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特許7303802A33抗体組成物および放射性免疫療法におけるその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】A33抗体組成物および放射性免疫療法におけるその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230628BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20230628BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230628BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230628BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230628BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230628BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230628BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230628BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230628BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20230628BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230628BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20230628BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/30
C07K16/46
C12N15/63 Z ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K51/10 100
A61K51/10 200
A61P35/00
C12N15/62 Z
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020516818
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 US2018052253
(87)【国際公開番号】W WO2019060750
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】62/562,373
(32)【優先日】2017-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/562,374
(32)【優先日】2017-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【弁理士】
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジーハオ
(72)【発明者】
【氏名】シュー ホン
(72)【発明者】
【氏名】チュン ナイ-コン
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-512624(JP,A)
【文献】国際公開第2016/130539(WO,A2)
【文献】特表平07-504334(JP,A)
【文献】特表2017-504578(JP,A)
【文献】European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging,2016年05月,43, 5,925-937
【文献】British Journal of Cancer,1995年,72,1364-1372
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C12N 15/63
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C07K 16/46
A61K 39/395
A61K 51/10
A61P 35/00
C12N 15/62
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:5、配列番号:6、配列番号:15、配列番号:19、配列番号:58、または配列番号:62に存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)アミノ酸配列、および、
配列番号:9、配列番号:10、または配列番号:17に存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)アミノ酸配列を含む、抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
以下から成る群より選ばれるV H アミノ酸配列およびV L アミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント:
配列番号:5および配列番号:9(3A3-H1/L1);
配列番号:5および配列番号:10(3A3-H1/L2);
配列番号:6および配列番号:9(3A3-H2/L1);および、
配列番号:6および配列番号:10(3A3-H2/L2)
【請求項3】
以下から成る群より選ばれるHCアミノ酸配列およびLCアミノ酸配列を含む、請求項1記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント:
配列番号:15および配列番号:17(huA33-IgG1(H2L2));
配列番号:19および配列番号:21(huA33-BsAb);
配列番号:58および配列番号:60(huA33-huC825);および
配列番号:62および配列番号:63(huA33-mC825)。
【請求項4】
配列番号:57の連続する少なくとも5から8アミノ酸残基を含むA33タンパク質のエピトープに結合する、請求項1~3のいずれか1項記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
二重特異性抗体である請求項1~4のいずれか1項記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメントであり、前記A33抗体は二重特異性抗体であり、T細胞、B細胞、骨髄細胞、形質細胞、またはマスト細胞に結合する、または前記抗A33二重特異性抗体がCD3、CD4、CD8、CD20、CD19、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA-DR、CD74、CD22、CD14、CD15、CD16、CD123、TCRガンマ/デルタ、NKp46、KIR、または小分子DOTAハプテンに結合する、または前記抗A33二重特異性抗体が放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原と結合する、前記抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
N297AおよびK322Aから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含むIgG1定常領域を含む、またはS228P変異を含むIgG4定常領域を含む、および/または、
α-1,6-フコース改変を欠く、
請求項1~6いずれか1項に記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする組換え核酸または配列番号:7、8、11、12、16、18、20、22、59および61から成る群から選択される配列を有する組換え核酸
【請求項9】
請求項8に記載の組換え核酸を含む宿主細胞またはベクター。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを含む組成物。
【請求項11】
追加の治療薬剤と別々に投与、逐次的投与または同時投与用に処方されている、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
追加の治療薬剤が、アルキル化剤、白金剤、タキサン、ビンカ剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣抑制剤、VEGF/VEGFR阻害剤、EGF/EGFR阻害剤、PARP阻害剤、細胞増殖抑制アルカロイド、細胞傷害性抗生物質、抗代謝剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート治療剤の1つ以上である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
対象におけるA33関連癌を治療するための、請求項1~7のいずれか1項記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を含む組成物。
【請求項14】
A33関連癌が、結腸直腸癌、腹膜偽性粘液腫、虫垂癌、膵臓癌または胃癌である、および/または、
A33関連癌がMSI遺伝子型またはMSS遺伝子型を有する結腸直腸癌である、
請求項13記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を含む、対象動物の腫瘍をin vivoで検出するための組成物であって、前記抗A33抗体がA33を発現する腫瘍に局在するように構成され、かつ放射性同位体で標識されている、前記組成物。
【請求項16】
請求項6記載の抗A33二重特異性抗体の有効量を含む、対象動物における固形腫瘍を検出するための組成物であって、前記抗A33二重特異性抗体が放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原に結合する、前記組成物。
【請求項17】
A33陽性癌と診断された対象動物で放射線療法に対する腫瘍の感受性を増加させるまたは対象動物で癌を治療するための組成物であって、放射性標識DOTAハプテンおよび請求項6記載の抗A33二重特異性抗体を含む複合体の有効量を含み、前記複合体がA33発現腫瘍に局在するように構成されており、前記抗A33二重特異性抗体が放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原に結合する、前記組成物。
【請求項19】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント、および使用のための指示書を含むキット。
【請求項20】
抗A33抗体またはその抗原結合フラグメントが、放射性標識、蛍光標識および発色性標識から成る群から選択される少なくとも1つの検出可能標識と結合されている、請求項19記載のキット。
【請求項21】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗A33抗体またはその抗原結合フラグメントと特異的に結合する二次抗体をさらに含む、請求項19または20記載のキット。
【請求項22】
抗A33抗体またはその抗原結合フラグメントが、同位体、色素、色原体、造影剤、薬物、毒素、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、増殖因子、放射性核種、金属、リポソーム、ナノ粒子、RNA、DNAまたは前記の任意の組合せから成る群から選択される薬剤と複合体化されている、請求項10記載の組成物。
【請求項23】
結腸直腸癌がKRAS G12D変異またはp53変異を伴う、請求項14記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互引用)
本出願は、米国仮特許出願No.62/562,373(2017年9月23日出願)および米国仮特許出願No.62/562,374(2017年9月23日出願)(それらの内容は参照によってその全体が本明細書に含まれる)の利益並びに優先権を主張する。
(技術分野)
本技術は概して、A33タンパク質に特異的に結合する免疫グロブリン関連構成物(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)の調製およびその使用に関する。特に、本技術は、A33中和抗体の調製並びにA33関連癌の検出および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術の背景に関する以下の記述は、単純に本技術の理解の助けとして提供され、本技術の先行技術を記載したものでもまたは先行技術を構成するものでもない。
結腸直腸癌(CRC)は、米国で3番目に多い癌の死亡原因を構成し(Siegel RL, Miller KD, Jemal A, CA: A Cancer Journal for Clinicians 67:7-30, 2017)、全世界の全ての癌の男性で10%、女性で9.2%を占める(Ferlay J, Soerjomataram I, Dikshit R, et al., International Journal of Cancer 136:E359-E386, 2015)。2004年から2013年まで毎年3%の着実な減少傾向があるものの、2017年には米国単独で135,000の新規症例が予想される。限局化および局所性疾患は治癒可能であるが、転移CRC(mCRC)の予後は不良であり、5年生存率はわずか14%である(Siegel RL, Miller KD, Jemal A, CA: A Cancer Journal for Clinicians 67:7-30, 2017)。
mCRCの標準治療は、腫瘍シグナリングまたは脈管形成を遮断するモノクローナル抗体を併用した化学療法から成る。現在のところCRC治療には4つのモノクローナル抗体薬がFDA承認されている。ベバシズマブおよびラムシルマブはVEGF-VEGFR脈管形成経路を標的とし、一方、セツキシマブおよびパニツムマブはEGFR経路を標的とする。しかしながら、セツキシマブおよびパニツムマブは、RAS変異を有するmCRCには臨床的利益を提供せず(Van Cutsem E, Cervantes A, Adam R, et al., Annals of Oncology 27:1386-1422, 2016)、RAS変異は全mCRCの40%で見出される(Bencsikova B, Bortlicek Z, Halamkova J, et al., BMC Gastroenterology 15:37, 2015)。さらにまた、これらの抗体による生存の改善は概して控えめであり(Peeters M et al., Journal of Clinical Oncology 28:4706-4713, 2010;Cutsem EV et al., Journal of Clinical Oncology 29:2011-2019, 2011;Saltz LB et al., Journal of Clinical Oncology 26:2013-2019, 2008)、かつ重篤な副作用を伴い得る。免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の利点は、マイクロサテライト不安定性(MSI)を有するCRC患者の一部集団に限定されている。しかしながら、mCRCの患者の大半はマイクロサテライト安定性(MSS)であり、したがってICI単独療法の利点は期待されない。これまでのところ、腫瘍に毒素を誘導する抗体の使用(例えば直接的複合体化抗体を用いる放射性免疫療法)は限定的成功を有するだけで、それは部分的には最適に達しない腫瘍線量指数および治療指数に起因する。さらにまた、正常組織バイスタンダー毒性のために、用量の段階的拡大は実行可能ではなく、したがってそのような治療方法は限定的な抗腫瘍効果を生じる。
【発明の概要】
【0003】
ある特徴では、本開示は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、ここで、(a)VHは、FTFSTYDMS(配列番号:37)のVH-CDR1配列、TISSGGSYTYYLDSVKG(配列番号:38)のVH-CDR2配列、およびTTVVPFAY(配列番号:39)のVH-CDR3配列を含み、および/または(b)VLは、KASQNVRTVVA(配列番号:40)、LASNRHT(配列番号:41)およびQYWSYPLT(配列番号:42);KASQNVRTVVA(配列番号:40)、LASDRHT(配列番号:43)およびQYWSYPLT(配列番号:42);KASQNVRTLVA(配列番号:44)、LASNRHT(配列番号:41)およびQHWSYPLT(配列番号:45);並びにKASQNVRTLVA(配列番号:44)、LASNRHT(配列番号:41)およびQYWSYPLT(配列番号:42)から成る群から選択される、VL-CDR1配列、VL-CDR2配列およびVL-CDR3配列を含む。
抗体はさらにまた、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgDおよびIgEから成る群から選択されるアイソタイプのFcドメインを含むことができる。いくつかの実施態様では、抗体は、N297AおよびK322Aから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含むIgG1定常領域を含む。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、抗体はS228P変異を含むIgG4定常領域を含む。ある種の実施態様では、抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvおよびFvから成る群から選択される。いくつかの実施態様では、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または二重特異性抗体である。ある種の実施態様では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号:57の連続する少なくとも5から8アミノ酸残基を含むA33タンパク質のエピトープに結合する。いくつかの実施態様では、エピトープは立体構造エピトープである。
【0004】
別の特徴では、本開示は抗体を提供し、前記抗体は、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:15、配列番号:19、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:58、配列番号:62を含む重鎖(HC)アミノ酸配列または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する前記の変種、および/または配列番号:9、配列番号:10、配列番号:17、配列番号:21、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:60、配列番号:63を含む軽鎖(LC)アミノ酸配列または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する前記の変種を含む。ある種の実施態様では、抗体は、配列番号:5および配列番号:9(3A3-H1/L1);配列番号:5および配列番号:10(3A3-H1/L2);配列番号:6および配列番号:9(3A3-H2/L1);配列番号:6および配列番号:10(3A3-H2/L2);配列番号:15および配列番号:17(huA33-IgG1(H2L2));配列番号:19および配列番号:21(huA33-BsAb);配列番号:23および配列番号:24(クローン31);配列番号:25および配列番号:26(クローン32);配列番号:27および配列番号:28(クローン48);配列番号:29および配列番号:30(クローン49);配列番号:31および配列番号:32(クローン53);配列番号:33および配列番号:34(クローン56);配列番号:35および配列番号:36(クローン57);配列番号:58および配列番号:60(huA33-huC825);および配列番号:62および配列番号:63(huA33-mC825)から成る群から選択される、HCアミノ酸配列およびLCアミノ酸配列をそれぞれ含む。
【0005】
ある特徴では、本開示は抗体を提供し、前記抗体は、(a)配列番号:9、10、17、21、24、26、28、30、32、34、36、60または63のいずれか1つに存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または(b)配列番号:5、6、15、19、23、25、27、29、31、33、35、58または62のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む。
別の特徴では、本開示は抗体を提供し、前記抗体は、(a)配列番号:9、10、17、21、24、26、28、30、32、34、36、60または63のいずれか1つに存在するLC配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるLC配列;および/または(b)配列番号:5、6、15、19、23、25、27、29、31、33、35、58または62のいずれか1つに存在するHC配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるHC配列を含む。
上記実施態様のいずれにおいても、抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、抗体は、N297AおよびK322Aから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含むIgG1定常領域を含む。ある種の実施態様では、本技術の抗体は、S228P変異を含むIgG4定常領域を含む。上記実施態様のいずれにおいても、抗体は、配列番号:57の連続する少なくとも5から8アミノ酸残基を含むA33タンパク質のエピトープに結合する。いくつかの実施態様では、エピトープは立体構造エピトープである。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、本技術の抗体はα-1,6-フコース改変を欠く。
【0006】
ある特徴では、本開示は、本明細書に記載する抗体のいずれかをコードする組換え核酸配列を提供する。いくつかの実施態様では、組換え核酸配列は、配列番号:7、8、11、12、16、18、20、22、59および61から成る群から選択される。
別の特徴では、本開示は、本明細書に開示する組換え核酸配列のいずれかを含む宿主細胞またはベクターを提供する。
ある特徴では、本開示は、本技術の抗体または抗原結合フラグメントおよび医薬的に許容できる担体を含む組成物を提供し、前記抗体または抗原結合フラグメントは、場合によって、同位体、色素、色原体、造影剤、薬物、毒素、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、ホルモン拮抗剤、増殖因子、放射性核種、金属、リポソーム、ナノ粒子、RNA、DNAまたは前記の任意の組合せから成る群から選択される薬剤と複合体化される。
本技術の二重特異性抗体のいくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、T細胞、B細胞、骨髄細胞、形質細胞、またはマスト細胞に結合する。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は、CD3、CD4、CD8、CD20、CD19、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA-DR、CD74、CD22、CD14、CD15、CD16、CD123、TCRガンマ/デルタ、NKp46、KIR、または小分子DOTAハプテンに結合する。小分子DOTAハプテンは以下から成る群から選択できる:DOTA、DOTA-Bn、DOTA-デスフェリオキサミン、DOTA-Phe-Lys(HSG)-D-Tyr-Lys(HSG)-NH2、Ac-Lys(HSG)D-Tyr-Lys(HSG)-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Asp-D-Lys(HSG)-D-Asp-D-Lys(HSG)-NH2;DOTA-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Ala-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(Bz-DTPA)-D-Tyr-D-Lys(Bz-DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(DOTA)-NH2、Tscg-D-Cys-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Ala-D-Lys(DOTA)-D-Cys-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、およびAc-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2
【0007】
別の特徴では、本開示は、A33関連癌をその必要がある対象動物で治療する方法を提供し、前記方法は、本明細書に開示する抗体のいずれか1つの有効量を対象動物に投与する工程を含む。ある種の実施態様では、抗体は、配列番号:5および配列番号:9(3A3-H1/L1);配列番号:5および配列番号:10(3A3-H1/L2);配列番号:6および配列番号:9(3A3-H2/L1);配列番号:6および配列番号:10(3A3-H2/L2);配列番号:15および配列番号:17(huA33-IgG1(H2L2));配列番号:19および配列番号:21(huA33-BsAb);配列番号:23および配列番号:24(クローン31);配列番号:25および配列番号:26(クローン32);配列番号:27および配列番号:28(クローン48);配列番号:29および配列番号:30(クローン49);配列番号:31および配列番号:32(クローン53);配列番号:33および配列番号:34(クローン56);配列番号:35および配列番号:36(クローン57);配列番号:58および配列番号:60(huA33-huC825);並びに配列番号:62および配列番号:63(huA33-mC825)から成る群から選択されるHCアミノ酸配列およびLCアミノ酸配列をそれぞれ含み、前記抗体はA33活性に特異的に結合しこれを中和する。
いくつかの実施態様では、A33関連癌は、結腸直腸癌、腹膜偽性粘液腫、虫垂癌、膵臓癌または胃癌である。A33関連癌は、MSI遺伝子型またはMSS遺伝子型を有する結腸直腸癌であり得る。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、結腸直腸癌はKRAS G12D変異またはp53変異を伴う。
【0008】
加えて或いはまた別に、当該方法のいくつかの実施態様では、抗体は、追加の治療薬剤と別々に、逐次的に、または同時に対象動物に投与される。追加の治療薬剤の例には以下の1つ以上が含まれる:アルキル化剤、白金剤、タキサン、ビンカ剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣抑制剤、VEGF/VEGFR阻害剤、EGF/EGFR阻害剤、PARP阻害剤、細胞増殖抑制アルカロイド、細胞傷害性抗生物質、抗代謝剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート治療剤。
別の特徴では、本開示は対象動物の腫瘍をin vivoで検出する方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)本技術の抗体の有効量を対象動物に投与する工程(前記抗体はA33を発現する腫瘍に局在するように構成され、かつ放射性同位体で標識される);および(b)抗体により放射される、参照値よりも高い放射能レベルを検出することによって、対象動物で腫瘍の存在を検出する工程。いくつかの実施態様では、対象動物は、癌と診断されるかまたは癌を有する疑いがある。抗体によって放射される放射能レベルは、陽電子放射断層撮影法または単光子放射コンピュータ断層撮影法を用いて検出できる。
加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、放射性核種と複合体化された本技術の抗体を含む免疫複合体の有効量を対象動物に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、放射性核種は、アルファ粒子放射同位体、ベータ粒子放射同位体、オージェ-エミッター、または前記の任意の組合せである。ベータ粒子放射同位体の例には、86Y、90Y、89Sr、165Dy、186Re、188Re、177Lu、および67Cuが含まれる。当該方法のいくつかの実施態様では、正常組織における非特異性FcR依存結合は除去または軽減される(例えばFc領域のN297A変異による(前記変異は非グリコシル化をもたらす))。
【0009】
A33関連癌の検出および/または治療用キットもまた本明細書で開示され、前記キットは、本技術の少なくとも1つの免疫グロブリン関連構成物(例えば本明細書に記載する任意の抗体または抗原結合フラグメント)、またはその機能的変種(例えば置換変種)および使用のための指示書を含む。ある種の実施態様では、免疫グロブリン関連構成物は1つ以上の検出可能な標識と結合される。ある実施態様では、1つ以上の検出可能標識は、放射性標識、蛍光標識、または発色性標識を含む。
加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、キットはさらにまた、本明細書に記載する抗A33免疫グロブリン関連構成物と特異的に結合する二次抗体を含む。いくつかの実施態様では、二次抗体は、放射性標識、蛍光標識または発色性標識から成る群から選択される少なくとも1つの検出可能標識と結合される。
【0010】
ある特徴では、本開示は、固形腫瘍をその必要がある対象動物で検出する方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)放射性標識DOTAハプテン並びに放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原と結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程(前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原を発現する固形腫瘍に局在するように構成される);および(b)複合体により放射される、参照値よりも高い放射能レベルを検出することによって、対象動物で固形腫瘍の存在を検出する工程。
別の特徴では、本開示はプレターゲッテイング放射性免疫療法のための対象動物を選別する方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)放射性標識DOTAハプテン並びに放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原と結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程(前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原を発現する固形腫瘍に局在するように構成される);(b)複合体により放射される放射能レベルを検出する工程;および(c)複合体により放射される放射能レベルが参照値よりも高いときに、プレターゲッテイング放射性免疫療法のための対象動物を選別する工程。
【0011】
ある特徴では、本開示は、A33陽性癌と診断された対象動物で放射線療法に対する腫瘍の感受性を増加させる方法を提供し、前記方法は、放射性標識DOTAハプテン並びに放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原標的を認識しこれと結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程を含み、前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される。
別の特徴では、本開示はその必要がある対象動物で癌を治療する方法を提供し、前記方法は、放射性標識DOTAハプテン並びに放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原標的を認識しこれと結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程を含み、前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される。
本明細書に開示するこれら方法の上記実施態様のいずれにおいても、複合体は、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、脳室内、経口または鼻内投与される。本明細書に開示するこれら方法のいくつかの実施態様では、対象動物は人間である。加えて或いはまた別に、本明細書に開示するこれら方法の上記実施態様のいずれにおいても、放射性標識DOTAハプテンは、213Bi、211At、225Ac、152Dy、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、221Fr、217At、255Fm、86Y、90Y、89Sr、165Dy、186Re、188Re、177Lu、67Cu、111In、67Ga、51Cr、58Co、99mTc、103mRh、195mPt、119Sb、161Ho、189mOs、192Ir、201Tl、203Pb、68Ga、227Th、または64Cuを含み、さらに場合によってアルファ粒子放射同位体、ベータ粒子放射同位体、またはオージェエミッターを含む。
【0012】
ある特徴では、本開示は、A33陽性癌と診断された対象動物で放射線療法に対する腫瘍の感受性を増加させる方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)本技術の抗DOTA二重特異性抗体の有効量を対象動物に投与する工程(前記抗DOTA二重特異性抗体は、A33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される);および(b)放射性標識DOTAハプテンの有効量を対象動物に投与する工程(前記放射性標識DOTAハプテンは抗DOTA二重特異性抗体に結合するように構成される)。別の特徴では、本開示はその必要がある対象動物で癌を治療する方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)本技術の抗DOTA二重特異性抗体の有効量を対象動物に投与する工程(前記抗DOTA二重特異性抗体は、A33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される);および(b)放射性標識DOTAハプテンの有効量を対象動物に投与する工程(前記放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体に結合するように構成される)。いくつかの実施態様では、本技術の方法はさらにまた、除去剤の有効量を放射性標識DOTAハプテンの投与前に対象動物に投与する工程を含む。
