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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20230628BHJP
   A43C 11/16 20060101ALI20230628BHJP
   A43B 5/00 20220101ALI20230628BHJP
【FI】
A43B23/02 104
A43C11/16
A43B5/00 303
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019024386
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020130321
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】300044551
【氏名又は名称】トップゴルフ キャラウェイ ブランズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】原 洋介
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-525927(JP,A)
【文献】特開2016-221232(JP,A)
【文献】特開平07-016102(JP,A)
【文献】実開昭59-128202(JP,U)
【文献】米国特許第05992057(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B23/02
A43B 5/00
A43B 7/14
A43C 1/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパー(20)の内羽根(30)及び外羽根(31)の内側に配置された包足帯(45)と、
前記内羽根(30)及び外羽根(31)の内側且つ前記包足帯(45)の外側に配置された締付帯(42)と
を備えた靴(1)であって、
前記包足帯(45)は、前記靴(1)の前後方向において、前記靴(1)を履いた足の爪先を覆うことなく、前記足の土踏まずを覆ことができる程度の幅を有し、足周囲方向において、足裏全体を覆い且つ足の甲の少なくとも一部を覆うことができる程度の長さを有し、
前記締付帯(42)は、両方の先端に靴紐(50)を通すガイド部(40, 41)を備え、
前記靴紐(50)が引っ張られると、前記締付帯(42)の前記ガイド部(40,41)が互いに引き寄せられることで、前記包足帯(45)が、前記靴(1)内の足の土踏まずの足周囲を覆うように構成されている、前記靴。
【請求項2】
アッパー(20)に取り付けられたダイヤルユニット(60)であって、前記ダイヤルユニット(60)から出ているワイヤ(55)の長さを調整するための前記ダイヤルユニット(60)と、
前記アッパー(20)の内羽根(30)に固定され、前記ワイヤ(55)を通すガイド部(40a)と、
前記アッパー(20)の内羽根(30)及び外羽根(31)の内側に配置された包足帯(45)と、
前記内羽根(30)及び外羽根(31)の内側且つ前記包足帯(45)の外側に配置された締付帯(42)と
を備えた靴(100)であって、
前記包足帯(45)は、前記靴(100)の前後方向において、前記靴(100)を履いた足の爪先を覆うことなく、前記足の土踏まずを覆うことができる程度の幅を有し、足周囲方向において、足裏全体を覆い且つ足の甲の少なくとも一部を覆うことができる程度の長さを有し、
前記締付帯(42)は、両方の先端に前記ワイヤ(55)を通すガイド部(40, 41)を備え、
前記ワイヤ(55)が前記ダイヤルユニット(60)に巻き取られると、前記内羽根(30)に固定されたガイド部(40a)と前記ダイヤルユニット(60)が互いに引き寄せられ、前記締付帯(42)の前記ガイド部(40,41)が互いに引き寄せられることで、前記包足帯(45)が、前記靴(100)内の足の土踏まずの足周囲を覆うように構成されている、前記靴。
【請求項3】
前記締付帯(42)を2つ以上備える請求項1又は2に記載の靴。
【請求項4】
前記靴は、タン(22)とインソール(24)をさらに備え、
前記締付帯(42)及び前記包足帯(45)は、前記靴内部の下側において、前記インソール(24)の下側に配置され、前記靴内部の上側において、前記タン(22)の上側に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の靴。
【請求項5】
ゴルフシューズである請求項1~4のいずれか1項に記載の靴。
【請求項6】
