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特許7303763排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
F02B39/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020033157
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134755
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】磯田 北斗
(72)【発明者】
【氏名】平谷 文人
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-076623(JP,U)
【文献】特表2007-528955(JP,A)
【文献】特開2018-003619(JP,A)
【文献】特開2012-177357(JP,A)
【文献】実開昭62-071339(JP,U)
【文献】米国特許第10422344(US,B1)
【文献】特開昭55-101728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0361985(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0252211(US,A1)
【文献】特表2016-500416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245119(US,A1)
【文献】特表2017-520716(JP,A)
【文献】特開平09-264106(JP,A)
【文献】国際公開第2021/214928(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向外側から流入した排ガスで駆動されるタービンの排気ディフューザであって、
前記タービンのタービンホイールの回転軸線との距離が下流に向かうにつれて大きくなるテーパ部を含むディフューザ本体と、
前記ディフューザ本体の内周面から内側に突出する少なくとも一つのガイドベーンと、
を備え、
前記少なくとも一つのガイドベーンは、前記ディフューザ本体の入口側から出口側に向かって延在するとともに、前記少なくとも一つのガイドベーンの後端部が前端部に対して前記タービンホイールの回転方向の一方向側と反対の他方向側に位置するように構成された、
排気ディフューザ。
【請求項2】
前記ディフューザ本体は、
前記テーパ部の前記回転軸線に対する拡径角度をθと定義した場合に、
15°≦θ≦25°を満たす、
請求項1に記載の排気ディフューザ。
【請求項3】
前記少なくとも一つのガイドベーンの翼高さをH、
前記ディフューザ本体の前記入口の直径をD、と定義した場合に、
0.05D≦H≦0.20Dの関係を満たす、
請求項1又は2に記載の排気ディフューザ。
【請求項4】
前記少なくとも一つのガイドベーンは、
前記一方向側に配向された一面が、前記一方向側に凸の凸曲面状に形成され、前記他方向側に配向された他面が前記一方向側に凹の凹曲面状に形成されている、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の排気ディフューザ。
【請求項5】
前記少なくとも一つのガイドベーンは、翼型で形成されている、
請求項4に記載の排気ディフューザ。
【請求項6】
前記少なくとも一つのガイドベーンは、第1のガイドベーンと、前記第1のガイドベーンに対して前記タービンホイールの周方向に沿って間隔を空けて配置される第2のガイドベーンと、前記第2のガイドベーンに対して前記周方向に沿って間隔を空けて配置される第3のガイドベーンと、を含み、
前記第1のガイドベーンと前記第2のガイドベーンとの間隔は、前記第2のガイドベーンと前記第3のガイドベーンとの間隔と異なるように構成された、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の排気ディフューザ。
【請求項7】
前記ディフューザ本体は、前記テーパ部から上流に向かって延在する直線部をさらに含み、
前記少なくとも一つのガイドベーンの前記前端部は、前記直線部に配置されている、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の排気ディフューザ。
【請求項8】
前記少なくとも一つのガイドベーンは、
前記一方向側に配向された一面と前記他方向側に配向された他面とを繋ぐ前端面が凸曲面状に形成されている、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の排気ディフューザ。
【請求項9】
前記タービンホイールを収容するとともに、前記タービンホイールの周囲にスクロール流路を形成するスクロール本体と、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の排気ディフューザと、を備える、
タービンハウジング。
【請求項10】
エンジンから排出された排ガスで駆動されるタービンであって、請求項9に記載のタービンハウジングを含むタービンと、
前記タービンに同軸で連結し、回転とともに圧縮した空気を前記エンジンに供給するためのコンプレッサと、を備える、
