(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】養殖貝の固着ばらし装置及び養殖貝固着ばらし方法
(51)【国際特許分類】
A01K 61/55 20170101AFI20230628BHJP
【FI】
A01K61/55
(21)【出願番号】P 2019221880
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】300021002
【氏名又は名称】株式会社森機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】森 光典
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-85904(JP,A)
【文献】登録実用新案第3103202(JP,U)
【文献】実開昭51-159398(JP,U)
【文献】特開平2-203974(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1466523(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖籠の内部において異物貝の足糸によって固着させられた養殖貝を固着から解放するための養殖貝固着ばらし装置であって、
養殖籠の網面の複数箇所を外側から順次押し込むことにより養殖貝及び/又は異物貝を動かすことができ、それによって異物貝の足糸を切断するように構成された、複数の押込部材を備える
養殖貝固着ばらし装置。
【請求項2】
前記複数の押込部材の各々は、養殖籠の網面まで順次移動するようになっており、
網面まで移動した前記複数の押込部材の各々が網面の複数箇所を外側から押し込むことを特徴とする、
請求項1に記載の養殖貝固着ばらし装置。
【請求項3】
前記複数の押込部材のうちの幾つかずつで構成される押込部材群を各々が含む複数の押込部を有し、
前記複数の押込部の各々は、養殖籠の網面まで順次移動するようになっており、
網面まで移動した前記複数の押込部の各々に含まれる前記押込部材群が網面の複数箇所を外側から押し込むことを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の養殖貝固着ばらし装置。
【請求項4】
前記複数の押込部の各々は、前記押込部材群と、該押込部材群における押込部材の各々が互いに間隔をもって取り付けられたシャフトとを有し、前記シャフトの両端は、前記シャフトの長さ方向に間隔をもって配置された2つの基板の各々の縁部に取り付けられており、
前記複数の押込部は、前記2つの基板がそれらの中心軸線に沿って回転するのに伴って網面まで順次移動することを特徴とする、
請求項3に記載の養殖貝固着ばらし装置。
【請求項5】
前記複数の押込部と、前記2つの基板と、前記2つの基板の中心軸線に沿って該2つの基板の間にわたされた回転軸とを各々が含む押込ローラが、複数設けられたことを特徴とする、
請求項4に記載の養殖貝固着ばらし装置。
【請求項6】
養殖籠の内部において異物貝の足糸によって固着させられた養殖貝を固着から解放するための養殖貝固着ばらし方法であって、
養殖籠の網面の複数箇所を外側から押し込むことで養殖貝及び/又は異物貝を動かすことによって異物貝の足糸を切断する工程を含む、
養殖貝固着ばらし方法。
【請求項7】
養殖籠を回転させる工程をさらに含む、請求項6に記載の養殖貝固着ばらし方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養殖貝を養殖するための養殖籠の内部で、シュウリ貝などの異物貝が出す足糸によって養殖籠に固着させられた養殖貝を、固着から解放するための養殖貝固着ばらし装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
カキ貝などの養殖貝は、例えば
図1に示されるような養殖籠Bに入れた状態で海中に保持して、成長させる場合がある。
図1に示される養殖籠Bは、環状の2つの枠体B1に網B2が被せられて略円柱形状となった本体と、本体の一方の開口底面B3に網を巾着状に絞って形成される口部B5とを有する構造を備える。一般的に用いられる養殖籠Bは、直径50cm程度、高さ25cm程度のサイズである。養殖貝は、巾着状の口部B5を開いて出し入れされる。通常、
図1の養殖籠B(一般に単段籠といわれる)は、開口底面B3を上向きに、網が張られた底面B4を下向きにして複数個が縦につなげられ、連段籠BSとなるようにして海中に保持される。
【0003】
海中に保持された養殖籠には、海洋生物が大量に付着し、成長する。中でも特に問題となるのはシュウリ貝である。シュウリ貝は、養殖籠の網面に付着し、強度の高い多量の「足糸」を放射状に伸ばして、自らを網面に固着させる。複数のシュウリ貝から放射状に伸びる多数の足糸は、網面だけではなく養殖貝や他のシュウリ貝にも網目状に張り巡らされ、養殖籠全体を覆うことがある。足糸が養殖籠全体に張り巡らされると養殖籠の口部が開かなくなり、口部が開いたとしても内部の養殖貝が全周方向から伸びている多数の足糸によって網面に固着しているため、養殖貝を内部から取り出すことが困難である。
