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特許7303657時計部品を位置に保持するための装置を含む箱
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】時計部品を位置に保持するための装置を含む箱
(51)【国際特許分類】
   G04D 1/06 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
G04D1/06
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019076734
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2019219381
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】18167846.7
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダ ロス, ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】デミエール, マーク
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭31-009241(JP,B1)
【文献】スイス国特許発明第00368049(CH,A)
【文献】スイス国特許発明第00208583(CH,A)
【文献】米国特許第02647623(US,A)
【文献】米国特許第02593703(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04D 1/06
A45C 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計部品(5)を位置に保持するための装置(D)であって、前記装置は、
基部(2)と、
第1パーツ(3)と第2パーツ(4)を含む支持物(3、4)であって、前記第1パーツは、前記第2パーツに対して可動に取付けられ、
前記時計部品に重みをかけることが意図される第1接触要素(3a、3b;3a、3a’)と、前記時計部品(5)に重みをかけることが意図される第2接触要素(4a、4d;4e;40e、40f;4e、4e’)であって、前記第1接触要素(3a、3b;3a、3a’)は前記第1パーツに取付けられ、前記第2接触要素(4a、4d;4e;40e、40f;4e、4e’)は前記第2パーツ(4)に取付けられ、
前記基部(2)上で、一方では第1軸(1a)周りに旋回し、他方では第2軸(1b)周りに前記第1パーツを旋回させるよう取付けられる制御部材(1)と、
を含む、装置。
【請求項2】
前記第2パーツは、第3軸(2a)周りに前記基部に対して可動に取付けられる、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2パーツは、直動関節または摺動接合により結合され、前記第1パーツはレールを形成し、前記第2パーツはスライドを形成し、または前記第2パーツはレールを形成し、前記第1パーツはスライドを形成する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2パーツは、前記第1及び第3軸を通過する平面に直角なまたは実質的に直角な第4軸(A1)を有するピボット連結により結合される、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1パーツは少なくとも1つの第1アーム(3k)を含み、前記第2パーツは第2アーム(4k)を含む、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1アームは、前記第4軸(A1)に平行な前記第2軸(1b)の高さで関節接合され、前記第2アームは、前記第4軸(A1)に平行な前記第3軸(2a)の高さで関節接合される、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも2つの第1パーツ(3)と少なくとも2つの第2パーツ(4)とを含む、
請求項4から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2パーツは、前記基部に対して不動に取付けられる、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1パーツは、ピボット連結により前記第2パーツに対して可動に取付けられ、前記ピボット連結の第5軸(1c)は、スライド(6)内で可動である、
請求項1または8に記載の装置。
【請求項10】
前記スライド(6)は、前記第1軸(1a)及びまたは前記第2軸(1b)に直角な軸(A2)を有するスライドである
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第2パーツは、前記基部に対して第3軸(2a)周りに可動に取付けられ、
前記装置は、前記制御部材(1)が前記第1軸周りに旋回するよう移動されると、前記第2軸(1b)が、
前記第3軸(2a)及び
前記第1軸(1a)
を通過するよう定義される平面と交差する軌跡(6)を追従するように配置され、及び前記第2軸(1b)が前記交差に位置される際、最大の弾性位置エネルギーが前記装置に保存される
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記制御部材(1)が前記第1軸周りに旋回するよう移動されると、前記第2軸(1b)が、
前記第5軸(1c)、及び
前記第1軸(1a)
