IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンリツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-伝送線路変換構造 図1
  • 特許-伝送線路変換構造 図2
  • 特許-伝送線路変換構造 図3
  • 特許-伝送線路変換構造 図4
  • 特許-伝送線路変換構造 図5
  • 特許-伝送線路変換構造 図6
  • 特許-伝送線路変換構造 図7
  • 特許-伝送線路変換構造 図8
  • 特許-伝送線路変換構造 図9
  • 特許-伝送線路変換構造 図10
  • 特許-伝送線路変換構造 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】伝送線路変換構造
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/08 20060101AFI20230628BHJP
   H01P 3/08 20060101ALI20230628BHJP
   H01P 3/00 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
H01P5/08 B
H01P3/08 100
H01P3/00 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020067333
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021164131
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100163876
【弁理士】
【氏名又は名称】上藤 哲嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100187045
【弁理士】
【氏名又は名称】梅澤 奈菜
(72)【発明者】
【氏名】池田 充彦
(72)【発明者】
【氏名】関根 祐司
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-327004(JP,A)
【文献】特開2018-081745(JP,A)
【文献】特開2004-088504(JP,A)
【文献】特開2007-123950(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0004286(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/08
H01P 3/08
H01P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層からなる基板にマイクロストリップ伝送線路の信号線路(11)、前記マイクロストリップ伝送線路の接地導体グランドである第1のグランド(12)及び第2のグランド(13)を順に備える平面伝送線路と中心導体(31)及び外部導体(32)を有する同軸伝送線路との伝送線路変換構造であって、
前記第2のグランド(13)は、前記信号線路がある面と反対側の前記基板の裏面に設けられたグランド又は前記第1のグランド(12)から前記基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドであり、
前記マイクロストリップ伝送線路の信号線路(11)と前記同軸伝送線路の中心導体(31)とが接続され、
前記第1のグランド(12)及び前記第2のグランド(13)と前記同軸伝送線路の外部導体(32)とが接続され、
前記第1のグランド(12)及び前記第2のグランド(13)の間の誘電体層(15)と前記中心導体(31)及び前記外部導体(32)の間の同軸誘電体(33)との間の、前記誘電体層(15)と前記同軸誘電体(33)が重なる部分のみに前記第1のグランド(12)に接続された金属板(10)が設置されていることを特徴とする伝送線路変換構造。
【請求項2】
前記第1のグランド(12)と前記第2のグランド(13)との間を接続するビア(17)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路変換構造。
【請求項3】
複数の層からなる基板にコプレーナ伝送線路の信号線路(21)及び前記コプレーナ伝送線路のグランドである第3のグランド(22)、前記第3のグランド(22)から前記基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドである第4のグランド(23)並びに第5のグランド(24)を順に備える平面伝送線路と中心導体(31)及び外部導体(32)を有する同軸伝送線路との伝送線路変換構造であって、
