(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】角度多重方式を使用して波動信号の経路長を延長するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G11C 13/04 20060101AFI20230627BHJP
G02B 27/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G11C13/04
G02B27/00 P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021101249
(22)【出願日】2021-06-18
(62)【分割の表示】P 2020553470の分割
【原出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-07-08
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523009975
【氏名又は名称】エヌケイビー・プロパティーズ・マネジメント・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】NKB Properties Management, LLC
【住所又は居所原語表記】80 Cuttermill Road, Great Neck, NY 11021, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】マクマナモン、ポール・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ダマギ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハーレブ、オハド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェダディ-コムテ、アーマンド
(72)【発明者】
【氏名】ウィルナー、アラン・エリ
(72)【発明者】
【氏名】パランゾ、チャールズ・ロッコ
(72)【発明者】
【氏名】ハワード、ライアン・ジャスティン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/165429(WO,A1)
【文献】特表2019-513331(JP,A)
【文献】米国特許第4656666(US,A)
【文献】特表2014-529758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 13/04
G02B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波信号の経路長を延長するためのシステムであって、M
1~M
N個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイを含み、
N≧2、M
1≧2及びM
2~M
Nの各々≧1であり、
第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの一つ以上のアパーチャは、第2のアレイの前記M
2個のアパーチャからN番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのうちの一つ以上のアパーチャに前記電磁波信号を送信するように構成され、
前記第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャから前記電磁波信号を受信する、前記第2のアレイの前記M
2個のアパーチャから前記N番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのうちの前記一つ以上のアパーチャは、前記受信された電磁波信号を方向転換して、前記第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャに戻すように構成され、
前記電磁波信号は、前記N個のアレイ間の経路の全て又はいくつかを通過する、システム。
【請求項2】
前記電磁波信号は、再構成可能な様式で、前記N個のアレイ間の経路の全て又はいくつかを通過する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のアレイの前記M
1
個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャは、前記N番目のアレイのM
N
番目のアパーチャから、前記方向転換された電磁波信号を受信した後、前記第1のアレイの前記M
1
個のアパーチャのうちの別のアパーチャに前記電磁波信号を送信するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャは、前記M
1個のアパーチャのそれぞれの1つを含み、及び
前記第2のアレイの前記M
2個のアパーチャから前記N番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのうちの前記一つ以上のアパーチャは、前記第2のアレイの前記M
2個のアパーチャから前記N番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するように構成された分散補償デバイスをさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイから前記N番目のアレイまでの少なくとも1つの前記アパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のアレイの前記アパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び
前記第2のアレイから前記N番目のアレイまでの少なくとも1つの前記アパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のアレイから前記N番目のアレイまでの前記アパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
M
1~M
N個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイ間を通過する電磁波信号の経路長を延長するための方法であって、N≧2、M
1≧2及びM
2~M
Nの各々≧1であり、前記方法は、
第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの一つ以上のアパーチャにより、第2のアレイの前記M
2個のアパーチャからN番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのうちの一つ以上のアパーチャに前記電磁波信号を送信するステップと、
前記第2のアレイの前記M
2個のアパーチャから前記N番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのうちの前記一つ以上のアパーチャにより、前記第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャから前記電磁波信号を受信するステップと、
前記第2のアレイの前記M
2個のアパーチャから前記N番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのうちの前記一つ以上のアパーチャにより、前記受信された電磁波信号を方向転換して、前記第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャに戻すステップと、
を含
み、
前記電磁波信号は、前記N個のアレイ間の経路の全て又はいくつかを通過する、方法。
【請求項12】
前記電磁波信号は、再構成可能な様式で、前記N個のアレイ間の経路の全て又はいくつかを通過する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のアレイの前記M
1
個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャにより、前記N番目のアレイのM
N
番目のアパーチャから、前記方向転換された電磁波信号を受信した後、前記第1のアレイの前記M
1
個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャにより、前記第1のアレイの前記M
1
個のアパーチャのうちの別のアパーチャに前記電磁波信号を送信するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のアレイの前記M
1個のアパーチャのうちの前記一つ以上のアパーチャは、前記M
1個のアパーチャのそれぞれの1つを含み、及び
前記第2のアレイの前記M
2個のアパーチャから前記N番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのうちの前記一つ以上のアパーチャは、前記第2のアレイの前記M
2個のアパーチャから前記N番目のアレイの前記M
N個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
