(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】噴射操作支援器具
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20230628BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20230628BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B11/00 101A
B05B11/00 101E
B05B11/00 101G
(21)【出願番号】P 2018216924
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2017251254
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】染川 剛
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】鵜渡 大造
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19610456(DE,A1)
【文献】特開平10-179739(JP,A)
【文献】特開2010-254312(JP,A)
【文献】特開昭59-120266(JP,A)
【文献】米国特許第06305580(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0108378(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05B 11/00
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を有する容器本体と、上下方向に延びる吐出路及び該吐出路の外周側に設けられたフランジを有し且つ前記容器本体に対して下方に相対的に押し込み操作可能に前記容器本体の上部に取り付けられるノズルと、該ノズルを前記容器本体に対して上方に付勢する付勢部材とを備え、前記底面は前記上下方向に対して略直交している噴射容器に取り付けられる噴射操作支援器具であって、
前記ノズルの前記フランジの上面に周方向の少なくとも3点で当接する支持部を有する器具本体と、前記容器本体の底面に当接する作用点を有する操作レバーとを備え、
前記操作レバーは、前記噴射容器の一側方に位置する支軸周りに第1位置と第2位置との間で揺動可能に前記器具本体に取り付けられており、
前記操作レバーは、前記支軸の下方に位置する操作部
と作動片とを有し、操作者が左右側方から前記操作部を押し込むことにより前記付勢部材の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ揺動するよう構成され、
前記操作レバーが第1位置にあるとき
、前記作用点は前記底面の所定の位置に当接し、
且つ、前記作動片は水平方向に延設されてその上面が前記噴射容器の前記底面を支持し、前記作動片の先端部が前記作用点として機能し、
前記操作レバーが第2位置にあるとき前記作用点は第1位置にあるときよりも上方且つ前記一側方とは反対側の他側方に位置して、該作用点によって前記容器本体が前記ノズルに対して上方に押し込まれ、このように押し込まれた状態で前記付勢部材の付勢力により前記ノズルが上方に付勢され、該付勢力によって前記少なくとも3点で前記フランジが前記支持部に当接支持されるよう構成されており、
前記操作レバーは、前記支軸に支持されている部分、前記操作部、並びに、前記作用点が存在する部分のすべてが一体に形成された一つの部材であり、前記作用点は前記支軸周りに揺動する、
噴射操作支援器具。
【請求項2】
前記器具本体は、下方から前記噴射容器を受け入れる容器収容部を有し、
前記操作レバーは前記器具本体に対して着脱可能に構成されている、
請求項1に記載の噴射操作支援器具。
【請求項3】
前記器具本体に着脱可能なキャップをさらに備え、
前記器具本体に装着されたキャップは、第1位置にある前記操作レバーに係合して、該操作レバーが第2位置に向けて揺動することを阻止する、
請求項1又は2に記載の噴射操作支援器具。
【請求項4】
前記キャップが前記器具本体に装着されたときに前記ノズルの吐出路の上端開口をシールするシール部材が前記キャップに取り付けられており、前記付勢部材の付勢力によって前記ノズルの上端部が前記シール部材に押圧される、請求項3に記載の噴射操作支援器具。
【請求項5】
