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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】接触検知器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/041 662
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021001686
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022056304
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2021-01-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202011048661.3
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シュウ シェンビン
(72)【発明者】
【氏名】リン チュンチー
(72)【発明者】
【氏名】リュウ アンチン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイチョウ
【合議体】
【審判長】中野 裕二
【審判官】山澤 宏
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0183523(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110597420(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知部の上面に第1の接触感知回路を有し、前記検知部の底面に第2の接触感知回路を有する前記検知部と、
前記検知部に設けられた光学部と、
前記光学部に設けられた透明カバーと、
フレキシブル回路部と、
を備え、
前記光学部、前記検知部及び前記透明カバーは収容空間を形成し、
前記フレキシブル回路部は第1の延長板と第2の延長板とを有し、前記第1の延長板は前記検知部の前記上面の前記第1の接触感知回路に接続するために前記収容空間に設けられ、前記第2の延長板は前記検知部の前記底面の前記第2の接触感知回路に接続し、
前記透明カバーと前記フレキシブル回路部は接続部を形成し、前記接続部には前記透明カバーと前記フレキシブル回路部を接続するための固定層が設けられ、
前記検知部は、さらに前記フレキシブル回路部が設けられた接続領域と、可視領域と、を備え、
前記フレキシブル回路部と前記光学部の間に接着剤を含む充填領域を設け、
前記検知部は、検知面を備え、
前記検知面の法線方向は第1の方向に平行であり、前記フレキシブル回路部の前記第1の延長板の第1の方向の厚さは、前記収容空間の第1の方向の厚さの50%~80%である、
接触検知器。
【請求項2】
前記検知部は、検知面を備え、
前記検知面の法線方向は第1の方向に平行であり、前記固定層の第1の方向の厚さは、前記収容空間の第1の方向の厚さの10%~40%である、
請求項1に記載の接触検知器。
【請求項3】
前記光学部は、第1の透明接着剤層と、偏光層と、第2の透明接着剤層を備え、
前記偏光層は、前記第1の透明接着剤層に設けられ、
前記第2の透明接着剤層は、前記偏光層に設けられる、
請求項1または2に記載の接触検知器。
【請求項4】
前記接触検知器は、導電性接続層をさらに備え、
前記導電性接続層は、前記検知部と前記フレキシブル回路部との間に設けられ、前記導電性接続層の厚さは、前記検知部における前記収容空間の第1の方向の厚さの10%~25%である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の接触検知器。
【請求項5】
前記検知面の法線方向は第1の方向に平行であり、前記フレキシブル回路部の第1の方向の厚さは、30μm~43μm又は10μm~15μmである、
請求項1に記載の接触検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接触検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
