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特許7303797結合アドミタンスコントローラの最適制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】結合アドミタンスコントローラの最適制御
(51)【国際特許分類】
   G05B 11/36 20060101AFI20230628BHJP
   B25J 9/16 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
G05B11/36 F
B25J9/16
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020512914
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018062182
(87)【国際公開番号】W WO2018206750
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】1707473.3
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519400221
【氏名又は名称】ムーグ べスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル デ ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】リシャルト デイク
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ティー ウィリアムズ
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06028409(US,A)
【文献】国際公開第2008/090683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 11/36
B25J 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリと第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリとの間で通信するように最適に構成された結合デバイス(16、116、216、316)であって、前記第1及び前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリが、第1及び第2のそれぞれのアクチュエータを駆動するように構成された第1及び第2のアドミタンスコントローラ(12a、12b)をそれぞれ有し、前記第1及び前記第2のアクチュエータの各々が、第1の質量を有する第1の本体と、第2の質量を有する第2の本体とにそれぞれ接続されており、前記結合デバイス(16、116、216、316)が、
前記第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12a)から第1の入力力信号(f1)を受信するための第1の入力と、前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12b)から第2の入力力信号(f2)を受信するための第2の入力と、を有する入力ポートと、
前記第1の入力力信号と前記第2の入力力信号との比較、並びに前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの特性に応じて、ラグランジュ乗数に基づいて、前記第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリへの出力のための第1の出力力信号を導出するように適合されているプロセッサと、を備える、結合デバイス。
【請求項2】
前記ラグランジュ乗数は、前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリのうちの少なくとも1つのホロノミック制約に依存する、請求項1に記載の結合デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの特性は、前記第1の質量及び前記第2の質量のうちの少なくとも1つの前記質量である、請求項1又は2に記載の結合デバイス。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12b)への出力のための第2の出力力信号を導出するように適合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1の入力力と前記第2の入力力との力差を、各々が前記他のアセンブリと等価な集中質量で乗算された後に決定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項6】
前記力差は、方程式デルタ=((f1m2)-(f2m1))/(m1+m2)に従って、前記第1及び第2の質量(m1+m2)の合計で除算された前記第2の質量(m2)で乗算された前記第1の入力力と、前記第1及び第2の質量(m1+m2)の前記合計で除算された前記第1の質量(m1)で乗算された前記第2の入力力との間で決定される、請求項5に記載の結合デバイス。
【請求項7】
前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12a、12b)が、前記それぞれの第1の質量(m1)及び第2の質量(m2)を駆動するための異なるギヤ比(g1、g2)を備える場合に動作し、それによって、前記プロセッサが、前記第1及び前記第2のアセンブリのギヤ比の差に応じて、前記第1及び前記第2のアセンブリから入力力の差を導出する、ように適合されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項8】
前記力差は、前記第1及び第2のアセンブリ(12a、12b)の前記ギヤ比g1及びg2の二乗に依存する計算に基づいて決定される、請求項5または6に記載の結合デバイス。
【請求項9】
前記結合デバイスから前記第1のアセンブリ(12a)への前記第1の出力力は、前記第1のアセンブリギヤ比(g1)によって更に修正され、前記結合デバイスから前記第2のアセンブリ(12b)への前記第2の出力力は、前記第2のアセンブリギヤ比(g2)によって更に修正される、請求項7又は8に記載の結合デバイス。
【請求項10】
