(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】結紮装置、およびアプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A61B17/128
(21)【出願番号】P 2020561984
(86)(22)【出願日】2018-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2018047463
(87)【国際公開番号】W WO2020136701
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】上阪 健輔
(72)【発明者】
【氏名】安齋 慎矢
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-280701(JP,A)
【文献】特開2008-289524(JP,A)
【文献】特開2006-187673(JP,A)
【文献】特開2013-085859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リンクを有するクリップユニットと、
アプリケータと、を備え、
前記アプリケータは、
シースと、
前記シースに挿通され、前記クリップユニットを操作可能な操作ワイヤと、
前記操作ワイヤに設けられ、前記シースから突出した突出位置において前記第1リンクと係合可能であり、前記シースに収容された収容位置において前記シースにより前記第1リンクとの係合の解除が規制される第2リンクと、
前記操作ワイヤに接続され、第1の操作によって移動するスライダと、
前記スライダが進退可能に取り付けられるハンドルと、
第2の操作によって前記第1の操作と異なる方向に移動するスイッチ部材を有するリミッターと、を備え、
前記リミッターは、前記第2の操作がない場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する可動距離を第1長さとすることで前記第2リンクの前記突出位置への移動を規制し、前記第2の操作がある場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する前記可動距離を前記第1長さより長い第2長さとすることで前記第2リンクの前記突出位置への移動を可能に
し、
前記第1の操作は、前記スライダの進退方向において、前記ハンドルに対して前記スライダを進退させる操作であり、
前記第2の操作は、前記スライダの前記進退方向に交差する交差方向において、前記スイッチ部材を移動させる操作である、結紮装置。
【請求項2】
前記スライダは、進退移動によって前記第2リンクを移動させ、
前記リミッターは、
前記ハンドルに当接可能な第1当接面と、
前記スライダに当接可能な第2当接面と、
を備え、
前記第1当接面および前記第2当接面のうち少なくともいずれか一方は、前記スイッチ部材に設けられ、且つ、前記スイッチ部材とともに前記交差方向へ移動可能である
請求項
1に記載の結紮装置。
【請求項3】
シースと、
前記シース内に挿通され、クリップユニットと連結可能な操作ワイヤと、
前記操作ワイヤに接続され、前記シースから突出した突出位置において前記クリップユニットと係合可能であり、且つ、前記シースに収容された収容位置において前記クリップユニットとの係合の解除を規制されるリンクと、
前記操作ワイヤに接続され、第1の操作によって移動するスライダと、
前記スライダが進退可能に取り付けられるハンドルと、
第2の操作によって、前記スライダの移動と交差する方向に移動するスイッチ部材を有するリミッターと、を備え、
前記リミッターは、前記第2の操作がない場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する可動距離を第1長さとすることで前記リンクを前記収容位置に留め、前記第2の操作がある場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する前記可動距離を前記第1長さより長い第2長さとすることで前記リンクを前記突出位置に移動可能とする、アプリケータ。
【請求項4】
前記第1の操作は、前記スライダの進退方向において、前記ハンドルに対して前記スライダを進退させる操作であり、
前記第2の操作は、前記スライダの前記進退方向に交差する交差方向において、前記スイッチ部材を移動させる操作である、請求項
3に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記スライダは、進退移動によって前記リンクを移動させ、
前記リミッターは、
前記ハンドルに当接可能な第1当接面と、
前記スライダに当接可能な第2当接面と、
を備え、
前記第1当接面および前記第2当接面のうち少なくともいずれか一方は、前記スイッチ部材に設けられ、且つ、前記スイッチ部材とともに前記交差方向へ移動可能である請求項
4に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記ハンドルは、前記ハンドルの長手方向に延びる長孔を有し、
前記スライダは、前記長孔に沿って前記ハンドル上を進退し、
前記可動距離は、前記スライダの近位端と前記長孔の近位端と間の長さである、請求項
3に記載のアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結紮装置、およびアプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織に生じた開口の閉鎖や止血処理等を行うために、クリップにより処置対象組織を結紮する内視鏡用クリップ装置(内視鏡用処置具)が知られている(例えば、特許文献1)。内視鏡用クリップ装置は、シースが内視鏡のチャンネルに挿入され、チャンネルを経由して体内に挿入される。
【0003】
特許文献1の内視鏡用処置具では、駆動ワイヤが接続されたスライダ部をベース部に対してスライドさせる操作により、駆動ワイヤの遠位端に接続された連結フックをシースに対して進退させる。連結フックのシースに対する位置に応じて、連結フックは、クリップが開放されるクリップ開放位置、クリップが連結されるクリップ連結位置、およびクリップが連結フックと締結動作されるクリップ締結位置に変化する。ベース部には複数の位置決め溝が形成されており、スライダ部が位置決め溝のいずれかに係合することにより、クリップ開放位置、クリップ連結位置、クリップ締結位置に位置決めされるように構成されている。
【0004】
特許文献1の内視鏡用処置具では、スライダ部がクリップ開放位置に位置決めされているとき、シースによる連結フックの押圧が解除されクリップを開放する構成を有する。
一方、クリップ連結位置でクリップを開閉させる時は、操作ワイヤの操作によりクリップをクリップ閉じリングに対して進退させる。そのため、クリップおよびクリップ閉じリングがシースの遠位端に安定的に保持されることが望まれる。
【0005】
この他、リロード機能を備える内視鏡用クリップ装置がある。リロード機能は、例えば、処置対象となる組織の複数個所をクリップで結紮する場合、先にクリップで組織を結紮した後、次のクリップをアプリケータに装着(リロード)させる機能である。
この他、クリップによる組織の掴み直し操作機能を備える内視鏡用クリップ装置がある。掴み直し操作機能を備えることにより、例えば、クリップで意図しない組織を誤って把持した場合において、クリップによる組織の把持状態を一旦解除後、改めて組織を把持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の内視鏡用処置具では、スライダ部がベース部に対して過剰に前進すると、連結フックがシースの遠位端から飛び出し、連結フックがシースから外れる。
特許文献1の内視鏡用クリップ装置のように、クリップ閉じリングをリング押し出しコイルに嵌め込んで固定する構成の場合、クリップ閉じリングのリング押し出しコイルに対する取り付け易さと、外れ難さとはトレードオフの関係となる。