加えて或いはまた別に、本明細書に開示するこれら方法の上記実施態様のいずれにおいても、放射性標識DOTAハプテンは、213Bi、211At、225Ac、152Dy、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、221Fr、217At、255Fm、86Y、90Y、89Sr、165Dy、186Re、188Re、177Lu、67Cu、111In、67Ga、51Cr、58Co、99mTc、103mRh、195mPt、119Sb、161Ho、189mOs、192Ir、201Tl、203Pb、68Ga、227Th、または64Cuを含み、さらに場合によってアルファ粒子放射同位体、ベータ粒子放射同位体、またはオージェエミッターを含む。本明細書に開示するこれら方法の上記実施態様のいずれにおいても、対象動物は人間である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A-B】(A)は、ヒト化A33二重特異性抗体(huA33-BsAb)の設計および構築を示す。(B)は、精製huA33-BsAbの4週間で37°Cにおける促進された安定性試験を示す。
図1C-D】(C)は、25°Cおよび37°CにおけるhuA33-BsAbの表面プラズモン共鳴(SPR)分析を示す。データは1:1結合モデルに適合させた。(D)は、種々の腫瘍細胞株および活性化T細胞のFACS染色を示す。平均蛍光強度(MFI)値は幾何平均であった。
図2A-B】(A)は、Colo205細胞および種々の抗体との24時間インキュベーション後のT細胞のCD25およびCD69マーカーの活性化を示す。(B)は、Colo205細胞および種々の抗体との96時間インキュベーション後のCFSE色素希釈を基準にした、分裂細胞の定量を示す。(C)は図2(B)の代表的画像を示す。(D)は、独立した実験におけるColo205細胞およびhuA33-BsAbとの96時間インキュベーション後のCD45RO染色を示す。(E)は、huA33-BsAbによるT細胞のin vivo活性化および分裂増殖(prolliferation)を示す。簡単に記せば、CFSEで標識した抹消血単核細胞(PBMC)をColo205細胞と混合し、混合物をDKOマウスの皮下に移植した。次の日にhuA33-BsAbを静脈内注射し、さらに4日後に腫瘍を単離してFACSで分析した。
図3】標的腫瘍の存在下でhuA33-BsAb活性化T細胞によって分泌されるサイトカインおよび細胞傷害性構成要素のプロフィールを示す。huA33-BsAbおよび標的細胞Colo205または陰性コントロール細胞SKMEL5の存在下におけるT細胞によるサイトカインおよび細胞溶解性分子生成のカイネティクスを4日間にわたって決定した。SKMEL5は大量のIL-6を分泌したので、抗体の非存在下でCol205細胞とともにインキュベートしたT細胞の上清をIL-6カイネティクス実験の陰性コントロールとして用いた。
図4A-B】(A)は、huA33-BsAbによって引き出される、種々の標的腫瘍細胞株およびコントロール細胞に対する細胞傷害性を示す。活性化T細胞を10:1のエフェクター対標的比(E:T)でエフェクター細胞として用いた。読みを得る前に細胞を16時間インキュベートした。(B)は、huA33-BsAbによって誘発されるColo205細胞に対する細胞傷害性を示す。区分けした新鮮なT細胞サブセットをエフェクター細胞として用いた(E:T=5:1)。読みを得る前に細胞を48時間インキュベートした。CD4メモリーT細胞に対するEC50は25pMであった。
図5A-B】(A)は、酵母スクリーニングによるhuA33-BsAb(H2L2)の親和性成熟の要旨を示す。(B)は、親および親和性成熟huA33-BsAbのKDの要旨(上段)並びにSPR分析から得られた種々のhuA33-BsAbのon-off速度マップの要旨(下段)を示す。
図5C】(C)は、親および親和性成熟huA33-BsAbのT細胞依存細胞傷害(TDCC)アッセイの結果を示す。
図6A-B】(A)は、治療グループおよびコントロールグループにおける皮下LS174T腫瘍の増殖を示す。腫瘍サイズは体積によって評価した(腫瘍+scPBMC対腫瘍+scPBMC+huA33-BsAbでp=0.0133;腫瘍のみ対腫瘍+scPBMC+huA33-BsAbでp=0.006)。(B)は、治療グループおよびコントロールグループにおける腹腔内LS174T腫瘍の増殖(上段)(腫瘍+ATC対腫瘍+ATC+huA33-BsAbでp=0.0125;腫瘍のみ対腫瘍+ATC+huA33-BsAbでp=0.0026)、並びに治療グループおよびコントロールグループにおけるマウスの生存率(下段)を示す。
図6C】(C)は、種々のグループにおける腹部LS174T腫瘍の発光画像を示す。腫瘍のみのグループで21日後に腫瘍を獲得しなかったマウスが1匹存在し(#4)、前記は分析から除外した。
図7A-B】(A)は、種々のグループにおける皮下Colo205腫瘍の増殖を示す発光画像を示す。(B)は、図7(A)のシグナルの定量(上段)および図7(A)の種々のグループのマウスの生存(下段)を示す。
図7C-D】(C)は、腹腔内SW1222腫瘍の発光画像を示す。21日後に腫瘍を獲得しなかった腫瘍のみグループの#1マウスおよび腫瘍+ATCグループの#3マウスは、後の時点の画像から除外され、図7(D)の生存分析には含まれなかった。(D)は、腹腔内SW1222腫瘍を有するマウスの生存を示す。
図8A-B】(A)は、種々のグループにおける皮下SNU16腫瘍の増殖を示す。(B)は、図8(A)のマウス血液からヒト細胞の生着を示す。
図9】ヒト化A33の4つのバージョンのSPR分析を示す。全ての抗体がIgG1定常ドメインを含む。3A3-H1L1、3A3-H1L2、3A3-H2L1および3A3-H2L2は、ヒト化3A3の4バージョンであった。3A3-chA33はキメラ3A3であった。
図10】huA33-BsAbで染色した多様な細胞株のFACS分析の結果を示す。
図11】(A)は、Colo205細胞の存在下でhuA33-BsAbにより活性化されたT細胞上での24時間後(左)および96時間後(右)のPD-1アップレギュレーションを示す。図11(B)は、huA33-BsAbの存在下でSKMEL5と96時間インキュベートした後でT細胞の分裂が存在しないことを示す。図11(C)は、LS174T細胞の存在下でのhuA33-BsAbによるT細胞分裂の活性化を示す。図11(B)および11(C)では同じT細胞調製物を用いた。
図12A-B】(A)および(B)は、種々の抗体の存在下でColo205細胞とインキュベートされた48時間後のT細胞上のCD45ROおよびCD25マーカーの染色を示す。細胞は、LDH測定に上清を用いた後のTDCCアッセイから得られた。図12(A):CD4(+)T細胞に基づくゲート開閉;図12(B):CD8(+)T細胞に基づくゲート開閉。
図13】scFvをhuA33-BsAb形式へ迅速に改変する戦略を示す。発現ベクター(1)をHindIII/ApaIで直鎖化した。プロモーターフラグメント(3)をSpaI消化プロモーター含有ベクターから調製した。より高処理クローニングのためにベクターおよびプロモーターフラグメントの両方を大量に調製することができた。2つの5’プライマーを用いてVH(4)およびVL(2)を酵母から直接増幅してリーダー配列に付加し、前記をHindIII/SapI(VL)またはApaI/SapI(VH)で消化した。この4つのフラグメントを一工程反応で連結した。
図14】ネズミA33抗体のVHおよびVLドメインのアミノ酸配列およびそれらの対応する相同ヒト配列(配列番号:1-4)を示す。ネズミA33抗体のVHおよびVLドメインのCDR1、CDR2およびCDR3領域は下線付きの太字フォントで示される。
図15】huA33-H1(3A3-H1)(配列番号:5)およびhuA33-H2(3A3-H2)(配列番号:6)のヒト化重鎖のアミノ酸配列を示す。3A3-H1および3A3-H2のCDR1、CDR2およびCDR3は下線付きの太字フォントで示される。
図16】huA33-H1(3A3-H1)(配列番号:7)およびhuA33-H2(3A3-H2)(配列番号:8)のヒト化重鎖のcDNA配列を示す。
図17】huA33-L1(3A3-L1)(配列番号:9)およびhuA33-L2(3A3-L2)(配列番号:10)のヒト化軽鎖のアミノ酸配列を示す。3A3-L1および3A3-L2のCDR1、CDR2およびCDR3領域は下線付きの太字フォントで示される。
図18】huA33-L1(3A3-L1)(配列番号:11)およびhuA33-L2(3A3-L2)(配列番号:12)のヒト化軽鎖のcDNA配列を示す。
図19】Kingら(King et al., 1995(上掲書))の元のヒト化配列hA33と新規に再ヒト化したhuA33(3A3)配列とのアラインメントを示す。
図20】GPA33組換えタンパク質でSPR(Biacore T100)を用いてアッセイした、huA33のヒト化IgG変種の結合カイネティクスを示す。4バージョン全てが、キメラA33(chA33)の高い結合親和性を保持した。
図21】GPA33組換えタンパク質でSPR(Biacore T100)を用いてアッセイした、元のヒト化hA33(文献(Cheal et al, Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging, 43:925-937, 2016)に記載されたようにhA33-mC825二重特異性形式である)とhuA33(3A3-H2L2)の結合カイネティクスを示す。元のヒト化hA33は、huA33と比較してかなりの親和性を喪失した。
図22】GPA33組換えタンパク質でSPR(Biacore T100)を用いてアッセイした、元のヒト化hA33(文献(Cheal et al, Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging, 43:925-937, 2016)に記載されたようにhA33-mC825二重特異性形式である)とhuA33(3A3-H2L2)の結合カイネティクスを示す。元のヒト化hA33は、huA33と比較してかなりの親和性を喪失した。
図23】huA33重鎖および軽鎖配列(3A3-H1、3A3-H2、3A3-L1、3A3-L2)並びに元のhA33配列のヒト性分析を示す。4つの再ヒト化バージョンはいずれも元のchA33の高い結合親和性を保持していたので、H2L2バージョンをそのより高いヒト性T20スコアに基づいて更なる開発のために選択した。
図24】キメラchA33-IgG1の軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を示す。前記は、それぞれ配列番号:13および配列番号:14に対応する。
図25】huA33-IgG1(H2L2)の重鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示す。前記は、それぞれ配列番号:15および配列番号:16に対応する。
図26】huA33-IgG1(H2L2)の軽鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示す。前記は、それぞれ配列番号:17および配列番号:18に対応する。
図27】T細胞嵌合huA33-BsAb二重特異性抗体の重鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示す。前記は、それぞれ配列番号:19および配列番号:20に対応する。
図28】T細胞嵌合huA33-BsAb二重特異性抗体の軽鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示す。前記は、それぞれ配列番号:21および配列番号:22に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図29】本明細書に開示するT細胞嵌合huA33-BsAb二重特異性抗体に対する潜在的改変の要旨を示す。
図30】huA33-BsAb形式の親和性成熟クローン31の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記はそれぞれ配列番号:23および配列番号:24に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図31】huA33-BsAb形式の親和性成熟クローン32の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記はそれぞれ配列番号:25および配列番号:26に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図32】huA33-BsAb形式の親和性成熟クローン48の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記はそれぞれ配列番号:27および配列番号:28に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図33】huA33-BsAb形式の親和性成熟クローン49の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記はそれぞれ配列番号:29および配列番号:30に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図34】huA33-BsAb形式の親和性成熟クローン53の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記はそれぞれ配列番号:31および配列番号:32に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図35】huA33-BsAb形式の親和性成熟クローン56の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記はそれぞれ配列番号:33および配列番号:34に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図36】huA33-BsAb形式の親和性成熟クローン57の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記はそれぞれ配列番号:35および配列番号:36に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図37】二重特異性抗体huA33-huC825(H2L2)の重鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示す。前記それぞれは配列番号:58および配列番号:59に対応する。
図38】二重特異性抗体huA33-huC825(H2L2)の軽鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示す。前記それぞれは配列番号:60および配列番号:61に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図39】二重特異性抗体huA33-mC825(H2L2)の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す。前記それぞれは配列番号:62および配列番号:63に対応する。下線付き配列はGSリンカー配列に対応する。
図40】本明細書に開示する再ヒト化huA33-DOTA二重特異性抗体およびトレーサー量の177Lu-DOTA-ビオチンで処置した、皮下GPA33(+)SW1222ヒト結腸直腸腫瘍異種移植片を有するマウスにおけるGPA33陽性(GPA33(+))ヒト結腸直腸腫瘍異種移植片への標的誘導に関するex vivo体内分布の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術の実質的な理解を提供するために、様々なレベルで詳細に本方法のある種の特徴、様式、実施態様、変型および特色が下記に記載されることは理解されよう。
本開示は概して免疫グロブリン関連構成物(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)を提供する。前記は、A33ポリペプチドの生物学的活性と特異的に結合してこれを中和することができる。本技術の免疫グロブリン関連構成物は、A33関連癌をその必要がある対象動物で検出または治療する方法で有用である。したがって、本方法の多様な特徴は、抗A33抗体の調製、特徴付けおよび操作に関連する。本技術の免疫グロブリン関連構成物は、単独でまたは癌治療のための追加の治療薬剤との併用で有用である。いくつかの実施態様では、免疫グロブリン関連構成物はヒト化抗体、キメラ抗体または二重特異性抗体である。
本方法の実施では、分子生物学、タンパク質化学、細胞生物学、免疫学、微生物学および組換えDNAにおける多くの通常的な技術が用いられる。例えば以下を参照されたい:Sambrook and Russell eds. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition;シリーズ、Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biology);シリーズ、Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.);MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press);MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach;Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual;Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5th edition;Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis;米国特許4,683,195号;Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization;Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation;Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press (1986));Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning;Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells;Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London);およびHerzenberg et al. eds (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunology。ポリペプチド遺伝子発現生成物レベル(すなわち遺伝子翻訳レベル)を検出および測定する方法は当業界では周知であり、前記にはポリペプチド検出方法(例えば抗体検出および定量の技術)の使用が含まれる(以下もまた参照されたい:Strachan & Read, Human Molecular Genetics, Second Edition. (John Wiley and Sons, Inc., NY, 1999))。
【0015】
定義
特段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語および学術用語は、本技術が属する分野の業者の誰もが一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるように、単数形“a”、“an”および“the”は、文脈が明らかにそうではないことを示していないかぎり複数の対応語を含む。例えば、“a cell(細胞)”と言えば2つ以上の細胞の組合せなどを含む。概して、本明細書並びに下記に記載の細胞培養、分子遺伝学、有機化学、分析化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションの研究室手順で用いられる用語体系は、当業界で周知であり通常的に用いられている。
本明細書で用いられるように、数に関して“約”という用語は、特段の指示がないかぎりまたは文脈からそうでないことが明白でないかぎり、どちらの方向(多い方または少ない方)でも当該数の1%、5%または10%の範囲内に含まれる数を含むと考えられる(ただしそのような数があり得る値の0%未満または100%を超える場合を除く)。
【0016】
本明細書で用いられるように、対象動物への薬剤または薬物の“投与”には、化合物の意図される機能の発揮のために、前記を対象動物に導入またはデリバリーする任意のルートが含まれる。投与は任意の適切なルートによって実施でき、前記ルートには、経口、鼻内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内または皮下)、直腸、髄腔内、腫瘍内、または外用が含まれるが、ただし前記に限定されない。投与は自己投与または他者による投与を含む。
“アジュバント”は、免疫系の刺激を引起す1つ以上の物質を指す。本文脈では、アジュバントは、1つ以上のワクチン抗原または抗体への応答を強化するために用いられる。アジュバントは、ワクチンの投与前、ワクチンと一緒に、またはワクチンの投与後に対象動物に投与できる。アジュバントとして用いられる化学的合成物の例には、アルミニウム化合物、油、ブロックポリマー、免疫刺激複合体、ビタミンおよび鉱物(例えばビタミンE、ビタミンA、セレニウムおよびビタミンB12)、Quil A(サポニン)、細菌および真菌細胞壁構成要素(例えばリポ多糖類、脂質タンパク質および糖タンパク質)、ホルモン、サイトカイン、および共同刺激因子が含まれる。
本明細書で用いられるように、“抗体”という用語は包括的に免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子を指す。例示すれば、前記にはIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、前記の組合せ、並びに任意の脊椎動物、例えば哺乳動物(例えばヒト、ヤギ、ウサギおよびマウス)とともに非哺乳動物種(例えばサメの免疫グロブリン)で免疫応答時に生成される同様な分子が含まれるが、ただしそれらに限定されない。本明細書で用いられるように、“抗体”(インタクトな免疫グロブリンを含む)および“抗原結合フラグメント”は、対象の分子(または高度に類似する対象分子のグループ)と特異的に結合し、他の分子との結合を実質的に排除する(例えば、抗体および抗体フラグメントは、生物学的サンプル中の他の分子に対する結合定数よりも高い、少なくとも103 M-1、少なくとも104 M-1または少なくとも105 M-1の結合定数を対象分子に対して有する)。“抗体”という用語はまた、遺伝的に操作された形態、例えばキメラ抗体(例えばヒト化ネズミ抗体)、異種複合抗体(例えば二重特異性抗体)を含む。以下の文献もまた参照されたい:Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995(Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.);Kuby, J., Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York, 1997。
【0017】
より具体的には、抗体は、特異的に抗原のエピトープを認識し結合する、少なくとも1つの軽鎖免疫グロブリン可変領域または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドを指す。抗体は重軽鎖で構成され、その各々は可変領域を含み、前記は可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と呼ばれる。一緒になって、VH領域およびVL領域は、抗体によって認識される抗原と結合するために必要である。典型的には、免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって重(H)鎖および軽(L)鎖を相互に接続させる。2つのタイプの軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)が存在する。抗体分子の機能的な活性を決定する、5つの主要な重鎖クラス(またはアイソタイプ)、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEが存在する。各重鎖および軽鎖は定常領域および可変領域を含む(領域はまた“ドメイン”としても知られる)。合体して、重鎖および軽鎖可変領域は特異的に抗原と結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、3つの超可変領域(“相補性決定領域”または“CDR”とも呼ばれる)によって中断される“フレームワーク”領域を含む。フレームワーク領域およびCDRの範囲は明確にされている(以下を参照されたい:Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991(前記は参照によって本明細書に含まれる))。Kabatデータベースは現在オンラインで維持されている。種々の軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は種の中で比較的保存されている。1つの抗体のフレームワーク領域(すなわち構成要素の軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域)は主としてβシート構造を取り入れ、CDRはβシート構造を接続するループを形成し、さらにいくつかの事例ではCDRはβシート構造の部分を形成する。したがって、フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合的相互作用によってCDRを正しい向きで配置する足場を形成するために機能する。
【0018】
CDRは主として抗原のエピトープと結合するために必要である。各鎖のCDRは、典型的にはCDR1、CDR2およびCDR3と称され、N-末端から始まって連続的に番号が振られ、典型的には個々のCDRが位置する鎖によってもまた識別される。したがって、VH CDR3は、前記が見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、一方、VL CDR1は、前記が見出される抗体の軽鎖可変ドメインに由来するCDR1である。A33タンパク質と結合する抗体は、特異的なVH領域およびVL領域配列、したがって特異的なCDR配列を有するであろう。異なる特異性(すなわち異なる抗原のための異なる合体部位)を有する抗体は異なるCDRを有する。抗体毎に変動するのはCDRであるが、CDR内のほんの限られた数のアミノ酸の位置が抗原結合に直接必要とされる。CDR内のこれらの位置は特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。本明細書で用いられる“免疫グロブリン関連構成物”は、抗体フラグメントと同様に抗体を指し、前記抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、多重特異性抗体、二重特異性抗体などが含まれる。抗体またはその抗原結合フラグメントは抗原と特異的に結合する。
【0019】
本明細書で用いられるように、“抗体関連ポリペプチド”という用語は抗原結合抗体フラグメントを意味し、前記には単鎖抗体が含まれる。単鎖抗体は、可変領域のみを含むか、または下記のポリペプチド成分の全てまたは部分と組み合わされている:抗体分子のヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメイン。可変領域並びにヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの任意の組合せもまた本技術に含まれる。本方法で有用な抗体関連分子は、例えばFab、Fab′およびF(ab′)2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、並びにVLまたはVHドメインのどちらかを含むフラグメントであるが、ただし前記に限定されない。例には以下が含まれる:(i)Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインから成る一価フラグメント;(ii)F(ab′)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の単アームのVLおよびVHドメインから成るFvフラグメント;(v)dAbフラグメント(Ward et al., Nature 341: 544-546, 1989)、前記はVHドメインから成る;および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。したがって、“抗体フラグメント”または“抗原結合フラグメント”は、完全長抗体の部分、一般的にはその抗原結合または可変領域を含むことができる。抗体フラグメントまたは抗原結合フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFvフラグメント;ジアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0020】
本明細書で用いられる、“二重特異性抗体”または“BsAb”は、別個の構造を有する2つの標的、例えば2つの異なる標的抗原、同じ標的抗原の2つの異なるエピトープ、またはハプテンおよび標的抗原もしくは標的抗原のエピトープに同時に結合できる抗体を指す。様々な異なる二重特異性抗体構造が当業界で公知である。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体の各抗原結合部分はVHおよび/またはVL領域を含み、そのような実施態様のいくつかでは、VHおよび/またはVL領域は、個々のモノクローナル抗体で見出されるものである。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は2つの抗原結合部分を含み、各々は異なるモノクローナル抗体に由来するVHおよび/またはVL領域を含む。いくつかの実施態様では、二重特異性抗体は2つの抗原結合部分を含み、ここで、当該2つの抗原結合部分の1つは、第一のモノクローナル抗体由来のCDRを含むVHおよび/またはVL領域を有する免疫グロブリン分子を含み、他方の抗原結合部分は、第二のモノクローナル抗体由来のCDRを含むVHおよび/またはVL領域を有する抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab')、F(ab')2、Fd、Fv、dAB、scFv)を含む。
本明細書で用いられるように、“除去剤”は、対象動物の血液区画内に存在する過剰な二重特異性抗体と結合し、腎臓による迅速な除去を促進する薬剤である。ハプテン投与前の除去剤(例えばDOTA)の使用は、プレターゲッテイング放射性免疫療法(PRIT)系でより良好な腫瘍対バックグラウンド比を増進する。除去剤の例には、500kD-デキストラン-DOTA-Bn(Y)(Orcutt et al., Mol Cancer Ther. 11(6): 1365-1372, 2012)、500kD-アミノデキストラン-DOTA複合体、プレターゲッティング抗体に対する抗体などが含まれる。
本明細書で用いられるように、“複合体化される”という用語は、当業者に公知の任意の方法による2つの分子の会合を指す。適切なタイプの会合には化学的結合および物理的結合が含まれる。化学的結合には、例えば共有結合および配位結合が含まれる。物理的結合には、例えば水素結合、二極性相互作用、ファンデルワールス力、静電気的相互作用、疎水性相互作用、および芳香環スタッキングが含まれる。
【0021】
本明細書で用いられるように、“ジアボディ”という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、当該フラグメントは、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を同じポリペプチド鎖(VHVL)中に含む。同じ鎖上の2つのドメイン間で対を形成するには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインは別の鎖の相補性ドメインと対を形成することを強要され、2つの抗原結合部位を作出する。ジアボディはより完全に下記文献に記載される:EP 404,097;WO 93/11161;および30 Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448, 1993。
本明細書で用いられるように、“単鎖抗体”または“単鎖Fv(scFv)”は、Fvフラグメントの2つのドメイン(VLおよびVH)の抗体融合分子を指す。単鎖抗体分子は、多数の個々の分子を含むポリマー、例えばダイマー、トリマーまたは他のポリマーを含むことができる。さらにまた、Fvフラグメントの2つのドメイン(VLおよびVH)は別々の遺伝子によってコードされるが、それらは組換え方法を用いるか、合成リンカーによって結合させることができる。合成リンカーは、それら2つのドメインを単一タンパク質鎖として生成することを可能にし、単一タンパク質鎖ではVLおよびVH領域対は一価分子(単鎖Fv(scFv)として知られている)を形成する(Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad Sci. USA 85:5879-5883)。そのような単鎖抗体は、組換え技術またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって調製できる。
上記記載の抗体フラグメントのいずれも、当業者に公知の通常的な技術を用いて入手でき、フラグメントは、インタクトな抗体と同じ態様で、結合特異性および中和活性についてスクリーニングされる。
【0022】
本明細書で用いられるように、“抗原”は、抗体(またはその抗原結合フラグメント)が選択的に結合することができる分子を指す。標的抗原は、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然に生じるかもしくは合成の化合物であり得る。いくつかの実施態様では、標的抗原はポリペプチド(例えばA33ポリペプチド)であり得る。抗原はまた動物に投与されて、当該動物で免疫応答を発生させることができる。
“抗原結合フラグメント”という用語は、抗原に結合するために必要なポリペプチドの部分を保有する、全免疫グロブリン構造物のフラグメントを指す。本技術で有用な抗原結合フラグメントの例にはscFv、(scFv)2、scFvFc、Fab、Fab′およびF(ab′)2が含まれるが、ただし前記に限定されない。
“結合親和性”とは、分子(例えば抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば抗原または抗原性ペプチド)との間の合計された非共有結合性相互作用の強度を意味する。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般的に解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は当業界で公知の標準的な方法(本明細書に記載する方法を含む)によって測定できる。低親和性複合体は、概して抗原から容易に解離する傾向がある抗体を含み、一方、高親和性複合体は、概してより長い期間抗原との結合を維持する傾向がある抗体を含む。
【0023】
