(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】高いコモンモード作動電圧と許容差に対処する絶縁型シグナリングおよび隠し絶縁型電力を利用したトランシーバ
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
H04L25/02 303
H04L25/02 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019012971
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2022-01-28
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジョン タンゲ
【審査官】玉田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202904571(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0163247(US,A1)
【文献】特開2007-080288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253227(US,A1)
【文献】特開平08-186562(JP,A)
【文献】特開2010-088112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランシーバシステムであって、
トランシーバ回路と、
前記トランシーバ回路に連結され、前記トランシーバシステムのトランシーバインターフェースと論理インターフェースとの間に絶縁を提供するように構成された絶縁インターフェース回路と、
隠し絶縁型電源電圧ノードおよび隠し絶縁型グランドノードを使用して、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバインターフェース側に電力を供給するように構成された絶縁型電源回路
であって、前記隠し絶縁型電源電圧ノードおよび前記隠し絶縁型グランドノードが、前記トランシーバインターフェースにピン配列されていない、絶縁型電源回路と、
前記トランシーバインターフェースと前記論理インターフェースとの間の絶縁障壁であって、前記トランシーバシステム
の露出したグランドノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、絶縁障壁と、
を備える、トランシーバシステム。
【請求項2】
前記トランシーバシステム
の露出した電源電圧ノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が、前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項3】
前記トランシーバ回路が、前記絶縁型電源回路の隠し絶縁型グランドによって回路グランドに接続されている、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項4】
前記トランシーバシステムが、集積回路に含まれ、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバ側の前記絶縁型電源電圧ノードおよび
前記隠し絶縁型グランドノード
は、
前記集積回路
の入出力(I/O)コンタクトパッドへの
ピン配列がなされない、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項5】
前記トランシーバシステムが、電子パッケージに含まれ、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバ側の前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードは前記電子パッケージの外部接点への電気的接続を除外する、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項6】
前記トランシーバインターフェースに連結され、前記論理インターフェースを介して受信された制御信号を使用して前記トランシーバインターフェースの2つの端子間の終端インピーダンスを調整するように構成された選択可能な終端回路をさらに備える、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項7】
前記選択可能な終端回路が、前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードのうちの一方に対する信号電圧に基づいて前記終端インピーダンスを調整する、請求項
6に記載のトランシーバシステム。
【請求項8】
前記トランシーバインターフェースが、バスインターフェースであり、前記トランシーバ回路が、一定方向のシグナリングを用いて前記バスへの受信機または送信機インターフェースとして動作可能である、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項9】
