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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】電子レンチ及びその提示方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20230627BHJP
   B25B 23/142 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B25B23/14 620J
B25B23/142
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021004327
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2021133496
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】109105898
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504221635
【氏名又は名称】優鋼機械股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】謝智慶
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0153581(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132157(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162493(US,A1)
【文献】特開2016-209988(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201113(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174773(US,A1)
【文献】特開2020-082343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25B 23/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動ヘッドを含む本体と、
前記本体に設けられ、前記作動ヘッドの作動状態である感知角度値又は感知トルク値を感知して、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生するための少なくとも1つの感知素子と、
前記少なくとも1つの感知素子に電気的に接続され、且つ第1の提示閾値と第2の提示閾値と作業作動値とを含むプロセッサと、
前記プロセッサに電気的に接続された少なくとも1つの表示提示ユニットと、
を備える電子レンチであって
前記少なくとも1つの感知情報値は、少なくとも前記感知角度値又は前記感知トルク値を含み、前記第1の提示閾値が前記第2の提示閾値よりも小さく、
前記第1の提示閾値は前記作業作動値の5%以下であり、前記第2の提示閾値は前記作業作動値の5%~30%であり、
前記少なくとも1つの感知情報値が前記第1の提示閾値以下となる場合、前記少なくとも1つの表示提示ユニットは、第1の数値表示形式を実行し、
前記少なくとも1つの感知情報値が前記第1の提示閾値より大きく且つ前記第2の提示閾値以下となる場合、前記少なくとも1つの表示提示ユニットは、第2の数値表示形式を実行し、
前記第1の数値表示形式と前記第2の数値表示形式とは、フォント形式、フォント色、地の色、フォントサイズ及びフォント変化効果の少なくとも1つが異なり、
前記第1の数値表示形式及び前記第2の数値表示形式は、前記作動ヘッドの作動状態を提示するように構成され、
前記第2の数値表示形式における数値の第2の許容誤差値の範囲は、前記第1の数値表示形式における数値の第1の許容誤差値の範囲よも小さく、
前記作業作動値は、前記電子レンチの耐えられる最大トルク値又は最大角度値である電子レンチ。
【請求項2】
記第2の提示閾値は前記作業作動値の5%~10%である請求項1に記載の電子レンチ。
【請求項3】
前記プロセッサは第3の提示閾値を更に含み、前記第2の提示閾値が前記第3の提示閾値よりも小さく、
前記少なくとも1つの感知情報値が前記第2の提示閾値より大きく且つ前記第3の提示閾値以下となる場合、前記少なくとも1つの表示提示ユニットは、第3の数値表示形式を実行し、前記第3の数値表示形式における数値の第3の許容誤差値の範囲は、前記第2の許容誤差値の範囲よりも小さく、前記第3の数値表示形式は、前記作動ヘッドの作動状態を提示するように構成され、且つ前記第3の数値表示形式と前記第1の数値表示形式及び前記第2の数値表示形式とは、フォント形式、フォント色、地の色、フォントサイズ及びフォント変化効果の少なくとも1つが異なり、前記第3の提示閾値はユーザーにより自分で設定され又は前記作業作動値と同等である請求項1に記載の電子レンチ。
【請求項4】
前記第1の提示閾値、前記第2の提示閾値、前記第1の許容誤差値の範囲、前記第2の許容誤差値の範囲及び前記第3の許容誤差値の範囲は前記ユーザーにより自分で設定される請求項3に記載の電子レンチ。
【請求項5】
電子レンチの作動ヘッドをワークに操作する操作工程と、
