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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】受診勧奨システム及び受診勧奨方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230628BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20230628BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20230628BHJP
【FI】
G16H20/10
G16H50/20
G16H80/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022180653
(22)【出願日】2022-11-11
【審査請求日】2023-02-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)発行日:令和3年12月25日 刊行物:月刊マーチャンダイジング2022年1月号,第40~45頁 (2)発行日:令和4年4月25日 刊行物:月刊マーチャンダイジング2022年5月号,第48~50頁 (3)放送日:令和4年6月21日 番組名:九州朝日放送株式会社 シリタカ! (4)掲載日:令和4年5月31日 掲載アドレス:株式会社Marketing Methodology&Innovation自社ホームページ(https://mmiinc.co.jp/) (5)発行日:令和4年6月23日 刊行物:西日本新聞,令和4年6月23日付,第7面 (6)放送日:令和4年7月12日 番組名:株式会社福岡放送 めんたいワイド (7)発行日:令和4年7月8日 刊行物:日本経済新聞,令和4年7月8日付,九州経済面 (8)発行日:令和4年8月1日 刊行物:ふくおか経済2022年8月号,第65頁 (9)発行日:令和4年8月25日 刊行物:月刊マーチャンダイジング2022年9月号,第26~29頁 (10)放送日:令和4年9月3日 番組名:株式会社TVQ九州放送 ぐっ!ジョブ (11)放送日:令和4年9月14日 番組名:株式会社TVQ九州放送 カンパニーファイル (12)掲載日:令和4年5月30日 掲載アドレス:PHARMACY NEWSBREAK(https://pnb.jiho.jp/article/223339) (13)掲載日:令和4年10月20日 掲載アドレス:PHARMACY NEWSBREAK(https://pnb.jiho.jp/article/225909)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522010381
【氏名又は名称】株式会社Marketing Methodology&Innovation
(73)【特許権者】
【識別番号】399106011
【氏名又は名称】株式会社新生堂薬局
(73)【特許権者】
【識別番号】522441459
【氏名又は名称】株式会社Newromics
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵子
(72)【発明者】
【氏名】水田 怜
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-102848(JP,A)
【文献】登録実用新案第3232559(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、該サーバに設けられているデータベースとを備えており、
前記データベースは、ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録を含む顧客情報を該顧客に紐づけて記憶している顧客情報記憶部と、ドラッグストアにおいて顧客のOTC医薬品の購入履歴を該顧客に紐づけて記憶している購入履歴記憶部と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答を該顧客に紐づけて記憶している問診結果記憶部とを少なくとも備えており、
前記サーバは、対象とする顧客について、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、前記応対記録に、前記対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定する顧客情報判定部と、前記購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、前記対象とする顧客が前記症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定する購入履歴判定部と、前記問診結果記憶部に記憶されている回答が要注意の内容であるか否かを判定する問診結果判定部とを備えており、
前記サーバは、前記顧客情報判定部が前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする受診勧奨システム。
【請求項2】
前記顧客情報判定部は、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、前記対象とする顧客の年齢が所定の範囲であり、かつ前記応対記録に前記キーワードが含まれているか否かを判定するように構成されており、前記サーバは、前記顧客情報判定部が顧客の年齢が所定の範囲でありかつ前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の受診勧奨システム。
【請求項3】
前記顧客情報判定部は、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、OTC医薬品の購入理由が、前記症状に関連する理由であるか否かを判定するように構成されており、前記サーバは、前記顧客情報判定部がOTC医薬品の購入理由が、前記症状に関連する理由でありかつ前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の受診勧奨システム。
【請求項4】
前記問診結果判定部は、前記問診結果記憶部に記憶されている回答の該当率が60%以上であるか否かを判定するように構成されており、前記サーバは、前記顧客情報判定部が前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が、前記回答の該当率が60%以上であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の受診勧奨システム。
【請求項5】
ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、該サーバに設けられているデータベースとを備えており、
前記データベースは、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前、購入量及び購入日を含む購入履歴を該顧客に紐づけて記憶している購入履歴記憶部と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答を該顧客に紐づけて記憶している問診結果記憶部とを少なくとも備えており、
前記サーバは、対象とする顧客について、前記購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、前記顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定する購入履歴判定部と、前記問診結果記憶部に記憶されている回答が要注意の内容であるか否かを判定する問診結果判定部とを備えており、
前記サーバは、前記購入履歴判定部が顧客の前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする受診勧奨システム。
【請求項6】