明るい色と低いエネルギー消費の利点により、発光ダイオード(LED)表示デバイスと有機発光ダイオード(OLED)表示デバイスが人々の生活に広く使用されている。有機発光ダイオード(OLED)表示デバイスは、OLEDを曲げることができるので、湾曲表示デバイスとフレキシブル表示デバイスに適用される主要な技術の一つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、接触検知技術は、コンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ等の電子機器を操作するための主要な入力インターフェースの一つとなっているため、現在の電子機器は、接触表示装置を有する必要がある場合が多い。接触信号を伝送するために使用されるフレキシブルプリント回路(FPC)は、ホットプレスによって異方性導電接着剤を介して接触表示装置内の接触検知部に電気的に接続される必要があるため、異方性導電接着剤とフレキシブルプリント回路基板の厚さによって接触表示装置上の光伝送カバーが変形し、さらに異方性導電接着剤を充填する空間がなくなり、接触表示装置の歩留まりが低下する。したがって、優れた接触表示装置の製造方法は、当業者が解決したい問題の1つである。米国特許明細書16/381,481には、窓基材、偏光層、および接触検知層を接着層によって組み立てる構造が開示されている。しかしながら、米国特許明細書16/381,481は、FPCを接触検知層に接着するための、及び高い組立強度を有する製品を製造するための解決策に関して開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態の接触検知器は、良好なセンシング信号伝送を有する導電線を有することができる。
【0005】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、接触検知器は、検知部と、前記検知部に設けられた光学部と、前記光学部に設けられた透明カバーと、フレキシブル回路部とを備え、前記光学部、前記検知部及び前記透明カバーは収容空間を形成し、前記フレキシブル回路部は前記収容空間に設けられ、前記透明カバーと前記フレキシブル回路部は接続部を形成し、前記接続部には前記透明カバーと前記フレキシブル回路部を接続するための固定層が設けられる。
【0006】
本開示の一実施形態では、前記検知部は、検知面を備え、前記検知面の法線方向は第1の方向に平行であり、前記フレキシブル回路部の第1の方向の厚さは、前記収容空間の第1の方向の厚さの50%~80%である。
【0007】
本開示の一実施形態では、前記検知部は、検知面を備え、前記検知面の法線方向は第1の方向に平行であり、前記固定層の第1の方向の厚さは、前記収容空間の第1の方向の厚さの10%~40%である。
【0008】
本開示の一実施形態では、前記検知部は、さらに前記フレキシブル回路部が設けられた可視領域と、接続領域とを備え、前記フレキシブル回路部と前記検知部の間に接着剤を含む充填領域を設けられる。
【0009】
本開示の一実施形態では、前記光学部は、第1の透明接着剤層と、偏光層と、第2の透明接着剤層を備え、前記偏光層は、前記第1の透明接着剤層に設けられ、前記第2の透明接着剤層は、前記偏光層に設けられる。
【0010】
本開示の一実施形態では、前記接触検知器は、導電性接続層をさらに備え、前記導電性接続層は、前記検知部と前記フレキシブル回路部との間に設けられ、前記導電性接続層の厚さは、前記検知部における前記収容空間の第1の方向の厚さの10%~25%である。
【0011】
本開示の一実施形態では、前記検知面の法線方向は第1の方向に平行であり、前記フレキシブル回路部の第1の方向の厚さは、30μm~43μm又は10μm~15μmである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施の形態では、検知部と接触表示装置の透明カバーとフレキシブル回路部との間に接続部が形成され、この接続部に固定層が設けられている。したがって、透明カバーの形状・位置に影響を与えることなく、フレキシブル回路部と検知部とを強固に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態による接触検知器の断面図である。
図2】本開示の一実施形態による検知部およびフレキシブル回路部の上面図である。
図3】本開示の一実施形態による検知部およびフレキシブル回路部の上面図である。
図4】本開示の一実施形態による接触部の断面図である。
図5】本開示の一実施形態による接触部の断面図である。
図6】本開示の一実施形態による接触部の断面図である。
図7】本開示の一実施形態による接触表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に例示されている本発明の実施形態を詳細に参照する。可能な限り、図面及び説明において同一の参照番号を使用して同一又は類似の部分を参照する。
【0015】
さらに、「下」または「最低」および「上」または「最高」などの相対的な用語を本明細書で使用して、図に示されるように、ある要素と別の要素との間の関係を記述することができる。相対的な用語は、図に示されているもの以外のデバイスの異なる向きを含むことが意図されることを理解されたい。例えば、ある図の装置が逆向きになれば、他の要素の「下」側にあると記載された要素は、他の要素の「上」側に配向される。したがって、例示的な用語「下」は、図面の特定の向きに応じて、「下」および「上」の向きを含み得る。同様に、ある図の装置が逆向きになれば、「下」と記載された要素は、他の要素の「上」方向を向く。したがって、例示的な用語「下」は、「上」および「下」の配向を含むことができる。
