうちいずれか1つ、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0306】
ドナーDNAは、少なくとも1つのASCE、および非標的供給源染色体に対する少なくとも1つの相同腕を含む配列であってもよい。
【0307】
ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子をさらに含んでもよい。ドナーDNAには、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子が存在する。選択マーカー遺伝子は、蛍光性タンパク質遺伝子、抗生物質耐性遺伝子、FISH標的配列、またはそれらの逆位の遺伝子であってもよい。蛍光性タンパク質遺伝子およびそれの逆位の遺伝子は、公知の配列であってもよい。たとえば、蛍光性タンパク質遺伝子は、GFP遺伝子、YFP遺伝子、RFP遺伝子、およびmCherry遺伝子のうち、いずれか1つまたは複数であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。抗生物質耐性遺伝子およびそれの逆位の遺伝子は、公知の配列であってもよい。たとえば、抗生物質耐性遺伝子は、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、およびpuroΔTK遺伝子のうち、いずれか1つまたは複数であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。FISH標的配列およびそれの逆位の遺伝子は、公知の配列であってもよい。
【0308】
ドナーDNAは、トランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。トランスポゾンは、ピギーバックであってもよい。たとえば、トランスポゾンITR配列は、表2に列挙されるピギーバック右(3')ITR配列、および/またはピギーバック左(5')ITR配列であってもよい。トランスポゾンITRはトランスポゾン末端反復(TR)配列を含んでもよい。たとえば、トランスポゾンITR配列は、ピギーバック末端反復(PB-TR)含んでもよい。
【0309】
たとえば、ドナーDNAは、非標的供給源染色体に対する相同腕に隣接する位置にトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0310】
たとえば、ドナーDNAは、RRSまたはASCEに隣接する位置にトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0311】
ドナーDNAは、公知のトランスフェクション法を用いて非標的供給源細胞に提供されてもよい。たとえば、トランスフェクション法では、ウイルス性トランスフェクション法、試薬トランスフェクション法、または物理的トランスフェクション法を用いてもよい。ウイルス性トランスフェクション法では、たとえば、レンチウイルスを使用してもよい。試薬トランスフェクション法では、たとえば、リン酸カルシウム、カチオン性脂質、DEAE-デキストラン、またはポリエチレンイミン(PEI)を使用してもよい。物理的トランスフェクション法では、たとえば、エレクトロポレーションを使用してもよい。さらに、トランスフェクション法では、リポソームを使用してもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0312】
ドナーDNAは、非標的供給源染色体の標的配列に挿入されてもよい。
【0313】
標的配列は、RRSまたはASCE挿入のために提供される非標的供給源染色体上の配列であってもよく、配列は、遺伝子座位および/または非遺伝子配列である。標的配列は、in silico設計によって決定されてもよい。
【0314】
一例において、RRSまたはASCEは、非標的供給源染色体に存在する標的遺伝子の上流に挿入されてもよい。したがって、RRSまたはASCEを提供するドナーDNAは、標的遺伝子の上流にある1つの領域に対する相同腕を含んでもよい。
【0315】
一例において、RRSまたはASCEは、非標的供給源染色体に存在する標的遺伝子の下流に挿入されてもよい。したがって、RRSまたはASCEを提供するドナーDNAは、標的遺伝子の下流にある1つの領域に対する相同腕を含んでもよい。
【0316】
ドナーDNAは、相同組換えによって非標的供給源染色体の標的配列に挿入されてもよい。
【0317】
相同組換えを標的配列に対して実施するために、SSBおよび/またはDSBを生成するステップが含まれてもよい。SSBおよび/またはDSBは、天然に生じてもよい。SSBおよび/またはDSBは、染色体切断物質(染色体における異常の原因となる物質)によって生じさせてもよい。染色体切断物質は、電離放射線、UV、X線、γ線、反応性酸素種、または特定の化学物質であってもよい。特定の化学物質は、たとえば、ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、カンプトテシン、4-ニトロキノリン1-酸化物(4-NQO)、シスプラチン、またはEMSまたはMMSなどのメチル化剤であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。SSBおよび/またはDSBは、操作されたヌクレアーゼによって生じさせてもよい。たとえば、SSBおよび/またはDSBは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート/CRISPR関連タンパク質(CRISPR/Cas)のうち、いずれか1つまたは複数によって生じさせてもよい。
【0318】
上で説明される方法によって作製される標的細胞は、少なくとも1つの標的染色体を含んでもよい。
【0319】
ここで、標的染色体は、ドナーDNAの組成に従って、様々な仕方で生成されてもよい。
【0320】
一例において、ドナーDNAが単一のRRSを含む場合、標的染色体は、単一のRRSを含む標的染色体であってもよい。
【0321】
別の例において、ドナーDNAが2つ以上のRRSを含む場合、標的染色体は、2つ以上のRRSを含む標的染色体であってもよい。
【0322】
さらに別の例において、ドナーDNAが単一のRRSおよび選択マーカー遺伝子を含む場合、標的染色体は、単一のRRSおよび選択マーカー遺伝子を含む標的染色体であってもよい。
【0323】
さらに別の例において、ドナーDNAが単一のRRSおよびトランスポゾンITR配列を含む場合、標的染色体は、単一のRRSおよびトランスポゾンITR配列を含む標的染色体であってもよい。
【0324】
さらに別の例において、ドナーDNAが単一のRRS、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む場合、標的染色体は、単一のRRS、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む標的染色体であってもよい。
【0325】
さらに別の例において、ドナーDNAが2つ以上のRRS、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む場合、標的染色体は、2つ以上のRRS、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む標的染色体であってもよい。
【0326】
一例において、ドナーDNAが単一のASCEを含む場合、標的染色体は、単一のASCEを含む標的染色体であってもよい。
【0327】
別の例において、ドナーDNAが2つ以上のASCEを含む場合、標的染色体は、2つ以上のASCEを含む標的染色体であってもよい。
【0328】
さらに別の例において、ドナーDNAが単一のASCEおよび選択マーカー遺伝子を含む場合、標的染色体は、単一のASCEおよび選択マーカー遺伝子を含む標的染色体であってもよい。
【0329】
さらに別の例において、ドナーDNAが単一のASCEおよびトランスポゾンITR配列を含む場合、標的染色体は、単一のASCEおよびトランスポゾンITR配列を含む標的染色体であってもよい。
【0330】
さらに別の例において、ドナーDNAが単一のASCE、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む場合、標的染色体は、単一のASCE、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む標的染色体であってもよい。
【0331】
さらに別の例において、ドナーDNAが2つ以上のASCE、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む場合、標的染色体は、2つ以上のASCE、選択マーカー遺伝子、およびトランスポゾンITR配列を含む標的染色体であってもよい。
i-1)単一のRRSが挿入された染色体を含む細胞
【0332】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、標的染色体を含む標的細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。標的染色体は、単一のRRSを含んでもよい。
【0333】
単一のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されるRRSであってもよい。
【0334】
RRSおよび標的染色体の説明は、上述のとおりである。
【0335】
単一のRRSを含む標的染色体を含む標的細胞は、RRSを含むドナーDNAを非標的供給源細胞に提供することによって作製されてもよい。
【0336】
ドナーDNAは、単一のRRS、および非標的供給源染色体に対する相同腕を有するドナーDNAであってもよい。
【0337】
たとえば、ドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントのうちいずれか1つ、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、LoxPバリアントは、人工組換え染色体の生成において使用されてもよい。
【0338】
ここで、ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0339】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0340】
たとえば、ドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントのうちいずれか1つ、FRT、トランスポゾンITR、抗生物質耐性遺伝子、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、FRTおよびトランスポゾンITRは、人工組換え染色体の生成において使用されない追加のRRSであるRRSであってもよい。
【0341】
ドナーDNAは、公知のトランスフェクション法を用いて非標的供給源細胞に提供されてもよい。トランスフェクション法の説明は、上述のとおりである。
【0342】
単一のRRSを含む標的染色体を含む標的細胞は、非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAによって作製されてもよい。非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAは、非標的供給源染色体の標的配列に挿入され、標的染色体へと変えられてもよい。標的染色体を含む細胞は、標的細胞である。
【0343】
標的細胞を作製するために、単一のRRSを有するドナーDNAは、非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0344】
ドナーDNAは、単一のRRS、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0345】
単一のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されるRRSであってもよい。
【0346】
ここで、ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0347】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0348】
1つの例示的な実施形態において、1つの標的染色体を有する標的細胞は、1つのドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0349】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0350】
ドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されるいずれか1つ、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0351】
ここで、相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0352】
ドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、ドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0353】
ここで、ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0354】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0355】
標的染色体は、ドナーDNAに含まれるLoxPバリアントを含んでもよい。
【0356】
ここで、標的染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0357】
ここで、標的染色体は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0358】
ドナー細胞に対するレシピエント細胞は、1つのドナーDNAを使用して作製されてもよい。ここで、ドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用されるドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと対合され得るLoxPバリアント、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0359】
別の例示的な実施形態において、2つ以上の標的染色体を有する標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0360】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0361】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0362】
第1のドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つ、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0363】
第2のドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つ、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0364】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAはそれぞれ、非標的供給源細胞に含まれる第1の非標的供給源染色体および第2の非標的染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0365】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0366】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0367】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0368】
ここで、第1の標的染色体は、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントを含んでもよい。
【0369】
ここで、第2の標的染色体は、第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントを含んでもよい。
【0370】
ここで、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントは、第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと同じであっても異なっていてもよい。
【0371】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0372】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0373】
ドナー細胞に対するレシピエント細胞は、2つ以上のドナーDNA(第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNA)を使用して作製されてもよい。ここで、第3のドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用される第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと対合され得るLoxPバリアント、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、第4のドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用される第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと対合され得るLoxPバリアント、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0374】
2つ以上の異なる標的細胞を作製するために、第1のRRSを有する第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。さらに、第2のRRSを有する第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0375】
単一のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されるRRSであってもよい。
【0376】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0377】
ここで、第1のドナーDNAは、第1のRRS、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0378】
第2のドナーDNAは、第2のRRS、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0379】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0380】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0381】
1つの例示的な実施形態において、2つ以上の標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0382】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0383】
第1のドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されるいずれか1つ、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0384】
第2のドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つ、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。ここで、選択されたLoxPバリアントは、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと対合されてもよい。
【0385】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0386】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0387】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞に導入されてもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞に含まれる第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞に含まれる第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0388】
2つ以上の標的細胞は、第1の標的細胞および第2の標的細胞を含んでもよい。
【0389】
ここで、第1の標的細胞は、ドナー細胞であってもよく、第2の標的細胞は、レシピエント細胞であってもよい。
【0390】
ここで、第1の標的細胞は、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントを含む第1の標的染色体を含んでもよい。
【0391】
ここで、第2の標的細胞は、第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントを含む第2の標的染色体を含んでもよい。
【0392】
ここで、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントは、第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと同じであっても異なっていてもよい。
【0393】
ここで、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントは、第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと対合されてもよい。
【0394】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0395】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
i-2)2つのRRSが挿入された染色体を含む細胞
【0396】
本明細書で開示される別の例示的な実施形態によれば、標的染色体を含む標的細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。標的染色体は、2つ以上のRRSを含んでもよい。
【0397】
2つ以上のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されるRRSであってもよい。
【0398】
RRSおよび標的染色体の説明は、上述のとおりである。
【0399】
2つ以上のRRSを含む標的染色体を含む標的細胞は、RRSを有するドナーDNAを非標的供給源細胞に提供することによって作製されてもよい。
【0400】
ドナーDNAは、公知のトランスフェクション法を用いて非標的供給源細胞に提供されてもよい。トランスフェクション法の説明は、上述のとおりである。
【0401】
2つ以上のRRSを含む標的染色体を含む標的細胞は、非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAによって作製されてもよい。非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAは、非標的供給源染色体の標的配列に挿入され、標的染色体へと変えられてもよい。標的染色体を含む細胞は、標的細胞であってもよい。
【0402】
標的細胞を作製するために、2つ以上のRRSを有するドナーDNAは、非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0403】
2つ以上のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されるRRSであってもよい。
【0404】
ドナーDNAは、2つ以上のRRS、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0405】
ここで、ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0406】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0407】
1つの例示的な実施形態において、1つの標的染色体を有する標的細胞は、1つのドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0408】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0409】
ドナーDNAは、2つ以上のRRSを含んでもよい。
【0410】
2つ以上のRRSは、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよい。
【0411】
ここで、第1のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0412】
ここで、第2のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0413】
ここで、第1のRRSおよび第2のRRSは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0414】
ドナーDNAは、非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。
【0415】
2つ以上の相同腕は、第1の相同腕および第2の相同腕を含んでもよい。
【0416】
ここで、第1の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0417】
ここで、第2の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0418】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0419】
ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0420】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0421】
ドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、ドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を有してもよい。
【0422】
標的染色体は、ドナーDNAに含まれる、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよい。
【0423】
ここで、第1のRRSおよび第2のRRSは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0424】
標的染色体は、2つ以上のLoxPバリアントを含んでもよい。
【0425】
ここで、標的染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0426】
ここで、標的染色体は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0427】
ドナー細胞に対するレシピエント細胞は、1つまたは複数のドナーDNAを使用して作製されてもよい。ここで、ドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用されるドナーDNAに含まれる第1のRRSと対合され得る第3のRRS、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。さらに、ドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用されるドナーDNAに含まれる第2のRRSと対合され得る第4のRRS、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0428】
別の例示的な実施形態において、1つの標的染色体を有する標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0429】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0430】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0431】
第1のドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つ、および非標的供給源染色体に対する第1の相同腕を含む配列であってもよい。
【0432】
第2のドナーDNAは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つ、および非標的供給源染色体に対する第2の相同腕を含む配列であってもよい。
【0433】
ここで、第1の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0434】
ここで、第2の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0435】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0436】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0437】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0438】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、非標的供給源細胞に含まれる非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0439】
標的染色体は、2つ以上のLoxPバリアントを含んでもよい。
【0440】
ここで、2つ以上のLoxPバリアントのうち一方は、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントであってもよい。2つ以上のLoxPバリアントのうち他方は、第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントであってもよい。
【0441】
ここで、第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントは、第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと同じであっても異なっていてもよい。
【0442】
標的染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0443】
ここで、標的染色体は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0444】
ドナー細胞に対するレシピエント細胞は、2つ以上のドナーDNA(第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNA)を使用して作製されてもよい。ここで、第3のドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用される第1のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと対合され得るLoxPバリアント、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、第4のドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用される第2のドナーDNAに含まれるLoxPバリアントと対合され得るLoxPバリアント、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0445】
さらに別の例示的な実施形態において、2つ以上の標的染色体を有する標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0446】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0447】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0448】
第1のドナーDNAは、2つ以上のRRSを含んでもよい。ここで、2つ以上のRRSは、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよい。
【0449】
第2のドナーDNAは、2つ以上のRRSを含んでもよい。ここで、2つ以上のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSを含んでもよい。
【0450】
ここで、第1のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0451】
ここで、第2のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0452】
ここで、第3のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0453】
ここで、第4のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0454】
