IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東亜ディーケーケー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサ 図1
  • 特許-センサ 図2
  • 特許-センサ 図3
  • 特許-センサ 図4
  • 特許-センサ 図5
  • 特許-センサ 図6
  • 特許-センサ 図7
  • 特許-センサ 図8
  • 特許-センサ 図9
  • 特許-センサ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G08C 25/00 20060101AFI20230628BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20230628BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230628BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
G08C25/00 B
G08C19/00 J
G01N27/416 353Z
H05K1/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018231928
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020095413
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 亨
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-114697(JP,A)
【文献】特開2018-73822(JP,A)
【文献】国際公開第2018/128120(WO,A1)
【文献】特開2017-201280(JP,A)
【文献】特開2009-55588(JP,A)
【文献】特開2012-237220(JP,A)
【文献】特開平6-85408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H05K 9/00、1/02
G01N 27/68、27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置の本体装置に対して着脱可能なセンサにおいて、
前記本体装置のコネクタに嵌合して前記本体装置の回路基板と前記センサのセンサ回路基板とを電気的に接続する第1コネクタ及び第2コネクタが実装可能に構成される前記センサ回路基板と、
測定電極と、を備え、
前記センサ回路基板は、
複数の種類の測定電極のうち一部の種類の測定電極の一方の端子から前記本体装置のハイインピーダンス端子へ入力される入力信号を前記第1コネクタの端子であって、前記第2コネクタとの間に、前記入力信号にノイズが乗ることを抑制するガードリングの電位が接続される端子を挟んで配置される第1端子に収容する第1配線と、
前記一部の種類の測定電極のもう一方の端子の信号であって当該測定電極の基準電圧の信号線を前記第2コネクタの端子に収容する第2配線と、
前記一部の種類以外の他の種類の測定電極の全信号を前記第2コネクタの端子に収容する第3配線と、を有する、
センサであって、
前記センサ回路基板は、前記第1配線と前記第2配線との間にスリットが設けられた、
センサ。
【請求項2】
前記スリットは、前記第1配線と前記第2配線との間にある非直線形状である、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記スリットの形状は、前記第2配線の側から前記第1配線の側へ前記スリットを回り込む信号を抑制するように決定された、
請求項1又は2のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項4】
前記スリットの長さは、前記第1配線及び前記第2配線よりも長い、
請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記一部の種類の測定電極は、電位差測定電極である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記一部の種類の測定電極は、pH電極、酸化還元電位差測定電極又はイオン電極である、
請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記一部の種類以外の他の種類の測定電極は、前記一部の種類の測定電極が前記センサ回路基板に接続されない場合に前記センサ回路基板に接続される測定電極であり、且つ印加信号が前記本体装置から加えられる測定電極である、
請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記一部の種類以外の他の種類の測定電極は、電気伝導率電極又は酸化還元電流測定電極である、
