(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/648 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
H01R13/648
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019011343
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10 2018 201 178.8
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ヴィットマン
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-153555(JP,A)
【文献】特開2017-152308(JP,A)
【文献】特表2002-511976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補的な対応コネクタと差込結合する電気コネクタであって、
前記電気コネクタは、
軸方向(A)に沿って延在する少なくとも1本の電気ケーブル(30)を収容する、コネクタハウジング(1)と、
前記コネクタハウジング(1)を周方向(U)で軸方向(A)まわりに完全に包囲する、シールドプレート(2)と、
を備える、電気コネクタにおいて、
前記コネクタハウジング(1)は、外面(1a)に、前記対応コネクタとの差込結合状態での遊びを画定する遊び画定要素(5)を有し、
前記シールドプレート(2)は、切欠き(4a)を有し、
前記遊び画定要素(5)は、前記コネクタハウジング(1)から突出して
いて、かつ前記シールドプレート(2)の前記切欠き(4a)を通って突出しており、または
前記遊び画定要素(5)は、コネクタハウジング切欠きとして前記コネクタハウジング(1)に形成されて
おり、かつ前記切欠き(4a)に接しており、
前記遊び画定要素(5)は、軸方向(A)に沿って見て、前記コネクタハウジング(1)の第1の遠端部(7)に配置されており、
前記シールドプレート(2)は、前記第1の遠端部(7)とは反対の側の第2の遠端部(8)に、前記電気コネクタ(10)と接続可能な対応コネクタの対応コネクタ遊び画定要素を収容するために、少なくとも1つの第3の切欠き(4c)を有する
ことを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
前記電気コネクタ(10)は、前記コネクタハウジング(1)に配置されたシールドされた少なくとも1本の電気ケーブル(30)を有する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジング(1)は、前記外面(1a)に、前記対応コネクタとの差込結合状態で遊びを画定する別の遊び画定要素(6)を有し、
前記シールドプレート(2)は、別の切欠き(4b)を有し、
前記別の遊び画定要素(6)は
、前記コネクタハウジング(1)から突出して
いて、かつ前記シールドプレート(2)の前記別の切欠き(4b)を通って突出しており、
または
前記別の遊び画定要素(6)は、別のコネクタハウジング切欠きとして前記コネクタハウジング(1)に形成されて
おり、かつ前記別の切欠き(4b)に接している、請求項1または2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記別の遊び画定要素(6)は、前記第1の遠端部(7)に配置されている、請求項
3記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記別の遊び画定要素
(6)は、周方向(U)に見て前記遊び画定要素
(5)に対して相対的に160°~200°ずらして前記コネクタハウジング(1)に配置されている、請求項
3または4記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記遊び画定要素(5)は、前記コネクタハウジング(1)から突出していて、かつ前記シールドプレート(2)の前記切欠き(4a)を通って突出しており、
前記シールドプレート(2)の前記切欠き(4a)は、前記遊び画定要素(5)を密接して包囲している、請求項
1から
5までのいずれか1項記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記別の遊び画定要素(6)は、前記コネクタハウジング(1)から突出していて、かつ前記シールドプレート(2)の前記別の切欠き(4b)を通って突出しており、
前記シールドプレート(2)の前記別の切欠き(4b)は、前記別の遊び画定要素(6)を密接して包囲している、請求項
