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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】電力融通システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20230628BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20230628BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230628BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20230628BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20230628BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230628BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230628BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230628BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230628BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230628BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20230628BHJP
【FI】
H02J3/46
H01M8/00 A
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/04313
H01M8/04858
H02J3/32
H02J3/38 170
H02J7/00 303E
H02J7/35 K
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019180869
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021058026
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-177574(JP,A)
【文献】特開2019-013128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 8/00 - 8/0297
H01M 8/08 - 8/2495
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力負荷を有する複数の建物の間で電力を融通させる電力融通システムであって、
前記複数の建物の電力負荷と第一の配電線を介して接続されるパワーコンディショナと、
前記複数の建物にそれぞれ設けられ、通常時に、対応する電力負荷と第二の配電線を介して接続された発電可能な燃料電池と、
電力の融通に関する電力融通処理を実行可能な制御部と、
を具備し、
前記燃料電池は、
発電電力の大きさに応じて、発電時に発生する排熱又は補助熱源を用いて湯を製造することが可能であり、
停電が発生した場合に、自立運転可能であって、かつ、前記第二の配電線を介した接続が解除されると共に前記パワーコンディショナと第三の配電線を介して接続され、
前記制御部は、
通常時において前記燃料電池が前記補助熱源を用いて湯を製造している場合、
前記燃料電池を疑似的な停電状態とすることにより、前記自立運転による発電電力を前記第三の配電線に出力させる、
電力融通システム。
【請求項2】
前記制御部は、
通常時において、製造された湯の貯湯量が所定量以下である場合、
前記湯を製造せずに発電している燃料電池を疑似的な停電状態とする、
請求項1に記載の電力融通システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記自立運転による前記燃料電池の発電電力が前記第一の配電線を系統電源側へ流れるのを規制する、
請求項1又は請求項2に記載の電力融通システム。
【請求項4】
前記パワーコンディショナには、電力を充放電可能な蓄電池が接続され、
前記制御部は、
前記パワーコンディショナを介して前記燃料電池の発電電力を前記蓄電池に充電させることにより、前記自立運転による前記燃料電池の発電電力が前記第一の配電線を系統電源側へ流れるのを規制する、
請求項1または請求項2に記載の電力融通システム。
【請求項5】
前記蓄電池及び前記蓄電池が接続された前記パワーコンディショナは複数組設けられ、
前記制御部は、
一の前記パワーコンディショナに接続された蓄電池が前記燃料電池の発電電力を充電できない場合、充電できない分の電力を他の前記パワーコンディショナに接続された蓄電池に充電させる、
請求項4に記載の電力融通システム。
【請求項6】
前記制御部は、
通常時において前記発電電力が第一の閾値よりも大きい前記燃料電池を疑似的な停電状態とせず、前記発電電力が前記第一の閾値以下の前記燃料電池を疑似的な停電状態とする、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電力融通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の建物の間で電力を融通させる電力融通システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の建物の間で電力を融通させる電力融通システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、複数の住宅それぞれに蓄電池を備えて、電気料金の安い時間帯(深夜等)に系統電源から充電した蓄電池の電力を当該住宅で利用することができる。また、蓄電池の充電量に余裕がある住宅から、電力が不足する住宅に電力を融通する。電力を融通する際には、各住宅の日々の電力使用量を予測して、当該電力使用量と蓄電池の充電量に基づいて電力の融通量を決定する。制御装置は、決定された融通量に応じて電力を融通する。こうして、特許文献1に記載の技術では、蓄電池の電力を複数の住宅の間で好適に融通することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-220428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、住宅等の建物の電力負荷に供給する電力の供給源として、水素等のガス燃料も用いて発電を行う燃料電池の普及が進んでいる。また、燃料電池においては、発電時の排熱を用いたり、排熱を用いることができない場合は補助熱源を用いて湯を製造できるものもある。そこで、特許文献1に記載の技術のように蓄電池だけでなく、燃料電池の発電電力を、湯の製造を考慮しつつ複数の建物の間で好適に融通させることができる技術が望まれている。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、燃料電池の発電電力を、湯の製造を考慮しつつ複数の建物の間で好適に融通させることができる電力融通システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、電力負荷を有する複数の建物の間で電力を融通させる電力融通システムであって、前記複数の建物の電力負荷と第一の配電線を介して接続されるパワーコンディショナと、前記複数の建物にそれぞれ設けられ、通常時に、対応する電力負荷と第二の配電線を介して接続された発電可能な燃料電池と、電力の融通に関する電力融通処理を実行可能な制御部と、を具備し、前記燃料電池は、発電電力の大きさに応じて、発電時に発生する排熱又は補助熱源を用いて湯を製造することが可能であり、停電が発生した場合に、自立運転可能であって、かつ、前記第二の配電線を介した接続が解除されると共に前記パワーコンディショナと第三の配電線を介して接続され、前記制御部は、通常時において前記燃料電池が前記補助熱源を用いて湯を製造している場合、前記燃料電池を疑似的な停電状態とすることにより、前記自立運転による発電電力を前記第三の配電線に出力させるものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、通常時において、製造された湯の貯湯量が所定量以下である場合、前記湯を製造せずに発電している燃料電池を疑似的な停電状態とするものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御部は、前記自立運転による前記燃料電池の発電電力が前記第一の配電線を系統電源側へ流れるのを規制するものである。
【0011】
請求項4においては、前記パワーコンディショナには、電力を充放電可能な蓄電池が接続され、前記制御部は、前記パワーコンディショナを介して前記燃料電池の発電電力を前記蓄電池に充電させることにより、前記自立運転による前記燃料電池の発電電力が前記第一の配電線を系統電源側へ流れるのを規制するものである。
【0012】
請求項5においては、前記蓄電池及び前記蓄電池が接続された前記パワーコンディショナは複数組設けられ、前記制御部は、一の前記パワーコンディショナに接続された蓄電池が前記燃料電池の発電電力を充電できない場合、充電できない分の電力を他の前記パワーコンディショナに接続された蓄電池に充電させるものである。
【0013】
請求項6においては、前記制御部は、通常時において前記発電電力が第一の閾値よりも大きい前記燃料電池を疑似的な停電状態とせず、前記発電電力が前記第一の閾値以下の前記燃料電池を疑似的な停電状態とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、燃料電池の発電電力を、湯の製造を考慮しつつ複数の建物の間で好適に融通させることができる。
【0016】
請求項2においては、今後給湯できなくなるのを抑制することができる。
【0017】
請求項3においては、燃料電池の発電電力が系統電源へ流れるのを抑制することができる。
【0018】
請求項4においては、燃料電池の発電電力が系統電源へ流れるのを抑制することができる。
【0019】
