(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20230627BHJP
B65D 5/10 20060101ALI20230627BHJP
B65D 5/43 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
B65D5/10 K
B65D5/43
(21)【出願番号】P 2019103855
(22)【出願日】2019-06-03
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】高比良 仁司
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-124638(JP,A)
【文献】米国特許第05236122(US,A)
【文献】米国特許第02481288(US,A)
【文献】特開2019-006447(JP,A)
【文献】特開2018-065580(JP,A)
【文献】特開2012-020755(JP,A)
【文献】特開2018-058615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/10
B65D 5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で、軸方向の一方側の端に開口が画定され
た周壁と、
前記開口を塞ぐ蓋と、
前記周壁に対する閉状態に前記蓋をロックするロック部及びロック片と
を備え、
前記ロック部は、
第1方向へ貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の縁から前記第1方向と交差する第2方向へ延在するスリットと、
前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において前記スリットの一側に隣り合う第1壁部と、
前記第3方向において前記スリットの他側に隣り合う第2壁部と
を有し、
前記ロック片は、
前記貫通孔を貫通して前記周壁の内側に配置された差込部を有する本体と、
前記第2方向において前記スリットが延在する向きへ前記差込部から突出し、前記スリットを通して前記周壁の内側に配置されて、前記第1壁部又は前記第2壁部に係止する係止部と
を有
し、
前記ロック部は、前記貫通孔の縁から前記第3方向へ突出し、前記貫通孔を貫通した前記差込部を付勢する付勢片を更に有する、包装箱。
【請求項2】
前記周壁及び前記蓋のうちの一方に第1折曲部を介して連設され、前記周壁及び前記蓋のうちの他方の内側に重ねて配置された重畳片を備え、
前記ロック部は前記重畳片に設けられ、前記ロック片は前記周壁及び前記蓋のうちの前記他方に設けられている、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記ロック部を含む前記重畳片は前記蓋に連設され、
前記ロック片は前記重畳片が内側に配置される前記周壁の第1部分に設けられている、請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記蓋は、前記周壁の前記第1部分以外の第2部分の前記一方側の端に第2折曲部を介して連設されている、請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記スリットは、前記周壁及び前記蓋のうちの前記他方によって塞がれている、請求項2から4のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記付勢片は、前記第2方向において前記第1壁部と隣り合う第1部分と、前記第2方向において前記第2壁部と隣り合う第2部分とを有する、請求項
1から5のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記付勢片は、前記貫通孔の縁において前記蓋側に位置する部分に設けられている、請求項3
又は4に記載の包装箱。
【請求項8】
前記ロック部は、前記貫通孔の縁において前記付勢片とは反対側に位置する部分に設けられ、前記付勢片の方に突出する突出片を有し、
前記付勢片側に位置する前記突出片の先端は、前記スリットに対して前記付勢片の先端側に位置する、請求項
1から
7のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項9】
前記本体は、前記第2方向に間隔をあけて配置されて前記第3方向へそれぞれ延びる一対のスリットによって区画された可動部を有し、
前記差込部は前記可動部の先端に設けられている、請求項1から
8のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-245940号公報(特許文献1)に開示されているように、従来の包装箱としては、紙製の段ボールで形成されたものがある。この包装箱は、一対の側板と、両側板の前端部に連設された前板と、両側板の後端部に連設された後板と、後板の上端部に回動可能に連設された蓋とを備えている。この蓋は、両側板、前板及び後板の各上端部で画定された周壁の開口を塞ぐ。
【0003】
前板の上端部には、平板形状の係止片が連設されている。係止片は、係止片本体及び係止部から構成されている。係止部は、係止片本体において周壁内に差し込まれた差込部の両側端に折曲線を介して連設されている。
【0004】
蓋の差込部側(後板とは反対側の端部)には、挿入片が連設されている。挿入片には、貫通孔が設けられている。この貫通孔には、係止片本体が貫通される。また、貫通孔の左右方向の寸法(長さ)は、係止片本体の差込部の左右方向の寸法(幅)と一致している。
【0005】