前記入力ポートは、前記第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリから第3の信号、及び前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリからの第4の信号を受信するように更に適合され、第3及び第4の信号が、前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの変数を表し、それによって、前記結合デバイスが、前記第3及び第4の信号を分析して、前記第3及び第4の信号の両方に依存するラグランジュ乗数に基づく、前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリへの出力のための第1及び第2の出力力信号を導出する、請求項1~9のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項11】
前記変数は、位置、速度、及び加速度のうちの少なくとも1つである、請求項10に記載の結合デバイス。
【請求項12】
前記変数は、前記それぞれのアセンブリの測定された変数である、請求項11に記載の結合デバイス。
【請求項13】
前記プロセッサは、位置入力変数と、仮想ばねの使用との比較をして、前記質量m1及びm2の実際の位置を互いに一致したままにすることを可能にする、請求項10~12のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサは、速度入力変数と、仮想減衰効果の使用との比較をして、前記質量m1及びm2の前記位置を互いに一致したままにする効果を達成することを可能にする、請求項11または12に記載の結合デバイス。
【請求項15】
前記プロセッサが、最大力設定を可能にし、それによって少なくとも1つのアドミタンスコントローラの、別のアドミタンスコントローラからの「ブレークアウト」を可能にする、請求項1~14のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項16】
前記入力ポートは、2つ以上のコントローラアセンブリから入力を受信し、ピアツーピア構成、ピアツー多構成、マスタツースレーブ構成、マスタツー複数スレーブ構成、及び多対多構成、のうちの少なくとも1つを備える複数の構成内の各々に出力フォースフィードバックを提供する、ように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項17】
前記第1及び前記第2の出力力信号が同じである、請求項4に記載の結合デバイス。
【請求項18】
3つ以上のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの最適な制御を可能にするように構成された、結合デバイス(16、116、216、316)であって、各アセンブリが、質量を有する本体に接続されたアクチュエータを駆動するように構成されたアドミタンスコントローラ(12a、12b)を有し、前記結合デバイス(16、116、216、316)が、
前記アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12a、12b)から、入力力信号(f1、f2)を受信するための入力を有する入力ポートと、
特定のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの個々の特性に基づいて、及び前記入力力信号の比較に基づいて、前記アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの各々への出力のための出力力信号を導出するように適合されたプロセッサと、を備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の結合デバイス。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の結合デバイスを備える、アクチュエータの分散システム。
【請求項20】
一緒に結合された、一対のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリとを備える、請求項19に記載の分散システム。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか一項に記載の結合デバイスを備える、アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ。
【請求項22】
前記力差は、ラムダ=((f1g1m2)-(f2g2m1))/(g1m2+g2m1)として与えられる、請求項8に記載の結合デバイス。
【請求項23】
前記変数は、前記第1の入力力信号及び前記第2の入力力信号に基づいて導出された変数である、請求項11に記載の結合デバイス。
【請求項24】
前記変数は、ニュートン力学から決定される、請求項23に記載の結合デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドミタンス制御アクチュエータを制御することに関する。具体的には、触覚アプリケーションのために、複数の、例えば2つ以上の、アドミタンス制御アクチュエータを、ラグランジュ乗数又は修正されたラグランジュ乗数によって結合することに関し、かつ、1つ、2つ以上のアドミタンス制御アクチュエータを制御するために、(修正された)ラグランジュ乗数を実装する結合コントローラにも関する。
【背景技術】
【0002】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,028,409号は、リモート制御システムの両方によって操作される質量の合計を表すシミュレーションされた質量を有するモデルフォロワコントローラを使用することにより、2つのリモート制御システムを結合して、システムのうちの1つを正確に使用することで他のシステムを駆動することを可能にすることが知られている。質量の合計をシミュレーションすることによって、モデルフォロワコントローラは、1つのコントローラ上の操作力を、1つのコントローラの操作可能な質量を移動させるだけでなく、他のコントローラにおいて同等の動きを達成することも可能にする。
【0003】