したがって、リロード機能または掴み直し機能を備えながら、クリップが意図しないタイミングでシースから脱落することを防ぐ内視鏡用処置具が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、シースに対する操作ワイヤの移動範囲を所望の範囲に規制する状態とその規制を解除した状態とに切り替え可能な結紮装置およびアプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様に係る結紮装置は、第1リンクを有するクリップユニットと、アプリケータと、を備え、前記アプリケータは、シースと、前記シースに挿通され、前記クリップユニットを操作可能な操作ワイヤと、前記操作ワイヤに設けられ、前記シースから突出した突出位置において前記第1リンクと係合可能であり、前記シースに収容された収容位置において前記シースにより前記第1リンクとの係合の解除が規制される第2リンクと、前記操作ワイヤに接続され、第1の操作によって移動するスライダと、前記スライダが進退可能に取り付けられるハンドルと、第2の操作によって前記第1の操作と異なる方向に移動するスイッチ部材を有するリミッターと、を備え、前記リミッターは、前記第2の操作がない場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する可動距離を第1長さとすることで前記第2リンクの前記突出位置への移動を規制し、前記第2の操作がある場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する前記可動距離を前記第1長さより長い第2長さとすることで前記第2リンクの前記突出位置への移動を可能にし、前記第1の操作は、前記スライダの進退方向において、前記ハンドルに対して前記スライダを進退させる操作であり、前記第2の操作は、前記スライダの前記進退方向に交差する交差方向において、前記スイッチ部材を移動させる操作である。
【0014】
本発明の第二の態様は、第一の態様に係る結紮装置において、前記スライダは、進退移動によって前記第2リンクを移動させてもよく、前記リミッターは、前記ハンドルに当接可能な第1当接面と、前記スライダに当接可能な第2当接面と、を備えてもよく、前記第1当接面および前記第2当接面のうち少なくともいずれか一方は、前記スイッチ部材に設けられ、且つ、前記スイッチ部材とともに前記交差方向へ移動可能であってもよい。
【0018】
本発明の第三の態様に係るアプリケータは、シースと、前記シース内に挿通され、クリップユニットと連結可能な操作ワイヤと、前記操作ワイヤに接続され、前記シースから突出した突出位置において前記クリップユニットと係合可能であり、且つ、前記シースに収容された収容位置において前記クリップユニットとの係合の解除を規制されるリンクと、前記操作ワイヤに接続され、第1の操作によって移動するスライダと、前記スライダが進退可能に取り付けられるハンドルと、第2の操作によって、前記スライダの移動と交差する方向に移動するスイッチ部材を有するリミッターと、を備え、前記リミッターは、前記第2の操作がない場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する可動距離を第1長さとすることで前記リンクを前記収容位置に留め、前記第2の操作がある場合に、前記スライダの前記ハンドルに対する前記可動距離を前記第1長さより長い第2長さとすることで前記リンクを前記突出位置に移動可能とする。
【0019】
本発明の第四の態様は、第三の態様に係るアプリケータにおいて、前記第1の操作は、前記スライダの進退方向において、前記ハンドルに対して前記スライダを進退させる操作であってもよい。前記第2の操作は、前記スライダの前記進退方向に交差する交差方向において、前記スイッチ部材を移動させる操作であってもよい。
【0020】
本発明の第四の態様は、第三の態様に係るアプリケータにおいて、前記スライダは、進退移動によって前記リンクを移動させてもよい。前記リミッターは、前記ハンドルに当接可能な第1当接面と、前記スライダに当接可能な第2当接面と、を備えてもよい。前記第1当接面および前記第2当接面のうち少なくともいずれか一方は、前記スイッチ部材に設けられてもよく、且つ、前記スイッチ部材とともに前記交差方向へ移動可能であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の結紮装置、アプリケータおよび連結方法は、シースに対する操作ワイヤの移動範囲を所望の範囲に規制する制限状態とその規制を解除した状態とに切り替え可能であり、制限状態では第1リンクがシースから外れ難い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第一実施形態に係る結紮装置を示す部分断面図である。
【
図2】第一実施形態のクリップユニットを示す部分断面図である。
【
図3】第一実施形態のクリップユニットを示す部分断面図である。
【
図4】第一実施形態に係る結紮装置のハンドルを示す斜視図である。
【
図5】第一実施形態に係る結紮装置の長手軸方向に沿う断面図であり、ハンドルを
図1に示す矢印A方向から見た図である。
【
図6】第一実施形態に係る結紮装置を示す部分断面図である。
【
図7】第一実施形態に係る結紮装置の長手軸方向に沿う断面図であり、ハンドルを
図6に示す矢印C方向から見た図である。
【
図10】スライダ部の態様を示す図であり、
図9の符号Pで示す部分の断面図である。
【
図11】第一実施形態に係る連結方法を示すフローチャートである。
【
図12】第二実施形態に係る結紮装置の操作部を示す側面図である。
【
図13A】第二実施形態に係る結紮装置の操作部を示す断面図である。
【
図13B】第二実施形態に係る結紮装置の操作部を示す部分断面図である。
【
図15】第三実施形態に係る結紮装置の操作部を示す部分断面図である。
【
図16】第三実施形態に係る結紮装置の操作部を示す部分断面図である。
【
図18】第四実施形態に係る結紮装置の操作部を示す斜視図である。
【
図19】第四実施形態の第2スライダを示す斜視図である。
【
図20】第四実施形態の第1スライダを示す斜視図である。
【
図21】第四実施形態に係る結紮装置の操作部を示す断面図である。
【
図22】第四実施形態に係る結紮装置の操作部を示す断面図である。
【
図23】第四実施形態に係る結紮装置の操作部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一実施形態)
第一実施形態に係る結紮装置および連結方法について
図1から
図9を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る結紮装置1を示す全体図である。
図2及び
図3は、本実施形態のクリップユニット3を示す部分断面図である。
図4は、結紮装置1の操作部5を示す斜視図である。
図5および
図7は、結紮装置1の長手軸方向に沿う断面図である。
図5における操作部5は、
図1に示す矢印A方向から見た図である。
図6は、本実施形態に係る結紮装置1を示す部分断面図である。
図7における操作部5は、
図6に示す矢印C方向から見た図である。
図8および
図9は操作部5の断面図である。
【0027】
本実施形態に係る結紮装置1は、内視鏡の処置具チャンネルを介して体内に挿入され、クリップユニット3を体内組織に結紮させる装置である。結紮装置1は、
図1に示すように、クリップユニット3と、アプリケータ100とを備える。アプリケータ100は、シース8と、操作ワイヤ7と、コネクタ71(第2リンク)と、操作部5とを備えている。
【0028】
以下の説明において、結紮装置1が直線状に延びた状態における長手方向の中心線を長手軸Lと称する。結紮装置1における操作部5側を近位側、長手軸L方向における近位側の反対側であってクリップユニット3が設けられる側を遠位側と称する。
【0029】
結紮装置1は、操作部5の遠位部にシース8の近位端が接続されており、操作ワイヤ7が操作部5からシース8の全長にわたって挿通されている。操作ワイヤ7はシース8に対して進退可能に設けられている。操作ワイヤ7の遠位端のコネクタ71にクリップユニット3が着脱可能に接続され、操作部5の操作によりアーム部材30を処置対象部位に留置される。結紮装置1の各部の具体的な構成を以下に示す。
【0030】
クリップユニット3について説明する。
図2及び
図3は、本実施形態のクリップユニット3を模式的に示す図であり、クリップユニット3の長手軸L方向に沿う部分断面図である。
図3は、
図2に示す矢印B方向から見た図である。
図2および
