(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】化粧用品収納容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/02 20060101AFI20230627BHJP
A45D 40/00 20060101ALI20230627BHJP
A46B 5/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A45D40/02 A
A45D40/00 H
A46B5/00 B
(21)【出願番号】P 2019060457
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(73)【特許権者】
【識別番号】000210573
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】荒井 啓
(72)【発明者】
【氏名】役田 由美子
(72)【発明者】
【氏名】平川 昌志
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-304930(JP,A)
【文献】特開2006-204415(JP,A)
【文献】実開昭60-173227(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0002767(KR,U)
【文献】特開平10-174614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00-40/22
A46B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用品を保持するとともに下部に係合穴を備える皿部材と、前記係合穴に挿入される作動ピンが貫通する皿部材用ガイド溝を有するとともに、身部材に設けられた回転制御部が係合する身部材用切割り溝を有する内筒部材と、前記作動ピンが係合する誘導溝を備えるとともに、その内周面に前記身部材用切割り溝に係合する前記回転制御部を有する前記身部材と、前記皿部材用ガイド溝及び前記誘導溝を貫通して前記係合穴に一端部が挿入され、前記身部材の外周面よりも外側に他端部が突出する前記作動ピンとで構成され、前記皿部材用ガイド溝は、その下部にクランク状の屈曲部を有するように形成され、前記身部材用切割り溝は、その下部に円周方向に傾斜する傾斜部を有し、前記作動ピンを押し上げて前記皿部材を上昇させると、前記内筒部材は、前記屈曲部に前記皿部材の作動ピンが当接し、前記皿部材と同調して上昇するとともに、前記回転制御部が前記傾斜部まで移動すると、前記傾斜部により前記内筒部材が円周方向に回転し、前記誘導溝と前記皿部材用ガイド溝とが略重る状態となり、これにより前記皿部材のみが上昇
し、
前記身部材用切割り溝には、前記傾斜部の下端部からさらに円周方向に延在する係止部が形成されており、前記皿部材用ガイド溝の前記屈曲部には、水平部に連続するように皿部材用傾斜部が形成され、前記皿部材を上昇させた場合には、前記係止部に前記回転制御部が入り込む化粧用品収納容器。
【請求項2】
前記誘導溝には、その上端部から所定間隔を隔てた下方に、前記作動ピンを支持する少なくとも1つの保持手段が形成されており、この保持手段に作動ピンを支持させることにより、前記皿部材を上死点よりも下方の位置に保持できることを特徴とする
請求項1に記載の化粧用品収納容器。
【請求項3】
前記身部材の上端部には、開閉自在な蓋体が設けられ、該蓋体は付勢手段により蓋が閉じる方向に付勢されていることを特徴とする
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の化粧用品収納容器。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記身部材の上部及び前記蓋体に形成された1対の係止片と、該1対の係止片に係止された環状の弾性体とで構成されていることを特徴とする
