(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】消臭性及び集塵性を有するフィルター
(51)【国際特許分類】
A61L 9/014 20060101AFI20230627BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20230627BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20230627BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61L9/014
B01D46/52 Z
B01D39/16 A
B01D39/16 E
A61L9/01 K
(21)【出願番号】P 2019100923
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮村 佳成
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 孝浩
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299919(JP,A)
【文献】特開2008-212448(JP,A)
【文献】特開2018-023913(JP,A)
【文献】特開平01-317519(JP,A)
【文献】特開2014-042728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
B01D 46/00-46/90、
39/00-41/04
B01J 20/00-20/28、
20/30-20/34
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布層と、該不織布層の下面側にメッシュ状の第1補強層とが一体化したプリーツフィルターであって、
該プリーツフィルターの谷部とメッシュ状の第2補強層が接着一体化され、
前記不織布層の少なくとも一部に消臭剤が固着され、
前記メッシュ状の第2補強層は、メッシュ状の編物に吸着剤が固着して
おり、
通過後の面風速を1m/sに調整した時の圧力損失が30Pa以下であり、
日本電気工業会規格JEM1467(2009)8.10脱臭性能試験に準拠し、アンモニアガス、アセトアルデヒドガス、酢酸ガスを対象に測定した各ガスの除去率から算出した総合除去率が20%以上であることを特徴とする消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【請求項2】
前記不織布層の目付が40g/m
2~150g/m
2である請求項1に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【請求項3】
前記不織布層を構成している繊維の繊維径は10μm~60μmである請求項1又は2に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【請求項4】
前記不織布層の展開倍率は2.2倍~7.4倍である請求項1~3のいずれか1項に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【請求項5】
前記消臭剤は、多孔質無機物質とアミン化合物と金属酸化物からなる消臭剤である請求項1~4のいずれか1項に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用空気清浄機、一般用空気清浄機、一般用エアコン等の消臭性及び集塵性を有するフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の高気密化が進み、室内空気の自然換気回数が極端に減少したことから、室内で発生するいやな臭いや、塵埃がいつまでも室内に滞留することから、これらの不純物を除去し快適な居住空間を得る空気清浄機の必要性が増している。
【0003】
そこで、出願人は特許文献1を出願しており、消臭機能を持つプレフィルター(第1フィルター) と、集塵プリーツフィルター(第2フィルター)と、光触媒フィルター(第3フィルター)と、金属フタロシアニン錯体と弱アルカリ性金属塩とを活性炭混抄紙に担持させたハニカムあるいはコルゲートフィルター(第4フィルター)と、からなる空気清浄機用フィルターユニットを開示している。
【文献】特開2007-260603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の空気清浄機用フィルターユニットは、第1フィルターから第4フィルターを重ねているため、優れた集塵性及び消臭性を得ることができる。しかしながら、近年は圧力損失が小さいフィルターが望まれるようになってきている。