前記キャップは、前記シール部材の周縁部を支持する支持部と、前記シール部材の中央部が上方に湾曲変形することを許容する変形許容空間とを備え、前記キャップが前記器具本体に装着されたとき前記ノズルの上端部により前記シール部材の中央部が上方に押されて湾曲変形する、請求項4に記載の噴射操作支援器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば点鼻容器などの噴射容器を収容して、噴射操作をより簡便且つ確実に行えるようにするための噴射操作支援器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の噴射操作支援器具は従来より種々開発されている。
【0003】
例えば特許文献1に開示された噴射アダプタは、収納部(18)に収納した噴射容器(14)の容器本体(10)を押し上げる操作レバー(20)の押上部(26)が、収納部(18)の幅方向外側よりも内側が後方に位置する傾斜構造を有し、操作レバー(20)の収納部(18)内に向けての押し込み動作によって押上部(26)の傾斜構造を介して容器本体(10)を押し上げて噴射ボタン(12)を没しさせて噴射し、一方、押し込み動作を解除したときに噴射ボタン(12)の弾性体による突状態への復帰動作によって容器本体(10)が後方に移動し、押上部(26)を介して操作レバー(20)が復帰するよう構成されている。
【0004】
特許文献1の噴射アダプタによれば、ディスペンサーやエアゾール容器等の噴射容器に装着したアダプターの操作部を「てこの原理」で駆動させることにより、適切な操作感で適切量の液体を噴射容器から噴射させることができる。しかし、押上部の傾斜構造を介して容器本体を押し上げるものであるから、比較的小さな操作量で噴射されるように傾斜角度を設定すると操作力の分力のうち容器を側方に押し込む力の割合が比較的大きくなってしまう。
【0005】
また、特許文献2の
図3~
図9及び
図12には、フランジ無しポンプ型容器(43)が側方から挿入されるケース(42)と、該ケース(42)に対して枢軸を介して回転可能に取り付けられたクロージャ(40)(蓋)とを備えるディスペンサーが開示されている。ポンプ型容器(43)のノズル(46)は、クロージャ(40)に取り付けられたドーナツ状パイロット開口(50)に挿入されていて、該開口(50)の縁は、容器(43)が僅かに枢動することを許容するように丸みを帯びた形状となっている。これにより、クロージャ(40)が押し込み操作されると、容器(43)が僅かに枢動して、ノズル(46)の曲がり効果を最小とし、ノズル(46)へレセプタクル(47)によりかかる力を容器(43)の軸線(51)と整合するようにしている。
【0006】
かかる特許文献2記載の構造では、押し込み操作時に容器を枢動させることを前提としているため、噴射操作時の安定性が低下して、的確に噴射が行われない可能性がある。
【0007】
なお、特許文献2の
図1及び
図2には、蓋(12)をケース(11)に軸方向に押し込むことで噴射動作をさせる実施例が開示されており、かかる実施例では容器のポンプピストン(26)にフランジ(27)を設けて、このフランジ(27)をケースに当接させているが、クロージャ(40)をケースに対して枢軸を介して回転可能に取り付けた場合にフランジ付き容器を用いることについては何ら開示されていない。
【0008】
また、特許文献3には、ノズル付きの薬液容器を側部から収納して保持する本体部と、該本体部の一端に開閉自在に連結する蓋部と、該蓋部の先端に屈曲自在に連結する駆動部とを備え、蓋部を本体部側に閉じると、駆動部が蓋部の内側に屈曲し、本体部内の薬液容器の底部を軸方向に駆動して本体部の外部に突出するノズルから薬液を噴射させる薬液容器の噴射アダプタが開示されている。
【0009】
かかる特許文献3記載の噴射アダプタの駆動部は、薬液容器の底部のほぼ中央部に常に当接するため、駆動部による押し上げ時に薬液容器が傾くことがない。しかし、駆動部をほぼ中央部に位置させるために駆動部を内側に屈曲可能に形成して、この駆動部にケースの一部を当接させているから、押し込み操作初期の段階で引っかかりが生じやすいとともに、押し込み操作力の多くが側方への力となってケースに作用し、軽い力では噴射操作を行えないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2010-254312号公報
【文献】特開平3-148480号公報