過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、舶用ディーゼルエンジンンなどに搭載される過給機は、エンジンから排気された排ガスでタービンのタービンホイールを回転駆動させ、タービンホイールに同軸で連結したコンプレッサを回転させ、コンプレッサで圧縮した圧縮空気をエンジンに送り込むように構成されている。また、タービンホイールの動翼から出た排ガスは排気ディフューザを通って外部に排出される。
【0003】
排気ディフューザは、例えば、タービンホイール側で流入口側の前端部から排出口側の後端部に向かうに従い漸次径が大となり、内部の流路面積が漸次拡大する略円錐状の排気流路を備えて形成されている。すなわち、排気ディフューザは、前端部から後端部に向けて拡径した排気流路を備えることにより、流入口から入った排ガスの流れをスムーズに減速させ、その圧力を低下させる圧力回復性能を発揮し、圧力回復を行った排ガスを外部に排出できるように構成されている。
【0004】
また、舶用ディーゼルエンジンンに搭載される過給機などでは、タービンホイールを収容するタービンハウジングによって、タービンホイールに排ガスを供給するスクロール流路やノズル流路などの排ガス供給流路や、タービンホイールから出た排ガスを排出する排気流路、すなわち、排気ディフューザを形成されている。
【0005】
一方、この種の排気ディフューザは、軸線に対するディフューザ壁面(排気ディフューザの排気流路を形成する内周面)の開き角、言い換えれば、排気流路の拡径角度を大きくするほど、圧力回復性能を高めることができ得る。しかし、実際には、開き角を大きくし過ぎると、排ガスの流れがディフューザ壁面から剥がれる剥離現象が発生し、これに伴い、排気流路内の排ガスの流れに渦流などの乱流が発生して、効率的且つ効果的に圧力回復が図れなくなる。すなわち、逆に圧力回復性能の低下を招くことになってしまう。
【0006】
これに対し、特許文献1には、ディフューザ壁面から軸線中心の径方向内側に突出し、軸線に沿って前端部側から後端部側に真っ直ぐに延在するガイドベーン(The diswirl ribs50)を、周方向に所定の間隔をあけて複数設けて構成した排気ディフューザ及びターボチャージャが開示されている。
この排気ディフューザ及びターボチャージャにおいては、タービンホイールから出た排ガスの旋回流を複数のガイドベーンによって軸線方向に導くことができ、排ガスの流れがディフューザ壁面から剥離することを抑制でき得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第10422344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、本願の発明者は、鋭意研究を重ね、エンジンの負荷状態などの諸条件によって排気ディフューザの流入口から流入する排ガスの旋回方向に変化が生じることを見出した。特に、エンジンの高負荷時に、軸線周りの一方向に回転するタービンホイールから出た排ガスの旋回流の旋回方向がタービンホイールの回転方向の一方向と逆の他方向を向くケースがあることを知見として得た。
【0009】
これに対し、特許文献1の排気ディフューザにおいては、ガイドベーンが軸線方向に沿って真っ直ぐに延在している。このため、特に、エンジンの高負荷時に、タービンホイールから出た高速、高圧力で大流量の排ガスの旋回流がガイドベーンにあたって大きく乱れ、ガイドベーンの周囲だけでなく、ガイドベーンの径方向内側、ガイドベーンの後端部よりも後方側にも乱流が発生し、排ガスの剥離、排気ディフューザの有効流路面積の減少などによってエンジンの高負荷時の圧力回復性能が大きく低下するという問題があった。
【0010】
すなわち、特許文献1の排気ディフューザにおいては、特に、エンジンの高負荷時において、軸線方向に沿って真っ直ぐ延びるガイドベーンを備えるが故にポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉が発生し、圧力回復性能の著しい低下を招くという不都合があった。
したがって、特許文献1の排気ディフューザにおいても、やはり排気ディフューザの開き角を大きくすることは難しい。
【0011】
本開示は、上記事情に鑑み、開き角が大きい場合であっても、排ガスの流れに剥離などが生じることを抑え、効率的且つ効果的で、好適に圧力回復性能を向上できる排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の排気ディフューザの一態様は、径方向外側から流入した排ガスで駆動されるタービンの排気ディフューザであって、前記タービンのタービンホイールの回転軸線との距離が下流に向かうにつれて大きくなるテーパ部を含むディフューザ本体と、前記ディフューザ本体の内周面から内側に突出する少なくとも一つのガイドベーンと、を備え、前記少なくとも一つのガイドベーンは、前記ディフューザ本体の入口側から出口側に向かって延在するとともに、前記少なくとも一つのガイドベーンの後端部が前端部に対して前記タービンホイールの回転方向の一方向側と反対の他方向側に位置するように構成されている。
【0013】
本開示のタービンハウジングの一態様は、前記タービンホイールを収容するとともに、前記タービンホイールの周囲にスクロール流路を形成するスクロール本体と、上記の排気ディフューザと、を備える。
【0014】