ここで、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべては、同じであっても、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSは、部分的に同じであっても、互いと異なっていてもよい。たとえば、第1のRRSおよび第3のRRSは同じであってもよく、第2のRRSおよび第4のRRSは第1のRRSと異なっていてもよい。代替的には、第1のRRSおよび第4のRRSは同じであってもよく、第2のRRSおよび第3のRRSは同じであってもよい。代替的には、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべてが、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべてが、同じであってもよい。
【0455】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第1の相同腕および第2の相同腕を含んでもよい。
【0456】
ここで、第1の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0457】
ここで、第2の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0458】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0459】
第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第3の相同腕および第4の相同腕を含んでもよい。
【0460】
ここで、第3の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0461】
ここで、第4の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0462】
ここで、第3の相同腕は、第4の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0463】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0464】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0465】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0466】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0467】
ここで、第1の標的染色体は、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよい。ここで、第1のRRSおよび第2のRRSは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0468】
ここで、第2の標的染色体は、第3のRRSおよび第4のRRSを含んでもよい。ここで、第3のRRSおよび第4のRRSは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0469】
第1の標的染色体は、2つ以上のLoxPバリアントを含んでもよい。
【0470】
第2の標的染色体は、2つ以上のLoxPバリアントを含んでもよい。
【0471】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0472】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0473】
ドナー細胞に対するレシピエント細胞は、2つ以上のドナーDNA(第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNA)を使用して作製されてもよい。ここで、第3のドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用される第1のドナーDNAに含まれる第1および第2のRRSそれぞれと対合され得る第5のRRSおよび第6のRRS、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、第4のドナーDNAは、ドナー細胞の作製において使用される第2のドナーDNAに含まれる第3のRRSおよび第4のRRSそれぞれと対合され得る第7のRRSおよび第8のRRS、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0474】
2つ以上の異なる標的細胞を作製するために、2つ以上のRRSを有する第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。さらに、2つ以上のRRSを有する第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0475】
2つ以上のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されるRRSであってもよい。
【0476】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0477】
第1のドナーDNAは、第1のRRS、第2のRRS、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0478】
第2のドナーDNAは、第3のRRS、第4のRRS、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0479】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0480】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0481】
1つの例示的な実施形態において、2つ以上の標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0482】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0483】
第1のドナーDNAは、2つ以上のRRSを含んでもよい。ここで、2つ以上のRRSは、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよい。
【0484】
第2のドナーDNAは、2つ以上のRRSを含んでもよい。ここで、2つ以上のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSを含んでもよい。
【0485】
ここで、第1のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0486】
ここで、第2のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0487】
ここで、第3のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0488】
ここで、第4のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択されてもよい。
【0489】
ここで、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべては、同じであっても、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべては、部分的に同じであっても、互いと異なっていてもよい。たとえば、第1のRRSおよび第4のRRSは同じであってもよく、第2のRRSおよび第3のRRSは第1のRRSと異なっていてもよい。代替的には、第2のRRSおよび第4のRRSは同じであってもよく、第1のRRSおよび第3のRRSは同じであってもよい。代替的には、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべてが、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべてが、同じであってもよい。
【0490】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第1の相同腕および第2の相同腕を含んでもよい。
【0491】
ここで、第1の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0492】
ここで、第2の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0493】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列であってもよい。
【0494】
第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第3の相同腕および第4の相同腕を含んでもよい。
【0495】
ここで、第3の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0496】
ここで、第4の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0497】
ここで、第3の相同腕は、第4の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0498】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0499】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSを含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0500】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞に導入されてもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞に含まれる第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞に含まれる第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0501】
2つ以上の標的細胞は、第1の標的細胞および第2の標的細胞を含んでもよい。
【0502】
ここで、第1の標的細胞は、ドナー細胞であってもよく、第2の標的細胞は、レシピエント細胞であってもよい。
【0503】
ここで、第1の標的細胞は、第1および第2のRRSを含む第1の標的染色体を含んでもよい。
【0504】
ここで、第2の標的細胞は、第3のRRSおよび第4のRRSを含む第2の標的染色体を含んでもよい。第3のRRSは、第1のRRSおよび第2のRRSのうち一方と対合されてもよく、第4のRRSは、第1のRRSおよび第2のRRSの他方と対合されてもよい。
【0505】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0506】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
i-3)単一のASCEが挿入された染色体を含む細胞
【0507】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、標的染色体を含む標的細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。標的染色体は、単一のASCEを含んでもよい。
【0508】
ASCEおよび標的染色体の説明は、上述のとおりである。
【0509】
単一のASCEを含む標的染色体を含む標的細胞は、ASCEを有するドナーDNAを非標的供給源細胞に提供することによって作製されてもよい。
【0510】
ドナーDNAは、公知のトランスフェクション法を用いて非標的供給源細胞に提供されてもよい。トランスフェクション法の説明は、上述のとおりである。
【0511】
単一のASCEを有する標的染色体を含む標的細胞は、非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAを使用して作製されてもよい。非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAは、非標的供給源染色体の標的配列に挿入され、標的染色体へと変えられてもよい。標的染色体を含む細胞は、標的細胞である。
【0512】
標的細胞を作製するために、単一のASCEを有するドナーDNAは、非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0513】
ドナーDNAは、単一のASCE、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0514】
単一のASCEは、人工組換え染色体の生成において使用されるASCEであってもよい。
【0515】
ここで、ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0516】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0517】
1つの例示的な実施形態において、1つの標的染色体を有する標的細胞は、1つのドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0518】
ドナーDNAは、単一のASCE、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。
【0519】
ドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、ドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0520】
ここで、ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0521】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0522】
標的染色体は、ドナーDNAに含まれる単一のASCEを含んでもよい。
【0523】
ここで、標的染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0524】
ここで、標的染色体は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0525】
別の1つの例示的な実施形態において、2つ以上の標的染色体を有する標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0526】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0527】
第1のドナーDNAは、第1のASCE、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0528】
第2のドナーDNAは、第2のASCE、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0529】
ここで、第1のASCEは、第2のASCEと同じであっても、異なっていてもよい。
【0530】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITRをさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0531】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0532】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、非標的供給源細胞に含まれる第1の非標的供給源染色体および第2の非標的供給源染色体に対するそれぞれの相同腕を有してもよい。
【0533】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0534】
ここで、第1の標的染色体は、第1のASCEを含んでもよい。
【0535】
ここで、第2の標的染色体は、第2のASCEを含んでもよい。
【0536】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0537】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0538】
2つ以上の異なる標的細胞を作製するために、第1のASCEを有する第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。さらに、第2のASCEを有する第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0539】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0540】
第1のドナーDNAは、第1のASCE、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0541】
第2のドナーDNAは、第2のASCE、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0542】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0543】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0544】
1つの例示的な実施形態において、2つ以上の標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0545】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0546】
第1のドナーDNAは、第1のASCE、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0547】
第2のドナーDNAは、第2のASCE、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を含む配列であってもよい。ここで、相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0548】
ここで、第1のASCEは、第2のASCEと同じであっても、異なっていてもよい。
【0549】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0550】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0551】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞に導入されてもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞中の第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞中の第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0552】
2つ以上の標的細胞は、第1の標的細胞および第2の標的細胞を含んでもよい。
【0553】
ここで、第1の標的細胞は、第1のASCEを有する第1の標的染色体を含んでもよい。
【0554】
ここで、第2の標的細胞は、第2のASCEを有する第2の標的染色体を含んでもよい。
【0555】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0556】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
i-4)二重のASCEが挿入された染色体を含む細胞
【0557】
本明細書で開示される別の例示的な実施形態によれば、標的染色体を含む標的細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。標的染色体は、2つ以上のASCEを含んでもよい。
【0558】
2つ以上のASCEは、人工組換え染色体の生成において使用されるASCEであってもよい。
【0559】
ASCEおよび標的染色体の説明は、上述のとおりである。
【0560】
2つ以上のASCEを有する標的染色体を含む標的細胞は、ASCEを有するドナーDNAを非標的供給源細胞に提供することによって作製されてもよい。
【0561】
ドナーDNAは、公知のトランスフェクション法を用いて非標的供給源細胞に提供されてもよい。トランスフェクション法の説明は、上述のとおりである。
【0562】
2つ以上のASCEを有する標的染色体を含む標的細胞は、非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAを使用して作製されてもよい。非標的供給源細胞に提供されるドナーDNAは、非標的供給源染色体の標的配列に挿入され、標的染色体へと変えられてもよい。標的染色体を含む細胞は、標的細胞である。
【0563】
標的細胞を作製するために、2つ以上のASCEを有するドナーDNAは、非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0564】
ドナーDNAは、2つ以上のASCE、および非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0565】
2つ以上のASCEは、人工組換え染色体の生成において使用されるASCEであってもよい。
【0566】
ここで、ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0567】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0568】
1つの例示的な実施形態において、1つの標的染色体を有する標的細胞は、1つのドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0569】
ドナーDNAは、2つ以上のASCEを含んでもよい。
【0570】
2つ以上のASCEは、第1のASCEおよび第2のASCEを含んでもよい。
【0571】
ここで、第1のASCEおよび第2のASCEは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0572】
ドナーDNAは、非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。
【0573】
2つ以上の相同腕は、第1の相同腕および第2の相同腕を含んでもよい。
【0574】
ここで、第1の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0575】
ここで、第2の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0576】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0577】
ドナーDNAは、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0578】
ここで、ドナーDNAは、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0579】
ドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、ドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を有してもよい。
【0580】
標的染色体は、ドナーDNAに含まれる、第1のASCEおよび第2のASCEを含んでもよい。
【0581】
ここで、第1のASCEおよび第2のASCEは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0582】
標的染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0583】
標的染色体は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0584】
別の例示的な実施形態において、1つの標的染色体を有する標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0585】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0586】
第1のドナーDNAは、第1のASCE、および非標的供給源染色体に対する第1の相同腕を含む配列であってもよい。
【0587】
第2のドナーDNAは、第2のASCE、および非標的供給源染色体に対する第2の相同腕を含む配列であってもよい。
【0588】
ここで、第1のASCEおよび第2のASCEは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0589】
ここで、第1の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0590】
ここで、第2の相同腕は、非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0591】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0592】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0593】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0594】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、非標的供給源細胞に含まれる非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0595】
標的染色体は、2つ以上のASCEを含んでもよい。
【0596】
ここで、2つ以上のASCEのうち一方は、第1のドナーDNAに含まれる第1のASCEであってもよい。2つ以上のASCEのうち他方は、第2のドナーDNAに含まれる第2のASCEであってもよい。
【0597】
標的染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0598】
標的染色体は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0599】
さらに別の例示的な実施形態において、2つ以上の標的染色体を有する標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0600】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0601】
第1のドナーDNAは、2つ以上のASCEを含んでもよい。2つ以上のASCEは、第1のASCEおよび第2のASCEを含んでもよい。
【0602】
第2のドナーDNAは、2つ以上のASCEを含んでもよい。ここで、2つ以上のASCEは、第3のASCEおよび第4のASCEを含んでもよい。
【0603】
ここで、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのすべては、同じであっても、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEは、部分的に同じであっても、互いと異なっていてもよい。たとえば、第1のASCEおよび第3のASCEは同じであってもよく、第2のASCEおよび第4のASCEは第1のASCEと異なっていてもよい。代替的には、第1のASCEおよび第4のASCEは同じであってもよく、第2のASCEおよび第3のASCEは同じであってもよい。代替的には、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのすべてが、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのすべてが、同じであってもよい。
【0604】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第1の相同腕および第2の相同腕を含んでもよい。
【0605】
ここで、第1の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0606】
ここで、第2の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0607】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0608】
第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第3の相同腕および第4の相同腕を含んでもよい。
【0609】
ここで、第3の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0610】
ここで、第4の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0611】
ここで、第3の相同腕は、第4の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0612】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0613】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0614】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで第1のドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。第2のドナーDNAは、非標的供給源細胞に含まれる第2の非標的染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0615】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0616】
ここで、第1の標的染色体は、第1のASCEおよび第2のASCEを含んでもよい。ここで、第1のASCEおよび第2のASCEは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0617】
ここで、第2の標的染色体は、第3のASCEおよび第4のASCEを含んでもよい。ここで、第3のASCEおよび第4のASCEは、同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0618】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0619】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0620】
2つ以上の異なる標的細胞を作製するために、第1のASCEを有する第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。さらに、第2のASCEを有する第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞にトランスフェクションされてもよい。
【0621】
2つ以上のASCEは、人工組換え染色体の生成において使用されるASCEであってもよい。
【0622】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、非標的供給源染色体に対する相同腕を含んでもよい。
【0623】
第1のドナーDNAは、第1のASCE、第2のASCE、および第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0624】
第2のドナーDNAは、第3のASCE、第4のASCE、および第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0625】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0626】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0627】
1つの例示的な実施形態において、2つ以上の標的細胞は、2つ以上のドナーDNAを使用して作製されてもよい。
【0628】
2つ以上のドナーDNAは、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを含んでもよい。
【0629】
第1のドナーDNAは、2つ以上のASCEを含んでもよい。2つ以上のASCEは、第1のASCEおよび第2のASCEを含んでもよい。
【0630】
第2のドナーDNAは、2つ以上のASCEを含んでもよい。ここで、2つ以上のASCEは、第3のASCEおよび第4のASCEを含んでもよい。
【0631】
ここで、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのすべては、同じであっても、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEは、部分的に同じであっても、互いと異なっていてもよい。たとえば、第1のASCEおよび第4のASCEは同じであってもよく、第2のASCEおよび第3のASCEは第1のASCEと異なっていてもよい。代替的には、第2のASCEおよび第4のASCEは同じであってもよく、第1のASCEおよび第3のASCEは同じであってもよい。代替的には、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのすべてが、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEは、同じであってもよい。
【0632】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第1の相同腕および第2の相同腕を含んでもよい。
【0633】
ここで、第1の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0634】
