(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】自動車用芳香剤容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20230628BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
B65D83/00 F
B65D85/00 A
(21)【出願番号】P 2019002493
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2018004099
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592060112
【氏名又は名称】晴香堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 佳三
(72)【発明者】
【氏名】豊田 暁
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02653171(EP,A1)
【文献】米国特許第04419326(US,A)
【文献】特開2011-050658(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02526366(GB,A)
【文献】国際公開第2012/029504(WO,A1)
【文献】米国特許第04915301(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 85/00
A61L 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体芳香剤を収納する容器と、
前記容器の口に嵌合する中蓋と、
前記中蓋に貫設され、前記容器の高さより高い複数のリード材と、
前記容器に固定された状態で、少なくとも1か所以上の開口部が設けられたカバーを有し、
前記中蓋の底には一部を切り残して円形状に切れ目を入れて形成された
複数の貫通孔が設けられ、前記円形状部分は前記リード材が前記貫通孔に貫設される際に、貫設される方向を規制し、前記リード材を前記貫通孔に押し付ける付勢を有するガイドとなることを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】
前記カバーの上端は、前記中蓋に貫設された前記リード材の上先端より高いことを特徴とする請求項1に記載された芳香剤容器。
【請求項3】
前記貫通孔を通り、前記ガイドによって規制された前記リード材の少なくとも1本の下端は、前記容器の低い部分に配置されることを特徴とする請求項1または2の何れかの請求項に記載された芳香剤容器。
【請求項4】
前記ガイドは、前記中蓋に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一の請求項に記載された芳香剤容器。
【請求項5】
前記ガイドは、前記中蓋において高さ方向の異なる位置に設けられた一対の貫通孔であることを特徴とする請求項4に記載された芳香剤容器。
【請求項6】
前記中蓋には空気孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一の請求項に記載された芳香剤容器。
【請求項7】
前記容器の外底はフラットな部分を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一の請求項に記載された芳香剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用芳香剤の容器に係るものであり、特にリードディフューザーと呼ばれる芳香剤容器を自動車内で用いる芳香剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生活空間を快適なものとするために、香りを生活空間に発散させることが普及している。例えば、特許文献1は、容器に入れられた液体芳香剤を平たく長い複数本の短冊状木製板材(リード)で吸い上げ空気中に発散させる芳香発散装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2は、少なくとも2本の竹棒が、少なくとも1つの結束部材を用いて束ねられ、竹棒の上部は、折曲げ又は編込み加工により輪っか状に成形された輪っか部を備え、竹棒の下部を液体芳香剤に浸たすことにより、輪っか部から液体芳香剤を拡散させる液体芳香剤ディフューザーが開示されている。
【0004】