前記締付帯(42)は、当該締付帯(42)の下方において前記包足帯(45)の底に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足を包みフィット感を向上させる構成を備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、下面に多数のスパイクが突設されたアウターソールと該アウターソールの足裏側に配置される中敷であるインナーソールを有するゴルフ靴において、アウターソールとインナーソールとの間に使用者のかかと部分を地面から持ち上げる方向にくの字型に屈曲し、つま先側に位置する接地部とかかと側に位置する屈曲部からなる板状の可撓性部材であるスキルバーと、足の甲及び側部にあたる部分に所望の形状のスキルラバーを配置し、フィット感を向上させるゴルフ靴を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-325901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のゴルフ靴は、フィット感を向上させるために足の甲の部位に位置するスキルラバーを用いるが、足の甲及び側部と靴との間のフィット感を向上することができるが、足裏と靴との間のフィット感の向上には十分ではない。また、足の甲の部位に位置するスキルラバーが足に対して下方へ力を及ぼすことになり、土踏まずのアーチを保ちにくい構成でもある。
【0005】
そこで、本発明は、土踏まずのアーチを保ちつつ、足へのフィット感をさらに向上させる靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
〔1〕
アッパー(20)の内羽根(30)及び外羽根(31)の内側に配置された包足帯(45)と、
前記内羽根(30)及び外羽根(31)の内側且つ前記包足帯(45)の外側に配置された締付帯(42)と
を備えた靴(1)であって、
前記包足帯(45)は、前記靴(1)の前後方向において、前記靴(1)を履いた足の土踏まずを覆うことができる程度の幅を有し、足周囲方向において、足裏全体を覆い且つ足の甲の少なくとも一部を覆うことができる程度の長さを有し、
前記締付帯(42)は、両方の先端に靴紐(50)を通すガイド部(40, 41)を備え、
前記靴紐(50)が引っ張られると、前記締付帯(42)の前記ガイド部(40,41)が互いに引き寄せられることで、前記包足帯(45)が、前記靴(1)内の足の土踏まずの足周囲を覆うように構成されている、前記靴。
〔2〕
アッパー(20)に取り付けられたダイヤルユニット(60)であって、前記ダイヤルユニット(60)から出ているワイヤ(55)の長さを調整するための前記ダイヤルユニット(60)と、
前記アッパー(20)の内羽根(30)に固定され、前記ワイヤ(55)を通すガイド部(40a)と、
前記アッパー(20)の内羽根(30)及び外羽根(31)の内側に配置された包足帯(45)と、
前記内羽根(30)及び外羽根(31)の内側且つ前記包足帯(45)の外側に配置された締付帯(42)と
を備えた靴(100)であって、
前記包足帯(45)は、前記靴(100)の前後方向において、前記靴(100)を履いた足の土踏まずを覆うことができる程度の幅を有し、足周囲方向において、足裏全体を覆い且つ足の甲の少なくとも一部を覆うことができる程度の長さを有し、
前記締付帯(42)は、両方の先端に前記ワイヤ(55)を通すガイド部(40, 41)を備え、
前記ワイヤ(55)が前記ダイヤルユニット(60)に巻き取られると、前記内羽根(30)に固定されたガイド部(40a)と前記ダイヤルユニット(60)が互いに引き寄せられ、前記締付帯(42)の前記ガイド部(40,41)が互いに引き寄せられることで、前記包足帯(45)が、前記靴(100)内の足の土踏まずの足周囲を覆うように構成されている、前記靴。
〔3〕
前記締付帯(42)を2つ以上備える上記〔1〕又は〔2〕に記載の靴。
〔4〕
前記靴は、タン(22)とインソール(24)をさらに備え、
前記締付帯(42)及び前記包足帯(45)は、前記靴内部の下側において、前記インソール(24)の下側に配置され、前記靴内部の上側において、前記タン(22)の上側に配置される、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の靴。
〔5〕
ゴルフシューズである上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の靴。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る靴の平面図である。
図2】第1実施形態に係る靴の外側の側面図である。
図3】第1実施形態に係る靴の内側の側面図である。
図4】第1実施形態に係る靴の断面図等である。
図5】第2実施形態に係る靴の平面図である。
図6】第2実施形態に係る靴の外側の側面図である。
