(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】スフィンゴリン脂質前駆体及びその製造方法、並びに、スフィンゴリン脂質の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/655 20060101AFI20230628BHJP
C07F 9/10 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
C07F9/655 CSP
C07F9/10 B
(21)【出願番号】P 2018190302
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000231497
【氏名又は名称】日本精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深田 尚文
(72)【発明者】
【氏名】松本 正樹
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-511281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0275590(US,A1)
【文献】特表2014-528459(JP,A)
【文献】特表2009-507783(JP,A)
【文献】特開平03-118375(JP,A)
【文献】特開2004-002215(JP,A)
【文献】BYUN, H. et al.,Synthesis of Sphingomyelin and Ceramide 1-Phosphate from Ceramide without Protection of the Allylic Hydroxyl Group,Journal of Organic Chemistry,Vol.59, No.21,1994年,pp.6495-6498
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、mは9~25の自然数を示し、nは10~15の自然数を示し、X
1、X
2、X
3は、同一又は異なって、H、OH、又はO-Yを示す。また、Yは保護基を示す。)で示され、
前記Yは、以下に示される
基である、
スフィンゴリン脂質前駆体。
【請求項2】
前記mは、9~12、又は、14~25の自然数を示し、前記nは11~12の自然数を示す、請求項1に記載のスフィンゴリン脂質前駆体。
【請求項3】
下記構造式(1)
【化2】
で示される、請求項1に記載のスフィンゴリン脂質前駆体。
【請求項4】
下記一般式(1)
【化3】
(式中、mは9~25の自然数を示し、nは10~15の自然数を示し、X
1、X
2、X
3は、同一又は異なって、H、OH、又はO-Yを示す。また、Yは保護基を示す。)で示され、
前記Yは、以下に示される
基である、
スフィンゴリン脂質前駆体の製造方法であって、
(I)下記一般式(2)で示される化合物(2)
【化4】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)と、クロロジオキサホスホランとを反応させて、下記一般式(3)で示される化合物(3)
【化5】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)を得る工程1、
(II)前記化合物(3)と臭素とを反応させて、前記化合物(3)の臭化物を得る工程2、
(III)前記化合物(3)の臭化物に、水を反応させて、下記一般式(4)
【化6】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)で示される化合物(4)を得る工程3、及び、
(IV)前記化合物(4)と、トリメチルアミンとを反応させる工程4
を有し、
前記工程1、又は、前記工程1及び前記工程2において、N,N-ジイソプロピルエチルアミンが添加され、前記N,N-ジイソプロピルエチルアミンの添加量は、前記化合物(2)1モル当量に対して4~19モル当量である、
ことを特徴とするスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
【請求項5】
前記N,N-ジイソプロピルエチルアミンの添加量は、前記化合物(2)1モル当量に対して8~12モル当量である、請求項4に記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
【請求項6】
前記mは、9~12、又は、14~25の自然数を示し、前記nは11~12の自然数を示す、請求項4又は5に記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
【請求項7】
前記スフィンゴリン脂質前駆体は、下記構造式(1)
【化7】
で示されるスフィンゴリン脂質前駆体である、請求項4~6のいずれかに記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
【請求項8】
前記スフィンゴリン脂質前駆体のHPLC純度が20%以上である、請求項4~7のいずれかに記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
【請求項9】
請求項4~8のいずれかに記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法の工程4に次いで、更に、保護基の脱保護工程である工程5を有する、ことを特徴とするスフィンゴリン脂質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スフィンゴリン脂質前駆体及びその製造方法、並びに、スフィンゴリン脂質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴリン脂質であるジヒドロスフィンゴミエリンは、生体内でも存在している脂質の一種であり、様々な生理活性が知られている。ジヒドロスフィンゴミエリンは、化学構造から2つの不斉炭素が存在し、4種の光学異性体が存在するホスホコリン構造を有している。