ここで、第2の相同腕は、第1の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0635】
ここで、第1の相同腕は、第2の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0636】
第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源染色体に対する2つ以上の相同腕を含む配列を含んでもよい。ここで、2つ以上の相同腕は、第3の相同腕および第4の相同腕を含んでもよい。
【0637】
ここで、第3の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0638】
ここで、第4の相同腕は、第2の非標的供給源染色体の配列の一部に相同的である配列であってもよい。
【0639】
ここで、第3の相同腕は、第4の相同腕とは異なる配列を有してもよい。
【0640】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。選択マーカー遺伝子およびトランスポゾンITR配列の説明は、上述のとおりである。
【0641】
第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAの各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。ここで、追加のRRSは、人工組換え染色体の生成において使用されないRRSであってもよい。
【0642】
第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞に導入されてもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的供給源細胞に導入されてもよい。ここで、第1のドナーDNAは、第1の非標的供給源細胞に含まれる第1の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。第2のドナーDNAは、第2の非標的細胞に含まれる第2の非標的供給源染色体に対する相同腕を有してもよい。
【0643】
2つ以上の標的細胞は、第1の標的細胞および第2の標的細胞を含んでもよい。
【0644】
ここで、第1の標的細胞は、第1のASCEおよび第2のASCEを含む第1の標的染色体を含んでもよい。
【0645】
ここで、第2の標的細胞は、第3のASCEおよび第4のASCEを含む第2の標的染色体を含んでもよい。
【0646】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0647】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、追加のRRSをさらに含んでもよい。
【0648】
標的細胞を作製するための例において、レシピエント細胞を作製するために、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAを使用して、ESCから標的胚性幹細胞(ESC)を作製してもよい。
【0649】
第1のドナーDNAは、ESCのゲノムのIg軽鎖(IgL)遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメントおよびJセグメントを含む)の5'末端を標的とするために使用される第1の相同腕、ピギーバック末端反復(PB-TR)、プロモーター、loxm2/66(第1のRRS)、第1の抗生物質耐性遺伝子、およびESCのゲノムにおけるIgL遺伝子座の可変領域の5'末端を標的とするために使用される第2の相同腕を含んでもよい。
【0650】
第2のドナーDNAは、ESCのゲノムのIgL遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメントおよびJセグメントを含む)の3'末端を標的とするために使用される第3の相同腕、プロモーター、第2の抗生物質耐性遺伝子(ゼオシン耐性遺伝子)、lox71(第2のRRS)、およびESCのゲノムにおけるIgL遺伝子座の可変領域の3'末端を標的とするために使用される第4の相同腕を含んでもよい。
【0651】
第1のドナーDNAがESCのゲノムに挿入される細胞は、第1の抗生物質によって選択されてもよい。
【0652】
第2のドナーDNAがESCのゲノムに挿入される細胞は、第2の抗生物質を使用して選択されてもよい。
【0653】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAは、順次に、ランダムに、または同時に、ESCに導入されてもよい。
【0654】
ここで、第1のドナーDNAおよび第2のドナーDNAのすべてが挿入されるゲノムを有する細胞は、第1の抗生物質および第2の抗生物質を使用して選択されてもよい。上述のように生成される、選択される細胞、すなわち第1の抗生物質および第2の抗生物質によって選択される細胞は、標的ESCであってもよい。
【0655】
さらに、ドナー細胞を作製するために、線維芽細胞から標的線維芽細胞を作製するための第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNAが使用される。
【0656】
第3のドナーDNAは、線維芽細胞のゲノムのIg軽鎖(IgL)遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメントおよびJセグメントを含む)の5'末端を標的とするために使用される第1の相同腕、プロモーター、蛍光性タンパク質をコードする遺伝子、lox66(第3のRRS)、および線維芽細胞のゲノムにおけるIgL遺伝子座の可変領域の5'末端を標的とするために使用される第2の相同腕を含んでもよい。
【0657】
第4のベクターは、線維芽細胞のゲノムのIgL遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメントおよびJセグメントを含む)の3'末端を標的とするために使用される第3の相同腕、プロモーター、抗生物質耐性遺伝子、loxm2/71(第4のRRS)、および線維芽細胞のゲノムにおけるIgL遺伝子座の可変領域の3'末端を標的とするために使用される第4の相同腕を含んでもよい。
【0658】
第3のドナーDNAが線維芽細胞のゲノムに挿入される細胞は、蛍光性タンパク質によって選択されてもよい。
【0659】
第4のドナーDNAが線維芽細胞のゲノムに挿入される細胞は、抗生物質によって選択されてもよい。
【0660】
ここで、第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNAは、順次に、ランダムに、または同時に、線維芽細胞に導入されてもよい。
【0661】
ここで、第3のドナーDNAおよび第4のドナーDNAのすべてが挿入されるゲノムを有する細胞は、蛍光性タンパク質および抗生物質を使用して選択されてもよい。上述のように生成される、選択される細胞、すなわち、蛍光性タンパク質および抗生物質によって選択される細胞は、標的線維芽細胞であってもよい。
【0662】
作製されるレシピエント細胞のIg軽鎖(IgL)遺伝子座を含む染色体は、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよい。さらに、作製されるドナー細胞のIgL遺伝子座を含む染色体は、第3のRRSおよび第4のRRSを含んでもよい。
【0663】
ここで、第1のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSのうち一方と対合されてもよく、第2のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSの他方と対合されてもよい。
【0664】
上述の例は、単に説明のためであり、各構成要素(非標的細胞、ドナーDNA、標的染色体、および標的細胞(ドナー細胞およびレシピエント細胞)など)は、目的に従って様々な仕方で、修正または改変されてもよい。
ii)ミクロセルの作製
【0665】
「ミクロセル」は、1つの細胞を、人工的な操作、特定の試薬、または特定の条件に暴露させることによって2つ以上に分離された部分のいずれか1つを意味する。さらに、ミクロセルは、1つまたは複数の染色体または染色体断片を含むが、体細胞分裂(有糸分裂)または減数分裂を経ない、細胞類似体を意味する。一例において、ミクロセルは、1つの動物細胞を2つ以上の細胞または細胞類似体に分割することによって得られるいずれか1つであってもよい。別の例において、ミクロセルは、1つの動物細胞を染色体の数、すなわち2n以上に分割することによって得られるいずれか1つであってもよい。 たとえば、動物細胞がヒト線維芽細胞である場合、ミクロセルは、ヒト線維芽細胞を染色体の数、すなわち2n(46)以上に分割することによって得られるいずれか1つであってもよい。この場合、ヒト線維芽細胞は、46以上のミクロセルに分割されてもよい。
【0666】
ミクロセルは、1つまたは複数の染色体または染色体断片を含んでもよい。
【0667】
ここで、1つまたは複数の染色体または染色体断片は、供給源染色体、または供給源染色体断片であってもよい。
【0668】
ミクロセルは、通常の体細胞分裂または減数分裂を経ることができない細胞類似体であってもよい。
【0669】
ミクロセルは、細胞の細胞質の一部を有してもよい。
【0670】
ミクロセルは、細胞の細胞膜の一部を有してもよい。
【0671】
ミクロセルは、細胞の核質の一部を有してもよい。
【0672】
本明細書で開示される一態様に従って、標的細胞をミクロセルに分割する方法を提供することができる。
【0673】
「細胞をミクロセルに分割すること」は、1個または複数の細胞を使用する、ミクロセルの作製を意味する。ここで、細胞をミクロセルに分割することは、1つの細胞を、複数の細胞または細胞類似体に作製することである。ミクロセルの説明は、上述のとおりである。
【0674】
標的細胞の説明は、上述のとおりである。
【0675】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0676】
標的細胞からミクロセルを作製する方法では、公知の方法を使用してもよい。当該方法は、文献[Thorfinn Ege et al.、1974;Thorfinn Ege et al.、1977]に開示されている。
【0677】
1つの例示的な実施形態において、ミクロセルは、標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;および微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核によって、作製されてもよい。
【0678】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0679】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0680】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0681】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0682】
標的細胞の核膜は、微小核形成によって、2つ以上の小さい小胞へと分割されてもよい。
【0683】
標的細胞の細胞膜は、脱核によって、2つ以上の小さい小胞へと分離されてもよい。
【0684】
上述のように形成されるミクロセルは、標的染色体または標的染色体断片を含んでもよい。ここで、標的染色体または標的染色体断片は、少なくとも1つまたは複数のRRSを含んでもよい。代替的には、標的染色体または標的染色体断片は、少なくとも1つまたは複数のASCEを含んでもよい。ここで、RRSは、ミクロセルが融合される標的細胞に含まれる標的染色体上に位置するRRSと対合されてもよい。ここで、ASCEは、ミクロセルが融合される標的細胞に含まれる標的染色体上に位置するASCEと相補的結合を形成してもよい。
【0685】
たとえば、ミクロセルは、第1のRRSを含む標的染色体を含んでもよい。ここで、第1のRRSは、ミクロセルが融合される標的細胞に含まれる標的染色体上に位置する第2のRRSと対合されてもよい。
【0686】
別の例において、ミクロセルは、第1のRRSおよび第2のRRSを含む標的染色体を含んでもよい。ミクロセルが融合される標的細胞は、第3のRRSおよび第4のRRSを含む標的染色体を有してもよい。ここで、第1のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSのうち一方と対合されてもよく、第2のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSの他方と対合されてもよい。
ii-1)RRSが挿入された染色体を含むミクロセル
【0687】
本明細書で開示される1つの例示的な実施形態によれば、標的染色体を含むミクロセル、およびそれを作製する方法を提供することができる。標的染色体は、単一のRRSを含んでもよい。標的染色体は、2つ以上のRRSを含んでもよい。
【0688】
RRSおよび標的染色体は、上述されている。
【0689】
RRSを有する標的染色体を含むミクロセルは、標的細胞から作製されてもよい。標的細胞は、RRSを有する標的染色体を含む標的細胞であってもよい。RRSを有する標的染色体は、上述されている。
【0690】
例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、標的細胞から作製されてもよい。標的細胞は、RRSを含む標的染色体を含んでもよい。ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0691】
ミクロセルは、RRSを有する標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;および微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核によって、作製されてもよい。
【0692】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0693】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0694】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0695】
ミクロセルは、1つまたは複数の非標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0696】
ミクロセルは、RRSを有する標的染色体およびその断片を含んでもよい。ここで、ミクロセルは、1つまたは複数の非標的染色体またはその断片をさらに含んでもよい。
【0697】
別の例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、1つの染色体またはその断片を含むミクロセルとして作製されてもよい。染色体は、RRSを有する標的染色体であってもよい。染色体は、非標的供給源染色体であってもよい。
【0698】
1つの染色体またはその断片を含むミクロセルは、RRSを有する標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核;およびミクロセルのろ過によって、作製されてもよい。
【0699】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0700】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害するための物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0701】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0702】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0703】
ここで、ろ過は、ろ過膜を使用して実施されてもよい。
【0704】
ろ過膜の細孔サイズは、3~10μmであってもよい。
【0705】
ろ過膜の細孔サイズは、5~8μmであってもよい。
【0706】
さらに別の例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、2つの染色体およびその断片を含むミクロセルとして作製されてもよい。2つの染色体は、RRSを有する標的染色体および/または非標的供給源染色体を含んでもよい。
【0707】
2つの染色体およびその断片を含むミクロセルは、RRSを有する2つ以上の標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核;およびミクロセルのろ過によって、作製されてもよい。
【0708】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0709】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0710】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0711】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0712】
ここで、ろ過は、ろ過膜を使用して実施されてもよい。
【0713】
ろ過膜の細孔サイズは、8~15μmであってもよい。
【0714】
さらに別の例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、3つの染色体またはその断片を含むミクロセルとして作製されてもよい。3つの染色体は、RRSを有する標的染色体および/または非標的供給源染色体を含んでもよい。
【0715】
3つの染色体またはその断片を含むミクロセルは、RRSを有する2つ以上の標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核;およびミクロセルのろ過によって、作製されてもよい。
【0716】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0717】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0718】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0719】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0720】
ここで、ろ過は、ろ過膜を使用して実施されてもよい。
【0721】
ろ過膜の細孔サイズは、12~20μmであってもよい。
【0722】
ミクロセルに含まれる染色体の数は、開示される例示的な実施形態に限定されない。ミクロセルに含まれる染色体の数は、ろ過膜の細孔サイズによって選択されてもよい。
ii-2)ASCEが挿入された染色体を含むミクロセル
【0723】
本明細書で開示される1つの例示的な実施形態によれば、標的染色体を含むミクロセル、およびそれを作製する方法を提供することができる。標的染色体は、単一のASCEを含んでもよい。標的染色体は、2つ以上のASCEを含んでもよい。
【0724】
ASCEおよび標的染色体は、上述されている。
【0725】
ASCEを有する標的染色体を含むミクロセルは、標的細胞から作製されてもよい。標的細胞は、ASCEを有する標的染色体を含む標的細胞であってもよい。ASCEを有する標的染色体は、上述されている。ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0726】
例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、標的細胞から作製されてもよい。標的細胞は、ASCEを有する標的染色体を含んでもよい。ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0727】
ミクロセルは、ASCEを有する標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;および微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核によって、作製されてもよい。
【0728】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0729】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0730】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0731】
ミクロセルは、1つまたは複数の非標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0732】
ミクロセルは、ASCEを有する標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、ミクロセルは、1つまたは複数の非標的染色体またはその断片をさらに含んでもよい。
【0733】
別の例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、1つの染色体またはその断片を含むミクロセルとして作製されてもよい。染色体は、ASCEを有する標的染色体であってもよい。染色体は、非標的供給源染色体であってもよい。
【0734】
1つの染色体またはその断片を含むミクロセルは、ASCEを有する標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核;およびミクロセルのろ過によって、作製されてもよい。
【0735】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0736】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0737】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0738】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0739】
ここで、ろ過は、ろ過膜を使用して実施されてもよい。
【0740】
ろ過膜の細孔サイズは、3~10μmであってもよい。
【0741】
ろ過膜の細孔サイズは、5~8μmであってもよい。
【0742】
さらに別の例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、2つの染色体およびその断片を含むミクロセルとして作製されてもよい。2つの染色体は、ASCEを有する標的染色体および/または非標的供給源染色体を含んでもよい。
【0743】
2つの染色体およびその断片を含むミクロセルは、ASCEを有する2つ以上の標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核;およびミクロセルのろ過によって、作製されてもよい。
【0744】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0745】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0746】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0747】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0748】
ここで、ろ過は、ろ過膜を使用して実施されてもよい。
【0749】
ろ過膜の細孔サイズは、8~15μmであってもよい。
【0750】
1つの例示的な実施形態によれば、ミクロセルは、3つの染色体またはその断片を含むミクロセルとして作製されてもよい。3つの染色体は、ASCEを有する標的染色体および/または非標的供給源染色体を含んでもよい。
【0751】
3つの染色体またはその断片を含むミクロセルは、ASCEを有する2つ以上の標的染色体を含む標的細胞を微小管阻害剤で処理することによる、微小核化細胞を作製するための微小核形成;微小核化細胞を微小繊維阻害剤で処理した後に遠心分離することによる、ミクロセルを作製するための脱核;およびミクロセルのろ過によって、作製されてもよい。
【0752】
ここで、標的細胞は、ドナー細胞であってもよい。
【0753】
ここで、微小管阻害剤は、微小管の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小管阻害剤は、コルヒチン、ノコダゾール、およびコルセミドのうちいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0754】
ここで、微小繊維阻害剤は、微小繊維の伸長を阻害する物質であってもよい。たとえば、微小繊維阻害剤は、サイトカラシンBであってもよい。
【0755】
ここで、遠心分離は、パーコール勾配法で実施されてもよい。
【0756】
ここで、ろ過は、ろ過膜を使用して実施されてもよい。
【0757】
ろ過膜の細孔サイズは、12~20μmであってもよい。
【0758】
ミクロセルに含まれる染色体の数は、開示される実施形態に限定されない。ミクロセルに含まれる染色体の数は、ろ過膜の細孔サイズによって選択されてもよい。
【0759】
ミクロセルの作製のための例において、標的線維芽細胞は、コルセミドで処理されてもよい。ここで、微小核化細胞は、コルセミド処理による微小核形成の誘導に従って作製されてもよい。
【0760】
ミクロセルは、作製された微小核化細胞をサイトカラシンBで処理すること、および遠心分離を実施することによって単離されてもよい。
【0761】
上で説明されるプロセスによって、ミクロセルは、標的線維芽細胞から作製され、得られてもよい。
【0762】
上述の例は、単に例であり、各構成要素(標的細胞、またはミクロセルなど)は、目的に従って様々な仕方で、修飾または改変されてもよい。
iii)ミクロセルを使用する、融合細胞の作製
【0763】
本明細書で開示される一態様において、第1の融合細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。
【0764】
第1の融合細胞は、供給源細胞に加えて、1つまたは複数の染色体またはその断片を追加的に有する細胞であってもよい。
【0765】
ここで、第1の融合細胞は、供給源細胞を構成する染色体の総数より多い、複数の染色体を有する細胞であってもよい。たとえば、供給源細胞の染色体の総数が、2n(40)である場合、第1の融合細胞は、2n+1(41)個の染色体を有する細胞であってもよい。この場合、第1の融合細胞は、供給源細胞の染色体の総数(2n、すなわち40)および1つの追加の染色体を有する細胞であってもよい。
【0766】
第1の融合細胞は、少なくとも1つの標的染色体を含んでもよい。ここで、標的染色体は、第1の融合細胞に追加的に含まれる染色体であってもよい。
【0767】
第1の融合細胞は、少なくとも2つの標的染色体を含んでもよい。ここで、2つ以上の標的染色体のうち1つは、第1の融合細胞に存在する供給源細胞の全染色体のうちの1つであってもよい。2つ以上の標的染色体のうち他方は、第1の融合細胞に追加的に含まれる染色体であってもよい。
【0768】
第1の融合細胞は、少なくとも2つの標的染色体を含んでもよい。ここで、2つ以上の標的染色体は、第1の融合細胞に追加的に含まれる染色体であってもよい。この場合、第1の融合細胞は、供給源細胞中の2つ以上の追加の染色体を有する細胞であってもよく、第1の融合細胞は、供給源細胞の全染色体、および2つ以上の追加の染色体を有する細胞であってもよい。
【0769】
第1の融合細胞は、1個または複数の供給源細胞と1個または複数のミクロセルとの融合によって作製されてもよい。ミクロセルと供給源細胞との融合によって第1の融合細胞を作製する方法では、公知の方法を使用してもよい。当該方法は、文献[Fournier RE et al 1977;McNeill CA et al 1980]に開示されている。例として、Tomizuka et al.、Nature Genetics、16:133(1997)が参照される。
【0770】
第1の融合細胞は、標的細胞と1個または複数のミクロセルとの細胞融合によって作製されてもよい。
【0771】
ここで、標的細胞は、レシピエント細胞であってもよい。
【0772】
ここで、1個または複数のミクロセルは、ドナー細胞から作製されてもよい。
【0773】
標的細胞(第1の標的細胞)およびミクロセルの説明は、上述のとおりである。
【0774】
ミクロセルは、標的細胞(第2の標的細胞)を使用して作製されてもよい。
【0775】
ここで、第1の標的細胞は、第2の標的細胞と同じ個体に由来してもよい。
【0776】
ここで、第1の標的細胞および第2の標的細胞は、異なる個体に由来してもよい。異なる個体は、同種および異種の個体の両方を含む。
【0777】
たとえば、第1の標的細胞は、マウス胚性幹細胞(ES細胞)であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、ヒト線維芽細胞であってもよい。
【0778】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、マウス線維芽細胞であってもよい。
【0779】
ミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、1つまたは複数の標的染色体またはその断片は、1つまたは複数のRRSを含んでもよい。代替的には、1つまたは複数の標的染色体またはその断片は、1つまたは複数のASCEを含んでもよい。ここで、1つまたは複数のRRSは、第1の標的細胞に含まれる1つまたは複数のRRSと対合されてもよい。代替的には、1つまたは複数のASCEは、第1の標的細胞に含まれる1つまたは複数のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【0780】
複数のミクロセルがある場合、少なくとも1つのミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、1つまたは複数の標的染色体またはその断片は、1つまたは複数のRRSを含んでもよい。代替的には、1つまたは複数の標的染色体またはその断片は、1つまたは複数のASCEを含んでもよい。ここで、1つまたは複数のRRSは、第1の標的細胞に含まれる1つまたは複数のRRSと対合されてもよい。代替的には、1つまたは複数のASCEは、第1の標的細胞に含まれる1つまたは複数のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【0781】
1つの例示的な実施形態において、第1の融合細胞は、標的細胞(第1の標的細胞)と第1のミクロセルとの細胞融合によって作製されてもよい。ここで、第1のミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、1つまたは複数の標的染色体またはその断片は、1つまたは複数のRRS(第1のRRS)を含んでもよい。標的細胞(第1の標的細胞)は、1つまたは複数のRRS(第2のRRS)を有する標的染色体を含んでもよい。ここで、第1のRRSは、第2のRRSと対合されてもよい。
【0782】
別の例示的な実施形態において、第1の融合細胞は、標的細胞(第1の標的細胞)と第1のミクロセルとの細胞融合によって作製されてもよい。ここで、第1のミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、1つまたは複数の標的染色体またはその断片は、2つ以上のRRS(第1のRRSおよび第2のRRS)を含んでもよい。標的細胞(第1の標的細胞)は、2つ以上のRRS(第3のRRSおよび第4のRRS)を含む標的染色体を含んでもよい。ここで、第1のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSのうち一方と対合されてもよく、第2のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSのうち他方と対合されてもよい。
【0783】
別の例示的な実施形態において、第1の融合細胞は、標的細胞(第1の標的細胞)、第1のミクロセル、および第2のミクロセルの細胞融合によって作製されてもよい。ここで、第1のミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。第2のミクロセルは、1つまたは複数の非標的供給源染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、1つまたは複数の標的染色体またはその断片は、1つまたは複数のRRS(第1のRRS)を含んでもよい。標的細胞(第1の標的細胞)は、1つまたは複数のRRS(第2のRRS)を含む標的染色体を含んでもよい。ここで、第1のRRSは、第2のRRSと対合されてもよい。
【0784】
さらに別の例示的な実施形態において、第1の融合細胞は、標的細胞(第1の標的細胞)、第1のミクロセル、および第2のミクロセルの細胞融合によって作製されてもよい。ここで、第1のミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。第2のミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。この場合、第1のミクロセルに含まれる標的染色体は、第2のミクロセルに含まれる標的染色体と同じであっても、異なっていてもよい。ここで、第1のミクロセルに含まれる標的染色体は、1つまたは複数のRRS(第1のRRS)を含んでもよい。標的細胞(第1の標的細胞)は、1つまたは複数のRRS(第2のRRS)を含む標的染色体を含んでもよい。ここで、第1のRRSは、第2のRRSと対合されてもよい。
【0785】
さらに別の例示的な実施形態において、第1の融合細胞は、標的細胞(第1の標的細胞)、第1のミクロセル、第2のミクロセル、第3のミクロセル、および第nのミクロセルの細胞融合によって作製されてもよい。ここで、第1のミクロセル、第2のミクロセル、第3のミクロセル、および第nのミクロセルのうち1つまたは複数のミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0786】
