(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】電気機器の蒸気検知機構
(51)【国際特許分類】
A47J 27/21 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
A47J27/21 101S
(21)【出願番号】P 2019099489
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 章浩
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特許第6265225(JP,B2)
【文献】特開2014-217558(JP,A)
【文献】特開2009-142648(JP,A)
【文献】西独国実用新案公開第9106751(DE,U)
【文献】欧州特許出願公開第0595085(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱する容器本体と、
前記容器本体を塞ぐ蓋体と、
前記容器本体内で発生した蒸気を検知する蒸気検知センサを有する蒸気検知機構と、を具え、
前記容器本体内で発生した蒸気を、前記蓋体を介して前記容器本体内の前記蒸気検知センサへ導き、前記蒸気検知センサを通過した蒸気を前記蓋体内へ導入する蒸気通路を有する電気機器であって、
前記蓋体に、前記蒸気検知センサ側へ蒸気を導出する導出口と、前記蒸気検知センサ側から蒸気を導入する導入口と、を具え、
前記容器本体に形成された前記蒸気通路は、前記導出口に連通し、前記蓋体側から蒸気を流入させる蒸気入口と、前記導入口に連通し、前記蓋体側へ蒸気を流出させる蒸気出口とを結び、前記蒸気が一方通行で流れる通路であって、前記蒸気入口と前記蒸気出口との間に前記蒸気検知センサが配置され、
前記導出口の開口面積
は、前記導入口の開口面積よりも大きく
形成され、
前記導出口と前記蒸気入口、前記導入口と前記蒸気出口は、夫々同じ大きさ、形状である、
電気機器の蒸気検知機構。
【請求項2】
前記導出口と前記導入口とは上下に並べて設けられる、
請求項1に記載の電気機器の蒸気検知機構。
【請求項3】
前記容器本体は、前端上縁に注ぎ口が形成され、前記蒸気検知機構が後端側に配置されるものであって、
前記容器本体は、中央より上部に内向きに突設されたフランジを有し、
前記フランジは、後方側は前方側に比べて内向きに大きく突出しており、
前記蒸気検知機構の一部は、前記フランジの上部に配置している、
請求項1又は請求項2に記載の電気機器の蒸気検知機構。
【請求項4】
前記蒸気入口は、開口に懸架されたブリッジを有する、
請求項1
乃至請求項
3の何れかに記載の電気機器の蒸気検知機構。
【請求項5】
前記電気機器は、電気ケトルである、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電気機器の蒸気検知機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケトルなどの液体を加熱し沸騰させる電気機器に用いられる蒸気検知機構に関するものであり、より詳細には、容器本体に形成された蒸気通路の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気ケトルでは、加熱手段を具えたケトル本体を電源台に載置し、電源台からケトル本体に給電を行ない、加熱手段に通電している(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
電気ケトルは、沸騰の検知を蒸気検知機構により実施している。蒸気検知機構は、容器本体に設けられた蒸気通路とバイメタルの如き蒸気検知センサを含んでおり、加熱により生じた蒸気を蒸気通路に流入させて、蒸気検知センサで検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、蒸気検知センサに向けて蒸気を導く開口部分等にウォーターシールが形成される場合があり、その場合、蒸気検知センサに向かう蒸気の流れが阻害され、沸騰検知に支障を生じる虞があった。
【0006】
本発明の目的は、沸騰検知を良好に行うことができる電気機器の蒸気検知機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気機器の蒸気検知機構は、
