(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20230627BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20230627BHJP
H05B 6/68 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F24C7/02 325Z
F24C7/02 320M
F24C7/02 320J
F24C7/02 301Z
F24C7/04 301Z
H05B6/68 320Z
H05B6/68 320S
(21)【出願番号】P 2019218154
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 智志
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-204029(JP,A)
【文献】実開昭61-55602(JP,U)
【文献】特開平9-14665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
F24C 7/04
H05B 6/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を内部に収容する調理室と、
前記被調理物を加熱する加熱手段と、
前記調理室内の温度を検出する庫内温度検出手段と、
前記被調理物から排出される排気に含まれる所定成分のガスの量を検出するにおい検出手段と、
前記被調理物を設定温度で加熱調理するように前記加熱手段を制御する加熱調理制御部と、を備え、
前記加熱調理制御部は、前記調理室内が設定温度で収束安定して飽和状態になったことを前記庫内温度検出手段で検出した後で、検出された所定成分のガスの量が下降から上昇に転じたときの値から所定値以上に上昇したことを前記におい検出手段で検出したときに、前記加熱手段の加熱を終了するように構成されることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記被調理物の表面温度を検出する被調理物温度検出手段をさらに備え、
前記加熱調理制御部は、調理開始後に検出した、前記被調理物の表面温度、時間当たりの前記表面温度の上昇値および前記所定成分のガスの時間当たりの上昇量から前記被調理物の焦げやすさを判断して、前記所定値に反映させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
調理の設定内容や進行状況を表示する表示手段をさらに備え、
前記加熱調理制御部は、前記被調理物の焦げやすさを判断したデータから前記被調理物Sの予定加熱時間を算出して、当該予定加熱時間を前記表示手段に表示するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理室内に入れられた被調理物を自動的に加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器として、例えば特許文献1には、被調理物をレンジ加熱するマイクロ波発生装置と、調理室内の温度分布を検出する第1センサや第2センサと、被調理物を設定温度で加熱調理するようにマイクロ波発生装置を制御する自動レンジ調理制御部と、を備え、自動レンジ調理制御部は、第1センサや第2センサから被調理物の検出温度の変化を検知して、その検知結果に応じてマイクロ波発生装置によるレンジ加熱を再開、もしくはレンジ加熱の出力を上げるように制御するものが開示されている。しかしながら、このような加熱調理器では、途中で加熱しすぎたり、焦げたりして、発煙やにおいが発生しても当該発煙やにおいを検知できなかった。そこで、においセンサなどのにおい検出手段を備えた調理制御装置を電子レンジなどの調理装置に適用したものが提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-84401号公報
【文献】特開平3-5622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2の調理制御装置では、においセンサで検出された所定成分のガスの量と、温度センサにより検出された被調理物の表面温度と、から加熱量を一律で決定しているため、例えば焼き魚の調理では火加減を自動制御させることができる一方で、その他の被調理物では、その被調理物を加熱調理するための設定を入力する必要があり、あるいは、発煙や焦げることなどの過加熱を防止するために、この調理制御装置のそばにずっとついている必要があり、非常に手間である、という課題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、例えば食材によらずに被調理物をワンタッチで加熱調理可能であり、加熱調理の開始後にユーザが本体のそばにずっといなくてもよく、また誰でも簡単に加熱調理ができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被調理物を内部に収容する調理室と、前記被調理物を加熱する加熱手段と、前記調理室内の温度を検出する庫内温度検出手段と、前記被調理物から排出される排気に含まれる所定成分のガスの量を検出するにおい検出手段と、前記被調理物を設定温度で加熱調理するように前記加熱手段を制御する加熱調理制御部と、を備え、前記加熱調理制御部は、前記調理室内が設定温度で収束安定して飽和状態になったことを前記庫内