本明細書で用いられるように、“生物学的サンプル”という用語は生細胞に由来するサンプル材料を意味する。生物学的サンプルには、組織、細胞、細胞のタンパク質または膜抽出物、および対象動物から単離された生物学的な液体(例えば腹水または脳脊髄液(CSF))とともに対象動物内に存在する組織、細胞および液体が含まれ得る。本技術の生物学的サンプルには、乳房組織、腎臓組織、子宮頸、子宮内膜、頭頸部、胆嚢、耳下腺組織、前立腺、脳、脳下垂体、腎臓組織、筋肉、食道、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺組織、心臓組織、肺臓組織、膀胱、脂肪組織、リンパ節組織、子宮、卵巣組織、副腎組織、精巣組織、扁桃腺、胸腺、血液、毛、頬、皮膚、血清、血漿、CSF、精液、前立腺液、精漿(seminal fluid)、尿、糞便、汗、唾液、喀痰、粘液、骨髄、リンパ、および涙液から採取されるサンプルが含まれるが、ただし前記に限定されない。生物学的サンプルはまた、内部器官の生検標本または癌から入手できる。生物学的サンプルは、診断または研究のために対象動物から入手でき、または病気ではない個体からコントロールとしてまたは基礎研究のために入手できる。サンプルは、例えば静脈穿刺および外科的生検を含む標準的方法によって入手できる。ある種の実施態様では、生物学的サンプルは、針生検によって入手される乳房、肺臓、結腸、または前立腺組織サンプルである。
【0024】
本明細書で用いられるように、“CDR移植抗体”という用語は、“アクセプター”抗体の少なくとも1つのCDRが、所望の抗原特異性を保有する“ドナー”抗体のCDR“移植片”によって取り替えられた抗体を意味する。
本明細書で用いられるように、“キメラ抗体”という用語は、1つの種のモノクローナル抗体のFc定常領域(例えばマウスFc定常領域)が、組換えDNA技術を用いて別の種の抗体のFc定常領域(例えばヒトFc定常領域)で取り替えられた抗体を意味する。全般的には以下を参照されたい:Robinson et al., PCT/US86/02269;Akira et al., 欧州特許公開184,187;Taniguchi, 欧州特許公開171,496;Morrison et al., 欧州特許公開173,494;Neuberger et al., WO 86/01533;Cabilly et al. 米国特許4,816,567号;Cabilly et al., 欧州特許公開0125,023;Better et al., Science 240: 1041-1043, 1988;Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 3439-3443, 1987;Liu et al., J. Immunol 139: 3521-3526, 1987;Sun et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 214-218, 1987;Nishimura et al., Cancer Res 47: 999-1005, 1987;Wood et al., Nature 314: 446-449, 1885;およびShaw et al., J. Natl. Cancer Inst. 80: 1553-1559, 1988。
本明細書で用いられるように、“コンセンサスFR”という用語は、コンセンサス免疫グロブリン配列のフレームワーク(FR)抗体領域を意味する。抗体のFR領域は抗原と接触しない。
【0025】
本明細書で用いられるように、“コントロール”は、比較の目的で実験に用いられる代替サンプルである。コントロールは“陽性”または“陰性”であり得る。例えば、実験の目的が特定の疾患タイプの治療のために治療薬剤の有効性の相関性を決定する場合、典型的には、陽性コントロール(所望の治療効果を示すことが判明している化合物または組成物)および陰性コントロール(治療を受けないまたはプラセボを投与される対象動物またはサンプル)が用いられる。
本明細書で用いられるように、“有効量”という用語は、所望の治療効果および/または予防効果を達成するために十分な量を指す。前記は、例えば、本明細書に記載する疾患もしくは症状、または本明細書に記載する疾患もしくは症状に関連する1つ以上の徴候もしくは症候の予防もしくは軽減をもたらす量である。治療的または予防的適用の関係では、対象動物に投与される組成物の量は、組成物、疾患の程度、タイプおよび重篤度、並びに個体の特徴(例えば一般的健康状態、年齢、性別、体重および薬物に対する耐性)に応じて変動するであろう。当業者は、これらの要件および他の要件に応じて適切な投薬量を決定できるであろう。組成物はまた1つ以上の追加の治療化合物と組合わせて投与され得る。本明細書に記載する方法では、治療組成物は、本明細書に記載する疾患または症状の1つ以上の徴候または症候を有する対象動物に投与され得る。本明細書で用いられるように、組成物の“治療的に有効な量”は、疾患または症状の生理学的影響を緩和または除去する組成物レベルを指す。治療的に有効な量は1回以上の投与でもたらされ得る。
【0026】
本明細書で用いられるように、“エフェクター細胞”という用語は、免疫応答の認知および活性化相とは対照的に免疫応答のエフェクター相で必要とされる免疫細胞を意味する。例示的免疫細胞には、骨髄系またはリンパ系起原の細胞、例えばリンパ球(例えばB細胞、および傷害性T細胞を含むT細胞(CTL))、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、多形核細胞、顆粒球、マスト細胞、および好塩基球が含まれる。エフェクター細胞は特異的なFc受容体を発現し、特異的な免疫機能を遂行する。エフェクター細胞は、抗体依存細胞媒介細胞傷害性(ADCC)を誘発することができ、例えば好中球はADCCを誘発することができる。例えば、FcαRを発現する単球、マクロファージ、好中球、好酸球、およびリンパ球は、標的細胞の特異的な殺滅、および他の免疫系構成要素への抗原提示、または抗原を提示する細胞との結合に必要である。
【0027】
本明細書で用いられるように、“エピトープ”という用語は、抗体と特異的に結合することができるタンパク質決定基を意味する。エピトープは通常、分子の化学的に活性な表面グルーピング(例えばアミノ酸または糖側鎖)から成り、通常は特異的な三次元構造性特徴を特異的な荷電性特徴とともに有する。立体構造性および非立体構造性エピトープは、変性溶媒の存在下で前者との結合は失われるが後者との結合は失われないという点で区別される。いくつかの実施態様では、A33タンパク質の“エピトープ”は、本技術の抗A33抗体が特異的に結合するタンパク質領域である。いくつかの実施態様では、エピトープは立体構造性エピトープである。エピトープと結合する抗A33抗体をスクリーニングするために、日常的な交差遮断アッセイ(例えば下記文献に記載されているもの)を実施することができる:Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane, 1988。前記アッセイを用いて、抗A33抗体が、本技術の抗A33抗体と同じ部位またはエピトープと結合するか否かを決定できる。また別には或いは付け加えて、エピトープマッピングを当業界で公知の方法によって実施できる。例えば、抗体配列を例えばアラニンスキャンによって変異させ、接触残基を識別することができる。別の方法では、A33タンパク質の異なる領域に対応するペプチドを、試験抗体との競合アッセイ、または試験抗体およびすでに特徴付けられたもしくは公知のエピトープを有する抗体との競合アッセイで用いることができる。
本明細書で用いられるように、“発現”は以下の1つ以上を含む:遺伝子の前駆体mRNAへの転写;前駆体mRNAのスプライシングおよび他のプロセッシングによる成熟mRNAの生成;mRNA安定性;成熟mRNAのタンパク質への翻訳(コドン利用およびtRNA利用可能性を含む);および翻訳生成物のグリコシル化および/または他の改変(適切な発現および機能のために要求される場合)。
本明細書で用いられるように、“遺伝子”という用語は、RNA生成物の調節生合成のための全情報を含むDNAを意味し、前記には、プロモーター、エクソン、イントロン、および発現を制御する他の非翻訳領域が含まれる。
【0028】
“相同性”または“同一性”または“類似性”は、2つのペプチド間または2つの核酸分子間における配列類似性を指す。相同性は、比較の目的のためにアラインメントすることができる各配列における位置を比較することによって決定できる。比較される配列の位置が同じ塩基またはアミノ酸によって占められるとき、当該分子は当該位置で相同である。配列間の相同性の程度は、当該配列によって共有される、一致するかまたは相同である位置の数の関数である。ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(或いはポリペプチドまたはポリペプチド領域)が、アラインメントされたとき、別の配列に対して一定のパーセンテージ(例えば少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%)の“配列同一性”を有するということは、当該パーセンテージの塩基(或いはアミノ酸)が、2つの配列を比較したときに同じであることを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当業界で公知のソフトウェアプログラムを用いて決定できる。いくつかの実施態様では、既定値パラメーターがアラインメントに用いられる。1つのアラインメントプログラムはBLASTであり、既定値パラメーターを用いる。特に、プログラムはBLASTNおよびBLASTPであり、以下の既定値パラメーターを用いる:遺伝暗号=標準;フィルター=無し;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;該当=50配列;分別基準=HIGH SCORE;データベース=非冗長性、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)で見出すことができる。生物学的に同等なポリヌクレオチドは、指定のパーセント相同性を有しかつ同じまたは類似の生物学的活性を有するポリペプチドをコードするものである。2つの配列は、それらが互いに40%未満または25%未満の同一性を共有する場合には“無関係”または“非相同性”とみなされる。
【0029】
本明細書で用いられるように、非ヒト(例えばネズミ)抗体の“ヒト化”型という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含むキメラ抗体である。大半の部分について、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリンであり、前記では、レシピエントの超可変領域残基は、非ヒト種(ドナー抗体)(例えばマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長動物)の超可変領域残基(所望の特異性、親和性および性能を有する)によって取り替えられる。いくつかの実施態様では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は対応する非ヒト残基によって取り替えられる。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体では見出されない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体の性能(例えば結合親和性)をさらに精錬するために実施される。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(例えばFab、Fab′、F(ab′)2、またはFv)の実質的に全てを含むであろう。前記では、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサスFR配列のものであるが、ただしFR領域は、結合親和性を改善する1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる。FRにおけるこれらアミノ酸置換の数は、典型的にはH鎖では6つを超えず、L鎖では3つを超えない。ヒト化抗体はまた、場合によって免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも部分を含むことができる。更なる詳細については、以下を参照されたい:Jones et al., Nature 321:522-525, 1986;Reichmann et al., Nature 332:323-329, 1988;およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596, 1992。例えば以下を参照されたい:Ahmed & Cheung, FEBS Letters 588(2):288-297, 2014。
【0030】
本明細書で用いられるように、“超可変領域”という用語は、抗原結合に必要な抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般的には、“相補性決定領域”または“CDR”に由来するアミノ酸残基(例えば、VLでは残基約24‐34(L1)、50‐56(L2)および89‐97(L3)辺り、並びにVHでは残基約31‐35B(H1)、50-65(H2)および95-102(H3)辺りである(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD., 1991))、および/または“超可変ループ”由来の残基(例えば、VLでは残基約26‐32(L1)、50-52(L2)および91-96(L3)、並びにVHでは残基約26-32(H1)、52A-55(H2)および96-101(H3)(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917, 1987))を含む。
本明細書で用いられるように、“同一である”またはパーセント“同一性”という用語は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列という文脈で用いられるときは、2つ以上の配列または部分配列が同じであるか、或いは同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの指定のパーセンテージを有する(すなわち、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または前記より高い同一性を指定の領域(例えば本明細書に記載する抗体をコードする核酸配列または本明細書に記載する抗体のアミノ酸配列)にわたって有する)2つ以上の配列または部分配列を指し、このとき、2つ以上の配列は、BLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを用い下記に記載の既定値パラメーターで測定されるか、または手作業アラインメントおよび目視精査(例えばNCBIウェブサイト)によって、比較ウインドウまたは指定領域における最大一致のために比較およびアラインメントを実施される。そのような配列は、したがって“実質的に同一”と呼ばれる。この用語はまた、試験配列の相補配列を指すかまたは前記に適用できる。この用語はまた、欠失および/または付加を有する配列とともに、置換を有する配列を含む。いくつかの実施態様では、同一性は、長さが少なくとも25アミノ酸またはヌクレオチド、または長さが50-100アミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって存在する。
【0031】
本明細書で用いられるように、“インタクトな抗体”または“インタクトな免疫グロブリン”は、ジスルフィド結合によって相互接続される、少なくとも2つの重(H)鎖ポリペプチドおよび2つの軽(L)鎖ポリペプチドを有する抗体を意味する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略記される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略記される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)を含む。VHおよびVL領域は超可変性の領域にさらに細分割され、それら領域は相補性決定領域(CDR)と呼ばれ、より保存された領域(フレームワーク領域(FR)と呼ばれる)が点在する。各VHおよびVLは3つのCDRおよび4つのFRを含み、前記はアミノ末端からカルボキシ末端に向けて以下の順序で並ぶ:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと宿主の組織または因子(免疫系の多様な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(C1q)を含む)との結合を媒介することができる。
本明細書で用いられるように、“個体”、“患者”または“対象動物”は、個々の生物、脊椎動物、哺乳動物、または人間であり得る。いくつかの実施態様では、個体、患者または対象動物は人間である。
【0032】
本明細書で用いられる“モノクローナル抗体”という用語は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体を指す。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る天然に存在する可能な変異を除いて同一である。例えば、モノクローナル抗体は単一クローン(任意の真核細胞、原核細胞またはファージクローンを含む)に由来する抗体であることができ、それが生成される方法に依らない。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対し単一の結合特異性および親和性を示す。モノクローナル抗体は高度に特異性であり、ただ1つの抗原部位に向けられる。さらにまた、典型的には種々の決定基(エピトープ)に向けられる種々の抗体を含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上のただ1つの決定基に向けられる。修飾語句の“モノクローナル”は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の特徴を示し、いずれか特定の方法による抗体の生成が要求されると解されてはならない。モノクローナル抗体は、当業界で公知の極めて多様な技術(例えばハイブリドーマ、組換え体およびファージディスプレー技術を含むが、ただし前記に限定されない)を用いて調製することができる。例えば、本方法で用いられるモノクローナル抗体は、最初にKohlerら(Kohler et al., Nature 256:495, 1975)によって記載されたハイブリドーマ方法によって作製するか、または組換えDNAの方法(例えば米国特許4,816,567号を参照)によって作製することができる。“モノクローナル抗体”はまた、ファージ抗体ライブラリーから単離することができ、前記では、例えば下記文献に記載の技術が用いられる:Clackson et al., Nature 352:624-628, 1991;およびMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597, 1991。
【0033】
本明細書で用いられるように、“医薬的に許容できる担体”という用語は、任意のかつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌化合物、等張および吸収遅延化合物など(前記は医薬投与に適合する)を含むことが意図される。医薬的に許容できる担体およびそれらの処方は当業者には公知であり、例えば以下に記載される:Remington's Pharmaceutical Sciences(20th edition, ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa.)。
本明細書で用いられるように、“ポリクローナル抗体”という用語は、少なくとも2つの異なる抗体産生細胞株に由来する抗体の調製物を意味する。この用語の使用は、異なるエピトープまたは抗原領域と特異的に結合する抗体を含む、少なくとも2つの抗体の調製物を含む。
【0034】
本明細書で用いられるように、“ポリヌクレオチド”または“核酸”という用語は任意のRNAまたはDNAを意味し、前記は非改変または改変RNAもしくはDNAであり得る。ポリヌクレオチドには、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、並びにDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子(一本鎖、より典型的には二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得る)が含まれるが、ただし前記に限定されない。加えて、ポリヌクレオチド三本鎖領域を指し、前記は、RNAまたはDNAまたはRNAおよびDNAの両方を含むす。ポリヌクレオチドという用語はまた、1つ以上の改変塩基を含有するDNAまたはRNA、および安定性または他の目的のために改変された背骨を有するDNAまたはRNAを含む。
本明細書で用いられるように、“ポリペプチド”、“ペプチド”および“タンパク質”という用語は本明細書では互換的に用いられ、前記は、ペプチド結合または改変ペプチド結合(すなわちペプチド同配体)によって互いに結合された2つ以上のアミノ酸を含むポリマーを意味する。ポリペプチドは、短い鎖(通常ではペプチド、糖ペプチドまたはオリゴマーと称される)およびより長い鎖(一般的にはタンパク質と称される)の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子によってコードされる20のアミノ酸以外のアミノ酸を含むことができる。ポリペプチドには、天然のプロセス(例えば翻訳後プロセッシング)によって、または化学的改変技術(当業界で周知である)によって改変されたアミノ酸配列が含まれる。そのような改変は、基礎的な教本およびより詳細にはモノグラフとともに膨大な研究論文に良く記載されている。
本明細書で用いられるように、“PRIT”または“プレターゲッティング放射性免疫療法”は、腫瘍標的抗体(正常組織(例えば骨髄)への望ましくない毒性の一因となる)の緩やかな血中除去を達成するマルチ工程プロセスを指す。プレターゲッティングでは、放射性核種または他の診断もしくは治療薬剤が小ハプテンに結合される。プレターゲッティング二重特異性抗体は標的抗原およびハプテンに対する結合部位を有し、この二重特異性抗体がまず初めに投与される。続いて未結合抗体は循環から除去されてゆき、その後でハプテンが投与される。
【0035】
本明細書で用いられるように、“組換え体”という用語は、例えば細胞または核酸、タンパク質もしくはベクターに関係して用いられるとき、当該細胞、核酸、タンパク質またはベクターは、異種核酸もしくはタンパク質の導入によって、または自然のままの核酸もしくはタンパク質の変更によって改変されていること、または当該物質がそのように改変された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組換え細胞は、当該細胞の自然のままの形態(非組換え形)では見出されない遺伝子を発現するか、または組換え細胞では、自然のままの遺伝子は異常発現されるか、低下発現されるか、もしくは全く発現されないであろう。
本明細書で用いられるように“別々”の、治療的使用という用語は、少なくとも2つの活性な成分を同じ時にまたは実質的に同じ時に異なるルートによって投与することを指す。
本明細書で用いられるように、“逐次的”な治療的使用という用語は、少なくとも2つの活性成分を異なる時に投与することを指し、この場合、投与ルートは同一または相違する。より具体的には、逐次的使用は、当該複数の活性成分の1つの完全な投与が、1つまたは複数の他の成分の投与の開始前であることを指す。したがって、当該複数の活性成分の1つを、他の1つまたは複数の活性成分を投与する前に、数分、数時間または数日にわたって投与することが可能である。この事例では、同時処置はない。
本明細書で用いられるように、“特異的に結合する”とは、もう1つの分子(例えば抗原)を認識および結合するが、他の分子を実質的に認識および結合しない分子(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)を指す。本明細書で用いられるように、“特異的結合”、“~と特異的に結合する”または特定の分子(例えばポリペプチドまたはポリペプチド上のエピトープ)に対して“特異的”であるという用語は、例えば、それが結合する分子に対して約10-4 M、10-5 M、10-6 M、10-7 M、10-8 M、10-9 M、10-10 M、10-11 M、または10-12 MのKdを有する分子によって提示され得る。“特異的に結合する”という用語はまた、分子(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)が、特定のポリペプチド(例えばA33ポリペプチド)または特定のポリペプチド上のエピトープと結合し、任意の他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープとは実質的に結合しない結合を指すことができる。
【0036】
本明細書で用いられるように、“同時”治療的使用という用語は、少なくとも2つの活性成分を同じルートによってかつ同じ時にまたは実質的に同じ時に投与することを指す。
本明細書で用いられるように、“治療薬剤”という用語は、有効量で存在するとき、所望の治療効果をその必要がある対象動物で生じる化合物を意味することが意図される。
本明細書で用いられる“治療する”または“治療”は、本明細書に記載する疾患または異常の対象動物(例えば人間)における治療をカバーし、前記は以下を含む:(i)疾患または異常の防止、すなわちその発達の停止;(ii)疾患または異常の緩和、すなわち当該異常の退行を引起す;(iii)異常の進行速度の低下;および/または(iv)疾患または異常の1つ以上の症候の防止、緩和、または進行速度の低下。いくつかの実施態様では、治療は、当該疾患に付随する症候が、例えば緩和され、軽減され、治癒され、または緩解状態に置かれることを意味する。
本明細書に記載する異常の多様な治療の態様が“実質的”を意味することが意図されることは理解されよう。前記は完全治療を含むが完全治療未満もまた含み、その場合には、いくつかの生物学的にまたは医学的に対応する成果が達成される。治療は、慢性的疾患に対する持続的な長期治療であっても、または急性症状の治療のための1回または数回の実施であってもよい。
【0037】
本明細書に記載する抗A33抗体のアミノ酸配列の改変が意図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することを所望できる。適切なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することによって、またはペプチド合成によって、抗A33抗体のアミノ酸配列変種が調製される。そのような改変には、例えば当該抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/または挿入、および/または置換が含まれる。得られる抗体が所望の特性を有するかぎり、欠失、挿入および置換の任意の組合せを実施して着目される抗体を入手する。改変にはまた、タンパク質のグリコシル化パターンの変化が含まれる。置換型変異導入のためにもっとも着目される部位には超可変領域が含まれるが、FR変更もまた意図される。“保存的置換”を下記の表に示す。
【0038】
【0039】
置換変種の1つのタイプは、親抗体の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。そのような置換変種を作出するための便利な方法は、ファージディスプレーを用いる親和性成熟を含む。具体的には、いくつかの超可変領域部位(例えば6-7部位)を成熟させて、各部位で全ての可能なアミノ酸置換を作出する。このようにして作出された抗体変種は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III生成物との融合物として一価態様でディスプレーされる。ファージディスプレー変種は続いて、本明細書に開示するように、それらの生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングされる。改変のための超可変領域部位候補を識別するために、アラニンスキャン変異導入を実施して、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を識別する。また別に或いは追加して、抗原抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と抗原の間の接触点を識別することは有益であり得る。そのような接触残基および近傍残基は、本明細書の精巧な技術による置換の候補である。いったんそのような変種が作出されたら、変種パネルを本明細書に記載するスクリーニングに付し、1つ以上の対応するアッセイで同様なまたは優れた特性を有する抗体を更なる開発のために選別することができる。
【0040】
CRCおよびA33
CRCは非均一性疾患であり、遺伝子発現分析に基づいて4つのコンセンサス分子サブタイプ(すなわちCMS1-4)に細分類できる。MSI腫瘍は主としてCMS1に属し(全CRC患者の14%)、ゲノム超変異およびマイクロサテライト不安定性を特徴とする(DNA修復経路欠損に起因する)。おそらく、超変異は過度のネオアンチゲンを作出し、前記は細胞表面に存在しT細胞を腫瘍に引き寄せる。実際、CMS1は、免疫系活性化および回避の強力な分子シグナチャーを有する。ICIは、抑圧された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を再賦活して殺腫瘍性能を取り戻させ、したがってMSI腫瘍はICIに対する応答性が最も高いCRC腫瘍である。しかしながら、MSI腫瘍はmCRCの5%未満に相当し、mCRCの大半にとってICIの有効性はこれまでのところ期待外れであった。腹膜癌腫症は典型的には治癒不能CRCの終末相である。前記は、肝臓および肺臓への転移とは異なり、通常は切除不能であり化学療法に非応答性で重大な病的状態を引起す。従来治療はほとんど一時しのぎであり、細胞切除術(CRS)および温熱療法(HIPEC)から成り、前記は、小体積症状を有する患者の低パーセンテージでのみで有効である。
ヒト糖タンパク質A33(GPA33またはA33)は1回貫通I型膜タンパク質であり、前記は免疫グロブリンファミリー内の細胞接着分子のCTXファミリーに属する。A33は、CRC組織の95%で発現され正常組織では非常に限定的に発現される。A33は、1つのIg様C2型ドメインおよび1つのIg様V型ドメインを含む。予想される成熟タンパク質は、単一トランスメンブレンドメイン、細胞外領域および細胞内テールを含む。A33は、細胞内輸送、細胞対細胞認識/シグナリングおよび細胞表面へのリサイクリングで役割を果たす。A33のエクトドメインのアミノ酸配列(Ile22-Val235)を下記に提供する:
ISVETPQDVLRASQGKSVTLPCTYHTSTSSREGLIQWDKLLLTHTERVVIWPFSNKNYIHGELYKNRVSISNNAEQSDASITIDQLTMADNGTYECSVSLMSDLEGNTKSRVRLLVLVPPSKPECGIEGETIIGNNIQLTCQSKEGSPTPQYSWKRYNILNQEQPLAQPASGQPVSLKNISTDTSGYYICTSSNEEGTQFCNITVAVRSPSMNV(配列番号:57)。
【0041】
本技術の免疫グロブリン関連構成物
既存のヒト化A33 IgG1抗体は、結腸癌患者で免疫原性であることが見出されている(以下を参照されたい:Ritter G et al., Cancer Res 61:6851-9, 2001)。本技術は、抗A33免疫グロブリン関連構成物(例えば抗A33抗体またはその抗原結合フラグメント)の作製および使用のための方法並びに組成物を記載する。本開示の抗A33免疫グロブリン関連構成物はA33陽性癌の診断または治療で有用であり得る。本技術の範囲内の抗A33免疫グロブリン関連構成物には、例えば、標的ポリペプチド、またはそのホモローグ、誘導体もしくはフラグメントと特異的に結合するモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびジアボディが含まれるが、ただしこれらに限定されない。本開示はまた、本明細書に開示する抗A33抗体のいずれかの抗原結合フラグメントを提供し、前記抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)'2、Fab’、scFv、Fvから成る群から選択される。
ある特徴では、本技術は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、ここで、(a)VHは、FTFSTYDMS(配列番号:37)のVH-CDR1配列、TISSGGSYTYYLDSVKG(配列番号:38)のVH-CDR2配列、およびTTVVPFAY(配列番号:39)のVH-CDR3配列を含み、および/または(b)VLは、KASQNVRTVVA(配列番号:40)、LASNRHT(配列番号:41)およびQYWSYPLT(配列番号:42);KASQNVRTVVA(配列番号:40)、LASDRHT(配列番号:43)およびQYWSYPLT(配列番号:42);KASQNVRTLVA(配列番号:44)、LASNRHT(配列番号:41)およびQHWSYPLT(配列番号:45);並びにKASQNVRTLVA(配列番号:44)、LASNRHT(配列番号:41)およびQYWSYPLT(配列番号:42)から成る群から選択される、VL-CDR1配列、VL-CDR2配列およびVL-CDR3配列を含む。いくつかの実施態様では、抗体はさらにまた、任意のアイソタイプのFcドメインを含み、前記アイソタイプは、例えばIgG(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)、IgA(IgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgEまたはIgM、およびIgYであるが、ただしこれらに限定されない。定常領域配列の非限定的な例には以下が含まれる:
【0042】
ヒトIgD定常領域、Uniprot:P01880(配列番号:46)
APTKAPDVFPIISGCRHPKDNSPVVLACLITGYHPTSVTVTWYMGTQSQPQRTFPEIQRRDSYYMTSSQLSTPLQQWRQGEYKCVVQHTASKSKKEIFRWPESPKAQASSVPTAQPQAEGSLAKATTAPATTRNTGRGGEEKKKEKEKEEQEERETKTPECPSHTQPLGVYLLTPAVQDLWLRDKATFTCFVVGSDLKDAHLTWEVAGKVPTGGVEEGLLERHSNGSQSQHSRLTLPRSLWNAGTSVTCTLNHPSLPPQRLMALREPAAQAPVKLSLNLLASSDPPEAASWLLCEVSGFSPPNILLMWLEDQREVNTSGFAPARPPPQPGSTTFWAWSVLRVPAPPSPQPATYTCVVSHEDSRTLLNASRSLEVSYVTDHGPMK
