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特許7303316巻きタバコ加熱器及び電気加熱式の喫煙具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-26
(45)【発行日】2023-07-04
(54)【発明の名称】巻きタバコ加熱器及び電気加熱式の喫煙具
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20230627BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20230627BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/465
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021542567
(86)(22)【出願日】2020-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2020072996
(87)【国際公開番号】W WO2020151618
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】201920135571.4
(32)【優先日】2019-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920135572.9
(32)【優先日】2019-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張雲開
(72)【発明者】
【氏名】雷宝霊
(72)【発明者】
【氏名】湯樹輝
(72)【発明者】
【氏名】胡瑞龍
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/017654(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0181935(US,A1)
【文献】中国実用新案第208259014(CN,U)
【文献】特開2001-82681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻きタバコを収容するための縦長の加熱室と、巻きタバコを加熱するための発熱体とを含む加熱ユニットと、加熱ユニットを断熱するための断熱ユニットとを含む巻きタバコ加熱器であって、前記断熱ユニットは加熱ユニット外に嵌設される、軸方向よりも径方向の熱伝導係数が低い異方性材料層を含み、前記異方性材料層は前記加熱室内の熱が径方向に外部へ伝導されるのを低減するためのものであり、
前記断熱ユニットは加熱ユニットと異方性材料層との間に設けられる断熱管をさらに含み、前記断熱管は径方向に対向する内管ボディと外管ボディを有し、この内管ボディと外管ボディとの間には一定の間隔をおいて第一の断熱室が形成され、この第一の断熱室に第一の粉末断熱材料が充填され、前記異方性材料層は径方向に外管ボディの外面に積層して設けられることを特徴とする巻きタバコ加熱器。
【請求項2】
前記異方性材料層は軸方向の熱伝導係数が径方向の熱伝導係数の30倍より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項3】
前記異方性材料層は軸方向の熱伝導係数が径方向の熱伝導係数の30~100倍であることを特徴とする、請求項2に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項4】
前記第一の粉末断熱材料はエーロゲル粉末、珪藻土粉末又は酸化ジルコニウム粉末の少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項5】
前記第一の粉末断熱材料の粒子径が500~1000μmであることを特徴とする、請求項4に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項6】
前記断熱管は径方向に前記異方性材料層外に積層して設けられる第二の断熱室をさらに含み、前記第二の断熱室に第二の粉末断熱材料が充填されることを特徴とする、請求項1に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項7】