温度検出手段で検出した後で、検出された所定成分のガスの量が下降から上昇に転じたときの値から所定値以上に上昇したことを前記におい検出手段で検出したときに、前記加熱手段の加熱を終了するように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、加熱調理で被調理物の発煙や焦げることなどの過加熱を抑制できるため、加熱調理の開始後にユーザが本体のそばにずっといなくてもよく、また誰でも簡単に加熱調理ができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、被調理物が蒸発しやすい成分を含んでおり焦げやすい場合、調理終了となる所定成分のガスの量が検出されたときの加熱時間は、所定成分のガスの量が下降から上昇に転じたときからの加熱時間が短くなるので被調理物が焦げることを抑制できる。その一方で焦げにくい被調理物の場合、調理終了となる所定成分のガスの量が検出されたときの加熱時間は、所定成分のガスの量が下降から上昇に転じたときからの加熱時間が長くなるので、被調理物を中まで加熱することができ、生焼けや加熱不足を防止できる。
【0009】
請求項3の発明によれば、ユーザが、あとどれくらいで加熱調理が完了するかの目安を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態を示す加熱調理器の外観斜視図である。
【
図2】同上、扉を開けた時の正面前方から見た図である。
【
図4】同上、キャビネットやオーブン後板を外した状態の正面前方から見た図である。
【
図5】同上、側面から見たマイクロ波発生装置とその周辺の要部縦断面図である。
【
図7】同上、後方上部から見た排気口とその周辺の透視斜視図である。
【
図8】同上、側面から見た排気経路とその周辺の要部縦断面図である。
【
図9】同上、主な電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】同上、オーブン加熱するときの調理室内の庫内温度と、被調理物の表面温度と、所定成分のガスの量の推移をあらわしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
【0012】
先ず
図1~
図8に基づいて、本発明の加熱調理器としてのオーブンレンジの第1の実施形態の全体構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。
【0013】
扉3の上部には、縦開きの扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段7が配設される。操作手段7は、表示手段6となるLED表示器の表面上に設けられる、後述するメニュー選択設定手段7Aと、オーブン自動調理を開始させるオーブンスタートキー7Bと、調理を中止させ、または操作・設定を取り消すとりけしキー7Cと、で構成される。また扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板が配置される。
【0014】
本体1の下部には、本体1の前面より着脱が可能な給水カセット8と水受け9が各々配設される。給水カセット8は、後述のミスト供給装置53から噴出するミストの供給源として、液体となる水を入れる有底状の容器である。また水受け9は、本体1からの食品カスや水滴、蒸気などを受ける有底状の容器である。
【0015】
キャビネット2の側面には、キャビネット2内に空気を取り込むための吸気口11が設けられ、本体1の背面上部には、キャビネット2から空気を排出する排気口12が設けられる。13は電源プラグ付きコードであり、電源プラグを、例えば図示しない家庭用のコンセントなどに接続して、本体1にAC商用電源を供給している。
【0016】
本体1の左右側面と上面を形成するキャビネット2は、本体1ひいてはオーブンレンジの底面を形成するオーブン底板21を覆うように、本体1の前面を形成するオーブン前板22と、本体1の後面を形成するオーブン後板23との間に設けられる。また本体1には、加熱調理すべき被調理物Sを内部に収容する調理室24と、調理室24の温度を検出する温度検出素子たるサーミスタ25が設けられる。調理室24の前面はオーブン前板22に達していて、被調理物Sを出し入れするために開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。また庫内温度検出手段となるサーミスタ25は、調理室24内部において、扉3の近傍に配設される。
【0017】
調理室24の内面を形成する周壁は、天井壁24aと、底壁24bと、左側壁24cと、右側壁24dと、奥壁24eとからなる。調理室24の奥壁24eは、その中央に吸込み口26を備えており、吸込み口26の周囲には複数の吹出し口27を備えている。また、調理室24の上壁面となるドーム状の天井壁24aに対向して、本体1の上部には、調理室24の上方から被調理物Sを輻射加熱するグリル用の上ヒータ28が設けられ、本体1の底部には、調理室24内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンを含むマイクロ波発生装置29が設けられる。これにより、上ヒータ28への通電に伴う熱放射によって、調理室24内に収容した被調理物Sを上方向からグリル加熱し、またマイクロ波発生装置29への通電動作により、調理室24内に収容した被調理物Sにマイクロ波を放射して、被調理物Sをレンジ加熱する構成となっている。