請求項7に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の計測装置として、例えば特許文献1,2に記載される計測装置が知られている。特許文献1,2に記載される計測装置は、装置本体と測定電極とを備え、測定電極の種類、型式名、製造番号などの測定電極の識別のための識別情報等を書き込んだメモリを、測定電極内又は測定電極を装置本体に接続するためのケーブル或はコネクタ内に設ける。装置本体は、測定電極が最初に装置本体に接続された時に測定電極側のメモリから識別情報を読み込むことにより、装置本体に接続された測定電極を識別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-111506号公報
【文献】特開2005-114697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1,2に記載される測定電極では、装置本体と電気的に接続するためのコネクタのコネクタピンとして、測定データを伝えるコネクタピンと、温度の測定データを伝えるコネクタピンと、識別情報等を伝えるコネクタピンとを設けていた。ここで、特にpH電極やイオン電極などのガラス電極のガラス電極電位を伝えるコネクタピンは、他のコネクタピンとの間に高絶縁が要求される。このため、コネクタとしてフッ素樹脂などが用いられた高絶縁材質コネクタを使用したり、又は、ガラス電極電位を伝えるコネクタピンと他のコネクタピンとの間に物理的な距離を置いたりして、ガラス電極電位に影響を与えるリーク電流を極力おさえて電位を正確に得ていた。しかしながら、高絶縁材質コネクタやコネクタピン間に距離を置くことは、コネクタの小型化を難しくするという問題があった。
【0005】
また、他の問題点として、測定電極を廃棄する際に測定電極に加えてケーブル等も含めて廃棄する必要があり、無駄があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、計測装置の本体装置に対して着脱可能な複数のセンサの基板の共通化及びコネクタの小型化を実現することができる、センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、計測装置の本体装置に対して着脱可能なセンサにおいて、前記本体装置のコネクタに嵌合して前記本体装置の回路基板と前記センサのセンサ回路基板とを電気的に接続する第1コネクタ及び第2コネクタが実装可能に構成される前記センサ回路基板と、測定電極と、を備え、前記センサ回路基板は、複数の種類の測定電極のうち一部の種類の測定電極の一方の端子から前記本体装置のハイインピーダンス端子へ入力される入力信号を前記第1コネクタの端子であって、前記第2コネクタとの間に、前記入力信号にノイズが乗ることを抑制するガードリングの電位が接続される端子を挟んで配置される第1端子に収容する第1配線と、前記一部の種類の測定電極のもう一方の端子の信号であって当該測定電極の基準電圧の信号線を前記第2コネクタの端子に収容する第2配線と、前記一部の種類以外の他の種類の測定電極の全信号を前記第2コネクタの端子に収容する第3配線と、を有する、センサであって、前記センサ回路基板は、前記第1配線と前記第2配線との間にスリットが設けられた、センサである。
(2)本発明の一態様は、前記スリットは、前記第1配線と前記第2配線との間にある非直線形状である、上記(1)のセンサである。
(3)本発明の一態様は、前記スリットの形状は、前記第2配線の側から前記第1配線の側へ前記スリットを回り込む信号を抑制するように決定された、上記(1)又は(2)のいずれかのセンサである。
(4)本発明の一態様は、前記スリットの長さは、前記第1配線及び前記第2配線よりも長い、上記(1)から(3)のいずれかのセンサである。
(5)本発明の一態様は、前記一部の種類の測定電極は、電位差測定電極である、上記(1)から(4)のいずれかのセンサである。
(6)本発明の一態様は、前記一部の種類の測定電極は、pH電極、酸化還元電位差測定電極又はイオン電極である、上記(5)のセンサである。
(7)本発明の一態様は、前記一部の種類以外の他の種類の測定電極は、前記一部の種類の測定電極が前記センサ回路基板に接続されない場合に前記センサ回路基板に接続される測定電極であり、且つ印加信号が前記本体装置から加えられる測定電極である、上記(1)から(6)のいずれかのセンサである。
(8)本発明の一態様は、前記一部の種類以外の他の種類の測定電極は、電気伝導率電極又は酸化還元電流測定電極である、上記(7)のセンサである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、計測装置の本体装置に対して着脱可能な複数のセンサの基板の共通化及びコネクタの小型化を実現することができる、センサを提供することができる。
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る計測装置の電気的構成の一例を示す概略構成図である。