前記第5のグランド(24)は、前記信号線路がある一面とは反対側の前記基板の裏面に設けられたグランド又は前記第4のグランド(23)から前記基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドであり、
前記コプレーナ伝送線路の信号線路(21)と前記同軸伝送線路の中心導体(31)とが接続され、
前記コプレーナ伝送線路の前記第3のグランド(22)、前記第4のグランド(23)及び前記第5のグランド(24)と前記同軸伝送線路の外部導体(32)とが接続され、
前記第4のグランド(23)及び前記第5のグランド(24)の間の誘電体層(26)と前記中心導体(31)及び前記外部導体(32)の間の同軸誘電体(33)との間の、前記誘電体層(26)と前記同軸誘電体(33)が重なる部分のみに前記第4のグランド(23)に接続された金属板(10)が設置されていることを特徴とする伝送線路変換構造。
【請求項4】
前記第4のグランド(23)と前記第5のグランド(24)との間を接続するビア(27)をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の伝送線路変換構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平面伝送線路と同軸伝送線路との伝送線路変換構造に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板と外部との間で信号を伝搬するために、回路基板の平面伝送線路と外部接続に用いられる同軸伝送線路との間には伝送線路変換構造が用いられる。伝送線路変換構造に対しては、伝送損失を最小化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の構造は、変換部で信号が外部に放射されたり、反射されたりして透過率が劣化することを防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】再公表WO2002/082578
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、平面伝送線路と同軸伝送線路とを接続した際に、同軸伝送線路から平面伝送線路の誘電体層に電磁波が侵入し、伝送特性に影響を及ぼすことを発見した。これは、侵入した電磁波が平面伝送線路の誘電体層で空間共振し、空間共振した電磁波が平面伝送線路を伝搬する信号と結合することで発生すると推測した。
【0005】
そこで、本開示は、平面伝送線路と同軸伝送線路との伝送線路変換構造において、電磁波が平面伝送線路の誘電体層で空間共振しないよう、同軸伝送線路から平面伝送線路の誘電体層に電磁波が侵入することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
平面伝送線路の誘電体層に電磁波が侵入しないよう、平面伝送線路の誘電体層と同軸伝送線路の同軸誘電体との間に金属板を設置することとした。
【0007】
具体的には、本開示の伝送線路変換構造は、
複数の層からなる基板にマイクロストリップ伝送線路の信号線路(11)、前記マイクロストリップ伝送線路の接地導体グランドである第1のグランド(12)及び第2のグランド(13)を順に備える平面伝送線路と中心導体(31)及び外部導体(32)を有する同軸伝送線路との伝送線路変換構造であって、
前記第2のグランド(13)は、前記信号線路がある面と反対側の前記基板の裏面に設けられたグランド又は前記第1のグランド(12)から前記基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドであり、
前記マイクロストリップ伝送線路の信号線路(11)と前記同軸伝送線路の中心導体(31)とが接続され、
前記第1のグランド(12)及び前記第2のグランド(13)と前記同軸伝送線路の外部導体(32)とが接続され、
前記第1のグランド(12)及び前記第2のグランド(13)の間の誘電体層(15)と前記中心導体(31)及び前記外部導体(32)の間の同軸誘電体(33)との間に前記第1のグランド(12)に接続された金属板(10)が設置されていることを特徴とする。
【0008】
具体的には、本開示の伝送線路変換構造は、