アドミタンス制御は、フライトシミュレーションデバイス用のアドミタンスコントローラの使用を記載する米国特許第4,398,889号で最初に特許された。このタイプの制御では、力は主制御入力として作用し、質量で除算した後の位置出力をもたらし、時間に対して2度積分する。図1は、米国特許第4,398,889号に記載されているアドミタンス制御ループを示す。この特定のタイプのアドミタンス制御では、測定力と要求力との間の差によって及ぼされる仮想質量を想定してコマンド加速をもたらし、コマンド速度を取得するための時間に関して積分され、再度速度が積分されてコマンド位置をもたらす。コマンド加速度、速度、及び加速度は、アクチュエータ位置を駆動するアクチュエータセットポイント速度を計算するために使用される。
【0004】
現在の技術の制限には、x1(t)及びx2(t)の初期条件が等しい特定の場合にのみ有効であり、制約x1(t)=x2(t)の特定のソリューションのみを提供し、及び、又は、両方の制御間の結合力がキャップされるブレークアウト挙動をシミュレーションするなどの、特殊な結合挙動を可能にしない、ことが含まれる。本発明は、先行技術のこれら及び他の問題を回避するか、又は少なくとも軽減することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリと第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリとの間で通信するように最適に構成された結合デバイス(16、116、216、316)であって、第1並びに第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリが、第1及び第2のそれぞれのアクチュエータを駆動するように構成された第1及び第2のアドミタンスコントローラ(12a、12b)をそれぞれ有し、第1及び第2のアクチュエータの各々が、第1の質量を有する第1の本体と、第2の質量を有する第2の本体とにそれぞれ接続されており、結合デバイス(16、116、216、316)が、
第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12a)から第1の入力力信号(f1)を受信するための第1の入力と、第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12b)から第2の入力力信号(f2)を受信するための第2の入力と、を有する入力ポートと、
第1の入力力信号と第2の入力力信号との比較、並びに第1並びに第2アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの特性に応じて、ラグランジュ乗数に基づいて、第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリへの出力のための第1の出力力信号を導出するように適合されているプロセッサと、を備える、結合デバイスを提供する。
【0006】
本発明の他の態様及び特徴は、本明細書全体、並びに添付の特許請求の範囲に定義されるものから明らかとなるであろう。
【0007】
有利なことに、本発明による制御は、力がアドミタンスベースのコントローラの主制御入力である、力及び位置の両方を測定することができるアクチュエータを含む。この特許出願は、各アクチュエータのアドミタンス制御ループ内の要求力に次いで加えられる仮想力を計算するための(修正された)ラグランジュ乗数の使用を記載しており、それによって最適な結合をもたらす。修正されたラグランジュ乗数の使用により、結合されたアクチュエータのシミュレーション、初期条件の問題の解決、結合力のフェード、及びアクチュエータが特定の力レベルまで結合されるブレークアウト条件をシミュレーションすることが可能になる。可能なアプリケーションとしては、ロボット、触覚シミュレーションデバイス及び電気操作デバイス、並びにフライトシミュレーションに使用される制御負荷システムなどのシミュレーションデバイスが含まれる。
【0008】
加えて、本発明には、1つ以上のアドミタンスコントローラに結合された集中コントローラ、直接結合された(通信している)アドミタンスコントローラのローカル構成、及び例えば分散構成、又は上述のものの混合物が含まれる。アドミタンスコントローラ(単数又は複数)の各々(のセット)に対するこれらの構成オプション間で、混合及び一致させることができる。例えば、各システムが、N個の結合コントローラ(「ローカル」構成のシステムごとに1個)を使用して結合されている、K個のアドミタンスコントローラを有する、インターネットを介して接続されたN個のシステムを検討する。また、分散システムは、「分散」構成においてK個の結合コントローラを使用できるが、他の全てに対しては「ローカル」構成を使用することもできる。有利なことに、アーキテクチャは非常にフレキシブルであり、各結合コントローラにおいて全アドミタンスコントローラからの力入力が必要であり、次いで、各結合コントローラ出力は、任意の所与のアドミタンスコントローラのセットに結合される。加えて、システムは、コントローラがピアツーピア関係又はマスタースレーブ関係を有するように構成することができ、デバイスの多くがマスターの役割を引き受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の詳細な実施形態を、以下の添付図面を参照して、ここで単に例として説明する。
図1】力入力F、仮想質量m、位置xを有する2次アドミタンスコントローラY(s)であり、sはラプラス演算子を示す。通常、入力力Fは、測定力Fmeasuredと仮想モデル力Fmodelとの両方から構成される。
図2】先行技術に係る、一対の結合アドミタンスコントローラのモデルである。
図3】ラグランジュ乗数による結合制御ループである。
図4】本発明に係る、仮想ばね及び減衰構成要素を含む、修正されたラグランジュ乗数による結合制御ループである。
図5】ラグランジュ乗数によるギヤ結合制御ループである。
図6-1】ギヤ結合を含むアドミタンス制御アーキテクチャである。
図6-2】ギヤ結合を含むアドミタンス制御アーキテクチャである。
図7】一対のモデルフォロワコントローラがそれぞれのアクチュエータを制御することを可能にする結合デバイスを備える、本発明の第1の実施形態である。
図8図7に示すモデルフォロワコントローラ及びアクチュエータの拡大図である。
図9】本発明に係る、複数のチャネル制御システムを示す概略ブロック図である。
図10】本発明に係る、ラグランジュ乗数の一例である。
図11】非線形システムの比喩的な表現である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
米国特許第6,028,409号によって提案される結合ソリューションは、x1及びx2の時間に関する初期条件が等しい(又は、少なくともこれらの条件が経時的に満たされる)ことを想定している。結合が有効になる前、又は制御動作中に積分誤差が蓄積するために、位置x1とx2とが異なる場合があるため、この想定は常には有効とならない。
