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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】通信システムリンク確立
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/20 20090101AFI20230627BHJP
   H04W 40/20 20090101ALI20230627BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20230627BHJP
【FI】
H04W92/20 110
H04W40/20
H04W16/26
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021500393
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019071294
(87)【国際公開番号】W WO2020030730
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】18188486.7
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518144182
【氏名又は名称】アイピーコム ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ルフト、アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ビエナス、マイク
(72)【発明者】
【氏名】ハンス、マーティン
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528675(JP,A)
【文献】特表2016-514923(JP,A)
【文献】3GPP TR 38.874 V0.4.0,3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Study on Integrated Access and Backhaul; (Release 15),2018年08月09日,p.17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システム内の2つのノード間の無線通信リンクを確立する方法であって、ユーザ機器デバイス(UEデバイス)において、
第1のインフラストラクチャノードにより伝送されるリンク確立要求メッセージを受信する段階と、
前記第1のインフラストラクチャノードの位置に関連する情報を取得する段階と、
メッセージを第2のインフラストラクチャノードへ伝送して前記第1のインフラストラクチャノードの前記位置を前記第2のインフラストラクチャノードに通知することで、前記第1のインフラストラクチャノードと前記第2のインフラストラクチャノードとの間の前記無線通信リンクの確立を支援する段階と
を備える、方法。
【請求項2】
前記UEデバイスは、前記第1のインフラストラクチャノードから位置情報を受信する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UEデバイスは、前記リンク確立要求メッセージと共に前記位置情報を受信する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記UEデバイスは、前記UEデバイスと前記第1のインフラストラクチャノードとの間に接続が確立された後に、前記位置情報を受信する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記位置情報は、前記UEデバイスにより前記第2のインフラストラクチャノードへ転送される、メッセージコンテナ内の情報として受信される、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記UEデバイスは、前記第1のインフラストラクチャノードから受信した信号を解析することにより、前記第1のインフラストラクチャノードの前記位置に関連する前記情報を決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記UEデバイスは、前記第2のインフラストラクチャノードの位置情報を前記第1のインフラストラクチャノードへ伝送する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
無線通信システム内の2つのインフラストラクチャノード間の無線通信リンクを確立する方法であって、
第1のインフラストラクチャノードによりリンク確立要求メッセージをユーザ機器デバイス(UEデバイス)へ伝送する段階と、
第2のインフラストラクチャノードにおいて、前記第2のインフラストラクチャノードに前記第1のインフラストラクチャノードの位置についての位置情報を供するッセージを前記UEデバイスから受信する段階であって、前記位置情報は、前記UEデバイスに対する前記第1のインフラストラクチャノードの前記位置に関連し、前記位置情報は、前記UEデバイスにより決定済みである、段階と、
前記位置情報を用いて、前記第1のインフラストラクチャノードと前記第2のインフラストラクチャノードとの間の前記無線通信リンクの確立を支援する段階と
を備える、方法。
【請求項9】
前記第1のインフラストラクチャノードは、位置情報を前記UEデバイスへ伝送する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のインフラストラクチャノードは、前記リンク確立要求メッセージと共に前記位置情報を伝送する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のインフラストラクチャノードは、前記UEデバイスと前記第1のインフラストラクチャノードとの間に接続が確立された後に、前記位置情報を伝送する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記位置情報は、前記UEデバイスによる前記第2のインフラストラクチャノードへの転送用の、メッセージコンテナ内の情報として伝送される、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記