を通過するよう定義される平面と交差する軌跡(6)を追従するように配置され、及び前記第2軸(1b)が前記交差に位置される際、最大の弾性位置エネルギーが前記装置に保存される、
請求項9または10に記載の装置
【請求項13】
前記第2パーツは、前記基部に対して第3軸(2a)周りに可動に取付けられ、及びまたは前記第1パーツは、前記第2パーツに対して第5軸(1c)周りに可動に取付けられ、前記第1接触要素及び第2接触要素(3a、3b、4a;4d、4e)は前記第2及び第3軸を通過するまたは前記第2及び第5軸を通過する平面に直角にまたは実質的に直角に延長する、及びまたは
前記第1接触要素及び第2接触要素(3a、3b;3a、3a’;4a;4d;4e;40e、40f;4e、4e’)は円錐台状である、及びまたは
少なくとも1つの前記第1及び第2接触要素は、前記支持物上に弾性変形可能結合部(3c、3d;4f、4g;3k、4k)経由で取付けられる、及びまたは
少なくとも1つの前記第1及び第2支持物パーツは、前記基部上にまたは前記制御部材上に、弾性変形可能結合部経由で取付けられる
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置
【請求項14】
少なくとも1つの請求項1から13のいずれか一項に記載の保持装置を含む、時計部品の梱包用箱。
【請求項15】
前記保持装置は、箱構造上に取付けられる
請求項14に記載の梱包用箱。
【請求項16】
前記保持装置の要素は、箱構造と一体に製造される、
請求項14に記載の梱包用箱。
【請求項17】
前記箱(B)は、箱基部(F)上に前記第2軸(1b)周りに関節接合される蓋部(C)を含み、前記制御部材(1)は前記蓋部からなる、
請求項14から16のいずれか一項に記載の梱包用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品を位置に保持するための装置に関する。本発明はまた、時計部品の梱包用箱に、特に当該種類の保持装置を含む箱に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を損傷することなく、輸送し、保管し、取扱い、または展示することを可能にするために、物体を梱包する必要性は、広く知られている。例えば、その寸法、形状、脆弱さに関して非常に異なる種類の物体を保護するために、数年にわたり、多数の梱包技術及び素材が開発されてきた。
【0003】
従来技術の梱包技術及び素材は、極めて専門的なオーダーメイドのデザインか、より多様な物体に適した汎用のデザインのどちらかである。更に、ある梱包技術及び素材は、衝撃の散逸または吸収特性を前提として、対応する損傷に対して物体を保護するため、特に脆弱な物体の梱包に、より適していることが知られている。
【0004】
このため、例えば衝撃、落下、または摩擦など、出荷、輸送、またはハンドリング中に物体が曝される傾向にある応力に応じて、特定の梱包技術及び素材が頻繁に選択され、特定の物体または品物のために設計されている。特に脆弱な物体に対しては、外部環境から、特に粉塵、汚れ、湿気及び電荷及び梱包自体から生じる可能性のある(例えば揮発性有機化合物などの)汚染から物体を保護することは同等に重要である。
【0005】
また、梱包から物品を取り外し、その後元に戻すことを可能にすることも必要になりうる。もし物体が、特に脆弱な表面を有している場合、こうした取扱いが、梱包すべき物体の完全性を悪化させないことが重要である。
【0006】
脆弱な物品用の、汎用衝撃吸収を提供するための周知の技術の一つは、薄膜梱包技術である。代替的解決策は、特許文献1に開示するような、形状記憶フォームを用いることからなる。衝撃に対する保護については非常に効果的であるが、こうした技術は、物体の表面を、接触から、または梱包から生じる例えば揮発性有機化合物などの汚染から保護されることはできず、物体のハンドリングを簡易にすることもない。
【0007】
部品の輸送、保管、及び展示を可能にする汎用梱包が発展してきた。こうした箱には、一般的には、支持物の役割を果たすインサートが設けられる。こうしたインサートのいくつかは、箱の底の上で旋回可能であり、特許文献2に開示するように手で下げたり上げたりする必要があり、または特許文献3に開示するように蓋部に接合された機構で下げたり上げたりする必要がある。インサートは、所定の物体用に設計される。これら解決策の欠点は、梱包されるべき物体に十分な保持を提供しないことと、物体の完全性を保護しないことである。更に、物体を保持する機能はインサートを作動させる機構の開閉作用から切り離ており、箱が職人により操作される際に物体が劣化するリスクが増大する。
【0008】
従来技術の梱包が、衝撃や振動に対して脆弱な物体に良好な保護を提供するものの、必要な衝撃吸収基準を達成または維持するために、大きな接触区域が必要となる。また、保持手段は、物体の取扱いを慎重を要するものにさせ、または同様の寸法の物体にまたはこの目的専用の標準固定区域を有する物体のみのために最適化される。
【0009】
実際、従来技術梱包の多くの形態において、梱包は汎用ではない。梱包は、以下のどちらかである。多様な寸法の物体を収容可能だが、物体の全体に接触しがちであるため、梱包する物体の機能的または脆弱な表面を損傷し、跡を付け、または汚しがちな梱包か、または所定の寸法の、単一及び固有の物体のために設計される梱包である。更に、梱包された物体のハンドリングは容易になるが、これは物体の保持の品質を、そして結果として物体の完全性の保護を損ねるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第20100294675号
【文献】中国実用新案公開第203619190号
