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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】有機発光ダイオードディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/858 20230101AFI20230627BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230627BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20230627BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20230627BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20230627BHJP
【FI】
H10K50/858
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H10K59/122
H10K59/124
H10K59/35
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020204164
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2021099989
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171040
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】ミン クムキュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ミングン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨンフン
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0006557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0006626(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0175327(US,A1)
【文献】特開2006-098638(JP,A)
【文献】特開2018-037391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125742(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/858
G09F 9/30
H10K 59/122
H10K 59/124
H10K 59/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発光領域および発光領域を有する少なくとも1つの副画素を含む基板と、
前記基板の上部の前記非発光領域に配置される薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタの上部に配置され、表面に複数のマイクロレンズを含むオーバーコート層と、
前記オーバーコート層の上部の前記発光領域に配置され、前記薄膜トランジスタに接続される発光ダイオードと、を含み、
前記発光領域のサンプリング領域に含まれる前記複数のマイクロレンズの表面は、中心面に対して複数の凸部と複数の凹部に区分され、
前記中心面は、前記中心面に対する前記複数の凸部の体積が、前記中心面に対する前記複数の凹部の体積と同一になるように定義され、
前記中心面に対する前記複数の凸部の高さのうち、最大値である最大ピークが、0.45μm~0.72μmの範囲内にあり、
前記複数のマイクロレンズのうち、隣接した2つは第1極大部を構成し、
前記複数のマイクロレンズのうち、隣接した3つは第2極大部を構成し、
前記複数のマイクロレンズのそれぞれの中央部は極小部を構成し、
前記第1極大部と前記中央部の間、および前記第2極大部と前記中央部の間は、傾斜部を構成し、
隣接した2つの前記第2極大部の間には、前記第1極大部が配置され、
隣接した2つの前記第2極大部は、第1離間距離だけ離間し、
前記第2極大部は、前記第1極大部より第1高さだけ高く配置され、
前記第1離間距離の1/2に対する前記第1高さの比は、極大部の縦横比と定義され、
前記極大部の縦横比は、0.068~0.189の範囲内にある、有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項2】
前記最大ピークは、0.45μm~0.63μmの範囲内にある、請求項に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項3】
前記複数のマイクロレンズは、
横方向に沿って一列に配列され、
縦方向および対角方向に沿ってジグザグに配列される、請求項1に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項4】
前記極大部の縦横比は、0.068~0.153の範囲内にある、請求項1に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードは、
前記オーバーコート層の上部に配置され、前記薄膜トランジスタに接続される第1電極と、
前記第1電極の上部に配置される発光層と、
前記発光層の上部に配置される第2電極と、を含む、請求項1に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1電極、前記発光層、および前記第2電極は、前記オーバーコート層の表面形状に応じて、前記複数のマイクロレンズの形状を有する、請求項5に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第1電極と前記発光層の間に配置され、前記第1電極を露出する開口部を有するバンク層をさらに含む、請求項5に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項8】