UEデバイスは、前記第1のインフラストラクチャノードから受信した信号を解析することにより前記第1のインフラストラクチャノードの前記位置を決定するように有効化される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のインフラストラクチャノードは、複数のUEデバイスから位置情報を受信し、前記位置情報から前記第1のインフラストラクチャノードの位置を決定する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第のインフラストラクチャノードは、前記第1のインフラストラクチャノードのダウンリンク伝送において、前記第のインフラストラクチャノードがオペレータのコアネットワークへの接続を現在欠いているインフラストラクチャノードであるかどうかをすように有効化される、請求項1または請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記第のインフラストラクチャノードは、前記第のインフラストラクチャノードが前記オペレータのコアネットワークへの接続を現在欠いているインフラストラクチャノードであるかどうかを物理層信号により示すように有効化される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のインフラストラクチャノードと前記第2のインフラストラクチャノードとの間の前記無線通信リンクは、時間周波数リソースグリッドの予め定義された帯域幅部分において確立される、請求項1または請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信システムにおけるバックホールリンクを設定する方法に関する。特に、本発明は、無線通信システムにおける2つのノード間の無線接続の確立に関する。本発明は、2つのインフラストラクチャノード間の方向指向無線リンクの接続設定手順を支援するためにモバイル端末(ユーザ機器、UE)が利用され得る方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
インフラストラクチャノードの高密度デプロイは、次の5Gシステムに対する高データレートおよび低レイテンシの需要を提供するために不可欠である。
【0003】
LTEによるセルラ通信システムの例が、3GPP技術規格36.300 V14.4.0の図4-1に示されている。基地局(eNB)とモバイル端末(UE)との間の無線接続は概して、「アクセスリンク」(LTE用語では、「LTE Uu」)と称される。インフラストラクチャ側のインタフェースは概して、「バックホールリンク」と称される。
【0004】
参照する図では、様々な基地局が、S1インタフェースを介して、モバイルネットワーク事業者の(MNOの)コアネットワーク(CN)と接続されている。CNは、この図において、1つの主エンティティとして単純化して示されている。主エンティティは、基地局のS1インタフェースの単一のエンドポイントであり、一方で、完全なCNは、複数の接続されたエンティティ(制御プレーントラフィックの処理を担うモビリティ管理エンティティ(MME)、ユーザプレーントラフィックの処理を担うサービングゲートウェイ(S-GW)など)から成る。X2インタフェースは、互いに論理的に様々な基地局と接続している。いくつかのデプロイにおいて、X2接続は、CNを通じて物理的にルーティングされ得る。
【0005】
S1接続(ピギーバックX2接続の有無を問わず)は、(例えば、MNOのコアネットワークと基地局サイトとの間の光ファイバを用いた)有線接続として実現されることが多い。上記有線接続は、MNOにとってかなり高価であり、柔軟性に欠ける。しかしながら、このシナリオに応じて、デプロイが存在するのは、そのようなS1接続および/またはX2接続が、UEにサービスを提供するアンテナとは別個のアンテナシステムを用いた(例えば、見通し線が普及している2つの基地局タワー間の)無線高指向性見通し線接続として実現される場所である。ほとんどの場合、このタイプの接続に用いられるアンテナシステムは、基地局サイト(またはリレーノードサイト)が設定されている場合に人員により手動で調節される静的放物面反射器(すなわち、ディッシュ)である。この解決手段は、いくつかのシナリオではより高価であり得るが、依然として柔軟性に欠ける。
【0006】
3GPP Rel-10は、(「LTE-Advanced」の一部として)リレーノード、RNという概念を導入している。3GPPにより定義されるリレーノードは、拡張されたカバレッジおよび容量をセル端またはホットスポットエリアに提供し得る低電力基地局である。リレーノードは、無線インタフェース、(LTE Uuエアインタフェースの修正版である)LTE Unを介して、ドナーeNB(DeNB)によりサービスを提供される。故に、ドナーセル内では、DeNBにより直接サービスを提供されるUEと、リレーノードとの間で、無線リソースが共有される。この種類のリレーノードは、DeNBのカバレッジエリア内に配置されていなければならない。なぜなら、DeNBのカバレッジの外部に存在するリレーノードは、DeNBに接続できないことがあるので、バックホールリンクを有しないであろうからである。
【0007】
タイプ1LTEリレーノードは、それらのセルを、それらの独自の同期信号および基準シンボルの伝送を含むそれらの独自のセル識別情報を用いて制御する。タイプ1リレーは、UEへのeNBであるかのように現れる。これにより、後方互換性が保証される。リレーノードがタイプ1のものである場合、同時にUu上で受信およびUu上伝送(またはその逆)する時に、リレーノードに干渉が生じるハイリスクがある。これは、UuとUnとの間の時分割、または、トランスミッタおよびレシーバの位置を異ならせることを通じて、回避され得る。このカテゴリ内には、さらに2つのサブタイプがある。
【0008】
タイプ1.a:これらのLTEリレーノードが、基本タイプ1リレーノードと同じ特性を有する帯域外RNであるが、同時に伝送および受信し得る、すなわち、全二重である。
【0009】
タイプ1.b:この形態のLTEリレーノードが帯域内形態である。当該LTEリレーノードは、BS-RNリンクおよびRN-UEリンクに用いられるアンテナ間で十分に分離されている。この分離は、アンテナの間隔および指向性ならびに専用デジタル信号処理技術により実現され得るが、これを行うとコスト上の影響がある。これらのRNの性能は、フェムトセルの性能と同様であると予測される。