第一の粉末断熱材料の粒子径が第二の粉末断熱材料の粒子径より大きく、前記第二の粉末断熱材料の粒子径が1~500μmであることを特徴とする、請求項6に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項8】
前記断熱ユニットは前記異方性材料層外に覆設される、前記加熱室内の熱が径方向に外部へ放射するのを低減するための外部断熱カバーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項9】
前記外部断熱カバーの熱放射率が0.3より低いことを特徴とする、請求項8に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項10】
前記断熱管は径方向に加熱ユニットとの間に一定の間隔をおいて第一の空気媒体層が形成され、
及び/又は、前記異方性材料層外は径方向に外部断熱カバーとの間に一定の間隔をおいて第二の空気媒体層が形成されることを特徴とする、請求項8に記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項11】
開放端を有する中空のハウジングと、ハウジングの開放端に被せられるエンドキャップとをさらに含み、
前記ハウジングとエンドキャップとの連携により収容スペースが形成され、前記加熱ユニットと断熱ユニットがこの収容スペースに設けられることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の巻きタバコ加熱器。
【請求項12】
加熱ユニットと、加熱ユニットを断熱するための断熱ユニットとを含む巻きタバコ加熱器であって、前記加熱ユニットはホルダと、このホルダに回される電磁コイルと、この電磁コイルと電磁結合される誘導発熱体とを含み、前記ホルダ内には巻きタバコを収容するための縦長の加熱室があり、
前記断熱ユニットは加熱ユニット外に嵌設される断熱管を含み、前記断熱管は径方向に対向する内管ボディと外管ボディを有し、この内管ボディと外管ボディとの間には一定の間隔をおいて第一の断熱室が形成され、この第一の断熱室に第一の粉末断熱材料が充填され、
前記内管ボディと外管ボディが非金属材料であり、
前記断熱ユニットは径方向に外管ボディ外に積層して設けられる異方性材料層をさらに含み、この異方性材料層は軸方向よりも径方向の熱伝導係数が低く、
前記断熱ユニットは前記加熱室内の熱が径方向に外部へ伝導されるのを低減するためのものであることを特徴とする巻きタバコ加熱器。
【請求項13】
同軸に設けられる内管ボディと外管ボディとを含み、前記内管ボディのキャビティにより発熱源を収容するための収容室が形成され、前記内管ボディと外管ボディとの間には一定の間隔をおいて第一の断熱室が形成され、この第一の断熱室に第一の粉末断熱材料が充填され、
また、径方向に外管ボディ外に積層して設けられ、軸方向よりも径方向の熱伝導係数が低い異方性材料層をさらに含む断熱装置。
【請求項14】
巻きタバコ加熱装置と、巻きタバコ加熱装置に電力を供給するための電源装置とを備える電気加熱式の喫煙具であって、前記巻きタバコ加熱装置は請求項1~請求項12のいずれかに記載の巻きタバコ加熱器であることを特徴とする電気加熱式の喫煙具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は電子タバコの技術分野に関し、特に、巻きタバコ加熱器及び電気加熱式の喫煙具に関する。
【背景技術】
【0002】
低温ベーク型電子タバコ(低温ベークタバコとも称する)は、喫煙者がタバコ製品(例えば巻きタバコやタバコの葉)を低温ベーク式喫煙具に入れて電気加熱を行うことで、タバコ製品がその燃焼し得る温度よりも低い温度で加熱されベーキングされて発生した煙が喫煙者に吸われる製品である。低温ベークタバコを吸う場合、裸火のかわりに加熱により煙を発生させることで、タバコ製品が裸火で燃焼した多量の有害物質を喫煙者が吸い込むことは回避されるので、従来の巻きタバコの代用品として普及しつつある。
【0003】