少なくとも1つの感知素子によって前記作動ヘッドの作動状態である感知角度値又は感知トルク値を感知して、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生する感知工程と、
前記少なくとも1つの感知情報値を第1の提示値、第2の提示閾値及び作業作動値と比較する比較工程と、
を備え、
前記少なくとも1つの感知情報値は、少なくとも前記感知角度値又は前記感知トルク値を含み、前記第1の提示閾値が前記第2の提示閾値よりも小さく、
前記第1の提示閾値は前記作業作動値の5%以下であり、前記第2の提示閾値は前記作業作動値の5%~30%であり、
前記少なくとも1つの感知情報値が前記第1の提示閾値以下となる場合、前記比較工程において、第1の数値表示形式を提供し、
前記少なくとも1つの感知情報値が前記第1の提示閾値より大きく且つ前記第2の提示閾値以下となる場合、前記比較工程において、第2の数値表示形式を提供し、
前記第1の数値表示形式及び前記第2の数値表示形式は、前記作動ヘッドの作動状態を提示するように構成され、
前記第2の数値表示形式における数値の第2の許容誤差値の範囲は、前記第1の数値表示形式における数値の第1の許容誤差値の範囲よも小さく、
前記作業作動値は、前記電子レンチの耐えられる最大トルク値又は最大角度値である電子レンチ提示方法。
【請求項6】
前記比較工程では、更に、前記感知情報値を第3の提示閾値と比較し、前記少なくとも1つの感知情報値が前記第2の提示閾値より大きく且つ前記第3の提示閾値以下となる場合、前記比較工程において、第3の数値表示形式を提供し、
前記第2の提示閾値が前記第3の提示閾値よりも小さく、
前記第3の数値表示形式は、前記作動ヘッドの作動状態を提示するように構成され、
前記第3の数値表示形式における数値の第3の許容誤差値の範囲は、前記第2の許容誤差値の範囲よりも小さく、前記第3の提示閾値はユーザーにより自分で設定され又は前記作業作動値と同等である請求項5に記載の電子レンチ提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子レンチ及びその提示方法に関し、特に、トルク値区間をはっきりと判別できるように適用される電子レンチ及びその提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、市販の電子レンチは、ほとんどトルク値と角度サイズを感知する機能を持っている。しかしながら、市販の電子レンチは、大部分の画面に数値のみで表示するため、数値を注意深く見ないと、現在のトルク値区間を知ることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、異なる数値表示形式によって、ユーザーがトルク値区間を容易に判別できるようにする電子レンチ及びその提示方法の研究開発は、業界の将来の傾向となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、異なる数値表示形式によってユーザーにトルク値区間を知らせることができる電子レンチ及びその提示方法を提供する。
【0005】
本開示による一実施形態は、作動ヘッドを含む本体と、本体に設けられ、作動ヘッドの作動状態を感知して、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生するための少なくとも1つの感知素子と、感知素子に電気的に接続され、且つ第1の提示下限値と第2の提示下限値を含むプロセッサと、プロセッサに電気的に接続され、且つ少なくとも1つの作動状態提示を提供するための少なくとも1つの提示ユニットと、を備え、感知情報値が第1の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第1の許容誤差値を有する第1の数値表示形式であり、感知情報値が第1の提示下限値より大きく且つ第2の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第2の許容誤差値を有する第2の数値表示形式であり、第1の数値表示形式は、第2の数値表示形式と異なる電子レンチを提供する。
【0006】
上記のような実施形態の電子レンチによれば、第1の数値表示形式と第2の数値表示形式は、フォント形式、フォント色、地の色、フォントサイズ及びフォント効果の少なくとも1つが異なってもよい。
【0007】
上記のような実施形態の電子レンチによれば、プロセッサは作業作動値を更に含んでもよく、第1の提示下限値は作業作動値の5%以下であってもよい。
【0008】
上記のような実施形態の電子レンチによれば、プロセッサは作業作動値を更に含んでもよく、第2の提示下限値は作業作動値の5%~30%であってもよい。
【0009】
上記のような実施形態の電子レンチによれば、プロセッサは作業作動値を更に含んでもよく、第2の提示下限値は作業作動値の5%~10%であってもよい。
【0010】
上記のような実施形態の電子レンチによれば、プロセッサは提示上限値を更に含んでもよく、感知情報値が第2の提示下限値より大きく且つ提示上限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第3の許容誤差値を有してもよい第3の数値表示形式であり、且つ第3の数値表示形式は第1の数値表示形式及び第2の数値表示形式と異なってもよい。
【0011】