このような構成の包装箱を封緘する場合、まず、挿入片が前板の上端部に近づくように蓋を回動させて、蓋を閉じる。このとき、前板の上端部の内側に、挿入片を挿入する。そして、係止部を折曲線に沿って折り曲げて、係止片本体の差込部と係止部とを挿入片の貫通孔から挿入片の内側へ差し込む。これにより、係止部が元の状態に復帰する向きに回動して挿入片の内側に係止して、蓋がロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の包装箱には、係止片本体の差込部と係止部とが挿入片の貫通孔を通過できるように、係止部を折り曲げなければならないので、封緘作業に手間がかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、封緘作業の手間を減らすことができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、筒状で、軸方向の一方側の端に開口が画定された周壁と、前記開口を塞ぐ蓋と、前記周壁に対する閉状態に前記蓋をロックするロック部及びロック片とを備え、前記ロック部は、第1方向へ貫通する貫通孔と、前記貫通孔の縁から前記第1方向と交差する第2方向へ延在するスリットと、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において前記スリットの一側に隣り合う第1壁部と、前記第3方向において前記スリットの他側に隣り合う第2壁部とを有し、前記ロック片は、前記貫通孔を貫通して前記周壁の内側に配置された差込部を有する本体と、前記第2方向において前記スリットが延在する向きへ前記差込部から突出し、前記スリットを通して前記周壁の内側に配置されて、前記第1壁部又は前記第2壁部に係止する係止部とを有し、前記ロック部は、前記貫通孔の縁から前記第3方向へ突出し、前記貫通孔を貫通した前記差込部を付勢する付勢片を更に有する、包装箱を提供する。
【0010】
この包装箱を封緘する場合、まず、周壁の軸方向の一方側の端部に設けられた開口を、蓋で閉塞する。引き続き、ロック片の差込部を、外側からロック部の貫通孔を通して周壁の内側へ差し込む。このとき、ロック片の係止部を、周壁の外側からロック部のスリットを通して周壁の内部に差し込む。これにより、周壁の内側において、ロック片の係止部がロック部の第1壁部又は第2壁部に対向する。その結果、ロック片を貫通孔から周壁の外側へ引き抜こうとしても、ロック片の係止部がロック部の第1壁部又は第2壁部に係止するので、第1壁部又は第2壁部を破かなければ、ロック片の係止部を周壁の外側に出せなくなる。すなわち、蓋がロック片の係止部でロックされる。
【0011】
スリットは貫通孔の縁から延在するので、ロック片の差込部と係止部を周壁の内側へ差し込むとき、係止部を折り曲げなくて済む。よって、包装箱の封緘作業の手間を減らすことができる。また、ロック状態で貫通孔からロック片を無理に引き抜くと、ロック部の第1壁部又は第2壁部が破けるため、第三者による不正な開封の有無を容易に判断できる。しかも、ロック部が貫通孔を貫通した差込部を付勢する付勢片を有するため、ロック片の係止部が周壁の内側に差し込まれると、ロック部のスリットに対向する位置からロック片の係止部が移動する。よって、ロック部の第1壁部又は第2壁部にロック片の係止部を確実に対向させることができる。
【0012】
前記周壁及び前記蓋のうちの一方に第1折曲部を介して連設され、前記周壁及び前記蓋のうちの他方の内側に重ねて配置された重畳片を備え、前記ロック部は前記重畳片に設けられ、前記ロック片は前記周壁及び前記蓋のうちの前記他方に設けられている。具体的には、前記ロック部を含む前記重畳片は前記蓋に連設され、前記ロック片は前記重畳片が内側に配置される前記周壁の第1部分に設けられている。また、前記蓋は、前記周壁の前記第1部分以外の第2部分の前記一方側の端に第2折曲部を介して連設されている。
【0013】
これらの構成によれば、ロック部にロック片を差し込むことで、周壁に対して閉状体に蓋を確実にロックできるうえ、不正な開封によって第1壁部又は第2壁部を確実に破断できる。
【0014】
前記スリットは、前記周壁及び前記蓋のうちの前記他方によって塞がれている。
【0015】
この構成によれば、蓋を開く向きに操作しなければ、スリットを通して係止部を周壁の外側に引き抜くことはできない。しかも、ロック部が後述する突出片を備える場合、蓋を開く向きに操作すると、突出片によって本体が回動されるため、スリットと係止部の位置を一致させることはできない。よって、第2壁部の破れの有無によって、第三者による不正開封の有無を確実に判断できる。
【0018】
前記付勢片は、前記第2方向において前記第1壁部と隣り合う第1部分と、前記第2方向において前記第2壁部と隣り合う第2部分とを有する。より具体的には、前記付勢片は、前記貫通孔の縁において前記蓋側に位置する部分に設けられている。
【0019】
この構成によれば、付勢片の第1部分はロック部の第1壁部に隣り合い、付勢片の第2部分はロック部の第2壁部に隣り合う。このような第1部分と第2部分があることによって、ロック片の係止部が周壁の内側に差し込まれた後、ロック部のスリットに対向する位置からロック片の係止部を確実に移動させることができる。
【0020】
前記ロック部は、前記貫通孔の縁において前記付勢片とは反対側に位置する部分に設けられ、前記付勢片の方に突出する突出片を有し、前記付勢片側に位置する前記突出片の先端は、前記スリットに対して前記付勢片の先端側に位置する。
【0021】
この構成によれば、蓋のロック後、蓋を開ける向きに操作をする(回動させる)と、突出片の先端がロック片の本体に当接し、蓋の開操作に応じて差込部が回動する。ロック部の第1壁部がスリットに対して蓋とは反対側に位置する一方、ロック部の第2壁部がスリットに対して蓋側に位置する場合、ロック片を貫通孔から引き抜こうとすると、ロック片の係止部がロック部の第2壁部を突き破って周壁の外側に出る。その結果、蓋のロック後、第三者によって不正に開封されたか否かは、ロック部の第2壁部の状態を見て判断することができる。