分散補償デバイスを使用することにより、前記複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイから前記N番目のアレイまでの少なくとも1つの前記アパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のアレイの前記アパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び
前記第2のアレイから前記N番目のアレイまでの少なくとも1つの前記アパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のアレイから前記N番目のアレイまでの前記アパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮特許出願は、2018年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/717,107号明細書の利益及びそれに対する優先権を主張するものである。その特許出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、波動信号の経路長を延長するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
データセンタ、広帯域通信及び演算集約的な信号処理の拡大により、より少ない電力を消費する大容量データ記憶に対する需要が推進されている。現代のデータセンタは、例えば、高性能演算(HPC)を実行するために、同じ共通のドライブ上に格納された同じデータへの迅速アクセスも必要とする場合が多い。加えて、情報技術(IT)記憶産業内の多くの関係者(例えば、最終顧客、データセンタ、インシステムプログラマ(ISP)、インサーキットプログラマ(ICP)など)の間では、極秘データ(例えば、政府データ、軍事データ)を直接的に確実に且つ完全に消去できることへの関心が一層高まっている。
【0004】
現在、データセンタにおいてデータを格納するために使用される記憶デバイスの例として、不揮発性NANDフラッシュメモリベースのドライブなどのソリッドステートドライブ(SSD)及びハードディスクドライブ(HDD)が挙げられる。それらのソリッドステートベースの記憶デバイスに基づく従来のデータセンタは、多様な欠点を有する。例えば、それらの従来の記憶デバイスを使用するデータ記憶は、大量の電力を消費し、高価なメンテナンスを必要とする。加えて、それらの従来の記憶デバイスの多くに関与するデータ記憶は、大量の熱を発生することで冷却システムが必要となり、これを受けて追加のコスト及びエネルギー消費が必要となる。その上、それらの従来の電磁波記憶デバイスからデータを読み取るか、又はそれらの従来の電磁波記憶デバイスにデータを書き込む際のスループットは、電子機器の速さによって例えば数Gb/sに制限される。加えて、従来の不揮発性ソリッドステートメモリからデータが消去されても、典型的には、消去されたデータの痕跡が残る。適切なスキル及び技術を用いることにより、消去されたデータが回復される可能性がある。その上、それらの従来の記憶デバイスを使用してデータセンタの規模を拡大するには、より多くの記憶デバイスを購入するか、又は現在の記憶デバイスをより性能の良いものと交換する必要がある。それに従って、従来の記憶デバイスを使用したデータセンタの構築及びアップグレードは、高価であり且つ時間のかかるプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、従来の記憶デバイスを使用するデータ記憶の上記及び他の欠陥の1つ又は複数を克服するデータ記憶装置及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
代替のデータ記憶手法は、データ記憶ループにおいて移動中のデータを格納するものであることが示されている。
【0007】
ここで、本発明の上記の及び関連する目的は、角度多重方式を使用して波動信号の経路長を延長するためのシステム及び方法を含むいくつかの関連する態様の形態で得られることが分かっている。
【0008】
より具体的には、本発明は、電磁波信号の経路長を延長するためのシステムであって、M1~MN個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイを含み、N≧2、M1≧2及びM2~MNの各々≧1であり、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数に電磁波信号を送信するように構成され、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信する、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数は、受信された電磁波信号を方向転換して、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に戻すように構成され、及び第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、N番目のアレイのMN番目のアパーチャから、方向転換された電磁波信号を受信した後、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つに電磁波信号を送信するようにさらに構成される、システムに関する。
【0009】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つは、N番目のアレイのMN番目のアパーチャから、方向転換された電磁波信号を受信する第1のアレイのM1個のアパーチャに隣接する。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、M1個のアパーチャのそれぞれの1つを含む。少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む。
【0011】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、単一の波長を有する。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む。
【0013】
少なくとも1つの実施形態では、システムは、複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するように構成された分散補償デバイスをさらに含む。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む。
【0015】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイからN番目のアレイまでのアパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する。
【0019】
本発明は、電磁波信号の経路長を延長するためのシステムであって、M1~MN個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイを含み、N≧2、M1≧2及びM2~MNの各々≧1であり、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数に電磁波信号を送信するように構成され、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信する、第2のアレイの第1のアパーチャから、MN≧2の場合にはN番目のアレイの(MN-1)番目のアパーチャまで及びMN=1の場合には(N-1)番目のアレイのMN-1番目のアパーチャまでの実質数は、受信された電磁波信号を方向転換して、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に戻すように構成され、及びN番目のアレイのMN番目のアパーチャは、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信した後、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つに電磁波信号を送信するように構成される、システムにも関する。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つは、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に隣接する。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、M1個のアパーチャのそれぞれの1つを含む。少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む。