請求項5においては、自立運転による燃料電池の発電電力を、抑制するのではなく充電することにより、必要に応じたタイミングで使用することができる。
【0020】
請求項6においては、燃料電池の発電電力を複数の建物の間でより好適に融通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る電力融通システムの構成を示したブロック図。
図2】電気的な接続関係を示した図。
図3】第二自立運転時における電力の流れの一例を示したブロック図。
図4】電力融通処理を示したフローチャート。
図5】第一の処理を示したフローチャート。
図6図5の続きを示したフローチャート。
図7】第一実施形態に係る第二の処理を示したフローチャート。
図8図7の続きを示したフローチャート。
図9】第二実施形態に係る第二の処理を示したフローチャート。
図10】第一の処理に関する動作パターン1(疑似停電前)を示したブロック図。
図11】第一の処理に関する動作パターン1(疑似停電後)を示したブロック図。
図12】第一の処理に関する動作パターン2(疑似停電前)を示したブロック図。
図13】第一の処理に関する動作パターン2(疑似停電後)を示したブロック図。
図14】第二の処理に関する動作パターン3(疑似停電前)を示したブロック図。
図15】第二の処理に関する動作パターン3(疑似停電後)を示したブロック図。
図16】第二の処理に関する動作パターン4(疑似停電前)を示したブロック図。
図17】第二の処理に関する動作パターン4(疑似停電後1)を示したブロック図。
図18】第二の処理に関する動作パターン4(疑似停電後2)を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る電力融通システム1について説明する。
【0023】
図1に示す電力融通システム1は、例えば住宅街区Tに設けられる。
【0024】
まず、住宅街区Tについて説明する。住宅街区Tは、戸建住宅や集合住宅等の複数の住宅により構成される。住宅街区Tでは、複数の住宅間で互いにエネルギー(主に電力)を融通し合うことができる。住宅街区Tでは、使用される電力が電力小売事業者(アグリゲータ)から複数の住宅へと販売される。電力小売事業者は、複数の住宅へ販売する電力を電力会社(系統電源S)から一括で購入している。
【0025】
本実施形態においては、住宅街区Tに3つの住宅Hが設けられている。また、住宅Hには、電力を消費する電気機器(負荷F)が設けられる。なお以下では、3つの住宅Hをそれぞれ「第一住宅Ha」、「第二住宅Hb」、「第三住宅Hc」と称する場合がある。
【0026】
第一住宅Ha、第二住宅Hb及び第三住宅Hcは、後述する第一配電線L1の下流側(反系統電源S側)に互いに直列となるように接続される。具体的には、図1に示すように、第一配電線L1の最も下流側に第三住宅Hcが接続される。また、第三住宅Hcよりも上流側に第二住宅Hbが接続される。また、第二住宅Hbよりも上流側に第一住宅Haが接続される。
【0027】
次に、図1から図3を用いて、電力融通システム1の構成について説明する。
【0028】
電力融通システム1は、所定の電力を3つの住宅H間で融通するためのものである。電力融通システム1は、第一配電線L1、電力センサ20、蓄電システム30、燃料電池40、売電メータ50、買電メータ60及び制御部70を具備する。
【0029】
第一配電線L1は、系統電源Sと3つの住宅H(より詳細には、住宅Hの負荷F)とを接続するものである。第一配電線L1の一端部は、系統電源Sと接続される。また、第一配電線L1の他端部近傍は、3つの住宅Hがそれぞれ直列となるように接続される。なお以下では、上述の如く第一配電線L1における前記一端部側(系統電源S側)を「上流側」と、前記他端部側(住宅H側)を「下流側」と称する場合がある。
【0030】
電力センサ20は、電力を検出可能なものである。電力センサ20の検出結果により、系統電源Sと住宅街区Tとで取引された電力(買電電力及び売電電力)に関する情報を取得することができる。電力センサ20は、第一配電線L1の中途部(後述する第一蓄電システム30aよりも上流側)に設置される。電力センサ20は、後述する制御部70と接続され、制御部70へ計測結果を送信することができる。
【0031】
蓄電システム30は、太陽光を利用して発電可能であると共に、電力を充放電可能なものである。蓄電システム30は、太陽光発電部31、蓄電池32及びパワコン33を具備する。
【0032】
太陽光発電部31は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部31は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部31は、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0033】
蓄電池32は、電力を充放電可能なものである。蓄電池32は、例えばリチウムイオン電池等により構成される。蓄電池32は、運転モードとして、後述するように複数のモードを有している。蓄電池32の運転モードは、後述するパワコン33を介した制御部70からの指示により実行される。複数のモードには、待機モード、充電モード、放電モード、充放電モード等が含まれる。
【0034】
待機モードは、蓄電池32が充放電を行わないモードである。充電モードは、蓄電池32が充電を行うモードである。また、放電モードは、蓄電池32が放電を行うモードである。また、充放電モードは、蓄電池32が充放電を適宜行うモードである。なお、蓄電池32は、充放電モードを実行する場合、負荷追従機能により、後述する追従用センサ34により検出された電力に応じて動作する。なお、充放電モード及び充電モードについての詳細な説明は後述する。
【0035】
パワコン33は、電力を適宜変換可能なハイブリッドパワーコンディショナである。パワコン33は、所定の電線を介して第一配電線L1の中途部に接続される。こうして、パワコン33により蓄電システム30は第一配電線L1と接続される。また、パワコン33は、太陽光発電部31と蓄電池32とに所定の電線を介して接続される。このように、パワコン33は、太陽光発電部31と蓄電池32と第一配電線L1との間に設けられる。
【0036】
こうして、太陽光発電部31の発電電力は、パワコン33を介して第一配電線L1に出力することができる。また、太陽光発電部31の発電電力は、蓄電池32に充電することができる。また、蓄電池32の放電電力は、パワコン33を介して第一配電線L1に出力することができる。また、第一配電線L1を流れる電力は、パワコン33を介して蓄電池32に充電することができる。
【0037】
また、パワコン33には、追従用センサ34が設けられる。追従用センサ34は、設置箇所における電力(大きさや向き)を検出するものである。追従用センサ34は、蓄電システム30の第一配電線L1との接続部のすぐ上流側に設置される。図2に示すように、追従用センサ34は、パワコン33と電気的に接続される。これにより、パワコン33は、追従用センサ34の設置箇所における電力の情報を取得することができる。
【0038】
また、図2に示すように、パワコン33は、蓄電池32と電気的に接続される。これにより、パワコン33は、蓄電池32の動作及び充電残量等に関する情報を取得することができる。また、パワコン33は、太陽光発電部31と電気的に接続される。これにより、パワコン33は、太陽光発電部31の動作及び発電電力等に関する情報を取得することできる。
【0039】
また、本実施形態において、蓄電システム30は3つ設けられる。各蓄電システム30は、3つの住宅Hのうち何れかの住宅Hに所有されている。なお以下では、第一住宅Ha、第二住宅Hb及び第三住宅Hcに所有されている蓄電システム30を、それぞれ「第一蓄電システム30a」、「第二蓄電システム30b」及び「第三蓄電システム30c」と称する場合がある。
【0040】
3つの蓄電システム30(より詳細には、蓄電システム30のパワコン33)は、第一配電線L1の中途部(住宅Hよりも上流側)において、互いに直列となるように接続される。具体的には、図1に示すように、第一配電線L1の最も上流側に第三蓄電システム30cが接続される。また、第三蓄電システム30cよりも下流側に第二蓄電システム30bが接続される。また、第二蓄電システム30bよりも下流側に第一蓄電システム30aが接続される。
【0041】
燃料電池40は、住宅Hに設けられ、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池40は、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)や制御部等により構成される。燃料電池40は、所定の電線(以下では「第二配電線L2」と称する)を介して住宅H(住宅Hの負荷F)と接続される。また、燃料電池40には、貯湯タンク41が設けられる。
【0042】
本実施形態において、燃料電池40は、系統電源Sと連系した通常時の連系運転、及び、系統電源Sと連系しない停電時の自立運転を行うことができる。なお以下では、特に断りがない場合は連系運転時(すなわち通常時)の燃料電池40の構成について説明するものとし、自立運転時(すなわち停電時)の燃料電池40の構成についての説明は後述する。
【0043】
燃料電池40は、定格出力(最大発電電力)までの(交流)電力を発電可能である。また、燃料電池40は、最低出力(最低発電電力)以上の(交流)電力を発電可能である。本実施形態においては、燃料電池40の定格出力を700Wとし、最低出力を50Wとする。すなわち、燃料電池40は、最低発電電力(50W)から最大発電電力(700W)までの間で、任意の大きさの電力の発電を行うことができる。
【0044】
また、燃料電池40は、発電時に発生する熱(排熱)用いて湯を製造すると共に、当該製造した湯を貯湯タンク41に貯めることができる。燃料電池40は、貯湯タンク41の貯湯量が最大容量に達した場合(貯湯タンク41がこれ以上蓄熱ができない状態となった場合)、発電を停止させる(発電を行うことができない)。貯湯タンク41に貯められた湯は、浴室等の給湯需要に応じて供給することができる。
【0045】
また、燃料電池40は、運転モードとして、例えば熱主運転を実行することができる。熱主運転は、燃料電池40が住宅Hの給湯需要に応じて運転を行うモードである。具体的には、燃料電池40は、例えば住宅Hの給湯需要に関する情報を学習する機能(学習機能)を有し、当該学習機能により学習した情報に基づいて発電計画を作成する。そして、燃料電池40は、発電計画に沿った発電を行うことで、必要な時間に給湯需要に応じた湯量を貯湯タンク41に貯めることができる。