一方、生活空間の一部ともいえる自動車内においても、香りを発散させることが行われている。自動車の場合は、走行中の振動などがあるため、仮に容器が倒れても液体芳香剤が漏れ出ないような工夫がされている。また、容器自体が倒れないように固定する工夫もされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3119834号公報
【文献】実用新案登録第3210701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2のように、液体芳香剤をリードで吸い上げ発散させるタイプ(所謂リードディフューザー)のものは、リードの本数を調整することで発散量の調整が容易である。また、リードが容器より高い位置に配置されるので、芳香剤の発散容器としては、望ましい。
【0007】
しかし、リードが容器より上方にまで伸び、容器の口の部分でリードが動き回れることができるため、安定性が悪い。また、容器の口も開いたままで使用されるため、容器自体に振動等が加わると、液体芳香剤がこぼれやすいといった問題もあった。また、複数のリードは、先端が空中に突設されているため、自動車の中では乗員にあたるおそれもある。さらに、リードは、振動で容器から飛び出るおそれさえある。したがって、リードディフューザータイプの芳香剤容器は、自動車用としては、使用されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて想到されたもので、リードを使っていても、安定性があり、液が漏れにくい自動車用芳香剤容器を提供するものである。
【0009】
より具体的に本発明に係る芳香剤容器は、
液体芳香剤を収納する容器と、
前記容器の口に嵌合する中蓋と、
前記中蓋に貫設され、前記容器の高さより高い複数のリード材と、
前記容器に固定された状態で、少なくとも1か所以上の開口部が設けられたカバーを有し、
前記中蓋の底には一部を切り残して円形状に切れ目を入れて形成された複数の貫通孔が設けられ、前記円形状部分は前記リード材が前記貫通孔に貫設される際に、貫設される方向を規制し、前記リード材を前記貫通孔に押し付ける付勢を有するガイドとなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る芳香剤容器は、リード材が容器の口に嵌合する中蓋に貫設されるため、リード材が固定される。さらに、容器の口の部分で、リード材がない部分は中蓋が空間を塞ぐことになるので、仮に容器が倒れても容器中の液体芳香剤がこぼれることが少ない。
【0011】
また、リード材の差し込み方向を中蓋部分に設けたガイドで規制できるため、容器の内底に均一にリード材を差し込むことができる。また、容器の内面の底の縁にリード材の下端を容易に配置することができるため、容器の内底面を中央が盛り上がる構造にしておくことで、液体芳香剤を全てリード材で吸い上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明に係る芳香剤容器の斜視図および側面図である。
【
図5】中蓋(芯押さえ)の拡大図と、舌片が折り曲げられた状態を示す図である。
【
図10】他の形態の中蓋の底方向からの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明に係る芳香剤容器について図面および実施例を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。また、本明細書において、上下は、重力方向の上下をいい、芳香剤容器は、水平面に置かれているとして説明する。
【0014】
図1に本発明に係る芳香剤容器の組立図を示し、
図2(a)に組みあがった芳香剤容器の透視斜視図、
図2(b)に透視側面図を示す。本発明に係る芳香剤容器1は、液体芳香剤を充填する容器10と、中蓋12と、リード材14と、カバー16を含む。
【0015】
容器10はガラス、プラスチック、金属といった材質が利用できる。内容量の残量を容易に確認できるためには、透明な材料が望ましい。容器10は、口10a、胴体10b、肩10c、内底10d、外底10eを少なくとも有する。
【0016】
容器10の口10aは、容器10の胴体10bよりは狭く形成することができる。本発明に係る芳香剤容器1は、容器10から飛び出るリード材14をカバー16内に収納するので、カバー16と容器10の嵌合の余裕が必要な場合もあるからである。容器10の肩10cは、口10aが、胴体10bと同じ若しくは胴体10bより細くなれば、必然的に形成される。
【0017】
なお、口10a若しくは肩10cには、カバー16との嵌合部(図示せず)が設けられていてもよい。カバー16は、口10a若しくは肩10cと直接的若しくは間接的に嵌合、螺合若しくは他の係止方法で固定される。ここで間接的とは、他の部材を介して、カバー16と容器10が固定されることをいう。結果、カバー16は容器10に固定される。この固定は、着脱可能に固定されていてもよいし、接着、溶接、カシメといった半永久的な固定であってもよい。
