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特許7302921フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20230627BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20230627BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20230627BHJP
   E04F 13/074 20060101ALI20230627BHJP
   H02S 20/26 20140101ALI20230627BHJP
   H02S 20/22 20140101ALI20230627BHJP
【FI】
E04D13/18
E04D3/40 V ETD
E04F13/08 101K
E04F13/074
H02S20/26
H02S20/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023001633
(22)【出願日】2023-01-10
【審査請求日】2023-01-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522256886
【氏名又は名称】株式会社SILFINE JAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】米津 壮一郎
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-085303(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/056775(JP,A1)
【文献】特開2008-053419(JP,A)
【文献】特開2012-004261(JP,A)
【文献】特開2001-090265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
E04D 3/40
E04F 13/08
E04F 13/074
H02S 20/26
H02S 20/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル太陽電池モジュールの裏面に接着層を設ける接着層形成工程と、前記接着層を所定の施工面に押圧する接着工程と、を備え、
前記接着層形成工程は、前記裏面に両面テープを設けるテープ貼付工程と、前記裏面に接着剤を設ける接着剤塗布工程と、を有し、
前記テープ貼付工程及び前記接着剤塗布工程において、前記両面テープ及び前記接着剤を前記フレキシブル太陽電池モジュールの外周に沿って設け、
前記接着剤塗布工程において、前記接着剤を、前記両面テープの外周側に隣接して、前記裏面の全周に亘って設け、前記接着剤の厚さを前記両面テープの厚さ以上とする、フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法。
【請求項2】
前記施工面は、外壁である、請求項1に記載のフレキシブル太陽電池モジュールの施工方法。
【請求項3】
前記フレキシブル太陽電池モジュールにワイヤロープを取付けるロープ取付け工程をさらに備え、
前記ロープ取付け工程において、前記ワイヤロープの両端部を、前記フレキシブル太陽電池モジュールから所定の距離離間した位置に固定する、請求項2に記載のフレキシブル太陽電池モジュールの施工方法。
【請求項4】
前記接着工程において、前記フレキシブル太陽電池モジュールを前記施工面に複数隣接配置し、
前記ロープ取付け工程において、隣接する前記フレキシブル太陽電池モジュールに、前記ワイヤロープを懸架させる、請求項3に記載のフレキシブル太陽電池モジュールの施工方法。
【請求項5】
前記ロープ取付け工程において、前記ワイヤロープを、前記フレキシブル太陽電池モジュールに形成された取付孔に挿通させることで、前記フレキシブル太陽電池モジュールに取付ける、請求項3に記載のフレキシブル太陽電池モジュールの施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量且つ薄型である、所謂フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、再生可能エネルギーである太陽エネルギーを利用することで、環境に大きな負荷を掛けずに発電可能な太陽光発電が、世界的に普及している。
【0003】
また、太陽光発電は、専用の架台を用いて工場の屋根等に太陽電池モジュールを設置する、工業的な利用が主であるが、光熱費の節約や災害時の停電対策、売電収入を得る等の目的で、一般家庭においても普及してきている。
【0004】
