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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】蓄電パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20230627BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20230627BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20230627BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230627BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20230627BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230627BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20230627BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20230627BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230627BHJP
   H01G 11/12 20130101ALN20230627BHJP
   H01G 11/78 20130101ALN20230627BHJP
【FI】
H01M50/244 A
H01M50/262 S
H01M50/264
H01M50/209
H01M50/50 101
H01M10/613
H01M10/653
H01M10/6551
H01M10/6556
H01G11/12
H01G11/78
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021036574
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136789
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】松山 智
(72)【発明者】
【氏名】岡田 渉
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196959(JP,A)
【文献】特開平07-081432(JP,A)
【文献】特表2020-533773(JP,A)
【文献】特開平09-118139(JP,A)
【文献】特開2012-084239(JP,A)
【文献】特開2019-186036(JP,A)
【文献】特開2019-186035(JP,A)
【文献】特表2020-524369(JP,A)
【文献】特開2013-126856(JP,A)
【文献】特開2012-054054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/10
H01M 50/50
H01M 10/60
H01G 11/12
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールが載置されるパック底部と、
前記パック底部と組み合わされて前記パック底部とともに前記蓄電モジュールを収容するパック蓋部と、
前記蓄電モジュールの一部にパック蓋部側から当接することにより、前記蓄電モジュールの前記パック底部に対する上下方向の位置を固定する当接部とを備え
前記蓄電モジュールは、積層された複数の蓄電セル、該複数の蓄電セルを積層方向において互いの間に挟むエンドプレート、並びに、前記複数の蓄電セルおよび前記エンドプレートを前記積層方向に拘束するバインドバーを含み、
前記当接部は、前記エンドプレートまたは前記バインドバーと当接しており、
前記当接部は、前記蓄電モジュールの前記一部に形成された凸部または凹部と係合する、回動可能に設けられた係合爪に形成されており、
前記蓄電モジュールに電気的に接続されたモジュール側接続端子と、
前記パック底部に固定され、前記モジュール側接続端子と接続されるパック側接続端子とをさらに備え、
前記蓄電モジュールの前記一部と前記当接部とが当接した際に、前記モジュール側接続端子と前記パック側接続端子とが互いに接続される、蓄電パック。
【請求項2】
前記パック底部の一部と前記パック蓋部の一部とが互いに嵌合していることにより、前記パック蓋部が前記パック底部に固定されている、請求項1に記載の蓄電パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、蓄電パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置の構成を開示した先行文献として、特開2012-94456号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電源装置は、電池積層体と、エンドプレートと、バインドバーと、載置プレートとを備える。電池積層体は、載置プレートの上面に載置される。バインドバーの下端に、載置プレートと係合する係合部が設けられている。載置プレートに、係合部と係合する係合受け部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-94456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電源装置においては、係合部を係合受け部に挿入した状態で水平方向にスライドさせることによって係合状態にして、電池積層体の上下方向の移動を規制している。このような構成の場合、振動などによって水平方向の力が電池積層体に負荷された際に係合状態が解除されて、電池積層体の上下方向の移動を規制することができなくなることがある。
