(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】含浸型放出制御農薬粒剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/12 20060101AFI20230628BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20230628BHJP
A01N 25/08 20060101ALI20230628BHJP
A01N 57/16 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A01N25/12
A01P7/04
A01N25/08
A01N57/16 103C
(21)【出願番号】P 2019033619
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷垣内 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】堀 洋章
(72)【発明者】
【氏名】米川 努
(72)【発明者】
【氏名】藤田 忠英
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-128601(JP,A)
【文献】特開2001-139870(JP,A)
【文献】特開昭60-202801(JP,A)
【文献】特開2017-160138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分(a)及び反応硬化型エポキシ樹脂(b)を含有する
混合物を吸油性核粒(c)に
含浸させる工程を含む含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法であって、
前記吸油性核粒(c)は、クレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素、バーミキュライト、セリサイト、アタパルジャイト、パーライト、セピオライト、珪砂、ケイ酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、炭酸カルシウムの中から選ばれる1つ以上の非膨潤性粉体と、
結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ベントナイト、ポリビニルアルコールの中から選ばれる1種以上の膨潤性粉末、を含み、
前記非膨潤性粉体と前記膨潤性粉末を混錬して調製された造粒物である、
含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項2】
農薬活性成分(a)及び反応硬化型エポキシ樹脂(b)を含有する混合物
を含浸させ、反応性硬化型エポキシ樹脂(b)
を硬化させて吸油性核粒(c)内に存在させる工程を含む、請求項1に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項3】
成分含有割合が、農薬活性成分(a)0.5~30質量%、反応硬化型エポキシ樹脂(b)0.5~30質量%及び吸油性核粒(c)60~99.0質量%である請求項1又は2に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項4】
反応硬化型エポキシ樹脂(b)がビスフェノールA型及び/またはビスフェノールF型である請求項1~3のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項5】
吸油性核粒(c)の直径が0.3~5.0mm、粒長が0.5~5mmの円柱であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項6】
上記混合物中にさらに硬化剤(d)を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項7】
硬化剤(d)がアミン系、ポリアミノアミド系、チオール系硬化剤である請求項6に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項8】
更に粒表面に水性エマルション樹脂による被覆層
を形成させる工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項9】
水性エマルション樹脂中に含まれる樹脂の最低造膜温度(MFT)が45℃以下であることを特徴とする請求項8に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項10】
更に平均粒径75μm以下の粉体をフィラーとして被覆層に含有する請求項8又は9に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項11】
被覆層にフィラーが含まれ、前記フィラー中15~70質量%が20℃で固体の油脂、樹脂、有機ケイ素化合物であり、残りがクレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素、バーミキュライト、セリサイト、アタパルジャイト、パーライト、セピオライト、珪砂、ケイ酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、炭酸カルシウム、ベントナイトの中から選ばれる1つ以上の無機粉体であることを特徴とする請求項8~10の何れか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項12】
農薬活性成分(a)が20℃において液体である請求項1~11のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【請求項13】
農薬活性成分(a)がダイアジノンである請求項1~12のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農薬活性成分の環境への放出を制御することにより、所望の期間に亘り効力を発現させることができる含浸型の放出制御農薬粒剤に関する。詳しくは、農薬活性成分、及びエポキシ樹脂を吸油性担体に含浸して得られる農薬粒剤に関し、農薬活性成分の土壌への放出を制御して効力発現の期間を延長し、農薬の散布回数を減らして省力化、及び環境負荷の低減を可能にする農薬粒剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業従事者の高齢化が益々深刻になり、農作業の省力化が求められている。それに伴い農薬も省力散布製剤やその散布方法に関する技術が検討されている。さらに、環境負荷低減という面から農薬の使用量及び使用回数の減少と使用期間の早期化が望まれる。これらの要請を受け、農薬活性成分の溶出制御、溶出期間の長期化による残効の長期化を目的とした農薬粒剤の開発が行われている。そこで、農薬活性成分の農薬製剤中から土壌中及び水中への放出速度を制御する製剤技術の開発が必要となるが、農薬活性成分の放出を制御する製剤としてはこれまでにも様々な基材を用いた農薬粒剤が開発されてきた。