特に、近年では、運搬性や収納性、設置場所の選択の幅広さといったメリットから、フレキシブル太陽電池モジュールを用いた太陽光発電も、一般家庭において利用しやすく、注目されている。
【0005】
このような、フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法に関する発明として、特許文献1には、融雪屋根工事を容易かつ能率的に行うことができる融雪屋根構造体及び融雪屋根構造に関する発明が記載されている。
【0006】
この融雪屋根構造は、屋根構成部材としてのたる木上に釘打ちされた野地板上に、防水シート材を敷設し、防止シート材の上に金属屋根材の表面に、融雪屋根構造体として、フレキシブル太陽電池モジュールを接着手段により接着固定した構造となされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-49194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1には、融雪屋根構造体を接着手段により金属屋根材上に敷設する、との記載があるのみであり、敷設するにあたっての具体的な接着方法(施工方法)については、記載されていない。
【0009】
このため、例えば、一般家庭にフレキシブル太陽電池モジュールを用いた太陽光発電を導入するにあたり、施工経験のない者が施工する際に、特許文献1に記載の構成を参照したとしても、円滑な施工に難儀する、という問題があった。
【0010】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、誰でも簡便且つ安全に施工することが可能な、フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、フレキシブル太陽電池モジュールの裏面に接着層を設ける接着層形成工程と、前記接着層を所定の施工面に押圧する接着工程と、を備え、前記接着層形成工程は、前記裏面に両面テープを設けるテープ貼付工程と、前記裏面に接着剤を設ける接着剤塗布工程と、を有する。
【0012】
本発明によれば、施工者は、固定金具等を用いた締結作業を実施することなく簡便に、フレキシブル太陽電池モジュールを施工面に施工することができる上、テープ貼付工程により、接着剤が充分に乾燥するまで、フレキシブル太陽電池モジュールが両面テープにより仮接着された状態とすることができ、接着剤の乾燥中に、その施工位置がずれてしまうような事態を抑制することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記テープ貼付工程及び前記接着剤塗布工程において、前記両面テープ及び前記接着剤を前記フレキシブル太陽電池モジュールの外周に沿って設ける。
【0014】
このような構成とすることで、一のフレキシブル太陽電池モジュールに用いられる接着剤や両面テープの量を極力少なくしつつ、施工位置を安定的に維持することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記接着剤塗布工程において、前記接着剤を、前記両面テープの外周側に隣接して、前記裏面の全周に亘って設け、前記接着剤の厚さを前記両面テープの厚さ以上とする。
【0016】
このような構成とすることで、フレキシブル太陽電池モジュールを所定の施工面に施工した際、両面テープが外気に曝露しない状態となり、接着剤よりも耐候性に劣る両面テープを用いた場合、両面テープの接着力を保持できるため、接着剤が充分に乾燥するまでの施工位置の安定性を、より向上させることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記施工面は、外壁である。
【0018】
このような構成とすることで、所定の剛性を有し、架台を用いて設置する通常の太陽電池モジュールの設置が困難な場所を、発電領域として利用することができるため、一の建築物に対する発電量を容易に向上させることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記フレキシブル太陽電池モジュールに前記ワイヤロープを取付けるロープ取付け工程をさらに備え、
前記ロープ取付け工程において、前記ワイヤロープの両端部を、前記フレキシブル太陽電池モジュールから所定の距離離間した位置に固定する。
【0020】
このような構成とすることで、例えば強風が吹いた場合や、接着層の経年劣化により、フレキシブル太陽電池モジュールの外壁への接着力が低下した場合でも、外壁から落下する恐れがなく、周囲の安全を確保できる上、再接着の作業を迅速に行うことができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記接着工程において、前記フレキシブル太陽電池モジュールを前記施工面に複数隣接配置し、