【0011】
この特許出願では、マルチボディダイナミクスからのラグランジュ乗数法に基づく、より堅牢な結合メカニズムが提案されている。次いで、これは、ラグランジュ乗数を追加項で強化することによって更に拡張され、それによって、結合力が、力依存であり、並びに/又は位置及び/若しくは速度に更に依存し得る、特殊な結合挙動のシミュレーションを可能にする。以下の修正されたラグランジュ乗数は、改善を可能にするように決定されている。
【数1】
ここで、修正されたラグランジュ乗数hatλは、ラグランジュ乗数λ、並びに位置x及び速度dotxの関数である。
【0012】
ここで、質量m1、m2、位置x1、x2、及び力f1、f2を有する、2つの自由度システム(n=2)について、いくつかの例を提示する。直接結合に対してはx1(t)=x2(t)、ギヤ結合に対してはg1x1(t)=g2x2(t)になるように、このシステムを結合するラグランジュ乗数。
【0013】
初期条件の問題をより良好に処理するために、x1、x2の初期条件が特定の時点(t0)において異なる場合に対処するための修正が、例えば、以下で与えられる。
【数2】
【0014】
修正は、2つの自由度x1とx2との間の自然(物理)コントローラとして作用する仮想ばね及びダンパの追加を伴う。このメカニズムの物理的表現は、以下のように表すことができる。
【数3】
剛性k及び減衰係数cを用いて、hatλは、修正された結合力を生み出す。
係数c及びkを調整することによって、修正は、x1とx2との間の初期条件の差が経時的にゼロに最小化されることを確実にする。初期条件を一致させる場合、加えられた項はゼロであり、ラグランジュ乗数は無限剛性結合をシミュレーションする。
【0015】
図3及び図4を参照すると、丁度説明したアクチュエータ制御メカニズムの概略図が表されている。最初に図3を参照すると、力入力14a及び14bをそれぞれ有する、第1のアドミタンスコントローラ12a及び第2のアドミタンスコントローラ12bを備える結合制御アセンブリ10の概略ブロック図が示されている。制御アセンブリ10は、ハード結線された電子形態又はコンピュータ制御システム(例えば、マイクロプロセッサ及び/又は他のプログラマブル制御デバイスを備える)で具体化され得る、結合デバイス16を更に備える。
【0016】
初期入力力f1及びf2(それらのうちの少なくとも1つは、例えば人間の操作者から完全には導出されていない場合にその一部である可能性がある(及びそれらのうちの少なくとも1つは、それぞれのアクチュエータを介した結合デバイスからの信号から完全には導出されていない場合にその一部である可能性がある))は、第1のブロック関数17a及び17bなどの多くの特徴を備える計算アレイ、及びノード18への入力ポートを介して、結合コントローラ16に供給される。第1のブロック関数は、その出力がノード18に供給される、集中質量方程式、例えば、(f1m2)/(m1+m2)によって修正された力を決定する。得られた力は、ノード18において、集中質量m2/(m1+m2)及びm1/(m1+m2)にそれぞれ作用する入力力f1とf2との差から導出される。得られたラグランジュ乗数(ラムダ)は、出力20において、結合デバイス16から、それぞれのアドミタンスコントローラ12a及び12bの入力22a及び22bに供給される。その後、初期入力f1は、ノード24aにおいてラグランジュ乗数によって修正され、ノード24aから得られた力は、(アドミタンスコントローラ12aにより制御されるアクチュエータが作用する)質量m1、質量m1の速度(dotx1)及び位置x1で除算することによって加速度(二重dotx1)を、決定するために使用される。これは、ニュートン力学に基づいて図3に示される、既知の計算及び積分技法によって達成される。同様に、加速度、速度、及び位置のこれら3つの変数が、アドミタンスコントローラ12bがそれぞれのアクチュエータ(図示せず)を介して作用する質量m2に対して決定される。アドミタンスコントローラ12a及び12bの各々からの出力は、それぞれの質量m1及びm2を駆動するためのアクチュエータに供給される。
【0017】
ここで図4を参照すると、仮想ばね及びダンパを備える上述のシステムが、図4に示されている。このブロック図では、図3に関連して示されるものと同じ又は同様の機能を有する構成要素には、番号1にプレフィックスされた同じ2桁の参照番号が与えられている。従って、結合アドミタンスコントローラアセンブリ110は、第1のアドミタンスコントローラ112a及び第2のアドミタンスコントローラ112bを備える。結合コントローラ116は、入力力f1が、例えば、m2/(m1+m2)の比で乗算することによって修正されるように、図3に示す実施形態のように導出された、得られた力を比較するためのノード118を備える。
【0018】
比較ノード118から得られた力は、更なるノード140に供給される。ノード140への他の入力は、図4に示すように導出される。最初に、比較ノード130によってx1とx2との位置の差が決定され、この差は、摩擦パラメータブロック132で示される摩擦定数kによって修正される。速度dotx1とdotx2との比較は比較ノード134で行われ、これは、減衰パラメータブロック136において示される減衰定数Cによって修正される。次いで、減衰ブロック136及び摩擦ブロック132からの出力が、比較ノード138において追加される。ノード138から得られた出力は、ノード118から出力された力と比較するためにノード140に供給され、ラグランジュ乗数が計算ブロック142において決定される。
【0019】
得られたラグランジュ乗数、hatラムダは、結合コントローラ116から、アドミタンスコントローラ112a及び112bそれぞれへの入力122a及び122bに出力される。再度、入力力f1及びhatラムダの修正がノード124aにおいて行われ、かつ、入力力f2の修正がモード124bにおいてhatラムダを用いて行われ、それによって、修正が、アセンブリ110の構成に応じて適切に力を合計又は減算することを伴う。ここで、f1-hatラムダは、ノード124aからの適切な出力力をもたらす。アドミタンスコントローラ112a及び112bにおける加速度、速度、及び位置のその後の決定は、質量m1及びm2の制御を一致させるという有益な効果を有する。
【0020】