このような放出制御粒剤として、脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体や、各種樹脂等の疎水性材料を基材として用いて練り込み造粒するもの(特許文献1~4)、農薬活性成分を含有する液体をマイクロカプセル化するもの(特許文献5)、農薬活性成分を含有する顆粒を被覆するもの(特許文献6~8)、ワックスのエマルションと撥水性粉末をコーティング後、加熱乾燥するもの(特許文献9)、非吸油性粒状担体に農薬活性成分とエポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂によって被覆するものや(特許文献10)、これらの樹脂を溶剤に希釈して含浸後、溶剤を減圧下で除去するもの(特許文献11)、吸油性鉱物質核粒に農薬活性成分を含浸吸着させた後、アルギン酸ナトリウム水溶液を含浸し、次いで塩化カルシウム処理後、加熱乾燥するもの(特許文献12)がある。しかし、特許文献1~4のような練り込み造粒や、特許文献6~9のような被覆後の乾燥が必要なものは、通気下の加熱工程があるため、蒸気圧の高い農薬活性成分は製造過程で揮散による消失が問題となる。また、特許文献10のような熱硬化性樹脂による被覆は概ね樹脂主剤の粘度が高いため、少量ずつ被覆しなくてはならず、被覆工程が煩雑となるばかりか、粒同士が接着する現象(団粒)が生じて所望の製剤が得られないといった問題があった。さらに、特許文献11、12では含浸工程で使用する溶剤や水を取り除く工程で減圧下にて加熱する必要があり、有効成分の分解や消失の問題があり、使用できる有効成分に限りがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-178102号公報
【文献】特開平11-292706号公報
【文献】特開2000-351705号公報
【文献】特開2011-6396号公報
【文献】特開平11-314032号公報
【文献】特開平11-005704号公報
【文献】特開2007-119442号公報
【文献】特公昭52-21059号公報
【文献】特開2000-239105号公報
【文献】特開平9-165304号公報
【文献】特開2009-12996号公報
【文献】特開平07-112903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は新たな技術により、粒剤に含有された農薬活性成分を初期の放出を抑えつつ長期間の放出を保つ放出制御粒剤を提供することを目的とする。特に蒸気圧が高く、加熱乾燥や減圧留去により揮散が生じる農薬活性成分を安定に放出制御粒剤へと製剤化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) 農薬活性成分(a)及び反応硬化型エポキシ樹脂(b)を含有する混合物が吸油性核粒(c)に含浸した含浸型放出制御農薬粒剤。
(2) 農薬活性成分(a)及び反応硬化型エポキシ樹脂(b)を含有する混合物が反応性硬化型エポキシ樹脂(b)が硬化した状態で吸油性核粒(c)内に存在する(1)に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(3) 吸油性核粒(c)がクレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素、バーミキュライト、セリサイト、アタパルジャイト、パーライト、セピオライト、珪砂、ケイ酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、炭酸カルシウムの中から選ばれる1つ以上の非膨潤性粉体と、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ベントナイト、ポリビニルアルコールの中から選ばれる1種以上の膨潤性粉末を含む(1)又は(2)に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(4) 成分含有割合が、農薬活性成分(a)0.5~30質量%、反応硬化型エポキシ樹脂(b)0.5~30質量%及び吸油性核粒(c)60~99.0質量%を含有する(1)~(3)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(5) 反応硬化型エポキシ樹脂(b)がビスフェノールA型及び/またはビスフェノールF型である(1)~(4)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(6) 吸油性核粒(c)の直径が0.3~5.0mm、粒長が0.5~5mmの円柱であることを特徴とする(1)~(5)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(7) 上記混合物中にさらに硬化剤(d)を含む(1)~(6)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(8) 硬化剤(d)がアミン系、ポリアミノアミド系、チオール系硬化剤である(7)に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(9) 更に粒表面に水性エマルション樹脂による被覆層を有する(1)~(8)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(10) 水性エマルション樹脂中に含まれる樹脂の最低造膜温度(MFT)が45℃以下であることを特徴とする(9)に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(11) 更に平均粒径75μm以下の粉体をフィラーとして被覆層に含有する(9)又は(10)に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(12) 被覆層に含まれるフィラー中15~70質量%が20℃で固体の油脂、樹脂、有機ケイ素化合物であり、残りがクレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素、バーミキュライト、セリサイト、アタパルジャイト、パーライト、セピオライト、珪砂、ケイ酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、炭酸カルシウム、ベントナイトの中から選ばれる1つ以上の無機粉体であることを特徴とする(9)~(11)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(13) 農薬活性成分(a)が20℃において液体である(1)~(12)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(14) 農薬活性成分(a)がダイアジノンである(1)~(13)のいずれか一項に記載の含浸型放出制御農薬粒剤。
(15) 農薬粒剤の製造方法であって、
農薬活性成分(a)を反応硬化型エポキシ樹脂(b)と混合し、吸油性核粒(c)に含浸吸着させ、樹脂を硬化させる工程を含む、含浸型放出制御農薬粒剤の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は、農薬活性成分の放出を所望の速度に制御できる農薬粒剤を容易に得られる。これにより初期の農薬活性成分の放出を抑え、長期間にわたって農薬活性成分を放出することを可能にし、農作業の省力化、農薬使用量及び使用回数の削減に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の含浸型放出制御農薬粒剤についてより詳しく説明する。