図3に示すように、クリップユニット3は、アーム部材30と、押さえ管4と、連結棒2(第1リンク)とを備えている。
【0031】
アーム部材30は、第1アーム31と、第2アーム32と、接続部33とを有している。
【0032】
アーム部材30は、例えば、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン等の金属製の薄く細長い板で作製されている。アーム部材30は、薄く細長い板の中間部に厚さ方向に曲げ加工を施した接続部33が形成され、板の両端部が第1アーム31、第2アーム32となる。アーム部材30は、第1アーム31および第2アーム32の近位側に接続部33が配置される。接続部33の遠位側で第1アーム31と第2アーム32とが交差し、さらに遠位方向に向かって第1アーム31と第2アーム32とが互いに離間する方向に延びている。
【0033】
接続部33には、一対の突片34が形成されている。一対の突片34は、第1アーム31および第2アーム32が延びる長手方向に対して直交する方向に外方に突出している。一対の突片34は、長手方向に沿う中心軸に対して線対称の位置に形成されていてもよい。
【0034】
第1アーム31および第2アーム32における接続部33とは反対側の端部には、互いに近付く方向に曲折された爪部36が形成されている。第1アーム31および第2アーム32は、接続部33側から爪部36側に向かって互いに離間する方向に曲げ癖が付与されている。
【0035】
押さえ管4は、長手軸L方向に貫通する挿入孔41を有する筒状部材である。挿入孔41は円形の孔であり、押さえ管4の遠位端から近位端まで貫通して形成されている。挿入孔41は、アーム部材30の少なくとも一部が挿入可能な内径を有する。挿入孔41の遠位端部の内壁にはテーパ面42が形成されている。テーパ面42は押さえ管4の遠位端面75に向かって拡径して形成されている。挿入孔41の中間領域には、遠位側よりも内径が小さくなる段部44が形成されている。押さえ管4の外径は、後述するアプリケータ100のシース8の内径よりも大きい。
【0036】
押さえ管4は、例えば、ステンレス鋼、チタン合金(Ti-6AL-4V等)、コバルトクロム合金などの金属材料や、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA)等の適度な弾性を持つ高剛性の樹脂材料を用いて作製される。
【0037】
連結棒2は、アーム部材30と、後述する操作ワイヤ7とを連結する部材である。連結棒2は、
図2及び
図3に示すように、連結本体21と、フック部23と、近位係合部27と、係止突起26とを有する。連結棒2は、所定の強度を有する樹脂材料等により成形されている。
【0038】
連結本体21は、押さえ管4の挿入孔41内に挿入可能な大きさを備えればよく、形状は制限されない。本実施形態の連結本体21は、略円柱形状を有し、連結本体21の外径は、押さえ管4の挿入孔41の内径よりも小さい。連結本体21の遠位端にフック部23が設けられ、近位端に近位係合部27が設けられている。
【0039】
フック部23は、連結本体21の遠位端から遠位方向に突出して設けられている。フック部23は、円柱形状の連結本体21の中心軸に対して交差する方向に曲折した形状を有する。フック部23は、アーム部材30の接続部33が係止可能に構成されている。フック部23は、連結棒2を遠位側から見たときに、連結本体21の外周よりも内側に位置し、押さえ管4の挿入孔41内に挿入可能な寸法を有する。
【0040】
近位係合部27は、操作ワイヤ7のコネクタ71と係合可能に構成されている。近位係合部27は、連結本体21の近位端に連結され、近位方向に延出している。
図2に示すように、近位係合部27は、係合孔28と、一対のレッグ24と、近位係止端25とを有する。近位係合部27は、一対のレッグ24が連結本体21から近位側に延設されており、一対のレッグ24の遠位部間に係合孔28が形成されている。係合孔28は、後述する操作ワイヤ7のコネクタ71が挿入可能な大きさを有する。
【0041】
近位係止端25は、一対のレッグ24の近位端の離間距離が狭くなるように連結棒2の中心軸に向かって突出して形成されている。近位係止端25により係合孔28の近位側の開口部が狭くなるように構成されている。レッグ24は、外力が掛かると連結棒2の径方向外側へ弾性変形し、一対の近位係止端25が離間し、係合孔28にコネクタ71が進入可能な程度の寸法まで拡大する。
【0042】
係止突起26は、連結本体21の近位部の外周面に、径方向に突出して設けられている。
図3に示すように、係止突起26は連結本体21の中心軸を挟んで対称となる位置に2つ設けられている。2つの係止突起26は、押さえ管4の挿入孔41に進入不能な程度に突出している。係止突起26は、押さえ管4に対する連結棒2の前進位置を規制する。押さえ管4の挿通孔に連結棒2を挿入し、前進させた場合に、係止突起26が押さえ管4の近位端に当接し、連結棒2のさらなる前進を規制する。
【0043】
連結棒2は、フック部23および連結本体21が押さえ管4の挿入孔41に挿入されている。連結棒2は、係止突起26が押さえ管4の近位端に当接する位置まで押さえ管4に対して進退可能である。係止突起26が押さえ管4の近位端に当接することにより、連結棒2の押さえ管に対する前進が規制される。フック部23には、アーム部材30の接続部33のループ部分が係止されている。したがって、連結棒2およびアーム部材30が押さえ管4に対して進退可能に挿入されている。
【0044】
図示は省略するが、クリップユニット3は、輸送のしやすさ、リロード時の装着操作のしやすさ、滅菌状態の保持などの目的で、コネクタ71への連結前は、クリップカートリッジに収容されている。
【0045】
次に、アプリケータ100の構成について説明する。
図1に示すように、アプリケータ100は、操作部5と、シース8と、操作ワイヤ7と、を備える。アプリケータ100は、シース8の近位端に操作部5が設けられ、操作部5と接続された操作ワイヤ7がシース8内に挿通されている。アプリケータ100は、操作部5の操作により操作ワイヤ7がシース8に対して長手方向に相対移動可能に構成されている。
【0046】
シース8は、可撓性を有する長尺な管状部材である。シース8は、全長にわたり長手軸Lに沿って管路が形成されている。シース8は、例えば、SUS301などのステンレス鋼からなる素線を長手軸L周りに密巻に巻回して形成されたコイルシースである。シース8の近位端は操作部5のハンドル53に接続されている。管路は、シース8の遠位端81に開口している。
【0047】
操作ワイヤ7は、シース8内に挿通されている。操作ワイヤ7の近位端は後述する操作部5の第1スライダ51に固定され、操作ワイヤ7の遠位端にはコネクタ71が固定されている。操作ワイヤ7は、金属製の単線や撚り線で形成されている。
【0048】
コネクタ71は、クリップユニット3と連結可能な部材である。具体的には、コネクタ71は、アーム部材30と操作ワイヤ7とを連結する部材である。コネクタ71は、近位部に位置する軸部72と、遠位部に位置する大径部73とを備えている。軸部72の近位端は、操作ワイヤ7の遠位端に固定されている。大径部73は、軸部72よりも直径が大きい円錐形状を有し、長手軸L方向に突出し、遠位側に尖端74が配置されている。
【0049】
図1、
図4及び
図5に示すように、操作部5は、ハンドル53と、第1スライダ51(スライダ)と、第2スライダ52(リミッター)とを備えている。
【0050】
ハンドル53は、長手軸L方向に沿って延びる棒状部材であり、中央部に長孔532を有する。長孔532は、ハンドル53の遠位端部と近位端部との間に長手軸L方向に延び、ハンドル53の長手軸L方向に直交する方向に貫通している。ハンドル53の近位端には、指掛け孔531が設けられている。本実施形態では、指掛け孔531が貫通孔である例を示しているが、指掛け部は貫通孔でなくてもよい。例えば、指掛け部は指を掛けてハンドル53を保持可能な凹部が形成されている構成であってもよい。ハンドル53の遠位端はシース8に固定されている。
【0051】
ハンドル53の遠位端部には、ワイヤ挿通孔535が形成されている。ワイヤ挿通孔535は、ハンドル53の遠位端面と、長孔532の遠位端との間に長手軸Lに沿って貫通して形成されている。
図5に示すように、操作ワイヤ7はハンドル53のワイヤ挿通孔535に挿通され、操作ワイヤ7の近位端が第1スライダ51に固定されている。