ギヤリングが存在する場合、g1x1=g2x2であり、従って剛性係数は、k(g1x1-g2x2)となり、減衰係数c(g1x1-g2x2)と同様になる。実際に、初期条件を統一するために仮想ダンパ及びばねを追加できること、これが次いで修正されたラグランジュ乗数部分に組み込まれること、及び使用する式が制約と互換性がある(制約に対して復元させる)必要があること、が明らかとなるであろう。従って、上記の式の決定は、ギヤリングなどの関連する制約に基づいて決定される。
【0021】
結合力の制限:結合力を制限することにより、2つの触覚制御間のブレークアウト挙動などの特殊効果をシミュレーションすることができる。これは、トルクブレークアウトチューブにより、パイロットと副操縦士が高い力デルタの場合に分離されるように制御することを可能にする、フライトシミュレーションアプリケーションに有用である。
【0022】
結合力は、以下に従って、ラグランジュ乗数の最大絶対値を制限することによって、キャップすることができる。
【数4】
最大結合力レベルラムダ_maxを用いて、hatλは、修正されたラグランジュ乗数を示す。このキャップ又は修正されたラグランジュ乗数は、例えば、図4に示すラグランジュ演算ブロック142において決定することができる。同様に、修正されたラグランジュ乗数を使用して摩擦係数cを有する摩擦結合をシミュレーションできる方法が、式5に示す例に表わされている。
【数5】
【0023】
本発明に係るラグランジュ乗数の方法は、ギヤ結合などのより複雑な制約に対処するために、更に容易に適用することができる。この場合、制約方程式は、以下であってもよい。
【数6】
ここで、g1及びg2は、ギヤ定数を表す。再度、仮想ワークの原理、及びラグランジュ乗数を使用することにより、以下が得られる。
【数7】
【0024】
ラムダがノード218から得られた乗数として示されている、対応するギヤ及び結合制御ループを図5に示す。
【0025】
図5を参照すると、先の実施形態と同様の、結合アドミタンスコントローラアセンブリ210の第3の実施形態が示されており、ここで同様の構成要素には、数字2でプレフィックスされた同じ2桁の参照番号が与えられている。従って、結合アドミタンスコントローラ構成210は、第1のアドミタンスコントローラ212a及び第2のアドミタンスコントローラ212bを備える。この実施形態は、それぞれのアドミタンスコントローラ212a及び212bによって制御されるアクチュエータのギヤリングの差に基づいてラグランジュ乗数ラムダが再計算されることを除いて、図3に示す実施形態と同様である。従って、ギヤリング乗数ブロックg1は、第1のアドミタンスコントローラ212aのモード224aにおける入力としてラムダを再計算するために使用され、同様に、結合コントローラ216の一部を形成するギヤリング乗数ブロックg2は、第2のアドミタンスコントローラ212bの一部を形成する比較ノード224bにおける入力としてラムダを決定するために使用される。
【0026】
図6-1及び図6-2を参照すると、2つの単一の自由度システムを有する、ギヤ結合の一例のアドミタンス制御アーキテクチャが示されている。図6-1及び図6-2は、機械的要素及び電気的要素を含むギヤ結合の実施形態のためのアーキテクチャ実装であり、仮想減衰/剛性及びギヤリングを含む。本発明による結合アドミタンスコントローラアセンブリ310が示されており、ここで先の実施形態と同じ又は同様の機能性を有する構成要素には、数字3によってプレフィックスされた同じ2桁の参照番号が与えられている。従って、ここで、結合デバイス316は、図6-1に示されるように式7に基づいてラグランジュ乗数の第1段階を決定する第1のノード318を備え、そのギヤシステムについては図5にも表面上示されている。
【0027】
しかしながら、ここでは、減衰、並びに摩擦ばね及びギヤ構成要素の両方を備える、より複雑なシステムが示されている。加えて、第1アドミタンスコントローラ312a及び第2アドミタンスコントローラ312bからの出力は、質量(図示されていないが、例えば、第1のアドミタンスコントローラ312aの場合には再度質量m1)を駆動するモータ上の増幅器まで、コントローラにリンクするように示されている。モータは、単一の自由度で動作して、例えば、アクチュエータロッドを駆動する。力セルが提供されて、測定力フィードバックループをノード318まで提供する。加えて、モータは、測定速度センサ及び測定位置センサの両方を備え、これらの測定速度及び測定位置(x1、v1及びx2、v2)は、図6-1及び図6-2に示すように、アドミタンスコントローラ312a及び312bにそれぞれフィードバックされる。
【0028】
従って、結合デバイス316は、例えば、図4の実施形態に関連して示されるように、それぞれのアドミタンスコントローラ312a及び312bからの速度及び位置に関する入力を再度受信する。位置と速度との比較が、比較ノード330、334、338~比較ノード340に供給され、それによって、得られたラグランジュ乗数が計算ブロック342において更に計算されて、修正ラグランジュ乗数ラムダ素数が決定できるように、ギヤリング乗算ブロックg1及びg2を介して、アドミタンスコントローラ312a及び312bそれぞれの入力ノード324a及び324bにそれぞれ供給される。しかしながら、特に、アドミタンスコントローラ312a及び312bは、それぞれ、比較ノード350a及び350bを更に備える。これらのノード350a及び350bへの入力は、それぞれ、測定位置X1X2と、アドミタンスコントローラ312a及び312bの両方の第2の積分器1/Sからそれぞれ決定された入出力位置にa及びbそれぞれに対するばね定数計算ブロック33を乗算したものと、の比較である、測定速度V1及びV2である。更に、アドミタンスコントローラ312a及び312bにより内部的に計算されたばね定数ブロックによって乗算された速度は、比較ノード350a及び350bにそれぞれ入力され、最後に、ばね定数による乗算後に再度決定された加速度が、ノード350a及び350bへの第4の入力として入力される。得られたコースは、コントローラに及び増幅器上に供給され、それによってモータに、関連する作動ロッドを駆動させる。
【0029】
図6-1及び図6-2に示す実施形態をチャネルごとに再配置することで、各チャネルは、単一のアドミタンスコントローラ及び単一のアクチュエータとして説明することができる。本発明は、複数の単一チャネルの組み合わせを結合することを可能にする。例えば、特定の触覚コントローラは、入力デバイスにサービス提供するために専用の少なくとも3つのチャネルを必要とし、別の触覚コントローラの6つの自由度入力デバイスは、6つのチャネルを必要とし得る。n個のチャネルを有する医療用ロボットにおけるような仮想ツール又は実際の物理ツールなど、任意の数の出力デバイスを想定することができる。チャネル間の結合は、コンプライアンス及び減衰行列で任意選択的に強化された、ラグランジュ乗数手順を介して行われる。図10は、2つ以上のシステムを結合するアーキテクチャを示す。有利なことに、各アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリは、ネットワーク内で独自のアイデンティティを有し、従って独自に制御可能であり、各アセンブリは、等価動作を可能にするように最適に制御されたピアツーピアアセンブリと等価である。