【0016】
本発明の接触検知器及び接触表示装置は、発光ダイオード表示装置又は有機発光ダイオード表示装置に用いることができ、本発明はこれに限定されるものではない。本開示の実施形態の接触検知器および接触表示装置は、より高い強度を有する一体型スタックアップを有することができる。
【0017】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語は、様々な単位、構成要素、領域、層、または部分を記述するために使用されてもよいが、これらの単位、構成要素、領域、層、または部分は、これらの用語によって制限されないことを理解されたい。むしろ、これらの用語は、1つの単位、成分、領域、層、または部分を別の領域、層、または部分から区別するために単に使用される。したがって、以下に説明する第1の単位、成分、領域、層、または部分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の単位、成分、領域、層、または部分と呼ぶことができる。
【0018】
図面を参照すると、説明を容易にするために、層および領域の図示された厚さを誇張してもよい。第1の層が第2の層上または基板上と称される場合、第1の層が第2の層または基板上に直接形成されることを意味し、または第3の層が第1の層と第2の層または基板との間に存在し得ることを意味し得る。むしろ、ある単位が別の単位の「真っすぐに」または「~に直接接続される」と呼ばれる場合、介在する単位は存在しない。本明細書で使用される場合、「接続」は、物理的および/または電気的接続を指すことができる。さらに、「電気的接続」または「カップリング」は、二つのユニット間に他のユニットが存在することを意味し得る。
【0019】
本開示の一実施形態では、接触検知器100は、主に検知部110と光学部120とを一体化したものであり、フレキシブル回路部130は、ホットプレス等により検知部110と電気的に接続されている。上記各部の一体化により、本開示の一実施形態では、フレキシブル回路部130の厚さ、すなわち後述する第1の方向d1に沿った厚さは、光学部120の厚さ、すなわち後述する第1の方向d1に沿った厚さよりも薄くなり、接触検知器100に組み付けられた透明カバー140に生じる変形の問題が回避される。また、フレキシブル回路部130の厚さが光学部120の厚さより薄い場合には、フレキシブル回路部130と透明カバー140との間に隙間、すなわち後述する接続部S1が形成される。本発明の一実施形態では、接続部S1に接着剤等を充填して固定層150を形成することができる。固定層150は、フレキシブル回路部130、透明カバー140及び接触部、すなわち検知部110と光学部120との一体化された積層体を、組立強度の良い高集積化製品とすることができる。図1は、本開示の一実施形態による接触検知器100の断面図である。図1を参照して説明する。説明の便宜上、本開示の一実施形態では、接触検知器100は、検知部110、光学部120、フレキシブル回路部130、透明カバー140および固定層150を含む。
【0020】
図2を用いて説明する。図2は、本開示の一実施形態による、検知部110およびフレキシブル回路部130の上面図である。なお、簡単のため、光学部120、透明カバー140及び固定層150は図2には図示していない。検知部110は、検知電極SC及び周辺配線PLを形成可能な検知面111を有する。検知面111は、一般的に、可視領域112と周辺領域PAとを有しており、具体的には、ユーザのタッチ/ジェスチャを検知するために用いられる検知電極SCは、可視領域112に実質的に設けられ、センシング信号/制御信号等の電気信号を伝送するために用いられる周辺配線PLは、周辺領域PAに実質的に設けられており、周辺領域PAは、少なくとも接続領域113を有することができる。接続領域113は、エッジ、例えば、検知部110の検知面111の縁部114に隣接している。周辺配線PLの一端は、検知電極SCに電気的に接続され、他端は、接続領域113まで延びている。周辺配線PLの接続領域113までの端部には、接続部(半田パッドとも呼ばれる)を設けることができ、フレキシブル回路部130上の回路と電気的に接続して信号を伝送することができる。ここで、図1を参照して説明する。周辺領域PAは、充填領域115をさらに有することができる。具体的には、充填領域115は、光学部120とフレキシブル回路部130との間に形成することができ、充填領域115を用いて固定層150を充填することができる。例えば、充填領域115に接着剤等を充填して固定層150を形成してもよい。固定層150は、周辺配線PLを覆っており、一部の実施形態では、充填領域115は、接着剤が充填されないことを意味する間隙であってもよい。一実施形態では、周辺領域PAは、充填領域115を設けない。すなわち、フレキシブル回路部130の前縁部は、可視領域112に向かって可能な限り延在し、縁部114と接触してもよい。