請求項3に記載の化粧用品収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧ブラシ等の化粧用具及び口紅等の化粧品を保持する化粧用品収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料や化粧用具を収納する化粧用品収納容器において内筒部材が上昇し、その後に皿部材が上昇して化粧用具等が露出するものとしては、「棒状化粧品を出没自在に収納する棒状化粧品容器において、棒状化粧品の下部を保持する受皿と、この受皿を上下方向へ摺動自在に内装し、棒状化粧品の少なくとも上端部を収納するスリーブと、このスリーブを上下方向へ摺動自在に内装すると共に、上端に開口部を有する中筒と、この中筒に対して軸方向への摺動を抑止すると共に、周方向へは回動自在に外装した外筒と、前記中筒の開口部端に開閉自在に装着したキャップと、前記外筒又は中筒に対して中筒又は外筒を回動させることにより、前記スリーブを棒状化粧品に先立って開口部から繰り出し、その先端で前記キャップを開放すると共に、最終的にはスリーブと棒状化粧品とを中筒の開口部から突出させる位置まで繰り出す昇降機構と、を具備し、前記昇降機構が、前記受皿の筒壁外面に突設した第一突子と、前記スリーブの筒壁軸方向に沿って透設した第一案内溝及び筒壁外面に突設した第二突子と、スリーブ側の上記第一案内溝に重なるように前記中筒の筒壁軸方向に沿って透設した第二案内溝及び前記第二突子を係合させるべく前記中筒の筒壁軸方向に沿って透設したカム溝と、前記外筒の筒壁内面に前記スリーブ側の第一案内溝及び中筒側の第二案内溝に同時に貫通させた受皿側の前記第一突子の先端を係合させるように刻設した螺溝と、によって構成し、前記カム溝は、前記中筒の筒壁軸方向に沿って透設した案内部及び該案内部の上端側に筒壁の周方向の一側上方へ屈曲して連続するカム部を具備し、前記第一案内溝は、下端部に周方向へ切り欠いて連設したL部を具備し、前記棒状化粧品の収納時には、前記L部内に前記受皿の前記第一突子を係合させることを特徴とする棒状化粧品容器。」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている公知発明は、組み立てるために受皿の下部に対向するように切り欠きを有しているため、受皿の剛性が低くなってしまい、受皿がたわみやすくなってしまうことで、受皿の第一突子が螺溝から外れてしまい、化粧用具等のくり出しができなくなるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、組立が容易で、かつ、皿部材がたわみづらい化粧用品収納容器を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の化粧用品収納容器は、化粧用具を保持するとともに下部に係合穴を備える皿部材と、前記係合穴に挿入される作動ピンが貫通する皿部材用ガイド溝を有するとともに、身部材に設けられた回転制御部が係合する身部材用切割り溝を有する内筒部材と、前記作動ピンが係合する誘導溝を備えるとともに、その内周面に前記身部材用切割り溝に係合する前記回転制御部を有する前記身部材と、前記皿部材用ガイド溝及び前記誘導溝を貫通して前記係合穴に一端部が挿入され、前記身部材の外周面よりも外側に他端部が突出する前記作動ピンとで構成され、前記皿部材用ガイド溝は、その下部にクランク状の屈曲部を有するように形成され、前記身部材用切割り溝は、その下部に円周方向に傾斜する傾斜部を有し、前記作動ピンを押し上げて前記皿部材を上昇させると、前記内筒部材は、前記屈曲部に前記皿部材の作動ピンが当接し、前記皿部材と同調して上昇するとともに、前記回転制御部が前記傾斜部まで移動すると、前記傾斜部により前記内筒部材が円周方向に回転し、前記誘導溝と前記皿部材用ガイド溝とが略重る状態となり、これにより前記皿部材のみが上昇し、前記身部材用切割り溝には、前記傾斜部の下端部からさらに円周方向に延在する係止部が形成されており、皿部材用ガイド溝の前記屈曲部は、水平部に連続するように皿部材用傾斜部を形成し、前記皿部材を上昇させた場合には、前記係止部に前記回転制御部が入り込むことを特徴とする。
【0007】
【0008】
請求項2に記載の化粧用品収納容器の前記誘導溝には、その上端部から所定間隔を隔てた下方に、前記作動ピンを支持する少なくとも1つの保持手段が形成されており、この保持手段に作動ピンを支持させることにより、前記皿部材を上死点よりも下方の位置に保持できることを特徴とする。
【0009】
【0010】