【0030】
そこで図7を参照すると、結合デバイス316がより明確に識別されている、図6-1及び図6-2の実施形態の変形形態が示されている。それは、別個の電子デバイスであってもよく、そうでなくてもよい。例えば、結合デバイス316は、例えば、アドミタンスコントローラ及び/又はアクチュエータを備えるシステムの一部を形成してもよい。実際に、そのような結合コントローラは、ネットワーク内の各アセンブリへの適切な出力を決定するために、1つが全ての関連する入力を受信する主結合コントローラとして作用する、2つ以上のそのようなシステムの一部であり得る。
【0031】
図8は、アドミタンスコントローラ312a及びアクチュエータによって表され得る、図7からの個々のチャネルをより明確に示す。
【0032】
結合デバイス316は、入力及び出力を備えると同時に、全てのシステム上の位置、速度、及び測定力を考慮して、各システムに対する結合力を出力する計算デバイスとして基本的に挙動する。複数のシステムを結合したい場合、論理的ステップは以下であり、すなわち、制約方程式D_k=0のセットに関して所望の結合を書き留め、記載されているラグランジュ乗数法を使用して制約を解決して、λkラグランジュ乗数関数を得る、ことである。これにより、結合力を計算するための式が与えられる。結合デバイス316は、この得られた式を使用して、位置、速度、及び測定力からの結合力をその出力として計算する。
【0033】
図9は、減衰及びコンプライアンス関数が含まれるときの線形制約の場合に対する結合ブロックの例示的な仕様を示し、ブレークアウトシミュレーションの可能性が追加されている。線形制約に対するマルチチャネル結合コントローラの仕様は、ラグランジュ乗数(λ)、減衰(C)、並びにコンプライアンス(K)及び結合力(CF)変数を含む。ここで、全体的なシステムは、図6-1及び図6-2、図7、及び図8の2つのアドミタンスコントローラ312a及び312bよりも、複数の(n)チャネルを可能にするようにスケーリングされる。図9には、変換関数T、各アドミタンスコントローラの入力力に対する力関数F、ラグランジュ関数ラムダ、並びに、例えばコンプライアンスK及び減衰Cに対する、位置及びベクトル計算機能が示されている。ラグランジュλ、コンプライアンスK、減衰C関数からの出力は、結合力関数CFを使用して各アクチュエータへの制御出力を決定する前に、選択関数Uで処理される。
【0034】
変換関数Tは、アクチュエータ入力又は負荷に対する、例えば、アドミタンスコントローラ312a及び312b(又はモデルフォロワドメイン)からの、及びそれらへの、幾何学的変換の両方の関数を実行する。関数Tは、ギヤリング及びリンケージによる反射質量又は慣性の影響を考慮する。図6-1及び図6-2は、G1/G2ブロックでのこの効果を示しているが、モータアクチュエータ段階における線形ギヤリングを想定している。図9の変換関数Tは、任意の段階における線形又は非線形リンケージ、ローディング、及びギヤリングを考慮する、より一般的な形態である。行列要素は、各チャネル間の関係を確立するために使用することができ、チャネル間の非直交クロス結合効果を考慮することができる。
【0035】
選択関数Uは、ベクトル(λ、C、及びKベクトル演算からの組み合わせ出力)乗算である。U選択行列の追加により、各チャネル間の関係を指定すること、又は対角行列要素及び非対角行列要素に追加することによって、任意のチャネル間で、合計ジャンクションを作成すること、若しくはスケーリングを行うことを可能にする。図10は、クロスチャネル結合がなく、力(Fcm)間の合計が選択関数Uに合計される、2DOFシステムの例である。図10のように、合計は、所望に応じて、U選択行列の外側にあり得る。この実施例では、スライド及びクーロン摩擦、並びに限定されたコンプライアンス結合をシミュレーションする総結合力の単純な飽和が存在すると想定する。この実施例では、質量効果、コンプライアンス、及び減衰の寄与が、図8のように、単一の飽和演算子を介して考慮される。U1チャネルとU2チャネルとの間の関係は、独立しているか、又はそれらチャネルを、結合力関数CFが追加される方法により相互に関連付けてもよい。U関数及びCF関数の選択的な追加により、コンプライアンス、減衰、質量効果の個々の寄与又は割合を、各チャネルに適用することができる。任意のタイプの線形又は非線形演算子を力結合関数CFに加えることができ、並びに、非対角行列要素に追加することによって、任意のクロスチャネル効果を加えることができる。それゆえ、これは、結合力関数CFの要素を選択的に追加し、選択関数Uを介してチャネルを混合することを通じて関係を規定することによって、各チャネルを互いに対してマッピングする手段を提供する。
【0036】
各コントローラステップにおいてラグランジュ乗数手順によって推測される仮想結合力を出力するために、結合力関数CFによって実行される計算は、以下のとおりである。
【数8】
ここでΛは、図9のΛブロックに対応する。減衰及びコンプライアンスは、一般的な場合、依然として選択され得る速度及び位置の関数であり、それらは、典型的には、制約に関して修復的であるように選択される。線形制約関数Dkの場合、それらは、標準の減衰行列及びコンプライアンス行列に低減され、次いで、図9のように、それぞれ位置及び速度の関数のみとなる。結合に関連する全ての力を合計した後、ブレークアウト挙動は、システム間の結合力を出力として与える前の最終ステップとしてシミュレーションすることができる。
【0037】
本発明に係るこのアーキテクチャは、例えば、ブレークアウトシミュレーションを用いて、ギヤ結合を順番に配列することを可能にする。また、元の特許における直接結合が、最適なものであることも示す。しかし、これらにのみ限定されるものではなく、例えば、第1のシステムが第2のシステムに対して角度αだけ回転するように結合されるべき、2つの二重アクチュエータシステムも想定することができる。従って、行われる必要がある唯一のことは、この回転に対応する制約を書き留めることであり、必要とされるλパラメータはロールアウトされる。そうして、開発のパワーは、同じアーキテクチャを多くの異なる結合挙動のために使用できること、及び変更する必要があり得る全ては、コマンドされた力からλ計算する方法ということになる。換言すれば、システムを接続するのと同じ方法を、全ての可能な相互接続機能に使用することができ、変化し得る全てはλの計算だけである。本発明は、複数のシステムを一緒に接続する標準的な方法を与えることによって、従来技術を改善する。