【0021】
光学部120の位置は、検知部110に概ね対応する。より詳細には、光学部120の大きさは、検知部110の大きさとほぼ同じであるが、上述した接続領域113及び/又は充填領域115が露出している。本実施形態では、可視領域112と接続領域113とは重ならず、充填領域115は、主に光学部120の側壁で構成され、光学部120の側壁とフレキシブル回路部130とが対応している。
【0022】
図1を用いて説明する。透明カバー140、光学部120及び検知部110は、フレキシブル回路部130を収容する収容空間を実質的に形成する。フレキシブル回路部130は、検知部110上に設けられる。具体的には、フレキシブル回路部130は、検知面111の接続領域113上に設けられ、接続領域113上の周辺配線PLの接続部と電気的に接続される。一実施形態では、充填領域115は、固定層150が気泡や接着剤のオーバーフロー等の問題を引き起こすことなく充填領域115全体を良好に充填することができるように、距離gを有する。この実施形態では、充填領域115は、接着剤充填領域115と呼ばれてもよい。
【0023】
透明カバー140は最外側のユニットであり、主に光学部120及びフレキシブル回路部130の一部に設けられる。一実施形態では、光学部120の両側(例えば、下面および上面)は、それぞれ、検知部110および透明カバー140に接続され、フレキシブル回路部130の強度および製品全体の構成要素が改善される。接続部S1は、透明カバー140とフレキシブル回路部130との間に形成することができる。具体的には、本実施形態では、透明カバー140は、検知部110を越えて第2の方向d2に延材し、可視領域112および周辺領域PAを覆うようになっているが、図1に示すように、透明カバー140の縁部141は、光学部120の縁部114から第2の方向d2に突出しており、距離L1を有している。透明カバー140の突出部は、最終製品の外枠を組み立てるために使用することができ、フレキシブル回路部130のような非透明ユニットを遮蔽してユーザから見えないようにすることができる。具体的には、透明カバー140には、フレキシブル回路部130等の非透明部品を遮光する遮光層BMが設けられている。いくつかの実施態様において、遮光層BMは、ブラックマトリクスを含む。一実施形態では、フレーム幅が狭い製品の要件により、距離L1が小さいほど、固定層150は、フレキシブル回路部130及び透明カバー140を効果的に固定するためにより粘性を持たなければならない。小型の最終製品(携帯電話、時計など。)の場合、距離L1は0.1mmを超えることが推奨される。中サイズおよび大サイズの最終製品(例えばタブレット、ノートパソコン、デジタルホワイトボード、テレビ等をいう。)の場合、距離L1は0.5mm以上であることが推奨される。また、接続部S1の第1の方向d1の厚さh6は、収容空間の第1の方向d1の厚さh4の10%~40%である。接続部S1(すなわち、距離L1および厚さh6)の大きさを固定層150の特性に合わせて制御することにより、フレキシブル回路部130等の部品(例えば、透明カバー140、光学部120、検知部110等をいう。)の組立強度が向上する。一実施形態では、固定層150を形成するための硬化後の接着剤のサイズは、距離L1及び厚さh6を含む接続部S1のサイズと実質的に等しい。また、図1に示すように、第1の方向d1はスタック全体の厚さ方向に平行であり、第2の方向d2はスタック全体の厚さ方向に垂直である。
【0024】
また、充填領域115には、透明カバー140と検知部110との間に充填空間S2が形成されている。具体的には、充填空間S2は、充填領域115によって第1の方向d1に沿って形成される。充填空間S2は、残りの空間において接続部S1に接続されており、接続部S1及び充填空間S2に接着剤等の材料が流入して断面L字状の固定層150を形成することができる。一実施形態では、固定層150及び光学部120は、透明カバー140の組み立てを容易にするために、同一平面を形成する。
【0025】
同図に示すように、本実施形態では、透明カバー140、光学部120及び検知部110は、実質的に収容空間を形成しており、この収容空間は、厚さh1であり、透明カバー140、光学部120及び検知部110によって形成されている。検知部110によって形成された収容空間は、フレキシブル回路部130を収容するために使用することができる。また、収容空間は、接続部S1及び/又は充填空間S2を含むことができる。そして、フレキシブル回路部130を、透明カバー140、光学部120及び検知部110によって形成された収容空間に収容した後、接着剤を接続部S1及び/又は充填空間S2に分散させて固定層150を形成する。これにより、フレキシブル回路部130と透明カバー140と光学部120と検知部110とが固定される。
【0026】