水を加熱する容器本体と、
前記容器本体を塞ぐ蓋体と、
前記容器本体内で発生した蒸気を検知する蒸気検知センサを有する蒸気検知機構と、を具え、
前記容器本体内で発生した蒸気を、前記蓋体を介して前記容器本体内の前記蒸気検知センサへ導き、前記蒸気検知センサを通過した蒸気を前記蓋体内へ導入する蒸気通路を有する電気機器であって、
前記蓋体に、前記蒸気検知センサ側へ蒸気を導出する導出口と、前記蒸気検知センサ側から蒸気を導入する導入口と、を具え、
前記導出口の開口面積を、前記導入口の開口面積よりも大きくしている。
【0008】
前記導出口と前記導入口とは上下に並べて設けられることが望ましい。
【0009】
前記容器本体に、前記蓋体側から蒸気を流入させる蒸気入口と、前記蓋体側へ蒸気を流出させる蒸気出口と、を具え、
前記蒸気入口は、開口に懸架されたブリッジを有することが望ましい。
【0010】
前記ブリッジは、開口から後退した位置に形成することが望ましい。
【0011】
前記電気機器は、電気ケトルとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電気機器の蒸気検知機構によれば、蒸気発生源に近い導出口を、導入口よりも大きく形成したことで、導出口に蒸気が結露し、ウォーターシールが形成されて塞がれることを防止できる。また、導出口を大きくしたことで、容器本体内で発生した蒸気をスムーズに蒸気通路に流入させることができる。これにより、蒸気検知センサによる蒸気検知精度を可及的に高めることが可能となり、沸騰検知を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図6】
図6は、
図2の線C-Cに沿うケトル本体の断面図である。
【
図7】
図7は、電気ケトルの内部構成を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら本発明の電気機器について説明を行なう。なお、以下では、電気機器としてヤカン型の電気湯沸かし器である電気ケトル10を例示して説明を行なうが、電気機器は、電気ケトル10に限らず、ポットやコーヒーメーカーなどの家電製品などであってもよい。また、説明する電気ケトル10は、ケトル本体20を電源台110に載置可能な構成としているが、電源台110は電気機器と一体に構成されているものであってもよいことは勿論である。
【0015】
概略構成として、電気ケトル10は、
図1乃至
図3に示すように、ヤカン型のケトル本体20とケトル本体20に装着される蓋体50、ケトル本体20が載置される電源台110を具える。
【0016】
ケトル本体20は、
図4乃至
図8に示すように、外装カバー30と、外装カバー30の内側に水を入れる容器本体40を嵌めた二重構造を採用できる。外装カバー30及び容器本体40には、
図8に示すように、上縁前方に容器本体40内から連続する注ぎ口21が外向きに膨らんで形成されている。また、外装カバー30は、注ぎ口21と対向する背面側に取っ手22が設けられている。
図8に示すように、取っ手22には、後述するスイッチ23や蒸気検知機構70の一部が配置されている。
【0017】
容器本体40は、断面
図4乃至
図8に示すように、ケトル本体20の外郭に沿う内面形状を有しており、底面にはステンレス製の底板41が配置されている。底板41の下方にはヒーターなどの加熱手段42が配置されている。ケトル本体20の底面の中央には、受電端子44を有する受電部43が凹設されている。
【0018】
ケトル本体20の受電部43は、
図4等に示すように、皿状の載置面111を有する電源台110に載置されて電源供給を受ける。電源台110は、載置面111の略中央に、受電部43の受電端子44と電気的に接続可能な給電端子113を具える給電部112が突設されている。そして、電源台110にケトル本体20を載置した際に、受電部43に給電部112が嵌まり、受電端子44と給電端子113が電気的に接続される。給電端子113は、図示しない電源コードを介して商用電源に接続される。
【0019】
また、容器本体40は、
図4乃至
図8に示すように、中央よりやや上部に内向きにフランジ45が突設されており、蓋体50のシールパッキン53が当接可能となっている。フランジ45は、前後方向に対称な形状ではなく、