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は農薬活性成分(a)と反応硬化型エポキシ樹脂(b)を含む混合物を吸油性担体(c)に含浸させた農薬粒剤である。
【0009】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤に用いられる農薬活性成分(a)は、農薬殺虫活性成分、農薬殺菌活性成分、除草活性成分のいずれでもよく、またこれらに限定されるものではない。用いられる農薬活性成分(a)は基本的には制限はないが、具体的には例えば次のようなものが挙げられる。
【0010】
農薬殺虫活性成分としては、例えば、フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、アセフェート、ピリミホスメチル、イソキサチオン、シアノホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、モノクロトホス、エチオン、クロルピリホス、メチダチオン、プロチオホス、等の有機リン系化合物、NAC、MIPC、BPMC、チオジカルブ、ベンフラカルブ、カルボスルファン、メソミル、アルジカルブ、オキサミル、フェノチオカルブ等のカーバメート系化合物、エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シペルメトリン、ペルメトリン、シハロトリン、デルタメトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、ビフェンスリン、ハルフェンプロックス、トラロメトリン、シラフルオフェン、d-フェノトリン、シフェノトリン、d-レスメトリン、アクリナスリン、シフルトリン、テフルトリン、トランスフルスリン、テトラメトリン、アレトリン、プラレトリン、エンペントリン、イミプロスリン、d-フラメトリン、ピレトリン、フルシトリネート等のピレスロイド系化合物、ブプロフェジン等のチアジアジン誘導体、ニトロイミダゾリジン誘導体、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等のネライストキシン誘導体、N-シアノ-N-メチル-N’-6-クロロ-3-ピリジルメチル)アセトアミジン等のN-シアノアミジン誘導体、エンドスルファン、ジコホル等の塩素化炭化水素化合物、昆虫成長制御化合物であるクロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、アミトラズ、クロルジメホルム等のホルムアミジン誘導体、ジアフェンチウロン等のチオ尿素誘導体、N-フェニルピラゾール系化合物、イミダクロプリド、クロチアニジン、ニテンピラム、チアメトキサム等のネオニコチノイド系化合物、テブフェノジド、クロマフェノジド等のジアシルヒドラジン系化合物、メタアルデヒド、メトキサジアゾン、ブロモプロピレート、テトラジホン、キノメチオネート、プロパルギット、フェンブタティンオキシド、ヘキシチアゾクス、クロフェンテジン、フロメトキン、ピリダベン、フェンピロキシメート、デブフェンピラド、ポリナクチンコンプレックス、ピリミジフェン、ミルベメクチン、アバメクチン、イベルメクチン、アザジラクチン、スピノサド、スピネトラム、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール等を挙げることができ。
【0011】
農薬殺菌活性成分としては、例えば、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系化合物;ジエトフェンカルブ等のフェニルカーバメート系化合物;プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系化合物;ジニコナゾール、プロペナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメフォン等のアゾール系化合物;メタラキシル等のアシルアラニン系化合物;フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、イソチアニル、ボスカリド等のカルボキシアミド系化合物;トルクロホスメチル、フォセチルアルミニウム、ピラゾホス等の有機リン系化合物;ピリメサニル、メパニピリム、シプロジニル等のアニリノピリミジン系化合物;フルジオキソニル、フェンピクロニル等のシアノピロール系化合物;ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシン等の抗生物質;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、SSF-126等のメトキシアクリレート系化合物;クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、トリシクラゾール、ピロキロン、プロベナゾール、フサライド、シモキサニル、ジメトモルフ、CGA245704、ファモキサドン、オキソリニック酸、フルアジナム、フェリムゾン、ジクロシメット、クロベンチアゾン、イソバレジオン、テトラクロオロイソフタロニトリル、チオフタルイミドオキシビスフェノキシアルシン、3-アイオド-2-プロピルブチルカーバメイト、パラヒドロキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等を挙げることができる。
【0012】
除草化合物としては、例えば、アトラジン、メトリブジン、プロメトリン等のトリアジン系化合物;フルオメツロン、イソプロチュロン等のウレア系化合物;ブロモキシニル、アイオキシニル等のヒドロキシベンゾニトリル系化合物;ペンディメサリン、トリフルラリン等の2、6-ジニトロアニリン系化合物;2,4-D、ジカンバ、フルロキシピル、メコプロップ等のアリロキシアルカノイック酸系化合物;ベンスルフロンメチル、メツルフロンメチル、ニコスルフロン、プリミスルフロンメチル、シクロスルファムロン等のスルホニルウレア系化合物;イマザピル、イマザキン、イマゼタピル等のイミダゾリノン系化合物;メソトリオン、テフリルトリオン等のトリケトン系化合物;フェノキサスルホン等のスルホニルイソキサゾリン系化合物;ビスピリバックNa塩、ビスチオバックNa塩、アシフルオルフェンNa塩、サルフェントラゾン、パラコート、フルメツラム、トリフルスルフロンメチル、フェノキサプロップ-p-エチル、ジフルフェニカン、ノルフルラゾン、イソキサフルトール、グルフォシネートアンムニウム塩、グリフォセート、ベンタゾン、メフェナセット、プロパニル、フルチアミド、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン等を挙げることができる。
【0013】
本発明ではこれらの中でも、20℃で液体の農薬活性成分(a)が好適である。20℃で固体の農薬活性成分の場合、吸油性核粒への含浸工程で、予め加熱による溶融や、溶剤への溶解が必要となるだけでなく、含浸後に核粒内で固化し、圃場環境中への放出が滞るおそれがある。また、20℃で液体の農薬活性成分(a)の中でも蒸気圧が高い農薬活性成分が好適であり、具体的には、クロルピリホス、シアノホス、ダイアジノン、ピリミホスメチル、フェニトロチオン、フェンチオン、フェントエート等の有機リン系活性成分や、MIPC、BPMC、チオジカルブ等のカーバメート系活性成分、ピレトリン、テフルトリン等のピレスロイド系活性成分に代表される20℃における蒸気圧が0.5mPa以上の農薬活性成分(a)が好ましい。これらの中でもダイアジノン等の有機リン系活性成分や、テフルトリン等のピレスロイド系活性成分が好ましい。これらの農薬活性成分(a)はその蒸気圧の高さから農薬粒剤の外に放出されやすく、技術的な工夫を施さなければ施用から程なく製剤から放出され、圃場環境の影響を受けて流亡及び分解されて速やかに効力を発現する濃度以下まで低下する。また、製造過程で加熱や減圧による乾燥工程が必要な場合に、これらの農薬活性成分(a)は揮散によって製剤中の含量低下や消失を来し、使用場面で効力を発現できないといった事象が生じる。当然ながら本発明に使用できる農薬活性成分(a)はこれらに限らない。また、農薬活性成分(a)を単独又は2種以上を併用してもよい。