【0022】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、単一の波長を有する。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、システムは、複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するように構成された分散補償デバイスをさらに含む。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む。
【0026】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する。
【0029】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイからN番目のアレイまでのアパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する。
【0030】
本発明は、電磁波信号の経路長を延長するためのシステムであって、M1~MN個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイを含み、N≧2、M1≧2及びM2~MNの各々≧1であり、第2のアレイの第1のアパーチャは、第1のアレイの第1のアパーチャに電磁波信号を送信するように構成され、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数に電磁波信号を送信するように構成され、但し、第1のアレイの第1のアパーチャは、第2のアレイの第1のアパーチャに電磁波信号を送信しないように構成され、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信する、第2のアレイの第1のアパーチャから、MN≧2の場合にはN番目のアレイの(MN-1)番目のアパーチャまで及びMN=1の場合には(N-1)番目のアレイのMN-1番目のアパーチャまでの実質数は、受信された電磁波信号を方向転換して、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に戻すように構成され、及びN番目のアレイのMN番目のアパーチャは、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信した後、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つに電磁波信号を送信するように構成される、システムにさらに関する。
【0031】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つは、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に隣接する。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、M1個のアパーチャのそれぞれの1つを含む。少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、単一の波長を有する。
【0034】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、システムは、複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するように構成された分散補償デバイスをさらに含む。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0038】
少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイからN番目のアレイまでのアパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する。
【0041】
加えて、本発明は、M1~MN個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイ間を通過する電磁波信号の経路長を延長するための方法であって、N≧2、M1≧2及びM2~MNの各々≧1であり、その方法は、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数により、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数に電磁波信号を送信するステップと、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数により、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信するステップと、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数により、受信された電磁波信号を方向転換して、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に戻すステップと、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数により、N番目のアレイのMN番目のアパーチャから、方向転換された電磁波信号を受信した後、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数により、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つに電磁波信号を送信するステップとを含む、方法にも関する。
【0042】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つは、N番目のアレイのMN番目のアパーチャから、方向転換された電磁波信号を受信する第1のアレイのM1個のアパーチャに隣接する。
【0043】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、M1個のアパーチャのそれぞれの1つを含む。少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、単一の波長を有する。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、分散補償デバイスを使用することにより、複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するステップをさらに含む。
【0047】
少なくとも1つの実施形態では、分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0050】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する。
【0051】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイからN番目のアレイまでのアパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する。
【0052】
本発明は、M1~MN個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイ間を通過する電磁波信号の経路長を延長するための方法であって、N≧2、M1≧2及びM2~MNの各々≧1であり、その方法は、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数により、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数に電磁波信号を送信するステップと、第2のアレイの第1のアパーチャから、MN≧2の場合にはN番目のアレイの(MN-1)番目のアパーチャまで及びMN=1の場合の場合には(N-1)番目のアレイのMN-1番目のアパーチャまでの実質数により、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信するステップと、第2のアレイの第1のアパーチャから、MN≧2の場合にはN番目のアレイの(MN-1)番目のアパーチャまで及びMN=1の場合には(N-1)番目のアレイのMN-1番目のアパーチャまでの実質数により、受信された電磁波信号を方向転換して、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に戻すステップと、N番目のアレイのMN番目のアパーチャにより、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信した後、N番目のアレイのMN番目のアパーチャにより、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つに電磁波信号を送信するステップとを含む、方法にさらに関する。
【0053】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つは、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に隣接する。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、M1個のアパーチャのそれぞれの1つを含む。少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む。