前記絶縁障壁が、ガルバニック絶縁障壁を含む、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項10】
前記絶縁障壁が、非ガルバニック絶縁障壁を含む、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項11】
前記絶縁障壁が、容量性絶縁障壁を含む、請求項1に記載のトランシーバシステム。
【請求項12】
前記トランシーバインターフェースの外部接続が、前記論理インターフェースに対
して600ボル
トの電圧差
に定格
されている、請求項1から
11のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
【請求項13】
トランシーバシステムであって、
トランシーバ回路と、
前記トランシーバ回路に連結され、前記トランシーバシステムのトランシーバインターフェースと論理インターフェースとの間に絶縁を提供するように構成された絶縁インターフェース回路と、
隠し絶縁型電源電圧ノードおよび隠し絶縁型グランドノードを使用して、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバインターフェース側に電力を供給するように構成された絶縁型電源回路であって、
前記隠し絶縁型電源電圧ノードおよび前記隠し絶縁型グランドノードは、ピン配列されておらず、絶縁型電源に関連づけられた絶縁型グランドノードが、前記論理インターフェースに関連づけられたグランドノードから絶縁されている、絶縁型電源回路と、
を備える、トランシーバシステム。
【請求項14】
前記トランシーバシステムが、電子パッケージに含まれ、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバ側の前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードは前記電子パッケージの外部接点への電気的接続を除外する、請求項
13に記載のトランシーバシステム。
【請求項15】
差動バスインターフェースであって、
第1のバスラインおよび第2のバスラインと、
前記第1および第2のバスラインのそれぞれの第1の端部に動作可能に連結された第1のトランシーバシステム、ならびに前記第1および第2のバスラインの第2の端部に動作可能に連結された第2のトランシーバシステムと、を備え、前記第1および第2のトランシーバシステムはそれぞれ、
トランシーバ回路と、
前記トランシーバ回路に連結され、各トランシーバシステムのトランシーバインターフェースと論理インターフェースとの間に絶縁を提供するように構成された絶縁インターフェース回路と、
隠し絶縁型電源電圧ノードおよび隠し絶縁型グランドノードを使用して、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバインターフェース側に電力を供給するように構成された絶縁型電源回路
であって、前記隠し絶縁型電源電圧ノードおよび前記隠し絶縁型グランドノードは、ピン配列されていない、絶縁型電源回路と
を含む、差動バスインターフェース。
【請求項16】
前記トランシーバインターフェースと前記論理インターフェースとの間に絶縁障壁を含み、前記トランシーバシステム
の露出したグランドノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、請求項
15に記載の差動バスインターフェース。
【請求項17】
前記トランシーバシステム
の露出した電源電圧ノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が、前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、請求項
16に記載の差動バスインターフェース。
【請求項18】
前記第1のバスラインおよび前記第2のバスラインが差動バスライン対であり、前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードが、前記トランシーバインターフェースから前記差動バスライン対へと隠されている、請求項
16に記載の差動バスインターフェース。
【請求項19】
各トランシーバシステムが、集積回路に含まれ、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバ側の前記絶縁型電源電圧ノードおよび
前記隠し絶縁型グランドノード
は、
前記集積回路
の入出力(I/O)コンタクトパッドへの
ピン配列がなされない、請求項
16から