【0052】
第1スライダ51は略円筒形状を有している。第1スライダ51は、ハンドル53に対して長手軸L方向にスライド可能に外挿されている。
図5および
図7に示すように、第1スライダ51は、長手軸L方向に延びる挿通孔517を有する。挿通孔517は、ハンドル53の長手軸Lに直交する方向の外周形状と相似形を有し、ハンドル53が挿通孔517内をスライド可能な程度の大きさに形成されている。挿通孔517内にハンドル53が挿入され、第1スライダ51がハンドル53に対してスライド可能に構成されている。
【0053】
挿通孔517の近位端部は長手軸L方向に直交する方向に延びる近位端壁を有する。近位端壁は、ハンドル53が挿入可能な近位開口を有する。第1スライダ51の遠位端は挿通孔517の開口形状に沿って開口している。
【0054】
第1スライダ51の近位端部には、長手軸L方向に直交する近位壁部516を備える。近位壁部516の挿通孔517に面する内面514の略中央部には操作ワイヤ7を固定するワイヤ固定部5141が形成されている。
【0055】
第1スライダ51の長手方向の両端部には、径方向外側に突出する近位指掛け壁部511および遠位指掛け壁部512が設けられている。
図4及び
図5に示すように、第1スライダ51の遠位端部の遠位指掛け壁部512には中空部513が形成されている。
図8に示すように、中空部513は、内孔5131および外孔5132と連通している。内孔5131は、中空部513と挿通孔517とに連通し、第1スライダ51の径方向に延びる孔である。外孔5132は、中空部513と第1スライダ51の外周面とに連通し、第1スライダ51の径方向に延びる孔である。内孔5131と外孔5132とは、第1スライダ51の径方向に沿う同一直線上に形成されている。
【0056】
中空部513内には、スイッチ部材54が設けられている。スイッチ部材54は、スイッチ本体541と、外突部543と、内突部542とを備える(
図10参照)。スイッチ本体541は、中空部513に挿入され、中空部513内を径方向に沿って移動可能な寸法を有する。外突部543と内突部542とはスイッチ本体541から互いに逆方向に突出している。外突部543は外孔5132内を第1スライダ51の径方向に進退可能に配置されている。すなわち、スイッチ部材54は、第1スライダ51の進退方向に交差する方向に移動可能に構成されている。内突部542は内孔5131内を第1スライダ51の径方向に進退可能に配置されている。内突部542の内側の側面は、第2スライダ52と当接可能な当接面5421(第2当接面)である。スイッチ部材54と中空部513との間には付勢部材(不図示)が設けられており、スイッチ部材54は径方向に外力が付加されない自然状態では、径方向外側に付勢され、外突部543が外孔5132から外側に突出して保持される。
【0057】
図8および
図9に示すように、挿通孔517の近位端部の内壁には、径方向外側に窪む係止凹部519が形成されている。係止凹部519の近位端面5191は長手軸Lに対して直交する平面であり、係止凹部519の遠位端面5192は遠位側に向かって縮径するように長手軸Lに対して傾斜する斜面である。
【0058】
中空部513および係止凹部519は、それぞれ第1スライダ51の周方向に離間して2カ所設けられている。中空部513および係止凹部519は、第1スライダ51の周方向の位置が一致するように形成されている。
【0059】
第2スライダ52は、第1スライダ51よりも遠位側に設けられている。第2スライダ52は、ハンドル53の長孔532に沿って長手軸L方向にスライド可能に設けられている。
図4および
図5に示すように、第2スライダ52は、遠位壁部520と側壁部523とを備える。遠位壁部520は、略円板形状を有し、一対のスライド孔529と、ワイヤ挿通孔528とが長手軸L方向に貫通して形成されている。一対のスライド孔529は、ハンドル53の長孔532の側部が挿通されている。ワイヤ挿通孔528は、第2スライダ52の中心部に形成されている。
【0060】
側壁部523は、遠位壁部520の近位端面5201から長手軸L方向に突出して設けられた側壁である。
図5に示すように、側壁部523には、第1突起521と、第2突起522とが設けられている。第1突起521は、第2スライダ52の近位側に設けられ、第2突起522は第2スライダ52の遠位側に設けられている。第1突起521および第2突起522は、それぞれ第2スライダ52の径方向外側に突出する突起である。第1突起521および第2突起522の周囲には、側壁部523の厚さ方向(第2スライダ52の径方向)に貫通するスリット524,525が形成されている(
図4および
図6参照)。第2スライダ52を径方向外側から見たとき、各スリット524,525は略U字形状に形成されている。第1突起521は第1突起521の遠位側で側壁部523と接続されており、第2突起522は第2突起522の近位側で側壁部523と接続されている。第1突起521および第2突起522に外力が加わると、スリット524,525の内側が第2スライダ52の径方向に撓んで第1突起521および第2突起522は径方向に移動可能な可動部526,527が形成されている。
【0061】
側壁部523は、中心軸を挟んで対向する位置に一対設けられている。側壁部523は、長孔532内に配置され、第1スライダ51の挿通孔517内に挿入可能に配置されている。
【0062】
次に、結紮装置1の態様および連結方法について説明する。
操作部5は、ハンドル53に第1スライダ51および第2スライダ52が外挿されている。第1スライダ51および第2スライダ52は、ハンドル53に対して長手軸L方向にスライド可能に設けられている。第2スライダ52の遠位壁部520の遠位端面5202は、長孔532の遠位側の端面5320に当接可能な第1当接面である。
【0063】
操作ワイヤ7の近位端は第1スライダ51の近位指掛け壁部511の内面514のワイヤ固定部5141に固定されている。
図5に示すように、操作ワイヤ7は、第1スライダ51のワイヤ固定部5141から遠位側に長手軸L方向に延設されている。操作ワイヤ7は、第1スライダ51の挿通孔517と、第2スライダ52の側壁部523間の空間およびワイヤ挿通孔528と、ハンドル53のワイヤ挿通孔535とに挿通され、シース8内に挿通されている。操作ワイヤ7の遠位端は、シース8の遠位部まで延設されている。シース8はハンドル53に固定されているため、第1スライダ51をハンドル53に対して進退させると、操作ワイヤ7はシース8に対して相対移動する。操作ワイヤ7の進退に伴いコネクタ71がシース8の遠位端81から突没する。つまり、第1スライダ51のハンドル53に対する移動によりコネクタ71がシース8に対して移動する。したがって、第1スライダ51のハンドル53に対する位置を調整することにより、シース8の遠位端81に対するコネクタ71の位置を調整できる。
【0064】
本実施形態では、ハンドル53に対して第1スライダ51を遠位方向に前進させると、操作ワイヤ7が前進する。
図1に示すように、第1スライダ51がハンドル53の遠位端部に位置すると、操作ワイヤ7の遠位端およびコネクタ71がシース8の遠位端81から突出する。コネクタ71がシース8の遠位端81から突出した突出位置では、コネクタ71にクリップユニット3を係合可能な状態となる。
【0065】
第1スライダ51と第2スライダ52とは係合可能に構成されている。
図5および
図7に示すように、第2スライダ52の側壁部523は、第1スライダ51の挿通孔517に挿入されており、挿通孔517内を進退可能に構成されている。第2スライダ52の一対の側壁部523は、第1スライダ51の内孔5131と対向する位置に配置されている。第2スライダ52の第1突起521は、第1スライダ51の内孔5131および係止凹部519に係合可能に構成されている。第2スライダ52の第2突起522は、第1スライダ51の内孔5131に係合可能に構成されている。
【0066】