前記購入履歴判定部は、前記対象とする顧客が、前記症状に適応するOTC医薬品を所定期間内に所定量以上購入したか否かを判定するように構成されており、前記サーバは、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を所定期間内に所定量以上購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の受診勧奨システム。
【請求項7】
前記問診結果判定部は、前記問診結果記憶部に記憶されている回答の該当率が60%以上であるか否かを判定するように構成されており、前記サーバは、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が前記回答の該当率が60%以上であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の受診勧奨システム。
【請求項8】
ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、該サーバに設けられているデータベースとを備えており、
前記データベースは、ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録を含む顧客情報を該顧客に紐づけて記憶している顧客情報記憶部と、ドラッグストアにおいて顧客のOTC医薬品の購入履歴並びに該顧客が購入したOTC医薬品の名前、購入量及び購入日を含む購入履歴を該顧客に紐づけて記憶している購入履歴記憶部と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答を該顧客に紐づけて記憶している問診結果記憶部とを少なくとも備えており、
前記サーバは、対象とする顧客について、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、前記応対記録に、前記対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定する顧客情報判定部と、前記購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、前記症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定すると共に、前記購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定する購入履歴判定部と、前記問診結果記憶部に記憶されている回答が要注意の内容であるか否かを判定する問診結果判定部とを備えており、
前記サーバは、前記顧客情報判定部が前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行い、また、前記購入履歴判定部が前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、前記問診結果判定部が前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることを特徴とする受診勧奨システム。
【請求項9】
前記サーバは、前記専門医が監修した問診項目を、前記購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴に基づいて設定するように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の受診勧奨システム。
【請求項10】
前記サーバは、前記受診勧奨を行う場合は、医療機関の紹介を行うように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の受診勧奨システム。
【請求項11】
ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、該サーバに設けられているデータベースとを備えた受診勧奨システムにおける受診勧奨方法であって、
ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録と、ドラッグストアにおいて顧客のOTC医薬品の購入履歴と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答とを、該顧客に紐づけて前記データベースに記憶しておき、
前記サーバは、対象とする顧客について、前記応対記録に、前記対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定し、前記購入履歴から、前記対象とする顧客が前記症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定し、前記回答が要注意の内容であるか否かを判定し、
前記サーバは、前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする受診勧奨方法。
【請求項12】
前記サーバは、顧客情報から、前記対象とする顧客の年齢が所定の範囲でありかつ前記応対記録に前記キーワードが含まれているか否かを判定し、顧客の年齢が所定の範囲でありかつ前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする請求項11に記載の受診勧奨方法。
【請求項13】
前記サーバは、顧客情報から、OTC医薬品の購入理由が前記症状に関連する理由であるか否かを判定し、前記OTC医薬品の購入理由が前記症状に関連する理由でありかつ前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記購入履歴から前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする請求項11に記載の受診勧奨方法。
【請求項14】
前記サーバは、前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記回答の該当率が60%以上であると判定した場合に前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする請求項11に記載の受診勧奨方法。
【請求項15】
ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、該サーバに設けられているデータベースとを備えた受診勧奨システムにおける受診勧奨方法であって、
ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前、購入量及び購入日を含む購入履歴と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答とを、該顧客に紐づけて前記データベースに記憶しておき、
前記サーバは、対象とする顧客について、前記購入履歴から、顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定し、前記回答が要注意の内容であるか否かを判定し、
前記サーバは、前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定し、かつ、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする受診勧奨方法。
【請求項16】
前記サーバは、前記対象とする顧客が、前記症状に適応するOTC医薬品を所定期間内に所定量以上購入したと判定し、かつ、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする請求項15に記載の受診勧奨方法。
【請求項17】
前記サーバは、前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、前記回答の該当率が60%以上であると判定した場合に前記対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする請求項15に記載の受診勧奨方法。
【請求項18】
ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、該サーバに設けられているデータベースとを備えた受診勧奨システムにおける受診勧奨方法であって、
ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録と、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前、購入量及び購入日を含む購入履歴と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答とを、該顧客に紐づけて前記データベースに記憶しておき、
前記サーバは、対象とする顧客について、前記応対記録に、前記対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定し、前記購入履歴から、前記症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定すると共に、前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定し、前記回答が要注意の内容であるか否かを判定し、
前記サーバは、前記応対記録に前記キーワードが含まれていると判定し、前記症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行い、また、前記症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、前記回答が要注意の内容であると判定した場合に、前記対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行うことを特徴とする受診勧奨方法。
【請求項19】
前記サーバは、前記専門医が監修した問診項目を、前記購入履歴に基づいて設定することを特徴とする請求項11から18のいずれか1項に記載の受診勧奨方法。
【請求項20】
前記サーバは、前記受診勧奨を行う場合は、医療機関の紹介を行うことを特徴とする請求項11から18のいずれか1項に記載の受診勧奨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般用医薬品(以下、OTC医薬品)を販売する販売店舗における受診勧奨システム及び受診勧奨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾病の予防・早期発見を目的とした医療機関への受診勧奨は、主に、1年に1回の健康診断を通じ、その結果に応じて行われているが、「健康診断を受けていない人」や、「健康診断を受けていても健診結果に対して関心のない人」、又は「健診結果を自己管理していない人」に関しては、疾病が重篤化する前に医療機関の受診機会を得る有効な手段が存在していない。従って、疾病が重篤化する前の潜在患者を発見し、早期に医療機関において治療を開始するために、受診勧奨を適切に行うことが非常に重要である。
【0003】
一般に、医薬品を販売する医薬品販売店舗には、医療用医薬品を主に販売する調剤薬局と、処方箋不要のOTC医薬品を販売する販売店舗(以下、ドラッグストア)とが存在する。薬剤師が常駐し、病院からの処方箋に基づく医療用医薬品(以下、処方薬)を販売する調剤薬局では、従来から健康相談への取り組みが行われているが、その多くは既に処方薬を服用している顕在患者に対する対応であり、疾病が重篤化する前の潜在患者を発見する取り組みではない。一方、ドラッグストアにおける医薬品販売は、OTC医薬品のみの販売であり、調剤薬局併設型のドラッグストアでなければ処方薬の販売はできない。また、OTC医薬品の中でも第一類医薬品は薬剤師でなければ販売できないが、全ての店に薬剤師が常駐しているわけではなく、第一類医薬品を除くOTC医薬品の販売については医薬品登録販売者(以下、登録販売者)が行っている。さらに、ドラッグストアにおいては、OTC医薬品を購入する数多くの顧客に対する適切なOTC医薬品の服薬指導、健康相談、及びそれらを通じた潜在患者の発見による医療機関への受診勧奨は行われていない。
【0004】
健康管理の対象者に対して医療機関での受診を勧奨するシステムとして、特許文献1には、健康管理対象者に対する所定の疾患についての受診勧奨を行うか否かの判断基準である受診勧奨基準情報と、健康管理対象者の健康状態に関する検査結果の情報である健康状態情報とに基づいて、健康管理対象者から所定の疾患についての受診勧奨対象者を抽出し、医療機関での所定の疾患についての受診を勧奨する受診勧奨情報を受診勧奨対象者に送信するようにした受診勧奨システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6940898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている受診勧奨システムは、健康保険等に加入しており、かつ健康管理が定められている対象者に対して医療機関での受診を勧奨するシステムに関するものであり、健康保険等に加入していない潜在患者に対して、疾病が重篤化する前に受診勧奨するものではない。
【0007】
本発明は、従来技術のこのような問題点を解消するものであり、本発明の目的は、疾病が重篤化する前の潜在患者を発見し、早期に医療機関において治療を開始するための受診勧奨を行うことができる受診勧奨システム及び受診勧奨方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、潜在患者を効率良くかつ確実に発見して受診勧奨を行うことができる受診勧奨システム及び受診勧奨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、疾病が重篤化する前の潜在患者を発見し、早期に医療機関において治療を開始するために、身近な存在であるドラッグストアにおいて、健康相談対応から医療機関への受診勧奨までを適切に行う仕組みを提供するものである。このような仕組みとして、本発明は「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」と称するカウンセリングシステムを提供する。この「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」は、地域に密着したドラッグストアにおいて、多くの潜在患者を発見し、医療機関への受診勧奨を行うことによって、疾病の予防・早期発見に積極的に取り組むものであり、最終的には疾病の重篤化による医療費の増大を防ぐことに貢献しようとするものである。
【0010】
調剤薬局では、既に医療機関の診療を受け、既に処方薬を服用し、疾病の治療を開始・継続している顕在患者が来店しているのに対し、ドラッグストアでは、OTC医薬品を服用する未診療の潜在患者が数多く来店する。従って、疾病の予防・早期発見を効果的に行うには、ドラッグストアにおいて登録販売者や薬剤師が、疾病が重篤化する前の潜在患者を発見し、医療機関への受診勧奨を行うことを支援する「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」の仕組みを確立することが有効である。即ち、この仕組みを確立してドラッグストアに導入することによって、そこに来店する数多くの顧客の中から登録販売者や薬剤師が適切に潜在患者を発見し、医療機関への受診勧奨を行うことが可能となり、これによって、ドラッグストアは、医療機関と深く連携する基盤が構築でき、最終的には患者の疾病の重篤化による医療費の増大を防ぐことに貢献することができる。
【0011】
本発明によれば、受診勧奨システムは、ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、サーバに設けられているデータベースとを備えている。データベースは、ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録を含む顧客情報をこの顧客に紐づけて記憶している顧客情報記憶部と、ドラッグストアにおいて顧客のOTC医薬品の購入履歴をこの顧客に紐づけて記憶している購入履歴記憶部と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答をこの顧客に紐づけて記憶している問診結果記憶部とを少なくとも備えている。サーバは、対象とする顧客について、顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、応対記録に、対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定する顧客情報判定部と、購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、対象とする顧客が症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定する購入履歴判定部と、問診結果記憶部に記憶されている回答が要注意の内容であるか否かを判定する問診結果判定部とを備えている。本発明では、特に、サーバは、顧客情報判定部が応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、購入履歴判定部が上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されている。