請求項3に記載の化粧用品収納容器の前記身部材の上端部には、開閉自在な蓋体が設けられ、該蓋体は付勢手段により蓋が閉じる方向に付勢されていることを特徴とする。
請求項4に記載の化粧用品収納容器の前記付勢手段は、前記身部材の上部及び前記蓋体に形成された1対の係止片と、該1対の係止片に係止された環状の弾性体とで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、皿部材用ガイド溝等を貫通して作動ピンを係合穴に挿入すればよいので、身部材や内筒部材をたわませることなく容易に組み立てることができる。
(2)作動ピンを外部から皿部材の係合穴に挿入できるため、皿部材に切り欠き等を形成する必要がなく、皿部材の剛性を確保することができ、皿部材をたわみづらくすることができる。
したがって、化粧用具に皿部材のたわみによる影響を与えることなく保持することができる。
(3)身部材用切割り溝の前記傾斜部の下端部から円周方向に延在する係止部を有しているので、皿部材を上死点付近まで移動させた後、上部から下方へ荷重が加えられても係止部に回転制御部が当接し、傾斜部に回転制御部が移動して内筒部材が回転し、作動ピンが挟まれて作動が悪くなることを防止できる。
(4)請求項2に記載された発明も前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、皿部材を上死点よりも下方の位置で保持できるので、化粧用品の突出量を調整して使用することができる。
(5)請求項3及び請求項4に記載された各発明についても、(3)と同様な効果が得られるとともに、蓋体を有することにより、ゴミやホコリが入り込むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至
図10は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図11乃至
図19は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図20乃至
図23は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
【
図1】第1実施形態の化粧用品収納容器の縦断面図。
【
図9】内筒部材を上死点まで上昇させた状態の説明図。
【
図10】皿部材を上死点まで上昇させた状態の説明図。
【
図11】第2実施形態の化粧用品収納容器の縦断面図。
【
図17】皿部材、内筒部材及び身部材の分解斜視図。
【
図18】内筒部材を上死点まで上昇させた状態の説明図。
【
図19】皿部材を上死点まで上昇させた状態の説明図。
【
図20】第3実施形態の化粧用品収納容器の縦断面図。
【
図22】皿部材を上昇させ、保持手段に作動ピンを係合させた状態の説明図。
【
図23】皿部材を上死点まで上昇させた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図10に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の化粧ブラシ等の化粧用具2や口紅等の化粧品2(これらを合わせて化粧用品2という)を収納する化粧用品収納容器(以下、「収納容器」という)である。
【0014】
この収納容器1は、例えば
図1に示すように、化粧用品2、本実施形態では、化粧用具2を保持するとともに下部に係合穴3を備える皿部材4と、前記係合穴3に挿入される作動ピン5が貫通する上下方向の皿部材用ガイド溝6を有するとともに、身部材7に設けられた突起状の回転制御部8が係合する上下方向の身部材用切割り溝9を有する内筒部材10と、前記作動ピン5が係合する誘導溝11を備えるとともに、その内周面に前記身部材用切割り溝9に係合する前記回転制御部8を有する前記身部材7と、前記皿部材用ガイド溝6及び前記誘導溝11を貫通して前記係合穴3に一端部が挿入され、前記身部材7の外周面よりも外側に他端部が突出する前記作動ピン5とで構成されている。
【0015】
皿部材4は、
図2に示すように、本実施形態では樹脂製で円筒形状に形成され、内部の上端部よりの部位に略水平の隔壁12が設けられている。この隔壁12の上部空間側が化粧用具2等を保持する保持部13となっている。
【0016】
皿部材4の外周壁の下端部付近あるいは下端部よりの位置には、前記係合穴3が設けられている。この係合穴3は、本実施形態では円形に形成されている。