ヒトIgG1定常領域、Uniprot:P01857(配列番号:47)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG2定常領域、Uniprot:P01859(配列番号:48)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDISVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG3定常領域、Uniprot:P01860(配列番号:49)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYTCNVNHKPSNTKVDKRVELKTPLGDTTHTCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0043】
ヒトIgM定常領域、Uniprot:P01871(配列番号:50)
GSASAPTLFPLVSCENSPSDTSSVAVGCLAQDFLPDSITLSWKYKNNSDISSTRGFPSVLRGGKYAATSQVLLPSKDVMQGTDEHVVCKVQHPNGNKEKNVPLPVIAELPPKVSVFVPPRDGFFGNPRKSKLICQATGFSPRQIQVSWLREGKQVGSGVTTDQVQAEAKESGPTTYKVTSTLTIKESDWLGQSMFTCRVDHRGLTFQQNASSMCVPDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLPSPLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY
ヒトIgG4定常領域、Uniprot:P01861(配列番号:51)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
ヒトIgA1定常領域、Uniprot:P01876(配列番号:52)
ASPTSPKVFPLSLCSTQPDGNVVIACLVQGFFPQEPLSVTWSESGQGVTARNFPPSQDASGDLYTTSSQLTLPATQCLAGKSVTCHVKHYTNPSQDVTVPCPVPSTPPTPSPSTPPTPSPSCCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGVTFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAEPWNHGKTFTCTAAYPESKTPLTATLSKSGNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRLAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY
ヒトIgA2定常領域、Uniprot:P01877(配列番号:53)
ASPTSPKVFPLSLDSTPQDGNVVVACLVQGFFPQEPLSVTWSESGQNVTARNFPPSQDASGDLYTTSSQLTLPATQCPDGKSVTCHVKHYTNPSQDVTVPCPVPPPPPCCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGATFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAQPWNHGETFTCTAAHPELKTPLTANITKSGNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRMAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY
ヒトIgカッパ定常領域、Uniprot:P01834(配列番号:54)
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0044】
いくつかの実施態様では、本技術の免疫グロブリン関連構成物は、配列番号:46-53と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一である重鎖定常領域を含む。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、本技術の免疫グロブリン関連構成物は、配列番号:54と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一である軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様では、本技術の免疫グロブリン関連構成物は、配列番号:57の連続する少なくとも5から8アミノ酸残基を含むA33ポリペプチドのエピトープに結合する。いくつかの実施態様では、エピトープは立体構造エピトープである。
別の特徴では、本開示は、単離された免疫グロブリン関連構成物(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)を提供し、前記は、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:15、配列番号:19、配列番号:23、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:31、配列番号:33、配列番号:35、配列番号:58、配列番号:62を含む重鎖(HC)アミノ酸配列、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する前記配列の変種を含む。
加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、本技術の免疫グロブリン関連構成物は、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:17、配列番号:21、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:28、配列番号:30、配列番号:32、配列番号:34、配列番号:36、配列番号:60、配列番号:63を含む軽鎖(LC)アミノ酸配列、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する前記配列の変種を含む
【0045】
いくつかの実施態様では、本技術の免疫グロブリン関連構成物は、配列番号:5および配列番号:9(3A3-H1/L1);配列番号:5および配列番号:10(3A3-H1/L2);配列番号:6および配列番号:9(3A3-H2/L1);配列番号:6および配列番号:10(3A3-H2/L2);配列番号:15および配列番号:17(huA33-IgG1(H2L2));配列番号:19および配列番号:21(huA33-BsAb);配列番号:23および配列番号:24(クローン31);配列番号:25および配列番号:26(クローン32);配列番号:27および配列番号:28(クローン48);配列番号:29および配列番号:30(クローン49);配列番号:31および配列番号:32(クローン53);配列番号:33および配列番号:34(クローン56);配列番号:35および配列番号:36(クローン57);配列番号:58および配列番号:60(huA33-huC825);および配列番号:62および配列番号:63(huA33-mC825)から成る群からそれぞれ選択される、HCアミノ酸配列およびLCアミノ酸配列をそれぞれ含む。
免疫グロブリン関連構成物の上記実施態様のいずれにおいても、HCおよびLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は抗原結合部位を形成し、前記部位は、A33のエクトドメイン(配列番号:57)の連続する少なくとも5から8アミノ酸残基を含むA33ポリペプチドのエピトープに結合する。いくつかの実施態様では、エピトープは立体構造エピトープである。
いくつかの実施態様では、HCおよびLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は同じポリペプチド鎖の構成要素である。他の実施態様では、HCおよびLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は異なるポリペプチド鎖の構成要素である。ある種の実施態様では、抗体は完全長抗体である。
【0046】
いくつかの実施態様では、本技術の免疫グロブリン関連構成物は少なくとも1つのA33ポリペプチドと特異的に結合する。いくつかの実施態様では、本技術の免疫グロブリン関連構成物は、約10-3 M、10-4 M、10-5 M、10-6 M、10-7 M、10-8 M、10-9 M、10-10 M、10-11 M、または10-12 Mの解離定数(KD)で少なくとも1つのA33ポリペプチドに結合する。ある種の実施態様では、免疫グロブリン関連構成物は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または二重特異性抗体である。いくつかの実施態様では、抗体はヒト抗体のフレームワーク領域を含む。
ある種の実施態様では、免疫グロブリン関連構成物は以下の特徴の1つ以上を含む:
(a)配列番号:9、10、17、21、24、26、28、30、32、34、36、60または63のいずれか1つに存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または(b)配列番号:5、6、15、19、23、25、27、29、31、33、35、58または62のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列。別の特徴では、本明細書で提供する免疫グロブリン関連構成物の1つ以上のアミノ酸残基は別のアミノ酸で置換される。置換は、本明細書で定義する“保存的置換”であり得る。
いくつかの実施態様では、免疫グロブリン関連構成物は以下を含む:(a)配列番号:9、10、17、21、24、26、28、30、32、34、36、60または63のいずれか1つに存在するLC配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%同一であるLC配列;および/または(b)配列番号:5、6、15、19、23、25、27、29、31、33、35、58または62のいずれか1つに存在するHC配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%同一であるHC配列。
ある種の実施態様では、免疫グロブリン関連構成物は、N297AおよびK322Aから成る群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含むIgG1定常領域を含む。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、免疫グロブリン関連構成物はS228P変異を含むIgG4定常領域を含む。
【0047】
いくつかの特徴では、本明細書に記載する抗A33免疫グロブリン関連構成物は、迅速な結合および細胞取込みおよび/または緩やかな放出を促進するための構造的改変を含む。いくつかの特徴では、本技術の抗A33免疫グロブリン関連構成物(例えば抗体)は、CH2定常重鎖領域に欠失を含み、迅速な結合および細胞取込みおよび/または緩やかな放出を促進することができる。いくつかの特徴では、Fabフラグメントを用いて、迅速な結合および細胞取込みおよび/または緩やかな放出を促進する。いくつかの特徴では、F(ab)'2フラグメントを用いて、迅速な結合および細胞取込みおよび/または緩やかな放出を促進する。
ある特徴では、本技術は、本明細書に記載する免疫グロブリン関連構成物の重鎖または軽鎖をコードする核酸配列を提供する。本明細書に記載する抗体のいずれかをコードする組換え核酸配列もまた開示される。いくつかの実施態様では、核酸配列は、配列番号:7、8、11、12、16、18、20、22、59および61から成る群から選択される。別の特徴では、本技術は、本明細書に記載する免疫グロブリン関連構成物の重鎖または軽鎖をコードする任意の核酸配列を発現する宿主細胞を提供する。
本技術の免疫グロブリン関連構成物(例えば抗A33抗体)は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより高次の多重特異性であることができる。多重特異性抗体は、1つ以上のA33ポリペプチドの異なるエピトープに特異性であるか、またはA33ポリペプチドおよび異種構成物(例えば異種ポリペプチドまたは固相支持体物質)の両方に特異的であることができる。例えば以下を参照されたい:WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt et al., J. Immunol. 147: 60-69, 1991;U.S. Pat. Nos. 5,573,920、4,474,893、5,601,819、4,714,681、4,925,648、6,106,835;Kostelny et al., J. Immunol. 148: 1547-1553, 1992。いくつかの実施態様では、免疫グロブリン関連構成物はキメラである。ある種の実施態様では、免疫グロブリン関連構成物はヒト化される。
本技術の免疫グロブリン関連構成物はさらにまた、異種ポリペプチドとN-またはC-末端で組換えにより融合されるか、または化学的にポリペプチドもしくは他の構成物と複合体化され得る(共有結合および非共有結合による複合体化を含む)。例えば、本技術の免疫グロブリン関連構成物は、検出アッセイの標識として有用な分子およびエフェクター分子(例えば異種ポリペプチド、薬物、または毒素)と組換えにより融合されるか、または複合体化され得る。例えば以下を参照されたい:WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;U.S. Pat. No. 5,314,995;およびEP0 396 387。
【0048】
本技術の免疫グロブリン関連構成物の上記の実施態様のいずれにおいても、抗体または抗原結合フラグメントは、以下から成る群から選択される薬剤と場合によって複合体化することができる:放射性同位体、色素、色原体、造影剤、薬物、毒素、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、増殖因子、放射性核種、金属、リポソーム、ナノ粒子、RAN、DNAまたは前記の任意の組合せ。化学的結合または物理的結合では、典型的には、免疫グロブリン関連構成物の官能基を薬剤の官能基に結合させる。また別には、薬剤の官能基を免疫グロブリン関連構成物の官能基に結合させる。
薬剤および免疫グロブリン関連構成物の官能基は直接的に結合させることができる。例えば、薬剤の官能基(例えばスルフヒドリル基)を免疫グロブリン関連構成物の官能基(例えばスルフヒドリル基)と結合させて、ジスルフィドを形成することができる。また別に、官能基は架橋剤(すなわちリンカー)を介して結合させることができる。架橋剤のいくつかの例は下記に記載される。架橋剤を薬剤または免疫グロブリン関連構成物のどちらかに結合させることができる。複合体中の薬剤または免疫グロブリン関連構成物の数はまた、他方に存在する官能基の数によって制限される。例えば、複合体に結合させる薬剤の最大数は、免疫グロブリン関連構成物に存在する官能基の数に左右される。また別に、薬剤に結合させる免疫グロブリン関連構成物の最大数は、薬剤に存在する官能基数に左右される。
さらに別の実施態様では、複合体は、1つの薬剤と結合した1つの免疫グロブリン関連構成物を含む。ある実施態様では、複合体は、少なくとも1つの免疫グロブリン関連構成物と化学的に結合した(例えば複合体化された)少なくとも1つの薬剤を含む。薬剤は、当業者に公知の任意の方法によって免疫グロブリン関連構成物に化学的に結合され得る。例えば、薬剤の官能基を免疫グロブリン関連構成物の官能基に直接的に結合させることができる。適切な官能基のいくつかの例には、例えばアミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、マレイミド、イソシアネート、イソチオシアネートおよびヒドロキシルが含まれる。
【0049】
薬剤はまた、架橋剤という手段、例えばジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミドなどによって、免疫グロブリン関連構成物と化学的に結合させることができる。架橋剤は、例えばピアースバイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, Ill)から入手することができる。前記業者のウェブサイトは助力を提供することができる。追加の架橋剤には下記に記載されている白金架橋剤が含まれる:米国特許5,580,990号、5,985,566号、および6,133,038号(Kreatech Biotechnology, B.V., Amsterdam, The Netherlands)。
また別には、薬剤および免疫グロブリン関連構成物の官能基は同じものであり得る。同種二官能性架橋剤は、典型的には同一官能基を架橋するために用いられる。同種二官能性架橋剤の例には以下が含まれる:EGS(すなわちエチレングリコールビス[スクシンイミジルスクシネート])、DSS(すなわちジスクシンイミジルスベレート)、DMA(すなわちジメチルアジプイミド酸ジメチル2HCl)、DTSSP(すなわち3,3'-ジチオビス[スルホスクシンイミジルプロピオネート])、DPDPB(すなわち1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ブタン)およびBMH(すなわちビス-マレイミドヘキサン)。そのような同種二官能性架橋剤もまたピアースバイオテクノロジー社から入手できる。
【0050】
他の例では、薬剤を免疫グロブリン関連構成物から切断することが有益であり得る。上記に記載のピアースバイオテクノロジー社のウェブサイトはまた、例えば細胞内の酵素によって切断することができる適切な架橋剤の選択で当業者に助力を提供することができる。したがって、薬剤を免疫グロブリン関連構成物から分離させることができる。切断可能リンカーの例には以下が含まれる:SMPT(すなわち4-スクシンイミジルオキシカルボニル-メチル-[2-ピリジルジチオ]トルエン)、スルホ-LC-SPDP(すなわちスルホスクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、LC-SPDP(すなわちスクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、スルホ-LC-SPDP(すなわちスルホスクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、SPDP(すなわちN-スクシンイミジル3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミドヘキサノエート)、およびAEDP(すなわち3-[(2-アミノエチル)ジチオ]プロピオン酸HCl)。
別の実施態様では、複合体は、少なくとも1つの免疫グロブリン関連構成物と物理的に結合した少なくとも1つの薬剤を含む。当業者に公知の任意の方法を利用して、免疫グロブリン関連構成物に薬剤を物理的に結合させることができる。例えば、当業者に公知の任意の方法によって、免疫グロブリン関連構成物および薬剤を一緒に混合することができる。混合の順番は重要ではない。例えば、当業者に公知の任意の方法によって、薬剤を免疫グロブリン関連構成物と物理的に混合することができる。例えば、免疫グロブリン関連構成物および薬剤を容器に入れ、例えば容器を振盪することによって攪拌し、免疫グロブリン関連構成物および薬剤を混合することができる。
免疫グロブリン関連構成物は、当業者に公知の任意の方法によって改変され得る。例えば、上記に記載の架橋剤または官能基の手段によって免疫グロブリン関連構成物を改変することができる。
【0051】
A.本技術の抗A33抗体を調製する方法
概括:先ず初めに、本技術の抗体を生じさせることができる標的ポリペプチドが選択される。例えば、抗体は、完全長のA33タンパク質に対して、またはA33タンパク質の細胞外ドメインの部分に対して生じさせることができる。そのような標的ポリペプチドに向かう抗体を作出する技術は当業者には周知である。そのような技術の例には、例えば、ディスプレーライブラリー、異種またはヒトマウスハイブリドーマなどを必要とするものが含まれるが、ただし前記に限定されない。本技術の範囲内の標的ポリペプチドには、免疫応答を引き出すことができる、細胞外ドメインを含むA33タンパク質に由来する任意のポリペプチドが含まれる。A33タンパク質に特異的な抗体の調製は実施例1、2、3および5に例示される。
組換え操作された抗体および抗体フラグメント、例えば抗体関連ポリペプチド(前記はA33タンパク質およびそのフラグメントに向かう)が、本開示にしたがって使用されるために適切であることは理解されよう。
本明細書に示す技術に付すことができる抗A33抗体には、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、並びに抗体フラグメント、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fd、scFv、ジアボディ、抗体軽鎖、抗体重鎖、および/または抗体フラグメントが含まれる。抗体Fv含有ポリペプチド(例えばFab’およびF(ab’)2抗体フラグメント)の高収量生成に有用な方法が報告されている。米国特許5,648,237号を参照されたい。
一般的には、抗体は元の種から得られる。より具体的には、標的ポリペプチドに対して特異性を有する、元の種の抗体の軽鎖、重鎖または両方の鎖の可変部分の核酸またはアミノ酸配列を入手する。元の種は、本技術の抗体または抗体ライブラリーを作出するために有用な任意の種(例えばラット、マウス、ウサギ、ニワトリ、サル、ヒトなど)である。
ファージまたはファージミドディスプレー技術は本技術の抗体の誘導のために有用な技術である。モノクローナル抗体の作出およびクローニングのための技術は当業者には周知である。本技術の抗体をコードする配列の発現は大腸菌(E. coli)で実施できる。
【0052】
核酸コード配列の縮重があるので、天然に存在するアミノ酸配列と実質的に同じ配列をコードする他の配列を本技術の実施で用いることができる。これらには、上記のポリペプチドをコードする核酸配列の全てまたは部分が含まれ(ただし前記に限定されない)、それらは、配列内で機能的に等価のアミノ酸残基をコードする異なるコドンの置換によって改変される(したがってサイレント変化を生じる)。本技術の免疫グロブリンのヌクレオチド配列は、標準的方法で計算して25%までの配列相同性変動を許容することは理解されるであろう(“Current Methods in Sequence Comparison and Analysis,” Macromolecule Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pp. 127-149, 1998, Alan R. Liss, Inc.)。ただしそのような変種が、A33タンパク質を認識する機能性抗体を形成する場合に限られる。例えば、ポリペプチド配列内の1つ以上のアミノ酸残基を機能的な等価物として作用する同様な極性の別のアミノ酸によって置換し、サイレント変異をもたらすことができる。配列内のアミノ酸における置換は、当該アミノ酸が属するクラスの他のアミノ酸から選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸にはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが含まれる。極性の中性アミン酸にはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。陽性荷電(塩基性)アミノ酸にはアルギニン、リジンおよびヒスチジンが含まれる。陰性荷電(酸性)アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。タンパク質、そのフラグメントまたは誘導体もまた本技術の範囲内に含まれ、それらは、翻訳中または翻訳後に、例えばグリコシル化、タンパク質分解切断、抗体分子もしくは他の細胞性リガンドとの連結などによって弁別的に改変される。加えて、免疫グロブリンコード核酸配列をin vitroまたはin vivoで変異させて、翻訳配列、開始および/または終了配列を作出または破壊し、或いはコード領域に変動を作出し、および/または新規な制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するかまたは既存の部位を破壊し、更なるin vitro改変を促進することができる。当業界で公知の任意の変異誘導技術を用いることができる。前記にはin vitro部位指定変異誘導(J. Biol. Chem. 253:6551)、Tabリンカー(Pharmacia)の使用などが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0053】
ポリクローナル抗血清および免疫原の調製:本技術の抗体または抗体フラグメントを作出する方法は、典型的には、対象動物(一般的には非ヒト対象動物(例えばマウスまたはウサギ))を精製A33タンパク質もしくはそのフラグメントで、またはA33タンパク質もしくはそのフラグメントを発現する細胞で免疫する工程を含む。適切な免疫原性調製物は、例えば組換え発現A33タンパク質または化学合成A33ペプチドを含むことができる。A33タンパク質のECMまたはその部分もしくはフラグメントを免疫原として用い、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準的な技術によって、A33タンパク質またはその部分もしくはフラグメントと結合する抗A33抗体を作出することができる。
完全長A33タンパク質またはそのフラグメントは、フラグメントとして免疫原として有用である。いくつかの実施態様では、A33フラグメントは、配列番号:57のアミノ酸配列の連続する少なくとも5から8アミノ酸残基を含み、A33タンパク質のエピトープを包含して、したがって当該ペプチドに対して生じる抗体は、A33タンパク質との特異的免疫複合体を形成する。
いくつかの実施態様では、A33エクトドメイン(Ile22-Val235)とオーバーラップする抗原性A33ペプチドは、少なくとも5、8、10、15、20、または30アミノ酸残基を含む。より長い抗原性ペプチドが短い抗原性ペプチドよりも時には所望され、用途および当業界で周知の方法次第である。所与のエピトープのマルチマーがモノマーよりも時には有効である。
必要な場合には、A33タンパク質(またはそのフラグメント)の免疫原性は、ハプテン(例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または卵白アルブミン(OVA))との融合または複合体化によって増強できる。多くのそのようなハプテンが当業界で公知である。さらにまた、A33タンパク質を通常のアジュバント(例えばフロイントの完全または不完全アジュバント)と組合わせて、当該ポリペプチドに対する対象動物の免疫反応を増強することができる。免疫学的応答を増強するために用いられる多様なアジュバントには、フロイントのアジュバント(完全および不完全)、鉱物ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、多価陰イオン、ペプチド、油乳剤、ジニトロフェノールなど)、ヒトアジュバント(例えばカルメット-ゲラン桿菌およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum))、または同様な免疫刺激化合物が含まれるが、ただし前記に限定されない。
【0054】
本開示の説明では、免疫応答は“一次”または“二次”免疫応答と記載できる。一次免疫応答(“防御”免疫応答とも記載される)は、個々の抗原(例えばA33タンパク質)に対する何らかの初期暴露(例えば初期“免疫”)の結果として、個体で生じる免疫応答を指す。いくつかの実施態様では、免疫は、抗原を含むワクチンによる個体のワクチン接種の結果として生じ得る。例えば、ワクチンは、1つ以上のA33タンパク質由来抗原を含むA33ワクチンであり得る。一次免疫応答は、時間の経過で弱体化または減弱し、消失することさえあり、または検出できないほど減弱され得る。したがって、本技術はまた“二次”免疫応答に関する(本明細書では“記憶免疫応答”とも記載される)。二次免疫応答という用語は、一次免疫応答が既に生じた後に個体で引き出される免疫応答を指す。
したがって、二次免疫応答は、例えば弱体化または減弱した既存の免疫応答を強化するために、または消失してしまったかまたはもはや検出できない以前の免疫応答を再現するために引き出すことができる。二次または記憶免疫応答は、液性(抗体)応答または細胞性応答であり得る。二次または記憶液性応答は、抗原の最初の提示で生じたメモリーB細胞の刺激に際して発生する。遅延型過敏(DTH)反応は、細胞性二次または記憶免疫応答型であり、CD4+ T細胞によって媒介される。抗原への最初の暴露は免疫系を始動させ、更なる暴露はDTHをもたらす。
適切な免疫の後で、抗A33抗体を対象動物の血清から調製できる。所望される場合には、A33タンパク質に対する抗体分子を哺乳動物から(例えば血液から)単離し、周知の技術(例えばポリペプチドAクロマトグラフィー)によってさらに精製してIgG画分を得ることができる。
【0055】
モノクローナル抗体:本技術のある実施態様では、抗体は抗A33モノクローナル抗体である。例えば、いくつかの実施態様では、抗A33モノクローナル抗体は、ヒトまたはマウス抗A33モノクローナル抗体である。A33タンパク質に向けられるモノクローナル抗体、またはその誘導体、フラグメント、アナローグもしくはホモローグの調製のためには、連続細胞株培養による抗体分子の製造を提供する任意の技術を利用することができる。そのような技術には以下が含まれる:ハイブリドーマ技術(例えば以下を参照されたい:Kohler & Milstein, 1975. Nature 256: 495-497);トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えば以下を参照されたい:Kozbor, et al., 1983. Immunol. Today 4: 72);およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBVハイブリドーマ技術(例えば以下を参照されたい:Cole, et al., 1985. In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)(ただし前記に限定されない)。ヒトモノクローナル抗体を本技術の実施に利用することができ、前記抗体は、ヒトハイブリドーマを用いることによって(例えば以下を参照されたい:Cote, et al., 1983. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 2026-2030)、またはヒトB細胞をエプスタイン-バーウイルスでin vitroで形質転換することによって(例えば以下を参照されたい:Cole, et al., 1985. In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)生成することができる。例えば、抗体の領域をコードする核酸集団を単離することができる。抗体の保存された領域をコードする配列に由来するプライマーを利用するPCRを用いて、当該集団から抗体の部分をコードする配列を増幅し、続いて抗体またはそのフラグメント(例えば可変ドメイン)をコードするDNAを当該増幅配列から再構築する。そのような増幅配列はまた他のタンパク質(例えばバクテリオファージの外皮または細菌細胞表面タンパク質)と融合させて、当該融合ポリペプチドをファージまたは細菌上で発現およびディスプレーさせることができる。続いて増幅配列を発現させ、さらに、例えばA33タンパク質上に存在する抗原またはエピトープに対する当該発現抗体またはそのフラグメントの親和性に基づいて選別または単離することができる。また別には、対象動物を免疫し、続いて対象動物の脾臓からハイブリドーマを単離することによって、抗A33モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを日常的方法を用いて調製することができる。例えばMilsteinらの論文を参照されたい(Galfre and Milstein, Methods Enzymol (1981) 73: 3-46)。標準的方法を用いるハイブリドーマのスクリーニングは、様々な特異性の(すなわち異なるエピトープに対する)モノクローナル抗体を生じるであろう。ハイブリドーマによって発現される所望の特性(例えばA33結合)を有する選別モノクローナル抗体を用いることができ、前記を分子(例えばポリエチレングリコール(PEG))と結合させてその特性を改変するか、それをコードするcDNAを単離し配列決定し、さらに多様な方法で操作することができる。合成デンドリマーツリーを反応性アミノ酸側鎖(例えばリジン)に付加し、A33タンパク質の免疫原性特性を強化することができる。さらにまた、CPGジヌクレオチド技術を用いて、A33タンパク質の免疫原性特性を強化することができる。他の操作には、保存時または対象動物への投与後の抗体の不安定性に関与する特定のアミノ酸残基の置換または欠失、およびA33タンパク質の抗体の親和性を改善する親和性成熟技術が含まれる。
【0056】
ハイブリドーマ技術:いくつかの実施態様では、本技術の抗体は、ハイブリドーマによって生成される抗A33モノクローナル抗体である。前記ハイブリドーマは、ヒト重鎖トランスジーンおよび軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)から得られ、不死化細胞に融合されたB細胞を含む。ハイブリドーマ技術には当業界で公知の方法が含まれ、前記は以下で教示されている:Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 349, 1988;Hammerling et al., Monoclonal Antibodies And T-Cell Hybridomas, 563-681, 1981。ハイブリドーマおよびモノクローナル抗体を生成する他の方法は当業者には周知である。
【0057】