【0012】
なお、本発明において、「ドラッグストア」とは、処方箋不要のOTC医薬品を販売する薬局又は販売店舗であり、調剤薬局併設型のものも含んでいる。多くの場合、ドラッグストアでは、OTC医薬品の他に、健康・美容に関する商品、日用品、食品類の一部(飲料・日配食品等)等も販売している。
【0013】
上述したように、本発明では、対象とする顧客について、顧客情報から、応対記録に対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれていると判定し、購入履歴から、この症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診の回答が要注意の内容であると判定した場合に、医療機関への受診勧奨が行われる。このように、本発明によれば、買物に便利であって、ポイント等の特典があり、日用雑貨品が安く買える店という認識がある日頃から日常的に利用する身近なドラッグストアにおいて、健康相談の対応や購入履歴から潜在患者を発見し、受診勧奨までを行う「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」を可能とする店頭情報システムが構築される。これにより、疾病が重篤化する前の潜在患者を効率良くかつ確実に発見し、早期に医療機関において治療を開始するための受診勧奨を行うことができる。
【0014】
顧客情報判定部は、顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、対象とする顧客の年齢が所定の範囲であり、かつ応対記録に上述のキーワードが含まれているか否かを判定するように構成されており、サーバは、顧客情報判定部が顧客の年齢が所定の範囲であり、かつ応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、購入履歴判定部が上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることが好ましい。
【0015】
顧客情報判定部は、顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、OTC医薬品の購入理由が、上述の症状に関連する理由であるか否かを判定するように構成されており、サーバは、顧客情報判定部がOTC医薬品の購入理由が、上述の症状に関連する理由でありかつ応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、購入履歴判定部が上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることも好ましい。
【0016】
問診結果判定部は、問診結果記憶部に記憶されている回答の該当率が60%以上であるか否かを判定するように構成されており、サーバは、顧客情報判定部が応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、購入履歴判定部が上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答の該当率が60%以上であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることも好ましい。
【0017】
本発明によれば、さらに、受診勧奨システムは、ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、サーバに設けられているデータベースとを備えている。データベースは、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)、購入量及び購入日を含む購入履歴をこの顧客に紐づけて記憶している購入履歴記憶部と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答をこの顧客に紐づけて記憶している問診結果記憶部とを少なくとも備えている。サーバは、対象とする顧客について、購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定する購入履歴判定部と、問診結果記憶部に記憶されている回答が要注意の内容であるか否かを判定する問診結果判定部とを備えている。本発明では、特に、サーバは、購入履歴判定部が上述の顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されている。
【0018】
上述したように、本発明では、対象とする顧客について、購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、問診の回答が要注意の内容であると判定した場合に、医療機関への受診勧奨が行われる。このように、本発明によれば、買物に便利であってポイント等の特典があり、日用雑貨品が安く買える店という認識がある日頃から日常的に利用する身近なドラッグストアにおいて、購入履歴から潜在患者を発見し、受診勧奨までを行う「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」を可能とする店頭情報システムが構築される。これにより、疾病が重篤化する前の潜在患者を効率良くかつ確実に発見し、早期に医療機関において治療を開始するための受診勧奨を行うことができる。
【0019】
購入履歴判定部は、対象とする顧客が、上述の顧客の症状に適応するOTC医薬品を所定期間内に所定量以上購入したか否かを判定するように構成されており、サーバは、購入履歴判定部が上述の顧客の症状に適応するOTC医薬品を所定期間内に所定量以上購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることが好ましい。
【0020】
問診結果判定部は、問診結果記憶部に記憶されている回答の該当率が60%以上であるか否かを判定するように構成されており、サーバは、購入履歴判定部が上述の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が上述の回答の該当率が60%以上であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることも好ましい。
【0021】
