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特許7303699振れ補正機能付き光学ユニット、およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230628BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230628BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20230628BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20230628BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230628BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230628BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B15/00 V
G02B7/02 Z
H04N23/68
H04N23/57
G03B30/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019147312
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028656
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏光
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077390(JP,A)
【文献】特開2011-039113(JP,A)
【文献】国際公開第2006/075545(WO,A1)
【文献】特開2019-020466(JP,A)
【文献】国際公開第2014/122699(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
G03B 17/02
G02B 7/02 - 7/16
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを備える可動体と、
前記可動体を前記レンズの光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、
前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、
前記ジンバル機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、を有し、
前記ジンバル機構は、ジンバルフレーム、前記回転支持機構と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構、および前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構を備え、
前記ジンバルフレームは、前記光軸方向から見た場合に前記可動体と重なるジンバルフレーム本体部と、前記ジンバルフレーム本体部から前記第2軸方向の両側に突出して前記光軸方向に延びる一対の第2軸側ジンバルフレーム延設部と、を備え、
前記固定体は、一対の前記第2軸側ジンバルフレーム延設部の外周側で各第2軸側ジンバルフレーム延設部にそれぞれ対向する2つの側板を備え、
前記第2接続機構は、各側板を前記第2軸方向に貫通する貫通穴に挿入されて前記第2軸上を内周側に突出する一対の第2軸側シャフトと、各第2軸側ジンバルフレーム延設部に設けられて前記第2軸側シャフトの先端が接触する第2軸側凹曲面と、を備えることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
各側板は、前記第2軸側ジンバルフレーム延設部が位置する側の板面における前記貫通穴の開口縁に前記第2軸方向に突出して前記第2軸側シャフトを支持する筒部を備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記側板および前記第2軸側シャフトは、金属製であり、
前記側板と前記第2軸側シャフトとの接触部分には、溶接痕が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記固定体は、前記可動体、前記回転支持機構および前記ジンバルフレームを外周側から囲む枠体を備え、
各側板は、前記枠体に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構と、
前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有し、
前記振れ補正用磁気駆動機構と、前記ローリング補正用磁気駆動機構とは、前記光軸回りの周方向に配列されており、
前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記枠体の一方に固定された振れ補正用マグネットと、他方に固定された振れ補正用コイルと、を備え、
前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記枠体の一方に固定されたローリング補正用マグネットと、他方に固定されたローリング補正用コイルと、を備えることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記回転支持機構は、前記可動体に固定されたプレートロールと、前記光軸方向で前記プレートロールに対向する対向部を備えるプレートホルダと、前記プレートロールおよび前記対向部に接触した状態で転動する複数の球体を有し当該プレートロールを当該プレートホルダに対して前記光軸回りで回転可能とする回転機構と、を備え、
前記プレートロールは、光軸方向から見た場合に前記可動体に重なるプレートロール環
状部を有し、
前記プレートホルダは、前記プレートロール環状部に対向するプレートホルダ環状部と、前記プレートホルダ環状部から前記第1軸方向の両側に突出して前記可動体の前記第1軸方向の両側を前記光軸方向に延びる一対のプレートホルダ延設部を備え、
前記プレートホルダ環状部は、前記対向部であり、
前記ジンバルフレームは、前記ジンバルフレーム本体部から前記第1軸方向の両側に突出して一対の前記プレートホルダ延設部の径方向外側を延びる一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部を備え、
前記第1接続機構は、各第1軸側ジンバルフレーム延設部を前記第1軸方向に貫通する貫通穴に挿入されて前記第1軸上を径方向内側に突出する一対の第1軸側シャフトと、各プレートホルダ延設部に設けられて前記第1軸側シャフトの先端が接触する第1軸側凹曲面と、を備えることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記第1軸側ジンバルフレーム延設部は、前記第1軸方向に向かって前記光軸方向に傾斜する傾斜延設部分と、前記傾斜延設部分の端から前記光軸方向に延びる接続用延設部分と、を備え、
前記プレートホルダ延設部は、前記プレートホルダ環状部から前記第1軸方向の両側に延びるプレートホルダ第1延設部分と、前記プレートホルダ第1延設部分の外周側の端から、前記プレートホルダ環状部から離間する方向に向かって前記光軸方向に傾斜するプレートホルダ第2延設部分と、前記プレートホルダ第2延設部分の端から前記光軸方向に延びるプレートホルダ第3延設部分と、を備え、
前記第1軸側凹曲面は、前記プレートホルダ第3延設部分に設けられており、
前記第1軸側ジンバルフレーム延設部の前記プレートホルダ延設部とは反対側の外側面には、前記傾斜延設部分から前記接続用延設部分に至るリブが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法において、
前記第1接続機構により可動体を回転可能に支持する前記回転支持機構と前記ジンバルフレームとを接続するとともに、一対の前記側板の前記貫通穴のそれぞれに一対の前記第2軸側シャフトのそれぞれを貫通させ、
前記可動体、前記回転支持機構および前記ジンバルフレームを前記枠体の内周側に配置し、
各第2軸側シャフトの内周側の先端を、各第2軸側ジンバルフレーム延設部の前記第2軸側凹曲面に接触させ、
各第2軸側シャフトが前記ジンバルフレームから受ける荷重を計測しながら一対の前記第2軸側シャフトを前記第2軸上で互いに接近する方向に移動させ、
前記荷重が所定の値に到達すると、前記側板と前記第2軸側シャフトとを溶接して当該第2軸側シャフトを前記枠体に固定することを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法。
【請求項9】