前記複数のマイクロレンズは、前記バンク層の端部に接触する、請求項7に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項9】
前記薄膜トランジスタの上部に配置される保護層と、
前記保護層と前記オーバーコート層の間に配置される波長変換層と、をさらに含む、請求項7に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項10】
前記波長変換層は、カラーフィルター、量子ドット、および量子ドットを含有するカラーフィルターのうちの1つである、請求項9に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【請求項11】
前記バンク層の端部は、前記波長変換層の端部と重畳する、請求項9に記載の有機発光ダイオードディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に関するものであって、特にマイクロレンズにより光抽出効率が向上する有機発光ダイオードディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、本格的な情報化時代になるにつれて、大量の情報を処理および表示する情報ディスプレイに対する関心が高まり、また、携帯可能な情報媒体の利用に対する要求が強まって、それに応ずる様々な軽量・薄型の平板ディスプレイ装置が開発され、脚光を浴びている。
【0003】
特に、様々な平板ディスプレイ装置のうち、有機発光ダイオードディスプレイ装置(organic light emitting diode display device)は、自己発光素子であるため、非発光素子の液晶表示装置(liquid crystal display device)に用いられるバックライトが不要であることから、軽量・薄型が可能である。
【0004】
そして、液晶表示装置に比べて視野角およびコントラスト比が優れており、消費電力の面でも有利である。また、直流低電圧駆動が可能であり、応答速度が速い上に、内部構成要素が固体であるため、外部からの衝撃に強く、使用温度範囲も広いというメリットを有する。
【0005】
一方、かかる有機発光ダイオードディスプレイ装置は、発光層で生成された光が様々な構成要素を介して外部へ放出される過程において相当損失するため、外部へ放出される光は、発光層で生成された光のうち約20%程度に過ぎない。
【0006】
ここで、発光層から放出される光量は、発光ダイオードに印加される電流の大きさとともに増加することになるので、発光ダイオードにさらに多くの電流を印加して輝度をさらに上げることはできるが、電力の消耗が大きくなり、寿命が減少するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-43066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題を解決するために提示されたものであって、サンプリング領域における複数の極大部の最大高さを利用し、マイクロレンズの形状を調節することで、光抽出効率が向上し、信頼性が向上する有機発光ダイオードディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、サンプリング領域における複数の極大部の最大高さを利用し、マイクロレンズの形状を調節することで、色差の減少、シミの防止、信頼性の向上を実現可能な有機発光ダイオードディスプレイ装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決するため、本発明は、非発光領域および発光領域を有する少なくとも1つの副画素を含む基板と、前記基板の上部の前記非発光領域に配置される薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの上部に配置され、表面に複数のマイクロレンズを含むオーバーコート層と、前記オーバーコート層の上部の前記発光領域に配置され、前記薄膜トランジスタに接続される発光ダイオードと、を含み、前記発光領域のサンプリング領域に含まれる前記複数のマイクロレンズの表面は、中心面に対して複数の凸部と複数の凹部に区分されて、前記中心面に対する前記複数の凸部の体積は、前記中心面に対する前記複数の凹部の体積と同一であり、前記中心面に対する前記複数の凸部の高さのうち、最大値である最大ピークが、0.45μm~0.72μmの範囲内にある、有機発光ダイオードディスプレイ装置を提供する。
【0011】
そして、前記発光ダイオードのCIE1976L表色系の色差(ΔEab)は、2.5以下であり得る。
【0012】
また、前記最大ピークは、0.45μm~0.63μmの範囲内にあり得る。
【0013】
そして、前記発光ダイオードの光抽出効率の増加量は、15%以上であり得る。
【0014】
また、前記複数のマイクロレンズのうち、隣接した2つは第1極大部を構成し、前記複数のマイクロレンズのうち、隣接した3つは第2極大部を構成し、前記複数のマイクロレンズのうち、それぞれの中央部は極小部を構成して、前記第1極大部と前記中央部の間、および前記第2極大部と前記中央部の間は、傾斜部を構成することができる。
【0015】
そして、前記複数のマイクロレンズは、横方向に沿って一列に配列し、縦方向および斜め方向に沿ってジグザグに配列することができる。
【0016】
また、隣接した2つの前記第2極大部の間には、前記第1極大部が配置され、隣接した2つの前記第2極大部は、第1離間距離(第2極大部間の離間距離)だけ離間し、前記第2極大部は、前記第1極大部より第1高さ(第1極大部と第2極大部の高さの差)だけ高く配置される。そして、前記第1離間距離の1/2に対する前記第1高さの比は、極大部の縦横比と定義されるが、前記極大部の縦横比は、0.068~0.189の範囲内にあり得る。
【0017】
そして、前記極大部の縦横比は、0.068~0.153の範囲内にあり得る。
【0018】
また、前記発光ダイオードは、前記オーバーコート層の上部に配置され、前記薄膜トランジスタに接続される第1電極と、前記第1電極の上部に配置される発光層と、前記発光層の上部に配置される第2電極と、を含むことができる。
【0019】