【文献】特開2007-151646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、軽い力で噴射操作可能で、しかも噴射操作時にも噴射容器を安定的に保持可能で、安定した噴射操作を行い得る噴射操作支援器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の噴射操作支援器具は、噴射容器に取り付けられて、噴射操作を軽い力で容易に行えるようにするものである。噴射容器は、底面を有する容器本体と、上下方向に延びる吐出路及び該吐出路の外周側に設けられたフランジを有し且つ前記容器本体に対して下方に相対的に押し込み操作可能に前記容器本体の上部に取り付けられるノズルと、該ノズルを前記容器本体に対して上方に付勢する付勢部材とを備え、前記底面は前記上下方向に対して略直交している。このような噴射容器は、付勢部材の付勢力に抗して容器本体に対してノズルを下方に押し込むと、ノズル先端の噴霧口から霧状ないし泡状となった内用液が噴射されるよう構成されている。
【0013】
本発明の噴射操作支援器具は、前記ノズルの前記フランジの上面に周方向の少なくとも3点で当接する支持部を有する器具本体と、前記容器本体の底面に当接する作用点を有する操作レバーとを備えることができる。作用点は少なくとも1点あればよいが、底面が軸方向から見て円形の場合、底面の周縁上の2点で当接するよう構成されていてもよい。
【0014】
前記操作レバーは、前記噴射容器の一側方に位置する支軸周りに第1位置と第2位置との間で揺動可能に前記器具本体に取り付けられていてよい。
【0015】
前記操作レバーは、前記支軸の下方に位置する操作部を有し、操作者が左右側方から前記操作部を押し込むことにより前記付勢部材の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ揺動するよう構成されていてよい。押し込み方向は左右側方であってよいが、水平方向に対して傾斜する方向に押し込むよう構成されていてもよい。
【0016】
前記操作レバーが第1位置にあるとき前記作用点は前記底面の所定の位置に当接し、前記操作レバーが第2位置にあるとき前記作用点は第1位置にあるときよりも上方且つ前記一側方とは反対側の他側方に位置して、該作用点によって前記容器本体が前記ノズルに対して上方に押し込まれる。このように押し込まれた状態で前記付勢部材の付勢力により前記ノズルが上方に付勢される。そして、この付勢力によって前記少なくとも3点で前記フランジが前記支持部に当接支持されるよう構成されており、これにより、操作レバーの作用点が底面の外周縁に近い位置となっていても容器本体を器具本体に対して直立状態で保持でき、噴射操作時の安定性を向上できる。
【0017】
しかも、操作レバーの操作部の操作力のほぼ全てが作用点により容器本体を上方に押し上げる力に変換されるため、より軽い力で噴射操作を行うことができる。さらに、操作レバーの作用点を有する部位は容器本体の底面にのみ接触し、器具本体の他の部位には接触しないため、噴射操作時に引っかかりが生じることもなく、円滑な噴射操作を行うことができる。
【0018】
上記本発明の噴射操作支援器具において、前記器具本体は、下方から前記噴射容器を受け入れる容器収容部を有し、前記操作レバーは前記器具本体に対して着脱可能に構成されていてもよい。これによれば、操作レバーを器具本体から取り外すことによって噴射容器を新しいものに交換可能である。しかも、操作レバーを取り付けている状態では操作レバーの作用点が容器本体の底面に当接することで、噴射容器が不慮に脱落してしまうことを防止できる。
【0019】
また、本発明の噴射操作支援器具は、前記器具本体に着脱可能なキャップをさらに備えていてよい。器具本体に装着されたキャップは、第1位置にある前記操作レバーに係合して、該操作レバーが第2位置に向けて揺動することを阻止するよう構成できる。これによれば、キャップを装着することによって操作レバーが押し込み操作されることを防止でき、キャップを取り外すことによって操作レバーの押し込み操作を許容することができる。
【0020】
また、操作レバーは、支軸に支持されている部分、操作部、並びに、作用点が存在する部分のすべてが一体に形成された一つの部材であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る噴射操作支援器具の未操作状態の縦断面図である。
【
図2】同噴射操作支援器具の噴射操作状態の縦断面図である。
【
図3】同噴射操作支援器具の噴射操作状態の斜視図である。
【
図4】同噴射操作支援器具の器具本体の6面図である。
【
図5】同噴射操作支援器具の操作レバーの6面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る噴射操作支援器具のキャップを外した状態の縦断面図である。
【
図7】同噴射操作支援器具のキャップを装着した状態の縦断面図である。
【
図8】同噴射操作支援器具のキャップの縦断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1~