【0005】
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、圧力損失が小さく、消臭性及び集塵性に優れたフィルターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1] 不織布層と、該不織布層の下面側にメッシュ状の第1補強層とが一体化したプリーツフィルターであって、
該プリーツフィルターの谷部とメッシュ状の第2補強層が接着一体化され、
前記不織布層の少なくとも一部に消臭剤が固着され、
前記メッシュ状の第2補強層は、メッシュ状の編物に吸着剤が固着しており、
通過後の面風速を1m/sに調整した時の圧力損失が30Pa以下であり、
日本電気工業会規格JEM1467(2009)8.10脱臭性能試験に準拠し、アンモニアガス、アセトアルデヒドガス、酢酸ガスを対象に測定した各ガスの除去率から算出した総合除去率が20%以上であることを特徴とする消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【0008】
[2] 前記不織布層の目付が40g/m2~150g/m2である前項1に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【0009】
[3] 前記不織布層を構成している繊維の繊維径は10μm~60μmである前項1又は2に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【0010】
[4] 前記不織布層の展開倍率は2.2倍~7.4倍である前項1~3のいずれか1項に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【0011】
[5]前記消臭剤は、多孔質無機物質とアミン化合物と金属酸化物からなる消臭剤である前項1~4のいずれか1項に記載の消臭性及び集塵性を有するフィルター。
【発明の効果】
【0012】
[1]の発明では、不織布層と、不織布層の下面側にメッシュ状の第1補強層とが一体化したプリーツフィルターであって、プリーツフィルターの谷部とメッシュ状の第2補強層が接着一体化され、不織布層の少なくとも一部に消臭剤が固着され、第2補強層は、メッシュ状の編物に吸着剤が固着しているから、消臭性、集塵性を有すると共に、圧力損失が小さいフィルターを提供することができる。
【0013】
[2]の発明では、不織布層の目付が40g/m2~150g/m2であるから、集塵性を向上させることができる。
【0014】
[3]の発明では、不織布層を構成している繊維の繊維径は10μm~60μmであるから、集塵性を向上させることができる。
【0015】
[4]の発明では、不織布層の展開倍率は2.2倍~7.4倍であるから、圧力損失が小さく、通気性を確保することができる。
【0016】
[5]の発明では、消臭剤は、多孔質無機物質とアミン化合物と金属酸化物からなる消臭剤であるから、消臭性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る消臭性及び集塵性を有するフィルターの一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る消臭性及び集塵性を有するフィルターのうち、プリーツフィルターのみを示す断面図である。
【
図3】本発明に係る消臭性及び集塵性を有するフィルターを不織布層側から見た平面図である。
【
図4】本発明に係る消臭性及び集塵性を有するフィルターから不織布層だけを剥がして、不織布層を引き延ばした状態を上から見た平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の消臭性及び集塵性を有するフィルターについて詳しく説明する。
図1に示すように、本発明の消臭性及び集塵性を有するフィルター1は、不織布層2と、該不織布層2の下面側にメッシュ状の第1補強層3とが一体化したプリーツフィルター4であって、該プリーツフィルター4の谷部8とメッシュ状の第2補強層5が接着一体化され、前記不織布層2の少なくとも一部に消臭剤が固着され、前記メッシュ状の第2補強層5は、メッシュ状の編物に吸着剤が固着して
おり、通過後の面風速を1m/sに調整した時の圧力損失が30Pa以下であり、日本電気工業会規格JEM1467(2009)8.10脱臭性能試験に準拠し、アンモニアガス、アセトアルデヒドガス、酢酸ガスを対象に測定した各ガスの除去率から算出した総合除去率が20%以上であることを特徴する。なお、前記不織布層2の少なくとも一部に固着した消臭剤、メッシュ状の編物に固着した吸着剤は図示していない。
【0019】