ファージディスプレー技術:上記に記したように、本技術の抗体は、組換えDNAおよびファージディスプレー技術の応用により生成することができる。例えば、抗A33抗体は、当業界で公知の多様なファージディスプレーの方法を用いて調製することができる。ファージディスプレー方法では、機能的な抗体ドメインが、当該ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を保持するファージ粒子の表面でディスプレーされる。所望の結合特性を有するファージは、抗原、典型的には固体表面またはビーズに結合または捕捉された抗原を用いて直接選別することによって、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えばヒトまたはネズミ)から選別される。これらの方法で用いられるファージは、典型的には繊維状ファージ(fdおよびM13を含む)であり、前記は、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のどちらかに組換えにより融合されるFab、Fvまたはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを有する。加えて、これら方法は、Fab発現ライブラリーの構築のために改造されて(例えば以下を参照されたい:Huse, et al.,. Science 246: 1275-1281, 1989)、A33ポリペプチド(例えばポリペプチドまたはその誘導体、フラグメント、アナローグまたはホモローグ)に対する所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速で効率的な識別を可能にする。本技術の抗体の作製に用いることができる他のファージディスプレー方法の例には、以下に開示されるものが含まれる:Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A., 85: 5879-5883, 1988;Chaudhary et al., Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A., 87: 1066-1070, 1990;Brinkman et al., J. Immunol. Methods 182: 41-50, 1995;Ames et al., J. Immunol. Methods 184: 177-186, 1995;Kettleborough et al., Eur. J. Immunol. 24: 952-958, 1994;Persic et al., Gene 187: 9-18, 1997;Burton et al., Advances in Immunology 57: 191-280, 1994;PCT/GB91/01134;WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;WO96/06213;WO92/01047(Medical Research Council et al.);WO97/08320(Morphosys);WO92/01047(CAT/MRC);WO91/17271(Affymax);および米国特許5,698,426号、5,223,409号、5,403,484号、5,580,717号、5,427,908号、5,750,753号、5,821,047号、5,571,698号、5,427,908号、5,516,637号、5,780,225号、5,658,727号および5,733,743号。ジスルフィド結合を介してポリペプチドを接着させることによって当該ポリペプチドをバクテリオファージ粒子の表面でディスプレーするために有用な方法は、米国特許6,753,136号(Lohning)によって記載されている。上記参考文献に記載されているように、ファージ選別の後で、ファージの抗体コード領域を単離し、完全な抗体(ヒト抗体を含む)または所望される他の任意の抗原結合フラグメントを作出し、さらに所望される任意の宿主細胞(哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を含む)で発現させることができる。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組換え生成する技術もまた、当業界で公知の例えば以下に開示された方法を用いて利用することができる:WO92/22324;Mullinax et al., BioTechniques 12: 864-869, 1992;およびSawai et al., AJRI 34: 26-34, 1995;およびBetter et al., Science 240: 1041-1043, 1988。
一般的に、ディスプレーベクターでクローニングされるハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体フラグメントは、良好な結合活性を維持する変種を識別するために適切な抗原に対して選別できる。なぜならば、抗体または抗体フラグメントは、ファージまたはファージミド粒子の表面に存在するからである(例えば以下を参照されたい:Barbas III et al., Phage Display, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2001)。しかしながら、他のベクター形式もこのプロセスに用いることができよう。例えば、選別および/またはスクリーニングのための溶菌性ファージベクター(改変T7またはラムダZap系)での抗体フラグメントライブラリーのクローニングである。
【0058】
組換え抗A33抗体の発現:上記に記したように、本技術の抗体は組換えDNA技術を応用して生成できる。本技術の抗A33抗体をコードする組換えポリヌクレオチド構築物は、典型的には抗A33抗体鎖のコード配列に作動できるように連結された発現制御配列(天然に付随しているかまたは異種のプロモーター領域を含む)を含む。したがって、本技術の別の特徴は、本技術の抗A33抗体をコードする1つ以上の核酸配列を含有するベクターを含む。本技術のポリペプチドの1つ以上の組換え発現のために、抗A33抗体をコードするヌクレオチド配列の全てまたは部分を含有する核酸が、適切なクローニングベクターまたは発現ベクター(すなわち、挿入されるポリペプチドコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むベクター)に、当業界で周知であり下記で詳述される組換えDNA技術により挿入される。多岐にわたるベクター集団を生成する方法は、米国特許6,291,160号および6,680,192号(Lerner et al.)に記載されている。
【0059】
一般的には、組換えDNA技術で有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形態である。本開示では、“プラスミド”および“ベクター”は、プラスミドがベクターのもっとも一般的に用いられる形態であるので互換的に用いられる。しかしながら、本技術は、技術的にはプラスミドではない他の形態の発現ベクター、例えばウイルスベクター(例えば複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)(これらは等価の機能を供する)を含むことを意図する。そのようなウイルスベクターは、対象動物の感染および当該対象動物での構築物の発現を可能にする。いくつかの実施態様では、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができるベクターでは真核細胞プロモーター系である。いったんベクターが適切な宿主に取り込まれたら、当該宿主は、抗A33抗体をコードするヌクレオチド配列の高レベル発現、抗A33抗体(例えば交差反応性抗A33抗体)の収集および精製のために適切な条件下で維持される。全般的にはU.S. 2002/0199213を参照されたい。これらの発現ベクターは、典型的には、宿主生物でエピソームとしてまたは宿主染色体DNAの必須部分として複製することができる。通常は、発現ベクターは選別マーカー(例えばアンピシリン耐性またはヒグロマイシン耐性)を含有して、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にする。ベクターはまた細胞外抗体フラグメントの分泌を指令するために有用であるシグナルペプチド(ペクチン酸リアーゼ)をコードし得る。米国特許5,576,195号を参照されたい。
【0060】
本技術の組換え発現ベクターは、A33結合特性を有するタンパク質をコードする核酸を、宿主細胞での当該核酸の発現に適切な形態で含む。適切な形態とは、組換え発現ベクターが、発現に用いられる宿主細胞を基準にして選択される1つ以上の調節配列を含むこと、すなわち発現されるべき核酸配列に作動できるように連結されることを意味する。組換え発現ベクター内で“作動できるように連結される”とは、対象のヌクレオチド配列が、(例えばin vitro転写/翻訳系で、またはベクターが宿主細胞に導入されるときには宿主細胞で)当該ヌクレオチド配列の発現を可能にする態様で調節配列と連結されることを意味する。“調節配列”という用語は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。そのような調節配列は例えば以下に記載される:Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif., 1990。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞でヌクレオチド配列の構成的発現を指令するもの、および一定の宿主細胞でのみヌクレオチド配列の発現を指令するもの(例えば組織特異的調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、例えば、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるポリペプチドの発現のレベルなどの要件に左右され得ることは当業者には理解されよう。組換えポリペプチド発現(例えば抗A33抗体)のプロモーターとして有用な典型的な調節配列には、例えば3-ホスホグリセレートキナーゼおよび他の解糖系酵素のプロモーターが含まれるが、ただし前記に限定されない。誘導性酵母プロモーターには、とりわけアルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロームC、並びにマルトースおよびガラクトース利用に必要な酵素のプロモーターが含まれる。ある実施態様では、本技術の抗A33抗体をコードするポリヌクレオチドは、ara Bプロモーターに作動できるように連結され、宿主細胞で発現可能である。米国特許5,028,530号を参照されたい。本技術の発現ベクターは宿主細胞に導入され、それによって、本明細書に記載の核酸によってコードされる、融合ポリペプチドを含)ポリペプチドまたはペプチド(例えば抗A33抗体など)を生成することができる。
【0061】
本技術の別の特徴は抗A33抗体発現宿主細胞に関し、前記細胞は、1つ以上の抗A33抗体をコードする核酸を含む。本技術の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞での抗A33抗体の発現のために設計され得る。例えば、抗A33抗体は、細菌細胞(例えば大腸菌(Escherichia coli))、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、真菌細胞(例えば酵母)、酵母細胞または哺乳動物細胞で発現され得る。適切な宿主細胞は以下で更なる考察に付される:Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif., 1990。また別には、組換え発現ベクターは、in vitroで例えばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて転写および翻訳され得る。確率論的に作製したポリヌクレオチドの発現による、予め定められた特性を有するポリペプチド(例えば抗A33抗体)の調製およびスクリーニングに有用な方法は以前に記載されている。米国特許5,763,192号、5,723,323号、5,814,476号、5,817,483号、5,824,514号、5,976,862号、6,492,107号、6,569,641号を参照されたい。
原核細胞でのポリペプチドの発現はもっとも頻繁には大腸菌で実施され、融合または非融合ポリペプチドの発現を指令する構成的または誘導性プロモーターを含むベクターが用いられる。融合ベクターは、その中でコードされるポリペプチドに多数のアミノ酸を、通常は当該組換えポリペプチドのアミノ末端に付加する。そのような融合ベクターは典型的には3つの目的のために働く:(i)組換えポリペプチドの発現を高める;(ii)組換えポリペプチドの溶解性を高める;および(iii)親和性精製のリガンドとして作用することによって、組換えポリペプチドの精製を助ける。融合発現ベクターでは、しばしばタンパク分解性切断部位が融合部分と組換えポリペプチドとの接点に導入されて、融合ポリペプチドの精製後に当該融合部分から組換えポリペプチドの分離を可能にする。そのような酵素およびそれらの同族認識配列には、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが含まれる。典型的な融合発現ベクターには、pGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith and Johnson, 1988. Gene 67: 31-40)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass.)、およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, N.J.)が含まれ、前記では、それぞれ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合ポリペプチド、またはポリペプチドAが標的組換えポリペプチドと融合する。
【0062】
適切な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例には、pTrc(Amrann et al., (1988) Gene 69: 301-315)およびpET 11d(Studier et al., GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif., 1990, 60-89)が含まれる。ポリペプチド融合を介してマルチ機能性ポリペプチドを得るために、別個の活性ペプチドまたはタンパク質ドメインを標的誘導アッセンブリーする方法は、米国特許6,294,353号、6,692,935号(Pack et al.)に記載されている。大腸菌で組換えポリペプチド(例えば抗A33抗体)発現を最大化する1つの手法は、組換えポリペプチドのタンパク分解性切断性能が障害された宿主細菌で当該ポリペプチドを発現することである。例えば以下を参照されたい:Gottesman, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY: METHODS IN ENZYMOLOGY 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) 119-128。別の手法は、各アミノ酸の個々のコドンが発現宿主(例えば大腸菌)で優先的に利用されるように、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を改変することである(例えば以下を参照されたい:Wada, et al., 1992. Nucl. Acids Res. 20: 2111-2118)。本技術の核酸配列のそのような改変は、標準的なDNA合成技術によって実施できる。
別の実施態様では、抗A33抗体発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)での発現用ベクターの例には、pYepSec1(Baldari, et al., 1987. EMBO J. 6: 229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, Cell 30: 933-943, 1982)、pJRY88(Schultz et al., Gene 54: 113-123, 1987)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpicZ(Invitrogen Corp, San Diego, Calif.)が含まれる。また別には、抗A33抗体は、バキュロウイルス発現ベクターを用いて昆虫細胞で発現できる。培養昆虫細胞(例えばSF9細胞)でのポリペプチド(例えば抗A33抗体)の発現に利用できるバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smith, et al., Mol. Cell. Biol. 3: 2156-2165, 1983)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers, 1989. Virology 170: 31-39)が含まれる。
【0063】
さらに別の実施態様では、本技術の抗A33抗体をコードする核酸は、哺乳動物発現ベクターを用いて哺乳動物細胞で発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、例えばpCDM8(Seed, Nature 329: 840, 1987)およびpMT2PC(Kaufman, et al., EMBO J. 6: 187-195, 1987)が含まれるが、ただし前記に限定されない。哺乳動物細胞で用いられるとき、発現ベクターの制御機能は、しばしばウイルスの調節エレメントによって提供される。例えば、通常的に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。本技術の抗A33抗体の発現に有用である、原核細胞および真核細胞の両方で適切な他の発現系については、例えば以下の文献の16および17章を参照されたい:Sambrook, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989。
別の実施態様では、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞タイプで核酸の発現を指令する能力を有する(例えば組織特異的調節エレメント)。組織特異的調節エレメントは当業界で公知である。適切な組織特異的プロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert, et al., Genes Dev. 1: 268-277, 1987)、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton, Adv. Immunol. 43: 235-275, 1988)、T細胞受容体(Winoto and Baltimore, EMBO J. 8: 729-733, 1989)および免疫グロブリン(Banerji, et al., 1983. Cell 33: 729-740;Queen and Baltimore, Cell 33: 741-748, 1983)のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば神経フィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 5473-5477, 1989)、膵臓特異的プロモーター(Edlund, et al., 1985. Science 230: 912-916)、並びに乳腺特異的プロモーター(例えば乳清プロモーター;米国特許4,873,316号および欧州特許公開No.264,166)が含まれる。発生調節プロモーターもまた包含され、例えば、ネズミHoxプロモーター(Kessel and Gruss, Science 249: 374-379, 1990)およびα-フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman, Genes Dev. 3: 537-546, 1989)である。
【0064】
本発明の別の特徴は、本技術の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。“宿主細胞”および“組換え宿主細胞”という用語は本明細書では互換的に用いられる。そのような用語は、個々の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫も指すことは理解されよう。変異または環境的影響のために一定の改変が継承世代で発生し得るので、実際のところそのような子孫は親細胞と同一ではないことがあるが、それらはなお本明細書で用いられる用語の範囲内に含まれる。
宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、抗A33抗体は、細菌細胞(例えば大腸菌)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞で発現され得る。哺乳動物細胞は、免疫グロブリンまたはそのフラグメントをコードするヌクレオチドセグメントを発現するために適切な宿主である。以下を参照されたい:Winnacker, From Genes To Clones(VCH Publishers, NY, 1987)。インタクトな異種タンパク質を分泌する能力を有する適切な多数の宿主細胞株が当業界で開発されてきた。前記には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、多様なCOS細胞株、HeLa細胞、L細胞およびミエローマ細胞株が含まれる。いくつかの実施態様では、細胞は非ヒトである。これらの細胞のための発現ベクターは、発現制御配列、例えば複製起点、プロモーター、エンハンサー、必要なプロセッシング情報部位、例えばリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写終了配列を含むことができる(Queen et al., Immunol. Rev. 89: 49, 1986)。例示的な発現制御配列は、内因性遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである(Co et al., J Immunol. 148: 1149, 1992)。他の適切な宿主細胞は当業者には公知である。
【0065】
ベクターDNAは、通常の形質転換またはトランスフェクション技術により原核細胞または真菌細胞に導入することができる。本明細書で用いられるように、“形質転換”または“トランスフェクション”という用語は、外来核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入する当業界で承認されている多様な技術を指すことが意図され、前記技術には、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共同沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、バイオリスティクス、またはウイルスによるトランスフェクションが含まれる。哺乳動物細胞を形質転換するために用いられる他の方法には、ポリブレンの使用、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクションが含まれる(全般的にはSambrookらの著書(Sambrook, et al., Molecular Cloning)を参照されたい)。宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションのための適切な方法は、Sambrookらの著書(Sambrook, et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)および他の実験室マニュアルで見出すことができる。対象のDNAセグメントを含むベクターは、細胞宿主のタイプに応じ周知の方法によって宿主細胞に移される。
哺乳動物細胞の安定的トランスフェクションの場合、用いられる発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、細胞の小部分のみが外来DNAをそれらのゲノムに組み込み得ることが知られている。これら組込み体を識別および選別するために、一般的には、選別可能マーカー(例えば抗生物質耐性)をコードする遺伝子が、対象の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。多様な選別可能マーカーには、薬物(例えばG418、ヒグロマイシンおよびメトトレキサート)に対する耐性を付与するものが含まれる。選別可能マーカーをコードする核酸は、抗A33抗体をコードするベクターと同じベクターで宿主細胞に導入されるか、または別々のベクターで導入され得る。導入核酸で安定的にトランスフェクトされた細胞は、薬物選別によって識別できる(例えば、選別可能マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生存し、一方、他の細胞は死滅する)。
【0066】
本技術の抗A33抗体を含む宿主細胞(例えば原核または真核宿主細胞培養)を用いて、組換え抗A33抗体を生成(すなわち発現)することができる。ある実施態様では、当該方法は、抗A33抗体が生成されるように適切な培地で宿主細胞(抗A33抗体をコードする組換え発現ベクターがその中に導入されている)を培養する工程を含む。別の実施態様では、当該方法はさらにまた、培地または宿主細胞から抗A33抗体を単離する工程を含む。いったん発現されたら、抗A33抗体(例えば抗A33抗体または抗A33抗体関連ポリペプチド)は培養培地および宿主細胞から精製される。抗A33抗体は、当業界の標準的な手順にしたがって精製でき、前記手順にはHPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などが含まれる。ある実施態様では、抗A33抗体は、Bossら(米国特許4,816,397号(Boss et al.))の方法によって生成される。通常は、抗A33抗体鎖はシグナル配列とともに発現され、したがって培養培地に放出される。しかしながら、抗A33抗体鎖が宿主細胞によって自然に分泌されない場合、抗A33抗体鎖は穏やかな洗剤による処理で放出させることができる。組換えポリペプチドの精製は当業界で周知であり、前記精製には、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティークロマトグラフィー精製技術、カラムクロマトグラフィー、イオン交換精製技術、ゲル電気泳動などが含まれる(全般的には下記を参照されたい:Scopes, Protein Purification(Springer-Verlag, N.Y., 1982))。
抗A33抗体をコードするポリヌクレオチド(例えば抗A33抗体コード配列)をトランスジーンに取り込み、トランスジェニック動物のゲノムへ導入し、続いてトランスジェニック動物の乳中で発現させることができる。例えば、米国特許5,741,957号、5,304,489号、および5,849,992号を参照されたい。適切なトランスジーンは軽および/または重鎖のためのコード配列を含み、前記コード配列は、乳腺特異的遺伝子(例えばカゼインまたはβ-ラクトグロビン)由来のプロモーターおよびエンハンサーに作動できるように連結される。トランスジェニック動物の作製のためには、トランスジーンを受精卵母細胞にマイクロインジェクトするか、または胚性幹細胞のゲノムに取り込ませ、そのような細胞の核を脱核卵母細胞に移すことができる。
【0067】
単鎖抗体:ある実施態様では、本技術の抗A33抗体は単鎖抗A33抗体である。本技術にしたがえば、A33タンパク質に特異的な単鎖抗体の生成のために複数の技術を適合させることができる(例えば米国特許4,946,778号を参照されたい)。単鎖Fvおよび本技術の抗体の生成のために用いることができる技術の例には、以下に記載された技術が含まれる:米国特許4,946,778号および5,258,498号;Huston et al., Methods in Enzymology, 203: 46-88, 1991;Shu, L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7995-7999, 1993;およびSkerra et al., Science 240: 1038-1040, 1988。
【0068】
キメラおよびヒト化抗体:ある実施態様では、本技術の抗A33抗体はキメラ抗A33抗体である。ある実施態様では、本技術の抗A33抗体はヒト化抗A33抗体である。本技術のある実施態様では、ドナーおよびアクセプター抗体は種々の種に由来するモノクローナル抗体である。例えば、アクセプター抗体はヒト抗体であり(ヒトでのその抗原性を最小限にする)、前記事例では、得られたCDR移植抗体は“ヒト化”抗体と称される。
組換え抗A33抗体(例えばキメラおよびヒト化モノクローナル抗体)は、ヒトおよび非ヒトの両方の部分を含み、前記は標準的な組換えDNA技術を用いて作製でき、本技術の範囲内である。いくつかの使用のために(本技術の抗A33抗体の人間でのin vivo使用とともにin vitro検出アッセイでのこれら薬剤の使用を含む)、キメラまたはヒト化抗A33抗体を使用することができる。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当業界で公知の組換えDNA技術によって生成することができる。そのような有用な方法には例えば以下に記載される方法が含まれる(ただしそれらに限定されない):国際出願No. PCT/US86/02269;米国特許5,225,539号;欧州特許184187号;欧州特許171496号;欧州特許173494号;PCT国際公開WO86/01533;米国特許4,816,567号、5,225,539号;欧州特許125023号;Better, et al., 1988. Science 240: 1041-1043;Liu, et al., 1987. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 3439-3443;Liu, et al., 1987. J. Immunol. 139: 3521-3526;Sun, et al., 1987. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 214-218;Nishimura, et al., 1987. Cancer Res. 47: 999-1005;Wood, et al., 1985. Nature 314: 446-449;Shaw, et al., 1988. J. Natl. Cancer Inst. 80: 1553-1559;Morrison (1985) Science 229: 1202-1207;Oi, et al. (1986) BioTechniques 4: 214;Jones, et al., 1986. Nature 321: 552-525;Verhoeyan, et al., 1988. Science 239: 1534;Morrison, Science 229: 1202, 1985;Oi et al., BioTechniques 4: 214, 1986;Gillies et al., J. Immunol. Methods, 125: 191-202, 1989;米国特許5,807,715号;およびBeidler, et al., 1988. J. Immunol. 141: 4053-4060。例えば、抗体は以下を含む多様な技術を用いてヒト化され得る:CDR移植(EP0 239 400;WO91/09967;米国特許5,530,101号、5,585,089号、5,859,205号、6,248,516号;EP460167)、上張りまたは表面付け替え(EP0 592 106;EP0 519 596;Padlan E. A., Molecular Immunology, 28: 489-498, 1991;Studnicka et al., Protein Engineering 7: 805-814, 1994;Roguska et al., PNAS 91: 969-973, 1994)、および鎖のシャッフリング(米国特許5,565,332号)。ある実施態様では、Fc定常領域をコードする配列を特異的に除去するために選択した制限酵素を用いて、ネズミ抗A33モノクローナル抗体をコードするcDNAを消化し、ヒトFcをコードするcDNAの等価部分で置換される(以下を参照されたい:Robinson et al., PCT/US86/02269;Akira et al.,欧州特許出願184,187;Taniguchi, 欧州特許出願171,496;Morrison et al., 欧州特許出願173,494;Neuberger et al., WO86/01533;Cabilly et al.米国特許4,816,567号;Cabilly et al., 欧州特許出願125,023;Better et al. (1988) Science 240: 1041-1043;Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 3439-3443;Liu et al. (1987) J Immunol 139: 3521-3526;Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 214-218;Nishimura et al. (1987) Cancer Res 47: 999-1005;Wood et al. (1985) Nature 314: 446-449;およびShaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80: 1553-1559;米国特許6,180,370号;米国特許6,300,064号、6,696,248号、6,706,484号、6,828,422号。
ある実施態様では、本技術はヒト化抗A33抗体の構築を提供し、前記抗体は、ヒト抗マウス抗体(本明細書では“HAMA”と称する)応答を誘発する可能性が低いが、なお効率的な抗体エフェクター機能を有する。本明細書で用いられるように、抗体に関連して“ヒト”および“ヒト化”という用語は、治療的に容認できる弱い免疫原性応答をヒト対象動物で引き出すと予想される任意の抗体に関する。ある実施態様では、本技術は、ヒト化された抗A33抗体、重鎖および軽鎖免疫グロブリンを提供する。
【0069】
CDR抗体:いくつかの実施態様では、本技術の抗A33抗体は抗A33 CDR抗体である。一般的には、抗A33 CDR抗体を作出するために用いられるドナーおよびアクセプター抗体は、異なる種に由来するモノクローナル抗体である。典型的には、アクセプター抗体はヒト抗体であり(ヒトでのその抗原性を最小限にする)、前記事例では、得られるCDR移植抗体は“ヒト化”抗体と称される。移植物は、アクセプター抗体のただ1つのVHまたはVL内部でただ1つのCDRであるか(またはただ1つのCDRの部分ですらある)、またはVHおよびVLの一方または両方の内部で複数のCDR(またはその部分)であり得る。しばしば、アクセプター抗体の全ての可変ドメインの3つ全てのCDRが、対応するドナーCDRで取り替えられるであろう。ただし、得られるCDR移植抗体とA33タンパク質との適切な結合を可能にするために要求される数に限る必要がある。CDRを移植されかつヒト化された抗体を作出する方法は以下によって教示される:Queen et al. U.S. Pat. No. 5,585,089;米国特許5,693,761号;米国特許5,693,762号;および米国特許5,225,539号(Winter);並びにEP0682040。VHおよびVLポリペプチドを調製するために有用な方法は以下によって教示される:ウィンターら(Winter et al.)の米国特許4,816,397号、6,291,158号、6,291,159号、6,291,161号、6,545,142、EP0368684、EP0451216、およびEP0120694。
【0070】
同じファミリーおよび/または同じファミリーメンバーから適切なフレームワーク領域候補を選択した後、元の種に由来するCDRをハイブリッドフレームワーク領域に移植することによって重鎖および軽鎖可変領域の一方または両方を生成する。上記特徴のどちらかに関してハイブリッド可変鎖を有するハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体フラグメントのアッセンブリーは、当業界で公知の通常的な方法を用いて達成され得る。例えば、本明細書に記載のハイブリッド可変ドメインをコードするDNA配列(すなわち、標的種を土台とするフレームワークおよび元の種に由来するCDR)は、オリゴヌクレオチド合成および/またはPCRによって生成できる。CDR領域をコードする核酸もまた元の種の抗体から適切な制限酵素を用いて単離し、さらに適切な連結酵素で連結することによって標的種のフレームワークに連結することができる。また別には、元の種の抗体の可変鎖のフレームワーク領域を部位指定変異導入によって変化させることができる。
