(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ドアロック機構付きタンク
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230627BHJP
E05C 19/00 20060101ALN20230627BHJP
【FI】
C12M1/00 C
E05C19/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021153333
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2021-09-21
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】セヴェナンツ, ジョリット
【審査官】藤山 純
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0187140(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0083614(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0051239(US,A1)
【文献】特開2012-219583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0318823(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111442868(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0311659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
E05C 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)可撓壁を有する膨張可能なバイオプロセス容器を受け入れるための内部空洞と、底壁と、開口部を有する側壁と、外向き枢動タンクドアと、前記側壁及び前記外向き枢動タンクドアに取り付けられたヒンジとを有するハウジングを備えるタンクであって、前記外向き枢動タンクドアが前記開口部の少なくとも一部を覆うように配置されている、タンク
を備えるドアロック機構付きタンクであって
前記タンクがドアロック機構を含み、
前記ドアロック機構が、
(i)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の端部が突出アームを備える、前記外向き枢動タンクドアに取り付けられた回転可能シャフトと、
(ii)前記外向き枢動タンクドア及び前記回転可能シャフトから離れて前記タンクの少なくとも一方の側壁に取り付けられた基部を備えるアーム受入部であって、前記アーム受入部が前記基部から水平に延びる受入部上部をさらに備え、前記受入部上部が、受入部上部壁と、互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁と、受入部上部後壁と、底端部を有する受入部上部前壁とを備え、互いに対向する前記第1の受入部上部側壁及び前記第2の受入部上部側壁の各々が前記受入部上部前壁の前記底端部を越える距離だけ前記基部に向かって延び、前記受入部上部前壁の前記底端部と互いに対向する前記第1の受入部上部側壁及び前記第2の受入部上部側壁とは、前記回転可能シャフトが回転されて前記突出アームがアーム受入部開口部と整列される場合に前記突出アームを受け入れるための前記アーム受入部開口部を画定し、前記外向き枢動タンクドアが、膨張したバイオプロセス容器と接触した際に外向きに枢動する、アーム受入部と
を備える、ドアロック機構付きタンク。
【請求項2】
(a)底壁と、互いに対向する第1の側壁及び第2の側壁と、後壁と、外向き枢動タンクドアと、開口部を有する前壁と、前記前壁及び前記外向き枢動タンクドアに取り付けられたヒンジとを備えるタンクであって、前記外向き枢動タンクドアが前記開口部の少なくとも一部を覆うように配置され、前記タンクが、可撓壁を有する膨張可能なバイオプロセス容器を受け入れるための内部空洞を有する、タンク
を備えるドアロック機構付きタンクであって、
前記タンクがドアロック機構を含み、
前記ドアロック機構が、
(i)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の端部が突出アームを備える、前記外向き枢動タンクドアに取り付けられた回転可能シャフトと、