図5は、本発明の一実施形態に係る噴射操作支援器具1及びその構成部品を示している。なお、
図4~
図5に示された濃淡は、各部品の表面の立体的形状を現すものである。
【0024】
本実施形態の噴射操作支援器具1は、点鼻容器などの噴射容器2に取り付けられて、噴射操作を軽い力で容易に行えるようにするものである。
【0025】
まず、噴射容器2の概略構造について説明する。本実施形態の噴射容器2は、上方に向けて開口する開口部を上部に有する容器本体21と、容器本体21の上部に取り付けられるポンプユニット22とから主構成されている。
【0026】
容器本体21は、有底円筒状の胴部21aと、該胴部21aの上部に設けられた円筒状の口部21bとを有する。胴部21aの外径は、口部21bの外径よりも大きい。胴部21aの軸心と口部21bの軸心とは略一致しており、これら軸心は上下方向に沿っている。口部21bの外周面には、ポンプユニット22を取り付けるためのネジ山が設けられている。胴部21aの底面は、上下方向に対して略直交する略平坦面であり、容器本体21を棚や机などに置いたときの安定性向上のために底面の中央部が若干上方に湾曲していてよい。
【0027】
ポンプユニット22は、容器本体21の口部21bの外周に螺着される円筒状ベース22aと、該ベース22aに対して未操作位置(
図1参照)と噴霧位置(
図2参照)との間で軸方向に往復動可能に設けられたノズル22bと、該ノズル22bを未操作位置から噴霧位置に向けて上方に付勢するスプリング22c(付勢部材)と、該スプリング22cを収容するポンプシリンダ22dとを備えている。これらベース22a、ノズル22b、スプリング22c及びポンプシリンダ22dの軸方向は上下方向に沿っている。
【0028】
ポンプシリンダ22d内には、軸中央部に流通孔が設けられた軸部を有するピストン22eが軸方向摺動自在に内嵌されている。ピストン22eより下側でポンプシリンダ22d内にはスプリングホルダー22fが遊嵌されており、スプリング22cの反発力はホルダー22fを介してピストン22eに伝達される。
【0029】
ノズル22bは、ピストン22eの軸部の上端部に液密状に嵌合され、これによりノズル22bとピストン22eとが一体的に結合されている。
【0030】
ノズル22bの軸中央部には上下方向に延びる吐出路221が設けられている。また、ノズル22bは、吐出路221の外周側に設けられたフランジ222を一体に備えている。本実施形態では、フランジ222は全周に亘るリング状であって、ベース22aの上部の外径よりも大径であり、フランジ222の軸方向は上下方向に沿っている。フランジ222の下面にはベース22aの上部に上方から挿入されるスリーブ223が一体的に設けられている。
【0031】
ノズル22bの吐出路221内には、ノズル先端部から霧状に噴霧させるためのバルブロッド22gが挿入されており、容器本体21に対してノズル22bのフランジ222をスプリング22cの付勢力に抗して下方に相対的に押し込み操作すると、ノズル先端の噴霧口から内用液が霧状乃至泡状に噴射されるようになっている。この押し込み操作を止めると、スプリング22cの付勢力によってノズル22bが未操作位置まで復帰する。
【0032】
本実施形態のポンプユニット22の構造は例示にすぎず、本発明は種々の構造のポンプユニットを採用できる。
【0033】
次に、噴射操作支援器具1の実施例構造について説明する。
【0034】
本実施形態に係る噴射操作支援器具1は、ノズル22bのフランジ222の上面に周方向の4点で当接する支持部11aを有する器具本体11と、容器本体21の胴部21aの底面に当接する作用点Aを有する操作レバー12と、器具本体11の上部に着脱可能に取り付けられるキャップ13とから構成されている。
【0035】
器具本体11は、
図4にも示すように、容器本体21を周囲三方から覆う断面U字状で一側方が開放された胴部11Aと、該胴部11Aの上部に一体的に設けられたカップ状の頭部11Bとを備えており、上記支持部11aは頭部11Bの内面に突設された4つのリブで構成されている。一つのリブは、支軸Sに対してフランジ222の直径方向反対側に設けておくことが好ましい。その他の少なくとも一つのリブは、支軸S側でフランジ222を当接支持する位置に設けることが好ましい。
【0036】
胴部11Aは、掌で把持するに適した大きさ及び外周面形状を有している。頭部11Bの頂部には、ノズル22bの先端部(上端部)が下方から貫挿される開口が設けられている。頭部11Bの内部空間と胴部11Aの内部空間とによって、噴射容器2を下方から収容可能な容器収容部が構成されており、噴射容器2は、操作レバー12を器具本体11から取り外した状態で、器具本体11内にその下方から装着可能である。