複数の層からなる基板にコプレーナ伝送線路の信号線路(21)及び前記コプレーナ伝送線路のグランドである第3のグランド(22)、前記第3のグランド(22)から前記基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドである第4のグランド(23)並びに第5のグランド(24)を順に備える平面伝送線路と中心導体(31)及び外部導体(32)を有する同軸伝送線路との伝送線路変換構造であって、
前記第5のグランドは、前記信号線路がある一面とは反対側の前記基板の裏面に設けられたグランド又は前記第4のグランド(23)から前記基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドであり、
前記コプレーナ伝送線路の信号線路(21)と前記同軸伝送線路の中心導体(31)とが接続され、
前記コプレーナ伝送線路の第3のグランド(22)、前記第4のグランド(23)及び前記第5のグランド(24)と前記同軸伝送線路の外部導体(32)とが接続され、
前記第4のグランド(23)及び前記第5のグランド(24)の間の誘電体層(26)と前記中心導体(31)及び前記外部導体(32)の間の同軸誘電体(33)との間に前記第4のグランド(23)に接続された金属板(10)が設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、平面伝送線路と同軸伝送線路との伝送線路変換構造において、電磁波が平面伝送線路の誘電体層で空間共振しないよう、同軸伝送線路から平面伝送線路の誘電体層に電磁波が侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る伝送線路変換構造の斜視図である。
図2】本実施形態に係る伝送線路変換構造の長軸方向の断面図である。
図3】本実施形態に係る伝送線路変換構造の上面図である。
図4】本実施形態に係る伝送線路変換構造の長軸方向に垂直な断面図である。
図5】本実施形態に係る伝送線路変換構造の斜視図である。
図6】本実施形態に係る伝送線路変換構造の斜視図である。
図7】本実施形態に係る伝送線路変換構造の長軸方向の断面図である。
図8】本実施形態に係る伝送線路変換構造の上面図である。
図9】本実施形態に係る伝送線路変換構造の長軸方向に垂直な断面図である。
図10】本実施形態に係る伝送線路変換構造の斜視図である。
図11】本実施形態に係る伝送線路変換構造のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0012】
本実施形態に係る伝送線路変換構造は、平面伝送線路と同軸伝送線路との伝送線路変換構造である。本実施形態に係る伝送線路変換構造の斜視図を図1に、伝送線路の長軸方向の断面図を図2に、上面図を図3に、平面伝送線路と同軸伝送線路とが繋がる部分での長軸方向に垂直な断面図を図4に示す。
【0013】
図1から図4において、平面伝送線路は、複数の層からなる基板にマイクロストリップ伝送線路の信号線路11、第1のグランド12及び第2のグランド13を順に備える。第1のグランド12は、マイクロストリップ伝送線路の接地導体グランドである。第2のグランド13は、基板の裏面に設けられたグランド又は第1のグランド12から基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドである。図1から図4において、第2のグランド13は、基板の裏面に設けられている。マイクロストリップ伝送線路の信号線路11とマイクロストリップ伝送線路の第1のグランド12との間は誘電体層14が配置され、マイクロストリップ伝送線路の第1のグランド12と第2のグランド13との間は誘電体層15が配置されている。
【0014】
第2のグランド13が基板の裏面に設けられている場合は、回路基板内への電磁波侵入を阻止したり、回路へ電力供給したりする目的で利用される。第2のグランド13が第1のグランド12から基板の裏面側のいずれかの層に設けられている場合は、基板の層間の電磁誘導を阻止したり、回路へ電力供給したりする目的で利用される。
【0015】
図1及び図4では、マイクロストリップ伝送線路の信号線路11とマイクロストリップ伝送線路の第1のグランド12との間の誘電体層14及びマイクロストリップ伝送線路の第1のグランド12と第2のグランド13との間の誘電体層15は、図示を省略している。
【0016】
図1から図4において、同軸伝送線路は、中心導体31、外部導体32及び同軸誘電体33を備える。マイクロストリップ伝送線路の信号線路11と同軸伝送線路の中心導体31とが接続されている。マイクロストリップ伝送線路の第1のグランド12及び第2のグランド13と同軸伝送線路の外部導体32とが接続されている。ここで、「接続」という用語は、高周波的に接続されていればよく、必ずしも物理的な接触は要しないことを意味する。特に、断らない限り、以下の実施形態でも同様である。