図2図1に示す基板部50の回路基板100の実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。
図3図1に示す基板部50の回路基板100の実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。
図4】本発明の一実施形態に係る計測装置の電気的構成の他の一例を示す概略構成図である。
図5図4に示す基板部50aの回路基板100の実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。
図6図4に示す基板部50aの回路基板100の実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。
図7】本発明の一実施形態に係る計測装置の電気的構成の変形例3を示す概略構成図である。
図8】本発明の一実施形態に係る計測装置の電気的構成の変形例3を示す概略構成図である。
図9図7及び図8に示す基板部50b,50cの回路基板100bの実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。
図10図7及び図8に示す基板部50b,50cの回路基板100bの実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る計測装置の電気的構成の一例を示す概略構成図である。図1において、計測装置1は、本体装置10とセンサ30とを備える。本体装置10は、測定回路11と識別回路12と温度測定回路13とオペアンプ(演算増幅器)14とコネクタCN1A,CN2Aとを備える。これら本体装置10の回路構成は、本体装置10の回路基板(図示せず)上に設けられる。
【0011】
センサ30は、基板部50と電極部70とを備える。基板部50は、回路基板100(センサ回路基板)とコネクタCN1B,CN2Bとを備える。コネクタCN1B,CN2Bは回路基板100に実装されている。電極部70は、測定電極71と温度センサ72とを備える。
【0012】
センサ30は、本体装置10に対して着脱可能である。センサ30のコネクタCN1Bと本体装置10のコネクタCN1Aとは、嵌合する2ピンコネクタのセットである。センサ30のコネクタCN2Bと本体装置10のコネクタCN2Aとは、嵌合する4ピンコネクタのセットである。センサ30のコネクタCN1Bと本体装置10のコネクタCN1Aとが嵌合し、また、センサ30のコネクタCN2Bと本体装置10のコネクタCN2Aとが嵌合することにより、センサ30の回路基板100と本体装置10の回路基板とが電気的に接続される。
【0013】
センサ30の測定電極71の一端は、端子CP1を介してコネクタCN1Bの端子P11Bに接続され、さらに、本体装置10のコネクタCN1Aの端子P11Aを介して信号線Dによりオペアンプ14の「+」端子に接続される。測定電極71のもう一端は、端子CP2を介してコネクタCN2Bの端子P21Bに接続され、さらに、本体装置10のコネクタCN2Aの端子P21Aを介して信号線REFにより測定回路11に接続される。信号線REFは基準電圧の信号線である。
【0014】
温度センサ72の一端は、端子CP5を介してコネクタCN2Bの端子P23Bに接続され、さらに、本体装置10のコネクタCN2Aの端子P23Aを介して信号線Fにより温度測定回路13に接続される。温度センサ72のもう一端は、端子CP6を介してコネクタCN2Bの端子P24Bに接続され、さらに、本体装置10のコネクタCN2Aの端子P24Aを介して本体装置10のグランドに接続される。
【0015】
センサ30の回路基板100は、抵抗R1及びジャンパJPがコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間に実装可能に構成される。コネクタCN2Bの端子P22Bは、本体装置10のコネクタCN2Aの端子P22Aを介して信号線Aにより測定回路11及び識別回路12に接続される。コネクタCN2Bの端子P24Bは、本体装置10のコネクタCN2Aの端子P24Aを介して本体装置10のグランドに接続される。
【0016】
本体装置10の識別回路12は、センサ30のコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値に基づいて、測定電極71の種類を判別する。センサ30のコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値と、測定電極71の種類との対応関係は、予め、識別回路12に設定される。センサ30に具備される測定電極71の種類は、電位差測定電極として、pH電極、酸化還元電位差測定電極、イオン電極などである。
【0017】