第1突起521または第2突起522が内孔5131に係合することにより、第1スライダ51と第2スライダ52とが係合する。側壁部523の第1突起521および第2突起522は、挿通孔517の内壁よりも径方向外側に突出している。側壁部523はハンドル53の長孔532の開口に配置されているため、第1突起521または第2突起522が挿通孔517の内壁に当接すると、側壁部523の可動部526,527が径方向内側に撓み、第1スライダ51と第2スライダ52とが長手軸L方向に相対移動可能となる。また、第1突起521または第2突起522が内孔5131に挿入された係合状態において、スイッチ部材54の外突部543を操作者が径方向内側に押す(第2の操作)と、中空部513内をスイッチ部材54が径方向内側に移動する。その結果、内突部542が内孔5131内に進入し、内突部542の当接面5421が第1突起521または第2突起522と当接する。その結果、スイッチ部材54により内孔5131内に挿入された第1突起521または第2突起522が押圧され可動部526,527が径方向内側に撓み、第1スライダ51と第2スライダ52との係合が解除される。
【0067】
係合された第1スライダ51と第2スライダ52とは、係合状態が保持されながらハンドル53に対して進退可能に構成されている。以下の説明において、係合された第1スライダ51と第2スライダ52を係合スライダと称する。
【0068】
図7に示すように、第1突起521が内孔5131に係合した状態では、第2スライダ52の側壁部523が第1スライダ51から露出し、第1スライダ51の近位端と長孔532の近位端との長手軸L方向の長さ(第1スライダ51の可動距離)が第1長さL1となる(制限状態)。長手軸L方向における内孔5131と係止凹部519との間の距離は、第1突起521と第2突起522との間の距離に略等しい。したがって、
図5に示すように、第2突起522が内孔5131に係合すると、側壁部523が挿通孔517内に収容され、第1突起521は係止凹部519に係合する。第2突起522が内孔5131に係合すると、係合スライダの長手軸L方向の長さが制限状態より短くなり、第1スライダ51の近位端と長孔532の近位端との長手軸L方向の長さ(第1スライダ51の可動距離)が第2長さL2となる(制限解除状態)。第1長さL1は第2長さL2より短い。したがって、係合スライダが長い制限状態と係合スライダが短い制限解除状態とでは、係合スライダの長孔532内の移動範囲が異なる。具体的には、制限状態では、第1スライダ51のハンドル53に対する移動範囲は、制限解除状態に比べて短い。また、係合スライダが制限状態にあるとき、制限解除状態の場合に比べて、ハンドル53に対する第1スライダ51が遠位方向へ前進可能な位置が規制される。つまり、第2スライダ52が第1スライダ51の前進位置を規制するストッパとして機能する。
【0069】
制限解除状態では、第1スライダ51が制限状態よりも遠位側に前進可能である。操作ワイヤ7は第1スライダ51に固定されているため、制限解除状態の係合スライダが最も遠位側に最大限前進すると、コネクタ71がシース8の遠位端81から突出する突出状態となる。一方、制限状態では、第1スライダ51が最も遠位側へ前進可能な位置が制限解除状態よりも近位側となる。制限状態における第1スライダ51が最も遠位側へ前進可能な位置は、コネクタ71がシース8の遠位端81よりも近位側に位置し、コネクタ71がシース8内に収容される位置である。
【0070】
次に、結紮装置1の使用態様および連結方法について説明する。
図11は、本実施形態に係る連結方法を示すフローチャートである。
クリップユニット3をシース8の遠位端81に装着するために、コネクタ71をシース8の遠位端81から突出させる。具体的には、操作者は、スイッチ部材54の外突部543を進退方向に交差する方向に押し、第1突起521の内孔5131への係合を解除した後、第1スライダ51を前進させる。第1スライダ51を第2スライダ52に対して前進させて第2突起522が内孔5131に対向すると、第2突起522が内孔5131に係合し、第1突起521は係止凹部519に係止され、係合スライダが制限解除状態となる。このように、操作ワイヤ7を前進させる第1スライダ51の前進操作(第1の操作)と異なり、スイッチ部材54の外突部543を押す操作(第2の操作)により、係合スライダを制限状態から制限解除状態とする(解除ステップS1)。
【0071】
なお、上述では第1スライダ51を第2スライダ52に対して前進させて係合スライダを短くした状態を制限解除状態と説明したが、本明細書における制限解除状態はこれに限定されない。例えば、操作者がスイッチ部材54の外突部543を押し、第1突起521の内孔5131への係合を解除した状態(言い換えると、第1スライダ51が第2スライダ52に対して前進可能な状態)も制限解除状態に含まれる。操作者がスイッチ部材54の外突部543を押し、第1突起521の内孔5131への係合を解除した状態であっても、第1スライダ51の前進操作(第1の操作)によって第2スライダ52が長孔532の縁に当接し、第1スライダ51を第2スライダ52に対して前進させることができる。このため、制限解除状態における第1スライダ51のハンドル53に対する移動範囲は、制限状態における第1スライダ51の移動範囲よりも長い。すなわち、制限解除状態においては、係合スライダの長孔532内の移動範囲が制限状態の移動範囲よりも長くなっている。
【0072】
続いて、操作者は制限解除状態の係合スライダをハンドル53に対して前進させコネクタ71を突出位置まで前進させる(移動ステップS2)。コネクタ71を突出位置に保持し、不図示のカートリッジに収容されたクリップユニット3の近位端をコネクタ71に近付ける。連結棒2の近位係止端25をコネクタ71に押し当てると、コネクタ71に係止突起26が押されることでレッグ24が径方向外側へ弾性変形し、係止突起26間の離間距離が広がり、コネクタ71の尖端74が一対のレッグ24間に進入する。コネクタ71が係合孔28に進入すると、レッグ24は元の位置に戻り、コネクタ71の近位部が係止突起26に当接する。この結果、コネクタ71が近位係合部27に保持され、クリップユニット3がコネクタ71に係合される(係合ステップS3)。
【0073】
続いて、係合スライダをハンドル53の近位側に移動させる操作により、コネクタ71が後退し、連結棒2と接続されたコネクタ71がシース8内に収容される(第2移動ステップS4)。
図6に示すように、コネクタ71がシース8内に収容された収容位置では、連結棒2の近位係合部27がシース8内に挿入され、一対のレッグ24の径方向外側への移動が規制される。この結果、シース8によりコネクタ71と連結棒2との係合が解除されることが規制され、コネクタ71と連結棒2との係合が保持される。
【0074】
続いて、操作者は、スイッチ部材54の外突部543を押して第2突起522と内孔5131との係合を解除した後、第1スライダ51を第2スライダ52に対して後退させる。なお、係止凹部519の遠位端面5192は傾斜しているため、制限解除状態から第1スライダ51が後退すると、遠位端面5192の傾斜に沿って可動部527が撓み、第1突起521が係止凹部519から円滑に外れる。第1スライダ51が後退して第1突起521が内孔5131に対向すると、第1突起521が内孔5131に係合し、係合スライダが制限状態となる(リミットステップS5)。
【0075】
操作者は、予め不図示の内視鏡を患者の体内に挿入しておく。操作者は、不図示の内視鏡用処置具の処置具チャンネルの操作部側から結紮装置1を挿入し、内視鏡のチャンネルの遠位端から結紮装置1を突出させる。
【0076】
制限状態の係合スライダをハンドル53に対して近位側に移動させると、押さえ管4の近位端がシース8の遠位端81に当接し、クリップユニット3が長手軸L方向に延びた状態で保持される。続いて、操作者は操作部5を遠位側に押し、アプリケータ100を内視鏡用処置具の処置具チャンネルに対して前進させ、処置対象部位にアーム部材30を当接させる。この状態で操作者が制限状態の係合スライダを近位側に後退させると、押さえ管4はシース8に当接しているため後退せず、連結棒2及びアーム部材30が押さえ管4に対して後退する。
【0077】
アーム部材30が押さえ管4に対して後退すると、接続部33が押さえ管4内に進入する。接続部33が押さえ管4の挿通路に押され、第1アーム31および第2アーム32が互いに離間する方向に開く。
【0078】
次に、操作者は、不図示の内視鏡を操作し、アーム部材30の向きおよび姿勢を調整し、処置対象部位に向かってアーム部材30を押し付ける。このような操作により、処置対象部位の周囲に、開形態にあるアーム部材30の第1アーム31および第2アーム32を配置できる。
【0079】