【0038】
アドミタンスコントローラを有するアクチュエータの(インデックスiでラベル付けされている)セットであって、その一部が同じシステムに属し、他はリモートにあり、これらのアクチュエータの各々に対して測定及びコマンドされた力f_iの合計が、図3図6-2の基礎となるアーキテクチャを介して接続されると想定されるとすると、タスクは、所望の結合に対応する結合力を見つけることである。手順の開始点は、所望の結合関係である。これらは、制約方程式D_k(x)=0の(kとラベル付けされている)セットとして書き込まれる。次いで、運動方程式を(解析的又は数値的に)解いて、各制約に対してラグランジュ乗数λ_kを1つずつ与えることができ、ここで、各λ_kは入力力f_iの関数である。次いで、マルチボディメカニクスは、Λ_iを合計すると、λ_kが物理的に接続されたシステムの制約力であることを我々に伝える。この時点で、復元力(速度ベースの減衰、位置ベースのばね)などの他の力を追加して、各アクチュエータiに対する主な(仮の)結合力を与えることができる。次のステップでは、このアーキテクチャ及び手順を使用する際に、結合力が明示的に現れるため、ブレークアウトシミュレーションなどの、他の結合力ベースのシミュレーションを行うことができる。出力は、各アクチュエータiの最終的な結合力C_iである。次いで、計算された結合力C_iに、測定+コマンドされた力f_iを加えたものが、アクチュエータiのアドミタンスコントローラの入力に送られる。
【0039】
ここで、非線形システムの例を見るべく、2つのアドミタンスコントローラの非線形結合の例である図11を参照すると、1つのコントローラ(A)は、直線内を(-1から+1に)移動し、他方のコントローラ(B)は、直線上へのyの投影を同期させたままにすることによって、yが-1から+1にもなるように、半円で移動する。この所望の結合の制約は、以下のとおりである。
【数9】
【0040】
続くラグランジュ乗数は、以下によって与えられる。
【数10】
【数11】
ここで明確にわかるのは、結合力が、位置及び速度に非線形に依存することである。結合が最適であり、コントローラにおける計算をはるかに迅速にできるため、導出では、代わりに、yの正弦と余弦を速度で置き換えることが可能であったことに留意されたい。
【0041】
ここで、運動方程式が非集中質量行列を特徴とする、2つのアドミタンスコントローラの例示的な結合を検討する。
【数12】
更に、これら2つの間の結合制約は、指数関数的に与えられる。
【数13】
【0042】
次いで、ラグランジュ乗数は、以下によって与えられる。
【数14】
【数15】
結合力を介して実装できる、元の非集中システム方程式から追加された結合質量(μ)項の存在に留意されたい。
【0043】
最後に、他の利点の中でも、本発明は、有利なことに、触覚制御ループの無限剛性結合を可能にし、かつ、ブレークアウト挙動及び摩擦ベースの(すなわちクラッチ)結合などの特殊なシミュレーション機能を可能にすることを、当業者には留意されたい。これは、初期条件の問題に対処するための安定した方法を提供し、そのようなブレークアウト挙動をシミュレーションする必要がある制御負荷フライトシミュレーションデバイスの分野に非常に適用可能である、無限の剛性ブレークアウト結合を可能にする。本発明は、時間を節約し、複雑な結合制約の実装の品質を改善する、複数の力ベースのアドミタンスループを制約する方法を、非常に一般的かつ容易に実施する方法を記載する。本発明は、記載される実施形態、又は図に示されるものに限定されない。
[態様1]
第1アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリと第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリとの間で通信するように最適に構成された結合デバイス(16、116、216、316)であって、前記第1及び前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリが、第1及び第2のそれぞれのアクチュエータを駆動するように構成された第1及び第2のアドミタンスコントローラ(12a、12b)をそれぞれ有し、前記第1及び前記第2のアクチュエータの各々が、第1の質量を有する第1の本体と、第2の質量を有する第2の本体とにそれぞれ接続されており、前記結合デバイス(16、116、216、316)が、
前記第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12a)から第1の入力力信号(f1)を受信するための第1の入力と、前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12b)から第2の入力力信号(f2)を受信するための第2の入力と、を有する入力ポートと、
前記第1の入力力信号と前記第2の入力力信号との比較、並びに前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの特性に応じて、ラグランジュ乗数に基づいて、前記第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリへの出力のための第1の出力力信号を導出するように適合されているプロセッサと、を備える、結合デバイス。
[態様2]
前記ラグランジュ乗数は、前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリのうちの少なくとも1つのホロノミック制約に依存する、態様1に記載の結合デバイス。
[態様3]
前記少なくとも1つの特性は、前記第1の質量及び前記第2の質量のうちの少なくとも1つの前記質量である、態様1又は2に記載の結合デバイス。
[態様4]
前記プロセッサは、前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12b)への出力のための第2の出力力信号を導出するように適合されている、態様1~3のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様5]