【0014】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤中の農薬活性成分(a)の含有割合は、通常0.5~30質量%、好ましくは1~10質量%である。粒剤中の含有量が0.5質量%に満たない場合は農薬活性成分(a)の十分な効力発現が期待できず、30質量%を超えると農薬活性成分(a)の水中への溶出が十分に制御できず、長期の残効が期待できない。また、用いる吸油性核粒によっては吸油能の限界を超過するため、製剤化そのものが困難となる。
【0015】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤において、反応硬化型エポキシ樹脂(b)の組成は種々のものがあるが、用いる農薬活性成分(a)との相溶性や期待する残効の期間、製剤化時の取扱い容易性、入手容易性を鑑みて選定する。とりわけビスフェノールA型(三菱ケミカル製;jER-825等、DIC製;EPICLON-840等、ADEKA製;EP-4100等)は入手容易であることから好ましく、ビスフェノールF型(三菱ケミカル製;jER-806等、DIC製;EPICLON-830-S等、ADEKA製;EP-4901等)は粘度が低く製剤化が容易である点で優れていることから好ましい。また、種類の異なる組成のエポキシ樹脂を2種以上併用したり、粘度を下げるために反応性希釈剤を用いてもよい。
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤に使われる反応硬化型エポキシ樹脂(b)の粒剤中における含有割合は、通常0.5~30質量%、好ましくは1~20質量%である。本含浸型放出制御農薬粒剤中の含有割合が0.5質量%を下回ると本含浸型放出制御農薬粒剤中の農薬活性成分(a)の放出を制御できず、30質量%を上回ると、多くの吸油性核粒(c)は吸油能の上限付近となるため、効果を発現可能な量の農薬活性成分(a)の保持が困難となる。
【0016】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤に使われる吸油性核粒(c)は例えばクレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素、バーミキュライト、セリサイト、アタパルジャイト、パーライト、セピオライト、珪砂、ケイ酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、炭酸カルシウムから選ばれる1種以上の非膨潤性粉体と、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ベントナイト、ポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の膨潤性粉体の組合せを造粒して得られるが、使用し得る非膨潤性粉体、及び膨潤性粉体は上記の限りではなく、使用する農薬活性成分(a)の安定性が担保できる組み合わせであれば特に制限はない。吸油性核粒(c)中の当該非膨潤性粉体の含有割合は50~95質量%、好ましくは70~95質量%である。また、同じく吸油性核粒(c)中の当該膨潤性粉体の含有割合は5~50質量%、好ましくは5~30質量%である。これらの範囲の中から、望む放出速度になるよう、非膨潤性、膨潤性両粉体の含有割合を調整する。通常、膨潤性粉体の含有割合を多くすることで農薬活性成分(a)の放出速度が速くなる。吸油性核粒(c)に含まれる膨潤性粉体が50質量%を超過すると、散布後ただちに環境中の水分を吸収して膨潤し、粒剤中の農薬活性成分(a)が速やかに放出され、放出の制御が期待できない。また、膨潤性粉体が5質量%を下回ると、粒剤の膨潤が不完全となり、エポキシ樹脂に封入された農薬活性成分(a)が放出されずに長期間環境中に残存するおそれがある。
非吸油性粉末が岩石等の無機鉱物質を粗粉砕又は、無機鉱物質粉体を焼結して得られる核粒の場合、その硬度の高い構造によって、長期に農薬有効成分が粒内に残存して有効に働かなくなるおそれがある。一方、練り込み造粒により得られた核粒を用い、かつ核粒の組成の一部に膨潤性粉体を加えることで、圃場水分によって粒内の構造が軟化し、エポキシ樹脂によって粒内に閉じ込められた農薬有効成分を徐々に放出させることができる。
【0017】
本発明に使われる吸油性核粒(c)の粒度は、最終製剤に要求される粒度の範囲の中で適切なものを適時選択すればよい。吸油性核粒の粒径は練り込み造粒に用いるスクリーンの口径で決まり、用いるスクリーン径は0.3~5mmの範囲のものが選択され、好ましくは0.5~2.0mmである。当該核粒は造粒機から排出された乾燥前の核粒を軽く解砕することで約0.5~5mmの粒長に整粒される。また、当該吸油性核粒(c)は物理的な強度の観点から、実質的に均質で一体であるものが好ましい。
【0018】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤において、農薬活性成分(a)、架橋化前の流動性ある反応硬化型エポキシ樹脂(b)のプレポリマーを混合し、必要に応じて更に硬化剤を添加混合して吸油性核粒(c)に含浸させた後、反応硬化型エポキシ樹脂(b)を硬化させることで農薬活性成分(a)が核粒に保持される。農薬活性成分(a)の放出が抑制される。また、圃場で本願発明の含浸型放出制御農薬粒剤が水を含み膨潤することで、反応硬化型エポキシ樹脂の架橋ネットワークから農薬活性成分が放出されることで、農薬活性成分が粒剤中から放出されず残存し続けることを抑制することができる。
【0019】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤に用いても良い反応性希釈剤は特に限定されないが、DY-BP(四日市合成製)、エポゴーセーEN(四日市合成製)、YED111N(三菱ケミカル製)、SY-35M、SR-14BJ(阪本薬品工業製)を用いることができる。
【0020】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤中に含まれる反応硬化型エポキシ樹脂(b)は硬化剤を添加しない場合、通常100℃以上、好ましくは150℃以上に加熱することで硬化する。硬化剤を添加しない条件下ではこのように高温にする必要があるため、多くの農薬活性成分(a)が揮散および分解を生じて当該農薬粒剤中における含有量が低下する。そこで、用いる農薬活性成分(a)によっては硬化剤を添加し、樹脂の硬化反応の条件をマイルドにする必要がある。硬化剤としては各種金属塩、アミン、ポリアミノアミド、酸無水物、ポリチオールが挙げられ、用いる農薬活性成分(a)の安定性や、樹脂に求める性能を勘案して選定する。なお、農薬活性成分(a)にダイアジノンなどの塩基性での安定性が高い物質にはアミン系、及びポリアミノアミド系硬化剤が好適である。具体的にはJEFFAMINE T-403(ハンツマン製)、ラッカマイドWN-405(DIC製)、アデカハードナーEH-451N(ADEKA製)、トーマイド423(T&K TOKA製)、トーマイド410-N(T&K TOKA製)等が挙げられる。また、反対に酸性条件下で安定性が高い物質の場合、酸無水物系硬化剤やポリチオール系硬化剤が好適であり、具体的にはHN-2000(日立化成製)、リカシッドMH-700(新日本理化製)、カレンズMT BD1(昭和電工製)、カレンズMT PE1(昭和電工製)、JERキュア QX40(三菱ケミカル製)等が挙げられる。