(ii)前記外向き枢動タンクドア及び前記回転可能シャフトから離れて前記タンクの前記前壁に取り付けられた基部を備えるアーム受入部であって、前記アーム受入部が前記基部から水平に延びる受入部上部をさらに備え、前記受入部上部が、受入部上部壁と、互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁と、受入部上部後壁と、底端部を有する受入部上部前壁とを備え、互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁の各々が前記受入部上部前壁の前記底端部を越える距離だけ前記基部に向かって延び、前記受入部上部前壁の前記底端部と互いに対向する前記第1の受入部上部側壁及び前記第2の受入部上部側壁とは、前記回転可能シャフトが回転されて前記突出アームがアーム受入部開口部と整列される場合に前記突出アームを受け入れるための前記アーム受入部開口部を画定し、前記外向き枢動タンクドアが、膨張したバイオプロセス容器に接触した際に外向きに枢動する、アーム受入部と
を備える、ドアロック機構付きタンク。
【請求項3】
前記回転可能シャフトの前記第1の端部がハンドルを備える、請求項1又は2に記載のドアロック機構付きタンク。
【請求項4】
前記受入部上部
前壁の
前記底端部が前記突出アームのストッパを提供する、請求項1~3のいずれか一項に記載のドアロック機構付きタンク。
【請求項5】
ドアロック機構付きタンクを使用する方法であって
可撓壁を含むバイオプロセス容器を請求項1~4のいずれか一項に記載のドアロック機構付きタンクの前記内部空洞内に配置するステップと、
前記突出アームが前記アーム受入部開口部と整列するまで前記回転可能シャフトを回転させるステップと、
前記バイオプロセス容器が膨張し、前記膨張したバイオプロセス容器の可撓壁が前記枢動タンクドアに接触し、前記枢動タンクドアが外向きに枢動するまで、前記バイオプロセス容器を空気又は気体で膨張させる及び/又は前記バイオプロセス容器に流体を充填するステップと
を含む、方法。
【請求項6】
前記枢動
タンクドアが、前記突出アームが前記受入部上部
前壁の
前記底端部に接触するまで外向きに枢動する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]タンクは、様々なバイオプロセス実施において使用される。例えば、バッグなどの可撓性容器をタンク内に配置することができ、タンクに対してドアを閉じて係止し、バイオプロセス実施の一部としてバッグを充填する。
【0002】
[0002]しかし、バイオプロセス実施のための可撓性容器を受け入れるタンク用の改良されたラッチが必要とされている。
【0003】
[0003]本発明は、従来技術の欠点の少なくともいくつかの改善を提供するものである。本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下に記載される説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明の一態様はドアロック機構付きタンクを提供するものであり、このドアロック機構付きタンクは、(a)底壁と、互いに対向する第1の側壁及び第2の側壁と、後壁と、外向き枢動タンクドアと、開口部を有する前壁と、前壁及び外向き枢動タンクドアに取り付けられたヒンジとを備えるタンクであって、外向き枢動タンクドアが開口部の少なくとも一部を覆うように配置され、タンクが、可撓壁を有する膨張可能なバイオプロセス容器を受け入れるための内部空洞を有する、タンクを備え、このタンクはドアロック機構を含む。ドアロック機構は、
(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第2の端部が突出アームを備える、外向き枢動タンクドアに取り付けられた回転可能シャフトと、
(ii)外向き枢動タンクドア及び回転可能シャフトから離れてタンクの前壁に取り付けられた基部を備えるアーム受入部であって、アーム受入部が基部から水平に延びる受入部上部をさらに備え、受入部上部が、受入部上部壁と、互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁と、受入部上部後壁と、底端部を有する受入部上部前壁とを備え、互いに対向する受入部上部側壁の各々が受入部上部前壁の底端部を越える距離だけ基部に向かって延び、受入部上部前壁の底端部と互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁とは、回転可能シャフトが回転されて突出アームがアーム受入部開口部と整列される場合に突出アームを受け入れるためのアーム受入部開口部を画定し、外向き枢動タンクドアが、膨張したバイオプロセス容器に接触した際に外向きに枢動する、アーム受入部と
を備える。
【0005】
[0005]本発明の別の態様は、次のようなドアロック機構付きタンクを含む。このドアロック機構付きタンクは、(a)可撓壁を有する膨張可能なバイオプロセス容器を受け入れるための内部空洞と、底壁と、開口部を有する側壁と、外向き枢動タンクドアと、側壁及び外向き枢動タンクドアに取り付けられたヒンジとを有するハウジングを備えるタンクであって、外向き枢動タンクドアが開口部の少なくとも一部を覆うように配置された、タンクを備え、このタンクはドアロック機構を含む。ドアロック機構は、
(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第2の端部が突出アームを備える、外向き枢動タンクドアに取り付けられた回転可能シャフトと、