前記ロープ取付け工程において、隣接する前記フレキシブル太陽電池モジュールに、前記ワイヤロープを懸架させる。
【0022】
このような構成とすることで、外壁に対して、発電量確保のために複数のフレキシブル太陽電池モジュールを施工した場合であっても、上記した周囲の安全を確保、再接着の作業の迅速性を担保することができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記ロープ取付け工程において、前記ワイヤロープを、前記フレキシブル太陽電池モジュールに形成された取付孔に挿通させることで、前記フレキシブル太陽電池モジュールに取付ける。
【0024】
このような構成とすることで、ワイヤロープを取付けるための器具等を別途フレキシブル太陽電池モジュールに設ける作業や、これにワイヤロープを締結していくような作業が不要となり、施工の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、誰でも簡便且つ安全に施工することが可能な、フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の各実施形態に係るフレキシブル太陽電池モジュールの概略斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る施工方法の説明図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る施工方法の説明図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る施工方法の説明図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る施工方法の説明図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る施工方法の説明図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る施工方法の説明図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る施工方法の説明図である。
図9】本発明の第二実施形態に係る施工方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係るフレキシブル太陽電池モジュールの施工方法について説明する。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は、各実施形態に係るフレキシブル太陽電池モジュールを示す。
【0028】
図1に示すように、各実施形態に用いられるフレキシブル太陽電池モジュール1(以下、単にモジュール1と称する)は、近年一般的に用いられる、略長方形状の薄型パネルであり、シリコンを用いて形成された複数の太陽光発電セル(発電素子)を樹脂製フィルムで挟持した構造となされている。
これにより、モジュール1は、軽量且つ柔軟性を有しており、設置場所に応じて湾曲させることができる。
【0029】
また、モジュール1の外周縁には、ボルト等の固定部材が挿通される取付孔Hが複数設けられている。
詳述すれば、モジュール1の外周縁における各長辺側に、長辺方向に沿って4つずつ、計8つの取付孔Hが設けられている。
【0030】
なお、モジュール1の外周縁には、別途設置場所付近に設置された充電制御装置(図示せず)と電気的に接続されるジャンクションボックス(図示せず)が、少なくとも一つ設けられている。
【0031】
<実施形態1>
以下、図2図3を用いて、実施形態1に係るモジュール1の施工方法について説明する。
本実施形態では、モジュール1を施工する所定の施工面Xを、建築物Aの屋上Rとした例について説明する。
【0032】
まず、施工者は、図2に示すように、複数枚のモジュール1の裏面に接着層Gを設ける接着層形成工程を実施する。
詳述すれば、施工者は、図2(a)に示すように、モジュール1の裏面における外周全周に沿って、両面テープg1を貼付ける(テープ貼付工程)。このとき、両面テープg1の貼付け位置は、モジュール1の外周縁から数mm~数十mm程度内側としておく。
そして、施工者は、図2(b)に示すように、モジュール1の外周縁と両面テープg1との間に、接着剤g2を塗布する(接着剤塗布工程)。本実施形態においては、接着剤g2が、各取付孔Hに重畳するように塗布されていて良い。
なお、接着剤g2の塗布面積等について、モジュール1の裏面の表面積の4%以上を、左右対称となるように塗布することが望ましい。
【0033】
また、施工者は、接着剤塗布工程として、モジュール1の外周縁の他、モジュール1の短辺方向略中央から長辺方向に沿って、接着剤g2をさらに塗布する。