18のいずれか一項に記載の差動バスインターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に電気回路に関し、より詳細には、高いコモンモード作動電圧および許容範囲を達成するために絶縁型シグナリングおよび隠し絶縁型電力を利用するトランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ライントランシーバは、多地点バス伝送ライン高速データ通信のために動作可能である。RS485タイプのインターフェースを含むトランシーバなどの従来のライントランシーバは、指定された入力信号範囲を処理するように設計されているが、電源およびグランド接続に対するバスライン上の電圧を有効にして許容する能力は限られている。例えば、グランド電位はノードごとに大きく異なり、多くの場合、指定された入力信号範囲を超える。その結果、通信が中断されたり、グランドループを流れる大電流が流れ、またはより悪いことに、トランシーバが破壊されたりする可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
絶縁境界によって設定されたコモンモード作動範囲および出力電圧の許容差を可能とし、回路で使用されるデバイスの種類によって制限されないトランシーバ。本主題の技術は、絶縁されて生成された電源ノードおよびグランドノードが隠されているため、ESD/過電流ストレス(EOS)や電圧許容差を重視する試験には関与しない、電力源付き絶縁型トランシーバである。本主題の技術のアーキテクチャは、極めて高いコモンモード性能、ならびに低電圧デバイスおよび単純化されたアーキテクチャを使用した堅牢な性能という利点を有し、その結果、容量性負荷が少なくなり、動作が速くなり、ダイ開発がより安価になり、電磁干渉(EMJ)への利点があり、単純なアクティブ終端が可能になる。本主題の技術は、絶縁が使用される環境で使用できる絶縁アーキテクチャを含むが、絶縁を必要としないシステムでも有利である。
【0004】
本開示の実施形態によれば、トランシーバシステムは、トランシーバ回路と、トランシーバ回路に連結され、トランシーバインターフェースと論理インターフェースとの間に絶縁を提供するように構成された絶縁インターフェース回路とを含む。トランシーバシステムはまた、隠し絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードを用いて絶縁インターフェース回路のトランシーバ側に電力を供給するように構成された絶縁型電源を含む。いくつかの態様では、トランシーバインターフェースは、論理インターフェースにおける電圧に対する、絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードのうちの一方に対するコモンモード電圧を有する。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
トランシーバシステムであって、
トランシーバ回路と、
前記トランシーバ回路に連結され、前記トランシーバシステムのトランシーバインターフェースと論理インターフェースとの間に絶縁を提供するように構成された絶縁インターフェース回路と、
隠し絶縁型電源電圧ノードおよび隠し絶縁型グランドノードを使用して、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバインターフェース側に電力を供給するように構成された絶縁型電源回路と、を備える、トランシーバシステム。
(項目2)
前記トランシーバインターフェースと前記論理インターフェースとの間に絶縁障壁を含み、前記トランシーバシステムの任意の露出したグランドノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、上記項目に記載のトランシーバシステム。
(項目3)
前記トランシーバシステムの任意の露出した電源電圧ノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が、前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目4)
前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードが、前記トランシーバインターフェースから隠されている、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目5)
前記トランシーバ回路が、前記絶縁型電源の隠し絶縁型グランドによって回路グランドに接続されている、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目6)
前記トランシーバシステムが、集積回路に含まれ、前記絶縁インターフェース回路の前記トランシーバ側の前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードが、集積回路入出力(I/O)コンタクトパッドへの電気的接続を除外する、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目7)
前記トランシーバシステムが、電子パッケージに含まれ、前記絶縁インターフェース回路の前記トランシーバ側の前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードは前記電子パッケージの外部接点への電気的接続を除外する、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目8)