本開示の過給機の一態様は、エンジンから排出された排ガスで駆動されるタービンであって、上記のタービンハウジングを含むタービンと、前記タービンに同軸で連結し、回転とともに圧縮した空気を前記エンジンに供給するためのコンプレッサと、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示の排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機によれば、排気ディフューザの開き角/拡径角度が大きい場合であっても、排ガスの流れに剥離などが生じることを抑え、圧力回復性能の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態、第2実施形態の過給機、タービンハウジング、排気ディフューザを示す図である。
図2図1のS2部を示す拡大図であり、第1実施形態、第2実施形態の排気ディフューザのガイドベーンを示す図である。
図3図1のX1-X1線矢視図であり、第1実施形態の排気ディフューザを出口側から軸線方向に見た図である。
図4図1のS1部を軸線位置から軸線周りに順に見ていった時の第1実施形態の排気ディフューザの内周面の投影平面図であり、複数のガイドベーンの相対位置、向き(相対角度)などの状態を示す図である。
図5図1のX2-X2線矢視図であり、第1実施形態の排気ディフューザの断面図である。
図6】第1実施形態の排気ディフューザのガイドベーンを示す拡大図である。
図7】第1実施形態の排気ディフューザのガイドベーンの変更例を示す拡大図である。
図8図1のX1-X1線矢視図、且つ第1実施形態の排気ディフューザの変更例を示す図であり、排気ディフューザを出口側から軸線方向に見た図である。
図9図1のS1部を軸線位置から軸線周りに順に見ていった時の図8の排気ディフューザの内周面の投影平面図であり、複数のガイドベーンの相対位置、向き(相対角度)などの状態を示す図である。
図10図1のX1-X1線矢視図、且つ第1実施形態の排気ディフューザの変更例を示す図であり、排気ディフューザを出口側から軸線方向に見た図である。
図11図1のS1部を軸線位置から軸線周りに順に見ていった時の図10の排気ディフューザの内周面の投影平面図であり、複数のガイドベーンの相対位置、向き(相対角度)などの状態を示す図である。
図12図1のX1-X1線矢視図であり、第2実施形態の排気ディフューザを出口側から軸線方向に見た図である。
図13図1のS1部を軸線位置から軸線周りに順に見ていった時の第2実施形態の排気ディフューザの内周面の投影平面図であり、複数のガイドベーンの相対位置、向き(相対角度)などの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、図1から図11を参照し、第1実施形態に係る排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機について説明する。
【0018】
(過給機)
本実施形態の過給機1は、例えば、図1に示すように、舶用ディーゼルエンジンなどのエンジンから送られた排ガスGのエネルギーでタービン2のタービンホイール3を軸線(回転軸線)O1周りに回転させ、これとともにタービンホイール3に同軸で連結した回転軸4、さらに回転軸4に同軸で連結したコンプレッサ5のコンプレッサホイール6を回転させ、コンプレッサホイール6で空気Aを吸入して圧縮し、圧縮空気A’をエンジンに供給するように構成されている。
【0019】
より具体的に、本実施形態の過給機1は、図1に示すように、タービン2と、回転軸4と、コンプレッサ5と、を備えている。なお、図1中の符号7はコンプレッサ5で生じる音を低減するためのサイレンサである。
【0020】
(コンプレッサ)
コンプレッサ5は、軸受台に回転可能に軸支された回転軸4の一端側に同軸で連結して設けられたコンプレッサホイール6と、コンプレッサホイール6を収容するコンプレッサハウジング8と、備えて構成されている。
【0021】
コンプレッサホイール6は、回転軸4に同軸で連結して設けられる略円錐台状のコンプレッサハブ9と、コンプレッサハブ9の外周面から軸線O1心の径方向外側に延在するコンプレッサ動翼10と、を備えている。なお、図1では、コンプレッサ動翼10として、短翼10aと長翼10bの2種の動翼を備えた形で図示している。
【0022】
コンプレッサホイール6の軸線O1方向前方側、すなわち、空気Aの吸入口11側には、コンプレッサホイール6の回転とともに空気Aを吸入してコンプレッサホイール6に給送するための吸入流路R1が設けられている。
【0023】
また、コンプレッサホイール6の軸線O1中心の径方向外側には、コンプレッサホイール6から出た圧縮空気A’を受け入れてエンジンに給送するための圧縮空気供給流路R2が設けられている。
【0024】
そして、本実施形態の過給機1では、これら吸入流路R1と圧縮空気供給流路R2とがコンプレッサホイール6を収容するコンプレッサハウジング8によって形成されている。
【0025】
(タービン/タービンハウジング)
タービン2は、回転軸4の他端側に同軸で連結して設けられたタービンホイール3と、タービンホイール3を収容するタービンハウジング12と、備えて構成されている。
【0026】
タービンホイール3は、回転軸4に同軸で連結して設けられる略円錐台状のタービンハブ15と、タービンハブ15の外周面から軸線O1中心の径方向外側に延在するタービン動翼16と、を備えている。
【0027】