一対の前記側板のそれぞれに前記貫通穴を形成する際に、バーリング加工によって前記筒部を形成しておくことを特徴とする請求項8に記載の振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像モジュールを光軸回りに回転させて振れを補正する振れ補正機能付き光学ユニット、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、光学モジュールが搭載される可動体を、光軸回り、光軸と直交する第1軸回り、並びに光軸および第1軸と直交する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載されている。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を所定の軸線回りに回転可能に支持する回転支持機構を有する。可動体は、レンズを備える光学モジュールと、光学モジュールの周りを囲む支持体と、支持体の内側で、光学モジュールを第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、を備える。また、振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体において光学モジュールを第1軸回りおよび第2軸回りに回転させる回転用磁気駆動機構と、可動体を所定の軸線回りに回転させることにより光学モジュールを光軸回りに回転させるローリング用磁気駆動機構と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-82072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットでは、光学モジュールが第1軸回り或いは第2軸回りに回転していない場合には、回転支持機構が可動体を回転させる所定の軸線(支持体の回転軸)と光軸とが一致する。しかし、光学モジュールが第1軸回り或いは第2軸回りに回転すると、回転支持機構による可動体の回転軸と可動体上の光学モジュールの光軸とがズレる。従って、光学モジュールが第1軸回り或いは第2軸回りに回転しているときにローリング用磁気駆動機構を駆動して可動体を回転させると、光学モジュールが光軸回りに回転しないという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体を光軸と一致する回転軸回りに回転させる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。また、このような振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、レンズを備える可動体と、前記可動体を前記レンズの光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構および前記回転支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構と、前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有し、前記回転支持機構は、前記可動体に固定されたプレートロールと、前記光軸方向で前記プレートロールに対向する対向部を備えるプレートホルダと、前記プレートロールと前記プレー
トホルダとを回転可能とする回転機構と、を備え、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記可動体に固定された振れ補正用マグネットと前記固定体に固定されて前記振れ補正用マグネットと対向する振れ補正用コイルと、を備え、前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記可動体に固定されたローリング補正用マグネットと、前記固定体に固定されて前記ローリング補正用マグネットと対向するローリング補正用コイルと、を備え、前記振れ補正用マグネットと前記ローリング補正用マグネットとは、前記光軸回りの周方向に配列され、前記回転機構は、前記プレートロールおよび前記対向部に接触した状態で転動する複数の球体を備え、前記プレートホルダは、磁性材料からなり、前記プレートロールの前記振れ補正用マグネットおよび前記ローリング補正用マグネットとは反対側に位置することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、可動体を光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構が、ジンバル機構によって第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能に支持される。従って、可動体が第1軸回り或いは第2軸回りに回転している状態でも、可動体を光軸と一致する回転軸回りに回転させることができる。
【0009】
また、本発明では、ジンバルフレームと固定体とを第2軸回りに回転可能に支持する第2接続部は、固定体の側板を貫通する第2軸側シャフトと、ジンバルフレームの第2軸側ジンバルフレーム延設部に設けられて第2軸側シャフトが接触する2軸側凹曲面とを備える。さらに、第2軸側シャフトは固定体の側板を第2軸方向に貫通する貫通穴に挿入されている。従って、第2軸側シャフトを第2軸方向に移動させることにより、第2軸側シャフトが側板からジンバルフレーム延設部の側に突出する突出量を調整できる。ここで、第2軸側シャフトの突出量を大きくすれば、当該第2軸側シャフトの先端が接触する第2軸側ジンバルフレーム延設部を撓ませることができる。また、第2軸側シャフトを第2軸方向に移動させれば、当該第2軸側シャフトの先端が接触する第2軸側ジンバルフレーム延設部の撓み量を調節できる。これにより、第2軸側ジンバルフレーム延設部が第2軸側シャフトに付勢されている付勢力を調整できるので、第2軸側シャフトと第2軸側凹曲面との間の接触状態が安定する。よって、可動体および回転支持機構を支持するジンバルフレームを第2軸回りに精度よく回転させることができる。
【0010】
本発明において、各側板は、前記第2軸側ジンバルフレーム延設部が位置する側の板面における前記貫通穴の開口縁に前記第2軸方向に突出して前記第2軸側シャフトを支持する筒部を備えることが望ましい。このようにすれば、第2軸側シャフトを第2軸上で移動させることが容易となる。
【0011】
本発明において、前記側板および前記第2軸側シャフトは、金属製であり、前記側板と前記第2軸側シャフトとの接触部分には、溶接痕が設けられてものとすることができる。このようにすれば、第2軸側ジンバルフレーム延設部の側への突出量を調整した第2軸側シャフトを、側板に固定することが容易となる。
【0012】
本発明において、前記固定体は、前記可動体、前記回転支持機構および前記ジンバルフレームを外周側から囲む枠体を備え、各側板は、前記枠体に設けられているものとすることができる。
【0013】
本発明において、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構と、前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有し、前記振れ補正用磁気駆動機構と、前記ローリング補正用磁気駆動機構とは、前記光軸回りの周方向に配列されており、前記振れ補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記枠体の一方に固定された振れ補正用マグネットと、他方に固定された振れ補正用コイルと、を備え、前記ローリング補正用磁気駆動機構は、前記可動体および前記
枠体の一方に固定されたローリング補正用マグネットと、他方に固定されたローリング補正用コイルと、を備えるものとすることができる。このようにすれば、可動体を第1軸回りおよび第2軸回りに回転させるとともに、可動体を光軸回りに回転させることができる。
【0014】
本発明において、前記回転支持機構は、前記可動体に固定されたプレートロールと、前記光軸方向で前記プレートロールに対向する対向部を備えるプレートホルダと、前記プレートロールおよび前記対向部に接触した状態で転動する複数の球体を有し当該プレートロールを当該プレートホルダに対して前記光軸回りで回転可能とする回転機構と、を備え、前記プレートロールは、光軸方向から見た場合に前記可動体に重なるプレートロール環状部を有し、前記プレートホルダは、前記プレートロール環状部に対向するプレートホルダ環状部と、前記プレートホルダ環状部から前記第1軸方向の両側に突出して前記可動体の前記第1軸方向の両側を前記光軸方向に延びる一対のプレートホルダ延設部を備え、
前記プレートホルダ環状部は、前記対向部であり、前記ジンバルフレームは、前記ジンバルフレーム本体部から前記第1軸方向の両側に突出して一対の前記プレートホルダ延設部の径方向外側を延びる一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部を備え、前記第1接続機構は、各第1軸側ジンバルフレーム延設部を前記第1軸方向に貫通する貫通穴に挿入されて前記第1軸上を径方向内側に突出する一対の第1軸側シャフトと、各プレートホルダ延設部に設けられて前記第1軸側シャフトの先端が接触する第1軸側凹曲面と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、回転支持機構により可動体を回転可能に支持できる。また、ジンバルフレームにより回転支持機構を第1軸回りに回転可能に支持できる。
【0015】
本発明において、前記第1軸側ジンバルフレーム延設部は、前記第1軸方向に向かって前記光軸方向に傾斜する傾斜延設部分と、前記傾斜延設部分の端から前記光軸方向に延びる接続用延設部分と、を備え、前記プレートホルダ延設部は、前記プレートホルダ環状部から前記第1軸方向の両側に延びるプレートホルダ第1延設部分と、前記プレートホルダ第1延設部分の外周側の端から、前記プレートホルダ環状部から離間する方向に向かって前記光軸方向に傾斜するプレートホルダ第2延設部分と、前記プレートホルダ第2延設部分の端から前記光軸方向に延びるプレートホルダ第3延設部分と、を備え、前記第1軸側凹曲面は、前記プレートホルダ第3延設部分に設けられており、前記第1軸側ジンバルフレーム延設部の前記プレートホルダ延設部とは反対側の外側面には、前記傾斜延設部分から前記接続用延設部分に至るリブが設けられているものとすることができる。このようにすれば、第1軸側ジンバルフレーム延設部が、第1軸側シャフトと第1軸側凹曲面との接触によって撓み過ぎることを防止できる。
【0016】
