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<図1>
  • 特許-貯留槽 図1
  • 特許-貯留槽 図2
  • 特許-貯留槽 図3
  • 特許-貯留槽 図4
  • 特許-貯留槽 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】貯留槽
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20230628BHJP
   B65D 88/26 20060101ALI20230628BHJP
   B65D 88/68 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
B65G65/48 D
B65G65/48 B
B65D88/26 C
B65D88/68 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019179297
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054598
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(73)【特許権者】
【識別番号】592096111
【氏名又は名称】株式会社ヨシカワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 利幸
(72)【発明者】
【氏名】八村 伸博
(72)【発明者】
【氏名】吉川 篤
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-63369(JP,A)
【文献】実開昭62-11796(JP,U)
【文献】実開昭59-32838(JP,U)
【文献】特開2014-24634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
B65D 88/26
B65D 88/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された原料を貯留すると共に、底部に設けた排出口から該原料を排出する貯留槽であって、
投入された上記原料を貯留し、底部に排出口が設けられた容器状の貯留槽本体と、
上記貯留槽本体の底部における、上記排出口の上方に設けられ、上記原料を上記排出口へ掻き出す撹拌羽根と、
上記底部の内部で且つ上記撹拌羽根の上方に設けられた機械式センサを含む複数のフロースイッチとを備え、
上記複数のフロースイッチにより、上記底部の内部で上記原料の閉塞状態を検知可能に構成されている
ことを特徴とする貯留槽。
【請求項2】
請求項1に記載の貯留槽において、
上記フロースイッチは、先端に板状の感知板が設けられており、該感知板の幅方向が、上記撹拌羽根の回転方向に垂直になるように設けられている
ことを特徴とする貯留槽。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の貯留槽において、
上記撹拌羽根の回転中心は、平面視で上記貯留槽本体の中央に設けられ、
上記フロースイッチは、平面視で上記撹拌羽根の回転範囲と重なる複数位置に設けられている
ことを特徴とする貯留槽。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の貯留槽において、
上記貯留槽本体の底部には、該底部に設けた開口から上記原料が流れ込む外周ポケットが設けられており、
上記撹拌羽根は、上記外周ポケットの内部に流れ込んだ上記原料を該外周ポケットの底面に設けた排出口から排出されるように構成され、
上記フロースイッチは、上記外周ポケットの内部における、平面視で上記撹拌羽根の回転範囲と重なる複数位置に設けられている
ことを特徴とする貯留槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留槽に関し、特にその内部での閉塞対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、国内バイオマス発電に利用される木製ペレット、PKS(パームヤシ殻)などのバイオマス燃料(原料)は、そのほとんどを海外からの輸入に依存しており、発電設備にはそれらを一時貯留するための燃料貯留槽の設置が必須となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、バイオマス燃料は、入荷先、製造ロット等の違いにより、その物性(成分、サイズ、比重、水分、油分量等)が不均一であり、燃料貯留槽の内部において時折予期せぬバイオマス燃料の圧密、付着、固着、ブリッジ等による閉塞事象が発生する。