【0022】
前記本体は、前記第2方向に間隔をあけて配置されて前記第3方向へそれぞれ延びる一対のスリットによって区画された可動部を有し、前記差込部は前記可動部の先端に設けられている。
【0023】
この構成によれば、可動部によって差込部を回動させる自由度が高くなるため、貫通孔及びスリットを通してロック片を差し込む際の作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、包装箱の封緘作業の手間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図。
【
図2A】
図1の包装箱の封緘前の状態を示す斜視図。
【
図6A】
図1の包装箱が不正に開封される際の第1過程を示す概略断面図。
【
図6B】
図1の包装箱を不正に開封される際の第2過程を示す概略断面図。
【
図7A】本発明の第2実施形態に係る包装箱のロック部を示す概略平面図。
【
図7B】本発明の第2実施形態に係る包装箱のロック片を示す概略平面図。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る包装箱のロック部を示す概略平面図。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る包装箱のロック片を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る紙製の包装箱10を示す。この包装箱10は、四角筒状の周壁15を備える。
図2Aを併せて参照すると、周壁15の上端(軸方向の一方側の端)には開口16が形成されており、この上端開口16が上蓋25によって塞がれている。周壁15の下端(軸方向の他方側の端)の開口は下蓋35によって塞がれている。
【0028】
上蓋25に連設された挿入片(重畳片)27にはロック部45が設けられ、周壁15にはロック片60が設けられている。ロック部45にロック片60を差し込むことで、挿入片27を介して周壁15に上蓋25が閉状態にロックされる。このロック構造は、周壁15の一部又は上蓋25の一部を破断しなければ上蓋25を開封できない構成である。
【0029】
包装箱10は、
図3Aに示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(包装箱10の外面)と裏ライナ(包装箱10の内面)の間に波状の中しんを配設した構成である。
図3Aに一点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。
図3Aに二点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように表ライナの方から罫を入れて形成した逆罫線である。
図3Aに実線で示す部分は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺や縁)である。
【0030】
以下の説明では、
図1において、包装箱10の短手方向をX方向(第1方向)といい、包装箱10の長手方向をY方向(第2方向)といい、包装箱10の高さ方向をZ方向(第3方向)という。但し、包装箱10のX方向の寸法、Y方向の寸法、及びZ方向の寸法は、必要に応じて変更可能である。特に、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きく形成されてもよい。
【0031】
図1及び
図2Aに示すように、周壁15は、前板17、後板18、及び一対の側板19を備える。前板17と後板18は、YZ平面に沿って延びる概ね同一の四角形状であり、X方向に間隔をあけて対向配置されている。一対の側板19は、XZ平面に沿って延びる概ね同一の四角形状であり、Y方向に間隔をあけて対向配置されている。前板17、一方の側板19、後板18、及び他方の側板19はそれぞれ、Z方向に延びる折曲部21を介して連設され、直交方向に延びるように折り曲げられている。
【0032】
図3Aを参照すると、後板18、一方の側板19、前板17、及び他方の側板19は、この順で左側から右側に連設されている。左側の端に位置する後板18には、右側の端に位置する側板19に貼着するための付代板20が連設されている。一対の側板19のうちの一方は付代板20の貼着によって構成され、これにより連続した四角筒状の周壁15が形成されている。後板18と一方の側板19との間、前板17と一対の側板19との間、及び後板18と付代板20との間には、折曲部21を構成する折曲線21’が形成されている。これらの折曲線21’は、汎用罫線によって構成されている。
【0033】
図1及び
図2Aに示すように、上蓋25は、前板17、後板18、及び一対の側板19によって画定された開口16と概ね同一の四角形状である。上蓋25は、Y方向に延びる折曲部(第2折曲部)26を介して、後板(周壁の第2部分)18の上端(第1折曲部以外の縁)に連設されている。折曲部26によって上蓋25は、後板18に対して回動可能である。封緘状態の上蓋25は、XY平面に沿って延びている。
【0034】
上蓋25の先端には、Y方向に延びる折曲部(第1折曲部)28を介して挿入片27が連設されている。上蓋25の先端とは、折曲部26(後板18)とは反対の前板17側に位置する上蓋25の前縁である。封緘状態の挿入片27は、上蓋25に対して直交方向に折り曲げられ、前板(周壁の第1部分)17の内側に挿入される。これにより挿入片27は、前板17の内面に重なり、YZ平面に沿って帯状に延びている。
【0035】
一対の側板19の上端には、上蓋25の内側を支持するフラップ29が、X方向に延びる折曲部30を介してそれぞれ連設されている。フラップ29は、前板17側に位置する側部に切欠部を備える概ね直角台形状である。封緘状態のフラップ29は、側板19に対して折曲部30に沿って折り曲げられ、XY平面に沿って延びている。