図7】第2実施形態に係る靴の内側の側面図である。
図8】第2実施形態に係る靴の断面図等である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第1及び第2の実施形態に係る靴1、100について、図面を用いて説明する。なお、「前方」は靴1のつま先側の方向を指し、「後方」はその反対方向(踵側)を指し、「前後方向」は靴1の長手方向を指し、「足周囲」は足の周囲方向を指す。また、「靴1の内側」というときは足の土踏まず側の方向を指し、「靴1の外側」というときはその反対方向(足の小指側)を指す。
【0009】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る靴1の平面図である。図2は、靴1の外側の側面図であり、図3は、靴1の内側の側面図である。図4の(a)は、図2のA-A線断面図であり、(b)は包足帯45で包まれた足の概要図である。なお、本書面では、左足用の靴について説明するが、右足用の靴についても同様であり、説明は省略する。
【0010】
靴1は、アウトソール10、ミッドソール15、及びアッパー20を備え、靴1の内部にはタン22やインソール24を備える。靴1は、例えば、歩行用又はスポーツ用の靴であり、好ましくはゴルフシューズである。
【0011】
アウトソール10の底面(地面と接触する面)の形状は、適宜決めることができる。例えば、アウトソール10の底面に、地面に対するグリップ性を向上させる凹凸構造を設けてもよい。
【0012】
ミッドソール15は、衝撃吸収用に、空気を含んだ部材や弾性樹脂などで構成された部分を有するようにしてもよいし、ミッドソール15全体が衝撃吸収用の素材で形成されていてもよい。なお、靴1は、ミッドソール15を設けず、アウトソール10とアッパー20とが直に接合した構成であってもよい。
【0013】
アッパー20の内側の羽根(内羽根)30は、すなわち使用者の足の土踏まずから甲までの領域に相当する領域を覆っている。アッパー20の外側の羽根(外羽根)31は内羽根30に対向するように設けられている。図1~4では、内羽根30が、足の(長手方向に沿う)中心線よりも外羽根31側にせり出したような構成となっており、この構成は、土踏まずのサポートにとってより好ましい構成である。しかしながら、これに限定されず、通常の靴のように、内羽根30及び外羽根31と該中心線との間隔が互いに同程度である構成であってもよいし、逆に、外羽根31が該中心線から内羽根30側にせり出した構成であってもよい。なお、内羽根30及び外羽根31を合わせて羽根30、31と称する。
【0014】
アッパー20の羽根30、31は、前後方向に幅広構造をしており、羽根30、31の前方端はアッパー20のトゥ部分に固定され、羽根30、31の後方端は自由端である。なお、羽根30、31のいずれか又は両方の前方端を自由端としてもよいし、内羽根30を特許文献1に記載のようなベルト(30)状に構成し、より土踏まずをサポートしやすい構成としてもよい。また、羽根30、31のいずれか又は両方の後方端の一部をタン22に接合させて、足を靴1に出し入れする際に、タン22が足に巻き込まれにくくするような構成としてもよい。
【0015】
靴1の靴紐50は、靴1の内部(アッパー20の羽根30,31の内側)に設けられた複数の締付帯42a、42b(総称して締付帯42ともいう)の両端のガイド部40a、40b、41a、41b(総称してガイド部40、41ともいう)を通り、靴紐50が結べるように構成されている。なお、締付帯42の数は2つに限らず、1つ以上であればよく、好ましくは2つ以上である。また、複数の締付帯42それぞれの前後方向の幅は、図示するように互いに異なるようにしてもよいし、同じであってもよい。
【0016】
ガイド部40aは、羽根30、31の締め付け方向(足の周囲方向)において、ガイド部41aと対向する位置に配置されている。ガイド部40bは、羽根30、31の締め付け方向において、ガイド部41bと対向する位置に配置されている。なお、対向するというのは、厳密な意味で対向していることまでは必要なく、例えば、ガイド部40aとガイド部40bが靴紐50が結べて足を保持できるならば、少し前後方向に離れていてもよいし、ガイド部40aとガイド部40bの前後方向の幅が互いに異なるものであってもよい。ガイド部40b、41bについても同様である。
【0017】
各ガイド部40a~41bは、靴紐50と係合しており、使用者が靴紐50を結ぶために引っ張ると、ガイド部40aとガイド部41aとの間及びガイド部40bとガイド部41bとの間は縮まり、締付帯42は足に締め付けられる。また、靴紐50を緩めると、ガイド部40aとガイド部41aとの間及びガイド部40bとガイド部41bとの間が開き、締付帯42も緩まる。