上記のような実施形態の電子レンチによれば、第1の提示下限値、第2の提示下限値、第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値はユーザーにより自分で設定されてよいが、提示上限値はユーザーにより自分で設定され又は作業作動値と同等であってよい。
【0012】
上記のような実施形態の電子レンチによれば、第3の許容誤差値は第2の許容誤差値より小さくてもよく、且つ第2の許容誤差値は第1の許容誤差値より小さくてもよい。
【0013】
本開示による一実施形態は、電子レンチの作動ヘッドをワークに操作する操作工程と、少なくとも1つの感知素子によって作動ヘッドの作動状態を感知して、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生する感知工程と、感知情報値を第1の提示下限値及び第2の提示下限値と比較して、作動状態提示を提供する比較工程と、を備え、感知情報値が第1の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第1の許容誤差値を有する第1の数値表示形式であり、感知情報値が第1の提示下限値より大きく且つ第2の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第2の許容誤差値を有する第2の数値表示形式である電子レンチ提示方法を提供する。
【0014】
上記のような実施形態の電子レンチの提示方法によれば、比較工程では、更に、感知情報値を提示上限値と比較して、作動状態提示を提供してもよく、感知情報値が第2の提示下限値より大きく且つ提示上限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第3の許容誤差値を有する第3の数値表示形式である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示内容の一実施形態による電子レンチを示すブロック模式図である。
図2A】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第1の数値表示形式を示す模式図である。
図2B】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第2の数値表示形式を示す模式図である。
図2C】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第3の数値表示形式を示す模式図である。
図3A】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第1の数値表示形式を示す別の模式図である。
図3B】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第2の数値表示形式を示す別の模式図である。
図3C】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第3の数値表示形式を示す別の模式図である。
図4A】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第1の数値表示形式を示す別の模式図である。
図4B】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第2の数値表示形式を示す別の模式図である。
図4C】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第3の数値表示形式を示す別の模式図である。
図5A】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第1の数値表示形式を示す別の模式図である。
図5B】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第2の数値表示形式を示す別の模式図である。
図5C】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第3の数値表示形式を示す別の模式図である。
図6A】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第1の数値表示形式を示す別の模式図である。
図6B】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第2の数値表示形式を示す別の模式図である。
図6C】本発明の図1の実施形態による電子レンチの第3の数値表示形式を示す別の模式図である。
図7】本開示の一実施形態による電子レンチ提示方法を示す工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本開示の一実施形態による電子レンチ100を示すブロック模式図である。図1から分かるように、電子レンチ100は、本体110と、少なくとも1つの感知素子120と、プロセッサ130と、少なくとも1つの提示ユニット140と、入力素子150と、信号処理モジュール160と、を備える。
【0017】
詳しくは、本体110は、作動ヘッド111を含む。感知素子120は、本体110に設けられ、作動ヘッド111の作動状態を感知して、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生するために使用される。プロセッサ130は、感知素子120に電気的に接続され、且つ第1の提示下限値と第2の提示下限値を含む。提示ユニット140は、プロセッサ130に電気的に接続され、且つ少なくとも1つの作動状態提示を提供するために使用される。