【0003】
ジヒドロスフィンゴミエリンは不斉炭素が2か所あり、光学活性を有するジヒドロスフィンゴミエリンの有機合成は多工程となり、作成が容易でない。
【0004】
本発明者は、商業生産されている光学活性なセラミド2(高砂香料社製)を用いてジヒドロスフィンゴミエリンの光学活性を保持した形で合成できることに着目し、検討を行った。その結果、THP保護基を一般的な方法で合成し、4gの少量スケールで非特許文献1~3に記載されている合成方法により合成したところ、ジヒドロスフィンゴミエリンが得られた。その方法のまま基質を100g以上使用するスケールアップを行い合成したところ、光学異性体と考えられる不純物が大量に発生し、純度が低下した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Robert Bittman,Synthesis of Sphingomyelin and Ceramide 1-Phosphate from Ceramide without Protection of the Allylic Hydroxyl Group,J.Org.Chem,1994 59, 6495-6498
【文献】Robert Bittman,Enantioselective Synthesis of 3-Deoxy-(R)-sphingomyelin from (S)-1-(4’-Methoxyphenyl)glycerol,J.Org.Chem,1998 63, 2560-2563
【文献】Robert Bittman,Three-Step Synthesis of Platelet-Activating Factor from Chiral Glycidol via Regioselective Monophosphitylation of 1-O-Hexadecyl-sn-glycerol,J.Org.Chem,1995 60, 7706-7708
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1~3に記載されている方法では少量スケール(基質を10g使用する方法)では高い収率で純度の良いDHSMが合成できるが、基質を100g以上使用する反応スケールの大きい方法では適応できないため問題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記問題の解決を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する新規なスフィンゴリン脂質前駆体及びその製造方法、並びに、スフィンゴリン脂質の製造方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記のスフィンゴリン脂質前駆体及びその製造方法、並びに、スフィンゴリン脂質の製造方法に関する。
1.下記一般式(1)
【化1】
(式中、mは9~25の自然数を示し、nは10~15の自然数を示し、X
1、X
2、X
3は、同一又は異なって、H、OH、又はO-Yを示す。また、Yは保護基を示す。)
で示されるスフィンゴリン脂質前駆体。
2.前記mは13~21の自然数を示し、前記nは11~12の自然数を示す、項1に記載のスフィンゴリン脂質前駆体。
3.下記構造式(1)
【化2】
で示される、項1に記載のスフィンゴリン脂質前駆体。
4.下記一般式(1)
【化3】
(式中、mは9~25の自然数を示し、nは10~15の自然数を示し、X
1、X
2、X
3は、同一又は異なって、H、OH、又はO-Y示す。また、Yは保護基を示す。)
で示されるスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法であって、
(I)下記一般式(2)で示される化合物(2)
【化4】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)と、クロロジオキサホスホランとを反応させて、下記一般式(3)で示される化合物(3)
【化5】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)を得る工程1、
(II)前記化合物(3)と臭素とを反応させて、前記化合物(3)の臭化物を得る工程2、
(III)前記化合物(3)の臭化物に、水を反応させて、下記一般式(4)
【化6】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)で示される化合物(4)を得る工程3、及び、
(IV)前記化合物(4)と、トリメチルアミンとを反応させる工程4
を有し、
前記工程1、又は、前記工程1及び前記工程2において、N,N-ジイソプロピルエチルアミンが添加され、前記N,N-ジイソプロピルエチルアミンの添加量は、前記化合物(2)1モル当量に対して4~19モル当量である、
ことを特徴とするスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
5.前記N,N-ジイソプロピルエチルアミンの添加量は、前記化合物(2)1モル当量に対して8~12モル当量である、項4に記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
6.前記mは13~21の自然数を示し、前記nは11~12の自然数を示す、項4又は5に記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
7.前記スフィンゴリン脂質前駆体は、下記構造式(1)
【化7】
で示されるスフィンゴリン脂質前駆体である、項4~6のいずれかに記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