【0018】
図4に示すように、靴1は、その内部に、足の土踏まず付近の足周囲を包み、足を包み込むように保持する包足帯45を備える。包足帯45の前後方向における幅は少なくとも足の土踏まず部分を覆うことができる程度の幅とするとよい。また、包足帯45の足周囲方向における長さは、足裏全体を覆い且つ足の甲の少なくとも一部(全部又は一部)を覆うことができる程度の長さとするとよい。
【0019】
靴1の内部(アッパー20の羽根30、31の内側)において、包足帯45を外側から覆うように、1つ又は複数の締付帯42a、42bが設けられている。なお、本実施形態では締付帯42を2つとしているが、これに限定されない。なお、1本の締付帯42を用いる場合は、締付帯42の前後方向の幅を、包足帯45と同程度にするとよい。
【0020】
図4に示すように、締付帯42bは、両先端に靴紐50が通る前述のガイド部40b、41bを有し、上方及び/又は側方において羽根30、31の内側に設けられた複数のガイド部35、36を通るように配置されている。ガイド部35、36の数は2つに限らず3つ以上であってもよい。
【0021】
羽根30、31のガイド部35、36により、締付帯42bの締め付けにともない羽根30、31が締め付ける方向に動かされ、足へのフィット感を向上させる。また、ガイド部35、36により、締付帯42bは落ちてこず、靴1に足を入れた際にも締付帯42bが足に引っかかったりしにくいようになっている。また、羽根30、31のガイド部35、36は、締付帯42bを通すが、ガイド部40b、41bが抜けないように構成される。さらに、締付帯42bは、上方又は中程において包足帯45に形成された開口46を通り、下方において包足帯45の底に縫い付けられている。なお、締付帯42aも締付帯42bと同様であり、説明は省略する。
【0022】
靴1のタン22及びインソール24は、締付帯42a、42b及び包足帯45の内側に配置される。靴1内部の下側において、締付帯42a、42b及び包足帯45をインソール24の下側に配置することで、靴1に足を入れたときに、足が締付帯42a、42b及び包足帯45に引っかかりにくいようにすることができるとともに、靴1との一体感により足へのフィット感や履きごこちを向上させ、締付帯42a、42bを靴1の内部で安定させることができる。また、靴1内部の上側において、締付帯42a、42b及び包足帯45をタン22の上側に配置することで、靴1に足を入れたときに、足が締付帯42a、42b及び包足帯45に引っかかりにくいようにすることができ、フィット感や履きごこちを向上させる。
【0023】
靴1に足を入れ、タン22とインソール24との間に足が位置する状態で、靴紐50を引っ張り締めると、ガイド部40aとガイド部41a、及びガイド部40bとガイド部41bはそれぞれ、締め付け方向(足周囲方向)に互いに近づくように引っ張られ、それにともない締付帯42a、42bは、包足帯45を締め付け、包足帯45が足の土踏まず付近の足周囲(足裏全体から足の甲の一部にかけて)を覆う(包み込む)ように構成されている。なお、図4(a)では、理解しやすくするために、インソール24が浮いているように描かれているが、足を靴1に入れると、インソール24、包足帯45、及び締付帯42a、42bは、重みでミッドソール15上に位置することとなる。
【0024】
従来の靴は、アッパーの外側に配された靴紐でアッパーの両羽根を互いに寄せて足の甲を覆うかたちで足を保持するものである。他方、本実施形態に係る靴1は、靴紐50を引っ張ることで、締付帯42aのガイド部40a、41aが互いに引き寄せられ、締付帯42bのガイド部40b、41bが互いに引き寄せられる。この結果、アッパー20の両方の羽根30、31が互いに引き寄せられ、包足帯45が、足の土踏まず付近の足周囲を覆う。足の土踏まず付近の足裏全体から足の甲(の一部又は全部)にかけて包足帯45で包み込むように覆う構成により、従来の靴に比べて、足へのフィット感を向上させることができる。また、包足帯45が足の土踏まず付近を包み込むよう構成されており、土踏まずのアーチを上方に持ち上げることができ、土踏まずのアーチを保ちやすくなる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図1は、本発明の第2実施形態に係る靴100の平面図である。図5は、靴100の外側の側面図であり、図6は、靴100の内側の側面図である。図7の(a)は、図8のA-A線断面図であり、(b)は包足帯45の構成の概略斜視図である。なお、左足用の靴100を用いて説明するが、右足用の靴についても同様であるため、説明は省略する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0026】