【文献】スイス国特許出願公開第368049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の欠点を改善し、既知の従来技術装置を改善することを可能にする、保持装置を提供することである。特に、本発明は、時計部品の保持と保護に関して優れた品質を提供する単純且つ汎用装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
部品を位置に保持するための、本発明にかかる装置は、請求項1に定義される。
【0013】
保持装置の異なる実施形態は、従属請求項2から13に定義される。
【0014】
時計部品を梱包または保管するための本発明にかかる箱は、請求項14に定義される。
【0015】
箱の異なる実施形態は、従属請求項15から17に定義される。
【0016】
添付の図面は、時計パーツの梱包用箱の、2つの実施形態を例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、解放位置にある時計部品の梱包用箱の第1変形例の図である。
図2図2は、時計部品が箱の中にあり、解放位置にある時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第1変形例の図である。
図3図3は、時計部品が箱の中にあり、蓋部が図示されない、閉鎖位置にある時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第1変形例の図である。
図4図4は、時計部品が箱の中にあり、閉鎖位置にある時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第1変形例の断面図である。
図5図5は、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第1変形例の支持物の分解立体図である。
図6図6は、支持物が第1形態にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第1変形例の支持物の斜視図である。
図7図7は、支持物が第2形態にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第1変形例の支持物の斜視図である。
図8図8は、支持物が第1形態にあり、時計部品を支持する、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第1変形例の支持物の斜視図である。
図9図9は、支持物が第2形態にあり、時計部品を支持する、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の支持物の第1変形例の斜視図である。
図10図10は、解放位置にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第2変形例の図である。
図11図11は、時計部品が箱の中にあり、解放位置にある時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第2変形例の図である。
図12図12は、時計部品が箱の中にあり、半解放位置にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第2変形例の図である。
図13図13は、時計部品が箱の中にあり、閉鎖位置にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第2変形例の断面図である。
図14図14は、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第2変形例の支持物の分解立体図である。
図15図15は、支持物が第1形態にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第2変形例の支持物の斜視図である。
図16図16は、支持物が第2形態にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第2変形例の支持物の斜視図である。
図17図17は、解放位置にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第3変形例の図である。
図18図18は、時計部品が箱の中にあり、半解放位置にある、時計部品の梱包用箱の第1実施形態の第3変形例の図である。
図19図19は、第1実施形態の第3変形例の代替策の展開図である。
図20図20は、半解放位置にある、時計部品の梱包用箱の第2実施形態の図である。
図21図21は、時計部品が箱の中にあり、解放位置にある、時計部品の梱包用箱の第2実施形態の図である。
図22図22は、時計部品が箱の中にあり、半解放位置にある、時計部品の梱包用箱の第2実施形態の図である。
図23図23は、支持物が第1形態にある、時計部品の梱包用箱の第2実施形態の支持物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
箱Bの第1実施形態を、図1から19を参照して以下に説明する。
【0019】
箱Bは、主として、底部Fと蓋部Cとを含む。
【0020】
例えば、底部は、底壁Fiと、側壁FLとを含む。底壁は、例えば、平面または実質的に平面である。側壁は、好ましくは、底壁の周囲から延長する。側壁は、例えば底壁へ、直角にまたは実質的に直角に延長する。底壁は、例えば、4つの側壁を有する。側壁は、連結範囲により互いに連結されてもよい。連結範囲は、例えば、梱包トレーへの箱の収容を最適化及びまたは容易にするために、構造を有してもよい。
【0021】
