(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】揺動構造、これを備えた首振り玩具及びパッケージ
(51)【国際特許分類】
A63H 15/00 20060101AFI20230628BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20230628BHJP
A63H 3/08 20060101ALI20230628BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20230628BHJP
A63H 33/16 20060101ALI20230628BHJP
B65D 81/36 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A63H15/00 A
A63H33/00 Q
A63H3/08
A63H3/36 L
A63H33/16 D
B65D81/36 G
(21)【出願番号】P 2019074617
(22)【出願日】2019-04-10
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】村中 成仁
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-032796(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193599(JP,U)
【文献】登録実用新案第3213821(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
B65D 81/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状又はフィルム状の素材からなる中空の可動体と、
前記素材からなると共に、ばね部を有する支持体と、
前記素材からなると共に、前記支持体を介して前記可動体を支持する基台とを備え、
前記ばね部は、山形及び/又は谷形に屈曲した屈曲箇所を有し、
前記ばね部の少なくとも一部が、前記可動体の前記中空の内部に収容されると共に、前記ばね部が、前記可動体に連結されて
おり、
前記支持体は、帯状の前記素材からなり、
前記ばね部は、前記支持体の長手方向に沿って、複数の連続する前記屈曲箇所を有し、
前記ばね部の前記複数の屈曲箇所の一つの屈曲箇所が、前記基台に連結されると共に、前記ばね部の前記長手方向に沿う両端部が、前記可動体に連結されている、
ことを特徴とする揺動構造。
【請求項2】
前記一つの屈曲箇所は、該一つの屈曲箇所を境として前記長手方向に沿う一方側と他方側とで、屈曲箇所の数が同数となる箇所である、
請求項1に記載の揺動構造。
【請求項3】
前記同数が1つである、
請求項2に記載の揺動構造。
【請求項4】
前記ばね部は、前記長手方向の各端部と前記一つの屈曲箇所との間の中間部分の幅が、前記各端部の幅及び前記一つの屈曲箇所の幅に比べて小さい、
請求項
1ないし3のいずれか一項に記載の揺動構造。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれか一項に記載の揺動構造を備える首振り玩具であって、
キャラクタの頭部が、前記可動体によって構成されると共に、前記キャラクタの胴体部が、前記基台で構成され、
前記支持体を介して前記キャラクタの頭部を、前記キャラクタの胴体部で支持する、
ことを特徴とする首振り玩具。
【請求項6】
前記キャラクタの胴体部を構成する前記基台は、その下端における二箇所に、前記キャラクタの足部となる外方に突出する舌片を有する、
請求項5に記載の首振り玩具。
【請求項7】
前記請求項1ないし4のいずれか一項に記載の揺動構造を備えるパッケージであって、
前記基台は、物品を収容可能な中空の箱状である、
ことを特徴とするパッケージ。
【請求項8】
前記基台は、底部に開口を有すると共に、該開口を開閉する蓋部を有する、
請求項7に記載のパッケージ。
【請求項9】
キャラクタの頭部が、前記可動体によって構成されると共に、前記キャラクタの胴体部が、前記基台で構成され、
前記支持体を介して前記キャラクタの頭部を、前記キャラクタの胴体部で支持する、
請求項
7または8に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙や樹脂等の素材を用いて構成する揺動構造と、これを備えた首振り玩具及びパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
首振り玩具としては、例えば、特許文献1に示されているように、胴体部に差込み支持した頭部を、コイルバネの弾性と磁力を用いて、上下方向のみならず横方向にも首振り揺動させるよう構成したもの、あるいは、特許文献2に示されているように、胴体部に差込み支持した頭部を、舌片状ばね部の弾性変形によって上下に首振り揺動させるよう構成したもの、が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭50-1181号公報