【0005】
本技術の目的は、蓄電モジュールを上下方向に強固に固定することができる蓄電パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る蓄電パックは、蓄電モジュールと、パック底部と、パック蓋部と、当接部とを備える。パック底部には、蓄電モジュールが載置される。パック蓋部は、パック底部と組み合わされてパック底部とともに蓄電モジュールを収容する。当接部は、蓄電モジュールの一部にパック蓋部側から当接することにより、蓄電モジュールのパック底部に対する上下方向の位置を固定する。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、蓄電モジュールを上下方向に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】組電池の基本的構成を示す図である。
図2】組電池における電池セルを示す図である。
図3】実施の形態1に係る電池パックの構成を示す分解斜視図である。
図4】エンドプレートの凸部と係合爪とが係合した状態を示す部分断面図である。
図5】係合爪の構成を示す斜視図である。
図6】組電池がパック底部に載置される直前の状態の係合爪および凸部を示す部分側面図である。
図7】組電池がパック底部に載置された状態の係合爪および凸部を示す部分側面図である。
図8】突起を有する爪部と、穴部を有している凸部とが、互いに係合している状態を示す部分側面図である。
図9】冷却プレートおよびブラケットの固定態様を示す部分断面図である。
図10】組電池がパック底部に載置された状態における配線接続を示す斜視図である。
図11】第1変形例に係る組電池の外観を示す斜視図である。
図12】第2変形例に係る組電池の外観を示す斜視図である。
図13】第3変形例に係るエンドプレートの外観を示す斜視図である。
図14】第3変形例に係る電池パックのエンドプレートの周辺を示す部分斜視図である。
図15】第4変形例に係る係合爪の構成を示す斜視図である。
図16】第4変形例に係る係合爪の構成を示す側面図である。
図17】第4変形例に係る係合爪の爪部が上方から押圧されて基部に近づくように係合爪が撓んだ状態を示す側面図である。
図18】組電池がパック底部に載置される直前の状態の第4変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。
図19】組電池がパック底部に載置された状態の第4変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。
図20】第4変形例に係る係合爪の爪部が上方から押圧されて基部が脚部に近づくように係合爪が撓んだ状態を示す側面図である。
図21】組電池がパック底部に載置される直前の状態の第4変形例に係る係合爪および凹部を示す部分側面図である。
図22】組電池がパック底部に載置された状態の第4変形例に係る係合爪および凹部を示す部分側面図である。
図23】第5変形例に係る係合爪の構成を示す斜視図である。
図24】第5変形例に係る係合爪の構成を示す側面図である。
図25】組電池がパック底部に載置される直前の状態の第5変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。
図26】組電池がパック底部に載置された状態の第5変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。
図27】実施の形態2に係る電池パックの構成を示す分解斜視図である。
図28】実施の形態2に係る電池パックのエンドプレートの周辺を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。「集電部」は正極集電部材および負極集電部材を総称し得る。
【0013】
本明細書において、「蓄電セル」ないし「蓄電モジュール」は、電池セルないし電池モジュールに限定されず、キャパシタセルないしキャパシタモジュールを含み得る。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、組電池の基本的構成を示す図である。図1に示すように、「蓄電モジュール」の一例としての組電池10は、電池セル100と、エンドプレート200と、バインドバー300と、樹脂プレート400とを備える。
【0015】
複数の電池セル100は、Y軸方向(配列方向)に並ぶように設けられる。これにより、電池セル100の積層体が形成される。複数の電池セル100の間には、図示しないセパレータが介装されている。2つのエンドプレート200に挟持された複数の電池セル100は、エンドプレート200によって押圧され、2つのエンドプレート200の間で拘束されている。エンドプレート200は、Y軸方向において組電池10の両端に配置されている。
【0016】