蓋部Cは、例えば、平面または実質的に平面の壁を含む。底部と蓋部とは、蓋部が閉鎖位置にあるときに多少閉鎖され、または多少密封される、箱内部の容積を定義するために、補完される。
【0022】
1以上のまたは全ての側壁は、蓋部に製造されてもよい。他の代替案は、1以上のまたは全ての側壁を、補完的な態様で、少なくとも一部を底部に一部を蓋部に製造することである。
【0023】
蓋部は、好ましくは第1軸1a周りに底部へ旋回する。この第1軸1aは、例えば、側壁の先端の1つに、及びまたは側壁に沿って配置される。旋回は、好ましくはヒンジによりもたらされる。
【0024】
箱Bは、特に運搬中またはその保管中に、時計部品5の梱包を可能にする。
【0025】
箱Bは、時計部品5を受けるよう適合され、時計部品5を保持する第1状態または形態と、時計部品を解放する第2状態または形態を設定可能な、少なくとも1つの支持物3、4を含む。このため、箱Bに働きかけることにより、時計部品5を保持する形態から時計部品5を解放する形態へ支持物を動かす、または時計部品5を解放する形態から時計部品5を保持する形態へ支持物を動かすことが可能である。
【0026】
例えば、支持物3、4の形態は、箱Bの蓋部Cの位置により決定される。
【0027】
時計部品5の梱包用箱Bは、有利には、時計部品5を保持するための少なくとも1つの装置Dを含む。本実施形態において、底部Fが基部またはフレーム2を形成する。
【0028】
時計部品5を位置に保持する装置Dは、
-第1パーツ3と第2パーツ4を含む支持物3、4であって、第1パーツ3は第2パーツに対して可動に取付けられる、
-支持物3、4を受け、支持するまたは固定するよう適合される、基部またはフレーム2、
-時計部品に重みをかけることが意図される第1接触要素3a、3bであって、第1接触要素3a、3bは第1パーツ3に取付けられ、時計部品に重みをかけることが意図される第2接触要素4aであって、第2接触要素4aは第2パーツ4に取付けられる、
-基部2に取付けられ、一方では第1軸1a周りに旋回し、他方では第2軸1b周りに第1パーツ3に対して旋回する制御部材1、
を含む。
【0029】
制御部材は、第1及び第2軸を連結するレバーを形成してもよい。
【0030】
第2パーツ4は、好ましくは、第3軸2a周りに基部に対して可動に取付けられ、特に第2パーツ4は、好ましくは第3軸2a周りに基部に対して旋回するよう取付けられる。
【0031】
第1、第2及び第3軸は、好ましくは平行または実質的に平行である。
【0032】
第3軸2aは、好ましくは、底部の側壁FLにより区切られる空間に、有利には底部の底壁Fiの近傍にまたは底壁Fiの高さに、位置される。
【0033】
第1支持物パーツ3は、主としてT字型剛性パーツを含む。支持物の第1パーツ3は、第2軸1bと同軸に配置された第1バー3mと、第1バー3mと直角にまたは実質的に直角に配置された第2バー3nとを含む。
【0034】
第1実施形態の最初の2つの変形例において、第2支持物パーツ4は、軸2aと同軸に配置された第3バー4mと、第3バー4mと直角にまたは実質的に直角に配置された第4バー4nとを含む。第2及び第4バー3n、4nは、軸A1に沿って配置される。
【0035】
第3バー4mは、第3軸2a周りに底部の底壁Fiの近傍でまたは底壁Fiの高さで、または底部の側壁FL上で、旋回してもよい。例えば、第3バー4mは、側壁FL上で旋回してもよい。
【0036】
第1バー3mは、蓋部Cの近傍でまたは蓋部Cの高さで第2軸1b周りに旋回してもよい。
【0037】
例えば、支持物は、軸A1を通過する平面に対して対称でもよい。
【0038】
第1実施形態において、第1支持物パーツ3は第2支持物パーツ4に対して可動に取付けられ、例えば第1支持物パーツ3は、軸に沿って第2支持物パーツ4に対して摺動するよう取付けられる。第1実施形態の最初の2つの変形例において、第1支持物パーツ3と第2支持物パーツ4との間の機械的結合は、軸A1に沿った第1及び第2支持物パーツ間の併進の相対的運動を可能にするよう、軸A1に沿った摺動接合、特に直進ジョイントである。摺動接合は、第2支持物パーツ4上の第2案内要素4cと協働する、第1支持物パーツ3上の第1案内要素3fを含む。例えば、第1案内要素3fは、C字型の断面を有する輪郭を有し、第2案内要素4cは、C字型の断面に少なくとも部分的に補完的な断面を、特に長方形の断面を有する輪郭を有する。代替的に、第2案内要素4cはC字型の断面を有する輪郭を有してもよく、第1案内要素3fは、C字型の断面に少なくとも部分的に補完的な断面を、特に長方形の断面を有する輪郭を有してもよい。輪郭は、代替的に、それが摺動を可能とする限り、鳩尾型断面など、変化する断面形状を有してもよい。
【0039】
代替的にまたは追加的に、第2案内要素4cは、スライドと協働するよう適合された少なくとも1つのレールを含んでもよく、第2案内要素3fは、当該スライドを含んでもよい。
【0040】
代替的にまたは追加的に、第2案内要素4cは、スライドと協働するよう適合された少なくとも1つのスロットを含んでもよく、第2案内要素3fは、当該スロットを含んでもよい。
【0041】
代替的にまたは追加的に、第2案内要素4cは、レール3fまたはスロットと協働するよう適合された少なくとも1つの固定スライドを含んでもよい。
【0042】
代替的にまたは追加的に、第2案内要素4cは、雌スライド3fと協働するよう適合された少なくとも1つの雄スライドを含んでもよい。
【0043】
図1から9に示す第1実施形態の第1変形例において、装置は、2つの接触要素3a、3bを含む。2つの接触要素は、第1支持物パーツ3に取付けられる。更に、装置は、第2接触要素4aを含む。当該第2接触要素は、第2支持物パーツ4に取付けられる。