3から5までのいずれか1項記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記コネクタハウジング(1)は、プラスチックまたは非導電性のプラスチックから形成されている、請求項1から
7までのいずれか1項記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【0002】
背景技術
背景技術において、対応コネクタと差込結合するための電気コネクタが知られている。たとえば自動車分野では、たとえば自律走行車を実現するために、増加するネットワーク形性および増加するセンサの数に関連して、データ転送ライン、たとえばイーサネット接続部用のこの種のコネクタがますます重要となっている。最小10Aの高電流を伝送するためのコネクタもますます多く使用される。
【0003】
この場合、たとえば高いデータ転送レート、または高電流、またはこの種のラインの傍に配置されたコネクタでは、シールドされたライン系統の他に、コネクタの領域までにシールドもさらに延ばして、コネクタのコネクタハウジングを金属薄板部材、つまりシールドプレートで包囲する必要がある。これにより、いわゆるEMC(電磁両立性)を改善することが可能である。換言すると、ケーブル内の信号の影響は、他の電気素子または電子素子へクロストークされず、その逆にケーブル内で信号が他のコンポーネントの電磁放射により影響されない。このことは、たとえばイーサネット・コネクタにおいて個々のイーサネット接続部がより大きなハウジング内におけるシールドされたハウジング部分または高電流の伝送のために使用されるシステムに装入可能である形態にも当てはまる。
【0004】
独国特許出願公開第19935994号明細書において、シールドプレートを有する、差込み可能なデータ接続ラインを形成する電気コネクタが公知である。
【0005】
発明の開示
本発明は、より高い振動要求を得るために、コネクタハウジングと、コネクタに対応する対応コネクタのマルチコネクタまたはシングルコネクタとの間の遊びを画定するまたは規定通りに調整するまたはたとえばプレス嵌めにより完全に除去することが有利であるという認識から出発する。この場合、用途に応じて、同一のコネクタを、たとえば高いまたは低いデータ転送レートまたは高いまたは低い電流に対して使用すべきで場合が生じ得る。低いEMC要求での用途においてシールドプレートを省略することにより、コスト面での利点を得ることが可能である。しかし、シールドプレートをそのように省略することにより、コネクタハウジングの外寸が削減され、この点においてインタフェースにおける動作への影響をコネクタが有することより、コネクタハウジングの外側輪郭に影響が及ぼされる。
【0006】
したがって電気コネクタを、相補的な対応コネクタと差込結合するために準備する必要が生じ得、この場合、コネクタは、シールドプレートを有し、ただし任意選択的にはEMC要求が小さいときにシールドプレートなく使用することも可能であり、コネクタは、対応する対応コネクタと差込結合可能であり、コネクタシステムが形成される。この場合、コネクタと対応コネクタとの差込結合状態で、インタフェースまたは対応コネクタのハウジングにおけるコネクタのコネクタハウジングの遊びまたは押付けは、コネクタにおけるシールドプレートの使用とは無関係であるべきである。
【0007】
発明の効果
この要求は、独立請求項に記載の本発明の対象により考慮することが可能である。本発明の好適な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の第1の形態によれば、相補的な対応コネクタと差込結合する電気コネクタが提案される。コネクタは、対応コネクタと差込結合されて、これにより次いでコネクタシステムが得られるように構成されている。コネクタは、
軸方向に沿って延在する少なくとも1本の電気ケーブルを収容する、コネクタハウジングと、
コネクタハウジングを周方向で軸方向まわりに完全に包囲する、シールドプレートと、
を備える。
このようなコネクタにおいて、コネクタハウジングは、外面に、対応コネクタとの差込結合状態で遊びを画定する遊び画定要素を有し、
シールドプレートは、切欠きを有し、
遊び画定要素は、コネクタハウジングから突出していて、かつシールドプレートの切欠きを通って突出している。代替的にまたは追加的に、遊び画定要素は、コネクタハウジング切欠きとしてコネクタハウジングに形成されていて、かつ切欠きに接している。
【0009】