【0055】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、単一の波長を有する。
【0056】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む。
【0057】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、分散補償デバイスを使用することにより、複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するステップをさらに含む。
【0058】
少なくとも1つの実施形態では、分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む。
【0059】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0060】
少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0061】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する。
【0062】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイからN番目のアレイまでのアパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する。
【0063】
加えて、本発明は、M1~MN個のアパーチャをそれぞれ有するN個のアレイ間を通過する電磁波信号の経路長を延長するための方法であって、N≧2、M1≧2及びM2~MNの各々≧1であり、その方法は、第2のアレイの第1のアパーチャにより、第1のアレイの第1のアパーチャに電磁波信号を送信するステップと、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数により、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数に電磁波信号を送信するステップであって、但し、第1のアレイの第1のアパーチャは、第2のアレイの第1のアパーチャに電磁波信号を送信しない、ステップと、第2のアレイの第1のアパーチャから、MN≧2の場合にはN番目のアレイの(MN-1)番目のアパーチャまで及びMN=1の場合には(N-1)番目のアレイのMN-1番目のアパーチャまでの実質数により、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信するステップであって、但し、第2のアレイの第1のアパーチャは、第1のアレイの第1のアパーチャから電磁波信号を受信しない、ステップと、第2のアレイの第1のアパーチャから、MN≧2の場合にはN番目のアレイの(MN-1)番目のアパーチャまで及びMN=1の場合には(N-1)番目のアレイのMN-1番目のアパーチャまでの実質数により、受信された電磁波信号を方向転換して、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に戻すステップと、N番目のアレイのMN番目のアパーチャにより、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数から電磁波信号を受信した後、N番目のアレイのMN番目のアパーチャにより、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つに電磁波信号を送信するステップとを含む、方法に関する。
【0064】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの別の1つは、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数に隣接する。
【0065】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのM1個のアパーチャの実質数は、M1個のアパーチャのそれぞれの1つを含む。少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでの実質数は、第2のアレイのM2個のアパーチャからN番目のアレイのMN個のアパーチャまでのそれぞれの1つを含む。
【0066】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、単一の波長を有する。
【0067】
少なくとも1つの実施形態では、電磁波信号は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む。
【0068】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、分散補償デバイスを使用することにより、複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するステップをさらに含む。
【0069】
少なくとも1つの実施形態では、分散補償デバイスは、アクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスを含む。
【0070】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0071】
少なくとも1つの実施形態では、第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、体積ホログラフィック格子、コーナーキューブ再帰反射器、回折格子、鏡、部分再生器又は完全再生器を含む。
【0072】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し、及び第2のアレイからN番目のアレイまでの少なくとも1つのアパーチャは、1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置する。
【0073】
少なくとも1つの実施形態では、第1のアレイからN番目のアレイまでのアパーチャは、実質的に密封された空洞内に位置する。
【0074】
少なくとも1つの実施形態では、アパーチャは、宇宙空間、自由空間に位置し得、大気中又は部分的若しくは高度な真空中に位置し得る。
【0075】
具体的な特徴、能力及び利点を上記で列挙した。しかし、様々な実施形態は、列挙される特徴、能力及び利点のいくつかを含むか、それらのいずれも含まないか、又はそれらの全てを含むことができる。開示される主題のこれらの及び他の技術的な特徴、能力及び利点は、本発明自体と共に以下の図、詳細な説明及び特許請求の範囲を検討することでより詳細に理解されるであろう。
【0076】
本発明の例示的な実施形態について、添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、角度多重方式の部分的な実装形態の概略図である。
【
図2】本発明の別の例示的な実施形態による、角度多重方式の部分的な実装形態の概略図である。
【
図3】本発明のさらなる別の例示的な実施形態による、角度多重方式の部分的な実装形態の概略図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、多波長電磁波信号に対する角度多重方式の部分的な実装形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
情報又は任意の種類のデータは、電磁波(例えば、数例を挙げると、レーザ、光ビーム、無線周波数(RF)信号、他のタイプの電磁波信号によって生成される)として格納することができる。電磁波は、様々な伝送媒体(例えば、数例を挙げると、自由空間、真空、結晶、非線形媒体、光導波路、光ファイバ)の構造間又は構造内で伝送及び/又は反射することができる。「電磁波信号」及び「電磁波ビーム」という用語は、本明細書では、互いに交換可能に使用される。本明細書で使用される電磁放射線又は電磁ビームは、レーザビーム若しくは信号、メーザビーム若しくは信号、光ビーム若しくは信号、任意のタイプの有線若しくは無線信号(音響波、電波、IR放射線、UV放射線、マイクロ波帯伝送を含む)又は前述の2つ以上の任意の組合せを含む、いかなる種類の電磁信号も含み得る。本明細書では単にレーザビーム又は信号として言及される場合があるが、他のタイプの光信号及び他のタイプの電磁放射線伝送(導波型、成形型、位相型又は前述のいずれでもないにかかわらず、電波、マイクロ波、IR、UV及び電磁放射線の波長の帯域幅の組合せを含む)も含まれることが意図される。
【0079】
再循環ループは、連続動作において、構造間又は構造内で伝送及び/又は反射され、且つ必要に応じて再生される(例えば、信号増幅又は再生によって)データを伝達し得る電磁波信号を維持することにより、「移動中のデータ」を格納するために使用することができる。再循環ループは、例えば、自由空間においてデータを反射するか又は別の方法で再伝送する衛星又は他の船によって形成することができる。再循環ループは、光ファイバなどの導波路を含み得る。再循環ループにおいて移動中のデータを格納するための様々なシステム及び方法については、米国特許出願公開第15/465,356号明細書において説明されている。この特許出願は、米国特許出願公開第2017/0280211A1号明細書として公開されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