【0044】
第1接触要素3a、3bは、好ましくは、第1支持物サポート3に直角にまたは実質的に直角に、すなわち第1バー3mと第2バー3nの長手方向で定義される平面に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0045】
第2接触要素4aは、好ましくは、第2支持物サポート4に直角にまたは実質的に直角に、すなわち第3バー4mと第4バー4nの長手方向で定義される平面に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0046】
第1及び第2接触要素3a、3b、4aは、好ましくは、軸1b及び2aを通過する平面に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0047】
第1接触要素3a、3bのそれぞれは、弾性変形可能結合部3c、3dを用いて、第1支持物パーツ3に機械的に結合される。第1接触要素3a、3bは、共同で、単一の弾性変形可能結合部を用いて、第1支持物パーツ3に機械的に結合されてもよい。
【0048】
第2接触要素4aは、第2支持物パーツに堅固に機械的に結合される。代替的に、第2接触要素4aは、弾性変形可能結合部を介して、第2支持物パーツに機械的に結合されてもよい。
【0049】
弾性変形可能結合部または複数の弾性変形可能結合部は、例えば、1以上のばねで、特に1以上の板ばねにより設けられてもよい。板ばねまたは複数の板ばねは、好ましくは湾曲し、特に螺旋形状である。例えば、ばねの2つの端部の接線は、両者の間で90°を超える、または150°を超える角度を形成する。
【0050】
板ばねは、好ましくは、軸1b及び2aを通過する平面に平行にまたは実質的に平行に延長する。
【0051】
接触要素の高さにおいて、板ばねは、接触要素が支えることが意図される時計部品5の表面に平行にまたは実質的に平行に延長してもよい。
【0052】
蓋部に対して第1支持物パーツ3がその周りを旋回する第2軸1bは、底部上の蓋部Cの第1関節結合軸1cから距離をもって配置される。例えば、軸は、蓋部の内面から直角に延長する2つの突出部23に保持される。
【0053】
このため、蓋部Cは、第1軸1a及び第2軸1bの間に一定の距離を維持する制御部材1を構成する。
【0054】
このため、蓋部を操縦することで、第2軸1bを、第1軸1aに対して回転移動させる。
【0055】
基部は、第3軸2aに対する支持物の回転を制限するために、第2当接部22と接触により協働するよう設計された第1当接部21を含んでもよい。実際、2つの当接部が接触すると、支持物はもはや第3軸2a周りに回転可能ではない、すなわち支持物は底部の底壁Fiに向けてもはや移動可能ではない。
【0056】
図1から9を参照して説明した第1実施例の第1変形例において、接触要素は、箱の蓋部が閉鎖されると、第1接触要素が軸A1に沿って第2接触要素から離れるように、より一般的には少なくとも1つの接触要素は少なくとも1つの他の接触要素から離れるように、構成される。これにより、第1変形例は、時計部品5を、当該時計部品の内部経由で保持されることを可能にする。このため、この種類の第1変形例は、角ばった形状を有する、またはより一般的には例えばベゼル、胴、またはカレンダーディスクといった、穴を含む、時計部品を貯蔵することに対して特に示される。
【0057】
箱Bの第1実施形態の第2変形例を、図10から16を参照して以下に説明する。
【0058】
第1実施形態の第2変形例は、箱の蓋部が閉鎖されると接触要素が、第1接触要素が軸A1に沿って第2接触要素に向かい移動する、より一般的には少なくとも1つの接触要素が、少なくとも1つの他の接触要素に向かい移動するようにされる点で、主として、または排他的に、第1変形例と異なる。このため、第2変形例は、時計部品5を外部から保持することを可能にする。このため、この種類の第2変形例は、例えばガラス、板、ムーブメント、ケース、または文字盤など、固形形状を有する時計部品を保管することに対して特に示される。
【0059】
第1実施形態の第2変形例において、装置は、2つの第1接触要素3a、3bを含む。これら2つの接触要素は、第1支持物パーツ3上に取付けられる。加えて、装置は、2つの第2接触要素4d、4eを含む。2つの接触要素は、第2支持物パーツ4上に取付けられる。
【0060】
第1接触要素3a、3bは、好ましくは、第1支持物パーツ3に直角にまたは実質的に直角に、すなわち第1バー3mと第2バー3nの長手方向により定義される平面に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0061】
第2接触要素4d、4eは、好ましくは、第2支持物パーツ4に直角にまたは実質的に直角に、すなわち第3バー4mと第4バー4nの長手方向により定義される平面に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0062】
第1及び第2接触要素3a、3b、4d、4eは、好ましくは、軸1b及び2aを通過する平面に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0063】
第1接触要素3a、3bのそれぞれは、弾性変形可能結合部3c、3dを用いて、第1支持物パーツ3に機械的に結合される。第1接触要素3a、3bは、共同で、単一の弾性変形可能結合部を用いて、第1支持物パーツ3に機械的に結合されてもよい。
【0064】
第2接触要素4d、4eのそれぞれは、弾性変形可能結合部4f、4gを用いて、第2支持物パーツ4に機械的に結合される。第2接触要素4d、4eは、共同で、単一の弾性変形可能結合部を用いて、第2支持物パーツ4に機械的に結合されてもよい。