【0021】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤中に含まれる硬化剤の添加量は、用いる硬化剤の種類にもより適宜調整し得る。重付加型の範疇であるアミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、ポリチオール系硬化剤の場合、用いる反応硬化型エポキシ樹脂(b)の種類及び量によっても異なるが、通常、0.01~10質量%、好ましくは0.1~8質量%である。0.01質量%未満の場合は、反応硬化型エポキシ樹脂(b)の適切な硬化が見られず、所望の放出制御能が得られない。また、10質量%を超過すると、余分な硬化剤によって有効成分の分解が生じたりする。
【0022】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤には保存中の農薬活性成分(a)の含量保持のため、必要に応じて安定剤を添加しても良い。安定剤は用いる農薬活性成分(a)の保存安定性向上を達成するものであればよく、本発明に用いる原料等によって明確な制限が加えられるものではない。たとえば、農薬活性成分(a)にダイアジノンを使用する場合、安定剤としてポリエチレングリコールや、エポキシ化植物油を加えることができる。エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油やエポキシ化アマニ油等が挙げられる。また、土壌中の微生物等によって農薬活性成分(a)の分解を抑える目的で殺菌活性成分を加えることも可能であり、前述の農薬殺菌活性成分の他にヒノキチオールやアリルイソチオシアネート等の天然殺菌成分の添加が可能である。添加量は0.1~5質量%であり、用いる吸油性核粒(c)の組成やそれに伴うpH、吸油能、農薬活性成分(a)の含有量、反応硬化型エポキシ樹脂(b)、及び硬化剤の含量によって適宜調整される。
【0023】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は、農薬活性成分(a)を含む反応硬化型エポキシ樹脂(b)を吸油性核粒(c)に含浸、硬化後、更に必要に応じて粒表面に水性エマルション樹脂を含む被覆層を設けることができる。水性エマルション樹脂に含まれる樹脂は最低造膜温度(MFT)が45℃以下のものが好適である。とりわけ70℃以上のような高温域にMFTを有する樹脂は水性エマルション樹脂中の水を除去し、造膜する際に100℃程度を要する。このような高温域に本発明の含浸型放出制御農薬粒剤を晒すと、熱分解や蒸散による農薬活性成分(a)の含量低下を来すおそれがある。なお、MFTの測定は最低造膜温度計が使われ、装置の代表例としてMFFTB-60(Rhopoint instrument製)等が挙げられる。
【0024】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤に使用される水性エマルション樹脂の具体例としては、サイビノールACF-15(サイデン化学製、MFT:40℃)、サイビノールEK-61(サイデン化学製、MFT:0℃以下)、サイビノールYC-1530(サイデン化学製、MFT:0℃以下)、モビニール8020(ジャパンコーティングレジン製、MFT:0℃)、モビニール7901(ジャパンコーティングレジン製、MFT:0℃)、モビニール7233(ジャパンコーティングレジン製、MFT:30℃)などが挙げられ、含浸する農薬活性成分(a)の種類や、望む放出速度に応じて適切な水性エマルション樹脂を選択する。
【0025】
水性エマルション樹脂には、添加材としてポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子を添加することができる。その添加量は0~5質量%であり、2質量%以下が好ましい。5質量%を超過すると水溶性の高さから農薬活性成分(a)の放出を制御する被覆層としての役割を果たせなくなる。
【0026】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤に設ける被覆層を構成する樹脂は、当該農薬粒剤調製時は水に乳化分散した液体であることが好ましい。樹脂の被覆層を設けるには粒表面に水性エマルション樹脂を均一に塗布した後、フィラーを加えて粒表面に定着させ、加熱乾燥により水を除去しながら成膜する。このフィラーに用いられる粉体の平均粒径は100μmを超過すると粒表面との接触面積が低減して定着が困難となるため100μm以下が好ましく、75μm以下がより好ましい。また、フィラーには主に無機粉体が使用されるが、無機粉体のみでは水性エマルション樹脂中の水分を速やかに吸収することで被覆対象の粒同士の接着が起こる団粒と言われる現象を生じる。これを避けるため、フィラーの水分吸収速度を抑えるため、該フィラーの一部に20℃で固体の各種油脂、樹脂、有機ケイ素化合物を含ませることができる。
【0027】
フィラー中に含まれる固体の油脂、樹脂、有機ケイ素化合物としては、20℃で固体の動植物油、動植物硬化油、ワックス、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、シリコーン樹脂等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これら固体の油脂、樹脂、有機ケイ素化合物はフィラー全量に対して15~70質量%含まれ、15質量%に満たない場合は団粒を生じる可能性が著しく高まり、70質量%を超えての添加は、それ以下で既に団粒抑制の目的を果たしており、これ以上の効果向上は期待できない。
【0028】
フィラー中に含まれる無機粉体としてはクレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素、バーミキュライト、セリサイト、アタパルジャイト、パーライト、セピオライト、珪砂、ケイ酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、炭酸カルシウム、ベントナイト等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの無機粉体はフィラー全量に対して30~85質量%含まれ、85質量%を超える場合は団粒発生の可能性が著しく高まり、30質量%に満たない場合は団粒抑制の目的は十分に果たされており、これ以上の効果向上は期待できない。