前記トランシーバインターフェースに連結され、前記論理インターフェースを介して受信された制御信号を使用して前記トランシーバインターフェースの2つの端子間の終端インピーダンスを調整するように構成された選択可能な終端回路をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目9)
前記選択可能な終端回路が、前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードのうちの一方に対する信号電圧に基づいて前記終端インピーダンスを調整する、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目10)
前記トランシーバインターフェースが、バスインターフェースであり、前記トランシーバ回路が、一定方向のシグナリングを用いて前記バスへの受信機または送信機インターフェースとして動作可能である、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目11)
前記絶縁障壁が、ガルバニック絶縁障壁を含む、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目12)
前記絶縁障壁が、非ガルバニック絶縁障壁を含む、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目13)
前記絶縁障壁が、容量性絶縁障壁を含む、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目14)
前記絶縁型電源に関連づけられた絶縁型グランドノードが、前記論理インターフェースに関連づけられたグランドノードから絶縁されている、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目15)
前記トランシーバインターフェースの外部接続が、前記論理インターフェースに対する500ボルト以上の電圧差に対して定格が定められている、上記項目のいずれか一項に記載のトランシーバシステム。
(項目16)
差動バスインターフェースであって、
第1のバスラインおよび第2のバスラインと、
前記第1および第2のバスラインのそれぞれの第1の端部に動作可能に連結された第1のトランシーバシステム、ならびに前記第1および第2のバスラインの第2の端部に動作可能に連結された第2のトランシーバシステムと、を備え、前記第1および第2のトランシーバシステムはそれぞれ、
トランシーバ回路と、
前記トランシーバ回路に連結され、各トランシーバシステムのトランシーバインターフェースと論理インターフェースとの間に絶縁を提供するように構成された絶縁インターフェース回路と、
隠し絶縁型電源電圧ノードおよび隠し絶縁型グランドノードを使用して、前記絶縁インターフェース回路のトランシーバインターフェース側に電力を供給するように構成された絶縁型電源回路とを、含む、差動バスインターフェース。
(項目17)
前記トランシーバインターフェースと前記論理インターフェースとの間に絶縁障壁を含み、前記トランシーバシステムの任意の露出したグランドノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、上記項目のいずれか一項に記載の差動バスインターフェース。
(項目18)
前記トランシーバシステムの任意の露出した電源電圧ノードに対する前記トランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧が、前記絶縁障壁を越えて取り込まれる、上記項目のいずれか一項に記載の差動バスインターフェース。
(項目19)
前記第1のバスラインおよび前記第2のバスラインが差動バスライン対であり、前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードが、前記トランシーバインターフェースから前記差動バスライン対へと隠されている、上記項目のいずれか一項に記載の差動バスインターフェース。
(項目20)
各トランシーバシステムが、集積回路に含まれ、前記絶縁インターフェース回路の前記トランシーバ側の前記絶縁型電源電圧ノードおよびグランドノードが、集積回路入出力(I/O)コンタクトパッドへの電気的接続を排除する、上記項目のいずれか一項に記載の差動バスインターフェース。
(摘要)
絶縁境界によって設定されたコモンモード作動範囲および出力電圧の許容差を可能とし、回路で使用されるデバイスの種類によって制限されないトランシーバ。本主題の技術は、絶縁されて生成された電源ノードおよびグランドノードが隠されているため、静電気放電(ESD)/過電流ストレス(EOS)または電圧許容差を重視する試験には関与しない、電力源付き絶縁型トランシーバである。本主題の技術のアーキテクチャは、極めて高いコモンモード性能、ならびに低電圧デバイスおよび単純化されたアーキテクチャを使用した堅牢な性能という利点を有し、その結果、容量性負荷が少なくなり、動作が速くなり、ダイ開発がより安価になり、電磁干渉(EMI)への利点があり、単純なアクティブ終端が可能になる。本主題の技術は、絶縁が使用される環境で使用できる絶縁アーキテクチャを含むが、絶縁を必要としないシステムでも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本主題の技術の特定の特徴は添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、説明の目的のために、本主題の技術のいくつかの実施形態を以下の図に記載する。