【0065】
弾性変形可能結合部または複数の弾性変形可能結合部は、例えば、1以上のばねで、特に1以上の板ばねにより設けられてもよい。板ばねまたは複数の板ばねは、好ましくは湾曲する。例えば、ばねの2つの端部の接線は、両者の間で90°を超える、または150°を超える角度を形成する。
【0066】
接触要素の高さにおいて、板ばねは、接触要素が支えることが意図される時計部品5の表面に平行にまたは実質的に平行に延長してもよい。
【0067】
箱Bの第1実施形態の第3変形例を、図17から19を参照して以下に説明する。
【0068】
第1実施形態の第3変形例は、第2支持物パーツ4が底部Fに対して非可動態様で取付けられる点で、第2変形例と異なる。第2支持物パーツ4は、有利には、底部Fと一体である。第2支持物パーツ4は、例えば、2つの突出部40e及び40fを含んでもよい。第2支持物パーツ4は、保持形態において時計部品5に重みをかけることが意図される、少なくとも1つの接触要素40e、40fを含む。
【0069】
第1支持物パーツ3は、基部上で第4軸1c周りに旋回するよう取付けられる。しかしながら、当該変形例において、第4軸1cは、制御部材が操縦されると、軸A2に沿って動かされる。当該変形例において、軸A2は、第1軸1a及びまたは第2軸1bと直角にまたは実質的に直角に、及びまたは基部の底壁Fiに平行に向けられる。第1実施形態の第3変形例において、軸A2との結合は、第1及び第2支持物パーツ3、4の軸A2に沿った相対運動を可能なように設けられる。
【0070】
本変形実施形態において、軸A2との結合は、摺動接合である。摺動接合は、その中で第4軸1cを有する心棒の2つの端部が移動することが意図される、底部Fの側面FL上の溝6により設けられてもよい。第1支持物パーツ3は、時計部品5に重みをかけることが意図される第1接触要素3aを含む。第1接触要素3aは、弾性変形可能結合部3cを、特に板ばねを介して、第1支持物パーツ3に機械的に結合される。第1支持物パーツ3は、有利には、解放形態において部品の支持を改善するよう適合された、補足接触要素3x、3yを含む。
【0071】
第3変形例の特定の実施にあたり、装置Dと箱Bは、図19に示すように、射出成形され、展開され、一体である。第3変形例の当該特定の実施において、第1支持物3は、蓋結合部C’によって蓋部Cに結合される。第1支持物3と蓋結合部C’は、ヒンジを、特にフィルムヒンジ11aを介して結合される。蓋結合部C’と蓋部Cは、第2ヒンジ、特にフィルムヒンジ10aにより結合される。蓋部Cと基部2とは、第3ヒンジ、特にフィルムヒンジ1aにより結合される。蓋結合部C’は、折りたたまれ、例えばクリップ留めまたは両者が互いに一体になるようその他の適切な手段により、蓋部Cに固定される。第4軸1cを有する心棒は、その後、溝6に挿入することができる。
【0072】
箱Bの第2実施形態を、図20から23を参照して以下に説明する。
【0073】
第2実施形態は、支持物が異なる構造を有する点で、第1実施形態と主として異なる。
【0074】
第2実施形態において、第2支持物パーツもまた、第3軸2a周りに基部に対して可動に取付けられ、第1支持物パーツ3もまた、第2軸1b周りに制御部材に対して可動に取付けられる。しかしながら、第1及び第2支持物パーツ3、4は、第2及び第3軸1b及び2aを通る平面に直角または実質的に直角な軸A1とピボット連結により結合される。
【0075】
第1支持物パーツ3は、少なくとも1つの第1アーム3kを含む。第2支持物パーツは、少なくとも1つの第2アーム4kを含む。
【0076】
第1アーム3kと第2アーム4kは、例えば軸A1とピボット連結により結合される。
【0077】
少なくとも1つの第1アーム3kは、軸A1と平行なまたは実質的に平行な第2軸1bの高さで、関節接合される。
【0078】
少なくとも1つの第2アーム4kは、軸A1に平行なまたは実質的に平行な第3軸2aの高さで、関節接合される。
【0079】
図20から23に示すように、装置Dは、有利には重複され、2つの第1支持物パーツ3kと2つの第2支持物パーツ4kを含むように見えてもよい。
【0080】
当該第2実施形態において、装置は少なくとも1つの第1接触要素3aを含む。当該接触要素は少なくとも1つの第1支持物パーツ3上に取付けられる。加えて、第2実施形態において、装置は少なくとも1つの第2接触要素4eを含む。第2接触要素4eは、少なくとも1つの第2支持物パーツ4上に取付けられる。
【0081】
少なくとも1つの第1接触要素3aは、好ましくは、少なくとも1つの第1支持物パーツ3に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0082】
少なくとも1つの第2接触要素4eは、好ましくは、少なくとも1つの第2支持物パーツ4に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0083】
第1及び第2接触要素は、好ましくは、第2及び第3軸1b及び2aを通過する平面に直角にまたは実質的に直角に延長する。
【0084】
少なくとも1つの第1接触要素3aは、弾性変形可能結合部を介して第1支持物パーツ3に機械的に結合されてもよい。ここで弾性結合は、例えば屈曲可能で板ばねと見做すことができる、少なくとも1つのアーム3k自身により構成される。
【0085】
少なくとも1つの第2接触要素4eは、弾性変形可能結合部を介して少なくとも1つの第2支持物パーツ4に機械的に結合されてもよい。ここで弾性結合は、例えば屈曲可能で板ばねと見做すことができる、アーム4k自身により構成される。
【0086】