8.前記スフィンゴリン脂質前駆体のHPLC純度が20%以上である、項4~7のいずれかに記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法。
9.項4~8のいずれかに記載のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法の工程4に次いで、更に、保護基の脱保護工程である工程5を有する、ことを特徴とするスフィンゴリン脂質の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体を用いてスフィンゴリン脂質を製造することにより、光学活性を示すスフィンゴリン脂質を高い収率で製造することができる。また、本発明のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法によれば、光学活性を示すスフィンゴリン脂質を高い収率で製造することができるスフィンゴリン脂質前駆体を製造することができる。更に、本発明のスフィンゴリン脂質の製造方法によれば、光学活性を示すスフィンゴリン脂質を高い収率で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のDHSMのNMRの測定結果を示す図である。
【
図2】実施例11のDHSMのNMRの測定結果を示す図である。
【
図3】実施例11のDHSMのIRの測定結果を示す図である。
【
図4】実施例13のDHSMのNMRの測定結果を示す図である。
【
図5】実施例13のTHP-DHSMのNMRの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.スフィンゴリン脂質前駆体
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体は、
下記一般式(1)
【化8】
で示されるスフィンゴリン脂質前駆体である。本発明のスフィンゴリン脂質前駆体は、新規な化合物であり、本発明のスフィンゴリン脂質前駆体を用いてスフィンゴリン脂質を製造することにより、光学活性を示すスフィンゴリン脂質を高い収率で製造することができる。
【0012】
上記一般式(1)において、式中、mは9~25の自然数を示し、nは10~15の自然数を示す。mは13~21の自然数であることが好ましく、14~18の自然数であることがより好ましく、15であることが更に好ましい。また、nは11~12の自然数であることが好ましく、12であることがより好ましい。
【0013】
上記一般式(1)において、式中、X1、X2、X3は、同一又は異なって、H、OH、又はO-Yを示す。X1、X2、X3は、Hを示すことが好ましい。
【0014】
上記一般式(1)において、式中、Yは保護基を示す。
【0015】
保護基としては特に限定されず、従来公知の保護基が挙げられる。このような保護基としては、例えば、下記の保護基が挙げられる。
【0016】
【0017】
上記保護基の中でも、以下の保護基が好ましい。
【化10】
【0018】
上記保護基の中でも、以下の保護基がより好ましい。
【化11】
【0019】
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体は、下記構造式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【化12】
【0020】
以上説明したスフィンゴリン脂質前駆体を用いてスフィンゴリン脂質を製造することにより、光学活性を示すスフィンゴリン脂質を高い収率で製造することができる。
【0021】
2.スフィンゴリン脂質前駆体の製造方法
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法は、下記一般式(1)
【化13】
(式中、mは9~25の自然数を示し、nは10~15の自然数を示し、X
1、X
2、X
3は、同一又は異なって、H、OH、又はO-Yを示す。また、Yは保護基を示す。)
で示されるスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法であって、
(I)下記一般式(2)で示される化合物(2)
【化14】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)と、クロロジオキサホスホランとを反応させて、下記一般式(3)で示される化合物(3)
【化15】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)を得る工程1、
(II)前記化合物(3)と臭素とを反応させて、前記化合物(3)の臭化物を得る工程2、
(III)前記化合物(3)の臭化物に、水を反応させて、下記一般式(4)
【化16】
(式中、m、n、X
1、X
2、X
3及びYは、前記一般式(1)と同一である。)で示される化合物(4)を得る工程3、及び、
(IV)前記化合物(4)と、トリメチルアミンとを反応させる工程4
を有し、
前記工程1、又は、前記工程1及び前記工程2において、N,N-ジイソプロピルエチルアミンが添加され、前記N,N-ジイソプロピルエチルアミンの添加量は、前記化合物(2)1モル当量に対して4~19モル当量であるスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法である。
【0022】
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法において、上記一般式(I)で示されるスフィンゴリン脂質前駆体は、上記に説明した本発明のスフィンゴリン脂質前駆体と同一であり、上記一般式(1)の式中のm、n、X
1、X
2、X
3及びYは、上記本発明のスフィンゴリン脂質前駆体において説明した、一般式(1)の式中のm、n、X
1、X
2、X
3及びYと同一である。また、上記スフィンゴリン脂質前駆体は、下記構造式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【化17】
【0023】
(I)工程1
