IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-作業機 図1
  • 特許-作業機 図2
  • 特許-作業機 図3
  • 特許-作業機 図4
  • 特許-作業機 図5
  • 特許-作業機 図6
  • 特許-作業機 図7
  • 特許-作業機 図8
  • 特許-作業機 図9
  • 特許-作業機 図10
  • 特許-作業機 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230627BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20230627BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H05K13/04 A
B25J15/08 P
B25J15/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020554737
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2018040869
(87)【国際公開番号】W WO2020090114
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-01-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/033900(WO,A1)
【文献】特開平07-186081(JP,A)
【文献】特開2013-239503(JP,A)
【文献】国際公開第2015/181910(WO,A1)
【文献】特表2013-515363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
B25J 15/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ヘッドと、
エアの吸引により部品の保持作業を行う吸着ノズルと、
前記作業ヘッドに着脱可能に装着されるとともに、1対の把持爪とエアの吸引口を備え、前記1対の把持爪により把持された部品の装着作業を行うチャックと、
を備え、
前記吸着ノズルが、前記チャックの前記エアの吸引口に自動で着脱される作業機。
【請求項2】
前記チャックが、
前記作業ヘッドに自動で着脱される請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記チャックが、
前記エアの吸引口に前記吸着ノズルが装着されていない状態において、前記1対の把持爪により部品の保持作業を行う請求項1または請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記チャックが、
負圧を利用して前記作業ヘッドに装着される請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ヘッドに装着された作業具により作業を行う作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業機には、作業ヘッドに装着された作業具により作業を行うものがある。下記特許文献には、そのような作業機の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-16754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業ヘッドに装着された作業具により作業を行う作業機では、作業ヘッドへの作業具の着脱を好適に行うことが望まれている。このため、作業ヘッドへの作業具の着脱を好適に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、作業ヘッドと、エアの吸引により部品の保持作業を行う吸着ノズルと、前記作業ヘッドに着脱可能に装着されるとともに、1対の把持爪とエアの吸引口を備え、前記1対の把持爪により把持された部品の装着作業を行うチャックと、を備え、前記吸着ノズルが、前記チャックの前記エアの吸引口に自動で着脱される作業機を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、アタッチメントが、作業ヘッドに着脱可能に装着されており、そのアタッチメントに、作業具が自動で着脱される。これにより、装着ヘッドへの作業具の着脱を好適に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】部品実装機を示す斜視図である
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】部品把持具を示す断面図である。
図4】電気部品を保持した状態の部品把持具を示す断面図である。
図5図3のAA線における断面図である。
図6】押付具を保持した状態の部品把持具を示す断面図である。
図7】押付具を示す概略図である。
図8】ネジ締め作業具を示す概略図である。
図9】吸着ノズルを示す概略図である。