そして、前記第1電極、前記発光層、および前記第2電極は、前記オーバーコート層の表面形状に応じて、前記複数のマイクロレンズの形状を有することができる。
【0020】
また、前記有機発光ダイオードディスプレイ装置は、前記第1電極と前記発光層の間に配置され、前記第1電極を露出する開口部を有するバンク層をさらに含むことができる。
【0021】
そして、前記複数のマイクロレンズは、前記バンク層の端部に接触することができる。
【0022】
また、前記有機発光ダイオードディスプレイ装置は、前記薄膜トランジスタの上部に配置される保護層と、前記保護層と前記オーバーコート層の間に配置される波長変換層と、をさらに含むことができる。
【0023】
そして、前記波長変換層は、カラーフィルター、量子ドット、および量子ドットを含有するカラーフィルターのうち、1つであり得る。
【0024】
また、前記バンク層の端部は、前記波長変換層の端部と重畳することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、サンプリング領域における複数の極大部の最大高さを利用し、マイクロレンズの形状を調節することで、光抽出効率が向上し、信頼性が向上する効果を奏する。
【0026】
また、本発明は、サンプリング領域における複数の極大部の最大高さを利用し、マイクロレンズの形状を調節することで、色差が減少してシミが防止され、信頼性が向上する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置のサンプリング領域を示す平面図である。
図3A図2のIIIa-IIIaに沿った断面図である。
図3B図2のIIIb-IIIbに沿った断面図である。
図4】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置のサンプリング領域を示す断面図である。
図5A】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第1サンプルの中心面を示す断面図である。
図5B】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第2サンプルの中心面を示す断面図である。
図6A】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図6B】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図6C】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図6D】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図6E】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図6F】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図6G】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図6H】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図である。
図7】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークに隣接した4つのマイクロレンズの形状変化を示す断面図である。
図8】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の色差を表示するためのCIE1976L表色系を示す図である。
図9A】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第3サンプルの点灯写真および色差マップを示す図である。
図9B】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第4サンプルの点灯写真および色差マップを示す図である。
図9C】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第5サンプルの点灯写真および色差マップを示す図である。
図9D】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第6サンプルの点灯写真および色差マップを示す図である。
図10】本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる光抽出効率の増加量および色差を示す図である。
図11】本発明の第2実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における隣接した4つのマイクロレンズの形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置について説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置を示す断面図であって、ボトムエミッションタイプの有機発光ダイオードディスプレイ装置を例に挙げて説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110は、基板120と、駆動薄膜トランジスタTdrと、発光ダイオードDelを含む。
【0031】
図面には示していないが、有機発光ダイオードディスプレイ装置110は、スイッチング薄膜トランジスタ、センシング薄膜トランジスタ、およびストレージキャパシタをさらに含むことができ、スイッチング薄膜トランジスタおよびセンシング薄膜トランジスタは、駆動薄膜トランジスタTdrと同じ構造を有することができる。
【0032】
具体的に、基板120は複数の副画素SPを含むが、各副画素SPは、発光ダイオードDelの配置された発光領域EAと、駆動薄膜トランジスタTdrの配置された非発光領域NEAを含む。
【0033】
基板120は、ガラスからなってもよく、ポリイミドのようなプラスチックからなってもよい。
【0034】
基板120の上部の非発光領域NEAには半導体層122が配置されるが、半導体層122は、チャネルの役割を果たすアクティブ領域122aと、アクティブ領域122aの両側のドレイン領域122bおよびソース領域122cを含む。