例示的な実施形態によれば、第1の融合細胞を作製する方法は、標的細胞(第1の標的細胞)と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させること;ならびに標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理することによって実施される細胞融合を含んでもよい。
【0787】
標的細胞の説明は、上述のとおりである。
【0788】
標的細胞(第1の標的細胞)は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。
【0789】
ミクロセルは、標的細胞(第2の標的細胞)を使用して作製されてもよい。ミクロセルの説明は、上述のとおりである。
【0790】
ここで、第1の標的細胞は、第2の標的細胞と同じ個体に由来してもよい。
【0791】
ここで、第1の標的細胞および第2の標的細胞は、異なる個体に由来してもよい。異なる個体は、同種および異種の個体の両方を含む。
【0792】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、ヒト線維芽細胞であってもよい。
【0793】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、マウス線維芽細胞であってもよい。
【0794】
ミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0795】
複数のミクロセルがある場合、少なくとも1つのミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0796】
標的細胞(第1の標的細胞)と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させることは、標的細胞(第1の標的細胞)および1個または複数のミクロセルを、同じ培地または緩衝液中に位置させることであってもよい。
【0797】
正に荷電した界面活性物質は、ポリエチレングリコール(PEG)であってもよい。
【0798】
複数のミクロセルがある場合、複数のミクロセルの各々は順次、標的細胞(第1の標的細胞)と細胞融合されてもよい。
【0799】
複数のミクロセルがある場合、複数のミクロセルは一度に、標的細胞(第1の標的細胞)と細胞融合されてもよい。
【0800】
複数のミクロセルがある場合、複数のミクロセルはランダムに、標的細胞(第1の標的細胞)と細胞融合されてもよい。
【0801】
別の例示的な実施形態によれば、第1の融合細胞を作製する方法は、標的細胞(第1の標的細胞)と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させること;ならびにミクロセルおよび標的細胞(第1の標的細胞)をマイトジェンおよび正に荷電した界面活性物質で処理することによって実施される細胞融合を含んでもよい。
【0802】
標的細胞の説明は、上述のとおりである。
【0803】
標的細胞(第1の標的細胞)は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。
【0804】
ミクロセルは、標的細胞(第2の標的細胞)を使用して作製されてもよい。ミクロセルの説明は、上述のとおりである。
【0805】
ここで、第1の標的細胞は、第2の標的細胞と同じ個体に由来してもよい。
【0806】
ここで、第1の標的細胞および第2の標的細胞は、異なる個体に由来してもよい。異なる個体は、同種および異種の個体の両方を含んでもよい。
【0807】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、ヒト線維芽細胞であってもよい。
【0808】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、マウス線維芽細胞であってもよい。
【0809】
ミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0810】
複数のミクロセルがある場合、少なくとも1つのミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0811】
標的細胞(第1の標的細胞)と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させることは、標的細胞(第1の標的細胞)および1個または複数のミクロセルを、同じ培地または緩衝液中に位置させることであってもよい。
【0812】
マイトジェンは、フィトヘマグルチニン-P(PHA-P)であってもよい。
【0813】
正に荷電した界面活性物質はPEGであってもよい。
【0814】
複数のミクロセルがある場合、複数のミクロセルの各々は順次、標的細胞(第1の標的細胞)と細胞融合されてもよい。
【0815】
複数のミクロセルがある場合、複数のミクロセルは一度に、標的細胞(第1の標的細胞)と細胞融合されてもよい。
【0816】
複数のミクロセルがある場合、複数のミクロセルはランダムに、標的細胞(第1の標的細胞)と細胞融合されてもよい。
iii-1)RRSが挿入された染色体を含む第1の融合細胞
【0817】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、2つ以上の標的染色体を含む第1の融合細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。
【0818】
2つ以上の標的染色体は、少なくとも1つのRRSを各々が有する標的染色体であってもよい。
【0819】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体であってもよい。
【0820】
第1の標的染色体は、少なくとも1つのRRSを含む標的染色体であってもよい。
【0821】
第2の標的染色体は、少なくとも1つのRRSを含む標的染色体であってもよい。
【0822】
一例において、第1の標的染色体は第1のRRSを含んでもよく、第2の標的染色体は第2のRRSを含んでもよい。ここで、第1のRRSは、第2のRRSと同じであっても、異なっていてもよい。
【0823】
別の例において、第1の標的染色体は、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよく、第2の標的染色体は、第3のRRSおよび第4のRRSを含んでもよい。ここで、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのすべては、同じであっても、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSは、部分的に同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0824】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0825】
第1の融合細胞は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0826】
第1の標的染色体は、第1の標的細胞から提供されてもよい。第2の標的染色体は、ミクロセルから提供されてもよい。ここで、ミクロセルは、第2の標的染色体を含む第2の標的細胞を使用して作製されてもよい。この場合、第1の融合細胞は、第1の標的細胞の全染色体、および第2の標的染色体を有する融合細胞であってもよい。
【0827】
代替的には、第1の標的染色体は、ミクロセルから提供されてもよい。第2の標的染色体は、第2の標的細胞から提供されてもよい。ここで、ミクロセルは、第1の標的染色体を含む第1の標的細胞を使用して作製されてもよい。この場合、第1の融合細胞は、第2の標的細胞の全染色体、および第1の標的染色体を有する融合細胞であってもよい。
【0828】
標的染色体、標的細胞、およびミクロセルの説明は、上述のとおりである。
【0829】
例示的な実施形態によれば、2つ以上の標的染色体を含む第1の融合細胞を作製する方法は、第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させること;ならびに第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理することによって実施される細胞融合を含んでもよい。
【0830】
第1の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。
【0831】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。
【0832】
ここで、第1の標的染色体は、少なくとも1つのRRSを含んでもよい。
【0833】
ここで、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つまたは複数であってもよい。
【0834】
ミクロセルは、第2の標的細胞を使用して作製されてもよい。ここで、第2の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0835】
ここで、第1の標的細胞は、第2の標的細胞と同じ個体に由来してもよい。
【0836】
ここで、第1の標的細胞および第2の標的細胞は、異なる個体に由来してもよい。異なる個体は、同種および異種の個体の両方を含んでもよい。
【0837】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、ヒト線維芽細胞であってもよい。
【0838】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、マウス線維芽細胞であってもよい。
【0839】
ミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、ミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0840】
ここで、第2の標的染色体は、少なくとも1つのRRSを含んでもよい。
【0841】
ここで、第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つまたは複数であってもよい。
【0842】
ここで、第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSは、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSと同じであっても、異なっていてもよい。
【0843】
ここで、第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSは、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSと対合されてもよい。
【0844】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0845】
第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させることは、標的細胞および1個または複数のミクロセルを、同じ培地または緩衝液中に位置させることであってもよい。
【0846】
正に荷電した界面活性物質はPEGであってもよい。
【0847】
第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理するステップにおいて、当該細胞は、マイトジェンでさらに処理されてもよい。
【0848】
マイトジェンは、PHA-Pであってもよい。
【0849】
別の例示的な実施形態によれば、2つ以上の標的染色体を含む第1の融合細胞を作製する方法は、第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させること;ならびに第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理することによって実施される細胞融合を含んでもよい。
【0850】
第1の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。
【0851】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。
【0852】
ここで、第1の標的染色体は、少なくとも2つ以上のRRSを含んでもよい。
【0853】
ここで、2つ以上のRRSは、第1のRRSおよび第2のRRSであってもよい。
【0854】
ここで、第1のRRSおよび第2のRRSの各々は、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つまたは複数であってもよい。
【0855】
ここで、第1のRRSは、第2のRRSと同じであっても、異なっていてもよい。
【0856】
ミクロセルは、第2の標的細胞を使用して作製されてもよい。ここで、第2の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0857】
ここで、第1の標的細胞は、第2の標的細胞と同じ個体に由来してもよい。
【0858】
ここで、第1の標的細胞および第2の標的細胞は、異なる個体に由来してもよい。異なる個体は、同種および異種の個体の両方を含む。
【0859】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、ヒト線維芽細胞であってもよい。
【0860】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、マウス線維芽細胞であってもよい。
【0861】
ミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、ミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0862】
ここで、第2の標的染色体は、少なくとも2つのRRSを含んでもよい。
【0863】
ここで、2つ以上のRRSは、第3のRRSおよび第4のRRSを含んでもよい。
【0864】
ここで、第3のRRSおよび第4のRRSの各々は、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つまたは複数であってもよい。
【0865】
ここで、第3のRRSは、第4のRRSと同じであっても、異なっていてもよい。
【0866】
ここで、第3のRRSは、第1のRRSおよび/または第2のRRSと対合されてもよい。
【0867】
ここで、第4のRRSは、第1のRRSおよび/または第2のRRSと対合されてもよい。
【0868】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0869】
第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させることは、標的細胞および1個または複数のミクロセルを、同じ培地または緩衝液中に位置させることであってもよい。
【0870】
正に荷電した界面活性物質はPEGであってもよい。
【0871】
第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理するステップにおいて、当該細胞は、マイトジェンでさらに処理されてもよい。
【0872】
マイトジェンは、PHA-Pであってもよい。
iii-2)ASCEが挿入された染色体を含む第1の融合細胞
【0873】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、2つ以上の標的染色体を含む第1の融合細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。
【0874】
2つ以上の標的染色体は、少なくとも1つのASCEを各々が有する標的染色体であってもよい。
【0875】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体であってもよい。
【0876】
第1の標的染色体は、少なくとも1つのASCEを含む標的染色体であってもよい。
【0877】
第2の標的染色体は、少なくとも1つのASCEを含む標的染色体であってもよい。
【0878】
一例において、第1の標的染色体は第1のASCEを含んでもよく、第2の標的染色体は第2のASCEを含んでもよい。ここで、第1のASCEは、第2のASCEと同じであっても、異なっていてもよい。
【0879】
別の例において、第1の標的染色体は、第1のASCEおよび第2のASCEを含んでもよく、第2の標的染色体は、第3のASCEおよび第4のASCEを含んでもよい。ここで、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのすべては、同じであっても、互いと異なっていてもよい。代替的には、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEは、部分的に同じであっても、互いと異なっていてもよい。
【0880】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0881】
第1の融合細胞は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0882】
第1の標的染色体は、第1の標的細胞から提供されてもよい。第2の標的染色体は、ミクロセルから提供されてもよい。ここで、ミクロセルは、第2の標的染色体を含む第2の標的細胞を使用して作製されてもよい。この場合、第1の融合細胞は、第1の標的細胞の全染色体、および第2の標的染色体を有する融合細胞であってもよい。
【0883】
代替的には、第1の標的染色体は、ミクロセルから提供されてもよい。第2の標的染色体は、第2の標的細胞から提供されてもよい。ここで、ミクロセルは、第1の標的染色体を含む第1の標的細胞を使用して作製されてもよい。この場合、第1の融合細胞は、第2の標的細胞の全染色体、および第1の標的染色体を有する融合細胞であってもよい。
【0884】
標的染色体、標的細胞、およびミクロセルの説明は、上述のとおりである。
【0885】
例示的な実施形態によれば、2つ以上の標的染色体を含む第1の融合細胞を作製する方法は、第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させること;ならびに第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理することによって実施される細胞融合を含んでもよい。
【0886】
第1の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。
【0887】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。
【0888】
ここで、第1の標的染色体は、少なくとも1つのASCEを含んでもよい。
【0889】
ミクロセルは、第2の標的細胞を使用して作製されてもよい。ここで、第2の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0890】
ここで、第1の標的細胞は、第2の標的細胞と同じ個体に由来してもよい。
【0891】
ここで、第1の標的細胞および第2の標的細胞は、異なる個体に由来してもよい。異なる個体は、同種および異種の個体の両方を含んでもよい。
【0892】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、ヒト線維芽細胞であってもよい。
【0893】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、マウス線維芽細胞であってもよい。
【0894】
ミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、ミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0895】
ここで、第2の標的染色体は、少なくとも1つのASCEを含んでもよい。
【0896】
ここで、第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCEは、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCEと同じであっても、異なっていてもよい。
【0897】
ここで、第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCEは、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【0898】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0899】
第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させることは、標的細胞および1個または複数のミクロセルを、同じ培地または緩衝液中に位置させることであってもよい。
【0900】
正に荷電した界面活性物質はPEGであってもよい。
【0901】
第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理するステップにおいて、当該細胞は、マイトジェンでさらに処理されてもよい。
【0902】
マイトジェンは、PHA-Pであってもよい。
【0903】
別の例示的な実施形態によれば、2つ以上の標的染色体を含む第1の融合細胞を作製する方法は、第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させること;ならびに第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理することによって実施される細胞融合を含んでもよい。
【0904】
第1の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。
【0905】
第1の標的細胞は、第1の標的染色体を含んでもよい。
【0906】
第1の標的染色体は、少なくとも2つ以上のASCEを含んでもよい。
【0907】
ここで、2つ以上のASCEは、第1のASCEおよび第2のASCEであってもよい。
【0908】
ここで、第1のASCEは、第2のASCEと同じであっても、異なっていてもよい。
【0909】
ミクロセルは、第2の標的細胞を使用して作製されてもよい。ここで、第2の標的細胞は、1つまたは複数の標的染色体を含んでもよい。第2の標的細胞は、第2の標的染色体を含んでもよい。
【0910】
ここで、第1の標的細胞は、第2の標的細胞と同じ個体に由来してもよい。
【0911】
ここで、第1の標的細胞および第2の標的細胞は、異なる個体に由来してもよい。異なる個体は、同種および異種の個体の両方を含む。
【0912】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、ヒト線維芽細胞であってもよい。
【0913】
たとえば、第1の標的細胞は、マウスES細胞であってもよい。ここで、第2の標的細胞は、マウス線維芽細胞であってもよい。
【0914】
ミクロセルは、1つまたは複数の標的染色体またはその断片を含んでもよい。ここで、ミクロセルは、第2の標的染色体またはその断片を含んでもよい。
【0915】
ここで、第2の標的染色体は、少なくとも2つのASCEを含んでもよい。
【0916】
ここで、2つ以上のASCEは、第3のASCEおよび第4のASCEを含んでもよい。
【0917】
ここで、第3のASCEは、第4のASCEと同じであっても、異なっていてもよい。
【0918】
ここで、第3のASCEは、第1のASCEおよび/または第2のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【0919】
ここで、第4のASCEは、第1のASCEおよび/または第2のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【0920】
第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0921】
第1の標的細胞と1個または複数のミクロセルとを互いに接触させることは、標的細胞および1個または複数のミクロセルを、同じ培地または緩衝液中に位置させることであってもよい。
【0922】
正に荷電した界面活性物質はPEGであってもよい。
【0923】
第1の標的細胞およびミクロセルを、正に荷電した界面活性物質で処理するステップにおいて、細胞は、マイトジェンでさらに処理されてもよい。
【0924】
マイトジェンは、PHA-Pであってもよい。
【0925】
融合細胞を作製する例において、細胞融合は、特定の比でミクロセルと標的細胞とを混合することによって実施されてもよい。
【0926】
ここで、特定の比(ミクロセル:標的細胞)は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10であってもよい。代替的には、特定の比は、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または10:1であってもよい。
【0927】
ここで、特定の比は、目的に従って変動してもよい。たとえば、2n+3個の染色体を有する融合細胞を作製する場合と比較して、2n+1個の染色体を有する融合細胞の作製において、標的細胞の量に基づくミクロセルの量はより小さくてもよい。
【0928】
ここで、特定の比は、目的、細胞融合時間、融合細胞単離などを含む様々な因子を考慮して、任意の比に設定してもよい。
【0929】
上述の例は、単に例であり、各構成要素(標的細胞、ミクロセル、融合細胞など)は、目的に従って、様々に修飾または改変されてもよい。
iv)融合細胞を使用する、人工組換え染色体を含む細胞の作製
【0930】
本明細書で開示される態様によれば、人工組換え染色体を含む細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。
【0931】
人工組換え染色体は、上述のとおりである。
【0932】
人工組換え染色体を含む細胞は、上で説明される第1の融合細胞を使用して作製されてもよい。
【0933】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【0934】
ここで、2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体であってもよい。
【0935】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0936】
人工組換え染色体は、第1の標的染色体と第2の標的染色体との組換えによって作製されてもよい。
【0937】
一例において、第1の標的染色体(1)が第1の部分(11)および第1の断片(12)を含み、第2の標的染色体(2)が第2の部分(21)および第2の断片(22)を含む場合、人工組換え染色体は、第1の部分(11)および第2の断片(22)を含む第1の人工組換え染色体(3)であってもよい。代替的には、人工組換え染色体は、第2の部分(21)および第1の断片(12)を含む人工組換え染色体(4)であってもよい(
図2および
図9)。
【0938】
別の例において、第1の標的染色体(1)が、第1の部分(11)、および両端において断片(12)を含み、第2の標的染色体(2)が、第2の部分(21)、および両端において断片(22)を含む場合、人工組換え染色体は、第1の部分(11)、および第2の標的染色体の両端において断片(22)を含む第1の人工組換え染色体(3)であってもよい。代替的には、人工組換え染色体は、第2の部分(21)、および第1の標的染色体の両端において断片(12)を含む、人工組換え染色体(4)を含んでもよい(
図3)。
【0939】
さらに別の例において、第1の標的染色体(1)が両端を有する部分(11)、および第1の断片(12)を含み、第2の標的染色体(2)が両端を有する部分(21)および第2の断片(22)を含む場合、人工組換え染色体は、第1の標的染色体の両端を有する部分(11)、および第2の断片(22)を含む第1の人工組換え染色体(3)であってもよい。代替的には、人工組換え染色体は、第2の標的染色体の両端を有する部分(21)、および第2の断片(12)を含む、人工組換え染色体(4)を含んでもよい(
図4および
図7)。
【0940】
別の例において、第1の標的染色体(1)が、両端を含む部分(11)、第1の部分(13)、第1の断片(12)、および第2の断片(14)を含み、第2の標的染色体(2)が両端を含む部分(21)、第2の部分(23)、第3の断片(22)、および第4の断片(24)を含む場合、人工組換え染色体は、第1の標的染色体の両端を含む部分(11)、第3の断片(22)、第1の部分(13)、および第4の断片(24)を含む第1の人工組換え染色体(3)であってもよい。代替的には、人工組換え染色体は、第2の標的染色体の両端を含む部分(21)、第1の断片(12)、第2の部分(23)、および第2の断片(14)を含む人工組換え染色体(4)であってもよい(
図5および
図6)。
【0941】
別の例において、第1の標的染色体(1)が両端を含む部分(11)および第1の断片(12)を含み、第2の標的染色体(2)が第1の部分(21)および第2の部分(22)を含む場合、人工組換え染色体は、第1の部分(21)、第1の断片(12)、および第2の部分(22)を含む人工組換え染色体(4)であってもよい(
図8)。
【0942】
別の例において、第1の標的染色体(1)が両端を含む部分(11)、および第1の断片(12)を含み、第2の標的染色体(2)が両端を含む部分(21)、および第2の断片(22)を含む場合、人工組換え染色体は、第1の標的染色体の両端を含む部分(11)、および逆位の第2の断片(22)を含む第1の人工組換え染色体(3)であってもよい。ここで、逆位の第2の断片は、第2の標的染色体(2)に存在する第2の断片(22)の逆位によって得られてもよい。この場合、第1の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第2の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現されない場合がある。代替的には、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の標的染色体を含む第1の融合細胞と比較して、第2の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。代替的には、人工組換え染色体は、第2の標的染色体の両端を含む部分(21)、および逆位の第1の断片(12)を含む人工組換え染色体(4)であってもよい。ここで、逆位の第1の断片は、第1の標的染色体(1)に存在する第1の断片(12)の逆位によって得られてもよい。この場合、第2の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第1の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現されない場合がある。代替的には、第2の人工組換え染色体を含む細胞は、第1の融合細胞と比較して、第1の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい(
図10)。
【0943】
人工組換え染色体は、RRSおよび/またはASCEをさらに含んでもよい。
【0944】
人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
[iv-1)RRS-SSR媒介染色体交換]
【0945】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、RRS-SSR媒介染色体交換法を使用する人工組換え染色体を含む細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる(
図13から
図19)。
【0946】
人工組換え染色体を含む細胞は、上で説明される第1の融合細胞を使用して作製されてもよい。
【0947】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【0948】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0949】
ここで、第1の標的染色体は、1つまたは複数のRRSを含んでもよい。
【0950】
ここで、第2の標的染色体は、1つまたは複数のRRSを含んでもよい。
【0951】
ここで、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSは、第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSと同じであっても、異なっていてもよい。
【0952】
ここで、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSは、第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のRRSと対合されてもよい。
【0953】
ここで、RRSは、公知の配列であってもよい。一例において、RRSは、表1に列挙されるLoxPバリアントから選択される1つであってもよい。
【0954】
ここで、対合は、2つ以上のLoxPバリアントの対であってもよく、対合は、SSRによって認識されてもよい。
【0955】
一例において、2つ以上のLoxPバリアントの対は、Lox71およびLox66を含んでもよい。
【0956】
一例において、2つ以上のLoxPバリアントの対は、Lox m2/71およびLox m2/66を含んでもよい。
【0957】
一例において、Lox m2/71およびLox m2/66の対合は、SSRによって認識されてもよい。
【0958】
一例において、Lox71およびLox66の対合は、SSRによって認識されてもよい。
【0959】
第1の標的染色体および第2の標的染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0960】
人工組換え染色体は、1つまたは複数のRRSを含んでもよい。
【0961】
人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0962】
1つの例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、第1の融合細胞をSSRで処理することを含んでもよい。
【0963】
第1の融合細胞の説明は、上述のとおりである。