【0046】
また、燃料電池40は、発電計画に沿わずとも、例えば貯湯量が不足している場合に給湯需要があれば、発電を行って湯を製造することができる。ただし、本実施形態において、燃料電池40は、その仕様のため、発電電力がない場合、排熱を用いて湯を製造することができない。したがって、燃料電池40の発電電力がない場合、給湯需要にかかわらず排熱を用いて湯を製造することができない。この場合、燃料電池40は、補助熱源を用いて湯を製造する。
【0047】
また、各住宅Hおいては、燃料電池40の発電時に、所定の電力の購入が義務付けられる。本実施形態においては、燃料電池40の発電時に、50Wの電力が購入される。
【0048】
次に、図3を用いて、自立運転時の燃料電池40の構成について説明する。
【0049】
なお以下では、自立運転時の燃料電池40の構成について、通常時の連系運転の燃料電池40と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について説明するものとする。また、図3は、第三住宅Hcの燃料電池40が自立運転を開始した場合の構成及び電力の流れの一例を示している。
【0050】
燃料電池40は、例えば図示せぬ分電盤を介して得られた情報に基づいて停電の発生を検知した場合、系統電源Sと連系した連系運転から、系統電源Sと連系しない自立運転に切り替わる。なお、本実施形態において、自立運転時の燃料電池40の最大出力は、650Wとされる。
【0051】
また、自立運転において、燃料電池40は、発電電力を連系運転時の配電線(第二配電線L2)とは異なる配電線(以下では「第三配電線L3」と称する)に出力させる。ここで、第三配電線L3とは、燃料電池40と蓄電システム30のパワコン33とを接続するためのものである。第三配電線L3とパワコン33との間には図示せぬ切替盤が設けられ、当該切替盤により第三配電線L3とパワコン33との接続状態が切り替わる。前記切替盤は、後述する制御部70により制御される。
【0052】
図1に示すように、通常時には、前記切替盤により第三配電線L3とパワコン33との接続が解除される。この場合、燃料電池40は、パワコン33と第三配電線L3を介して接続されていない。一方、図3に示すように、停電時には、前記切替盤により第三配電線L3とパワコン33とが接続される。この場合、燃料電池40は、第三配電線L3を介してパワコン33と接続される。すなわち、自立運転において、燃料電池40は、発電電力を第三配電線L3に出力することにより、当該第三配電線L3を介してパワコン33に供給することができる。
【0053】
こうして、図3に示すように、例えば第三住宅Hcにおいては、燃料電池40の発電電力を自身(第三住宅Hc)が所有する第三蓄電システム30cの蓄電池32に充電することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、実際に停電が発生していない場合に、燃料電池40に対して疑似的に停電を発生させることにより、当該燃料電池40に自立運転を行わせることができる。具体的には、例えば前記分電盤との間に設けられた図示せぬブレーカを切断すると、実際には停電が発生していないにもかかわらず、燃料電池40は停電が発生したと判断する。すなわち、電力融通システム1内において、燃料電池40のみを疑似的な停電状態とすることができる。この場合(疑似停電が発生した場合)、燃料電池40は、実際に停電が発生した場合と同様に、系統電源Sと連系した連系運転から、系統電源Sと連系しない自立運転に切り替わる。すなわち、通常時であるにもかかわらず、燃料電池40は、発電電力を、第三配電線L3を介してパワコン33に供給することができる。
【0055】
なお以下では、便宜上、疑似停電が発生した場合の自立運転を「第二自立運転」と称する。
【0056】
売電メータ50は、蓄電システム30から出力される電力を検出するものである。売電メータ50は、蓄電システム30と第一配電線L1とを接続する配電線の中途部に設けられる。売電メータ50は、各蓄電システム30に対応するように設けられる。
【0057】
買電メータ60は、第一配電線L1を介して住宅H(負荷F)に供給される電力を検出するものである。買電メータ60は、住宅Hのすぐ上流側に設けられる。買電メータ60は、各住宅H(各負荷F)に対応するように設けられる。
【0058】
制御部70は、電力融通システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。制御部70は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。制御部70の記憶部には、電力融通システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。制御部70の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力融通システム1を動作させることができる。
【0059】
図2に示すように、制御部70は、蓄電システム30(より詳細には、パワコン33)と電気的に接続される。これにより、制御部70は、蓄電システム30に関する情報を取得することできる。例えば、制御部70は、追従用センサ34の検出結果に関する情報を取得することができる。また、制御部70は、太陽光発電部31及び蓄電池32の動作の状態に関する情報を取得することができる。
【0060】
また、制御部70は、蓄電システム30の動作を制御することができる。すなわち、制御部70は、太陽光発電部31及び蓄電池32の動作を制御することができる。例えば、制御部70は、パワコン33に後述する逆潮流不可運転の指示を行うことができる。
【0061】
また、制御部70は、電力センサ20と電気的に接続される。これにより、制御部70は、住宅街区T全体の買電電力(購入電力)及び売電電力に関する情報を取得することができる。また、制御部70は、電力センサ20の検出結果に基づき、停電の発生に関する情報を取得することができる。
【0062】
また、制御部70は、売電メータ50及び買電メータ60と電気的に接続される。これにより、制御部70は、売電メータ50及び買電メータ60の検出結果(すわち、住宅Hの売電電力及び買電電力)を取得することができる。こうして、制御部70は、各住宅Hにおける売電電力及び買電電力の収支計算を行うことができる。
【0063】
また、制御部70は、燃料電池40及び当該燃料電池40に関連する種々の機器と電気的に接続される。これにより、制御部70は、燃料電池40に関する情報を取得することができる。例えば、制御部70は、燃料電池40の動作の状態(例えば発電電力や、運転モード、発電計画、貯湯タンク41の貯湯量等、種々の情報)を取得することができる。
【0064】
また、制御部70は、燃料電池40及び当該燃料電池40に関連する種々の機器を制御することができる。また、制御部70は、停電の発生の有無に応じて、第三配電線L3とパワコン33との間に設けられた前記切替盤を制御することができる。また、制御部70は、後述する電力融通処理において、燃料電池40と分電盤との間に設けられた前記ブレーカを切断することにより、燃料電池40を疑似的な停電状態(疑似停電)とし、当該燃料電池40に第二自立運転を行わせることができる。また、制御部70は、各住宅Hの疑似停電の回数に関する情報を取得することができる。
【0065】
以下では、蓄電システム30の蓄電池32が実行する充放電モード及び充電モードについて説明する。
【0066】
充放電モードは、上述の如く、負荷追従機能により蓄電池32を充放電させるモードである。充放電モードを実行した場合、蓄電池32は、追従用センサ34の検出結果に応じて充放電可能な状態となる。具体的には、蓄電池32は、追従用センサ34が下流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を放電する。蓄電池32の放電電力は、パワコン33を介して第一配電線L1に出力される。また、蓄電池32は、追従用センサ34が検知した上流側へ流れる電力と太陽光発電部31の発電電力等に基づいて、当該検出した電力に対応する電力を充電する。
【0067】
こうして、蓄電システム30においては、追従用センサ34が下流側へ流れる電力を検出した場合、まず太陽光発電部31の発電電力が第一配電線L1に出力され、それでも不足する場合(それでも追従用センサ34が下流側へ流れる電力を検出した場合)に次に蓄電池32の放電電力が第一配電線L1に出力される。また、追従用センサ34が上流側へ流れる電力を検出した場合、まず太陽光発電部31の発電電力が蓄電池32に充電される。そして、蓄電池32の充電に対して太陽光発電部31の発電電力が余剰する場合、当該余剰した電力が第一配電線L1に出力される。
【0068】
充電モードは、上述の如く、充電を行うモードである。充放電モードを実行した場合、蓄電池32は、制御部70からの指示に応じた電力を充電する。例えば、制御部70からの指示が500Wであれば、蓄電池32は、500Wの充電を行う。
【0069】
なお、上述の如く充放電モードが実行された場合であっても、蓄電池32は最低蓄電残量を有していない場合、放電を行うことができない。また、充放電モード及び充電モードが実行された場合であっても、蓄電池32は満充電である場合、充電を行うことができない。
【0070】
以下では、電力融通システム1の電力の供給態様について簡単に説明する。
【0071】
なお以下では、3つの蓄電システム30の蓄電池32は、全て充放電モードを実行しているものとする。
【0072】
電力融通システム1においては、3種類の電力供給元(すなわち、系統電源S、燃料電池40及び蓄電システム30)から負荷Fへ電力が供給可能に構成される。負荷Fには、まず燃料電池40の発電電力が、他の電力供給元に優先して供給される。具体的には、3つの負荷Fには、それぞれ対応する燃料電池40からの発電電力が供給される。なお、燃料電池40の発電は発電計画に沿って行われる。
【0073】
そして、負荷Fに対して燃料電池40の発電電力で不足する場合、次に蓄電システム30から出力された電力が、他の電力供給元(系統電源S)に優先して負荷Fに供給される。また、3つの蓄電システム30のうち、最も下流側に配置された第一蓄電システム30aから出力された電力(太陽光発電部31の発電電力及び蓄電池32の放電電力)が、他の蓄電システム30に優先して負荷Fに供給される。