図8に示すように、後方側は前方側に比べて突出量を大きくしており、フランジ45の上部に後述する蒸気検知機構70の一部を配置している。
【0020】
容器本体40は、
図7及び
図8に示すように、上記したフランジ45よりも高い位置に、容器本体40内で発生した蒸気を検知する蒸気検知センサ74を有する蒸気検知機構70が配置されている。蒸気検知機構70は、容器本体40内で発生した蒸気を、蓋体50を介して容器本体40内の蒸気検知センサ74へ導き、蒸気検知センサ74を通過した蒸気を蓋体50内へ導入する蒸気通路73を有するものとなっている。説明を加えると、蒸気検知機構70は、容器本体40に開設された蒸気入口71及び蒸気入口71の上側に開設された蒸気出口72を有し、容器本体40の外側で蒸気入口71と蒸気出口72を蒸気通路73で繋いで構成される。つまり、容器本体40には、蓋体50側から蒸気を流入させる蒸気入口71と、蓋体50側へ蒸気を流出させる蒸気出口72と、が具えられている。蒸気通路73には、バイメタルスイッチなどの蒸気検知センサ74を具え、容器本体40内の水が沸騰すると、蒸気入口71から蒸気通路73に蒸気が侵入し、バイメタルスイッチと連動してスイッチ23をオフに切り替えるようにしている。
【0021】
図示の蒸気入口71及び蒸気出口72は、外周を囲うように蒸気孔シール75が装着されており、後述する蓋体50の蓋体本体51に設けられた導出口82と導入口83に蒸気孔シール75が密着することで連通可能としている。
【0022】
蒸気入口71と蒸気出口72について、さらに詳細に説明すると、
図7に示すように、蒸気入口71は蒸気出口72の直下、すなわち、蒸気出口72は蒸気入口71の直上に形成されており、蒸気入口71は蒸気出口72よりも開口面積が大きくなるように設けられている。蒸気入口71は、蒸気出口72の1.5倍程度、面積で約30mm
2以上の開口面積とすることが望ましい。図示の実施形態では、蒸気入口71及び蒸気出口72は断面略矩形形状としている。たとえば、容器本体40を樹脂成型する際に、蒸気入口71は内側からスライドピンを突出させて成型し、蒸気出口72は外側からスライドピンを突出させて成型することができる。これにより、同じ金型部品で蒸気入口71と蒸気出口72を成型することができるから、金型費用削減を図ることができる。
【0023】
図7及び
図8に示すように、蒸気入口71と蒸気出口72は、仕切板76により区画されており、仕切板76は、蒸気入口71と蒸気出口72により形成される開口の上側寄りの位置に設けている。蒸気入口71を蒸気出口72に比して大きく形成しているのは、蒸気入口71が小さいと、蒸気が結露して蒸気入口71にウォーターシールが形成されてしまい、蒸気入口71が塞がれて、蒸気の検知精度が低下するためである。そこで、蒸気入口71を大きくすることで、蒸気をスムーズに蒸気通路73に流入させることができ、蒸気検知センサ74による検知精度も高めることができる。一方、蒸気入口71を大きくすると、蒸気入口71から異物が侵入して、蒸気検知センサ74が破損あるいは測定精度低下する虞がある。そこで、蒸気入口71には、
図7に示すように仕切板76から下方に開口を懸架するようブリッジ77を形成し、異物の侵入を防いでいる。なお、ブリッジ77は、蒸気入口71の開口面積を狭めてしまい、蒸気の流入を阻害する虞がある。このため、
図7に示すように、ブリッジ77は、蒸気入口71の容器本体40側の開口に近い位置ではなく、後退した位置に設けることが望ましい。
【0024】
本実施形態では、フランジ45は、上記したとおり、後方側の突出量を大きくしている。そして、
図8に示すように、後方側のフランジ45の上部空間に内向きに突出して蒸気検知機構70を配置するようにしている。これにより、フランジ45の上部空間を利用して蒸気検知機構70を配置でき、
図1等に示すように、外装カバー30や取っ手22のデザインを損なうこともない。
【0025】
上記構成のケトル本体20は、上縁に蓋体50が装着される。蓋体50は、図示の実施形態では、ケトル本体20に着脱可能であるが、ヒンジ等により開閉可能な構成とすることもできる。
【0026】
蓋体50は、
図4乃至
図6、