タービンホイール3の径方向外側には、タービンホイール3の周囲に設けられ、エンジンから排出された排ガスGをタービンホイール3に給送するためのスクロール流路r3、ノズル流路r4などを有する排ガス供給流路R3を構成するスクロール本体17が設けられている。
【0028】
また、タービンホイール3の軸線O1方向後方側には、タービンホイール3と同軸で、タービンホイール3のタービン動翼16の出口から出た排ガスGを受け入れて外部に排出するための排気流路R4を構成する排気ディフューザ18が設けられている。
【0029】
そして、本実施形態の過給機1では、これら排ガス供給流路R3を構成するスクロール本体17と排気流路R4を構成する排気ディフューザ18とがタービンホイール3を収容するタービンハウジング12によって形成されている。
【0030】
このように構成した過給機1では、排ガス供給流路R3を流れ、径方向外側から流入した排ガスGのエネルギーによってタービンホイール3が回転駆動し、このタービンホイール3の回転によって回転軸4及びコンプレッサホイール6が回転駆動する。コンプレッサホイール6の回転によって空気Aが吸入されて圧縮され、圧縮空気供給流路R2を通じて圧縮空気A’がエンジンに供給される。また、タービンホイール3を回転駆動させた後の排ガスGは、排気ディフューザ18を流れて圧力回復され、外部に排出される。
【0031】
(排気ディフューザ)
一方、本実施形態の排気ディフューザ18は、図1図2図3図4図5に示すように、タービンホイール3の軸線(回転軸線)O1との径方向の距離が排ガスGの流れ方向下流に向かうにつれて大きくなるテーパ部(拡径部)20を有するディフューザ本体21と、ディフューザ本体21の内周面(以下、ディフューザ壁面というときもある)22から軸線O1側の内側に突出するガイドベーン23と、を備えて構成されている。
【0032】
ここで、本実施形態において、ガイドベーン23は、例えば、排気ディフューザ18の図1のS1部で示す部位の範囲内に設けられている。図2は、図1のS2部を示す拡大図である。図3は、図1のX1-X1線矢視図であり、排気ディフューザ18の排出口24側から軸線O1方向に見た図である。図4は、図1のS1部を軸線O1位置から軸線O1周りに順に見ていった時の排気ディフューザ18の内周面22の投影平面図であり、複数のガイドベーン23の相対位置、向き(相対角度)などの状態を示す図である。図5は、図1のX2-X2線矢視図であり、図1のS1部の断面図である。
【0033】
ディフューザ本体21のテーパ部20は、その内部の排気流路R4が軸線O1方向に沿う排ガスGの流れ方向下流に向かうに従い漸次径が大となる円錐台状の空間として形成されている。
【0034】
また、図2に示すように、本実施形態では、ディフューザ本体21が、テーパ部20の軸線O1に対する拡径角度(開き角)をθ1と定義した場合に、15°≦θ1≦25°を満たすように形成されている。すなわち、本実施形態の排気ディフューザ18においては、ディフューザ本体21が大きな拡径角度θ1をもって形成されている。
【0035】
なお、テーパ部20は、排ガスGの流れ方向下流に向かうにつれて径方向の距離が大きくなればよく、例えば、略ラッパ状に形成されていてもよい。この場合には、ラッパ状の最大傾斜角度を本開示における拡径角度θ1とすればよい。
【0036】
また、本実施形態の排気ディフューザ18は、15°≦θ1≦25°を満たすように形成されていることが好ましいが、必ずしも15°≦θ1≦25°を満たすように形成されていなくても構わない。
【0037】
本実施形態のガイドベーン23は、図2図3図4図5に示すように、ディフューザ本体21の排ガスGの入口側から出口(排出口24)側に向かって延在するとともに、ガイドベーン23の後端部(後縁部)23bが前端部(前縁部)23aに対してタービンホイール3の回転方向の一方向T1側と反対の他方向T2側に位置するように、軸線O1方向に対して斜めに延設して構成されている。
【0038】
言い換えれば、本願の発明者による鋭意研究によって得られた「エンジンの高負荷時に、軸線O1周りの一方向T1に回転するタービンホイール3から出た排ガスGの旋回流Mの旋回方向がタービンホイール3の回転方向の一方向T1と逆の他方向T2を向く。(図3参照)」という知見に基づき、本実施形態のガイドベーン23は、ディフューザ壁面22から内側に突出するとともに、高負荷時にタービンホイール3から排出される排ガスGの旋回流Mの旋回方向に合わせ、前端部23aから後端部23bに向かうにつれてタービンホイール3の回転方向の一方向T1側と反対の他方向T2側に向かい、軸線O1方向に対して斜めに延設されている。
【0039】
本実施形態の排気ディフューザ18においては、同形同大の複数のガイドベーン23が軸線O1中心の周方向に所定の間隔をあけて等間隔で並設されている。
【0040】
また、本実施形態では、図1図2図4図6に示すように、ディフューザ本体21がテーパ部20から上流に向かって延在する直線部(円筒部)25を備え、ガイドベーン23はその前端部23aを直線部25に配置して設けられている。
なお、ディフューザ本体21は、必ずしも直線部25を備えていなくてもよい。
【0041】
ガイドベーン23は、図1図6に示すように、ガイドベーン23の翼高さ(軸線側の内側に突出する突出高さ寸法)をH、ディフューザ本体21の入口26の直径をD、と定義した場合に、0.05D≦H≦0.20D(Dの5%以上、20%以下)の関係を満たすように形成されている。