次に、本発明は、上記の振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法において、前記第1接続機構により可動体を回転可能に支持する前記回転支持機構と前記ジンバルフレームとを接続するとともに、一対の前記側板の前記貫通穴のそれぞれに一対の前記第2軸側シャフトのそれぞれを貫通させ、前記可動体、前記回転支持機構および前記ジンバルフレームを前記枠体の内周側に配置し、各第2軸側シャフトの内周側の先端を、各第2軸側ジンバルフレーム延設部の前記第2軸側凹曲面に接触させ、各第2軸側シャフトが前記ジンバルフレームから受ける荷重を計測しながら一対の前記第2軸側シャフトを前記第2軸上で互いに接近する方向に移動させ、前記荷重が所定の値に到達すると、前記側板と前記第2軸側シャフトとを溶接して当該第2軸側シャフトを前記枠体に固定することを特等とする。
【0017】
本発明によれば、ジンバルフレームと固定体とを第2軸回りに回転可能に接続する際に、枠体の側板の貫通穴を貫通する第2軸側シャフトが側板からジンバルフレーム延設部の側に突出する突出量を調整する。また、第2軸側シャフトが側板からジンバルフレーム延設部の側に突出する突出量を調整する際に、第2軸側シャフトがジンバルフレームから受ける荷重を計測して、荷重が所定の値に達したときに、第2軸側シャフトを側板に溶接して固定する。これにより、第2軸側シャフトと接触する第2軸側ジンバルフレーム延設部の撓み量を調節できるので、第2軸側ジンバルフレーム延設部が第2軸側シャフトに付勢される付勢力を調整できる。また、第2軸側ジンバルフレーム延設部が第2軸側シャフトに付勢される付勢力を所定の値とすることができるので、第2軸側シャフトと第2軸側凹
曲面との間の接触状態が安定する。この結果、固定体に支持されたジンバルフレームを第2軸回りに精度よく回転させることができる。
【0018】
本発明において、一対の前記側板のそれぞれに前記貫通穴を形成する際に、バーリング加工によって前記筒部を形成しておくことが望ましい。このようにすれば、側板に筒部を設けることが容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可動体を光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構が、ジンバル機構によって第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能に支持される。従って、可動体が第1軸回り或いは第2軸回りに回転している状態でも、可動体を光軸と一致する回転軸回りに回転させることができる。また、ジンバルフレームと固定体とを第2軸回りに回転可能に支持する第2接続部においては、固定体の側板に支持された第2軸側シャフトを第2軸方向に移動させることにより、第2軸側シャフトが側板からジンバルフレーム延設部の側に突出する突出量を調整できる。ここで、第2軸側シャフトの突出量を大きくすれば、当該第2軸側シャフトの先端が接触する第2軸側ジンバルフレーム延設部を撓ませることができる。また、第2軸側シャフトを第2軸方向に移動させれば、当該第2軸側シャフトの先端が接触する第2軸側ジンバルフレーム延設部の撓み量を調節できる。これにより、第2軸側ジンバルフレーム延設部が第2軸側シャフトに付勢される付勢力を調整できるので、第2軸側シャフトと第2軸側凹曲面との間の接触状態が安定する。この結果、可動体に支持されたジンバルフレームを第2軸回りに精度よく回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2】被写体側カバーを除いた振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図3】光学ユニット本体部の斜視図である。
図4】光学ユニット本体部を光軸方向から見た場合の平面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6図4のB-B線断面図である。
図7】光学ユニット本体部の分解斜視図である。
図8】可動体、回転支持機構、およびジンバル機構の説明図である。
図9】回転支持機構を光軸方向の一方側から見た場合の分解斜視図である。
図10】回転支持機構を光軸方向の他方側から見た場合の分解斜視図である。
図11】ジンバルフレーム、第1軸側シャフトの分解斜視図である。
図12】ケースおよび第2軸側シャフトの分解斜視図である。
図13】振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法のフローチャートである。
図14】ジンバルフレームと固定体との接続方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。図2は、被写体側カバーを除いた振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。図3は、光学ユニット本体部の斜視図である。図4は、光学ユニット本体部を光軸方向から見た場合の平面図である。図3および図4では、光学ユニット本体部から引き出された第1フレキシブルプリント基板、第2フレキシブルプリント基板、および第3フレキシブルプリント基板を省略して示す。図5は、図4のA-A線断面図である。図6は、図4のB-B線断面図である。図7は、光学ユニット本体部の分解斜視図である。
【0023】
図1図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、直方体形状のカバー2と、カバー2に収容された光学ユニット本体部3と、を備える。光学ユニット本体部3は、レンズ4および撮像素子9(図8参照)を備える撮像モジュール5を有する。カバー2からは、第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7が、平行に、引き出されている。また、カバー2からは、第3フレキシブルプリント基板8が、第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7の引き出し方向とは異なる方向に引き出されている。
【0024】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、撮像モジュール5の傾きを補正する。
【0025】
本例の振れ補正機能付き光学ユニット1では、レンズ4の光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りに撮像モジュール5を回転させて振れ補正を行う。
【0026】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。また、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸方向の一方側を-Z方向第、他方側を+Z方向とする。X軸方向は、カバー2の長手方向であり、Y軸方向は、カバー2の短手方向である。第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7は、カバー2から+X方向に引き出されている。第3フレキシブルプリント基板8はカバー2から-Y方向に引き出されている。Z軸方向は、光軸Lに沿った光軸方向である。-Z方向は、撮像モジュール5の像側であり、+Z方向は、撮像モジュール5の被写体側である。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回り(光軸L回り)で、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0027】
図2に示すように、カバー2は、光学ユニット本体部3を-Z方向から覆う板状の像側カバー10を備える。また、図1に示すように、カバー2は、像側カバー10に+Z方向から被せられた被写体側カバー11を備える。被写体側カバー11は、光学ユニット本体部3を外周側から覆う枠型の第1カバー12と、第1カバー12の+X方向に位置する箱型の第2カバー13と、を備える。第2カバー13は、光学ユニット本体部3から+X方向に引き出された第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7を部分的に被う。
【0028】
図2に示すように、第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7は、それぞれ第2カバー13により覆われている部分に屈曲部15を備える。屈曲部15は、XY平面に沿って延びてZ軸方向に屈曲する第1屈曲部分16と、YZ平面に沿ってX軸方向に屈曲する第2屈曲部分17と、XZ平面に沿ってY軸方向に屈曲する第3屈曲部分18と、を備える。第2屈曲部分17は、X軸方向に複数設けられており、つづら折りを形成している。フレキシブルプリント基板は、屈曲部15の+X方向の端部分が、補強板19を介して、像側カバー10の+X方向の端部分に固定されている。
【0029】
図3図4、および図7に示すように、光学ユニット本体部3は、撮像モジュール5を備える可動体20と、可動体20を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構21と、を備える。また、光学ユニット本体部3は、回転支持機構21を、第1軸R1回りに回
転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構22と、ジンバル機構22および回転支持機構21を介して可動体20を支持する固定体23と、を有する。可動体20は、回転支持機構21およびジンバル機構22を介して、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能な状態で固定体23に支持される。可動体20は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りおよびY軸回りに回転する。これにより、振れ補正機能付き光学ユニット1は、X軸回りのピッチング補正、Y軸回りのヨーイング補正、およびZ軸回りのローリング補正を行う。
【0030】
