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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】トランスジェニックレインボーシャーク
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/027 20060101AFI20230627BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A01K67/027
C12N15/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020538129
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 US2019013072
(87)【国際公開番号】W WO2019140103
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】62/615,638
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/615,634
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/615,628
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/615,625
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】ECACC  19010802
【微生物の受託番号】ECACC  19010801
【微生物の受託番号】ECACC  19010803
【微生物の受託番号】ECACC  19010804
(73)【特許権者】
【識別番号】519351303
【氏名又は名称】グローフィッシュ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】アラン ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】リチャード クロケット
(72)【発明者】
【氏名】アイダス ナセビシウス
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/183728(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0025645(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0210453(US,A1)
【文献】特表2020-512018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/027
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光タンパク質をコードする染色体に組み込まれた発現カセットを含むトランスジェニックレインボーシャークであって、ここで、前記レインボーシャークは:
「オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010802);
「紫色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010801);
「青色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記青色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010803);または
「緑色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010804)
から成る群から選択される形質転換事象を含む、トランスジェニックレインボーシャーク。
【請求項2】
繁殖力のあるトランスジェニックレインボーシャークとしてさらに定義される、請求項1に記載のトランスジェニックレインボーシャーク。
【請求項3】
前記トランスジェニックレインボーシャークが、前記組み込まれた発現カセットに対してホモ接合性である、請求項1に記載のトランスジェニックレインボーシャーク。
【請求項4】
前記トランスジェニックレインボーシャークが、前記組み込まれた発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項1に記載のトランスジェニックレインボーシャーク。
【請求項5】
前記トランスジェニックレインボーシャークが、飼育者または卸業者によって小売業者に流通される、請求項に記載のトランスジェニックレインボーシャーク
【請求項6】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項に記載のトランスジェニックレインボーシャーク
【請求項7】
トランスジェニックレインボーシャークを生産する方法であって、以下の:
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体に組み込まれた発現カセットを含む第一のレインボーシャークを得る工程、ここで、前記レインボーシャークは:
「オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010802);
「紫色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010801);
「青色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記青色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010803);または
「緑色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010804)
から成る群から選択される形質転換事象を含む;および
(b)前記第一のレインボーシャークと第二のレインボーシャークを交配し、第三のレインボーシャークを提供する工程、ここで、前記第三のレインボーシャークは、前記第一のレインボーシャークと同じ形質転換事象を含む、
を含む方法。
【請求項8】
前記第二のレインボーシャークが、非トランスジェニックレインボーシャークである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
蛍光タンパク質をコードする染色体に組み込まれた発現カセットを含む、請求項1に記載のトランスジェニックレインボーシャークの子孫であって、ここで、前記レインボーシャークおよび子孫が蛍光を発し、かつ、
「オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010802);
「紫色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010801);
「青色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記青色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010803);または
「緑色レインボーシャーク1形質転換事象」、ここで、前記緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含む精子はECACCに寄託されている(受託番号19010804)
から成る群から選択される形質転換事象を含む、トランスジェニックレインボーシャークの子孫
【請求項10】
前記子孫魚が、繁殖力のあるトランスジェニックレインボーシャークである、請求項に記載の子孫魚。
【請求項11】
前記子孫魚が、前記組み込まれた発現カセットに対してホモ接合性である、請求項に記載の子孫魚。
【請求項12】
前記子孫魚が、前記組み込まれた発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項に記載の子孫魚。
【請求項13】
前記子孫魚が、飼育者または卸業者によって小売業者に流通される、請求項に記載の子孫魚
【請求項14】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多製品小売業者である、請求項13に記載の子孫魚
【請求項15】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、以下の:
(a)請求項に記載の第一の子孫魚を得る工程;および
(b)前記第一の子孫魚と第二の魚を交配し、第三の魚を提供する工程、ここで、前記第三の魚は、前記第一の子孫魚と同じ形質転換事象を含む、
を含む方法。
【請求項16】
前記第二の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年1月10日にPCT国際特許出願として提出されており、そして、2018年1月10日に出願され、Transgenic Orange Rainbow Sharkと題しされた米国特許仮出願第62/615,625号、2018年1月10日に出願され、Transgenic Purple Rainbow Sharkと題された米国特許仮出願第62/615,628号、2018年1月10日に出願され、Transgenic Blue Rainbow Sharkと題された米国特許仮出願第62/615,634号、2018年1月10日に出願され、Transgenic Green Rainbow Sharkと題された米国特許仮出願第62/615,638号の優先権を主張する。前述の参考文献のそれぞれをその全体として参照により本明細書に援用する。
【0002】
技術分野
本発明は、トランスジェニック魚に関する。具体的には、本発明は、オレンジ色のトランスジェニックレインボーシャークに関する。具体的には、本発明は、紫色のトランスジェニックレインボーシャークに関する。具体的には、本発明は、青色のトランスジェニックレインボーシャークに関する。具体的には、本発明は、緑色のトランスジェニックレインボーシャークに関する。
【背景技術】
【0003】
導入
トランスジェニック技術は、宿主が新しい遺伝形質を獲得することを可能にする宿主生物への外来遺伝子の導入を伴う。トランスジェニック技術は、多くの潜在的な用途を有する。例えば、新しい種類の魚を作成するために、導入遺伝子を魚に導入することに用いられ得る。魚に外来遺伝子を導入する方法には、次のような多くの方法を含む: マイクロインジェクション(例えば、Zhu et al., 1985; Du et al., 1992)、エレクトロポレーション(Powers et al., 1992)、精子媒介遺伝子導入(Khoo et al., 1992; Sin et al., 1993)、遺伝子ボンバードメントまたは遺伝子ガン(Zelenin et al., 1991)、リポソーム媒介遺伝子移入(Szelei et al., 1994)、および筋肉組織へのDNAの直接注射(Xu et al., 1999)。最初のトランスジェニック魚の報告は、マウスメタロチオネイン遺伝子プロモーターおよびヒト成長ホルモン遺伝子からなるキメラ遺伝子コンストラクトを使用してZhu et al.,(1985)によって公開された。初期のトランスジェニック魚の研究のほとんどは、急速に成長する魚を生成することを目的とした成長ホルモン遺伝子導入に集中している。初期の試みの大部分は、異種成長ホルモン遺伝子とプロモーターを使用し、これらの魚の生産に失敗したが(例えば、Chourrout et al., 1986; Penman et al., 1990; Brem et al., 1988; Gross et al., 1992)、アトランティックサーモン、いくつかの種のパシフィックサーモン、およびドジョウを含むいくつかの魚種でトランスジェニック魚の成長の強化が実証されている(例えば、Du et al., 1992; Delvin et al., 1994, 1995; Tsai et al., 1995)。
【0004】
レインボーシャーク(Epalzeorhynchos frenatum)は、タイ産の淡水コイ科である。ヒレの色は赤からオレンジレッドに変化するが、体は、黒または濃い灰色から明るい銀色に変化する。アルビノの形態は、これらより黒い斑点を欠き、体色は、バターまたはパール色の外観を有する。しかしながら、観賞魚業界では、灰色またはパール色の体は、様々な色を効率的に示すことに役立たない。蛍光タンパク質を用いた遺伝子組み換えでの色素形成が改変されたそのようなレインボーシャークの利用可能性は、様々な色をより良く見せることにより、観賞魚業界により良い製品をもたらすだろう。
【0005】
多くの蛍光タンパク質が、当該技術分野で知られており、種々の緑、黄色、オレンジ色、青、または紫色を示す蛍光タンパク質を含む、種々の細胞プロセス調査に使用されている。蛍光タンパク質を含むトランスジェニック実験は、遺伝子組換えの新しいマーカーおよびレポーターを提供するが、斯かるタンパク質を発現するレインボーシャークの開発および産生の分野での進歩は限られている。
【発明の概要】
【0006】
トランスジェニックレインボーシャーク
特定の実施形態において、本開示は、トランスジェニック蛍光を発する魚を作製すること、斯かる魚を観賞魚産業に供給することに関する。
【0007】