【0018】
調理室24の左側壁24cと右側壁24dには、調理室24の内部に金属製の角皿31を吊設状態で収納保持するために、左右一対の棚支え32を上下二段に備えている。ここで使用する角皿31は、上面を開口した有底凹状で、その他は無孔に形成される収容部31Aと、収容部31Aの上端より外側水平方向に延設されるフランジ部31Bとにより構成される。またフランジ部31Bには、角皿31を通して熱風の流通を可能にする通気孔31Cが開口形成される。
図2では、調理室24の内部で下段の棚支え32に角皿31のフランジ部31Bを載せて、収容部31Aに被調理物Sを載せた状態を示しているが、調理に応じて角皿31を上段の棚支え32にだけ載せたり、2枚の角皿31を上段と下段の棚支え32に各々載せたりしてもよく、角皿31に代えて、焼き網(図示せず)などの別な付属品を収容保持してもよい。また上述したマイクロ波発生装置29によるレンジ加熱では、調理室24の内部に角皿31や焼き網などを入れずに、調理室24の内部で被調理物Sをレンジ加熱の可能な容器(図示せず)に入れて加熱調理することができる。
【0019】
34は、本体1の内部において、調理室24の室外後方から下方にかけて具備されるオーブン加熱用の熱風ユニットである。この熱風ユニット34は、被調理物Sの加熱手段として、奥壁24eに取付けられる凸状のケーシング36と、空気を加熱する熱風ヒータ37と、調理室24内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン38と、熱風ファン38を所定方向に回転させる電動の熱風モータ39と、熱風モータ39からの駆動力を熱風ファン38に伝達する伝達機構40と、により概ね構成される。奥壁24eとケーシング36との間の内部空間として、調理室24の室外後方に形成された加熱室41には、熱風ヒータ37と熱風ファン38がそれぞれ配設される一方で、本体1の内部に形成された調理室24とオーブン底板21との間の下部空間42には、熱風モータ39が配設される。そして、熱風ユニット34全体を後側外方から覆うように、本体1の後部にオーブン後板23が配設される。
【0020】
本実施形態の熱風ファン38は、軸方向に取り入れた空気を、回転時の遠心力によって、軸方向と直角な放射方向に吐き出すいわゆる遠心ファンとして設けられており、管状の熱風ヒータ37は熱風ファン38の放射方向を取り囲んで配置される。発熱部でもある熱風ヒータ37は、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを用いる。前述した吸込み口26や熱風吹出し口27は、調理室24と加熱室41との間を連通する通風部として機能するものである。
【0021】
そして本実施形態では、熱風モータ39への通電に伴い熱風ファン38が回転駆動すると、調理室24の内部から吸込み口26を通して吸引された空気が、熱風ファン38の放射方向に吹出して、通電した熱風ヒータ37により加熱され、熱風が吹出し口27を通過して、調理室24内に供給される。これにより、調理室24の内外で熱風を循環させる経路が形成され、調理室24内の被調理物Sを熱風コンベクション加熱する構成となっている。
【0022】
続いて、被調理物Sを加熱する加熱手段として、マイクロ波加熱手段としてのマイクロ波発生装置29と、その周辺の細部構造について説明する。調理室24の底壁24bは、金属板材44に形成された凹状のアンテナ収納部45の上面開口を、セラミック板などのマイクロ波が透過可能な底板46で覆うことで構成される。マイクロ波が透過不能な金属板材44は、底壁24bの周囲部のみならず、左側壁24cや、右側壁24dや、奥壁24eを一体的に形成するもので、底板46を除く調理室24の内面は、全てマイクロ波が透過不能な材料で形成される。
【0023】
マイクロ波発生装置29は、マイクロ波の供給源となるマグネトロン(図示せず)の他に、本体1内部の下部空間42において、マグネトロンで発振されたマイクロ波をアンテナ収納部45の直下に導く導波管47と、導波管47の下方に配設されるアンテナモータ48と、その下端部が導波管47の内部に配置され、アンテナモータ48の回転軸に取付け固定されるアンテナホルダ49と、アンテナホルダ49内に挿入固定される円柱状のケーブル軸50と、その中心にケーブル軸50の上端部が取付け固定され、アンテナ収納部45の内部で回動可能に設けられるアンテナ51と、により主に構成される。アンテナ収納部45の上面開口を底板46で塞いだ状態では、調理室24の底壁24bを形成する平板状の底板46に対向して、アンテナ51の全体が底板46と平行に配置される。
【0024】
調理室24内にミストを送り込むミスト供給装置53は、上述した給水カセット8の他に、供給される液体である水をミスト状にするノズル55と、給水カセット8とノズル55との間に連結する給水管56と、給水カセット8からの水をノズル55に導く給水ポンプ57と、ノズル55内に連通する複数のミスト噴出孔54と、を備えている。これによりミスト供給装置53の動作中には、給水カセット8からの水を給水ポンプ57でノズル55に送り込み、このノズル55で供給された水がミスト化され、ミスト噴出孔54から調理室24の内部に供給される。このとき、調理室24内の温度が大気圧でセ氏100℃(以下、温度の値は大気圧でセ氏での温度の値とする)より高い場合は、このミストが調理室24内で瞬時に気化して過熱水蒸気になることにより、調理室24内に入れられた被調理物Sを適度な水分子(過熱水蒸気)ですばやく、ムラなく加熱する構成となっている。