本発明によれば、さらにまた、受診勧奨システムは、ドラッグストア用端末からネットワークを介してアクセス可能なサーバと、サーバに設けられているデータベースとを備えている。データベースは、ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録を含む顧客情報をこの顧客に紐づけて記憶している顧客情報記憶部と、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)、購入量及び購入日を含む購入履歴をこの顧客に紐づけて記憶している購入履歴記憶部と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答をこの顧客に紐づけて記憶している問診結果記憶部とを少なくとも備えている。サーバは、対象とする顧客について、顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報から、応対記録に、対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定する顧客情報判定部と、購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定すると共に、購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から、上述の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定する購入履歴判定部と、問診結果記憶部に記憶されている回答が要注意の内容であるか否かを判定する問診結果判定部とを備えている。本発明では、特に、サーバは、顧客情報判定部が応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、購入履歴判定部が上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行い、また、購入履歴判定部が上述の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されている。
【0022】
サーバは、専門医が監修した問診項目を、購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴に基づいて設定するように構成されていることも好ましい。
【0023】
サーバは、受診勧奨を行う場合は、医療機関の紹介を行うように構成されていることも好ましい。
【0024】
本発明によれば、さらに、受診勧奨方法は、ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録と、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)を含む購入履歴と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答とを、この顧客に紐づけて記憶しておき、対象とする顧客について、応対記録に、対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定し、購入履歴から、対象とする顧客が上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定し、回答が要注意の内容であるか否かを判定する。本発明では、特に、応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行う。
【0025】
顧客情報から、対象とする顧客の年齢が所定の範囲でありかつ応対記録に上述のキーワードが含まれているか否かを判定し、顧客の年齢が所定の範囲でありかつ応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことが好ましい。
【0026】
顧客情報から、OTC医薬品の購入理由が上述の症状に関連する理由であるか否かを判定し、OTC医薬品の購入理由が上述の症状に関連する理由でありかつ応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、購入履歴から上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うように構成されていることも好ましい。
【0027】
応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、回答の該当率が60%以上であると判定した場合に対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことも好ましい。
【0028】
本発明によれば、さらに、受診勧奨方法は、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)、購入量及び購入日を含む購入履歴と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答とを、顧客に紐づけて記憶しておく。対象とする顧客について、購入履歴から、顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定し、回答が要注意の内容であるか否かを判定する。本発明では、特に、上述の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行う。
【0029】
対象とする顧客が、上述の症状に適応するOTC医薬品を所定期間内に所定量以上購入したと判定し、かつ、回答が要注意の内容であると判定した場合に対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことが好ましい。
【0030】
顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、回答の該当率が60%以上であると判定した場合に対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行うことも好ましい。
【0031】
本発明によれば、さらに、ドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録と、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)、購入量及び購入日を含む購入履歴と、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答とを、この顧客に紐づけて記憶しておく。対象とする顧客について、応対記録に、対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれているか否かを判定し、購入履歴から、上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したか否かを判定すると共に、顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かを判定し、回答が要注意の内容であるか否かを判定する。本発明では、特に、応対記録に上述のキーワードが含まれていると判定し、上述の症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行い、また、顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客の医療機関への受診勧奨を行う。
【0032】
専門医が監修した問診項目を、購入履歴に基づいて設定することも好ましい。
【0033】
受診勧奨を行う場合は、医療機関の紹介を行うことも好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、買物に便利であってポイント等の特典があり、日用雑貨品が安く買える店という認識がある日頃から日常的に利用する身近なドラッグストアにおいて、健康相談の対応や購入履歴から潜在患者を発見し、受診勧奨までを行う「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」を可能とする店頭情報システムが構築される。これにより、疾病が重篤化する前の潜在患者を効率良くかつ確実に発見し、早期に医療機関において治療を開始するための受診勧奨を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の受診勧奨システムの一実施形態におけるシステム全体の構成を概略的に示すブロック図である。
図2図1の実施形態における受診勧奨処理の流れを概略的に説明する図である。
図3a】顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報のうちの会員情報データの一部の例を示す図である。
図3b】顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報のうちの顧客応対履歴データの一部の例を示す図である。
図4】購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴データの一部の例を示す図である。