【0029】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は、農薬活性成分(a)を含む反応硬化型樹脂(b)を吸油性核粒(c)に含浸、硬化後、または、その粒表面に水性エマルション樹脂による被覆層を設けた後、必要に応じて粒表面に界面活性剤をコーティングしても良い。界面活性剤としては例えば、リグニンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸塩、及びその縮合物、フェノールスルホン酸塩及びその縮合物、スチレンスルホン酸塩の縮合物、マレイン酸とスチレンスルホン酸との縮合物の塩、アクリル酸やマレイン酸などのカルボン酸縮合物の塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ラウリルサルフェートの塩、ポリオキシエチレン(以下、POE)アルキルエーテルサルフェートの塩、POEアルキルアリールエーテルサルフェートの塩、POEアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、POEアルキルアリールエーテルリン酸エステル及びその塩などのアニオン性界面活性剤や、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩、POEアルキルエーテル、POEアルキルアリールエーテル、POEラノリンアルコール、POEアルキルフェノールホルマリン縮合物、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン(POP)グリコールモノ脂肪酸エステル、POEソルビトール脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POEヒマシ油誘導体、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、POE-POPブロックポリマー、POE脂肪酸アミド、アルキロールアミド、POEアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の含浸型放出制御農薬粒剤において、界面活性剤は通常0~5質量%、好ましくは0~3質量%であり、1種または2種以上の組み合わせで使用される。
【0030】
含浸吸着工程は通常一般に行われている吸着法を用いて行うことができる。例えば、農薬活性成分(a)と反応硬化性エポキシ樹脂(b)、及び必要に応じて硬化剤、安定剤を加えて混合物とした後、吸油性核粒(c)に前記混合物を加えて混合し、均一に行き渡らせる。更に、加熱をしながら混合を継続し、吸油性核粒(c)内で農薬活性成分(a)をマトリックス状に封入した樹脂硬化物を形成する。
【0031】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤の製造に使用する機械としては、農薬活性成分(a)と硬化前の反応硬化型エポキシ樹脂(b)を含む混合物を吸油性核粒(c)へ均一に含浸吸着させ、更に加熱によって硬化を促進することができる加熱混合機が挙げられる。また、蒸気圧が高く、硬化反応中に揮散による含量低下のおそれがある農薬活性成分(a)を使用する場合は、気密性の高い構造の混合機を用いる必要がある。ミキサーの形式としては、例えば、回転パン、回転ドラム、コンクリートミキサー、ナウターミキサー、リボンミキサー、ダブルコーンミキサー等が挙げられるが、この限りではなく、これらの機器に加熱の機能と気密性を持たせることで農薬活性成分(a)の物性を問わず本発明の含浸型放出制御農薬粒剤の製造に使用が可能となる。
【0032】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は一般的な農薬粒剤の施用方法によって使用可能である。例えば、直接手で散布する方法や、パイプ散粒機、空中散粒機、背負い式散粒機、動力散粒機、トラクター搭載型散粒機、育苗箱用散粒機、側条施用機、多口ホース散粒機、散粒機を搭載した田植機等を用いた施用にも活用できる。また、本発明の含浸型放出制御農薬粒剤を水田や畑地において使用する場合には、その施用量は含有する農薬活性成分(a)の種類、効力を発現する環境中濃度によるが、10アール当たり0.1~40kg、好ましくは0.5~20kgである。
【0033】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は例えば、水田、乾田、育苗箱、畑地、果樹園、桑畑、温室、露地等の農耕地、森林、芝生、ゴルフ場、街路樹、道路、路肩、湿地などの非農耕地、池、貯水池、川、水路、下水道などの水系等において、含有する農薬活性成分(a)や使用目的に応じて使用することができる。また、本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は、単独で施用することもできるし、適宜その用途により他の製剤、例えば他の農薬粒剤、粒状肥料、粒状培土、粒状植物栄養剤、粒状植物調整制御剤、粒状ホルモン剤、種子等の粒状農薬資材等と混合して用いることができる。
【0034】
本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は農薬施用のあらゆる場面に適用可能であるが、本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は農薬活性成分(a)の放出制御性能を活用できる場面での使用が特に好適である。特に通常農薬が施用される時期よりも早期の施用、例えば育苗箱施用(作物が発芽し生育している育苗箱に農薬粒剤を散粒する方法を指す)、田植時施用、育苗期施用、播種期施用、発芽期施用、移植期施用などは、本発明の含浸型放出制御農薬粒剤の農薬活性成分(a)が放出制御されたものであるという特性を活用できる場面としては好適である。
【0035】
以下実施例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0036】
製造例1
ニーダーに炭酸カルシウム粉末(商品名:NS#100、日東粉化工業製)900.0g、ベントナイト粉末(商品名:クニゲルV-1、クニミネ工業製)100.0gを入れて均一になるまで混合した。次いで水130gを加えて混練し、φ0.8mmのスクリーンを取り付けた二軸造粒機で造粒した。これを流動層乾燥機にて50℃で15分間加熱乾燥して核粒を得た。
【0037】
製造例2
ニーダーに炭酸カルシウム粉末(商品名:NS#100、日東粉化工業製)800.0g、ベントナイト粉末(商品名:穂高、ホージュン製)200.0gを入れて均一になるまで混合した。次いで水130gを加えて混練し、φ0.8mmのスクリーンを取り付けた二軸造粒機で造粒した。これを流動層乾燥機にて50℃で15分間加熱乾燥して核粒を得た。
【0038】
実施例1
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)1.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)0.6g、反応性希釈剤(商品名:SY-35M、阪本薬品工業製)1.0gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒90.8gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま55℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0039】
実施例2