ハイブリッドは各フレームワーク領域に対応する複数の候補から選択して構築されるので多くの配列組合せが存在し、それら配列を本明細書に記載する原則にしたがって構築することは容易である。したがって、個々のフレームワーク領域の種々の組合せを有するメンバーを含むハイブリッドライブラリーを組み立てることができる。そのようなライブラリーは、配列コレクションの電子データベースであってもハイブリッドの物理的コレクションであってもよい。
【0071】
このプロセスは、典型的には移植されるCDRにフランキングするアクセプター抗体のFRを変化させない。しかしながら、当業者は、所与のFRの一定の残基を取替えることによってドナー抗体の対応するFRにより類似させることによって、得られる抗A33 CDR移植抗体の抗原結合親和性をときに改善することができる。適切な置換の場所はCDRに隣接するアミノ酸残基を含むか、またはそれらはCDRと相互作用することができる(例えばUS 5,585,089、特に12-16段を参照されたい)。或いは、当業者はドナーFRを皮切りに、前記をアクセプターFRまたはヒトコンセンサスFRにより類似するように改変することができる。これらの改変を実施するための技術は当業界で公知である。特に、得られたFRが当該位置についてヒトコンセンサスFRと適合するか、またはそのようなコンセンサスFRと少なくとも90%以上同一である場合、そのように改変することは、完全にヒトのFRを有する同じ抗体と比較して、当該得られた改変抗A33 CDR移植抗体の抗原性を有意には増強させ得ない。
【0072】
二重特異性抗体(BsAb):二重特異性抗体は、別個の構造を有する2つの標的、例えば2つの異なる標的抗原、同じ標的抗原の2つの異なるエピトープ、またはハプテンおよび標的抗原もしくは標的抗原のエピトープと同時に結合できる抗体である。BsAbは、例えば同じまたは異なる抗原の異なるエピソームを認識する重鎖および/または軽鎖を組合わせることによって作製できる。いくつかの実施態様では、分子機能によって、二重特異性結合因子は、その2つの結合アームの一方(一方のVH/VL対)で一方の抗原(またはエピトープ)と結合し、その第二のアーム(別個のVH/VL対)で異なる抗原(またはエピトープ)と結合する。この定義によれば、二重特異性結合因子は、(特異性およびCDR配列の両方において)2つの別個の抗原結合アームを有し、それが結合する各抗原に対して一価である。
本技術の二重特異性抗体(BsAb)および二重特異性抗体フラグメント(BsFab)は、例えばA33と特異的に結合する少なくとも1つのアーム、および第二の標的抗原と特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有する。いくつかの実施態様では、第二の標的抗原は、B細胞、T細胞、骨髄細胞、形質細胞もしくはマスト細胞の抗原またはエピトープである。加えて或いはまた別に、ある種の実施態様では、第二の標的抗原は、CD3、CD4、CD8、CD20、CD19、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA-DR、CD74、CD22、CD14、CD15、CD16、CD123、TCRガンマ/デルタ、NKp46およびKIRから成る群から選択される。ある種の実施態様では、BsAbは、細胞表面でA33抗原を発現する腫瘍細胞と結合する能力を有する。いくつかの実施態様では、BsAbは、細胞傷害性T細胞を腫瘍部位に向かわせる(補充する)ことによって腫瘍細胞の殺滅を促進するように操作されている。他の例示的なBsAbには、A33に特異的な第一の抗原結合部位および小分子ハプテンに特異的な第二の抗原結合部位を有するものが含まれる。前記ハプテンは、例えばDTP A、IMP288、DOTA、DOTA-Bn、DOTA-デスフェリオキサミン、本明細書に記載する他のDOTA-キレート、ビオチン、フルオレセイン、またはGoodwinらの文献に開示されたもの(Goodwin, D A. et al, 1994, Cancer Res. 54(22):5937-5946)である。
【0073】
多様な二重特異性融合タンパク質を分子操作を用いて作製できる。例えば、完全な免疫グロブリンフレームワーク(例えばIgG)、単鎖可変フラグメント(scFv)または前記の組合せを利用するBsAbが構築されている。いくつかの実施態様では、二重特異性融合タンパク質は二価であり、前記は、例えば1つの抗原に対するただ1つの結合部位を有するscFvおよび第二の抗原に対するただ1つの結合部位を有するFabを含む。他の実施態様では、二重特異性融合タンパク質は四価であり、例えば、1つの抗原に対する2つの結合部位を有する免疫グロブリン(例えばIgG)および第二の抗原に対する2つの同一scFvを含む。タンデムに2つのscFvユニットを含むBsAbは、臨床的に上首尾な二重特異性抗体形式であることが示されている。いくつかの実施態様では、BsAbはタンデムに2つの単鎖可変フラグメント(scFv)を含み、前記は、腫瘍抗原(例えばA33)と結合するscFvが、T細胞と(例えばCD3との結合によって)嵌合するscFvに連結されるように設計されている。この態様では、T細胞は腫瘍部位に動員されて、腫瘍細胞の細胞傷害性殺滅を媒介することができる。例えば以下を参照されたい:Dreier et al., J. Immunol., 170:4397-4402, 2003;Bargou et al., Science 321:974-977, 2008。
BsAbを作製する最近の方法は操作された組換えモノクローナル抗体を含み、前記抗体は追加のシステイン残基を有し、したがってそれらはより通常的な免疫グロブリンアイソタイプよりも強い架橋を示す。例えば以下を参照されたい:FitzGerald et al., Protein Eng. 10(10):1221-1225, 1997。別のアプローチは、要求される二重特異性を有する2つ以上の異なる単鎖抗体または抗体フラグメント断片が連結された組換え融合タンパク質を操作することである。例えば以下を参照されたい:Coloma et al., Nature Biotech. 15:159-163, 1997。分子操作を用い、多様な二重特異性融合タンパク質を作製することができる。
【0074】
2つ以上の異なる単鎖抗体または抗体フラグメントを連結した二重特異性タンパク質は同様な態様で作製される。組換え方法を用い、多様な融合タンパク質を作製することができる。ある種のいくつかの実施態様では、本技術のBsAbは免疫グロブリンを含み、当該免疫グロブリンは重鎖および軽鎖並びにscFvを含む。ある種のいくつかの実施態様では、scFvは、本明細書に開示する任意のA33免疫グロブリンの重鎖のC-末端に連結される。いくつかのある種の実施態様では、scFvは、本明細書に開示する任意のA33免疫グロブリンの軽鎖のC-末端に連結される。多様な実施態様では、scFvはリンカー配列を介して重鎖または軽鎖に連結される。重鎖FdとscFvとのインフレーム接続に必要な適切なリンカー配列は、PCR反応でVLおよびVkappaドメインに導入される。続いて、scFvをコードするDNAフラグメントは、CH1ドメインをコードするDNA配列を含むステージングベクターに連結される。得られたscFv-CH1構築物を切り出し、A33抗体のVH領域をコードするDNA配列を含むベクターに連結する。得られたベクターを用いて、二重特異性融合タンパク質の発現のために適切な宿主細胞(例えば哺乳動物細胞)にトランスフェクトする。
いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100または100を超えるアミノ酸である。いくつかの実施態様では、リンカーは、剛性の三次元構造を採用しようとしないで、むしろポリペプチド(例えば第一および/または第二の抗原結合部位)に可撓性を提供するという特徴を有する。いくつかの実施態様では、リンカーは、本明細書に記載するBsAbでは、BsAbに付与される具体的な特性(例えば安定性の増強)を基準にして用いられる。いくつかの実施態様では、本技術のBsAbはG4Sリンカーを含む。ある種のいくつかの実施態様では、本技術のBsAbは(G4S)nリンカーを含み、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または15を超える。
【0075】
Fc改変:いくつかの実施態様では、本技術の抗A33抗体は変種Fc領域を含み、前記変種Fc領域は、野生型Fc領域(または親Fc領域)と対比して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、したがって前記分子はFc受容体(例えばFcγR)に対して変化した親和性を有するが、ただし前記変種Fc領域が、Fc-Fc受容体相互作用の結晶学的および構造的分析に基づいて、Fc受容体と直接的接触を生じる場所で置換を有しないことを条件とする(例えばSondermannらが開示したもの:Sondermann et al., Nature, 406:267-273, 2000)。Fc受容体(例えばFcγR)と直接的接触を生じるFc領域内の場所の例には、アミノ酸234-239(ヒンジ領域)、アミノ酸265-269(B/Cループ)、アミノ酸297-299(C7Eループ)、およびアミノ酸327-332(F/G)ループが含まれる。
いくつかの実施態様では、本技術の抗A33抗体は、活性化受容体および/または阻害性受容体に対して改変された親和性を有し、1つ以上のアミノ酸改変を含む変種Fc領域を有する。この場合、前記1つ以上のアミノ酸改変は、アラニンによるN297置換またはアラニンによるK322置換である。
【0076】
グリコシル化改変:いくつかの実施態様では、本技術の抗A33抗体は、親Fc領域と比較して変種グリコシル化を含むFc領域を有する。いくつかの実施態様では、変種グリコシル化はフコースの欠如を含み、いくつかの実施態様では、変種グリコシル化はGnT1欠損CHO細胞での発現により生じる。
いくつかの実施態様では、本技術の抗体は、抗体の機能性(例えば抗原との結合活性)を変化させずに、対象の抗原(例えばA33)と結合する適切な参照抗体と対比して改変されたグリコシル化部位を有することができる。本明細書で用いられるように、“グリコシル化部位”は、オリゴ糖(すなわち連結された2つ以上の単糖類を含む炭水化物)が特異的にかつ共有結合で結合する、抗体内の任意の特異的アミノ酸配列を含む。
オリゴ糖側鎖は、典型的には、N-またはO-結合を介して抗体の骨格に連結される。N-結合グリコシル化は、オリゴ糖部分とアスパラギン残基の側鎖との結合を指す。O-結合グリコシル化は、オリゴ糖部分とヒドロキシアミノ酸(例えばセリン、スレオニン)との結合を指す。例えば、ある種のオリゴ糖(フコースを含む)および末端のN-アセチルグルコサミンを欠くFc-糖型(huA33-IgGln)が特殊なCHO細胞で生成され、強化されたADCCエフェクター機能を示すことができる。
いくつかの実施態様では、本明細書で開示する免疫グロブリン関連構成物の炭水化物含有物は、グリコシル化部位を付加または欠失させることによって改変される。抗体の炭水化物部分を改変する方法は当業界で周知であり、本技術内に含まれる。例えば以下を参照されたい:米国特許6,218,149号;EP 0359096B1;米国特許公開US 2002/0028486;国際特許出願公開WO 03/035835;米国特許公開2003/0115614;米国特許6,218,149号;米国特許6,472,511号(前記のいずれも参照によってその全体が本明細書に含まれる)。いくつかの実施態様では、抗体(またはその対応部分もしくは構成要素)の炭水化物含有物は、抗体の1つ以上の内因性炭水化物部分を欠失させることによって改変される。ある種のいくつかの実施態様では、本技術は、297位をアスパラギンからアラニンに改変することによって、抗体のFc領域のグリコシル化部位を欠失させる工程を含む。
【0077】
操作された糖型は、多様な目的(エフェクター機能の強化または低下が含まれるが、ただしこれらに限定されない)のために有用であり得る。操作された糖型は、当業者に公知の任意の方法によって作製できる。前記方法は、例えば、操作または変種発現株の使用、1つ以上の酵素(例えばDIN-アセチルグルコサミントランスフェラーゼIII(GnTIII))との共同発現、多様な生物または多様な生物に由来する細胞株でのFc領域を含む分子の発現、またはFc領域含有分子の発現後の炭水化物の改変によって実施される。操作された糖型を生成する方法は当業界で公知であり、下記文献に記載された方法が含まれる(ただしそれらに限定されない):Umana et al., 1999, Nat. Biotechnol. 17: 176-180;Davies et al., 2001, Biotechnol. Bioeng. 74:288-294;Shields et al., 2002, J. Biol. Chem. 277:26733-26740;Shinkawa et al., 2003, J. Biol. Chem. 278:3466-3473;米国特許6,602,684号;米国特許出願No. 10/277,370;米国特許出願No. 10/113,929;国際特許出願公開WO 00/61739A1、WO 01/292246A1、WO 02/311140A1、WO 02/30954A1;POTILLEGENTTM技術(Biowa, Inc. Princeton, N.J.);GLYCOMABTMグリコシル化操作技術(GLYCART biotechnology AG, Zurich, Switzerland)(前記の各々は参照によってその全体が本明細書に含まれる)。例えば以下を参照されたい:国際特許出願公開WO 00/061739;米国特許出願公開No. 2003/0115614;Okazaki et al., 2004, JMB, 336: 1239-49。
【0078】
融合タンパク質:ある実施態様では、本技術の抗A33抗体は融合タンパク質である。本技術の抗A33抗体は、第二のタンパク質と融合されるとき抗原性タグとして用いることができる。ポリペプチドと融合できるドメインの例には、異種シグナル配列だけでなく他の機能性異種領域もまた含まれる。融合は必ずしも直接的である必要はなく、リンカー配列を介して生じることができる。さらにまた、本技術の融合タンパク質はまた操作して、抗A33抗体の特徴を改善することができる。例えば、追加のアミノ酸(特に荷電アミノ酸)の領域を抗A33抗体のN-末端に付加して、宿主細胞から精製している間の、またはその後の取り扱いおよび保存中の安定性および耐久性を改善することができる。さらにまた、ペプチド部分を抗A33抗体に付加して精製を促進することができる。そのような領域は抗A33抗体の最終調製の前に除去することができる。ポリペプチドの取扱いを容易にするためにペプチド部分を付加することは周知であり、当業界では日常的技術である。本技術の抗A33抗体をマーカー配列(例えば融合ポリペプチドの精製を促進するペプチド)と融合させることができる。精選された実施態様では、マーカーアミノ酸配列は、とりわけヘキサヒスチジンペプチド、例えばpQEベクター(QIAGEN, Inc., Chatsworth, Calif)で提供されるタグであり、これらの多くは市場で入手できる。例えば以下に記載されているように(Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 821-824, 1989)、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の便利な精製を提供する。精製に有用な別のペプチドタグ、“HA”タグは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープと一致する(Wilson et al., Cell 37: 767, 1984)。
【0079】
したがって、これら上記の融合タンパク質のいずれも、本技術のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを用いて操作できる。さらに、いくつかの実施態様では、本明細書に記載する融合タンパク質はin vivoで半減期の延長を示す。
(IgGに起因する)ジスルフィド結合ダイマー構造を有する融合タンパク質は、モノマー性分泌タンパク質またはタンパク質フラグメント単独と比較して、他の分子との結合および中和についてより効率的であり得る(Fountoulakis et al., J. Biochem. 270: 3958-3964, 1995)。
同様に、EP-A-O 464 533(対応カナダ特許公開2045869)は、免疫グロブリン分子定常領域の多様な部分を別のヒトタンパク質またはそのフラグメントとともに含む融合タンパク質を開示する。多くの事例で、融合タンパク質のFc部分は治療および診断で有益であり、したがって、例えば薬物動態学特性の改善をもたらすことができる(EP-A 0232 262参照)。また別に、融合タンパク質を発現、検出および精製した後で、Fc部分の欠失または改変が所望されることがある。例えば、Fc部分は、融合タンパク質を免疫用抗原として用いる場合は治療および診断を妨害し得る。薬物の発見では、高処理スクリーニングアッセイの目的のために、ヒトタンパク質(例えばhIL-5)をFc部分と融合して、hIL-5のアンタゴニストが識別された(Bennett et al., J. Molecular Recognition 8: 52-58, 1995;Johanson et al., J. Biol. Chem., 270: 9459-9471, 1995)。
【0080】
標識抗A33抗体:ある実施態様では、本技術の抗A33抗体は、標識部分(すなわち検出可能基)と結合される。抗A33抗体と複合体化される個々の標識または検出可能基は、それが本技術の抗A33抗体とA33タンパク質との特異的結合に有意に干渉しないかぎり本技術の重大な特徴ではない。検出可能基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であり得る。そのような検出可能標識は、免疫アッセイおよび画像化の分野では十分に開発されている。一般的には、そのような方法で有用なほぼいずれの標識も本技術に適用することができる。したがって、標識は分光的、光化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段によって検出可能な任意の構成物である。本技術の実施で有用な標識には、磁性ビーズ(例えばDynabeadsTM)、蛍光色素(例えばフルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えば3H、14C、35S、125I、121I、131I、112In、99mTc)、他の画像化剤、例えばミクロバブル(超音波画像用)、18F、11C、15O(陽電子放射断層撮影用)、99mTC、111In(単一光子放射断層撮影用)、酵素(セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAで通常的に用いられる他の酵素)、および比色標識、例えば金コロイドまたは着色ガラスもしくはプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなどの)ビーズが含まれる。そのような標識の使用を記載する特許には、米国特許3,817,837号、3,850,752号、3,939,350号、3,996,345号、4,277,437号、4,275,149号、および4,366,241号が含まれる(各々は参照によってその全体が全ての目的のために本明細書に含まれる)。さらに以下もまた参照されたい:Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(6th Ed., Molecular Probes, Inc., Eugene OR.)。
標識は、当業界で公知の方法にしたがい所望のアッセイ構成要素に直接的または間接的に結合させることができる。上記に示したように、多種多様な標識を用いることができ、標識の選択は、複数の要因(例えば要求される感受性、化合物との複合体化の容易さ、安定性要求、利用可能な装置、および処分規定)に左右される。
非放射性標識はしばしば間接的手段によって付加される。一般的には、リガンド分子(例えばビオチン)が分子に共有結合される。続いてリガンドはアンチリガンド(例えばストレプトアビジン)分子と結合し、前記は、もともと検出可能であるか、またはシグナル系(例えば検出可能酵素、蛍光化合物または化学発光化合物)に共有結合される。多数のリガンドおよびアンチリガンドを用いることができる。リガンドが天然のアンチリガンド(例えばビオチン、チロキシンおよびコルチゾール)を有する場合、前記リガンドを標識された天然に存在するアンチリガンドと一緒に用いることができる。また別には、任意のハプテン系または抗原性化合物を抗体(例えば抗A33抗体)と組合わせて用いることができる。
【0081】
分子はまた、シグナル発生化合物と直接的に複合体化することができる(例えば酵素または発蛍光団との複合体化による)。標識として着目される酵素は、主としてヒドロラーゼ、特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼであろう。標識部分として有用な蛍光化合物には、フルオレセイン化合物およびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが含まれるが、ただし前記に限定されない。標識部分として有用な化学発光化合物には、例えばルシフェリンおよび2,3-ジヒドロフタラジンジオン、例えばルミノールが含まれるが、ただし前記に限定されない。用いることができる多様な標識またはシグナル生成系の概説には米国特許4,391,904号を参照されたい。
標識を検出する手段は当業者には周知である。したがって、例えば標識が放射性標識である場合、検出手段には、オートラジオグラフィーの場合のようなシンチレーション計数装置または写真撮影フィルムが含まれる。標識が蛍光標識の場合は、蛍光色素を適切な波長の光で励起し生じた蛍光を検出することによって標識を検出できる。蛍光は、写真撮影フィルムによって、電子的検出装置(電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管など)によって視覚的に検出できる。同様に、酵素標識は、酵素に適切な基質を提供し生じた反応生成物を検出することによって検出できる。最後に、簡単な比色標識は、標識に付随する色を観察することによって簡単に検出できる。したがって、多様なディップスティックアッセイでは、複合体化された金はしばしば桃色に見え、一方、多様な複合体化されたビーズはビーズの色に見える。
いくつかのアッセイ形式は標識構成要素の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイを用いて標的抗体(例えば抗A33抗体)の存在を検出できる。この事例では、抗原被覆粒子が標的抗体を含むサンプルによって凝集される。この形式では、構成要素のいずれも標識する必要が無く、標識抗体の存在は簡単な目視精査によって検出される。
【0082】
B.本技術の抗A33抗体の識別および特徴付け
本技術の抗A33抗体を識別およびスクリーニングする方法:A33ポリペプチドに対する抗体を、A33タンパク質に対する所望の特異性を保有するものについて識別およびスクリーニングするために有用な方法には、当業界で公知の任意の免疫学的媒介技術が含まれる。免疫応答構成要素は、当業者に周知の多様な方法によってin vitroで検出できる。例えば、(1)細胞傷害性Tリンパ球を放射能標識標的細胞とともにインキュベートし、これら標的細胞の溶解を放射能の放出によって検出することができる;(2)ヘルパーT細胞を抗原および抗原提示細胞とともにインキュベートし、サイトカインの合成および分泌を標準的な方法によって測定することができる(Windhagen A et al., Immunity, 2: 373-80, 1995);(3)抗原提示細胞を全タンパク質抗原とともにインキュベートし、MHCでの当該抗原の提示をTリンパ球活性化アッセイまたは生物物理的方法によって検出することができる(Harding et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 86: 4230-4, 1989);(4)マスト細胞をそれらのFc-エプシロン受容体を架橋する試薬とともにインキュベートし、ヒスタミン放出を酵素免疫アッセイによって測定することができる(Siraganian et al., TIPS, 4: 432-437, 1983);および(5)酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)。
【0083】
同様に、モデル生物(例えばマウス)またはヒト対象動物の免疫応答生成物もまた、当業者に周知の多様な方法によって検出できる。例えば(1)ワクチン接種に応答する抗体産生は、臨床検査室で現在用いられている標準的方法(例えばELISA)によって容易に検出できる;(2)炎症部位への免疫細胞の遊走は、皮膚表面を引掻いて剥がし無菌容器に入れて引掻き部位を遊走する細胞を捕捉することによって検出できる(Peters et al., Blood, 72: 1310-5, 1988);(3)マイトジェンに応答する末梢血単核細胞(PBMC)の分裂増殖または混合リンパ球反応は3H-チミジンを用いて測定できる;(4)PBMCの顆粒球、マクロファージおよび他の食細胞の食細胞性能は、PBMCを標識粒子とともにウェルに入れることによって測定できる(Peters et al., Blood, 72: 1310-5, 1988);および(5)免疫系細胞の分化は、PBMCをCD分子(例えばCD4およびCD8)に対する抗体で標識してこれらマーカーを発現するPBMCの比を測定することによって決定できる。
【0084】
ある実施態様では、本技術の抗A33抗体は、複製可能遺伝子パッケージの表面におけるA33ペプチドのディスプレーを用いて選別される。例えば以下を参照されたい:米国特許5,514,548号、5,837,500号、5,871,907号、5,885,793号、5,969,108号、6,225,447号、6,291,650号、6,492,160号;EP585287;EP605522;EP616640;EP1024191;EP589877;EP774511;EP844306。所望の特異性を有する結合分子をコードするファージミドゲノムを含む繊維状バクテリオファージ粒子を生成/選別する有用な方法は記載されている。例えば、EP774511;US5871907;US5969108;US6225447;US6291650;US6492160を参照されたい。
いくつかの実施態様では、本技術の抗A33抗体は、酵母宿主細胞表面でのA33ペプチドのディスプレーを用いて選別される。酵母表面ディスプレーによるscFvポリペプチドの単離に有用な方法はKiekeらによって記載されている(Kieke et al., Protein Eng. 1997 Nov; 10(11): 1303-10)。
いくつかの実施態様では、本技術の抗A33抗体はリボソームディスプレーを用いて選別される。リボソームディスプレーを用いてペプチドライブラリーでリガンドを識別するために有用な方法はMattheakisらによって記載されている(Mattheakis et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 9022-26, 1994;およびHanes et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 4937-42, 1997)。
ある種の実施態様では、本技術の抗A33抗体は、A33ペプチドのtRNAディスプレーを用いて選別される。tRNAディスプレーを用いるリガンドのin vitro選別に有用な方法は、Merrymanらによって記載されている(Merryman et al., Chem. Biol., 9: 741-46, 2002)。
【0085】
ある実施態様では、本技術の抗A33抗体はRNAディスプレーを用いて選別される。RNAディスプレーライブラリーを用いてペプチドおよびタンパク質を選別するために有用な方法は、下記文献に記載されている(Roberts et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94: 12297-302, 1997;およびNemoto et al., FEBS Lett., 414: 405-8, 1997)。非天然RNAディスプレーライブラリーを用いてペプチドおよびタンパク質を選別するために有用な方法は、Frankelらによって記載されている(Frankel et al., Curr. Opin. Struct. Biol., 13: 506-12, 2003)。
いくつかの実施態様では、本技術の抗A33抗体は、グラム陰性細菌のペリプラズムで発現され、標識A33タンパク質と混合される(WO02/34886を参照されたい)。A33タンパク質に親和性を有する組換えポリペプチドを発現するクローンでは、抗A33抗体と結合する標識A33タンパク質の濃度が増加し、Harveyら(Proc. Natl. Acad. Sci. 22: 9193-98 2004)および米国特許公開No. 2004/0058403に記載されるように当該細胞がライブラリーの残りの細胞から単離されるのを可能にする。
所望の抗A33抗体の選別後、当業者に公知の任意の技術(例えば原核または真核細胞発現など)によって前記抗体を大きな体積で生成することができる。抗A33抗体(例えば抗A33ハイブリッド抗体またはフラグメントであるがそれらに限定されない)は、抗体重鎖をコードする発現ベクターを構築する通常的な技術を用いることによって生成することができる。前記抗体重鎖では、CDRおよび必要な場合には可変領域フレームワークの最小限部分(前記最小限部分は元の種の抗体結合特異性の維持に必要であり、本明細書に記載の技術にしたがって操作される)は元の種の抗体に由来し、抗体の残余部は標的種の免疫グロブリンに由来し、前記は本明細書に記載するように操作することができ、それによってハイブリッド抗体重鎖発現のためのベクターを作製することができる。
【0086】
A33結合の測定:いくつかの実施態様では、A33結合アッセイは、A33タンパク質および抗A33抗体が当該タンパク質および当該抗体間で結合するために適切な条件下で混合され、当該タンパク質および当該抗体間の結合量が評価されるアッセイ形式を指す。結合量は適切なコントロールと比較される。前記コントロールは、A33タンパク質の非存在下での結合量、非特異的免疫グロブリン構成物の存在下での結合量、または両方であり得る。結合量は任意の適切な方法によって評価され得る。結合アッセイの方法には、例えばELISA、放射性免疫アッセイ、シンチレーション近接アッセイ、蛍光エネルギー移転アッセイ、液体クロマトグラフィー、膜ろ過アッセイなどが含まれる。抗A33抗体とのA33タンパク質の結合の直接測定のための生物物理アッセイは、例えば核磁気共鳴、蛍光、蛍光分極、表面プラズモン共鳴(BIACOREチップ)などである。特異的結合は、当業界で公知の標準アッセイ、例えば放射性リガンド結合アッセイ、ELISA、FRET、免疫沈澱、SPR、NMR(2D-NMR)、質量分析などによって決定される。候補の抗A33抗体の特異的結合が、抗A33抗体候補の非存在下で観察される結合より少なくとも1%大きい場合、当該抗A33抗体候補は本技術の抗A33抗体として有用である。
A33中和の測定:本明細書で用いられるように、“A33中和”は、抗A33抗体の結合によるA33タンパク質の活性および/または発現の減少を指す。A33M活性/発現を中和する本技術の抗A33抗体の能力は、当業界で公知の方法を用いてin vitroまたはin vivoで評価され得る。
【0087】
本技術の抗A33抗体の使用
概説:本技術の抗A33抗体は、A33タンパク質の局在化および/または定量に関して当業界で公知の方法において有用である(例えば適切な生理学的サンプル中のA33タンパク質のレベル測定における使用、診断方法における使用、当該ポリペプチドの画像化における使用など)。本技術の抗体は、標準的技術(例えばアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈澱)によってA33タンパク質を単離するために有用である。本技術の抗A33抗体は、宿主系で発現される組換え生成免疫反応性A33タンパク質と同様に、天然の免疫反応性A33タンパク質の生物学的サンプル(例えば哺乳動物の血清または細胞)からの精製を促進する。さらにまた、抗A33抗体を(例えば血漿、細胞溶解物または細胞懸濁物で)免疫反応性A33タンパク質の検出に用いて、免疫反応性ポリペプチドの豊富さおよび発現パターンを評価することができる。本技術の抗A33抗体を診断に用いて、臨床検査手順の部分として組織の免疫反応性A33タンパク質レベルをモニターし、例えば施された治療レジメンの有効性を決定することができる。上記に特筆したように、検出は、本技術の抗A33抗体を検出可能な物質と結合させる(すなわち物理的に連結する)ことによって促進できる。
【0088】
A33タンパク質の検出:生物学的サンプル中の免疫反応性A33タンパク質の有無を検出する例示的な方法は、試験対象動物から生物学的サンプルを入手する工程および、当該生物学的サンプルを免疫反応性A33タンパク質を検出できる本技術の抗A33抗体と接触させて当該生物学的サンプル中の免疫反応性A33タンパク質を検出する工程を含む。検出は、抗体に結合させた検出可能標識の手段によって達成され得る。
抗A33抗体に関して“標識される”という用語は、検出可能物質を抗体と結合させる(すなわち物理的に連結する)ことによる抗体の直接標識とともに、直接標識されるもう1つの化合物(例えば二次抗体)との反応性による抗体の間接標識を包含することが意図される。間接標識の例には、蛍光標識二次抗体を用いる一次抗体の検出、DNAプローブが蛍光標識ストレプトアビジンで検出できるようにビオチンによるDNAプローブの末端標識が含まれる。
いくつかの実施態様では、本明細書で開示される抗A33抗体は1つ以上の検出可能標識と複合体化される。そのような使用のために、抗A33抗体は、発色性、酵素性、放射性同位体性、同位体性、蛍光性、毒素性、化学発光性薬剤、核磁気共鳴造影剤または他の標識の共有結合または非共有結合によって検出できるように標識される。
適切な発色性標識の例には、ジアミノベンジジンおよび4-ヒドロキシアゾ-ベンゼン-2-カルボン酸が含まれる。適切な酵素標識の例には、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、Δ-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
【0089】
適切な放射性同位体標識の例には、3H、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co
59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pdなどが含まれる。111Inは、in vivo画像化が用いられる場合の例示的同位体である。なぜならば、前記は、125Iまたは131I-標識A33結合抗体の肝臓による脱ハロゲン化の問題を回避するからである。加えて、この同位体は、画像化のためにより好ましいガンマ放射エネルギーを有する(Perkins et al, Eur. J. Nucl. Med. 70:296-301, 1985;Carasquillo et al., J. Nucl. Med. 25:281-287, 1987)。例えば、1-(P-イソチオシアネートベンジル)-DPTAによりモノクローナル抗体と結合させた111Inは、非腫瘍性組織(特に肝臓)でほとんど取り込みを示さず、腫瘍局在の特異性を強化する(Esteban et al., J. Nucl. Med. 28:861-870, 1987)。適切な非放射性同位体標識の例には157Gd、55Mn、162Dy、52Tr、および56Feが含まれる。