なお、ガイドベーン23は、前端部23aから後端部23bまで一定の翼高さHで形成されていることが好ましいが、これに限定する必要はない。
【0042】
ガイドベーン23は、図1図6に示すように、周方向を向く側面である一面23cと他面23dとを繋ぐ前端面23eが凸曲面状に形成されている。
なお、図7図6)に示すように、ガイドベーン23は、ディフューザ本体21の内周面22から内側に突出する突出方向先端の先端面23fと前端面23eの接続部分(角部)が凸曲面状に形成されていてもよい。
【0043】
ガイドベーン23は、図3図4に示すように平板状で直線状に形成されてもよいが、図8図9に示すように、タービンホイール3の回転方向と同方向の一方向T1側に配向された一面23c、言い換えれば、タービンホイール3の回転方向前方側を向く一面23cが一方向T1側に凸の凸曲面状に形成され、他方向T2側に配向された他面23d、すなわち、タービンホイール3の回転方向後方側を向く他面23dが一方向T1側に凹の凹曲面状に形成されてもよい。
【0044】
さらに、ガイドベーン23は、図10図11に示すように、翼型で形成されてもよい。
【0045】
そして、本実施形態の排気ディフューザ18(及びタービンハウジング12、並びに過給機1)においては、ディフューザ本体21のディフューザ壁面である内周面22から内側に突出するガイドベーン23が、後端部23bを前端部23aに対してタービンホイール3の回転方向の一方向T1側と反対の他方向T2側に位置するように、斜めに延設されている。
【0046】
これにより、タービンホイール3から排出され、タービンホイール3の回転方向と逆方向(他方向T2)側に旋回する高速、高圧力で大流量の排ガスGの旋回流Mを、ガイドベーン23によって、旋回を促進させながら滑らかに導いて、ディフューザ壁面の内周面22に押し付ける力を効果的に作用させることができる。その結果、ディフューザ壁面22から排ガスG流れが剥離することを抑制できる。
【0047】
すなわち、本実施形態のガイドベーン23を備えることで、ディフューザ壁面22から剥離が生じやすいエンジンの高負荷時であっても、従来よりも好適に、排ガスGの剥離を抑制することができる。また、ポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉の発生を抑制でき、所望の有効流路面積を確保することが可能になる。
【0048】
したがって、本実施形態の排気ディフューザ18(タービンハウジング12、過給機1)によれば、発明者の鋭意研究による知見に基づいてガイドベーン23の形状、配置を設定したことで、エンジンの高負荷時の排ガスGの剥離、排気ディフューザ18の有効流路面積の減少などを抑制でき、従来よりも圧力回復性能に優れた排気ディフューザ18を実現することが可能になる。
【0049】
また、このようなガイドベーン23を備えて優れた圧力回復性能を実現できるため、排気ディフューザ18の拡径角度(開き角)θ1を大きくすることが可能になり、より一層、優れた圧力回復性能を発揮する排気ディフューザ18を実現することが可能になる。
【0050】
なお、エンジンの低負荷時においては、高負荷時とは逆に、タービンホイール3の回転方向と同じ一方向T1側に旋回方向を向けた排ガスGの旋回流Mが排気ディフューザ18の入口26から流入する。このとき、ガイドベーン23が高負荷時の排ガスGの旋回流Mの旋回方向に合わせて斜めに延設されているため、エンジンの低負荷時においては、ガイドベーン23によって排ガスGの流れが乱されるおそれがある。
【0051】
しかしながら、エンジンの低負荷時に排気ディフューザ18に流入する排ガスGは、相対的に、低速、低圧力で小流量の排ガスGの旋回流Mである。このため、本実施形態の排気ディフューザ18(タービンハウジング12、過給機1)では、ガイドベーン23がこのエンジンの低負荷時にタービンホイール3から排出される旋回流Mと逆側に斜めに延設されていても、剥離が生じないようにしながら排ガスGの旋回流Mを入口26から排出口24に導くことが可能である。
【0052】
また、稼働時の諸条件などによって、仮に、エンジンの低負荷時にタービンホイール3から排出されて入口26から流入した排ガスGの旋回流Mがガイドベーン23によって乱される場合であっても、排ガスGの旋回流Mが低速、低圧力で小流量であるため、剥離の発生、有効流路面積の低減の影響は非常に小さく、十分で好適な圧力回復性能を確保できる。これも発明者の鋭意研究によって確認されている。
【0053】
次に、本実施形態の排気ディフューザ18(タービンハウジング12、過給機1)において、複数のガイドベーン23が軸線O1中心の周方向に所定の間隔をあけて並設されている。
このように複数のガイドベーン23を備えることで、タービンホイール3の回転方向と逆方向側に旋回する高速、高圧力で大流量の排ガスGの旋回流Mを、複数のガイドベーン23のそれぞれによって、より効果的に旋回を促進させながら滑らかに導き、ディフューザ壁面22に押し付ける力を大きく作用させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態の排気ディフューザ18(タービンハウジング12、過給機1)においては、ガイドベーン23が、ガイドベーン23の翼高さをH、ディフューザ本体21の入口26の直径をD、と定義した場合に、0.05D≦H≦0.20D(Dの5%以上、20%以下)の関係を満たすように形成されている。