【0018】
容器10の内底10dは容器10の内部の底をいう。また外底10eは、容器10の外部の底をいう。したがって、内底10dと外底10eは対向する関係にある。容器10の内底10dは、平坦でなく、高い部分10dHと低い部分10dL(
図3参照)が存在し、高い部分10dHから低い部分10dLになめらかに変化する形状であるのが望ましい。内部の液体芳香剤の残量が少なくなった時に、必ず低い部分10dLに液体芳香剤が集まるようにしておくことで、液体芳香剤を吸い取りやすくするためである。
【0019】
例えば、
図3(b)を参照する。高い部分10dHを内底10dの中央部に設け、低い部分10dLを内底10dの周囲に設ける。このようにすると、液体芳香剤は最後に必ず内底10dの周囲に集まる。また、
図3(a)を参照して、高い部分10dHを内底10dの周囲に設け、低い部分10dLを内底10dの中央部分に設けてもよい。このようにすると、液体芳香剤は最後に必ず内底10dの中央部に集まる。
【0020】
したがって、リード材14の少なくとも1本の下端をこの低い部分10dLに配置できるようにすることで、液体芳香剤を最後までリード材14で吸い上げることができる。なお、高い部分10dHおよび低い部分10dLは1つの容器10内に複数あってもよい。
【0021】
一方、容器10の外底10eは、フラットな部分を有するように形成されているのがよい。この部分には、両面テープ等を貼り付けることで、自動車内のダッシュボード等に固定するためである。フラットな部分は、外底10eを全面に亘って平坦に形成してもよい。また、外底10eの中央部を容器10の口10aに向かって隆起させ、その隆起の周囲を平坦に形成してもよい。
【0022】
胴体10bの形状には、特に限定はない。胴体10bの水平方向の断面は円形であってもよいし、方形、正方形、楕円形といった形状であっても好適に利用できる。また、胴体10bの断面積は、内底10dからの高さで変化していてもよい。また、内底10dからの高さで断面の形状が変化してもよい。
【0023】
再び
図1および
図2を参照する。リード材14は、木製板、木製棒が好適に用いられる。特に、木製棒が好ましい。なお、リード材14は、毛細管現象で容器10内の液体芳香剤を吸いあげる。したがって、容器10内の液体芳香剤を吸い上げることができれば、木製に限定されるものではない。例えば、樹脂、人口繊維、不織布、織布等を素材とすることができ、紙であってもよい。また、複数の素材の複合材であってもよい。
【0024】
リード材14は少なくとも容器10の内高さ(内底10dから口10aまでの長さ)より長いのが望ましい。容器10内の液体芳香剤を吸い上げ、容器10の口10aより上方で芳香剤を揮発させるためである。リード材14は複数本用いることができる。リード材14を複数本用いるようにすると、リード材14の本数によって揮発量を調整できる。
【0025】
また、リード材14は、細身のものが好ましく利用できる。容器10内の液体芳香剤の残量が少なくなっても、吸い上げることができるからである。リード材14の太さとしては、直径1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上8mm以下であれば、より好ましい。また3mm以上5mm以下であれば最も好ましい。
【0026】
中蓋12は、容器10の口10aを塞ぎ、かつリード材14を貫設させる。ここでは、芯押さえ22が中蓋12に相当する。また、芯押さえ22を固定するためにネジ栓20を用いる例を示す。しかし、中蓋12は単体で容器10の口10aに固定されてもよい。芯押さえ22は、容器10の口10aに一部が挿設され、縁22aで口10aに掛止される。ネジ栓20は、内側にメスネジが形成されており、容器10の口10aの外側に設けられたオスネジと螺合することで、容器10に固定される。またネジ栓20は、内側に抑え20aが設けられており、口10aに掛止した芯押さえ22を口10aとの間で挟持する。
【0027】
図4に芯押さえ22を示す。
図4(a)は芯押さえ22の上方視平面図である。
図4(b)は、下方視平面図である。
図4(c)は下方よりの斜視図である。また、
図4(d)は、
図4(a)のB-B断面であり、
図4(e)は
図4(a)のC-C断面である。
【0028】
芯押さえ22は縁22aと、容器10の口10aから容器10内に挿入される挿入部22bで構成される。挿入部22bの底22bbには、6つの貫通孔22cと中央に空気孔22dが形成されている。貫通孔22cは、一部が底22bbに接続した状態で、残りの部分に切れ込みが施されている。すなわち、一部に切り残し22crがあるまま円状に切れ目を入れてある。円状に残った部分を舌片22caと呼ぶ。