実施形態では、再循環ループにおいて電磁波信号を格納するためのシステムは、その中に格納された電磁波信号を消滅させるか又は「オフにする」ように構成することができる。電磁波信号を消滅させると、その中に格納されたデータは、ソリッドステートメモリから消去されたデータと異なり、確実に且つ瞬時に失われ、回復することができない。
【0081】
そのようなシステムのデータ記憶時間及び容量を増加させるには、再循環ループにおいて電磁波信号をできる限り長く保持するか又は「遅延させる」必要がある。長距離ライダ又はレーダにおいて短いコヒーレンス長の主発振器を使用する能力など、電磁信号の遅延のための他の応用が存在し得る。
【0082】
電磁波信号経路長は、再循環ループにおいて電磁波信号が移動する距離である。電磁波信号記憶時間は、電磁波信号経路長を媒体又は真空内における光又は電磁波信号の速さで除したものである。電磁波信号経路長を延長し、従って電磁波信号記憶時間を増加させることにより、高データレートを必要とすることなく、より大量の移動中のデータを格納することができる。
【0083】
「角度多重方式」と呼ばれる空間分割多重技法を使用することにより、電磁波信号の経路長を延長するためのシステム及び方法が開示される。本明細書で使用される場合、「角度多重方式」という用語は、電磁波信号が再循環ループを移動する(例えば、部分的にのみ、単回又は複数回、再循環ループを通過する)ために使用するアパーチャ間又はアパーチャのセット間の経路の数及び/又は長さを増加させる(例えば、増大させる)ことにより、電磁波信号経路長を延長するための技法を指す。例えば、角度多重技法は、第1のアパーチャセットの第1のアパーチャと第2のアパーチャセットのあらゆるアパーチャ又は大多数のアパーチャとを行き来し、次いで第1のアパーチャセットの第2のアパーチャと第2のアパーチャセットのあらゆるアパーチャ又は大多数のアパーチャとを行き来するなどの電磁波信号経路を作成することにより、電磁波信号経路長を延長することができる。電磁波信号は、同じ領域にわたって何度も往復するため、所定の空間内で電磁波信号経路長を延長することができる。
【0084】
1つのアパーチャ又はアパーチャアレイから別のアパーチャ又はアパーチャアレイへの電磁波信号の移動順番は、その特定の実施形態の設計者が選択することができるなど、適応させることができる。その上、アパーチャの数も、その特定の実施形態の設計者が選択することができるなど、適応させることができる。実施形態では、参加アレイの利用可能なアパーチャの全てを使用することができる。代替の実施形態では、利用可能なアパーチャの実質数を使用することができる。
【0085】
本明細書で使用される場合、「アパーチャ」という用語は、電磁波信号の受信、送信、反射、方向転換及び/又は再伝送を行うように構成されたいかなる光学/光子/電磁(本明細書で定義されるように音響を含む)素子又はデバイスも指す。アパーチャの例は、これらに限定されないが、数例を挙げると、鏡、格子(回折格子又は体積ホログラフィック格子など)、コーナーキューブ再帰反射器、フォトニック結晶構造、光学デバイス(屈折率分布型材料を含む)、部分再生器、完全再生器及びそれらの任意の適切な組合せを含む。「アパーチャセット」という用語は、アパーチャの離散セット(例えば、各々が任意の数のアパーチャを有する任意の数のアレイ)又は一方向に長いことができる限られた数のアパーチャ(長いアパーチャの一部分は、独立したアパーチャとして動作する)を指す。例えば、
図4では、素子401及び402の上部及び下部セットの各々は、単一の長いアパーチャを示す。従って、実施形態では、離散アパーチャの多くは、単一のアパーチャとして機能し得る。アパーチャアレイは、複数のサブアパーチャに細分することができる。
【0086】
例えば、向かい合わせの2つのアパーチャアレイを有するシステムでは、電磁波信号経路長は、電磁波信号が第1のアレイのアパーチャの各々と第2のアレイのアパーチャの各々との間の可能な経路の全て又は可能な経路の実質数にわたって移動することによって延長することができる。実施形態では、この電磁波信号経路長の延長は、各々が任意の数のアパーチャを有する任意の数のアレイを有するシステムに対して一般化することができる。
【0087】
角度多重技法は、複数のアパーチャ間で電磁波信号経路長をかなり延長することができる。その結果、電磁波信号の移動距離が長くなる。従って、再循環ループにおける電磁波信号記憶時間が長くなる。所定のデータレートでは、電磁波信号記憶時間のそのような増加により、再循環ループによって格納することができる移動中のデータの量を増加させることができる。
【0088】
ここで、図面(特に
図1~3)を参照すると、例示的な実施形態による、複数のアパーチャ間の角度多重方式の部分的な実装形態を示す概略図が提供されている。これらの図面図の各々は、3つのアレイを示す。各アレイは、3つ、4つ又は5つのアパーチャを含む。しかし、アレイの数及び各アレイのアパーチャの数は、本発明によって限定されない。その上、
図1~3は、利用可能なアパーチャ間の利用可能な経路の全てを使用することを示す。しかし、所定の実装形態は、利用可能な経路の実質数のみを使用することができる。角度多重技法は、任意の数のアレイ(例えば2つ以上のアレイ)及び各アレイの任意の数のアパーチャ(例えば1つ又は複数のアパーチャ)を有するシステムに適用することができる(但し、電磁波信号がアレイ間及びアパーチャ間を移動できることを条件とする)。また、角度多重技法は、任意の種類の物理的又は幾何学的な配置のアレイ及びアパーチャ(例えば、数例を挙げると、線形、円形、平面又はランダムな配置のアパーチャ)を有するシステムにも適用することができる。加えて、各アレイと他のアレイの各々との相対位置は、適応させることができ、電磁波信号がアレイ間を移動できる限り、本発明によって限定されない。その上、1つのアレイの各アパーチャと同じアレイ内の他のアパーチャの各々との相対位置は、適応させることができ、電磁波信号がアパーチャ間を移動できる限り、本発明によって限定されない。同様に、1つのアレイの各アパーチャと他のアレイのアパーチャの各々との相対位置は、適応させることができ、電磁波信号がアパーチャ間を移動できる限り、本発明によって限定されない。例えば、角度多重方式は、わずか1メートル以下~100,000km以上に及ぶ範囲の距離にわたって実装することができる。別の例では、角度多重方式を実装するため、記憶システムの両側の各々において、アパーチャの60メートル長のアレイを使用することができる。実施形態では、電磁波信号は、導波路又は光ファイバを介してアパーチャ間を移動することができる。衛星を利用する実施形態では、アレイは、複数の衛星上のアパーチャ(1つのみのアパーチャ又は2つ以上のアパーチャ)を指し得る。アレイは、所定の衛星上にある。それに従って、
図1~3の概略図は、必ずしもアレイ及び各アレイ内のアパーチャの実際の物理的な配置を反映するとは限らず、必ずしも原寸に比例するとは限らない。
【0089】
角度多重技法は、電磁波信号がアパーチャ間を移動できる限り、いかなる場所にも配置されたアパーチャのアレイに適用することができる。例えば、1つ又は複数のアレイのアパーチャは、宇宙空間の1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し得、及び他の少なくとも1つのアレイのアパーチャは、宇宙空間の1つ又は複数の衛星の1つ又は複数のセットに位置し得る。実施形態では、アパーチャは、宇宙空間、自由空間に位置し得、大気中又は部分的若しくは高度な真空中に位置し得る。
【0090】
別の例では、アパーチャのアレイは、任意のサイズ又は形状の部分的に開放された又は実質的に密封された空洞内に位置し得る。本明細書で使用される場合、「空洞」という用語は、電磁波信号が移動できる任意のサイズ又は形状の少なくとも1つの部分的に又は完全に密閉された空間(例えば、部分的に開放された又は完全に密封されたエンクロージャ)を含むいかなる構造も指す。空洞内の密閉された空間は、中空であり得る。真空に近い条件のそのような中空空間は、ほぼ1の屈折率を有する。それにより、電磁波信号は、真空中においてほぼ光の速さで移動することができる。代わりに、空洞内の密閉された空間は、電磁波信号が真空中よりも低速で移動する、1より大きい屈折率を有する材料(例えば、固体、結晶、非晶質材料、液体など)で充填することができる。別の例では、空洞は、それ自体の内面及び外面によって密閉された固体材料(例えば、数例を挙げると、結晶、非晶質固体)であり得る。好ましくは、空洞を充填するそのような材料は、電磁波信号が低損失で移動できるように構成される。空洞の例示的な幾何学的形状は、数例を挙げると、立方体空洞、長方形空洞、管状空洞、トーラス状空洞、球形空洞、多面体空洞、平行四辺形空洞、プリズム形空洞及び卵形空洞を含む。例えば、角度多重方式を実装するアパーチャのアレイは、長さ100メートル、幅30メートル及び高さ2メートルを有する長方形チャンバ内に位置し得る。実施形態では、角度多重方式を実装するアパーチャのアレイは、実質的に真空条件下の密封された空洞内に位置し得る。