また、光学ユニット本体部3は、可動体20を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる補正用磁気駆動機構25を備える。補正用磁気駆動機構25は、可動体20に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構26と、可動体20に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構27と、を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構26は、撮像モジュール5の-Y方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構27は、撮像モジュール5の-X方向に配置される。さらに、光学ユニット本体部3は、可動体20を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構28を有する。ローリング補正用磁気駆動機構28は、撮像モジュール5の+Y方向に配置される。
【0031】
第1振れ補正用磁気駆動機構26、第1振れ補正用磁気駆動機構27、およびローリング補正用磁気駆動機構28は、光軸L回りの周方向に配列されている。光軸Lと直交する方向から見た場合に、ローリング補正用磁気駆動機構28は、補正用磁気駆動機構25と重なる。本例では、ローリング補正用磁気駆動機構28と第1振れ補正用磁気駆動機構26とは、光軸Lを間に挟んで対向する位置に配置されている。
【0032】
ここで、図2に示すように、第3フレキシブルプリント基板8は、光学ユニット本体部3の外周面に沿って引き回されている。また、第3フレキシブルプリント基板8は、光学ユニット本体部3の外周面から-Y方向に引き出されている。
【0033】
(可動体)
図8は、可動体20、回転支持機構21、およびジンバル機構22の説明図である。図8に示すように、可動体20は、撮像モジュール5と、撮像モジュール5を外周側から囲む枠状のホルダ29と、を備える。撮像モジュール5は、撮像モジュール本体部30と、撮像モジュール本体部30の中央から+Z方向に突出する円筒部分31と、を備える。円筒部分31にはレンズ4が収容されている。円筒部分31は、光軸Lと同軸であり、一定の外径寸法で光軸L方向に延びる。撮像モジュール本体部30には撮像素子9が収容されている。撮像素子9は、レンズ4の光軸Lで、レンズ4の-Z方向に位置する。ここで、ホルダ29と、撮像モジュール5においてホルダ29およびホルダ29の径方向内側に位置する撮像モジュール本体部30とは、可動体本体部32を構成する。撮像モジュール5の円筒部分31は、可動体本体部32の中心から+Z方向に突出する可動体突出部33を構成する。
【0034】
図8に示すように、可動体本体部32を上方から見た場合の形状は、略8角形である。可動体本体部32は、Y方向に平行に延びる第1側壁35、および第2側壁36と、X方向に平行に延びる第3側壁37および第4側壁38を備える。第1側壁35は、第2側壁36の-X方向に位置する。第3側壁37は、第4側壁38の-Y方向に位置する。また、可動体本体部32は、第1軸R1方向の対角に位置する第5側壁39および第6側壁40と、第2軸R2方向の対角に位置する第7側壁41および第8側壁42を備える。第5側壁39は、第6側壁40の-X方向に位置する。第7側壁41は、第8側壁42の-Y方向に位置する。
【0035】
可動体20の第1側壁35には、磁性材料からなる板状の第1ヨーク44を介して第1マグネット45(振れ補正用マグネット)が固定されている。第1マグネット45は、Z軸方向に2分割されている。可動体20の第3側壁37には、磁性材料からなる板状の第2ヨーク46を介して第2マグネット47(振れ補正用マグネット)が固定されている。第1マグネット45および第2マグネット47は、Z軸方向に同一の極を向けて配置されている。第2マグネット47は、Z軸方向に2分割されている。可動体20の第4側壁38には、磁性材料からなる板状の第3ヨーク48を介して第3マグネット49(ローリング補正用マグネット)が固定されている。第3マグネット49は、周方向で2分割されている。
【0036】
ここで、第1マグネット45および第2マグネット47は、可動体20を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構25の振れ補正用マグネットである。振れ補正用磁気駆動機構25は、振れ補正用マグネットとして、第1軸R1を間に挟んで周方向に配列された第1マグネット45および第2マグネット47を備える。また、第3マグネット49は、可動体を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構28のローリング補正用マグネットである。第3マグネット49は、光軸Lを挟んで第2マグネット47とは反対側に配置されている。
【0037】
(回転支持機構)
図9は回転支持機構21を+Z方向から見た場合の分解斜視図である。図10は回転支持機構21を-Z方向から見た場合の分解斜視図である。図9図10に示すように、回転支持機構21は、可動体20に固定されるプレートロール51と、Z軸方向でプレートロール51に対向する対向部56を備えるプレートホルダ52と、プレートロール51とプレートホルダ52とを光軸L回りに回転可能とする回転機構53とを備える。また、回転支持機構21は、プレートロール51をプレートホルダ52に接近する方向に付勢する第1与圧機構54および第2与圧機構55を備える。
【0038】
プレートロール51は、金属製であり、非磁性材料からなる。プレートロール51は、光軸Lを囲むプレートロール環状部57と、プレートロール環状部57から第2軸R2方向の両側に突出して-Z方向に延びる一対のプレートロール延設部58と、を備える。プレートロール環状部57は、プレートロール環状板59と、プレートロール環状板59の内周側端縁から+Z方向に屈曲して延びるプレートロール環状壁60(内側壁)と、を備える。プレートロール環状壁60は円筒形状である。図9に示すように、プレートロール環状板59の+Z方向の端面には、径方向の中央に、プレートロール環状溝61が設けられている。また、プレートロール環状板59には、周方向の3か所に、等角度間隔で、与圧用マグネット62が固定されている。
【0039】
一対のプレートロール延設部58のそれぞれは、-Z方向の端部分に、可動体20に固定される固定部63を備える。固定部63は周方向の両端縁に、+Z方向に向かって周方向の幅が広がる楔形状の突起63aを複数備える。また、固定部63は、第2軸R2方向の外側面に、矩形の突起63bを備える。矩形の突起63bは、+Z方向に向かって第2軸R2方向の突出量が増加する。
【0040】
プレートホルダ52は、磁性材料からなる。プレートホルダ52は、プレートホルダ環状部65と、プレートホルダ環状部65から第1軸R1方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対のプレートホルダ延設部66と、を備える。プレートホルダ環状部65は、プレートホルダ52においてZ軸方向でプレートロール環状部57に対向する対向部56である。
【0041】
プレートホルダ環状部65は、プレートロール環状部57の+Z方向に位置するプレー
トホルダ環状板67と、プレートホルダ環状板67の外周側端縁から-Z方向に屈曲する複数のプレートホルダ円弧壁68(外側壁)と、を備える。図10に示すように、プレートホルダ環状板67の-Z方向の端面には、周方向に延びるプレートホルダ円弧溝70が、複数、設けられている。本例では、プレートホルダ円弧溝70は、等角度間隔で6つ設けられている。各プレートホルダ円弧溝70のそれぞれは、Z軸方向でプレートロール環状溝61に対向する。
【0042】
一対のプレートホルダ延設部66は、それぞれ、プレートホルダ環状部65から第1軸R1方向の両側に延びるプレートホルダ第1延設部分66aと、プレートホルダ第1延設部分66aの外周側の端から、プレートホルダ環状部65から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜するプレートホルダ第2延設部分66bと、プレートホルダ第2延設部分66bの-Z方向の端から可動体20の外周側を-Z方向に延びるプレートホルダ第3延設部分66cと、を備える。図5に示すように、プレートホルダ第1延設部分66aは、第1軸R1方向の両側に位置するプレートホルダ円弧壁68の-Z方向の端から第1軸R1方向に突出する。一方のプレートホルダ延設部66のプレートホルダ第3延設部分66cは、可動体20の第5側壁39と第1軸R1方向で僅かな隙間を開けて対向する。他方のプレートホルダ延設部66のプレートホルダ第3延設部分66cは、可動体20の第6側壁40と第1軸R1方向で僅かな隙間を開けて対向する。また、各プレートホルダ第3延設部分66cは、第1軸R1線上を径方向内側(可動体20の側)に窪む第1軸側凹曲面69を備える。
【0043】
図9図10に示すように、回転機構53は、複数の球体71と、リテーナ72と、を備える。球体71は金属製である。リテーナ72は樹脂製である。リテーナ72は、複数の球体71のそれぞれを転動可能に保持する複数の球体保持穴72aを備える。本例では、回転機構53は、6個の球体71を備える。従って、リテーナ72は6つの球体保持穴72aを備える。球体71は、球体保持穴72aに保持されて、リテーナ72から-Z方向および+Z方向に突出する。本例において、各球体保持穴72aは、径方向よりも周方向が長い長穴である。球体71が球体保持穴72aの中心に位置するときに、リテーナ72において球体保持穴72aの外周側に位置する外側リテーナ部分72bと球体71との間、および、リレーナにおいて球体保持穴72aの内周側に位置する内側リテーナ部分72cと球体71との間には、隙間が設けられている。
【0044】
リテーナ72は、各球体保持穴72aの径方向外側に位置する外側リテーナ部分72bから外周側に突出する外側突出部73と、各球体保持穴72aの径方向内側に位置する内側リテーナ部分72cから内周側に突出する内側突出部74と、を備える。また、リテーナ72は、周方向の3か所にZ軸方向に貫通するリテーナ貫通穴75を備える。