【0035】
アクティブ領域122aは、純粋な多結晶シリコンを含み、ドレイン領域122bおよびソース領域122cは、不純物がドープされた多結晶シリコンを含むことができる。
【0036】
他の実施例では、外部光による閾値電圧の変動を最小とするため、半導体層122の下部に遮光層を配置することができる。
【0037】
半導体層122の上部の基板120の全面には、ゲート絶縁層124が配置され、アクティブ領域122aに対応するゲート絶縁層124の上部には、ゲート電極126が配置される。
【0038】
図面には示していないが、ゲート絶縁層124の上部には、スイッチング薄膜トランジスタのゲート電極に接続されるゲート配線を配置することができる。
【0039】
ゲート電極126の上部の基板120の全面には、層間絶縁層128が配置され、ドレイン領域122bおよびソース領域122cに対応する層間絶縁層128の上部には、ドレイン電極132aおよびソース電極132bが配置される。
【0040】
図面には示していないが、層間絶縁層128の上部には、ゲート配線と交差して各副画素SPを定義し、スイッチング薄膜トランジスタのソース電極に接続されるデータ配線を配置することができる。
【0041】
層間絶縁層128およびゲート絶縁層124は、ドレイン領域122bとソース領域122cをそれぞれ露出する第1コンタクトホール130aおよび第2コンタクトホール130bを含み、ドレイン電極132aおよびソース電極132bは、それぞれ第1コンタクトホール130aと第2コンタクトホール130bを介し、ドレイン領域122bとソース領域122cに接触することができる。
【0042】
半導体層122、ゲート電極126、ドレイン電極132a、およびソース電極132bは、駆動薄膜トランジスタTdrを構成する。
【0043】
第1実施例では、多結晶シリコンを含むトップゲート型の駆動薄膜トランジスタTdrを例に挙げて説明するが、他の実施例では、駆動薄膜トランジスタTdrが非晶質シリコン、または酸化物半導体を含んでいてもよく、ボトムゲート型であってもよい。
【0044】
駆動薄膜トランジスタTdrの上部の基板120の全面には、保護層134が配置され、保護層134の上部の発光領域EAには、波長変換層136が配置される。
【0045】
波長変換層136は、発光ダイオードDelから基板120に向かって放出される白色光のうち、予め決められた波長の成分のみを透過させるカラーフィルターを含むことができる。
【0046】
例えば、複数の副画素SPは、赤色・緑色・青色・白色の副画素SPを含むことができ、赤色・緑色・青色の副画素SPは、それぞれ赤色・緑色・青色のカラーフィルターを、波長変換層136として含むことができる。
【0047】
そして、波長変換層136は、発光ダイオードDelから基板120に向かって放出される白色光によって再発光し、予め決められた波長の光を放出する量子ドット(quantum dot:QD)を含むことができる。
【0048】
例えば、量子ドットは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、InAlPAs、SbTeのうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0049】
例えば、赤色の副画素SPの波長変換層136は、CdSeまたはInPの量子ドットを含み、緑色の副画素SPの波長変換層136は、CdZnSeSの量子ドットを含み、青色の副画素SPの波長変換層136は、ZnSeの量子ドットを含むことができる。
【0050】
また、波長変換層136は、量子ドットを含有するカラーフィルターを含むことができる。
【0051】
波長変換層136の上部の基板120の全面にはオーバーコート層138が配置されるが、オーバーコート層138および保護層134は、ソース電極132bを露出する第3コンタクトホール140を含む。
【0052】
オーバーコート層138の表面には、相対的に高さの高い第1極大部142aと、第1極大部142aと極小部142cの間の傾斜部142bと、相対的に高さの低い極小部142cが配置されるが、中央の極小部142cと、極小部142cの両側の傾斜部142bと、傾斜部142bの両側の第1極大部142aは、単位マイクロレンズMLを構成する。
【0053】
オーバーコート層138は、約1.5の屈折率を有する絶縁物質からなり、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ベンゾシクロブテンおよびフォトレジストのうち、1つを含むことができる。
【0054】
オーバーコート層138の上部の発光領域EAには第1電極144が配置されるが、第1電極144は、第3コンタクトホール140を介してソース電極132bに接触することができる。
【0055】
例えば、第1電極144は、相対的に仕事関数の大きい物質からなる陽極(アノード)であり得る。
【0056】
第1電極144の上部の非発光領域NEAにはバンク層146が配置されるが、バンク層146は、第1電極144の端部を覆い、第1電極144の中央部を露出する開口部を有する。
【0057】
ここで、マイクロレンズMLを構成する極大部142a、傾斜部142b、および極小部142cは、バンク層146の開口部全体に配置されるが、例えば、マイクロレンズMLの極大部142a、傾斜部142b、および極小部142cは、バンク層146の端部に接触することができる。
【0058】
そして、バンク層146の開口部は、波長変換層136に対応するように配置することができるが、例えば、バンク層146の端部は、波長変換層136の端部と重畳することができる。その結果、波長変換層136を通過しない光の漏れが最小限に抑えられる。
【0059】
第1電極144の上部の基板120の全面には発光層148が配置されるが、発光層148は、発光物質の単層からなってもよく、正孔注入層(hole injecting layer)、正孔輸送層(hole transporting layer)、発光物質層(emitting material layer)、電子輸送層(electron transporting layer)、および電子注入層(electron injecting layer)の多層からなってもよい。
【0060】