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)2.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)1.2g、反応性希釈剤(商品名:SY-35M、阪本薬品工業製)2.0gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒88.4gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま55℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0040】
実施例3
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)1.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)0.6gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒92.0gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま55℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0041】
実施例4
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)2.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)1.2gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒90.4gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま55℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0042】
実施例5
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)2.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)0.8gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒70.8gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させた。室温に戻した後、水性エマルション樹脂(商品名:モビニール8020、ジャパンコーティングレジン製、不揮発分43%、MFT:0℃)1.25g、ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール105、クラレ製)10%水溶液1.25gを加えて良く混合し、そこへヒマシ硬化油粉末(商品名:A-S-A T-20SF、伊藤製油製)2.2g、白土(商品名:シルトF、丸中白土製)2.2gを加えて良く混合した。この被覆層を作る工程を更に3回繰り返した後、流動層乾燥機にて50℃15分間乾燥し、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0043】
実施例6
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)2.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)0.8gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒69.8gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させた。室温に戻した後、水性エマルション樹脂(商品名:モビニール8020、ジャパンコーティングレジン製、不揮発分43%、MFT:0℃)1.25g、ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール105、クラレ製)10%水溶液1.25gを加えて良く混合し、そこへヒマシ硬化油粉末(商品名:A-S-A T-20SF、伊藤製油製)2.2g、白土(商品名:シルトF、丸中白土製)2.2gを加えて良く混合した。この被覆層を作る工程を更に3回繰り返した後、流動層乾燥機にて50℃15分間乾燥した。室温に冷却後、表面にアリルイソチオシアネート1.0gを添加して均一に混合し、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0044】
実施例7
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)2.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)0.8gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒69.8gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させた。室温に戻した後、水性エマルション樹脂(商品名:モビニール7901、ジャパンコーティングレジン製、不揮発分40%、MFT:0℃)2.25gを加えて良く混合し、そこへヒマシ硬化油粉末(商品名:A-S-A T-20SF、伊藤製油製)0.8g、白土(商品名:シルトF、丸中白土製)3.3gを加えて良く混合した。この被覆層を作る工程を更に3回繰り返した後、流動層乾燥機にて50℃15分間乾燥した。室温に冷却後、表面にアリルイソチオシアネート1.0gを添加して均一に混合し、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0045】
実施例8
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)2.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)0.8gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒68.4gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させた。室温に戻した後、水性エマルション樹脂(商品名:モビニール7233、ジャパンコーティングレジン製、不揮発分45%、MFT:30℃)2.6gを加えて良く混合し、そこへヒマシ硬化油粉末(商品名:A-S-A T-20SF、伊藤製油製)0.6g、白土(商品名:シルトF、丸中白土製)2.5gを加えて良く混合した。この被覆層を作る工程を更に4回繰り返した後、流動層乾燥機にて50℃15分間乾燥した。室温に冷却後、表面にアリルイソチオシアネート1.0gを添加して均一に混合し、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0046】
実施例9