【0036】
図3Aを参照すると、後板18と上蓋25の間には、折曲部26を構成する折曲線26’が設けられている。上蓋25と挿入片27の間には、折曲部28を構成する折曲線28’が設けられている。側板19とフラップ29の間には、折曲部30を構成する折曲線30’がそれぞれ設けられている。これらの折曲線26’,28’,30’は、汎用罫線によって構成されている。
【0037】
引き続いて
図3Aを参照すると、下蓋35は、前板17に連設された第1下フラップ36と、一対の側板19にそれぞれ連設された一対の第2下フラップ37と、後板18に連設された第3下フラップ38とを備える。第1下フラップ36は、先端中央に矩形状の切欠部を備える概ね凹字形状であり、折曲部39を構成する折曲線39a’を介して前板17に連設されている。第2下フラップ37は、第1下フラップ36と隣接する側部に切欠部を備え、折曲部39を構成する折曲線39b’を介して側板19に連設されている。第3下フラップ38は、両側に切欠部を備える概ね凸字形状であり、折曲部39を構成する折曲線39c’を介して後板18に連設されている。折曲線39a’~39c’はそれぞれ、汎用罫線によって構成されている。
【0038】
以上のような基本構造を有する包装箱10は、
図3Aに示すブランクの状態で、左側の側板19に対して後板18を折り曲げるとともに、前板17に対して右側の側板19を折り曲げる。そして、重なり合った付代板20と側板19とを、例えば酢酸ビニルエマルジョン系の接着剤によって貼着する。包装箱10は、この平坦に折畳まれた状態で出荷される。
【0039】
包装箱10を使用する場合、周壁15を四角筒状に広げる。続いて、前板17に対して第1下フラップ36を内向きに折り曲げた後、側板19に対して第2下フラップ37をそれぞれ内向きに折り曲げ、最後に後板18に対して第3下フラップ38を内向きに折り曲げる。続いて、第3下フラップ38を周壁15内に押し込み、第3下フラップ38の先端の係止部38aを第1下フラップ36の内面側に係止する。これにより、周壁15の下端開口が閉塞される。
【0040】
次に、周壁15の上端の開口16から物品を収容する。収容された物品によって第3下フラップ38の先端の係止部38aが第1下フラップ36の内面に圧接され、下蓋35は開封不可能な状態になる。但し、第3下フラップ38の係止部38aは、接着剤によって第1下フラップ36の内面に貼着されてもよい。また、下蓋35は、周壁15を四角筒状に開くことで自動閉塞可能なワンタッチ式としてもよく、下フラップ36~38の構成は必要に応じて変更が可能である。
【0041】
物品を収容すると、側板19に対してフラップ29を内向きに折り曲げた後、後板18に対して上蓋25を折り曲げるとともに、上蓋25に対して挿入片27を折り曲げ、挿入片27を前板17の内側に挿入する。これにより、周壁15の上端の開口16が上蓋25によって閉塞され、包装箱10が封緘される。
【0042】
(ロック構造の概要)
図2Bに示すように、挿入片27にはロック部45が設けられ、前板17にはロック片60が設けられている。前述のように、挿入片27を含む上蓋25の一部、又は周壁15の一部を破断しなければ開封できないようにするために、ロック部45及びロック片60によるロック構造が設定されている。前板17のロック片60の下方には、正規ユーザが包装箱10を開封するための開封部70が設けられている。
【0043】
図2B及び
図3Bに示すように、ロック部45は、貫通孔46、一対のスリット47、第1壁部48、第2壁部51、付勢片53、及び突出片55を備える。
図2B及び
図3Cに示すように、ロック片60は、概ねT字状であり、前板17に連設された本体61、及び本体61からY方向両側へ突出する一対の係止部65を備える。なお、
図3Bは、ロック部45の拡大図であり、ロック部45の姿勢を
図2Bの状態と一致させるために、
図3Aに示す状態から180度回転させている。
【0044】
図2B及び
図3Bに示すように、貫通孔46は、挿入片27のY方向中央に設けられ、挿入片27の面(YZ平面)と直交するX方向へ貫通している。貫通孔46は、Y方向に延びる長溝であり、そのZ方向の幅は段ボールシートの厚みよりも大きい。
図3Bを参照すると、貫通孔46の上縁46aは、折曲線28’に対して段ボールシートの厚み分の間隔をあけた位置に設けられている。この上縁46aから折曲線28’までの領域は上蓋25を構成する。貫通孔46は、
図2B及び
図3Bに示す非ロック状態(非封緘状態)では付勢片53によってY方向の一方と他方に区画され、
図1および
図4Bに示すロック状態(封緘状態)では付勢片53の折れ曲がりによって空間的に連通した長溝を構成する。Y方向における貫通孔46の一端から他端までの横幅Wa1は、定められた距離に設定されている。
【0045】
図2Bを併せて
図3Bを参照すると、一対のスリット47はそれぞれ、切断線からなり、貫通孔46のY方向両側から折曲部28に沿ってY方向外側へ延在している。スリット47は、貫通孔46とは反対側に位置する外端に、上蓋25とは逆向き(下向き)に湾曲した湾曲部47aを備える。また、スリット47は、貫通孔46側に位置する内端に、概ねV字状に切り欠かれた切欠部47bを備える。Y方向におけるスリット47の横幅Wb1、つまりY方向の内端から外端までのスリット47の寸法は、定められた長さに設定されている。スリット47を形成するZ方向の位置(つまり折曲部28との間隔)は前板17の上端よりも低い。よって、
図1に示す封緘状態では、スリット47の外側が前板17によって塞がれる。
【0046】