図5図1の実施形態における受診勧奨処理の大きな流れを概略的に示すフローチャートである。
図6図5の受診勧奨処理における第1の判定処理の流れを示すフローチャートである。
図7図6の第1の判定処理においてアラート出しの処理内容を説明する図である。
図8図1の実施形態においてドラッグストア用端末に表示される専門医監修による問診項目を示す図である。
図9図5の受診勧奨処理における第2の判定処理の流れを示すフローチャートである。
図10図9の第2の判定処理においてアラート出しの処理内容を説明する図である。
図11図1の実施形態においてドラッグストア用端末に表示される受診勧奨しない判定結果を示す図である。
図12図1の実施形態においてドラッグストア用端末に表示される受診勧奨する判定結果を示す図である。
図13図1の実施形態においてドラッグストア用端末に表示される病院・クリニックの一覧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は本発明の受診勧奨システムの一実施形態におけるシステム全体の構成を概略的に示している。本実施形態は、ドラッグストアに来店しOTC医薬品を購入しようとする顧客(以下、説明を簡単にするため、この顧客がOTC医薬品の服用者であるとする)に対して、医療機関の受診勧奨を行うことを可能とした受診勧奨システムであり、薬剤師又は登録販売者である販売員が受診勧奨を行うことができるシステムである。
【0037】
図1において、10は受診勧奨システムにおけるクラウド上のサーバ、11はこのサーバ10に専用回線、電話回線又はインターネット等の通信ネットワークを介して接続されるドラッグストア端末、12はこのサーバ10に設けられたデータベース、13はこのサーバ10に設けられた顧客情報判定部、14はこのサーバ10に設けられた購入履歴判定部、15はこのサーバ10に設けられた問診結果判定部をそれぞれ示している。なお、図1においては、サーバ10に1つのドラッグストア端末11のみが接続されているかのように示されているが、実際には、サーバ10には、(系列下の)全てのドラッグストアにおける複数のドラッグストア端末に接続可能に設定されている。従って、全てのドラッグストアにおけるドラッグストア端末から、以下に説明する処理が可能となっている。
【0038】
データベース12は、顧客の会員情報、及びドラッグストアにおいて顧客と健康相談した際の応対記録(応対メモ)やOTC医薬品の購入理由等を含む顧客応対履歴情報とからなる顧客情報を顧客に紐づけて記憶する顧客情報記憶部12aと、ドラッグストアにおいて顧客が購入したOTC医薬品の、名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)、購入量及び購入日を含む購入履歴を顧客に紐づけて記憶する購入履歴記憶部12bと、専門医が監修した問診項目に対する顧客の回答を顧客に紐づけて記憶する問診結果記憶部12cとを備えている。
【0039】
図2は本実施形態における受診勧奨処理の流れを概略的に示しており、以下、図1及び図2を用いて受診勧奨処理の概略の流れを説明する。
【0040】
図2において、20はドラッグストアに来店しOTC医薬品を購入しようとする顧客、21は薬剤師又は登録販売者である販売員を示している。販売員21は、顧客20に対してカウンセリング(健康相談)を行って顧客情報を収集し、収集した新たな顧客情報を、ドラッグストア端末11を介して、図1に示すサーバ10へ送信する。サーバ10からは、顧客20の会員情報や顧客情報を収集するために必要な種々の情報がドラッグストア端末11へ送信され、そのディスプレイに表示される。また、このドラッグストア端末11には、OTC医薬品の商品情報が表示可能となっており、カウンセリングの際に販売員21はこの商品情報を参照することができる。
【0041】
サーバ10のデータベース12の顧客情報記憶部12aには、このカウンセリングにより送られてきた顧客情報(会員情報データ及び顧客応対履歴データ)が、顧客20に紐づけて記憶される。顧客20が、店頭でのOTC医薬品・健康食品のカウンセリング販売をサポートする「健康台帳(登録商標)システム」に既に登録している場合は、顧客情報記憶部12aには、顧客の会員情報データ、例えば、会員ID(会員コード)、氏名、性別、年齢(生年月日)、郵便番号、住所、電話番号等の情報と、既往歴等の服薬指導に必要な基本的な情報(例えば疾病ID、疾病名、服用中のサプリメントID、サプリメント名、アレルギID、アレルギ対象名、妊娠中・授乳中ID、妊娠中・授乳中の有無の回答)とが過去のカウンセリングによって記憶されている。今回のカウンセリングにより、これら情報に加えて、顧客応対履歴データ、例えば、会員ID(会員コード)、応対ID、応対種別、OTC医薬品の購入理由、応対記録(応対メモ)、検索テキスト、応対日付、応対者コード等が追加又は修正して記憶される。「健康台帳(登録商標)システム」に未登録の場合は、初回登録を行うことによって同様の情報が顧客情報記憶部12aに記憶される。図3aは顧客情報記憶部12aに記憶されている会員情報データの一部の例を示しており、図3bは顧客情報記憶部12aに記憶されている顧客応対履歴データの一部の例を示している。
【0042】
なお、「健康台帳(登録商標)」は、本願の出願人によって開発されたシステムであり、OTC医薬品・健康食品の商品データベースを搭載した「商品台帳」と、顧客の健康相談履歴や購買履歴などを管理する「顧客台帳」とで構成されている。販売員(薬剤師又は登録販売者)は、「商品台帳」による正確な商品情報と「顧客台帳」による顧客情報とを接客時点で活用することによって、顧客への正しいカウンセリングを行うことが可能となり、健康相談から医療機関受診勧奨までの機能強化につながり、「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」を行って、病院に行く前の健康相談から受診勧奨までの助言・指導を行うことができる。
【0043】
サーバ10の購入履歴記憶部12bには、購入履歴情報(ID-POSデータ)が顧客に紐づけて記憶されている。購入履歴情報としては、購入の日付(レシート日)、会員ID(会員コード)、商品コード、レシート数、性別、年代、商品名、数量、名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)、小分類名、小小分類名、部位・症状が含まれる。図4はこの購入履歴記憶部12bに記憶されている購入履歴データの一部の例を示している。
【0044】
サーバ10は、顧客情報記憶部12aから読み出した顧客情報(会員情報データ及び顧客応対履歴データ)と、購入履歴記憶部12bから読み出した購入履歴データとを参照して、病気の判定基準に合致するか否か判定する。本実施形態においては、後述するように、第1の判定処理及び第2の判定処理が行われ、いずれか一方又は両方の判定処理において、病気の判定基準に合致した場合、ドラッグストアの販売員21により、専門医が監修した問診項目に関する問診が行われ、その回答が、データベース12の問診結果記憶部12cに顧客に紐づけて記憶される。
【0045】
問診結果判定部15は、この問診結果記憶部12cから読み出した問診の回答が要注意の内容であるか否かを判定する。問診結果判定部15が問診の回答が要注意の内容であると判定した場合、従って、顧客情報及び購入履歴情報を参照して、病気の判定基準に合致すると判定し、さらに、問診の回答が要注意の内容であると判定した場合、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行う。
【0046】
図5は本実施形態の受診勧奨処理の大きな流れを概略的に示している。
【0047】
本実施形態においては、第1の判定処理及び第2の判定処理が行われ、いずれか一方又は両方の判定処理において、医療機関への受診勧奨要と判定された場合に、顧客に対して医療機関への受診勧奨が行われる。いずれの判定処理においても、受診勧奨不要と判定された場合は、受診勧奨を行われない。
【0048】
具体的には、図5に示すように、まず、第1の判定処理の結果が受診勧奨要であるか否かを判別し(ステップS1)、受診勧奨要である場合(YESの場合)、その顧客に対して医療機関への受診勧奨が行われる(ステップS2)。
