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特許7302886導通試験装置、導通試験方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】導通試験装置、導通試験方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/26 20060101AFI20230627BHJP
   H04M 3/22 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H04M3/26 A
H04M3/22 Z
H04M3/26 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020214573
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100543
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】厚見 尚志
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-052491(JP,A)
【文献】特開平5-260172(JP,A)
【文献】特開平11-068946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
3/08-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04B1/60
3/46-3/493
17/00-17/40
H04L12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
H04Q1/20-1/26
3/52
3/58-3/62
11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元カードと第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれとの間の第1通話路から第n通話路の試験のために(nは自然数である)、
第1フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを設定し、
第2フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記共通固定データを反転した反転固定データを設定し、
第3フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記第n送信先カードが実装された自装置内の位置を示す第n送信先スロット番号と前記送信元カードが実装された自装置内の位置を示す送信元スロット番号を設定し、
前記第1フレームから前記第3フレームを、前記第1通話路から前記第n通話路を介して、前記第1送信先カードから前記第n送信先カードに送信する送信部と、
前記第1送信先カードから前記第n送信先カードのそれぞれにおいて、
前記送信元カードから送信された前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とを照合し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とを照合し、前記送信元カードと前記第n送信先カードとの間の前記第n通話路を送受信するデータの正常性を検出し、
前記送信元カードから送信された前記送信元スロット番号と前記送信元スロット番号の期待値とを照合し、前記第n送信先スロット番号と前記第n送信先スロット番号の期待値とを照合し、誤接続の通話路を特定する受信部と、
を備える導通試験装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とが一致し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とが一致した場合、前記第n通話路を送受信する前記データは正常であると検出する、
請求項1に記載の導通試験装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記送信元スロット番号と前記送信元スロット番号の期待値とが一致しない場合、又は、前記第n送信先スロット番号と前記第n送信先スロット番号の期待値とが一致しない場合、前記誤接続の通話路は、送信された前記送信元スロット番号に実装された前記送信元カードと送信された前記送信先スロット番号に実装された前記送信先カードとの間の前記通話路であると特定する、
請求項1又は2に記載の導通試験装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とが一致し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とが一致した場合、前記第3フレームを受信する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の導通試験装置。
【請求項5】
前記送信部は、前記第1フレームから前記第3フレームの送信を繰り返す、
請求項1から4のいずれか1つに記載の導通試験装置。
【請求項6】
前記第1フレームと前記第2フレームと前記第3フレームのそれぞれは、通話のためのサービス用データを含む、
請求項1から5のいずれか1つに記載の導通試験装置。
【請求項7】
前記共通固定データは、16進数の55であり、
前記反転固定データは、16進数のAAである、
請求項1から6のいずれか1つに記載の導通試験装置。