【文献】実用新案登録第3213821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された首振り玩具は、上下方向のみならず横方向にも面白く首振り揺動するものであるが、コイルバネや磁石を必要とするために、コストがかかるきらいがあり、かつ、製作に手数を要するものである。
【0005】
他方、特許文献2に示された首振り玩具は、可撓性素材だけを使用するので、安価に、かつ、簡単に組み上げることができるものであるが、その反面、可撓性素材から延出した舌片状ばね部の上下変形のみを利用するので、首振り作動が上下動のみの単純で面白みの少ないものとなる。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、紙や樹脂等の素材だけを用いて安価、かつ、簡単に製作することができると共に、複雑に首振り作動する揺動構造、及び、これを備えた首振り玩具並びにパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0008】
(1)本発明に係る揺動構造は、シート状又はフィルム状の素材からなる中空の可動体と、前記素材からなると共に、ばね部を有する支持体と、前記素材からなると共に、前記支持体を介して前記可動体を支持する基台とを備え、
前記ばね部は、山形及び/又は谷形に屈曲した屈曲箇所を有し、前記ばね部の少なくとも一部が、前記可動体の前記中空の内部に収容されると共に、前記ばね部が、前記可動体に連結されており、
前記支持体は、帯状の前記素材からなり、前記ばね部は、前記支持体の長手方向に沿って、複数の連続する前記屈曲箇所を有し、前記ばね部の前記複数の屈曲箇所の一つの屈曲箇所が、前記基台に連結されると共に、前記ばね部の前記長手方向に沿う両端部が、前記可動体に連結されている。
【0009】
本発明の揺動構造によると、可動体、支持体及び基台は、いずれもシート状又はフィルム状の素材からなり、支持体の山形及び/又は谷形に屈曲した屈曲箇所、すなわち、山形及び谷形の少なくともいずれか一方の屈曲箇所を有するばね部は、2次元的(例えば、左右や上下)に弾性的に撓み変形できるのみならず、弾性的にひねり変形することができる。従って、このばね部を有する支持体によって、可動体を浮動的に支持し、外力によって複雑に揺動させることができる。
【0010】
また、可動体を揺動させるばね部を、可動体の中空の内部に収容して隠すことができるので、複雑な揺動作動を一層興味深く見せることができる。
【0012】
本発明によると、支持体のばね部は、長手方向に沿って連続する複数の屈曲箇所の一つの屈曲箇所が、基台に連結されて支持されるので、この一つの屈曲箇所を支点にして弾性的に撓み変形できるのみならず、ひねり変形することができ、ばね部の両端部が連結されている可動体を浮動的に支持することができる。
【0013】
また、支持体のばね部は、長手方向に沿って山形又は谷形の屈曲箇所が複数連続しているので、1枚の帯状の素材を折り重ねて簡単に形成することができる。
【0014】
(2)本発明の一つの実施態様では、前記一つの屈曲箇所は、該一つの屈曲箇所を境として前記長手方向に沿う一方側と他方側とで、屈曲箇所の数が同数となる箇所である。
【0015】
この実施態様によると、支持体のばね部は、長手方向の両側の屈曲箇所の数が同数となる位置の一つの屈曲箇所が基台に連結されるので、バランス良く基台に支持される。
【0016】
(3)本発明の他の実施態様では、前記同数が1つである。
【0017】
この実施態様によると、支持体のばね部の、例えば、両側に山形に屈曲した屈曲部を有し、その間の谷形の屈曲箇所を、基台に連結支持することによって、
簡単な構成のばね部によって、可動体を安定に支持する一方、外力によって複雑に揺動させることができる。
【0018】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記ばね部は、前記長手方向の各端部と前記一つの屈曲箇所との間の中間部分の幅が、前記各端部の幅及び前記一つの屈曲箇所の幅に比べて小さい。
【0019】
この実施態様によると、ばね部は、基台に連結される一つの屈曲箇所、及び、長手方向の両端部以外の、それらの間の中間部分は、幅が小さいので、変形しやすく、ひねり変形も容易なものとなる。
【0020】
(5)本発明に係る首振り玩具は、上記(1)ないし(4)のいずれかの揺動構造を備える首振り玩具であって、キャラクタの頭部が、前記可動体によって構成されると共に、前記キャラクタの胴体部が、前記基台で構成され、前記支持体を介して前記キャラクタの頭部を、前記キャラクタの胴体部で支持する。
【0021】
本発明に係る首振り玩具によると、頭部が複雑に首振り揺動する興味深いキャラクタを、シート状又はフィルム状の素材だけで構成することができる。
【0022】
(6)本発明の好ましい実施態様では、前記キャラクタの胴体部を構成する前記基台は、その下端における二箇所に、前記キャラクタの足部となる外方に突出する舌片を有する。