【0091】
図1は、例示的な実施形態による、3つのアレイを含むシステム100を示す。第1のアレイは、3つのアパーチャ111、112及び113を有する。第2のアレイは、5つのアパーチャ121、122、123、124及び125を有する。第3のアレイは、4つのアパーチャ131、132、133及び134を有する。
図1は、角度多重方式の部分的な実装形態を概略的に示す。電磁波信号101は、例示的な実施形態に従って以下の経路を移動することができる。第1のアレイの第1のアパーチャ111から始まり、電磁波信号101は、第2のアレイのアパーチャ121、122、123、124及び125の各々に順番に移動し、第1のアレイの第1のアパーチャ111に戻る。電磁波信号101が第2のアレイのアパーチャの各々への往復を終えた時点で、電磁波信号101は、次いで、第1のアレイの第1のアパーチャ111から第3のアレイのアパーチャ131、132、133及び134の各々に順番に移動し、第1のアレイの第1のアパーチャ111に戻る。電磁波信号101が最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ134)から第1のアレイの第1のアパーチャ111に戻った時点で、電磁波信号101は、次いで、第1のアパーチャ111から同じアレイの隣接するアパーチャ(例えば、第1のアレイの第2のアパーチャ112)に送信することができる。第1のアレイの第2のアパーチャ112から、電磁波信号101は、第2及び第3のアレイのアパーチャ121、122、123、124、125、131、132、133及び134の各々に順番に移動し、第1のアレイの第2のアパーチャ112に戻る。図を簡単にするため、
図1では、電磁波信号101による各アパーチャまでの移動のみ(アパーチャ112からアパーチャ121への往路及びアパーチャ112への復路などの往復移動を含む)を示す。電磁波信号101による後続の移動は、
図1では示さない。電磁波信号101が最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ134)から第1のアレイの第2のアパーチャ112に戻った時点で、電磁波信号101は、次いで、アパーチャ112から同じアレイの隣接するアパーチャ(例えば、第3のアパーチャ113)に送信することができる。電磁波信号101が最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ134)から第1のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ113)に戻るまで、類似したプロセスを繰り返すことができる。
【0092】
実施形態では、この時点で電磁波信号101の光学経路を終了することができる(例えば、電磁波信号101が回収される)。代替の実施形態では、電磁波信号101は、第1のアレイの最後のアパーチャ113から第1のアレイの第1のアパーチャ111に戻り、プロセス全体をもう一度繰り返すことができる。さらなる別の代替の実施形態では、この時点から、第1のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ113)から第1のアレイの最後から2番目のアパーチャ(例えば、アパーチャ112)に電磁波信号101を送信し、次いで最終的に第1のアレイの第1のアパーチャ111に戻すことにより、プロセス全体を逆順で実施することができ、そこからプロセス全体を正順で再び繰り返すことができる。さらなる別の代替の実施形態では、電磁波信号101は、第1のアレイの最後のアパーチャ113から第2のアレイの第1のアパーチャ121に送信することができる。第2のアレイの第1のアパーチャ121から始まり、第2のアレイのアパーチャは、第1のアレイのアパーチャによって最初に実施されたプロセスに類似したプロセスを実施することができる。
【0093】
実施形態では、電磁波信号は、
図1に関して上記で説明され、且つ
図2~4に関して以下で説明される例示的なプロセスと異なる、既定の、再配置された、チューニング可能な及び/又は再構成可能な様式で異なるアパーチャ間及び異なるアレイ間の経路の全て又はいくつかを通過することができる。例えば、実施形態では、電磁波信号が最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、
図1の第3のアレイのアパーチャ134)から第1のアレイの第1のアパーチャ(例えば、
図1のアパーチャ111)に戻った時点で、電磁波信号は、次いで、第1のアレイの第1のアパーチャ(例えば、アパーチャ111)から他の任意のアパーチャ(例えば、
図1のアパーチャ113)に送信することができる。代替の実施形態では、他のアパーチャは、第1のアパーチャに隣接する。
【0094】
図2は、例示的な実施形態による、3つのアレイを含むシステム200を示す。第1のアレイは、3つのアパーチャ211、212及び213を有する。第2のアレイは、5つのアパーチャ221、222、223、224及び225を有する。第3のアレイは、4つのアパーチャ231、232、233及び234を有する。
図2は、角度多重方式の部分的な実装形態を概略的に示す。電磁波信号201は、例示的な実施形態に従って以下の経路を移動することができる。第1のアレイの第1のアパーチャ211から始まり、電磁波信号201は、第2のアレイのアパーチャ221、222、223、224及び225の各々に順番に移動し、第1のアレイの第1のアパーチャ211に戻る。電磁波信号201が第2のアレイのアパーチャの各々への往復を終えた時点で、電磁波信号201は、次いで、第1のアレイの第1のアパーチャ211から、第3のアレイの第1のアパーチャから最後から2番目のアパーチャまでのアパーチャ231、232及び233の各々に順番に移動し、第1のアレイの第1のアパーチャ211に戻る。電磁波信号201が最後のアレイの最後から2番目のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ233)から第1のアレイの第1のアパーチャ211に戻った時点で、その第1についての第1のアパーチャ211は、次いで、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ234)に電磁波信号201を送信することができる。次いで、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ234)は、電磁波信号201を方向転換して、第1のアレイの第1のアパーチャ211に隣接する第1のアレイのアパーチャ(例えば、アパーチャ212)に向けることができる。第1のアレイの第2のアパーチャ212から、電磁波信号201は、第2及び第3のアレイのアパーチャ221、222、223、224、225、231、232及び233の各々に順番に移動し、第1のアレイの第2のアパーチャ212に戻る。図を簡単にするため、
図2では、電磁波信号201による各アパーチャまでの移動のみ(アパーチャ212からアパーチャ221への往路及びアパーチャ212への復路などの往復移動を含む)を示す。電磁波信号201による後続の移動は、
図2では示さない。電磁波信号201が最後のアレイの最後から2番目のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ233)から第1のアレイの第2のアパーチャ212に戻った時点で、第1のアレイの第2のアパーチャ212は、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ234)に電磁波信号201を送信することができる。次いで、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ234)は、電磁波信号201を方向転換して、第1のアレイの第2のアパーチャ212に隣接する第1のアレイのアパーチャ(例えば、アパーチャ213)に向けることができる。電磁波信号201が第1のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ213)から最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ234)に送信されるまで、類似したプロセスを繰り返すことができる。
【0095】
実施形態では、この時点で電磁波信号201の光学経路を終了することができる(例えば、電磁波信号201が回収される)。代替の実施形態では、電磁波信号201は、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ234)から第1のアレイの第1のアパーチャ211に戻り、プロセス全体をもう一度繰り返すことができる。さらなる別の代替の実施形態では、この時点から、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ234)から第1のアレイの最後から2番目のアパーチャ(例えば、アパーチャ212)に電磁波信号201を送信し、次いで最終的に第1のアレイの第1のアパーチャ211に戻すことにより、プロセス全体を逆順で実施することができ、そこからプロセス全体を正順で再び繰り返すことができる。さらなる別の代替の実施形態では、電磁波信号201は、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ234)から第2のアレイの第1のアパーチャ221に送信することができる。第2のアレイの第1のアパーチャ221から始まり、第2及び第3のアレイのアパーチャは、第1及び第3のアレイのアパーチャによって最初に実施されたプロセスに類似したプロセスを実施することができる。