【0964】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【0965】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0966】
ここで、第1の標的染色体は、1つまたは複数のRRS(第1のRRS)、第1の断片、および第1の部分を含んでもよい。
【0967】
ここで、第2の標的染色体は、1つまたは複数のRRS(第2のRRS)、第2の断片、および第2の部分を含んでもよい。
【0968】
一例において、第1のRRSは、Lox71およびLox66のうち一方であってもよい。ここで、第2のRRSは、Lox71およびLox66のうち他方であってもよい。たとえば、第1のRRSがLox71である場合、第2のRRSはLox66であってもよい。
【0969】
別の例において、第1のRRSは、Lox m2/71およびLox m2/66のうち一方であってもよい。ここで、第2のRRSは、Lox m2/71およびLox m2/66のうち他方であってもよい。たとえば、第1のRRSがLox m2/71である場合、第2のRRSはLox m2/66であってもよい。
【0970】
ここで、第1のRRSは、第2のRRSと対合されてもよい。
【0971】
ここで、第1のRRSと第2のRRSとが対合される部位は、SSRによって認識されてもよい。
【0972】
第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0973】
第1の融合細胞をSSRで処理することは、第1の融合細胞にSSRをタンパク質の形で導入または送達することであってもよい。
【0974】
ここで、タンパク質の形での導入または送達は、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、一過性の細胞圧縮もしくは圧搾(transient cell compression or squeezing)(たとえば、[Lee,et al,(2012)Nano Lett.,12,6322-6327]において説明される)、脂質媒介トランスフェクション法、ナノ粒子、リポソーム、ペプチド媒介送達、またはそれらの組み合わせによって実施されてもよい。
【0975】
代替的には、第1の融合細胞をSSRで処理することは、SSRをコードする核酸配列を有するベクターを第1の融合細胞に導入または送達することであってもよい。
【0976】
ここで、ベクターは、ウイルス性ベクターまたは組換えウイルス性ベクターであってもよい。ウイルスは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、または単純ヘルペスウイルスであってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0977】
ここで、ベクターの導入または送達は、公知のトランスフェクション法を用いて非標的供給源細胞にベクターを提供することであってもよい。たとえば、トランスフェクション法では、ウイルス性トランスフェクション法、試薬トランスフェクション法、または物理的トランスフェクション法を用いてもよい。ウイルス性トランスフェクション法では、たとえば、レンチウイルスを使用してもよい。試薬トランスフェクション法では、たとえば、リン酸カルシウム、カチオン性脂質、DEAE-デキストラン、またはポリエチレンイミン(PEI)を使用してもよい。物理的トランスフェクション法では、たとえば、エレクトロポレーションを使用してもよい。さらに、トランスフェクション法では、リポソームを使用してもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【0978】
SSRは、染色体交換を誘導してもよい。
【0979】
一例において、SSRはCreリコンビナーゼであってもよい。Creリコンビナーゼのアミノ酸配列は、以下の表3に開示される。しかしながら、以下の表3に開示されるCreリコンビナーゼは、Lox71およびLox66のためのCreリコンビナーゼの例であるが、本発明はそれらに限定されない。しかしながら、以下の表3に開示されるCreリコンビナーゼは、Lox m2/71およびLox m2/66のためのCreリコンビナーゼの例であるが、本発明はそれらに限定されない。
[表3]
Creリコンビナーゼのアミノ酸配列
【表3】
【0980】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【0981】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第1の断片および第2の部分を含む第1の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第1の人工組換え染色体は、第1のRRSおよび/または第2のRRSをさらに含んでもよい。代替的には、第1の人工組換え染色体は、第3のRRSを含んでもよい。第3のRRSは、第1のRRSと第2のRRSとの組換えによって作製されるRRSであってもよい。
【0982】
代替的には、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第2の断片および第1の部分を含む第2の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第1のRRSおよび/または第2のRRSをさらに含んでもよい。代替的には、第2の人工組換え染色体は第3のRRSを含んでもよい。第3のRRSは、第1のRRSと第2のRRSとの組換えによって作製されるRRSであってもよい。
【0983】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0984】
別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、第1の融合細胞をSSRで処理することを含んでもよい。
【0985】
第1の融合細胞の説明は、上述のとおりである。
【0986】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【0987】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【0988】
ここで、第1の標的染色体は、2つ以上のRRS(第1のRRSおよび第2のRRS)、第1の断片、第1の部分、および第2の部分を含んでもよい。一例において、第1の標的染色体は、[第1の部分]-[第1のRRS]-[第1の断片]-[第2のRRS]-[第2の部分]からなってもよい。
【0989】
ここで、第2の標的染色体は、2つ以上のRRS(第3のRRSおよび第4のRRS)、第2の断片、第3の部分、および第4の部分を含んでもよい。一例において、第2の標的染色体は、[第3の部分]-[第3のRRS]-[第2の断片]-[第4のRRS]-[第4の部分]からなってもよい。
【0990】
一例において、第1のRRSは、Lox71およびLox66のうち一方であってもよい。ここで、第3のRRSまたは第4のRRSは、Lox71およびLox66のうち他方であってもよい。たとえば、第1のRRSがLox71である場合、第3のRRSはLox66であってもよい。代替的には、第1のRRSがLox71である場合、第4のRRSはLox66であってもよい。
【0991】
別の例において、第2のRRSは、Lox m2/71およびLox m2/66のうち一方であってもよい。ここで、第3のRRSまたは第4のRRSは、Lox m2/71およびLox m2/66のうち他方であってもよい。たとえば、第2のRRSがLox m2/71である場合、第3のRRSはLox m2/66であってもよい。代替的には、第2のRRSがLox m2/71である場合、第4のRRSはLox m2/66であってもよい。
【0992】
ここで、第1のRRSは、第3のRRSまたは第4のRRSと対合されてもよい。
【0993】
ここで、第2のRRSは、第3のRRSまたは第4のRRSと対合されてもよい。
【0994】
たとえば、第1のRRSは、第3のRRSと対合されてもよく、第2のRRSは、第4のRRSと対合されてもよい。代替的には、第1のRRSは、第4のRRSと対合されてもよく、第2のRRSは、第3のRRSと対合されてもよい。
【0995】
ここで、第1のRRSが、第3のRRSまたは第4のRRSと対合される部位は、SSRによって認識されてもよい。
【0996】
ここで、第2のRRSが、第3のRRSまたは第4のRRSと対合される部位は、SSRによって認識されてもよい。
【0997】
第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【0998】
第1の融合細胞をSSRで処理することは、タンパク質、または第1の融合細胞にSSRをコードする核酸配列の形で、第1の融合細胞にSSRを導入または送達することであってもよい。ここで、導入または送達の説明は、上述のとおりである。
【0999】
SSRは、染色体交換を誘導してもよい。
【1000】
一例において、SSRはCreリコンビナーゼであってもよい。
【1001】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1002】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第3の部分、第1の断片、および第4の部分を含む第1の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第1の人工組換え染色体は、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRS、および/または第4のRRSをさらに含んでもよい。代替的には、第1の人工組換え染色体は、第5のRRSを含んでもよい。第5のRRSは、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのうち対合される2つのRRSの組換えによって作製されるRRSであってもよい。
【1003】
代替的には、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第1の部分、第2の断片、および第2の部分を含む第2の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRS、および/または第4のRRSをさらに含んでもよい。代替的には、第2の人工組換え染色体は第5のRRSを含んでもよい。第5のRRSは、第1のRRS、第2のRRS、第3のRRSおよび第4のRRSのうち対合される2つのRRSの組換えによって作製されるRRSであってもよい。
【1004】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1005】
さらに別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、第1の融合細胞をSSRで処理することを含んでもよい。
【1006】
第1の融合細胞の説明は、上述のとおりである。
【1007】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【1008】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【1009】
ここで、第1の標的染色体は、2つ以上のRRS(第1のRRSおよび第2のRRS)、第1の断片、第1の部分、および第2の部分を含んでもよい。一例において、第1の標的染色体は、[第1の部分]-[第1のRRS]-[第1の断片]-[第2のRRS]-[第2の部分]からなってもよい。
【1010】
ここで、第1の断片は、第3のRRSおよび第4のRRSをさらに含んでもよい。この場合において、第3のRRSは、第4のRRSと対合されてもよい。
【1011】
ここで、第2の標的染色体は、2つ以上のRRS(第5のRRSおよび第6のRRS)、第2の断片、第3の部分、および第4の部分を含んでもよい。一例において、第2の標的染色体は、[第3の部分]-[第5のRRS]-[第2の断片]-[第6のRRS]-[第4の部分]からなってもよい。
【1012】
ここで、第2の断片は、第7のRRSおよび第8のRRSをさらに含んでもよい。この場合において、第7のRRSは、第8のRRSと対合されてもよい。
【1013】
一例において、第1のRRSは、Lox71およびLox66のうち一方であってもよい。ここで、第6のRRSは、Lox71およびLox66のうち他方であってもよい。たとえば、第1のRRSがLox71である場合、第6のRRSはLox66であってもよい。
【1014】
別の例において、第2のRRSは、Lox m2/71およびLox m2/66のうち一方であってもよい。ここで、第5のRRSは、Lox m2/71およびLox m2/66のうち他方であってもよい。たとえば、第2のRRSがLox m2/71である場合、第5のRRSはLox m2/66であってもよい。
【1015】
ここで、第1のRRSは、第6のRRSと対合されてもよい。
【1016】
ここで、第2のRRSは、第5のRRSと対合されてもよい。
【1017】
ここで、第1のRRSと第6のRRSとが対合される部位は、SSRによって認識されてもよい。
【1018】
ここで、第2のRRSと第5のRRSとが対合される部位は、SSRによって認識されてもよい。
【1019】
第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1020】
第1の融合細胞をSSRで処理することは、タンパク質、またはそれをコードする核酸配列を含むベクターの形で、第1の融合細胞にSSRを導入または送達することであってもよい。ここで、導入または送達の説明は、上述のとおりである。
【1021】
SSRは、染色体交換を誘導してもよい。
【1022】
一例において、SSRはCreリコンビナーゼであってもよい。
【1023】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1024】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第3の部分、逆位の第1の断片、および第4の部分を含む第1の人工組換え染色体であってもよい。ここで、逆位の第1の断片は、第1の標的染色体に含まれる第1の断片の逆位によって得られてもよい。ここで、第1の人工組換え染色体は、第1のRRS、第2のRRS、第5のRRS、および/または第6のRRSをさらに含んでもよい。代替的には、第1の人工組換え染色体は、第9のRRSをさらに含んでもよい。第9のRRSは、第1のRRS、第2のRRS、第5のRRS、および第6のRRSのうち対合される2つのRRSの組換えによって作製されるRRSであってもよい。
【1025】
代替的には、ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第1の部分、逆位の第2の断片、および第2の部分を含む第2の人工組換え染色体であってもよい。ここで、逆位の第2の断片は、第2の標的染色体に含まれる第2の断片の逆位によって得られてもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第1のRRS、第2のRRS、第5のRRS、および/または第6のRRSをさらに含んでもよい。代替的には、第2の人工組換え染色体は第9のRRSをさらに含んでもよい。第9のRRSは、第1のRRS、第2のRRS、第5のRRS、および第6のRRSのうち対合される2つのRRSの組換えによって作製されるRRSであってもよい。
【1026】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1027】
第1の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第1の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現されない場合がある。代替的には、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、第1の標的染色体を含む第1の融合細胞と比較して、第1の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。
【1028】
第2の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第2の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現されない場合がある。代替的には、第2の人工組換え染色体含まれる細胞は、第2の標的染色体を含む第1の融合細胞と比較して、第2の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。
【1029】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、特定の条件下で特定の遺伝子の発現において制御されてもよい。
【1030】
特定の条件は、人工組換え染色体を含む細胞をSSRで処理することであってもよい。ここで、特定の遺伝子は、人工組換え染色体に含まれる遺伝子であってもよい。
【1031】
一例において、第1の人工組換え染色体を含む細胞において、特定の遺伝子は、第1の人工組換え染色体の、逆位の第1の断片に存在してもよい。ここで、特定の遺伝子は、逆位の形で存在してもよい。この場合、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、SSRで処理されてもよい。第1の人工組換え染色体を含む、SSRで処理された細胞において、逆位の第1の断片は、再逆位されて(reinverted)もよい。再逆位(reinversion)は、第1の断片に含まれる第3のRRSおよび第4のRRSの対合、およびそれを認識するSSRによって生じさせてもよい。再逆位された第1の断片を含む第1の人工組換え染色体を含む細胞は、特定の遺伝子がタンパク質を発現することを可能にしてもよい。
【1032】
別の例において、第2の人工組換え染色体を含む細胞において、特定の遺伝子は、第2の人工組換え染色体の、逆位の第2の断片に存在してもよい。ここで、特定の遺伝子は、逆位の形で存在してもよい。この場合、第2の人工組換え染色体を含む細胞は、SSRで処理されてもよい。第2の人工組換え染色体を含む、SSRで処理された細胞において、逆位の第2の断片は、再逆位されてもよい。再逆位は、第2の断片に含まれる第7のRRSおよび第8のRRSの対合、およびそれを認識するSSRによって生じさせてもよい。再逆位された第2の断片を含む第2の人工組換え染色体を含む細胞は、特定の遺伝子がタンパク質を発現することを可能にしてもよい。
【1033】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞を含む動物は、特定の遺伝子の発現を調節してもよい。ここで、特定の条件は、動物へのSSRの導入または送達であってもよい。
【1034】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞を使用して作製される動物は、特定の遺伝子の発現を調節してもよい。ここで、特定の条件は、SSRの動物への導入または送達であってもよい。
[iv-2)ASCE-HR媒介染色体交換]
【1035】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、ASCE-HR媒介染色体交換法を使用する人工組換え染色体を含む細胞、およびそれを作製する方法を提供することができる。
【1036】
人工組換え染色体を含む細胞は、上で説明される第1の融合細胞を使用して作製されてもよい。
【1037】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【1038】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【1039】
ここで、第1の標的染色体は、1つまたは複数のASCEを含んでもよい。
【1040】
ここで、第2の標的染色体は、1つまたは複数のASCEを含んでもよい。
【1041】
ここで、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCEは、第2の標的染色体に含まれるASCEと同じであっても、異なっていてもよい。
【1042】
ここで、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCEは、第2の標的染色体に含まれるASCEと相補的結合を形成してもよい。
【1043】
ここで、第1の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCE、および第2の標的染色体に含まれる1つまたは複数のASCEは、少なくとも80%以上の相同性を有するヌクレオチドを含む核酸であってもよい。
【1044】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1045】
1つの例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、相同組換えを誘導する因子で第1の融合細胞を処理することを含んでもよい。
【1046】
第1の融合細胞の説明は、上述のとおりである。
【1047】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【1048】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体であってもよい。
【1049】
ここで、第1の標的染色体は、1つまたは複数のASCE(第1のASCE)、第1の断片、および第1の部分を含んでもよい。
【1050】
ここで、第2の標的染色体は、1つまたは複数のASCE(第2のASCE)、第2の断片、および第2の部分を含んでもよい。
【1051】
ここで、第1のASCEは、第2のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【1052】
ここで、第1のASCEおよび第2のASCEは、少なくとも80%以上の相同性を有するヌクレオチドを含む核酸であってもよい。
【1053】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1054】
相同組換えを誘導する因子は、第1の標的染色体および/または第2の標的染色体の二本鎖切断(DSB)を誘導する因子であってもよい。
【1055】
相同組換えを誘導する因子は、第1の標的染色体および/または第2の標的染色体の一本鎖切断(SSB)を誘導する因子であってもよい。
【1056】
ここで、相同組換えを誘導する因子は、染色体切断物質(染色体異常を誘導する物質)であってもよい。染色体切断物質は、電離放射線、UV、X線、γ線、反応性酸素種、または特定の化学物質であってもよい。特定の化学物質は、たとえば、ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、カンプトテシン、4-ニトロキノリン1-酸化物(4-NQO)、シスプラチン、またはEMSまたはMMSなどのメチル化剤であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1057】
ここで、相同組換えを誘導する因子は、操作されたヌクレアーゼであってもよい。たとえば、操作されたヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはクラスター化され規則的に間隔があいた短い回文構造の反復/CRISPR関連タンパク質(CRISPR/Cas)であってもよい。
【1058】
ここで、操作されたヌクレアーゼは、タンパク質、またはそれをコードする核酸配列を含むベクターの形で、第1の融合細胞に導入または送達されてもよい。タンパク質の形での導入または送達は、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、一過性の細胞圧縮もしくは圧搾(たとえば、[Lee,et al,(2012) Nano Lett.,12,6322-6327]において説明される)、脂質媒介トランスフェクション法、ナノ粒子、リポソーム、ペプチド媒介送達、またはそれらの組み合わせによって実施されてもよい。ベクターは、ウイルス性ベクターまたは組換えウイルス性ベクターであってもよい。ウイルスは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、または単純ヘルペスウイルスであってもよいが、本発明はそれらに限定されない。ここで、ベクターの形での導入または送達は、公知のトランスフェクション法を用いて非標的供給源細胞に提供されてもよい。たとえば、トランスフェクション法は、ウイルス性トランスフェクション法、試薬トランスフェクション法、または物理的トランスフェクション法であってもよい。ウイルス性トランスフェクション法では、たとえば、レンチウイルスを使用してもよい。試薬トランスフェクション法では、たとえば、リン酸カルシウム、カチオン性脂質、DEAE-デキストラン、またはPEIを使用してもよい。物理的トランスフェクション法では、たとえば、エレクトロポレーションを使用してもよい。さらに、トランスフェクション法では、リポソームを使用してもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1059】
DSBまたはSSBを使用する相同組換えは、染色体交換を誘導してもよい。
【1060】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1061】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第1の断片および第2の部分を含む第1の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第1の人工組換え染色体は、第1のASCEおよび/または第2のASCEをさらに含んでもよい。代替的には、第1の人工組換え染色体は、第3のASCEを含んでもよい。第3のASCEは、第1のASCEおよび第2のASCEの組換えによって作製されるASCEであってもよい。
【1062】
代替的には、ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第2の断片、および第1の部分を含む第2の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第1のASCEおよび/または第2のASCEをさらに含んでもよい。代替的には、第2の人工組換え染色体は第3のASCEを含んでもよい。第3のASCEは、第1のASCEおよび第2のASCEの組換えによって作製されるASCEであってもよい。
【1063】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1064】
別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、相同組換えを誘導する因子で第1の融合細胞を処理することを含んでもよい。
【1065】
第1の融合細胞の説明は、上述のとおりである。
【1066】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【1067】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【1068】
ここで、第1の標的染色体は、2つ以上のASCE(第1のASCEおよび第2のASCE)、第1の断片、第1の部分、および第2の部分を含んでもよい。一例において、第1の標的染色体は、[第1の部分]-[第1のASCE]-[第1の断片]-[第2のASCE]-[第2の部分]からなってもよい。
【1069】
ここで、第2の標的染色体は、2つ以上のASCE(第3のASCEおよび第4のASCE)、第2の断片、第3の部分、および第4の部分を含んでもよい。一例において、第2の標的染色体は、[第3の部分]-[第3のASCE]-[第2の断片]-[第4のASCE]-[第4の部分]からなってもよい。
【1070】
ここで、第1のASCEは、第3のASCEまたは第4のASCEと相補的結合を形成してもよい。この場合、第1のASCEは、第3のASCEまたは第4のASCEと少なくとも80%以上の相同性を有するヌクレオチドを含む核酸であってもよい。
【1071】
ここで、第2のASCEは、第3のASCEまたは第4のASCEと相補的結合を形成してもよい。この場合、第2のASCEは、第3のASCEまたは第4のASCEと少なくとも80%以上の相同性を有するヌクレオチドを含む核酸を含んでよい。
【1072】
ここで、第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1073】
相同組換えを誘導する因子は、第1の標的染色体および/または第2の標的染色体のDSBを誘導する因子であってもよい。
【1074】
相同組換えを誘導する因子は、第1の標的染色体および/または第2の標的染色体のSSBを誘導する因子であってもよい。
【1075】
ここで、相同組換えを誘導する因子は、染色体切断物質(染色体異常を誘導する物質)であってもよい。染色体切断物質は、電離放射線、UV、X線、γ線、反応性酸素種、または特定の化学物質であってもよい。特定の化学物質は、たとえば、ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、カンプトテシン、4-ニトロキノリン1-酸化物(4-NQO)、シスプラチン、またはEMSまたはMMSなどのメチル化剤であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1076】
ここで、相同組換えを誘導する因子は、操作されたヌクレアーゼであってもよい。操作されたヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、またはCRISPR/Casであってもよい。
【1077】
ここで、操作されたヌクレアーゼは、タンパク質、またはそれをコードする核酸配列を含むベクターの形で、第1の融合細胞に導入または送達されてもよい。誘導または送達の説明は、上述のとおりである。
【1078】
DSBまたはSSBを使用する相同組換えは、染色体交換を誘導してもよい。
【1079】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1080】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第3の部分、第1の断片、および第4の部分を含む第1の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第1の人工組換え染色体は、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および/または第4のASCEをさらに含んでもよい。代替的には、第1の人工組換え染色体は、第5のASCEを含んでもよい。第5のASCEは、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのうち相補的に結合された2つのASCEの組換えによって作製されるASCEであってもよい。
【1081】
代替的には、ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第1の部分、第2の断片、および第2の部分を含む第2の人工組換え染色体であってもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および/または第4のASCEをさらに含んでもよい。代替的には、第2の人工組換え染色体は第5のASCEを含んでもよい。第5のASCEは、第1のASCE、第2のASCE、第3のASCE、および第4のASCEのうち相補的に結合された2つのASCEの組換えによって作製されるASCEであってもよい。
【1082】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1083】
さらに別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、相同組換えを誘導する因子で第1の融合細胞を処理することを含んでもよい。
【1084】
第1の融合細胞の説明は、上述のとおりである。
【1085】
第1の融合細胞は、2つ以上の標的染色体を含んでもよい。
【1086】
2つ以上の標的染色体は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【1087】
ここで、第1の標的染色体は、2つ以上のASCE(第1のASCEおよび第2のASCE)、第1の断片、第1の部分、および第2の部分を含んでもよい。一例において、第1の標的染色体は、[第1の部分]-[第1のASCE]-[第1の断片]-[第2のASCE]-[第2の部分]からなってもよい。
【1088】
ここで、第1の断片は、第3のASCEおよび第4のASCEをさらに含んでもよい。この場合、第3のASCEは、第4のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【1089】
ここで、第2の標的染色体は、2つ以上のASCE(第5のASCEおよび第6のASCE)、第2の断片、第3の部分、および第4の部分を含んでもよい。一例において、第2の標的染色体は、[第3の部分]-[第5のASCE]-[第2の断片]-[第6のASCE]-[第4の部分]からなってもよい。
【1090】
ここで、第2の断片は、第7のASCEおよび第8のASCEをさらに含んでもよい。この場合、第7のASCEは、第8のASCEと相補的結合を形成してもよい。
【1091】
第1のASCEは、第6のASCEと相補的結合を形成してもよい。この場合、第1のASCEは、第6のASCEと少なくとも80%以上の相同性を有するヌクレオチドを有する核酸であってもよい。
【1092】
第2のASCEは、第5のASCEと相補的結合を形成してもよい。この場合、第2のASCEは、第5のASCEと少なくとも80%以上の相同性を有するヌクレオチドを有する核酸であってもよい。
【1093】
第1の標的染色体および第2の標的染色体の各々は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1094】
相同組換えを誘導する因子は、第1の標的染色体および/または第2の標的染色体のDSBを誘導する因子であってもよい。
【1095】