【0023】
この実施態様によると、舌片が接地するように基台を卓上などに載置することで、基台を安定載置することができる。特に、基台の底面が完全な平坦面でなくても、一対の舌片を少し先下がり姿勢で折り出すことで、両舌片の先端と、基台の舌片突出方向と反対側の下端一部とで安定して接地させた状態で載置することができる。
【0024】
(7)本発明に係るパッケージは、上記(1)ないし(4)のいずれかの揺動構造を備えるパッケージであって、前記基台は、物品を収容可能な中空の箱状である。
【0025】
本発明に係るパッケージによると、複雑に揺動する可動体を備えているので、例えば、菓子などの物品を基台に収容した動きのあるパッケージとして付加価値の高いものとなる。
【0026】
(8)本発明の好ましい実施態様では、前記基台は、底部に開口を有すると共に、該開口を開閉する蓋部を有する。
【0027】
この実施態様によると、卓上等に起立載置した際に見えなくなる底部に物品出し入れ口を形成するので、物品出し入れ口に影響されることなく基台周部の外観デザインを任意に設定しやすいものとなる。また、基台周部に開閉可能な物品出し入れ口を形成しないことで、基台自体の剛性を高めることにもなる。
【0028】
(9)本発明の他の実施態様では、キャラクタの頭部が、前記可動体によって構成されると共に、前記キャラクタの胴体部が、前記基台で構成され、
前記支持体を介して前記キャラクタの頭部を、前記キャラクタの胴体部で支持する。
【0029】
この実施態様によると、頭部が複雑に首振り揺動する興味深く、面白いキャラクタのパッケージを構成することができる。これによって、パッケージが気に入って商品を購入する、いわゆる、パッケージ買いによる販売促進を図ることができる。また、キャラクタの頭部が複雑に首振り揺動する首振り玩具としても使用することができる。
【発明の効果】
【0030】
このように、本発明によれば、紙や樹脂などからなるシート状又はフィルム状の素材だけを用いて安価、かつ、簡単に製作することができると共に、複雑に揺動する揺動構造、及び、これを備えた首振り玩具並びにパッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係るパッケージの全体斜視図である。
【
図11】
図11は展開した可動体に支持体を組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は別実施形態の支持体を使用したパッケージの縦断正面図である。
【
図13】
図13は他の実施形態の支持体を使用したパッケージの縦断正面図である。
【
図14】
図14は更に他の実施形態の支持体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1には、本発明の一実施形態に係る揺動構造を備えた首振り玩具兼用のパッケージの外観が示されている。
【0034】
このパッケージは、菓子などの物品を収容可能な首振り玩具として使用できるよう構成されており、この例では、ハロウィンに用いるカボチャお化けキャラクタとなっている。キャラクタとしては、種々のものを採用することができ、例えば、人、動物、想像上の生物等の任意の物を選択することができる。
【0035】
この実施形態では、パッケージは、カボチャお化けキャラクタの頭部を形成する中空の可動体1と、胴体部を形成する中空の基台2と、頭部(可動体)1を基台2の上部に首振り可能に連結支持する支持体3とを備えている。中空の基台2が菓子などを収容するパッケージ本体となっている。
【0036】
可動体1、基台2、及び、支持体3の各パーツは、適度に腰のある、すなわち、可撓性を有する紙や樹脂等からなるシート状あるいはフィルム状の素材を、所定の形状に型抜きして形成されている。
図4~
図6に各パーツの素材を展開した裏面(内面)から見た平面図が示されている。なお、各パーツ素材の表面には、キャラクタに対応した印刷が施されている。
【0037】
図4に示すように、頭部(可動体)1には、円形の開口4を有する矩形の底部1aと、その周囲の四辺に折り線aを介して連設された前面部1b、後面部1c、及び、一対の側面部1d,1eとが備えられている。前面部1bと後面部1cとの頂部には、係止突起1f,1gが連設されていると共に、一対の側面部1d,1eの頂部には、前記係止突起1f,1gを差し込み可能なスリット5,6が形成されている。
図7に示すように、中央に折り寄せた前面部1bと後面部1cの係止突起1f,1gを前後に重ね合わせ、中央に折り寄せた一対の側面部1d,1eのスリット5,6に、係止突起1f,1gを差込み係止することで、中空の頭部1を形成することができる。
【0038】
図5に示すように、基台2には、折り線bを介して並列連設された4つの側面部2a,2b,2c,2dと底面部2eとが備えられている。
図8の仮想線で示すように、各側面部2a,2b,2c,2dを折り込むと共に、一端の側面部2aに連なる内フラップ2fのスリット7に、他端の側面部2dから突設した連結舌片8を差し込み係止することで、下拡がりの角筒体が組上がる。