【請求項8】
前記送信部は、
前記第1フレームの前記共通固定データに代えて、16進数のFFを設定し、
前記第2フレームの前記反転固定データに代えて、前記第n送信先スロット番号と前記送信元スロット番号を設定し、
前記第3フレームの前記第n送信先スロット番号に代えて、前記第n送信先スロット番号を反転した反転第n送信先スロット番号を設定し、
前記第3フレームの前記送信元スロット番号に代えて、前記送信元スロット番号を反転した反転送信元スロット番号を設定する、
請求項1に記載の導通試験装置。
【請求項9】
送信元カードと第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれとの間の第1通話路から第n通話路の試験のために(nは自然数である)、
第1フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを設定することと、
第2フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記共通固定データを反転した反転固定データを設定することと、
第3フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記第n送信先カードが実装された自装置内の位置を示す第n送信先スロット番号と前記送信元カードが実装された自装置内の位置を示す送信元スロット番号を設定することと、
前記第1フレームから前記第3フレームを、前記第1通話路から前記第n通話路を介して、前記第1送信先カードから前記第n送信先カードに送信することと、
前記第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれにおいて、
前記送信元カードから送信された前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とを照合し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とを照合し、前記送信元カードと前記第n送信先カードとの間の前記第n通話路を送受信するデータの正常性を検出することと、
前記送信元カードから送信された前記送信元スロット番号と前記送信元スロット番号の期待値とを照合し、前記第n送信先スロット番号と前記第n送信先スロット番号の期待値とを照合し、誤接続の通話路を特定することと、
を備える導通試験方法。
【請求項10】
送信元カードと第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれとの間の第1通話路から第n通話路の試験のために(nは自然数である)、
第1フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを設定することと、
第2フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記共通固定データを反転した反転固定データを設定することと、
第3フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記第n送信先カードが実装された自装置内の位置を示す第n送信先スロット番号と前記送信元カードが実装された自装置内の位置を示す送信元スロット番号を設定することと、
前記第1フレームから前記第3フレームを、前記第1通話路から前記第n通話路を介して、前記第1送信先カードから前記第n送信先カードに送信することと、
前記第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれにおいて、
前記送信元カードから送信された前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とを照合し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とを照合し、前記送信元カードと前記第n送信先カードとの間の前記第n通話路を送受信するデータの正常性を検出することと、
前記送信元カードから送信された前記送信元スロット番号と前記送信元スロット番号の期待値とを照合し、前記第n送信先スロット番号と前記第n送信先スロット番号の期待値とを照合し、誤接続の通話路を特定することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムに関するものであり、特に、通話路を送受信するデータの正常性を検出するとともに誤接続の通話路を特定することを、より少ない試験用データで行うことが可能な導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電話交換機システムやメディアゲートウェイシステムなどの音声系システムにおいて、システムに故障が発生した場合、障害が発生したことを検出し復旧処置など行うことは、電話サービスの重要な要件である。システムに故障が発生したことを検出するためのパイロットパターンを使用した各種の回路例が有る。しかしながら、通話路との誤接続を検出するための回路例は少なく、それらの回路を使用しても、誤接続の通話路(被疑箇所)の特定や原因の調査は難しいことが多かった。そのため、システムの保守と運用のために通話路の異常の検出と誤接続の通話路(発生区間)を特定することが所望されている。
【0003】