図2に示すように、消臭性及び集塵性を有するフィルター1のうち、プリーツフィルター4のみを示した断面図である。前記プリーツフィルター4は、不織布層2と、該不織布層2の下面側にメッシュ状の第1補強層3とが一体化したプリーツ形状を有している必要がある。不織布層2とメッシュ状の第1補強層3との間に接着剤などは介在しないことが好ましい。接着剤などで固定しないことで通気性を確保できると共に、圧力損失を小さくさせることができる。また、不織布層2の下面側にメッシュ状の第1補強層3があるため、不織布層2のプリーツ形状を保持することができる。
【0020】
図2に示すように、前記プリーツフィルター1の山高さHは、5mm~15mmであることが好ましい。5mm以上であることで不織布層2の面積が小さくならず、かつ、単位面積当たりの圧力が小さくなるため、空気の通気量を確保することができる。15mm未満であることでプリーツ成形した不織布層2の頂点が鋭角になることなく、かつ、十分な剛性を保持するため、プリーツ形状を維持することができる。中でも、8mm~12mmであることがより好ましい。
【0021】
前記プリーツフィルター1の山ピッチLは、3.5mm~5mmであることが好ましい。3.5mm以上であることでプリーツ成形した隣接するプリーツフィルター1の山部9とプリーツフィルター1の山部9との間が接触することなく、かつ、圧力損失が小さくなるため、通気性を確保することができる。5mm以下であることで単位面積当たりのプリーツフィルターの山10が多くなり、不織布層2の面積が小さくならず、かつ、圧力損失が小さくなるため、空気の通気量を確保できる。中でも、4mm~4.6mmであることがより好ましい。
【0022】
前記不織布層2の展開倍率としては2.2倍~7.4倍であることが好ましい。2.2倍以上あることで単位面積あたりの圧力を小さくできるため、圧力損失が小さくなり、十分な通気量を確保することができる。7.4倍以下であることで、プリーツ成形した隣接するプリーツフィルター1の山部9とプリーツフィルター1の山部9との間が接触することなく、かつ、圧力損失が小さくなるため、通気性を確保することができる。中でも、3.0倍~4.0倍であることがより好ましい。なお、展開倍率とは、
図3に示すように、消臭性及び集塵性を有するフィルター1の不織布層2側を上に向けて置いた状態で、上から見た場合、不織布層2の幅Fと不織布層の長さTを掛け算して、不織布層2の面積Xを算出する。次に、
図4に示すように、消臭性及び集塵性を有するフィルター1の不織布層2をメッシュ状の第2補強層5から剥がして、不織布層2を引き延ばして、不織布層2の幅Fと不織布層2の長さUを掛け算して、不織布層2の面積Yを算出する。最後に、展開倍率は、不織布層2の面積Yを不織布層2の面積Xで割って、展開倍率を計算して求める。
【0023】
前記不織布層2を構成する繊維は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、ポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0024】
前記不織布層2の目付としては、40g/m2~150g/m2であることが好ましい。40g/m2以上で粉塵が通過する際に繊維との接触確率が高まり、機械的な絡まりによって効率よく捕集するための繊維密度となることで十分な集塵性を有することができ、150g/m2以下であることで、粉塵と繊維の高い接触確率を保ったまま、目詰まりすることなく、通気性を確保することができるため、十分な集塵性能を発揮することができる。中でも、60g/m2~80g/m2であることがより好ましい。
【0025】
前記不織布層2を構成する繊維の繊維径は10μm~60μmであることが好ましい。10μm以上で粉塵が通過する際に繊維との接触確率が高まり、機械的な絡まりによって効率よく捕集するための繊維密度となることで十分な集塵性を有することができ、60μm以下であることで、粉塵と繊維の高い接触確率を保ったまま、目詰まりすることなく、通気性を確保することができるため、十分な集塵性能を発揮することができる。中でも、20μm~40μmであることがより好ましい。
【0026】
前記不織布層2の少なくとも一部に消臭剤が固着されている必要がある。不織布層2の少なくとも一部に消臭剤が固着されていることで、消臭性を維持することができる。不織布層2にバインダー樹脂を介して消臭剤を固着させることが好ましい。中でも、不織布層2の表面側に消臭剤を固着させることがより好ましい。
【0027】
前記不織布層2に消臭剤を固着させる方法としては、特に限定されるものではないが、浸漬法、スプレー法等が挙げられる。中でも、不織布層2にスプレー加工で消臭剤を固着させることが好ましく、不織布層2をプリーツ成形する前に消臭剤を固着させることがより好ましい。
【0028】
前記不織布層2に消臭剤を固着させた後、乾燥させる装置としては、特に限定されるものではないが、テンター乾燥機であることが好ましい。