【0039】
その後、一つ置きの側面部2a,2cの下端に折り線cを介して連設された底部内フラップ2g,2hを折り込んだ後、中間の側面部2eの下端に折り線dを介して連設された蓋部としての底面部2eを折り込む。更に、底面部2eの遊端に連設した係止辺9を折り込んで、上記角筒体の底部の下端開口に差し入れることで、
図9に示すように、上端が開口した底蓋付きの箱体からなる基台2がパッケージ本体として組み上がる。
【0040】
このように組み上げられた基台(パッケージ本体)2は、蓋部としての底面部2eを折り開くことで、菓子などの物品を出し入れすることができる。
【0041】
また、隣接する2つの側面部2a,2bは、カボチャお化けキャラクタにおける胴体部の前面となるものであって、腕部となる舌片10がそれぞれ折り出し可能に切込み形成される。また、底面部2eと底部内フラップ2gには、キャラクタの足部となる舌片11がそれぞれ折り出し可能に切込み形成されている。足部用の舌片11を折り出すことで、卓上などに安定よく起立載置することができる。
【0042】
図6に示すように、支持体3は、左右に細長い帯状に型抜き形成されており、その長手方向中央には谷折り線e、その左右箇所には山折り線fがそれぞれ形成されている。更に、支持体3の長手方向(
図6の左右方向)の両端部には、折り線gが形成されている。谷折り線e及び山折り線fに沿って重ねるように折ることで、
図10中の仮想線で示すように、中央の屈曲箇所3Aの左右両側、すなわち、長手方向の両側に、山形に屈曲された屈曲部3Bを1個ずつ有するばね部が構成される。このばね部は、両側の2つの山形の屈曲部3B,3Bが、谷形の屈曲箇所3Aで繋がった正面形状が、大略M字状となっている。中央の谷形の屈曲箇所3Aは、基台2に連結するために、
図2に示すように、その深さDが、両側の2つの山形の屈曲部3B,3Bの高さHに比べて、深く形成されている。すなわち、
図6に示すように、谷形の屈曲箇所3Aの深さDに対応する谷折り線eから山折り線fまでの長さL1は、山形の屈曲部3B,3Bの高さHに対応する山折り線fから折り線gまでの長さL2より長く、この例では、谷折り線eから山折り線fまでの長さL1は、山折り線fから折り線gまでの長さL2に、折り線gから舌片3cの先端までの長さL3を加えた長さ(L2+L3)よりも長い。また、前記長さL2は、前記長さL3よりも長い。
【0043】
山形の各屈曲部3Bの間の谷形の屈曲箇所3Aには、幅方向に所定間隔をもって一対の切込み12が形成されている。この切込み12を、
図9に示される基台2における上端開口部の対角位置に形成した一対のスリット13に差込み交差して連結することで、支持体3の中央の一つの屈曲箇所3Aを、基台2の上端開口部に、左右に振れ動くことなく起立連結することができる。
【0044】
支持体3の長手方向の両端部である各屈曲部3Bの遊端部には、連結用の舌片3cが備えられている。この舌片3cを、
図4,
図7に示す頭部1の底部1aにおいて対向する左右の折り線a上に形成されたスリット14,15に差し込むことで、各屈曲部3Bを中空の頭部1の内部に収容した状態で、支持体3と頭部1とを係止連結することができる。
【0045】
この場合、屈曲部3Bにおける遊端辺3dの幅が、頭部1の底部1aにおける左右端辺の幅と同一に設定されている。舌片3cを根元までスリット14,15に差し込むことで、屈曲部3Bの遊端辺3dが、底部1aと側面部1d,1eとの折り込み内角部位に係合され、頭部1と支持体3とが支持体幅方向(前後方向)にずれ動くことなく係止連結される。
【0046】
上記のように、支持体3の中央の一つの屈曲箇所3Aを、基台2の上端開口部のスリット13に差込み連結する一方、支持体3の各屈曲部3Bの遊端部の舌片3cを、頭部1の底部1aのスリット14,15に差込み連結するので、接着剤などを用いることなく簡単に揺動構造を組み上げることができる。また、繰り返し組立て分解して幾度も使用することができる。
【0047】
各屈曲部3Bは、その長手方向の中央の屈曲箇所3A及び遊端部である遊端辺3dとの間の中間部分が、小幅に形成されている。すなわち、屈曲部3Bの山形の屈曲部分がくびれているので、各屈曲部3Bが縦軸周りにひねり変形しやすいものとなっている。また、頭部1に組み付けられた支持体3の上部が頭部1の内面に接触することが回避されている。
【0048】
なお、実際のパッケージ組上げに際しては、
図11に示すように、組上げ前の展開された状態の頭部1に、谷折り線e及び山折り線fに沿って重ねるように折った支持体3の両端部を差し込み係止する。次に、頭部1を上記のように中空に組上げ、その後、頭部1の開口4から下方に突出した支持体3の中央の屈曲箇所3Aを基台2の上端に係止連結すればよい。
【0049】
このようにして首振り人形の形態に組み上げられたパッケージは、
図2,