いくつかの実施形態において、トランスジェニック魚またはトランスジェニック魚の作製方法が提供される。特定の実施形態において、当該トランスジェニック魚は、繁殖力のある、トランスジェニックの、蛍光を発する魚である。特定の実施形態において、開示されたコンストラクトおよび方法で使用する魚は、レインボーシャークである。レインボーシャークの皮膚の色は、皮膚の色素細胞によって決定され、色素細胞は、メラノソーム(黒色または茶色)、キサントソーム(黄色)、エリトロソーム(オレンジ色または赤色)、またはイリドソーム(白色を含む虹色)と称される色素顆粒を含む。色素細胞当たりの色素顆粒の数、サイズ、および密度は、魚の皮膚の色に影響する。
【0008】
少なくとも1つの例示的な実施形態において、形質転換事象(transformation event)と称される特定のトランスジェニック組み込み事象(transgenic integration event)を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、見た目が美しいオレンジ色を体現しているため、特に興味深いものである。これらの特定のトランスジェニック事象を含むトランスジェニック魚は、形質転換事象についてホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。形質転換事象を欠く魚と交配されたホモ接合性の魚は、ほぼ全ての場合において、100%のヘテロ接合性の子孫を産する。これら特定のトランスジェニック事象を含む卵、精子、および胚も、本発明の一部として含まれる。
【0009】
特定のトランスジェニック組み込み事象に関するそのような一実施形態において、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含むオレンジ色のレインボーシャークまたはその子孫が提供され、ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010802)に寄託されているオレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む。染色体に組み込まれた導入遺伝子は、1つの組み込まれた発現カセットまたは2つ以上の組み込まれた発現カセットに存在し得る。特定の態様において、斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、繁殖力のあるトランスジェニックレインボーシャークである。斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、導入遺伝子または(単数もしくは複数の)組み込まれた発現カセットに対してホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。
【0010】
また、オレンジ色レインボーシャーク形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを観賞魚市場に供給する方法も開示される。いくつかの実施形態において、当該方法は、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫を得ること(ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010802)に寄託されているオレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む)、および当該魚を観賞魚市場に流通させること、を含む。斯かる魚は、飼育者によって卸業者に流通され得、または斯かる魚は、飼育者または卸業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0011】
いくつかの態様において、トランスジェニックレインボーシャークを作製する方法は、以下:
(a)蛍光を発し、1つ以上の染色体に組み込まれた導入遺伝子または発現カセットを含むレインボーシャークを得る工程、ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010802)に寄託されているオレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む;および
(b)得られたレインボーシャークと第二のレインボーシャークを交配し、オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを提供する工程、を含む。第二のレインボーシャークは、トランスジェニックまたは非トランスジェニックレインボーシャークであり得る。
【0012】
さらなる実施形態において、トランスジェニック生物を産生する方法も提供され、当該方法は、トランスジェニック子孫を産生するために、ECACC(受託番号19010802)に寄託されているような精子を含むオレンジ色レインボーシャーク1形質転換を含む精子を使用することを含む。斯かる子孫は、例えば、レインボーシャーク、コイ目(Cypriniformes)ファミリーの種、エパルゼオリンコス(Epalzeorhynchos)属の種、レインボーシャークに関連する種または属、または他の魚種または属であり得る。いくつかの態様において、当該魚は、当該技術分野で知られている、または本明細書に記載されるインビトロ受精技術を使用して産生され得る。
【0013】
少なくとも1つの例示的な実施形態において、本明細書において形質転換事象と称される特定のトランスジェニック組み込み事象を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、見た目が美しい紫色を体現しているため、特に興味深いものである。これら特定のトランスジェニック事象を含むトランスジェニック魚は、形質転換事象についてホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。形質転換事象を欠く魚と交配されたホモ接合の魚は、ほぼ全ての場合、100%のヘテロ接合性の子孫を産する。これら特定のトランスジェニック事象を含む卵、精子、および胚も、本発明の一部として含まれる。
【0014】
斯かる特定のトランスジェニック組み込み事象に関する一実施形態において、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含む紫色トランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫が提供され、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010801)に寄託されている紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「紫色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む。染色体に組み込まれた導入遺伝子は、1つの組み込まれた発現カセットまたは2つ以上の組み込まれた発現カセットに存在し得る。特定の態様において、斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、繁殖力のあるトランスジェニックレインボーシャークである。斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、導入遺伝子または(単数もしくは複数の)組み込まれた発現カセットに関してホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。