【0010】
タイプ2LTEリレーノードは、それらの独自のセル識別情報を有さず、主なセルのようにだけ見える。範囲内のいかなるUEも、リレーを当該セル内の主なeNBと区別することは可能ではない。制御情報がeNBから伝送されてよく、ユーザデータがLTEリレーから伝送されてよい。
【0011】
表1は、3GPP TR 36.814(Release 9)において定義される異なるタイプのLTEリレーノードの概要を示す。タイプ1リレーノードとタイプ2リレーノードとの間の主な区別要因は、所与のリレーノードが独自のセル識別情報、同期信号および基準シンボルを広めているかどうかである。
【表1】
【0012】
RN開始手順は、標準的UEアタッチメント手順に基づく2段階プロセスである。第1の段階において、RNは、第2の段階においてリレーとして自らが接続する必要がある全ての情報を取得すべく、標準的UEとしてeNBに接続する。これは、DeNB機能を有しているか否かにかかわらず、任意のeNBに対して行われ得る。主な目的は、最も重要なものとしてDeNBのリストを含む初期パラメータのリストを取得すべく、O&M(動作およびメンテナンス)センタに接続することである。次に、RNは、次の段階、つまり、RN動作のためのアタッチメントをデタッチおよびトリガする。この第2のアタッチメントにおいて、UEは、O&Mにより提供されるDeNBのうちの1つを選択する。ここではRNがリレー動作についてアタッチするので、認証およびセキュリティが繰り返される。特別サブフレームの潜在的な需要および構造がネゴシエートされ、最終的に、O&Mは、RN構成を完了し得る。S1/X2接続の設定の後に、RNは、動作を開始し得る。3GPP Rel-10 RNは、eNBと同じ機能を大いにサポートすることになる。しかしながら、DeNBは、CNノード(MME)の選択を担うことになる。
【0013】
次の5Gセルラ通信システムでは、アクセスリンクの周波数範囲は、6GHzよりも下の周波数帯域および6GHzよりも上の周波数帯域を含むことになる。後者は、そうでなければ限定されるカバレッジエリアを拡張するために、無線信号のビームフォーミングを必要とする。したがって、特定のスポットに向かって、または特定の方向へ無線信号を集中させることを可能にするアンテナシステムが将来の基地局および/またはリレーノード(インフラストラクチャノード)には備え付けられることが想定されている。これらのアンテナシステムは、「フェーズドアレイ」として知られている。通常、無線伝送の集中は、それぞれの無線ビームの幅が低減されることに起因する。向けられるアンテナビームは通常、信号強化の所望の方向でポインティングする強固な主ローブと、はるかに低い強度を有する少なくとも1つのサイドローブとから成る。いくつかのデプロイにおいて、ビームフォーミング技術は、「従来の」6GHz未満の周波数帯域で動作する現在のセルラ通信システムにおいても利用される。
【0014】
この文脈において、インフラストラクチャノードは、基地局、リレーノード、リモートラジオヘッドまたはそれらの任意の組み合わせであってよい。中央ユニット(CU)と分散型ユニット(DU)とへ分割された機能ネットワークノードが、次の5G無線アクセスネットワーク(RAN)の3GPPに現在記載されているように定義される場合、インフラストラクチャノードは、中央ユニット(CU)または分散型ユニット(DU)などの基地局のサブセットによっても表され得る。
【0015】
RRC_CONNECTEDでは、UEとの間のデータの転送のためにRRC接続が確立されており、UEのモビリティは、ネットワークにより制御され、UEにより支援される。これは、UEにより回収され、UEから受信される測定値に基づいて、インフラストラクチャ側が1つの基地局(eNB)から別の基地局へのハンドオーバをトリガし得ることを意味する。
【0016】
RRC_IDLEでは、モビリティは、UEのみの制御下にある。これは、UEにより回収される測定値に基づいて、UEがキャンプオンするのにより適した無線セルが周囲に存在するかどうかをUE自体が継続的にチェックすることを意味する。RRC_IDLEにあるUEは、自らの追跡エリアの変化について、(ページングの場合における到達可能性を保証すべく)インフラストラクチャに時々通知する必要がある。
【0017】
LTEにおけるUEの状態と、状態の遷移とについての詳細(RAT間の態様を含む)は、3GPP TS 36.331のセクション4.2において見つけられ得る。
【0018】
RRC_CONNECTED動作モードにあるUEは、それ自体および代替的な基地局にとっての現在のリンク品質について基地局が常に通知されることを保証するために、無線リソース管理(RRM)測定および報告基準で構成される。RRMは、例えば、伝送電力、ハンドオーバ基準、変調およびコーディングスキーム、エラーコーディング等の(主に物理層)パラメータを制御するためのストラテジおよびアルゴリズムに関与する。その目的は、限定された無線周波数スペクトルリソースと無線ネットワークインフラストラクチャとを可能な限り効果的に利用することである。測定報告は、連続的なプロセスであってもよく、イベントトリガであってもよい。
【0019】
ドライブテストの最小化(MDT)は、3GPP Rel-10に導入されている機能であり、従来のドライブテストに関連する動作上の出費、OPEXを低減しつつネットワーク性能を評価すべく、オペレータがユーザの機器を利用して無線測定値および関連位置情報を収集することを可能にする。MDTにより、ネットワークは、eNodeBとUEとの間で進行中の接続のメンテナンスに関連しない測定値を(RRMの範囲内で)構成するように有効化される。代わりに、MDTでは、測定値回収と、オペレータによるロングタームネットワーク管理に適した関連報告とのためにUEを構成する。3GPP Rel-10におけるMDTの焦点は、カバレッジの最適化にあった。しかしながら、現在の無線パケットデータネットワークがますます複雑になっていることで、性能が、多くの異なる要因に影響を受け、単純な無線測定によっては容易に推定できなくなっている。したがって、3GPP Rel-11では、MDTは、MDTの焦点にサービス品質(QoS)の検証を追加することによりネットワーク性能についてのより完全な視点を提供すべく拡張された。
【0020】