図10】吸着ノズルが取り付けられた状態の部品把持具を示す断面図である。
図11】吸着ノズルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、保持具ステーション34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62の下端面には、図2に示すように、部品把持具66が着脱可能に設けられている。部品把持具66は、本出願人が本願より先に出願した特願2016―562118に記載されているため簡単に説明すると、図3に示すように、ハウジング70と、ピストン72と、1対のスライダ74と、伝達機構76と、1対の把持爪78と、取付具80とを有している。ピストン72は、ハウジング70の内部において上下方向に摺動可能に保持されており、コイルスプリング82により下方に向かって付勢されている。そして、ピストン72は、ハウジング70の内部においてエア室84を区画している。
【0012】
また、ハウジング70の下面側には、1対のスライダ74が左右方向において接近・離間するように保持されており、それら1対のスライダ74は、伝達機構76を介して、ピストン72に連結されている。伝達機構76は、ピストン72の上下方向の移動を、1対のスライダ74の左右方向の移動に変換する。この際、ピストン72が上方に向かって移動することで、伝達機構76により、1対のスライダ74が接近する方向に移動し、ピストン72が下方に向かって移動することで、伝達機構76により、1対のスライダ74が離間する方向に移動する。そして、1対のスライダ74の下面側に、1対の把持爪78が下方に向かって延び出すように固定されている。
【0013】
また、部品把持具66のハウジング70の上面には、フランジ86が形成されており、作業ヘッド60,62の下面には、そのフランジ86に応じた形状の凹部88が形成されている。作業ヘッド60,62には、凹部88の中央に開口する第1エア通路90と、その第1エア通路90の開口を周方向に囲むように凹部88に開口する第2エア通路92とが形成されている。そして、第1エア通路90と第2エア通路92とは、個別に、正負圧供給装置(図示省略)に接続されている。
【0014】
また、部品把持具66のハウジング70の上面及びフランジ86には、エア室84と連通する連通路96が形成されている。そして、部品把持具66のフランジ86が、作業ヘッド60,62の凹部88に嵌められることで、部品把持具66の連通路96と作業ヘッド60,62の第1エア通路90とが連通する。また、部品把持具66のフランジ86が、作業ヘッド60,62の凹部88に嵌められることで、第2エア通路92の開口は、部品把持具66のフランジ86により塞がれる。
【0015】
このような構造により、第2エア通路92に負圧が供給されることで、フランジ86が負圧により吸引されて、凹部88に嵌合した状態が維持される。これにより、部品把持具66は、負圧により作業ヘッド60,62の凹部88に装着される。そして、第2エア通路92に僅かに正圧が供給されることで、フランジ86が凹部88に嵌合した状態が解除される。これにより、部品把持具66は、作業ヘッド60,62の凹部88から離脱する。つまり、部品把持具66は、負圧を利用して作業ヘッド60,62に装着され、正圧を利用して作業ヘッド60,62から離脱する。このように、部品把持具66は、作業ヘッド60,62に着脱可能とされている。
【0016】
また、第1エア通路90に負圧が供給されることで、ピストン72がハウジング70の内部において、コイルスプリング82の弾性力に抗して上方に向かって移動する。この際、伝達機構76の作動により1対のスライダ74が接近することで、図4に示すように、1対の把持爪78も接近する。これにより、部品把持具66は、1対の把持爪78によって電気部品100を把持する。そして、第1エア通路90に僅かな正圧が供給されることで、ピストン72が、コイルスプリング82の弾性力によって、下方に向かって移動する。この際、伝達機構76の作動により1対のスライダ74が離間することで、1対の把持爪78も離間する。これにより、部品把持具66は、1対の把持爪78によって把持していた電気部品100を離脱する。このように、部品把持具66は、負圧を利用して電気部品100を把持し、正圧及びコイルスプリング82の弾性力を利用して、把持した電気部品100を離脱する。なお、作業ヘッド60,62は凹部88に装着された部品把持具66を軸心周りに自転させる自転装置(図示省略)を有している。これにより、電気部品100を保持した状態の部品把持具66が自転することで、部品把持具66に保持された電気部品100の姿勢が調整される。
【0017】
また、取付具80は、図3に示すように、ハウジング70の下面に固定されており、1対の把持爪78の間に位置する。取付具80は、概して円柱形状とされており、取付具80には、下面側に開口する凹部102と、上下方向に貫通し、凹部102と上面とに開口する貫通孔104とが形成されている。その貫通孔104は、迂回路(図示省略)を経由して、第1エア通路90に連通しており、迂回路には、切換弁(図示省略)が配設されている。これにより、第1エア通路90を介した負圧若しくは正圧の供給が、切換弁の作動によって、連通路96と貫通孔104との何れかに選択的に切り換えられる。