【0006】
【
図1】
図1は、トランシーバのグランドノード間にコモンモード電圧が印加された状態で伝送ラインを介して互いに接続された非絶縁型トランシーバを有するネットワーク環境の概略図を図示する。
【0007】
【
図2A】
図2Aは、電源電圧よりも大きくかつグランド電圧よりも小さい出力電圧を許容する従来の送信機出力アーキテクチャの一例の概略図を図示する。
【0008】
【
図2B】
図2Bは、電源電圧よりも大きくかつグランド電圧よりも小さい入力電圧を許容する従来の送信機出力アーキテクチャの別の例の概略図を図示する。
【0009】
【
図2C】
図2Cは、従来の受信機アーキテクチャの一例の概略図を図示する。
【0010】
【
図3】
図3は、本主題の技術の1つ以上の実施形態による絶縁型トランシーバアーキテクチャの一例の概略図を図示する。
【0011】
【
図4】
図4は、絶縁型トランシーバの一例の概略図を図示する。選択可能な終端回路を有するアーキテクチャは、本主題の技術の1つ以上の実施形態に従う。
【0012】
【
図5A】
図5Aは、本主題の技術の1つ以上の実施形態による、絶縁型トランシーバアーキテクチャのための送信機アーキテクチャの一例の概略図を図示する。
【0013】
【
図5B】
図5Bは、本主題の技術の1つ以上の実施形態による、絶縁型トランシーバアーキテクチャのための受信機アーキテクチャの一例の概略図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に記載される詳細な説明は、本主題の技術の様々な構成の説明として意図されており、本主題の技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図されていない。添付の図面は本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明は、本主題の技術の完全な理解を提供する目的のための特定の詳細を含む。しかしながら、本主題の技術は、本明細書に記載された特定の詳細に限定されず、そして1つ以上の実施形態を用いて実施され得る1つ以上の例では、本主題の技術の概念を曖昧にすることを回避するために、構造および構成要素がブロック図形式で示される。
【0015】
本主題の開示は、バス上で信号を駆動および受信するために単純な低電圧デバイスを使用して、絶縁境界によって設定されたコモンモード作動範囲および出力電圧の許容差を可能とするトランシーバを提供する。本主題の開示は、絶縁されて生成された電源ノードおよびグランドノードが隠されており、したがってESD/EOSまたは電圧許容差を重視する試験に関与していない、電力源付き絶縁型トランシーバに関する。
【0016】
絶縁型トランシーバの様々なアーキテクチャは、絶縁型電源(例えば、VCC)およびグランド(例えば、GND)ピンを有する。いくつかの手法では、絶縁側に電力を供給し、デカップリングコンデンサを含むために絶縁型電源ピンおよびグランドピンが必要とされる。他の手法では、デカップリングコンデンサを追加するために、絶縁型電源ピンおよびグランドピンが取り出される。さらに別の手法では、追加のデバイスに電力を供給するか、またはデカップリング容量を追加するために使用できるように絶縁型電源ピンを追加する。しかしながら、本主題の技術は、絶縁型電源およびグランドが隠されている、高い作動電圧を有する堅牢な絶縁型トランシーバを提供する。
【0017】
本主題の開示は、低電圧デバイスの使用に伴う利点を提供する。例えば、ドライバ出力デバイスおよびESDセルは低電圧である。これにより、サイズが小さくなり、堅牢に設計することがはるかに容易になる。ドライバ出力デバイスは、容量が少なくても可能である。相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を含む標準的なプロセスを使用することができる。本主題の開示は、追加の設計速度を提供することで利点を提供する。例えば、低電圧デバイスを使用し、抵抗分割器を使用しないと、高速動作が可能となる。80Vの高電圧(HY)デバイスを使用して規格準拠のトランシーバ(例えば、150MbpsのRS485トランシーバ)を作ることは難しい場合があるが、これは本主題の技術を使用して達成することができる。本主題の開示は、単純化された設計と共に利点を提供する。例えば、ドライバは、ウェルスイッチングも、絶縁ダイオードも、抵抗分割器も必要としない。ドライバと受信機の両方がより速い性能を可能にし、受信機はより多くの信号対ノイズマージンを持っている本主題の開示はまた、サイズおよびコストの削減という利点をもたらす。例えば、本主題の技術は、サイズを縮小し、より安価な製造プロセスを可能にする低電圧(LV)デバイスを有する単純化されたアーキテクチャを提供する。デバイスが既に絶縁を使用している場合、本主題の技術のアーキテクチャは標準的な絶縁製品よりも安価になり得る。