操作者は、内視鏡画像で第1アーム31と第2アーム32との間に、処置対象部位が位置することを確認したら、ハンドル53を把持して制限解除状態の係合スライダを近位側へ移動させる。この操作により、第1アーム31及び第2アーム32は、操作ワイヤ7に牽引されて近位側へ移動する。第1アーム31及び第2アーム32は、押さえ管4の遠位部のテーパ面42に接触しながら後退し、第1アーム31と第2アーム32とが互いに近付く方向に弾性変形する。その結果、第1アーム31および第2アーム32の爪部36同士が接近し、第1アーム31と第2アーム32とで処置対象部位を把持できる。このとき、一対の突片34が挿入孔41の段部44よりも近位側に進入すると、一対の突片34が段部44よりも近位側の挿入孔41に摩擦係合する。この結果、アーム部材30により処置対象部位を把持した状態が保持される。
【0080】
操作者は、制限状態の係合スライダをさらに後退させると、一対の突片34が押さえ管4の近位部の開口から近位側に突出し、押さえ管4の近位端に当接し、アーム部材30とが押さえ管4に係止される。この結果、アーム部材30の押さえ管4に対する遠位側への移動が規制される。アーム部材30は処置対象部位を挟持した状態で押さえ管4に保持される。
【0081】
操作者が係合スライダをさらに後退させると、各アーム31,32に設けられている段部35が押さえ管4の挿通路の内壁に押し込まれアーム部材30が押さえ管4に嵌合される。アーム部材30が押さえ管4に嵌合された後も係合スライダを後退させ続けると、連結棒2のフック部23が座屈し、接続部33とフック部23との係止が解除される。この結果、アーム部材30および押さえ管4と連結棒2との係合が解除され、アーム部材30および押さえ管4とシース8との接続が解除され、処置対象部位が結紮される。
【0082】
連結棒2をコネクタ71に係合させた状態で、係合スライダを後退させるとシース8内に連結棒2が収容される。連結棒2がシース8内に収容された状態でアプリケータ100を内視鏡のチャンネルから抜去し、係合操作を終了する。
【0083】
第一のクリップユニット3による処置対象部位の結紮後、アプリケータ100を体外に抜去し、必要に応じて、再度第二のクリップユニット3をアプリケータ100に装填する。具体的には、アプリケータ100を体外に抜去後、操作ワイヤ7をシース8の遠位端81から突出させ、操作ワイヤ7のコネクタ71に連結している連結棒2を取り外す。次に、第二のクリップユニット3が収容された第二のカートリッジを用意する。操作ワイヤ7を後退させ、上述の方法と同じ方法でカートリッジをシース8に近付け、連結棒2とコネクタ71とを係合させる。これによりクリップユニット3がアプリケータ100に装填される。このように、組織の複数個所を複数のクリップユニット3で結紮する際、アプリケータ100を交換せずに連続してクリップユニット3を装填できる。
【0084】
本実施形態によれば、シース8に対する操作ワイヤ7の移動範囲を所望の範囲に規制する制限状態とその制限を解除した制限解除状態とに切り替え可能である。この結果、係合スライダが制限状態にあるときは、コネクタ71がシース8内に収容された収容位置に保持しながらスライダを操作できる。一方、係合スライダが制限解除状態にあるときは、コネクタ71をシース8の遠位端81から突出する突出位置まで押し出すことができる。
【0085】
本実施形態によれば、クリップユニット3をシース8の遠位側で保持した状態からアーム部材30で処置対象部位を結紮する操作を行うまでの間、係合スライダは制限状態で保持される。この結果、第1スライダ51の最前進位置が規制されるため、操作者が誤って係合スライダを遠位方向に前進させてもコネクタ71がシース8の遠位端81から突出することない。言い換えると、コネクタ71と連結棒2の連結部分がシース内に配置されるため、一対のレッグ24の径方向外側への移動が規制され、コネクタ71と連結棒2との係合が保持される。このため、クリップユニット3がシース8の遠位側から脱落することがない。
このとき、
図6に示すように、押さえ管4は、基端面がシース8の先端面に接触している。なお、本実施形態において、部品の製造公差や、操作時の誤差などにより、押さえ管4とシース8とは密着せず、その間の距離がほぼゼロである場合もある。この場合、クリップユニット3とアプリケータ100とは、コネクタ71と連結棒2との係合によって連結されているので、クリップユニット3がアプリケータ100から意図せず脱落することはない。本明細書において、押さえ管4とシース8との間の距離がほぼゼロである場合も「押さえ管4がシース8に接触する」に含まれる。
また、アーム部材30が閉じた後に係合スライダを遠位方向に前進させてアーム部材30を再度開かせる操作を行う場合であっても、クリップユニット3がシース8の遠位側から脱落することがない。
【0086】
具体的には、第1スライダ51と第2スライダ52とで構成され、長手軸L方向の長さを2つの長さに変更可能なスライダ(係合スライダ)を備える。第2スライダ52が、第1スライダ51の遠位側への移動位置を規制するストッパとして機能する。第1スライダ51は操作ワイヤ7が接続されているため、第1スライダ51の前進範囲が制限されると、シース8に対する操作ワイヤ7の前進位置を制限できる。この結果、連結棒2を収納位置に保持したい場合は、係合スライダを制限状態とすることにより、操作ワイヤ7がシース8の遠位端81から突出することを防ぐことができる。
【0087】
本実施形態に係る結紮装置1によれば、スイッチ部材54を第1スライダ51の進退方向と交差する方向に移動させる。操作ワイヤ7を進退させるための第1スライダ51の進退移動方向と、スイッチ部材54を押す方向とが相違する。この結果、操作者は、第1スライダ51の移動操作と、制限状態の切り替え操作とを混同し難く、円滑に操作できる。
【0088】
本実施形態では、第1スライダ51の遠位側にストッパとしての第2スライダ52を配置する例を示したが、ストッパの位置はこれに限定されない。例えば、ストッパを第1スライダ51と長手軸L方向に重畳する位置に設け、ストッパのハンドル53に対する位置を移動させることにより、ハンドル53に対する第1スライダ51の前進可能な範囲を切り替える構成であってもよい。
【0089】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る結紮装置1Aについて
図12から
図14を参照して説明する。以降の説明において、第一実施形態で既に説明したものと共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図12は、結紮装置1Aの操作部5Aの側面図である。
図13Aおよび
図13Bは、本実施形態に係る結紮装置1Aの操作部5Aの長手軸L方向に沿う断面図である。
図14は、
図13AのD-D線における断面図である。
【0090】
本実施形態に係る結紮装置1Aは、操作部の構成が第一実施形態と異なり、第1スライダ51の制限解除状態と制限状態とを切り替える構成が相違する。本実施形態の操作部5Aは、第一実施形態の第2スライダ52を備えていない。
【0091】
本実施形態の操作部5Aは、ハンドル53の長孔532内に一対のストッパ534が設けられている。一対のストッパ534は、長孔532の内壁から長手軸Lに対して直交する方向に突出し、互いに対向して形成されている。一対のストッパ534の対向面同士は離間している。この結果、ストッパ534の位置において長孔532の開口が狭くなる。
【0092】
本実施形態の第1スライダ51Aの構成は第一実施形態の第1スライダ51と相違する。本実施形態の第1スライダ51Aでは、第1スライダ51Aの係止孔およびスイッチ部材の構成が第一実施形態と相違する。
図14に示すように、長手軸Lに直交する方向(第1スライダ51
Aの直径方向)に沿って第1スライダ51
Aの内外に連通する第1係止孔5151および第2係止孔5152が形成されている。第1係止孔5151および第2係止孔5152内にはスイッチ部材54Aが挿通されている。
【0093】
スイッチ部材54Aは、第1スライダ51Aの遠位指掛け壁部512Aの直径よりも長い棒状部材である。棒状のスイッチ部材54Aの軸方向の両端部は、第1スイッチ部5461および第2スイッチ部5462として機能する。スイッチ部材54Aの軸方向の中央部には一対の凹部547が形成されている。一対の凹部547は、逆方向に開口する略矩形の凹部である。