特許文献1の0006段落には、「通話路装置は前段、後段それぞれの接続装置間に介在され、前段接続装置には試験データ発生回路および試験データ挿入回路が、後段接続装置には試験データチェック回路が、それぞれ含まれるべく構成されたものとなっている。」ことが記載されている。また、特許文献1の0007段落には、「前段接続装置では、試験データ“AA”、“55”がフレーム周期毎に交互に試験データ挿入回路により挿入された上、通話路装置上に送信され、後段接続装置の試験データチェック回路では、事前設定試験データと、通話路装置、出ハイウェイを介し受信された制御信号用タイムスロット上の試験データとがフレーム周期毎に比較照合される」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-068946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、システムの保守と運用のために通話路の異常の検出と誤接続の通話路を特定することが所望されている。そのために通話のためのサービス用データを削減し試験用データを挿入するので、サービス用データの収容効率が低下するという課題があった。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題のいずれかを解決する導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る導通試験装置は、
送信元カードと第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれとの間の第1通話路から第n通話路の試験のために(nは自然数である)、
第1フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを設定し、
第2フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記共通固定データを反転した反転固定データを設定し、
第3フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記第n送信先カードが実装された自装置内の位置を示す第n送信先スロット番号と前記送信元カードが実装された自装置内の位置を示す送信元スロット番号を設定し、
前記第1フレームから前記第3フレームを、前記第1通話路から前記第n通話路を介して、前記第1送信先カードから前記第n送信先カードに送信する送信部と、
前記第1送信先カードから前記第n送信先カードのそれぞれにおいて、
前記送信元カードから送信された前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とを照合し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とを照合し、前記送信元カードと前記第n送信先カードとの間の前記第n通話路を送受信するデータの正常性を検出し、
前記送信元カードから送信された前記送信元スロット番号と前記送信元スロット番号の期待値とを照合し、前記第n送信先スロット番号と前記第n送信先スロット番号の期待値とを照合し、誤接続の通話路を特定する受信部と、
を備える。
【0008】
本開示に係る導通試験方法は、
送信元カードと第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれとの間の第1通話路から第n通話路の試験のために(nは自然数である)、
第1フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを設定することと、
第2フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記共通固定データを反転した反転固定データを設定することと、
第3フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記第n送信先カードが実装された自装置内の位置を示す第n送信先スロット番号と前記送信元カードが実装された自装置内の位置を示す送信元スロット番号を設定することと、
前記第1フレームから前記第3フレームを、前記第1通話路から前記第n通話路を介して、前記第1送信先カードから前記第n送信先カードに送信することと、
前記第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれにおいて、
前記送信元カードから送信された前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とを照合し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とを照合し、前記送信元カードと前記第n送信先カードとの間の前記第n通話路を送受信するデータの正常性を検出することと、
前記送信元カードから送信された前記送信元スロット番号と前記送信元スロット番号の期待値とを照合し、前記第n送信先スロット番号と前記第n送信先スロット番号の期待値とを照合し、誤接続の通話路を特定することと、
を備える。
【0009】
本開示に係るプログラムは、
送信元カードと第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれとの間の第1通話路から第n通話路の試験のために(nは自然数である)、
第1フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを設定することと、
第2フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記共通固定データを反転した反転固定データを設定することと、
第3フレームの第1タイムスロットから前記第nタイムスロットまでの各タイムスロットに前記第n送信先カードが実装された自装置内の位置を示す第n送信先スロット番号と前記送信元カードが実装された自装置内の位置を示す送信元スロット番号を設定することと、