工程1は、下記一般式(2)で示される化合物(2)と、
【化18】
クロロジオキサホスホランとを反応させて、下記一般式(3)で示される化合物(3)
【化19】
を得る工程である。
【0024】
上記一般式(2)及び(3)において、式中、m、n、X1、X2、X3及びYは、上記一般式(1)と同一である。
【0025】
クロロジオキサホスホランとしては、より具体的には、2-クロロ-1,3,2-ジオキサホスホランが挙げられる。すなわち、下記構造式(2)で示される化合物である。
【0026】
【0027】
工程1における上記クロロジオキサホスホランの添加量は、上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して1モル当量以上が好ましく、1.5モル当量以上がより好ましく、2モル当量以上が更に好ましく、2.5モル当量以上が特に好ましい。クロロジオキサホスホランの添加量の下限が上記範囲であることにより、上記一般式(3)で示される化合物(3)をより一層高い収率で得ることができる。また、上記クロロジオキサホスホランの添加量は、上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して5モル当量以下が好ましく、4.5モル当量以下がより好ましく、4モル当量以下が更に好ましく、3.5モル当量以下が特に好ましい。
【0028】
工程1では、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(以下、「DIPEA」とも表す。)が添加される。
【0029】
DIPEAの添加量は、上記化合物(2)1モル当量に対して4~19モル当量である。DIPEAの添加量が4モル当量未満であると、本発明のスフィンゴリン脂質前駆体を用いて製造されるスフィンゴリン脂質が、光学活性を示さない。また、DIPEAの添加量が19モル当量を超えると、本発明のスフィンゴリン脂質前駆体を用いて製造されるスフィンゴリン脂質の収率が低下する。DIPEAの添加量は、5モル当量以上が好ましく、7モル当量以上がより好ましく、8モル当量以上が更に好ましく、10モル当量以上が特に好ましい。また、DIPEAの含有量は、17モル当量以下が好ましく、15モル当量以下がより好ましく、12モル当量以下が更に好ましい。
【0030】
上記工程1は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。このような溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル等が挙げられ、これらの中でも、非ハロゲン系溶媒である点で、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
【0031】
工程1の反応温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、25℃以上が更に好ましい。工程1の反応温度の下限が上記範囲であることにより、工程1における上記一般式(3)で示される化合物(3)の反応変換がより一層向上する。また、工程1の反応温度は、40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、25℃以下が更に好ましい。
【0032】
工程1の反応時間は、60分以上が好ましく、80分以上がより好ましく、90分以上が更に好ましい。工程1の反応時間の下限が上記範囲であることにより、工程1における上記一般式(3)で示される化合物(3)の収率がより一層向上する。また、工程1の反応時間は、24時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましく、6時間以下が更に好ましい。
【0033】
以上説明した工程1により、上記一般式(3)で示される化合物(3)を得ることができる。
【0034】
(II)工程2
工程2は、上記化合物(3)と臭素とを反応させて、上記化合物(3)の臭化物を得る工程である。
【0035】
工程2において、化合物(3)に臭素を反応させる方法としては特に限定されず、例えば、反応系に臭素を添加する方法、N-ブロモスクシンイミド、ジブロモイソサヌル酸を添加する方法等が挙げられる。
【0036】
工程2における、化合物(3)に反応させる臭素の量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して1モル当量以上が好ましく、3モル当量以上がより好ましく、5モル当量以上が更に好ましい。臭素の量の下限が上記範囲であることにより、化合物(3)の臭化物をより一層高い収率で得ることができる。また、化合物(3)の添加量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して7モル当量以下が好ましく、6モル当量以下がより好ましく、5モル当量以下が更に好ましい。
【0037】
上記工程2は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。当該溶媒は、工程1により用いられた溶媒がそのまま工程2でも用いられることとなる。このような溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル等が挙げられ、これらの中でも、非ハロゲン系溶媒である点で、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
【0038】
工程2の反応温度は、-20℃以上が好ましく、-10℃以上がより好ましく、-5℃以上が更に好ましい。工程2の反応温度の下限が上記範囲であることにより、工程2における化合物(3)の臭化物の収率がより一層向上する。また、工程2の反応温度は、25℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下が更に好ましい。
【0039】