【0018】
本主題の開示はまた、電磁干渉保護に関する利点を提供する。例えば、ノード間にコモンモード差がある標準的なトランシーバ(例えばRS485またはCAN)は、バスコモンモードがそれを駆動しているデバイス(送信機)によって制御されるという不利な点を有する。したがって、半二重通信では、方向が変わるたびにバス内でコモンモードが大きく変化し、それによって放射EMIが大きくなる可能性がある。バスのコモンモード電圧は、本主題のトランシーバの外部のバス上のインピーダンスによって決まるので、これは本主題の技術の場合には当てはまらない。ノード間のコモンモードの差は、伝送方向が変更されたときに伝送ケーブルに与えられるのではなく、絶縁障壁によって吸収される。伝送ケーブルのコモンモード電圧は大きく変動しないため、これによってEMI放射が最小限に抑えられる。
【0019】
図1は、差動伝送ラインと共に接続された非絶縁型トランシーバ(例えば102、104)を有するネットワーク環境100の概略図を図示する。トランシーバの2つのグランドノード間(例えば、106、108)に電圧VCMが印加され、AピンおよびBピンにおける2つのトランシーバ(例えば、それぞれ102、104)の信号ライン間のコモンモード電圧シフトを表す。RS485トランシーバおよびコントロールエリアネットワーク(CAN)トランシーバなどの、特殊な高耐圧トランシーバの中には、堅牢性の他の主張の中で、グランドに対するそれらのバスピン上の最大60Vの電圧、および25kVを超える非常に高いESDレベルを許容できるものがある。いくつかの態様では、バスピンを介して互いに接続された複数のデバイスは、最大でいくつかのコモンモード電圧仕様のグランド電位差を許容するだけでなく、それで動作し得る。例えば、RS485タイプのトランシーバは通常、限られた量のコモンモード電圧でしか動作できない。RS485仕様(例えば、TIA/EJA-485-A)によれば、このコモンモード電圧(VCM)は、-7~+12Vの範囲内にある。いくつかの堅牢なHY耐性RS485タイプの設計では、この範囲は35Vまで拡張できる。
図3を参照して説明されるように、本主題の技術の絶縁はVCMを数百または数千ボルトに押し上げることができる。
【0020】
図2A~2Cは、通常RS485タイプまたはCANトランシーバに見られる、電源電圧およびグランド電圧を超えて広がる電圧範囲を処理するために通常使用される送信機および受信機アーキテクチャを描写している。
図2Aは、従来の送信機出力アーキテクチャ200の一例の概略図を図示する。
図2Bは、従来の送信機出力アーキテクチャ210の他の例の概略図を図示する。
図2Cは、従来の受信機アーキテクチャ220の一例の概略図を図示する。
【0021】
例えば、
図2Aおよび
図2Bは、バス電圧がウェルをグランドまたは電源の下にまで広げることを可能にするために使用される2つの典型的な送信機出力アーキテクチャ(例えば200、210)描写する。送信機デバイス(例えば、200、210)は、バスの出力電圧許容差(例えば、60V)に適合する高電圧(HV)動作が可能である。
図2Cは、比較器(例えば226)に入る前にコモンモード電圧を分割するために大きな抵抗分割器(例えば222、224)を使用する典型的な受信機アーキテクチャ220を描写する。
【0022】
実際には、これらのアーキテクチャ上の選択は、デバイスの電圧許容差を所与の技術における最高電圧のデバイスタイプ、例えば、約60Vに制限する。この電圧が増加すると、デバイスのサイズが増加し、したがって性能が制限される。
【0023】
図3は、本主題の技術の1つ以上の実施形態による絶縁型トランシーバアーキテクチャ300の一例の概略図を図示する。しかしながら、示された構成要素のすべてが使用されるわけではなく、1つ以上の実施形態は図に描かれていない追加の構成要素を含んでもよい。本明細書に記載の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、構成要素の配置および種類を変更することができる。追加の構成要素、異なる構成要素、またはより少ない構成要素を提供することができる。
【0024】
絶縁型トランシーバアーキテクチャ300は、トランシーバインターフェース302上で信号を駆動し受信するように構成されたトランシーバ回路306を含む。絶縁型トランシーバアーキテクチャ300は、トランシーバ回路306に連結され、トランシーバ回路306を論理インターフェース304から絶縁するように構成された絶縁インターフェース回路318も含む。絶縁インターフェース回路318は、絶縁障壁308によって提供される絶縁を含み、それは、トランシーバ回路306と論理インターフェース304との間の高い絶縁電圧差を可能にする。絶縁障壁308を横切る電圧差は、トランシーバシステムの露出したグランドノードに対するトランシーバインターフェースにおけるコモンモード電圧を実質的に含む。絶縁型グランドは、論理インターフェース304に関連づけられたグランドノード(例えば、314)とは異なり得る。絶縁インターフェース回路308は、いくつかの実施形態ではガルバニックであり得るか、または他の実施形態では非ガルバニックであり得る。