シールドプレートにもかかわらずアクセス可能な遊び画定要素をコネクタハウジングに設けることにより、好適には、対応コネクタとの差込結合状態で(つまりコネクタと対応コネクタとから成るコネクタシステムが形成されるとき)コネクタハウジングの遊びまたは押付けを、シールドプレートの使用にかかわらず的確に調整しかつ最小化することが可能である。シールドプレートを有するコネクタが使用されると、シールドプレートに設けられた切欠きによりシールドプレートのシールド効果があまり低減されないことが保証される。
【0010】
シールドプレートが組み付けられていなくてもコネクタを使用し、その際にそれにもかかわらず対応コネクタとの差込結合状態で、高められた機械負荷(たとえば振動または温度変動)にも耐えることが可能であることにより、コネクタは、好適にはモジュール式に使用可能なシステムとして特に低コストで簡単に製作することが可能である。もちろん、コネクタは、シールドプレートが組み付けられていても、対応コネクタとの差込結合状態で、規定通りの小さな遊びを有する。
【0011】
たとえばシールドプレートにおける切欠きは、最大10mm2または最大2mm2または最大1mm2または最大0.5mm2または最大0.2mm2の面積を有することが可能である。シールドプレートにおける切欠きは、たとえば長方形または正方形の形状を有することが可能である。切欠きは、シールドプレートにおけるたとえばある種のスリットとして形成することが可能である。切欠きは、導入傾斜部または導入ホッパを有することが可能であり、これによりシールドプレートは、コネクタハウジングに組み付けるとき、たとえばコネクタハウジングに被嵌することが可能であり、その際、切欠きは、簡単に、自動調心式にかつ位置正確に遊び画定要素まわりに設けられる。
【0012】
たとえば遊び画定要素は、ピンとして構成することが可能である。ピンは、たとえば対応コネクタの対応コネクタハウジングの、対応する切欠きまたは溝と協働し、たとえば力接続式にまたは摩擦接続式にそのような切欠きまたは溝の1つに収容することが可能である。対応コネクタの対応コネクタハウジングの(精密に許容される)面との協働も可能である。このようにして、差込結合状態で、コネクタと対応コネクタとの間の軸方向、径方向および周方向の遊びを好適に画定することが可能である。
【0013】
代替的にまたは追加的に、コネクタハウジングにコネクタハウジング切欠きとして遊び画定要素が形成されるとき、この切欠きは、対応する対応コネクタ遊び画定要素、たとえば対応コネクタハウジングから突出するピンと協働することが可能である。
【0014】
原則として、遊び画定要素は、突出部、たとえばピンとしても、コネクタハウジング切欠きとしても構成することが可能であり、この場合、突出部および切欠きは、たとえば周方向に見て相並んで配置されていて、かつシールドプレートにおける同一の切欠きに対応付けられている。したがって対応コネクタハウジングにおける対応する切欠き・突出部・組み合わせにより、差込結合状態で特に安定した確実な遊びの画定をもたらすことが可能である。
【0015】
コネクタハウジングにおける遊び画定要素の的確な位置決めおよび構成(たとえば長さ、幅、厚さ、形状)により、さらに好適には、コネクタと対応コネクタとの誤った差込結合を阻止する、またはコネクタと、このコネクタに対して設けられていない対応コネクタとの差込結合を阻止するポカヨケ手段を実現することが可能である。
【0016】
コネクタが、コネクタハウジングに配置されたシールドされた少なくとも1本の電気ケーブルを有することにより、機械負荷(たとえば振動)に対して特に丈夫でぐらつき接触なく構成された、かつEMCの影響に対して特に良好に防護された、特に高性能のコネクタが提供される。
【0017】
コネクタは、最低100Mbit/sまたは最低1GBit/sまたは最低100GBit/sのデータレートを転送するために使用することに適しているように構成することが可能である。
【0018】
代替的にまたは追加的に、コネクタは、たとえば最小10Aまたは最小50Aまたはそれどころか最小100Aの電流を伝送するための高電流用途で使用することに適しているように構成することが可能である。
【0019】
1改良形態によれば、コネクタハウジングは、外面に、対応コネクタとの差込結合状態で遊びを画定する別の遊び画定要素を有し、シールドプレートは、別の切欠きを有し、別の遊び画定要素は、コネクタハウジングから突出していて、かつシールドプレートの別の切欠きを通って突出している。
【0020】
代替的にまたは追加的に、別の遊び画定要素は、別のコネクタハウジング切欠きとしてコネクタハウジングに形成されていて、かつ別の切欠きに接している。
【0021】