【0018】
感知素子120は、少なくとも角度感知素子121又はトルク感知素子122を含んでよく、感知情報値は少なくとも感知角度値又は感知トルク値であってよい。具体的に、図1の実施形態において、感知素子120は、角度感知素子121及びトルク感知素子122を含み、即ち電子レンチ100は角度感知及びトルク感知を提供することができる。
【0019】
ユーザーの電子レンチ100に対する選択機能を提供するために、電子レンチ100は、プロセッサ130に電気的に接続され且つ実体キー又はタッチキーであってもよい少なくとも1つの入力素子150を更に備えてもよい。具体的に、図1の実施形態において、入力素子150はシステム機能キー151及び感知機能キー152を含んでよく、ユーザーはシステム機能キー151によって例えばオン、オフ、スタンバイ、リセット等の状態のような電子レンチ100の実行機能を選択することができ、システム機能キー151は単一のキーであってもよいし、異なる機能に応じてオンキー(図示せず)、オフキー(図示せず)、スタンバイキー(図示せず)又はリセットキー(図示せず)等の複数のキーを設置してもよく、プロセッサ130は、ユーザーがオフキーを押すと、電子レンチ100の全ての電力を遮断して、オフ状態にするが、ユーザーがスタンバイキーを押すと、電子レンチ100の一部の電力を遮断して、スタンバイ状態にするが、ユーザーがリセットキーを押すと、初期化を行って、初期状態に復帰させるが、これに制限されない。
【0020】
ユーザーが感知機能キー152によって電子レンチ100の感知機能を選択することができるので、電子レンチ100は、ハードウェア周辺回路の検出を行って角度感知又はトルク感知等の感知機能を実行し、感知機能キー152は単一のキーであってもよいし、異なる機能に応じて角度感知キー(図示せず)又はトルク感知キー(図示せず)等の複数のキーを設置してもよく、感知素子120は、ユーザーが角度感知キーを押すと、作動ヘッド111に対して角度感知を行って、感知信号を発生するが、ユーザーがトルク感知キーを押すと、作動ヘッド111に対してトルク感知を行って、感知信号を発生するが、これに制限されない。
【0021】
電子レンチ100は、信号処理モジュール160を更に備えてもよく、信号処理モジュール160はプロセッサ130及び感知素子120に電気的に接続され、感知素子120により発生された感知信号を受信して信号処理を行い、次に処理された感知信号をプロセッサ130に送信し、感知信号はアナログ感知信号又はデジタル感知信号であってもよく、信号処理モジュール160は信号変換器161及び増幅器(図示せず)を含んでよく、つまり、感知信号は、アナログ感知信号である場合、信号変換器161によってアナログ感知信号をデジタル感知信号に変換してからプロセッサ130に送信してもよいし、増幅器によって増幅処理を行ってから、信号変換器161によってアナログ感知信号をデジタル感知信号に変換した後で、プロセッサ130に送信してもよい。
【0022】
具体的に、感知情報値が第1の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第1の許容誤差値を有する第1の数値表示形式である。感知情報値が第1の提示下限値より大きく且つ第2の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第2の許容誤差値を有する第2の数値表示形式である。第1の数値表示形式は、第2の数値表示形式と異なる。これによって、ユーザーは、第1の数値表示形式と第2の数値表示形式との差異からトルク値区間を直接判別することができる。
【0023】
なお、プロセッサ130は提示上限値を更に含んでもよく、感知情報値が第2の提示下限値より大きく且つ提示上限値以下となる場合、作動状態提示は第3の数値表示形式である。第3の数値表示形式は、範囲が第3の許容誤差値を有してもよく、且つ第1の数値表示形式及び第2の数値表示形式と異なってもよい。具体的に、第3の許容誤差値は第2の許容誤差値より小さくてもよく、且つ第2の許容誤差値は第1の許容誤差値より小さくてもよい。つまり、第3の数値表示形式の範囲の精度は第2の数値表示形式の範囲の精度より高く、且つ第2の数値表示形式の範囲の精度は第1の数値表示形式の範囲の精度より高い。詳しくは、第1の数値表示形式、第2の数値表示形式及び第3の数値表示形式は、フォント形式、フォント色、地の色、フォントサイズ及びフォント効果の少なくとも1つが異なってもよいが、上記の表示差異に制限されない。これによって、第1の数値表示形式、第2の数値表示形式及び第3の数値表示形式の差異から許容誤差値範囲とトルク値区間をよりはっきりと判別することができる。プロセッサ130は、電子レンチ100の耐えられる最大トルク値又は最大角度値である作業作動値をさらに含んでもよい。
【0024】
更に、提示ユニット140は、少なくとも液晶ディスプレイ141、発光ダイオード142、音声提示ユニット143及び振動提示ユニット144を含んでよい。第1の数値表示形式、第2の数値表示形式及び第3の数値表示形式は、区別するように、液晶ディスプレイ141によって異なるデジタルフォント形式、異なる色のフォント、異なるフォントサイズ又は異なるフォント効果を表示してもよいし、仕切るように、発光ダイオード142によって異なる地の色を表示すると共に、音声提示ユニット143又は振動提示ユニット144によって異なるオーディオ、ラウドネス、振動数又は振動強度で差異を達成し、本開示内容の電子レンチ100の使用範囲を拡張することができる。注意すべきなのは、ユーザーは入力素子150によって所望の作動状態提示を選択することができ、つまり、電子レンチ100はユーザーに選択させるための様々な作動状態提示を提供することができ、ユーザーは好みに従って設定してよい。