モバイルネットワーク事業者、MNOは、インフラストラクチャノード(例えば、基地局、リレーノード、リモートラジオヘッド)が、デプロイされた無線アクセス技術(RAT)の要求をサポートするのに適したバックホール接続および/またはフロントホール接続を介して対応するピアエンティティ(例えば、コアネットワーク、他の基地局、他のリレーノード)に接続されることを保証する必要がある。ほとんどの場合、インフラストラクチャノードは、ケーブルを介してMNOのインフラストラクチャへ統合される。(音声通話に焦点が当たっていた)過去数年間は、DSL接続が場合により十分だったが、(マルチメディアコンテンツに焦点が当たり、高データレートへの需要が高まり続けている)最近は、関与しているインフラストラクチャノード間で高データレートを申し分なく保証するために、光ファイバが主にデプロイされている。しかしながら、有線バックホール/フロントホールリンクは、高価であり、柔軟性に欠ける。
【0021】
無線バックホール/フロントホールリンクが最新技術に従ってデプロイされる場合、アクセスリンクおよびバックホール/フロントホールリンクは、異なる周波数帯域で動作し、別個のアンテナシステムを必要とする。無線バックホール/フロントホールリンク用のアンテナシステムは通常、当該サイトが設定されている場合に手動で調節される静的放物面反射器(すなわち、ディッシュ)を用いた高指向性見通し線接続である。いくつかのシナリオにおいて、最新技術による無線解決手段は、ケーブルを用いるよりも高価にはなり得ないが、依然として非常に柔軟性に欠ける。
【0022】
大型のスポーツイベントまたはエンターテイメントイベントがより良いネットワークカバレッジまたはより多くの容量を必要とする場合、MNOは、それぞれの場所で一時的に(すなわち、必要に応じて)追加のモバイル基地局を設定することを選択し得る。これらのモバイル基地局には、場合により、トレイラ上に設置されて対象の位置へと保持されることが多いそれらの独自の(例えば、ディーゼルエンジンの形態の)電源が備え付けられる。それらは、静的放物面反射器(いわゆる、「ディッシュ」)を介して、MNOのインフラストラクチャに接続され得る。そのようなディッシュを手動で調節することは、人員によってのみ実行され得るので、非常に時間がかかる作業であり、労働に関してコストがかかる。無線バックホール/フロントホールリンクの設定/メンテナンスの自動化は、現在のところ知られていない。
【0023】
RNとそのサービングDeNBとの間の接続が3GPP LTEに従って関連している限り、RNがDeNBのカバレッジエリアの外部に配置され得ないという制限が存在する。結局、RNは、DeNBのダウンリンク信号の受信およびアップリンクにおけるリンク確立の要求が可能でなければならない。DeNBはビームフォーミング技術を用い得るが、RNは、指向性アンテナ特性で構成され得ない。現在の3GPP LTEシナリオでは、RNは常に、全方向性レシーバとして構成される。そうでなければ、DeNBのダウンリンク信号を受信し、その後にDeNBに接続することが可能とはならないであろう。我々が提案する方法により、この範囲の制限が減る。
【0024】
米国特許第2014/0092885 A1号および米国特許第2014/0301270 A1の両方は、インフラストラクチャ機器が支援式近接ディスカバリ情報を提供するUE-UE(すなわち、D2D)通信を設定するための技術について説明している。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、無線通信システム内の2つのインフラストラクチャノード間の無線通信リンクを確立する方法であって、ユーザ機器、UEデバイスにおいて、第1のノードにより伝送されるリンク確立要求メッセージを受信する段階と、上記第1のノードの位置に関連する情報を取得する段階と、メッセージを第2のノードへ伝送して上記第1のノードの上記位置を上記第2のノードに通知することで、上記第1のノードと上記第2のノードとの間の上記リンクの確立を支援する段階とを備える、方法を提供する。
【0026】
本発明は、無線通信システム内の2つのインフラストラクチャノード間の無線通信リンクを確立する方法であって、第1のノードがリンク確立要求メッセージをユーザ機器、UEデバイスへ伝送する段階と、上記第1のノードの上記位置についての位置情報を第2のノードに提供する上記UEデバイスからメッセージを上記第2のノードにおいて受信する段階であって、上記位置情報は、上記UEデバイスに対する上記第1のノードの位置に関連し、上記位置情報は、上記UEデバイスにより決定済みである、段階と、上記位置情報を用いて、上記第1のノードと上記第2のノードとの間の上記リンクの確立を支援する段階とを備える、方法をさらに提供する。
【0027】
従来技術の欠陥は、UEを利用して、2つのインフラストラクチャノード間の指向性無線リンクの接続設定手順を支援することにより緩和される。
【0028】
無線バックホールリンクまたは無線フロントホールリンクを欠いているインフラストラクチャノードは、例えば、それらのシステム情報ブロードキャスト(SIB)の一部として、それらのダウンリンク信号内の「ヘルプ要求」をそれらのそれぞれのアクセスリンク上で広め得る。
【0029】
UEは、それらのサービングインフラストラクチャノードにより、他の(例えば、隣接する)インフラストラクチャノードからの「ヘルプ要求」を検出/測定するように構成され得る。
【0030】
サービングインフラストラクチャノードは、この動作について適切なUE、例えば、サービングインフラストラクチャノードおよびヘルプシークインフラストラクチャノードの両方のセル端に存在するUEを選択するように有効化される。この選択は、測定されたダウンリンク信号の経路損失比較に(少なくとも部分的に)基づき得る。
【0031】
例えば、UEの無線機能またはUEの現在の速度/位置/処理ロードに基づく他の選択基準も可能である。静止している(かまたはゆっくり移動している)UEをサービングインフラストラクチャノードに選択させることは、いくつかのシナリオにおいて有益であり得る。
【0032】
「ヘルプ要求」が、位置データのセットを取得すべくUEがヘルプシークインフラストラクチャノードへ一時的に接続するためのトリガであってもよく、要求またはそれぞれのシステム情報が位置データを直接含んでいてもよい。本発明によれば、位置データは、それぞれのインフラストラクチャノードの厳密な位置を指定する。
【0033】