これにより、好適には、遊びの自由度がさらに改善される。というのも2つの遊び画定要素を設けることにより、軸方向まわりの回動としての、つまり周方向での、コネクタと対応コネクタとの間の遊びも特に効果的に画定される。この場合、使用されるコネクタのシールドプレートの有無は重要ではない。というのも遊びが遊び画定要素により調整されるまたは画定されるからである。
【0022】
コネクタハウジングが、プラスチックまたは非導電性のプラスチックから形成されていることにより、コネクタは、特に簡単に低コストで製作することが可能である。
【0023】
たとえばコネクタハウジングは、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのグループから選択されるプラスチックを特に大部分で含んでよい。
【0024】
遊び画定要素が、軸方向に沿って見て、コネクタハウジングの第1の遠端部に配置されており、たとえば別の遊び画定要素も、第1の遠端部に配置することが可能であることにより、好適には、シールドプレートのシールド効果が特に少ししか損なわれない。たとえばこれにより、シールドを対応コネクタの別のシールドにより引き受けて、1つまたは複数の切欠きをカバーすることが可能である。同時に、対応コネクタとの差込結合に際して、コネクタと対応コネクタとが相互に適合しているかどうか直接に触覚に基づき確認することが可能である(ポカヨケ)。
【0025】
別の遊び画定要素が、周方向に見て、遊び画定要素に対して相対的に160°~200°ずらしてコネクタハウジングに配置されていることにより、両方の遊び画定要素が小さな幾何学的な寸法しか有しない場合であっても、好適には、たとえば軸方向まわりのまたは軸方向に対して横向きの回動に対して特に良好な遊びの画定がもたらされる。
【0026】
シールドプレートの切欠きが、遊び画定要素を密接して包囲しており、たとえばシールドプレートの別の切欠きが、別の遊び画定要素を密接して包囲していることにより、シールドプレートのシールド効果が特に少ししか損なわれない。
【0027】
この場合、シールドプレートの切欠きは、遊び画定要素の寸法に対してたとえば最大1mmまたは最大0.5mmまたは最大0.1mmより広く(径方向で)かつ/またはより高く(軸方向で)形成することが可能である。このことは、別の遊び画定要素の寸法に対して相対的な別の切欠きについても同様に当てはまる。
【0028】
シールドプレートが、コネクタと接続可能な対応コネクタの対応コネクタ遊び画定要素を収容するために、第1の遠端部とは反対の側の第2の遠端部に、少なくとも1つの第3の切欠きを有することにより、好適には、特に良好な遊び画定および振動に対する特に高い頑強性がもたらされる。
【0029】
特にこれにより差込結合状態で傾動に対する遊びを好適に低減することが可能である。このことは、シールドプレートが組み付けられていてもシールドプレートが組み付けられていなくても当てはまる。
【0030】
原則として、シールドプレートが、コネクタと接続可能な対応コネクタの別の対応コネクタ遊び画定要素を収容するために、第2の遠端部に第4の切欠きを有することも可能である。第4の切欠きおよび別の遊び画定要素は、周方向に見て、第3の切欠きおよび対応コネクタ遊び画定要素に対してたとえば160°~200°ずらして配置することが可能である。
【0031】
本発明の別の特徴および利点は、専門家には、添付の図面に関連して、発明を限定するものとしては解されない例示的な実施の形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【0033】
図1は、差込み可能なデータ接続ラインを形成する電気コネクタ10を例示している。コネクタ10は、ここでは2極のコネクタハウジング1を有する。コネクタハウジング1は、ここでは、例示したに過ぎないが、略長方形の横断面を有する。しかも円形、楕円形、六角形または別の横断面形状も考えられる。
【0034】
コネクタ10は、ここでは図示されていない対応コネクタと差込結合されるまたは組み付けられてコネクタシステムが形成されるように構成されている。
【0035】
組付け方向に、コネクタ10は、図示されていない対応コネクタと差込結合されてコネクタシステムが形成される。組付け方向は、軸方向Aに延在する矢印で表されている。したがって、対応コネクタは、図面においてコネクタ10の下方に配置されるはずであり、対応コネクタのたとえばピンまたはコンタクトブレードを、下側から(図面において)図示されていないコンタクト開口においてコネクタ10またはコネクタハウジング1に差し込むことが可能である。
【0036】
周方向Uは、軸方向Aまわりに延在する。径方向Rは、軸方向Aに対して横向きに延在する。
【0037】