センサ30の抵抗R1及びジャンパJPは、センサ30が備える測定電極71の種類毎に異なる内容で実装される。抵抗R1及びジャンパJPが両方ともに実装されない場合、センサ30のコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値は略無限大に設定される。ジャンパJPが実装された場合、センサ30のコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値は略0オーム(Ω)に設定される。抵抗R1が実装され且つジャンパJPが実装されない場合、センサ30のコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値は抵抗R1の抵抗値に設定される。
【0018】
識別回路12は、測定電極71の種類の判別結果Gを測定回路11へ通知する。測定回路11は、識別回路12から通知された判別結果Gに該当する測定処理を行う。測定電極71の各種類に対応する測定処理は、予め、測定回路11に設定される。
【0019】
センサ30が本体装置10に接続された場合、測定電極71の一端から信号線Dにより入力される信号は、オペアンプ14を介して信号線Cにより測定回路11へ入力される。ここで、信号線Dが接続されるオペアンプ14の「+」端子は、ハイインピーダンス端子であるので、信号線Dを配線Eでガードリングしている。配線Eのガードリングによって、信号線Dを流れる測定電極71からの入力信号にノイズが乗ることを抑制する。
【0020】
また、信号線Dを流れる測定電極71からの入力信号は、2組のコネクタ「CN1A,CN1B」及び「CN2A,CN2B」のうち、コネクタ「CN1A,CN1B」に収容されている。これにより、信号線Dを流れる測定電極71からの入力信号に対して、コネクタ「CN2A,CN2B」に収容される信号からのノイズが乗ることを抑制する効果が得られる。言い換えると、センサ30において、2種類の小型コネクタCN1B,CN2Bを採用し、コネクタ間の空間距離を設けて分離したことは、ハイインピーダンスである端子P11Bが端子P21B,P22B,P23B,P24Bから電気的な影響を受けることを回避するために、これらの端子を1個のコネクタにまとめず、コネクタシェルの絶縁抵抗性能による影響をなくし、小型コネクタでありながら、フッ素樹脂などが用いられた高絶縁材質コネクタと同等の性能を得るための一手段である。
また、さらには、当該測定電極71からの入力信号は、コネクタ「CN1A,CN1B」の2ピンのうち、コネクタ「CN2A,CN2B」から最遠端の端子P11Bに収容されている。これにより、信号線Dを流れる測定電極71からの入力信号に対して、コネクタ「CN2A,CN2B」に収容される信号からのノイズが乗ることをさらに抑制する効果が得られる。
【0021】
図2及び図3は、図1に示す基板部50の回路基板100の実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。図2には回路基板100の表面の実装及び配線パターンが示され、図3には回路基板100の裏面の実装及び配線パターンが示される。図2において、回路基板100は凹形状になっている。回路基板100の凹形状は、当該凹形状の一端104aともう一端104bとの内側に電極部70を配置させる。
【0022】
配線領域101,102は、配線領域101,102間に抵抗R1を実装可能になっている。配線領域101,102は、回路基板100の凹形状の一端104aに設けられている。
【0023】
配線領域106,107は、配線領域106,107間にジャンパJPを実装可能になっている。
【0024】
回路基板100にはスリット103が設けられている。スリット103は、コネクタCN1Bに接続される配線とコネクタCN2Bに接続される配線との間に設けられる。スリット103によって、コネクタCN1Bに収容される信号と、コネクタCN2Bに収容される信号との間の干渉を抑制する。コネクタCN1Bには、本体装置10の信号線REFを流れる測定電極71のもう一方の信号が収容される。これにより、信号線Dを流れる測定電極71からの入力信号と、信号線REFを流れる測定電極71のもう一方の信号との間の干渉を抑制することができる。
【0025】
また、スリット103は、非直線形状である。これにより、スリット103の長さを大きくして、スリット103を回り込む信号を抑制する。なお、スリット103は直線形状であってもよい。また、スリット103は、回路基板100の凹形状の一端104bの内側のライン105よりも内側から、ライン105よりも外側まで設けられる。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態に係る計測装置の電気的構成の他の一例を示す概略構成図である。図4において、図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。図4に示される計測装置1aでは、本体装置10aに対して、図1のセンサ30とは異なる種類の測定電極71aを備えるセンサ30aが接続されている。
【0027】