【0015】
紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを観賞魚市場に供給する方法も開示される。いくつかの実施形態において、当該方法は、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫を得ること(ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010801)に寄託されている紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「紫色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む)、および観賞魚業界に魚を流通させること、を含む。斯かる魚は、飼育者によって卸業者に流通され得、または斯かる魚は、飼育者または卸業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0016】
いくつかの態様において、トランスジェニックレインボーシャークを作製する方法は、以下:
(a)蛍光を発し、1つ以上の染色体に組み込まれた導入遺伝子または発現カセットを含むレインボーシャークを得る工程、ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010801)に寄託されている紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「紫色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む;および
(b)得られたレインボーシャークと第二のレインボーシャークを交配し、紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを提供する工程、を含む。第二のレインボーシャークは、トランスジェニックまたは非トランスジェニックレインボーシャークであり得る。
【0017】
さらなる実施形態において、トランスジェニック生物を産生する方法も提供され、当該方法は、トランスジェニック子孫を産生するために、ECACC(受託番号19010801)に寄託されているような精子を含む紫色レインボーシャーク1形質転換を含む精子を使用することを含む。斯かる子孫は、例えば、レインボーシャーク、コイ目ファミリーの種、エパルゼオリンコス属の種、レインボーシャークに関連する種または属、または他の魚種または属であり得る。いくつかの態様において、当該魚は、当該技術分野で知られている、または本明細書に記載されるインビトロ受精技術を使用して産生され得る。
【0018】
少なくとも1つの例示的な実施形態において、本明細書において形質転換事象と称される特定のトランスジェニック組み込み事象を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、見た目が美しい青色を体現しているため、特に興味深いものである。これら特定のトランスジェニック事象を含むトランスジェニック魚は、形質転換事象についてホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。形質転換事象を欠く魚と交配されたホモ接合の魚は、ほぼ全ての場合、100%のヘテロ接合性の子孫を産する。これら特定のトランスジェニック事象を含む卵、精子、および胚も、本発明の一部として含まれる。
【0019】
斯かる特定のトランスジェニック組み込み事象に関する一実施形態において、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含む青色トランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫が提供され、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010803)に寄託されている青色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「青色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む。染色体に組み込まれた導入遺伝子は、1つの組み込まれた発現カセットまたは2つ以上の組み込まれた発現カセットに存在し得る。特定の態様において、斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、繁殖力のあるトランスジェニックレインボーシャークである。斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、導入遺伝子または(単数もしくは複数の)組み込まれた発現カセットに関してホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。
【0020】
青色レインボーシャーク1形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを観賞魚市場に供給する方法も開示される。いくつかの実施形態において、当該方法は、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫を得ること(ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010803)に寄託されている青色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「青色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む)、および観賞魚業界に魚を流通させること、を含む。斯かる魚は、飼育者によって卸業者に流通され得、または斯かる魚は、飼育者または卸業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0021】
いくつかの態様において、トランスジェニックレインボーシャークを作製する方法は、以下:
(a)蛍光を発し、1つ以上の染色体に組み込まれた導入遺伝子または発現カセットを含むレインボーシャークを得る工程、ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010803)に寄託されている青色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「青色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む;および
(b)得られたレインボーシャークと第二のレインボーシャークを交配し、青色レインボーシャーク1形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを提供する工程、を含む。第二のレインボーシャークは、トランスジェニックまたは非トランスジェニックレインボーシャークであり得る。
【0022】
さらなる実施形態において、トランスジェニック生物を産生する方法も提供され、当該方法は、トランスジェニック子孫を産生するために、ECACC(受託番号19010803)に寄託されているような精子を含む青色レインボーシャーク1形質転換を含む精子を使用することを含む。斯かる子孫は、例えば、レインボーシャーク、コイ目ファミリーの種、エパルゼオリンコス属の種、レインボーシャークに関連する種または属、または他の魚種または属であり得る。いくつかの態様において、当該魚は、当該技術分野で知られている、または本明細書に記載されるインビトロ受精技術を使用して産生され得る。
【0023】
少なくとも1つの例示的な実施形態において、本明細書において形質転換事象と称される特定のトランスジェニック組み込み事象を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、見た目が美しい緑色を体現しているため、特に興味深いものである。これら特定のトランスジェニック事象を含むトランスジェニック魚は、形質転換事象についてホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。形質転換事象を欠く魚と交配されたホモ接合の魚は、ほぼ全ての場合、100%のヘテロ接合性の子孫を産する。これら特定のトランスジェニック事象を含む卵、精子、および胚も、本発明の一部として含まれる。
【0024】
斯かる特定のトランスジェニック組み込み事象に関する一実施形態において、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含む緑色トランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫が提供され、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010803)に寄託されている緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「緑色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む。染色体に組み込まれた導入遺伝子は、1つの組み込まれた発現カセットまたは2つ以上の組み込まれた発現カセットに存在し得る。特定の態様において、斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、繁殖力のあるトランスジェニックレインボーシャークである。斯かるトランスジェニックレインボーシャークは、導入遺伝子または(単数もしくは複数の)組み込まれた発現カセットに関してホモ接合性またはヘテロ接合性(例えば、半接合性を含む)であり得る。
【0025】
緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを観賞魚市場に供給する方法も開示される。いくつかの実施形態において、当該方法は、染色体に組み込まれた導入遺伝子を含むトランスジェニックレインボーシャークまたはその子孫を得ること(ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010804)に寄託されている緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「緑色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む)、および観賞魚業界に魚を流通させること、を含む。斯かる魚は、飼育者によって卸業者に流通され得、または斯かる魚は、飼育者または卸業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多製品小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0026】
いくつかの態様において、トランスジェニックレインボーシャークを作製する方法は、以下:
(a)蛍光を発し、1つ以上の染色体に組み込まれた導入遺伝子または発現カセットを含むレインボーシャークを得る工程、ここで、当該レインボーシャークは、ECACC(受託番号19010804)に寄託されている緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含む「緑色レインボーシャーク1形質転換事象」精子を含む;および
(b)得られたレインボーシャークと第二のレインボーシャークを交配し、緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを提供する工程、を含む。第二のレインボーシャークは、トランスジェニックまたは非トランスジェニックレインボーシャークであり得る。
【0027】
さらなる実施形態において、トランスジェニック生物を産生する方法も提供され、当該方法は、トランスジェニック子孫を産生するために、ECACC(受託番号19010804)に寄託されているような精子を含む緑色レインボーシャーク1形質転換を含む精子を使用することを含む。斯かる子孫は、例えば、レインボーシャーク、コイ目ファミリーの種、エパルゼオリンコス属の種、レインボーシャークに関連する種または属、または他の魚種または属であり得る。いくつかの態様において、当該魚は、当該技術分野で知られている、または本明細書に記載されるインビトロ受精技術を使用して産生され得る。
【0028】
この明細書において使用される場合「a」または「an」は1つ以上を意味し得る。本請求項で用いられる場合、「含む」という単語と併せて使用される際、「a」または「an」という単語は、1つまたは複数を意味し得る。
【0029】
請求項における「または」という用語の使用は、代替案のみを示すように明示的に示されていない限り、または代替案が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、当該開示は、代替案および「および/または」のみを参照する定義をサポートする。本明細書で使用される「他の」とは、少なくとも2つ以上を意味する場合がある。