バインドバー300は、2つのエンドプレート200を互いに接続する。複数の電池セル100およびエンドプレート200の積層体に対してY軸方向の圧縮力を作用させた状態でバインドバー300をエンドプレート200に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート200を接続するバインドバー300に引張力が働く。その反作用として、バインドバー300は、2つのエンドプレート200を互いに近づける方向に押圧する。
【0017】
図2は、組電池における電池セルを示す図である。図2に示すように、電池セル100は、電極端子110と、筐体120と、ガス排出弁130とを含む。
【0018】
電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを含む。電極端子110は、筐体120上に形成されている。筐体120は、略直方体形状に形成されている。筐体120には、図示しない電極体および電解液が収容されている。ガス排出弁130は、筐体120上において、正極端子111と負極端子112との中間の位置に形成されている。ガス排出弁130は、筐体120内の圧力が閾値以上となった際に破断する。これにより、筐体120内の可燃性ガスが筐体120外に排出される。
【0019】
図3は、実施の形態1に係る電池パックの構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、実施の形態1に係る電池パック1は、組電池10と、パック底部500と、パック蓋部600とを備える。本実施の形態においては、電池パック1は、パック底部500上に載置された冷却プレート700をさらに備える。
【0020】
パック底部500は、底面部510、側面部520およびフランジ部530を含む。本実施の形態においては、底面部510は、矩形平板状の形状を有している。組電池10の幅方向(X軸方向)における底面部510の寸法は、Y軸方向における底面部510の寸法より小さい。側面部520は、底面部510の周縁から上下方向(Z軸方向)立設されている。側面部520には、たとえば車両と、電池パック1とを電気的に接続する外部接続コネクタ550が設けられている。フランジ部530は、側面部520の上端から水平方向外側に延在している。
【0021】
底面部510上に、組電池10の水平方向の位置決め用の4つのピン540が設けられている。ピン540は、錐台状の形状を有している。底面部510上に、平板状の冷却プレート700が載置されている。冷却プレート700には、4つの貫通孔710が形成されている。ピン540は、貫通孔710を挿通して、冷却プレート700の上面から突出している。
【0022】
冷却プレート700は、組電池10を冷却する。本実施の形態においては、冷却プレート700の内部を冷却水が循環するように構成されているが、放熱フィンを有する金属板で構成されていてもよい。また、冷却プレート700は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0023】
パック蓋部600は、蓋面部610、側面部620およびフランジ部630を含む。蓋面部610は、底面部510に対向配置される。側面部620は、蓋面部610の周縁から上下方向(Z軸方向)立設されている。フランジ部630は、側面部620の下端から水平方向外側に延在している。
【0024】
パック蓋部600は、パック底部500と組み合わされてパック底部500とともに組電池10を収容する。具体的には、パック蓋部600のフランジ部630とパック底部500のフランジ部530とが互いに接続された状態において、パック底部500とパック蓋部600との間の空間に、組電池10が収容される。
【0025】
組電池10は、冷却プレート700を介してパック底部500に載置されている。具体的には、冷却プレート700の上面に設けられた伝熱シート800上に電池セル100が載置されている。なお、伝熱シート800の代わりに接着剤層が設けられていてもよい。冷却プレート700が設けられていない場合は、組電池10は、底面部510上に載置される。
【0026】
図1では凸部210を示していないが、図3に示すように、組電池10のY軸方向の端面を構成しているエンドプレート200の主面に、凸部210が形成されている。凸部210は、直方体状の形状を有し、X軸方向に延在している。
【0027】
冷却プレート700の上面上に、エンドプレート200の凸部210と係合する2つの係合爪900が設けられている。2つの係合爪900の各々は、回動可能に設けられている。
【0028】
図4は、エンドプレートの凸部と係合爪とが係合した状態を示す部分断面図である。図5は、係合爪の構成を示す斜視図である。図3図5に示すように、係合爪900は、回動軸990に連結されている。回動軸990は、冷却プレート700の上面に固定された1対のブラケット980に支持されている。
【0029】
具体的には、係合爪900は、軸受孔部940と、基部910と、脚部930と、爪部920とを含む。軸受孔部940には、回動軸990が挿通される。基部910は、回動軸990の軸方向から見て、軸受孔部940から直線状に延在している。脚部930は、回動軸990の軸方向から見て、軸受孔部940から基部910に対して直交する方向に延在している。爪部920は、回動軸990の軸方向から見て、基部910の先端から基部910に対して直交する方向に延在し、脚部930と対向している。爪部920の先端の脚部930と対向する面に当接部950が形成されている。
【0030】