【0017】
図1から図4において、誘電体層15と同軸誘電体33との間に金属板10が設置されている。金属板10を設置することにより、同軸伝送線路の同軸誘電体33を伝搬する電磁波が平面伝送線路の誘電体層15に侵入することを防止できる。電磁波が平面伝送線路の誘電体層15に侵入しなければ、空間共振が発生することなく、伝送特性に影響を及ぼすことがない。
【0018】
金属板10は、誘電体層15の側面又は同軸誘電体33の端面に導体となる金属の板を貼り付けたものでもよいし、誘電体層15の側面又は同軸誘電体33の端面に金属メッキを施したものでもよい。金属板の材料は、金、銀、銅、アルミニウム等の導電率の高い金属が望ましい。
【0019】
金属板10は、誘電体層15の側面全体に設置しなくてもよい。例えば、図4に示すように、少なくとも、誘電体層15と同軸誘電体33が重なる部分に設置することでもよい。金属板10は、誘電体層15の側面又は同軸誘電体33の端面に導体となる金属の板を貼り付けたものでもよいし、誘電体層15の側面又は同軸誘電体33の端面に金属メッキを施したものでもよい。少なくとも、誘電体層15と同軸誘電体33が重なる部分に設置すれば、同軸伝送線路の同軸誘電体33を伝搬する電磁波が平面伝送線路の誘電体層15に侵入することを防止できる。電磁波が平面伝送線路の誘電体層15に侵入しなければ、空間共振が発生することなく、伝送特性に影響を及ぼすことがない。
【0020】
平面伝送線路は、第1のグランド12と第2のグランド13との間を接続するビアをさらに備えてもよい。図1の伝送線路変換構造に対して、さらにビアを備える平面伝送線路と同軸伝送線路との伝送線路変換構造の斜視図を図5に示す。図5のビア17は、第1のグランド12と第2のグランド13との間を接続し、第1のグランド12と第2のグランド13とで閉鎖された共振空間を形成する。図5において、第2のグランド13は、基板の裏面に設けられているが、第1のグランド12から基板の裏面側のいずれかの層に設けられていてもよい。閉鎖された共振空間では、侵入した電磁波が誘電体層で空間共振しやすく、空間共振した電磁波が平面伝送線路を伝搬する信号と結合する。このような平面伝送線路に対して金属板10を設置することは、電磁波が同軸伝送線路から平面伝送線路の誘電体層15に侵入することを防止するのに有効である。
【0021】
図5では、同軸伝送線路から平面伝送線路に接続されているが、同軸伝送線路、平面伝送線路及び同軸伝送線路が従属接続された場合の通過特性をシミュレーションした。同軸伝送線路から平面伝送線路へ、及び平面伝送線路から同軸伝送線路へのそれぞれの伝送線路変換構造に従来の構造、即ち金属板10のない伝送線路変換構造を適用した場合のシミュレーション結果を図11(A)に示す。同軸伝送線路から平面伝送線路へ、及び平面伝送線路から同軸伝送線路へのそれぞれの伝送線路変換構造に図5の構造、即ち、誘電体層15の両側面に金属板10を設置した構造を適用した場合のシミュレーション結果を図11(B)に示す。
【0022】
従来の伝送線路変換構造では、図11(A)に示すように、40GHz以上の周波数で共振現象による通過特性の落ち込みが現れている。しかし、本実施形態の伝送線路変換構造では、図11(B)に示すように、40GHz以上の周波数でも平坦な通過特性を示している。この結果からも、本実施形態の平面伝送線路の誘電体層15と同軸伝送線路の同軸誘電体33との間に金属板10設置することが有効であることが分かる。
【0023】
本実施形態の平面伝送線路では、誘電体層14上で、信号線路11の片側又は両側に表面グランド(不図示)を備えていてもよい。
【0024】
本実施形態において、同軸伝送線路は、同軸ケーブルとして記載されているが、金属シェルが外部導体を構成する同軸構造のコネクタであってもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0025】
本実施形態に係る伝送線路変換構造は、平面伝送線路と同軸伝送線路との伝送線路変換構造である。本実施形態に係る伝送線路変換構造の斜視図を図6に、伝送線路の長軸方向の断面図を図7に、上面図を図8に、平面伝送線路と同軸伝送線路とが繋がる部分での長軸方向に垂直な断面図を図9に示す。
【0026】