発光層148の上部の基板120の全面には第2電極150が配置されるが、例えば、第2電極150は、相対的に仕事関数の小さい物質からなる陰極(カソード)であり得る。
【0061】
第1電極144、発光層148、および第2電極150は、発光ダイオードDelを構成する。
【0062】
ここで、オーバーコート層138の上部に配置される第1電極144、発光層148、および第2電極150は、全てオーバーコート層138の表面の極大部142a、傾斜部142b、および極小部142cの形状に沿って配置され、マイクロレンズMLの形状を有する。
【0063】
発光ダイオードDelの上部には、接着特性を有する透明の有機、または無機絶縁物質からなるフェイスシール152が配置され、フェイスシール152の上部には、薄膜フィルム状の保護フィルム154が配置される。
【0064】
ここで、保護フィルム154は、外部の酸素や水分が発光ダイオードDelの内部に浸透することを防止するため、無機保護フィルムを少なくとも2枚積層して用いられるが、2枚の無機保護フィルム間には、無機保護フィルムの耐衝撃性を補うための有機保護フィルムを介在することが好ましい。
【0065】
有機保護フィルムと無機保護フィルムが交互に繰り返して積層された構造では、有機保護フィルムの側面を通じて酸素や水分が浸透することを防止するため、無機保護フィルムが有機保護フィルムを完全に覆うように配置することができる。
【0066】
図面に示していないが、外部光の反射を最小とするため、基板120の下部に位相差板および偏光板を配置することができる。
【0067】
以上のように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110では、第1電極144および第2電極150に所定の電圧が印加されると、第1電極144からの正孔と第2電極150からの電子が発光層148で励起子(エキシトン)を形成し、該励起子が励起状態から基底状態へ遷移する際に光が生成される。
【0068】
そして、発光層148で生成された光は、透明な第1電極144を通じて外部へ放出され、有機発光ダイオードディスプレイ装置110は、任意の映像を具現化する。
【0069】
このとき、オーバーコート層138、第1電極144、発光層148、および第2電極150にマイクロレンズMLを形成し、発光層148内で繰り返される全反射によって閉じ込められた光の進行経路を基板120側に変更させることで、光抽出効率を向上させることができる。
【0070】
また、オーバーコート層138、第1電極144、発光層148、および第2電極150のマイクロレンズMLが、発光領域EAに対応するバンク層146の開口部の全体に配置されるので、発光領域EAの全体がマイクロレンズMLに使用され、光抽出効率が最大となり得る。
【0071】
かかる有機発光ダイオードディスプレイ装置110における光抽出効率の向上について、図面を参照して説明する。
【0072】
図2は、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置のサンプリング領域を示す平面図であり、図3Aは、図2のIIIa-IIIaに沿った断面図であり、図3Bは、図2のIIIb-IIIbに沿った断面図である。図1をともに参照しながら説明する。
【0073】
図2に示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110の発光領域EAにおけるサンプリング領域SAは、複数のマイクロレンズMLを含むが、複数のマイクロレンズMLは平面視形状が六角ハニカム構造であり得る。
【0074】
他の実施例では、マイクロレンズMLの平面視形状が円形、楕円形、四角形などであってもよい。
【0075】
六角形の複数のマイクロレンズMLは、横方向(第1方向)に沿って一列に配列され、縦方向(第2方向)および対角方向(第3方向)に沿ってジグザグに配列されている。
【0076】
1つのマイクロレンズMLは、その中央にある円形の極小部142cと、極小部142cの両側の傾斜部142bと、傾斜部142bの両側にある六角形の第1極大部142aを含む。
【0077】
横方向に沿って隣接した4つのマイクロレンズMLの断面を示す図3Aを参照すると、オーバーコート層138の2つのマイクロレンズMLが隣接した部分は第1極大部142aを構成し、マイクロレンズMLの中央部分は極小部142cを構成し、第1極大部142aと極小部142cの間は傾斜部142bを構成する。
【0078】
また、オーバーコート層138の上部の第1電極144、発光層148、および第2電極150は、オーバーコート層138のマイクロレンズMLの第1極大部142a、傾斜部142b、および極小部142cと同じ形状を有するように形成される。
【0079】
ここで、傾斜部142bの接線と水平面のなす角は、約20°~約60°であり得る。
【0080】
傾斜部142bの接線と水平面のなす角が約20°より小さい場合は、マイクロレンズMLによる光の進行角度と、マイクロレンズMLの形成されていないオーバーコート層138による光の進行角度とに差がないので、光抽出効率が向上しない。
【0081】
傾斜部142bの接線と水平面のなす角が約60°より大きい場合には、光の進行角度が、基板120と外部の空気層の間の全反射角度より大きくなるので、光抽出効率がむしろ低下する。
【0082】
一方、対角方向に沿って隣接した3つのマイクロレンズMLの断面を示す図3Bを参照すると、オーバーコート層138の2つのマイクロレンズMLが隣接した部分は第1極大部142aを構成し、マイクロレンズMLの中央部分は極小部142cを構成し、第1極大部142aと極小部142cの間は傾斜部142bを構成して、オーバーコート層138の3つのマイクロレンズMLが隣接した部分は第2極大部142dを構成する。
【0083】
第2極大部142dは、第1極大部142aより高い高さを有することができる。
【0084】
また、オーバーコート層138の上部の第1電極144、発光層148、および第2電極150は、オーバーコート層138のマイクロレンズMLの第1極大部142a、傾斜部142b、極小部142c、および第2極大部142dと同じ形状を有するように形成される。
【0085】