本実施形態の接触検知器100では、接続部S1は、透明カバー140とフレキシブル回路部130との間に形成されている。したがって、固定層150を透明カバー140およびフレキシブル回路部130に接続することができ、接触検知器100の強度および安定性をさらに高めることができる。
【0027】
また、接続部S1は、透明カバー140とフレキシブル回路部130との間にあるため、フレキシブル回路部130が透明カバー140に直接接触することがなく、検知部110、光学部120及び透明カバー140を、フレキシブル回路部130の影響を受けずに並列に積層することができる。
【0028】
この実施形態では、検知部110は、接触感知回路を含む。例えば、検知部110の接触感知回路は、検知面111上に設けられた、透明導電電極またはパターン化された透明導電膜などの検知電極を含む。いくつかの実施形態では、接触感知回路は、可撓性を備えてもよい。例えば、接触検知回路は、金属ナノワイヤ又はカーボンナノチューブ電極によって形成される導電膜をパターニングすることによって形成される接触検知電極を含むことができる。一部の実施形態では、接触検知電極には、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、または透明導電膜を用いたアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)が含まれる。本実施形態において、「金属ナノワイヤ」は、金属ナノワイヤを含む、複数の単位金属、金属合金、または金属化合物(金属酸化物を含む)を含む金属ワイヤの集合体を指す総称である。ワイヤの数は、本発明によって請求される保護の範囲に影響を及ぼさない。単一の金属ナノワイヤの断面の直径である少なくとも一つの断面サイズは、約500nm未満、好ましくは約100nm未満、より好ましくは約50nm未満である。「針金」という用語は、本実施形態においては、金属ナノ構造を含み、金属ナノ構造は、主に、約10~10万の間などの高いアスペクト比を有する。より具体的には、金属ナノワイヤのアスペクト比(長さ:断面の直径)は、約10より大きく、好ましくは約50より大きく、より好ましくは約100より大きくすることができる。金属ナノワイヤは、銀、金、銅、ニッケル、および金めっき銀を含む任意の金属であってもよい。絹、繊維、管などの他の材料も、上記の寸法および高いアスペクト比を有する場合には、本開示の対象となる。
【0029】
金属ナノワイヤ層は、銀ナノワイヤの層、金ナノワイヤの層、または銅ナノワイヤの層を含むことができる。本実施形態において、金属ナノワイヤの具体的な製造方法は以下の通りである。金属ナノワイヤを有するスラリーまたはインクを、コーティング法によって基板上に形成する。基板上の金属ナノワイヤを有する分散またはインクは、乾燥され、基板の表面を覆い、金属ナノワイヤ層を形成する。上記硬化/乾燥工程の後、スラリーまたはインク中の溶媒および他の物質が揮発し、金属ナノワイヤが基板の表面上にランダムに分布し、金属ナノワイヤは互いに接触して連続的な電流経路を提供することができ、導電性ネットワークを形成する。さらに、金属ナノワイヤ層をパターニングして、検知部110の感知回路を形成する。
【0030】
一部の実施形態では、特定の化学的、機械的および光学的特性を有する複合構造を形成するために、膜層を金属ナノワイヤで被覆することができる。例えば、膜層は、金属ナノワイヤと検知部110との間に接着を提供することができる。膜層は、金属ナノワイヤよりも物理的機械的強度が高く、マトリクスとも呼ばれる。いくつかの実施態様において、いくつかの特定のポリマーを使用して、膜層を作製し、その結果、金属ナノワイヤは、スクラッチ及び摩耗に対してさらなる表面保護を有する。特定のポリマーとしては、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシロキサン、ポリ(ケイ素アクリル酸)等が挙げられるが、この場合、膜層はハードコート又はオーバーコートと呼ぶことができ、膜層は金属ナノワイヤをより高い表面強度にして耐擦傷性を向上させることができる。さらに、紫外線(UV)安定剤をフィルム層に添加して、金属ナノワイヤのUV耐性を改善することができる。しかしながら、上記は、フィルム層の他の付加的な機能/名称の可能性を例示するためにすぎず、本開示を限定することを意図するものではない。
【0031】
図2及び図3を参照されたい。図2及び図3は、それぞれ、本開示の異なる実施形態による、検知部およびフレキシブル回路部の上面図を示す。単純化するために、同様のラベルが図中の同様のユニットに使用される。。
【0032】
図2は、片面検知部110の実施形態を示しており、互いに平行に設けられた複数の検知電極SCが、検知部110の検知面111上に設けられている。これらの検知電極SCは、周辺配線PLを介してフレキシブル回路部130に接続されており、図2に示す検知部110は、本開示の接触部(接触検知器100等)に適用することができる。ユーザが接触部に触れると、検知電極SCは対応する静電容量値を送出し、フレキシブル回路部130を介して外部コントローラ(不図示)に送信し、ユーザが触れた位置やユーザのジェスチャーを算出する。