【0045】
ここで、図8に示すように、プレートロール51と、プレートホルダ52とは、プレートロール環状壁60が-Z方向からプレートホルダ環状部65の内側に挿入されて、Z軸方向に重ねられる。プレートロール環状壁60の+Z方向の端部分は、プレートホルダ環状部65よりも+Z方向に突出する。プレートロール51と、プレートホルダ52とが重ねられる際には、各球体71およびリテーナ72が、プレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間に配置される。
【0046】
リテーナ72がプレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間に配置された状態では、図5に示すように、外側突出部73に、プレートホルダ円弧壁68が径方向外側から接触する。また、内側突出部74に、プレートロール環状壁60が径方向内側から接触する。これによりリテーナ72は、プレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間において径方向で位置決めされる。また、リテーナ72の各球体保持穴72aに収容された各球体71は、-Z方向の端部分がプレートロール環状溝61に挿入
され、+Z方向の端部分がプレートホルダ円弧溝70に挿入される。さらに、リテーナ72がプレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間に配置された状態では、リテーナ貫通穴75に与圧用マグネット62が挿入される。
【0047】
図5図8に示すように、プレートロール環状壁60の+Z方向の端には、環状の板部材77が固定される。光軸L方向から見た場合に、板部材77の外周側部分と、プレートホルダ環状部65の内周側の端部分とは重なる。板部材77とプレートホルダ環状部65との間には、Z軸方向に僅かな隙間が形成される。ここで、プレートロール環状部57に固定されてリテーナ貫通穴75に挿入された与圧用マグネット62は、磁性材料からなるプレートホルダ52をプレートホルダ52に接近する方向に吸引する。すなわち、与圧用マグネット62は、プレートロール51をプレートホルダ52に接近する方向に付勢する第1与圧機構54を構成する。
【0048】
ここで、図6図8に示すように、可動体20は、可動体本体部32の第2軸R2方向の両端部分のそれぞれに、一対のプレートロール延設部58の固定部63を受け入れるプレートロール固定穴79を備える。プレートロール固定穴79は、ホルダ29に設けられている。プレートロール固定穴79は、第7側壁41および第8側壁42と平行で、-Z方向に延びる。
【0049】
回転支持機構21は、プレートロール51の各プレートロール延設部58の固定部63が、各プレートロール固定穴79に圧入されることにより可動体20に固定される。固定部63をプレートロール固定穴79に挿入する際には、プレートロール環状壁60に可動体突出部33が挿入される。これにより、可動体突出部33(円筒部分31)がプレートロール環状壁60に嵌り込むので、プレートロール51は、プレートロール環状壁60が光軸Lと同軸に位置決めされた状態で、可動体20に固定される。また、各プレートロール延設部58の固定部63を、各プレートロール固定穴79に圧入すると、固定部63の突起63aおよび突起63bが塑性変形して潰れた状態となる。これにより、プレートロール51と可動体20とは固定される。プレートロール51と可動体20とが固定されると、可動体20は、プレートロール51と一体に、光軸L回りに回転可能となる。
【0050】
ここで、回転支持機構21のプレートロール51と可動体20とが固定されると、磁性材料からなるプレートホルダ52は、プレートロール51に対して、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネット49とは、とは反対側に位置する。言い換えれば、プレートホルダ環状部65は、Z軸方向で、プレートロール環状部57を間に挟んで、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネット49とは反対側に位置する。これにより、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネット49は、プレートホルダ環状部65を、プレートロール環状部57に接近する方向に吸引する。従って、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネット49は、プレートロール51をプレートホルダ52に接近する方向に付勢する第2与圧機構55を構成する。本例では、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネット49が、プレートホルダ環状部65を、プレートロール環状部57に接近する方向に吸引する吸引力により、可動体20およびプレートロール51が、プレートホルダ環状部65の側に向かって+Z方向に引き付けられている。
【0051】
(ジンバル機構)
図11は、ジンバルフレームおよび第1軸側シャフトの分解斜視図である。図4に示すように、ジンバル機構22は、ジンバルフレーム80と、ジンバルフレーム80とプレートホルダ52とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構81とを備える。また、ジンバル機構22は、ジンバルフレーム80と固定体23とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構82、を備える。図5図7に示すように、第1接続機構8
1は、ジンバルフレーム80から第1軸R1上をプレートホルダ52の側に突出する第1軸側シャフト83と、プレートホルダ52に設けられて第1軸側シャフト83の先端が回転可能に接触する第1軸側凹曲面69と、を備える。図6図7に示すように、第2接続機構82は、固定体23から第2軸R2上をジンバルフレーム80の側に突出する第2軸側シャフト84と、ジンバルフレーム80に設けられて第2軸側シャフト84の先端が接触する第2軸側凹曲面95と、を備える。
【0052】
(ジンバルフレーム)
ジンバルフレーム80は、金属製の板バネからなる。図8に示すように、ジンバルフレーム80は、プレートホルダ52の+Z方向に位置するジンバルフレーム本体部85と、ジンバルフレーム本体部85から第1軸R1方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86と、ジンバルフレーム本体部85から第2軸R2方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第2軸側ジンバルフレーム延設部87と、を備える。ジンバルフレーム本体部85は、第1軸R1方向に延びる略長方形形状の中央板部分85aと、中央板部分85aの第2軸R2方向の一方側(-Y方向の側)から外周側に向かって+Z方向に傾斜する第1傾斜板部分85bと、中央板部分85aの第2軸R2方向の他方側(+Y方向の側)から外周側に向かって+Z方向に傾斜する第2傾斜板部分85cと、を備える。また、ジンバルフレーム本体部85は、中央に、Z軸方向に貫通する開口部90を備る。開口部90には、可動体突出部33が挿入される。
【0053】
図5図7図8に示すように、一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86は、プレートホルダ52の外周側に位置する。図8に示すように、一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86のそれぞれは、第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に延びる第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aと、第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aの先端から第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜する第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86b(傾斜延設部分)と、第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bの-Z方向の端からプレートホルダ52の外周側を-Z方向に延びる第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86c(接続用延設部分)と、を備える。
【0054】
図5図8に示すように、第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aは、中央板部分85aから第1軸R1方向に突出している。第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、第1軸R1方向に貫通するジンバルフレーム延設部貫通穴92を備える。また、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、ジンバルフレーム延設部貫通穴92の開口縁から第1軸R1方向を外周側に突出する第1軸側シャフト支持用筒部93を備える。さらに、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、周方向の両側の端縁からそれぞれ内周側に突出する一対のジンバルフレーム延設部突部94を備える。一対のジンバルフレーム延設部突部94は、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cにおいて、ジンバルフレーム延設部貫通穴92よりも+Z方向の側に設けられている。また、第1軸側ジンバルフレーム延設部86のプレートホルダ延設部66とは反対の外側面には、第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bから、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cに至るリブ91が設けられている。リブ91は、第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bと第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cとの間の屈曲部分を経由して延びる。