さらに、施工者は、接着層形成工程を実施する前に、モジュール1の裏面全面にプライマーを塗布しておくことで、両面テープg1及び接着剤g2のモジュール1に対する接着性を高めておく、プライマー塗布工程を実施しても良い。
【0034】
なお、接着剤g2は、耐候性や耐水性等を考慮して、シリコン系シーリング材、或いは変形シリコン系シーリング材を用いることが好ましい。
また、後述する接着工程において、屋上Rに両面テープg1を好適に接着させること、接着剤g2の乾燥時間を短縮することを考慮して、接着剤g2の塗膜厚さは、両面テープg1の厚みと同程度とするか、両面テープg1の厚みより数mm程度厚くしておくことが好ましい。
さらに、テープ貼付工程と接着剤塗布工程とは、その順序を問わず、接着剤塗布工程を先に実施しても良い。
【0035】
次に、施工者は、図3に示すように、各モジュール1の接着層Gを、屋上Rに押圧する接着工程を実施する。
このとき、施工者は、省スペースの観点から、図3に示すように、各モジュール1をその短辺方向に隣接配置し、モジュール1による複数の列が形成されるように、順次接着工程を実施することが好ましい。
【0036】
なお、隣接するモジュール1同士の間隔は、モジュール1が線熱膨張する可能性を考慮して、10mm以上空けておくことが好ましい。
また、施工者は、接着層Gを屋上Rに押圧する際、ローラーを用いて、各モジュール1に均一な押圧力がかかるように施工することが好ましい。
さらに、施工者は、接着剤g2が充分に乾燥するまでの間、養生テープ等の接着用具にて、外面から各モジュール1の屋上Rへの接着力を補強しても良い。
【0037】
上記の通り、屋上Rに施工された各モジュール1は、ジャンクションボックスと、例えば屋上Rに設置された充電制御装置とが、所定のケーブル(図示せず)を介して電気的に接続されることで、所望の機器に電力を供給可能な状態となる。
【0038】
本実施形態によれば、施工者は、固定金具等を用いた締結作業を実施することなく簡便に、モジュール1を屋上Rに施工することができる上、テープ貼付工程により、接着剤g2が充分に乾燥するまで、モジュール1が両面テープg1により仮接着された状態とすることができ、接着剤g2の乾燥中に、その施工位置がずれてしまうような事態を抑制することができる。
【0039】
また、両面テープg1及び接着剤g2をモジュール1の外周に沿って設けることで、一のモジュール1に用いられる両面テープg1や接着剤g2の量を極力少なくしつつ、施工位置を安定的に維持することができる。
【0040】
また、接着剤g2を、両面テープg1の外周側に隣接して、裏面の全周に亘って設けることで、モジュール1を屋上Rに施工した際、両面テープg1が外気に曝露しない状態となり、接着剤g2よりも耐候性に劣る両面テープg1の接着力を保持できるため、接着剤g2が充分に乾燥するまでの施工位置の安定性を、より向上させることができる。
【0041】
<実施形態2>
以下、図4図9を用いて、実施形態2に係るモジュール1の施工方法について説明する。
本実施形態では、モジュール1を施工する所定の施工面Xを、建築物Aの外壁Wとした例について説明する。
【0042】
まず、施工者は、図4に示すように、実施形態1と同様に、複数枚のモジュール1の裏面に接着層Gを設ける接着層形成工程を実施する。
このとき、施工者は、後述するロープ取付け工程を実施するために、各取付孔Hよりも内側に接着剤g2を塗布し、接着剤g2が各取付孔Hに重畳しないようにする。
【0043】
次に、施工者は、図5及び図6に示すように、各モジュール1の接着層Gを、上下方向に沿って外壁Wに押圧する接着工程を実施する。
このとき、施工者は、後述するロープ取付け工程を好適に実施するために、各モジュール1が上下方向に整列するように(各モジュール1の長辺方向が外壁Wの上下方向に沿うように)、順次接着工程を実施する。
なお、本実施形態においても、実施形態1と同様に、ローラーを用いた押圧や、養生テープ等の接着用具を用いた補強的な接着を、接着工程において行うことができる。
【0044】
ここで、図6は、接着工程を実施した後の、建築物A上方の拡大側面図であり、説明の便宜上、接着層Gの厚みを誇張して示している。
また、以後、上下方向に整列配置された各モジュール1をまとめて、モジュール群Sと称し、本実施形態においては、二列のモジュール群Sを施工する例について説明する。
【0045】
次に、施工者は、図7及び図8に示すように、モジュール1にワイヤロープZを取付け、ワイヤロープZの両端部を、モジュール1から所定の距離離間した位置に固定するロープ取付け工程を実施する。
なお、本実施形態におけるワイヤロープZは、両端に輪状体rが設けられた複数本のワイヤロープ構成体uにより構成されている。
また、各輪状体rは、例えば、バタフライノット等の締結手法によるものや、ナスカン等であり、取付孔Hに挿通・係止させられる態様であれば、特にその具体的態様は限定されない。