【0025】
58は、調理室24と排気口12とを連通する排気経路である。
図7および
図8において調理室24内の排気を排出する経路を矢印で示しており、調理室24内の被調理物Sから発生する煙や蒸気などの排気を、排気経路58経由で排気口12から排出している。また排気口12には、におい検出手段68となるにおいセンサ59が排気を排出する経路上に設けられ、排出された排気に含まれる所定成分のガスを検出している。このように構成することにより、従来のオーブンレンジにも、このにおいセンサ59を追加で設置することができ、本実施形態のオーブンレンジと同様の効果を得ることができるようになる。なお本実施形態のにおいセンサ54は、所定成分のガス吸着量により電気抵抗値が変化する半導体ガスセンサを採用しているが、例えば、所定成分のガスに感応するガス感応膜を水晶振動子に被膜した薄膜式のガスセンサを使用してもよい。
【0026】
図8は、上記オーブンレンジの主な電気的構成を図示したものである。同図において、61はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段61は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマや、入出力デバイスなどを備えている。
【0027】
制御手段61の入力ポートには、前述したキーやタッチパネルによる操作手段7の他に、検出素子となる赤外線センサ63Aにスイング機構を装備して構成され、調理室24内全体の温度分布を検出することで、そこに収容された被調理物Sの表面温度を赤外線センサ63Aで検出可能にする被調理物温度検出手段63と、調理室24内の温度を検出するサーミスタ25などの庫内温度検出手段64と、熱風モータ39の回転を検出する熱風モータ回転検出手段65と、扉3の開閉状態を検出する扉開閉検出手段66と、マイクロ波発生装置29を構成するアンテナ51の原点位置を検出するアンテナ位置検出手段67と、排気口12から排出される所定成分のガスを検出するにおいセンサ59などのにおい検出手段68とが、それぞれ電気的に接続される。
【0028】
制御手段61の出力ポートには、前述した表示手段6の他に、マイクロ波発生装置29のマグネトロンやその駆動手段を含むマイクロ波加熱手段71と、グリル加熱用の上ヒータ28やオーブン加熱用の熱風ヒータ37をそれぞれ通断電させるリレーなどのヒータ駆動手段72と、調理室24内にマイクロ波を放射するアンテナ51を回転させるアンテナモータ48を駆動させるためのアンテナ駆動手段73と、熱風モータ39を回転駆動させるための熱風モータ駆動手段74と、ミスト供給装置53の給水ポンプ57を動作させるためのポンプ駆動手段75が、それぞれ電気的に接続される。
【0029】
制御手段61は、操作手段7からの操作信号と、被調理物温度検出手段63や、庫内温度検出手段64や、熱風モータ回転検出手段65や、扉開閉検出手段66や、アンテナ位置検出手段67や、におい検出手段68からの各検出信号を受けて、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、マイクロ波加熱手段71と、ヒータ駆動手段72と、アンテナ駆動手段73と、熱風モータ駆動手段74と、ポンプ駆動手段75に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段6に表示用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての前記メモリに記録したプログラムを、制御手段61が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、制御手段61を加熱調理制御部77および表示報知制御部78として機能させるプログラムを備えている。
【0030】
加熱調理制御部77は、主に被調理物Sの加熱調理に係る各部の動作を制御するもので、操作手段7の操作に伴う操作信号を受け取ると、扉開閉検出手段66からの検出信号により、扉3が閉じていると判断した場合に、その操作信号に応じて、マイクロ波加熱手段71や、ヒータ駆動手段72や、アンテナ駆動手段73や、熱風モータ駆動手段74や、ポンプ駆動手段75に制御信号を送出して、調理室24内の被調理物Sに対する加熱調理を制御する。また、様々な加熱調理を実行するための被調理物Sの材料や加熱条件などを含む調理情報として、予め複数の調理メニューが前記メモリに記憶保持されており、加熱調理制御部77は操作手段7に組み込まれたメニュー選択設定手段7Aが適宜操作されると、その中から選択された一乃至複数の調理メニューを、これから加熱調理を行なう特定の調理メニューとして設定し、その調理メニューに従う所定の手順で被調理物Sを自動的に加熱調理する構成となっている。
【0031】
メニュー選択設定手段7Aは、具体的には表示手段6となるLED表示器の表面上に設けられ、LED表示器に表示される複数のメニューの中から特定のメニューを選択可能にするタッチキーと、当該タッチキーの操作により特定のメニューを選択した状態で押動操作されると、その特定のメニューが加熱調理制御部77により設定記憶され、特定のメニューに従う所定の手順で、被調理物Sの加熱調理を開始させるスタートキーと、により構成される。なお、これはあくまでも一例であり、メニュー選択設定手段7Aをどのような構成にするかは特に限定しない。
【0032】