前記第1フレームから前記第3フレームを、前記第1通話路から前記第n通話路を介して、前記第1送信先カードから前記第n送信先カードに送信することと、
前記第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれにおいて、
前記送信元カードから送信された前記共通固定データと前記共通固定データの期待値とを照合し、前記反転固定データと前記反転固定データの期待値とを照合し、前記送信元カードと前記第n送信先カードとの間の前記第n通話路を送受信するデータの正常性を検出することと、
前記送信元カードから送信された前記送信元スロット番号と前記送信元スロット番号の期待値とを照合し、前記第n送信先スロット番号と前記第n送信先スロット番号の期待値とを照合し、誤接続の通話路を特定することと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、通話路を送受信するデータの正常性を検出するとともに誤接続の通話路を特定することを、より少ない試験用データで行うことが可能な導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る導通試験装置を例示するブロック図である。
図2】実施の形態1に係る導通試験装置の機能ブロックを例示するブロック図である。
図3】実施の形態1に係る試験用データを例示する図である。
図4】実施の形態1に係る送信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図5】実施の形態1に係る受信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図6】実施の形態1に係る送信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図7】実施の形態1に係る受信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図8】実施の形態1に係る通話路の接続の確認を例示するブロック図である。
図9】実施の形態1に係る通話路の接続の確認を例示するブロック図である。
図10】実施の形態1の比較例に係る導通試験装置の機能ブロックを例示するブロック図である。
図11】実施の形態2に係る試験用データを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0013】
[実施の形態1]
<導通試験装置の構成の概要>
図1は、実施の形態1に係る導通試験装置を例示するブロック図である。
図1は、実施の形態1に係る導通試験装置の最小構成を示す。
【0014】
図1に示すように、実施の形態1に係る導通試験装置11は、送信部111と受信部112とを備える。
【0015】
送信部111は、送信元カードと第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれとの間の第1通話路から第n通話路の試験のために、第1フレームの第1タイムスロット(1TS:Time Slot)から第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを設定する。ただし、nは自然数である。送信部111は、第2フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに共通固定データを反転した反転固定データを設定する。送信部111は、第3フレームの第1タイムスロットから第nタイムスロットまでの各タイムスロットに第n送信先カードが実装された導通試験装置11内の位置を示す第n送信先スロット番号と送信元カードが実装された導通試験装置11内の位置を示す送信元スロット番号を設定する。送信部111は、第1フレームから第3フレームを、第1通話路から第n通話路を介して、第1送信先カードから第n送信先カードに送信する。
【0016】
送信部111は、第1番目に第1フレームを送信し、第2番目に第2フレームを送信し、第3番目に第3フレームを送信する。
【0017】
受信部112は、第1送信先カードから第n送信先カードのそれぞれにおいて、送信元カードから送信された共通固定データと共通固定データの期待値とを照合する。受信部112は、反転固定データと反転固定データの期待値とを照合する。受信部112は、該照合した結果に基づいて送信元カードと第n送信先カードとの間の第n通話路を送受信するデータの正常性を検出する。受信部112は、送信元カードから送信された送信元スロット番号と送信元スロット番号の期待値とを照合する。受信部112は、送信元カードから送信された第n送信先スロット番号と第n送信先スロット番号の期待値とを照合する。受信部112は、該照合した結果に基づいて誤接続の通話路を特定する。第1通話路から第n通話路の試験のために使用する共通固定データと反転固定データと第n送信先スロット番号と送信元スロット番号とを、試験用データと称する。
【0018】
実施の形態1に係る導通試験装置11は、試験用データとして共通固定データと反転固定データを使用して試験用データのビットの全てを変化させるので特定のビットが固定値のまま故障した場合などのビット誤りを検出することができる。これにより、通話路を送受信するデータの正常性を検出することができる。その結果、実施の形態1によれば、通話路を送受信するデータの正常性を検出することが可能な導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムを提供することができる。
【0019】