【0033】
図3は、両面検知部110の実施形態を示す。第1の感知回路C1は、検知部110の上面(例えば、検知面111)に設けられる。検知部110の下面は、検知面111と対向する。検知部110の下面は、例えば、受光面116(図1に示す)である。受光面116上には、第2の感知回路C2が設けられており、図3に点線で示す。第1の感知回路C1及び第2の感知回路C2に対応して、検知部110の上面及び下面には、周辺配線PLが設けられており、図2に示す実施形態と同様に、周辺配線PLの端部は、接続領域113まで延び、フレキシブル回路部130に電気的に接続されている。また、本実施形態では、フレキシブル回路部130は、二つの延長板を有しており、これらの延長板は、それぞれ、検知部110の上面及び下面の周辺配線PLに接続されている。したがって、検知部110の上面の周辺配線PLは、フレキシブル回路部130の一方の延長板に接続され、検知部110の下面の周辺配線PLは、フレキシブル回路部130の他方の延長板に接続されている。上面の周辺配線PLに接続されたフレキシブル回路部130の一方の延長板は、前述した収容空間に設けられているので、その構造的特徴は前述した実施形態と同様である。一方、下面の周辺配線PLに接続されたフレキシブル回路部130の他方の延長板は図示されていない。本実施形態では、第1の感知回路C1を駆動信号を送信する回路とし、第2の感知回路C2を接触信号を送信して検知する回路とすることができる。第1の感知回路C1と第2の感知回路C2とは、それぞれ水平方向と垂直方向に交互に延在しているが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、第1の感知回路C1は、接触信号を送信および感知する回路であってもよく、第2の感知回路C2は、駆動信号を送信する回路であってもよい。ユーザが接触部に触れると、第1の感知回路C1と第2の感知回路C2との間の静電容量値の変化を、フレキシブル回路部130を介して外部コントローラ(不図示)に送信し、ユーザの接触位置やユーザのジェスチャを算出することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の感知回路C1および第2の感知回路C2は、検知面111または受光面116などの一方の面上に構成することもでき、第1の感知回路C1および第2の感知回路C2は、互いに交差して絶縁される。これにより、接触位置の位置決めも実現できる。
【0035】
図1を用いて説明する。本実施形態では、光学部120は、第1の透明接着剤層121と、偏光層122と、第2の透明接着剤層123とを含む。第1の透明接着剤層121は、検知面111上に設けられる。偏光層122は、第1の透明接着剤層121上に位置する。第2の透明接着剤層123は、偏光層122上に位置する。本実施形態では、第1の透明接着剤層121、偏光層122及び第2の透明接着剤層123は、第1の方向d1に沿って検知面111の可視領域112上に順次積層され、第1の方向d1は検知面111の法線方向と平行である。偏光層122は、延伸偏光子であってもよい。
【0036】
いくつかの実施態様において、偏光層122は、円偏光子を含む。偏光層122は、直線偏光子と位相差フィルムとを含むことができる。位相差フィルムは、λ/4フィルムを含んでいてもよいし、λ/4フィルムとλ/2フィルムとを含む多層構造を有していてもよい。
【0037】
第1の透明接着剤層121及び第2の透明接着剤層123は、それぞれ、光学クリヤー接着剤(OCA)を含む。本明細書で使用される用語「接着層」は、結合層および接着促進層を含むことができる。接着剤層は、感圧接着剤(PSA)組成物または光学的に透明な接着剤(OCA)組成物を用いて形成することができる。本開示において使用される用語「透明な」は、光の透過率(例えば、400nmと700nmの間の波長を有する可視光)>85%、>88%、>90%、>95%などを意味する。本開示の実施形態における透明接着剤層は、光スタックにおいて曲げられたときまたは曲げられたときに、光透過接着剤層が層間剥離、気泡、剥離などを生じないように適切な接着性を有することができ、透明接着剤層はまた、フレキシブルディスプレイに適用するための粘弾性を有することができる。一実施形態では、透明接着層は、アクリレート組成物を用いて形成することができる。
【0038】
図4は、本開示の一実施形態による接触検知器100’の断面図である。いくつかの実施態様において、図4に示すように、偏光層122は、コーティング型偏光子を含むことができる。例えば、偏光層122は、液晶層を含んでもよく、偏光層122は、透明カバー140と検知部110との間に、第1の透明接着剤層121と第2の透明接着剤層123とを設けることなく、直接塗布される。一実施形態では、透明カバー140の表面に液晶組成物を塗布して液晶層を形成することができる。すなわち、液晶層により形成された偏光層122は、透明カバー140に直接接触して、検知部110に組み付けて固定することができる。いくつかの実施形態において、液晶組成物は、反応性液晶化合物および二色性色素を含むことができる。さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、キシレン(キシレン)、メチルエチルケトン(MEK)、クロロホルム等の溶媒を含んでもよい。