相同組換えを誘導する因子は、第1の標的染色体および/または第2の標的染色体のSSBを誘導する因子であってもよい。
【1096】
ここで、相同組換えを誘導する因子は、染色体切断物質(染色体異常を誘導する物質)であってもよい。染色体切断物質は、電離放射線、UV、X線、γ線、反応性酸素種、または特定の化学物質であってもよい。特定の化学物質は、たとえば、ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、カンプトテシン、4-ニトロキノリン1-酸化物(4-NQO)、シスプラチン、またはEMSまたはMMSなどのメチル化剤であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1097】
ここで、相同組換えを誘導する因子は、操作されたヌクレアーゼであってもよい。操作されたヌクレアーゼは、ZFN、TALEN、またはCRISPR/Casであってもよい。
【1098】
ここで、操作されたヌクレアーゼは、タンパク質、またはそれをコードする核酸配列を含むベクターの形で、第1の融合細胞に導入または送達されてもよい。誘導または送達の説明は、上述のとおりである。
【1099】
DSBまたはSSBを使用する相同組換えは、染色体交換を誘導してもよい。
【1100】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1101】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第3の部分、逆位の第1の断片、および第4の部分を含む第1の人工組換え染色体であってもよい。ここで、逆位の第1の断片は、第1の標的染色体に含まれる第1の断片の逆位によって得られてもよい。ここで、第1の人工組換え染色体は、第1のASCE、第2のASCE、第5のASCE、および/または第6のASCEをさらに含んでもよい。代替的には、第1の人工組換え染色体は、第9のASCEをさらに含んでもよい。第9のASCEは、第1のASCE、第2のASCE、第5のASCE、および第6のASCEのうち対合される2つのASCEの組換えによって作製されるASCEであってもよい。
【1102】
代替的には、ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、第1の部分、逆位の第2の断片、および第2の部分を含む第2の人工組換え染色体であってもよい。ここで、逆位の第2の断片は、第2の標的染色体に含まれる第2の断片の逆位によって得られてもよい。ここで、第2の人工組換え染色体は、第1のASCE、第2のASCE、第5のASCE、および/または第6のASCEをさらに含んでもよい。代替的には、第2の人工組換え染色体は第9のASCEをさらに含んでもよい。第9のASCEは、第1のASCE、第2のASCE、第5のASCE、および第6のASCEのうち対合される2つのASCEの組換えによって作製されるASCEであってもよい。
【1103】
ここで、1つまたは複数の人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子および/またはトランスポゾンITR配列をさらに含んでもよい。
【1104】
第1の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第1の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現されない場合がある。代替的には、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、第1の標的染色体を含む第1の融合細胞と比較して、第1の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。
【1105】
第2の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第2の断片に含まれる遺伝子は、タンパク質として発現されない場合がある。代替的には、第2の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の標的染色体を含む第1の融合細胞と比較して、第2の断片に含まれる遺伝子の発現パターンが異なっていてもよい。
【1106】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、特定の条件下で特定の遺伝子の発現において制御されてもよい。
【1107】
特定の条件は、人工組換え染色体を含む細胞を、相同組換えを誘導する因子で処理することであってもよい。ここで、特定の遺伝子は、人工組換え染色体に含まれる遺伝子であってもよい。
【1108】
一例において、第1の人工組換え染色体を含む細胞において、特定の遺伝子は、第1の人工組換え染色体の、逆位の第1の断片に存在してもよい。ここで、特定の遺伝子は、逆位の形で存在してもよい。この場合、第1の人工組換え染色体を含む細胞は、相同組換えを誘導する因子で処理されてもよい。相同組換えを誘導する因子で処理された第1の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第1の断片は、再逆位されてもよい。再逆位は、第1の断片に含まれる第3のASCEおよび第4のASCEの相補的結合によって生じさせてもよい。再逆位された第1の断片を含む第1の人工組換え染色体を含む細胞において、特定の遺伝子は、タンパク質を産生するように発現されてもよい。
【1109】
別の例において、第2の人工組換え染色体を含む細胞において、特定の遺伝子は、第2の人工組換え染色体の、逆位の第2の断片に存在してもよい。ここで、特定の遺伝子は、逆位の形で存在してもよい。この場合、第2の人工組換え染色体を含む細胞は、相同組換えを誘導する因子で処理されてもよい。相同組換えを誘導する因子で処理された第2の人工組換え染色体を含む細胞において、逆位の第2の断片は、再逆位されてもよい。再逆位は、第2の断片に含まれる第7のASCEおよび第8のASCEの相補的結合によって生じさせてもよい。再逆位された第2の断片を含む第2の人工組換え染色体を含む細胞において、特定の遺伝子は、タンパク質を産生するように発現されてもよい。
【1110】
さらに、上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞を含む動物は、特定の遺伝子の発現において制御されてもよい。ここで、特定の条件は、動物に相同組換えを誘導する因子を導入または送達することであってもよい。
【1111】
さらに、上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞を使用して作製される動物は、特定の遺伝子の発現において制御されてもよい。ここで、特定の条件は、動物に相同組換えを誘導する因子を誘導または送達することであってもよい。
【1112】
本明細書で開示される人工組換え染色体を作製する方法は、人工種間染色体セグメント交換(interspecies chromosome segment exchange)(AiCE)技術と呼ばれてもよい。AiCEは、人工組換え染色体を形成するために、第1の標的染色体の第1の断片を第2の標的染色体の第2の断片と交換することである。AiCEは、人工組換え染色体を形成するために、第1の標的染色体の第1の断片を第2の標的染色体の第3の断片と交換し、第1の標的染色体の第2の断片を第3の標的染色体の第4の断片と交換することである。ここで、人工組換え染色体の作製は、断片の数に限定されない。たとえば、人工組換え染色体を形成するために、第1の標的染色体の第1の断片、第2の標的染色体の第2の断片、第3の標的染色体の第3の断片が使用されてもよい。たとえば、人工組換え染色体を形成するために、第1の標的染色体の第1の断片、第2の標的染色体の第2の断片、第3の標的染色体の第3の断片、第nの標的染色体の第nの断片が使用されてもよい。
iv-3)組換えのための構成要素の除去
【1113】
本明細書で開示される別の態様によれば、人工組換え染色体を含む細胞、およびそれを作製する方法は、組換えのための構成要素を除去することをさらに含んでもよい(
図20)。
【1114】
人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法では、RRS-SSR媒介染色体交換法またはASCE-HR媒介染色体交換法を用いてもよい。
【1115】
RRS-SSR媒介染色体交換法およびASCE-HR媒介染色体交換法の説明は、上述のとおりである。
【1116】
人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、組換えのための構成要素を除去することをさらに含んでもよい。
【1117】
ここで、組換えのための構成要素は、RRSまたはASCEであってもよい。
【1118】
ここで、組換えのための構成要素は、人工組換え染色体に含まれてもよい。
【1119】
組換えのための構成要素を除去することでは、トランスポゾンシステムを用いてもよい。トランスポゾンシステムでは、当技術分野で公知の方法を用いてもよい。公知の方法としては、Fraser,MJ et al.("Acquisition of Host Cell DNA Sequences by Baculoviruses:Relationship Between Host DNA Insertions and FP Mutants of Autographa californica and Galleria mellonella Nuclear Polyhedrosis Viruses,"1983,Journal of Virology.47(2):287-300.);Sarkar,A.et al.("Molecular evolutionary analysis of the widespread piggyBac transposon family and related"domesticated"sequences,"2003,Molecular Genetics and Genomics.270(2):173-180);Bouallegue,M et al.("Molecular Evolution of piggyBac Superfamily:From Selfishness to Domestication,"2017,Genome Biology and Evolution.9(2):323-339);Grabundzija I et al.("Comparative analysis of transposable element vector systems in human cells,"2010,Mol.Ther.18(6):1200-1209);Cadinanos,J and Bradley,A("Generation of an inducible and optimized piggyBac transposon system,"2007,Nucleic Acids Research.35(12):e87);Izsvak Z and Ivics Z("Sleeping beauty transposition:biology and applications for molecular therapy,"2004,Mol.Ther.9(2):147-156);Mates L et al.("Molecular evolution of a novel hyperactive Sleeping Beauty transposase enables robust stable gene transfer in vertebrates,"2009,Nat.Genet.41(6):753-761);およびYusa,K.et al.("A hyperactive piggyBac transposase for mammalian applications,"2011,Proceedings of the National Academy of Sciences.108(4):1531-1536)が参照されてもよいが、本発明は、それらに限定されない。
【1120】
上で説明される方法(組換えのための要素を除去することを含む方法)によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、組換えのための構成要素を含まない、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1121】
ここで、人工組換え染色体を含む細胞は、RRSを含まない、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1122】
ここで、人工組換え染色体を含む細胞は、ASCEを含まない、少なくとも1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1123】
以下に、説明の便宜を図って、組換えのための構成要素を含まない人工組換え染色体を最終の人工組換え染色体として説明する。
【1124】
1つの例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、
a)第1の融合細胞をSSRで処理すること、および
b)a)において形成される細胞(第2の融合細胞)をトランスポザーゼ、またはそれをコードする核酸で処理すること、を含んでもよい。
【1125】
別の例示的な実施形態において、人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、
a)第1の融合細胞を、相同組換えを誘導する因子で処理すること、および
b)a)において形成される細胞(第2の融合細胞)をトランスポザーゼ、またはそれをコードする核酸で処理すること、を含んでもよい。
【1126】
a)第1の融合細胞をSSRで処理すること、およびa)a)において形成される第1の融合細胞を、相同組換えを誘導する因子で処理することの説明は、iv-1およびiv-2において説明されるとおりである。
【1127】
a)において作製される細胞(第2の融合細胞)は、人工組換え染色体を含む細胞であってもよい。
【1128】
ここで、人工組換え染色体は、少なくとも1つまたは複数のRRSまたはASCEを含む人工組換え染色体であってもよい。
【1129】
ここで、人工組換え染色体は、少なくとも1つまたは複数のトランスポゾンITR配列を含んでもよい。
【1130】
人工組換え染色体は、選択マーカー遺伝子をさらに含んでもよい。
【1131】
第2の融合細胞は、少なくとも1つまたは複数のRRSまたはASCEを含む、1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1132】
第2の融合細胞は、少なくとも1つまたは複数のトランスポゾンITR配列を含む、1つまたは複数の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1133】
トランスポザーゼは、ピギーバックトランスポザーゼ(PBトランスポザーゼ)またはスリーピングビューティートランスポザーゼ(Sleeping Beauty)(SBトランスポザーゼ)であってもよい。
【1134】
ここで、PBトランスポザーゼのアミノ酸配列は、以下の表4に開示される。しかしながら、以下の表4に開示されるPBトランスポザーゼは、例であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【表4】
【1135】
ピギーバックトランスポザーゼのアミノ酸配列
【1136】
トランスポザーゼ、またはそれをコードする核酸で処理することは、タンパク質、またはそれをコードする核酸配列を含むベクターの形で、導入または送達することであってもよい。ここで、導入または送達の説明は、上述のとおりである。
【1137】
上で説明される方法によって作製される人工組換え染色体を含む細胞は、少なくとも1つまたは複数の最終の人工組換え染色体を含んでもよい。
【1138】
ここで、1つまたは複数の最終の人工組換え染色体は、RRSを含まない人工組換え染色体であってもよい。
【1139】
ここで、1つまたは複数の最終の人工組換え染色体は、ASCEを含まない人工組換え染色体であってもよい。
【1140】
以下に、説明の便宜を図って、1つまたは複数の最終の人工組換え染色体を含む細胞を、最終の組換え細胞として説明する。
【1141】
融合細胞を使用する人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法の例として、人工組換え染色体を含む細胞は、第1の標的染色体含む標的細胞と第2の標的染色体を含むミクロセルとの細胞融合によって作製される融合細胞を、Creリコンビナーゼで処理することによって作製されてもよい。
【1142】
ここで、融合細胞は、第1の標的染色体および第2の標的染色体を含んでもよい。
【1143】
ここで、第1の標的染色体は、第1のRRSおよび第2のRRSを含んでもよい。ここで、1つまたは複数の遺伝子(説明の便宜上、遺伝子Aとして以下に説明される)は、第1のRRSと第2のRRSとの間に含まれてもよい。
【1144】
ここで、第2の標的染色体は、第3のRRSおよび第4のRRSを含んでもよい。ここで、1つまたは複数の遺伝子(説明の便宜上、遺伝子Bとして以下に説明される)は、第3のRRSと第4のRRSとの間に含まれてもよい。
【1145】
ここで、第1の標的染色体に含まれる遺伝子Aは、第2の標的染色体に含まれる遺伝子Bと同じである、または異なる遺伝子であってもよい。
【1146】
第1の標的染色体に存在する第1のRRSは、第2の標的染色体に存在する第3のRRSと対合されてもよく、第1の標的染色体に存在する第2のRRSは、第2の標的染色体に存在する第4のRRSと対合されてもよい。
【1147】
代替的には、第1の標的染色体に存在する第1のRRSは、第2の標的染色体に存在する第4のRRSと対合されてもよく、第1の標的染色体に存在する第2のRRSは、第2の標的染色体に存在する第3のRRSと対合されてもよい。
【1148】
対合はCreリコンビナーゼによって認識されてもよい。結果として、組換えが誘導されてもよい。
【1149】
対合およびCreリコンビナーゼを使用する組換えによって、人工組換え染色体が作製されてもよい。
【1150】
人工組換え染色体は、第1の標的染色体の遺伝子Aを遺伝子Bと交換することによって作製されてもよい。
【1151】
代替的には、人工組換え染色体は、第2の標的染色体の遺伝子Bを遺伝子Aと交換することによって作製されてもよい。
【1152】
人工組換え染色体を含む細胞は、トランスポザーゼでさらに処理されてもよい。
【1153】
ここで、トランスポザーゼ処理は、人工組換え染色体に存在するRRSを除去することであってもよい。
【1154】
上述の例は、単に例であり、各構成要素(標的染色体、標的細胞、ミクロセル、融合細胞、人工組換え染色体、リコンビナーゼ、人工組換え染色体を有する細胞など)は、目的に従って様々な仕方で、修飾または改変されてもよい。
v)選択方法
【1155】
本明細書で開示される態様によれば、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を作製する方法は、特定の細胞を選択する方法をさらに含んでもよい。
【1156】
特定の細胞は、標的細胞、ミクロセル、第1の融合細胞、第2の融合細胞、および/または最終の組換え細胞であってもよい。
【1157】
標的染色体、標的細胞、ミクロセル、第1の融合細胞、第2の融合細胞、および最終の組換え細胞の説明は、上述のとおりである。
【1158】
選択方法は、上で説明されるi)~iv)にさらに加えられてもよい。
【1159】
選択方法は、逆位の遺伝子を使用して、特定の細胞を選択することであってもよい。
【1160】
ここで、逆位の遺伝子は、逆位の選択マーカー遺伝子であってもよい。逆位の選択マーカー遺伝子は、選択マーカー遺伝子の逆位によって得られてもよい。選択マーカー遺伝子の説明は、上述のとおりである。
【1161】
ここで、特定の細胞は、標的細胞、ミクロセル、第1の融合細胞、第2の融合細胞、および/または最終の組換え細胞であってもよい。
【1162】
例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、再逆位された抗生物質耐性遺伝子によって選択されてもよい。
【1163】
抗生物質耐性遺伝子は、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、およびpuroΔTK遺伝子からの、いずれか1つまたは複数であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1164】
たとえば、ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞が選択される場合、ドナーDNAは、逆位の抗生物質耐性遺伝子、およびFRTを含んでもよい。ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞が、リコンビナーゼ、すなわちフリッパーゼ(FLP)で処理される場合、逆位の抗生物質耐性遺伝子は再逆位されてもよい。結果として、再逆位された抗生物質耐性遺伝子は正常に発現され得、ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞は、抗生物質処理によって、FLPで処理された細胞から選択されてもよい。
【1165】
別の例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、再逆位された蛍光性タンパク質遺伝子によって選択されてもよい。
【1166】
蛍光性タンパク質遺伝子は、GFP遺伝子、YFP遺伝子、RFP遺伝子、およびmCherry遺伝子からの、いずれか1つまたは複数であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1167】
たとえば、ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞が選択される場合、ドナーDNAは、逆位のGFP遺伝子、およびFRTを含んでもよい。ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞が、リコンビナーゼ、すなわちフリッパーゼ(FLP)で処理される場合、逆位のGFP遺伝子は再逆位されてもよい。結果として、再逆位されたGFP遺伝子は正常に発現され得、ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞は、蛍光性タンパク質の検出によって、FLPで処理された細胞から選択されてもよい。
【1168】
さらに別の例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、逆位された蛍光性タンパク質をコードする遺伝子によって選択されてもよい。
【1169】
蛍光性タンパク質をコードする遺伝子は、GFP遺伝子、YFP遺伝子、RFP遺伝子、およびmCherry遺伝子からの、いずれか1つまたは複数であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1170】
たとえば、ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞が選択される場合、ドナーDNAは、mCherry遺伝子、およびFRTを含んでもよい。ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞が、リコンビナーゼ、すなわちフリッパーゼ(FLP)で処理される場合、mCherry遺伝子は逆位されてもよい。結果として、逆位されたmCherry遺伝子は正常に発現され得ず、ドナーDNAが挿入された標的染色体を含む標的細胞は、蛍光性タンパク質の検出によって、FLPで処理された細胞から選択されてもよい。
【1171】
選択方法は、選択マーカーを使用して、特定の細胞を選択することであってもよい。
【1172】
ここで、選択マーカー遺伝子は、選択マーカー遺伝子であってもよい。選択マーカー遺伝子の説明は、上述のとおりである。
【1173】
ここで、特定の細胞は、標的細胞、ミクロセル、第1の融合細胞、第2の融合細胞、および/または最終の組換え細胞であってもよい。
【1174】
例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、蛍光性タンパク質の検出によって選択されてもよい。
【1175】
蛍光性タンパク質の検出に関して、特定の細胞に含まれる、少なくとも1つまたは複数の染色体は、蛍光性タンパク質をコードする遺伝子を含んでもよい。
【1176】
ここで、少なくとも1つまたは複数の染色体は、標的染色体、人工組換え染色体、および/または最終の組換え染色体であってもよい。標的染色体、人工組換え染色体、および最終の組換え染色体の説明は、上述のとおりである。
【1177】
蛍光性タンパク質をコードする遺伝子は、GFP遺伝子、YFP遺伝子、RFP遺伝子、またはmCherry遺伝子からの、いずれか1つまたは複数であってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1178】
例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、特定の細胞および非標的供給源細胞が混合された培地から、蛍光性タンパク質の検出によって選択されてもよい。
【1179】
たとえば、特定の細胞が標的細胞である場合、標的細胞は、GFP遺伝子が挿入される標的染色体を含んでもよい。この場合、特定の細胞、すなわち標的細胞は、緑色蛍光の検出によって、非特定の供給源細胞から選択されてもよい。
【1180】
関心対象である1つの特定の細胞は、2つ以上の特定の細胞が混合された培地から、蛍光性タンパク質の検出によって選択されてもよい。
【1181】
ここで、2つ以上の細胞は、標的細胞、ミクロセル、第1の融合細胞、第2の融合細胞、および最終の組換え細胞から選択される2つ以上であってもよい。
【1182】
たとえば、2つ以上の特定の細胞が、第1の融合細胞および第2の融合細胞を含む場合、第2の融合細胞は、mCherry遺伝子が挿入された人工組換え染色体を含んでもよい。この場合、関心対象である1つの特定の細胞、すなわち第2の融合細胞は、mCherry蛍光の検出によって、第1の融合細胞から選択されてもよい。
【1183】
別の例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、抗生物質耐性によって選択されてもよい。
【1184】
抗生物質耐性の検出に関して、特定の細胞に含まれる、少なくとも1つまたは複数の染色体は、抗生物質耐性遺伝子を含んでもよい。
【1185】
ここで、少なくとも1つまたは複数の染色体は、標的染色体、人工組換え染色体、および/または最終の組換え染色体を含んでもよい。標的染色体、人工組換え染色体、および最終の組換え染色体の説明は、上述のとおりである。
【1186】
抗生物質耐性遺伝子は、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、およびpuroΔTK遺伝子からの、いずれか1つまたは複数を含んでもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1187】
例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、特定の細胞および非標的供給源細胞が混合された培地から、抗生物質耐性の検出によって選択されてもよい。
【1188】
たとえば、特定の細胞が標的細胞である場合、標的細胞は、ハイグロマイシン耐性遺伝子が挿入された特定の染色体を含んでもよい。ここで、特定の細胞、すなわち標的細胞は、ハイグロマイシンに対する抗生物質耐性の検出によって、非特定の供給源細胞から選択されてもよい。
【1189】
関心対象である1つの特定の細胞は、2つ以上の特定の細胞が混合された培地から、抗生物質耐性の検出によって選択されてもよい。
【1190】
ここで、2つ以上の特定の細胞は、標的細胞、ミクロセル、第1の融合細胞、第2の融合細胞、および最終の組換え細胞から選択される2つ以上であってもよい。
【1191】
たとえば、2つ以上の特定の細胞が、第1の融合細胞および第2の融合細胞を含む場合、第2の融合細胞は、ネオマイシン耐性遺伝子が挿入された人工組換え染色体を含んでもよい。ここで、関心対象である1つの特定の細胞、すなわち第2の融合細胞は、ネオマイシンに対する抗生物質耐性の検出によって、第1の融合細胞から選択されてもよい。
【1192】
さらに別の例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、deadCas9リポーター(dCas9リポーター)によって選択されてもよい。リポーターは、マーカーを含んでもよい。リポーターは、たとえば、蛍光マーカーを含んでもよい。リポーターは、アプタマー、および/または薬剤をさらに含んでもよい。アプタマーおよび/または薬剤は、特定の物質に結合親和性を提供してもよい。
【1193】
アプタマーは、たとえば、dCas9に対する結合親和性を有してもよい。
【1194】
薬剤は、たとえば、dCas9に対する結合親和性を有してもよい。薬剤は、たとえば、抗dCas9抗体、または抗体バリアントであってもよい。抗体バリアントは、たとえば、抗原結合断片(Fab)、F(ab)'2、単一特異性Fab2、二重特異性Fab2、三重特異性Fab2、一価Ig、単鎖可変断片(scFv)、二重特異性ダイアボディ、単鎖可変断片-結晶化可能断片(scFv-Fc)、ミニボディ、免疫グロブリン新規抗原受容体(IgNAR)可変新規抗原受容体(V-NAR)、重鎖免疫グロブリンG(hcIgG)、および重鎖抗体の可変ドメイン(VhH)のうちいずれか1つまたは複数を含んでもよいが、本発明は、それらに限定されない。
【1195】
dCas9リポーターの検出に関して、特定の細胞は、gRNA、またはそれをコードする核酸で処理されてもよい。
【1196】
gRNAは、gRNA標的配列に結合してもよい。gRNA標的配列は、gRNAに対するセンス配列を含んでもよい。gRNA標的配列は、gRNAに対するアンチセンス配列を含んでもよい。gRNA標的配列は、非標的供給源染色体に存在しない場合があるが、標的染色体および人工組換え染色体に存在する配列から選択されてもよい。gRNA標的配列は、ドナーDNAによって、非標的供給源染色体の標的配列に挿入されてもよい。非標的供給源染色体および標的配列は、上で説明された。
【1197】
gRNA標的配列および/またはgRNAの候補群は、in silico設計によって抽出されてもよい。
【1198】
例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、特定の細胞および非標的供給源細胞が混合された培地から、dCas9リポーター(dCas9リポーター)の検出によって選択されてもよい。
【1199】
たとえば、特定の細胞は、gRNA標的配列を含む、標的染色体または人工組換え染色体を含んでもよい。ここで、特定の細胞は、gRNA、dCas9、およびリポーターアプタマーでの処理、ならびにリポーターアプタマーに含まれるマーカーの検出によって、非標的供給源細胞から選択されてもよい。
【1200】
関心対象である1つの特定の細胞は、2つ以上の特定の細胞が混合した培地から、dCas9リポーターの検出によって選択されてもよい。
【1201】
たとえば、2つ以上の特定の細胞がミクロセルの群であり、関心対象の1つの特定の細胞が、標的染色体を含むミクロセルである場合、標的染色体は、gRNA標的配列を含んでもよい。ここで、標的染色体を含むミクロセルは、gRNA、dCas9、およびリポーターアプタマーでの処理、ならびにリポーターアプタマーに含まれるマーカーの検出によって、ミクロセルの群から選択されてもよい。
【1202】
別の例示的な実施形態によれば、特定の細胞は、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)法によって選択され得る。FISH法の例として、抗体-リポーターが使用されてもよい。染色体固有の凝縮構造、および/または染色体の特定の配列に対する抗体の結合親和性を使用して、抗体-リポーターを使用して標的配列を検出してもよい。抗体-リポーターを使用するFISH法では、公知の方法を使用してもよい。
【1203】
特定の細胞は、抗体標的配列を含む染色体を含んでもよい。
【1204】
ここで、抗体標的配列を含む染色体は、標的染色体、人工組換え染色体、および/または最終の組換え染色体を含んでもよい。標的染色体、人工組換え染色体、および最終の組換え染色体の説明は、上述のとおりである。
【1205】
FISH法の検出に関して、特定の細胞は、抗体-リポーターで処理されてもよい。抗体-リポーターは、一次抗体およびリポーターが接続された構築物を意味してもよい。さらに、抗体-リポーターは、一次抗体の1つの領域に対して結合親和性を有する二次抗体、およびリポーターが接続された構築物を意味してもよい。この場合、抗体-リポーターでの処理は、一次抗体処理の後、時間的に連続して二次抗体-リポーター構築物を提供することを含んでもよい。
【1206】
抗体は、染色体上の抗体標的配列に結合してもよい。
【1207】
抗体標的配列および/または抗体の候補群は、in silico設計によって抽出されてもよい。
【1208】
例示的な実施形態によれば、関心対象である1つの特定の細胞は、2つ以上の特定の細胞が混合された培地から、FISH法検出によって選択されてもよい。
【1209】
ここで、2つ以上の特定の細胞は、標的細胞、ミクロセル、第1の融合細胞、第2の融合細胞、および最終の組換え細胞から選択される2つ以上であってもよい。
【1210】
たとえば、2つ以上の特定の細胞が、第1の融合細胞および第2の融合細胞である場合、第2の融合細胞は、抗体標的配列を含む人工組換え染色体を含んでもよい。ここで、第2の融合細胞は、抗体-リポーターの処理、およびリポーターに含まれるマーカーの検出によって、第1の融合細胞から選択されてもよい。抗体は、抗体標的配列に結合してもよい。抗体標的配列は、人工組換え染色体の1つの領域である。
【1211】
本明細書における開示の一態様は、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を使用して動物を作製する方法に関する。
【1212】
動物を作製する方法では、1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞を使用してもよい。
【1213】
動物は、非ヒト動物であってもよい。
【1214】