以上のように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110では、オーバーコート層138、第1電極144、発光層148、および第2電極150にマイクロレンズMLを形成し、発光層148内で繰り返される全反射によって閉じ込められた光の進行経路を基板120側に変更させることで、光抽出効率を向上させることができる。
【0086】
そして、有機発光ダイオードディスプレイ装置110のサンプリング領域SAに含まれる複数の第1極大部142a、複数の傾斜部142b、複数の極小部142c、および複数の第2極大部142dから、中心面CSおよび最大ピークRpを算出してマイクロレンズMLの形状を制御することができるが、これについて図面を参照しながら説明する。
【0087】
図4は、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置のサンプリング領域を示す断面図であり、図5A図5Bは、それぞれ本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第1サンプルおよび第2サンプルの中心面を示す断面図である。図1図3Bをともに参照しながら説明する。
【0088】
図4に示すように、サンプリング領域SAの一方向に沿ったサンプリング長さLs内におけるオーバーコート層138のマイクロレンズMLを測定し、交互に配置される第1凸部~第5凸部(CV1~CV5)と第1凹部~第5凹部(CC1~CC5)として表すことができるが、第1凸部~第5凸部(CV1~CV5)の面積と、第1凹部~第5凹部(CC1~CC5)の面積とが同一となる線を中心線と定義することができる。
【0089】
言い換えると、オーバーコート層138のマイクロレンズMLの表面を表す関数の積分値が0になる線を中心線として定義することができる。
【0090】
かかる概念を3次元に拡張すると、サンプリング領域SA内のオーバーコート層138のマイクロレンズMLを測定し、マイクロレンズMLの表面を表す関数で、中心面の上部にある複数の凸部の体積と、中心面の下部にある複数の凹部の体積とが同一になる面を中心面CSとして定義することができる。
【0091】
中心面は仮想の基準面である。基準面の法線がユーザーに向かう方向(すなわち、視野角内で表示面から遠ざかる方向)に沿って基板から離れるように、基準面は基板の表面に平行であってもよく、基板の表面と鋭角をなしてもよい。基準面の上部にある複数の凸部の体積は、複数の凸部を構成するオーバーコート層の体積としてカウントし、基準面の下部にある複数の凹部の体積は、基準面とオーバーコート層の間の空間の体積としてカウントすることができる。
【0092】
また、中心面CSから第1凸部~第5凸部(CV1~CV5)の第1極大部142aまたは第2極大部142dまでの距離である第1ピーク~第5ピーク(PK1~PK5)のうち、最大値である最大ピークRpを利用し、マイクロレンズMLの形状を調節することができる。
【0093】
すなわち、図5Aに示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第1サンプルは、第1極大部142a、または第2極大部142dが相対的に大きい第1幅w1を有し、それにより、相対的に高い位置の第1中心面CS1と、相対的に小さい第1最大ピークRp1を有する。
【0094】
また、図5Bに示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第2サンプルは、第1極大部142a、または第2極大部142dが相対的に小さい第2幅w2を有し、それにより、相対的に低い位置の第2中心面CS2と、相対的に大きい第2最大ピークRp2を有する。
【0095】
すなわち、マイクロレンズMLの第1極大部142a、または第2極大部142dがラウンド形状である場合、中心面CSが高くなり、最大ピークRpは小さくなって、マイクロレンズMLの第1極大部142a、または第2極大部142dが尖った形状を有する場合、中心面CSが低くなり、最大ピークRpは大きくなる。
【0096】
したがって、中心面CSに対する最大ピークRpを利用してマイクロレンズMLの形状を制御することができ、その結果、光抽出効率を向上させることができる。
【0097】
また、かかる中心面CSおよび最大ピークRpは、サンプリング領域SAにおける複数のマイクロレンズMLの複数の点から算出されるので、データの信頼性を向上させることができる。
【0098】
最大ピークRpによるマイクロレンズMLの形状変化について、図面を参照しながら説明する。
【0099】
図6A図6Hは、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる複数のマイクロレンズの形状変化を示す平面図および斜視図であり、図7は、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークに隣接した4つのマイクロレンズの形状変化を示す断面図である。図1図5Bをともに参照しながら説明する。
【0100】
図6A図6H、および図7に示すように、最大ピークRpが、約0.35μm、約0.40μm、約0.45μm、約0.50μm、約0.55μm、約0.60μm、約0.64μm、約0.69μmと増加する場合、第1極大部142a、または第2極大部142dの幅は漸次減少し、第1極大部142a、または第2極大部142dは、ラウンド形状から尖った形状に変化する。
【0101】
一方、かかる最大ピークRpを利用し、有機発光ダイオードディスプレイ装置の色差を制御することもできるが、これについて図面を参照しながら説明する。
【0102】
図8は、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の色差を表示するためのCIE1976L表色系を示す図である。
【0103】
図8に示すように、CIE1976L表色系は、CIE1931XYZ表色系で定義された白色に対する相対値として定義されるが、RGB、またはCMYKで表現できる全ての色域を含み、人間が認識できない色も含む。
【0104】
かかるCIE1976L表色系は、RGB、またはCMYKとは異なって、媒体に独立であるが、特に明度軸であるL値は、人間が感じる明るさ(輝度、明度)に対応する。
【0105】