【0074】
そして、負荷Fに対して第一蓄電システム30aから出力された電力で不足する場合、次に第二蓄電システム30bから出力された電力(太陽光発電部31の発電電力及び蓄電池32の放電電力)が、他の蓄電システム30(第三蓄電システム30c)に優先して負荷Fに供給される。
【0075】
そして、負荷Fに対して第二蓄電システム30bから出力された電力で不足する場合、次に第三蓄電システム30cから出力された電力(太陽光発電部31の発電電力及び蓄電池32の放電電力)が負荷Fに供給される。
【0076】
そして、負荷Fに対して第三蓄電システム30cから出力された電力で不足する場合、次に系統電源Sから購入された電力が負荷Fに供給される。なお、蓄電システム30から出力された電力において太陽光発電部31の発電電力が負荷Fに対して余剰した場合には、当該余剰した分の電力が系統電源Sに売却可能とされる。
【0077】
なお、各蓄電システム30から出力された電力は、各負荷Fの電力需要に応じて3つのうち何れかの負荷Fに供給される。こうして、一の住宅Hの蓄電システム30から出力された電力を、他の住宅Hの負荷Fに供給することができる。すなわち、一の蓄電システム30から出力された電力を、当該一の蓄電システム30を所有する住宅Hではなく、他の蓄電システム30を所有する住宅Hに融通することができる。
【0078】
ここで、上述の如き電力の供給態様においては、例えば蓄電システム30から出力された電力は各負荷Fに融通されるが、燃料電池40の発電電力は当該燃料電池40を所有する住宅Hの負荷Fにのみ供給され、他の住宅Hの負荷Fに融通されない。
【0079】
そこで、本実施形態に係る電力融通システム1では、燃料電池40の発電電力を、当該燃料電池40を所有する住宅Hだけでなく、他の燃料電池40を所有する住宅Hに融通するための特定の処理(以下では「電力融通処理」と称する)を実行することができる。電力融通処理においては、電力を融通するため、燃料電池40の第二自立運転(疑似的な停電状態)が活用される。
【0080】
以下では、図4から図9のフローチャートを用いて、制御部70により実行される電力融通処理について説明する。
【0081】
電力融通処理は、制御部70により所定のタイミング(例えば、1分間隔)で繰り返し実行される。こうして、制御部70は、繰り返し種々の判断を行うと共に、得られた判断結果に基づいてリアルタイムで所定の制御を実行する。
【0082】
ステップS101において、制御部70は、(住宅街区T全体で)購入電力が発生しているか否かを判断する。制御部70は、購入電力が発生していると判断した場合(ステップS101で「YES」)、ステップS102へ移行する。一方、制御部70は、購入電力が発生していないと判断した場合(ステップS101で「NO」)、電力融通処理を一旦終了する。なお、購入電力が発生していない場合には、住宅街区T内で電力の不足がないと想定される。そこで、この場合、電力融通処理を終了させる。
【0083】
ステップS102において、制御部70は、購入電力が第一の閾値以上であるか否かを判断する。なお、第一の閾値とは、購入電力がある程度大きいか否かを判断する基準となる値である。すなわち、ある程度大きな購入電力が発生している場合とは、住宅街区T内で多くの電力が不足していると想定される。このような場合、燃料電池40の発電電力の融通を行う必要性が高いと想定される。一方、不足する電力が僅かであれば、燃料電池40の発電電力の融通を行う必要性が低いと想定される。そこで、第一の閾値を用いて、住宅街区T内での電力の不足度合いを判断することにより、以降の処理を異ならせている。本実施形態においては、第一の閾値として、500Wが用いられる。
【0084】
こうして、制御部70は、購入電力が500W(第一の閾値)以上であると判断した場合(ステップS102で「YES」)、ステップS103へ移行する。一方、制御部70は、購入電力が500W(第一の閾値)未満であると判断した場合(ステップS102で「NO」)、ステップS104へ移行する。
【0085】
ステップS103において、制御部70は第一の処理を実行する。第一の処理は、上述の如く購入電力が500W(第一の閾値)以上の場合に実行される処理である。なお、第一の処理についての詳細な説明は後述する。制御部70は、第一の処理を実行した後、電力融通処理を終了させる。
【0086】
ステップS104において、制御部70は第二の処理を実行する。第二の処理は、上述の如く購入電力が500W(第一の閾値)未満の場合に実行される処理である。なお、第二の処理についての詳細な説明は後述する。制御部70は、第二の処理を実行した後、電力融通処理を終了させる。
【0087】
以下では、図5及び図6のフローチャートを用いて、第一の処理について説明する。
【0088】
なお、第一の処理とは、住宅街区T内での電力の不足度合いが大きい場合に実行される処理である。
【0089】
ステップS201において、制御部70は、(少なくとも1以上の)太陽光発電部31が発電しているか否かを判断する。制御部70は、太陽光発電部31が発電していると判断した場合(ステップS201で「YES」)、第一の処理(電力融通処理)を終了する。制御部70は、太陽光発電部31が発電していないと判断した場合(ステップS201で「NO」)、ステップS202へ移行する。
【0090】
ここで、上述の如く、(原則として)太陽光発電部31の発電電力は、系統電源Sに売電することが可能である。しかし、本実施形態においては、例外として、燃料電池40の発電時には、太陽光発電部31の発電電力が売電できないように設定されている。そこで、太陽光発電部31が発電している場合には、燃料電池40の第二自立運転を活用する電力融通処理を終了させる。
【0091】
ステップS202において、制御部70は、全ての蓄電池32が最大出力で放電しているか否かを判断する。制御部70は、全ての蓄電池32が最大出力で放電していると判断した場合(ステップS202で「YES」)、第一の処理(電力融通処理)を終了する。一方、制御部70は、最大出力で放電していない蓄電池32があると判断した場合(ステップS202で「NO」)、ステップS203へ移行する。
【0092】
ステップS203において、制御部70は、発電電力が第二の閾値以下の燃料電池40があるか否かを判断する。なお、第二の閾値とは、燃料電池40の発電電力がある程度小さいか否かを判断する基準となる値である。すなわち、発電電力が小さい燃料電池40があれば、例えば当該燃料電池40の発電電力を増加した場合に、増加した分の電力を他の住宅Hに融通できる可能性がある。そこで、第二の閾値を用いて、電力を融通できる可能性を有する燃料電池40があるか否かを判断している。本実施形態においては、第二の閾値として、300Wが用いられる。
【0093】
こうして、制御部70は、発電電力が300W(第二の閾値)以下の燃料電池40があると判断した場合(ステップS203で「YES」)、ステップS204へ移行する。一方、制御部70は、発電電力が300W(第二の閾値)以下の燃料電池40がないと判断した場合(ステップS203で「NO」)、第一の処理(電力融通処理)を終了する。
【0094】
ステップS204において、制御部70は、ステップS203で判断した燃料電池40(すなわち、発電電力が300W(第二の閾値)以下の燃料電池40)の貯湯タンク41が満タンであるか否かを判断する。制御部70は、ステップS203で判断した燃料電池40の貯湯タンク41が満タンであると判断した場合(ステップS204で「YES」)、第一の処理(電力融通処理)を終了する。一方、制御部70は、ステップS203で判断した燃料電池40の貯湯タンク41が満タンではないと判断した場合(ステップS204で「NO」)、ステップS205へ移行する。
【0095】
なお、燃料電池40の貯湯タンク41が満タンである場合には、当該燃料電池40はそれ以上発電を行うことができない。そこで、燃料電池40の貯湯タンク41が満タンである場合には、燃料電池40の第二自立運転を活用する電力融通処理を終了させる。
【0096】
ステップS205において、制御部70は、ステップS203で判断した発電電力が300W(第二の閾値)以下、かつ、ステップS204で判断した貯湯タンク41が満タンではないという2つの条件を満たした燃料電池40の台数をカウントする。なお以下では、当該燃料電池40の台数をAとする。制御部70は、ステップS205の処理の後、ステップS206へ移行する。
【0097】
ステップS206において、制御部70は、現在の購入電力と、ステップS205でカウントされたAの燃料電池40の総発電量と、の合計を算出する。なお以下では、算出した結果をBとする。制御部70は、ステップS206の処理の後、ステップS207へ移行する。
【0098】
ステップS207において、制御部70は、第二自立運転を開始させる(疑似的な停電状態とする)燃料電池40の台数を決定する。具体的には、制御部70は、ステップS206で算出したBを650W(燃料電池40の第二自立運転時の最大出力)で除算する。また、制御部70は、除算した結果に小数点以下の数値が含まれていた場合、当該数値を切り捨てる。ここで、650Wとは、第二自立運転時において、燃料電池40が出力可能な最大値を意味する。なお以下では、決定した燃料電池40の台数をCとする。なお、Cは、A(ステップS205参照)と同一の場合も有りうる。制御部70は、ステップS207の処理の後、ステップS208へ移行する。
【0099】
ステップS208において、制御部70は、ステップS205でカウントされたAの燃料電池40の疑似停電回数をカウントする。なお、疑似停電回数としては、電力融通システム1が導入されてからの積算値や、現時点から過去に遡った所定の期間内の積算値を採用することができる。制御部70は、ステップS208の処理の後、ステップS209へ移行する。
【0100】
ステップS209において、制御部70は、ステップS205でカウントされたAの燃料電池40に対して、第二自立運転を開始させる(疑似的な停電状態とする)優先順位を設定する。すなわち、第二自立運転を開始させることが可能な燃料電池40が複数ある場合、どの燃料電池40を他の燃料電池40に優先して第二自立運転を開始させるかを設定する。本実施形態においては、疑似的な停電状態となった回数の少ない燃料電池40ほど優先順位が高いように(他の燃料電池40に優先して第二自立運転を開始するように)設定される。制御部70は、ステップS209の処理の後、ステップS210へ移行する。