また、実施の形態1に係る導通試験装置11は、試験用データとして送信元スロット番号と送信先スロット番号とを使用して期待値照合をしているので、誤接続を検出し、さらに、どの送信元カードとの間で異常(誤接続)が発生したかを特定することができる。その結果、実施の形態1によれば、誤接続の通話路を特定することが可能な導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムを提供することができる。
【0020】
また、実施の形態1に係る導通試験装置11は、例えば、n=2のとき、試験用データで使用するタイムスロットの数は、1フレーム当たり2つとなる。これは、後述する比較例で使用する試験用データの数と比べて半分である。その結果、実施の形態1によれば、通話路を送受信するデータの正常性を検出することと、誤接続の通話路を特定することとを、より少ない試験用データで行うことが可能な導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムを提供することができる。
【0021】
また、実施の形態1に係る導通試験装置11は、サービスに使用するサービス用タイムスロットを、より多く使用することができるので、サービス用データの収容効率を向上させることができる。
【0022】
<導通試験装置の構成の詳細>
図2は、実施の形態1に係る導通試験装置の機能ブロックを例示するブロック図である。
図2に示す各機能ブロックは、図1に示す送信部111と受信部112とを含む。
【0023】
図2に示すように、実施の形態1では、送信側の機能ブロック(機能ブロック101と機能ブロック103)と受信側の機能ブロック(機能ブロック102と機能ブロック104)とがスイッチ107を介して接続されている。機能ブロック101は、送信元カード101cに含まれる。機能ブロック102は、送信先カード102cに含まれる。機能ブロック103は、送信元カード103cに含まれる。機能ブロック104は、送信先カード104cに含まれる。
【0024】
実施の形態1では、サービス用データ(通話用データ)を送受信するためのタイムスロットの一部を、試験用データを送受信するための試験用タイムスロットとして使用する。試験用タイムスロットを使用して試験用データを送受信することによって試験用データの正常性を確認する。それにより、通話路の正常性を確認する。通話路の正常性を確認するための試験用タイムスロットは、1通話路(方路)あたり1つのタイムスロットを使用し、対向する通話路分だけ使用する。複数の試験用タイムスロットは、スイッチ107で対向先との間に個別に通話路の接続設定を行ない1対1でメッシュ状に接続し、通話路の誤接続の確認用に使用する試験用データは、それぞれ異なるデータを使用する。
【0025】
通話路の正常性を確認するための試験用データは、共通固定データであり、例えば、16進数の55でもよい。また、通話路の正常性を確認するための試験用データは、反転固定データであり、例えば、16進数のAAでもよい。また、誤接続の通話路を特定するための試験用データは、接続先カード毎(通話路毎)に異なるものでよい。誤接続の通話路を特定するための試験用データは、例えば、通話路の送信元スロット番号と送信元スロット番号である。
【0026】
<導通試験装置の動作>
図3は、実施の形態1に係る試験用データを例示する図である。
図4は、実施の形態1に係る送信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図4は、スロット番号1に実装された送信元カード101c送信試験用データのタイムスロット構成を示す。
図5は、実施の形態1に係る受信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図5は、スロット番号2に実装された送信先カード102c受信試験用データのタイムスロット構成を示す。
【0027】
図6は、実施の形態1に係る送信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図6は、スロット番号3に実装された送信元カード103c送信試験用データのタイムスロット構成を示す。
図7は、実施の形態1に係る受信試験用データのタイムスロット構成を例示する図である。
図7は、スロット番号4に実装された送信先カード104c受信試験用データのタイムスロット構成を示す。
【0028】
図3から図7に示すように、送信元カードは、試験用タイムスロットに使用する試験用データとして、3マルチフレームデータを使用する。送信元カードは、1フレーム目の試験用データに、全ての通話路で同じ試験用データを設定する。送信元カードは、2フレーム目の試験用データに、1フレーム目の試験用データとは異なるものであって、全ての通話路で同じ試験用データを設定する。送信元カードは、3フレーム目の試験用データに、通話路(方路)ごとに異なる試験用データを設定する。1フレーム目を第1フレームと称し、2フレーム目を第2フレームと称し、3フレーム目を第3フレームと称することもある。
【0029】
具体的には、送信元カードは、1フレーム目に“55”を設定し、2フレーム目に“AA”を設定し、3フレーム目に“XY”を設定する。送信元カードは、“X”に送信先スロット番号(例えば、0から15のいずれか1つの番号)を16進数で設定し、“Y”に送信元スロット番号(例えば、0から15のいずれか1つの番号)を16進数で設定する。
【0030】