【0025】
具体的に、図2A図6Cを参照されたく、図2Aは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第1の数値表示形式を示す模式図であり、図2Bは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第2の数値表示形式を示す模式図であり、図2Cは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第3の数値表示形式を示す模式図であり、図3Aは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第1の数値表示形式を示す別の模式図であり、図3Bは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第2の数値表示形式を示す別の模式図であり、図3Cは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第3の数値表示形式を示す別の模式図であり、図4Aは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第1の数値表示形式を示す別の模式図であり、図4Bは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第2の数値表示形式を示す別の模式図であり、図4Cは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第3の数値表示形式を示す別の模式図であり、図5Aは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第1の数値表示形式を示す別の模式図であり、図5Bは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第2の数値表示形式を示す別の模式図であり、図5Cは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第3の数値表示形式を示す別の模式図であり、図6Aは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第1の数値表示形式を示す別の模式図であり、図6Bは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第2の数値表示形式を示す別の模式図であり、図6Cは本発明の図1の実施形態による電子レンチ100の第3の数値表示形式を示す別の模式図である。図2A図2C図3A図3C図4A図4C図5A図5C及び図6A図6Cから分かるように、第1の数値表示形式、第2の数値表示形式及び第3の数値表示形式の差異は、それぞれ地の色、フォント形式、フォント色、フォントサイズ及びフォント効果である。
【0026】
詳しくは、第1の提示下限値は作業作動値の5%以下であり、第2の提示下限値は作業作動値の5%~30%又は作業作動値の5%~10%であってよく、且つ第1の提示下限値、第2の提示下限値、第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値はユーザーにより自分で設定されてよいが、提示上限値はユーザーにより自分で設定され又は作業作動値と同等である。つまり、ユーザーは入力素子150によって第1の提示下限値、第2の提示下限値、提示上限値、第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値を設定することができ、設定の方法としては入力素子150を繰り返して押してよい。
【0027】
図2A図2Cから分かるように、第1の提示下限値は作業作動値の5%以下であり、第2の提示下限値は作業作動値の5%~10%であってよく、作業作動値100ニュートンメートル(Nm)の電子レンチ100を例として、第1の数値表示形式の範囲は0Nm~5Nmであり、第2の数値表示形式の範囲は5.1Nm~10Nmであり、第3の数値表示形式の範囲は10.1Nm~100Nmであり、第1の数値表示形式の範囲の第1の許容誤差値は±7%であり、第2の数値表示形式の範囲の第2の許容誤差値は±6%であり、第3の数値表示形式の範囲の第3の許容誤差値は±4%であり、上記の第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値はISO6789の規範に準じて検証され、且つ第1の数値表示形式の範囲と第1の許容誤差値、第2の数値表示形式の範囲と第2の許容誤差値及び第3の数値表示形式の範囲と第3の許容誤差値はこれに制限されない。具体的に、図2A図2Cの実施形態において、それぞれ3Nm、8Nm及び35Nmのトルク値を表示例として、図2A図2Cから提示ユニット140の液晶ディスプレイ141に表示された3Nm、8Nm及び35Nmの中で地の色の差異(説明しなければならないのは、図2A図2Cでは異なる下線で異なる地の色を示す)が見られる。