【0101】
なお、第二自立運転を開始した場合、上述の如く、燃料電池40の発電電力は他の住宅Hに融通される。すなわち、燃料電池40は発電電力の融通を行った場合、融通を行わなかった場合と比べて燃料電池40のガス燃料の費用が高くなる傾向にある。そこで、光熱費の公平の観点から、疑似的な停電状態となった回数の少ない燃料電池40ほど、優先順位が高いように設定される。
【0102】
ステップS210において、制御部70は、設定された優先順位に従って、所定の台数の燃料電池40に対して疑似的な停電状態とするための指示を行う。なお、前記所定の台数とは、A(ステップS205参照)又はC(ステップS207参照)のうち、少ない方の台数を意味する。
【0103】
具体的には、制御部70は、第二自立運転を開始する燃料電池40と前記分電盤との間に設けられた前記ブレーカを切断することにより、当該燃料電池40を疑似的な停電状態とする。こうして、燃料電池40は、疑似的な停電状態となると第二自立運転を開始し、発電電力を第三配電線L3を介してパワコン33に供給する。また、制御部70は、第二自立運転を開始する際、前記第三配電線L3とパワコン33との間の前記切替盤を制御することにより、燃料電池40とパワコン33とを第三配電線L3を介して接続する。
【0104】
こうして、燃料電池40の第二自立運転により、第三配電線L3を介してパワコン33に供給された当該燃料電池40の発電電力は、負荷Fに対して余剰する場合、余剰する分の電力が蓄電池32に充電される。こうして、パワコン33に供給された当該燃料電池40の発電電力は、負荷Fに必要な分だけが第一配電線L1に出力され、当該第一配電線L1を下流側へと流れて当該負荷F(すなわち、自身の住宅Hの負荷F及び他の住宅Hの負荷F)に供給される。すなわち、燃料電池40の発電電力が、他の住宅Hに融通される。
【0105】
制御部70は、ステップS210の処理の後、ステップS211へ移行する。
【0106】
ステップS211において、制御部70は、対応する(すなわち、燃料電池40と同一の住宅Hに所有される)パワコン33に対して、逆潮流不可運転を指示する。ここで、パワコン33の逆潮流不可運転とは、第二自立運転によりパワコン33に供給された燃料電池40の発電電力が系統電源S側へ流れないように、当該燃料電池40の発電電力を抑制していく運転を意味する。具体的には、逆潮流不可運転には、蓄電池32の余剰電力の充電と、燃料電池40の発電電力の抑制と、が含まれる。すなわち、逆潮流不可運転を行っているパワコン33は、燃料電池40からの発電電力が前記負荷Fに余剰する場合、当該余剰する分の電力をまず蓄電池32に充電させる。そして、パワコン33は、満充電により蓄電池32が充電できない場合、燃料電池40からの発電電力が前記負荷Fに余剰しないように、当該燃料電池40の発電電力を抑制していく(絞っていく)。こうして、パワコン33は、例えば満充電により蓄電池32が充電できない場合であって、燃料電池40の発電電力のうち300Wが負荷Fに余剰して系統電源S側へ流れそうな場合、燃料電池40の発電電力が300W減少するような運転を行う。このように、対応するパワコン33が逆潮流不可運転を行うことにより、燃料電池40の発電電力が系統電源Sへと逆潮流されるのを抑制することができる。制御部70は、ステップS211の処理の後、ステップS212へ移行する。
【0107】
ステップS212において、制御部70は、対応する蓄電池32が充電しているか、又は、燃料電池40の発電が抑制されているか否かを判断する。制御部70は、対応する蓄電池32が充電している、又は、燃料電池40の発電が抑制されていると判断した場合(ステップS212で「YES」)、ステップS213へ移行する。一方、制御部70は、対応する蓄電池32が充電しておらず、また燃料電池40の発電が抑制されていないと判断した場合(ステップS212で「NO」)、ステップS215へ移行する。
【0108】
ステップS213において、制御部70は、対応する燃料電池40の第二自立運転を停止させる(疑似的な停電状態を解除する)と共に、パワコン33の逆潮流不可運転の指示を解除する。具体的には、制御部70は、第二自立運転を停止する燃料電池40と前記分電盤との間に設けられた前記ブレーカを接続することにより、当該燃料電池40の疑似的な停電状態を解消する。こうして、燃料電池40は、疑似的な停電状態が解消されると、第二自立運転を停止し、連系運転を開始する。また、制御部70は、第二自立運転を停止する際、前記第三配電線L3とパワコン33との間の前記切替盤を制御することにより、燃料電池40とパワコン33との接続を切断する。
【0109】
なお、対応する蓄電池32が充電している場合や、燃料電池40の発電が抑制されている場合(ステップS213参照)とは、第二自立運転により燃料電池40の発電電力を融通する必要性が低くなった場合が想定される。そこで、この場合、対応する燃料電池40の第二自立運転を停止させる(疑似的な停電状態を解除する)と共に、パワコン33の逆潮流不可荷運転の指示を解除する(ステップS213参照)。制御部70は、ステップS213の処理の後、ステップS214の処理を移行する。
【0110】
ステップS214において、制御部70は、第二自立運転を行っている燃料電池40があるか否かを判断する。制御部70は、第二自立運転を行っている燃料電池40があると判断した場合(ステップS214で「YES」)、再びステップS212へ移行する。一方、制御部70は、第二自立運転を行っている燃料電池40はないと判断した場合(ステップS214で「NO」)、第一の処理(電力融通処理)を終了する。
【0111】
また、ステップS212から移行したステップS215において、制御部70は、500W(第一の閾値)以上の購入電力が発生しているか否かを判断する。制御部70は、500W(第一の閾値)以上の購入電力が発生していると判断した場合(ステップS215で「YES」)、ステップS216へ移行する。一方、制御部70は。500W(第一の閾値)以上の購入電力が発生していないと判断した場合(ステップS215で「NO」)、再びステップS212へ移行する。
【0112】
ステップS216において、制御部70は、全ての対応する燃料電池40の第二自立運転を停止させる(疑似的な停電状態を解除する)と共に、パワコン33の逆潮流不可運転の指示を解除する。制御部70は、ステップS216の処理の後、第一の処理(電力融通処理)を終了する。
【0113】
なお、第二自立運転を行っている燃料電池40があるにもかかわらず、500W(第一の閾値)以上の購入電力が発生している場合には、最初から設定をやり直す必要がある。そこで、このような場合には、全ての対応する燃料電池40の第二自立運転を停止させる(疑似的な停電状態を解除する)と共に、パワコン33の逆潮流不可運転の指示を解除し、第一の処理(電力融通処理)を終了する。
【0114】
このように、第一の処理においては、住宅街区T内での電力の不足度合いが大きい場合に、所定の燃料電池40に第二自立運転を行わせる(疑似的な停電状態とする)ことにより、当該燃料電池40の発電電力を他の住宅Hに融通することができる。これにより、購入電力が過剰となるのを効果的に抑制することができる。
【0115】
以下では、図10から図13を用いて、第一の処理に関する具体的な動作パターンの一例について説明する。
【0116】
まず、図10及び図11を用いて、動作パターン1について説明する。
【0117】
図10に示すように、動作パターン1においては、疑似停電前の状態で、いずれの蓄電システム30の蓄電池32及び太陽光発電部31も動作していないものとする。また、いずれの燃料電池40の貯湯タンク41も満タンではないものとする。
【0118】
また、購入電力は700Wであるとする。また、第一住宅Haにおいて、負荷Lの消費電力が300Wであり、燃料電池40が100W発電し、200W買電されている。また、第二住宅Hbにおいて、負荷Lの消費電力が800Wであり、燃料電池40が700W発電し、100W買電されている。また、第三住宅Hcにおいて、負荷Lの消費電力が700Wであり、燃料電池40が300W発電し、400W買電されている。
【0119】
このような場合、電力融通処理においては、発電電力が300W以下の燃料電池40として、第一住宅Ha及び第三住宅Hcの燃料電池40の2台(A)がカウントされる(ステップS203で「YES」、ステップS205参照)。そして、購入電力の700Wと、第一住宅Haの燃料電池40の発電電力の100Wと、第三住宅Hcの燃料電池40の発電電力の300Wの合計として、1100W(B)が算出される(ステップS206参照)。
【0120】
そして、1100W(B)が650W(燃料電池40の第二自立運転時の最大出力)で除算されることにより1.69、すなわち小数点以下を切り捨てることにより、疑似停電とする燃料電池40の台数として1台(C)が算出される(ステップS207参照)。
【0121】
ここで、動作パターン1において、疑似停電回数は、第一蓄電システム30aが3回、第三蓄電システム30cが5回であるものとする。
【0122】
この場合、第二自立運転を開始させる優先順位として、第一蓄電システム30aが第三蓄電システム30cよりも高くなる(ステップS209参照)。したがって、図11に示すように、第一住宅Haの燃料電池40が、疑似的な停電状態となって、第二自立運転を開始する(ステップS211参照)。
【0123】
また、疑似停電前において購入電力は燃料電池40の最大出力よりも大きいため(すなわち、燃料電池40が最大出力した発電電力が系統電源S側へ流れないため)、第一住宅Haの燃料電池40は、最大となる650Wの電力をパワコン33に出力する。パワコン33に出力された発電電力は、第一配電線L1を介して下流側へと流れ、電力重要に応じて負荷F(すなわち、自身の住宅Hの負荷F及び他の住宅Hの負荷F)に融通することができる。なお、負荷Lに対して不足する分(150W)は、系統電源Sから購入される。
【0124】
このように、動作パターン1においては、第一住宅Haの燃料電池40が第二自立運転を行うことにより、当該燃料電池40から650W分の発電電力を融通し、住宅街区T全体として550Wの購入電力を削減することができる。
【0125】
次に、図12及び図13を用いて、動作パターン2について説明する。