次に上記構成のオーブンレンジについて、その作用を詳しく説明する。予め調理室24内に被調理物Sを入れた状態で、ハンドル4を手で握りながら扉3を閉め、それと前後して、電源プラグ付きコード13の電源プラグをコンセントに差し込んで通電すると、本体1は加熱が行われていない切状態となり、表示報知制御部78は複数のメニューを表示手段6に表示させる。ここで、メニュー選択設定手段7Aや操作手段7などにより特定の調理メニューを選択操作した後に、被調理物Sの加熱調理開始を指示すると、制御手段61のメモリに組み込まれた制御プログラムに従って、選択した調理メニューに対応して生成された制御信号が、制御手段61の出力ポートから所定のタイミングで出力され、被調理物Sが加熱調理される。
【0033】
ここでオーブン加熱のメニューを選択した場合の作用について、
図9に基づいて説明する。
図9において、T
1は、サーミスタ25が検出した調理室24の庫内温度のグラフであり、T
2は、赤外線センサ63Aが検出した被調理物Sの表面温度のグラフであり、Oは、においセンサ59が検出した所定成分のガスの量のグラフである。オーブン調理のメニューを選択する場合、本実施形態のオーブンレンジでは、例えばオーブンスタートキー7Bを選択操作してオーブン調理を開始し、ステップS1に移行する。
【0034】
ステップS1では加熱調理制御部77が、開始後は被調理物温度検出手段63の赤外線センサ63Aからの検出信号を受け、当該赤外線センサ63Aからの検出信号が安定もしくは飽和した後は庫内温度検出手段64の温度センサであるサーミスタ25からの検出信号を受けて、被調理物Sや調理室24内が設定した温度に加熱されるように、熱風ユニット34のヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出し、熱風ヒータ37と熱風モータ39との通断電を制御する。これにより、熱風モータ39に発生した回転力が熱風ファン38に伝達し、熱風ファン38が加熱室41の内部で回転して、その回転速度が熱風モータ回転検出手段65により加熱調理制御部77に取り込まれる。また熱風ファン38の回転により、調理室24から吸込み口26を通して加熱室41に吸込んだ空気を通電した熱風ヒータ37側に送り出し、ここで加熱された空気が吹出し口27を通して調理室24に熱風として供給することで、調理室24内の被調理物Sが熱風コンベクション加熱される。
【0035】
このとき被調理物Sが、例えば味噌や醤油、みりんなどの発酵食品などの蒸発しやすい成分を含んでいる場合、この被調理物Sの温度が上昇すると、例えば発酵食品に含まれるアルコールなどの蒸発しやすい成分が最初に蒸発し、他の排気と共に排気経路58を通って排気口12から排出される。ここで本実施形態の加熱調理制御部77は、被調理物温度検出手段63の赤外線センサ63Aからの検出信号や、におい検出手段のにおいセンサ59からの検出信号を受けて、開始後の被調理物Sの表面温度や排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視しており、また被調理物Sの表面温度、時間当たりの表面温度の上昇値、および所定成分のガスの時間当たりの上昇量から、この被調理物Sの焦げやすさを判断している。
【0036】
例えば
図9の場合、被調理物Sの表面温度のグラフT
2において、開始後の1分で被調理物Sである玉ねぎの表面温度が50℃から70℃まで上昇している。また所定成分のガスの量のグラフOにおいて、開始後の1分で点P1まで上昇しており、所定成分のガスの時間当たりの上昇量が大きい。そのため加熱調理制御部77は被調理物Sである玉ねぎが焦げやすい被調理物であると判断する。その一方で例えば、コーヒー飲料などは所定成分のガスの時間当たりの上昇量が小さく、この場合は加熱調理制御部77が被調理物Sを焦げにくい被調理物であると判断する。なお開始後の被調理物Sの表面温度、時間当たりの表面温度の上昇値、および所定成分のガスの時間当たりの上昇量から、被調理物Sやそこに含まれる調味料などを具体的に特定するように構成してもよい。
【0037】
所定時間の経過後、被調理物Sの表面温度の上昇に応じて排出された排気に含まれる所定成分のガスの量が低下する。そして
図9において、被調理物Sの表面温度のグラフT
2の傾きが安定して被調理物Sの表面温度が安定し、所定成分のガスの量のグラフOの点P2で、排出された排気に含まれる所定成分のガスの量が低下から上昇に転じると、加熱調理制御部77は被調理物Sである玉ねぎが「焼けはじめ」であると判断し、ステップS2に移行する。
【0038】
ステップS2では、ステップS1に引き続き、加熱調理制御部77がサーミスタ25からの検出信号を受けて、調理室24内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出して熱風ヒータ37と熱風モータ39との通断電を制御し、併せて、においセンサ59からの検出信号を受けて、排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視する。
図9において、調理室24の庫内温度のグラフT
1で、設定温度における温度変化が所定の値以内になり、庫内温度が収束安定して飽和状態になって、所定成分のガスの量のグラフOの点P3で、排出された排気に含まれる所定成分のガスの時間当たりの量が上昇から下降に転じると、加熱調理制御部77は被調理物Sである玉ねぎが「刺激臭からいい香りに変化した」と判断し、ステップS3に移行する。
【0039】