【0029】
前記消臭剤としては、多孔質無機物質とアミン化合物と金属酸化物からなる消臭剤であることが好ましい。多孔質無機物質とアミン化合物と金属酸化物からなる消臭剤を用いることで、タバコ臭に含まれるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸などの消臭性を向上させることができる。
【0030】
前記消臭剤において多孔質無機物質とアミン化合物と金属酸化物の混合割合としては、液体の消臭組成液を100%とした場合、多孔質無機物質が10%~15%、アミン化合物が3%~5%、金属酸化物が1%~3%、水77%~86%混合していることが好ましい。
【0031】
前記不織布層2に固着させる消臭剤の固着量(乾燥後)としては、5g/m2~15g/m2であることが好ましく、中でも8g/m2~12g/m2であることがより好ましい。
【0032】
前記メッシュ状の第1補強層3に用いられる繊維は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、ポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0033】
前記メッシュ状の第1補強層3の目付は、30g/m2~100g/m2であることが好ましい。30g/m2以上であることでプリーツ成形した不織布層2の形状補強の役割として十分な剛性を有することで形状を維持することができ、100g/m2以下であることで形状の維持に十分な剛性を持ちつつ、通気性を確保することができる。中でも、50g/m2~80g/m2であることがより好ましい。
【0034】
前記メッシュ状の第1補強層3の形態は、通気性を有する必要があり、メッシュ状である必要がある。なお、メッシュ状とは網目状のことを意味する。
【0035】
前記プリーツフィルター4の谷部8とメッシュ状の第2補強層5が接着一体化されている必要がある。プリーツフィルター4の谷部8とメッシュ状の第2補強層5とが接着樹脂層6で接着一体化されていることで、プリーツフィルター4のプリーツ形状を保持することができ、圧力損失を低下させることができる。
【0036】
前記メッシュ状の第2補強層5の形態は、通気性を有する必要があるため、メッシュ状である必要がある。なお、メッシュ状とは網目状のことを意味する。
【0037】
前記メッシュ状の第2補強層5は、メッシュ状の編物に吸着剤が固着している必要がある。なお、メッシュ状の編物に吸着剤と固着させるためにはバインダー樹脂を用いることが好ましい。前記メッシュ状の第2補強層5に不織布を用いると、圧力損失が高くなり、好ましくない。また、前記メッシュ状の第2補強層5は、メッシュ状の編物に吸着剤を固着させていないと、消臭性が悪くなるため、吸着剤を固着させておくことが必要である。
【0038】
前記メッシュ状の第2補強層5に用いられる繊維としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。中でも、ポリエステルを用いることが好ましい。
【0039】
前記メッシュ状の第2補強層5の目付としては、30g/m2~100g/m2であることが好ましい。30g/m2以上であることで、プリーツ成形した不織布層2の補強の役割として十分な剛性を有することで形状を維持することができ、100g/m2以下であることで形状の維持に十分な剛性を持ちつつ、通気性を確保することができる。中でも、50g/m2~80g/m2であることがより好ましい。
【0040】
前記メッシュ状の第2補強層5に固着している吸着剤の固着量は、50g/m2~80g/m2であることが好ましい。この範囲であると消臭性能を向上させることができる。
【0041】
前記吸着剤は、特に限定されるものではないが、例えば、椰子柄活性炭、石油ピッチ系活性炭、ペレット状成形活性炭、ゼオライト、酸化ケイ素、シリカゲル等が挙げられる。中でも、椰子柄活性炭であることが好ましい。
【0042】
前記接着樹脂層6としては、ホットメルト樹脂であることが好ましい。
【0043】
前記プリーツフィルター4と第2補強層5とを接着させる方法としては、特に限定されるものではないが、メッシュ状の第2補強層5の両端にホットメルト樹脂を塗布し、プリーツフィルター4を積層させる方法等が挙げられる。
【0044】
前記消臭性及び集塵性を有するフィルター1を空気清浄機にセットする場合、
図1に示すように、空気の流れがRの方向になるように、不織布層2側から空気を流すことが好ましい。
【実施例】
【0045】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0046】
<使用材料>
(不織布層2)