図3に示すように、弾性的に撓み変形可能な左右一対の山形に屈曲した屈曲部3Bを備えた支持体3を介して頭部1が基台2に浮動的に支持されることになる。ここで、支持体3は、中央の屈曲箇所3Aを縦軸として、左右一対の山形の屈曲部3Bよって左右に撓み変形するのみならず、縦軸周りにひねり変形することが可能であるので、この支持体3に連結支持された頭部1は、外力の掛け具合に応じて、撓み変形及びひねり変形が合成されて、三次元的な複雑な首振り作動を行う。
【0050】
以上のように本実施形態によれば、キャラクタの頭部が複雑に揺動するパッケージを、シート状又はフィルム状の素材だけを用いて安価、かつ、簡単に製作することができる。
【0051】
また、キャラクタの頭部が、複雑で面白く揺動するパッケージは、消費者の注意を引き、パッケージが気に入った消費者によって購入され、商品の販売促進を図ることができる。
【0052】
なお、このパッケージをユーザーへ提供する形態としては、基台2に菓子を収容した組上げ完成品として梱包して提供する形態の他に、例えば、展開された扁平な状態の3枚のパーツと組立て説明書をセットとして梱包して提供し、ユーザーが組み上げて、任意に菓子などを収容してプレゼントにする形態など、が考えられる。
【0053】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0054】
(1)
図2に示される支持体3の中央の屈曲箇所3Aの左右両側の対向する2つの山形の屈曲部3B,3B同士を、互いに貼り合せて1つの山形の屈曲部を構成し、中央の屈曲箇所3Aを、谷形の屈曲部ではなく、基台2に対する単なる連結部としてもよい。
【0055】
(2)
図12に示すように、支持体3の各屈曲部3Bを複数個所で更に屈曲させてもよい。すなわち、山形又は谷形に屈曲した屈曲箇所の数を増やしてもよい。これによると、支持体3のバネ機能が更に高まり、頭部1を大きく、かつ、長時間首振り作動させることができる。
【0056】
(3)
図13に示すように、支持体3の各屈曲部3Bの頂部を山形に湾曲するよう屈曲して実施することもできる。
【0057】
(4)
図14に示すように、支持体3の連続する屈曲部3Bを、個別の山形の屈曲部3Bに分離して構成することもできる。
【0058】
(5)基台2は角箱状に限られるものではなく、例えば、円筒箱状やその他の形状に形成することもできる。
【0059】
(6)首振り玩具としてだけ使用する場合、基台2は底なしであってもよい。
【0060】
また、首振り玩具としてだけ使用する場合には、例えば、多数の人が訪れるような場所に、マスコットキャラクターの首振り玩具として展示してもよい。
【0061】
(7)頭部1及び基台2の大きさや形状によっては、支持体3の中央部を頭部1に連結支持し、支持体3の両端部を基台2に連結支持することも可能である。
【0062】
(8)支持体3の大部分を基台2側に収容する形態で実施することも可能である。
【0063】
(9)上記実施形態では、各パーツを差し込み連結することで、繰り返し組み立て分解できるようにしているが、各パーツの連結箇所に予め両面接着テープ片を貼付けておき、両面接着テープ片の剥離紙を剥がして各パーツを接着連結することも可能である。
【0064】
(10)基台2の前部に頭部1を首振り可能に支持すれば、動物の首振りキャラクタを形成することができる。
【0065】
(11)首振りキャラクタのパッケージとした上記実施形態では、基台2の底部を開閉可能にして物品の出し入れを行うようにしているが、基台2の大きさや形状によっては、基台2における外周の背部などの目立たぬ箇所に、折り出し開閉可能な開口部を形成することも可能である。あるいは、頭部1を外して、露出した基台2の上端開口から物品を出し入れするようにしてもよい。
【0066】
(12)支持体を、1枚のシート状あるいはフィルム状の素材から形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、2枚以上の素材を積層して支持体を形成しても良いし、2枚以上の素材を並列的に配置してもよい。このような構成によっても、外力により複雑に揺動させることが可能な強度、コシ及びしなりを有する支持体を得ることができる。
【0067】
(13)支持体のばね部の屈曲箇所が、長手方向に沿う一方側と他方側とで数が同数となる例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、長手方向に沿う一方側と他方側とで数を異ならせてもよい。これにより、長手方向の一方側と他方側とで揺動の大きさが異なるため、頭部を複雑に首振り揺動させることができる。
【0068】
また、ばね部の山形又は谷形に屈曲した屈曲箇所は台形状であっても良い。
【0069】
(14)支持体の屈曲部の山形の屈曲部分がくびれている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、支持体の幅を長手方向に沿って同一に形成しても良い。
【符号の説明】
【0070】
1 可動体(頭部)
2 基台(胴体部)
3 支持体
3A 屈曲箇所
3B 屈曲部
11 舌片