送信元カードは、例えば、送信元カードがスロット番号1に実装され、送信先カードがスロット番号2に実装されている場合、“XY”に“21”を設定する。また、送信元カードは、送信元カードがスロット番号1に実装され、送信先カードがスロット番号4に実装されている場合、“XY”に“41”を設定する。そして、送信元カードは、1フレーム目から3フレーム目までのデータを、繰り返して送信する。このように、試験用タイムスロットについて、1フレーム目から3フレーム目までの3マルチフレームデータを1つのデータとすることにより、1タイムスロットで1通話路(方路)の試験を行うことができる。
【0031】
試験用データを受信する送信先カードは、各試験用タイムスロットに異なる送信元カードからの試験用データが格納されているので、そのタイムスロット毎に確認を行う。送信先カードは、3マルチフレームの試験用データを確認する。3フレーム目の試験用データ(通話路の誤接続の検出ための試験用データ)は、通話路(方路)ごとに異なる試験用データが設定されている。
【0032】
具体的には、送信先カードは、1フレーム目に共通固定データとしての例えば“55”が設定されていることを確認する。送信先カードは、2フレーム目に反転固定データとしての“AA”が設定されていることを確認する。送信先カードは、共通固定データと共通固定データの期待値とが一致し、反転固定データと反転固定データの期待値とが一致した場合、通話路を送受信するデータは正常であると検出する。
【0033】
送信先カードは、3フレーム目に“XY”が設定されていることを期待値照合して確認する。送信先カードは、“X”には送信先スロット番号(受信したカードのスロット番号)が設定され、“Y”には送信元スロット番号が設定されていることを確認する。
【0034】
例えば、送信先カードがスロット番号2に実装され、送信元カードがスロット番号1に実装され、送信先カードで送信元カードから送信された試験用データを受信する場合、送信先カードは、“XY”が“21”であることを確認する。また、送信先カードがスロット番号4に実装され、送信元カードがスロット番号1に実装され、送信先カードで送信元カードから送信された試験用データを受信する場合、送信先カードは、“XY”が“41”であることを確認する。そして、送信先カードは、1フレーム目から3フレーム目までのデータを、繰り返し確認する。
【0035】
1フレーム目の“55”と2フレーム目の“AA”の試験用データは、8ビットの全てを変化させることにより、特定のビットが固定値のまま故障した場合などのビット誤りを検出することができる。
【0036】
送信先カードは、3フレーム目の“XY”の試験用データが、送信先スロット番号または送信元スロット番号が期待値と異なる場合、所望の接続になっていないと判断できるので、誤接続であることを検出することができる。
【0037】
このようにして、送信元カードが通話路の接続先毎に異なる試験用データを設定し、それぞれに送信先カードが確認することにより、通話路を送受信する試験用データの正常性と通話路の誤接続を検出することができる。
【0038】
図8は、実施の形態1に係る通話路の接続の確認を例示するブロック図である。
図8は、正常状態の場合を示す。
図9は、実施の形態1に係る通話路の接続の確認を例示するブロック図である。
図9は、異常検出(誤接続の検出)の場合を示す。
【0039】
図8に示すように、正常状態の場合、送信先カードは、試験用データを期待値照合して確認する際、試験用データが期待値と一致するので、通話路の接続状態は正常であると判断する。
【0040】
送信先カードは、異常状態の場合、例えば、送信元スロット番号と送信元スロット番号の期待値とが一致しない場合、又は、送信先スロット番号と送信先スロット番号の期待値とが一致しない場合、誤接続の通話路は、送信された送信元スロット番号に実装された送信元カードと送信された送信先スロット番号に実装された送信先カードとの間の通話路であると特定する。
【0041】
図9に示すように、異常状態の場合、スロット番号3に実装された送信元カードからスロット番号2に実装された送信先カードへの通話路が接続されず、スロット番号5に実装された送信元カードからスロット番号2に実装された送信先カードへの通話路が誤って接続されている。すなわち、図9には、送信元カードが誤ったため、試験用データが入れ替わった状態が示される。
【0042】
正常状態の場合、スロット番号3に実装された送信元カードからスロット番号2に実装された送信先カードに、3フレーム目に“23”が設定された試験用データが送信されるべきであった。しかしながら、誤接続されたので、送信先カードは、3フレーム目に“25”を試験用データとして検出した。この場合、3フレーム目の測定値が“25”であり、期待値が“23”なので、不一致が発生する。これにより、送信先カード(試験用データを受信するカード)は、誤接続を検出する。また、送信先カードは、異常検出した際の試験用データの“25”(送信先スロット番号2、送信元スロット番号5)に基づいて、送信元スロット番号5に実装された送信元カードとの間で異常が発生したと判断することができる。
【0043】
尚、送信先カードは、共通固定データと共通固定データの期待値とが一致し、反転固定データと反転固定データの期待値とが一致した場合、3フレーム目を受信するようにしてもよい。
【0044】
<効果>
実施の形態1に係る導通試験装置11は、音声を扱うシステムにおいて、通話路の正常性を確認するための試験用データを、1つ通話路(方路)当たり1タイムスロットで行う。これにより、導通試験装置11は、サービスに使用するサービス用タイムスロットを、より多く使用することができ、サービス用データの収容効率を向上させることができる。
【0045】