【0037】
操作レバー12は、器具本体11の胴部11Aの側方開放部分に着脱可能に取り付けられているとともに、噴射容器2の側方に位置する支軸S回りに
図1に示す第1位置(未操作位置)と
図2に示す第2位置(噴射位置)との間で揺動可能に器具本体11に取り付けられている。なお、支軸Sは器具本体11及び操作レバー12のいずれか一方に設けられ、他方には支軸Sを受け入れる凹部が形成されていてよい。
【0038】
操作レバー12は、フランジ222が支持部11aに当接している噴射容器2の底面よりも下方に延設された側壁部12aを有する。該側壁部12aの外側面には、器具本体11の胴部11Aを把持した手の指を掛けるための指掛け凹部R(操作部)が設けられている。この操作部Rは、支軸Sの下方に位置している。
【0039】
側壁部12aは、支軸Sよりも上方に延設されており、この側壁部12aの上端部の外側面は、操作レバー12が第1位置にあるときに器具本体11の上部に装着されたキャップ13の内周面に当接して、キャップ13によって操作レバー12を第1位置でロックする。したがって、キャップ13の装着中、操作レバー12を第2位置に向けて操作しようとしても第1位置でロックされ、これにより噴射容器2が噴射操作されることを防止できる。一方、噴射容器2が噴射位置にあるときは、
図3に示すように側壁部12aの上端部が器具本体11の上部の外周面よりも径方向外方に突出し、この状態ではキャップ13を装着できないようになっている。
【0040】
操作レバー12が第1位置にあるとき、側壁部12aの下端縁と、器具本体11の下端縁とは略同じ平面上に位置しており、これにより、噴射容器2を収容した状態で器具1を棚や机上に安定的に置くことができるようにしている。
【0041】
また、操作レバー12は、側壁部12aの上下方向中途部から径方向内方に向けて延設された作動片12bを有しており、この作動片12bの先端部が上記作用点Aとして機能する。操作レバー12が第1位置にあるとき、作動片12bは水平方向に延設され、その上面が器具本体11内に装着された噴射容器2の底面を支持する。キャップ13を取り外して操作レバー12を第2位置に向けて揺動させると、
図2に示すように作動片12bも支軸S回りに回動して、作動片12bの先端部の作用点Aによって容器本体21が押し上げられる。なお、本実施形態では、容器本体21の底面の中央部が僅かに窪んでいるため、底面の外周部と作動片12bの先端縁とが交差する2点が作用点Aとなる。
【0042】
このように、操作レバー12は、操作者が左右外側方から操作部Rを内方に押し込むことにより、スプリング22cの付勢力に抗して第1位置から第2位置へ揺動するよう構成されている。
【0043】
操作レバー12が第1位置にあるとき、
図1に示すように、上記作用点Aは容器本体21の底面の中央寄りに位置している。操作レバー12を押し込み操作して操作レバー12が第2位置にあるとき、
図2に示すように、上記作用点Aは第1位置にあるときよりも上方且つ左右外方に位置して、作動片12bの先端部の作用点Aによって容器本体21がノズル22bに対して上方に押し込まれる。すると、圧縮されたスプリング22cの付勢力によりノズル22bが上方に付勢され、この付勢力によってフランジ222が支持部11aの4つのリブのすべてに押圧され支持される。これにより、操作レバー12の作用点Aが容器本体21の底面の左右外方に近い位置となっていても、ノズル先端よりもかなり大径のフランジ222を周方向4点で支持することで容器本体21を器具本体11に対して直立状態で保持でき、噴射操作時の安定性を向上できる。しかも、操作レバー12の作用点Aを支軸Sから径方向に大きく離間させることができるので、操作部Rの操作量に対して容器本体21の上方への押し込み量を比較的大きくすることができる。
【0044】
なお、好ましくは、第2位置にある操作レバー12の上記作用点Aが、軸方向から見てフランジ222の外径の内部に位置するよう構成することにより、噴射容器2を傾かせるようなモーメントが生じることを回避できる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、支持部11aは、フランジ222を全周にわたる無数の点で支持するリング状支持面により構成することができる。また、操作レバー12が第1位置のとき、作用点Aは噴射容器2の底面の中央部よりも操作レバー12側で底面に当接可能とし、第2位置に移動すると作用点Aは底面の中央付近に当接するよう構成することもできる。また、操作レバー12の上部の外側面(キャップ13に当接する面)にリブを設けることもでき、リブを設けることで、キャップ13を装着したときに操作レバー12をがたつきなく第1位置にロックすることができ、操作レバー12の内方への押し込み操作を確実に規制して、一層の誤操作防止を図ることができる。