適切な蛍光標識の例には、152Eu標識、フルオレセイン標識、イソチオシアネート標識、ローダミン標識、フィコエリスリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、緑色蛍光タンパク質(GFP)標識、o-フタルデヒド標識、およびフルオレスカミン標識が含まれる。適切な毒素標識にはジフテリア毒素、リシン、およびコレラ毒素が含まれる。
化学発光標識の例には、ルミノール標識、イソルミノール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、およびイクオリン標識が含まれる。核磁気共鳴造影剤の例には重金属核、例えばGd、Mnおよび鉄が含まれる。
本技術の検出方法を用いて、免疫反応性A33タンパク質をin vivoと同様に生物学的サンプルでin vitroで検出することができる。免疫反応性A33タンパク質のin vitro検出技術には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈澱、放射性免疫アッセイ、および免疫蛍光が含まれる。さらにまた、免疫反応性A33タンパク質のin vivo検出技術には、標識抗A33抗体の対象動物への導入が含まれる。例えば、抗A33抗体を放射能マーカーで標識し、対象動物におけるその存在および場所を標準的技術によって検出することができる。ある実施態様では、生物学的サンプルは試験対象動物由来のA33タンパク質分子を含む。
【0090】
免疫アッセイおよび画像化:本技術の抗A33抗体を用い、生物学的サンプル(例えばヒト血漿)の免疫反応性A33タンパク質レベルを抗体系技術を用いてアッセイすることができる。例えば、組織のタンパク質発現は、古典的免疫組織化学的方法を用いて調べることができる(Jalkanen, M. et al., J. Cell. Biol. 101: 976-985, 1985;Jalkanen, M. et al., J. Cell. Biol. 105: 3087-3096, 1987)。タンパク質遺伝子の発現を検出するために有用な他の抗体系方法には、免疫アッセイ、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射性免疫アッセイ(RIA)が含まれる。適切な抗体アッセイの標識は当業界で公知であり、酵素標識(例えばグルコースオキシダーゼ)、および放射性同位体または他の放射能薬剤(例えばヨウ素(125I、121I、131I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)およびテクネチウム(99mTc))、並びに蛍光標識(例えばフルオレセイン、ローダミン、および緑色蛍光タンパク質(GFP))がビオチンとともに含まれる。
生物学的サンプルにおける免疫反応性A33タンパク質レベルのアッセイに加えて、本技術の抗A33抗体は、A33のin vivo画像化のために用いることができる。この方法に有用な抗体には、X線撮影法、NMRまたはESRによる検出が可能な抗体が含まれる。X線撮影法の場合、適切な標識には放射性同位体、例えばバリウムまたはセシウムが含まれ、前記は検出可能な放射線を放射するが、対象動物に対して明白には有害ではない。NMRおよびESRのための適切なマーカーには、検出可能な特徴的スピンを有するもの(例えばデューテリウム)が含まれ、前記は対応するscFvクローンのための栄養素の標識によって抗A33抗体に取り込まれ得る。
適切な検出可能画像化部分で標識した抗A33抗体を、対象動物に(例えば経口的、皮下または腹腔内に)導入する。前記画像化部分は、例えば放射性同位体(例えば131I、112In、99mTc)、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴によって検出できる材料である。対象動物のサイズおよび用いられる画像化系が、診断画像の作製に必要とされる画像化部分の量を決定することは当業界では理解されるであろう。放射性同位体の事例では、ヒト対象動物の場合、注入される放射能の量は通常約5から20ミリキューリーの範囲の99mTcである。続いて標識抗A33抗体が、特異的な標的ポリペプチドを含む細胞の存在場所に蓄積されるであろう。例えば、本技術の標識抗A33抗体は、A33タンパク質が局在する細胞および組織に対象動物内で蓄積されるであろう。
したがって、本技術は医学的状態の診断方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)個体の細胞または体液で本技術の抗A33抗体の結合を測定することによって、免疫反応性A33タンパク質の発現をアッセイする工程;(b)サンプルに存在する免疫反応性A33タンパク質の量を標準参照と比較する工程、ここで、標準物と比較して免疫反応性A33タンパク質レベルの増減が症状の指標である。
【0091】
親和性精製;本技術の抗A33抗体を用いて、サンプルの免疫反応性A33タンパク質を精製できる。いくつかの実施態様では、抗体は固相支持体に固定される。そのような固相支持体の例には、プラスチック(例えばポリカーボネート)、複合炭水化物(例えばアガロースおよびセファロース)、アクリル樹脂、並びに例えばポリアクリルアミドおよびラッテクスビーズが含まれる。抗体とそのような固相支持体を結合させる技術は当業界では周知である(Weir et al., “Handbook of Experimental Immunology” 4th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, England, Chapter 10, 1986;Jacoby et al., Meth. Enzym. 34 Academic Press, N.Y., 1974)。
抗原を抗体-支持体マトリックスに結合させるもっとも簡単な方法は、カラムにビーズを収集し抗原溶液をカラムに通すことである。この方法の効率は、固定された抗体と抗原との間の接触時間に左右され、前記時間は低流速を用いることによって延長することができる。固定された抗体は、抗原が通過するときに抗原を捕捉する。また別には、抗原溶液を支持体(例えばビーズ)と混合し当該スラリーを回転させるかまたは揺り動かして抗原と固定抗体間の最大接触を可能にすることによって、抗原を抗体-支持体マトリックスと接触させることができる。結合反応が完了した後、ビーズの収集のためにスラリーをカラムに通す。適切な洗浄緩衝液を用いてビーズを洗浄し、続いて純粋なまたは実質的に純粋な抗原を溶出させる。
対象の抗体またはポリペプチドは固相支持体(例えばビーズ)と複合体化させることができる。加えて、第一の固相支持体(例えばビーズ)はまた、所望の場合には第二の固相支持体(第二のビーズまたは他の支持体であり得る)と複合体化させることができる。前記複合体化は、任意の適切な手段(ポリペプチドと支持体との複合体化について本明細書で開示する手段を含む)によって実施される。したがって、ポリペプチドと固相支持体の複合体化に関して本明細書で開示する複合体化の方法および手段のいずれも、第一および第二の固相支持体が同じであれ異なるものであれ、第一の支持体と第二の支持体との複合体化のためにも適用できる。
【0092】
ポリペプチドを固相支持体と複合体化させるために用いられる適切なリンカー(架橋剤であり得る)には、支持体の表面に存在する官能基、またはポリペプチド、または両方と反応できる多様な薬剤が含まれる。架橋剤として有用な試薬には、ホモ二官能性および特にヘテロ二官能性試薬が含まれる。有用な二官能性架橋剤には、N-SIAB、ジマレイミド、DTNB、N-SATA、N-SPDP、SMCCおよび6-HYNICが含まれるが、ただし前記に限定されない。架橋剤は、ポリペプチドと固相支持体との間の結合の選択的切断を提供するために選択され得る。例えば、ポリペプチドを固相支持体から切断するための手段として、感光性架橋剤、例えば3-アミノ-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸を利用することができる(Brown et al., Mol. Divers, pp, 4-12, 1995;Rothschild et al., Nucl. Acids Res., 24:351-66, 1996;および米国特許5,643,722号)。他の架橋剤も当業界では周知である(例えば以下を参照されたい:Wong, 1991(上掲書);およびHermanson, 1996(上掲書))。
抗体またはポリペプチドは固相支持体(例えばビーズ)上に固定され得る。前記固定は、カルボキシル基官能化ビーズとポリペプチドのアミノ末端との間で形成される共有アミド結合を介するか、または反対にアミノ基官能化ビーズとポリペプチドのカルボキシル末端との間で形成される共有アミド結合を介する。加えて、二官能性トリチルリンカーが、支持体に、例えば樹脂(例えば(Wang樹脂))上の4-ニトロフェニル活性エステルに当該樹脂上のアミノ基またはカルボキシル基によりアミノ樹脂を介して結合され得る。二官能性トリチルによるアプローチを用いるとき、固相支持体は揮発酸(例えばギ酸またはトリフルオロ酢酸)による処理を要求し、ポリペプチドが切断され除去され得ることを担保することができる。そのような事例では、ポリペプチドは、固相支持体のウェルの底にまたは固相支持体の平らな表面に無ビーズパッチとして沈積され得る。マトリックス溶液の添加後、ポリペプチドはMS中に放出され得る。
【0093】
疎水性トリチルリンカーはまた酸感受性リンカーとして利用することができ、揮発酸または適切なマトリックス溶液(例えば3-HPAを含むマトリックス溶液)を用いることによって、ポリペプチドからアミノ結合トリチル基を切断することができる。酸感受性もまた変化させることができる。例えば、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチルまたはトリメトキシトリチルは、当該ポリペプチドの適切なp-置換誘導体またはより酸感受性のトリチルアミン誘導体に変化され得る。すなわちトリチルエーテルおよびトリチルアミン結合をポリペプチドに生じさせることができる。したがって、ポリペプチドを疎水性リンカーから、例えば疎水性引力の破壊によってまたは酸性条件下(所望の場合は典型的なMS条件を含み、この場合マトリックス(例えば3-HPA)は酸として働く)でトリチルエーテルまたはトリチルアミン結合を切断することによって取り出すことができる。
オルトゴナル切断可能なリンカーもまた、第一の固相支持体(例えばビーズ)を第二の固体支持体に結合するために、または対象のポリペプチドを固相支持体に結合するために有用であり得る。そのようなリンカーを用いて、ポリペプチドを支持体から切断することなく、第一の固相支持体(例えばビーズ)を選択的に第二の固相支持体から切断でき、その後でポリペプチドをビーズから切断することができる。例えば、ジスルフィドリンカー(還元剤(例えばDTT)を用いて切断できる)を利用して、ビーズを第二の固相支持体に結合することができ、さらに酸切断可能な二官能性トリチル基を用いポリペプチドを支持体に固定できよう。所望の場合、例えば第一の支持体と第二の支持体との間の結合をインタクトのままにして、ポリペプチドと固相支持体との結合を最初に切断することができる。トリチルリンカーは、複合体化の性質にかかわりなく、共有結合性または疎水性複合体化を提供することができ、トリチル基は酸性条件下で容易に切断される。
例えば、ビーズは連結基を介して第二の支持体と結合させることができ、前記連結基は、固相支持体とビーズの高密度結合またはビーズとポリペプチドの高密度結合が促進される長さおよび化学的性質を有するように選択できる。そのような連結基は、例えば“樹木様”構造を有し、それによって固相支持体上の一結合部位につき複数の官能基を提供することができる。そのような連結基の例には、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ペンタエリスロールおよびtris-ヒドロキシ-アミノメタンが含まれる。
【0094】
非共有結合性会合:非共有結合性相互作用を介して、抗体またはポリペプチドを固相支持体と複合体化でき、または第一の支持体を第二の支持体と複合体化できる。例えば、強磁性材料で製造された磁性ビーズ(前記は磁化され得る)は磁性固相支持体と引き合うことができ、磁場の除去によって支持体から解き放つことができる。また別には、固相支持体にイオン性部分または疎水性部分を提供し、イオン性部分または疎水性部分とポリペプチド(例えば結合されたトリチル基を含むポリペプチド)または疎水性の特徴を有する第二の固相支持体とそれぞれ相互作用することを可能にできる。
固相支持体にはまた特異的結合対のメンバーを提供することができ、したがって、相補性結合部分を含むポリペプチドまたは第二の固相支持体と複合体化することができる。例えば、アビジンまたはストレプトアビジンで被覆したビーズは、その中にビオチン部分を取り込ませたポリペプチドまたはビオチンもしくはビオチン誘導体(例えばイミノビオチン)で被覆した第二の固相支持体と結合することができる。
本明細書に開示のまたは当業界で公知の結合メンバーのいずれも逆にできることは理解されよう。したがって、例えばビオチンをポリペプチドまたは固相支持体に取り込むことができ、反対にアビジンまたは他のビオチン結合部分を支持体またはポリペプチドにそれぞれ取り込むことができよう。本明細書での使用に意図される他の特異的結合対には、ホルモンおよびそれらの受容体、酵素およびそれらの基質、ヌクレオチド配列およびその相補性配列、抗体およびそれが特異的に相互作用する抗原、並びに当業者に公知の他の対が含まれるが、ただし前記に限定されない。
【0095】
A.本技術の抗A33抗体の診断的使用
概説:本技術の抗A33抗体は診断方法において有用である。したがって、本技術は、対象動物のA33活性の診断に当該抗体を用いる方法を提供する。本技術の抗A33抗体は、A33タンパク質に対して任意のレベルのエピトープ結合特異性および非常に高い結合親和性をもつように選択され得る。一般的には、抗体の結合親和性が高ければ高いほど、より厳しい洗浄条件を免疫アッセイで実施して、標的ポリペプチドを除去することなく非特異的に結合した物質を除去することができる。したがって、診断アッセイで有用な本技術の抗A33抗体は、通常約108 M-1、109 M-1、1010 M-1、1011 M-1または1012 M-1の結合親和性を有する。さらにまた、診断試薬として使用される抗A33抗体は、標準的条件下で少なくとも12時間、少なくとも5時間、または少なくとも1時間で平衡に達する十分な反応開始速度を有する。
抗A33抗体を用い、多様な標準的アッセイ形式で免疫反応性A33タンパク質を検出することができる。そのような形式には、免疫沈澱、ウェスタンブロット形成、ELISA、放射性免疫アッセイ、および免疫測定アッセイが含まれる。以下を参照されたい:Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Publications, New York, 1988);米国特許3,791,932号、3,839,153号、3,850,752号、3,879,262号、4,034,074号、3,791,932号、3,817,837号、3,839,153号、3,850,752号、3,850,578号、3,853,987号、3,867,517号、3,879,262号、3,901,654号、3,935,074号、3,984,533号、3,996,345号、4,034,074号、および4,098,876号。生物学的サンプルは、対象動物の任意の組織または体液から入手できる。ある種の実施態様では、対象動物は癌病期の初期である。ある実施態様では、癌病期の初期は、対象動物から得られるサンプルのA33タンパク質のレベルまたは発現パターンによって決定される。ある種の実施態様では、サンプルは、尿、血液、血清、血漿、唾液、羊水、脳脊髄液(CSF)、および生検体組織から成る群から選択される。
【0096】
免疫測定またはサンドイッチアッセイは本技術の診断方法の1つの形式である。米国特許4,376,110号、4,486,530号、5,914,241号、および5,965,375号を参照されたい。そのようなアッセイは、固相に固定された1つの抗体(例えば抗A33抗体または抗A33抗体の集団)、および溶液中の別の抗A33抗体または抗A33抗体の集団を用いる。典型的には、溶液の抗A33抗体または抗A33抗体の集団は標識される。抗体集団が用いられる場合、当該集団は、標的ポリペプチド内の異なるエピトープ特異性と結合する抗体を含むことができる。したがって、同じ集団を固相抗体および溶液抗体の両方に用いることができる。抗A33モノクローナル抗体が用いられる場合は、異なる結合特異性を有する第一および第二のA33モノクローナル抗体が固相および液相に用いられる。固相(“捕捉”とも称される)および溶液(“検出”とも称される)抗体をいずれかの順番でまたは同時に標的抗原と接触させることができる。固相抗体を最初に接触させる場合、アッセイはフォワードアッセイであると称する。反対に、溶液抗体を最初に接触させる場合、アッセイはリバースアッセイであると称する。標的を両抗体に同時に接触させる場合、アッセイは同時アッセイと称される。A33タンパク質を抗A33抗体と接触させた後、サンプルをある期間インキュベートする。前記期間は通常約10分から約24時間まで変動し、通常は約1時間である。続いて、洗浄工程を実施して、診断試薬として用いられた抗A33抗体と非特異的に結合したサンプル成分を除去する。固相および溶液抗体が別々の工程で結合されるとき、洗浄は一方または両方の結合工程の後で実施できる。洗浄後、結合は、典型的には標識された溶液抗体の結合を介して固相に連結される標識を検出することによって定量される。通常は、所与の抗体または抗体集団対および所与の反応条件について、検量線が標的抗原の既知濃度を含むサンプルで調製される。続いて、検量線(すなわち標準曲線)から、被検サンプルの免疫反応性A33タンパク質の濃度を内挿によって読み取る。分析物は、平衡状態で結合している標識溶液抗体の量から、または平衡が達成される前の一連の時点で結合した標識溶液抗体のカイネティック測定によって決定され得る。そのような曲線のスロープがサンプル中のA33タンパク質の濃度の測定値である。
【0097】
上記の方法で用いられる適切な支持体には、例えばニトロセルロース膜、ナイロン膜、および誘導体化ナイロン膜、並びに粒子、例えばアガロース、デキストラン系ゲル、ディップスティック、微粒子、微小球、磁性粒子、試験管、マイクロタイターウェル、SEPHADEXTM(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway N.J.)などが含まれる。固定は吸着または共有結合性接着による。場合によって、表面結合リンカー(例えばアビジン)との接着のために、抗A33抗体をリンカー分子(例えばビオチン)に結合させることができる。
いくつかの実施態様では、本開示は、診断用薬剤と複合体化された本技術の抗A33抗体を提供する。診断用薬剤は、放射性または非放射性標識、造影剤(例えば磁性共鳴画像化、コンピュータ支援断層撮影または超音波用)を含むことができ、放射性標識は、ガンマ-、ベータ-、アルファ-、オージェ電子-、または陽電子-放射同位体であり得る。診断用薬剤は、抗体部分(すなわち抗体または抗体フラグメントもしくはサブフラグメント)と複合体化されて投与される分子であり、前記は、抗原を含む細胞の位置を示すことによって疾患の診断または検出で有用である。
【0098】
有用な診断用薬剤には、放射性同位体、色素(例えばビオチン-ストレプトアビジン複合体を伴う)、造影剤、蛍光化合物または分子、磁性共鳴画像化(MRI)用強化剤(例えば常磁性イオン)が含まれるが、ただし前記に限定されない。米国特許6,331,175号は、MRI技術およびMRI強化剤と複合体化された抗体の調製を記載している(前記特許は参照によってその全体が本明細書に含まれる)。いくつかの実施態様では、診断用薬剤は、放射性同位体、磁性共鳴画像化で使用される強化剤、および蛍光化合物から成る群から選択される。抗体構成要素に放射性金属または常磁性イオンを装荷するためには、抗体を長いテールを有する試薬と反応させねばならないことがある。当該長いテールに複数のキレート基がイオンを結合させるために付加される。そのようなテールは、ポリマー(例えばポリリジン、多糖類)、またはペンダント基を有する他の誘導鎖もしくは誘導可能鎖であり得る。前記ペンダント基に、キレート基、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス-チオセミカルバゾン、ポリオキシム、およびこの目的のために有用であることが判明している類似の基が結合される。キレートを本技術の抗体と標準的な化学技術を用いて結合させることができる。キレートは通常的に基によって抗体と連結され、前記基は、免疫反応性の損失を最小限にし、かつ凝集および/または内部架橋を最小限にしつつ分子との結合の形成を可能する。キレートと抗体を複合体化させる他の方法および試薬は、米国特許4,824,659号に開示される。特に有用な金属-キレート組合せには2-ベンジル-DTPA並びにそのモノメチルおよびシクロヘキシルアナログが含まれ、前記は放射性画像化のための診断用同位体とともに用いられる。同じキレートは、非放射性金属(例えばマグネシウム、鉄およびガドリニウム)と複合体化される場合、本技術のA33抗体と一緒に用いられるときにMRIで有用である。
大環状キレート、例えばNOTA(1,4,7-トリアザ-シクロノナン-N,N',N”-三酢酸)、DOTA、およびTETA(p-ブロモアセトアミド-ベンジル-テトラエチルアミン四酢酸)は、それぞれ多様な金属および放射性金属(例えばガリウム、イットリウムおよび銅の放射性核種)とともに用いられる。そのような金属-キレート複合体は、対象の金属に対して環のサイズを調整することによって安定化させることができる。他のDOTAキレートの例には以下が含まれる:(i)DOTA-Phe-Lys(HSG)-D-Tyr-Lys(HSG)-NH2;(ii)Ac-Lys(HSG)D-Tyr-Lys(HSG)-Lys(Tscg-Cys)-NH2;(iii)DOTA-D-Asp-D-Lys(HSG)-D-Asp-D-Lys(HSG)-NH2;(iv)DOTA-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(v)DOTA-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(vi)DOTA-D-Ala-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(vii)DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-NH2;(viii)Ac-D-Phe-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-NH2;(ix)Ac-D-Phe-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2;(x)Ac-D-Phe-D-Lys(Bz-DTPA)-D-Tyr-D-Lys(Bz-DTPA)-NH2;(xi)Ac-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2;(xii)DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2;(xiii)(Tscg-Cys)-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(DOTA)-NH2;(xiv)Tscg-D-Cys-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(xv)(Tscg-Cys)-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(xvi)Ac-D-Cys-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Ala-D-Lys(DOTA)-D-Cys-NH2;(xvii)Ac-D-Cys-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2;(xviii)Ac-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2;および(xix)Ac-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2
他の環型キレート、例えば大環状ポリエーテルもまた意図され、前記は核種(例えばRAITのための223Ra)を安定的に結合させるために有益である。
【0099】
B.本技術の抗A33抗体の治療的使用
本技術の免疫グロブリン関連構成物(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)は、A33関連癌の治療に有用である。そのような治療は、病理学的に高レベルのA33を有すると識別された患者(例えば本明細書に記載の方法によって診断された患者)またはそのような病理学的的レベルと関連することが知られている疾患を有すると診断された患者で用いることができる。ある特徴では、本開示は、A33関連癌をその必要がある対象動物で治療する方法を提供し、前記方法は、本技術の抗体(またはその抗原結合フラグメント)の有効量を対象動物に投与する工程を含む。本技術の抗体によって治療できる癌の例には、結腸直腸癌、腹膜偽性粘液腫、虫垂癌、膵臓癌および胃癌が含まれるが、ただし前記に限定されない。A33関連癌は、MSI遺伝子型またはMSS遺伝子型を有する結腸直腸癌であり得る。加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、結腸直腸癌はKRAS G12D変異またはp53変異を伴う。
【0100】
本技術の組成物を、A33関連癌の治療で有用な他の治療薬剤と一緒に用いることができる。例えば、本技術の抗体を以下から成る群から選択される少なくとも1つの追加の治療薬剤と別々に、逐次的にまたは同時に投与することができる:アルキル化剤、白金剤、タキサン、ビンカ剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣抑制剤、VEGF/VEGFR阻害剤、EGF/EGFR阻害剤、PARP阻害剤、細胞増殖抑制アルカロイド、細胞傷害性抗生物質、抗代謝剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート療法剤および標的誘導生物学的治療剤(例えばUS 6306832、WO 2012007137、WO 2005000889、WO 2010096603などに記載の治療用ペプチド)。いくつかの実施態様では、少なくとも1つの追加の治療薬剤は化学療法剤である。具体的な化学療法剤には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):シクロホスファミド、フルオロウラシル(または5-フルオロウラシルもしくは5-FU)、メトトレキセート、エダトレキセート(10-エチル-10-デアザ-アミノプテリン)、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、ゲムシタビン、イリノテカン、イキサベピロン、テモゾルミド、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、リュープロリド、アバレリクス、ブセルリン、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブ、アントラサイクリン(例えばダウノルビシンおよびドキソルビシン)、ベバシズマブ、オキサリプラチン、メルファラン、エトポシド、メクロレタミン、ブレオマイシン、微小管毒、雑バンレイシ科アセトゲニン、または前記の組合せ。
【0101】
本技術の組成物は、場合によってただ1回のボーラスとしてその必要がある対象動物に投与することができる。また別に、投与レジメンは、腫瘍の出現後種々の時期に実施される複数回の投与を含むことができる。
投与は任意の適切なルートによって実施でき、前記ルートには、経口、鼻内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下)、直腸、頭蓋内、髄腔内、または外用が含まれる。投与には自己投与および別人による投与が含まれる。記載症状の治療の種々の態様は“実質的”を意味することが意図されていることもまた理解されよう。“実質的”は完全な治療を含むが、完全な治療に満たない場合も含み、その場合には生物学的または医学的に対応する何らかの成果が達成される。
いくつかの実施態様では、本技術の抗体は、その必要がある対象動物に1用量以上で投与することができる医薬処方物を含む。投薬レジメンは、所望の応答(例えば治療的応答)を提供するために調整することができる。
【0102】
典型的には、本技術の抗体組成物の有効量(治療効果の達成に十分である)は、1日当たり体重1キログラムにつき約0.000001mgから1日当たり体重1キログラムにつき約10,000mgの範囲である。典型的には、投薬量範囲は、1日当たり体重1キログラムにつき約0.0001mgから1日当たり体重1キログラムにつき約100mgである。抗A33抗体の投与について、投薬量は、毎週、2週間毎または3週間毎に対象動物の体重1kgにつき約0.0001から100mg、より通常的には0.01から5mgの範囲である。例えば、投薬量は、毎週、2週間毎または3週間毎に1mg/kg体重または10mg/kg体重であるか、または毎週、2週間毎または3週間毎に1-10mg/kgの範囲内であり得る。ある実施態様では、抗体の単一投薬量は体重1kgにつき0.1-10,000マイクログラムの範囲である。ある実施態様では、担体中の抗体濃度はデリバリーされる1ミリリットルにつき0.2から2000マイクログラムの範囲である。例示的な治療レジメンは、2週間毎に1回または1ヶ月に1回または3から6ヵ月毎に1回の投与を伴う。抗A33抗体は複数回投与され得る。単一投薬間の間隔は、1時間、1日、1週間、1月または1年であり得る。間隔はまた、対象動物での抗体の血中レベルを測定することによる指示に従い不規則であってもよい。いくつかの方法では、投薬量は、対象動物で約75μg/mLから約125μg/mL、100μg/mLから約150μg/mL、約125μg/mLから約175μg/mL、または約150μg/mLから約200μg/mLの血清抗体濃度を達成するために調整される。また別には、抗A33抗体は持続放出処方物として投与でき、この事例では、より少ない頻度の投与が要求される。投薬量および頻度は、対象動物における抗体の半減期にしたがって変動する。投薬量および投与頻度は、治療が予防的であるかまたは治療的であるかにより変動する。予防的適用では、比較的低い投薬量が比較的低頻度の間隔で長期間にわたって投与される。治療的適用では、往々にして、比較的短い間隔で比較的高い投薬量が、疾患の進行が減速するかもしくは停止するまで、または対象動物が疾患の症候の部分的もしくは完全な緩和を示すまで要求される。その後、患者は予防的レジメンを施され得る。
【0103】
別の特徴では、本開示は、対象動物の腫瘍をin vivoで検出する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)本技術の抗体(またはその抗原結合フラグメント)の有効量を対象動物に投与する工程(前記抗体はA33を発現する腫瘍に局在するように設計され、放射性同位体で標識される);および(b)抗体によって放射される、参照値より高い放射能レベルを検出することによって対象動物で腫瘍の存在を検出する工程。いくつかの実施態様では、参照値は1グラム当たりの注射線量(%ID/g)として表現される。参照値は、非腫瘍(正常)組織に存在する放射能レベルを測定し、非腫瘍(正常)組織に存在する平均放射能レベル±標準偏差を算出することによって計算できる。いくつかの実施態様では、腫瘍と正常組織間の放射能レベルの比は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1である。
いくつかの実施態様では、対象動物は、癌を有すると診断されるか、または癌を有する疑いがある。抗体によって放射される放射能レベルは、陽電子放射断層撮影法または単光子放射コンピュータ断層撮影法を用いて検出できる。
加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、放射性核種と複合体化された本技術の抗体を含む免疫複合体の有効量を対象動物に投与する工程を含む。いくつかの実施態様では、放射性核種は、アルファ粒子放射同位体、ベータ粒子放射同位体、オージェ-エミッター、または前記の任意の組合せである。ベータ粒子放射同位体の例には、86Y、90Y、89Sr、165Dy、186Re、188Re、177Lu、および67Cuが含まれる。アルファ粒子放射同位体の例には、213Bi、211At、225Ac、152Dy、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、221Fr、217At、および255Fmが含まれる。オージェ-エミッターの例には、111In、67Ga、51Cr、58Co、99mTc、103mRh、195mPt、119Sb、161Ho、189mOs、192Ir、201Tl、および203Pbが含まれる。当該方法のいくつかの実施態様では、正常組織の非特異的FcR依存結合は除去または軽減される(例えばFc領域のN297A変異を介する(前記変異は非グリコシル化をもたらす))。そのような免疫複合体の治療有効性は、腫瘍曲線下面積(AUC):正常組織AUC比を算出することによって決定できる。いくつかの実施態様では、免疫複合体は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1の腫瘍AUC:正常組織AUC比を有する。
【0104】
PRIT:ある特徴では、本開示は、その必要がある対象動物で固形腫瘍を検出する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)放射性標識DOTAハプテンおよび、放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原に結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程(前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原を発現する固形腫瘍に局在するように構成される);および(b)当該複合体により放射される、参照値よりも高い放射能レベルを検出することによって、対象動物で固形腫瘍の存在を検出する工程。いくつかの実施態様では、対象動物は人間である。
別の特徴では、本開示は、プレターゲッテイング放射性免疫療法のための対象動物を選別する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)放射性標識DOTAハプテン並びに放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原と結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程(前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原を発現する固形腫瘍に局在するように構成される);
(b)複合体により放射される放射能レベルを検出する工程;および
(c)複合体により放射される放射能レベルが参照値よりも高いときに、プレターゲッテイング放射性免疫療法のための対象動物を選別する工程。いくつかの実施態様では、対象動物は人間である。