第1壁部48は、Z方向においてスリット47の下側(一側)に隣り合うように設けられている。第1壁部48は、大略、スリット47、切断線からなる一対のスリット49a,49b、及び汎用罫線からなる折曲線50によって画定されている。一方のスリット49aは、湾曲部47aに連続し、Z方向に延びている。他方のスリット49bは、切欠部47bに連続し、Z方向に延びている。折曲線50は、スリット47に対してZ方向に間隔をあけて設けられ、スリット49a,49bのうちの一方の下端から他方の下端にかけてY方向へ延びている。この折曲線50によって第1壁部48は、前板17に対してX方向へ回動可能である。この回動による第1壁部48の破断を防ぐために、スリット49a,49bの下端には概ね半円形状の破止部が形成されている。
【0047】
第2壁部51は、Z方向においてスリット47の上側(他側)に隣り合うように設けられている。第2壁部51は、折曲部28、貫通孔46、及びスリット47によって三方が区画されている。これら以外の部分である第2壁部51のY方向外側は、折曲線及び切断線のいずれも設けていない連続部51aである。この連続部51aによって第2壁部51と挿入片27は、連続した一体構造になっている。上蓋25に対する第2壁部51の折曲性を向上するために、第2壁部51の上側の折曲部28(折曲線28’)上には、一対の切断線52が間隔をあけて設けられている。
【0048】
付勢片53は、貫通孔46の上縁(蓋側の部分)46aの中央から貫通孔46内へ突出しており、貫通孔46を貫通したロック片60(後述する差込部61c)を下向きに付勢する。この付勢片53は、上蓋25側の基端よりも先端53a側を狭くした等脚台形状であり、折曲部54(汎用罫線からなる折曲線54’)を介して上蓋25に連設されている。貫通孔46にロック片60を差し込む前の状態では、付勢片53の先端53aは、スリット47を越えてZ方向下側に位置するとともに、折曲線50よりもZ方向上側に位置している。つまり、付勢片53は、Y方向において第1壁部48と隣り合う先端53a側の第1部分53bと、Y方向において第2壁部51と隣り合う折曲部54側の第2部分53cとを有する。
【0049】
突出片55は、貫通孔46の下縁(付勢片53とは反対側の部分)46bに設けられ、上蓋25(付勢片53の方)に向けて概ね等脚台形状に突出している。Y方向における突出片55の両側は、第1壁部48に対してスリット49bによって区画されている。上蓋25側に位置する突出片55の先端55aは、スリット47に対してZ方向下側(上蓋25とは反対側)に位置している。貫通孔46にロック片60を差し込む前の状態では、突出片55の先端55aは、付勢片53の先端53aよりもZ方向上側に配置されている。折曲線54’から先端53aまでの突出寸法(第1部分53b)を確保するために、付勢片53は、突出片55の先端55aを越える位置まで延設されている。そして、付勢片53と突出片55は、切断線からなるスリット56によって区画されている。このスリット56によって突出片55の先端には、凹状の窪みが形成されている。
【0050】
図2Bを併せて
図3Cを参照すると、ロック片60の本体61は、Y方向において貫通孔46と対応する位置に設けられている。この本体61は、前板17に連設された可動部61aと、この可動部61aの先端に連続部61bを介して連設された差込部61cとを備える。連続部61bと差込部61cは一体構造であり、係止部65を突設していない部分が連続部61bを構成し、係止部65を突設した部分が差込部61cを構成する。
【0051】
可動部61aは、一対のスリット62によって前板17と区画されている。一対のスリット62はそれぞれ、切断線からなり、Y方向に間隔をあけて配置され、Z方向へ延びている。一対のスリット62の下端間には、Y方向に延びる折曲部63(逆罫線からなる折曲線63’)が設けられている。この折曲部63によって可動部61aは、前板17に対してX方向へ回動可能である。
図1を参照すると、封緘状態の可動部61aは、前板17と面一に位置し、YZ平面に沿って延びている。
【0052】
引き続いて
図2Bを併せて
図3Cを参照すると、連続部61bは、汎用罫線からなる折曲線64’(Y方向に延びる折曲部64)を介して可動部61aの上端(先端)に連設されている。前板17においてロック片60を形成した部分の上端には、ロック片60の幅よりも広い幅で下向きに窪む切欠部17aが設けられている。折曲線64’(つまり可動部61aの上端)は、前板17の上端と切欠部17aの下端との間に位置するように設けられている。
図4Bの封緘状態を参照すると、折曲部64は、スリット47よりも上方に位置し、貫通孔46の上縁46aよりも下方に位置している。折曲部64(折曲線64’)によって差込部61cを含む連続部61bは、可動部61aに対して回動可能である。
図1および
図4Bを参照すると、封緘状態の連続部61bは、貫通孔46を通して挿入片27の内外に延在している。
【0053】
引き続いて
図2Bを併せて
図3Cを参照すると、差込部61cは、折曲線及び切断線のいずれも介することなく連続部61bの先端に連続して延設されている。
図4Bを参照すると、封緘状態の差込部61cは、貫通孔46を貫通して周壁15内に配置され、付勢片53によってZ方向下向きに付勢されている。Y方向における差込部61cの横幅Wa2は、Y方向における連続部61bの横幅及び可動部61aの横幅と同じであり、
図3Bに示す貫通孔46の横幅Wa1よりも小さい。但し、差込部61cの横幅Wa2は、貫通孔46への差し込みを実現できる範囲で、可能な限り大きくすることが好ましい。
【0054】
引き続いて
図2Bを併せて
図3Cを参照すると、一対の係止部65はそれぞれ、差込部61cの両側からY方向外向きに突出している。係止部65が突出する向きは、対応するスリット47が延在する向きと同じである。Y方向における係止部65の横幅Wb2、つまり差込部61cから係止部65の外端までの突出量は、