図8に示すように、上方が拡径した周壁52を有する蓋体本体51と、蓋体カバー54を具え、容器本体40の上縁に着脱可能に嵌まる。蓋体本体51は、周壁52の下縁に環状にシールパッキン53が装着されており、蓋体50を容器本体40の上縁に挿入した状態で、シールパッキン53は、容器本体40の内面とフランジ45に当接し、容器本体40を液密に維持する。
【0027】
蓋体カバー54は、蓋体本体51の上面を覆っており、
図4、
図5、
図9乃至
図12に示すように、容器本体40の係合受部47に係合可能な係合爪55を先端に具えるレバー56,56が左右方向に対向して配置されている。レバー56,56は、バネ57,57により外向きに付勢されており、係合爪55は周壁52を貫通して突出し、係合受部47に係合した状態から、レバー56,56をバネ57,57の付勢力に抗して中央側に接近させることで、係合爪55,55が後退して係合受部47から外れ、蓋体50を取り外し可能となっている。
【0028】
また、レバー56,56間には、
図9、
図12及び
図13等に示すように、蓋ボタン60が配置されている。蓋ボタン60は、弁板62を具える中子61に連繋されている。蓋ボタン60は、バネ63により上向きに付勢されており、押下されることで下方に移動して停止し、再度押下されることで上方に移動する構成を具備している。
【0029】
蓋体本体51には、
図13に示すように、下面側のやや前寄りに短円筒状の注湯空間91が円環状の通路壁92により区画されている。注湯空間91は、斜め上方に注湯路93が形成されており、注湯路93は、注ぎ口21にて開口している。注湯空間91と注湯路93により注湯通路90が構成される。
【0030】
注湯空間91の上面は、
図11乃至
図13に示すように、水平壁94が形成されており、水平壁94の上部には、蒸気室カバー80で塞がれた蒸気室81が形成されている。蒸気室81は、容器本体40からの蒸気が流入し、結露する。
図11及び拡大
図14に示すように、蒸気室81は、注湯空間91と連通する排水孔84が形成されており、結露により生じた水は、排水孔84を通じて排出可能となっている。具体的には、排水孔84は、注湯空間91の通路壁92の内側に形成されており、排水孔84は、下向きに凸の立壁86を具える孔壁85により区画されている。
【0031】
蒸気室81は、
図8、
図10及び
図13に示すように、注湯路93とは逆側の後方側の周壁52に導入口83が形成されている。導入口83は、容器本体40の蒸気出口72と連通する大きさ、形状である。また、導入口83の直下には、容器本体40の蒸気入口71と連通する大きさ、形状の導出口82が形成されている。つまり、導出口82と導入口83とは上下に並べて設けられる。導出口82の開口面積は、導入口83の開口面積よりも大きくしている。このように、蓋体50には、蒸気検知センサ74側へ蒸気を導出する導出口82と、蒸気検知センサ74側から蒸気を導入する導入口83と、が具えられている。なお、導出口82は、導入口83の1.5倍程度、面積で約30mm
2以上の開口面積とすることが望ましい。図示の実施形態では、導出口82及び導入口83は、蒸気入口71、蒸気出口72と同様、断面略矩形形状としている。
【0032】
然して、容器本体40内で発生した蒸気は、
図8中矢印Vで示すように、導出口82から蒸気入口71を通って蒸気通路73に侵入し、蒸気検知センサ74を作動させて、蒸気出口72から蓋体50の導入口83を通過し、蒸気室81に侵入する。蒸気室81に侵入した蒸気は、蒸気室81内で結露し、排水孔84側に流れる。
【0033】
注湯空間91及び排水孔84は、
図11乃至
図13に示すように、中子61に装着されたシール部100により塞がれる。中子61は、注湯空間91の内径と略同じ外径を有する円盤状の弁板62と、弁板62から上向きに突設された弁棒64を具える。弁棒64の上端は、水平壁94及び蒸気室カバー80を貫通して上向きに延びており、上端が蓋ボタン60にネジ止め66されている。
【0034】
なお、本実施形態では、