【0017】
内筒部材10は、
図3及び
図4に示すように、本実施形態では金属製で、皿部材4の外周部分を覆うパイプ状の部材である。この内筒部材10は、上部が斜めに切り欠かれた略円筒形状の部材で、その側面には、皿部材用ガイド溝6及び身部材用切割り溝9が形成されている。
【0018】
皿部材用ガイド溝6は、内筒部材10の上下方向の略中間部位に、その垂直部6aの上端部が位置し、内筒部材10の下端部付近に水平部14aを有するクランク状の屈曲部14が形成されており、本実施形態では、上端部付近にも屈曲部14が形成されている。したがって、外観上全体として略Z形状の皿部材用ガイド溝となっている。
【0019】
この屈曲部14は、通常時(化粧用具2や皿部材4が下限の位置に位置する時)において、作動ピン5が屈曲部14の水平部14aに位置するように形成されている。
【0020】
身部材用切割り溝9は、本実施形態の説明では、皿部材用ガイド溝6と略対向する部位に設けられており、内筒部材10の上下方向の略中間部位で、皿部材用ガイド溝6の上端部よりも上方に上端部が位置し、略鉛直下方へ延在し、下部に円周方向に傾斜する傾斜部15が形成されており、通常時において、その下端部が前記屈曲部14の水平部14a付近に位置するように形成されている。
【0021】
身部材用切割り溝9には、本実施形態では、内筒部材10の内周面に形成された突起状の回転制御部8が挿入され、通常状態においてはこの回転制御部8が身部材用切割り溝9の略上端部付近に位置する。
【0022】
身部材7は、
図5及び
図6に示すように、本実施形態では樹脂製で、内筒部材10の外周を覆う部材である。
【0023】
この身部材7は、例えば
図5で示すように、上部がやや大径となる略円筒形状に形成されており、その外周部には身部材6の下端部付近まで達する誘導溝11が形成されている。
【0024】
この誘導溝11は、本実施形態では、略逆L字状で、この誘導溝11及び皿部材用ガイド溝6を貫通して作動ピン5が係合穴3に挿入される。
【0025】
この作動ピン5は、本実施形態では、大径のヘッド部16と小径で軸状の軸部17から構成されており、この軸部17が誘導溝11及び皿部材用ガイド溝6を貫通し、係合穴3に挿入される。この作動ピン5に軸部17と係合穴3は、接着、嵌合、圧入、螺合等により固定されることが望ましい。
【0026】
このヘッド部16は身部材7の外方に位置し、使用者の指等により操作され、その操作により皿部材4や内筒部材10が上下移動する。
【0027】
また、身部材7の上部には、蓋体18を取り付けるための蓋体取付部19が形成されている。本実施形態では、身部材7の上部の蓋体取付部19付近に一方の係止片20が設けられている。
【0028】
蓋体18は、樹脂製で蓋体取付部19に取り付けられる取付片21が形成されており、この取付片21は前記蓋体取付部19に軸22により回転可能に軸支される。この軸22を中心として蓋体18が回転することにより、身部材7の上部の開口を開閉する。
【0029】
また、蓋体18の取付片21付近の底面には、前記一方の係止片20と対となる他方の係止片23が形成されている。本実施形態では、
図8に示すように蓋体18を閉じる方向に付勢する付勢手段24は、これら1対の係止片20、23と、この1対の係止片20、23に係止された環状の弾性体25とで構成されている。この弾性体25は、蓋体18が開いた際には弾性体25が伸長し、蓋体に閉じる方向に付勢力を付与する。
【0030】
本願発明の収納容器1を使用する場合の皿部材4、内筒部材10及び身部材7の動きを説明する。作動ピン5が下死点の位置においては、作動ピン5は、皿部材用ガイド溝6の水平部14aに位置しており、誘導溝11に沿って上方に移動させることによって皿部材4及び内筒部材10が上昇する。
【0031】
ところで、内筒部材10は単に作動ピン5で押し上げられているだけであり、また、身部材7の回転制御部8が身部材用切割り溝9に挿入されているため、回転することなく上方へ移動する。
【0032】
内筒部材10が上方へ移動する際に、その上端部が蓋体18を押し上げて身部材7の上端部を開口させる。
【0033】
そのまま作動ピン5を上方へ移動させ続け、前記回転制御部8が身部材用切割り溝9の傾斜部15まで移動すると、回転制御部8が内筒部材10の傾斜部15へ侵入し、それにより内筒部材10が少し回転して内筒部材10の上死点に達する。