工程2の反応時間は、30分以上が好ましく、45分以上がより好ましく、60分以上が更に好ましい。工程2の反応時間の下限が上記範囲であることにより、工程2における化合物(3)の臭化物の収率がより一層向上する。また、工程2の反応時間は、24時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましく、6時間以下が更に好ましい。
【0040】
以上説明した工程2により、上記化合物(3)と臭素とを反応させて、上記化合物(3)の臭化物を得ることができる。
【0041】
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法は、上記工程2の後であって、下記に説明する工程3の前に、pH調整工程(1)を有していてもよい。
【0042】
pH調整工程(1)におけるpH調整は、トリメチルアミン、DIPEA、DBU、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリオクチルアミン等のpH調整剤を添加することにより行うことができる。
【0043】
pH調整工程(1)では、pHを4~8程度に調整することが好ましく、5~7程度に調整することがより好ましい。
【0044】
(III)工程3
工程3は、上記化合物(3)の臭化物に、水を反応させて、下記一般式(4)
【化21】
で示される化合物(4)を得る工程である。
【0045】
上記一般式(4)において、式中、m、n、X1、X2、X3及びYは、上記一般式(1)と同一である。
【0046】
工程3において、化合物(3)の臭化物に水を反応させる方法としては特に限定されず、例えば、反応系に水を添加する方法等が挙げられる。
【0047】
工程3における、化合物(3)の臭化物に反応させる水の量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して1モル当量以上が好ましく、30モル当量以上がより好ましく、50モル当量以上が更に好ましく、70モル当量以上が特に好ましい。水の量の下限が上記範囲であることにより、上記一般式(4)で示される化合物(4)をより一層高い収率で得ることができる。また、水の添加量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して200モル当量以下が好ましく、100モル当量以下がより好ましく、90モル当量以下が更に好ましく、80モル当量以下が特に好ましい。
【0048】
上記工程3は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。当該溶媒は、工程1及び2により用いられた溶媒がそのまま工程3でも用いられることとなる。このような溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル等が挙げられ、これらの中でも、非ハロゲン系溶媒である点で、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテルが好ましく、テトラヒドロフランが更に好ましい。
【0049】
工程3の反応温度は、-10℃以上が好ましく、-5℃以上がより好ましく、0℃以上が更に好ましい。工程3の反応温度の下限が上記範囲であることにより、上記一般式(4)で示される化合物(4)をより一層高い収率で得ることができる。また、工程3の反応温度は、40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、10℃以下が更に好ましい。
【0050】
工程3の反応時間は、120分以上が好ましく、180分以上がより好ましく、240分以上が更に好ましい。工程3の反応時間の下限が上記範囲であることにより、上記一般式(4)で示される化合物(4)をより一層高い収率で得ることができる。また、工程3の反応時間は、24時間以下が好ましく、6時間以下がより好ましく、5時間以下が更に好ましい。
【0051】
以上説明した工程3により、上記化合物(3)の臭化物に水を反応させて、上記一般式(4)で示される化合物(4)を得ることができる。
【0052】
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法は、上記工程3の後であって、下記に説明する工程4の前に、pH調整工程(2)を有していてもよい。
【0053】
pH調整工程(2)におけるpH調整は、トリメチルアミン、DIPEA、DBU、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリオクチルアミン等のpH調整剤を添加することにより行うことができる。
【0054】
pH調整工程(2)では、pHを4~8程度に調整することが好ましく、5~7程度に調整することがより好ましい。
【0055】
本発明のスフィンゴリン脂質前駆体の製造方法は、上記pH調整工程(2)の後であって、下記に説明する工程4の前に、分液し、再度水を添加した後、濃縮してもよい。当該工程を経ることで、上記一般式(4)で示される化合物(4)をより一層高い収率で得ることができる。
【0056】
(IV)工程4
工程4は、上記化合物(4)と、トリメチルアミンとを反応させる工程である。
【0057】
工程4において、化合物(4)にトリメチルアミンを反応させる方法としては特に限定されず、例えば、反応系にトリメチルアミン溶液を添加する方法、トリメチルアミンガスを反応系中に吹き込む方法、氷点下液状のトリメチルアミンを反応系中に投入し、圧力容器内で密栓加熱する方法等が挙げられる。
【0058】
工程4における、化合物(4)に反応させるトリメチルアミンの量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して90モル当量以下が好ましく、80モル当量以下がより好ましく、60モル当量以下が更に好ましく、50モル当量以下が特に好ましい。トリメチルアミンの量の下限が上記範囲であることにより、化合物(4)の臭化物をより一層高い収率で得ることができる。また、化合物(4)の添加量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して3.5モル当量以上が好ましく、4モル当量以上がより好ましく、4.5モル当量以上が更に好ましく、5モル当量以上が特に好ましい。