このような低温ベークタバコ製品は主に、巻きタバコを加熱するための管状の加熱ユニットと、加熱ユニットに電源を提供する電源ユニットとの二つの機能モジュールを備え、使用に際して、その加熱ユニットによる高温で巻きタバコをベーキングするので、加熱ユニットから外部への熱放出が速くなって内部の熱が低減するようになり、喫煙者の手をやけどしやすいばかりか、筐体や回路板へ熱を与えて熱損傷や故障を招く一方、加熱ユニット内部での加熱は熱の持続性に乏しく、巻きタバコから十分な煙を発生させ続けることができず、喫煙体験は悪くなってしまった。
【0004】
そのため、上記のことから、低温ベークタバコにおいて加熱ユニットを断熱するための断熱構造を設けるのは一般的である。例えば危茹鋒による中国特許201510856387.5には真空断熱を用いた蒸発器が開示され、具体的には、発熱体外に断熱管を嵌設し、その断熱管の管壁は少なくとも二層のガラスを含み、隣接するガラス同士間には真空室が設けられている。また、例えば、類似の中国特許201810461864.1には電子タバコに適用される断熱装置が開示され、セラミック発熱管外に真空管を嵌設し、真空管外にエーロゲル管を嵌設し、さらにエーロゲル管外に断熱ケースを嵌設するようにし、これらの真空とエーロゲル及び断熱ケースの組合せにより断熱効果を向上させた。
【0005】
上記した真空断熱は容易に実施されるが、金属真空管は電磁加熱ユニット外に嵌設されることに起因して電磁加熱のエネルギ効率に悪影響を与え、被加熱体が昇温しにくくなり、また、金属真空管自体も電磁場に位置するために発熱するようになり、その断熱効果が大きく低下しまった。そして、これらの多層構造自体の場合や発熱体と組み合わせて組み付けられた場合、それぞれの管の表面での空気対流により熱伝導が発生し、断熱効果が低下しまった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術による電子タバコは断熱効果が不十分で発熱体のエネルギ効率が高くないという問題を解決するために、本願の実施例は断熱効果に優れた巻きタバコ加熱器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、巻きタバコを収容するための縦長の加熱室と、巻きタバコを加熱するための発熱体とを含む加熱ユニットと、加熱ユニットを断熱するための断熱ユニットとを含む巻きタバコ加熱器であって、前記断熱ユニットは加熱ユニット外に嵌設される、軸方向よりも径方向の熱伝導係数が低い異方性材料層を含み、前記異方性材料層は前記加熱室内の熱が径方向に外部へ伝導されるのを低減するためのものであることを特徴とする巻きタバコ加熱器を提案する。
【0008】
前記異方性材料層は軸方向の熱伝導係数が径方向の熱伝導係数の30倍より大きい。
【0009】
前記異方性材料層は軸方向の熱伝導係数が径方向の熱伝導係数の30~100倍である。
【0010】
好ましくは、前記断熱ユニットは加熱ユニットと異方性材料層との間に設けられる断熱管をさらに含み、前記断熱管は径方向に対向する内管ボディと外管ボディを有し、この内管ボディと外管ボディとの間には一定の間隔をおいて第一の断熱室が形成され、この第一の断熱室に第一の粉末断熱材料が充填され、前記異方性材料層は径方向に外管ボディの外面に積層して設けられる。
【0011】
好ましくは、前記第一の粉末断熱材料はエーロゲル粉末、珪藻土粉末又は酸化ジルコニウム粉末の少なくとも一つを含む。
【0012】
好ましくは、前記第一の粉末断熱材料の粒子径が500~1000μMである。
【0013】
好ましくは、前記断熱管は径方向に前記異方性材料層外に積層して設けられる第二の断熱室をさらに含み、前記第二の断熱室に第二の粉末断熱材料が充填される。
【0014】
好ましくは、第一の粉末断熱材料の粒子径が第二の粉末断熱材料の粒子径より大きく、前記第二の粉末断熱材料の粒子径が1~500μMである。
【0015】
好ましくは、前記断熱ユニットは前記異方性材料層外に覆設される、前記加熱室内の熱が径方向に外部へ放射するのを低減するための外部断熱カバーをさらに含む。
【0016】
好ましくは、前記外部断熱カバーの熱放射率が0.3より低い。
【0017】
好ましくは、前記断熱管は径方向に加熱ユニットとの間に一定の間隔をおいて第一の空気媒体層が形成され、
及び/又は、前記異方性材料層外は径方向に外部断熱カバーとの間に一定の間隔をおいて第二の空気媒体層が形成される。