靴100は、アウトソール10、ミッドソール15、及びアッパー20を備え、靴1の内部にはインソール24を備える。靴100は、例えば、歩行用又はスポーツ用の靴であり、好ましくはゴルフシューズである。なお、靴100は、ミッドソール15を設けず、アウトソール10とアッパー20とが直接接続した構成であってもよい。
【0027】
アッパー20(の外羽根31)には、ダイヤルユニット60が固定されており、ダイヤルユニット60は、ダイヤルユニット60から外に出ているワイヤ55の長さを調整するのに用いられる。ダイヤルユニット60から出るワイヤ55は、内羽根30の最も後方に固定されたガイド部40aを通り、靴100の内部(アッパー20の羽根30,31の内側)に設けられた複数の締付帯42(42b、42c)の両端のガイド部40b~41cを通り、ガイドユニット60に戻るよう構成されている。
【0028】
ガイド部40bは、羽根30、31の締め付け方向(足の周囲方向)において、ガイド部41bと対向する位置に配置されている。ガイド部40cは、羽根30、31の締め付け方向において、ガイド部41cと対向する位置に配置されている。各ガイド部40a~41cは、ワイヤ55と係合しており、ダイヤルユニット60を操作して、ダイヤルユニット60からワイヤ55を引き出したり、巻き戻したりしたとしても外れないようになっている。なお、ワイヤ55は各ガイド部40a~41cに固定されているわけではないので、ダイヤルユニット60を操作してワイヤ55を引き出したり、巻き取ったりできる。
【0029】
ダイヤルユニット60は、図6に示すように、靴100の外羽根31の後方に配置され、羽根30、31の締め付け方向において、ガイド部40aと対向する位置に配置されている。ダイヤルユニット60は、ワイヤ55を引き出したり、戻したりすための一対の開口部61、62を有する。開口部61、62は、ガイド部40aが配置されている側に開口している。
【0030】
ダイヤルユニット60の内側には、ワイヤ55を巻き取ったり、ワイヤ55を引き出したりする巻き取り機構(不図示)が配置されいる。巻き取り機構としては、公知の機構を適宜採用することができる。本実施形態では、ダイヤルユニット60のダイヤル63を所定方向に回転させると、巻き取り機構がワイヤ55を巻き取る。また、ダイヤル63を回転軸方向に押し込むと、巻き取り機構によるワイヤ55の巻き取りが解除されて、開口部61、62から人の手によりワイヤ55を引き出すことができる。
【0031】
ダイヤルユニット60のワイヤ55は、断線しにくく、伸び縮みしにくい材質で作られる。ワイヤ55は、ダイヤルユニット60の開口部61から出て、順にガイド部40a、ガイド部41b、ガイド部40c、ガイド部41c、及びガイド部40bを通り、開口部62に戻るよう構成される。なお、ワイヤ55を各ガイド部40a~41cに通す順序はこれに限られない。例えば、ワイヤ55を順にガイド部40a、ガイド部40b、ガイド部40c、ガイド部41c、ガイド部41bに通す構成であってもよいし、順にガイド部40a、ガイド部41b、ガイド部40b、ガイド部41c、及びガイド部40cを通す構成であってもよい。また、一つのガイド部にワイヤ55を複数回通すような構成であってもよい。
【0032】
ダイヤルユニット60のダイヤル63を所定方向に回転させると、巻き取り機構がワイヤ55を巻き取ることにより、ワイヤ55の一部がダイヤルユニット60の内部に引き込まれる。これにより、ガイド部40aは、ワイヤ55に引っ張られてダイヤルユニット60に近づく方向に移動するとともに、ガイド部40b,40cは、ワイヤ55に引っ張られてガイド部41a,41bに近づく方向に移動する。結果として、アッパー20の羽根30、31が互いに向かう方向に引っ張られることにより、使用者の足の甲に対して羽根30、31を締め付けることができる。
【0033】
他方、ダイヤル63を回転軸方向外側に引っ張ってから、ワイヤ55を引き出すことにより、ダイヤルユニット60の外部に引き出されているワイヤ55の長さを長くして、アッパー20の羽根30、31を互いに離れる方向に移動させることができる。結果として、足の甲に対する羽根30、31の締め付けを緩めることができる。
【0034】
ダイヤルユニット60の開口部61,62が、アッパー20の羽根30、31の締め付け方向において、ガイド部40aと対向している。このため、ダイヤル63の操作によってワイヤ55を巻き取るときの力をガイド部40aに作用させやすくなり、羽根30、31を使用者の足に締め付けやすくなる。また、ダイヤルユニット60からワイヤ55を引き出したときには、ガイド部40aをダイヤルユニット60から離れる方向に移動させやすくなり、使用者の足に対する羽根30、31の締め付けを緩めやすくなる。
【0035】