ステップS3では、加熱調理制御部77がサーミスタ25からの検出信号を受けて、調理室24内が設定した温度で収束安定して飽和状態になるように、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出して熱風ヒータ37と熱風モータ39との通断電を制御し、併せて、においセンサ59からの検出信号を受けて、排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視する。また本実施形態では加熱調理制御部77が、ステップS1で被調理物Sの焦げやすさを判断した、時間当たりの表面温度の上昇値および所定成分のガスの時間当たりの上昇量のデータから、この被調理物Sの予定加熱時間を算出し、表示報知制御部78が計時手段としてのタイマを使用して、この予定加熱時間を表示手段6に残時間として表示するように構成されており、ユーザが、あとどれくらいで加熱調理が完了するかの目安を知ることができるようにしている。なお本願発明はこれに限定されず、他の方法により被調理物Sの予定加熱時間を算出してもよい。なお操作手段7で時間を設定して加熱調理を行なう場合は、表示報知制御部78が、上述した残時間に加えて、設定した加熱調理時間の残時間も表示するように構成されてもよい。
【0040】
図9において、所定成分のガスの量のグラフOの点P4で、排出された排気に含まれる所定成分のガスの時間当たりの量が下降から上昇に転じると、加熱調理制御部77は被調理物Sである玉ねぎが「焦げた香ばしい香りに変化した」と判断し、ステップS4に移行する。
【0041】
ステップS4では、加熱調理制御部77がサーミスタ25からの検出信号を受けて、調理室24内が設定した温度で収束安定して飽和状態になるように、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出して熱風ヒータ37と熱風モータ39との通断電を制御し、併せて、においセンサ59からの検出信号を受けて、排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視する。
図9において、所定成分のガスの量のグラフOの点P5で、所定成分のガスの量が上昇に転じた点P4から所定の値だけ上昇すると、加熱調理制御部77は、「被調理物Sである玉ねぎのオーブン調理が完了した」と判断し、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出して熱風ヒータ37と熱風モータ39とを断電して熱風コンベクション加熱を終了させる。
【0042】
ここで本実施例の加熱調理制御部77は、ステップS1で判断した被調理物Sの焦げやすさに応じてこの所定の値を増減させており、焦げやすいと判断された被調理物では所定の値を小さくして点P4と点P5との間の時間を短くし、被調理物Sが焦げないようにしている。その一方で、焦げにくいと判断された被調理物では所定の値を大きくして点P4と点P5との間の時間を長くし、被調理物Sの中まで熱が通るようにしている。このように構成することにより被調理物Sが、例えば味噌や醤油、みりんなどの発酵食品などの蒸発しやすい成分を含んでいる焦げやすい被調理物の場合、調理終了となる点P5は点P4からの加熱時間が短くなるので、被調理物Sが焦げることを抑制できる。その一方で被調理物Sが、例えばコーヒー飲料などの焦げにくい被調理物の場合、調理終了となる点P5は点P4からの加熱時間が長くなるので、被調理物Sを中まで加熱することができ、生焼けや加熱不足を防止できる。
【0043】
このように、例えばオーブンスタートキー7Bを選択操作したワンタッチオーブン自動調理の場合は、加熱調理制御部77がにおいセンサ59で被調理物Sの焼けたにおいを検出して自動で加熱時間を調整し、ステップS4で熱風コンベクション加熱を終了するため、ユーザが本体1のそばにずっといなくてもオーブン調理ができ、また誰でも簡単にオーブン調理ができる。その一方で、例えば操作手段7で加熱調理の時間を設定してオーブン調理を行なうときなどは、加熱調理制御部77は操作手段7から操作入力された設定時間などの検出信号を受けて、点P5以降も熱風コンベクション加熱を行なう。この場合、加熱調理制御部77は被調理物Sである玉ねぎが「どんどん焦げていく」と判断し、ステップS5に移行する。
【0044】
ステップS5でも引き続き、加熱調理制御部77がサーミスタ25からの検出信号を受けて、調理室24内が設定した温度で収束安定して飽和状態になるように、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出して熱風ヒータ37と熱風モータ39との通断電を制御し、併せて、においセンサ59からの検出信号を受けて、排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視する。
図9において、所定成分のガスの量のグラフOの点P5以降も熱風コンベクション加熱を行なうと、所定成分のガスの量のグラフOが上昇し、所定成分のガスの量がどんどん増加していくことが分かる。そのため加熱調理制御部77は、操作入力された設定時間を経過していなくても、所定成分のガスの量が点P5に到達した時点で図示しない報知手段を作動させてユーザに報知するように構成されてもよい。また加熱調理制御部77は、点P5から所定の値だけ上昇した点P6に到達した時点で「どんどん焦げていく」と判断し、操作入力された設定時間を経過していなくても、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出して熱風ヒータ37と熱風モータ39とを断電して熱風コンベクション加熱を終了させるように構成されてもよい。このように構成することにより、ワンタッチオーブン自動調理以外の場合でも、オーブン調理において被調理物Sの発煙や焦げることなどの過加熱を抑制でき、ユーザが本体1のそばにずっといなくてもオーブン調理ができ、また誰でも簡単にオーブン調理ができる。