このようにガイドベーン23の翼嵩さHが設定されていることにより、ガイドベーン23を設けることによって排気流路R4の内側に排ガスGの流れの乱れが生じることを抑制でき、ガイドベーン23を設けることによって有効流路面積が低減すること、ひいては圧力回復性能の低下を招くことを防止できる。
【0055】
すなわち、H<0.05Dとすると、場合によっては、旋回領域が狭くなって、排ガスGの旋回の促進効果が得られないおそれがあり、H>0.20Dとすると、場合によっては、排気流路R4の中心部に剥離域が生じてしまい、ガイドベーン23を設けることによって圧力回復性能が逆に低下するおそれがある。
【0056】
また、ガイドベーン23が一面23cを一方向T1側に凸の凸曲面状に、他面23dを一方向T1側に凹の凹曲面状にして形成されていれば、エンジンの高負荷時にタービンホイール3から排出される高速、高圧力で大流量の排ガスGの旋回流Mを、より一層効果的に、ガイドベーン23によって、旋回を促進させながら滑らかに導き、ディフューザ壁面22に押し付ける力を作用させて剥離の発生を抑制できる。
【0057】
さらに、ガイドベーン23が翼型で形成されていれば、エンジンの高負荷時の排ガスGの旋回流をM、さらに一層効果的に、翼型のガイドベーン23によって、旋回を促進させながら滑らかに導き、ディフューザ壁面22に押し付ける力を作用させて剥離の発生を抑制できる。
【0058】
一方、本実施形態では、ディフューザ本体21がテーパ部20からタービンホイール3側の上流に向かって延在する直線部25を備え、ガイドベーン23はその前端部23aを直線部25に配置して設けられている。
このようにディフューザ本体21の前端部23a側に僅かな範囲でも直線部25を設け、タービンホイール3から排出された排ガスGを一旦直線部25で軸線O1方向に流してからテーパ部20に導入し、圧力回復を行うようにすることで、且つ、この直線部25に前端部23aを配置してガイドベーン23を延設しておくことで、効果的に、ポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉の発生を抑制することができ、優れた圧力回復性能を実現することが可能になる。
【0059】
また、ガイドベーン23の前端面23eや、先端面23fと前端面23eの接続部分を凸曲面状に形成することにより、より効果的に、ポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉の発生を抑制することができ、一層、優れた圧力回復性能を実現することが可能になる。
【0060】
さらに、例えば図4に示すように、ガイドベーン23の前端部23aと後端部23bを結ぶ直線(ガイドベーン23が図4のように平板状の場合には中心線)Pと、タービンホイール3の軸線O1との角度θ2が5°~30°程度となるように、ガイドベーン23を斜めに延設することで、本開示のガイドベーン23の作用効果を好適に発揮させることができる。
【0061】
すなわち、この角度θ2が5°よりも小さいと、場合によっては、排ガスGの旋回促進効果が小さくなって圧力回復性能が低下する可能性がある。
逆に、角度θ2が30°よりも大きいと、場合によっては、排ガスGの旋回とそれによって生じる遠心力とが大きくなり過ぎ、排ガスGの流れがディフューザ壁面22に偏ることにより、有効流路面積の減少を招き、圧力回復性能が低下する可能性がある。
【0062】
(第2実施形態)
次に、図12図13(及び図1図2)を参照し、第2実施形態に係る排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機について説明する。
【0063】
ここで、本実施形態は、第1実施形態と同様、例えば、舶用ディーゼルエンジンなどのエンジンから排出される排ガスGのエネルギーを利用し、圧縮空気A’をエンジンに供給するように構成した過給機1に関し、第1実施形態に対し、排気ディフューザ18に関する構成のみが異なる。よって、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成について同一符号を付すなどし、詳細な説明を省略する。
【0064】
(排気ディフューザ)
本実施形態の排気ディフューザ18は、図1図2に示すように、第1実施形態と同様、タービンホイール3の軸線O1との径方向の距離が排ガスGの流れ方向下流に向かうにつれて大きくなるテーパ部20を有するディフューザ本体21と、ディフューザ本体21のディフューザ壁面である内周面22から軸線O1側の内側に突出するガイドベーン23と、を備えて構成されている。
【0065】
一方、本実施形態の排気ディフューザ18の複数のガイドベーン23は、図12図13に示すように、第1のガイドベーン23Aと、第1のガイドベーン23Aに対してタービンホイール3の周方向に沿って間隔をあけて配置される第2のガイドベーン23Bと、第2のガイドベーン23Bに対して周方向に沿って間隔をあけて配置される第3のガイドベーン23Cと、に分類される。
【0066】
そして、本実施形態の排気ディフューザ18は、第1のガイドベーン23Aと第2のガイドベーン23Bとの間隔L1が、第2のガイドベーン23Bと第3のガイドベーン23Cとの間隔L2と異なるように構成されている。
【0067】
言い換えれば、本実施形態において、排気ディフューザ18の複数のガイドベーン23は、周方向に不等間隔で並設されており、周方向に隣り合う少なくとも一部のガイドベーン23同士の間隔が、ポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉を抑制するように設定されている。