代替的にまたは追加的に、アームの端部またはアームの当該端部は、ばねのような弾性変形可能要素により、第2及び第3軸1b及び2aに沿って所定の位置へ付勢されてもよい。
【0087】
第2実施形態において、装置Dが重複された場合、接触要素は、箱の蓋部が閉じられると、接触要素3a、4eが第2及び第3軸1b及び2aに平行な接触要素3a’、4e’から離れるように構成される。代替的に、接触要素は、箱の蓋部が閉じられると、第1接触要素が、第2及び第3軸1b及び2aに直角な第2接触要素に向かい移動されるように構成されてもよい。このように、第2実施形態は、時計部品5が内部または外部のいずれかで保持することを可能にすることから、非常に汎用である。当該第2実施形態は、例えばベゼル、胴、カレンダーディスク、ガラス、板、ムーブメント、ケース、または文字盤といった、各種形状の時計部品の保管に対して示される。
【0088】
各種実施形態および各種変形例において、特に軸1a及びまたは2a及びまたは1b及びまたはA1周りの回転関節接合は、例えば関節接合されるパーツの接合部分に配置された柔軟性フィルムの形状をとってもよい。
【0089】
各種実施形態および各種変形例において、接触要素は、円形断面または多角形断面の円錐台状または円筒形状であってもよい。
【0090】
各種実施形態および各種変形例において、接触要素3a、3b、4a、4d、4e、3a’、4e’は、時計部品5またはその他の適切な形状と少なくとも2つの接触点を定義する1以上のスタッド、バー、または曲線で構成されてもよい。時計部品5の接触要素との接触は、そのデザインにより、連続であっても非連続であってもよい。
【0091】
各種実施形態および各種変形例において、接触要素の機能は、図3、4及び9に示すように、時計部品5へ作用し、時計部品5を位置決めしてその位置へ保持することである。接触要素は、時計部品5の1以上の表面へ重みをかけるように適合される。
【0092】
各種実施形態および各種変形例において、接触要素は、時計部品に跡をつけることを避けるため、好ましくは柔軟素材製でありまたは柔軟素材で被膜される。接触要素は、例えば金属、ポリマーまたは形状記憶フォームなど、各種の既知の堅固または柔軟素材製であってよい。このリストはもちろん網羅的なものではない。時計部品のその位置への保持を向上するため、接触要素は有利には、接触要素が時計部品と接触するときに、接触要素が少なくとも部分的に時計部品の形状を取り入れるよう、突出部またはくぼみ部を含んでもよい。
【0093】
各種実施形態および各種変形例において、時計部品5は、好ましくは少なくとも装置Dが保持形態にあるときに、3点で保持される。
【0094】
各実施形態および各種変形例において、接触要素は、装置Dの設計者により自由自在に配置されてもよい。
【0095】
各実施形態および各種変形例において、装置Dは、第1支持物パーツ3及びまたは第2支持物パーツ4上に、時計部品5を支持可能に、特に装置Dが時計部品を保持する第1状態または形態にないときに時計部品5を支持可能に適合された、少なくとも1つのベアリング区域を含んでもよい。ベアリング区域は、有利には、バー3n、4n及びまたは弾性結合部、及びまたは板ばね3c、3d、4f、4g及びまたはアーム3k、4k及びまたは接触要素3a、3b、4a、4d、4e、3a’、4e’の少なくとも一部を構成するまたは含む。補完的に、支持物は、第3軸2a及び第2軸1bを通過する平面対応する平面に、または第3軸2a及び第2軸1bを通過する平面に平行なまたは実質的に平行な平面において、部品の最適な保持を可能にする支持物要素を含んでもよい。
【0096】
上述の各実施形態および各種変形例において、保持装置Dは箱Bの必須部分である。特に、装置の制御部材1は、箱Bの蓋部に形成され及びまたは装置の基部2は箱の底部に形成される。しかしながら、保持装置は独立であっても、すなわち箱の底部または蓋部なしで形成されてもよい。
【0097】
こうした種類の保持装置は、例えばラッカー塗り、ニス塗装、サンドブラスト、浸し塗り、ガルバニック処理、またはレジストによる処理といった処理など、時計部品の取扱いに適するよう適合されてもよい。
【0098】
各実施形態および各種変形例において、箱Bは、独立した保持装置を箱構造に、特に箱の底部及びまたは蓋部に取付けることで得られてもよい。
【0099】
各実施形態および各種変形例において、図4図13の形態で示されるように、装置は有利には、制御部材1が旋回されると、第2軸1bが、軸2a及び軸1aを通過すると定義される平面と交差する軌跡6を追従するように構成され、装置は有利には、第2軸1bが当該交差の高さまたはそれより低く位置されると、時計部品5が、第2軸1bを軸2aと軸1aを通過すると定義される平面より下に保持することを可能にする力を付与するように構成される。
【0100】
各実施形態および各種変形例において、箱Bは1またはそれ以上の保持装置を含んでもよい。箱Bは、保持装置と同数の時計部品を収容してもよい。装置は、(共通の制御部材により)同時に作動されてもよく、(保持装置と同数の専用の制御部材により)互いに独立して作動されてもよい。
【0101】
各実施形態および各種変形例において、箱Bは、好ましくは、単一の時計部品を保持するための単一の保持装置を含む。この場合、箱Bは有利には、他の同一または類似の箱と、グループパッケージまたは輸送パッケージに挿入可能且つ保管可能な寸法である。
【0102】
各実施形態および各種変形例において、保持装置D及びまたは箱Bは、特にポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリ塩化ビニルまたはポリスチレンまたはABSといったプラスチック素材製である。
【0103】