【0004】
そこで、例えば、特許文献2の廃棄物押込装置では、投入口直下の廃棄物の存否を検知する第1検知器と、ホッパ内の下部及び上部にそれぞれ設けられて廃棄物の存否を検知する第2及び第3検知器と、これらの検知器の信号により、廃棄物のブリッジ現象を解消するブリッジ解除装置とを設けることが知られている。
【0005】
一方、特許文献3のように、焼却炉投入ホッパシュートにおけるブリッジ検知装置として、被焼却物の押圧力により屈曲する屈曲部材を先端部に備えた複数のリミットスイッチを投入ホッパシュートの内部に突出するように配備し、これら屈曲部材の屈伸状態を監視してブリッジ発生の信号を検知するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-30710号公報
【文献】特開昭56-106784号公報
【文献】実開昭59-32838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の貯留槽において、貯留槽のレベル監視に依存する方法では、実際の排出運転に対して貯留槽内部の貯留物の挙動は若干の遅れがあり、一般に検知感度が鈍い。また、貯留物の種類によっては、排出運転時に貯留物の流れが理想的なマスフローとならないことがあり、検知そのものができない場合もある。
【0008】
また、特許文献3のようにリミットスイッチを投入ホッパシュートの内部に突出するように設けると、繰り返し落下してくる投入物との接触摩耗により寿命が短くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、貯留槽内部での原料の閉塞事象を確実に検知して閉塞解除のための処置を速やかに実施できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、撹拌羽根の上方にフロースイッチを配置するようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明では、
投入された原料を貯留すると共に、底部に設けた排出口から該原料を排出する貯留槽を対象とし、
上記貯留槽は、
投入された上記原料を貯留し、底部に排出口が設けられた容器状の貯留槽本体と、
上記貯留槽本体の底部における、上記排出口の上方に設けられ、上記原料を上記排出口へ掻き出す撹拌羽根と、
上記底部の内部で且つ上記撹拌羽根の上方に設けられた機械式センサを含む複数のフロースイッチとを備え、
上記複数のフロースイッチにより、上記底部の内部で上記原料の閉塞状態を検知可能に構成されている。
【0012】
上記の構成によると、フロースイッチは、貯留槽本体底部における、排出口の上方に設けた撹拌羽根の上方に設けられているので、投入された原料の直撃を受けることが避けられ、摩耗影響による機械式センサの損傷リスクが低下する。また、複数のフロースイッチを利用することで、確実に原料の閉塞の検知が可能となる。機械式センサを用いているので、光学式や超音波式センサに比べて誤動作が少なく、閉塞が発生した場合には、直ちに検知される。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記フロースイッチは、先端に板状の感知板が設けられており、該感知板の幅方向が、上記撹拌羽根の回転方向に垂直になるように設けられている。
【0014】
上記の構成によると、板状の感知板が、原料の流れに逆らわずに滑らかに傾斜して原料が流れている否かを確実に検知できる。
【0015】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記撹拌羽根の回転中心は、平面視で上記貯留槽本体の中央に設けられ、
上記フロースイッチは、平面視で上記撹拌羽根の回転範囲と重なる複数位置に設けられている。
【0016】
上記の構成によると、フロースイッチは、投入された原料が直接接触しにくくなって寿命が延び、また、複数のフロースイッチを配置することで、複数の検知信号を利用して撹拌羽根周辺の原料の閉塞を確実に検知できる。
【0017】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記貯留槽本体の底部には、該底部に設けた開口から上記原料が流れ込む外周ポケットが設けられており、
上記撹拌羽根は、上記外周ポケットの内部に流れ込んだ上記原料を該外周ポケットの底面に設けた排出口から排出されるように構成され、
上記フロースイッチは、上記外周ポケットの内部における、平面視で上記撹拌羽根の回転範囲と重なる複数位置に設けられている。