【0028】
図3A図3Cから分かるように、第1の提示下限値は作業作動値の5%以下であり、第2の提示下限値は作業作動値の5%~30%であってよく、作業作動値100Nmの電子レンチ100を例として、第1の数値表示形式の範囲は0Nm~5Nmであり、第2の数値表示形式の範囲は5.1Nm~30Nmであり、第3の数値表示形式の範囲は30.1Nm~100Nmであり、第1の数値表示形式の範囲の第1の許容誤差値は±7%であり、第2の数値表示形式の範囲の第2の許容誤差値は±5%であり、第3の数値表示形式の範囲の第3の許容誤差値は±3%であり、上記の第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値はISO6789の規範に準じて検証され、且つ第1の数値表示形式の範囲と第1の許容誤差値、第2の数値表示形式の範囲と第2の許容誤差値及び第3の数値表示形式の範囲と第3の許容誤差値はこれに制限されない。具体的に、図3A図3Cの実施形態において、それぞれ2Nm、12Nm及び40Nmのトルク値を表示例として、図3A図3Cから、提示ユニット140の液晶ディスプレイ141に表示された2Nm、12Nm及び40Nmにはフォント形式の差異が見られ、フォント形式の差異は太字、斜体、下線及び字形の変化であってよいが、これに制限されない。
【0029】
図4A図4Cから分かるように、第1の提示下限値は作業作動値の5%以下であり、第2の提示下限値は作業作動値の5%~10%であってよく、作業作動値100Nmの電子レンチ100を例として、第1の数値表示形式の範囲は0Nm~5Nmであり、第2の数値表示形式の範囲は5.1Nm~10Nmであり、第3の数値表示形式の範囲は10.1Nm~100Nmであり、第1の数値表示形式の範囲の第1の許容誤差値は±10%であり、第2の数値表示形式の範囲の第2の許容誤差値は±6%であり、第3の数値表示形式の範囲の第3の許容誤差値は±4%であり、上記の第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値はISO6789の規範に準じて検証され、且つ第1の数値表示形式の範囲と許容誤差値、第2の数値表示形式の範囲と許容誤差値及び第3の数値表示形式の範囲と許容誤差値はこれに制限されない。具体的に、図4A図4Cの実施形態において、それぞれ4Nm、9Nm及び70Nmのトルク値を表示例として、図4A図4Cから、提示ユニット140の液晶ディスプレイ141に表示された4Nm、9Nm及び70Nmにはフォント色の差異が見られる。
【0030】
図5A図5Cから分かるように、第1の提示下限値は作業作動値の5%以下であり、第2の提示下限値は作業作動値の5%~30%であってよく、作業作動値100Nmの電子レンチ100を例として、第1の数値表示形式の範囲は0Nm~5Nmであり、第2の数値表示形式の範囲は5.1Nm~30Nmであり、第3の数値表示形式の範囲は30.1Nm~100Nmであり、第1の数値表示形式の範囲の第1の許容誤差値は±7%であり、第2の数値表示形式の範囲の第2の許容誤差値は±6%であり、第3の数値表示形式の範囲の第3の許容誤差値は±4%であり、上記の第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値はISO6789の規範に準じて検証され、且つ第1の数値表示形式の範囲と第1の許容誤差値、第2の数値表示形式の範囲と第2の許容誤差値及び第3の数値表示形式の範囲と第3の許容誤差値はこれに制限されない。具体的に、図5A図5Cの実施形態において、それぞれ3Nm、27Nm及び81Nmのトルク値を表示例として、図5A図5Cから、提示ユニット140の液晶ディスプレイ141に表示された3Nm、27Nm及び81Nmにはフォントサイズの差異が見られる。
【0031】
図6A図6Cから分かるように、第1の提示下限値は作業作動値の5%以下であり、第2の提示下限値は作業作動値の5%~30%であってよく、作業作動値100Nmの電子レンチ100を例として、第1の数値表示形式の範囲は0Nm~5Nmであり、第2の数値表示形式の範囲は5.1Nm~30Nmであり、第3の数値表示形式の範囲は30.1Nm~100Nmであり、第1の数値表示形式の範囲の第1の許容誤差値は±7%であり、第2の数値表示形式の範囲の第2の許容誤差値は±6%であり、第3の数値表示形式の範囲の第3の許容誤差値は±4%であり、上記の第1の許容誤差値、第2の許容誤差値及び第3の許容誤差値はISO6789の規範に準じて検証され、且つ第1の数値表示形式の範囲と第1の許容誤差値、第2の数値表示形式の範囲と第2の許容誤差値及び第3の数値表示形式の範囲と第3の許容誤差値はこれに制限されない。具体的に、図6A図6Cの実施形態においてそれぞれ5Nm、21Nm及び77Nmのトルク値を表示例として、図6A図6Cから提示ユニット140の液晶ディスプレイ141に表示された5Nm、21Nm及び77Nmにはフォント効果の差異が見られ、フォント効果の差異はズームとシェイクの変化であってよいが、これに制限されない。
【0032】
プロセッサ130は、ユーザーが次の使用時に前回の使用状態を視認できるように、感知情報値、第1の提示下限値、第2の提示下限値及び提示上限値を記憶するためのメモリ131を更に含んでよい。
【0033】