各実施形態および各種変形例において、第1、第2及び第3軸は、好ましくは平行である。
【0104】
各実施形態および各種変形例において、第1、第2及び第4軸は、好ましくは平行である。
【0105】
各実施形態および各種変形例において、弾性変形可能結合部または複数の弾性変形可能結合部は、好ましくは、弾性柔軟ブレード3c、3d;4f、4g、特に湾曲ブレード、及びまたは接触要素の高さにおいて接触要素が支えることが意図される時計部品5の表面に平行にまたは実質的に平行に延長するブレードを含んでもよい。
【0106】
各実施形態および各種変形例において、梱包用箱は、好ましくは、支持物の状態が箱の蓋部の位置により決定されるように構成される。
【0107】
上述の保持装置または箱の操作を以下に説明する。
【0108】
箱Bは当初は開いている及びまたは保持装置は第1形態に位置されると仮定する。第1形態は、時計部品5が保持されない形態である。当該形態において、装置は、好ましくは時計部品5の損傷を防ぐため、時計部品5の保持を簡単にするように位置される。
【0109】
当該第1形態において、時計部品5は保持装置上に、特に支持物上に、とりわけ装置Dが第1形態にあるときに時計部品5を支持可能に適合されたベアリング区域上に位置される。第1実施形態の第3変形例の場合、時計部品5は、補足接触要素3x、3y上に位置されてもよい。当該ステップの後、図2、11及び21に示す状況が得られる。
【0110】
保持装置Dの制御部材1及びまたは箱Bの蓋部Cは、その後作用される。特に、制御部材1及びまたは蓋部は、軸1a周りに回転される。当該作用の結果、支持物は第1支持物パーツ3の第2支持物パーツに対する動き(第1実施形態の3つの変形例では併進で滑動し、第2実施形態では回転する)により変形される。第1実施形態の第3変形例の場合、当該作用は、溝6内の心棒を、突出部4e及び4fが時計部品5に重みをかけるまで動かす。このように、突出部40e及び40fは、第1パーツの開口切欠40g、40hと協働する。この運動の作用は、図12、18、及び22に示すように、全ての接触要素が、時計部品5と接触するまで維持される。
【0111】
制御部材及びまたは蓋部の運動の作用は、更に、時計部品5の接触要素との接触を超えて維持される。これは上述の弾性結合部の弾性変形により可能になり、弾性結合部を介して接触要素が支持物に取付けられる。制御部材及びまたは蓋部の運動の作用は、その後、軸1a、1b、2aまたは1a、1b、1cが同一平面にある、不安定の均衡位置に達するまで、弾性結合部3c、3d、4f、4g、3k、4kの作用に反して効果をもたらす。当該不安定の均衡位置において、最大の弾性位置エネルギーが装置に、とりわけ支持物に、特に弾性結合部に保存される。
【0112】
この不安定の均衡位置を超えると、制御部材及びまたは蓋部の運動の作用は、当接位置に、特に当接部21による当接部22への接触位置に達するまで、弾性結合部の作用を補助として効果をもたらす。蓋部Cは、底部に対して矢印8の方向に押圧される。例えばクリップ、ラッチ、自己グリップ取付手段など、蓋部Cと底部Fとの間の箱Bの係止手段は、このため必ずしも必要ではない。それでもなお、これらを設けることもできる。箱B及び装置Dは、その後、図3、4、13に示す閉鎖形態または保持形態になる。
【0113】
当該第2形態において、部品は、接触要素の作用を通じ、保持装置により完全に保持される。
【0114】
第2形態から第1形態へ移行するための手順は、上述の手順の逆である。
【0115】
箱B及びまたは保持装置Dは、箱の蓋部を閉じるにあたり、上述の不安定の均衡位置を通過する時間がないようにしてもよい。この場合、蓋部の動きの作用は、接触要素が時計部品5と接触した直後から蓋部が閉鎖されるまで、弾性結合部の作用に反して効果をもたらす。この場合、好ましくは、例えばクリップ、ラッチ、自己グリップ取付手段など、蓋部Cと底部Fとの間で箱Bを係止するための手段が設けられる。
【0116】
箱B及びまたは保持装置Dが、上で定義したように、箱の蓋部を閉じる際に不安定の均衡位置を通る動きがある場合でも、例えばクリップ、ラッチ、自己グリップ取付手段など、蓋部Cと底部Fとの間で箱Bを係止するための手段を設けてもよい。
【0117】
上述の箱Bは、多様な形状の時計部品の、またはより一般的には多様な形状の物体の輸送、ハンドリング、または保管に用いることができる。
【0118】
箱Bは、最初に、落下による予想外の衝撃から、また輸送中の振動から、時計部品5を最適に保護することを可能にする。箱Bはまた、保管中に環境から時計部品5を保護することを可能にする。箱Bはまた、異なる寸法の最大限に広範囲のパーツを収容することを可能にする。更に、物体の導入と摘出は、既知の従来技術の梱包に比べて、容易である。
【0119】
上述のように、保持装置は、第1形態において、時計部品5を損傷するリスクをなくしてその保持を容易にすることを可能にし、第2形態において、あらゆる衝撃から保護するために、時計部品5を位置に適切に保持することを可能にする。
【0120】
本発明はまた、少なくとも1つの支持物3、4を含む時計部品5の梱包用箱Bに関し、支持物は、時計部品を受けるよう適合され、時計部品を保持する第1状態と、時計部品を解放する第2状態との間で構成可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 制御部材
1a 第1軸
1b 第2軸
2 基部
2a 第3軸
3 支持物
3a、3b 第1接触要素
4 支持物
4a、4d、4e 第2接触要素
5 時計部品
B 箱
C 蓋部
F 底部
Fi 底壁
FL 側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23