【0030】
本出願全体を通して、用語「約」は、値が装置の誤差の固有の変動、値を決定するために採用されている方法、または研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。本方法、キットおよび組成物の何れかの任意の実施形態は、記載された特徴および/または工程を含む(comprise)/含む(include)/含む(contain)/有する(have)よりむしろ、本質的になるまたはからなることが可能である。
【0031】
従って、請求項の何れかにおいて、用語「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」は、所定のクレームの範囲を他の方法で制限のない結合動詞を使用することから変更する目的で、上記に列挙された制限のない結合動詞の何れかと置き換えることで達成され得る。本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本発明の本質および範囲内の様々な変更および改変は、この詳細な説明から当業者に明らかになるが、しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示のみのために与えられていることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の詳細な説明
トランスジェニック魚
いくつかの態様において、本開示は、トランスジェニック魚に関する。トランスジェニック魚の作製方法は、例えば、米国特許出願7,135,613;7,834,239に記載されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、クラゲPhialidium sp.由来の黄色蛍光タンパク質PhiYFPの強化されたバリアントであるTurboYFP(Shagin et al., 2004)など、黄色蛍光タンパク質(YFP)をコードする発現カセットを使用して、トランスジェニックオレンジ色レインボーシャークが生み出され得る。他の実施例において、紫色蛍光タンパク質(PFP)をコードする発現カセットを使用してトランスジェニック紫色レインボーシャークが生み出され得る。他の実施例において、トランスジェニック青色レインボーシャークは、TagBFPなどの青色蛍光タンパク質(BFP)をコードする発現カセット、または非蛍光青色色素タンパク質と組み合わせたTagBFPを使用して生み出され得る。他の実施例において、トランスジェニック緑色レインボーシャークは、zsGreen1などの緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現カセットを使用して生み出され得る。
【0033】
商業的価値、特に観賞魚産業内の商業的価値のある魚の種および品種に属する魚を使用することが好ましい。斯かる魚は、限定されないが、ナマズ、ゼブラフィッシュおよび他のダニオ属、メダカ、カープ(carp)、ティラピア、金魚、テトラ、バーブ、シャーク(レインボーシャークなどのcyprinidaeファミリー)、エンジェルフィッシュ、ドジョウ、コイ、グラスフィッシュ、ディスカス、ウナギ、ハゼ、グラミー、グッピー、クシフォフォルス、ハチェットフィッシュ、モリーフィッシュ、またはパンガシウスを含む。本開示の中で使用するための特定の魚は、レインボーシャーク、Epalzeorhynchos frenatumである。レインボーシャークは、人気が高まっている鑑賞動物であり、様々な色を加えることでの商業的価値が存在するであろう。レインボーシャークの胚は、簡単に利用可能であり、ほぼ透明である。レインボーシャークの皮膚の色は、メラノソームと称される色素顆粒を含む皮膚の色素細胞によって決定される。色素細胞当たりのメラノソームの数、サイズ、および密度は、魚の皮膚の色に影響する。
【0034】
in vitro受精
商業的養殖において、オレンジ色、紫色、青色、緑色レインボーシャークを含むレインボーシャークは、自然産卵されないが、過去数十年にわたって非蛍光の対応物の複製に使用されてきた、同じ、長年にわたる、業界標準のプロセスを使用してin vitroで産卵される。同時に、レインボーシャークは、メスは産卵ごとにかなりの数の卵を産卵し、扱いやすく、繁殖しやすいため、ホルモン誘導の理想的な候補である。一般的に、レインボーシャークは、季節的な繁殖動物であり、5月~10月頃に最も簡単に産卵させることができる。レインボーシャークが、性的に成熟するためにおよそ1年かかる。1歳のメスは、産卵ごとに最大1,000個の卵を放つことができるが、より年齢が高いメスは、繁殖の条件が整っていれば産卵ごとに最大10,000個の卵を放つことができる。メスは、季節ごとに1回または2回産卵可能である。オスは、月に2回または3回の頻度で精子を放つことができる。オバプリム(Ovaprim)と呼ばれる排卵誘発に最もよく使用されるホルモンは、FDAによって観賞魚での使用が承認されている。それは、サケ科のゴナドトロピン放出ホルモン類似体およびドーパミンアンタゴニストが含まれる。オバプリムは、一貫した結果を生み出し、投与が容易であり、広く市販されている。この種の業界標準の繁殖情報(蛍光および非蛍光表現型の両方)を以下に示すが、正確な詳細は、生産者ごとに若干異なり得る。
【0035】
シャークの種親は、好ましくは、少なくとも300ガロンの容量の屋内タンクに保管され得るが、通常は、屋外の土の池で前処理される。繁殖の前処理を終えると、レインボーシャークは、屋外の土の池から大きな屋内の保持バットに移される。繁殖のために、前処理された種親は、保持バットから取り出され、このタイプの使用のためにFDAが承認したトリカインなどの鎮静剤を含む水に入れる。魚は、横になると十分に鎮静されているとみなされる。この時点で、本魚は、鎮静剤を含む水から取り出され、重量が測定され、オバプリムが注射される。オスも、精子を誘導するために、オバプリム注射を受けることがある。メスは、通常、注射後7時間で排卵を開始する;排卵が始まると魚を優しく絞ると卵が自由に流れ出る。in vitro受精の準備をするために、卵は、次いで、乾燥したボウル内で搾出(stripp)される必要がある。オスのレインボーシャークからの数滴の白子は、同じボウルに同様に搾出される必要がある。0.5mL(約10滴)の水と一緒に卵と精子を攪拌すると、受精プロセスが開始される。20秒後、さらに2mLの水を追加する必要がある。このプロセスにより卵は約30秒以内に受精される。受精すると、卵は、マクドナルド型の卵ハッチングジャーに入れられ得る。卵は、最初の30分間で膨張し、浮力を有する。そのため、卵の損失を避けるために、ハッチングジャーの流量を最初にできるだけ低く調整する必要がある。流量を、頻繁に確認し、必要に応じて調整する必要がある。稚魚に、孵化後2日目に新たに孵化後アルテミアノープリイ(Artemia nauplii)を与える必要があり、稚魚に、1週間アルテミアを与え続ける必要がある。その時点から、稚魚は、調理食品への移行を開始し、5日間の生餌と重複することができる。孵化後2週間で、稚魚を、バットおよび/または池に移すことができ、成熟するまで成長を続ける。