【0049】
ステップS1において、受診勧奨要ではない(受診勧奨不要の)場合(NOの場合)、第2の判定処理の結果が受診勧奨要であるか否かを判別する(ステップS3)。ステップS3において、受診勧奨要である場合(YESの場合)、その顧客に対して医療機関への受診勧奨が行われ(ステップS2)、受診勧奨要ではない(受診勧奨不要の)場合(NOの場合)、その顧客に対して医療機関への受診勧奨は行われない(ステップS4)。
【0050】
図6図5の受診勧奨処理における第1の判定処理の流れを示している。
【0051】
この第1の判定処理においては、顧客情報(会員情報データ及び顧客応対履歴データ)による判定基準、購入履歴による判定基準、及び専門医の監修した問診項目による判定基準に全て合致している場合に医療機関への受診勧奨要と判定され、判定基準が1つでも合致しない場合は受診勧奨不要と判定される。
【0052】
具体的には、図6に示すように、サーバ10は、まず、顧客情報記憶部12aから顧客情報(会員情報データ及び顧客応対履歴データ)を読み出す(ステップS11)。即ち、ポイントカードから読み取った会員ID(会員コード)に基づいてその顧客の会員情報データ(図3a参照)から年齢(生年月日)を読み出し、顧客応対履歴データ(図3b参照)からそのOTC医薬品の購入理由と、応対記録(応対メモ)とを読み出す。
【0053】
次いで、読み出した顧客情報が判定基準に合致しているか否かを判定する(ステップS12)。この判定は、(A)会員情報データからの年齢に関する判定基準と、(B)顧客応対履歴データからの症状の情報に基づく判定基準とを用いて行う。具体的には、(A)顧客の年齢が、購入理由に記載された症状に応じて設定される年齢範囲内であるか否か、(B)応対記録(応対メモ)に、購入理由に記載された症状に応じて定まるキーワード(リスクワード)が含まれているか否かで判定する。即ち、購入理由の症状から、顧客が婦人科系の病気の可能性がある場合は、(A)年齢による判定基準の閾値を「30代以下」に設定し、(B)応対記録に含まれているか否かのキーワードを、「生理痛」又は「お腹が痛い」に設定する。
【0054】
年齢による判定基準の閾値は、婦人科系の病気を疑う場合は、例えば、「30代以下」に設定され、胃の病気や大腸の病気を疑う場合は設定されない。また、応対記録(応対メモ)に含まれているか否かの判定に用いるキーワード(リスクワード)は、購入理由の症状に応じて定まる。具体的には、このキーワード(リスクワード)は、以下のように設定される。婦人科系の病気を疑う場合は、例えば、「生理痛」、「生理」、「月経痛」、「月経」、「PMS」、「月経前症候群」、「お腹がはる」、「お腹が痛い」、「腹痛」、「頭が痛い」、「頭痛」等が設定される。胃の病気を疑う場合は、例えば、「胃の痛み」、「胃痛」、「疲労」、「胃の膨満感」、「胸やけ」、「消化不良」、「食欲不振」等が設定される。大腸の病気を疑う場合は、例えば、「便秘が続く」、「便秘」、「下痢」、「便秘と下痢を繰り返す」、「腹部膨満感」、「血便」、「排便時にすっきりない」等が設定される。
【0055】
判定基準に合致しない場合、即ち、上述した(A)及び(B)の判定基準のいずれも合致しない場合(NOの場合)は、受診勧奨不要と判定する(ステップS18)。
【0056】
ステップS12において、顧客情報の判定基準に合致した場合、即ち、上述した(A)及び(B)の判定基準が共に合致した場合(YESの場合)は、購入履歴記憶部12bから購入履歴情報を読み出す(ステップS13)。
【0057】
次いで、読み出した購入履歴情報が判定基準に合致しているか否かを判定する(ステップS14)。この判定は、読み出した購入履歴情報から、顧客情報記憶部12aに記憶されている購入理由である症状に適応するOTC医薬品を1個以上購入したか否か、例えば「生理痛」に適応するOTC医薬品を1個以上購入したか否かを判定することによって行われる。
【0058】
ステップS14において、購入履歴の判定基準に合致しない場合、即ち「生理痛」に適応するOTC医薬品を購入していない場合(NOの場合)は、ステップS18へ進み、受診勧奨不要と判定する。
【0059】
ステップS14において、購入履歴の判定基準に合致した場合、即ち「生理痛」に適応するOTC医薬品を1つでも購入したと判別した場合(YESの場合)は、アラート(専門医監修の問診に移行するためのアラート)出され、専門医の監修した問診項目による判定処理が行われる。
【0060】
図7は第1の判定処理においてアラート出しの処理内容(ステップS11~S14)を説明している。
【0061】
顧客情報における会員情報データ(図3a参照)から、会員ID「12003」の顧客は、年齢が「22歳」であるため、(A)年齢による判定基準の閾値である「30代以下」に合致する。また、顧客応対履歴データ(図3b参照)から、購入理由の「生理痛」なるキーワード(リスクワード)が応対メモで検索されるため、(B)の判定基準に合致し、(A)及び(B)の判定基準に共に合致することとなる。さらに、顧客応対履歴データ(図3b参照)と購入履歴データ(図4参照)とから、会員ID「12003」の顧客の購入理由の症状である「生理痛」に適応するOTC医薬品である「生理痛の薬(解熱鎮痛薬)」を1個以上購入しているので、この顧客にアラート(専門医監修の問診に移行するためのアラート)が出される。
【0062】
専門医の監修した問診項目による判定処理においては、まず、ドラッグストア端末11に専門医の監修した問診項目(チェックリスト)が表示される。どのような専門医の監修した問診項目が選択されるかは、購入履歴記憶部12bに記憶されているその顧客の部位・症状に記載されている事項に基づいて自動的に行われる。即ち、部位・症状から、可能性のある疾病を判断して問診項目を選択する。例えば、購入履歴記憶部12bに記憶されているその顧客の部位・症状が、「あたま・生理痛」、「胃腸・生理痛」、又は「デリケートゾーン・生理痛」である場合は、婦人科系の病気、例えば子宮の病気(子宮内膜症)に関する問診項目を選択する。部位・症状が、「胃腸・胃の痛み」、「胃腸・胃酸過多」、「胃腸・胸やけ、むかつき」、又は「胃腸・消化不良、食欲不振」である場合は、胃の病気、例えば胃がん、逆流動性食道炎に関する問診項目を選択する。部位・症状が、「胃腸・便秘」、「胃腸・軟便」、又は「胃腸・下痢」である場合は、大腸の病気、例えば大腸がん、過敏性腸症候群に関する問診項目を選択する。
【0063】
図8はドラッグストア端末11に表示される、婦人科系の病気に関する問診項目及びその回答を示している。ドラッグストア端末11に表示されたこの専門医の監修した問診項目に基づいて、販売員21は、顧客20に質問し、該当する項目にチェックを入れて回答を作成し、作成した回答をサーバ10へ送り、サーバ10は受信した回答(問診結果)を問診結果記憶部12cに記憶する。
【0064】
図6のステップS15では、問診結果記憶部12cに記憶されている専門医の監修した問診項目のこの回答(問診結果)を読み出す。次いで、読み出した回答(問診結果)が判定基準に合致しているか否か判別する(ステップS16)。問診の回答が要注意の内容である場合、即ち、回答の該当率が60%以上である場合は、問診結果の判定基準に合致していると判別する。
【0065】
問診結果の判定基準に合致した場合、即ち、回答(問診結果)の該当率が60%以上である場合(YESの場合)は、受診勧奨要と判定し(ステップS17)、該当率が60%以上ではない場合(NOの場合)は、ステップS18へ進み、受診勧奨不要と判定する。なお、図8に示す例では、問診項目の数が「8」であり、チェックの入った数(該当する数)が「3」であるため、該当率は37.5%となるから問診結果の判定基準に合致していないこととなり、受診勧奨不要の判定となる。
【0066】
図9図5の受診勧奨処理における第2の判定処理の流れを示している。
【0067】
この第2の判定処理においては、購入履歴による判定基準、及び専門医の監修した問診項目による判定基準に共に合致している場合に医療機関への受診勧奨要と判定され、判定基準のどちらか一方又は両方が合致しない場合は受診勧奨不要と判定される。
【0068】