図4に示すように、当接部950は、エンドプレート200の凸部210にパック蓋部600側から当接することにより、組電池10のパック底部500に対する上下方向の位置を固定する。
【0031】
ここで、組電池10をパック底部500に対して固定する際の係合爪900の動作について説明する。
【0032】
図6は、組電池がパック底部に載置される直前の状態の係合爪および凸部を示す部分側面図である。図7は、組電池がパック底部に載置された状態の係合爪および凸部を示す部分側面図である。
【0033】
図6に示すように、組電池10がパック底部500に載置される直前の状態において、係合爪900の爪部920は、凸部210と係合しない位置に退避しており、脚部930の先端はエンドプレート200の底面の移動軌跡上に位置している。エンドプレート200がパック底部500に接近して、エンドプレート200の底面が脚部930を押圧することにより、図7中の矢印方向に回動軸990を中心に係合爪900が回動し、図7に示すように、爪部920と凸部210とが係合する。このとき、当接部950は、凸部210にパック蓋部600側から当接する。
【0034】
エンドプレート200の底面が脚部930と当接し、凸部210の上面が当接部950と当接することにより、エンドプレート200の下端部が係合爪900の脚部930と爪部920とに挟まれて固定される。その結果、エンドプレート200の上下方向の位置が固定される。ひいては、組電池10のパック底部500に対する上下方向の位置が固定される。
【0035】
なお、爪部920および凸部210の各々は、互いに係合する突起および穴部を有していてもよい。図8は、突起を有する爪部と、穴部を有している凸部とが、互いに係合している状態を示す部分側面図である。図8に示すように、凸部210の上面に穴部211が形成され、爪部920の当接部950に突起921が形成されていてもよい。突起921と穴部211とが互いに係合することにより、爪部920と凸部210との係合を強固にすることができる。なお、凸部210の上面に突起が形成されており、当接部950に突起と係合する穴部が形成されていてもよい。
【0036】
図4に示すように、エンドプレート200の底面には、ピン540が挿入される穴部230が形成されている。穴部230にピン540が挿入されることにより、組電池10の水平方向の位置が固定される。
【0037】
図9は、冷却プレートおよびブラケットの固定態様を示す部分断面図である。図9に示すように、ブラケット980は、冷却プレート700をパック底部500に固定するボルト90によって、冷却プレート700の上面に固定されている。
【0038】
具体的には、ブラケット980および冷却プレート700の各々にボルト90が挿通される孔部が設けられている。パック底部500の底面部510にボルト90と螺合する雌ねじ部が形成されている。ボルト90がブラケット980および冷却プレート700の各々の孔部を挿通して底面部510の雌ねじ部と螺合することにより、ブラケット980および冷却プレート700が同時に固定される。
【0039】
このようにブラケット980および冷却プレート700を固定することにより、ブラケット980および冷却プレート700を別々のボルトで固定した場合に比較して、ボルトの数を減らして部品点数を削減できるとともに、ボルトを締結する工数を削減することができる。
【0040】
図10は、組電池がパック底部に載置された状態における配線接続を示す斜視図である。図3では配線を示していないが、図10に示すように、組電池10は、配線20と電気的に接続されており、配線20の先端にモジュール側接続端子30が設けられている。配線20は、エンドプレート200の表面に沿って引き回されている。
【0041】
冷却プレート700の上面には、モジュール側接続端子30と接続されるパック側接続端子560が設けられている。すなわち、パック側接続端子560は、冷却プレート700を介してパック底部500に固定されている。パック側接続端子560は、パック底部500に載置された組電池10のエンドプレート200に隣り合う位置に配置されている。パック側接続端子560と外部接続コネクタ550とは、配線40によって互いに電気的に接続されている。
【0042】
図10に示すように、組電池10がパック底部500に載置されて当接部950が凸部210と当接した際に、モジュール側接続端子30とパック側接続端子560とが互いに接続される。すなわち、組電池10をパック底部500に載置することにより、電池パック1における電気的接続が完了する。
【0043】
本実施の形態に係る電池パック1においては、当接部950がエンドプレート200の凸部210にパック蓋部600側から当接することにより、組電池10のパック底部500に対する上下方向の位置を固定する。これにより、組電池10を上下方向に強固に固定することができる。
【0044】
本実施の形態に係る電池パック1においては、当接部950は、エンドプレート200と当接している。これにより、組電池10の積層方向(Y軸方向)の両端を上下方向に強固に固定することができる。
【0045】
本実施の形態に係る電池パック1においては、当接部950は、凸部210と係合する回動可能に設けられた係合爪900に形成されている。これにより、組電池10をパック底部500に載置するだけで係合爪900を回動させて凸部210と係合させることができるため、組電池10のパック底部500に対する上下方向の位置を簡易に固定することができる。
【0046】