コネクタハウジング1には、2本の電気ケーブル30が配置されており、電気ケーブル30は、図面においてコネクタハウジング1を起点として上方へ延在する。両方のケーブル30の各々は、たとえば従来慣用の、イーサネットケーブルが接続されたイーサネット・コネクタに認められるように、導電心線31と、絶縁体32と、任意選択的に絶縁体32を包囲する(単心線)シールド33とを有する。描画された図面において、(単心線)シールド33を有するケーブル30が図示されている。シールドは、さらに外側絶縁体34により包囲されている。
【0038】
コネクタ10は、さらシールドプレート2を有し、シールドプレート2は、コネクタハウジング1を、周方向Uで完全に包囲し、つまり周に沿ってまたは環状に包囲する。(単心線)シールド33は、シールドプレート2と導電接続されている(図示されていない)。
【0039】
コネクタハウジング1は、第1の遠端部7(図面において上側)で、外面1aに、対応コネクタ(図示されていない)との差込結合状態で遊びを画定するための遊び画定要素5と別の遊び画定要素6とを有する。両方の遊び画定要素5,6は、ここではピン5aおよび別のピン6aとして構成されている。これらのピン5a,6aは、周方向Uに見てコネクタハウジング1の外面1aに相互に約180°ずらして配置されている。
【0040】
コネクタハウジング1の端面3または外面1aに、シールドプレート2は、第1の遠端部7(図面において上側)で、切欠き4aと別の切欠き4bとを有する。
【0041】
遊び画定要素5および別の遊び画定要素6は、ここではコネクタハウジング1から突出していて、シールドプレート2の切欠き4aまたは別の切欠き4bを通って突出している。
【0042】
切欠き4aおよび別の切欠き4bを通って突出する両方の遊び画定要素5,6は、コネクタハウジング1と対応する対応コネクタハウジング(図示されていない)との間の遊びまたは押付けを、シールドプレート2の存在にかかわらず調整することを可能にする。換言すると、提案されたコネクタ10では、EMCの要求が小さいとき、コネクタハウジング1まわりのシールドプレート2を省くことも可能であり得る。この場合これにより、コネクタの外寸が削減されることになり、これにより遊び画定要素5,6がないと、対応コネクタとの差込結合状態で、場合により大き過ぎる遊びが生じるはずである。しかし図示のコネクタ10は、差込結合状態で常にわずかな遊びしか有さず、したがってモジュール式にシールドプレート2の有無にかかわらず使用することが可能である。
【0043】
この原理に基づき、コネクタハウジング1に、第1の遠端部7から離反する側にある第2の遠端部8にも対応する遊び画定要素を取り付けることが可能であり、これにより、軸方向Aに対して直交方向に、軸方向Aに、かつ周方向Uに遊びまたは押付けが調整される。この場合、全ての遊び画定要素は、コネクタハウジング1から突出してもよく(たとえばピンとして)、かつ/またはコネクタハウジング切欠きとして形成されてもよく、コネクタハウジング切欠きに、対応コネクタハウジングの突出する要素を収容することが可能である。
【0044】
第2の遠端部8で、シールドプレート2に、第3の切欠き4cが形成されており、この第3の切欠き4cの後方に、径方向Rに見て、ここでは第3の遊び画定要素(符号なし)が位置し、第3の遊び画定要素は、コネクタハウジング切欠きとして形成されている。同様に、第2の遠端部8で、シールドプレート2に、第3の切欠き4cに対して周方向Uに見て180°ずらして第4の切欠き4dが配置されている。これに対応して、径方向Rに見てその後方に、第4の遊び画定要素(符号なし)が位置し、第4の遊び画定要素は、コネクタハウジング切欠きとして形成されている。
【0045】
シールドプレート2の切欠き4a,4b,4c,4dは、本実施の形態では、略長方形または正方形に形成されている。切欠き4a,4b,4c,4dは、例示したに過ぎないが、遠端部7,8で、スリットとしてシールドプレート2に加工されている。切欠き4a,4b,4c,4dは、好適にはそれぞれ最大10mm2または最大2mm2、好適には最大1mm2、特に好適には最大0.5mm2またはそれどころか最大0.2mm2の面積を有するので、シールドプレート2のシールド効果は損なわれない。
【0046】
コネクタ10は、たとえば最低100Mbit/s、好適には最低1GBit/s、さらに特に好適には最低100GBit/sのデータレートの支障のない転送に使用することに適しているように構成されている。
【0047】
代替的にまたは追加的に、コネクタ10は、たとえば最小10Aまたは最小50Aまたは最小100Aの電流を伝送するための高電流用途で使用することに適しているように構成されている。そのような用途において、電気ケーブル30の導電心線31は、たとえば最小1mm2または最小10mm2または最小50mm2の横断面を有することが可能である。