ここで、非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、またはサルであってもよいが、本発明はそれらに限定されない。
【1215】
動物は、トランスジェニック(形質転換された)非ヒト動物であってもよい。
【1216】
ここで、形質転換は、1つまたは複数の人工組換え染色体によって生じさせてもよい。
【1217】
ここで、トランスジェニック(形質転換された)非ヒト動物は、野性型非ヒト動物と比較して、1つまたは複数の異なる表現型を有してもよい。1つまたは複数の異なる表現型は、1つまたは複数の人工組換え染色体によって生じさせてもよい。
【1218】
1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞の説明は、上述のとおりである。
【1219】
1つまたは複数の人工組換え染色体を含む細胞は、第2の融合細胞または最終の人工組換え細胞であってもよい。
【1220】
第2の融合細胞および最終の組換え細胞の説明は、上述のとおりである。
体細胞核トランスファー(SCNT)
【1221】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、第2の融合細胞または最終の組換え細胞から作製される子孫が提供される。
【1222】
本明細書で開示される別の例示的な実施形態によれば、第2の融合細胞または最終の組換え細胞から子孫を作製する方法が提供される。
【1223】
第2の融合細胞または最終の組換え細胞から作製される子孫は、SCNTによって作製されてもよい。SCNTを用いて、第2の融合細胞または最終の組換え細胞からドナー核を得、ドナー核を脱核された卵子に移植することによってクローニングされた卵子を作製し、クローニングされた卵子を代理母の子宮に移植することによって子孫を生成してもよく、SCNTでは公知の方法を用いてもよい。公知の方法としては、Campbell KH et al.("Sheep cloned by nuclear transfer from a cultured cell line,"1996,Nature.380(6569): 64-6);Gupta, M. K et al. ("Transgenic Chicken,Mice,Cattle,and Pig Embryos by Somatic Cell Nuclear Transfer into Pig Oocytes,"2013,Cellular Reprogramming.15(4):322-328);またはLi,J et al.("Human embryos derived by somatic cell nuclear transfer using an alternative enucleation approach,"2009,Cloning and Stem Cells. 11(1):39-50)が参照されてもよいが、本発明はそれらに限定されない。
胚からの発生
【1224】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、第2の融合細胞または最終の組換え細胞から作製される子孫が提供される。
【1225】
本明細書で開示される別の例示的な実施形態によれば、第2の融合細胞または最終の組換え細胞から子孫を作製する方法が提供される。
【1226】
第2の融合細胞または最終の組換え細胞からの子孫は、胚発生によって作製されてもよい。胚発生は、代理母の子宮に胚を移植することによって、胚から子孫を発生させることであり、公知の方法によって用いられてもよい。
【1227】
ここで、胚は、第2の融合細胞または最終の組換え細胞であってもよい。
胚盤胞注入
【1228】
本明細書で開示される例示的な実施形態によれば、第2の融合細胞または最終の組換え細胞から作製される子孫が提供される。
【1229】
本明細書で開示される別の例示的な実施形態によれば、第2の融合細胞または最終の組換え細胞から子孫を作製する方法が提供される。
【1230】
第2の融合細胞または最終の組換え細胞から作製される子孫は、胚盤胞注入によって作製されてもよい。胚盤胞注入を使用して、遺伝子を操作した胚性幹細胞(ES細胞)を胞胚期に移植し、それによってキメラ胚盤胞を得、キメラ胚盤胞を代理母の子宮に移植することによって、子孫を発生させてもよく、公知の方法を使用してもよい。
【1231】
ここで、遺伝子を操作したES細胞は、第2の融合細胞または最終の組換え細胞であってもよい。
[実施例]
【1232】
以下に、実施例を参照しながらさらに詳細に本発明を説明する。
【1233】
実施例は、本発明をより十分に説明するために提供されるにすぎず、本発明の範囲は以下の実施例に限定されないことは当業者には明らかであろう。
実施例1.単一のRRSを使用する人工組換え染色体、およびそれを使用するトランスジェニック動物の作製
【1234】
この実施例は、本明細書で開示される染色体を使用する形質転換導入法を証明するための特定の実験的な実施例であり、染色体間での組換えによって標的遺伝子が特定の部位に挿入された人工組換え染色体を有する細胞、およびそれを使用してトランスジェニックマウスを作製する方法に関する。以下の説明は、蛍光性タンパク質をコードする遺伝子が単一のRRSを使用して免疫グロブリン重(IgH)遺伝子座の可変領域の末端に挿入された細胞、およびそれを使用するトランスジェニックマウスの作製に関する、全般的な実施例を提供し、当該実施例は、人工組換え染色体を使用する実施例に過ぎないが、本発明はそれらに限定されない。関心対象の人工組換え染色体は、以下に説明する実施例を様々な仕方で修正すること、または以下に説明する実施例以外の様々な方法を加えることによって、作製されてもよい。
実施例1-1.標的細胞を作製するためのベクター構築
【1235】
マウス胚性幹細胞(mESC)が標的mESCとして作製されるように第1のDNAドナー(第1のベクター)を設計し、ヒト線維芽細胞が標的ヒト線維芽細胞として作製されるように第2のDNAドナー(第2のベクター)を設計した。
【1236】
PCR反応において使用したtaqは一般的なPCRタグ(GoTaq G2 green(Promega社、米国))であり、PrimeSTAR(タカラバイオ株式会社、日本)を平滑末端作製のためのタグとして使用し、SimpliAmp(Thermo Fisher Scientific社、米国)をサーマルサイクラーとして使用した。T-bluntベクター(Solgent社、韓国)を、クローン作製およびDNAシークエンシングにおいて使用されるTベクターとして使用し、HITコンピテント細胞(RBC Bioscience社、米国)をコンピテント細胞として使用した。DNA組換えにおいて使用されるすべての制限酵素は、New England Biolabs社(NEB)から購入し、DNAライゲーションにおいて使用されるリガーゼはT4DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社、日本)であった。
【1237】
マウスESCターゲティングにおいて使用される第1のDNAドナー(第1のベクター)は、マウスIgH遺伝子座の可変領域(IgHV)の5'末端ターゲティングにおいて使用されるフランキング領域配列(M002)、ネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)、loxp、マウスIgHVの5'末端ターゲティングにおいて使用されるフランキング領域配列(M001)、負の選択において使用されるTK遺伝子、細菌の正の選択において使用されるアンピシリン耐性遺伝子(AmpR)、および複製開始点からなる。NeoRの場合、EcoRI部位を含むSV40プロモーター順方向遺伝子特異的プライマー(GSP)(表5、配列番号:1)、ならびにloxP配列およびSalI部位を含むブリッジ、逆方向プライマー(表5、配列番号:2、3)を使用して、オーバーハングPCR法によって、pCMV6-AC-GFPベクターを鋳型として増幅した。SalIおよびXhoI部位を有するGSP(表5、配列番号:4および5)、ならびにBamHIおよびEcoRI部位を有するGSP(表5、配列番号:6、7)を使用して、M001およびM002に対して、J1マウスゲノムDNAを鋳型としてPCR増幅を実施した。すべてのPCR産物を、T-bluntベクターへのライゲーション後、クローニングし、次いでそれらのDNA塩基配列を確認した。すべてのクローンから得られたプラスミドを、両端の制限部位に作用する制限酵素を使用して切断し、T4DNAリガーゼを使用して、BamHIおよびXhoIで処理したpOSdupdelベクターにライゲーションした(
図21)。
【1238】
ヒト線維芽細胞ターゲティングにおいて使用される第2のDNAドナー(第2のベクター)は、ヒトIgH遺伝子座の可変領域(IgHV)の5'末端ターゲティングにおいて使用されるフランキング領域配列(H002)、turboGFP-NeoR、loxp、ヒトIgHVの5'末端ターゲティングにおいて使用されるフランキング領域配列(H001)、負の選択において使用されるTK遺伝子、細菌の正の選択において使用されるAmpR、および複製開始点からなる。turboGFP-NeoRの場合、鋳型ベクター(pCMV6-AC-GFP)のマルチクローニングサイト(MCS)を除去するために、CMVプロモーターおよびturboGFP-NeoRのPCR産物を平滑末端ライゲーションに供した。HindIII部位を有する順方向GSP(表5、配列番号:8)、および逆方向GSPとしてPrimeSTAR(表5、配列番号:9)を使用するオーバーハングPCRに、CMVプロモーターを供し、順方向GSP(表5、配列番号:10)、およびloxP配列およびSalI部位を有する逆方向プライマーとしてPrimeSTAR(表5、配列番号:2、3)を使用するオーバーハングPCRに、turboGFP-NeoRを供した。SalIおよびXhoI部位を有するGSP(表5、配列番号:11および12)、ならびにBamHIおよびHindIII部位を有するGSP(表5、配列番号:13、14)を使用して、H001およびH002に対して、ヒト線維芽細胞ゲノムDNAを鋳型としてPCR増幅を実施した。すべてのPCR産物を、T-bluntベクターへのライゲーション後、クローニングし、次いでそれらのDNA塩基配列を確認した。すべてのクローンから得られたプラスミドを、両端の制限部位に作用する制限酵素を使用して切断し、T4DNAリガーゼを使用して、BamHIおよびXhoIで処理したpOSdupdelベクターにライゲーションした(
図22)。
[表5]
ベクター構築において使用されるプライマー、およびそのDNA配列
【表5】
実施例1-2.単一のRRSが挿入された染色体を含む細胞の作製
実施例1-2-1.loxPが挿入されたヒト染色体を含む標的ヒト細胞の作製
【1239】
本明細書において使用されるヒト皮膚線維芽細胞(hDF)は、Cell Engineering for Origin(CEFO)社(韓国、ソウル)から購入した。細胞増殖および維持のための基本培地として、10%ウシ胎仔血清(FBS;Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)を補った、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)を使用し、5%CO
2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて細胞をインキュベートした。一過性トランスフェクションを、リポフェクタミン3000(Invitrogen社、米国、カリフォルニア州、Carlsbad)を使用して実施した。1×10
6個の細胞をFBSおよび抗生物質を含まないDMEMに加えること、それに、NotI酵素(New England Biolabs社、米国、マサチューセッツ州、Ipswich)で1回切った第2のDNAドナー(第2のベクター)を10μg加えること、それとリポフェクタミン3000試薬を混合すること、ならびに室温にて5分間、細胞をインキュベートすることによって、トランスフェクションを実施した。5%CO
2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて24~48時間、細胞をインキュベートした(
図25)。
【1240】
第2のDNAドナー(第2のベクター)がヒトDFに挿入されているか否かを確認するために、第2のDNAドナー(第2のベクター)に存在する抗生物質耐性遺伝子を使用して細胞を選択した。ヒトDFに挿入された第2のDNAドナー(第2のベクター)に存在するネオマイシン耐性遺伝子の発現によって細胞を選択した。本明細書において使用される抗生物質は、G418(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州)であり、G418の細胞選択濃度を、細胞数計測キット-8(cell counting kit-8)(CCK-8;株式会社同仁化学研究所、日本、熊本)を用いて測定した。第2のDNAドナー(第2のベクター)でhDFをトランスフェクションし、48時間後に、400μg/mlのG418で処理した。細胞選択プロセスを4~6週間実施し、形成されたloxPが挿入されたクローンを、密にすることによってインキュベートした。選択されたhDFを、蛍光顕微鏡(オリンパス株式会社、日本、東京)を使用して、GFP発現によって確認した(
図25)。
【1241】
結果として、選択されたヒト皮膚線維芽細胞中の第2のDNAドナー(第2のベクター)にタグ付けされたGFPの発現が確認された。これに基づいて、第2のDNAドナー(第2のベクター)がヒト皮膚線維芽細胞に挿入されたことを確認することができる。
実施例1-2-2.loxPが挿入されたマウス染色体を含む標的マウス細胞の作製
【1242】
本明細書において使用されるJ1マウス胚性幹細胞(J1mESC)は、Macrogen社(韓国、ソウル)により寄贈された。J1mESCの培養では、0.1%ゼラチンコートディッシュを使用し、細胞増殖および維持のための基本培地として2i培地を使用した。FBSを含まないN2B27培地を、MEK阻害剤PD0325901(1μM)およびGSK3阻害剤CHIR99021(3μm)(ともにSigma Aldrich社製、米国、ミズーリ州、St.Louis)、および1,000U/mlのLIF(Millipore、米国、マサチューセッツ州、Billerica)で補うことによって、培養培地を調製した。5%CO
2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて、細胞をインキュベートした。一過性トランスフェクションを、リポフェクタミン3000を使用して実施した。1×10
6個の細胞をFBSおよび抗生物質を含まないOpti-MEM(Thermo Scientific社、米国、マサチューセッツ州、Waltham)に加えること、それに、NotIで1回切った第1のDNAドナー(第1のベクター)を10μg加えること、それとリポフェクタミン3000試薬を混合すること、ならびに室温にて5分間、細胞をインキュベートすることによって、トランスフェクションを実施した。5%CO
2、湿度95%、および37℃のインキュベーターにおいて24~48時間、細胞をインキュベートした(
図26)。
【1243】
第1のDNAドナー(第1のベクター)がmESCに挿入されたか否かを確認するために、第1のDNAドナー(第1のベクター)に存在するネオマイシン耐性遺伝子の発現によって細胞を選択した。本明細書において使用される抗生物質は、G418(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)であり、G418の細胞選択濃度を、細胞数計測キット-8(CCK-8;株式会社同仁化学研究所、日本、熊本)を用いて測定した。第1のDNAドナー(第1のベクター)でmESCをトランスフェクションし、48時間後に、150μg/mlのG418で処理した。細胞選択プロセスを4~6週間実施し、形成されたloxPが挿入されたクローンを、密にすることによって培養した。選択されたmESCを、蛍光顕微鏡を使用して、mCherry発現によって確認した(
図26)。
【1244】
結果として、選択されたmESCにおける第1のDNAドナー(第1のベクター)にタグ付けされたmCherryの発現が確認された。これに基づいて、第1のDNAドナー(第1のベクター)がmESCに挿入されたことを確認することができる。
実施例1-3.標的ヒト細胞を使用するミクロセルの作製
【1245】
コルセミド(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)を使用して、微小核形成を実施した。G418を使用して選択した1×106個のヒト皮膚線維芽細胞を100mmディッシュに入れて1日後、培地を20%FBS含有DMEMと交換し、線維芽細胞を0.1μg/mlのコルセミドで処理し、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートした。微小核形成が誘導されたヒト細胞を、tryLE(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)を使用して剥離させ、血清を含まないDMEMで洗浄し、5分間、1000rpmで遠心分離(LABOGENE株式会社、韓国)に供した。遠心分離に供した細胞を、予温した血清を含まないDMEM:Percoll(Sigma Aldrich社、米国、ミズーリ州、St.Louis)(1:1(v:v))に懸濁させ、最終濃度が10μg/mlになるようにサイトカラシンB(Sigma Aldrich社、米国、ミズーリ州、St.Louis)で処理した。全細胞およびミクロセルを、34~37℃で1~1.5時間、16000gの遠心分離(LABOGENE社)によって単離した。単離された全細胞およびミクロセルを50mlチューブに移し、それに血清を含まないDMEMを加え、続いて10分間、500gで遠心分離した。上清を穏やかに除去し、チューブ表面に付着されたペレットに、血清を含まないDMEMを10ml加え、8μmフィルター(GE Healthcare社、米国、イリノイ州、シカゴ)を使用して、サイズが8μm以下のミクロセルを単離した。単離されたミクロセルを含む上清を、10分間、400gで、再度遠心分離した。遠心分離されたミクロセルを、8μmフィルターを使用する方法と同じ仕方で、5μmフィルターを使用して単離した。最終的に単離されたミクロセルを、Nikon eclipse TS100光学顕微鏡(Nikon Instruments社、米国、ニューヨーク州、Melville)を使用して計数した。
【1246】
結果として、光学顕微鏡を使用して、ヒト皮膚線維芽細胞をコルセミドで処理し、次いで微小核が形成されたことを確認したが、これは、先の論文に開示される形態と同じである。さらに、形成された微小核の、サイトカラシンBでの脱核、およびミクロセルのサイズによる単離のプロセスにおいて、ミクロセルがサイズによって単離されたことを、光学顕微鏡法によって確認した。したがって、標的ヒト細胞、すなわちヒト皮膚線維芽細胞から、ミクロセルが良好に作製され、単離されたことが実証された(
図27)。
実施例1-4.ミクロセル-標的マウス細胞の融合細胞の作製
【1247】
単離されたミクロセル(ヒトミクロセル)、およびレシピエント細胞として使用されるmESCを調製した。mESCをTryLEで処理し、遠心分離した。遠心分離したmESCを、1×DPBS(Welgene社、韓国)で洗浄し、血球計数器を使用して細胞数を算出した。ヒトミクロセルとmESCとの融合を、懸濁法によって、HVJ-Eタンパク質(コスモ・バイオ株式会社、日本、東京)を使用して実施した。ヒトミクロセルのmESCに対する、算出された比は、1:4であった。調製されたヒトミクロセルおよびmESCの各々を、500μlの低温の1×細胞融合用緩衝液で洗浄した。ヒトミクロセルおよびmESCの緩衝溶液を、4℃で5分間、300gで遠心分離した。2×105個のmESC毎に25μlの1×細胞融合用緩衝液を加え、同じ体積の1×細胞融合用緩衝液をヒトミクロセルに加えた。mESCおよびヒトミクロセルを一緒に混合して、5~10μlのHVJ-Eタンパク質を当該細胞に加え、次いで細胞を氷上で5分間、放置した。混合物を37℃の水浴中に15分間、放置した。ここで、混合物を5分毎にタッピングした。ヒトミクロセルとmESCとの細胞融合後、混合物を、5分間、300gで遠心分離して残りのHVJ-Eタンパク質を除去した。融合した細胞を、mESC培養培地を含むディッシュに加え、次いで、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートした。
【1248】
結果として、ヒトミクロセルとmESCとの細胞融合後、混合物を培養培地に加え、顕微鏡を使用して観察し、mESCおよびヒトミクロセルが融合されたことが示された。HVJ-Eタンパク質を使用する方法は懸濁法である(mESC増殖の形態がコロニーの形であるため、単一の細胞で実験を行うように実施される)ため、リアルタイムの融合プロセスは確認できないが、間接的に確認された(
図28)。
実施例1-5.融合細胞を使用する、人工組換え染色体を含む細胞の作製 実施例1-5-1.融合細胞を使用する、人工組換え染色体を含む細胞の作製
【1249】
実施例1-4において形成される融合細胞において人工組換え染色体を作製するために、1×106個の融合細胞を、100μlのFBSおよび抗生物質を含まないOpti-MEMに加えた。ここで、Creリコンビナーゼを発現させるために、10μgのpCMV-Creベクター(System Biosciences有限責任会社、米国、カリフォルニア州、Palo Alto)を加え、続いて125Vで5ms、二重パルスでトランスフェクションした。300μlの2i培地を加え、細胞とよく混合した後、100mmディッシュに細胞を加え、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートして、染色体間の組換えを誘導した。
【1250】
48時間後、融合細胞がpCMV-Creベクターでトランスフェクションされていない群(-Cre)と、融合細胞がpCMV-Creベクターでトランスフェクションされた群(+Cre)との両方を、150μg/mlのG418で処理した。10~14日間、細胞を選択し、培地交換において、同様に150μg/mlのG418で2~3日毎に処理した。蛍光顕微鏡(オリンパス社)を使用して、選択された細胞の観察が確認された。
【1251】
結果として、融合細胞では、loxP部位においてCreリコンビナーゼによる特異的な転座が生じることが確認された。換言すれば、hDF染色体(第2のDNAドナーによって挿入されたGFP遺伝子を含む染色体)を、ヒトミクロセルを使用してmESCにトランスファーし、hDF染色体(第2のDNAドナーによって挿入されたGFP遺伝子を含む染色体)上に位置するloxPと、mESC染色体(第1のDNAドナーによって挿入されたmCherry遺伝子を含む染色体)上に位置するloxPの対合、およびCreリコンビナーゼによって組み換えられた人工組換え染色体が作製された。作製された人工組換え染色体は、mCherry発現が生じたmESC染色体において生じるGFP発現のみによって同定した。したがって、ヒトミクロセルを介した染色体トランスファー、およびCre-loxPを使用する染色体間の組換えが可能であることが確認された(
図29~31)。
【1252】
実施例1-5-2.蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)法を使用する人工組換え染色体の確認
[FISHプロセス]
【1253】
マウスBACプローブおよびヒトBACプローブを構築するために、RP23-192K16をマウス試料として使用し、CTD-2572o2をヒト試料として使用した。プラスミドマキシキット(Plasmid Maxi kit)(Qiagen社、ドイツ)を使用してBAC DNAを調製し、Tag FISH Tag(商標)DNA Multicolor Kit(Thermo Fisher社、米国)を使用してBACプローブを構築した。マウスBACプローブを、Alexa488蛍光色素で標識し、ヒトBACプローブをAlexa555蛍光色素で標識した(
図34)。
【1254】
FISH法において使用されるスライドを、細胞の分裂中期染色体の拡散のために、コルセミド(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)および低張液(75Mm KCl)で処理し、メタノール:酢酸(3:1)で塩基固定法(basic fixing method)によって作製した。
【1255】
FISH Tag(商標)DNA Multicolor Kit (Thermo Fisher社、米国)の基本指示に従って、FISH実験を実施した。0.05%ペプシン(Sigma Aldrich社製、米国、ミズーリ州、St.Louis)/10mM HCl溶液において、37℃で10分間、スライドを透過処理した。室温にて1分間、一連のエタノール(70%、85%および100%)でスライドを脱水し、風乾した。ハイブリダイゼーションのために、70%ホルムアミド(Sigma Aldrich社)、および72℃で2分間、pH7.0の2×SSC(Sigma Aldrich社)で、スライドを変性させ、-20℃で2分間、一連のエタノール(70%、80%、および95%)で脱水し、次いで風乾させた。ヒトBACプローブおよびマウスBACプローブの各々の最終濃度は、4ng/μlであった。72℃で5分間、各DNAプローブ2.5μl、65%ホルムアミド、および2×SSCを変性させ、氷上で冷却し、その結果得られた溶液10μlで、各スライドを処理し、ガラスのカバースリップで覆い、次いでスライドの4辺をゴムセメントでシールした。一晩、37℃で湿潤条件下に維持されたチャンバーにてハイブリダイゼーションを実施した。その後、スライドを2×SSCに浸漬してカバースリップを除去し、室温にて0.4×SSCで平衡化し、73℃で2分間、0.4×SSC中に置き、次いで、室温にてリン酸緩衝食塩水(PBS)を加えることによって洗浄した。Vectashield mounting mediumおよびDAPI(Vector Laboratories社、米国、カリフォルニア州、Burlingame)を使用して核染色を実施した。
【1256】
Airyscanを使用して、LSM800共焦点顕微鏡(Carl Zeiss社、ドイツ)下でスライドを観察した。40×/1.2のプラン-アポクロマート(Plan-Apochromat)対物レンズ、および63×/1.4NAのプラン-アポクロマート油対物レンズを使用してスライドを観察し、Zeiss Zen Blueソフトウェアを使用して共焦点顕微鏡画像を解析した。
[FISHの結果]
【1257】
人工組換え染色体を含む細胞を選択した後、ヒト染色体14番特異的ヒトBACプローブ(Alexa555)、およびマウス染色体15番特異的マウスBACプローブ(Alexa488)を使用して、FISH実験を実施した。細胞の染色体を、DAPI染色(40×)によって、63×油対物レンズを使用して確認した。ヒトBACプローブの蛍光(Alexa555)およびマウスBACプローブの蛍光(Alexa488)は、人工組換え染色体を有する融合細胞中の同じ部位で発せられ、4.1Mbのマウス染色体12番の末端がヒト染色体14番の末端にトランスファーされたことを裏付けた(
図34および
図35)。
実施例1-6.人工組換え染色体を含む細胞を使用するトランスジェニック動物の作製
【1258】
人工組換え染色体を有する細胞を使用してトランスジェニック動物を作製するために、実施例1-5において得られる人工組換え染色体を有する細胞をFIAUで処理する。処理後に得られる細胞を、胚盤胞注入によって胞胚に移植し、それによってキメラ胚盤胞を作製する。作製されたキメラ胚盤胞を代理母の子宮に移植し、それによってマウスの子孫を作製する。作製されたマウスの子孫はキメラトランスジェニックマウスであり、ヘテロ接合体トランスジェニックマウス、またはホモ接合体トランスジェニックマウスを、キメラトランスジェニックマウスを繁殖させることによって作製する。
【1259】
作製されたトランスジェニックマウスは、マウスゲノム上のIgHVの5'末端にGFP遺伝子を有するマウスである。ここで、トランスジェニックマウスは、胚盤胞注入以外の様々な方法によって作製することができる。実施例2.2つのRRSを使用する人工組換え染色体の作製、およびそれを使用するトランスジェニック動物の作製
【1260】
この実施例は、本明細書で開示される染色体を使用する形質転換導入法を証明するための実験的な実施例であり、染色体間での組換えによって関心対象の遺伝子が特定の位置で挿入される人工組換え染色体を含む細胞、およびそれを使用してトランスジェニックマウスを作製する方法に関する。以下の説明は、抗生物質耐性遺伝子が、2つのRRSを使用してIgH遺伝子座の可変領域の末端に挿入される細胞、およびそれを使用するトランスジェニックマウスの作製に関する、全般的な実施例を提供し、当該実施例は、人工組換え染色体を使用する実施例に過ぎないが、本発明はそれらに限定されない。関心対象の人工組換え染色体は、以下に説明する実施例を様々な仕方で修正することによって、または以下に説明する実施例以外の様々な方法を加えることによって、作製されてもよい。
実施例2-1.標的細胞を作製するためのベクター構築
【1261】
マウス胚性幹細胞(mESC)が標的mESCとして作製されるように第1のDNAドナー(第1のベクター)を設計し、ヒト線維芽細胞が標的ヒト線維芽細胞として作製されるように第2のDNAドナー(第2のベクター)を設計した。
【1262】
PCR反応において使用したtaqは一般的なPCRタグ(GoTaq G2 green(Promega社、米国))であり、PrimeSTAR(タカラバイオ株式会社、日本)を平滑末端作製のためのタグとして使用し、SimpliAmp(Thermo Fisher Scientific社、米国)をサーマルサイクラーとして使用した。T-bluntベクター(Solgent社、韓国)を、クローン作製およびDNAシークエンシングにおいて使用されるTベクターとして使用し、HITコンピテント細胞(RBC Bioscience社、米国)をコンピテント細胞として使用した。DNA組換えにおいて使用されるすべての制限酵素は、New England Biolabs社(NEB)から購入し、DNAライゲーションにおいて使用されるリガーゼはT4DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社、日本)であった。
【1263】
マウスESCターゲティングにおいて使用される第1のDNAドナー(第1のベクター)は、M002、CMVプロモーター、Loxm2/71、ハイグロマイシン耐性遺伝子(HygroR)、lox66、M001、負の選択において使用されるTK遺伝子、細菌の正の選択において使用されるAmpR、および複製開始点からなる。CMVプロモーターの場合、オーバーハングPCRを、XhoI部位を有する順方向GSP(表5、配列番号:15)、およびKpnI部位を有する逆方向GSP(表5、配列番号:16)を使用して、pCMV6-AC-GFPベクターを鋳型として実施した。HygroRの場合、オーバーハングPCRを、KpnI部位およびloxm2/71を有する順方向GSP(表5、配列番号:17)、ならびにlox66およびSalI部位を有する逆方向GSP(表5、配列番号:18)を使用して、pSecTag2-hygroAベクターを鋳型として実施した。CMVプロモーターおよびHygroRのPCR産物をT-bluntベクターにライゲーションし、次いでクローニングし、続いてDNA塩基配列が確認された。2つのクローンから得られたプラスミドを、両端の制限部位に作用する制限酵素を使用して切断し、次いで、T4DNAリガーゼを使用してXhoIおよびSalIで処理した、実施例1-1の第1のベクターにライゲーションした(
図23)。
【1264】
ヒト線維芽細胞ターゲティングにおいて使用される第2のDNAドナー(第2のベクター)は、H002、lox71、逆位puroΔTK、loxm2/66、NeoR、H001、負の選択において使用されるTK遺伝子、細菌の正の選択において使用されるAmpR、および複製開始点からなる。逆位puroΔTKの場合、オーバーハングPCRを、XhoI部位およびlox71を有する順方向GSP(表5、配列番号:19)、ならびにloxm2/66およびHindIIIを有する逆方向GSP(表5、配列番号:20)を使用して、合成DNAを鋳型として実施した。NeoRの場合、オーバーハングPCRを、HindIIIを有する順方向GSP(表5、配列番号:21)、およびSalIを有する逆方向GSP(表5、配列番号:22)を使用して、pCMV6-AC-GFPベクターを鋳型として実施した。Lox71-逆位puroΔTK-loxm2/66およびNeoRのPCR産物を、T-bluntベクターへのライゲーション後、クローニングし、それらのDNA塩基配列が確認された。2つのクローンから得られたプラスミドを、両端の制限部位に作用する制限酵素を使用して切断し、次いでT4DNAリガーゼを使用して、XhoIおよびSalIで処理した、実施例1-1の第2のベクターにライゲーションした(
図24)。
実施例2-2.2つのRRSが挿入された染色体を含む細胞の作製
実施例2-2-1.2つのloxPが挿入されたヒト染色体を含む標的ヒト細胞の作製
【1265】
本明細書において使用される正常ヒト包皮線維芽細胞株(BJ)は、ATCC(米国、バージニア州、Manassas)から購入した。細胞を増殖および維持するための基本培養培地として、10%ウシ胎仔血清(FBS;Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)を含有する、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)を使用し、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて細胞をインキュベートした。一過性トランスフェクションを、Nepa21(ネッパジーン株式会社、日本、千葉)エレクトロポレーターを使用して実施した。1×106個の細胞を100μlのFBSおよび抗生物質を含まないOpti-MEMに加えること、それに、NotIで1回切った第2のDNAドナー(第2のベクター)を10μg加えることによって、150Vで7.5ms、二重パルスでトランスフェクションを実施した。300μlの10%FBS含有培地を加え、細胞とよく混合した後、100mmディッシュに細胞を加え、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて24~48時間、インキュベートした。
【1266】