【0004】
養殖貝を養殖籠から取り出すために、例えば養殖貝がカキ貝の場合には、海中から引き揚げた養殖籠を70°C前後の湯に数十秒間漬けることによって、シュウリ貝のみを死滅させる方法が行われる場合もある。しかしながら、この方法は、船上で大量の海水を短時間に加熱し、多くの養殖籠を海中から引き揚げて温海水に漬ける作業が必要である。
【0005】
現在、養殖籠から養殖貝を取り出す場合には、足糸を引きちぎったり、小刀や草取り用の鍬のような道具を用いて手作業で足糸を掻き落としたりする作業を行っている。しかし、大量の養殖籠をこうした手作業によって処理することは、極めて重労働であり、手首を負傷する可能性があるとともに、養殖籠の網を切断するおそれもある。足糸が張り巡らされた養殖籠から養殖貝を取り出すために開発された装置は、従来存在しておらず、先行技術文献も存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、養殖貝を養殖籠から容易に取り出すことができるように、異物貝の足糸によって固着させられた養殖貝を固着から解放するための装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、足糸の弾力性が極めて低いため、長さ方向に引き伸ばされると僅かな力でも切断することができるとの知見に基づいてなされたものである。
本発明は、その一態様において、養殖籠の内部において異物貝の足糸によって固着させられた養殖貝を固着から解放するための養殖貝固着ばらし装置を提供する。この装置は、養殖籠の網面の複数箇所を外側から順次押し込むようになっている複数の押込部材を備えており、この複数の押込部材が網面の複数箇所を押し込むことによって養殖貝及び/又は異物貝を動かし、それにより異物貝の足糸を切断することができる。
【0008】
一実施形態において、複数の押込部材の各々は、養殖籠の網面まで順次移動し、網面まで移動した複数の押込部材の各々が網面の複数箇所を外側から押し込むことができるようになっている。別の実施形態において、本装置は、複数の押込部材のうちの幾つかずつで構成される押込部材群を各々が含む複数の押込部を有するものとすることができる。複数の押込部の各々は、養殖籠の網面まで順次移動し、網面まで移動した複数の押込部の各々に含まれる押込部材群が網面の複数箇所を外側から押し込むことができるようになっている。
【0009】
一実施形態においては、複数の押込部の各々は、押込部材群と、該押込部材群における押込部材の各々が互いに間隔をもって取り付けられたシャフトとを有するものとすることができる。シャフトの両端は、シャフトの長さ方向に間隔をもって対向配置された2つの基板の各々の縁部に取り付けられることが好ましい。複数の押込部は、2つの基板がそれらの中心軸線に沿って回転するのに伴って網面まで順次移動するように構成されていることが好ましい。一実施形態においては、本装置は、複数の押込部と、2つの基板と、2つの基板の中心軸線に沿ってそれらの間にわたされた回転軸とを各々が含む押込ローラが、複数設けられていることが好ましい。
【0010】
本発明の別の態様は、養殖籠の内部において異物貝の足糸によって固着させられた養殖貝を固着から解放するための養殖貝固着ばらし方法を提供するものである。この方法は、養殖籠の網面の複数箇所を外側から押し込むことで養殖貝及び/又は異物貝を動かすことによって異物貝の足糸を切断する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る養殖貝固着ばらし装置及び方法によれば、複数の押込部材が養殖籠の周囲から籠の押し込みを繰り返して、張り巡らされた足糸を様々な方向に少しずつ引き伸ばして切断することによって、足糸によって固着した養殖貝を、養殖籠の内部で固着から解放することができる。複雑に張り巡らされた足糸が切断されることによって、養殖貝が足糸による固着から開放され、養殖籠の口部も開きやすくなるため、養殖貝を養殖籠から取り出しやすくなり、作業者の作業負担の軽減、養殖籠の損傷防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】貝の養殖に用いられる養殖籠の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による養殖貝固着ばらし装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による養殖貝固着ばらし装置に含まれる押込ローラの構造を示す斜視図であり、(a)は両端部の基板が星形の実施形態を示し、(b)は両端部の基板が円形の実施形態を示す。
【