また、実施の形態1に係る導通試験装置11は、試験用データとして使用する送信先スロット番号と送信元スロット番号とに基づいて期待値照合をして誤接続であるか否かを検出(確認)する。このため、導通試験装置11は、誤接続を検出した場合、確認した試験用データの内容に基づいて、どのスロット番号に実装されたカードとの間で誤接続されたかを判断できるため、誤接続の通話路(被疑箇所)を特定することができる。
【0046】
その結果、実施の形態1によれば、通話路を送受信するデータの正常性を検出するとともに誤接続の通話路を特定することを、より少ない試験用データで行うことが可能な導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムを提供することができる。
【0047】
<特徴>
ここで、実施の形態1の特徴を以下に記載する。
電話交換機システムやIP(Internet Protocol)ネットワーク上で音声データのやりとりを可能にするメディアゲートウェイシステムの音声系システムでは、システムに故障が発生した際、障害が発生したことを検出し復旧処置を行ってサービスが継続できるようにするための機能を備えてあるものが多い。特に、音声データが流れる通話路においては、利用者が電話サービスの品質について良否を直接感じる箇所であり、様々な要因による異常データの発生や他の通話路との誤接続などが発生した場合は確実に異常を検出し処置することによってサービス品質を確保する必要がある。実施の形態1は、このような音声系システムにおいて、通話路を送受信するデータの正常性(通話路の正常性)や他の通話路との誤接続を検出することを目的とした導通試験に関する。
【0048】
[比較例]
図10は、実施の形態1の比較例に係る導通試験装置の機能ブロックを例示するブロック図である。
図10は、スイッチ507を介してスロット番号1の機能ブロックからスロット番号2の機能ブロックとスロット番号4の機能ブロックに、スロット番号3の機能ブロックからスロット番号2の機能ブロックとスロット番号4の機能ブロックに、それぞれ試験用データを送信する例を示す。
【0049】
図10に示すように、比較例に係る導通試験装置51は、送信元カードの機能ブロックで試験用タイムスロットに試験用データを挿入し、送信先カードの機能ブロックで試験用タイムスロットに挿入された試験用データを確認する。これにより、導通試験装置51は、試験用データの正常性を確認する。導通試験装置51は、試験用データの確認の際、通話路毎に2つのタイムスロットを使用して正常性の確認を行う。
【0050】
導通試験装置51は、1つ目のタイムスロットでは、対向スロット毎に異なるデータを使用して送信先カード(受信側)で期待値照合し、不一致を検出した場合、誤接続であると判断する。導通試験装置51は、2つ目のタイムスロットでは、1つ目のデータを反転した反転データを設定し、1つ目と2つ目のタイムスロットを確認することにより、ビット誤りを検出する。比較例では、複数の通話路を試験する場合、試験用タイムスロットが通話路の2倍分だけ必要となる。このため、通話路の数が多くなるとサービスに使用するサービス用タイムスロットの数を制限する必要があり、サービス用データ(通話データ)の収容効率が低下してしまう。
【0051】
その結果、比較例によれば、通話路を送受信するデータの正常性を検出するとともに誤接続の通話路を特定することを、より少ない試験用データで行うことが可能な導通試験装置、導通試験方法、及びプログラムを提供することが難しい。
【0052】
[実施の形態2]
図11は、実施の形態2に係る試験用データを例示する図である。
図11に示すように、実施の形態2では、試験用タイムスロットに使用する試験用データは、1フレーム目にマルチフレームの先頭を示すフラグ信号として16進数の“FF”を設定する。実施の形態2に係る試験用データは、2フレーム目に送信先スロット番号と送信元スロット番号を設定する。実施の形態2に係る試験用データは、3フレーム目に送信先スロット番号と、送信元スロット番号の反転データと、を設定する。送信先カードでは、1フレームか目ら3フレーム目までの3マルチフレームデータについて確認する。
【0053】
尚、上記の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0054】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0055】
さらに、動作は特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。同様に、いくつかの特定の実施の形態の詳細が上記の議論に含まれているが、これらは本開示の範囲に対する制限としてではなく、特定の実施の形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施の形態の文脈で説明される特定の特徴は、単一の実施の形態に組み合わせて実装されてもよい。逆に、単一の実施の形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施の形態で別々にまたは任意の適切な組み合わせで実装されてもよい。
【0056】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0057】
尚、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
11、51:導通試験装置
101、102、103、104、105:機能ブロック
101c、102c、103c、104c、105c:カード
107、507:スイッチ
111:送信部
112:受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11