【0094】
第2スイッチ部5462は、第1スイッチ部5461よりも外周寸法が小さい溝部5463が形成されている。第2係止孔5152には、第2係止孔5152の内壁から突出するリブ5153が設けられている。第2係止孔5152に第2スイッチ部5462の溝部5463が配置されている。溝部5463内にはばね548が配置されており、ばね548の一端部はリブ5153と当接している。この構成により、スイッチ部材54Aは、自然状態では、ばね548により付勢され、第1スイッチ部5461が第1係止孔5151から外方に突出した状態に保持される。第1スイッチ部5461が第1スライダ51Aの挿通孔517側に押されると、ばね548が圧縮され、スイッチ部材54が第1係止孔5151側から第2係止孔5152側へ向かって移動する。
【0095】
図13Aおよび
図13Bに示すように、一対のストッパ534は長孔532内に一箇所設けられている。一対の凹部547は、ストッパ534を通過可能に形成されている。スイッチ部材54Aは、自然状態では、
図14の(A)に示すように、第1スイッチ部5461が第1係止孔5151から突出し、一対の凹部547が第1スライダ51Aの中心軸C
1より外側にずれている。このため、自然状態のとき、スイッチ部材54Aはストッパ534に当接し、第1スライダ51Aの長手軸L方向の移動が規制される。一方、第1スイッチ部5461が中心軸C
1側に押されると、一対の凹部547がストッパ534に対向する位置となる。この結果、第1スイッチ部5461が押されると、スイッチ部材54Aがストッパ534間を通過して移動可能となる。
【0096】
スイッチ部材54Aは第1スライダ51Aの第1係止孔5151および第2係止孔5152に摺動可能に挿通されている。
制限状態または規制解除状態において、スイッチ部材54Aの第2スイッチ部5462の近位端面5464(
図12参照)が第1スライダ51Aの第2係止孔5152に当接する。つまり、第2スイッチ部5462の近位端面5464がハンドル53Aに当接可能な第1当接面となる。第2スイッチ部5462の近位端面5464が第1スライダ51Aに当接する第2当接面となる。
【0097】
図13Aに示すように、操作ワイヤ7は、第1スライダ51Aのワイヤ固定部518に固定されている。第1スライダ51の長手軸L方向において、スイッチ部材54Aは、ワイヤ固定部518よりも近位側に設けられている。
【0098】
つまり、スイッチ部材54Aは、第1スライダ51の移動方向である長手軸L方向と異なる方向に移動する操作により、制限状態と制限解除状態に切り替えられる。その結果、第2スライダ52Aは、第1スライダ51Aを移動させる第1の操作とは異なる第2の操作によって第1スライダ51Aの移動範囲の制限を解除可能である。具体的には、
図13Aに示すように、スイッチ部材54Aがストッパ534より近位側に位置するときは制限状態であり、
図13Bに示すように、スイッチ部材54Aがストッパ534より遠位側に位置するときが制限解除状態である。
【0099】
スイッチ部材54Aがストッパ534に当接した状態で第1スイッチ部5461を押すとスイッチ部材54Aがストッパ534間を通過可能となり、ストッパ534によるスイッチ部材54Aの移動範囲を規制する機能が解除される。
【0100】
本実施形態に係る結紮装置1Aによれば、第一実施形態と同様に、シース8に対する操作ワイヤ7の移動範囲を所望の範囲に規制する制限状態とその規制を解除した制限解除状態とに切り替え可能である。この結果、係合スライダが制限状態にあるときは、コネクタ71がシース8内に収容された収容位置に保持しながら係合スライダを操作できる。一方、係合スライダが制限解除状態にあるときは、コネクタ71をシース8の遠位端81から突出する突出位置まで押し出すことができる。
【0101】
本実施形態に係る結紮装置1Aによれば、操作ワイヤ7を進退させるための第1スライダ51Aの移動方向(進退方向)と、スイッチ部材54Aを押す方向とが相違する。この結果、操作者は、第1スライダ51Aの移動操作と、制限状態の切り替え操作とを混同し難く、円滑に操作できる。
【0102】
本実施形態によれば、クリップユニット3をシース8の遠位側で保持した状態からアーム部材30で処置対象部位を結紮する操作を行うまでの間、係合スライダは制限状態で保持される。この結果、第1スライダ51Aの最前進位置が規制されるため、操作者が誤って係合スライダを遠位方向に前進させてもコネクタ71がシース8の遠位端81から突出することない。このため、クリップユニット3がシース8の遠位側から脱落することがない。
【0103】
本実施形態では、一対のストッパ534を長孔532内の一箇所に設ける例を示したが、ストッパの数はこれに限定されない。一対のストッパは、例えば、長孔532内において長手軸L方向に離間して2カ所以上設けてもよい。この場合、第1スライダ51の可動範囲を多段階で調節可能となる。
【0104】
(第三実施形態)
第三実施形態に係る結紮装置1Bについて
図15から
図17を参照して説明する。
図15及び
図16は、本実施形態に係る結紮装置1Bの操作部5Bの長手軸L方向に沿う断面図である。
図17は、
図15のE-E線における断面図である。
本実施形態に係る結紮装置1Bは、操作部の構成が第一実施形態と異なり、第1スライダ51Bの制限解除状態と制限状態とを切り替える構成が相違する。
【0105】
図15及び
図16に示すように、ハンドル53Bの遠位部には、長手軸L方向に延びるガイド孔55が形成されている。ガイド孔55は、長孔532とハンドル53Bの外面とに貫通して形成されている。ガイド孔55は、近位開口部551と、遠位開口部552と、中間開口部553とが連通して形成されている。遠位開口部552および近位開口部551は長手軸L方向におけるガイド孔55の両端部に位置する。中間開口部553は、近位開口部551と遠位開口部552との間を構成する。近位開口部551および遠位開口部552は、中間開口部553よりも開口寸法が大きい。
【0106】
図17に示すように、ガイド孔55は、ハンドル53
Bの長孔532を挟んで対向する位置に2つ設けられている。長手軸L方向に直交する断面において、一対のガイド孔55は、長孔532に交差する方向に延びて形成されている。
【0107】
本実施形態の操作部5Bは、第一実施形態の第2スライダ52に代えてリミッター部材52Bを備えている。リミッター部材52Bは、第1スライダ51Bの最前進位置を規制する部材である。リミッター部材52Bは、第1スライダ51Bよりも遠位側に設けられ、ハンドル53Bに外挿されている。操作ワイヤ7は、第1スライダ51Bに固定されている。
【0108】
リミッター部材52Bは、円環形状を有する支持筒544と、スイッチ本体54Bと、ばね548Bとを有する。
【0109】
図15に示すように、支持筒544は、長手軸L方向に貫通するハンドル挿通孔5441を備え、ハンドル53Bがハンドル挿通孔5441内に挿通されることにより、ハンドル53Bに外挿されている。
図17に示すように、支持筒544は、長手軸Lに直交する方向(支持筒544の径方向)に沿って第1スライダ51Bの内外に連通する第1係止孔5444および第2係止孔5445が形成されている。第2係止孔5445には、第2係止孔5445の内壁から突出するリブ5442が設けられている。第1係止孔5444および第2係止孔5445にはスイッチ本体54Bが挿通されている。
【0110】
スイッチ本体54Bは、支持筒544の直径よりも長い棒状部材である。棒状のスイッチ本体54Bの軸方向の両端部は、第1スイッチ部5461Bおよび第2スイッチ部5462Bとして機能する。スイッチ本体54Bの第1スイッチ部5461Bと第2スイッチ部5462Bとの間に、断面矩形の中間体5465を備える。中間体5465の内部には操作ワイヤ7が挿通されるワイヤ挿通路5466が形成されている。第1スイッチ部5461Bと中間体5465との間に第1凹部547Bが形成され、第2スイッチ部5462Bと中間体5465との間に第2凹部5463Bが形成されている。第1凹部547Bおよび第2凹部5463Bは、それぞれ逆方向に開口する略矩形の一対の凹部である。
図17に示すように、スイッチ本体54Bの軸方向における第2凹部5463Bの寸法は、第1凹部547Bの寸法よりも長い。中間体5465は、遠位開口部552および近位開口部551に進入可能な寸法を有する。