図8に示すように、靴100は、その内部に、足の土踏まずの周囲を包み、足を包み込むように保持する包足帯45を備える。包足帯45の前後方向における幅は足の土踏まず部分を覆うことができる程度の幅とするとよく、包足帯45の足周囲方向における長さは、足裏全体を覆い且つ足の甲の少なくとも一部(全部又は一部)を覆うことができる程度の長さとするとよい。
【0036】
靴100の内部(アッパー20の羽根30、31の内側)において、包足帯45を外側から覆うように、1つ又は複数の締付帯42b、42cが設けられている。なお、本実施形態では締付帯42を2つとしているが、これに限定されない。また、1本の締付帯42を用いる場合は、締付帯42の前後方向の幅を、包足帯45と同程度にするとよい。
【0037】
図8に示すように、締付帯42cは、両先端にワイヤ55が通る前述のガイド部40c、41cを有し、上方において羽根30、31に設けられたガイド部35、36を通るように配置されている。羽根30、31のガイド部35、36により、締付帯42cは落ちてこず、靴100に足を入れた際にも締付帯42cが足に引っかかったりしにくいようになっている。また、羽根30、31のガイド部35、36は、締付帯42cを通すが、ガイド部40c、41cが抜けないように構成されている。さらに、締付帯42cは、上方又は中程において包足帯45に形成された開口46を通り、下方において包足帯45の底に縫い付けられている。なお、締付帯42bも締付帯42cと同様であり、説明は省略する。
【0038】
靴100のタン22及びインソール24は、締付帯42b、42c及び包足帯45の内側に配置される。靴100内部の下側において、締付帯42b、42c及び包足帯45をインソール24の下側に配置することで、靴100に足を入れたときに、足が締付帯42b、42c及び包足帯45に引っかかりにくいようにすることができるとともに、フィット感や履きごこちも向上させ、締付帯42b、42cを靴100内部で安定させることができる。また、靴100内部の上側において、締付帯42b、42c及び包足帯45をタン22の上側に配置することで、靴100に足を入れたときに、足が締付帯42b、42c及び包足帯45に引っかかりにくいようにすることができ、フィット感や履きごこちを向上させる。
【0039】
靴100に足を入れ、タン22とインソール24との間に足が位置する状態で、ダイヤルユニット60を操作して、ワイヤ55をダイヤルユニット60に巻き戻すと、ガイド部40cとガイド部41c、及びガイド部40bとガイド部41bはそれぞれ、締め付ける方向(足周囲方向)に互いに近づくように引っ張られ、それにともない締付帯42b、42cは、包足帯45を締め付け、包足帯45が足の土踏まず付近の足周囲(足裏から足の甲の一部にかけて)を覆う(包み込む)ように構成されている。なお、図8(a)では、理解しやすくするために、インソール24が浮いているように描かれているが、足を靴100に入れると、インソール24、包足帯45、及び締付帯42b、42cは、重みでミッドソール15上に位置することとなる。
【0040】
本実施形態に係る靴100は、ダイヤルユニット60のワイヤ55を巻き取ることで、内羽根30の固定されたガイド部40a及びダイヤルユニット60が互いに引き寄せられ、締付帯42bのガイド部40b、41bが互いに引き寄せられ、締付帯42cのガイド部40c、41cが互いに引き寄せられる。この結果、アッパー20の両方の羽根30、31が互いに引き寄せられ、包足帯45が、足の土踏まずの足周囲を覆う。このような構成により、足の土踏まず付近の足裏全体から足の甲(の一部又は全部)にかけて包足帯45で包み込むように覆われるため、従来の靴に比べて、靴100は、足へのフィット感を向上させることができる。また、ワイヤ55を巻き取ることで、包足帯45が足の土踏まずのアーチを上方に持ち上げるように構成されているため、土踏まずのアーチを保ちやすくなる。
【0041】
上記実施形態で説明される寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構造又は様々な条件に応じて変更される。また、本発明は、具体的に記載された上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
1、100 靴
10 アウトソール
20 アッパー
22 タン
24 インソール
30 アッパー20の内羽根
31 アッパー20の外羽根
40(40a、40b、40c) 内羽根30側のガイド部
41(41b、41c) 外羽根31側のガイド部
42(42b、42c) 締付帯
45 包足帯
46 包足帯45の開口
50 靴紐
55 ワイヤ
60 ダイヤルユニット
61、62 開口部
63 ダイヤル


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8