【0025】
絶縁型トランシーバ306(例えば、RS485トランシーバ)は、絶縁側に絶縁型電力(例えば、310)を提供される。例えば、トランシーバ回路用の電力は、絶縁型電源回路316によって生成することができる。絶縁型電源回路の例としては、絶縁型電源チャージポンプや絶縁用のトランスを備えた電力コンバータがある。絶縁型電源ピン(例えば、310、312)は隠されている(例えば、トランシーバインターフェース302にピン配列されていない)。例えば、絶縁型電源電圧310および絶縁型グランド312は、トランシーバインターフェース302にピン配列されていない。これにより、(
図1に示すように)非絶縁型トランシーバの標準ピン配列が得られる。したがって、トランシーバインターフェース302におけるコモンモード電圧は、論理インターフェース304上の露出したグランドピン314に対して定義される。このように、絶縁障壁308の高い絶縁電圧能力は、絶縁電圧定格に実質的に等しい高いコモンモード電圧を可能にする。トランシーバインターフェース302で使用されるデバイスは、標準の低電圧デバイスであり得る。なぜなら、ESD、およびAまたはBから他のピンへの過電流ストレス(EOS)は、トランシーバインターフェース302と絶縁型電源306または絶縁型グランド312接続との間に接続されたデバイスによってではなく、絶縁障壁308によって吸収されるからである。いくつかの態様では、絶縁障壁308は、とりわけ、容量絶縁、誘導絶縁、光絶縁を含む。
【0026】
本主題の開示のアーキテクチャはまた、バス上の一定方向のシグナリングおよび複数のバスにも拡張可能である。例えば、絶縁型トランシーバ306は、トランシーバインターフェース302を介してバス上に一定方向のシグナリングを有する受信機または送信機として動作可能であり得る。電気的ファストトランジェント(EFT)などのほとんどのEOS試験は信号として適用されるため、これまでに提示されたアーキテクチャは、
図5Aに示されるように低電圧ドライバアーキテクチャが使用される場合、差動トランシーバ内の1つのバスラインから別のバスラインへの大きな電圧を許容しない。しかしながら、高いライン間電圧許容差が採用されている場合は、絶縁型電源(例えば、310)およびグランド(例えば、312)が隠されている絶縁型アーキテクチャ(例えば、
図3)と共に内部高電圧デバイスアーキテクチャ(
図2Aおよび
図2Bにおけるような)を使用することができる。これは既存のトポロジーに比べて大きな利点を提供する。例えば、従来のRS485タイプのトランシーバは、グランドに対するバスピン上の最大約±60Vの電圧を許容することができる(例えば、106、108)。例えば、
図3のトランシーバ(例えば、300)は、非絶縁型トランシーバ(例えば、102)と同じピン配列を有することができ、それでもなお、トランシーバインターフェース302のピンは、絶縁インターフェース回路308の作動電圧に等しい最大電圧(例えば、+/-600V超)に定格され得る。このデバイスは、トランシーバインターフェース302と論理インターフェース304との間にこのような高電圧が存在しても許容し、さらには動作することさえできる。
【0027】
図4は、本主題の技術の1つ以上の実施態様による選択可能な終端回路を有する絶縁型トランシーバアーキテクチャ400の一例の概略図を図示する。しかしながら、示された構成要素のすべてが使用されるわけではなく、1つ以上の実施形態は図に描かれていない追加の構成要素を含んでもよい。本明細書に記載の特許請求の範囲から逸脱することなく、構成要素の配置および種類を変更することができる。追加の構成要素、異なる構成要素、またはより少ない構成要素を提供することができる。
【0028】
全コモンモード範囲にわたる選択可能な終端を
図3の絶縁型アーキテクチャに追加することができる。例えば、
図4は、バスラインにするために使用される能動終端スイッチ(例えば402)を用いて拡張された
図3に示されるアーキテクチャを描写する。このことは、コモンモード電圧範囲全体にわたって、設定どおりに終端がオンまたはオフのままになるように指定されている標準トランシーバ部品では困難であった。これを行うために使用されるアーキテクチャは複雑かつ大きくなる可能性があり、通常は高電圧チャージポンプおよび高電圧(および非常に抵抗が大きく高価な)FETスイッチを伴う。本主題の技術のアーキテクチャでは、スイッチは、コモンモードバス電圧と共に移動する絶縁型グランド(例えば、312)に対してオンまたはオフに留まるだけでよいため、低電圧かつ単純にすることができる。
【0029】
図5Aは、本主題の技術の1つ以上の実施形態による、絶縁型トランシーバアーキテクチャのための送信機アーキテクチャ500の一例の概略図を図示する。