当該インフラストラクチャノードが自らの位置を提供しない場合、UEは、信号測定およびそれらの幾何学的計算を実行して到来角(AoA)および/または距離情報を導出するように構成され得る。
【0034】
ヘルプシークインフラストラクチャノードから受信されるか、またはUE内で決定される測位情報は、UEの構成に従って、サービングインフラストラクチャノードへ報告される。
【0035】
サービングインフラストラクチャノードは、この少なくとも1つのUEから受信した位置情報および/またはAoAおよび/または距離情報を用いて、「ヘルプ要求」を広めた他のインフラストラクチャノードへの指向性無線バックホールリンクまたはフロントホールリンクを設定する。サービングインフラストラクチャノードは、自らのアンテナ制御設定を適宜調節する。
【0036】
ヘルプシークインフラストラクチャノードは、例えば、そのノードからの位置データの受信のためにこのUEにより行われる接続中に、このUEを介してサービングインフラストラクチャノードの位置を受信し得る。
【0037】
UEを介した2つのインフラストラクチャノード間の測位情報の配信は、UEにとって透明であってよい。すなわち、当該情報は、解釈または変更なく、UEによりリレーされてよく、また、当該情報は、透明コンテナとして暗号化および配信されてよい。
【0038】
この文脈において、インフラストラクチャノードは、2つの基地局、2つのリレーノード、2つのリモートラジオヘッド、またはそれらの組み合わせであってよい。所与のノードについて、中央ユニット(CU)および分散型ユニット(DU)へ分割された機能が、次の5G無線アクセスネットワーク(RAN)の3GPPに現在記載されているように定義される場合、インフラストラクチャノードは、中央ユニット(CU)または分散型ユニット(DU)などの基地局のサブセットによっても表され得る。
【0039】
本発明は、トランスポートネットワークを比例的に高密度化する必要なく5G無線セルの高密度かつ柔軟なデプロイを可能にする。
【0040】
本発明の一実施形態において、上記インフラストラクチャノードは、基地局により表される。本発明の別の実施形態において、一方のネットワークノードは基地局であり、他方のネットワークノードはリレーノードまたはリモートラジオヘッドである。
【0041】
本発明は、セルラ通信システムのコアネットワークへの接続を欠いているインフラストラクチャノードを接続することを目的としたバックホール/フロントホールリンクの初期設定の方法を説明する。
【0042】
5Gによるセルラ通信システム用の複数のビームの同時生成をサポートすることが可能である伝送および受信ポイント(TRP)のデプロイが期待されていることに起因して、統合されたアクセスおよびバックホールリンクを開発およびデプロイする機会がある。これによって、UEへのアクセスを提供するために定義される制御およびデータチャネル/手順の多くを構築することにより、高密度ネットワークトポロジのより簡単なデプロイと、より統合された方式での5Gセルの自己バックホールとが可能になり得る。
【0043】
TRPは、通常はインフラストラクチャノードに関連しており、また、特定のスポットに向けて、または特定の方向へ無線信号を柔軟な方式で集中させることを可能にするアンテナシステム(例えば、フェーズドアレイ)により実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明により、サービング基地局の全方向性カバレッジエリアの外部の自己編成インフラストラクチャノードのデプロイが可能になる。したがって、これにより、小さいインフラストラクチャノードのリーチが拡張され、オペレータネットワークのカバレッジが拡張されて、デプロイコストが下がる。
ここで、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を例としてのみ説明する。
図1】バックホールリンクの確立を要求する基地局の図を示す。
図2】フロントホールリンクの確立を要求するリモートラジオヘッドの図を示す。
図3】リンクの確立における段階を示すメッセージフローチャートである。
図4】UEにより実行される到来角測定値を示す概略図である。
図5図4において測定された角度を示す。
図6】3GPP TS 38.300による5G通信システムの時間-周波数リソース格子に位置する異なる帯域幅部分(BWP)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、第1の基地局Aに接続されたUEが、基地局Aと基地局Bとの間のバックホールリンクを確立するためのリンク確立要求LERを第2の基地局Bから受信する例示的なネットワーク構成を示す。
【0046】
図2は、第1の基地局Aに接続されたUEが、RRHのベースバンドユニットとして機能する基地局AとRRHとの間のフロントホールリンクを確立するためのリンク確立要求LERをリモートラジオヘッドTRP Rから受信する例示的なネットワーク構成を示す。
【0047】
サービングインフラストラクチャノード(基地局Aなど)は、指向性無線バックホールリンクまたは指向性無線フロントホールリンクを設定するために支援を必要としている他のインフラストラクチャノードから受信したリンク確立要求(LER)を検出および報告するように、測定値を用いたRRC_CONNECTED動作モードにあるUEを構成し得る。LERは、例えば、そのシステム情報ブロードキャスト(SIB)の一部として、他のインフラストラクチャノードから受信され得る。2つの事例が検討され得る。
I.ヘルプシークインフラストラクチャノードが自らの位置を認識していない。
【0048】
この事例では、以下で詳細に記載されるように、ヘルプシークインフラストラクチャノードにより伝送されるLERは、ヘルプ要求のみを含み、LERを受信したUEは、当該ノードからの信号の測定と、推定到来角を導出するためのいくつかの幾何学的演算とを実行することが必要とされる。
【0049】
関与対象のインフラストラクチャノード間に所望のバックホール/フロントホールリンクを設定するプロセスに1つだけよりも多くのUEを関与させることは概して、有用であり得る。したがって、サービングインフラストラクチャノード(図1および図2における基地局A)は、複数のUEを適宜構成し、次に、異なるUEから受信した結果を組み合わせることを選択することにより、位置推定の精度を向上させ得る。
【0050】