【0045】
なおステップS1~S4においても、においセンサ59が所定成分のガスを予め決められた量以上に検出した場合、加熱調理制御部77は「被調理物Sが焦げた状態である」と判断し、その後のステップに移行せずに、ヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に各々制御信号を送出して熱風ヒータ37と熱風モータ39とを断電して熱風コンベクション加熱を終了させるように構成されてもよい。このように構成することにより、ステップS1~S4の途中で被調理物Sの発煙や焦げることなどの過加熱になっても、自動的にオーブン調理を終了することができる。
【0046】
またグリル調理のメニューを選択した場合、加熱調理制御部77が、開始後は赤外線センサ63Aからの検出信号を受け、当該赤外線センサ63Aからの検出信号が安定もしくは飽和した後はサーミスタ25からの検出信号を受けて、調理室24内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段72により上ヒータ28の通断電を制御し、調理室24内の被調理物Sが上方向からグリル加熱される。
【0047】
このとき本実施形態の加熱調理制御部77は、オーブン調理のメニューを選択した場合と同様に、被調理物温度検出手段63の赤外線センサ63Aからの検出信号や、庫内温度検出手段64のサーミスタ25からの検出信号や、におい検出手段のにおいセンサ59からの検出信号を受けて、調理室24の庫内温度や、被調理物Sの表面温度や、排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視しており、上述したステップS1~S6と同様に判断し、上ヒータ28の通断電を制御する。このように構成することにより、オーブン加熱のメニューを選択した場合と同様に、グリル調理において被調理物Sの発煙や焦げることなどの過加熱を抑制でき、ユーザが本体1のそばにずっといなくてもグリル調理ができ、また誰でも簡単にグリル調理ができる。
【0048】
そしてレンジ調理のメニューを選択した場合、加熱調理制御部77は被調理物温度検出手段63からの検出信号を受けて、被調理物Sが設定した温度に加熱されるように、アンテナ位置検出手段67からの検出信号で、アンテナ51の原点位置を確認しながら、マイクロ波加熱手段71とアンテナ駆動手段73に適切な制御信号をそれぞれ送出する。これにより、マイクロ波発生装置29のマグネトロンやアンテナ51が動作して、回転するアンテナ51の表面から発生したマイクロ波が調理室24内に供給され、調理室24内の被調理物Sが高周波加熱される。
【0049】
このときもオーブン調理のメニューやグリル調理のメニューを選択した場合と同様に、本実施形態の加熱調理制御部77は、被調理物温度検出手段63の赤外線センサ63Aからの検出信号や、庫内温度検出手段64のサーミスタ25からの検出信号や、におい検出手段のにおいセンサ59からの検出信号を受けて、開始後の被調理物Sの表面温度や排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視しており、上述したステップS1~S5と同様に判断し、マイクロ波加熱手段71とアンテナ駆動手段73に適切な制御信号をそれぞれ送出する。このように構成することによりレンジ調理において、例えば日本酒のお燗など、発煙しやすい被調理物Sで発煙することや、被調理物Sで高周波加熱しすぎることなどの過加熱を抑制でき、ユーザが本体1のそばにずっといなくてもレンジ調理ができ、また誰でも簡単にレンジ調理ができる。
【0050】
そしてミスト過熱水蒸気を使った蒸し料理(スチーム調理)のメニューを選択した場合、加熱調理制御部77は庫内温度検出手段64からの検出信号を受けて、調理室24内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段72により上ヒータ28の通断電を制御する。そして調理室24の庫内温度が設定した温度に達していると加熱調理制御部77が判断すると、ポンプ駆動手段75に制御信号を送出し、ミスト供給装置53に組み込まれた給水ポンプ57の動作を制御して、ミスト噴出孔54から調理室24の内部に水を噴出してミストを供給する。このとき加熱調理制御部77は、調理室24内において設定温度で気化できる量の上限以下の水を1回で噴出するように、給水ポンプ57の動作を制御している。これにより、調理室24内が設定した温度に加熱されているためにミストが瞬時に過熱水蒸気に気化し、このとき気化しなかったミストも調理室24のいずれかの壁14a~14eに接触することで蒸発して過熱水蒸気に気化し、調理室24内の被調理物Sが適度な水分子(過熱水蒸気)ですばやく、ムラなく加熱される。したがって、被調理物Sの水っぽさを低減させて美味しく焼くことができる。また使用する水Wの量を半減できるためにドレンの量を減少させ、ほとんど無くすることができ、水受け9や調理室24のお手入れを容易にすることができる。
【0051】