図5(a)には、この部分の拡大図を示す。舌片22caは貫通孔22cをほとんど塞いでいる。切り残し22crは、舌片22caと挿入部22bの底22bbとを繋ぐ部分である。
【0029】
図5(b)および
図5(c)に、この芯押さえ22の貫通孔22cにある舌片22caが容器10の外側から容器10の内側に押し込まれた様子を示す。実際には、この舌片22caの押し込みは、リード材14によって行われる。
【0030】
このように、リード材14が、中蓋12(芯押さえ22)に貫設される際には、舌片22caを押し下げて貫設される。言い換えると、リード材14が貫設されていない貫通孔22cは、舌片22caが貫通孔22cを塞いだ状態になっている。したがって、容器10が過度の振動で倒れてしまっても、容器10の中の液体芳香剤は漏れ出しにくい。
【0031】
また、リード材14が貫設された際には、舌片22caは、元の位置に戻ろうとしてリード材14を貫通孔22cに押し付けるように付勢し、リード材14の動きを制限する。そのため、リード材14は貫設される方向が規定され固定される。したがって、リード材14が振動で動き回る若しくは、貫通孔22cから飛び出てしまうといった事態が抑制される。このように、リード材14の挿入方向と動きを制限する部分をガイド30と呼ぶ。
図5の場合は、ガイド30は、中蓋12(芯押さえ22)の貫通孔22cに設けられた舌片22caである。
【0032】
中蓋12に一部を残して下方に折れ込む舌片22caは、ガイド30が取り得る態様の一つであると言ってもよい。ガイド30は、リード材14の動きを規制するものであれば、
図5に示した中蓋12(芯押え22)の舌片22ca以外の態様であってもよい。例えば、ガイド30は、
図5(b)および
図5(c)に示すように、貫通孔22cの下方にリード材14の挿入方向を規定する舌片22caが所定の角度で開いたままの状態のものであってもよい。
【0033】
また、中蓋12をスポンジ等の可撓性、伸縮性のある材料で形成し、貫通孔22cの位置に切れ込みを入れておけば、リード材14が通過することができ、さらに、切れ目の入れる方向でリード材14の挿入方向をある程度規制することができる。ガイド30はこのような形態であってもよい。
【0034】
また、ガイド30は、カバー16の内面若しくは上面に予め設けたリード材14の一部を係止できる突起等であってもよい。なお、カバー16の上面は本明細書の説明では開口部16aとしているが、カバー16の上面を塞いだ場合にはガイド30をカバー16の上面に設けることもできる。
【0035】
また、容器10の内底10dにリード材14の下端を固定する凹みであってもよい。また、カバー16内に網状のリード材14の規制を設けてガイド30としてもよい。すなわち、ガイド30は、芳香剤容器1内であれば、どこに設けられていてもよい。
【0036】
また、ここで、リード材14の挿入される方向若しくは貫設される方向を規制するとは、完全にリード材14を固定していなくてもよく、リード材14の下先端が容器10の低い部分10dLの方向に向かえばよい。言い換えると、ガイド30と容器10の低い部分10dLでリード材14が保持されているともいえる。
【0037】
切り残し22crの位置は、貫通孔22c毎に異なるようにするのが好適である。
図6(a)に芯押さえ22の底22bbの拡大図を示す。なお、空気孔22dは記載を省略している。また、舌片22caは、舌片22ca1だけを符号で示し、他の舌片の符号は省略している。芯押さえ22の底22bbには、6つの貫通孔22cが形成されている。これらの貫通孔22cをそれぞれ貫通孔22c1から貫通孔22c6とする。また、舌片22caを底22bbに繋ぎとめる切り残し22crもそれぞれ切り残し22cr1から切り残し22cr6とする。芯押さえ22の底22bbを固定し、上側を0°として、時計回りに角度を言う事とする。また、切り残し22crの角度は、舌片22caから芯押さえ22に向かう方向を言うものとする。
【0038】
貫通孔22c1の切り残し22cr1は、270°の位置にある。また、貫通孔22c2の切り残し22cr2は330°の位置にある。同様に、貫通孔22c3の切り残し22cr3は30°の位置、貫通孔22c4の切り残し22cr4は90°の位置、貫通孔22c5の切り残し22cr5は150°の位置、貫通孔22c6の切り残し22cr6は210°の位置にそれぞれ設けられている。したがって、貫通孔22c毎に舌片22caの折れ込み方向が異なる。すなわち、リード材14毎に挿入される方向が異なる。
【0039】
貫通孔22c毎に舌片22caの折れ込み方向が異なるようにすることで、リード材14が互いに干渉することなく容器10内に挿入され、固定させる(貫設される)ことができる。