【0055】
ここで、第1軸側シャフト83は、円柱形状であり、ジンバルフレーム延設部貫通穴92および第1軸側シャフト支持用筒部93に挿入されてジンバルフレーム80に保持される。これにより、第1軸側シャフト83は、第1軸R1上を、第1軸R1方向に延びる。第1軸側シャフト83の内周側の端部は、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分
86cからプレートホルダ延設部66の側に突出する。第1軸側シャフト83の内周側の端部は、半球面を備える。
【0056】
次に、一対の第2軸側ジンバルフレーム延設部87のそれぞれは、図8に示すように、第2軸R2方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に延びる第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aと、第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aの先端から第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜する第2軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分87bと、第2軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分87bの-Z方向の端から可動体20の外周側を-Z方向に延びる第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cと、を備える。-Y方向に位置する一方の第2軸側ジンバルフレーム延設部87の第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aは、第1傾斜板部分85bの外周側の端縁から第2軸R2方向に突出する。+Y方向に位置する一方の第2軸側ジンバルフレーム延設部87の第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aは、第2傾斜板部分85cの外周側の端縁から第2軸R2方向に突出する。各第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cは、第2軸R2上を内周側に窪む第2軸側凹曲面95を備える。
【0057】
(第1接続機構)
図7に示すように、一対のプレートホルダ延設部66は、一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86と可動体20との間に位置する。そして、第1軸側シャフト83を保持する第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cと、第1軸側凹曲面69を備えるプレートホルダ第3延設部分66cとは、第1軸R1上において、対向する。第1接続機構81は、第1軸側シャフト83において、第1軸側ジンバルフレーム延設部86から内周側に突出する先端が第1軸側凹曲面69に接触することにより構成される。本例では、第1軸側シャフト83と、第1軸側凹曲面69とは、点接触する。これにより、回転支持機構21は、第1接続機構81を介して、第1軸R1回りに回転可能な状態で、ジンバルフレーム80に支持される。従って、回転支持機構21に支持された可動体20は、ジンバル機構22により、第1軸R1回りに回転可能に支持される。第1軸側シャフト83が第1軸側凹曲面69に接触した状態において、各プレートホルダ延設部66は、各第1軸側ジンバルフレーム延設部86に設けられた一対のジンバルフレーム延設部突部94の内側に位置する。
【0058】
可動体20および回転支持機構21がジンバル機構22に支持された状態では、ジンバルフレーム本体部85、プレートロール環状部57、およびプレートホルダ環状部65は、可動体本体部32の+Z方向で、可動体突出部33の外周側に位置する。プレートロール環状部57は、Z軸方向におけるジンバルフレーム本体部85と可動体本体部32との間に位置する。また、プレートホルダ環状部65は、プレートロール環状部57の+Z方向で、Z軸方向におけるジンバルフレーム本体部85と可動体本体部32との間に位置する。ここで、プレートロール環状部57、およびプレートホルダ環状部65は、第1軸R1および第2軸R2よりも+Z方向に位置する。また、ジンバルフレーム本体部85、プレートロール環状部57、およびプレートホルダ環状部65は、撮像素子9よりも+Z方向に位置する。
【0059】
(固定体)
図12は、ケースおよび第2軸側シャフトの分解斜視図である。図7に示すように、固定体23は、可動体20および回転支持機構21を外周側から囲む枠状のケース97(枠体)を有する。ケース97は、金属製であり、非磁性材料からなる。ケース97をZ軸方向から見た場合の形状は、8角形である。図12に示すように、ケース97は、8角形の枠状板部98と、可動体本体部32の径方向外側に位置する枠部99と、を備える。枠部99は、枠状板部98の外周縁から屈曲して-Z方向に延びる。
【0060】
枠状板部98は、Z軸方向の厚みが一定である。枠部99は、光軸Lと直交する方向の厚みが一定である。枠状板部98と枠部99との厚みは同一である。すなわち、ケース97は、ケース97を平面上に展開した展開形状で一枚の板金を打ち抜いてケース基材を形成し、しかる後に、ケース基材を折り曲げて立体形状として、必要箇所を溶接することによって形成されている。枠状板部98の中心には、矩形の開口部98aが設けられている。Z軸方向から見た場合に、可動体20のホルダ29は、開口部98aの内周側に位置する。
【0061】
枠部99は、Y方向に平行に延びる第1側板101、および第2側板102と、X方向に平行に延びる第3側板103および第4側板104を備える。第1側板101は、第2側板102の-X方向に位置する。第3側板103は、第4側板104の-Y方向に位置する。また、枠部99は、第1軸R1方向の対角で、第1側板101と第3側板103とを接続する第5側板105、および、第2側板102と第4側板104とを接続する第6側板106を備える。第5側板105と第6側板106とは平行に延びる。さらに、枠部99は、第2軸R2方向の対角で、第1側板101と第4側板104とを接続する第7側板107、および、第2側板102と第3側板103とを接続する第8側板108を備える。第7側板107と第8側板108とは平行に延びる。
【0062】
図7図12に示すように、枠部99は、第1側板101に第1コイル保持用開口部109を備える。第1コイル保持用開口部109には、第1コイル110(振れ補正用コイル)が挿入されている。第1コイル110は、周方向に長い楕円形状であり、中心穴を径方向に向けている。また、枠部99は、第3側板103に第2コイル保持用開口部111を備える。第2コイル保持用開口部111には、第2コイル112(振れ補正用コイル)が挿入されている。第2コイル112は、周方向に長い楕円形状であり、中心穴を径方向に向けている。さらに、枠部99は、第4側板104に、第3コイル保持用開口部113を備える。第3コイル保持用開口部113には、第3コイル114(ローリング補正用コイル)が挿入されている。第3コイル114は、Z軸方向に長い楕円形状であり、中心穴を径方向に向けている。ここで、図2に示すように、第4側板104、第1側板101および第3側板103の外周面に沿って第3フレキシブルプリント基板8が引き回されている。第1コイル110、第2コイル112および第3コイル114は、第3フレキシブルプリント基板8に電気的に接続されている。
【0063】
また、第2側板102には、-Z方向の端から+Z方向に延びる矩形の切欠き部115が設けられている。撮像モジュール5に接続された第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7は、切欠き部115を介して、光学ユニット本体部3から+X方向に引き出される。
【0064】
図12に示すように、ケース97の第7側板107、および第8側板108には、それぞれ、第2軸R2方向に貫通する貫通穴117が設けられている。また、第7側板107および第8側板108は、内側面(第2軸側ジンバルフレーム延設部87が位置する側の面)における貫通穴117の開口縁に、第2軸R2方向に突出する筒部118を備える。第7側板107および第8側板108の各貫通穴117には、第2軸側シャフト84が貫通している。第2軸側シャフト84は、円柱形状であり、貫通穴117に挿入されて、筒部118に支持されている。
【0065】
第2軸側シャフト84は金属製であり、第7側板107および第8側板108のそれぞれに、溶接によって、固定される。従って、第2軸側シャフト84と第7側板107との接触部分には、第2軸側シャフト84を第7側板107に固定する溶接痕120が設けられており、第2軸側シャフト84と第8側板108の接触部分には、第2軸側シャフト8