【0034】
そうすると、内筒部材8の上昇が停止するとともに、前記誘導溝11の垂直部11aと前記皿部材用ガイド溝6の垂直部6aとが略重なる。これに伴って皿部材4の係合穴3に挿入された作動ピン5の軸部17は、屈曲部14の水平部14aから皿部材用ガイド溝6の垂直部6aの下端部(下死点)へと移動する。
【0035】
蓋体18は、前述したように、内筒部材10と皿部材4が同調して上方へ移動した際に、内筒部材10の上端部に押圧されることにより、付勢手段24の付勢力に抗して回転して開状態となり、内筒部材10が上死点に位置している状態では、蓋体18は内筒部材10の外周面に当接しており、化粧用具2に影響を与えることなく開状態を維持する。
この状態で作動ピン5をさらに上昇させることで、内筒部材10はその位置に留まり、皿部材4のみが上昇し、
図10に示すように化粧用具2が露出する。
【0036】
使用後化粧用具2を収納する場合は、作動ピン5を下方へ移動させて皿部材4を下降させる。皿部材4の係合穴3に挿入された作動ピン5の軸部17が前記皿部材用ガイド溝6の垂直部6aの下端部(屈曲部14)まで達すると、内筒部材10が作動ピン5の軸部17により下方へ押圧され、内筒部材10が皿部材4と同調して下方へ移動し始める。そうすると、内筒部材10は身部材用切割り溝9の傾斜部15により回転し、その後回転することなく下限の位置まで移動し、通常状態に復帰する。
【0037】
蓋体18は内筒部材10が身部材7の内部に入る際に付勢手段24により回転し、身部材7の上部開口を塞ぐ。
【0038】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図11乃至
図22に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
図11乃至
図19に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、下部に係合穴3を有さず係合部27(たとえば略円柱状の係合ピン)を有する皿部材4Aを用い、この係合部27に挿入され、皿部材4を上下方向に移動させる螺旋溝28が内周面に形成された螺旋部材29と、身部材7Aの下端部に設けられたハカマ部材30とを用いるとともに、傾斜部15に連続するように、傾斜部15の下端部からさらに円周方向に延在する係止部31を有する身部材用切割り溝9Aを形成し、水平部14aに連続するように皿部材用傾斜部32を形成した屈曲部14Aを有する皿部材用ガイド溝6Aを形成した内筒部材10Aにした点で、このような収納容器1Aにしても前記本発明を実施するための第1の形態の収納容器と同様な作用効果が得られる。
【0040】
すなわち、この収納容器1Aは、化粧用具2を保持するとともに下部に係合部27を有する皿部材4Aと、該皿部材4Aの係合部27が係合(挿入)される皿部材用ガイド溝6Aを有するとともに、回転制御部8が係合(挿入)する身部材用切割り溝9Aを有する内筒部材10Aと、前記皿部材4Aの係合部27が係合(挿入)される誘導溝11を有するとともに、その内周面に前記身部材用切割り溝9Aに係合(挿入)される回転制御部8を有し、蓋体取付部19付近にアーム挿入孔33が形成された身部材7Aと、前記皿部材4Aの係合部27が挿入され、皿部材4Aを上下方向に移動させる螺旋溝28が内周面に形成された螺旋部材29と、身部材7Aの下端部に設けられたハカマ部材30と、前記身部材7Aの上端部に設けられた蓋体18とで構成されている。
【0041】
ところで、本実施形態の皿部材用ガイド溝6Aや誘導溝11は、その下端部が内筒部材10Aや身部材7Aの下端部まで達するように形成することが望ましい。そのように形成することにより、係合部27を皿部材用ガイド溝6Aや誘導溝11に容易に挿入することができる。
【0042】
身部材用切割り溝9Aの傾斜部15の下端部から円周方向に略水平に延在する係止部31を形成することにより、皿部材4Aを上昇させた際に皿部材用傾斜部32の作用により突起状の回転制御部8が入り込むため、係止部31に回転制御部8が入り込んでいる状態で内筒部材10A等に上方から力が加わっても、係止部31がその荷重を受けることができ回転制御部8が傾斜部15へ入り込むことを防止できる。
【0043】