【0126】
図12に示すように、動作パターン2においては、疑似停電前の状態で、いずれの蓄電システム30の蓄電池32及び太陽光発電部31の動作していないものとする。また、いずれの燃料電池40の貯湯タンク41も満タンではないものとする。
【0127】
また、購入電力は1200Wであるとする。また、第一住宅Haにおいて、負荷Lの消費電力が300Wであり、燃料電池40が100W発電し、200W買電されている。また、第二住宅Hbにおいて、負荷Lの消費電力が1500Wであり、燃料電池40が700W発電し、800W買電されている。また、第三住宅Hcにおいて、負荷Lの消費電力が500Wであり、燃料電池40が300W発電し、200W買電されている。
【0128】
このような場合、電力融通処理においては、発電電力が300W以下の燃料電池40として、第一住宅Ha及び第三住宅Hcの燃料電池40の2台(A)がカウントされる(ステップS203で「YES」、ステップS205参照)。そして、購入電力の1200Wと、第一住宅Haの燃料電池40の発電電力の100Wと、第三住宅Hcの燃料電池40の発電電力の300Wの合計として、1600W(B)が算出される(ステップS206参照)。
【0129】
そして、1600W(B)が650W(燃料電池40の第二自立運転時の最大出力)で除算されることにより2.46、すなわち小数点以下を切り捨てることにより、疑似停電とする燃料電池40の台数として2台(C)が算出される(ステップS207参照)。
【0130】
このようにA=Cであるため、図13に示すように、第一住宅Ha及び第三住宅Hcの2台の燃料電池40が、疑似的な停電状態となって、第二自立運転を開始する(ステップS211参照)。
【0131】
また、疑似停電前において購入電力は2台分の燃料電池40の最大出力よりも大きいため(すなわち、燃料電池40が最大出力した発電電力が系統電源S側へ流れないため)、2台の燃料電池40は、それぞれ最大となる650Wの電力をパワコン33に出力する。パワコン33に出力された発電電力は、第一配電線L1を介して下流側へと流れ、電力重要に応じて負荷F(すなわち、自身の住宅Hの負荷F及び他の住宅Hの負荷F)に融通することができる。なお、負荷Lに対して不足する分(300W)は、系統電源Sから購入される。
【0132】
このように、動作パターン2においては、第一住宅Ha及び第三住宅Hcの2台の燃料電池40が第二自立運転を行うことにより、当該2台の燃料電池40から1300W分の発電電力を融通し、住宅街区T全体として900Wの購入電力を削減することができる。
【0133】
以下では、図7及び図8のフローチャートを用いて、第二の処理(第二の処理の第一実施形態)について説明する。
【0134】
なお、第二の処理とは、住宅街区T内での電力の不足度合いが小さい場合に実行される処理である。
【0135】
ここで、燃料電池40は、上述の如く、例えば貯湯タンク41の湯量が不足している場合に給湯需要があったとしても、負荷Fに供給する電力が僅かである場合には、給湯需要にかかわらず、排熱を用いて湯を製造することができない。この場合、燃料電池40は、給湯需要に対して補助熱源を用いて湯を製造することとなるため、ガス燃料の使用量が増加するおそれがある。そこで、第二の処理においては、(住宅街区T内での電力の不足度合いが小さい場合であっても)所定の条件を満たした場合に、燃料電池40の第二自立運転を活用して当該燃料電池40の発電電力を増加させることにより、電力の融通を図るだけでなく、(補助熱源ではなく)排熱を用いて湯を製造することを目的としている。
【0136】
ステップS301において、制御部70は、上述の如きステップS201と同様の処理を行う。すなわち、制御部70は、(少なくとも1以上の)太陽光発電部31が発電しているか否かを判断する。制御部70は、太陽光発電部31が発電していると判断した場合(ステップS301で「YES」)、第二の処理(電力融通処理)を終了する。制御部70は、太陽光発電部31が発電していないと判断した場合(ステップS301で「NO」)、ステップS302へ移行する。
【0137】
ステップS302において、発電電力が第三の閾値以下の燃料電池40があるか否かを判断する。なお、第三の閾値とは、燃料電池40の発電電力がある程度小さいか否かを判断する基準となる値である。すなわち、発電電力が小さい燃料電池40があれば、例えば当該燃料電池40の発電電力を増加した場合に、増加した分の電力を他の住宅Hに融通できる可能性がある。そこで、第三の閾値を用いて、電力を融通できる可能性を有する燃料電池40があるか否かを判断している。本実施形態においては、第三の閾値として、300Wが用いられる。
【0138】
制御部70は、発電電力が300W以下の燃料電池40があると判断した場合(ステップS302で「YES」)、ステップS303へ移行する。一方、制御部70は、発電電力が300W以下の燃料電池40がないと判断した場合(ステップS302で「NO」)、第二の処理(電力融通処理)を終了する。
【0139】
ステップS303において、制御部70は、ステップS302で判断した発電電力が200W以下の燃料電池40の中に、貯湯量が第四の閾値以下、又は、補助熱源が動作している燃料電池40があるか否かを判断する。なお、第四の閾値とは、貯湯タンク41の貯湯量が不足しているか否かを判断する基準となる値である。本実施形態において、第四の閾値として、満タン時を基準として1/5の値が用いられる。
【0140】
そして、制御部70は、ステップS302で判断した発電電力が200W以下の燃料電池40の中に、貯湯量が第四の閾値以下、又は、補助熱源が動作している燃料電池40があると判断した場合(ステップS303で「YES」)、ステップS304へ移行する。一方、制御部70は、ステップS302で判断した発電電力が200W以下の燃料電池40の中に、貯湯量が第四の閾値以下、及び、補助熱源が動作している燃料電池40がないと判断した場合(ステップS303で「NO」)、第二の処理(電力融通処理)を終了する。
【0141】
ステップS304において、制御部70は、ステップS303で(貯湯量が満タン時の1/5(第四の閾値)以下、又は、補助熱源が動作していると)判断された燃料電池40に対して、疑似的な停電状態とするための指示を行う。こうして、燃料電池40は、疑似的な停電状態となると第二自立運転を開始する。また、制御部70は、対応するパワコン33に対して、逆潮流不可運転を指示する。
【0142】
こうして、燃料電池40は、第二自立運転を開始すると、発電電力を第三配電線L3を介してパワコン33に供給する。パワコン33に供給された発電電力は、例えば負荷Fに対して余剰する場合、蓄電池32に充電される。このように、パワコン33に供給された発電電力は負荷Fに供給されるか、又は、蓄電池32に充電されるため、燃料電池40の発電電力は第二自立運転を開始する前と比較して増加する傾向にある。こうして、燃料電池40は、発電電力を増加させることができたならば、補助熱源を停止させ、発電時に発生する排熱を用いて湯を製造することができる。
【0143】
ステップS305において、制御部70は、対応するパワコン33により発電電力が抑制されている燃料電池40があるか否かを判断する。制御部70は、対応するパワコン33により発電電力が抑制されている燃料電池40があると判断した場合(ステップS305で「YES」)、ステップS306へ移行する。一方、制御部70は、対応するパワコン33により発電電力が抑制されている燃料電池40がないと判断した場合(ステップS305で「NO」)、再びステップS305へ移行する。
【0144】
ステップS306において、制御部70は、ステップS305で(対応するパワコン33により発電電力が抑制されていると)判断された燃料電池40の第二自立運転を停止させる(疑似的な停電状態を解除する)と共に、対応するパワコン33の逆潮流不可運転の指示を解除する。
【0145】
すなわち、上述の如く、燃料電池40が第二自立運転を行う目的は、第二自立運転を開始する前と比較して発電電力を増加させることにより、補助熱源を停止させ、発電時に発生する排熱を用いて湯を製造することにある(ステップS304参照)。しかし、燃料電池40の発電電力が、対応するパワコン33により抑制された場合(ステップS305参照)には、発電時に発生する排熱を用いて湯を製造できなくなるおそれがある。しがたって、このような場合には、燃料電池40の第二自立運転を停止させる(ステップS306参照)。
【0146】
ステップS307において、制御部70は、第二自立運転を行っている(疑似的な停電状態である)燃料電池40があるか否かを判断する。制御部70は、第二自立運転を行っている(疑似的な停電状態である)燃料電池40があると判断した場合(ステップS307で「YES」)、再びステップS305へ移行する。一方、制御部70は、第二自立運転を行っている(疑似的な停電状態である)燃料電池40がないと判断した場合(ステップS307で「NO」)、第二の処理(電力融通処理)を終了する。
【0147】
このように、第一実施形態に係る第二の処理においては、例えば補助熱源を用いて湯を製造している燃料電池40があった場合等は、燃料電池40の第二自立運転を活用して当該燃料電池40の発電電力を増加させることにより、補助熱源ではなく、排熱を用いて湯を製造することができる。
【0148】
以下では、図9のフローチャートを用いて、第二の処理(第二の処理の第二実施形態)について説明する。
【0149】
第二の処理の第二実施形態において第一実施形態と異なる点は、ステップS401からステップS405の処理が追加された点である。以下では、第二の処理の第二実施形態において第一実施形態と異なる点(ステップS401からステップS405の処理)について説明を行い、第一実施形態と同一の点については説明を省略する。
【0150】
ステップS305において、制御部70は、対応するパワコン33により発電電力が抑制されている燃料電池40があると判断した場合(ステップS305で「YES」)、ステップS401へ移行する。
【0151】
ステップS401において、制御部70は、他の蓄電池32(対応するパワコン33以外の他のパワコン33と接続された蓄電池32)に満充電ではなく停止しているものがあるか否かを判断する。制御部70は、他の蓄電池32に満充電ではなく停止しているものがあると判断した場合(ステップS401で「YES」)、ステップS402へ移行する。一方、制御部70は、他の蓄電池32に満充電ではなく停止しているものがないと判断した場合(ステップS401で「NO」)、ステップS306へ移行する。