【0039】
図5は、本開示の一実施形態による接触検知器100’’の断面図である。この実施形態では、接触検知器100’’は、一つの透明接着層を使用する。例えば、第1の透明接着剤層121のみを用い、第2の透明接着剤層123は用いない。具体的には、上述した液晶組成物塗布方法を用いて、偏光層122を透明カバー140上に直接形成し、検知部110を偏光層122に第1の透明接着剤層121を介して接着又は接着する。
【0040】
図6は、本開示の一実施形態による接触検知器100’’の断面図である。本実施形態では、接触検知器100’’’については、第2の透明接着剤層123のみを使用し、第1の透明接着剤層121は使用しない。具体的には、上述した液晶組成物塗布法を用いて、偏光層122を検知部110上に直接形成し、透明カバー140を偏光層122に第2の透明接着剤層123を介して接着又は接着する。
【0041】
図1を用いて説明する。フレキシブル回路部130は、フレキシブルプリント回路(FPC)を含むことができる。接触検知器100は、導電性接続層160をさらに含むことができる。導電性接続層160は、フレキシブル回路部130と接続領域113上に位置する周辺配線PLの接続部との間に位置する。導電性接続層160は、異方性導電膜(ACF)を含み、その厚さh5は約6μmである。また、固定層150の厚さh5は、厚さh1及び収容空間の厚さとほぼ同じである。
【0042】
さらに、一部の実施形態では、フレキシブル回路部130は、ベース層131および第1の金属層132を含むことができる。
【0043】
本実施形態では、フレキシブル回路部130の第1の方向d1の厚さh1は、30μm~43μmである。例えば、本実施形態では、ベース層131の厚さh2は25μmであり、第1の金属層132の厚さh3は12μmである。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路部130の厚さh1は、約42.5μmである。いくつかの実施形態において、光学部120の厚さは、約53.8μm(第1の方向d1における収容空間の厚さh4にも等しい)である。ある実施形態では、フレキシブル回路部130の厚さおよび導電性接続層160の厚さh5は、光学部120の厚さを超えず、フレキシブル回路部130は、透明カバー140の構成に影響を及ぼさない。本実施形態では、フレキシブル回路部130の厚さh1は、収容空間の第1の方向d1の厚さh4の約79%を占める。
【0044】
また、本実施形態では、第1の金属層132が銅を含み、第1の金属層132がベース層131上にホールめっき法によって形成され、または第1の金属層132が電気めっき層をさらに含むことができる。したがって、フレキシブル回路部130の厚さh1は、30μm~45μmの範囲とすることができるが、これに限定されるものではない。算出すると、厚さh1は、第1の方向d1における収容空間の厚さh4(53.8μmベース)の約55%~83%に相当する。他の実施形態では、フレキシブル回路部130の厚さh1はまた、約10μm~15μm(例えば約12.5μm)とすることができ、より薄いフレキシブル回路部130を提供する。算出すると、厚さh1は、収容空間の第1の方向d1の厚さh4(53.8μmベース)の約23%に相当する。他の実施形態では、フレキシブル回路部130の厚さh1は、約12.5μmとすることができ、より薄いフレキシブル回路部130を提供し、より薄い光学部120と協働する。例えば、図6に示す光学部120は、厚さh4が約28.8μmである。算出すると、フレキシブル回路部130の厚さh1は、厚さh4(算出根拠を28.8μmとする)の第1の方向d1における45%に相当する。すなわち、フレキシブル回路部130は収容スペースの約45%を占めている。他の実施形態では、フレキシブル回路部130のベース層131の厚さh2は、約12.5μmであってもよく、これにより、より薄いフレキシブル回路部130が、導電性接続層160の厚さh5(約6μm)を考慮して、より薄い光学部120に適合するように提供される。例えば、図6に示すように、光学部120は、厚さh4が約28.8μmである。算出すると、フレキシブル回路部130の厚さh1は、第1の方向d1の収容空間の厚さh4(28.8μm換算)の55%に相当し、導電性接続層160の厚さは、第1の方向d1の収容空間の厚さh4(28.8μmの計算根拠に基づく)の約21%に相当し、固定層150の厚さh6は、第1の方向d1の収容空間の厚さh4(28.8μm換算)の約24%に相当する。
【0045】