そのため、内筒部材10Aが傾斜部15に沿って回転し、皿部材用ガイド溝6Aと誘導溝11に係合部27が挟まれ、係合部27の上下動が妨げられることを防止できる。
【0044】
ところで、前記螺旋部材29は、本実施形態の説明では、下部の外径が小径となる段付きの円筒形状に形成され、その内周面には螺旋溝28が形成されている。この螺旋部材29は、身部材7Aの大径部分以外の外周を覆う部材である。
【0045】
前記螺旋溝28には、皿部材4の係合部27が皿部材用ガイド溝6A及び誘導溝11を通過(貫通)して挿入され、螺旋部材29を回転させることにより係合部27が螺旋溝28によって押し上げられ、皿部材4Aが上方へ持ち上げられる。
【0046】
ハカマ部材30は、本実施形態の説明では、有底の円筒形状に形成されており、身部材7Aの下端部がハカマ部材30内部に挿入された状態で取り付けられる。螺旋部材29の下部の小径部分の外周は、このハカマ部材30の上部部位によって覆われる。
【0047】
なお、本実施形態では、蓋体18と身部材7Aに形成された1対のアーム挿入孔33と、この1対のアーム挿入孔33にアームがそれぞれ挿入されるとともに軸22に軸支されたねじりバネ34とで蓋体18を付勢する付勢手段24Aを構成している。
【0048】
このような収納容器1Aを使用する場合の皿部材4A、内筒部材10A及び身部材7A等の動きを説明する。係合部27が下死点の位置においては、皿部材4Aの係合部27は、皿部材用ガイド溝6Aの屈曲部14Aの水平部14aに位置するとともに、身部材用切割り溝9Aには回転制御部8が挿入されている状態なので、内筒部材10Aは身部材7Aに対して回転せず、皿部材4Aの係合部27は前記水平部14aから動かない状態である。
【0049】
前記螺旋部材29を回転させることにより、皿部材4Aの係合部27が螺旋溝28に沿って持ち上げられ皿部材4Aが上昇する。この時、皿部材4Aの係合部27は身部材7Aの誘導溝11に挿入されているので、回転することなく上方に移動する。
【0050】
また、前記内筒部材10Aは、屈曲部14Aの水平部14aに皿部材4Aの係合部27が当接しているので、皿部材4Aが内筒部材10Aを押し上げ、皿部材4Aと内筒部材10Aとが同調して上昇する。内筒部材10Aは単に係合部27で押し上げられているだけであり、また、身部材7Aの回転制御部8が身部材用切割り溝9Aに挿入されているため、回転することなく上方へ移動する。
【0051】
この時、内筒部材10Aが蓋体18を押し上げて身部材7Aの上端部を開口させる。
そのまま螺旋部材29を回転させ続け、前記回転制御部8が身部材用切割り溝9Aの傾斜部15まで移動すると、回転制御部8が内筒部材10Aの傾斜部15へ侵入し、それにより内筒部材10Aが少し回転して内筒部材10Aの上死点に達する。
【0052】
そうすると、内筒部材10Aの上昇が停止するとともに、前記誘導溝11の垂直部11aと前記皿部材用ガイド溝6Aの垂直部6aとが略重なる。これに伴って皿部材4Aの係合部27は、屈曲部14の水平部14aから皿部材用ガイド溝6Aの垂直部6aの下端部(下死点)へと移動する。
【0053】
蓋体18は、前述したように、内筒部材10Aと皿部材4Aが同調して上方へ移動した際に、内筒部材10Aの上端部に押圧されることにより、付勢手段24Aの付勢力に抗して回転して開状態となり、内筒部材10Aが上死点に位置している状態では、蓋体18は内筒部材10Aの外周面に当接しており、化粧用具2に影響を与えることなく開状態を維持する。
【0054】
この状態で螺旋部材29を回転させることで、内筒部材10Aはその位置に留まり、皿部材4Aのみが上昇し、
図19に示すように化粧用具2が露出する。
【0055】
皿部材4Aが上死点付近まで上昇すると、係合部27は皿部材用ガイド溝6Aに形成された皿部材用傾斜部32に入り込み、これに伴って皿部材4A及び内筒部材10Aが周方向へ若干回転する。内筒部材10Aは、回転制御部8によりこれ以上上方へ移動できないため、上方への移動を伴わずに周方向に回転する。
【0056】
そうすると、回転制御部8が傾斜部15の下端部から円周方向に延在する係止部31に入り込み、回転制御部8と係止部31とが係合状態となる。
一方、係合部27も屈曲部14Aの水平部14aに入り込み、皿部材4Aも上死点に達する。
【0057】