センサ30aの基板部50aの回路基板100は、センサ30の基板部50の回路基板100と同じ物である。つまり、センサ30とセンサ30aとで回路基板100は共通化されている。センサ30aの基板部50aの回路基板100には、4ピンコネクタCN2Bは実装されるが、2ピンコネクタCN1Bは実装されない。センサ30aのコネクタCN2Bと本体装置10aのコネクタCN2Aとが嵌合することにより、センサ30aの回路基板100と本体装置10aの回路基板とが電気的に接続される。
【0028】
センサ30aの電極部70aは、測定電極71aと温度センサ72とを備える。測定電極71aの一端は、端子CP2を介してコネクタCN2Bの端子P21Bに接続され、さらに、本体装置10aのコネクタCN2Aの端子P21Aを介して信号線Bにより測定回路11aに接続される。測定電極71aのもう一端は、端子CP4のみ、または端子CP4とCP3の両方を介してコネクタCN2Bの端子P22Bに接続され、さらに、本体装置10aのコネクタCN2Aの端子P22Aを介して信号線Aにより測定回路11a及び識別回路12に接続される。
【0029】
センサ30aの温度センサ72、抵抗R1及びジャンパJPの接続の構成は、センサ30と同様である。
【0030】
本体装置10aの識別回路12は、センサ30の場合と同様に、センサ30aのコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値に基づいて、測定電極71aの種類を判別する。センサ30aのコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値と、測定電極71aの種類との対応関係は、予め、識別回路12に設定される。センサ30aに具備される測定電極71aの種類は、印加信号が本体装置10aから測定電極71aに加えられるものであって、電気伝導率電極、酸化還元電流測定電極などである。酸化還元電流測定電極の種類としては、溶存酸素電極、残留塩素電極などである。
【0031】
センサ30aの抵抗R1及びジャンパJPは、センサ30aが備える測定電極71aの種類毎に異なる内容で実装される。なお、センサ30が備える測定電極71の各種類に対応する抵抗R1及びジャンパJPの実装内容と、センサ30aが備える測定電極71aの各種類に対応する抵抗R1及びジャンパJPの実装内容とは、異なる。したがって、センサ30及びセンサ30aにおいて、各センサ30,30aが備える測定電極71,71aの種類が異なれば抵抗R1及びジャンパJPの実装内容は異なる。これにより、本体装置10にはセンサ30及び30aのいずれも接続可能であるが、識別回路12は、本体装置10に接続されたセンサ30又は30aの測定電極71又は71aの種類を判別することができる。
【0032】
識別回路12は、測定電極71aの種類の判別結果Gを測定回路11aへ通知する。測定回路11aは、識別回路12から通知された判別結果Gに該当する測定処理を行う。測定電極71aの各種類に対応する測定処理は、予め、測定回路11aに設定される。測定回路11aは、信号線Aにより、測定電極71aに印加信号を加える。測定電極71aの検出信号は、信号線Bにより、測定回路11aへ入力される。
【0033】
なお、本体装置10aは、図1に示す本体装置10が備えるオペアンプ14に係る回路を備えていない。
【0034】
図5及び図6は、図4に示す基板部50aの回路基板100の実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。図5には回路基板100の表面の実装及び配線パターンが示され、図3には回路基板100の裏面の実装及び配線パターンが示される。図5及び図6において、図2及び図3の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0035】
センサ30aの基板部50aの回路基板100は、センサ30の基板部50の回路基板100と同じ物であるので、図5及び図6において、回路基板100の配線パターンは、図2及び図3と同じである。また、図5及び図6に示されるように、基板部50aの回路基板100には、4ピンコネクタCN2Bは実装されるが、2ピンコネクタCN1Bは実装されない。
【0036】
なお、図4に示される本体装置10aにおいて、図1に示される本体装置10の2ピンコネクタCN1Aの実装部分を、壁にしてもよい。このようにすると、図1に示されるセンサ30と図4に示される本体装置10aとを誤って接続しようとしても、2ピンコネクタCN1Bが壁でストッパになり、センサ30のコネクタCN2Bと本体装置10aのコネクタCN2Aとは物理的に接続できなくなる。
【0037】
上述したように本実施形態によれば、計測装置1,1aの本体装置10,10aに対して着脱可能なセンサ30又は30aにおいて、本体装置10,10aのコネクタに嵌合して本体装置10,10aの回路基板とセンサ30又は30aの回路基板100(センサ回路基板)とを電気的に接続するコネクタCN1B(第1コネクタ)及びコネクタCN2B(第2コネクタ)が実装可能に構成される回路基板100と、測定電極71又は71aと、を備え、回路基板100は、複数の種類の測定電極71,71aのうち一部の種類の測定電極71の一方の端子から本体装置10のオペアンプ14の「+」端子(ハイインピーダンス端子)へ入力される入力信号をコネクタCN1Bの端子に収容し、且つ、当該一部の種類の測定電極71のもう一方の端子の信号をコネクタCN2Bの端子に収容する配線と、当該一部の種類以外の他の種類の測定電極71aの全信号をコネクタCN2Bの端子に収容する配線と、を有する。