【0096】
実施形態では、電磁波信号は、
図2に関して上記で説明される例示的なプロセスと異なる、既定の、再配置された、チューニング可能な及び/又は再構成可能な様式で異なるアパーチャ間及び異なるアレイ間の経路の全て又はいくつかを通過することができる。例えば、実施形態では、電磁波信号が最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、
図2の第3のアレイのアパーチャ234)から第1のアレイに戻されるとき、電磁波信号は、第1のアレイの他の任意のアパーチャ(例えば、アパーチャ213)に戻され得る。代替の実施形態では、他のアパーチャは、第1のアパーチャに隣接する。
【0097】
図3は、例示的な実施形態による、3つのアレイを含むシステム300を示す。第1のアレイは、3つのアパーチャ311、312及び313を有する。第2のアレイは、5つのアパーチャ321、322、323、324及び325を有する。第3のアレイは、4つのアパーチャ331、332、333及び334を有する。
図3は、角度多重方式の部分的な実装形態を概略的に示す。電磁波信号301は、例示的な実施形態に従って以下の経路を移動することができる。第2のアレイの第1のアパーチャ321から始まり、電磁波信号301は、最初に、第1のアレイの第1のアパーチャ311に送信される。第1のアレイの第1のアパーチャ311から、電磁波信号301は、第2のアレイの第2のアパーチャから最後のアパーチャまでのアパーチャ322、323、324及び325の各々に順番に移動し、第1のアレイの第1のアパーチャ311に戻る。次いで、電磁波信号301は、第1のアレイの第1のアパーチャ311から、第3のアレイの第1のアパーチャから最後から2番目のアパーチャまでのアパーチャ331、332及び333の各々に順番に移動し、第1のアレイの第1のアパーチャ311に戻る。電磁波信号301が最後のアレイの最後から2番目のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ333)から第1のアレイの第1のアパーチャ311に戻った時点で、その第1について第1のアパーチャ311は、次いで、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ334)に電磁波信号301を送信することができる。次いで、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ334)は、電磁波信号301を方向転換して、第1のアレイの第1のアパーチャ311に隣接する第1のアレイのアパーチャ(例えば、アパーチャ312)に向けることができる。第1のアレイの第2のアパーチャ312から、電磁波信号301は、第2及び第3のアレイのアパーチャ321、322、323、324、325、331、332及び333の各々に順番に移動し、第1のアレイの第2のアパーチャ312に戻る。図を簡単にするため、
図3では、電磁波信号301による各アパーチャまでの移動のみ(アパーチャ312からアパーチャ321への往路及びアパーチャ312への復路などの往復移動を含む)を示す。電磁波信号301による後続の移動は、
図2では示さない。電磁波信号301が最後のアレイの最後から2番目のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ333)から第1のアレイの第2のアパーチャ312に戻った時点で、第1のアレイの第2のアパーチャ312は、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ334)に電磁波信号301を送信することができる。次いで、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ334)は、電磁波信号301を方向転換して、第1のアレイの第2のアパーチャ312に隣接する第1のアレイのアパーチャ(例えば、アパーチャ313)に向けることができる。電磁波信号301が第1のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ313)から最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ334)に送信されるまで、類似したプロセスを繰り返すことができる。
【0098】
実施形態では、この時点で電磁波信号301の光学経路を終了することができる(例えば、電磁波信号301が回収される)。代替の実施形態では、電磁波信号301は、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ334)から第1のアレイの第1のアパーチャ311に戻り、プロセス全体をもう一度繰り返すことができるが、但し、ここで、それらは、第1のアレイの第1のアパーチャ311から第2のアレイの第1のアパーチャ321への往路及び第1のアレイの第1のアパーチャ311への復路などの往復移動を含む。さらなる別の代替の実施形態では、この時点から、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、第3のアレイのアパーチャ334)から第1のアレイの最後から2番目のアパーチャ(例えば、アパーチャ312)に電磁波信号301を送信し、次いで最終的に第1のアレイの第1のアパーチャ311に戻すことにより、プロセス全体を逆順で実施することができ、そこからプロセス全体を正順で再び繰り返すことができるが、但し、ここで、それらは、第1のアレイの第1のアパーチャ311から第2のアレイの第1のアパーチャ321への往路及び第1のアレイの第1のアパーチャ311への復路などの往復移動を含む。さらなる別の代替の実施形態では、電磁波信号301は、最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、アパーチャ334)から第2のアレイの第1のアパーチャ321に送信することができる。第2のアレイの第1のアパーチャ321から始まり、第2及び第3のアレイのアパーチャは、第1及び第3のアレイのアパーチャによって最初に実施されたプロセスに類似したプロセスを実施することができる。
【0099】
実施形態では、電磁波信号は、
図3に関して上記で説明される例示的なプロセスと異なる、既定の、再配置された、チューニング可能な及び/又は再構成可能な様式で異なるアパーチャ間及び異なるアレイ間の経路の全て又はいくつかを通過することができる。例えば、実施形態では、電磁波信号が最後のアレイの最後のアパーチャ(例えば、
図3の第3のアレイのアパーチャ334)から第1のアレイに戻されると、電磁波信号は、第1のアレイの他の任意のアパーチャ(例えば、アパーチャ313)に戻され得る。代替の実施形態では、他のアパーチャは、第1のアパーチャに隣接する。
【0100】
実施形態では、再循環ループに対するデータ記憶容量を拡大するため、角度多重方式は、単独で使用するか、又は他のタイプの多重方法(数例を挙げると、波長分割多重方式、空間モード多重方式など)と組み合わせて使用することができる。例えば、角度多重方式は、異なる波長のための複数のチャネル及び各波長における異なる空間モード(例えば、軌道角モード(OAM))のための複数のチャネルと組み合わせて使用することができる。
【0101】
角度多重方式を実装するために使用できるアパーチャは、これらに限定されないが、数例を挙げると、鏡、格子(回折格子又は体積ホログラフィック格子など)、コーナーキューブ再帰反射器、フォトニック結晶構造、光学デバイス(屈折率分布型材料を含む)、部分再生器、完全再生器及びそれらの任意の適切な組合せを含む。
【0102】
実施形態では、角度多重方式は、2つ以上の機能を実行するように構成された光学素子を含む体積ホログラフィック格子(「VHG」)を使用することによって実装することができる。VHGは、素子の体積全体にわたる周期的位相又は吸収摂動からなる回折光学素子である。入射電磁波ビームがブラッグ位相整合条件を満たすと、入射電磁波ビームは、周期的摂動によって回折される。体積位相ホログラムの場合、入射参照光のほぼ100%を信号波に回折することが可能である(すなわち電磁波ビームの完全な回折を達成することができる)。この高い偏向パーセンテージにより、VHGは、角度多重方式にとって特に有益なものになる。VHGの場合、入射電磁波ビームは、ブラッグ位相整合条件が満たされた場合にのみ回折される。従って、VHGは、特定の角度から到来する光を透過させるようにすることができる。回折が起こる波長及び角度の範囲が限られることで、互いに干渉することなく独立して機能する複数のVHGを同じ体積内に有することが可能である。例えば、2つのVHGが同じデバイスにおいて同じ入射角の2つの異なるブラッグ波長に対して記録された場合、デバイスは、クロストークを制限して、2つの選択された波長を異なる出力方向に回折することができる。実施形態では、VHGのそのような特徴及び能力は、角度多重方式の実装形態において使用することができる。