図6から図9において、平面伝送線路は、複数の層からなる基板にコプレーナ伝送線路の信号線路21及び第3のグランド22、第4のグランド23並びに第5のグランド24を順に備える。第3のグランドは、コプレーナ伝送線路のグランドである。第4のグランドは、第3のグランドから基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドである。第5のグランドは、基板の裏面に設けられたグランド又は第4のグランドから基板の裏面側のいずれかの層に設けられたグランドである。コプレーナ伝送線路と第4のグランド23との間は誘電体層25が配置され、第4のグランド23と第5のグランド24との間は誘電体層26が配置されている。第3のグランド22は、信号線路21の片側に配置されていても、両側に配置されていてもよい。第4のグランド23を備えると、伝送特性の設計が容易になり、また、伝送特性の向上が期待できる。
【0027】
第5のグランド24が基板の裏面に設けられている場合は、回路基板内への電磁波侵入を阻止したり、回路へ電力供給したりする目的で利用される。第5のグランド24が第4のグランドから基板の裏面側のいずれかの層に設けられている場合は、基板の層間の電磁誘導を阻止したり、回路へ電力供給したりする目的で利用される。
【0028】
図6及び図9では、コプレーナ伝送線路と第4のグランド23との間の誘電体層25及び第4のグランド23と第5のグランド24との間の誘電体層26は、図示を省略している。
【0029】
図6から図9において、同軸伝送線路は、中心導体31、外部導体32及び同軸誘電体33を備える。コプレーナ伝送線路の信号線路21と同軸伝送線路の中心導体31とが接続されている。コプレーナ伝送線路の第3のグランド22、第4のグランド23及び第5のグランド24と同軸伝送線路の外部導体32とが接続されている。
【0030】
図6から図9において、誘電体層26と同軸誘電体33との間に金属板10が設置されている。金属板10を設置することにより、同軸伝送線路の同軸誘電体33を伝搬する電磁波が平面伝送線路の誘電体層26に侵入することを防止できる。電磁波が平面伝送線路の誘電体層26に侵入しなければ、空間共振が発生することなく、伝送特性に影響を及ぼすことがない。
【0031】
金属板10は、誘電体層26の側面又は同軸誘電体33の端面に導体となる金属の板を貼り付けたものでもよいし、誘電体層26の側面又は同軸誘電体33の端面に金属メッキを施したものでもよい。金属板の材料は、金、銀、銅、アルミニウム等の導電率の高い金属が望ましい。
【0032】
金属板10は、誘電体層26の側面全体に設置しなくてもよい。例えば、図9に示すように、少なくとも、誘電体層26と同軸誘電体33が重なる部分に設置することでもよい。金属板10は、誘電体層26の側面又は同軸誘電体33の端面に導体となる金属の板を貼り付けたものでもよいし、誘電体層26の側面又は同軸誘電体33の端面に金属メッキを施したものでもよい。少なくとも、誘電体層26と同軸誘電体33が重なる部分に設置すれば、同軸伝送線路の同軸誘電体33を伝搬する電磁波が平面伝送線路の誘電体層26に侵入することを防止できる。電磁波が平面伝送線路の誘電体層26に侵入しなければ、空間共振が発生することなく、伝送特性に影響を及ぼすことがない。
【0033】
平面伝送線路は、第4のグランド23と第5のグランド24との間を接続するビアをさらに備えてもよい。図6の伝送線路変換構造に対して、さらにビアを備える平面伝送線路と同軸伝送線路との伝送線路変換構造の斜視図を図10に示す。図10のビア27は、第4のグランド23と第5のグランド24との間を接続し、第4のグランド23と第5のグランド24とで閉鎖された共振空間を形成する。図10において、第5のグランド24は、基板の裏面に設けられているが、第4のグランド23から基板の裏面側のいずれかの層に設けられていてもよい。閉鎖された共振空間では、侵入した電磁波が誘電体層で空間共振しやすく、空間共振した電磁波が平面伝送線路を伝搬する信号と結合する。このような平面伝送線路に対して金属板10を設置することは、電磁波が同軸伝送線路から平面伝送線路の誘電体層26に侵入することを防止するのに有効である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10:金属板
11:信号線路
12:第1のグランド
13:第2のグランド
14:誘電体層
15:誘電体層
17:ビア
21:信号線路
22:第3のグランド
23:第4のグランド
24:第5のグランド
25:誘電体層
26:誘電体層
27:ビア
31:中心導体
32:外部導体
33:同軸誘電体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11