【0046】
また、キャップが器具本体に装着されたときにノズルの吐出路の上端開口を密封するシール部材がキャップに取り付けられていてもよく、これにより、スプリング22cなどの付勢部材の付勢力によってノズルの上端部がシール部材に押圧されるよう構成することもできる。さらに好ましくは、キャップは、前記シール部材の周縁部を支持する支持部と、前記シール部材の中央部が上方に湾曲変形することを許容する変形許容空間とを備え、キャップが器具本体に装着されたときノズルの上端部によりシール部材の中央部が上方に押されて湾曲変形するよう構成できる。かかる構成によれば、キャップを器具本体に装着したときにシール部材が変形することにより、ノズルの上端部に大きな軸方向押圧力が作用することが防止される。したがって、ノズルの上端開口を密封するシール部材を設けたにもかかわらず、キャップ装着時の容器本体に対するノズルの下方への押し込み量を可及的に小さくすることができる。これにより、ノズルが比較的大きく押し下げられて内容液が漏れてしまうことを防止できる。さらに、シール部材に対するノズル上端部の接触圧が小さくとも、ノズル上端部の形状に沿ってシール部材が湾曲変形することで、ノズル上端開口を確実に密封することができ、内容製剤の乾燥を防止できる。
【0047】
図6~
図8は、ノズル上端開口をシールするシール部材をキャップに取り付けた実施形態を例示しており、
図1~
図5に示す実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成並びに作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態においては、キャップ13の内部に、ノズル22bの吐出路221の上端開口をシールするシール部材14が取り付けられている。シール部材14は、キャップ13の天面に保持されている。具体的には、
図8に示すように、キャップ13の天面には円筒状の保持筒部13aがノズル22bと同心状に設けられており、この保持筒部13a内にシール部材14が嵌め込まれている。
【0049】
シール部材14の材質はどのようなものでも良く、例えばゴムやエラストマーなどの弾性体、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂製などであってよい。また、シール部材14の構造及び形状も適宜のものであってよいが、図示実施例では容易に変形可能な円板状に構成されている。
【0050】
また、保持筒部13aの奥側(上端側)には、シール部材14の周縁部を支持する支持凸部(支持部)13bが設けられている。本実施形態では、ブロック状の複数の支持凸部13bが周方向に沿って配置されている。各支持凸部13b,13b間には所定の間隔が設けられている。また、各支持凸部13bは、保持筒部13aの内周面から径方向内方に向けて少しだけ突出しており、複数の支持凸部13bに囲まれた中央領域に、シール部材14の中央部が上方に湾曲変形することを許容する変形許容空間が形成されている。
【0051】
本実施形態の噴射操作支援器具によれば、キャップ13を器具本体11から外した状態では、
図6に示すようにシール部材14は元の形状に弾性的に復元する。一方、キャップ13を器具本体11に装着すると、キャップ13に取付けられたシール部材14がノズル先端部に押し付けられる。このとき、噴射容器2の容器本体21の底部は操作レバー12によって支持されているため、噴射容器2の容器本体21の底部とノズル22bの先端部とが、操作レバー12とシール部材14とによって挟み込まれるようになり、ノズル22bが僅かに下方に押し下げられて、付勢手段22cに僅かに付勢力が生じた状態となり、この付勢力によってノズル22bの先端部がシール部材14の下面中央部に押し付けられる。
【0052】
また、シール部材14が容易に弾性変形可能であれば、ノズル先端開口の周縁に全周にわたって密着するようにシール部材14が上述した僅かな付勢力によって
図7に示すように湾曲変形し、ノズル22bの先端部に対する押圧力が小さくても、確実にノズル先端開口を密封し得る。したがって、ノズル22bが大きく押し下げられることもなく、ノズル22bの押し下げに伴う内容液の漏出も防止できる。
【符号の説明】
【0053】
1 噴射操作支援器具
11 器具本体
12 操作レバー
13 キャップ
13a 保持筒部
13b 支持凸部(支持部)
14 シール部材
2 噴射容器
21 容器本体
22 ポンプユニット
221 吐出路
222 フランジ
22b ノズル
22c 付勢部材(コイルスプリング)
S 支軸
R 操作部
A 作用点