【0018】
好ましくは、前記巻きタバコ加熱器は開放端を有する中空のハウジングと、ハウジングの開放端に被せられるエンドキャップとをさらに含み、
前記ハウジングとエンドキャップとの連携により収容スペースが形成され、前記加熱ユニットと断熱ユニットがこの収容スペースに設けられる。
【0019】
本願は、加熱ユニットと、加熱ユニットを断熱するための断熱ユニットとを含む巻きタバコ加熱器であって、前記加熱ユニットはホルダと、このホルダに回される電磁コイルと、この電磁コイルと電磁結合される誘導発熱体とを含み、前記ホルダ内には巻きタバコを収容するための縦長の加熱室があり、
前記断熱ユニットは加熱ユニット外に嵌設される断熱管を含み、前記断熱管は径方向に対向する内管ボディと外管ボディを有し、この内管ボディと外管ボディとの間には一定の間隔をおいて第一の断熱室が形成され、この第一の断熱室に第一の粉末断熱材料が充填され、
前記内管ボディと外管ボディが非金属材料であり、
前記断熱ユニットは径方向に外管ボディ外に積層して設けられる異方性材料層をさらに含み、この異方性材料層は軸方向よりも径方向の熱伝導係数が低く、
前記断熱ユニットは前記加熱室内の熱が径方向に外部へ伝導されるのを低減するためのものであることを特徴とする巻きタバコ加熱器をさらに提案する。
【0020】
本願は、同軸に設けられる内管ボディと外管ボディとを含み、前記内管ボディのキャビティにより発熱源を収容するための収容室が形成され、前記内管ボディと外管ボディとの間には一定の間隔をおいて第一の断熱室が形成され、この第一の断熱室に第一の粉末断熱材料が充填され、
また、径方向に外管ボディ外に積層して設けられる異方性材料層をさらに含む断熱装置をさらに提案する。
【0021】
本願は、巻きタバコ加熱装置と、巻きタバコ加熱装置に電力を供給するための電源装置とを備える電気加熱式の喫煙具であって、前記巻きタバコ加熱装置は上記いずれかの巻きタバコ加熱器を含むことを特徴とする電気加熱式の喫煙具をさらに提案する。
【0022】
一つ又は複数の実施例について対応する図面中のイメージにより例示的に説明するが、これらの例示的な説明は実施例を限定せず、図面中の同一の参照符号が付された素子は類似する素子を示し、特に言明していない限り、図面中のイメージはそれらの比例に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施例による巻きタバコ加熱器の各部の組付け前の分解模式図である。
図2図1に示される巻きタバコ加熱器の各部の組付け後の断面構造模式図である。
図3図1図2中の加熱ユニットの別方向から見た構造模式図である。
図4図1図2中の断熱管の構造模式図である。
図5図1図2中のハウジングの構造模式図である。
図6】別の実施例による加熱ユニットの構造模式図である。
図7】また別の実施例による加熱ユニットの構造模式図である。
図8】別の実施例による断熱管の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願の理解を容易にするために、図面及び具体的な実施形態に合わせて本願を以下でより詳細に説明する。ある素子が別の素子に「固定」されることを言う場合、別の素子に直接位置してもよく、あるいは、それらの間に一つ又は複数の素子を介在させてもよい。ある素子が別の素子に「接続」されることを言う場合、別の素子に直接接続されてもよく、あるいは、それらの間に一つ又は複数の素子を介在させてもよいことは了解されたい。本明細書で使用される「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語及び類似する記述は説明のためのものに過ぎない。
【0025】
別途定義していない限り、本明細書で使用される技術と科学用語のすべては当業者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。本願の明細書で使用される用語は具体的な実施形態を記述するためにすぎず、本願を制限するためのものではない。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は一つ又は複数の関連項目のあらゆるすべての組合せを含む。
【0026】