【0018】
また、凹部102の内壁面には、上下方向に延びるようにキー溝106が形成されている。そのキー溝106の上端には、図3のAA線における断面図である図5に示すように、取付具80の周方向に延びるように形成された周方向溝108の一端部が連通している。つまり、凹部102の内壁面には、キー溝106が上下方向に延びるように形成され、そのキー溝106の上端から周方向に延びるように、周方向溝108が形成されている。なお、キー溝106の深さ寸法と、周方向溝108の深さ寸法とは同じとされている。このような構造により、取付具80には、後に詳しく説明するが、吸着ノズル(図9図11参照)110,112が取り付けられる。
【0019】
上記構造の部品把持具66が装着された作業ヘッド60,62は、作業ヘッド移動装置64により移動させられる。詳しくは、図2に示すように、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置120とY方向移動装置122とZ方向移動装置124とを有している。そして、X方向移動装置120とY方向移動装置122とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ126,128に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置124は、スライダ126,128を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置124によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0020】
また、撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ126に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の部品把持具66に把持された部品を撮像する。
【0021】
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置130とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置130は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0022】
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0023】
保持具ステーション34は、基材搬送保持装置22とばら部品供給装置32との間に配設されており、保持具トレイ(図示省略)を有している。保持具トレイには、複数種類の保持具が収容されている。なお、保持具として、部品把持具66のようなチャックおよび、吸着ノズルが保持具ステーションに収容されている。そして、保持具ステーション34では、作業ヘッド60,62に装着されている部品把持具66と、保持具トレイに収容されている保持具との交換が、自動で行われる。なお、保持具トレイに収容されている保持具には、部品把持具66のフランジ86と同形状のフランジが形成されており、そのフランジにおいて、作業ヘッド60,62の凹部88に装着される。
【0024】
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。部品実装機10では、種々の部品の装着作業を行うことが可能であるが、リードを有する電気部品100、つまり、リード部品の装着作業について、以下に説明する。なお、電気部品100は、図4に示すように、ブロック状の部品本体150と、部品本体150の底面から突出する2本のリード152とから構成されている。
【0025】
具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、クランプ装置52による回路基材12の保持位置の誤差,回路基材12に形成されている挿入穴の位置等に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、電気部品100を供給する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、部品把持具66によって電気部品100の部品本体150を保持する。
【0026】
続いて、電気部品100を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、部品把持具66に保持された電気部品100が撮像される。これにより、電気部品100のリード152の先端位置等に関する情報が得られる。次に、電気部品100のリード152の先端部のXY方向での座標と、回路基材12に形成された挿入穴のXY方向での座標とが一致するように、X方向移動装置120及びY方向移動装置122の作動が制御される。これにより、作業ヘッド60,62が、XY方向に沿って移動することで、電気部品100のリード152の先端位置と、回路基材12に形成された挿入穴の位置とが上下方向に重なった状態となる。そして、Z方向移動装置124の作動により、作業ヘッド60,62が下降することで、部品把持具66に保持された電気部品100のリード152が、回路基材12に形成された挿入穴に挿入される。これにより、電気部品100が、回路基材12の挿入穴にリード152を挿入させた状態で回路基材12に装着される。