不織布(ポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布、目付80g/m2、繊維径20μm)に消臭剤(多孔質無機物質12%とアミン化合物3%と金属酸化物1%からなる消臭剤と水84%からなる混合消臭液)を固形分換算で9.9g/m2にスプレー塗布し、乾燥して不織布層2を得た。
(第1補強層3)
ポリプロピレン製メッシュ状シート(目付70g/m2)
(第2補強層5)
吸着剤として椰子柄活性炭が60g/m2固着しているポリエステル製メッシュ状編物(目付70g/m2)
(接着樹脂層6)
ホットメルト接着剤(ポリオレフィン系)
【0047】
<実施例1>
不織布層2の下面側に第1補強層3を重ねて、プリーツ加工を施してプリーツフィルター(山高さH8mm、山ピッチL4.6mm)を作製した。次に、第2補強層5をベルトコンベアで流しながら、第2補強層5の両端にホットメルト樹脂を塗布した。次に、ホットメルト樹脂を塗布した第2補強層5とプリーツフィルターの谷部8とが接触するように積層し、
図1に示す消臭性及び集塵性を有するフィルター1を得た。消臭性及び集塵性を有するフィルター1の大きさは、幅5cm、長さが30cmであった。なお、展開倍率は3.6倍であった。
【0048】
<実施例2>
不織布層2の目付を80g/m2から147g/m2に設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルター1を得た。
【0049】
<実施例3>
不織布層2を構成する繊維の繊維径を20μmから11μmに設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルター1を得た。
【0050】
<実施例4>
プリーツフィルターの山高さを8mmから5mmに、山ピッチを4.6mmから5.0mmに変更する設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルター1を得た。なお、展開倍率は2.2倍であった。
【0051】
<実施例5>
プリーツフィルターの山高さを8mmから13mmに、山ピッチを4.6mmから3.8mmに設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルター1を得た。なお、展開倍率は7.4倍であった。
【0052】
<実施例6>
不織布層2の目付を80g/m2から55g/m2に、不織布層2を構成する繊維の繊維径を20μmから50μmに設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルター1を得た。
【0053】
<実施例7>
吸着剤を椰子柄活性炭からゼオライトに設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを得た。
【0054】
<比較例1>
不織布層2を積層しない設定にした以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを得た。
【0055】
<比較例2>
第1補強層3を積層しない設定にした以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを得た。
【0056】
<比較例3>
第2補強層5を積層しない設定にした以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを得た。
【0057】
<比較例4>
第2補強層5として、椰子柄活性炭を60g/m2固着したポリエステル製メッシュ状編物(目付70g/m2)から、吸着剤を固着させていないポリエステル製メッシュ状編物(目付70g/m2)に設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを得た。
【0058】
<比較例5>
第2補強層5として、椰子柄活性炭を60g/m2固着したポリエステル製メッシュ状編物(目付70g/m2)から、椰子柄活性炭を60g/m2固着したポリエステル製不織布(目付70g/m2)に設定した以外は、実施例1と同様に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを得た。
【0059】
【0060】
<圧力損失評価法>
ステンレス製のテストボックス(一方の側面に幅30cm×高さが5cmの開口部が開いており、開口部が開いている反対側の側面に排気ファンが設置されている)を用いて評価した。ステンレス製のテストボックスの開口部に実施例1~7、比較例1~5で作製した消臭性及び集塵性を有するフィルターを設置して、消臭性及び集塵性を有するフィルター通過後の面風速を1m/sに調整した時のテストボックス内を通過する風による圧力損失を圧力計で測定した。圧力損失が20Pa以下であるものを「◎」、圧力損失が20Paを超えて30Pa以下であるものを「〇」、圧力損失が30Paを超えて40以下のものを「△」、圧力損失が40を超えたものを「×」とし、「〇」以上を合格とした。