本願の実施例は、ベーク型電子タバコに適用される、特製の巻きタバコを加熱する巻きタバコ加熱器を提案し、この特製の巻きタバコは約200~320℃でベーキングされて煙が発生し、一般にはタバコ本体とフィルタを含むものである。本願の実施例による巻きタバコ加熱器の構造と詳細は図1図2及び以下の記述を参照とすることができる。
【0027】
巻きタバコ加熱器は主に、巻きタバコを加熱してエアゾールを発生する加熱ユニット10に対して断熱ユニット20を増設することで構成される。また、巻きタバコ加熱器の外形の美観や各部品の組付け上の需要を満たすために、巻きタバコ加熱器は開放端を有する中空のハウジング30と、ハウジング30の開放端に被せられるエンドキャップ40とをさらに含み、ハウジング30とエンドキャップ40との連携により内部となる収容スペースが形成され、それにより、上記した加熱ユニット10と断熱ユニット20はいずれも内部に収容され組み立てられることで、巻きタバコ加熱器の完成品が出来る。
【0028】
さらに図1図3の実施例を参照すると、加熱ユニット10は巻きタバコAを収容するための縦長の加熱室11と、巻きタバコAを加熱する発熱体12とを含み、発熱体12と加熱室11の形成方法は製品の加熱方式に応じて適宜調整可能である。図1図3の実施例では、発熱体12は円筒状に設計され、その内部空間により上記した巻きタバコAを収容するための縦長の加熱室11が形成され、また、発熱体12への給電を容易にするために、発熱体12には電源装置の正負極に接続するように電極ピン121も設けられる。実施に際して、発熱体12は電熱材料で製造されてもよく、例えばニッケルクロムアルミニウム合金、ステンレス鋼等の電子タバコの加熱によく用いられる抵抗材料が採用されてもよく、あるいは、セラミック等の剛性を持つ管状体の内壁に発熱配線を印刷することで形成されてもよく、そのため、通電している場合には発熱するようになり、その内部に収容される巻きタバコAを加熱してエアゾールを発生する。
【0029】
上記加熱ユニット10の構造に対応して断熱ユニット20の構造を見ると、図1図2及び図4に示されるように、径方向に加熱室11外に嵌設される環状の断熱管21を含み、この断熱管21は径方向に対向する内管ボディ211と外管ボディ212とを含み、内管ボディ211と外管ボディ212との間には一定の間隔をおいて第一の断熱室213が形成され、この第一の断熱室213に第一の粉末断熱材料が充填され、好ましくは、第一の粉末断熱材料はエーロゲル粉末、珪藻土粉末、酸化ジルコニウム粉末等の熱伝導係数の低い粉末材料から選ばれるものが採用されてもよい。この断熱管21を加熱室11外に嵌設することで、熱が加熱室11から外へ放出するのを効果的に遮断でき、外部温度の低減は図られている。製品の設計及び断熱効果の需要を満たすために、断熱管21の内管ボディ211と外管ボディ212は非金属の耐熱性プラスチック材料例えば上記したポリイミド、テフロン(登録商標)、セレン化りん系ゲル、ポリフェニレンサルファイド又はポリスルホン系樹脂等の一つ、あるいは、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の材料で製造されてもよい。上記した第一の断熱室213に充填される第一の粉末断熱材料によれば、粒子間の隙間や物理的膨張、チクソ性等により固体熱伝導が低減される一方、粒子表面や孔壁がいずれも熱放射の反射面と屈折面になり、熱の放射伝達を良好に遮断している。
【0030】
上記断熱管21と加熱ユニット10を組み付ける場合、径方向に内管ボディ211と発熱体12との間に一定の隙間をおくことで、内管ボディ211と発熱体12に第一の空気媒体層22が形成され、空気は伝熱率の低い媒体であり、ここで、内管ボディ211と発熱体12との間に隙間をおいて空気媒体を充填すれば、熱の直接伝導をある程度防止可能になる。製品の寸法と空間上の要求を満たすために、第一の空気媒体層22の厚さが0.5MM~1.2MMとされることが好ましく、内管ボディ211と外管ボディ212の厚さが実施に際して0.1~0.3MMとされる。第一の断熱室213の厚さ寸法が1MM~5MMとされ、その内部に充填される第一の粉末断熱材料の粒子径が500~1000μMとされ、そして、第一の断熱室213内に占める第一の粉末断熱材料の充填体積が第一の断熱室213の体積の70~90%であり、実施に際して、粉末粒子の粒径を調整することで充填体積比を所望のものに調節することができる。