図6(b)は、芳香剤容器1を上方視した平面図である。リード材14は舌片22caの規制に従って、中蓋12(芯押さえ22)に貫設されている。
【0040】
特に、容器10の内底10dが円形の場合で、内底10dの低い部分10dLが内底10dの縁に設けられている場合は、リード材14の下端が低い部分10dLに均等に配置され、容器10中の液体芳香剤を全て吸い上げることができる(
図2(a)参照)。なお、ガイド30によって、内底10dの低い部分10dLへ下端を誘導されるリード材14は、少なくとも1本あればよい。
【0041】
次に
図7から
図10を用いて、他の形態のガイド30を有する中蓋42を示す。
図7は、中蓋42の斜視図である。より具体的には、
図7(a)は、中蓋42の上方向から見た斜視図であり、
図7(b)および(c)は下方からの斜視図である。
図8は、中蓋42の平面図および断面図である。より具体的には、
図8(a)は、中蓋42の上方視平面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のB-B断面図であり、
図8(c)は
図8(a)のA-A断面を示す。
図9は、中蓋42の側面図(
図9(a))とその一部拡大図(
図9(b))である。また、
図10は、中蓋42の底方視平面図である。
【0042】
図8を参照して、中蓋42は、中蓋上部44と中蓋下部46を連結部45で連結された構造となっている。
【0043】
中蓋上部44は、
図4などで説明した中蓋12(芯押え22)と類似したもので、縁44a、挿入部44bの底44bb、貫通孔44cを有している。一方、中蓋下部46は、縁のついたディスク形状をしており、中蓋上部44同様に貫通孔46cがその表面に形成されている。連結部45は、中蓋上部44と中蓋下部46の中央部分を連結する。中蓋上部44の底44bbの径44bbwおよび中蓋下部46の径46wよりも連結部45の径45wは狭く形成されている。
【0044】
図8(b)を参照して、中蓋上部44の貫通孔44cと中蓋下部46の貫通孔46cは、円周方向でわずかにずれる(
図9も参照)。
図8(b)では、貫通孔44cと貫通孔46cが、tだけずれていることを表している。そのため、貫通孔44cと貫通孔46cの中心は、鉛直方向(中蓋42の上下方向)からθだけずれる。
【0045】
したがって、リード材14を貫通孔44cと貫通孔46cに挿入していくと、
図6(b)に示したように、上面視放射状に貫設される。
図9(b)では、中蓋42を側面視した際にリード材14が露出することを点線で示した。また、中蓋42において、高さ方向で設置位置が異なる地点でリード材14を保持しているので、一度貫設されたリード材14が動くことはない。
【0046】
上記のように、貫通孔44cと貫通孔46cは中蓋42において、高さ方向が異なる位置に設けられた一対の貫通孔44cと46cは、リード材14の挿入方向と動きを制限するので、ガイド30といってよい。
【0047】
なお、中蓋下部46の貫通孔46cには、リード材14が貫設された際の傾き方向以外の部分に規制壁46fが設けられていてもよい(
図7(b)、
図7(c)、
図10も参照)。規制壁46fを設けることにより、リード材14を貫通孔44cを通して貫通孔46cに挿入する際に、挿入方向がぶれることが抑制される。
【0048】
また、貫設されたリード材14の動きも、より強く規制されることとなる。このような構成は、どのような人がリード材14を中蓋42に貫設する際にも、同じ位置に貫設させることができるという効果を奏する。言い換えると、組み立てる人によって、リード材14の配置や貫設状態が変化することがない。結果、安定した商品を提供することができる。
【0049】
また、中蓋上部44の貫通孔44c若しくは中蓋下部46の貫通孔46cには、規制壁46fに変えて、
図5(c)で示した舌片22caを設けてもよい。舌片22caはリード材14に付勢をかけ、リード材14の動きを抑制するからである。また、中蓋42は、
図8で示したように、中央に空気孔42dが形成されていてもよい。中蓋42の空気孔42dは、中蓋上部44の空気孔44dと中蓋下部46の空気孔46dで構成される。
【0050】
図7から
図10で説明した中蓋42は、高さ方向の異なる位置に設けられた貫通孔44c、46cをガイド30として利用できる中蓋である。中蓋42のような構成は、上下抜きの金型と、横抜きの金型の組み合わせによって、1回の射出成型で形成することができる一体型部材となるので、大変効率的に製造することができ、コストも低減することができる。
【0051】
なお、中蓋42において高さ方向の異なる位置に貫通孔を設け、ガイド30とする構成は、
図7から