【0027】
このように、部品実装機10では、部品把持具66により電気部品100の保持作業が実行され、その保持作業により保持された電気部品100が回路基材12に装着される。この際、回路基材12の挿入穴にリード152を挿入させた状態で回路基材12に装着された電気部品100に浮きが生じる場合がある。つまり、電気部品100の部品本体150と回路基材12とが密着せずに、部品本体150の下面と回路基材12の上面との間に隙間が生じる場合がある。このため、部品実装機10では、図6に示すように、押付具160が部品把持具66により保持され、その押付具160によって、電気部品100が回路基材12に押し付けられる。
【0028】
詳しくは、押付具160は、ブロック状の本体162と、その本体162の下面側から下方に向かって延び出す円柱形状の押付部164とにより構成されている。なお、押付部164の外径は、本体162の幅方向の外寸より小さくされている。そして、押付具160は、本体162の上面を上方に向けて、押付部164を上下方向に延ばした姿勢で、トレイ型部品供給装置130のトレイの上に載置されている。このようにトレイに載置された押付具160が、図6に示すように、部品把持具66の1対の把持爪78により保持される。この際、押付具160の本体162の上面が、部品把持具66の取付具80の下面に接触し、押付具160の押付部164が鉛直方向を向くように、押付具160の姿勢が矯正される。
【0029】
そして、押付具160を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、部品把持具66に保持された押付具160が撮像される。これにより、押付具160の押付部164の先端位置に関する情報が得られる。次に、押付部164の先端のXY方向での座標と、回路基材12に装着された電気部品100の部品本体150の所定の位置のXY方向での座標とが一致するように、X方向移動装置120及びY方向移動装置122の作動が制御される。
【0030】
そして、Z方向移動装置124の作動により、作業ヘッド60,62が下降することで、部品把持具66に保持された押付具160の押付部164が、回路基材12に装着された電気部品100を回路基材12に押し付ける。これにより、電気部品100の部品本体150と回路基材12とが密着し、電気部品100の浮きが解消される。そして、押付具160による電気部品100の押付作業が完了すると、その押付具160を保持する作業ヘッド60,62がトレイの上方に移動し、下降した際に、部品把持具66が押付具160を離脱することで、押付具160がトレイに戻される。
【0031】
また、トレイには、押付具160だけでなく、図7に示すように、押付具160と異なるサイズの押付具170も載置されている。押付具170は、押付具160と同様に、ブロック状の本体172と、円柱形状の押付部174とにより構成されているが、押付部174の外径は、本体172の幅方向の外寸より大きくされている。ただし、押付具170の本体172の寸法は、押付具160の本体162の寸法と略同じとされている。そして、押付具170も、押付具160と同じ姿勢でトレイの上に載置されており、部品把持具66の1対の把持爪78により保持可能とされている。このため、例えば、電気部品100より大きなサイズの電気部品が回路基材12に装着された場合において、部品把持具66により押付具170が保持され、その押付具170により電気部品の押付作業が実行される。
【0032】
また、トレイには、押付作業を実行するための押付具160,170だけでなく、他の作業を行うための作業具も載置されている。具体的には、例えば、図8に示すネジ締め作業具180もトレイに載置されている。ネジ締め作業具180は、ブロック状の本体182と、その本体182の下面側から下方に向かって延び出すドライバー部184とにより構成されている。ドライバー部184の先端は、十字形状とされており、ドライバー部184は、プラスドライバーとして機能する。また、ネジ締め作業具180の本体182の寸法も、押付具160の本体162の寸法と略同じとされている。そして、ネジ締め作業具180も、押付具160と同じ姿勢でトレイの上に載置されており、部品把持具66により保持可能とされている。なお、トレイ型部品供給装置130のトレイには、ネジ締め作業具180を押付具160と同じ姿勢で載置するために、凹部が形成された載置台が載置されている。そして、ネジ締め作業具180のドライバー部184の先端部が、載置台の凹部に挿入されることで、ネジ締め作業具180が押付具160と同じ姿勢で載置される。このように、ネジ締め作業具180が本体182の上面を上方に向けて、押付具160と同じ姿勢で載置されることで、部品把持具66の1対の把持爪78によりネジ締め作業具180が保持され、そのネジ締め作業具180によりネジ締め作業が実行される。