(ii)外向き枢動タンクドア及び回転可能シャフトから離れてタンクの少なくとも一方の側壁に取り付けられた基部を備えるアーム受入部であって、アーム受入部が基部から水平に延びる受入部上部をさらに備え、受入部上部が、受入部上部壁と、互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁と、受入部上部後壁と、底端部を有する受入部上部前壁とを備え、互いに対向する受入部上部側壁の各々が受入部上部前壁の底端部を越える距離だけ基部に向かって延び、受入部上部前壁の底端部と互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁とは、回転可能シャフトが回転されて突出アームがアーム受入部開口部と整列される場合に突出アームを受け入れるためのアーム受入部開口部を画定し、外向き枢動タンクドアが、膨張されたバイオプロセス容器に接触された際に外向きに枢動する、アーム受入部と
を備える。
【0006】
[0006]別の態様では、ドアロック機構付きタンクを操作する方法が提供される。好ましい態様では、この方法は、可撓壁を含むバイオプロセス容器を前記の一態様のタンクの内部空洞内に配置するステップと、突出アームがアーム受入部開口部と整列するまで回転可能シャフトを回転させるステップと、バイオプロセス容器が膨張し、膨張したバイオプロセス容器の可撓壁が枢動タンクドアに接触し、枢動タンクドアが外向きに枢動するまで、バイオプロセス容器を空気又は気体で膨張させる、及び/又はバイオプロセス容器に流体を充填するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】ハンドル及び突出アームを備える回転可能シャフトと、本発明の一態様によるタンクに取り付けられたアーム受入部とを備えるドアロック機構付きタンクの正面斜視図である。ここで、タンクドアは外向きに枢動し、ドアロック機構及びタンクドアはアーム受入部によって受け入れられた突出アームでロックされる。
【
図1B】ドアロック機構の上面図である。ここで、回転可能シャフトはヒンジ付きタンクドアに取り付けられ、アーム受入部はタンクの前壁に取り付けられ、突出アームはアーム受入部に受け入れられない。
【
図1C】
図1Aに示すドアロック機構の上面図である。ここで、タンクドアは外向きに枢動し、ドアロック機構及びタンクドアはアーム受入部によって受け入れられた突出アームでロックされる。
【
図1D】タンクドアが部分的に開いた状態の、
図1Aに示すタンクの斜視図である。
【
図1E】タンクドアが閉じられた状態の、
図1Aに示すタンクの上面図である。
【
図1F】
図1Aに示すタンクの上面図であり、タンクドアに接触してタンクドアを外向きに枢動させるタンク内の膨張されたバイオプロセス容器も示している。
【
図1G】
図1Aに示すものと同様の別のタンクの上面図である。ここで、タンクの床部は、取外し可能なミキサ駆動ユニットの挿入を可能にするか又はミキサを取り付けるための開口部を含む。
【
図2】回転可能シャフトをヒンジ付きタンクドアに取り付けることを示す側面の斜視図である。
【
図3】回転可能シャフトの上方及び下方への回転を示す図である。
【
図5】互いに対向する側壁を含み、本発明の一態様による2つのドアロック機構を含むタンクの斜視図であり、ドアがタンクの内部空洞内に枢動するのを防止する上部ドアストッパ及び下部ドアストッパを示し、かつ、タンク内に配置することができるバイオプロセス容器に接続されたチューブ及び/又はポートのための切欠きも示している。
【
図6A】タンク内のバイオプロセス容器の充填を示す図であり、最初に容器に入る流体を示している。
【
図6B】タンク内のバイオプロセス容器の充填を示す図であり、ほぼ半分まで充填された容器を示している。
【
図6C】タンク内のバイオプロセス容器の充填を示す図であり、充填された容器を示している。
【
図7】互いに対向する側壁及び2つのドアを含み、各ドアに関連付けられた本発明の一態様によるドアロック機構を含むタンクの斜視図である。
【
図8】連続的に湾曲した側壁を含み、本発明の一態様によるドアロック機構を含むタンクの斜視図である。
【
図9】外部ロックを
図1Cに示すロックされたドアロック機構に取り付け、回転可能シャフトの回転を防止することができることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0016]本発明の一態様によれば、ドアロック機構付きタンクは、(a)底壁と、互いに対向する第1の側壁及び第2の側壁と、後壁と、外向き枢動タンクドアと、開口部を有する前壁と、前壁及び外向き枢動タンクドアに取り付けられたヒンジとを備えるタンクであって、外向き枢動タンクドアは開口部の少なくとも一部を覆うように配置され、タンクは、可撓壁を含む膨張可能なバイオプロセス容器を受け入れるための内部空洞を有する、タンクを備え、タンクはドアロック機構を含み、ドアロック機構は、(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