【0036】
凍結精子からの受精
魚の精子の凍結方法は、当該技術分野で周知であり;例えば、Walker and Streisinger (1983) and Draper and Moens (2007)を参照、これらは両方とも全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されるトランスジェニック魚を得るために、冷凍レインボーシャークの精子を使用して卵を受精させることができる。
【0037】
少なくとも1つの方法において、前処理したメスを保持バットから取り出し、このタイプの使用のためにFDAが承認したトリカインなどの鎮静剤を含む水に入れた。魚は、横になると十分に鎮静されているとみなされる。鎮静されると、本魚は、鎮静剤を含む水から取り出され、重量が測定され、オバプリムが注射される。注射されたメスは、通常、注射後7時間で排卵を開始する;排卵が始まると魚を優しく絞ると卵が自由に流れ出る。in vitro受精の準備をするために、卵は、次いで、乾燥したボウル内で搾出される必要がある。数匹のメスからの卵をプールすることができる;卵は、数分間受精させないでおくことができる。凍結した精子は、ウォーターバス中33℃で18~20秒間解凍される。精子が解凍されたら、室温のハンクス液70μLをバイアルに加えて混合する。次いで、精子は、すぐに卵に加えられ、穏やかに混合される。0.5mL(約10滴)の水と一緒に卵と精子を攪拌すると、受精プロセスが開始される。20秒後、さらに2mLの水を追加する必要がある。このプロセスにより卵は約30秒以内に受精される。受精すると、卵は、マクドナルド型の卵ハッチングジャーに入れられ得る。卵は、最初の30分間で膨張し、浮力を有する。そのため、卵の損失を避けるために、ハッチングジャーの流量を最初にできるだけ低く調整する必要がある。流量を、頻繁に確認し、必要に応じて調整する必要がある。稚魚に、孵化後2日目に新たに孵化後アルテミアノープリイを与える必要があり、稚魚に、1週間アルテミアを与え続ける必要がある。その時点から、稚魚は、調理食品への移行を開始し、5日間の生餌と重複することができる。孵化後2週間で、稚魚を、バットおよび/または池に移すことができ、成熟するまで成長を続ける。Parichy and Johnson, 2001(その全体が参照により組み込まれる)は、in vitro受精に関するさらなる実施例を提供する。
【0038】
本開示はさらに、オレンジ色レインボーシャーク形質転換事象を含むトランスジェニック魚の子孫、ならびにトランスジェニック魚の卵、精子細胞、胚、またはゲノムに組み込まれたトランスジェニックコンストラクトを含む他の細胞に由来するトランスジェニック魚を包含する。本開示で使用される「子孫」は、本発明の2匹のトランスジェニック魚の交配、または本発明の第一のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第二の魚に交配することにより生じ得る。後者の場合、第二の魚は、例えば、野生型魚、特定の魚の系統、突然変異体の魚、または他のトランスジェニック魚であり得る。第二の魚は同じ種でも、異なる種または属でもよい。これらの交配のハイブリッドの子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わされた蛍光に関する導入遺伝子の利点を有する。
【0039】
オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象を含む魚を識別する最も簡単な方法は、当該魚がオレンジ色で、非トランスジェニック魚とすぐに区別できるため、目視検査によるものである。
【0040】
本開示はさらに、紫色レインボーシャーク形質転換事象を含むトランスジェニック魚の子孫、ならびにトランスジェニック魚の卵、精子細胞、胚、またはゲノムに組み込まれたトランスジェニックコンストラクトを含む他の細胞に由来するトランスジェニック魚を包含する。本開示で使用される「子孫」は、本発明の2匹のトランスジェニック魚の交配、または本発明の第一のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第二の魚に交配することにより生じ得る。後者の場合、第二の魚は、例えば、野生型魚、特定の魚の系統、突然変異体の魚、または他のトランスジェニック魚であり得る。第二の魚は同じ種でも、異なる種または属でもよい。これらの交配のハイブリッドの子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わされた蛍光に関する導入遺伝子の利点を有する。
【0041】
紫色レインボーシャーク1形質転換事象を含む魚を識別する最も簡単な方法は、当該魚が紫色で、非トランスジェニック魚とすぐに区別できるため、目視検査によるものである。
【0042】
本開示はさらに、青色レインボーシャーク形質転換事象を含むトランスジェニック魚の子孫、ならびにトランスジェニック魚の卵、精子細胞、胚、またはゲノムに組み込まれたトランスジェニックコンストラクトを含む他の細胞に由来するトランスジェニック魚を包含する。本開示で使用される「子孫」は、本発明の2匹のトランスジェニック魚の交配、または本発明の第一のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第二の魚に交配することにより生じ得る。後者の場合、第二の魚は、例えば、野生型魚、特定の魚の系統、突然変異体の魚、または他のトランスジェニック魚であり得る。第二の魚は同じ種でも、異なる種または属でもよい。これらの交配のハイブリッドの子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わされた蛍光に関する導入遺伝子の利点を有する。
【0043】
青色レインボーシャーク1形質転換事象を含む魚を識別する最も簡単な方法は、当該魚が青色で、非トランスジェニック魚とすぐに区別できるため、目視検査によるものである。
【0044】