【0033】
具体的には、例えば、回路基材12にネジ穴が形成されており、そのネジ穴へのネジの装着作業が部品把持具66により実行される。そして、ネジの装着作業後に、部品把持具66によりネジ締め作業具180が保持され、ネジ締め作業具180を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、部品把持具66に保持されたネジ締め作業具180が撮像される。これにより、ネジ締め作業具180のドライバー部184の先端位置に関する情報が得られる。次に、ドライバー部184の先端のXY方向での座標と、回路基材12に装着済のネジの頭部に形成された十字溝のXY方向での座標とが一致するように、X方向移動装置120及びY方向移動装置122の作動が制御される。
【0034】
次に、Z方向移動装置124の作動により、作業ヘッド60,62が下降することで、部品把持具66に保持されたネジ締め作業具180のドライバー部184の先端が、ネジの十字溝に嵌合する。そして、部品把持具66が自転装置の作動により軸心周りに自転する。これにより、ネジ締め作業具180によるネジ締め作業が実行される。
【0035】
さらに、トレイには、押付具160,170及びネジ締め作業具180だけでなく、保持作業を実行するための吸着ノズル110も載置されている。吸着ノズル110は、図9に示すように、ノズル本体190と、装着ピン192とにより構成されている。ノズル本体190は、概して円筒形状をなし、ノズル本体190には、軸心方向に延びるようにノズル穴196が形成されている。ノズル本体190の上端部の外径は、部品把持具66の取付具80に形成された凹部102の内径より僅かに小さくされており、ノズル穴196の内径は、取付具80に形成された貫通孔104の内径と同じとされている。また、装着ピン192は、ノズル本体190の外周面に、径方向に延び出すように立設されており、その装着ピン192の長さ寸法は、キー溝106及び周方向溝108の深さ寸法より短くされている。
【0036】
そして、吸着ノズル110は、ノズル本体190を上下方向に延ばした姿勢で、トレイの上に載置されている。なお、吸着ノズル110は、トレイにおいて軸心周りに回転不能とされている。つまり、例えば、載置穴が形成された収納トレイ(図示省略)がトレイの上に載置されており、その載置穴に吸着ノズル110が収納されている。そして、載置穴には、収容する吸着ノズル110の軸心周りの回転を防止するストッパが形成されている。このように、収納トレイにおいて、軸心周りに回転不能に載置された吸着ノズル110が、図10に示すように、部品把持具66の取付具80に取り付けられる。
【0037】
詳しくは、収納トレイに載置された吸着ノズル110の上方に、作業ヘッド60,62がX方向移動装置120及びY方向移動装置122の作動により移動する。この際、吸着ノズル110のノズル本体190のXY方向での座標と、部品把持具66の取付具80の凹部102のXY方向での座標とが一致するように、X方向移動装置120及びY方向移動装置122の作動が制御される。また、吸着ノズル110の装着ピン192のXY方向での座標と、取付具80のキー溝106のXY方向での座標とが一致するように、X方向移動装置120及びY方向移動装置122の作動が制御される。
【0038】
次に、Z方向移動装置124の作動により、作業ヘッド60,62が下降することで、取付具80の凹部102に吸着ノズル110のノズル本体190が挿入されるとともに、取付具80のキー溝106に吸着ノズル110の装着ピン192が挿入される。そして、吸着ノズル110の装着ピン192がキー溝106の上端に位置するまで、作業ヘッド60,62が下降すると、部品把持具66が自転装置の作動により、自転する。この際、部品把持具66は、キー溝106の上端に位置する装着ピン192が周方向溝108の内部に移動する方向に自転する。これにより、ノズル本体190が凹部102に挿入された状態でロックされ、吸着ノズル110が部品把持具66の取付具80にメカニカルな構造により装着される。
【0039】
また、ノズル本体190が凹部102に挿入された状態で、ノズル本体190に形成されたノズル穴196と凹部102に開口する貫通孔104とが連通する。そして、ノズル穴196と連通する貫通孔104は、上述したように、迂回路(図示省略)を経由して、第1エア通路90に連通しており、迂回路には、切換弁(図示省略)が配設されている。これにより、第1エア通路90を介した負圧若しくは正圧の供給が、切換弁の作動によって、連通路96から貫通孔104に切り換えられることで、吸着ノズル110により電気部品100等の部品を保持することができる。つまり、部品把持具66の取付具80に吸着ノズル110が取り付けられることで、吸着ノズル110による保持作業を実行することができる。なお、ノズル本体190と凹部102との接続部にはカプラ(登録商標)が用いられており、エア漏れが防止されている。
【0040】