第2の端部が突出アームを備える、外向き枢動タンクドアに取り付けられた回転可能シャフトと、(ii)外向き枢動タンクドア及び回転可能シャフトから離れてタンクの前壁に取り付けられた基部を備えるアーム受入部であって、アーム受入部は基部から水平に延びる受入部上部をさらに備え、受入部上部は、受入部上部壁と、互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁と、受入部上部後壁と、底端部を有する受入部上部前壁とを備え、互いに対向する受入部上部側壁の各々は受入部上部前壁の底端部を越える距離だけ基部に向かって延び、受入部上部前壁の底端部と互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁とは、回転可能シャフトが回転されて突出アームがアーム受入部開口部と整列される場合に突出アームを受け入れるためのアーム受入部開口部を画定し、外向き枢動タンクドアは、膨張したバイオプロセス容器に接触する際に外向きに枢動する、アーム受入部とを備える。
【0009】
[0017]本発明の別の態様によれば、次のようなドアロック機構付きタンクが提供され、このドアロック機構付きタンクは、(a)可撓壁を有する膨張可能なバイオプロセス容器を受け入れるための内部空洞と、底壁と、開口部を有する側壁と、外向き枢動タンクドアと、側壁及び外向き枢動タンクドアに取り付けられたヒンジとを有するハウジングを備えるタンクであって、外向き枢動タンクドアは開口部の少なくとも一部を覆うように配置された、タンクを備え、タンクはドアロック機構を含み、ドアロック機構は、(i)第1の端部及び第2の端部を有し、第2の端部が突出アームを備える、外向き枢動タンクドアに取り付けられた回転可能シャフトと、(ii)外向き枢動タンクドア及び回転可能シャフトから離れてタンクの少なくとも一方の側壁に取り付けられた基部を備えるアーム受入部であって、アーム受入部は基部から水平に延びる受入部上部をさらに備え、受入部上部は、受入部上部壁と、互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁と、受入部上部後壁と、底端部を有する受入部上部前壁とを備え、互いに対向する受入部上部側壁の各々は受入部上部前壁の底端部を越える距離だけ基部に向かって延び、受入部上部前壁の底端部と互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁とは、回転可能シャフトが回転されて突出アームがアーム受入部開口部と整列される場合に突出アームを受け入れるためのアーム受入部開口部を画定し、外向き枢動タンクドアは、膨張されたバイオプロセス容器に接触された際に外向きに枢動する、アーム受入部とを備える。
【0010】
[0018]いくつかの態様では、タンクドアは、タンクドアがタンクの内部空洞に入るのを防止するドアストッパを提供する少なくとも1つの延長部を含む。
【0011】
[0019]ドアロック機構の態様は手動で制御及び/又は電子的に制御することができる。好ましくは、ドアロック機構は自動化又は電子技術を用いずに手動で制御され、したがって複雑さ及びコストを低減する。
【0012】
[0020]タンクは、任意の数のドアロック機構を含んでもよい。
【0013】
[0021]別の態様では、ドアロック機構付きタンクを操作する方法が提供され、この方法は、可撓壁を含むバイオプロセス容器を一態様のタンクの内部空洞内に配置するステップと、突出アームがアーム受入部開口部と整列するまで回転可能シャフトを回転させるステップと、バイオプロセス容器が膨張し、膨張したバイオプロセス容器の可撓壁が枢動タンクドアに接触し、枢動タンクドアが外向きに枢動するまで、バイオプロセス容器を空気又は気体で膨張させる、及び/又はバイオプロセス容器に流体を充填するステップとを含む。いくつかの態様では、バイオプロセス容器が空気又は気体で膨張され、続いて液体が充填される。
【0014】
[0022]好ましい態様では、方法は、突出アームが受入部上部底壁の底端部に接触するまで枢動ドアを外向きに枢動させるステップを含む。
【0015】
[0023]好適には、使用者は、タンク内の容器が少なくとも部分的に充填されている場合にタンクを開くことができないため、使用者が怪我をするおそれがなくなる。必要に応じて、ロックされたドアロック機構に外部ロックを取り付けて、移送中にドアが開く可能性を低減し、及び/又は不正な開放を防止することができる。
【0016】
[0024]ドアロック機構は、市販のタンクを含む様々なタンクと共に使用することができる。タンクは、例えば、
図7に示すように2つ以上のドアを有することができ、及び/又はタンクは、例えば、
図8に示すように丸みを帯びた湾曲ドアを含む任意の適切な形状を有することができる。
【0017】
[0025]以下、本発明の各構成要素をより詳細に説明するが、同様の構成要素は同様の参照番号を付する。
【0018】
[0026]
図1Aは、本発明の一態様によるドアロック機構300を含む(
図1D~
図1G及び