【0031】
さらには、断熱ユニット20は径方向に断熱管21外に覆設される外部断熱カバー23をさらに含み、この外部断熱カバー23は耐熱性プラスチック例えば上記したポリイミド、テフロン(登録商標)、セレン化りん系ゲル、ポリフェニレンサルファイド又はポリスルホン系樹脂等の一つ、あるいは、アルミニウムシートで製造されてもよい。外部断熱カバー23で断熱管21を補完することで、内から外までの多層断熱構造が出来、熱の案内と放出制限をそれぞれ行うようになり、最終的に、加熱室11の熱が良好に遮断される一方、外部断熱カバー23は熱伝導を遮断するメカニズムが断熱管21と異なり、つまり、外部断熱カバー23は主に熱放射を遮蔽し、外への熱放射を低減するためのものである。放射遮蔽の効果と要求を満たすために、さらに上記材料から熱放射率が0.3より低いものを採用することが好ましい。また、製品の寸法と製造の要求を満たすために、外部断熱カバー23は厚さが0.5~1.5MMとされ、その形状が様々な製品のハウジングの形状に応じて適宜変更されてもよい。
【0032】
また、実施に際して、外部断熱カバー23と断熱管21の外管ボディ212を両者の間に一定の隙間をおくように取り付けることで、外部断熱カバー23と外管ボディ212との間に第二の空気媒体層24を形成してもよく、上記第一の空気媒体層22と同様に、低伝熱率の空気により断熱効果を高める。
【0033】
製品の設計と粉末断熱材料の充填の利便性の点から、内管ボディ211と外管ボディ212は互いに独立して離隔構造として設計されており、断熱管21は軸方向に対向する両端がプラスチックプラグ25で塞がれることで、封止が図られて粉末の漏れが防止されている。この構造となる断熱管21に粉末を充填する場合、断熱管の両端の開口構造を介して真空引きを行った後、その真空状態により粉末断熱材料を断熱管21に吸入することで、製造中の充填をスムーズにすることができる。
【0034】
さらに図1図5を参照すると、ハウジング30は加熱室11の軸方向に対向する第一端31と第二端32を含み、第一端31は巻きタバコを挿入するための挿入端とされ、第二端32はエンドキャップ40と嵌合するための開放端とされている。第一端31には巻きタバコAがハウジング30から加熱室11に挿入されるための貫通孔33が設けられ、第二端32はエンドキャップ40を取り付けるとともに、シリカゲル部材41、回路板42、リード線溝、給気孔等の部品を固定するための取付基体となる。
【0035】
さらに製品の変形の点から、加熱ユニット10と断熱ユニット20は上記の機能構造の趣旨をもとに適宜変更してもよく、例えば、図6に示される筒状の巻きタバコ収容管13Aを含む他の加熱ユニット10Aが採用されてもよく、この巻きタバコ収容管13A内の空間により巻きタバコを収容するための縦長の加熱室11Aが形成され、また、発熱体12Aはこの巻きタバコ収容管13Aの軸方向に設けられる細長い金属製の発熱針であり、巻きタバコが加熱室11Aに収容されている場合、発熱体12Aがそのまま巻きタバコに挿入されることで、巻きタバコの内部から加熱してエアゾールを発生する。断熱ユニット20は上記構造として巻きタバコ収容管13A外に嵌設されればよく、巻きタバコ収容管13Aから外へ伝導される熱を遮断する。
【0036】
あるいは、実施に際して、巻きタバコ加熱器の加熱ユニット10は図7に示される、具体的には、巻きタバコ収容管13Bを含む電磁加熱構造が採用されてもよく、巻きタバコ収容管13B内の空間により巻きタバコを収容するための縦長の加熱室11Bが形成され、巻きタバコ収容管13B外には管状のホルダ12Bが嵌設され、この管状のホルダ12Bは取付ベースとして用いられ電磁コイル14Bが回されており、巻きタバコ収容管13Bは金属材料で製造され電磁コイル14Bと電磁結合されることで、電磁コイル14Bに通電している場合に誘導発熱するようになる。電磁加熱の原理から、管状のホルダ12Bの材料には誘導発熱体10の動作温度に耐えられる非金属材料を採用する必要があり、これは、金属材料を採用すれば、内部に電磁遮蔽効果が生じ、巻きタバコ収容管13Bが誘導発熱できなくなるためである。断熱ユニット20は上記構造として管状のホルダ12B外に嵌設されればよく、巻きタバコ収容管13Aから外へ伝導される熱を遮断する。