また、吸着ノズル110による部品の装着作業が完了すると、吸着ノズル110の取り付けられた作業ヘッド60,62が収納トレイの上方に移動し、下降することで、収納トレイの載置穴に吸着ノズル110が収容される。そして、部品把持具66は、周方向溝108の内部に位置する装着ピン192がキー溝106の上端に移動する方向に自転する。続いて、作業ヘッド60,62が上昇することで、吸着ノズル110が部品把持具66の取付具80から取り外され、収納トレイに戻される。
【0041】
このように、部品把持具66の取付具80に、吸着ノズル110が取り付けられることで、吸着ノズル110による部品の保持作業をも行うことが可能となる。また、トレイには、吸着ノズル110と異なるノズル径の吸着ノズル112も載置されている。吸着ノズル112は、図11に示すように、ノズル本体200と、装着ピン202とにより構成されている。ノズル本体200は、小径部206と大径部208とに区分けされている。そして、小径部206の外径は、吸着ノズル110のノズル本体190の外径と同じとされており、大径部208の外径は、小径部206の外径より大きくされている。
【0042】
また、ノズル本体200には、軸心方向に延びるようにノズル穴210が形成されている。このノズル穴210の内径は、小径部206の内部において、吸着ノズル110のノズル穴196の内径と同じであり、大径部208の内部において、吸着ノズル110のノズル穴196の内径より大きくされている。また、装着ピン202は、小径部206の外周面に、径方向に延び出すように立設されており、その装着ピン192の長さ寸法は、吸着ノズル110の装着ピン192の長さ寸法と同じである。そして、吸着ノズル112も、吸着ノズル110と同様に、軸心周りに回転不能に収納トレイに載置されている。これにより、ノズル径の大きい吸着ノズル112も、吸着ノズル110と同様に、部品把持具66の取付具80に取り付けることが可能とされている。
【0043】
このように、部品実装機10では、部品把持具66により押付具160,170、ネジ締め作業具180が保持されること、若しくは、取付具80に吸着ノズル110,112が取り付けられることで、それら押付具160,170等の作業具により各種の作業を実行することができる。つまり、部品把持具66に押付具160,170、ネジ締め作業具180、吸着ノズル110,112のうちの任意の作業具が自動で着脱されることで、装着された作業具に応じた作業を実行することができる。なお、作業具の自動での着脱とは、作業ヘッド移動装置64、正負圧供給装置等の作動により部品把持具66に任意の作業具が装着及び離脱されることであり、プログラム等の処理に従って実行されるものである。
【0044】
また、部品把持具66は、作業具のアタッチメントとしての機能のみならず、吸着ノズル110、押付具160等の作業具が装着されていない状態において、1対の把持爪78によって部品の保持作業を行うことが可能とされている。そして、保持具ステーション34に、上述したように、複数の保持具が収容されており、それら複数の保持具のうちの任意の保持具が、作業ヘッド60,62に自動で着脱される。このため、部品実装機10では、吸着ノズル110、押付具160等の作業具を用いた作業だけでなく、保持具ステーション34に収容されている保持具に応じた部品の保持作業を行うことができる。なお、保持具の自動での着脱とは、作業ヘッド移動装置64、正負圧供給装置等の作動により作業ヘッド60,62の凹部88に任意の保持具が装着及び離脱されることであり、プログラム等の処理に従って実行されるものである。
【0045】
また、部品実装機10では、吸着ノズル110、押付具160等の作業具がトレイ型部品供給装置130のトレイに載置されている。これにより、部品実装機10では、既存の設備を利用して、複数の作業具を載置し、それら複数の作業具のうちの任意の作業具を用いて、数多くの種類の作業を行うことができる。詳しくは、保持具ステーション34に、上述したように、複数の保持具が収容されており、それら複数の保持具のうちの任意の保持具が、作業ヘッド60,62の凹部88に自動で着脱されるが、保持具ステーション34に収容可能な保持具の数は限られている。そこで、部品実装機10では、トレイ型部品供給装置130のトレイに、吸着ノズル110、押付具160等の複数の作業具が載置されており、それら複数の作業具のうちの任意の作業具が、部品把持具66に自動で着脱される。これにより、吸着ノズル110、押付具160等の複数の作業具を載置するための新たな設備を用意することなく、既存の設備を利用して、複数の作業具を載置し、それら複数の作業具のうちの任意の作業具を用いて、数多くの種類の作業を行うことができる。
【0046】