【0059】
上記工程4は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。当該溶媒は、工程3により用いられた溶媒がそのまま工程4でも用いられてもよい。また、濃縮乾固して溶剤置換をしてもよい。溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、2-プロパノール、アセトニトリル等が挙げられる。上記溶媒を用いると、トリメチルアミン化に伴う塩の析出を回避することができる。上記溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0060】
工程4の反応温度は、-10℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、25℃以上が更に好ましい。工程4の反応温度の下限が上記範囲であることにより、上記一般式(1)で示されるスフィンゴリン脂質前駆体の収率がより一層向上する。また、工程4の反応温度は、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。
【0061】
工程4の反応時間は、6時間以上が好ましく、12時間以上がより好ましく、18時間以上が更に好ましい。工程4の反応時間の下限が上記範囲であることにより、上記一般式(1)で示されるスフィンゴリン脂質前駆体の収率がより一層向上する。また、工程4の反応時間は、96時間以下が好ましく、84時間以下がより好ましく、72時間以下が更に好ましい。
【0062】
以上説明した工程4により、上記一般式(1)で示されるスフィンゴリン脂質前駆体を製造することができる。
【0063】
本発明の製造方法により得られたスフィンゴリン脂質前駆体のHPLC純度は、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。
【0064】
3.スフィンゴリン脂質の製造方法
本発明のスフィンゴリン脂質の製造方法は、上記スフィンゴリン脂質前駆体の製造方法の工程4に次いで、更に、保護基の脱保護工程である工程5を有するスフィンゴリン脂質の製造方法である。
【0065】
工程5において、スフィンゴリン脂質前駆体の保護基の脱保護を行う方法としては特に限定されず、例えば、スフィンゴリン脂質前駆体にアルコールまたは水の存在下、パラトルエンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等の脱保護剤を添加する方法等が挙げられる。当該脱保護工程により、スフィンゴリン脂質前駆体の保護基が脱保護されて水酸基となり、スフィンゴリン脂質を得ることができる。
【0066】
工程5における、脱保護剤の量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して1モル当量以上が好ましく、30モル当量以上がより好ましく、40モル当量以上が更に好ましく、50モル当量以上が特に好ましい。脱保護剤の量の下限が上記範囲であることにより、スフィンゴリン脂質をより一層高い収率で得ることができる。また、脱保護剤の添加量は、上記工程1における上記一般式(2)で示される化合物(2)1モル当量に対して100モル当量以下が好ましく、90モル当量以下がより好ましく、80モル当量以下が更に好ましく、60モル当量以下が特に好ましい。
【0067】
上記工程5は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。当該溶媒としては特に限定されず、メタノール、エタノール、2-プロパノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、4-メチルテトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル等が挙げられる。上記溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、THP-DHSMの溶解性により一層優れる点で、ジクロロメタン及びメタノールを混合して用いることが好ましい。
【0068】
工程5の反応温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。工程5の反応温度の下限が上記範囲であることにより、スフィンゴリン脂質をより一層高い収率で得ることができる。また、工程5の反応温度は、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。
【0069】
工程5の反応時間は、24時間以上が好ましく、12時間以上がより好ましく、6時間以上が更に好ましい。工程5の反応時間の下限が上記範囲であることにより、スフィンゴリン脂質をより一層高い収率で得ることができる。また、工程5の反応時間は、72時間以下が好ましく、48時間以下がより好ましく、36時間以下が更に好ましい。
【0070】
以上説明した工程5により、スフィンゴリン脂質を製造することができる。
【0071】
本発明のスフィンゴリン脂質の製造方法は、更に、精製工程を有していてもよい。精製方法としては特に限定されず、カラムクロマトグラフィーによる精製方法、再結晶による精製方法等が挙げられる。これらの中でも、損失量(ロス量)が少ない点で、カラムクロマトグラフィーによる精製方法が好ましい。
【0072】
上記精製工程においては、上述の精製方法を複数回行ってもよい。精製方法の回数は、1回以上が好ましく、2回以上がより好ましい。
【実施例】
【0073】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0074】