図5にも示す)タンク500の斜視図であり、タンクドアは閉じている。
図1Dは
図1Aに示すドア機構を含むタンク500の斜視図であり、ドアは部分的に開いている。
【0019】
[0027]
図1Aのタンク500の図示された態様は、(必要に応じて、タンクが上壁(図示せず)を含むことができる)開口上部501、底壁502、(上壁503A、504A及び505Aをそれぞれ有する)互いに対向する第1の側壁503及び第2の側壁504並びに後壁505、(上壁510Aを有し、いくつかの態様ではタンクが上壁を含み、タンクドアがタンクの上壁の一部を形成しない)外向き枢動タンクドア510、開口部506Aを有する前壁506、及び、前壁及び外向き枢動タンクドアに取り付けられた少なくとも1つのヒンジ600(図示は2つのヒンジ)を含み、外向き枢動タンクドアは開口部の少なくとも一部を覆うように配置され、タンクは可撓壁を含む膨張可能なバイオプロセス容器700(
図1F及び
図6A~
図6Cを参照)を受け入れるための内部空洞520を有し、内部空洞は床部525を有する。
【0020】
[0028]典型的には、
図1A、
図1D及び
図5に示すように、タンクの下部は内部空洞520の床部525の下に延び、タンクの基部を提供する。必要に応じて、開口部506Aは、例えば、ドアとドア開口部との間の小さな間隙、及びドアの底部の下の空間に起因して、タンクドア510よりも大きくすることができる。しかし、タンクドア510は開口部506Aの大部分(例えば、面積の少なくとも約60%、いくつかの実施形態では少なくとも約80%)を覆っている。
【0021】
[0029]図示のドアロック機構300は、外向き枢動タンクドア510に取り付けられた回転可能シャフト100(第1の(ロック解除された)位置101(
図3参照)と第2の(ロックされた)位置102(
図1A、
図1C及び
図3参照)との間で回転可能)を備え、回転可能シャフトは、ハンドル161を含む第1の端部151と、突出アーム162を含む第2の端部152とを有し、ドアロック機構300はまた、外向き枢動タンクドア510及び回転可能シャフト100から離れてタンク500の前壁506に取り付けられた基部250を備えるアーム受入部200(
図4参照)を備え、アーム受入部200は基部から水平に延びる受入部上部275をさらに備え、受入部上部は、受入部上部壁281と、内壁287及び288と、互いに対向する第1の受入部上部側壁283及び第2の受入部上部側壁284と、受入部上部後壁285と、底端部286Aを有する受入部上部前壁286とを備える。互いに対向する受入部上部側壁の各々は受入部上部前壁の底端部を越える距離「X」だけ基部に向かって延び、受入部上部前壁の底端部及び互いに対向する第1の受入部上部側壁及び第2の受入部上部側壁は、回転可能シャフトが回転されて突出アームがアーム受入部開口部と整列される場合に突出アームを受け入れるためのアーム受入部開口部290を画定し、外向き枢動タンクドアは、膨張したバイオプロセス容器と接触した際に外向きに枢動する(
図1B、
図1C及び
図1F参照)。
【0022】
[0030]タンクドア510は、上端部511と、底端部512と、前端部513と、後端部514と、外面515と、内面516とを有し(
図5参照。いくつかの態様では、例えば、
図1A~
図1C及び
図1E~
図1Gのように、ドアの内面はタンクに接触しない)、少なくとも1つのヒンジ600はドア510に取り付けられている(2つのヒンジは、後端部514の縁部及びタンクの前壁506の外面に取り付けられているものとして示されている)。本発明の態様は、複数のヒンジを有することができ、典型的には、単一のヒンジがある場合、そのヒンジはドアの上端部と底端部との間のほぼ中間に取り付けられてもよい。
【0023】
[0031]
図7は、
図1Aに示すタンク500の図示された態様と同様の、本発明の別の態様によるタンク500’を示しているが、タンク500’は、(各々が開口部506Aを覆う)一対の外向き枢動タンクドア510と、上述した対応する一対のドアロック機構300とを含む。内部空洞及び内部空洞の床部は示されていない。
【0024】
[0032]上述したように、タンクは任意の適切な形状を有することができる。
図8は、外向き枢動タンクドア510’’と上述したドアロック機構300とを含む本発明の別の態様によるタンク500’’を示している。しかし、タンク500及び500’とは対照的に、タンク500’’は、連続的に湾曲した側壁509’’を含む丸みを帯びた形状を有し、外向き枢動タンクドア510’’は湾曲している(そして開口部509A’’を覆う)。外向き枢動タンクドア510’’が湾曲していることを除いて、タンクドア510’’は上述したように外向き枢動タンクドア510と構造が同様である。可撓壁を含む膨張可能なバイオプロセス容器700を受け入れるための内部空洞520の図では、内部空洞は床部525を有し、ドア510’’によって閉鎖されている。
【0025】
[0033]本発明の態様は、任意の数のドアロック機構300を有することができる。典型的には、単一のドアロック機構がある場合、回転可能シャフトはドアの上端部と底端部との間のほぼ中間に取り付けられるとよい。