この状態においては、内筒部材10A等に上方から力が加わっても、係止部31と回転制御部8が上下方向に当接している状態となっているため、係止部31が上方からの荷重を受けることができ回転制御部8が傾斜部15へ入り込むことを防止できる。
【0058】
そのため、内筒部材10Aが傾斜部15に沿って回転し、皿部材用ガイド溝6Aと誘導溝11に係合部27が挟まれ、係合部27の上下動が妨げられることを防止できる。
【0059】
使用後、化粧用具2を収納する場合は、螺旋部材29を逆方向に回転させて皿部材4Aを下降させる。皿部材4Aの係合部27が前記皿部材用ガイド溝6Aの垂直部6aの下端部(水平部14a)まで達すると、内筒部材10Aが係合部27により下方へ押圧され、内筒部材10Aが皿部材4Aと同調して下方へ移動し始める。そうすると、内筒部材10Aは身部材用切割り溝9Aの傾斜部15により回転し、その後回転することなく下限の位置まで移動し、通常状態に復帰する。
【0060】
蓋体18は内筒部材10Aが身部材7Aの内部に入る際に付勢手段24Aにより回転し、身部材7Aの上部開口を塞ぐ。
【0061】
なお、前記第1の実施形態においても、皿部材用傾斜部32を形成した皿部材用ガイド溝6Aを採用するとともに、傾斜部15の下端部から円周方向に延在する係止部31を有する身部材用切割り溝9Aを採用してもよい。このような身部材用切割り溝9Aを前記第1の実施形態においても採用することにより、作動ピン5が皿部材用ガイド溝6Aと誘導溝11に挟まれ、作動ピン5の上下動が妨げられることを防止できる。
【0062】
図20乃至
図23に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、上端部から所定間隔を隔てた下方に、前記作動ピン5が支持される少なくとも1つの保持手段35が形成された誘導溝11Aを備える身部材7Bにした点で、このような身部材7Bを用いた収納容器1Bにしても前記本発明を実施するための第1の形態の収納容器と同様な作用効果が得られる。
【0063】
この保持手段35は、本実施形態では、横溝状に形成されており、この横溝状の保持手段35に作動ピン5を係合させることで作動ピン5を支持する。
【0064】
また、保持手段35は、誘導溝11Aと前記皿部材用ガイド溝6とが略重る状態となり、皿部材4が上昇を始める位置と、誘導溝11Aの上端部の間に設けられるものであり、本実施形態では、本実施形態では、誘導溝11Aの上端部から所定間隔を隔てて、1つの横溝状の保持手段35が形成されている。
【0065】
ところで、この保持手段35は複数個形成してもよく、保持手段35としては本実施形態のように横溝上であってもよいし、例えばストッパー片等を誘導溝11Aに出没自在となるように設け、このストッパー片を誘導溝11Aに任意に突出させて作動ピン5を支持し、皿部材を所定の位置に保持できるように構成してもよい。
【0066】
このような保持手段35を形成することにより、
図22に示すように、皿部材4を上死点以外の位置でも上下移動しないように保持できるため、口紅等の化粧品2の突出量を調整して使用することができるとともに、化粧用具2、特に化粧ブラシを用いる場合、化粧ブラシの毛量を調整して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の化粧用品収納容器は、化粧ブラシ等の化粧用具及び口紅やファンデーション等の化粧品を収納する容器を製造する分野や化粧品分野の産業で利用される。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B:化粧用品収納容器、2:化粧用品、
3:係合穴、 4、4A:皿部材、
5:作動ピン、 6、6A:皿部材用ガイド溝、
7、7A、7B:身部材、 8:回転制御部、
9、9A:身部材用切割り溝、 10、10A:内筒部材、
11、11A:誘導溝、 12:隔壁、
13:保持部、 14、14A:屈曲部、
15:傾斜部、 16:ヘッド部、
17:軸部、 18:蓋体、
19:蓋体取付部、 20:一方の係止片、
21:取付片、 22:軸、
23:他方の係止片、 24、24A:付勢手段、
25:弾性体、
27:係合部、 28:螺旋溝、
29:螺旋部材、 30:ハカマ部材、
31:係止部、 32:皿部材用傾斜部、
33:アーム挿入孔、 34:ねじりバネ、
35:保持手段。