【0046】
詳述すれば、施工者は、例えば、図7に示すように、屋上Rに設置された手摺tにワイヤロープ構成体uの一端部を輪状体r等により締結し、最上方のモジュール1における、一方の長辺側の最上部に設けられた取付孔Hに、輪状体rを挿通・係止させる。
そして、施工者は、図8に示すように、上下方向に隣接するモジュール1について、一方(最上方)のモジュール1における最下部の取付孔H、及び他方(下方)のモジュール1における最上部の取付孔H、それぞれについて、一のワイヤロープ構成体uの一方の輪状体r及び他方の輪状体rを挿通・係止させる。
即ち、隣接するモジュール1に、ワイヤロープ構成体uを懸架させる。
なお、図7及び図8において、取付孔H、及び輪状体rの取付孔Hに挿通されている部分については、点線で示している。
【0047】
施工者は、上記した一連の取付け作業を、さらに下方に整列して隣接配置されたモジュール1に対しても順次同様に実施する。
また、施工者は、上記した一連の取付け作業を、モジュール群Sの他方の長辺側に設けられた取付孔Hに対しても、順次同様に実施する。
【0048】
次に、施工者は、図9に示すように、各ワイヤロープZの下端(最下部のワイヤロープ構成体uの下端)を、地中に埋設されたグラウンドアンカーkに締結・固定する。
これにより、一のモジュール群Sに対して、左右一対のワイヤロープZが取付けられることとなる。
即ち、本実施形態における、モジュール1から所定の距離離間した位置(ワイヤロープZの固定位置)は、手摺t及びグラウンドアンカーkである。
【0049】
なお、以上の通り説明した接着工程やロープ取付け工程は、例えば、可搬型ゴンドラ等の機械足場を用いて、実施することができる。
また、実施形態1と同様に、上記の通り、外壁Wに施工された各モジュール群Sは、ジャンクションボックスと、例えば屋上Rに設置された充電制御装置とが、所定のケーブルを介して電気的に接続されることで、所望の機器に電力を供給可能な状態となる。
【0050】
本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られると共に、外壁Wへの施工により、通常の太陽電池モジュールの設置が困難な場所を、発電領域として利用することができるため、一の建築物Aに対する発電量を容易に向上させることができる。
【0051】
また、ロープ取付け工程により、例えば強風が吹いた場合や、接着層Gの経年劣化により、モジュール1の外壁Wへの接着力が低下した場合でも、外壁Wから落下する恐れがなく、周囲の安全を確保できる上、再接着の作業を迅速に行うことができる
【0052】
また、ワイヤロープ構成体uを取付孔Hに挿通・係止させることで、ワイヤロープ構成体uを取付けるための器具等を別途モジュール1に設ける作業や、これにワイヤロープ構成体uを締結していくような作業が不要となり、施工の作業性を向上させることができる。
【0053】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0054】
例えば、施工面Xは、建築物Aの屋上Rや外壁Wに限られず、地面としても良いし、車両や船舶といった乗物の壁部等、多種多様な面に対して、本施工方法を適用することができる。
【0055】
また、モジュール1の施工枚数は、施工面Xの面積等により当然に変更することができるし、実施形態2において、モジュール群Sは、各モジュール1の短辺方向が外壁Wの上下方向に沿うように施工されても良い。
【0056】
この他、各モジュール1を、外壁Wの左右方向に沿って隣接配置してモジュール群Sを形成し、ワイヤロープZを、左右方向に沿って延びるように設けても良い。この場合、例えば、ワイヤロープZは、一のモジュール群Sに対して上下一本ずつでも良く、両端部の固定位置を外壁Wとすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 フレキシブル太陽電池モジュール(モジュール)
S モジュール群
H 取付孔
G 接着層
g1 両面テープ
g2 接着剤
Z ワイヤロープ
u ワイヤロープ構成体
A 建築物
R(X) 屋上(施工面)
W(X) 外壁(施工面)
t 手摺
k グラウンドアンカー
【要約】
【課題】誰でも簡便且つ安全に施工することが可能な、フレキシブル太陽電池モジュールの施工方法を提供する。
【解決手段】フレキシブル太陽電池モジュール1の施工方法であって、フレキシブル太陽電池モジュール1の裏面に接着層Gを設ける接着層形成工程と、接着層Gを所定の施工面Xに押圧する接着工程と、を備え、接着層形成工程は、両面テープg1を設けるテープ貼付工程と、裏面に接着剤g2を設ける接着剤塗布工程と、を有する。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9