【0037】
断熱の更なる最適化の点から、他の実施形態による上記断熱ユニット20における断熱管21の構造としては、図8に示されるように、径方向に第一の断熱室213A外に設けられる異方性材料層214Aをさらに含んでもよく、異方性材料は異なる方向には相違する物理的特性を有し、本願の構造では異方性材料による異なる方向の伝熱性を利用しており、つまり、異方性材料層214Aは軸方向よりも径方向の伝熱率が低くなるようにされ、それにより、熱が加熱室11から径方向に異方性材料層214Aに伝導される場合、その大部分が軸方向の分散伝導に変換されるので、熱の局所的な伝導をより面積の大きい面伝導に効果的に広げ、径方向と軸方向の温度の伝導を均一にすることに役立ち、局所の高温を抑制しながら、外への熱放出を効果的に遮断している。実施に際して、上記した熱伝導のための異方性材料はグラファイト材料例えばグラファイトシートやグラファイト粉末、グラフェンコーティング、炭素繊維、二酸化チタン多結晶膜、多結晶シリコン等の一つ又は複数が採用されてもよい。本願による熱伝導の相違を達成するために、異方性材料層214Aは軸方向の熱伝導係数が径方向の熱伝導係数の30倍より大きいものが採用される。通常時の材料の選択及び実施の効果の点から、軸方向の熱伝導係数が径方向の熱伝導係数の30~100倍であるものが採用されることがさらに好ましい。
【0038】
さらには、断熱管21は径方向に異方性材料層214A外に設けられる第二の断熱室215Aをさらに有し、この第二の断熱室215Aにもエーロゲル粉末、珪藻土粉末、酸化ジルコニウム粉末等の熱伝導係数の低い第二の粉末断熱材料が充填されている。この第二の断熱室215Aは機能的には第一の断熱室213と異なり、つまり、第二の断熱室215Aに充填される粉末材料は粒子径がより低いので、隙間を小さくして、主に熱対流を遮断するためのものとなる。実施に際して、この第二の断熱室215A内の第二の粉末断熱材料は粒子径1~500μM前後のものが採用され、熱伝導係数が0.02W/(M.K)前後が好ましい。
【0039】
本願による上記巻きタバコ加熱器によれば、加熱ユニット外に異なる断熱機能構造を複数有する断熱ユニットを設けることで、内部での熱伝導や放射を遮断しながら、外への熱対流を遮断するようになり、全体から見ると、熱に対する遮断が大きく向上し、喫煙具が局所的に過熱することが回避され、外へ伝達される熱が遮蔽されている。そして、図2に示される構造を例示として、ステンレス鋼材料で断熱管21を製造し、厚さ4MMの第一の断熱室213に平均粒径500μMのエーロゲル粉末を充填し、喫煙する場合のハウジング30の表面温度を検知したところ、50度前後の結果が分かり、さらに、第一の断熱室213に充填される粉末の平均粒径を800μMに大きくして、喫煙する場合のハウジング30の表面温度を検知したところ、43度前後まで低下したことが分かった。これは、充填される粉末粒子の大きさを調節することで、媒体による熱伝導に対する遮断効果が変化することを表している。
【0040】
本願は巻きタバコ加熱装置と、巻きタバコ加熱装置に電力を供給するための電源装置とを備える電気加熱式の喫煙具であって、巻きタバコ加熱装置は上記実施例に記載の巻きタバコ加熱器が採用される電気加熱式の喫煙具をさらに提案する。本願による電気加熱式の喫煙具では、異なる断熱構造を多層有する断熱ユニットにより、内部での熱伝導や放射を遮断しながら、外への熱対流を遮断するようになり、全体から見ると、熱に対する遮断が大きく向上し、電気加熱式の喫煙具の表面温度が低くなる。
【0041】
本願の明細書及び図面においては本願の好適な実施例が開示されるが、本願は様々な態様で実現されてもよく、本明細書に記載の実施例に限らず、これらの実施例は本願内容に対する追加の限定ではなく、本願の開示に対する理解をより詳細かつ完全にするために提供されるものであることは了解されたい。そして、上記したそれぞれの技術的特徴をさらに組み合わせた、上記に挙げられていない様々な実施例はいずれも本願の明細書に記載の範囲に含まれ、さらには、当業者は上記説明をもとに改良や変更を行うことができ、これらの改良や変更はすべて本願に記述の請求項の保護範囲に含まれるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8