【0068】
すなわち、第1実施形態で示したように、同形同大の複数のガイドベーン23が周方向に等間隔で並設されている場合には、エンジンの高負荷時にタービンホイール3から排出される排ガスGが高速、高圧力、大流用の旋回流であるが故に、例えば、ポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉に起因し、タービンホイール3(タービン動翼16)とガイドベーン23との間に共振現象が発生し、この共振現象によってタービンホイール3の破損、耐久性低下などが生じることも考え得る。
【0069】
これに対し、本実施形態の排気ディフューザ18では、予め共振解析などを行い、複数のガイドベーン23の周方向の間隔を、非定常干渉、ひいてはタービンホイール3とガイドベーン23との間の共振の発生を抑制するように設定されている。
【0070】
これにより、本実施形態の排気ディフューザ18(及びタービンハウジング12、並びに過給機1)によれば、第1実施形態の作用効果に加え、エンジンの高負荷時において、タービンホイール3とガイドベーン23との間に共振現象が発生することを防止できる。
【0071】
よって、圧力回復性能とともに、信頼性、耐久性に優れた排気ディフューザ18及びタービンハウジング12、並びに過給機1を実現することが可能になる。
【0072】
以上、本開示の排気ディフューザ及びタービンハウジング、並びに過給機の第1実施形態、第2実施形態について説明したが、上記の第1実施形態、第2実施形態に限定されるものではなくその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0073】
例えば、第2実施形態の排気ディフューザ(タービンハウジング、過給機)に対し、第1実施形態の排気ディフューザ(タービンハウジング、過給機)の構成、変更例を適宜選択的に組み合わせるなどしても勿論構わない。
【0074】
また、本開示のタービン(過給機)は、ラジアルタービン、斜流タービンのいずれであってもよい。
【0075】
最後に、実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0076】
(1)一の態様に係る排気ディフューザは、径方向外側から流入した排ガス(G)で駆動されるタービン(2)の排気ディフューザ(18)であって、タービンのタービンホイール(3)の回転軸線(O1)との距離が下流に向かうにつれて大きくなるテーパ部(20)を含むディフューザ本体(21)と、ディフューザ本体の内周面(22)から内側に突出する少なくとも一つのガイドベーン(23)と、を備え、少なくとも一つのガイドベーンは、ディフューザ本体の入口(26)側から出口(24)側に向かって延在するとともに、少なくとも一つのガイドベーンの後端部(23b)が前端部(23a)に対してタービンホイールの回転方向の一方向(T1)側と反対の他方向(T2)側に位置するように構成された。
【0077】
本開示の排気ディフューザによれば、ガイドベーンが、後端部を前端部に対してタービンホイールの回転方向の一方向側と反対の他方向側に位置するように、斜めに延設されているので、タービンホイールから排出され、タービンホイールの回転方向と逆方向(他方向)側に旋回する高速、高圧力で大流量の排ガスの旋回流を、ガイドベーンによって、旋回を促進させながら滑らかに導いて、内周面に押し付ける力を効果的に作用させることができ、結果、内周面から排ガスの流れが剥離することを抑制できる。
【0078】
したがって、発明者の鋭意研究による知見に基づいてガイドベーンの形状、配置を設定したことで、エンジンの高負荷時の排ガスの剥離、排気ディフューザの有効流路面積の減少などを抑制でき、従来よりも圧力回復性能に優れた排気ディフューザを実現することが可能になる。
【0079】
また、このようなガイドベーンを備えて優れた圧力回復性能を実現できるため、排気ディフューザの拡径角度(開き角)を大きくすることが可能になり、より一層、優れた圧力回復性能を発揮する排気ディフューザを実現することが可能になる。
【0080】
(2)別の態様に係る排気ディフューザは、(1)に記載の排気ディフューザであって、ディフューザ本体は、テーパ部の回転軸線に対する拡径角度をθと定義した場合に、15°≦θ≦25°を満たす。
【0081】
本開示の排気ディフューザによれば、テーパ部の拡径角度が15°≦θ≦25°を満たすように形成されているので、ガイドベーンによって排ガスの剥離を抑止しつつ、さらなる圧力回復性能の向上を図ることが可能になる。
【0082】
(3)別の態様に係る排気ディフューザは、(1)又は(2)に記載の排気ディフューザであって、少なくとも一つのガイドベーンの翼高さをH、ディフューザ本体の入口の直径をD、と定義した場合に、0.05D≦H≦0.20Dの関係を満たす。
【0083】
本開示の排気ディフューザによれば、このようにガイドベーンの翼嵩さが設定されていることにより、ガイドベーンを設けることによって排気流路の内側に排ガスの流れの乱れが生じることを抑制でき、ガイドベーンを設けることによって有効流路面積が低減すること、ひいては圧力回復性能の低下を招くことを防止できる。
【0084】
(4)別の態様に係る排気ディフューザは、(1)乃至(3)の何れかに記載の排気ディフューザであって、少なくとも一つのガイドベーンは、一方向側に配向された一面(23c)が、一方向側に凸の凸曲面状に形成され、他方向側に配向された他面(23d)が一方向側に凹の凹曲面状に形成されている。