さらに、UEの選択を特定の選択基準(UEの状態、UEの速度、UEの位置、UEの機能等など)に基づかせることは有益であると思われる。例えば、サービングインフラストラクチャノード(図1および図2における基地局A)は、当該方法のためにセル端に存在しているUEを特に選択し得る。適切なセル端UEを選択するために、経路損失測定値またはそれらの比較結果が、サービングセル内で用いられ得る。
II.ヘルプシークインフラストラクチャノードが自らの位置を認識している。
【0051】
ヘルプシークインフラストラクチャノードにより伝送されるLERは、ヘルプ要求と共に位置データを含み得る(図3におけるメッセージの基本フローを参照のこと)。位置データは、UEにとって透明(transparent)であってよい。すなわち、例えば、暗号化といった、UEにより読み取られ得る形式でなくてよい。
【0052】
あるいは、第1の段階においてSIBを介してヘルプシークインフラストラクチャノードから受信されるLERは、位置データなど、LERに関連するさらなるコンテンツが第2の段階において専用シグナリングを介して伝送され得るように、このノードのアクセスリンク上での「RRC接続設定」の試行をトリガするために用いられる(図3における「オプションの」破線ボックスを参照のこと)。所望の情報をヘルプシークインフラストラクチャノードからUEへ伝達するための適切なRRCメッセージは、例えば、「RRC接続設定」メッセージもしくは「RRC接続拒否」メッセージ(場合によっては、拒否と共に「設定されるべきバックホールリンクの待機」を生じる)、「RRC DL情報転送」メッセージ、または当該規格においてまだ定義されていない新しい種類のRRCメッセージである。RRC層におけるこれらの情報の交換が、我々の好ましい実施形態である。しかしながら、他のプロトコル層および/またはメッセージも用いられ得る。
【0053】
確立された接続は、UEがサービングインフラストラクチャノードの位置データをヘルプシークインフラストラクチャノードに提供するためにも用いられ得る。当該情報は、例えば、UEに第1位のヘルプ信号へ反応させた構成などの構成と共に、サービングインフラストラクチャノードから受信済みであってよい。位置情報は、図3においてオプションとして示されている。
【0054】
代替例の両方において、インフラストラクチャノードのいずれかまたは両方の位置データは(部分的に、または全体的に)、UEのために透明コンテナの形式で保護および/または暗号化および/または提出される完全性であってよい。この文脈における透明は、UEが透明コンテナのコンテンツを理解/処理する必要がないことを意味する。位置データは、変更されずに、それぞれの受信側インフラストラクチャノードへ渡される。
【0055】
図3は、本発明による方法の例示的なメッセージフローを示す。第1のインフラストラクチャノードは、図1および図2の基地局Aに対応する。UEは、少なくとも図3に示される「構成」動作および「報告」動作中、第1のインフラストラクチャノードに接続されている。第2のインフラストラクチャノードは、図1の基地局B、リレーノードまたは図2のRRHに対応し得る。
【0056】
第1の段階において、第1のインフラストラクチャノードは、1または複数の適切なUEを決定する。第2の段階において、第1のインフラストラクチャノードは、選択されたUEを構成する。この構成は、標準的RRM測定構成の一部および/またはMDTの一部であってよい。当該構成は、第2のインフラストラクチャノードへのUEによる配信を目的とした第1のインフラストラクチャノードの位置情報の提供を含み得る。当該構成は、例えば、リンクパラメータ、周波数情報、帯域幅部分(BWP)情報(5Gシステムについて定義される。図6を参照のこと)および現在のロード情報など、第1のインフラストラクチャノードへのリンクの確立のために第2のインフラストラクチャノードにより用いられる追加の情報の提供も含み得る。当該構成は、場合によっては第2のインフラストラクチャノードにサービスを提供し得るさらなる隣接インフラストラクチャノードの位置および他の情報の提供も含み得る。第2のインフラストラクチャノードへの配信を目的としてUEに提供される位置および他の情報は、UEに対して透明であってよい。
【0057】
LERを報告するように構成された全てのUEは(隣接するセルから受信した場合)、それらの測定報告を適宜強化する。第2のインフラストラクチャノードが自らの位置を認識していない場合、LERは、UEが第2のインフラストラクチャノードからのLERまたは他の信号に関する測定値を用いるための、かつ、第1のインフラストラクチャノードへ送信される到来角(AoA)および/または距離情報の導出を目的とした幾何学的演算を実行するためのインジケーションとして機能する。したがって、これらの動作の結果は、標準的RRM測定報告の一部および/またはMDT報告メカニズムの一部であってよい。
【0058】
第2のインフラストラクチャノードが自らの位置について認識している場合、LER自体が位置データの所望のセットを含んでもよく、後続のプロセスにおいて第2のインフラストラクチャノードから所望の位置データを取得するようUEがLERによりトリガされてもよい。これにより、UEは、ランダムアクセス手順を経て、第2のインフラストラクチャノードへの(一時的な)接続を設定する必要があり得る。次に、第1のインフラストラクチャノードの位置および他の情報の潜在的に構成されるセットが、UEにより第2のインフラストラクチャノードへ伝送され得る。第2のインフラストラクチャノードの位置データおよび場合によっては他のデータのセットは、(例えば、第2のインフラストラクチャノードへの接続が終了された後に)第2のインフラストラクチャノードからUEへ伝送され、そこから第1のインフラストラクチャノードへ伝送され得る。この情報の交換は、(例えば、第2のインフラストラクチャノードが基地局またはリレーノードである場合)アクセスリンクのプロトコルスタックのRRC層において起き得る。あるいは、異なるプロトコルまたは軽量RRCプロトコルが、第2のインフラストラクチャノードおよびUEにおいて用いられる。例えば、第2のインフラストラクチャノードがRRHである場合、当該ノードは、実装されたそれぞれのエアインタフェースのRRC機能を有しない。なぜなら、RRCプロトコルは、RRHを制御する基地局内にのみ存在するであろうからである。したがって、RRHは、RRHの従来の機能に加えて本発明を実現するために、RRHとRRHを制御する基地局との間で交換されるメッセージのセットをサポートする必要があるであろう。