本開示はさらに、緑色レインボーシャーク形質転換事象を含むトランスジェニック魚の子孫、ならびにトランスジェニック魚の卵、精子細胞、胚、またはゲノムに組み込まれたトランスジェニックコンストラクトを含む他の細胞に由来するトランスジェニック魚を包含する。本開示で使用される「子孫」は、本発明の2匹のトランスジェニック魚の交配、または本発明の第一のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第二の魚に交配することにより生じ得る。後者の場合、第二の魚は、例えば、野生型魚、特定の魚の系統、突然変異体の魚、または他のトランスジェニック魚であり得る。第二の魚は同じ種でも、異なる種または属でもよい。これらの交配のハイブリッドの子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わされた蛍光に関する導入遺伝子の利点を有する。
【0045】
緑色レインボーシャーク1形質転換事象を含む魚を識別する最も簡単な方法は、当該魚が緑色で、非トランスジェニック魚とすぐに区別できるため、目視検査によるものである。
【実施例
【0046】
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例を参照にしてされに説明される。これらの実施例は、本発明の単なる例示であることを意図しており、本発明の範囲を限定または制限することを決して意図しておらず、条件、パラメーター、試薬、または本発明の技術を実施するために排他的に利用されなければならない出発物質を提供するものとして解釈されるべきではない。
【0047】
実施例1-オレンジ色トランスジェニックレインボーシャーク
オレンジ色を示すトランスジェニック魚が提供される。これらの魚で体現された特定のトランスジェニック事象は、「オレンジ色レインボーシャーク1形質転換事象」と表される。これらの魚の精子を使用して、レインボーシャークの卵を受精させ、それによってこれらの特定のトランスジェニック組み込み事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを繁殖させることができる。この系統の精子は、「オレンジ色レインボーシャーク1」としてブダペスト条約の規定に基づき、欧州細胞培養コレクション(ECACC(受託番号19010802))、Public Health England, CRYOSTORES, Bld. 17, Porton Down, Salisbury, SP4 OJG, United Kingdom、に寄託された。
【0048】
実施例2-紫色トランスジェニックレインボーシャーク
紫色を示すトランスジェニック魚が提供される。これらの魚で体現された特定のトランスジェニック事象は、「紫色レインボーシャーク1形質転換事象」と表される。これらの魚の精子を使用して、レインボーシャークの卵を受精させ、それによってこれらの特定のトランスジェニック組み込み事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを繁殖させることができる。この系統の精子は、「紫色レインボーシャーク1」としてブダペスト条約の規定に基づき、欧州細胞培養コレクション(ECACC(受託番号19010801))、Public Health England, CRYOSTORES, Bld. 17, Porton Down, Salisbury, SP4 OJG, United Kingdom、に寄託された。
【0049】
実施例3-青色トランスジェニックレインボーシャーク
青色を示すトランスジェニック魚が提供される。これらの魚で体現された特定のトランスジェニック事象は、「青色レインボーシャーク1形質転換事象」と表される。これらの魚の精子を使用して、レインボーシャークの卵を受精させ、それによってこれらの特定のトランスジェニック組み込み事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを繁殖させることができる。この系統の精子は、「青色レインボーシャーク1」としてブダペスト条約の規定に基づき、欧州細胞培養コレクション(ECACC(受託番号19010803))、Public Health England, CRYOSTORES, Bld. 17, Porton Down, Salisbury, SP4 OJG, United Kingdom、に寄託された。
【0050】
実施例4-緑色トランスジェニックレインボーシャーク
緑色を示すトランスジェニック魚が提供される。これらの魚で体現された特定のトランスジェニック事象は、「緑色レインボーシャーク1形質転換事象」と表される。これらの魚の精子を使用して、レインボーシャークの卵を受精させ、それによってこれらの特定のトランスジェニック組み込み事象を含むトランスジェニックレインボーシャークを繁殖させることができる。この系統の精子は、「緑色レインボーシャーク1」としてブダペスト条約の規定に基づき、欧州細胞培養コレクション(ECACC(受託番号19010804))、Public Health England, CRYOSTORES, Bld. 17, Porton Down, Salisbury, SP4 OJG, United Kingdom、に寄託された。
【0051】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用される。安定的に発現するトランスジェニック系統は、トランスジェニック固体を野生型魚、突然変異体魚、または他のトランスジェニック魚と交配することにより開発され得る。目的のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、またはトランスジェニック魚のオレンジ色、紫色、緑色または青色の可視化を可能にする他の有用な照明条件で魚を観察することにより、非トランスジェニック魚と区別され得る。
【0052】
蛍光トランスジェニック魚は、細胞系統や細胞移行の追跡などの胚研究に使用できるため、科学研究のツールの市場でも貴重なはずである。加えて、これらの魚は、遺伝子モザイク実験および魚の癌モデルにおいて細胞をマークするために用いられ得る。
【0053】
本明細書において開示および請求される組成物および/または方法の全ては、本開示に照らして過度の実験を行うことなく、作製および実行され得る。本発明の組成物および方法が、好ましい実施形態に関して記載されてきたが、本発明の概念、本質および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法の組成物および/または方法、ならびに工程または一連の工程において、変形が適用できることが明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的に関連する特定の薬剤を、本明細書に記載の薬剤の代わりに使用し、同じまたは類似の結果を達成できることは明らかであろう。当業者に明らかな斯かる類似の置換および改変の全ては、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の本質、範囲、および概念の範疇にあるとみなされる。