【0061】
<集塵性評価法>
ステンレス製のテストボックス(一方の側面に幅30cm×高さが5cmの開口部が開いており、開口部が開いている反対側の側面に排気ファンが設置されている)を用いて評価した。ステンレス製のテストボックスの開口部に実施例1~7、比較例1~5で作製した消臭性及び集塵性を有するフィルターを設置した。次に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを設置したテストボックスを20m3のアクリルボックス内に設置し、前記アクリルボックス内でタバコ5本を燃焼させた。前記タバコの燃焼後、2分後に初期粉塵濃度の測定を粉塵計(柴田科学株式会社製LD-5R型)で行った。その後、テストボックスを30分間運転させ停止する。運転停止後にアクリルボックス内の30分後の粉塵濃度を粉塵計(柴田科学株式会社製LD-5R型)で測定した。
捕集効率(%)={(初期粉塵濃度-30分後の粉塵濃度)÷初期粉塵濃度}×100
上記計算式により捕集効率を計算した。評価基準としては、捕集効率が40%以上であるものを「◎」、捕集効率が30%以上~40%未満であるものを「〇」、捕集効率が20%以上~30%未満を「△」、捕集効率20%未満であるものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0062】
<消臭性評価法>
日本電気工業会規格JEM1467(2009)8.10脱臭性能試験に準拠し測定した。ステンレス製のテストボックス(一方の側面に幅30cm×高さが5cmの開口部が開いており、開口部が開いている反対側の側面に排気ファンが設置されている)を用いて評価した。ステンレス製のテストボックスの開口部に実施例1~7、比較例1~5で作製した消臭性及び集塵性を有するフィルターを設置した。次に、消臭性及び集塵性を有するフィルターを設置したテストボックスを1m3のアクリルボックス内に設置し、前記アクリルボックス内でタバコ5本を燃焼させた。前記タバコの燃焼後、2分後に初期のアンモニアガスの濃度、初期のアセトアルデヒドガスの濃度、初期の酢酸ガスの濃度測定を検知管(株式会社ガステック製)で行った。その後、テストボックスを30分間運転させ停止する。運転停止後にアクリルボックス内の30分後のアンモニアガスの濃度、30分後のアセトアルデヒドガスの濃度、30分後の酢酸ガスの濃度を測定した。
アンモニアガスの除去率(%)={(初期のアンモニアガスの濃度-30分後のアンモニアガスの濃度)÷初期のアンモニアガスの濃度}×100
アセトアルデヒドガスの除去率(%)={(初期のアセトアルデヒドガスの濃度-30分後のアセトアルデヒドガスの濃度)÷初期のアセトアルデヒドガスの濃度}×100
酢酸ガスの除去率(%)={(初期の酢酸ガスの濃度-30分後の酢酸ガスの濃度)÷初期の酢酸ガスの濃度}×100
上記計算式により、アンモニアガスの除去率、アセトアルデヒドガスの除去率、酢酸ガスの除去率を計算した。
次に、下記計算式により、総合除去率を計算した。
総合除去率(%)={アンモニアガスの除去率+(アセトアルデヒドガスの除去率×2)+酢酸ガスの除去率}÷4
評価基準としては、総合除去率が25%以上であるものを「◎」、総合除去率が20%以上~25%未満であるものを「〇」、総合除去率が10%以上~20%未満であるものを「△」、総合除去率が10%未満であるものを「×」とし、「○」以上を合格とした。
【0063】
表1から明らかなように、本発明の実施例1~7の消臭性及び集塵性を有するフィルターは、圧力損失が小さく、消臭性、集塵性に優れていた。
【0064】
これに対して、比較例1は、集塵性及び消臭性が劣っていた。比較例2は、集塵性及び消臭性が劣っていた。比較例3は、集塵性及び消臭性が劣っていた。比較例4は、消臭性が劣っていた。比較例5は、圧力損失が高く、集塵性も劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る消臭性及び集塵性を有するフィルターは、例えば、工業用、一般用の空気清浄機、一般用エアコン等内で使用されるフィルターとして好適である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・消臭性及び集塵性を有するフィルター
2・・・不織布層
3・・・メッシュ状の第1補強層
4・・・プリーツフィルター
5・・・メッシュ状の第2補強層
6・・・接着樹脂層
8・・・プリーツフィルターの谷部
9・・・プリーツフィルターの山部
10・・・プリーツフィルターの山
H・・・プリーツフィルターの山高さ
L・・・プリーツフィルターの山ピッチ
R・・・空気の流れ方向