図9に示すように、サーバ10は、まず、購入履歴記憶部12bから購入履歴データ(図4参照)を読み出す(ステップS21)。具体的には、その顧客が購入したOTC医薬品の名前(中分類名、商品分類名、カテゴリ名)、購入量及び購入日含む購入履歴を読み出す。
【0069】
次いで、読み出した購入履歴がその判定基準に合致しているか否かを判定する(ステップS22)。この判定は、顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したか否かで判定する。サーバ10は、顧客情報記憶部12aに記憶されている顧客情報の顧客応対履歴データ(図3b参照)の購入理由から、その顧客がどのような症状があってOTC医薬品を購入するのかを知り、購入履歴の判定基準の閾値を設定する。具体的には、購入理由が「生理痛」、「生理」、「月経痛」、「月経」、「PMS」、「月経前症候群」、「お腹がはる」、「お腹が痛い」、「腹痛」、「頭が痛い」、「頭痛」等である場合は、婦人科系の病気の可能性があると判断し、その症状に適応するOTC医薬品の中で、頭痛(生理痛)や鎮痛(生理痛)の薬を例えば3か月間に合計3個以上、即ち合計180錠(カプセル、包)以上購入したか否かという閾値に設定する。
【0070】
この判定の閾値は症状毎に設定される。例えば、購入理由が「胃の痛み」、「胃痛」、「疲労」、「胃の膨満感」、「胸やけ」、「消化不良」、「食欲不振」等であり、胃の病気の可能性がある場合は、胃腸薬のOTC医薬品の中で、胃の痛み止めの薬、胃酸過多止めの薬、胸やけ、むかつき止めの薬、消化不良、食欲不振止めの薬のいずれかを6か月間に合計540錠(カプセル、包)以上購入したか否かに設定する。購入理由が「便秘が続く」、「便秘」、「下痢」、「便秘と下痢を繰り返す」、「腹部膨満感」、「血便」、「排便時にすっきりない」等であり、大腸の病気の可能性がある場合は、胃腸薬のOTC医薬品の中で、便秘止め薬、軟便止め薬、下痢止め薬のいずれかを3か月間に合計180錠(カプセル、包)以上購入したか否かに設定する。
【0071】
設定された閾値に達せず、購入履歴の判定基準に合致しない場合、即ち、頭痛(生理痛)や鎮痛(生理痛)の薬を3か月間に合計3個以上、即ち合計180錠(カプセル、包)以上購入していない場合(NOの場合)は、受診勧奨不要と判定する(ステップS26)。
【0072】
ステップS22において、購入履歴の判定基準に合致した場合(YESの場合)、即ち頭痛(生理痛)や鎮痛(生理痛)の薬を3か月間に合計3個以上、即ち合計180錠(カプセル、包)以上購入している場合(YESの場合)は、アラート(専門医監修の問診に移行するためのアラート)が出され、専門医の監修した問診項目による判定処理を行う。
【0073】
図10は第2の判定処理においてアラート出しの処理内容(ステップS21~S22)を説明している。
【0074】
顧客情報の顧客応対履歴データ(図3b参照)から会員ID「12789」の顧客の購入理由は、生理痛であるため、購入履歴の判定基準は、頭痛(生理痛)や鎮痛(生理痛)の薬を3か月間に合計3個以上購入、即ち合計180錠(カプセル、包)以上購入である。購入履歴データ(図4参照)から、この顧客は、1か月にそれ以上の薬を購入しているため、購入履歴の判定基準の閾値に合致することとなり、この顧客にアラート(専門医監修の問診に移行するためのアラート)が出される。
【0075】
専門医の監修した問診項目による判定処理は、前述した第1の判定処理の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。図9のステップS23では、問診結果記憶部12cに記憶されている専門医の監修した問診項目の回答(問診結果)を読み出す。次いで、読み出した問診結果が判定基準に合致しているか否か判別する(ステップS24)。回答(問診結果)の該当率が60%以上である場合は、問診結果の判定基準に合致していると判別する。問診結果の判定基準に合致した場合、即ち回答(問診結果)の該当率が60%以上である場合(YESの場合)は、受診勧奨要と判定し(ステップS25)、該当率が60%以上ではない場合(NOの場合)は、ステップS26へ進み、受診勧奨不要と判定する。
【0076】
なお、回答(問診結果)が要注意の内容であるか否かを判定する閾値として、本実施形態では「該当率が60%以上」を使用しているが、閾値はこの数値に限定されるものではなく、疾病の種類及び問診項目に応じて適宜変更可能である。
【0077】
図11はドラッグストア端末11に表示される、婦人科系の病気に関する受診勧奨しない判定結果を示しており、図12はドラッグストア端末11に表示される、婦人科系の病気に関する受診勧奨する判定結果を示しており、図13はドラッグストア端末11に表示される、病院・クリニック(医療機関)の一覧を示している。
【0078】
図12に示す、婦人科系の病気に関して受診勧奨する判定結果が出された場合、ドラッグストア端末11の「病院・クリニック一覧」のアイコンをクリックすることにより、図13に示す病院・クリニックの一覧が表示され、ドラッグストアの住所又は顧客の住所に比較的近い病院・クリニックを知ることができる。ドラッグストア端末11のアイコンをクリックすることにより、病院・クリニックの地図や詳細を知ることができる。この表示内容はプリントして顧客に渡すことが可能である。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、対象とする顧客について、顧客情報から応対記録に、対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれていると判定し、購入履歴からこの症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診の回答が要注意の内容であると判定した場合に、医療機関への受診勧奨が行われる。さらに、対象とする顧客について、購入履歴記憶部に記憶されている購入履歴から顧客の症状に適応するOTC医薬品を過量に購入したと判定し、かつ、問診の回答が要注意の内容であると判定した場合にも、医療機関への受診勧奨が行われる。このように、本実施形態によれば、ドラッグストアの全ての店において、健康相談の対応や購入履歴から潜在患者を発見し、受診勧奨までを行う「プレホスピタルカウンセリング(登録商標)」を可能とする店頭情報システムが構築される。この店頭情報システムによれば、顧客の日常の買い物行動が分かるポイントカードを利用したデータ(ID-POSデータ)から、OTC医薬品の過量服薬等の適切でない服薬パターンに対して警告を出すことができ、顧客のOTC医薬品購入の際、その薬の服用者、年齢、疾病の症状、既往歴等の基本的な服薬指導に必要な顧客情報を収集・蓄積し、その後の接客の際に常時その情報を活用することができ、専門医の監修による問診項目に一定の基準以上に当てはまる回答パターンに対して警告を出すことによって、特定の疾病の潜在患者を発見することができる。即ち、疾病が重篤化する前の潜在患者を効率良くかつ確実に発見し、早期に医療機関において治療を開始するための受診勧奨を行うことができる。
【0080】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0081】
10 サーバ
11 ドラッグストア端末
12 データベース
12a 顧客情報記憶部
12b 購入履歴記憶部
12c 問診結果記憶部
13 顧客情報判定部
14 購入履歴判定部
15 問診結果判定部
20 顧客
21 販売員
【要約】
【課題】疾病が重篤化する前の潜在患者を発見し、早期に医療機関において治療を開始するための受診勧奨を行うことができ、潜在患者を効率良くかつ確実に発見して受診勧奨を行うことができる受診勧奨システム及び受診勧奨方法を提供する。
【解決手段】受診勧奨システムは、顧客情報判定部が応対記録に対象とする顧客の症状に応じて定まるキーワードが含まれていると判定し、購入履歴判定部がこの症状に適応するOTC医薬品を購入したと判定し、かつ、問診結果判定部が、回答が要注意の内容であると判定した場合に、対象とする顧客に医療機関への受診勧奨を行う。
【選択図】図2
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13