CIE1976L表色系において、L軸の正の最大値は白色を表し、L軸の負の最大値は黒色を表す。そして、a軸の正の最大値は赤色を表し、a軸の負の最大値は緑色を表し、b軸の正の最大値は黄色を表して、b軸の負の最大値は青色を表す。
【0106】
CIE1931XYZ表色系は、距離に対して均等な色差を表現することが難しく、CIEu′v′表色系は、色相管理は可能なものの明るさの管理が難しい。一方、CIE1976L表色系は、明るさによる色相管理、すなわち、色差管理が可能である。
【0107】
このようなCIE1976L表色系の各軸の指数は、次式により、CIE1931XYZ表色系の各軸の指数から算出することができる。
【0108】
=116(Y/Y1/3-16
=500{(X/X1/3-(Y/Y1/3
=200{(Y/Y1/3-(Z/Z1/3
=903.3(Y/Y)forY/Y≦0.008856
=500{f(X/X)-f(Y/Y)}
=200{f(Y/Y)-f(Z/Z)}
【0109】
そして、かかるCIE1976L表色系の色差(ΔE ab)は、次の色差方程式によって各軸の指数の差から算出することができる。
【0110】
ΔE ab={(L -L +(a -a +(b -b 1/2
ΔE ab≒2.3 corresponds to a JND(just noticeable difference)
【0111】
例えば、色差(ΔE ab)が、約0~約0.2の範囲内にあれば、色相の測定が不可能であり、約0.2~約0.3の範囲内にあれば、略同一色と認識し、約0.3~約0.6の範囲内にあれば、実用的な色差として許容できる。また、約0.6~約1.2の範囲内にあれば、並べて測定したときに同一色と認識し、約1.2~約2.5の範囲内にあれば、分離して測定したときに同一色と認識し、約2.5~約5.0の範囲内にあれば、それぞれ測定したときに同一色と認識することができる。
【0112】
ここで、色差(ΔE ab)が約2.5を超えた場合は、肉眼で認識できる不良(2か所以上のシミ)と判断することができる。
【0113】
そのため、CIE1976L表色系の色差(ΔE ab)を利用し、有機発光ダイオードディスプレイ装置110におけるシミなどの不良を最小化することができるが、これについて図面を参照しながら説明する。
【0114】
図9A図9Dは、それぞれ本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置の第3サンプル~第6サンプルの点灯写真および色差マップを示す図である。図1図8をともに参照しながら説明する。
【0115】
図9A図9Dに示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110の第3サンプル~第6サンプルは、互いに異なる形状のマイクロレンズMLを含み、その結果、表示品質が互いに異なる。
【0116】
図9Aに示すように、有機発光ダイオードディスプレイ装置110の第3サンプルは、色差マップ全体において約1.8の最大色差(ΔE ab)を持ち、点灯写真にシミのような不良が見られず、表示品質の低下が防止される。
【0117】
また、図9Bに示すように、有機発光ダイオードディスプレイ装置110の第4サンプルは、色差マップ全体において約2.5の最大色差(ΔE ab)を持ち、点灯写真にシミのような不良が見られず、表示品質の低下が防止される。
【0118】
一方、図9Cに示すように、有機発光ダイオードディスプレイ装置110の第5サンプルは、色差マップ全体において約3.6の最大色差(ΔE ab)を持ち、点灯写真にはシミのような不良が2か所見られ、表示品質が低下する。
【0119】
また、図9Dに示すように、有機発光ダイオードディスプレイ装置110の第6サンプルは、色差マップ全体において約5.5の最大色差(ΔE ab)を持ち、点灯写真にはシミのような不良が3か所見られ、表示品質が低下する。
【0120】
以上のように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110では、CIE1976L表色系の色差(ΔE ab)を利用して、シミのような不良を最小化することができ、その結果、表示品質の低下を防止することができる。
【0121】
一方、有機発光ダイオードディスプレイ装置110のマイクロレンズMLの最大ピークRpを利用し、光抽出効率および色差(ΔE ab)を制御することができる。これについて図面を参照しながら説明する。
【0122】
図10は、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における最大ピークによる光抽出効率の増加量および色差を示す図である。図1図9Dをともに参照しながら説明する。
【0123】
図10に示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110のマイクロレンズMLの最大ピークRp(μm)による光抽出効率の増加量および色差(ΔE ab)は、それぞれ第1グラフG1と第2グラフG2で表される。最大ピークRpが増加するにつれて、マイクロレンズMLのない場合に対する光抽出効率の増加量は、増加してから減少し、色差(ΔE ab)は、減少してから増加する。
【0124】
すなわち、最大ピークRpが増加するにつれて、マイクロレンズMLの第1極大部142aおよび第2極大部142dは、ラウンド形状から尖った形状に変わるが、マイクロレンズMLの第1極大部142aおよび第2極大部142dが極度なラウンド形状(言い換えると、フラットに近いラウンド形状)、または過度に尖った形状である場合は、光抽出効率の増加量が減少して色差(ΔE ab)が増加する。
【0125】
具体的に、第1グラフG1によると、最大ピークRpが約0.38μm以上である場合、光抽出効率の増加量が約0%以上であり、最大ピークRpが約0.45μm~約0.63μmの範囲内にある場合、光抽出効率の増加量が約15%以上である。
【0126】
また、第2グラフG2によると、最大ピークRpが約0.45μm~約0.72μmの範囲内にある場合、色差(ΔE ab)が約2.5以下である。
【0127】
ここで、色差(ΔE ab)が約2.5を超えた場合、2か所以上のシミを有する不良と判断することができるので、色差(ΔE ab)が約2.5以下である、すなわち、約0.45μm~約0.72μmの範囲内の最大ピークRpを有するようにマイクロレンズMLを形成することで、シミのような不良を防止し、光抽出効率を向上させることができる。