これにより、計測装置1,1aの本体装置10,10aに対して複数の種類の測定電極71,71aを接続するための回路基板100を共通化することができる。これにより、センサ30,30aのコストダウンや製造工程の簡略化などの効果が得られる。また、一部の種類の測定電極71から本体装置10のオペアンプ14の「+」端子(ハイインピーダンス端子)へ入力される入力信号にノイズが乗ることを抑制する効果を得ることができる。
【0038】
また、回路基板100は、コネクタCN1Bに接続される配線とコネクタCN2Bに接続される配線との間にスリット103が設けられた。これにより、コネクタCN1Bに収容される信号と、コネクタCN2Bに収容される信号との間の干渉を抑制する効果が得られる。さらには、スリット103は非直線形状である。これにより、スリット103の長さを大きくして、スリット103を回り込む信号を抑制する効果が得られる。
【0039】
また、本実施形態によりコネクタの小型化及び安価化を実現することができるが、設計変更として、識別用の端子P22Bと端子P22Bに係る部分を削除して、さらにコネクタの小型化及び安価化を図ってもよい。識別用の端子P22Bと端子P22Bに係る部分を削除する場合には、作業者が、センサを目視確認し、センサの種別を計測装置の本体装置に手動で設定する。
【0040】
また、本実施形態によれば、センサ30,30aは、測定電極71,71a、温度センサ72と、基板部50,50aとが、はんだ付けされた場合、分離できない一体の構造となる。このセンサ30,30aは消耗品であり、特にpH電極などはガラス膜や比較電極部の腐食や劣化などにより、使用状況にもよるが通常1年から3年に一回程度の頻度で電極交換の必要がある。このために新しいセンサに交換して、古いセンサを廃棄する際に、本実施形態によれば、一体の構造であるので、つまりケーブルが不要であるので、測定電極に加えてケーブル等も含めて廃棄することがなく、無駄がない。
【0041】
次に上述した実施形態の変形例を説明する。
【0042】
[変形例1]
変形例1では、計測装置1,1aにおいて、本体装置10,10aの回路を、センサ30,30aの上部ボディ部分に設ける。さらに、計測装置1,1aの表示部や操作部を、センサ30,30aの上部ボディ部分に設ける。
【0043】
[変形例2]
変形例2では、計測装置1,1aにおいて、本体装置10,10aの回路を、センサ30,30aの上部ボディ部分に設ける。計測装置1,1aの表示部や操作部については、センサ30,30a及び本体装置10,10aとは別個の周辺装置として設ける。
【0044】
[変形例3]
図7から図10を参照して、変形例3を説明する。変形例3では、センサ30,30aの抵抗R1及びジャンパJPの代わりに、1ワイヤーデジタル通信の不揮発性メモリを使用する。図7及び図8は、本実施形態に係る計測装置の電気的構成の変形例3を示す概略構成図である。図7及び図8において、図1及び図4の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0045】
図7に示される計測装置1bは、本体装置10bとセンサ30bとを備える。センサ30bは、センサ30と同様に、測定電極71及び温度センサ72を備える電極部70、を備える。センサ30bの基板部50bは、回路基板100b(センサ回路基板)とコネクタCN1B,CN2Bとを備える。基板部50bには、1ワイヤーデジタル通信の不揮発性メモリQ1とダイオードD1とコンデンサC1が実装される。
【0046】
不揮発性メモリQ1の入出力端子IOは、コネクタCN2Bの端子P22BとダイオードD1の入力端子とに接続される。不揮発性メモリQ1の電源端子VCは、ダイオードD1の出力端子とコンデンサC1の一方の端子とに接続される。不揮発性メモリQ1のグランド端子VSは、コンデンサC1のもう一方の端子とコネクタCN2Bの端子P24Bと端子CP6とに接続される。ダイオードD1及びコンデンサC1は、CN2BのP22Bに、通信及び電源の共通信号を割り当てるための回路である。
【0047】
不揮発性メモリQ1の入出力端子IOは、コネクタCN2Bの端子P22B及び本体装置10bのコネクタCN2Aの端子P22Aを介して信号線Hにより測定回路11bに接続される。本体装置10bの測定回路11bは、本体装置10bに接続されたセンサ30bの不揮発性メモリQ1に対して読み書きをすることができる。
【0048】