【0059】
あるいは、LER(位置データのセットを部分的にまたは全体的に含む)は、(例えば、セルラ通信システムのシステム情報ブロードキャスト(SIB)シグナリングの一部としての)ブロードキャストシグナリングを介して、または専用シグナリングを介して、第2のインフラストラクチャノードから受信される。
【0060】
一実施形態において、隣接するセルから受信されるLERの検出は、RRC_CONNECTED動作モードにあるUEが測定報告(第2のインフラストラクチャノードに関する位置データのセットを含む)を自らのサービングセルへ迅速に伝送するためのトリガポイントとして機能し得る。
【0061】
第2の実施形態において、UEにより受信されるLER信号についての情報を含む測定報告の受信は、第1のインフラストラクチャノードへの接続をリリースし、第2のインフラストラクチャに接続し、第2のインフラストラクチャノードの位置および/または他の情報を取得し、第1のインフラストラクチャノードの位置および/または他の情報を任意で提供し、第1のインフラストラクチャノードへのその接続および再接続をリリースして、取得した位置および/または他の情報を提供するよう第1のインフラストラクチャノードがUE(必ずしも同じUEではない)に命令するためのトリガとして機能し得る。
【0062】
別の実施形態において、隣接するセルから受信されるLERの検出は、RRC_IDLE動作モードにあるUEが第1のインフラストラクチャノードへの接続設定を迅速に要求して測定報告の伝送を可能にするためのトリガポイントとして機能し得る。
【0063】
さらに別の実施形態において、隣接するセルから受信されるLERの検出は、RRC_IDLE動作モードにあるUEが第2のインフラストラクチャノードへの接続設定を迅速に要求して少なくとも第1のインフラストラクチャノードの格納済みの位置データの提出を可能にし、および/または第2のインフラストラクチャノードから位置データを取得し、続いて、測定報告の伝送を目的として第1のインフラストラクチャノードへの接続および接続設定をリリースするためのトリガポイントとして機能し得る。
【0064】
上記と同様の実施形態において、第1のインフラストラクチャノードに接続されつつ第2のインフラストラクチャノードに接続する能力を有するUEは、第1のインフラストラクチャノードへの接続をリリースすることなく上記のような実施形態を実行するように構成され得る。
【0065】
本発明の別の態様において、LER信号をブロードキャストする第2のインフラストラクチャノードは、自らの物理伝送信号における、例えば、自らの同期信号、自らのセルIDまたは同様のものにおける、当該ノードにバックホール接続がなく、したがって標準UE用の潜在的なサービングノードがないことを示す予め定義された信号を提供する。これは、この種類のインフラストラクチャノードによってのみ用いられる専用同期信号により実現され得る。その目的は、インフラストラクチャリンク設定を支援するように構成されていない標準UEがそれぞれのセルをセル(再)選択または標準的な隣接セル測定の候補として選択するのを防止することである。
【0066】
このセクションでは、第2のインフラストラクチャノードが自らの位置についてのいかなる情報も伝送しない事例を扱う。ここで、LERは、第1のインフラストラクチャノードへ送信される到来角(AoA)および/または距離情報の導出を目的とした動作をUEが実行するためのインジケーションとしてのみ機能する。
【0067】
第1のインフラストラクチャノードがその独自の位置およびUEの位置についての情報を有する場合、第1のインフラストラクチャノードへ報告されるUEによる厳密なAoAおよび距離の測定は、第2のインフラストラクチャノードの位置を厳密に決定するのに十分であろう。UEによる測定が厳密ではなく、重大な測定エラーを有し得る場合、同じ測定が、複数のUEにより構成および実行され得る。異なるUEの受信された測定値を平均することにより、位置推定の精度が上がるであろう。
【0068】
しかしながら、UEの位置が第1のインフラストラクチャノードにより広く知られていない場合、以下の測定および計算は、第2のインフラストラクチャノードの位置の良好な推定値をもたらし得る。ハンドヘルドUEデバイスを排除する必要はないものと思われるが、以下の詳細な例において、UEは、フェーズドアンテナアレイが備え付けられた車両(例えば、車)により表される。図4は構成の概略図を示し、図5は同じシナリオの上部からの簡略図を示す。車両は、車両ロール軸に沿った方向xに移動してもよく、移動しなくてもよい。
【0069】
車両のロール軸は、以下で説明する角度考慮事項の全てについてシステムのレジャー(またはベースライン)として機能するよう任意で選択されている。任意の他の定義によっても、本発明の範囲内のAoA情報の導出が可能であろう。ここで説明する我々の考慮事項が地球の表面に投影された2次元プレーン、故に図5における上面図に関連していることに、注目すべきこととして言及する。高さの態様(3次元計算結果)については、簡潔さを目的として詳細には説明しない。
【0070】
UEは、両方のインフラストラクチャノードからダウンリンク信号を受信し、自らのアンテナアレイを用いて、受信した信号を、両方のノードの信号のそれぞれの到来角(AoA)について解析する。図5において、測定された角度は、αおよびγ(または180°-γ)であろう。差角βは、容易に計算され得る。距離について、UEは、既知(固定)の電力を有する信号の信号強度測定値、例えば、RSRPを用い得る。当該測定値により、UEからノードLおよびノードLまでの距離の推定値がそれぞれ提供される。特に、RSRP測定値の比較により、第1のインフラストラクチャノードから見た第2のインフラストラクチャノードの方向の良好な推定を角度測定値と共に可能にする距離比が提供される。既知の三角計算に従って、以下の式を導出し得る。
【0071】
【数1】
上記式は、差角βと、2つのそれぞれの受信信号の比により推定される2つの受信されたリンクの比rとを用いてインフラストラクチャノード1からノード2へのビームの方向が計算され得ることを明確に示している。
【0072】
この推定が、当該推定に関与するには十分なエリア内であるが著しく異なる位置に存在する複数のUEにより繰り返された場合、その結果は、第1のインフラストラクチャノードが自らのアンテナアレイを調節して自らの伝送ビームおよび受信ビームを第2のインフラストラクチャノードへ向けるのに非常に適切な方向推定値になる。