図13に示すように、注湯空間91を蓋体本体51のやや前方寄りに設けているから、弁板62の中心から弁棒64を突設すると、弁棒64が前方寄りに位置してしまう。その結果、蓋ボタン60も蓋体カバー54の前方寄りの位置に設ける必要があり、レバー56,56の配置との関係でデザイン上好ましくない。このため、弁棒64は、弁板62のやや後方寄り、すなわち、蓋体カバー54の中心に突設している。弁棒64を弁板62の中心からズレた位置に配置しているから、弁棒64を上下動させたときに、弁板62が傾き、平行にスライドできない虞がある。そこで、本実施形態では、弁棒64の前方に弁棒64と平行にガイド棒65を立設している。また、ガイド棒65は、水平壁94に上向きに凹設されたガイド孔67にスライド可能に嵌まっている。
【0035】
シール部100は、
図11乃至
図13、さらには、拡大
図14に示すように、弁板62の外周に嵌まる円環状のパッキンである。シール部100は、環状のシール本体101とシール本体101の外周側に形成された栓シール103及びシール本体101の内周に突設された排水孔シール104を具える。シール本体101は、内周側に溝102が形成されており、溝102を弁板62の外周に嵌めることで弁板62に装着される。また、シール本体101は、外周側が通路壁92の内周側に当接可能となっている。シール部100は、容器本体40と注湯通路90を液密に遮断し、また、容器本体40と蒸気室81とを液密に遮断する。
【0036】
上記構成の電気ケトル10は、蓋体50のレバー56,56を摘まんで接近させ、蓋体50を取り外し、容器本体40内に水を注入する。
【0037】
続いて、蓋体50は、上縁に押し下げて装着する。このとき、蓋体50は
図11乃至
図13に示すように、蓋ボタン60を上昇位置に移動させておき、シール部100は、押し上げられた弁板62により栓シール103とシール本体101が通路壁92に密着し、排水孔シール104が排水孔84を塞いだ状態としておく。排水孔シール104は、排水孔84の立壁86が埋没して良好な密着状態を維持している。
【0038】
この状態で、電源台110は、電源コードを商用電源に接続し、電源台110にケトル本体20を載置する。続いて、取っ手22のスイッチ23を押下する。これにより、給電端子113から受電端子44を介して加熱手段42に電源が供給されて、加熱手段42が水を加熱し沸騰させる。
【0039】
水が沸騰すると、容器本体40内に蒸気が発生する。容器本体40は、シールパッキン53及び弁板62のシール部100により気密状態が維持されているから、発生した蒸気は、
図8に矢印Vで示すように、蓋体50の周壁52に形成された導出口82から蒸気入口71を通って蒸気通路73に侵入する。導出口82及び蒸気入口71は、
図7に示すように、蒸気出口72に比べて開口面積を大きくしているから、蒸気が結露して導出口82、蒸気入口71にウォーターシールが形成されて塞がれることはない。また、蒸気入口71にブリッジ77を設けたことで、流入する蒸気が整流されて蒸気検知センサ74へ適切に誘導することができる。従って、蒸気の検知感度を良好に維持できる。蒸気通路73には、蒸気検知センサ74が配置されているから、蒸気が蒸気検知センサ74を作動させてスイッチ23を押し上げてオフにする。これにより、加熱手段42による加熱が止まる。
【0040】
また、蒸気通路73に流入した蒸気は、蒸気出口72から蓋体50の導入口83を通過し、蒸気室81に侵入する。そして、蒸気室81に侵入した蒸気は、蒸気室81内で結露し、排水孔84側に流れて溜まる。
【0041】
そして、ユーザーは、取っ手22を掴んでケトル本体20を持ち上げ、蓋体50の蓋ボタン60を押下することで、弁板62及びシール部100が降下し、注湯空間91及び排水孔84が開放する。このとき、蒸気室81、すなわち、排水孔84に溜まっている結露水は、排水孔84から落下して容器本体40に戻る。また、この状態で、ケトル本体20を前方に傾けることで、容器本体40の湯は、注湯空間91に連通する注湯路93を通って注ぎ口21から放出される。
【0042】
注湯が終わると、蓋ボタン60を押下すると、バネ63の付勢力により弁板62及びシール部100が上昇し、注湯空間91及び排水孔84を塞ぐ。そして、ケトル本体20を電源台110に戻せばよい。
【0043】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 電気ケトル
20 ケトル本体
22 取っ手
24 付け根(取っ手)
30 外装カバー
40 容器本体
50 蓋体
70 蒸気検知機構
71 蒸気入口
72 蒸気出口
73 蒸気通路
81 蒸気室
82 導出口
83 導入口