【0152】
ステップS402において、制御部70は、ステップS305で(対応するパワコン33により発電電力が抑制されていると)判断された燃料電池40における、抑制されている発電量を算出する。なお以下では、算出した発電量をDとする。制御部70は、ステップS402の処理の後、ステップS403へ移行する。
【0153】
ステップS403において、制御部70は、ステップS401で(満充電ではなく停止しているものがあると)判断された他の蓄電池32のうち、充電残量の最も少ない蓄電池32に対してDだけ充電指示を行う。
【0154】
これにより、例えば対応するパワコン33に対して、充電指示を行った他の蓄電池32が下流側に配置されていた場合には、前記対応するパワコン33よりも下流側において電力需要が増加することとなる。すなわち、前記対応するパワコン33が、燃料電池40の発電電力を抑制しなくとも、当該燃料電池40の発電電力は系統電源S側(上流側)へ流れるのではなく、下流側へ流れることとなる。
【0155】
こうして、充電指示を行った蓄電池32は、充電指示を行わなかった場合には抑制されていた他の住宅Hの燃料電池40の発電電力を充電することができる。また、第一実施形態とは異なり、燃料電池40の発電電力が、対応するパワコン33により抑制された結果、当該燃料電池40の第二自立運転を停止されること(ステップS305で「YES」、ステップS306)を、抑制することができる。
【0156】
制御部70は、ステップS403の処理の後、ステップS404へ移行する。
【0157】
ステップS404において、制御部70は、500W(第一の閾値)以上の購入電力が発生しているか否かを判断する。制御部70は。500W(第一の閾値)以上の購入電力が発生していると判断した場合(ステップS404で「YES」)、ステップS405へ移行する。一方、制御部70は、500W(第一の閾値)以上の購入電力が発生していないと判断した場合(ステップS404で「NO」)、再びステップS305へ移行する。
【0158】
ステップS405において、制御部70は、全ての対応する燃料電池40の第二自立運転を停止させる(疑似的な停電状態を解除する)と共に、パワコン33の逆潮流不可運転の指示を解除する。制御部70は、ステップS405の処理の後、第二の処理(電力融通処理)を終了する。
【0159】
このように、第二実施形態に係る第二の処理においては、第一実施形態と同様の効果を得られる他、ある住宅Hの(充電指示を行った)蓄電池32は、充電指示を行わなかった場合には抑制されていた他の住宅Hの燃料電池40の発電電力を充電することができる。また、第一実施形態とは異なり、燃料電池40の発電電力が、対応するパワコン33により抑制された結果、当該燃料電池40の第二自立運転を停止されることを、抑制することができる。
【0160】
以下では、図14から図18を用いて、第二の処理に関する具体的な動作パターンの一例について説明する。
【0161】
まず、図14及び図15を用いて、動作パターン3について説明する。
【0162】
なお、動作パターン3は、第一実施形態に係る第二の処理に関する具体的な動作パターンの一例を示すものである。
【0163】
図14に示すように、動作パターン3においては、疑似停電前の状態で、いずれの蓄電システム30の蓄電池32及び太陽光発電部31も動作していないものとする。また、いずれの燃料電池40の貯湯タンク41も満タンではないものとする。
【0164】
また、購入電力は200Wであるとする。また、第一住宅Haにおいて、負荷Lの消費電力が400Wであり、燃料電池40が350W発電し、50W買電されている。また、第二住宅Hbにおいて、負荷Lの消費電力が750Wであり、燃料電池40が700W発電し、50W買電されている。また、第三住宅Hcにおいて、負荷Lの消費電力が100Wであり、燃料電池40が0W発電し、100W買電されている。
【0165】
また、第二住宅Hbにおいては、燃料電池40の排熱が利用されて湯が製造されているものとする。また、第三住宅Hcにおいては、燃料電池40の発電電力がないため排熱が利用されず、補助熱源を用いて湯が製造されているものとする。
【0166】
このような場合、電力融通処理においては、発電電力が300W以下である、第三住宅Hcの燃料電池40において補助熱源が動作されているため、図15に示すように、当該燃料電池40が、疑似的な停電状態となって、第二自立運転を開始する(ステップS302で「YES」、ステップS303で「YES」、ステップS304参照)。
【0167】
なお、疑似停電前において購入電力は燃料電池40の最大出力よりも小さい(すなわち、燃料電池40が最大出力した発電電力が系統電源S側へ流れる可能性があるため)、第三蓄電システム30cの蓄電池32が燃料電池40の発電電力を充電する。具体的には、第一配電線L1を介して下流側へと流れる分(200W)に対して余剰する分、すなわち蓄電池32は450Wの電力を充電する。こうして、第三住宅Hcの燃料電池40は、最大となる650Wの電力をパワコン33に出力することができる。
【0168】
このように、動作パターン3においては、第三住宅Hcの燃料電池40は発電電力を増加させることができる。すなわち、第三住宅Hcの燃料電池40の発電電力を融通させることができると共に、当該第三住宅Hcの燃料電池40において、補助熱源を停止し、排熱を用いて湯を製造することができる。
【0169】
次に、図16から図18を用いて、動作パターン4について説明する。
【0170】
なお、動作パターン4は、第二実施形態に係る第二の処理に関する具体的な動作パターンの一例を示すものである。
【0171】
図16に示すように、動作パターン4においては、疑似停電前の状態で、いずれの蓄電システム30の蓄電池32及び太陽光発電部31の動作していないものとする。また、いずれの燃料電池40の貯湯タンク41も満タンではないものとする。ただし、第三蓄電システム30cの蓄電池32は満充電であるとする。また、第一蓄電システム30aの蓄電池32は、満充電ではなく停止しているものとする。
【0172】
また、購入電力は200Wであるとする。また、第一住宅Haにおいて、負荷Lの消費電力が400Wであり、燃料電池40が350W発電し、50W買電されている。また、第二住宅Hbにおいて、負荷Lの消費電力が750Wであり、燃料電池40が700W発電し、50W買電されている。また、第三住宅Hcにおいて、負荷Lの消費電力が100Wであり、燃料電池40が0W発電し、100W買電されている。
【0173】
また、第二住宅Hbにおいては、燃料電池40の排熱が利用されて湯が製造されているものとする。また、第三住宅Hcにおいては、燃料電池40の発電電力がないため排熱が利用されず、補助熱源を用いて湯が製造されているものとする。
【0174】
このような場合、電力融通処理においては、発電電力が300W以下である、第三住宅Hcの燃料電池40において補助熱源が動作されているため、図17に示すように、当該燃料電池40が、疑似的な停電状態となって、第二自立運転を開始する(ステップS302で「YES」、ステップS303で「YES」、ステップS304参照)。
【0175】
なお、疑似停電前において購入電力は燃料電池40の最大出力よりも小さい(すなわち、燃料電池40が最大出力した発電電力が系統電源S側へ流れる可能性がある)が、動作パターン3とは異なり、第三蓄電システム30cの蓄電池32は満充電であるため、燃料電池40の発電電力を充電することができない。そこで、パワコン33には逆潮流不可運転の指示が行われているため(ステップS304参照)、当該パワコン33は燃料電池40の発電電力が系統電源S側へ流れないように、当該燃料電池40の発電電力を抑制していく。具体的には、第三住宅Hcの燃料電池40は、発電電力を200Wまで抑制される。
【0176】
こうして、第三住宅Hcの燃料電池40は、発電電力を200Wまで抑制されたものの、疑似停電前と比較して発電電力を増加させることができる。すなわち、第三住宅Hcの燃料電池40の発電電力を融通させることができると共に、当該第三住宅Hcの燃料電池40において、補助熱源を停止し、排熱を用いて湯を製造することができる。
【0177】
ここで、第一蓄電システム30aの蓄電池32は、満充電ではなく停止している。すなわち、電力融通処理においては、発電抑制する第三蓄電システム30cのパワコン33があり(ステップS305で「YES」参照)、満充電ではなく停止している第一蓄電システム30aの蓄電池32があるため(ステップS401で「YES」参照)、抑制されている発電量として450W(D)が算出される(ステップS402参照)。
【0178】
この場合、充電残量の最も少ない蓄電池32(ここでは、第一蓄電システム30aの蓄電池32であるとする)に、450Wの充電指示が行われる(ステップS403)。その結果、図18に示すように、負荷Lに供給される分(200W)と、第一蓄電システム30aの蓄電池32に充電される分(450W)とを合わせた電力を、第三住宅Hcの燃料電池40はパワコン33に出力する。すなわち、第三住宅Hcの燃料電池40は、最大出力である650Wの電力をパワコン33に出力することができる。
【0179】
このように、動作パターン4においては、発電抑制するのではなく他の蓄電池32に充電指示を行うことにより、第二自立運転を行う燃料電池40を最大出力とすることができる。すなわち、燃料電池40の発電電力を効率よく活用することができる。
【0180】
以上のように、本実施形態(具体的には、電力融通処理の第一の処理)に係る電力融通システム1は、
負荷F(電力負荷)を有する複数の住宅Hの間で電力を融通させる電力融通システムであって、
前記複数の住宅Hの負荷Fと第一配電線L1(第一の配電線)を介して接続されるパワコン33と、
前記複数の住宅Hにそれぞれ設けられ、通常時に、対応する負荷Fと第二配電線L2(第二の配電線)を介して接続された発電可能な燃料電池40と、
電力の融通に関する電力融通処理を実行可能な制御部70と、
を具備し、
前記燃料電池40は、
停電が発生した場合に、自立運転可能であって、かつ、前記第二配電線L2を介した接続が解除されると共に前記パワコン33と第三配電線L3(第三の配電線)を介して接続され、
前記制御部70は、