【0128】
マイクロレンズMLの最大ピークRpが約0.45μmより小さいか、または約0.72μmより大きい場合は、色差(ΔE ab)が約2.5を超えるので、2か所以上のシミを有する不良が発生し得る。
【0129】
そして、光抽出効率の増加量が約15%以上である場合、マイクロレンズMLの形成のためのコスト増加および歩留まり減少を相殺することができるので、光抽出効率の増加量が約15%以上である、すなわち、約0.45μm~約0.63μmの範囲内の最大ピークRpを有するようにマイクロレンズMLを形成することで、シミのような不良を防止し、光抽出効率をさらに向上させることができる。
【0130】
マイクロレンズMLの最大ピークRpが約0.45μmより小さいか、または約0.63μmより大きい場合は、光抽出効率の増加量が約15%より小さく、光抽出効率の改善効果が、コスト増加および歩留まり減少を相殺できないことがある。
【0131】
以上のように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110では、サンプリング領域SAにおける複数のマイクロレンズMLの複数の点から中心面CSおよび最大ピークRpを算出し、最大ピークRpを利用してマイクロレンズMLの形状やそれによる光抽出効率および色差(ΔE ab)を調節することができる。その結果、データの信頼性が向上し、光抽出効率が向上して、シミのような不良が最小となる。
【0132】
一方、第1実施例では、サンプリング領域SAにおける複数のマイクロレンズMLの複数の点から算出された最大ピークRpを利用し、マイクロレンズMLの形状を調節するが、他の実施例では、隣接した4つのマイクロレンズMLの第1極大部および第2極大部から算出された極大部の縦横比を利用して、マイクロレンズMLの形状を調節することができる。これについて図面を参照しながら説明する。
【0133】
図11は、本発明の第2実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置における隣接した4つのマイクロレンズの形状を示す断面図である。第2実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置は、第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110と同じ構造を有し、図11は、図2のIIIb-IIIbに対応する。
【0134】
図11に示すように、本発明の第2実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110における第1極大部142aは、隣接した2つの第2極大部142d間に配置される。
【0135】
ここで、隣接した2つの第2極大部142dは、第1離間距離Rdだけ離間して配置され、第2極大部142dは、第1極大部142aより第1高さRhだけ高く配置されるが、第1極大部142aと第2極大部142dの間の離間距離(Rd/2)に対する第1高さRhの比である、極大部の縦横比(Rar=Rh/(Rd/2)=2Rh/Rd)を利用し、第1極大部142aおよび第2極大部142dの形状を調節することができる。
【0136】
すなわち、極大部の縦横比Rarは、最大ピークRpに連動して変化するので、極大部の縦横比Rarを利用し、マイクロレンズMLの形状を調節することができる。
【0137】
例えば、最大ピークRp(μm)と極大部の縦横比Rarは、表1に示すような対応関係を有することができる。
【0138】
【表1】
【0139】
したがって、色差(ΔE ab)が約2.5以下である、すなわち、約0.45μm~約0.72μmの範囲内の最大ピークRpに対応する、約0.068~約0.189の範囲内の極大部の縦横比Rarを有するようにマイクロレンズMLを形成することで、シミのような不良を防止し、光抽出効率を向上させることができる。
【0140】
マイクロレンズMLの極大部の縦横比Rarが約0.068より小さいか、または約0.189より大きい場合には、色差(ΔE ab)が約2.5を超え、2か所以上のシミを有する不良が発生し得る。
【0141】
また、光抽出効率が約15%以上である、すなわち、約0.45μm~約0.63μmの範囲内の最大ピークRpに対応する、約0.068~約0.153の範囲内の極大部の縦横比Rarを有するようにマイクロレンズMLを形成することで、シミのような不良を防止し、光抽出効率をさらに向上させることができる。
【0142】
マイクロレンズMLの極大部の縦横比Rarが約0.068より小さいか、または約0.153より大きい場合は、光抽出効率が約15%より小さく、光抽出効率の改善効果が、コスト増加および歩留まり減少を相殺できないことがある。
【0143】
以上のように、本発明の第2実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110では、隣接した4つのマイクロレンズMLの第1極大部142aおよび第2極大部142dから極大部の縦横比Rarを算出し、極大部の縦横比Rarを利用してマイクロレンズMLの形状や、それによる光抽出効率および色差(ΔE ab)を調節することができる。その結果、データの信頼性が向上し、光抽出効率が向上して、シミのような不良が最小となる。
【0144】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野における当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想および領域を逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正および変形することができることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0145】
110…ディスプレイ装置、120…基板、Tdr…駆動薄膜トランジスタ、138…オーバーコート層、ML…マイクロレンズ、142a…第1極大部、142b…傾斜部、142c…極小部、142d…第2極大部、Del…発光ダイオード
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11