本開示の一実施形態による電子レンチ提示方法S200を示す工程フローチャートである図7を参照されたく、電子レンチ提示方法S200は、前記の図1の実施形態の電子レンチ100に合わせて実行してよいが、これに制限されない。図7から分かるように、電子レンチ提示方法S200は、操作工程S201と、感知工程S202と、比較工程S203と、記憶工程S204と、を備える。
【0034】
操作工程S201は、電子レンチ100の作動ヘッド111をワーク(図示せず)に操作することである。感知工程S202は、感知素子120によって作動ヘッド111の作動状態を感知して、感知情報値を含む感知信号を発生することである。比較工程S203は、感知情報値を第1の提示下限値及び第2の提示下限値と比較して、作動状態提示を提供することである。感知情報値が第1の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第1の許容誤差値を有する第1の数値表示形式である。感知情報値が第1の提示下限値より大きく且つ第2の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第2の許容誤差値を有する第2の数値表示形式である。
【0035】
比較工程S203では、更に感知情報値を提示上限値と比較して、作動状態提示を提供し、感知情報値が第2の提示下限値より大きく且つ提示上限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第3の許容誤差値を有する第3の数値表示形式である。
【0036】
記憶工程S204は、プロセッサ130のメモリ131によって感知情報値、第1の提示下限値、第2の提示下限値及び提示上限値を記憶することである。このため、ユーザーは、次の使用時に前回の使用状態を視認することができる。
【0037】
詳しくは、電子レンチ100の作動ヘッド111がワークに操作される場合、感知素子120は、作動ヘッド111の作動状態を感知して感知信号を発生し、更に感知信号をプロセッサ130に送信し、感知信号は感知情報値を含んでもよく、プロセッサ130は第1の提示下限値、第2の提示下限値、提示上限値及び作業作動値を含んでもよく、作業作動値は電子レンチ100の耐えられる最大トルク値又は最大角度値である。プロセッサ130は、感知信号を受信した後で、感知情報値を第1の提示下限値、第2の提示下限値及び提示上限値と比較して比較結果を発生し、提示ユニット140は、ユーザーに作動ヘッド111の作動状態を提示するように、比較結果に基づいて作動状態提示を提供することができる。
【0038】
なお、比較工程S203において、第1の提示下限値と第2の提示下限値はユーザーにより自分で設定されてよいが、提示上限値はユーザーにより自分で設定され又は作業作動値と同等であり、且つユーザーは、入力素子150を繰り返して押すことで第1の提示下限値、第2の提示下限値及び提示上限値を設定してよい。具体的に、感知情報値が第1の提示下限値以下となる場合、作動状態提示は、範囲が第1の許容誤差値を有する第1の数値表示形式であり、感知情報値が第1の提示下限値より大きく且つ第2の提示下限値以下となる場合、範囲が第2の許容誤差値を有する第2の数値表示形式であるが、感知情報値が第2の提示下限値より大きく且つ提示上限値以下となる場合、範囲が第3の許容誤差値を有する第3の数値表示形式である。更に、第1の数値表示形式、第2の数値表示形式、第3の数値表示形式は、フォント形式、フォント色、地の色、フォントサイズ及びフォント効果の中の少なくとも1つが異なってもよいが、上記の表示差異に制限されない。
【0039】
詳しくは、プロセッサ130が感知情報値を第1の提示下限値、第2の提示下限値及び提示上限値と比較して比較結果を発生することができるが、提示ユニット140が比較結果の差異に従って、異なる作動状態提示を提供することができるため、ユーザーは、異なる作動状態提示に応じて作動ヘッド111の作動状態を判別することができる。
【0040】
以上をまとめると、本開示の電子レンチと電子レンチ提示方法は、作動状態提示によって電子レンチの作動状態をはっきりと認識することができる。且つ、提示ユニットの液晶ディスプレイと発光ダイオードによる視覚認識に加えて、提示ユニットの音声提示ユニットと振動提示ユニットによる聴覚と触覚の認識も実現でき、ユーザーの好みと利便性に応じて、電子レンチの作動状態提示を設定することができる。これによって、ユーザーがはっきりと認識する効果を達成し、電子レンチの使用範囲の拡張を達成する。
【0041】
本発明は、実施例により前述の通りに開示されたが、実施例が本開示内容を限定するものではなく、当業者であれば、本開示内容の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示内容の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0042】
100:電子レンチ
110:本体
111:作動ヘッド
120:感知素子
121:角度感知素子
122:トルク感知素子
130:プロセッサ
131:メモリ
140:提示ユニット
141:液晶ディスプレイ
142:発光ダイオード
143:音声提示ユニット
144:振動提示ユニット
150:入力素子
151:システム機能キー
152:感知機能キー
160:信号処理モジュール
161:信号変換器
S200:電子レンチ提示方法
S201:操作工程
S202:感知工程
S203:比較工程
S204:記憶工程
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7