図10で示した構成に限定されないのは、いうまでもない。そして、高さ方向に異なる位置に貫通孔を設ける構成は、中蓋42のように1回の射出成型でできるものだけでなく、複数の部品を組み合わせて高さ方向に異なる位置に貫通孔を設ける構成にしてもよい。
【0052】
再び
図1、
図2を参照する。カバー16は、容器10の口10a若しくは肩10cに掛止される。図では、中蓋12を構成するネジ栓20の外側をカバー16の下端の内側に嵌入することで、カバー16は、固定される。カバー16は、容器10の口10aや、肩10c、胴体10bに直接固定する場合を含め、このように他の部材(ここではネジ栓20)を介して間接的に固定される場合でも、容器10に固定されると言ってよい。
【0053】
カバー16は、少なくとも中蓋12に貫設されたリード材14の容器10から飛び出た部分を覆う高さ16hを有するのが望ましい。すなわち、カバー16の上端16eは、中蓋12に貫設されたリード材14の上先端より同じ若しくは高い位置にある。このようにすることで、容器10から飛び出たリード材14の上先端が利用者(ここでは乗員)に当たることを防止できる。ただし、リード材14の上先端がカバー16の高さ16hより高く設定することを排除しない。
【0054】
また、カバー16は少なくとも1つ以上の開口部16aが設けられる。開口部16aは、カバー16の内側と外側を繋ぐ貫通孔である。リード材14から揮発する芳香剤をカバー16から外側に放出するためである。ここでは、開口部16aは、カバー16の上端を開放した状態で構成している。開口部16aは、カバー16の側面にスリット状の開口部16aを設けるなどしてもよい。また、中蓋12に貫設されたリード材14の容器10から飛び出した部分を、全部覆うようにカバー16の高さ16hを設定し、カバー16の上部を塞いだ状態で、開口部16aをカバー16の側面にスリット状に設けてもよい。
【0055】
以上のように構成された芳香剤容器1の作用について説明する。容器10には、液体芳香剤が充填される。容器10の口10aには、中蓋12(本説明では芯押さえ22)で蓋がされている。中蓋12には、リード材14が貫設されており、リード材14の下端は容器10の内底10dの低い部分10dLに設置される。これによって、容器10内の液体芳香剤は、全ていずれかのリード材14によって吸い上げられる。
【0056】
また、リード材14は中蓋12に貫設されているので、貫通部分は隙間があっても狭く、容器10が倒れても、液体芳香剤は漏れ出しにくい。一方、中蓋12による密閉度が高すぎると、リード材14が液体芳香剤を吸い上げにくくなる。そのため中蓋12には空気孔22dが設けられている。空気孔22dは小さい孔なので、ここからも液体芳香剤は漏れ出しにくい。
【0057】
中蓋12には、リード材14の貫設方向を規制するガイド30(ここでは、舌片22caや高さの異なる位置に設けた一対の貫通孔等)が設けられている。したがって、リード材14が振動で動いたり、飛び出すということが抑制されている。また、ガイド30を芯押さえ22の舌片22caのように構成すると、リード材14が貫設されていない箇所は、舌片22caで貫通孔22cを閉じておくことができる。したがって、全ての貫通孔22cにリード材14が貫設されていない場合でも、容器10内の液体芳香剤が振動で漏れ出すおそれがない。なお、舌片22caで貫通孔22cを閉じるというのは、完全に気密若しくは液密でなくてもよい。
【0058】
カバー16は、容器10の口10aから突設されるリード材14の上先端を覆うので、乗員にリード材14の上先端が接触するといった危険がない。
【0059】
また、容器10の外底10eが平坦であれば、両面テープなどで、ダッシュボード上に芳香剤容器1を固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の芳香剤容器は、自動車の車内に載置して、車内に安全に芳香剤を放出することができる。また、本発明に係る芳香剤容器は、室内など自動車以外の場所で利用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 芳香剤容器
10 容器
10a 口
10b 胴体
10c 肩
10d 内底
10dH 高い部分
10dL 低い部分
10e 外底
12 中蓋
14 リード材
16 カバー
16a 開口部
16h 高さ
16e 上端
20 ネジ栓
20a 抑え
22 芯押さえ(中蓋12)
22a 縁
22b 挿入部
22bb 底
22c 貫通孔
22d 空気孔
22cr 切り残し
22ca 舌片
30 ガイド
42 中蓋
42d 空気孔
44 中蓋上部
44a 縁
44b 挿入部
44bb 径
44bbw 底幅
44c 貫通孔
44d 空気孔
45 連結部
45w 連結部の径
46 中蓋下部
46d 空気孔
46f 規制壁