図4】本発明の一実施形態による養殖貝固着ばらし装置内部の構成要素の動作を示す側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による養殖貝固着ばらし装置において異物貝の足糸が切断される作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、養殖貝がカキ貝であり、異物貝がシュウリ貝である場合を実施形態として説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の養殖貝や、足糸を出す他の異物貝の場合にも本発明を適用することができる。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態による養殖貝固着ばらし装置1(以下、装置1という。)の構成を示す斜視図である。装置1は、養殖籠Bを内部に出し入れする開口2aを上部に有し、車輪が設けられた4つの脚2bを下部に有する筐体2を備える。筐体2の内部には、2つの押込ローラ10と、回転補助ローラ30と、散水パイプ50とが配置される。筐体2の外部には、一方の押込ローラ10と回転補助ローラ30とを回転させるモータ70が取り付けられている。筐体2の下方における4つの脚2bの間には、養殖籠Bから排出されたシュウリ貝などの異物を受けるための受けカゴ5が配置される。
【0015】
2つの押込ローラ10は、筐体2の内部下方において、筐体2の対向する側壁2cの間にわたされるように取り付けられている。2つの押込ローラ10は、それぞれの回転軸12が平行になるように配置され、これらの上に養殖籠Bが載せられる。2つの押込ローラ10は、載せられた養殖籠Bが落下しない間隔になるように配置されている。底面B3及びB4の直径より小さい間隔で配置される。押込ローラ10の構造の詳細は後述される。養殖籠Bは、
図1に示されるように略円柱形状であり、足糸を切断する作業の際には、この養殖籠Bを2つの底面B3、B4が側方を向くように押込ローラ10の上に配置する。すなわち、養殖籠Bは、側面B6が押込ローラ10の上に載るように配置される。なお、2つの押込ローラ10の間には、これらと平行に、養殖籠Bの側面B6が当たる位置に、自由に回転する補助ローラ40が配置されることが好ましい。
【0016】
回転補助ローラ30は、一方の押込ローラ10の上方において、筐体2の対向する側壁2cの間にわたされるように取り付けられている。回転補助ローラ30は、2つの押込ローラ10の上に載せられた養殖籠Bの側面B6に当たる位置に配置され、養殖籠Bの円滑な回転を補助する。すなわち、養殖籠Bは、足糸を切断する作業の際に、2つの押込ローラ10と回転補助ローラ30とが側面B6に当たって保持されながら、回転することになる。回転補助ローラ30は、中心軸の周りに回転する円筒体32と、その表面に貼られた溝つきゴム34とを有し、円筒体32の両端部は、側壁2cに回転可能に取り付けられている。
【0017】
散水パイプ50は、回転補助ローラ30の上方において、筐体2の対向する側壁2cの間にわたされるように取り付けられている。散水パイプ50は、中空であり、側面には複数の開口50aが設けられ、内部に供給された水が開口50aから養殖籠Bに向かって放出されるようになっている。散水パイプ50から放出された水は、養殖籠Bから異物を除去しながら、異物とともに受けカゴ5に落下する。
【0018】
2つの押込ローラ10及び回転補助ローラ30は、モータ70によって回転するようになっている。具体的には、一方の押込ローラ10及び回転補助ローラ30の回転軸は、チェーン又はベルト52、53によってモータ70と連結されており、モータ70の駆動力によって回転する。一方の押込ローラ10と他方の押込ローラ10とは、それらの回転軸がチェーン又はベルト54によって連結されており、一方の押込ローラ10の回転が伝達されて他方の押込ローラ10が回転する。2つの押込ローラ10及び回転補助ローラ30は、モータ70の駆動力によって同期しながら一定の速度で回転し、これらのローラによって保持された養殖籠Bは、底面B3、B4の中心を軸として回転する。
【0019】
次に、押込ローラ10を詳細に説明する。
図3(a)は、装置1が備える押込ローラ10の構造を示す。押込ローラ10は、6つの腕部14aを有する星形の2つの基板14を有する。2つの基板14は、間隔を空けて回転軸12に取り付けられている。2つの基板14には、両者の対応する腕部14a間にわたされるように6本のシャフト16が取り付けられ、6本のシャフト16の各々には、3つの円盤18が互いに間隔を空けて取り付けられている。すなわち、3つの円盤18と1つのシャフト16とを1セットとして、1つの押込ローラ10は、6セットを有する。3つの円盤18は、隣接するセット間で互い違いになるようにシャフト16に取り付けられることが好ましい。なお、本実施形態における円盤18は、特許請求の範囲における押込部材に相当し、3つの円盤18は、押込部材群に相当し、3つの円盤18とシャフト16とのセットは、押込部に相当する。
【0020】
押込ローラ10は、モータ70から回転軸12に与えられた回転駆動力によって回転し、回転にしたがって、複数の円盤18が回転軸12の周りで円軌道を描くように移動する。したがって、3つの円盤18及びシャフト16からなるセットの各々は、後述される
図4に示されるように、回転軸12の回転に伴って側面B6の網面Nに近づくように移動し、網面Nに対して併置された3つの円盤18が網面Nの複数箇所を押し込んだ後、網面Nから離れるように移動することになる。
【0021】