実施例1
(工程1)
【化22】
攪拌機、温度計を備えた反応器に、THP-セラミド869g、溶媒としてCHCl
32338gを入れた。次いで、THP-セラミド1モル当量に対して4モル当量のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加した。30℃に加熱し、THP-セラミドを溶解させた。溶解後、2-クロロ-1,3,2ジオキサホスホランを滴下して、撹拌しながら80分間反応させた。次いで、TLC分析で原料消失をモニタリングした。次いで、5℃以下まで冷却した後にメタノール85gを滴下して反応をクエンチし、30分撹拌した。なお、撹拌後は精製を行わなかった。DIPEAの添加量は、工程1におけるTHP-セラミド1モル当量に対して4モル当量の添加量であった。
【0075】
(工程2及び工程3)
【化23】
次いで、5℃以下で臭素1061g(6.6mol、5.0eq)を2時間かけて内温10℃以下になるよう添加した。全量添加後に5℃以下になるよう冷却し、撹拌して30分間反応させて、化合物(3)の臭化物を得た。TLC分析で原料消失のモニタリングを行った。なお、撹拌後は精製を行わなかった。臭素の添加量は、工程1におけるTHP-セラミド1モル当量に対して5モル当量の添加量であった。
【0076】
得られた化合物(3)の臭化物を含む反応溶液を0℃まで冷却し、水1042gを投入して、60分間撹拌した。撹拌後にジイソプロピルエチルアミン760gを加えて、pHが6となったことを確認後、分液して水層を除去し、減圧濃縮を行った。
【0077】
(工程4)
【化24】
次いで、45%トリメチルアミン水溶液を添加し、室温(23℃)で撹拌しながら16時間反応させて、スフィンゴリン脂質前駆体(THP-DHSM)を得た。トリメチルアミン水溶液の添加量は、トリメチルアミン換算で、工程1におけるTHP-セラミド1モル当量に対して90モル当量の添加量であった。
【0078】
反応後、反応混合物を12790gのクロロホルムで1回抽出し、次いで、4600gのクロロホルム、及び460gのメタノールの溶液で抽出した。分液後の有機層を24000gの陽イオン交換樹脂SK1BHによりpHを中性に調整した。次いで、加圧ろ過機でイオン交換樹脂を除去した後に3250gの両性イオン交換樹脂TMD-8で溶液を中性に調整した。再度、加圧ろ過機でイオン交換樹脂を除去した後、減圧濃縮を行った。これにより、THP-DHSMの反応混合物895gを得た。なお、得られたTHP-DHSMは精製を行わなかった。
【0079】
(工程5)
【化25】
21363gのメタノールの混合溶媒中に、895gのTHP-DHSMを添加した。次いで、脱保護剤として、417gパラトルエンスルホン酸・1水和物(pTsOH・1H
2O)を添加し、撹拌しながら7時間反応させた。次いで、イオン交換樹脂処理によりpH=7とした。pTsOHの添加量は、工程1におけるTHP-セラミド1モル当量に対して2モル当量の添加量であった。
【0080】
得られたスフィンゴリン脂質をカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラム精製は、クロロホルム/メタノール/水=65/25/4(v/v)で2回行った。1回目のカラム精製後の収量は170gであり、2回目のカラム精製後の収量は122gであった。以上により、スフィンゴリン脂質(DHSM)を得た。収率は14%であった。
【0081】
実施例2~13、比較例1
反応の条件を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、スフィンゴリン脂質前駆体及びスフィンゴリン脂質を調製した。
【0082】
実施例13のTHP-DHSM粗製の一部をサンプリングして、カラム精製を実施した。
【0083】
得られた化合物について、以下の条件でHPLC分析を行った。
(HPLC測定条件)
カラム:Astec Diol,5μm,4.6mm×250mm
移動相:
A液:クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水=80/19.5/0.5(v/v)
B液:クロロホルム/メタノール/水/28%アンモニア水=60/34/5.5/0.5(v/v)
カラム温度:25℃
検出 ELSD (島津ELSD-LT)
流速 1.0ml/min
分析時間35min(平衡化15min)
グラジエント 移動相B%
0→14min B 0%→100%
14→25min B 100%
25→30min B 100%→0%
30→35min B 0%
Injection: 10μL(2mg/ml クロロホルム/メタノール/水=60/30/5希釈)
【0084】
表1に、各実施例及び比較例の反応の条件及びHPLC分析値を示す。
【0085】
【0086】
得られたDHSMについて、以下の測定条件でNMR及びIRを測定した。
【0087】
(NMR測定条件)
合成したTHP-DHSM、DHSMの分子構造は、日本電子データム社製NMR分光高度計(JNM-AL300)を用い、CDCL3/CD3OD=20:1(v/v)に溶解して、1H-NMRを測定することにより確認した。
【0088】
(IR測定条件)
合成したTHP-DHSM、DHSMの分子構造は、島津社製FT-IR分光高度計(IRAffinity-1)を用い、ATR法で測定することにより確認した。
【0089】
(MS測定条件)
合成したTHP-DHSM、DHSMの分子量は、エービー・サイエックス社製SCIEX QTRAP4500で測定することにより確認した。
【0090】
NMR測定及びIR測定の結果を図に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
図4に、実施例13のDHSMのNMRを示す。質量スペクトル(m/z)は733.7(M+1)である。
【0095】
図5に、実施例13のTHP-DHSMのNMRを示す。質量スペクトル(m/z)は817.8(M+1)である。