前記燃料電池40を疑似的な停電状態とすることにより、前記自立運転(第二自立運転)による発電電力を前記第三配電線L3から前記パワコン33を介して前記第一配電線L1に出力させるものである(ステップS210等参照)。
【0181】
このような構成により、燃料電池40の発電電力を複数の住宅Hの間で好適に融通させることができる。
すなわち、燃料電池40は、疑似的な停電状態となると第二自立運転を開始し、第一配電線L1へと出力される。そして、第一配電線L1へと出力された燃料電池40の発電電力は、当該第一配電線L1を介して下流側へと流れ、電力重要に応じて負荷F(すなわち、自身の住宅Hの負荷F及び他の住宅Hの負荷F)に供給される。すなわち、燃料電池40の発電電力を、他の住宅Hに融通することができる。
【0182】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
通常時において前記発電電力が第一の閾値よりも大きい前記燃料電池40を疑似的な停電状態とせず、前記発電電力が前記第一の閾値以下の前記燃料電池40を疑似的な停電状態とするものである(ステップS203等参照)。
【0183】
このような構成により、燃料電池40の発電電力を複数の住宅Hの間でより好適に融通させることができる。
すなわち、例えば住宅街区T内で多くの電力が不足しており、燃料電池40の発電電力の融通を行う必要性が高いと想定される場合に、燃料電池40の発電電力を、他の住宅Hに融通することができる。
【0184】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
系統電源Sから前記複数の住宅Hの負荷Fに供給される電力と、前記発電電力が第一の閾値以下の燃料電池40の総発電量と、に基づいて、
複数の燃料電池40のうち、疑似的な停電状態とする燃料電池40の台数を決定するものである(ステップS206、ステップS207等参照)。
【0185】
このような構成により、燃料電池40の発電電力を複数の住宅Hの間でより好適に融通させることができる。
すなわち、適切な数の燃料電池40の発電電力を融通することができる。
【0186】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
過去の疑似的な停電状態とした回数に応じて、複数の燃料電池40のうち優先して疑似的な停電状態とする燃料電池40を選択する(ステップS209等参照)。
【0187】
このような構成により、他の燃料電池40と比較して過剰に疑似的な停電状態となる燃料電池40がないため、複数の燃料電池40間の公平性を図ることができる。
【0188】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
前記自立運転による前記燃料電池40の発電電力が前記第一配電線L1を系統電源S側へ流れるのを規制するものである(ステップS211等参照)。
【0189】
このような構成により、燃料電池40の発電電力が系統電源Sへ流れるのを抑制することができる。
【0190】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
前記自立運転による前記燃料電池40の発電電力を抑制させる逆潮流不可運転(抑制運転)を前記パワコン33に実行させることにより、前記発電電力が前記第一配電線L1を系統電源S側へ流れるのを規制するものである(ステップS211等参照)。
【0191】
このような構成により、燃料電池40の発電電力が系統電源Sへ流れるのを抑制することができる。
【0192】
また、電力融通システム1において、
前記パワコン33は電力を充放電可能な蓄電池32に接続され、
前記制御部70は、
前記蓄電池32が充電を実行した場合、前記蓄電池32に対応する前記燃料電池40の疑似的な停電状態を解除するものである(ステップS212、ステップS213等参照)。
【0193】
このような構成により、燃料電池40の発電電力を複数の住宅Hの間でより好適に融通させることができる。
すなわち、第二自立運転により燃料電池40の発電電力を融通する必要性が低くなったと想定される場合に、燃料電池40の第二自立運転を停止させることができる。
【0194】
また、以上のように、本実施形態(具体的には、電力融通処理の第二の処理)に係る電力融通システム1は、
負荷Fを有する複数の住宅Hの間で電力を融通させる電力融通システムであって、
前記複数の住宅Hの負荷Fと第一配電線L1を介して接続されるパワコン33と、
前記複数の住宅Hにそれぞれ設けられ、通常時に、対応する負荷Fと第二配電線L2を介して接続された発電可能な燃料電池40と、
電力の融通に関する電力融通処理を実行可能な制御部70と、
を具備し、
前記燃料電池40は、
発電電力の大きさに応じて、発電時に発生する排熱又は補助熱源を用いて湯を製造することが可能であり、
停電が発生した場合に、自立運転可能であって、かつ、前記第一配電線L1を介した接続が解除されると共に前記パワコン33と第三配電線L3を介して接続され、
前記制御部70は、
通常時において前記燃料電池40が前記補助熱源を用いて湯を製造している場合、
前記燃料電池40を疑似的な停電状態とすることにより、前記自立運転(第二自立運転)による発電電力を前記第三配電線L3に出力させることにより、
前記燃料電池40の発電電力を増加させ、前記補助熱源ではなく前記排熱を用いて湯を製造させるものである。
【0195】
このような構成により、燃料電池40の発電電力を、湯の製造を考慮しつつ複数の住宅Hの間で好適に融通させることができる。
すなわち、例えば補助熱源を用いて湯を製造している燃料電池40があった場合は、燃料電池40の第二自立運転を活用して当該燃料電池40の発電電力を増加させることにより、補助熱源ではなく、排熱を用いて湯を製造することができる。また、第二自立運転により発電された電力は、他の住宅Hに融通することができる。
【0196】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
通常時において、製造された湯の貯湯量が所定量(1/5)以下である場合、
前記湯を製造せずに発電している燃料電池40を疑似的な停電状態とするものである(ステップS303等参照)。
【0197】
このような構成により、今後給湯需要が発生した場合に、貯湯タンク41の貯湯量がすぐにカラとなり、給湯ができなくなるのを抑制することができる。
【0198】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
前記自立運転による前記燃料電池40の発電電力が前記第一配電線L1を系統電源S側へ流れるのを規制するものである(ステップS304等参照)。
【0199】
このような構成により、燃料電池40の発電電力が系統電源Sへ流れるのを抑制することができる。
【0200】
また、電力融通システム1において、
前記パワコン33(パワーコンディショナ)には、電力を充放電可能な蓄電池32が接続され、
前記制御部70は、
前記パワコン33(パワーコンディショナ)を介して前記燃料電池40の発電電力を前記蓄電池32に充電させることにより、前記自立運転による前記燃料電池40の発電電力が前記第一配電線L1を系統電源S側へ流れるのを規制するものである(ステップS304等参照)。
【0201】
このような構成により、燃料電池40の発電電力が系統電源Sへ流れるのを抑制することができる。
【0202】
また、電力融通システム1において、
前記蓄電池32及び前記蓄電池32が接続された前記パワコン33は複数組設けられ、
前記制御部70は、
一の前記パワコン33(パワーコンディショナ)に接続された蓄電池32が前記燃料電池40の発電電力を充電できない場合、充電できない分の電力を他の前記パワコン33(パワーコンディショナ)に接続された蓄電池32に充電させるものである(ステップS403等参照)、
【0203】
このような構成により、第二自立運転による燃料電池40の発電電力を、無駄に抑制するのではなく充電することにより、必要に応じたタイミングで使用することができる。
【0204】
また、電力融通システム1において、
前記制御部70は、
通常時において前記発電電力が第一の閾値よりも大きい前記燃料電池40を疑似的な停電状態とせず、前記発電電力が前記第一の閾値以下の前記燃料電池40を疑似的な停電状態とするものである(ステップS302等参照)。
【0205】
このような構成により、燃料電池40の発電電力を複数の住宅Hの間でより好適に融通させることができる。
すなわち、例えば住宅街区T内で多くの電力が不足しており、燃料電池40の発電電力の融通を行う必要性が高いと想定される場合に、燃料電池40の発電電力を、他の住宅Hに融通することができる。
【0206】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0207】
例えば、本実施形態において、住宅街区Tに設けられる建物は住宅に限定するものではなく、工場やマンション、病院等の任意の場所であってもよい。また、住宅街区Tが有する住宅は3つに限るものではなく、任意の戸数の住宅を設けることが可能である。
【0208】
また、燃料電池40は、PEFCにより構成されるものとしたが、これに限定するものではない。燃料電池40は、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)により構成されるものであってもよい。
【0209】
また、燃料電池40は、その仕様のため、発電電力がない場合に排熱を用いて湯を製造することができないとしたが、燃料電池40の仕様はこれに限定するものではない。
【0210】
なお、パワコン33が逆潮流不可運転を行うことにより、第二自立運転時の燃料電池40の発電電力を減少させるものとしたが、第二自立運転時の燃料電池40の発電電力を減(抑制)少させる手段はこれに限定されない。例えば、制御部70が、燃料電池40に直接的に指示することにより、燃料電池40の発電電力を減少させてもよい。
【0211】
また、電力融通処理における、第一の閾値、第二の閾値、第三の閾値及び第四の閾値は本実施形態に係る値に限定するものではなく、その意図に沿う値であれば、任意の値を採用することができる。
【符号の説明】
【0212】
1 電力融通システム
33 パワコン
40 燃料電池
70 制御部
L1 第一配電線
L2 第二配電線
L3 第三配電線
S 系統電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18