円盤18の数、位置及び大きさは、特に限定されるものではなく、押込ローラ10の回転に伴って網面の異なる位置に複数の円盤18が順次当たるように配置されていればよい。セットの各々に含まれる円盤18の数も、セット間で同数でなくてもよい。また、本実施形態では円盤18が用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば多角形盤や星形盤などといった種々の形状のものを、必要に応じて適宜用いることができる。円盤18の材質は、特に限定されるものではないが、網面を損傷させることなく押し込むことができ、耐腐食性を有するものであることが好ましく、例えば樹脂やゴムなどを用いることが好ましい。さらに、基板14の腕部14aの数やシャフト16の本数は、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜増減することができる。基板14は、星形に限定されるものではなく、例えば
図3(b)に示されるように、円形であってもよい。
【0022】
次に、装置1を用いて異物貝の足糸を切断する方法を、装置1によって実現される作用とともに説明する。
図4は、装置1内部の構成要素の動作を示す側面図である。
図5は、装置1において異物貝の足糸が切断される作用を説明するための模式図である。
【0023】
まず、海中から引き揚げられた養殖籠Bは、
図2及び
図4に示されるように、開口2aから筐体2の内部に入れられ、2つの押込ローラ10の上に載るように配置される。略円柱形状の養殖籠Bは、2つの底面B3、B4が側方を向き、側面B6が押込ローラ10の上に載るように配置される。このとき、回転補助ローラ30も、側面B6に接する。
【0024】
水揚げされた養殖籠Bは、典型的には、
図5(a)に模式的に示されるような状態になっている。すなわち、養殖籠Bの網面Nの外側に付着したシュウリ貝Sから伸びた足糸BYが、養殖籠Bの内部のカキ貝Kや、養殖籠Bの網面N及び他のシュウリ貝Sなどに付着し、複数のシュウリ貝Sの足糸が網目状に張り巡らされている。この足糸BYは、生物が作る糸状の物質の中でも最強と言われるほど強度が高く、切断するには鋭利な刃物を使用する必要がある。
【0025】
しかし、足糸BYは、強度は高くても伸縮性がないため、数本であれば引っ張ることによって容易に切断することができる。本発明は、足糸BYのこの性質を利用するものであり、例えば、足糸BYで固着したカキ貝Kやシュウリ貝Sの位置を少しでも(例えば、10mm~20mm程度)動かすことによって、動いた方向と反対側に伸びている複数の足糸BYの何本かを切断することができる。
図5(b)及び
図5(c)は、この状態を示している。
図5(b)においては、養殖籠Bの内部にあるカキ貝KをAの方向に動かすことによって、カキ貝KからみてAの方向とは反対側に付着している足糸BY1、BY2などが切断されている。同様に、5(c)においては、養殖籠Bの外部に付着したシュウリ貝SをAの方向に動かすことによって、シュウリ貝SからみてAの方向とは反対側に付着している足糸BY3、BY4などが切断されている。
【0026】
モータ70を駆動させると、チェーン又はベルト52、53によってモータ70と連結された一方の押込ローラ10及び回転補助ローラ30が、
図4に示されるように、矢印R1の向きに回転する。また、チェーン又はベルト54によって一方の押込ローラ10と連結された他方の押込ローラ10も、矢印R1の向きに回転する。押込ローラ10及び回転補助ローラ30と接する養殖籠Bは、これらのローラ10、30の回転にともなって矢印R2の向きに回転する。押込ローラ10が回転すると、3つの円盤18とシャフト16とを各々が含む複数のセットが、回転軸12のまわりに円軌道を描いて移動する。
【0027】
円軌道を描く複数のセットの各々は、側面B6の網面Nに順番に近づき、
図5(d)に示されるように、円盤18が順次網面Nに当たり、網面Nの複数の箇所を外側から押し込むことになる。このとき、円盤18は、
図4に示されるように、押込ローラ10の回転速度と養殖籠Bの回転速度との差に応じて、いずれかの方向r1に回転することがある。6つのセットが回転しながら移動することによって、回転する養殖籠Bの側面B6の全周には、隣接するセットにおいて互い違いに配置された複数の円盤18が順次当たり、網面Nを押し込むため、複数の円盤18が内部のカキ貝Kや網面Nに付着したシュウリ貝Sを様々な方向に少しずつでも動かし、張り巡らされた足糸BYが、
図5(b)及び
図5(c)に示されるように徐々に切断される。この作用が養殖籠Bの全周にわたって連続的に行われると、最終的には養殖籠Bの内部におけるカキ貝Kが足糸BYによる固着状態から解放され、養殖籠Bから取り出し易くなる。
【符号の説明】
【0028】
1 養殖貝固着ばらし装置
2 筐体
2a 開口
2b 脚
2c 対向する側壁
5 受けカゴ
10 押込ローラ
12 回転軸
14 基板
14a 腕部
16 シャフト
18 円盤
30 回転補助ローラ
32 円筒体
34 溝つきゴム
40 補助ローラ
50 散水パイプ
50a 散水口
52、53、54 チェーン又はベルト
70 モータ
B 養殖籠
B1 枠体
B2 網
B3 開口底面
B4 底面
B5 口部
B6 側面
N 網面
BY 足糸
K カキ貝
S シュウリ貝