【0111】
第2係止孔5445に第2凹部5463Bが配置されている。第2凹部5463B内にはばね548
Bが配置されており、ばね548
Bの一端部はリブ5442と当接している。この構成により、
図17の(A)に示すように、スイッチ本体54Bは自然状態では、ばね548
Bにより付勢され、第1スイッチ部5461Bが第1係止孔5444から外方に突出した状態に保持される。
図17の(B)に示すように、第1スイッチ部5461Bが第1スライダ51Bの挿通孔517側に押されると、ばね548
Bが圧縮され、スイッチ本体54Bが第1係止孔5444側から第2係止孔5445側へ向かって移動する。
【0112】
スイッチ本体54Bは、第1スイッチ部5461Bが押圧され、第1凹部547Bがガイド孔55の中間開口部553と対向しているときは、ガイド孔55に沿って移動可能である。一方、スイッチ本体54Bは、自然状態では、第1凹部が中間開口部553よりも外方に配置され、第1凹部547Bと中間開口部553とが対向せず、中間体5465がガイド孔55と当接する。つまり、中間体5465の遠位端面5468または近位端面5467は、ハンドル53Bと当接する第1当接面である。この結果、スイッチ本体54Bは、自然状態ではガイド孔55に沿って移動不能となる。近位開口部551または遠位開口部552でスイッチ本体54Bを自然状態とすると、スイッチ本体54Bの位置がガイド孔55の近位端あるいは遠位端に規制される。スイッチ本体54Bが遠位開口部552に位置するときは制限解除状態となり、スイッチ本体54Bが近位開口部551に位置するときは制限状態となる。
【0113】
制限解除状態または制限状態におけるリミッター部材52Bは、ハンドル53Bに対して長手軸L方向の位置が保持される。第1スライダ51Bは、ハンドル53Bに対して長手軸L方向に移動し、リミッター部材52Bの支持筒544の近位面5446に当接する。リミッター部材52Bの近位面5446は、第1スライダ51Bに当接可能な第2当接面である。
【0114】
本実施形態に係る結紮装置1Bによれば、スイッチ本体54Bのハンドル53Bに対する相対移動により制限解除状態と制限状態とに切り替え可能である。本実施形態に係る結紮装置1Bによれば、リミッター部材52Bを備えるため、制限解除状態と制限状態とを簡易な操作により切替できる。また、クリップユニット3をシース8に装着させたとき、押さえ管4がシース8から外れ難い。
【0115】
本実施形態に係る結紮装置1Bによれば、操作ワイヤ7を進退させるための第1スライダ51Bの移動方向と、スイッチ本体54Bを押す方向とが相違する。この結果、操作者は、第1スライダ51Bの移動操作と、制限状態の切り替え操作とを混同し難く、円滑に操作できる。
【0116】
(第四実施形態)
第四実施形態に係る結紮装置1Cについて
図18から
図23を参照して説明する。
図18は、本実施形態に係る結紮装置1Cの操作部5Cを示す斜視図である。
図19は、本実施形態の第2スライダ52Cを示す斜視図である。
図20は、本実施形態の第1スライダ51Cを示す斜視図である。
図21から
図23は、結紮装置1Cの操作部5Cを示す断面図である。
【0117】
本実施形態に係る結紮装置1Cは、ハンドルの構成が第一実施形態と異なり、第1スライダ51Cの制限解除状態と制限状態とを切り替える構成が相違する。
【0118】
図19に示すように、第2スライダ52C(スイッチ部材)は、円環形状の部材であり、中心軸C
1が長手軸Lに沿って配置される。第2スライダ52Cには長手軸L方向に沿ってハンドル挿通孔58が形成されている。ハンドル挿通孔58は、大径部581と小径部582とを有する。大径部581と小径部582との境界には段部584が形成されている。
【0119】
小径部582には内周面から径方向外側に窪む円環溝583(第1当接面)が形成されている。円環溝583は、段部584において大径部581に連通している。
【0120】
ハンドル53Cには、側壁部533の外面に外方に突出する一対の外ストッパ534Cが形成されている。一対の外ストッパ534Cは、長手軸Lに直交する方向に突出している円柱形状の突起である。
図21から
図23に示すように、一対の外ストッパ534Cは、長手軸L方向に離間して2カ所設けられている。
【0121】
側壁部533の外面からの各外ストッパ534Cの突出長さは、第2スライダ52Cに外挿された状態で、小径部582の円環溝583内に進入し、大径部581の内周面に当接しない長さを有する。したがって、外ストッパ534Cが大径部581内に位置するときは、第2スライダ52Cは、ハンドル53Cに対して長手軸L方向に移動可能である。外ストッパ534Cが小径部582内に位置するときは、第2スライダ52Cは長手軸L方向に移動不能に係止される。
【0122】
第1スライダ51Cは、
図20に示すように、挿通孔517Cの内周面に長手軸L方向に延びるスライド溝5171が形成されている。スライド溝5171は、第1スライダ51Aの遠位端から近位端迄形成されている。スライド溝5171は、挿通孔517Cの内周面に対向して2つ形成されている。スライド溝5171内に外ストッパ534Cが位置し(第1の位置)、第1スライダ51Cはハンドル53Cに対して長手軸L方向にスライド可能に構成されている。
【0123】
第2スライダ52Cは、中心軸C1周りに回転させる(進退方向周りに回転させる)ことにより、ハンドル53Cに対する長手軸L方向の移動が規制された状態と、長手軸L方向の移動の規制が解除された状態とに切り替わる。具体的には、第2スライダ52Cの中心軸C1周りにおける小径部582の位置が外ストッパ534Cの位置と重なると、外ストッパ534Cが円環溝583内に進入して当接する。円環溝583の内面はハンドル53Cに当接する第1当接面である。第1スライダ51Cの遠位端面5121は、第2スライダ52Cの近位端面5201C(第2当接面)と当接する。第2スライダ52Cの長手軸L方向の移動が規制されると、第1スライダ51Cは、第2スライダ52Cの近位端面5201Cに当接する位置まで前進可能となる。
【0124】
図23に示すように、遠位側に位置する外ストッパ534Cに第2スライダ52Cが係止されているとき、第1スライダ51Cは制限解除状態となる。
図21に示すように、近位側に位置する外ストッパ534Cに第2スライダ52Cが係止されているとき、第1スライダ51Cは制限状態となる。遠位側に位置する外ストッパ534Cと近位側に位置する外ストッパ534Cとの間で第2スライダ52Cを移動させるときは、第2スライダ52Cを回転させて、
図22に示すように、外ストッパ534Cが第2スライダ52Cと非接触となる大径部581内(第2の位置)に配置して長手軸L方向に移動させる。
【0125】
本実施形態に係る結紮装置1Cによれば、第2スライダ52Cのハンドル53Cに対する回転により制限解除状態と制限状態とに切り替え可能である。本実施形態に係る結紮装置1Cによれば、第2スライダ52Cを備えるため、解除形態と係合形態とを簡易な操作により切替できる。また、クリップユニット3をシース8に装着させたとき、押さえ管4がシース8から外れ難い。
【0126】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
クリップユニットをシースに取り付け易く、かつ、装着時にクリップユニットがシースから外れ難い結紮装置を提供できる。
【符号の説明】
【0128】
1,1A,1B,1C 結紮装置
3 クリップユニット
4 押さえ管
7 操作ワイヤ
8 シース
22 連結棒(第1リンク)
31 第1アーム
32 第2アーム
51,51A,51B,51C 第1スライダ(スライダ)
52,52A 第2スライダ(リミッター)
52B リミッター部材(リミッター)
52C 第2スライダ(リミッター、スイッチ部材)
53,53A,53B,53C ハンドル
54,54A スイッチ部材
54B スイッチ本体(スイッチ部材)
71 コネクタ(第2リンク)
100 アプリケータ
5201C 近位端面(第2当接面)
5202 遠位端面(第1当接面)
5421 当接面(第2当接面)
5446 近位面(第2当接面)
5460,5469 外周面(第2当接面)
5464 近位端面(第2当接面)
5467 近位端面(第1当接面)
5468 遠位端面(第1当接面)