図3Bに示すスリット47の横幅Wb1よりも広い。また、Y方向における一対の係止部65の外端間の横幅(Wa2+2×Wb2)は、貫通孔46の横幅Wa1よりも広く、Y方向におけるロック部45の横幅(Wa1+2×Wb1)よりも狭い。
【0055】
個々の係止部65は、概ね直角台形状であり、ロック部45にロック片60を差し込む向きAにおいて、前側に位置する面取り縁65aと、後側の端に位置する係止縁65bと、これらの間に位置する側縁65cとを備える。面取り縁65aは、向きAの後側から前側に向かうに従ってY方向の外側から内側へ傾斜する直線部を備え、係止部65の横幅Wb2を次第に狭くする。係止縁65bは、第1壁部48又は第2壁部51に線接触するようにY方向に延びている。側縁65cは、面取り縁65aの後端から係止縁65bの前端にかけて、差込部61cと平行に延びている。
【0056】
係止部65はそれぞれ、スリット47を通して周壁15の内側に配置される。係止部65の厚みは切断線からなるスリット47に溝幅よりも厚いが、挿入片27に対して第1壁部48が回動可能なため、スリット47を通した係止部65の差し込みには支障はない。また、
図4B及び
図6Aに示すように、差込部61c及び連続部61bを介して係止部65は、折曲部64を中心として回動可能である。
【0057】
よって、係止部65(係止縁65b)は、周壁15に対する上蓋25の姿勢(閉じ具合)に応じて、第1壁部48及び第2壁部51のいずれかに対向する位置に移動する。具体的には、
図4Bに示すように、XY平面に沿って延びるように上蓋25を正しい封緘姿勢とした場合、ロック部45によって係止部65は、第1壁部48に当接する位置に移動する。また、
図6Aに示すように、前板17の上端からスリット47が露出する姿勢に上蓋25を回動させた場合、ロック部45によって係止部65は、第2壁部51に当接する位置に移動する。
【0058】
より具体的は、
図4Bに示す封緘状態では、ロック部45のスリット47は、前板17の上端よりも下方に位置する。ロック片60の折曲部64は、スリット47と貫通孔46の上縁46aとの間に位置する。付勢片53は、スリット47を越えて下向きに突設されているため、貫通孔46を貫通した差込部61cと一緒に周壁15内へ折れ曲がり、差込部61cを下向きに付勢する。突出片55の先端55aは、スリット47よりも下方に位置するため、差込部61c及び連続部61bには干渉しない。よって、折曲部64を中心として差込部61cが下向きに傾斜し、スリット47の下側の第1壁部48の内側に係止部65が移動する。この状態で、ロック部45から引き抜く向き(向きAとは逆向き)へロック片60を操作すると、係止部65が第1壁部48に係止する。
【0059】
図6Aに示すように、上蓋25を開く向きに操作した場合、挿入片27の移動によって突出片55が連続部61bの下面に当接する。前板17の上端からスリット47が露出する位置まで上蓋25が操作されると、突出片55が連続部61bを上向きに押圧することで、連続部61bと一緒に差込部61cが折曲部64を中心として回動する。よって、折曲部64を中心として差込部61cが上向きに傾斜し、第1壁部48の内側から第2壁部51の内側へと係止部65が移動する。この状態で、ロック部45から引き抜く向きへロック片60を操作すると、係止部65が第2壁部51に係止する。
【0060】
図1を併せて
図3Cを参照すると、開封部70は、ロック片60の下方に位置するように、前板17に設けられている。開封部70は、半円形状の操作部70aと、概ね等脚台形状の破断部70bとを備える。
【0061】
操作部70aは、Y方向において本体61の下側に位置するように設けられている。操作部70aは、複数の切断線71と、汎用罫線からなる1本の折曲線72とで画定されている。複数の切断線71は、隣接した切断線71が破断によって繋がることが可能な間隔をあけて設けられており、全体として本体61の横幅Wa2よりも直径が小さい半円弧状に形成されている。折曲線72は、折曲線63’とZ方向に間隔をあけて並設され、両端の切断線71のうちの一方から他方にかけてY方向に延びている。
【0062】
破断部70bは、折曲線63’,72、及び一対の破断線73によって画定されている。個々の破断線73は、折曲線72の一端と、この一端とY方向の同じ側に位置する一対のスリット62のうちの一方との間に設けられている。破断線73は、折曲線72の端からスリット62の下端に向けて傾斜した第1切断線73a、この第1切断線73aに対して概ね直線状に設けられた第2切断線73b、及びこの第2切断線73bの下端に設けられた第3切断線73cを備える。一対の第3切断線73cは、一対の第2切断線73bの下端から互いに近づく内向きに屈曲し、Y方向に延びている。
【0063】
包装箱10を封緘する場合、前述のように上蓋25と挿入片27を操作して、挿入片27を前板17の内側に挿入する。この際、
図4Aに示すように、スリット47が前板17の上端よりも上方に位置する状態で、上蓋25の閉操作を一旦停止する。この状態で、前板17に対して可動部61aをX方向外側に折り曲げるとともに、可動部61aに対して差込部61cを含む連続部61bを上向きに折り曲げる。
【0064】
次に、差込部61cを把持し、貫通孔46に差込部61cを差し込むとともに、スリット47に係止部65を差し込む。この際、スリット47は貫通孔46の縁から折曲部28に沿って延在するので、差込部61cに対して係止部65を折り曲げなくて済む。よって、包装箱10の封緘作業の手間を減らすことができる。
【0065】
前板17に対して可動部61aが面一に位置するまで、差込部61c及び係止部65を差し込むと、
図4Aにおいて時計回りに上蓋25を閉操作する。
図4Bに示すように、後板18及び前板17に対して上蓋25が直交方向に位置する姿勢まで閉操作すると、包装箱10の封緘(ロック片60による上蓋25のロック)が完了する。