図5Bは、本主題の技術の1つ以上の実施形態による、絶縁型トランシーバアーキテクチャ550の受信機アーキテクチャの一例の概略図を図示する。しかしながら、描かれた構成要素のすべてが使用されるわけではなく、1つ以上の実施形態は図に示されていない追加の構成要素を含んでもよい。本明細書に記載の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、構成要素の配置および種類を変更することができる。追加の構成要素、異なる構成要素、またはより少ない構成要素を提供することができる。
【0030】
図5Aおよび
図5Bは、ドライバおよび受信機のアーキテクチャが、
図2A~
図2Cに示されるものと比較して単純化され得ることを示す。
図5Aは、低電圧設計を使用し、非常に単純にすることができる送信機アーキテクチャ500を描写する。例えば、ドライバは標準的なCMOSプロセスにおいて低電圧デバイスを使用することができる。
図5Bは、入力抵抗分割器(例えば222、224)を排除することができ、または分割器比を大幅に低減することができる受信機アーキテクチャ550を描写する。例えば、受信機は入力で抵抗分割器を排除することができ、より高い信号対雑音比およびより速い性能を提供する。いくつかの態様では、ESDセルは、それらの局所的なグランドに対して大きな電圧に耐える必要がないので、低電圧である。
【0031】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されている。これらの態様に対する様々な修正は当業者には容易に明らかとなり、ここに定義された一般的な原理は他の態様に適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された態様に限定されることを意図するものではなく、言語の特許請求の範囲と一致する全範囲を認められるべきであり、単数形の要素への言及は、特に明記しない限り「唯一の」を意味するのではなく、むしろ「1つ以上の」を意味する。特に明記しない限り、用語「いくつか」は1つ以上を指す。男性語の代名詞(例えば、彼の)は、女性語および中性語(例えば、彼女およびその)を含み、逆もまた同様である。見出しおよび小見出しがある場合、それは便宜上のためにのみ使用されており、本主題の開示を限定するものではない。
【0032】
「に構成された」、「に動作可能」、および「にプログラムされた」という述語の単語は、対象の特定の有形または無形の修正を意味するのではなく、むしろ交換可能に使用されることを意図している。例えば、動作または構成要素を監視および制御するように構成されたプロセッサはまた、動作を監視および制御するようにプログラムされているプロセッサ、または動作を監視および制御するように動作可能であるプロセッサを意味し得る。同様に、コードを実行するように構成されたプロセッサは、コードを実行するようにプログラムされた、またはコードを実行するように動作可能なプロセッサとして解釈することができる。
【0033】
「態様」のような語句は、そのような態様が本主題の技術に不可欠であること、またはそのような態様が本主題の技術のすべての構成に適用されることを意味しない。一態様に関する開示は、すべての構成、または1つ以上の構成に適用することができる。一態様などの語句は、1つ以上の態様を指すことがあり、逆もまた同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が本主題の技術に不可欠であること、またはそのような構成が本主題の技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。構成に関する開示は、すべての構成、または1つ以上の構成に適用され得る。構成などの語句は、1つ以上の構成を指すことがあり、逆もまた同様である。
【0034】
「例」という用語は、本明細書では「例または実例として機能を果たすこと」を意味するために使用される。「例」として本明細書に記載されたいかなる態様または設計も、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。
【0035】
当業者に知られているかまたは後で知られるようになる、本開示を通して記載されている様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲に包有されるものとする。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げることを意図していない。請求項の要素はどれも、要素が「のための手段」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、もしくは方法の請求項の場合、要素が「のためのステップ」という語句を使用して記載されない限り、米国特許法112条第6段落の規定の下、解釈されるべきでない。さらに、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が明細書または特許請求の範囲で使用される限りにおいて、そのような用語は、特許請求の範囲において遷移性の語として用いられる場合に解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図される。