なお、部品実装機10は、作業機の一例である。作業ヘッド60,62は、作業ヘッドの一例である。部品把持具66は、アタッチメントの一例である。吸着ノズル110,112、押付具160,170、ネジ締め作業具180は、作業具の一例である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、1台の作業ヘッド60,62毎に1個の部品把持具66等の保持具が着脱可能に装着されるが、1台の作業ヘッド60,62に2個以上の保持具が着脱可能に装着されてもよい。つまり、1台の作業ヘッド60,62に2個以上の凹部88が形成され、それら2個以上の凹部88に2個以上の保持具が装着されてもよい。それらは互いに異なる種類のものであってもよい。そして、1台の作業ヘッド60,62に2個以上の保持具が着脱可能に装着される場合には、2個以上の保持具のうちの任意のものが、任意のタイミングで、自動で作業ヘッド60,62に着脱される。なお、保持具が作業ヘッド60に装着されるタイミングは、保持対象の保持具による保持作業が開始する前のタイミングであれば、どのようなタイミングであってもよいが、作業ヘッド60,62が部品の装着に関連しないタイミングであり、例えば、部品実装機10に部品装着前の回路基材12を搬入するタイミング、あるいは、部品実装機10から部品装着後の回路基材12を搬出するタイミング等の間を利用して行うことが好ましい。また、保持具が作業ヘッド60から取り外されるタイミングは、保持対象の保持具による保持作業が終了した後のタイミングであれば、どのようなタイミングであってもよいが、他の作業が実行されている間を利用して行うことが好ましい。また、作業機としての部品実装機10が1台の作業ヘッドのみを備える態様であってもよい。
【0048】
また、上記実施例では、1個の部品把持具66に、吸着ノズル110,押付具160等の1個の作業具が着脱可能に装着されるが、1個の部品把持具66に2個以上の作業具が着脱可能に装着されてもよい。そして、それらは互いに異なる種類のものであってもよい。具体的には、例えば、取付具80を1対の把持爪78の間でなく、把持爪78の可動領域以外に配置することで、取付具80に吸着ノズル110,112を取り付けるとともに、1対の把持爪78により押付具160,170を保持することができる。これにより、1個の部品把持具66に2個以上の作業具が着脱可能に装着される。そして、1個の部品把持具66に2個以上の作業具が着脱可能に装着される場合には、2個以上の作業具のうちの任意のものが、任意のタイミングで、自動で部品把持具66に着脱される。なお、作業具が部品把持具66に装着されるタイミングは、装着対象の作業具による作業が開始する前のタイミングであれば、どのようなタイミングであってもよいが、他の作業が実行されている間を利用して行うことが好ましい。また、作業具が部品把持具66から取り外されるタイミングは、装着対象の作業具による作業が終了した後のタイミングであれば、どのようなタイミングであってもよいが、他の作業が実行されている間を利用して行うことが好ましい。
【0049】
また、上記実施例では、部品把持具66が負圧を利用して作業ヘッド60,62の凹部88に装着されているが、ワンタッチジョイント,ロック機構等のメカニカルな機構を利用して作業ヘッド60,62の凹部88に装着されてもよい。一方、上記実施例では、吸着ノズル110等の作業具がメカニカルな機構を利用して部品把持具66の取付具80に装着されているが、負圧を利用して取付具80に装着されてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、部品把持具66が、1対の把持爪78によって部品の保持作業を行う機能と、作業具が着脱される機能との両方を有しているが、作業具が着脱される機能のみを有していてもよい。つまり、部品把持具66を単なるアタッチメントとしてのみ機能させ、部品把持具66は、単体において作業を行うことができず、作業具を保持した状態においてのみ、その作業具により作業を行うことができてもよい。また、部品把持具66あるいは作業具などの収納場所はトレイあるいは保持具ステーション34に限定はされず、部品実装機内であり、作業ヘッド60,62の移動する範囲内に配設されていれば良い
【0051】
また、上記実施例では、吸着ノズル110,112、押付具160,170、ネジ締め作業具180のうちの任意の作業具が部品把持具66に装着されることで、押付作業,ネジ締め作業,部品の保持作業が実行されているが、他の種類の作業具が部品把持具66に装着され、他の種類の作業が実行されてもよい。例えば、粘性流体の転写作業を行うための作業具,切削作業を行うための作業具などが、部品把持具66に装着されてもよい。
【0052】
また、上記実施例では、部品把持具66、つまり、チャックにより作業具が保持されているが、吸着ノズルにより作業具が保持されてもよい。つまり、作業ヘッド60,62に吸着ノズルが装着され、その吸着ノズルが、例えば、押付具160の本体162を吸着保持してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10:部品実装機(作業機) 60:作業ヘッド 62:作業ヘッド 66:部品把持具(アタッチメント) 110:吸着ノズル(作業具) 112:吸着ノズル(作業具) 160:押付具(作業具) 170:押付具(作業具) 180:ネジ締め作業具(作業具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11