【0026】
[0034]当該技術分野で知られているように、回転可能シャフトをドアに取り付けるためのいくつかの配置及び構成がある。
図2に示すように、回転可能シャフト100は、ドアに取り付けられたガスケット192Bに取り付けられたフランジ192Aに取り付けられたカラー191を中心に回転する。
図2及び
図3に示すように、ドアロック機構300は、(タンクドアの前端部513の付近でタンクの前壁506に取り付けられた)アーム受入部200が回転可能シャフト100と整列するように取り付けられ、突出アーム162は、受入部上部275及びアーム受入部開口部290に受け入れられるように、そしていくつかの態様では、突出アームのためのストッパを構成する受入部上部底壁の底端部286Aに突出アームが接触するまで回転することができる(
図1C及び
図4参照)。
【0027】
[0035]図は、アーム受入部がタンクドアの前端部513の付近に位置するように配置されたロック機構300を示しているが、他の配置も本発明の範囲内であり、例えば、ロック機構を、アーム受入部がタンクドアの上端部又は底端部の付近に位置するように配置することができる。
【0028】
[0036]回転可能シャフトは、タンクドアに回転可能に取り付けることができる限り、様々な構成を有することができ、タンクドアが本明細書に記載したように外向きに枢動すると、突出アームは受入部上部と整列することができる。市販の回転可能シャフトを含む様々な回転可能シャフトが適している。必要に応じて、回転可能シャフトは、
図2に示すロックボタン100Aなどの安全機構を含むことができ、回転可能シャフトはロックボタンが押圧保持された場合にのみ回転することができる。ロックボタンを含む適切な回転可能シャフトには、例えば、Southco,Inc.(コンコルドビル、ペンシルバニア州)から入手可能なものが含まれる。
【0029】
[0037]いくつかの態様では、ドア510は、ドアがタンクの内部空洞520に入るのを防止するドアストッパを提供する少なくとも1つの延長部586を含む。例えば、
図5は、ドアが内部空洞520に入るのを防止する前壁506に接触するように配置された2つの延長部586A、586Bを示している。
【0030】
[0038]いくつかの態様では、タンクは、例えば、バイオプロセス容器の充填を監視するために内部が見えるようにする。例えば、
図5及び
図6A~
図6Cはドア510における窓575を示し、
図6A~
図6Cは液体が充填されたバイオプロセス容器700を示している。バイオプロセス容器はまた、例えば、流体が容器に出入りすることを可能にする容器上の様々な流体ポートを含み、例えば、必要に応じて、容器の内容物をサンプリングするためのもの、及び/又は試薬及び/又は緩衝液の放出及び/又は添加を行うためのもの(チューブは様々な流体ポートに接続される)を含むが、見やすくするために、流体ポート701に接続された単一のチューブ701Aのみが
図1Fに示され、
図5はバイオプロセス容器の流体ポート701及び702を示し、追加のチューブ及び流体ポートは示されていない。
【0031】
[0039]必要に応じて、本発明の態様はまた、ロックされたドアロック機構に外部ロックを取り付けて、移送中にドアが開く可能性を低減し、及び/又は不正な開放を防止することを可能にするブラケットを設けることもできる。例えば、
図9は、突出アームがアーム受入部に受け入れられた状態でブラケットがアーム受入部に嵌合することを可能にする実質的に「U字形」の開口部を有するものとして示されるブラケット800を表しており、ブラケットは、開くのを防止するためにロック850をブラケットに取り付けることを可能にする孔810Aを含むアーム810を有する。必要に応じて、例えば、ロック及び/又はブラケットに貼り付けられた警告ラベルを設けることもできる。
【0032】
[0040]可撓壁を含む様々なバイオプロセス容器は本発明の態様における使用に適しており、市販もされている。バイオプロセス容器は、例えば、任意の適切な形状及び容積を有することができる。典型的には、バイオプロセス容器は少なくとも2つ、いくつかの態様では3つ以上の流体ポート及び接続されたチューブを有する。例えば、
図5は、バイオプロセス容器の流体ポート701及び702を示している。
【0033】
[0041]本発明の態様は、バイオプロセス実施中にドアロック機構付きタンクを操作する方法を含む。例えば本方法の一態様は、可撓壁を含むバイオプロセス容器を一態様のタンクの内部空洞520内に配置するステップ(例えば、
図1A及び
図5に示す805などの1つ又は複数の切欠き、及び
図5に示す切欠き806、及び/又は
図1A、
図1D、
図1E及び
図1Gに示す床部525内の例えば805Aなどの1つ又は複数の切欠き内にバイオプロセス容器チューブを巡らせること及び/又はバイオプロセス容器ポートを配置することを含む)と、突出アームがアーム受入部開口部と整列するまで、回転可能シャフトを回転させるステップ(
図3及び