4と第8側板108とを固定する溶接痕120が設けられている。図6図7に示すように、各溶接痕120は、第7側板107の外側面における貫通穴117の開口縁および第8側板108の外側面における貫通穴117の開口縁に形成されている。第7側板107および第8側板108のそれぞれに固定された第2軸側シャフト84は、第2軸R2上を第2軸R2方向に延びる。第2軸側シャフト84の内周側の端部は、枠部99から内周側に突出する。第1軸側シャフト83の内周側の端部は、半球面を備える。
【0066】
(第2接続機構)
図6に示すように、第2接続機構82は、ケース97の内側に可動体20、回転支持機構21およびジンバルフレーム80を配置し、第2軸側シャフト84の先端部分を第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cの第2軸側凹曲面95に挿入して、接触させることにより構成される。第2接続機構82によって固定体23とジンバルフレーム80とが接続されることにより、ジンバルフレーム80、回転支持機構21および可動体20は、第2軸R2回りに回転可能な状態で、固定体23に支持される。
【0067】
ここで、ジンバルフレーム80は板バネなので、第2軸側ジンバルフレーム延設部87は、第2軸R2方向に弾性変形可能である。従って、第2軸側シャフト84と第2軸側ジンバルフレーム延設部87の第2軸側凹曲面95とを接触させる際、第2軸側ジンバルフレーム延設部87を内周側へ撓ませた状態とする。これにより、第2軸側ジンバルフレーム延設部87は、外周側へ向かう弾性復帰力により、第2軸側シャフト84に内周側から弾性接触する。従って、第2軸側ジンバルフレーム延設部87と枠部99との接続が解除されることを防止或いは抑制できる。
【0068】
(振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構)
ジンバル機構22により支持された可動体20がケース97の内周側に配置されると、ホルダ29の第1側壁35と枠部99の第1側板101とは、X軸方向で隙間を開けて対向する。ホルダ29の第2側壁36と第2側板102とは、X軸方向で隙間を開けて対向する。ホルダ29の第3側壁37と第3側板103とは、Y軸方向で隙間を開けて対向する。ホルダ29の第4側壁38と第4側板104とは、Y軸方向で隙間を開けて対向する、ホルダ29の第5側壁39と第5側板105とは、第1軸R1方向で隙間を開けて対向する。ホルダ29の第6側壁40と第6側板106とは、第1軸R1方向で隙間を開けて対向する。ホルダ29の第7側壁41と第7側板107とは、第2軸R2方向で隙間を開けて対向する。ホルダ29の第8側壁42と第8側板108とは、第2軸R2方向で隙間を開けて対向する。
【0069】
これにより、図3に示すように、可動体20の第1側壁35に固定された第1マグネット45と、ケース97に保持された第1コイル110とがX方向で隙間を開けて対向する。第1マグネット45および第1コイル110は、第2振れ補正用磁気駆動機構27を構成する。従って、第1コイル110への給電により、可動体20は、Y軸回りに回転する。また、可動体20の第3側壁37に固定された第2マグネット47と第2コイル112とがY方向で隙間を開けて対向する。第2マグネット47および第2コイル112は、第1振れ補正用磁気駆動機構26を構成する。従って、第2コイル112への給電により、可動体20はX軸回りに回転する。振れ補正用磁気駆動機構25は、第1振れ補正用磁気駆動機構26による可動体20のY軸回りの回転と、第1振れ補正用磁気駆動機構27による可動体20のX軸回りの回転と、を合成して、可動体20を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0070】
また、可動体20がケース97の内周側に配置された状態では、可動体20の第4側壁38に固定された第3マグネット49と第3コイル114とがY方向で隙間を開けて対向する。第3マグネット49および第3コイル114は、ローリング補正用磁気駆動機構2
8を構成する。従って、第3コイル114への給電により、可動体20は、光軸L回りに回転する。
【0071】
なお、図3図4に示すように、第1コイル110の可動体20とは反対側には、第1磁性板123が配置されている。すなわち、光軸Lの径方向で第1コイル110に対する可動体20とは反対側には、第1磁性板123が配置されている。第1磁性板123は、Z軸方向に長い矩形であり、径方向から見た場合に第1コイル110のZ軸方向の中心と重なる位置に配置されている。第1磁性板123は、第1コイル110を介して可動体20の第1マグネット45と対向しており、可動体20をY軸回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成する。また、図3図7に示すように、第3コイル114の可動体20とは反対側には、第2磁性板125が配置されている。すなわち、光軸Lの径方向で第3コイル114に対する可動体20とは反対側には、第2磁性板125が配置されている。第2磁性板125は、周方向に長い形状をしている。第2磁性板125は、第3コイル114を介して可動体20の第3マグネット49と対向しており、可動体20を、光軸L回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成する。
【0072】
(振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法)
ここで、振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法を説明する。図13は、振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法のフローチャートである。図14は、固定体23(ケース97)とジンバルフレーム80とを接続する接続方法の説明図である。
【0073】
第2接続機構82を構成するためには、予め、ケース97の第7側板107および第8側板108に貫通穴117を形成しておく。本例では、ケース97を平面上に展開した展開形状で一枚の板金を打ち抜いてケース基材を形成する際に、貫通穴117を形成する。また、貫通穴117を形成する際には、バーリング加工によって貫通穴117の開口縁に筒部118を形成する。すなわち、貫通穴117の形成では、まず、ケース基材に貫通穴117の下穴を形成し、次に、バーリング加工によって貫通穴117および筒部118を形成する(ステップST1)。その後に、ケース基材を折り曲げて、溶接して、枠状のケース97とする。
【0074】
次に、ケース97の第7側板107および第8側板108に設けた各貫通穴117に、それぞれ第2軸側シャフト84を貫通させる。これと並行して、可動体20を回転支持機構21に支持させる。また、回転支持機構21とジンバルフレーム80とを第1接続機構81によって接続する(ステップST2)。
【0075】
その後、回転支持機構21を介して可動体20を支持した状態のジンバルフレーム80を、ケース97の内側に配置する。これにより、ジンバルフレーム80の一対の第2軸側ジンバルフレーム延設部87の各第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cは、ホルダ29の第7側壁41と第7側板107との間、および、ホルダ29の第8側壁42と第8側板108との間に、それぞれ配置される。また、第7側板107に保持された第2軸側シャフト84と、第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cの第2軸側凹曲面95とが第2軸R2方向で対向する。同様に、第8側板108に保持された第2軸側シャフト84と、第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cの第2軸側凹曲面95とが第2軸R2方向で対向する。そこで、各第2軸側シャフト84を、貫通穴117および筒部118に沿って第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cの側に移動させて、各第2軸側シャフト84の先端部分を第2軸側凹曲面95に挿入して、接触させる(ステップST3)。
【0076】
次に、各第2軸側シャフト84がジンバルフレーム80から受ける荷重を計測しながら
一対の第2軸側シャフト84を第2軸R2上で互いに接近する方向に移動させる(ステップST4)。具体的には、図14に示すように、予め、各第2軸側シャフト84に、第2軸側シャフト84がジンバルフレーム80の側から受ける圧力を計測する圧力センサ130を取り付けておく。或いは、第2軸側シャフト84を互いに接近する方向に移動させるための治具に、第2軸側シャフト84が第2軸R2方向をジンバルフレーム80の側から受ける圧力を計測する圧力センサ130を取り付けておく。そして、圧力センサ130からの出力を監視しながら、一対の第2軸側シャフト84を、互いに接近する方向に、同時に、移動させる。
【0077】
そして、圧力センサ130からの出力が所定の値(荷重)に到達したときに(ステップST5:Yes)、第7側板107と第2軸側シャフト84、および第8側板108と第2軸側シャフト84とを溶接する(ステップST6)。第7側板107と第2軸側シャフト84の溶接、および第8側板108と第2軸側シャフト84との溶接は、ケース97の外周側から行うことができる。
【0078】
溶接によって、各第2軸側シャフト84がケース97に固定されると、第2接続機構82が構成される。これにより、可動体20を支持する回転支持機構21は、ジンバル機構22を介して、第2軸R2回りに回転可能な状態で固定体23に支持される。ここで、各第2軸側シャフト84がケース97に固定された状態では、一対の第2軸側ジンバルフレーム延設部87は、内周側に撓む。従って、第2軸側ジンバルフレーム延設部87は、外周側へ向かう弾性復帰力により、第2軸側シャフト84に内周側から弾性接触する。
【0079】
(作用効果)