【0085】
本開示の排気ディフューザによれば、ガイドベーンが一面を一方向側に凸の凸曲面状に、他面を一方向側に凹の凹曲面状にして形成されていることにより、エンジンの高負荷時にタービンホイールから排出される高速、高圧力で大流量の排ガスの旋回流を、より一層効果的に、ガイドベーンによって、旋回を促進させながら滑らかに導き、内周面に押し付ける力を作用させて剥離の発生を抑制できる。
【0086】
(5)別の態様に係る排気ディフューザは、(4)に記載の排気ディフューザであって、少なくとも一つのガイドベーンは、翼型で形成されている。
【0087】
本開示の排気ディフューザによれば、ガイドベーンが翼型で形成されていることにより、エンジンの高負荷時の排ガスの旋回流を、さらに一層効果的に、翼型のガイドベーンによって、旋回を促進させながら滑らかに導き、内周面に押し付ける力を作用させて剥離の発生を抑制できる。
【0088】
(6)別の態様に係る排気ディフューザは、(1)乃至(5)の何れかに記載の排気ディフューザであって、少なくとも一つのガイドベーンは、第1のガイドベーン(23A)と、第1のガイドベーンに対してタービンホイールの周方向に沿って間隔を空けて配置される第2のガイドベーン(23B)と、第2のガイドベーンに対して周方向に沿って間隔を空けて配置される第3のガイドベーン(23C)と、を含み、第1のガイドベーンと第2のガイドベーンとの間隔(L1)は、第2のガイドベーンと第3のガイドベーンとの間隔(L2)と異なるように構成された。
【0089】
本開示の排気ディフューザによれば、エンジンの高負荷時において、タービンホイールとガイドベーンとの間に共振現象が発生することを防止できる。これにより、圧力回復性能とともに、信頼性、耐久性に優れた排気ディフューザを実現することが可能になる。
【0090】
(7)別の態様に係る排気ディフューザは、(1)乃至(6)の何れかに記載の排気ディフューザであって、ディフューザ本体は、テーパ部から上流に向かって延在する直線部(25)をさらに含み、少なくとも一つのガイドベーンの前端部は、直線部に配置されている。
【0091】
本開示の排気ディフューザによれば、このようにディフューザ本体の前端部側に僅かな範囲でも直線部を設け、タービンホイールから排出された排ガスを一旦直線部で軸線方向に流してからテーパ部に導入し、圧力回復を行うようにすることで、且つ、この直線部に前端部を配置してガイドベーンを延設しておくことで、効果的に、ポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉の発生を抑制することができ、優れた圧力回復性能を実現することが可能になる。
【0092】
(8)別の態様に係る排気ディフューザは、(1)乃至(7)の何れかに記載の排気ディフューザであって、少なくとも一つのガイドベーンは、一方向側に配向された一面と他方向側に配向された他面とを繋ぐ前端面(23e)が凸曲面状に形成されている。
【0093】
本開示の排気ディフューザによれば、ガイドベーンの前端面を凸曲面状に形成することにより、より効果的に、ポテンシャル干渉、後流干渉、伴流干渉などの非定常干渉の発生を抑制することができ、一層、優れた圧力回復性能を実現することが可能になる。
【0094】
(9)一の態様に係るタービンハウジング(12)は、タービンホイールを収容するとともに、タービンホイールの周囲にスクロール流路(r3)を形成するスクロール本体17と、(1)乃至(8)の何れかに記載の排気ディフューザを、備える。
【0095】
本開示のタービンハウジングによれば、(1)乃至(8)の何れかに記載の排気ディフューザをタービンハウジングで形成し、これら排気ディフューザの作用効果を奏功することができる。
【0096】
(10)一の態様に係る過給機(1)は、エンジンから排出された排ガス(G)で駆動されるタービンであって、(9)に記載のタービンハウジングを含むタービンと、タービンに同軸で連結し、回転とともに圧縮した空気(圧縮空気A’)をエンジンに供給するためのコンプレッサと、を備える。
【0097】
本開示の過給機によれば、(1)乃至(8)の何れかに記載の排気ディフューザをタービンハウジングで形成したタービンを備えることで、(1)乃至(8)の何れかに記載の排気ディフューザの作用効果を奏功することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 過給機
2 タービン
3 タービンホイール
4 回転軸
5 コンプレッサ
6 コンプレッサホイール
8 コンプレッサハウジング
12 タービンハウジング
15 タービンハブ
16 タービン動翼
17 スクロール本体
18 排気ディフューザ
20 テーパ部
21 ディフューザ本体
22 内周面(ディフューザ壁面)
23 ガイドベーン
23a 前端部(前縁部)
23b 後端部(後縁部)
23c 一面
23d 他面
23e 前端面
23f 先端面
23A 第1のガイドベーン
23B 第2のガイドベーン
23C 第3のガイドベーン
24 出口(排出口)
25 直線部
26 入口
A 空気(吸気)
A’ 圧縮空気
G 排ガス
L1 間隔
L2 間隔
M 旋回流
O1 軸線(回転軸線)
R4 排気流路
T1 一方向
T2 他方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13