透明カバー140、光学部120及び検知部110によって形成される収容空間は、第1の方向d1において厚さh4を有する。フレキシブル回路部130は第1の方向d1の厚さh1を有し、光学部120は第1の方向d1の厚さh4を有する。厚さh4は厚さh1よりも大きく、厚さh1は厚さh4の50%~80%の範囲に選択されるので、フレキシブル回路部130は、次のホットプレス工程、すなわち、検知部110及びフレキシブル回路部130の半田パッドを熱圧縮溶接によって処理する工程に十分な強度を有する。したがって、組立後、フレキシブル回路部130は、光学部120上の透明カバー140と構造的に干渉することはなく、フレキシブル回路部130は、後の製造プロセスの機械的構造要件を満たすことができる。
【0046】
また、図1に示すように、接続部S1の厚さh6は、透明カバー140、光学部120及び検知部110によって形成される収容空間の第1の方向d1における厚さh4から、フレキシブル回路部130の第1の方向d1における厚さh1を減じ、導電性接続層160の第1の方向d1における厚さh5を減じた厚さh1に相当する。本実施形態では、接続部S 1に設けられた固定層150も、第1の方向d1の厚さh6を有している。フレキシブル回路部130の薄型化により、固定層150の接続部S1における第1の方向d1の厚さh6は、収容空間の第1の方向d1の厚さh4の10%~40%となる。固定層150の厚さh6が収容空間の厚さh4の10%未満であると、固定層150がフレキシブル回路部130を効果的に固定できず、製品の信頼性に問題が生じる。厚さh6が収容空間の厚さh4の40%よりも大きい場合、フレキシブル回路部130は、ホットプレス工程を行うには薄すぎる。また、導電性接続層160の厚さh5は、第1の方向d1における収容空間の厚さh4の約10%~25%の範囲を占める。したがって、本発明は、フレキシブル回路部130と透明カバー140との間の構造的な干渉に起因する意図しない塊の問題を主に回避することができ、また、本発明は、製品構造の強度およびプロセス要件の観点から、良好な解決策も提案する。
【0047】
本開示の実施形態では、接触検知器100を他の電子ユニットと組み合わせて、接触機能付きディスプレイなどのデバイス/製品を形成することができる。図7を参照する。例えば、検知部110を表示部210に取り付けることができる。例えば、表示部が液晶表示部または有機発光ダイオード(OLED)表示部である場合、光学接着剤または他の類似の接着剤を、検知部と表示部との間の接着に使用することができる。本開示の実施形態の接触検知器100は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータなどの電子デバイスに適用することができ、また、フレキシブル製品にも適用することができる。本開示の実施形態の接触検知器100はまた、ウェアラブル装置(時計、眼鏡、スマートな服、スマートな靴など。)又は自動車装置(ダッシュボード、ドライビングレコーダー、車外後写鏡、車窓など。)で製造することができる。
【0048】
図7を参照する。図7は、本開示の一実施形態による接触表示装置の断面図である。接触表示装置200は、表示部210と、検知部110と、光学部120と、フレキシブル回路部130と、透明カバー140と、固定層150とを備える。なお、検知部110、光学部120、フレキシブル回路部130、透明カバー140及び固定層150の構成は、上述した接触検知器100と同様であり、その詳細な構成は省略する。表示部210は表示面211を有し、検知部110は表示面211上に位置しているので、検知部110の受光面116は画像光Lを受光することができ、画像光Lは検知面111から透過する。
【0049】
つまり、本発明の実施の形態に係る接触部及び接触表示装置は、フレキシブル回路部と透明カバーとを備え、フレキシブル回路部と透明カバーとの間には固定層を構成するための接続部が形成されているので、透明カバーの平面度がフレキシブル回路部の影響を受けず、全体の安定性をさらに高めることができる。
【0050】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0051】
本開示の範囲または精神から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。前述のことを考慮して、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることを条件として、本開示の修正および変形を含むことを意図している。
【符号の説明】
【0052】
100 接触検知器
110 検知部
111 検知面
112 可視領域
113 接続領域
114 縁部
115 充填領域
120 光学部
130 フレキシブル回路部
140 透明カバー
150 固定層
PA 周辺領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7