【0018】
上記の構成によると、外周ポケットは貯留槽本体の開口のみで連通し、貯留槽本体内の粉体圧が作用しにくく、また、投入された原料が直撃しないので、寿命が延び、且つ撹拌羽根の近傍なのでフロースイッチの配置場所として適している。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、貯留槽本体底部の内部で且つ撹拌羽根の上方に複数のフロースイッチを設けたことにより、貯留槽内部での原料の閉塞事象を確実に検知して閉塞解除のための処置を速やかに実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1に係るバイオマス燃料貯留槽の一部を破断して拡大して示す正面図である。
図2】本発明の実施形態1に係るバイオマス燃料貯留槽の概要を示す正面図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4】本発明の実施形態2に係るバイオマス燃料貯留槽の一部を破断して拡大して示す正面図である。
図5図4のV-V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態1)
図2は本発明の実施形態1に係る貯留槽としてのバイオマス燃料貯留槽1の概要を示し、このバイオマス燃料貯留槽1は、投入された原料としてのバイオマス燃料を貯留し、底部2aに排出口2dが設けられた容器状の貯留槽本体2を備えている。底部2aは、下方に向かって外径が小さくなるテーパ形状となっている。貯留槽本体2の頂部2bには、バイオマス燃料の投入口2cが設けられている。
【0023】
貯留槽本体2は、例えばフレーム上の脚部3によって支持されており、排出口2dの下端に設けた搬出用コンベヤ4によって排出口2dから排出されたバイオマス燃料が搬出されるようになっている。
【0024】
図1及び図3にも示すように、貯留槽本体2の底部2aの外周には、この底部2a下端に設けた開口2e(図1及び図3に示す)からバイオマス燃料が流れ込む外周ポケット5が設けられている。本実施形態では、この外周ポケット5の円板状底面に排出口2dを2つ設けているが、1つだけ設けてもよい。
【0025】
この外周ポケット5内における、排出口2dの上方には、バイオマス燃料を排出口2dへ掻き出す撹拌羽根6が設けられている。この撹拌羽根6の回転中心は、平面視で貯留槽本体2の中央に設けられている。本実施形態では、撹拌羽根6は、十字状となっており、底面は外周ポケット5の円板状底面に接近し、先端は外周ポケット5の円筒状内周面近傍まで延びている。この撹拌羽根6によって、外周ポケット5の内部に流れ込んだバイオマス燃料を外周ポケット5の底面に設けた排出口2dから排出するように構成されている。撹拌羽根6は、その下方に設けた電動モータ7により所定の速度で回転可能となっている。また図1に示すように、上下に延びる流量調整ボルト8が外周ポケット5内に設けられており、この流量調整ボルト8を回して流量調整板9を上下させ、開口2eから流れ込むバイオマス燃料の流量を調整することができるように構成されている。
【0026】
この外周ポケット5内の撹拌羽根6の上方には、機械式センサを含む複数のフロースイッチ10が設けられている。本実施形態では、図3に示すように、複数のフロースイッチ10は、外周ポケット5の内部における、平面視で撹拌羽根6の回転範囲と重なる複数位置に設けられている。例えば、図1に示すように、フロースイッチ10には、先端に適度に撓む板状の感知板11が設けられており、この感知板11の幅方向が、撹拌羽根6の回転方向に垂直になるように設けられている。感知板11の形状は、図1に示すように末広がりになっていてもよいし、図4に示すように、矩形状でもよい。2つのフロースイッチ10は、例えば、1つはメインの排出口の上方に設けられ、もう1つは撹拌羽根6の回転軸を挟んで反対側に設けられている。なお、フロースイッチ10の数は3つ以上でもよく、外周ポケット5内でかつ、撹拌羽根6の上方であれば、その位置も限定されない。これら複数のフロースイッチ10の感知板11が所定角度以上傾くことで、機械式センサが反応して、底部2aの内部でバイオマス燃料の閉塞状態を検知可能に構成されている。このフロースイッチ10の検知情報は、図示しない制御盤などの制御装置に伝達されるようになっている。
【0027】
次いで、本実施形態のフロースイッチ10の作動について簡単に説明すると、バイオマス燃料は、貯留槽本体2の頂部2bの投入口2cから適宜投入されるが、フロースイッチ10は、開口2eよりも下方の外周ポケット5内に設けられているので、投入されたバイオマス燃料の直撃を受けることが避けられ、摩耗影響による機械式センサの損傷リスクが低下する。