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)2.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)0.8gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒69.8gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させた。室温に戻した後、水性エマルション樹脂(商品名:サイビノールEK-834、サイデン化学製、不揮発分60%、MFT:0℃)3.3gを加えて良く混合し、そこへヒマシ硬化油粉末(商品名:A-S-A T-20SF、伊藤製油製)0.4g、白土(商品名:シルトF、丸中白土製)1.6gを加えて良く混合した。この被覆層を作る工程を更に4回繰り返した後、流動層乾燥機にて50℃15分間乾燥した。室温に冷却後、表面にアリルイソチオシアネート1.0gを添加して均一に混合し、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0047】
実施例10
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)3.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)1.2gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例1の核粒89.4gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0048】
実施例11
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)3.0g、硬化剤(商品名:JEFFAMINE T-403、ハンツマン製)1.2gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに製造例2の核粒89.4gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温し、エポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御粒剤を得た。
【0049】
比較例1
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、エポキシ化大豆油(商品名:K-800、竹本油脂製)1.0g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4901、ADEKA製)5.0g、硬化剤(商品名:EH-6028、ADEKA製)2.0gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに石川ライト3号87.6gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温してエポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御農薬粒剤を得た。
【0050】
比較例2
450mL蓋付きガラス容器にダイアジノン(純度95.5%)5.4g、反応硬化型エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP-4100、ADEKA製)5.0g、硬化剤(商品名:EH-6028、ADEKA製)1.8gを添加し、均一になるまでよく混合して混液を調製した。ここに石川ライト3号87.8gを投入し、ガラス容器に蓋をして均一になるよう混合し、蓋をしたまま70℃恒温槽にて3時間加温してエポキシ樹脂を硬化させ、ダイアジノンを5.2%含む含浸型放出制御農薬粒剤を得た。
【0051】
比較例3
容器に粒状炭酸カルシウム(日東粉化工業製、商品名:冠水1630)91.2質量部、ダイアジノン(純度95.5%)5.3質量部を投入して混合した。ここにカープレックス#80(DSL.ジャパン製、非晶質二酸化珪素粉末)1.6質量部、ニップシールNA(東ソー・シリカ製、非晶質二酸化珪素粉末)1.6質量部を加えて混合し、ダイアジノンを5.1%含む農薬粒剤を得た。
【0052】
試験例1
目開き2mmの篩を通過させた土500gにダイアジノンの土中濃度が1000ppmになるように製剤を投入し、良く混合後、900mL広口ガラス瓶に投入する。これを25℃、湿度100%に設定した恒温恒湿槽に静置し、適時100gをサンプリングして土中のダイアジノン濃度を分析する。この結果から、試験初期に製剤を含んだ試験土中に存在するダイアジノン量に対し、各時点で製剤からダイアジノンが放出され、消失した量を百分率で算出した。土中の水分は35%に調整し、低減が見られる場合は適宜水分を補給して水分の変動が少ない状況で4週間、試験を継続実施した。
【0053】
試験例の結果を表1にまとめた。
【0054】
【0055】
試験例2
目開き2mmの篩を通過させ、土中の水分を35%に調整後、オートクレーブ処理した土100gに製剤100mgを封入した目開き約220μmのナイロン糸製の網で作成した袋を投入し、容器の蓋を閉めて25℃の恒温槽にて静置した。一週間後、土中から製剤の入ったナイロン網製の袋を取り出し、土壌中のダイアジノン濃度を測定した。分析後はオートクレーブ処理した新たな土100gに一度取り出した製剤入りの袋を投入した。一週間ごとにこれらの操作を繰り返しながら開始4週間後まで試験を継続した。分析結果から求められたダイアジノン濃度の累計から、試験開始時に製剤に含まれていたダイアジノン量に対する試験期間中に製剤から土に移行したダイアジノンの総量の割合を百分率で算出した。
【0056】
【0057】
表1に示したように本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は農薬活性成分と共に含浸させたエポキシ樹脂を硬化させることによって当該粒剤中からの農薬活性成分の放出速度を抑えられた。また、核粒の一部に膨潤性のベントナイトを用いることで、散布された後に環境中の水分を吸収することで、エポキシ樹脂によって構築されたネットワーク構造から徐々に農薬活性成分の放出することが確認された。一方、非膨潤性の核粒に農薬活性成分と共に含浸させたエポキシ樹脂を硬化させた比較例では農薬活性成分の放出傾向はエポキシ樹脂の種類に依存的であり、比較例1では初期の放出が多いが、試験後半は粒剤からの放出はほぼ停止し、約半分の農薬活性成分が製剤中に残存した。また、比較例2では試験初期からほとんど農薬活性成分の放出が認められず、ほぼ全量が粒剤中に残存したと推察され、継続的な農薬活性成分の放出だけでなく、長期の残効も期待できないものと考えられる。更に、非吸油性無機鉱物質核粒の表面にダイアジノンを非晶質二酸化珪素で担持させた比較例3は試験開始後、速やかに粒剤中のダイアジノンの放出を認め、試験開始1週間後にはほぼ全量が放出されており、放出制御能は認められなかった。
試験例2で土壌に移行して効力を発揮する有効なダイアジノン量の推移を調査した結果、表2に示したように本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は4週間にわたって継続的なダイアジノンの土壌への放出が見られた。核粒表面にダイアジノンを担持させた比較例3では、ダイアジノンが土壌に速やかに拡散した。試験例1で比較例3は土壌中のダイアジノンが試験開始1週間で消失していることから、短期間で全ての有効成分が土壌に拡散することで、長期の残効が期待できないものと考えられる。一方で、実施例では製剤からの継続的なダイアジノンの放出によって、拡散や微生物分解により低下する土壌中のダイアジノン濃度を一定に保つことが可能と考えられる。
以上より、本発明の含浸型放出制御農薬粒剤は農薬活性成分の一定量かつ継続的な放出を可能にし、土壌中の農薬活性成分濃度を保つことが可能であることが確認された。