本例によれば、可動体20を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構21が、ジンバル機構22によって、光軸Lと交差する第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能に支持される。従って、回転支持機構21は、可動体20と一体に第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転する。よって、可動体20が第1軸R1回り或いは第2軸R2回りに回転している場合でも、回転支持機構21による可動体20の回転軸と可動体20の光軸Lとは、一致する。従って、可動体20が第1軸R1回り或いは第2軸R2回りに回転しているときにローリング補正用磁気駆動機構28を駆動して可動体20を回転させたときに、可動体20は光軸L回りに回転する。
【0080】
また、本例では、第2軸側シャフト84を貫通穴117に沿って第2軸R2方向に移動させることにより、第2軸側シャフト84がケース97(第7側板107および第8側板108)からジンバルフレーム延設部87の側に突出する突出量を調整できる。ここで、第2軸側シャフト84の突出量を大きくすれば、当該第2軸側シャフト84の先端が接触する第2軸側ジンバルフレーム延設部87を撓ませることができる。また、第2軸側シャフト84を第2軸R2方向に移動させれば、当該第2軸側シャフト84の先端が接触する第2軸側ジンバルフレーム延設部87の撓み量を調節できる。これにより、第2軸側ジンバルフレーム延設部87が第2軸側シャフト84に付勢される付勢力を調整できるので、第2軸側シャフト84と第2軸側凹曲面95との間の接触状態が安定する。
【0081】
さらに、本例では、第2軸側シャフト84をケース97(第7側板107および第8側板108)から突出させる際に、第2軸側シャフト84がジンバルフレーム80から受ける荷重を計測し、荷重が所定の値に達したときに、第2軸側シャフト84をケース97に固定する。これにより、第2軸側ジンバルフレーム延設部87が第2軸側シャフト84に付勢される付勢力を所定の値とすることができる。よって、可動体20に支持されたジンバルフレーム80を第2軸R2回りに精度よく回転させることができる。
【0082】
また、本例では、第7側板107および第8側板108は、第2軸側ジンバルフレーム
延設部87が位置する側の板面における貫通穴117の開口縁に第2軸R2方向に突出して第2軸側シャフト84を支持する筒部118を備える、従って、第2軸側シャフト84を第2軸R2上で移動させることが容易である。
【0083】
ここで、本例では、第7側板107および第8側板108のそれぞれに貫通穴117を形成する際に、バーリング加工によって筒部118を形成しておく。従って、第7側板107および第8側板108に筒部118を設けることが容易である。
【0084】
さらに、第7側板107および第8側板108を備えるケース97および第2軸側シャフト84は、金属製であり、第7側板107および第8側板108と第2軸側シャフト84との接触部分には、溶接痕120が設けられている。すなわち、突出量を調整した第2軸側シャフト84は、溶接によって、ケース97に固定される。従って、第2軸側シャフト84の固定体23への固定が容易である。
【0085】
また、本例では、回転支持機構21は、可動体20に固定されたプレートロール51と、光軸L方向でプレートロール51に対向する対向部56を備えるプレートホルダ52と、プレートロール51をプレートホルダ52に対して光軸L回りで回転可能とする回転機構53と、を備える。プレートロール51は、光軸L方向から見た場合に可動体20に重なるプレートロール環状部57を有し、プレートホルダ52は、プレートロール環状部57に対向するプレートホルダ環状部65と、プレートホルダ環状部65から第1軸R1方向の両側に突出して可動体20の第1軸R1方向の両側を光軸L方向に延びる一対のプレートホルダ延設部66を備える。ジンバルフレーム80は、ジンバルフレーム本体部85から第1軸R1方向の両側に突出して一対のプレートホルダ延設部66の外周側を光軸L方向に延びる一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86を備える。第1接続機構81は、一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86を第1軸R1方向に貫通する貫通穴117に挿入されて第1軸R1上を各プレートホルダ延設部66の側に突出する一対の第1軸側シャフト83と、各プレートホルダ延設部66に設けられて第1軸側シャフト83の先端が接触する第1軸側凹曲面69と、を備える。従って、回転支持機構21により、可動体20を回転可能に支持できる。また、ジンバルフレーム80により、回転支持機構21を第1軸R1回りに回転可能に支持できる。
【0086】
ここで、第1軸側ジンバルフレーム延設部86のプレートホルダ延設部66とは反対側の外側面には、第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分66bから第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分66cに至るリブ91が設けられている。従って、第1接続機構81において、第1軸側ジンバルフレーム延設部86が、第1軸側シャフト83と第1軸側凹曲面69との接触によって撓み過ぎることを防止できる。
【0087】
(変形例)
なお、第1与圧機構54および第2与圧機構55の一方は、省略することができる。
【0088】
ここで、第2与圧機構55を省略する場合には、振れ補正用磁気駆動機構25の第1マグネット45および第2マグネット47をケース97の側に搭載し、第1コイル110および第2コイル112を可動体20の側に搭載することができる。また、ローリング補正用磁気駆動機構28の第3マグネット49をケース97の側に搭載し、第3コイル114を可動体20の側に搭載することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…カバー、3…光学ユニット本体部、4…レンズ、5…撮像モジュール、6…第1フレキシブルプリント基板、7…第2フレキシブルプリント基板、8…第3フレキシブルプリント基板、9…撮像素子、10…像側カバー、11
…被写体側カバー、12…第1カバー、13…第2カバー、15…屈曲部、16…第1屈曲部分、17…第2屈曲部分、18…第3屈曲部分、19…補強板、20…可動体、21…回転支持機構、22…ジンバル機構、23…固定体、25…振れ補正用磁気駆動機構、26…第1振れ補正用磁気駆動機構、27…第2振れ補正用磁気駆動機構、28…ローリング補正用磁気駆動機構、29…ホルダ、30…撮像モジュール本体部、31…円筒部分、32…可動体本体部、33…可動体突出部、35…第1側壁、36…第2側壁、37…第3側壁、38…第4側壁、39…第5側壁、40…第6側壁、41…第7側壁、42…第8側壁、42a…開口部、44…第1ヨーク、45…第1マグネット、46…第2ヨーク、47…第2マグネット、48…第3ヨーク、49…第3マグネット、51…プレートロール、52…プレートホルダ、53…回転機構、54…第1与圧機構、55…第2与圧機構、56…対向部、57…プレートロール環状部、58…プレートロール延設部、59…プレートロール環状板、60…プレートロール環状壁、61…プレートロール環状溝、62…与圧用マグネット、63…固定部、63a,63b…突起、65…プレートホルダ環状部、66…プレートホルダ延設部、66a…プレートホルダ第1延設部分、66b…プレートホルダ第2延設部分、66c…プレートホルダ第3延設部分、67…プレートホルダ環状板、68…プレートホルダ円弧壁、69…第1軸側凹曲面、70…プレートホルダ円弧溝、71…球体、72…リテーナ、72a…球体保持穴、72b…外側リテーナ部分、72c…内側リテーナ部分、73…外側突出部、74…内側突出部、75…リテーナ貫通穴、77…板部材、79…プレートロール固定穴、80…ジンバルフレーム、81…第1接続機構、82…第2接続機構、83…第1軸側シャフト、84…第2軸側シャフト、85…ジンバルフレーム本体部、85a…中央板部分、85b…第1傾斜板部分、85c…第2傾斜板部分、86…第1軸側ジンバルフレーム延設部、86a…第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分、86b…第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分、86c…第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分、87…第2軸側ジンバルフレーム延設部、87a…第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分、87b…第2軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分、87c…第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分、90…開口部、91…リブ、92…ジンバルフレーム延設部貫通穴、93…第1軸側シャフト支持用筒部、94…ジンバルフレーム延設部突部、95…第2軸側凹曲面、97…ケース、98…枠状板部、99…枠部、101…第1側板、102…第2側板、103…第3側板、104…第4側板、105…第5側板、106…第6側板、107…第7側板、108…第8側板、109…第1コイル保持用開口部、110…第1コイル、111…第2コイル保持用開口部、112…第2コイル、113…第3コイル保持用開口部、114…第3コイル、115…切欠き部、117…貫通穴、118…筒部、120…溶接痕、123…第1磁性板、125…第2磁性板、130…圧力センサ、R1…第1軸、R2…第2軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14