調理室24の内部にミストを供給すると、調理室24内の庫内温度が減少する。加熱調理制御部77は調理室24の庫内温度が設定した温度に達しているかどうかを庫内温度検出手段64からの検出信号により判断し、達していないと加熱調理制御部77が判断した場合、加熱調理制御部77は調理室24内が設定した温度に加熱されるように、ヒータ駆動手段72により上ヒータ28の通断電を制御する。そして調理室24の庫内温度が設定した温度に達していると加熱調理制御部77が判断した場合は、上述のように調理室24の内部に水を噴出してミストを再度供給する。これにより、ミストを瞬時に過熱水蒸気に気化させて、調理室24内の被調理物Sを適度な水分子(過熱水蒸気)で加熱するため、加熱時の減塩・脱油の機能を有することができる。また被調理物Sを焦がさすに焼くことで、被調理物Sの本来の美味しさを引き出すことができる。
【0052】
このときもグリル調理のメニューを選択した場合と同様に、本実施形態の加熱調理制御部77は、被調理物温度検出手段63の赤外線センサ63Aからの検出信号や、庫内温度検出手段64のサーミスタ25からの検出信号や、におい検出手段のにおいセンサ59からの検出信号を受けて、調理室24の庫内温度や、被調理物Sの表面温度や、排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視しており、上述したステップS1~S5と同様に判断し、上ヒータ28の通断電を制御する。このように構成することにより、例えばミストの供給量が不足している場合や設定された加熱時間が多すぎる場合でも、スチーム調理において被調理物Sの発煙や焦げることなどの過加熱を抑制でき、ユーザが本体1のそばにずっといなくてもスチーム調理ができ、また誰でも簡単にスチーム調理ができる。
【0053】
以上のように本実施形態の加熱調理器としてのオーブンレンジは、被調理物Sを内部に収容する調理室24と、被調理物Sを加熱する加熱手段としての、熱風ユニット34、上ヒータ28またはマイクロ波発生装置29と、調理室24内の温度を検出する庫内温度検出手段64と、被調理物Sから排出される排気に含まれる所定成分のガスの量を検出するにおい検出手段68と、被調理物Sを設定温度で加熱調理するように上述した加熱手段を制御する加熱調理制御部77と、を備え、加熱調理制御部77は、調理室24内が設定温度で収束安定して飽和状態になったことを庫内温度検出手段64で検出した後で、検出された所定成分のガスの量が下降から上昇に転じたときの値である点P4から、所定値である点P5-点P4の値以上に上昇したことをにおい検出手段68で検出したときに、上述した加熱手段の加熱を終了するように構成される。
【0054】
この場合、オーブン調理やグリル調理、レンジ調理やスチーム調理などの加熱調理で被調理物Sの発煙や焦げることなどの過加熱を抑制できるため、加熱調理の開始後にユーザが本体1のそばにずっといなくてもよく、また誰でも簡単に加熱調理ができる。
【0055】
また本実施形態のオーブンレンジは、被調理物Sの表面温度を検出する被調理物温度検出手段63をさらに備え、加熱調理制御部77は、調理開始後に検出した、被調理物Sの表面温度、時間当たりの表面温度の上昇値および所定成分のガスの時間当たりの上昇量から被調理物Sの焦げやすさを判断して、所定値である点P5-点P4の値に反映させるように構成される。
【0056】
この場合、被調理物Sが蒸発しやすい成分を含んでいる焦げやすい被調理物の場合、調理終了となる所定成分のガスの量である点P5が検出されたときの加熱時間は、所定成分のガスの量が下降から上昇に転じた点P4が検出されたときからの加熱時間が短くなるので被調理物Sが焦げることを抑制できる。その一方で焦げにくい被調理物の場合、調理終了となる点P5が検出されたときの加熱時間は、点P4が検出されたときからの加熱時間が長くなるので、被調理物Sを中まで加熱することができ、生焼けや加熱不足を防止できる。
【0057】
また本実施形態のオーブンレンジは、調理の設定内容や進行状況を表示する表示手段6をさらに備え、加熱調理制御部77は、被調理物Sの焦げやすさを判断したデータから被調理物Sの予定加熱時間を算出して、表示報知制御部78を用いて当該予定加熱時間を表示手段6に表示するように構成され、ユーザが、あとどれくらいで加熱調理が完了するかの目安を知ることができるようにしている。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、魚料理などのにおいの強い被調理物の加熱調理を行なった後に行なう本体1のお手入れで、調理室24内に何も入れずに上ヒータ28で加熱を行なう脱臭作業において、加熱調理制御部77が、においセンサ59からの検出信号を受けて排出された排気に含まれる所定成分のガスの量を監視し、この所定成分のガスの量が所定量以下になるまで脱臭作業を続けるように構成されてもよい。また、におい検出手段68となるにおいセンサ59が排気経路58内や調理室24内に設置されてもよい。そして、加熱調理制御部77は被調理物Sの焦げやすさを判断して、所定値である点P5-点P4の値だけでなく、加熱調理の設定温度にも反映させて当該設定温度を増減するように構成されてもよい。さらに本実施形態の各部の構成や形状は、図示したものに限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 オーブンレンジ本体(加熱調理器)
6 表示手段
24 調理室
28 上ヒータ(加熱手段)
29 マイクロ波発生装置(加熱手段)
34 熱風ユニット(加熱手段)
63 被調理物温度検出手段
64 庫内温度検出手段
68 におい検出手段
77 加熱調理制御部
S 被調理物