本実施の形態に係る電池パック1においては、組電池10がパック底部500に載置されて当接部950が凸部210と当接した際に、モジュール側接続端子30とパック側接続端子560とが互いに接続される。これにより、組電池10の機械的固定と電気的接続とを同時に行なうことができる。
【0047】
ここで、実施の形態1の変形例に係る電池パックについて説明する。以下の変形例の説明においては、実施の形態1に係る電池パック1と同様の構成については説明を繰り返さない。
【0048】
図11は、第1変形例に係る組電池の外観を示す斜視図である。図11に示すように、第1変形例に係る組電池10Aにおいては、バインドバー300Aの主面に、凸部310が形成されている。凸部310は、直方体状の形状を有し、Y軸方向に延在している。本変形例においては、バインドバー300AのY軸方向における両端の位置に、凸部310が形成されている。なお、バインドバー300AのY軸方向の中央の位置に、凸部310が形成されていてもよい。
【0049】
冷却プレート700の上面上に、バインドバー300Aの凸部310と係合する係合爪900が設けられている。組電池10Aがパック底部500に載置された際に、当接部950がバインドバー300Aの凸部310にパック蓋部600側から当接することにより、組電池10Aのパック底部500に対する上下方向の位置を固定する。これにより、組電池10Aを上下方向に強固に固定することができる。
【0050】
本変形例においては、当接部950は、バインドバー300Aと当接している。なお、当接部950は、エンドプレート200およびバインドバー300Aの各々と1対1で対応して当接するように配置されていてもよい。この場合は、組電池10Aを上下方向にさらに強固に固定することができる。
【0051】
図12は、第2変形例に係る組電池の外観を示す斜視図である。図12に示すように、第2変形例に係る組電池10Bにおいては、エンドプレート200Bの主面に、凹部210Bが形成されている。凹部210Bは、直方体状の内部空間を有し、X軸方向に延在している。凹部210Bは、係合爪900と係合可能に形成されている。
【0052】
また、組電池10Bにおいては、バインドバー300Aの主面に、凹部310Bが形成されている。凹部310Bは、直方体状の内部空間を有し、Y軸方向に延在している。凹部310Bは、係合爪900と係合可能に形成されている。本変形例においては、バインドバー300BのY軸方向における両端の位置に、凹部310Bが形成されている。なお、バインドバー300BのY軸方向の中央の位置に、凹部310Bが形成されていてもよい。
【0053】
組電池10Bがパック底部500に載置された際に、当接部950が、エンドプレート200Bの凹部210Bおよびバインドバー300Bの凹部310Bの少なくとも一方にパック蓋部600側から当接することにより、組電池10Bのパック底部500に対する上下方向の位置を固定する。これにより、組電池10Bを上下方向に強固に固定することができる。
【0054】
図13は、第3変形例に係るエンドプレートの外観を示す斜視図である。図14は、第3変形例に係る電池パックのエンドプレートの周辺を示す部分斜視図である。
【0055】
図13および図14に示すように、第3変形例に係るエンドプレート200Cには、上下方向(Z軸方向)に貫通した貫通孔220が形成されている。図14に示すように、モジュール側接続端子30とパック側接続端子560とは、貫通孔220の内側に配置されている。このように配置することにより、電池パックを小型化することができる。
【0056】
図15は、第4変形例に係る係合爪の構成を示す斜視図である。図16は、第4変形例に係る係合爪の構成を示す側面図である。図15および図16に示すように、第4変形例に係る係合爪900Aは、軸受孔部940と、基部910と、脚部930Aと、爪部920とを含む。脚部930Aは、回動軸990の軸方向から見て、軸受孔部940から基部910に対して直交する方向に延在している。爪部920は、回動軸990の軸方向から見て、基部910の先端から基部910に対して直交する方向の脚部930A側とは反対側に延在している。爪部920の先端の下面に当接部950が形成されている。
【0057】
係合爪900Aは、脚部930Aが冷却プレート700の上面と接しているため、回動軸990を中心に図16中の矢印方向にのみ回動可能となっている。係合爪900Aは、可撓性を有している。
【0058】
図17は、第4変形例に係る係合爪の爪部が上方から押圧されて基部に近づくように係合爪が撓んだ状態を示す側面図である。図17に示すように、係合爪900Aは、爪部920が上方から押圧されたとき、爪部920が点線で示す退避位置に矢印方向に移動して基部910に近づくように、撓むことができる。
【0059】
図18は、組電池がパック底部に載置される直前の状態の第4変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。図19は、組電池がパック底部に載置された状態の第4変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。
【0060】
図18に示すように、組電池がパック底部500に載置される直前の状態において、係合爪900Aの爪部920は、エンドプレート200によって押圧されて係合爪900Aが撓むことにより、凸部210と係合しない退避位置に移動している。
【0061】