前記プロセッサは、前記第1の入力力と前記第2の入力力との力差を、各々が前記他のアセンブリと等価な集中質量で乗算された後に決定する、態様1~4のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様6]
前記力差は、方程式デルタ=((f1m2)-(f2m1))/(m1+m2)に従って、前記第1及び第2の質量(m1+m2)の合計で除算された前記第2の質量(m2)で乗算された前記第1の入力力と、前記第1及び第2の質量(m1+m2)の前記合計で除算された前記第1の質量(m1)で乗算された前記第2の入力力との間で決定される、態様5に記載の結合デバイス。
[態様7]
前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12a、12b)が、前記それぞれの第1の質量(m1)及び第2の質量(m2)を駆動するための異なるギヤ比(g1、g2)を備える場合に動作し、それによって、前記プロセッサが、前記第1及び前記第2のアセンブリのギヤ比の差に応じて、前記第1及び前記第2のアセンブリから入力力の差を導出する、ように適合されている、態様1~6のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様8]
前記力差は、前記第1及び第2のアセンブリ(12a、12b)の前記ギヤ比g1及びg2の二乗に依存する計算に基づいて決定され、好ましくは、デルタ=((f1g1m2)-(f2g2m1))/(g1 m2+g2 m1))として与えられる、態様7に記載の結合デバイス。
[態様9]
前記結合デバイスから前記第1のアセンブリ(12a)への前記第1の出力力は、前記第1のアセンブリギヤ比(g1)によって更に修正され、前記結合デバイスから前記第2のアセンブリ(12b)への前記第2の出力
[態様10]
前記入力ポートは、前記第1のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリから第3の信号、及び前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリからの第4の信号を受信するように更に適合され、第3及び第4の信号が、前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの変数を表し、それによって、前記結合デバイスが、前記第3及び第4の信号を分析して、前記第3及び第4の信号の両方に依存するラグランジュ乗数に基づく、前記第1並びに前記第2のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリへの出力のための第1及び第2の出力力信号を導出する、態様1~9のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様11]
前記変数は、位置、速度、及び加速度のうちの少なくとも1つであり、好ましくは、前記変数は、前記入力力に基づいて導出された変数であり、好ましくは、ニュートン力学から決定される、態様10に記載の結合デバイス。
[態様12]
前記変数は、前記それぞれのアセンブリの測定された変数である、態様11に記載の結合デバイス。
[態様13]
前記プロセッサは、位置入力変数と、仮想ばねの使用との比較をして、前記質量m1及びm2の実際の位置を互いに一致したままにすることを可能にする、態様10~12のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様14]
前記プロセッサは、速度入力変数と、仮想減衰効果の使用との比較をして、前記質量m1及びm2の前記位置を互いに一致したままにする効果を達成することを可能にする、態様10~13のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様15]
前記プロセッサが、最大力設定を可能にし、それによって少なくとも1つのアドミタンスコントローラの、別のアドミタンスコントローラからの「ブレークアウト」を可能にする、態様1~14のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様16]
前記入力ポートは、2つ以上のコントローラアセンブリから入力を受信し、ピアツーピア構成、ピアツー多構成、マスタツースレーブ構成、マスタツー複数スレーブ構成、及び多対多構成、のうちの少なくとも1つを備える複数の構成内の各々に出力フォースフィードバックを提供する、ように構成されている、態様1~15のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様17]
前記第1及び前記第2の出力力信号が同じである、態様4に記載の結合デバイス。
[態様18]
3つ以上のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの最適な制御を可能にするように構成された、結合デバイス(16、116、216、316)であって、各アセンブリが、質量を有する本体に接続されたアクチュエータを駆動するように構成されたアドミタンスコントローラ(12a、12b)を有し、前記結合デバイス(16、116、216、316)が、
前記アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ(12a、12b)から、入力力信号(f1、f2)を受信するための入力を有する入力ポートと、
特定のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの個々の特性に基づいて、及び前記入力力信号の比較に基づいて、前記アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリの各々への出力のための出力力信号を導出するように適合されたプロセッサと、を備える、態様1~17のいずれか一項に記載の結合デバイス。
[態様19]
態様1~18のいずれか一項に記載の結合デバイスを備える、アクチュエータの分散システム。
[態様20]
一緒に結合された、一対のアドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリとを備える、態様19に記載の分散システム。
[態様21]
態様1~18のいずれか一項に記載の結合デバイスを備える、アドミタンスコントローラ及びアクチュエータのアセンブリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11