【0028】
そして、バイオマス燃料が開口2eから外周ポケット5内に流れ込んでくると、一対の感知板11がそれぞれ所定角度(例えば10~25°)よりも傾斜し、各フロースイッチ10によってバイオマス燃料が存在することが検知される。
【0029】
そして、バイオマス燃料の排出時には、制御装置が電動モータ7を駆動して撹拌羽根6を駆動させ、排出口2dからバイオマス燃料を排出し、搬出用コンベヤ4で搬出する。このとき、バイオマス燃料が滑らかに排出されると、一対のフロースイッチ10の感知板11は傾いた状態を維持してバイオマス燃料を検知したままなので、バイオマス燃料の閉塞は発生していないことが検知される。
【0030】
一方、一対のフロースイッチ10のうちどちらか一方の近傍で閉塞があった場合には、フロースイッチ10の周辺に空洞ができ、感知板11が所定の傾斜角度よりも緩くなる。すると、その検知信号が、制御装置に伝達される。この検知信号が所定時間だけ継続すると、バイオマス燃料が閉塞されていると判断し、図示しない報知手段等を通じてユーザに通知される。この通知を受けてユーザは、閉塞を解消する作業を行う。
【0031】
このように、本実施形態では、複数のフロースイッチ10のいずれかでバイオマス燃料の閉塞を検視することで、確実にバイオマス燃料の閉塞の検知が可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、感知板11の幅方向を撹拌羽根6の回転方向に垂直になるように設けたので、感知板11が、バイオマス燃料の流れに逆らわずに滑らかに傾斜してバイオマス燃料が流れている否かを確実に検知できる。
【0033】
さらに本実施形態では、フロースイッチ10は、投入されたバイオマス燃料が直接接触しにくくなって寿命が延びる。
【0034】
したがって、本実施形態に係るバイオマス燃料貯留槽1によると、貯留槽本体2内部でのバイオマス燃料の閉塞事象を確実に検知して閉塞解除のための処置を速やかに実施できる。このため、設備の信頼性が向上し、予備貯留槽廃止による設備のイニシャルコストを低減できる。また、貯留槽排出機、排出支援機器の効率的な運用が可能となり、設備ランニングコストを低減できる。さらに、貯留槽本体2の閉塞事象を確実に把握することで、設備のメンテナンスコストを低減できる。
【0035】
(実施形態2)
図4及び図5は、本発明の実施形態2を示し、主に撹拌羽根106及びその周辺の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1図3と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態では、上記実施形態1のような外周ポケット5は設けられておらず、貯留槽本体2の底部2aの下端に撹拌羽根106を収容する撹拌羽根収容部105が設けられている。
【0037】
本実施形態では、電動モータ107は、底部2aの内部中央に収容されており、このことで、撹拌羽根106の回転中心は、平面視で貯留槽本体2の中央に位置している。撹拌羽根106は、例えば、平面視で湾曲した形状を有し、本実施形態のフロースイッチ10は、平面視で撹拌羽根106の回転範囲と重なる複数位置に設けられている。本実施形態では、一対のフロースイッチ10の感知板11は、平面視で排出口2dの外周よりも少し半径方向外側の対向する位置に設けられているが、図4及び図5に二点鎖線で示すように、例えば、底部2a内面の近傍に設けられていてもよい。本実施形態でも、フロースイッチ10は、3つ以上設けられていてもよい。
【0038】
本実施形態でも、投入されたバイオマス燃料が直撃しないので寿命が延びると共に、複数のフロースイッチ10により、貯留槽本体2内でのバイオマス燃料の閉塞を容易に検知することができる。
【0039】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0040】
例えば、上記実施形態では、原料としてバイオマス燃料の場合について説明したが、原料は、バイオマス原料に限定されず、例えば、廃プラ、石炭等ブリッジが発生しやすい材料でもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 バイオマス燃料貯留槽(貯留槽)
2 貯留槽本体
2a 底部
2b 頂部
2c 投入口
2d 排出口
2e 開口
3 脚部
4 搬出用コンベヤ
5 外周ポケット
6 撹拌羽根
7 電動モータ
8 流量調整ボルト
9 流量調整板
10 フロースイッチ
11 感知板
105 撹拌羽根収容部
106 撹拌羽根
107 電動モータ
図1
図2
図3
図4
図5