第2のDNAドナー(第2のベクター)がヒト細胞株BJに挿入されたか否かを確認するために、第2のDNAドナー(第2のベクター)に存在する抗生物質耐性遺伝子を使用して細胞を選択した。第2のDNAドナー(第2のベクター)に存在するネオマイシン耐性遺伝子の発現によって、BJ細胞株から細胞を選択した。本明細書において使用される抗生物質は、G418(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州)であり、G418の細胞選択濃度を、細胞数計測キット-8(CCK-8;株式会社同仁化学研究所、日本、熊本)を用いて測定した。第2のDNAドナー(第2のベクター)でBJ細胞をトランスフェクションし、48時間後に、300μg/mlのG418で処理した。細胞選択プロセスを4~6週間実施し、形成されたloxPが挿入されたクローンを、密にすることによってインキュベートした。
【1267】
結果として、第2のDNAドナー(第2のベクター)に挿入された抗生物質耐性遺伝子の発現を確認することによって、対照群において、選択期間中にすべての細胞が死滅したが、第2のDNAドナー(第2のベクター)が挿入された群において、選択期間中にコロニーが同定されたことが示された。抗生物質を継続的に加えながらでも細胞の増殖および維持が継続したため、第2のDNAドナー(第2のベクター)の発現が継続的に生じることを認めることができる。
実施例2-2-2.2つのloxPが挿入されたマウス染色体を含む標的マウス細胞の作製
【1268】
本明細書において使用されるJ1マウス胚性幹細胞(J1mESC)は、Macrogen社(韓国、ソウル)により寄贈された。J1mESCを0.1%ゼラチンコートディッシュに播き、細胞を増殖し、維持するための基本培養培地として2i培地を使用し、MEK阻害剤PD0325901(1μM)およびGSK3阻害剤CHIR99021(3μm)(ともにSigma Aldrich社製、米国、ミズーリ州、St.Louis)、および1,000U/mlのLIF(Millipore、米国、マサチューセッツ州、Billerica)を、FBSを含まないN2B27培地に加えることによって調製した。5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて、細胞をインキュベートした。一過性トランスフェクションを、Nepa21(ネッパジーン株式会社、日本、千葉)エレクトロポレーターを使用して実施した。1×106個の細胞を100μlのFBSおよび抗生物質を含まないOpti-MEMに加えること、それに、NotIで1回切った第1のDNAドナー(第1のベクター)を10μg加えることによって、125Vで5ms、二重パルスでトランスフェクションを実施した。300μlの2i培地を加え、細胞とよく混合した後、100mmディッシュに細胞を播種し、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて24~48時間、インキュベートした。
【1269】
第1のDNAドナー(第1のベクター)がmESCに挿入されたか否かを確認するために、第1のDNAドナー(第1のベクター)に存在するハイグロマイシン耐性遺伝子の発現によって細胞を選択した。本明細書において使用される抗生物質は、ハイグロマイシンB(富士フイルム和光純薬株式会社、日本、大阪)であり、ハイグロマイシンの細胞選択濃度を、細胞数計測キット-8(CCK-8;株式会社同仁化学研究所、日本、熊本)を用いて測定した。第1のDNAドナー(第1のベクター)でmESCをトランスフェクションし、48時間後に、32μg/mlのハイグロマイシンで処理した。細胞選択プロセスを4~6週間実施し、形成されたloxPが挿入されたクローンを、密にすることによって培養した。
【1270】
結果として、第1のDNAドナー(第1のベクター)に挿入された抗生物質耐性遺伝子の発現を確認することによって、対照群において、選択期間中にすべての細胞が死滅したが、第1のDNAドナー(第1のベクター)が挿入された群において、選択期間中にコロニーが同定されたことが示された。抗生物質を継続的に加えながらでも細胞の増殖および維持が継続したため、ターゲティングベクターの発現が継続的に生じたことを認めることができる。
実施例2-3.標的ヒト細胞を使用するミクロセルの作製
【1271】
コルセミド(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)を使用して、微小核形成を実施した。G418を使用して選択した正常ヒト包皮線維芽細胞株(BJ)の1×106個の細胞を100mmディッシュに播種して1日後、培地を20%FBS含有DMEMと交換し、細胞を0.1μg/mlのコルセミドで処理し、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートした。微小核形成が誘導されたヒト細胞を、tryLE(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)を使用して剥離させ、血清を含まないDMEMで洗浄し、5分間、1000rpmで遠心分離(LABOGENE株式会社、韓国)に供した。遠心分離に供した細胞を、予温した血清を含まないDMEM:Percoll(Sigma Aldrich社、米国、ミズーリ州、St.Louis)(1:1(v:v))に懸濁させ、最終濃度が10μg/mlになるようにサイトカラシンB(Sigma Aldrich社、米国、ミズーリ州、St.Louis)で処理した。全細胞およびミクロセルを、34~37℃で1~1.5時間、16000gの遠心分離(LABOGENE社)によって単離した。単離された全細胞およびミクロセルを50mlチューブに移し、それに血清を含まないDMEMを加え、続いて10分間、500gで遠心分離した。上清を穏やかに除去し、チューブ表面に付着されたペレットに、血清を含まないDMEMを10ml加え、8μmフィルター(GE Healthcare社、米国、イリノイ州、シカゴ)を使用して、サイズが8μm以下のミクロセルを単離した。単離されたミクロセルを含む上清を、10分間、400gで、再度遠心分離した。遠心分離されたミクロセルを、8μmフィルターを使用する方法と同じ仕方で、5μmフィルターを使用して単離した。最終的に単離されたミクロセルを、Nicon eclipse TS100光学顕微鏡(Nicon Instruments社、米国、ニューヨーク州、Melville)を使用して計数した。
【1272】
結果として、光学顕微鏡を使用して、正常ヒト包皮線維芽細胞株(BJ)をコルセミドで処理し、次いで微小核が形成されたことを確認したが、これは、先の論文に開示される形態と同じである。さらに、形成された微小核の、サイトカラシンBでの脱核、およびミクロセルのサイズによる単離のプロセスにおいて、サイズによってミクロセルが単離されたことを、光学顕微鏡法によって確認した。したがって、標的ヒト細胞、すなわち正常ヒト包皮線維芽細胞株(BJ)から、ミクロセルが良好に作製され、単離されたことが実証された。
実施例2-4.ミクロセル-標的マウス細胞の融合細胞の作製
【1273】
単離されたミクロセル(ヒトミクロセル)、およびレシピエント細胞として使用されるmESCを調製した。mESCをTryLEで処理し、遠心分離した。遠心分離したmESCを、1×DPBS(Welgene社、韓国)で洗浄し、血球計数器を使用して細胞数を算出した。ヒトミクロセルとmESCとの融合を、懸濁法によって、HVJ-Eタンパク質(コスモ・バイオ株式会社、日本、東京)を使用して実施した。ヒトミクロセルのmESCに対する、算出された比は、1:4であった。調製されたヒトミクロセルおよびmESCの各々を、500μlの低温の1×細胞融合用緩衝液で洗浄した。ヒトミクロセルおよびmESCの緩衝溶液で、4℃で5分間、300gで遠心分離を実施した。2×105個のmESC毎に25μlの1×細胞融合用緩衝液を加え、同じ体積の1×細胞融合用緩衝液をヒトミクロセルに加えた。mESCおよびヒトミクロセルを一緒に混合して、5~10μlのHVJ-Eタンパク質をそれに加え、次いで細胞を氷上で5分間、放置した。混合物を37℃の水浴中に15分間、放置した。ここで、混合物を5分毎にタッピングした。ヒトミクロセルとmESCとの細胞融合が完了した後、5分間、300gで遠心分離することによって、残りのHVJ-Eタンパク質を除去した。融合した細胞を、mESC培養培地を含むディッシュに入れ、次いで、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートした。
【1274】
結果として、ヒトミクロセルとmESCとの細胞融合後、混合物を培養培地に加え、顕微鏡を使用して観察し、mESCおよびヒトミクロセルが融合されたことが示された。HVJ-Eタンパク質を使用する方法は懸濁法(mESC増殖の形態がコロニーの形であるため、単一の細胞で実験を行うように実施される)であるため、リアルタイムの融合プロセスは確認できないが、間接的に確認された。
実施例2-5.融合細胞を使用する、人工組換え染色体を含む細胞の作製
【1275】
実施例2-4において形成される融合細胞において人工組換え染色体を作製するために、1×106個の融合細胞を、100μlのFBSおよび抗生物質を含まないOpti-MEM培地に加えた。ここで、Creリコンビナーゼを発現させるために、10μgのpCMV-Creベクター(System Biosciences有限責任会社、米国、カリフォルニア州、Palo Alto)を加え、続いて125Vで5ms、二重パルスでトランスフェクションした。300μlの2i培地を加え、細胞とよく混合した後、100mmディッシュに細胞を加え、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートした。
【1276】
48時間後、6ウェルプレートに5×104個の融合細胞を播種し、0.6μg/mlのピューロマイシンで処理した。ピューロマイシン濃度は、細胞数計測キット-8(CCK-8;株式会社同仁化学研究所、日本、熊本)を用いて適切な濃度として決定した。細胞を1週間成長させ、2日または3日毎に、新鮮な培地およびピューロマイシンで処理した。細胞の固定と染色のためにクリスタルバイオレット(crystal violet)(Sigma Aldrich社製、米国、ミズーリ州、St.Louis)を使用し、サイズがおよそ70μmであるmESCのコロニーを計数した。グラフパッドプリズム(GraphPad PRISM)(バージョン5.01)を使用してグラフをプロットし、3つの群の間の統計的有意性をone-way ANOVAによって推定した。
【1277】
結果として、人工組換え染色体を含む細胞を選択するプロセスは、実施例2-1においても説明されたが、細胞は、融合細胞に対して処理されたCreリコンビナーゼによる、逆位されたピューロマイシン耐性遺伝子の正常な発現によって選択された。換言すれば、ヒト細胞株BJの染色体(第2のDNAドナーによって挿入された逆位puroΔTK遺伝子を含む染色体)を、ヒトミクロセルを介してmESCにトランスファーし、BJ染色体(第2のDNAドナーによって挿入された逆位puroΔTK遺伝子遺伝子を含む染色体)上に位置する2つのloxP(第1のloxPおよび第2のloxP)と、mESC染色体(第1のDNAドナーによって挿入されたハイグロマイシン耐性遺伝子を含む染色体)上に位置する2つのloxP(第3のloxPおよび第4のloxP)との対合(第1のloxPと第4のloxPとの対合;および第2のloxPと第3のloxPとの対合)、およびCreリコンビナーゼによって組み換えられた人工組換え染色体が作製された。作製された人工組換え染色体は、再逆位されたpuroΔTK遺伝子を含み、ピューロマイシンで各群を処理することによって、細胞の生存を確認した。結果として、Creリコンビナーゼの発現を受けた群においてmESC増殖が生じることが確認された。したがって、人工組換え染色体の作製によってpuroΔTK遺伝子が正常に発現したことを認めることができる(
図32および
図33)。
実施例2-6.人工組換え染色体を含む細胞を使用するトランスジェニック動物の作製
【1278】
人工組換え染色体を含む細胞を使用してトランスジェニック動物を作製するために、実施例2-5において得られる人工組換え染色体を含む細胞をFIAUで処理する。処理後に得られる細胞を、胚盤胞注入によって胞胚に移植し、それによってキメラ胚盤胞を構築する。構築されたキメラ胚盤胞を代理母の子宮に移植してマウスの子孫を作製する。作製されたマウスの子孫はキメラトランスジェニックマウスであり、ヘテロ接合体トランスジェニックマウス、またはホモ接合体トランスジェニックマウスを、キメラトランスジェニックマウスを繁殖させることによって作製する。
【1279】
作製されたトランスジェニックマウスは、マウスゲノム上にpuroΔTK遺伝子を有するマウスである。ここで、トランスジェニックマウスは、胚盤胞注入以外の様々な方法によって作製することができる。
実施例3.人工組換え染色体を使用するトランスジェニック動物の作製
【1280】
この実施例は、ヒト化マウスを作製する方法に関し、特にヒト化特異的遺伝子を有する染色体、すなわち人工組換え染色体を有するトランスジェニックマウスに関する。以下の説明は、IgH遺伝子座の可変領域がヒト化されたトランスジェニックマウスを作製するための全般的な実施例に関し、当該実施例は、人工組換え染色体を使用する実施例に過ぎないが、本発明はそれらに限定されない。関心対象の人工組換え染色体は、以下に説明する実施例を様々な仕方で修正することによって、かつ以下に説明する実施例以外の様々な方法を加えることによって、作製されてもよい。
[実施例3-1.標的細胞を作製するためのベクター構築]
【1281】
マウス胚性幹細胞(mESC)から標的mESCを作製するために、第1のDNAドナー(第1のベクター)および第2のDNAドナー(第2のベクター)を調製する。
【1282】
第1のベクターは、マウスIgH遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメント、Dセグメント、およびJセグメント)の5'末端のターゲティングにおいて使用される第1の相同腕、ピギーバック末端反復(PB-TR)、プロモーター、loxm2/66(第1のRRS)、ブラストサイジン耐性遺伝子、プロモーター、FRT、およびマウスIgH遺伝子座の可変領域の5'末端のターゲティングにおいて使用される第2の相同腕からなる。
【1283】
第2のベクターは、マウスIgH遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメント、Dセグメント、およびJセグメント)の3'末端のターゲティングにおいて使用される第3の相同腕、逆位ハイグロマイシン耐性遺伝子、FRT、lox71(第2のRRS)、プロモーター、ネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)、ピギーバック末端反復(PB-TR)、およびマウスIgH遺伝子座の可変領域の3'末端のターゲティングにおいて使用される第4の相同腕からなる。
【1284】
標的ヒト線維芽細胞となるヒト線維芽細胞を作製するために、第3のDNAドナー(第3のベクター)および第4のDNAドナー(第4のベクター)を使用する。
【1285】
第3のベクターは、ヒトIgH遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメント、Dセグメント、およびJセグメント)の5'末端のターゲティングにおいて使用される第5の相同腕、プロモーター、ブラストサイジン耐性遺伝子、lox66(第3のRRS)、プロモーター、FRT、およびヒトIgH遺伝子座の可変領域の5'末端のターゲティングにおいて使用される第6の相同腕からなる。
【1286】
第4のベクターは、ヒトIgH遺伝子座の可変領域(すべてのVセグメント、Dセグメント、およびJセグメント)の3'末端のターゲティングにおいて使用される第7の相同腕、ピギーバック末端反復(PB-TR)、逆位ハイグロマイシン耐性遺伝子、FRT、逆位puroΔTK遺伝子、loxm2/71(第4のRRS)、プロモーター、ネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)、およびヒトIgH遺伝子座の可変領域の3'末端のターゲティングにおいて使用される第8の相同腕からなる。
【1287】
ここで、DNAドナーは目的に従って様々な形で設計されてもよく、選択プロセスのための様々な要素をさらに含むように設計は修正することができる。
実施例3-2.RRSが挿入された染色体を含む細胞の作製
実施例3-2-1.RRSが挿入されたヒト染色体を含む標的ヒト細胞の作製
【1288】
本明細書において使用されるヒト線維芽細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS;Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)を含有する、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Corning社、米国、バージニア州、Mannasas)を含有する培地、ならびに5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて、増殖および維持のために培養した。一過性トランスフェクションを、リポフェクタミン3000(Invitrogen社、米国、カリフォルニア州、Carlsbad)、またはNepa21(NEPAGENE株式会社、日本、千葉)エレクトロポレーターを使用して実施する。1×106個の細胞をFBSおよび抗生物質を含まない培地に播種すること、それに10μgの第3のベクターを加えること、それとリポフェクタミン3000試薬を混合すること、ならびに室温にて5分間、細胞をインキュベートすることによって、一過性トランスフェクションを実施する。代替的には、10μgの第3のベクターを加え、150Vで7.5ms、二重パルスでトランスフェクションを実施する。5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて24~48時間、トランスフェクションした細胞をインキュベートする。
【1289】
第3のベクターが、ヒトIgH遺伝子座の可変領域の5'末端に挿入されているか否かを確認するために、トランスフェクションした細胞をブラストサイジンで処理することによって確認される細胞の生存にしたがって、第3のベクターの挿入を確認する。ブラストサイジン処理の後、生存細胞を得、第3のベクターのために使用されるのと同じ方法によって、第4のベクターでトランスフェクションする。5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて24~48時間、トランスフェクションした細胞をインキュベートする。第4のベクターが、ヒトIgH遺伝子座の可変領域の3'末端に挿入されているか否かを確認するために、トランスフェクションした細胞をG418(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州)で処理することによって、第4のベクターの挿入を確認する。G418処理の後、生存細胞を得る。
【1290】
第3のベクターおよび第4のベクターが、同じ染色体(ヒトIgH遺伝子座を有する染色体)に挿入されているか否かを確認するために、G418処理後に得られた細胞をリコンビナーゼ、フリッパーゼ(FLP)で処理する。第3のベクターおよび第4のベクターが同じ染色体に挿入されている場合、当該2つのベクターに存在するFRTおよび処理したFLPによる組換えを誘導することによって、ヒトIgH遺伝子座の可変領域は逆位される。これを確認するために、FRT-FLP組換えが誘導された細胞をゼオシンで処理し、次いで、細胞の生存に従って、同じ染色体への第3のベクターおよび第4のベクターの挿入を確認する。ゼオシン処理の後、生存細胞を得る。得られた細胞は、lox66(第3のRRS)およびloxm2/71(第4のRRS)がそれぞれ、ヒトIgH遺伝子座の可変領域の両端に挿入されている染色体を含む細胞である。体細胞は一般に、2つのアレルを有するため、このような選択プロセスは通常、第3のベクターおよび第4のベクターのうち1つのみが2つのアレルに挿入される場合を排除するために実施する。
【1291】
ここで、ベクターがいくつかある場合、ベクターの導入は、順次に、ランダムに、または同時に、実施することができる。ベクターが導入された細胞を選択するプロセスは、ベクターに挿入される要素に従って、様々な仕方で修正することができる。
実施例3-2-2.RRSが挿入されたマウス染色体を含む標的マウス細胞の作製
【1292】
細胞増殖および維持のために、基本培地、すなわち、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて、FBSを含まないN2B27培地をMEK阻害剤PD0325901(1μM)およびGSK3阻害剤CHIR99021(3μm)(ともにSigma Aldrich社製、米国、ミズーリ州、St.Louis)、および1,000U/mlのLIF(Millipore、米国、マサチューセッツ州、Billerica)で補うことによって調製される2i培地において、本明細書において使用されるマウス胚性幹細胞(mESC)を培養する。一過性トランスフェクションを、リポフェクタミン3000、またはNepa21(NEPAGENE株式会社、日本、千葉)エレクトロポレーターを使用して実施する。1×106個の細胞をFBSおよび抗生物質を含まない培地に播種すること、それに10μgの第1のベクターを加えること、それとリポフェクタミン3000試薬を混合すること、ならびに室温にて5分間、細胞をインキュベートすることによって、一過性トランスフェクションを実施する。代替的には、10μgの第1のベクターを加え、125Vで5ms、二重パルスでトランスフェクションを実施する。5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて24~48時間、トランスフェクションした細胞をインキュベートする。
【1293】
第1のベクターが、マウスIgH遺伝子座の可変領域の5'末端に挿入されているか否かを確認するために、トランスフェクションした細胞をブラストサイジンで処理した後の細胞の生存にしたがって、第1のベクターの挿入を確認する。ブラストサイジン処理の後、生存細胞を得、次いで第1のベクターと同じ方法によって、第2のベクターでトランスフェクションする。5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて24~48時間、トランスフェクションした細胞をインキュベートする。第2のベクターが、マウスIgH遺伝子座の可変領域の3'末端に挿入されているか否かを確認するために、トランスフェクションした細胞をG418(Life Technologies、米国、ニューヨーク州)で処理した後の細胞の生存にしたがって、第2のベクターの挿入を確認する。G418処理の後、生存細胞を得る。
【1294】
第1のベクターおよび第2のベクターが、同じ染色体(マウスIgH遺伝子座を有する染色体)に挿入されているか否かを確認するために、G418処理後に得られた細胞をリコンビナーゼ、すなわちフリッパーゼ(FLP)で処理する。第1のベクターおよび第2のベクターが同じ染色体に挿入されている場合、マウスIgH遺伝子座の可変領域は、当該2つのベクターに存在するFRTおよび処理したFLPによる組換えを誘導することによって、逆位される。これを確認するために、FRT-FLP組換えが誘導された細胞をゼオシンで処理し、次いで、細胞の生存に従って、同じ染色体への第1のベクターおよび第2のベクターの挿入を確認する。ゼオシン処理の後、生存細胞を得る。得られた細胞は、loxm2/66(第1のRRS)およびlox71(第2のRRS)がそれぞれ、マウスIgH遺伝子座の可変領域の両端に挿入されている染色体を含む細胞である。体細胞は一般に、2つのアレルを有するため、このような選択プロセスは通常、第1のベクターおよび第2のベクターのうち1つのみが2つのアレルに挿入される場合を排除するために実施する。
【1295】
ここで、ベクターがいくつかある場合、ベクターの導入は、順次に、ランダムに、または同時に、実施してもよい。ベクターが導入された細胞を選択するプロセスは、ベクターに挿入される要素に従って、様々な仕方で修正することができる。
実施例3-3.標的ヒト細胞を使用するミクロセルの作製
【1296】
コルセミド(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)を使用して、微小核形成を実施する。選択された標的ヒト細胞(lox66(第3のRRS)およびloxm2/71(第4のRRS)がそれぞれ、ヒトIgH遺伝子座の可変領域の両端に挿入されている染色体を含む細胞)を1×106個に成長させて1日後、20%FBS含有DMEMと培地を交換し、次いで細胞を0.1μg/mlのコルセミドで処理し、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートする。微小核形成が誘導された標的ヒト細胞を、tryLE(Life Technologies社、米国、ニューヨーク州、Grand Island)を使用して剥離させ、血清を含まないDMEMで洗浄し、続いて5分間、1000rpmで遠心分離(LABOGENE株式会社、韓国)する。遠心分離に供した細胞を、予温した血清を含まないDMEM:Percoll(Sigma Aldrich社、米国、ミズーリ州、St.Louis)(1:1(v:v))に懸濁させ、最終濃度が10μg/mlになるようにサイトカラシンB(Sigma Aldrich社、米国、ミズーリ州、St.Louis)で処理する。全細胞およびミクロセルを、34~37℃で1~1.5時間、16000gの遠心分離(LABOGENE社)によって単離する。単離された全細胞およびミクロセルを50mlチューブに移し、それに血清を含まないDMEMを加え、続いて10分間、500gで遠心分離する。上清を穏やかに除去し、チューブ表面に付着されたペレットに、血清を含まないDMEMを10ml加え、8μmフィルター(GE Healthcare社、米国、イリノイ州、シカゴ)を使用して、サイズが8μm以下のミクロセルを単離する。単離されたミクロセルを含む上清を、10分間、400gで、再度遠心分離する。遠心分離されたミクロセルを、8μmフィルターを使用する方法と同じ仕方で、5μmフィルターを使用して単離する。最終的に単離されたミクロセルを、Nikon eclipse TS100光学顕微鏡(Nikon Instruments社、米国、ニューヨーク州、Melville)を使用して計数する。したがって、標的ヒト細胞からミクロセルを得る。
実施例3-4.ミクロセル-標的マウス細胞の融合細胞の作製
【1297】
レシピエント細胞として使用される、単離されたヒトミクロセルおよび標的マウス細胞(loxm2/66(第1のRRS)およびlox71(第2のRRS)がそれぞれ、マウスIgH遺伝子座の可変領域の両端に挿入されている染色体を含む細胞)を調製する。標的マウス細胞をTryLEで処理し、続いて遠心分離する。遠心分離した標的マウス細胞を、1×DPBSで洗浄し、血球計数器を使用して細胞数を算出する。ヒトミクロセルと標的マウス細胞との融合を、懸濁法によって、HVJ-Eタンパク質(コスモ・バイオ株式会社、日本、東京)を使用して実施する。ヒトミクロセルの標的マウス細胞に対する、算出された比は、1:4である。調製されたヒトミクロセルおよび標的マウス細胞の各々を、500μlの低温の1×細胞融合用緩衝液で洗浄する。ヒトミクロセルおよび標的マウス細胞の緩衝溶液で、4℃で5分間、300gで遠心分離を実施する。2×105個の標的マウス細胞毎に25μlの1×細胞融合用緩衝液を加え、同じ体積の1×細胞融合用緩衝液をヒトミクロセルに加える。標的マウス細胞およびヒトミクロセルを一緒に混合して、5~10μlのHVJ-Eタンパク質をそれに加え、次いで細胞を氷上で5分間、放置する。混合物を37℃の水浴中に15分間、放置する。ここで、混合物を5分毎にタッピングする。ヒトミクロセルと標的マウス細胞との細胞融合が完了した後、5分間、300gで遠心分離することによって、残りのHVJ-Eタンパク質を除去する。融合した細胞を、標的マウス細胞培養培地を含むディッシュに入れ、次いで、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートする。作製された融合細胞は、標的ヒト染色体(lox66(第3のRRS)およびloxm2/71(第4のRRS)が挿入された、ヒトIgH遺伝子座の可変領域を含む染色体)、ならびに標的マウス染色体(loxm2/66(第1のRRS)およびlox71(第2のRRS)が挿入された、マウスIgH遺伝子座の可変領域を含む染色体)を含む細胞である。
実施例3-5.融合細胞を使用する、人工組換え染色体を含む細胞の作製
【1298】
ヒトミクロセルおよび標的マウス細胞を融合し、融合細胞を48時間、安定化する。100μlのFBSおよび抗生物質を含まないOpti-MEMを、1×106個の融合細胞に加える。ここで、10μgのpCMV-Creベクター(System Biosciences有限責任会社、米国、カリフォルニア州、Palo Alto)を加えて125Vで5ms、二重パルスでトランスフェクションを実施する。300μlの2i培地を加え、細胞とよく混合し、100mmディッシュに細胞を移し、5%CO2、湿度95%、および37℃で維持されたインキュベーターにおいて48時間、インキュベートする。
【1299】
人工組換え染色体がCreリコンビナーゼで処理された融合細胞において作製されているか否かを確認するために、Creリコンビナーゼで処理された融合細胞を抗生物質(ピューロマイシン、G418、およびハイグロマイシン)で処理する。Creリコンビナーゼで処理された融合細胞においては、標的ヒト染色体(lox66(第3のRRS)およびloxm2/71(第4のRRS)が挿入された、ヒトIgH遺伝子座の可変領域を含む染色体)と、標的マウス染色体(loxm2/66(第1のRRS)およびlox71(第2のRRS)が挿入された、マウスIgH遺伝子座の可変領域を含む染色体)との間の組換えをCreリコンビナーゼによって誘導する。標的マウス染色体における第1のRRSは、標的ヒト染色体における第4のRRSと対合され、標的マウス染色体における第2のRRSは、標的ヒト染色体における第3のRRSと対合される。RRSの対合は、Creリコンビナーゼによって認識されて組換えを誘導する。
【1300】
結果として、標的マウス染色体のマウスIgH遺伝子座の可変領域がヒトIgH可変領域で置換された第1の人工組換え染色体、および標的ヒト染色体のヒトIgH遺伝子座の可変領域がマウスIgH可変領域で置換された第2の人工組換え染色体が、作製される。第1の人工組換え染色体において、ヒトIgH遺伝子座の可変領域を除く部分は、マウス遺伝子を有する(たとえば、マウスIgH遺伝子座の定常領域はマウス遺伝子である)。第2の人工組換え染色体において、マウスIgH遺伝子座の可変領域を除く部分は、ヒト遺伝子を有する(たとえば、ヒトIgH遺伝子座の定常領域はヒト遺伝子である)。
【1301】
抗生物質(ピューロマイシン、G418、およびハイグロマイシン)処理の後、生存細胞を得る。得られた細胞は、第1の人工組換え染色体および第2の人工組換え染色体を含む細胞であり、標的ヒト染色体および標的マウス染色体を含まない細胞である。
【1302】
作製された第1の人工組換え染色体は、第5のRRSおよび第6のRRSを含んでもよい。第5のRRSおよび第6のRRSは、第1のRRSと第4のRRSとの間の組換え、ならびに第2のRRSおよび第3のRRSとの間の組換えによって作製されるRRSである。さらに、作製された第2の人工組換え染色体は、第7のRRSおよび第8のRRSを含んでもよい。第7のRRSおよび第8のRRSは、第1のRRSと第4のRRSとの間の組換え、ならびに第2のRRSおよび第3のRRSとの間の組換えによって作製されるRRSである。
【1303】
第1の人工組換え染色体および第2の人工組換え染色体に含まれる、RRS(第5のRRS、第6のRRS、第7のRRS、および第8のRRS)、puroΔTK遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ならびにFRTを、第1の人工組換え染色体および第2の人工組換え染色体を含む得られた細胞を、ピギーバックトランスポザーゼで処理することによって、除去する。ここで、RRS(第5のRRS、第6のRRS、第7のRRS、および第8のRRS)、puroΔTK遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)、ゼオシン耐性遺伝子、ならびにFRTが除去される人工組換え染色体を含む細胞は、フィアルリジン(FIAU)で処理することによって選択する。
【1304】
人工組換え染色体は、RRSの位置、方向、および対合に従って、様々な仕方で組換えられてもよい。関心対象の人工組換え染色体を作製するために、上述のようにDNAドナーの設計を修正することによって、人工組換え染色体を作製することができる。実施例3-6.人工組換え染色体を含む細胞を使用するトランスジェニック動物の作製
【1305】
人工組換え染色体を含む細胞を使用してトランスジェニック動物を作製するために、実施例3-5において得られる人工組換え染色体を含む細胞をFIAUで処理する。処理後に得られる細胞を、胚盤胞注入によって胞胚に移植して、それによってキメラ胚盤胞を作製する。作製されたキメラ胚盤胞を代理母の子宮に移植し、それによってマウスの子孫を生成する。作製されたマウスの子孫はキメラトランスジェニックマウスであり、ヘテロ接合体トランスジェニックマウス、またはホモ接合体トランスジェニックマウスを、キメラトランスジェニックマウスを繁殖させることによって作製する。
【1306】
作製されたトランスジェニックマウスにおいて、ゲノム上のIgH遺伝子座の可変領域はヒト化されていてもよく、トランスジェニックマウスを、ヒト化抗体および/または完全ヒト抗体の作製において使用してもよい。
【1307】
ここで、トランスジェニックマウスは、胚盤胞注入以外の様々な方法によって作製することができる。
【1308】
上述のとおり、限定された実施形態および図面を参照しながら実施形態を説明してきたが、様々な修正および交替が当業者には可能である。たとえば、説明される手法が上で説明される方法とは異なる順番で実施されても、または他の構成要素もしくは均等物で置き換えられるか、代用されても、適切な結果を得ることができる。したがって、他の実施形態、実施例、および特許請求の範囲の均等物は、以下に記載する特許請求の範囲の範囲内にある。
[配列表フリーテキスト]
【1309】
配列番号:1~22はプライマー配列、配列番号:23~31はRRS配列、配列番号:32および33はリコンビナーゼのアミノ酸配列である。
【配列表】