【0073】
この推定または測定値は、両方のインフラストラクチャノードがそれらの無線ビームを互いに向け得るように、第2のインフラストラクチャノードへの測定報告としても提供され得る。一実施形態において、この報告は、UEと第2のインフラストラクチャノードとの間の接続設定手順の一部であり得る。すなわち、以上で説明した推定演算は、LERインジケーションの受信時(すなわち、LERインジケーションによりトリガされた時)であるが、UEが第2のインフラストラクチャノードへの接続(または第1のインフラストラクチャノードへの報告)を開始する前に、実行されるであろう。
【0074】
本発明の追加の態様は、第2のインフラストラクチャノードに関する情報(例えば、第2のインフラストラクチャノードに関する位置データのセット)を位置および場合によっては他の情報との組み合わせで第1のインフラストラクチャノードからCN接続を介してさらなる隣接インフラストラクチャノードへ伝送することである。これにより、複数のインフラストラクチャノードが第2のインフラストラクチャノードのサービングノードとして潜在的に動作することが可能になり、説明した手順が全ての潜在的なサービングノードに必要となることが防止される。その目的で、第1のインフラストラクチャノードは、LER信号と、第2のインフラストラクチャノードに関する位置データのセットとについて、自らの隣接者または関連エリア内に存在する者のサブセットに通知する。
【0075】
以上で言及した第2のインフラストラクチャノードからのLERインジケーションと、第1のノードへの、また、任意で第2のノードへのUEによる位置データの提供とにより、これらのノードは、位置情報または少なくとも方向情報を互いに有する。
【0076】
再びであるが、第2のヘルプシークインフラストラクチャノードが前者の手順中にUEに接続されているか否かに応じて、2つの事例を区別する必要がある。
【0077】
UEとそのサービングインフラストラクチャノードとの間でのみ位置推定が行われていた場合、第2のインフラストラクチャノードは、実際に支援しているUEを認識していない。結果として、第1のインフラストラクチャノードのみ、または加えて通知された自らの隣接ノードのいずれかが、受信した情報に反応し得る。
【0078】
第1のインフラストラクチャノード(または自らの通知された隣接者のいずれか)は、そのノードにより伝送されるあらゆる情報の受信が可能になるよう、自らの受信アンテナビームを第2のインフラストラクチャノードの推定位置に向ける。また、伝送アンテナビームは、第2のインフラストラクチャノードが第1のノード(またはその隣接者)を検出することが可能にすべく、最初にセルブロードキャスト信号、すなわち同期信号およびシステム情報ブロードキャストの伝送のために、同じ方向へ向けられる。
【0079】
また、第1のインフラストラクチャノードは、第2のインフラストラクチャノードに向けられた無線ビームを用いて第2のインフラストラクチャノードにおいてランダムアクセス試行を実行することにより、リンク確立を開始し得る。これにより、第1のインフラストラクチャノードは、初期リンク確立のためにUEとして動作することが必要になる。
【0080】
第2のインフラストラクチャノードが位置推定手順に関与し、第1のインフラストラクチャノードの位置についての知識を獲得した場合、第2のインフラストラクチャノードは、第1のインフラストラクチャノードを検出すべく、第1のインフラストラクチャノードからランダムアクセス試行を受信すべく、第1のインフラストラクチャノードから受信したランダムアクセス試行に応答すべく、または第2のインフラストラクチャノードから第1のインフラストラクチャノードへのランダムアクセス試行を開始すべく、自らの無線ビームを第1のインフラストラクチャノードに向けることを選択し得る。後者は、好ましい実施形態である。なぜなら、第2のインフラストラクチャノードは、どのようにでもUEとして動作し得るからである。両方のインフラストラクチャノード間でリンクが確立された時点から、関与している2つのインフラストラクチャノード間の無線ビームを先鋭化してリンク品質を上げるために、よく知られた開ループメカニズムまたは閉ループメカニズムが用いられる。しかしながら、2つのインフラストラクチャノード間のUEのヘルプなくしては、リンクの確立は、可能になっていないであろう。
【0081】
一実施形態において、本発明の教示による2つのインフラストラクチャノード間のリンク確立手順の準備におけるデータ交換は、フロントホールまたはバックホールリンクによる排他的な使用のために無線通信システムの無線リソースグリッド内に確保され得る別個の帯域幅部分(BWP)に関連する情報の使用を含み得る。例えば、上記の別個のBWPは、図6に示されるように、5G無線通信システムの時間-周波数リソース格子の一部分であってよく、いくつかのシナリオでは、アクセスリンクに用いられる帯域幅部分以外のヌメロジーを有してよい。
【0082】
本発明において、ユーザ機器、UEデバイスは、無線通信システム内の2つのインフラストラクチャノード間の方向指向無線リンクの接続設定手順を支援するための例示的なデバイスとして言及されていることが多い。この用語の選択は、モバイル端末、携帯電話または同様のハンドヘルドデバイスに対する一般的な制限となるようには意図されていない。代わりに、本明細書において用いられる「ユーザ機器、UEデバイス」という用語は、むしろ、説明した手順の実行において2つまたはそれよりも多くのインフラストラクチャノードを支援し得る任意の中間デバイスについての用語として理解されるものとする。例えば、本発明の様々な実施形態において、UEデバイスは、バッテリで動作するモバイルデバイスもしくは静止デバイスであってもよく、電力グリッドに接続されるか、ユーザにより制御されるか、もしくはネットワークオペレータの制御下にあってもよく、典型的な携帯電話、またはいくつかの種類のIoTデバイスもしくはIoT車両に埋め込まれたセルラモデムであってもよい。UEデバイスは、多数の有線インタフェースおよび/または無線インタフェースをサポートする第3のインフラストラクチャノード(例えば、モバイルネットワーク事業者のドメインに存在する)でさえあり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6