図1A参照)と、バイオプロセス容器が膨張し、膨張したバイオプロセス容器の可撓壁が枢動タンクドアに接触し、枢動タンクドアが外向きに枢動するまで(
図1C及び
図1E~
図1G参照。外向きに枢動したドアを示しており、
図1Fは、タンクドアに接触してタンクドアを外向きに枢動させる膨張したバイオプロセス容器700を示す)、バイオプロセス容器に流体を充填するステップ(
図1F及び
図6A~
図6C参照)とを含む。
【0034】
[0042]バイオプロセスの実施に応じて、バイオプロセス容器に充填した後、バイオプロセスの1つの選択肢としては攪拌があり、ミキサ(例えば、(例えば
図1Gに示すように床部525の開口部900に挿入される)取外し可能なミキサ駆動ユニット又は開口部を介してタンクに固定されたミキサ)を作動させ、粉末及び/又は流体を添加して容器内の生成物を攪拌するか又は調整する。代替的又は追加的に、タンクは、バイオプロセス容器の内容物の加熱及び/又は冷却を可能にする被覆された壁を含むこともできる。
【0035】
[0043]攪拌及び/又は加熱及び/又は冷却の後、バイオプロセス容器は排出ポートを介して排出される。排出後、ドアを再び開き、バイオプロセス容器を取り外すことができる。
【0036】
[0044]本明細書で引用される刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
[0045]本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ(at least one)」という用語及び同様の指示対象の使用は、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「少なくとも1つ(at least one)」という用語の後に続く1つ又は複数の項目の列挙(例えば、「A及びBのうち少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(A又はB)又は列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)から選択される1つの項目を意味すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、特に明記しない限り、非限定的な用語(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で特に指示されない限り、範囲内に含まれる各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図しているにすぎず、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法を、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明を良好に明らかにすることを意図しており、特に要求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示していると解釈されるべきではない。
【0038】
[0046]本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい態様を本明細書に記載する。これらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されたもの以外の方法で実施されることを意図している。したがって本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された主題の全ての修正及び均等物を含む。また、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【符号の説明】
【0039】
100…回転可能シャフト、100A…ロックボタン、151…第1の端部、152…第2の端部、161…ハンドル、162…突出アーム、191…カラー、192A…フランジ、192B…ガスケット、200…アーム受入部、250…基部、275…受入部上部、281…受入部上部壁、283…第1の受入部上部側壁、284…第2の受入部上部側壁、285…受入部上部後壁、286…受入部上部前壁、286A…底端部、287…内壁、290…アーム受入部開口部、300…ドアロック機構、500…タンク、500’…タンク、500’’…タンク、501…開口上部、502…底壁、503…第1の側壁、503A…上壁、504…第2の側壁、504A…上壁、505…後壁、506…前壁、506A…開口部、509A’’…開口部、509’’…側壁、510…外向き枢動タンクドア、510A…上壁、510’’…外向き枢動タンクドア、511…上端部、512…底端部、513…前端部、514…後端部、515…外面、516…内面、520…内部空洞、525…床部、575…窓、586…延長部、586A…延長部、586B…延長部、600…ヒンジ、700…バイオプロセス容器、701…流体ポート、701A…チューブ、800…ブラケット、806…切欠き、810…アーム、810A…孔、850…ロック、900…開口部