図19に示すように、エンドプレート200がパック底部500に接近して、エンドプレート200と爪部920との引っ掛かりが小さくなると、係合爪900Aが撓んだ形状から元の形状に戻り、爪部920が矢印方向に移動して凸部210と係合する。このとき、当接部950は、凸部210にパック蓋部600側から当接する。
【0062】
電池セル100の底面が伝熱シート800を介して冷却プレート700と当接し、凸部210の上面が当接部950と当接することにより、組電池の下端部が冷却プレート700と爪部920とに挟まれて固定される。その結果、組電池のパック底部500に対する上下方向の位置が固定される。
【0063】
図20は、第4変形例に係る係合爪の爪部が上方から押圧されて基部が脚部に近づくように係合爪が撓んだ状態を示す側面図である。図20に示すように、係合爪900Aは、爪部920が上方から押圧されたとき、爪部920が点線で示す退避位置に矢印方向に移動して基部910が脚部930Aに近づくように、撓むことができる。
【0064】
図21は、組電池がパック底部に載置される直前の状態の第4変形例に係る係合爪および凹部を示す部分側面図である。図22は、組電池がパック底部に載置された状態の第4変形例に係る係合爪および凹部を示す部分側面図である。
【0065】
図21に示すように、組電池がパック底部500に載置される直前の状態において、係合爪900Aの爪部920は、エンドプレート200Bによって押圧されて係合爪900Aが撓むことにより、凹部210Bと係合しない退避位置に移動している。
【0066】
図22に示すように、エンドプレート200Bがパック底部500に接近して、エンドプレート200Bの凹部210Bに爪部920の先端が嵌まり込むと、係合爪900Aが撓んだ形状から元の形状に戻り、爪部920が矢印方向に移動して凹部210Bと係合する。このとき、当接部950は、凹部210Bにパック蓋部600側から当接する。
【0067】
電池セル100の底面が伝熱シート800を介して冷却プレート700と当接し、凹部210Bの内面が当接部950と当接することにより、組電池の下端部が冷却プレート700と爪部920とに挟まれて固定される。その結果、組電池のパック底部500に対する上下方向の位置が固定される。
【0068】
図23は、第5変形例に係る係合爪の構成を示す斜視図である。図24は、第5変形例に係る係合爪の構成を示す側面図である。図23および図24に示すように、第5変形例に係る係合爪900Bは、軸受孔部940と、基部910Bと、脚部930Bと、爪部920Bとを含む。基部910Bは、回動軸990の軸方向から見て、軸受孔部940から直線状に延在している。脚部930Bは、回動軸990の軸方向から見て、軸受孔部940から基部910Bとのなす角が鈍角となる方向に延在している。爪部920Bは、回動軸990の軸方向から見て、基部910Bの先端から基部910Bとのなす角が鈍角となる方向に延在している。爪部920Bは、基部910Bを間に挟んで脚部930Bと面している。爪部920Bの先端面に当接部950が形成されている。
【0069】
脚部930Bの長さは、基部910Bと爪部920Bとの合計長さより長い。脚部930Bの重量は、基部910Bと爪部920Bとの合計重量より大きいため、脚部930Bの先端が冷却プレート700の上面と接した状態が、係合爪900Bの安定姿勢となる。
【0070】
係合爪900Bは、脚部930Bの先端が冷却プレート700の上面と接しているため、回動軸990を中心に図24中の矢印方向にのみ回動可能となっている。係合爪900Bは、可撓性を有している。
【0071】
図25は、組電池がパック底部に載置される直前の状態の第5変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。図26は、組電池がパック底部に載置された状態の第5変形例に係る係合爪および凸部を示す部分側面図である。
【0072】
図25および図26に示すように、本変形例においては、エンドプレート200Dの凸部210Dは、エンドプレート200Dの主面の下端に形成されている。図25に示すように、組電池がパック底部500に載置される直前の状態において、係合爪900Bの爪部920Bは、エンドプレート200Dによって押圧されて係合爪900Bが矢印方向に回動することにより、凸部210Dと係合しない位置に退避している。
【0073】
図26に示すように、エンドプレート200Dがパック底部500に接近して、エンドプレート200Dと爪部920Bとの引っ掛かりが小さくなった状態で、脚部930Bを上方から手で押圧することにより、基部910Bおよび爪部920Bが撓みつつ係合爪900Bが矢印方向に回動して、爪部920Bが凸部210Dと係合する。このとき、当接部950は、凸部210Dにパック蓋部600側から当接する。
【0074】
電池セル100の底面が伝熱シート800を介して冷却プレート700と当接し、凸部210Dの上面が当接部950と当接することにより、組電池の下端部が冷却プレート700と爪部920Bとに挟まれて固定される。その結果、組電池のパック底部500に対する上下方向の位置が固定される。
【0075】
なお、係合爪900Bに、回動軸990に挿通されたトーションばねを設けてもよい。トーションばねを設けることによって、組電池がパック底部500に載置される前の状態において、脚部930Bの先端が冷却プレート700の上面と接するように付勢することができる。エンドプレート200Dがパック底部500に接近して、エンドプレート200Dと爪部920Bとの引っ掛かりが小さくなった状態になると、トーションばねの付勢力によって、基部910Bおよび爪部920Bが撓みつつ係合爪900Bが図26の矢印方向に回動するため、脚部930Bを上方から手で押圧することなく爪部920Bと凸部210Dとを係合させることができる。このトーションばねは、実施の形態1および第1変形例~第4変形例の各々にも必要に応じて適用可能である。