【0103】
実施形態では、角度多重方式は、単一の波長を有する電磁波信号を使用すると共に、例えばコーナーキューブ再帰反射器、反射面及びVHGの組合せを含むアパーチャを使用することによって実装することができる。
【0104】
実施形態では、角度多重方式は、それぞれ多波長システムの異なる波長を有する複数の信号を含む電磁波信号によって実装することができる。そのような実施形態では、分散補償デバイス又は方法を使用することができる。分散補償デバイス又は方法は、全ての信号がアパーチャ間の同じ光学経路を同時に進むように、複数の信号の実質的に全てを1つのアパーチャから別のアパーチャに誘導するように構成することができる。回折格子の方程式によれば、格子は、小角誘導のために波長に比例した角度に誘導する。従って、より長い波長の信号は、より大きい角度に導かれる。より短い波長の信号は、より小さい角度に導かれる。角度多重方式において、全ての光が特定のアパーチャから別の特定のアパーチャに向かう必要がある場合、波長のサイズに基づく格子からの光の拡散を排除する必要がある(例えば、分散効果を補償する必要がある)。例えば、分散補償は、1つ又は複数のアクロマートフーリエ変換レンズを使用する多波長ビーム誘導デバイスによって達成することができる。それらのレンズが焦点長さを変更できるように可変焦点長さを有するにもかかわらず、それらのレンズは、同じスポットに焦点を合わせることができるように一定の後側焦点距離を有する。
【0105】
実施形態では、角度多重方式は、
図4に示されるように、異なる波長を有する電磁波信号を使用すると共に、それらの異なる波長を有する電磁波信号を異なる角度でアパーチャ(例えば、分散素子)から放出して、再循環ループの異なる光学経路を取れるようにすることによって実装することができる。
図4は、例示的な実施形態による、異なる波長の電磁波信号の各々が異なる経路を移動する角度多重方式の部分的な実装形態を概略的に示す。
図4では、異なる波長を有する電磁波信号403、404、405は、連続格子402から異なる角度で放出され、反対側の異なるアパーチャ401に誘導される。実施形態では、反対側のアパーチャ401は、連続コーナーキューブ再帰反射器を含み得る。
【0106】
実施形態では、1つ又は複数の増幅器及び/又は再生器を使用して、電磁波信号のいくつか又は全ての側面をそれらのオリジナルの又は以前の条件に復元することができる。また、実施形態では、電磁波信号をクリーンにするように構成された追加のデバイスを使用することもできる。複数のアパーチャを含むシステムを移動する電磁波信号は、例えば、アパーチャにおける複数の反射、様々な分散及び非線形効果、様々な散乱事象並びに/又は自然発光に起因する、強度及び振幅における損失、信号の拡散並びに/又は雑音及びエラーの追加を経験し得る。それに従って、電磁波信号は、複数のアパーチャ間を移動する間、時間又は空間における様々なポイントで増幅及び/又は再生する必要があり得る。
【0107】
実施形態では、増幅器及び/又は再生器は、いくつかの又は全てのアパーチャ内に配置することができる。実施形態では、増幅器及び/又は再生器は、アパーチャの外部に且つアパーチャ間の電磁波ビーム経路に沿って配置することができる。増幅器及び/又は再生器は、通過中の電磁波信号をそのオリジナルの若しくは以前の状態に復元し、且つ/又はいかなる劣化も補償するように構成される。増幅器は、電磁波信号を増幅するように構成されたいかなるデバイスでもあり得る。実施形態では、増幅器は、結晶又は光ファイバを含み得る。実施形態では、結晶及び光ファイバは、蛍光素子によってドープすることができる。実施形態では、増幅器で使用される光ファイバは、電磁波信号を光ファイバに注入するために入力側に追加のデバイスを含み得、電磁波ビームをそのオリジナルの形状及びサイズに復元するために出力側に他のデバイスを含み得る。
【0108】
完全な信号再生は、典型的には、「3R」プロセスと呼ばれる。「3R」プロセスは、信号リタイミング、再形成及び信号の再増幅(又は増幅)を含む。再生器は、完全な電磁波信号再生を実施するように構成することができる。代わりに、再生器は、部分的な電磁波信号のリタイミング、再形成及び/又は再増幅により、電磁波信号のいくつかの側面のみを復元するように構成することができる。また、実施形態では、再生器は、失われた情報を復元するため又は移動中のデータに導入されたエラーを補正するためにエラー補正を実施するように構成することもできる。再生器の数は、アパーチャの数及び設計、電磁波信号が移動する伝送媒体並びに/又は角度多重方式の性能に依存し得、ゼロから非常に大きい数まで及び得る。
【0109】
再生器を構築するため、電磁波信号の再増幅、再形成及び/又はリタイミングを完全に又は部分的に行うように構成されたいかなる装置も使用することができる。再生器は、多くの方法で実装することができる。実施形態では、再生器は、全光学式又は光電子式再生器であり得る。全光学式再生器は、光学ドメインにおいて全て光学的に電磁波信号を再生するように構成される。光電子式再生器は、電磁波信号のいくつか又は全てを電気ドメインの対応する電気信号に変換し、変換された電気信号を電気的に再生し、再生された電気信号を光学ドメインの対応する電磁波信号に変換するように構成される。実施形態では、再生器は、少なくとも1つの増幅器及び少なくとも1つの吸収器を含み得る。実施形態では、再生器は、飽和領域で動作するように構成された少なくとも1つの増幅器を含み得る。実施形態では、再生器は、利得安定化を提供し、且つ電磁波信号の雑音を低減するように構成された非線形フィルタを含み得る。実施形態では、再生器は、結晶又は光ファイバを含み得る。実施形態では、再生器は、蛍光素子によってドープされた結晶又は光ファイバを含み得る。実施形態では、再生器で使用される光ファイバは、電磁波信号を光ファイバに注入するために入力側に追加のデバイスを含み得、電磁波ビームをそのオリジナルの形状及びサイズに復元するために出力側に他のデバイスを含み得る。
【0110】
本発明は、上記で概説され且つ図面に示される例示的な実施形態と併せて説明されてきた。しかし、本発明の原理は、現在知られているか否かにかかわらず、任意の数の技法を使用して実装することができ、形式的且つ詳細な多くの代替形態、変更形態及び変形形態が当業者に明らかであることが明白である。本明細書で説明されるシステム、装置及び方法に対する変更形態、追加形態又は省略形態は、本発明の範囲から逸脱しない範囲でなされ得る。例えば、システム及び装置のコンポーネントは、統合又は分離され得る。その上、本明細書で開示されるシステム及び装置の動作は、より多くの、より少ない又は他のコンポーネントによって実行することができる。説明される方法は、より多くの、より少ない又は他のステップを含み得る。加えて、ステップは、適切ないかなる順番でも実行することができる。
【0111】
本明細書で定義されるように、電磁波は、音響波を含む。それに従って、情報又は任意の種類のデータの移動中の記憶は、音響(すなわち音)波を使用して実施することもできる。音の速さの代表的な値は、水中で約1,500m/sec、空中で約330m/sec及び鉄鋼中で約6,000m/secを含む(各事例に対して、速度は、広範にわたる)。周波数に関して、音波は、数十MHzの領域であり得る。例えば、いくつかの医療用超音波デバイスは、数十MHzの領域で動作する。通常、音の周波数が低くなるほど、距離にわたる減衰も少なくなる。
【0112】
この点に関して、移動中の情報又は任意の種類のデータを伝達する波動信号が音響波である場合、はるかに遅い音の速さ(光の速さと比べて)により、データが導入されるデータレートを高くする必要なく、より大量の移動中のデータの格納が可能になる。
【0113】
情報又は任意の種類のデータは、様々な伝送媒体(例えば、数例を挙げると、空気及び鉄鋼)において音響波を使用して構造間又は構造内で伝送及び/又は反射することができる。音響波を使用した移動中の記憶の実施形態は、そのような媒体を使用して構築することができる。鉄鋼の場合、鉄道線路が長距離媒体であり得る。音響波は、数例を挙げると、結晶振動子及びスピーカを含む様々な振動源を使用して生成することができる。マイクロフォンは、音響波を検出する。サウンドシステム、振動を除去するためのシステム及び振動を測定するためのシステムには、音響技術の重要な基盤がある。このデバイス技術は、本出願で開示される実施形態で採用される原理に従って音響波を使用する移動中記憶システムを開発する際に利用することができる。
【0114】
それに従って、上記に記載されるような本発明の例示的な実施形態は、限定ではなく、例示を意図されている。本発明の趣旨及び範囲は、広義に解釈され、前述の仕様ではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
【0115】
加えて、特に断りのない限り、図面で描写される物品は、必ずしも原寸に比例するとは限らない。