センサ30bの不揮発性メモリQ1は、センサ30bが備える測定電極71の種類を識別する測定電極種別識別情報を格納する。さらに、当該不揮発性メモリQ1は、当該測定電極71に関する各種の情報を格納してもよい。測定回路11bは、本体装置10bに接続されたセンサ30bの不揮発性メモリQ1から測定電極種別識別情報を読み出し、読み出した測定電極種別識別情報に基づいてセンサ30bが備える測定電極71の種類を判別する。測定回路11bは、自己が判別した結果の測定電極71の種類に該当する測定処理を行う。測定電極71の各種類に対応する測定処理は、予め、測定回路11bに設定される。
【0049】
図8に示される計測装置1cは、本体装置10cとセンサ30cとを備える。センサ30cは、センサ30aと同様に、測定電極71a及び温度センサ72を備える電極部70a、を備える。センサ30cの基板部50cの回路基板100bは、センサ30bの基板部50bの回路基板100bと同じ物である。つまり、センサ30bとセンサ30cとで回路基板100bは共通化されている。
【0050】
センサ30cにおいても、センサ30bと同様に、基板部50cは、回路基板100bとコネクタCN1B,CN2Bとを備える。また、センサ30bと同様に、基板部50cには、1ワイヤーデジタル通信の不揮発性メモリQ1とダイオードD1とコンデンサC1が実装される。センサ30cの不揮発性メモリQ1は、センサ30cが備える測定電極71aの種類を識別する測定電極種別識別情報を格納する。さらに、当該不揮発性メモリQ1は、当該測定電極71aに関する各種の情報を格納してもよい。
【0051】
本体装置10cの測定回路11cは、本体装置10cに接続されたセンサ30cの不揮発性メモリQ1に対して読み書きをすることができる。測定回路11cは、本体装置10cに接続されたセンサ30cの不揮発性メモリQ1から測定電極種別識別情報を読み出し、読み出した測定電極種別識別情報に基づいてセンサ30cが備える測定電極71aの種類を判別する。測定回路11cは、自己が判別した結果の測定電極71aの種類に該当する測定処理を行う。測定電極71aの各種類に対応する測定処理は、予め、測定回路11cに設定される。本体装置10cの測定回路11cは、信号線Voにより、測定電極71aに印加信号を加える。測定電極71aの検出信号は、信号線Kにより、測定回路11cへ入力される。
【0052】
図9及び図10は、図7及び図8に示す基板部50b,50cの回路基板100bの実装及び配線パターンの例を示す配線パターン図である。図9には回路基板100bの表面の実装及び配線パターンが示され、図10には回路基板100bの裏面の実装及び配線パターンが示される。図9及び図10において、回路基板100bは凹形状になっている。回路基板100bの凹形状は、当該凹形状の一端104cともう一端104dとの内側に電極部70,70aを配置させる。
【0053】
回路基板100bの凹形状の一端104cには、不揮発性メモリQ1が実装される。また、回路基板100bには、ダイオードD1及びコンデンサC1が実装される。また、回路基板100bには、回路基板100と同様に、スリット103が設けられている。
【0054】
上述した変形例3によれば、センサ30b,30cに1ワイヤーデジタル通信の不揮発性メモリQ1を設け、不揮発性メモリQ1に測定電極種別識別情報を格納する。本体装置10b,10cの測定回路11b,11cは、本体装置10b,10cに接続されたセンサ30b,30cの不揮発性メモリQ1から測定電極種別識別情報を読み出し、読み出した測定電極種別識別情報に基づいてセンサ30b,30cが備える測定電極71aの種類を判別する。本変形例3においても、計測装置1b,1cの本体装置10b,10cに対して複数の種類の測定電極71,71aを接続するための回路基板100bを共通化することができる。これにより、センサ30b,30cのコストダウンや製造工程の簡略化などの効果が得られる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、識別回路12は、各センサ30,30aのコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間の抵抗値に基づいて、測定電極71,71aの種類を判別したが、識別回路12は、各センサ30,30aのコネクタCN2Bの端子P22Bと端子P24Bの間のインピーダンス値に基づいて、測定電極71,71aの種類を判別してもよい。当該インピーダンス値は、抵抗器、コンデンサ及びコイルのうち、いずれか一つ又は複数の組み合わせによって構成される。
【符号の説明】
【0057】
1,1a,1b,1c…計測装置、10,10a,10b,10c…本体装置、11,11a,11b,11c…測定回路、12…識別回路、13…温度測定回路、14…オペアンプ、30,30a,30b,30c…センサ、50,50a,50b,50c…基板部、70,70a…電極部、71,71a…測定電極、72…温度センサ、100,100b…回路基板(センサ回路基板)、103…スリット、CN1A,CN1B,CN2A,CN2B…コネクタ、JP…ジャンパ、R1…抵抗、C1…コンデンサ、D1…ダイオード、Q1…不揮発性メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10