【0076】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る電池パックについて図を参照して説明する。実施の形態2に係る電池パックは、当接部が形成されている部材が、実施の形態1に係る電池パックと異なるため、実施の形態1に係る電池パックと同様の構成については説明を繰り返さない。
【0077】
図27は、実施の形態2に係る電池パックの構成を示す分解斜視図である。図28は、実施の形態2に係る電池パックのエンドプレートの周辺を示す断面図である。
【0078】
図27および図28に示すように、実施の形態2に係る電池パック1Eは、組電池10と、パック底部500Eと、パック蓋部600Eとを備える。本実施の形態においては、電池パック1Eは、パック底部500E上に載置された冷却プレート700をさらに備える。
【0079】
パック蓋部600Eには、パック底部500E側に突出した突出部640が設けられている。具体的には、蓋面部610においてエンドプレート200と対向する位置に、突出部640が設けられている。突出部640は、たとえば、絞り加工によって形成されている。突出部640の下面に、当接部650が形成されている。
【0080】
図28に示すように、パック蓋部600Eのフランジ部630には、パック底部500E側に突出した凸部660が形成されている。パック底部500Eのフランジ部530には、凸部660と嵌合する凹部570が形成されている。なお、凸部660および凹部570は、図27には図示していない。凸部660および凹部570の各々は、たとえば、絞り加工によって形成されている。
【0081】
凸部660と凹部570とが互いに嵌合していることにより、パック蓋部600Eがパック底部500Eに固定されている。これにより、ボルトおよびナットなどの締結部材を用いることなく、パック蓋部600Eとパック底部500Eとを互いに固定することができる。
【0082】
図28に示すように、パック蓋部600Eがパック底部500Eに固定された状態において、エンドプレート200は、突出部640によって押圧されている。このとき、当接部650は、エンドプレート200の上面にパック蓋部600E側から当接する。
【0083】
電池セル100の底面が伝熱シート800を介して冷却プレート700と当接し、エンドプレート200の上面が当接部650と当接することにより、組電池10がパック蓋部600Eとパック底部500Eとの間に挟まれて固定される。その結果、組電池10のパック底部500Eに対する上下方向の位置が固定される。
【0084】
本実施の形態においては、当接部650は、エンドプレート200と当接しているが、バインドバー300と当接していてもよいし、樹脂プレート400と当接していてもよい。また、当接部650は、組電池10の上面全体と当接していてもよい。
【0085】
本実施の形態に係る電池パック1Eにおいては、当接部650がエンドプレート200の上面にパック蓋部600E側から当接することにより、組電池10のパック底部500Eに対する上下方向の位置を固定する。これにより、組電池10を上下方向に強固に固定することができる。
【0086】
また、当接部650は、パック蓋部600Eの突出部640に形成されているため、当接部650を形成するための部材を別途設ける必要がなく、電池パック1Eの部品点数を削減することができる。
【0087】
本実施の形態に係る電池パック1Eにおいては、組電池10の機械的固定、および、パック蓋部600Eとパック底部500Eとの機械的固定の、各々に、ボルトおよびナットなどの締結部材を用いないため、電池パック1Eを軽量化するとともに、ボルトを締結する工数を削減して電池パック1Eの生産効率を向上することができる。
【0088】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1,1E 電池パック、10,10A,10B 組電池、20,40 配線、30 モジュール側接続端子、90 ボルト、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、130 ガス排出弁、200,200B,200C,200D エンドプレート、210,210D,310,660 凸部、210B,310B,570 凹部、211 突起、220,710 貫通孔、230,921 穴部、300,300A,300B バインドバー、400 樹脂プレート、500,500E パック底部、510 底面部、520,620 側面部、530,630 フランジ部、550 外部接続コネクタ、560 パック側接続端子、600,600E パック蓋部、610 蓋面部、640 突出部、650,950 当接部、700 冷却プレート、800 伝熱シート、900,900A,900B 係合爪、910,910B 基部、920,920B 爪部、930,930A,930B 脚部、940 軸受孔部、980 ブラケット、990 回動軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
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