【0066】
この封緘状態では、前述のように、付勢片53によって差込部61cが下向きに付勢されるため、スリット47に対向する位置から第1壁部48に対向する位置へ係止部65が移動する。また、第1壁部48の外側には前板17が位置する。よって、
図4Bに示す封緘状態で、ロック片60をロック部45から引き抜く向き(X方向外側)に操作しても、第1壁部48及び前板17を突き破って周壁15の外側に係止部65を抜き出すことはできない。つまり、ロック片60によるロックを解除し、上蓋25を開くこと(包装箱10を開封すること)はできない。
【0067】
正規ユーザが包装箱10を開封する場合、開封部70の操作部70aを指で押して、操作部70aを突き破る。続いて、開口させた操作部70aに指を差し込んで破断部70bを摘まみ、X方向外向きに操作する。これにより
図5に示すように、破断線73に沿って前板17が破断され、その破断がスリット62に繋がる。その結果、前板17からロック片60が分離されるため、上蓋25の開操作による包装箱10の開口16の開放が可能となる。
【0068】
一方、正規ユーザ以外の第三者による不正開封方法は、開封部70の操作ではなく、前述した封緘(ロック)操作とは逆の手順である。つまり、ロック片60をロック部45に差し込んだ状態で、
図4Bにおいて反時計回りに上蓋25を開操作する。前板17の上端からスリット47が露出すると、連続部61bに指を当ててロック片60をX方向外向きに回動させ、係止部65を含む差込部61cを前板17の外側へ抜き出す。そして、内部の物品を抜き取り、再び包装箱10を封緘する。
【0069】
しかし、本実施形態の包装箱10では、このような不正開封が行われた場合、第2壁部51(連続部51a)が破れるため、この破れの有無を確認することで、不正開封の有無を判断できる。よって、第三者による不正開封を自粛させることができる。
【0070】
具体的には、
図6Aに示すように、ロック片60をロック部45に差し込んだ状態で上蓋25を開方向に操作すると、前述のように、挿入片27が上向きに移動する。この移動によって突出片55が差込部61cを時計回りに回動させるため、連動して係止部65が上向きに移動する。
【0071】
前板17の上端からスリット47が露出する位置まで上蓋25を開操作すると、係止部65はスリット47を越えて第2壁部51の内側に位置する。この状態で、ロック部45からロック片60を引き抜くように操作すると、係止部65が第2壁部51に当接(係止)する。第2壁部51の外側には前板17が位置しないため、無理に不正開封操作を続けると、
図6B及び
図6Cに示すように、係止部65が第2壁部51を突き破って周壁15の外側に抜け出る。
【0072】
このように、ロック状態で貫通孔46からロック片60を無理に引き抜くと、挿入片27の第2壁部51が破ける。よって、正規ユーザは、包装箱10の開封前に、第2壁部51の破れの有無によって、第三者による不正開封の有無を確実に判断できる。
【0073】
ロック部45は、第1壁部48に隣り合う第1部分53bと、第2壁部51に隣り合う第2部分53cとを有する付勢片53を備える。よって、スリット47から周壁15内に差し込んだ係止部65を、スリット47に対向する位置から第1壁部48に対向する位置へ確実に移動させることができる。
【0074】
ロック部45は、ロック状態の上蓋25の開操作によって連続部61bに当接し、上蓋25の操作量に応じて差込部61cを回動させる突出片55を備える。そして、前板17の上端からスリット47が露出する状態では、突出片55は、差込部61cを介して係止部65を第2壁部51と対向する位置まで移動させる。よって、第三者による不正開封操作によって、第2壁部51を確実に突き破ることができる。
【0075】
封緘状態では、スリット47の外側は、周壁15の前板17によって塞がれている。よって、上蓋25を開操作しなければ、スリット47を通して係止部65を周壁15の外側に引き抜くことはできない。しかも、上蓋25を開操作すると、突出片55によって本体61が回動されるため、スリット47と係止部65の位置を一致させることはできない。よって、この点でも、第三者による不正開封操作によって、第2壁部51を確実に突き破ることができ、この破れの有無によって不正開封の有無を確実に判断できる。
【0076】
ロック片60は、一対のスリット62によって前板17と区画された可動部61aを有し、差込部61cは可動部61aの先端に設けられている。可動部61aによって差込部61cを回動させる自由度が高くなるため、貫通孔46及びスリット47を通してロック片60を差し込む際の作業性を向上できる。
【0077】
(第2実施形態)
図7A及び
図7Bは、第2実施形態の包装箱に適用するロック部45及びロック片60を示す。第2実施形態の包装箱は、
図1及び
図2Aに示す第1実施形態の包装箱と同様の基本構造を有する。
【0078】
図7Aに示すように、第2実施形態のロック部45は、付勢片53の先端部分に四角形状に突出する係止突起53dを備える。この係止突起53dにおいて、折曲線54’から最も離れた部分が付勢片53の先端53aである。
図7Bに示すように、第2実施形態のロック片60は、封緘状態で係止突起53dが係止する係止孔61dを備える。係止孔61dはロック片60の差込部61cに設けられており、そのY方向の横幅は係止突起53dを挿入係止可能な大きさである。
【0079】
この第2実施形態のロック構造を適用した包装箱では、第1実施形態の包装箱と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、ロック部45にロック片60を差し込むと、付勢片53の係止突起53dがロック片60の係止孔61dに係止する。これらの係止によって、封緘後にロック片60を操作しても、ロック部45からロック片60を引き抜くことはできない。よって、包装箱を不正に開封するには、上蓋25、挿入片27(ロック部45)、及びロック片60のいずれかを破るしかない。破れの有無を確認することで不正開封の有無を確実に判断できる。
【0080】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態の包装箱に適用するロック部45を示す。第3実施形態の包装箱は、
図1及び
図2Aに示す第1実施形態の包装箱と同様の基本構造を有する。
【0081】
第3実施形態のロック部45は、上蓋25側に位置する付勢片53の基端(折曲線54’側)の横幅を広くし、貫通孔46の上縁全体から付勢片53を突出させた点で、第1実施形態と相違する。
【0082】
この第3実施形態の包装箱では、第1実施形態の包装箱と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、付勢片53の基端を広くしているため、第1実施形態の付勢片53と比較して、差込部61cを付勢する力を大きくすることができる。
【0083】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態の包装箱に適用するロック片60を示す。第4実施形態の包装箱は、
図1及び
図2Aに示す第1実施形態の包装箱と同様の基本構造を有する。
【0084】
第4実施形態のロック片60は、係止部65の面取り縁65aの形状を変更した点で、第1実施形態のロック片60と相違する。第4実施形態の面取り縁65aは、外側から内側へ傾斜する直線部を備えてなく、所定曲率(例えば半径20mm)の円弧状(アール面取り)としている。
【0085】
なお、本発明の包装箱10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0086】
例えば、ロック部45は、貫通孔46、スリット47、第1壁部48、及び第2壁部51を備えていれば、付勢片53及び突出片55のうちの少なくとも一方は設けなくてもよい。突出片55を設けずに付勢片53を設ける場合、付勢片53は貫通孔46の下縁から突出されていてもよい。
【0087】
ロック部45のスリット47及びロック片60の係止部65は、Y方向(折曲部28が延在する方向)の一方だけに設けてもよい。第1壁部48は、スリット49a,49b及び折曲線50によって回動可能な構成としたが、これらを設けずに前板17に一体構造としてもよい。付勢片53の先端53aを突出片55の先端55aよりも上方に位置させ、互いに間隔をあけて配置してもよい。
【0088】
挿入片27は、上蓋25において折曲部26と隣接する部分に折曲部28を介して連設し、側板19の内側に配置されてもよい。この場合、ロック片60は、対応する側板19に設けられる。また、挿入片27は、一対の側板19の内側に位置するように、上蓋25に一対連設してもよい。
【0089】
図10に示すように、上蓋25は、周壁(箱本体)15とは別体に設けられてもよい。この場合、図示のように、ロック部45を含む挿入片(重畳片)27は、対向位置に一対設けられ、ロック部45と対応するようにロック片60も、周壁15の対向部(前板17と後板18)に設けることが好ましい。
【0090】
図11に示すように、ロック部45を含む挿入片(重畳片)27を周壁15に設け、ロック片50を上蓋25に設けてもよい。なお、
図11では、周壁15に上蓋25を一体に設けているが、この場合においても
図10に示すように、上蓋25は周壁15と別体に設けてもよい。
【0091】
上蓋25を一対のフラップによって構成し、これらのうち、一方にロック部45を含む挿入片27を設け、他方にロック片50を設け、これらの係止によって周壁15に対する閉状態に上蓋25をロックしてもよい。
【0092】
包装箱10は、前板17と一対の側板19との間、及び/又は後板18と一対の側板19との間に面取り板を備える平面視八角形状又は平面視六角形状であってもよく、その形状は必要に応じて変更が可能である。
【0093】
包装箱10の素材は、段ボールシートに限らず、単層の厚紙であってもよい。包装箱10の素材は、紙製に限られず、樹脂製の段ボールシート又は単層シートであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…紙製包装箱
15…周壁
16…開口
17…前板(第1部分)
17a…切欠部
18…後板(第2部分)
19…側板
20…付代板
21…折曲部
21’…折曲線
25…上蓋(蓋)
26…折曲部(第2折曲部)
26’…折曲線
27…挿入片(重畳片)
28…折曲部(第1折曲部)
28’…折曲線
29…フラップ
30…折曲部
30’…折曲線
35…下蓋
36…第1下フラップ
37…第2下フラップ
38…第3下フラップ
38a…係止部
39…折曲部
39a’~39c’…折曲線
45…ロック部
46…貫通孔
46a…上縁
46b…下縁
47…スリット
47a…湾曲部
47b…切欠部
48…第1壁部
49a,49b…スリット
50…折曲線
51…第2壁部
51a…連続部
52…切断線
53…付勢片
53a…先端
53b…第1部分
53c…第2部分
53d…係止突起
54…折曲部
54’…折曲線
55…突出片
55a…先端
56…スリット
60…ロック片
61…本体
61a…可動部
61b…連続部
61c…差込部
61d…係止孔
62…スリット
63…折曲部
63’…折曲線
64…折曲部
64’…折曲線
65…係止部
65a…面取り縁
65b…係止縁
65c…側縁
70…開封部
70a…操作部
70b…破断部
71…切断線
72…折曲線
73…破断線
73a…第1切断線
73b…第2切断線
73c…第3切断線
X…X方向(第1方向)
Y…Y方向(第2方向)
Z…Z方向(第3方向)