【0105】
DOTAハプテンの例には以下が含まれる:(i)DOTA-Phe-Lys(HSG)-D-Tyr-Lys(HSG)-NH2;(ii)Ac-Lys(HSG)D-Tyr-Lys(HSG)-Lys(Tscg-Cys)-NH2;(iii)DOTA-D-Asp-D-Lys(HSG)-D-Asp-D-Lys(HSG)-NH2;(iv)DOTA-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(v)DOTA-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(vi)DOTA-D-Ala-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(vii)DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-NH2;(viii)Ac-D-Phe-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-NH2;(ix)Ac-D-Phe-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2;(x)Ac-D-Phe-D-Lys(Bz-DTPA)-D-Tyr-D-Lys(Bz-DTPA)-NH2;(xi)Ac-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2;(xii)DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2;(xiii)(Tscg-Cys)-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(DOTA)-NH2;(xiv)Tscg-D-Cys-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(xv)(Tscg-Cys)-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2;(xvi)Ac-D-Cys-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Ala-D-Lys(DOTA)-D-Cys-NH2;(xvii)Ac-D-Cys-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2;(xviii)Ac-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2;(xix)Ac-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2および(xx)DOTA。放射性標識は、アルファ粒子放射同位体、ベータ粒子放射同位体、またはオージェ-エミッターであり得る。放射性標識の例には以下が含まれる:213Bi、211At、225Ac、152Dy、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、221Fr、217At、255Fm、86Y、90Y、89Sr、165Dy、186Re、188Re、177Lu、67Cu、111In、67Ga、51Cr、58Co、99mTc、103mRh、195mPt、119Sb、161Ho、189mOs、192Ir、201Tl、203Pb、68Ga、227Th、または64Cu。
【0106】
本明細書に開示する方法のいくつかの実施態様では、複合体によって放射される放射能レベルは、陽電子放射断層撮影法または単光子放射コンピュータ断層撮影法を用いて検出される。加えて或いはまた別に、本明細書に開示する方法のいくつかの実施態様では、対象動物は、A33陽性癌(例えば結腸直腸癌、腹膜偽性粘液腫、虫垂癌、膵臓癌、および胃癌)を有すると診断されるか、またはその疑いがある。
加えて或いはまた別に、本明細書に開示する方法のいくつかの実施態様では、複合体は、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、脳室内、経口または鼻内投与される。ある種の実施態様では、複合体は、対象動物の脳脊髄液または血液に投与される。
本明細書に開示する方法のいくつかの実施態様では、複合体によって放射される放射能レベルは、複合体の投与後2から120時間の間に検出される。本明細書に開示する方法のある種の実施態様では、複合体によって放射される放射能レベルは、組織1グラム当たりの注射線量パーセンテージ(%ID/g)として表現される。参照値は、非腫瘍(正常)組織に存在する放射能レベルを測定し、非腫瘍(正常)組織に存在する平均放射能レベル±標準偏差を算出することによって計算できる。いくつかの実施態様では、参照値は、標準取込み値(SUV)である(以下を参照されたい:Thie JA, J Nucl Med. 45(9):1431-4, 2004)。いくつかの実施態様では、腫瘍と正常組織との間の放射能レベル比は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1である。
【0107】
別の特徴では、本開示は、A33陽性癌と診断された対象動物において放射線療法に対する腫瘍の感受性を増加させる方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)本技術の抗DOTA二重特異性抗体の有効量を対象動物に投与する工程(前記抗DOTA二重特異性抗体は、A33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される);および(b)放射性標識DOTAハプテンの有効量を対象動物に投与する工程(前記放射性標識DOTAハプテンは抗DOTA二重特異性抗体に結合するように構成される)。いくつかの実施態様では、対象動物は人間である。
抗DOTA二重特異性抗体は、それが腫瘍細胞を飽和させるために十分な条件下および時間にわたって(例えば投与レジメンにしたがって)投与される。いくつかの実施態様では、未結合抗DOTA二重特異性抗体は、抗DOTA二重特異性抗体の投与後に血流から除去される。いくつかの実施態様では、放射性標識DOTAハプテンは、未結合抗DOTA二重特異性抗体の除去を可能にするために十分であり得る時間の後で投与される。
放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体の投与後1分から4日以上の間の任意の時に投与され得る。例えば、いくつかの実施態様では、放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体の投与後、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、48時間、72時間、96時間で、またはその間の任意の範囲で投与される。また別には、放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体の投与から4日以上後の任意の時に投与できる。
【0108】
加えて或いはまた別に、いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、除去剤の有効量を放射性標識DOTAハプテンの投与前に対象動物に投与する工程を含む。除去剤は、C825ハプテンと複合体化され得る任意の分子(デキストランまたはデンドリマー)であり得る。いくつかの実施態様では、除去剤は、2000kD、1500kD、1000kD、900kD、800kD、700kD、600kD、500kD、400kD、300kD、200kD、100kD、90kD、80kD、70kD、60kD、50kD、40kD、30kD、20kD、10kD、5kDを超えない。いくつかの実施態様では、除去剤は、500kDアミノデキストラン-DOTA複合体(例えば500kDデキストラン-DOTA-Bn(Y)、500kDデキストラン-DOTA-Bn(Lu)、または500kDデキストラン-DOTA-Bn(In)など)である。
いくつかの実施態様では、除去剤および放射性標識DOTAハプテンは、本技術の抗DOTA二重特異性抗体を更に投与することなく投与される。例えば、いくつかの実施態様では、本技術の抗DOTA二重特異性抗体は、以下の少なくとも1サイクルを含むレジメンにしたがって投与される:(i)本技術の抗DOTA二重特異性抗体の投与(場合によって、対応する腫瘍細胞が飽和されるように投与される);(ii)放射性標識DOTAハプテンおよび場合によって除去剤の投与;(iii)場合によって、追加の放射性標識DOTAハプテンおよび/または除去剤の投与、ただし抗DOTA二重特異性抗体の追加投与は無い。いくつかの実施態様では、当該方法は、そのようなサイクルを複数回(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11サイクル以上)含むことができる。
加えて或いはまた別に、当該方法のいくつかの実施態様では、抗DOTA二重特異性抗体および/または放射性標識DOTAハプテンは、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、脳室内、経口または鼻内投与される。
【0109】
ある特徴では、本開示は、A33陽性癌を有すると診断された対象動物において放射線療法に対する腫瘍の感受性を増加させる方法を提供し、前記方法は、放射性標識DOTAハプテン並びに放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原標的を認識しこれと結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程を含み、前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される。複合体は、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、脳室内、経口または鼻内投与される。いくつかの実施態様では、対象動物は人間である。
別の特徴では、本開示はその必要がある対象動物で癌を治療する方法を提供し、前記方法は、(a)本技術の抗DOTA二重特異性抗体の有効量を対象動物に投与する工程(前記抗DOTA二重特異性抗体は、A33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される);および(b)放射性標識DOTAハプテンの有効量を当該対象動物に投与する工程(前記放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体と結合するように構成される)を含む。抗DOTA二重特異性抗体は、それが腫瘍細胞を飽和させるために十分な条件下および時間にわたって(例えば投与レジメンにしたがって)投与される。いくつかの実施態様では、未結合抗DOTA二重特異性抗体は、抗DOTA二重特異性抗体の投与後に血流から除去される。いくつかの実施態様では、放射性標識DOTAハプテンは、未結合抗DOTA二重特異性抗体の除去を可能にするために十分であり得る時間の後で投与される。いくつかの実施態様では、対象動物は人間である。
したがって、いくつかの実施態様では、当該方法はさらにまた、放射性標識DOTAハプテンの投与前に、除去剤の有効量を対象動物に投与する工程を含む。放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体の投与後1分から4日以上の間の任意の時に投与され得る。例えば、いくつかの実施態様では、放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体の投与後、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、48時間、72時間、96時間で、またはその間の任意の範囲で投与される。また別には、放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体の投与から4日以上後の任意の時に投与できる。
【0110】
除去剤は、500kDアミノデキストラン-DOTA複合体(例えば500kDデキストラン-DOTA-Bn(Y)、500kDデキストラン-DOTA-Bn(Lu)、または500kDデキストラン-DOTA-Bn(In)など)であり得る。いくつかの実施態様では、除去剤および放射性標識DOTAハプテンは、抗DOTA二重特異性抗体を更に投与することなく投与される。例えば、いくつかの実施態様では、抗DOTA二重特異性抗体は、以下の少なくとも1サイクルを含むレジメンにしたがって投与される:(i)本技術の抗DOTA二重特異性抗体の投与(場合によって、対応する腫瘍細胞が飽和されるように投与される);(ii)放射性標識DOTAハプテンおよび場合によって除去剤の投与;(iii)場合によって、追加の放射性標識DOTAハプテンおよび/または除去剤の投与、ただし抗DOTA二重特異性抗体の追加投与は無い。いくつかの実施態様では、当該方法は、そのようなサイクルを複数回(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11サイクル以上)含むことができる。
本明細書で提供されるものはまた、その必要がある対象動物で癌を治療する方法であり、前記方法は、放射性標識DOTAハプテン並びに放射性標識DOTAハプテンおよびA33抗原標的を認識しこれと結合する本技術の二重特異性抗体を含む複合体の有効量を対象動物に投与する工程を含み、前記複合体は、複合体の二重特異性抗体によって認識されるA33抗原標的を発現する腫瘍に局在するように構成される。そのような複合体の治療有効性は、腫瘍曲線下面積(AUC):正常組織AUC比を算出することによって決定できる。いくつかの実施態様では、複合体は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1の腫瘍AUC:正常組織AUC比を有する。
【0111】
毒性:最適には、本明細書に記載する抗A33抗体の有効量(例えば用量)は、実質的な毒性を対象動物に引き起こすことなく治療的利益を提供するであろう。本明細書に記載する抗A33抗体の毒性は、細胞培養または実験動物での標準的な製薬手順によって、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)またはLD100(集団の100%に致死的な用量)の測定によって決定することができる。毒性作用と治療作用との間の用量比が治療インデックスである。これらの細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータを、ヒトで使用するために有害でない投薬範囲の公式化で用いることができる。本明細書に記載する抗A33抗体の投薬量は、ほとんどまたは全く毒性がない有効用量を含む循環濃度の範囲内に存在する。投薬量は、用いられる剤形および利用される投与ルートに応じて前記範囲内で変動し得る。的確な処方、投与ルートおよび投薬量は、対象動物の状態を考慮して個々の医師が選択できる。例えば以下を参照されたい:Fingl et al., In: The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ch.1, 1975。
【0112】
医薬組成物の処方:本技術の方法にしたがって、抗A33抗体を投与に適した医薬組成物に取り込むことができる。医薬組成物は、一般的には、組換え体または実質的に精製された抗体、および対象動物への投与に適切な形態の医薬的に許容できる担体を含む。医薬的に許容できる担体は、部分的には、投与される具体的な組成物とともに組成物を投与するために用いられる具体的な方法によって決定される。したがって、抗体組成物の投与のために適切である種々多様な医薬組成物の処方が存在する(例えば以下を参照されたい:Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA 18th ed., 1990)。一般的には、医薬組成物は、無菌的な実質的に等張であり、かつ完全に法令(Good Manufacturing Practice (GMP) regulations of the U.S. Food and Drug Administration)を遵守して処方される。
“医薬的に許容できる”、“生理学的に容認できる”、およびその文法的変形である用語は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬に関するときには互換的に用いられ、望ましくない生理学的作用を当該組成物の投与を禁止する程度には生じることなく、対象動物に投与できる物質を表す。例えば、“医薬的に許容できる賦形剤”は、医薬組成物の調製で有用であり、一般的には安全で非毒性で望ましい賦形剤を意味し、人間用医薬の使用と同様に獣医の使用にも許容し得る賦形剤を意味する。そのような賦形剤は固体、液体、半固体で、エーロゾル組成物の事例ではガス状であり得る。“医薬的に許容できる塩およびエステル”は、医薬的に許容でき、かつ望ましい薬理学特性を有する塩およびエステルを意味する。そのような塩には、組成物に存在する酸性陽子が無機または有機塩基と反応できる場合に形成される塩が含まれる。適切な無機塩には、アルカリ金属(例えばナトリウムおよびカリウム)、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムにより形成されるものが含まれる。適切な有機塩には、有機塩基、例えばアミン塩基(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなど)により形成されるものが含まれる。そのような塩にはまた、無機酸(例えば塩酸および臭化水素酸)および有機酸(例えば酢酸、クエン酸、マレイン酸、並びにアルカン-およびアレーン-スルホン酸(例えばメタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸))により形成される酸付加塩が含まれる。医薬的に許容できるエステルには、抗A33抗体に存在するカルボキシ、スルホニルオキシ、およびホスホノキシ基から形成されるエステル、例えばC1-6アルキルエステルが含まれる。2つの酸性基が存在する場合、医薬的に許容できる塩またはエステルは一酸-一塩もしくはエステルまたは二塩もしくはエステルであることができ、同様に3つ以上の酸性基が存在する場合には、そのような基のいくつかまたは全てが塩化またはエステル化され得る。本技術で示す抗A33抗体は、非塩化もしくは非エステル化形で、または塩化および/またはエステル化形で存在することができ、抗A33抗体の呼称は、元の(非塩化および非エステル化)化合物およびその医薬的に許容できる塩およびエステルを含むことが意図される。さらにまた、本技術のある種の実施態様は、2つ以上の立体異性体形で存在することができ、抗A33抗体の呼称は、全ての単独立体異性体およびそのような立体異性体の全ての混合物(ラセミであれそれ以外であれ)を含むことが意図される。本技術の個々の薬物および組成物の投与のための適切なタイミング、順序および投薬量の決定で、当業者は何ら困難を有しないであろう。
【0113】
そのような担体または希釈剤の例には、水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが含まれるが、ただし前記に限定されない。リポソームおよび非水性ビヒクル(例えば不揮発性油)もまた用いることができる。医薬的に活性な物質のためにそのような媒体および化合物を使用することは当業界で周知である。通常的な媒体または化合物が抗A33抗体に適合しない場合を除いて、組成物でそれらを使用することは意図される。補助的活性化合物もまた組成物に取り入れることができる。
本技術の医薬組成物は、その意図される投与ルートに適合するように処方される。本技術の抗A33抗体組成物は、非経口、外用、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、鼻内、もしくは筋肉内ルートによって、または吸入薬として投与される。抗A33抗体は、場合によって、多様なA33関連癌の治療で少なくとも部分的に有効な他の薬剤と併用して投与され得る。
経口、皮内または皮下適用に用いられる溶液または懸濁物は、以下の成分を含むことができる:無菌的希釈剤、例えば注射用の水、生理食塩水溶液、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗菌化合物、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート化合物、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸、クエン酸、またはリン酸;および張度を調整する化合物、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基(例えば塩酸または水酸化ナトリウム)で調整することができる。非経口調製物は、アンプル、使い捨て注射器またはガラス製もしくはプラスチック製マルチ用量バイアルに封入できる。
【0114】
注射が可能な使用に適した医薬組成物は、無菌的水性溶液(水溶性の場合)または懸濁液、および無菌的注射用溶液もしくは懸濁液の即席調製のための無菌的粉末を含む。静脈内投与の場合、適切な担体には、生理食塩水、制菌水、Cremophor ELTM(BASF, Parsippany, N.J.)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。全ての事例で、組成物は無菌的でなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度に流動性であるべきである。組成物は、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、微生物(例えば細菌および真菌)の夾雑作用から保存される必要がある。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および流動ポリエチレングリコールなど)および適切な前記の混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えばコーティング(例えばレシチン)の使用によって、分散液の事例では必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持できる。微生物作用の防止は、多様な抗菌および抗真菌化合物、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成できる。多くの事例で、等張化合物、例えば砂糖、多価アルコール(例えばマンニトール、ソルビトール)、塩化ナトリウムを組成物に含むことが所望されるであろう。注射可能な組成物の長期化吸収は、吸収を遅らせる化合物(例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物に含むことによってもたらし得る。
無菌的な注射可能溶液は、必要とされる量の本技術の抗A33抗体を、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに適切な溶媒に取り込み、続いてろ過滅菌することによって調製できる。一般的には、分散液は抗A33抗体を無菌的ベヒクルに取り込むことによって調製され、前記ビヒクルは、基本的分散媒体および上記に列挙したものから必要とされる他の成分を含む。無菌的注射可能溶液を調製するための無菌的粉末の事例では、調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、前記方法は、活性成分プラスその前にろ過滅菌された溶液に由来する任意の追加所望成分を含む粉末を生じる。本技術の抗体は、デポー注射または移植調製物(活性成分の持続性または拍動性放出を可能にする態様で処方され得る)の形態で投与することができる。
【0115】
経口組成物は一般的に不活性希釈剤または食用担体を含む。それらはゼラチンカプセルに封入されるか、または打錠される。経口治療薬投与のためには、抗A33抗体は賦形剤とともに取り込まれ、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で用いられる。経口組成物はまた、口内洗浄として用いるために液性担体を用いて調製でき、この場合、液性担体中の化合物は口内に適用されてサッと口内を一巡し、吐き出されるかまたは嚥下される。医薬的に適合する結合物質および/またはアジュバント材料を組成物の部分として含むことができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、以下の成分または同様な性質の化合物のいずれかを含むことができる:結合剤、例えば微晶質セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチン;賦形剤、例えばデンプンもしくはラクトース;崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲルもしくはトウモロコシデンプン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterotes);滑剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味化合物、例えばシュクロースもしくはサッカリン;または香味化合物、例えばペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香料。
吸入による投与の場合、抗A33抗体は、加圧容器もしくはディスペンサー(適切な推進剤、例えば気体(例えば二酸化炭素)を含む)またはネブライザーからエーロゾルスプレーの形態でデリバリーされる。
【0116】
全身投与はまた経粘膜または経皮手段を介することができる。経粘膜または経皮投与のためには、障壁を浸透するために適切な浸透剤が処方物で用いられる。一般的にはそのような浸透剤は当業界で公知であり、経粘膜投与のためには例えば、洗剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は鼻内スプレーまたは座薬の使用によって達成できる。経皮投与のためには、抗A33抗体は、当業界で一般的に知られているように軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに処方される。
抗A33抗体はまた、座薬(例えば通常的な座薬基剤(例えばカカオ脂および他のグリセリド)を用いる)または直腸デリバリーのための保持浣腸剤の形態で医薬組成物として調製できる。
ある実施態様では、抗A33抗体は、身体からの急速な排除に対して抗A33抗体を保護する担体とともに調製され、前記は例えば制御放出処方物であり、移植物およびマイクロカプセル化デリバリー系が含まれる。生物分解性、生体適合性ポリマーを用いることができ、前記は、例えば、酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸である。そのような処方物の調製方法は当業者には明白であろう。当該材料はまた市場で、アルザ社(Alza Corporation)およびノバ社(Nova Pharmaceuticals, Inc)から入手できる。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的誘導されるリポソームを含む)もまた、医薬的に許容できる担体として用いることができる。これらは、当業者に公知の方法にしたがって調製でき、例えば米国特許4,522,811号に記載されている。
【0117】
C.キット
本技術はA33関連癌を検出および/または治療用キットを提供し、このキットは、本技術の少なくとも1つの免疫グロブリン関連構成要素(本明細書に記載する任意の抗体または抗原結合フラグメント)、またはその機能的変種(例えば置換変種)を含む。場合によって、本技術のキットの上記記載構成要素は適切な容器に詰められ、A33関連癌の診断および/または治療のためラベルが付される。上述の構成要素は、一ユニット容器またはマルチ用量容器(例えば封入アンプル、バイアル、ボトル、注射器、および試験管)に、水性(好ましくは無菌的)溶液として、または再構成用の凍結乾燥(好ましくは無菌的)処方物として保管され得る。キットはさらにまた第二の容器を含むことができ、前記容器は、医薬組成物をより大きな体積に希釈するために適切な希釈剤を保持する。適切な希釈剤には、当該医薬組成物の医薬的に許容できる賦形剤および生理食塩水溶液が含まれるが、ただし前記に限定されない。さらにまた、キットは、医薬組成物の希釈の指示および/または医薬組成物の投与の指示(希釈するか否かにかかわらず)を含むことができる。容器は、多様な材料(例えばガラスまたはプラスチック)から形成でき、無菌的なアクセス口を有することができる(例えば、容器は静脈内溶液バッグまたはストッパー付きバイアル(ストッパーは皮下注射針によって穿刺できる)であり得る)。キットはさらにまたより多くの容器を含むことができ、それらは、医薬的に許容できる緩衝液(例えばリン酸緩衝食塩水)、リンゲル液およびデキストロース溶液を含む。キットは、さらにまた市場および使用者の見地から所望される他の物質を含むことができ、それらには、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、1つ以上の適切な宿主のための培養液が含まれる。キットは、場合によって、治療用または診断用製品の市販パッケージに慣例的に含まれる指示書を含むことができ、前記指示書は、例えば適応症、用法、投薬量、製造、投与、禁忌についての情報および/またはそのような治療用または診断用製品の使用に関する警告を含む。
【0118】
キットは、免疫反応性A33タンパク質の存在を生物学的サンプルで検出するために有用であり、前記生物学的サンプルには、例えば任意の体液(例えば血清、血漿、リンパ、嚢胞液、尿、糞便、脳脊髄液、腹水または血液が含まれるが、ただし前記に限定されない)および身体組織の生検サンプルが含まれる。例えば、キットは以下を含む:生物学的サンプル中のA33タンパク質と結合できる、本技術の1つ以上のヒト化、キメラ、または二重特異性抗A33抗体(またはその抗原結合フラグメント);サンプル中のA33タンパク質の量を決定するための手段;およびサンプル中の免疫反応性A33タンパク質の量を標準物と比較するための手段。抗A33抗体の1つ以上は標識され得る。キットの構成要素(例えば試薬)は適切な容器に詰めることができる。キットはさらにまた、免疫反応性A33タンパク質の検出にキットを使用するための指示書を含むことができる。
抗体系キットの場合、キットは例えば以下を含む:1)固相支持体に結合されている第一の抗体、例えば本技術のヒト化、キメラまたは二重特異性A33抗体(またはその抗原結合フラグメント)、前記はA33タンパク質と結合する;2)A33タンパク質または第一の抗体と結合する第二の異なる抗体、前記は検出可能標識と複合体化される。
キットはまた、例えば緩衝剤、保存料またはタンパク質安定化剤を含む。キットはさらにまた、検出可能標識を検出するために必要な成分(例えば酵素または基質)を含むことができる。キットはまた、コントロールサンプルまたは一連のコントロールサンプルを含むことができ、それらをアッセイして試験サンプルと比較することができる。キットの各構成要素は個々の容器に封入され、多様な容器の全てを単一のパッケージ内に、キットを用いて実施されるアッセイの結果を解釈するための指示と一緒に存在する。本技術のキットは、キット容器上にまたはキット容器内に記述物を含むことができる。前記記述物は、例えばA33タンパク質のin vitroまたはin vivo検出のために、またはその必要がある対象動物でのA33関連癌の治療のために、キットに収められた試薬をどのように使用するかを説明する。ある種の実施態様では、試薬の使用は本技術の方法にしたがうことができる。
実施例
本技術をさらにまた以下の実施例によって例証する。実施例は、如何なる態様においても制限と解されるべきではない。以下の実施例は、本技術の例示的A33抗体の調製、特徴付けおよび使用を示す。下記実施例は、本技術のキメラ、ヒト化および二重特異性抗体の作製、並びにそれらの結合特異性およびin vivo生物学的活性の特徴付けを示す。
【実施例1】
【0119】
本技術の抗A33抗体の作出および特徴付けのための材料と方法
細胞株およびヒト白血球:細胞株LS174T、Colo205、SNU-16および293T細胞はATCC(Manassas, Virginia)から購入し、SW1222はECACC(Salisbury, United Kingdom)から購入した。全ての細胞はSTR型分けによって確認した。細胞は以下を補充したRPMI培養液で維持した:10% FBS(Sigma, St. Louis, MO)、0.03% L-グルタミン(Gibco Laboratories, Gaithersburg, MD)およびPen/Strep(Gibco Laboratories, Gaithersburg, MD)。健康なドナーのバフィーコートはニューヨーク血液センター(New York City, NY)から購入し、ヒトPBMCは、バフィーコートのフィコール(Ficoll)グラジエントにより単離した。
ルシフェラーゼ発現細胞株の樹立:まず初めに、293T細胞にルシフェラーゼおよびGFP遺伝子を含むレトロウイルス構築物を、ポリジェット(PolyJet)トランスフェクション試薬(SignaGen, Rockville, MD)を製造業者の指示にしたがって用いてトランスフェクトした。36時間後にウイルス含有上清を収集し、0.45μmフィルターでろ過した。2mLのろ過上清のアリコートを、レトロネクチン(Retronectin(Clontech Laboratories, Mountain View, CA))で予め被覆した12ウェルプレートの各ウェルに分注した。プレートを4°Cで45分間3500rpmで回転させた。前記プロセスを2から3回繰返した。回転後、プレートをPBSで1回洗浄し、その後、0.2x106の腫瘍細胞をプレートし、37°Cでインキュベートした。回転接種(spinnoculation)を24時間後にもう一度繰り返した。続いて、GFP発現細胞の仕分け前に細胞をさらに少なくとも48時間インキュベートした。細胞仕分けのためには、形質導入細胞を96ウェルプレートの少なくとも4プレートに1細胞/ウェルの密度で仕分けし、コロニーピックアップ前に2週間インキュベートした。ピックアップコロニーを評価し、親細胞株と比較したルシフェラーゼ、GFPおよびGPA33発現を基準に選別した。
SEC-HPLC分析:huA33-BsAbのサイズおよび純度をHPLC系(Shimadzu Scientific Instruments Inc., Columbia, MD)を用いて分析した。モノマー種を分子量標準物(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を用いて識別し、種々の非緩衝剤ピークの相対的曲線下面積(AUC)を基準にパーセントモノマーを計算した。
【0120】
マウスA33のヒト化:CDR移植を用い、マウスA33をIgG1としてヒト化した。2つの異なるVHおよびVL配列を組み合わせて、4つの異なるヒト化A33抗体を作出した。表面プラズモン共鳴(SPR)分析を用いて、結合カイネティクスをキメラ抗体chA33のそれと比較した。重鎖配列は配列番号:6(3A3-H2)で、軽鎖配列は配列番号:10(3A3-H2)である。
リーダー配列を含む重鎖配列は、MGWSCIILFLVATATGEVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSTYDMSWVRQAPGKRLEWVATISSGGSYTYYLDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAPTTVVPFAYWGQGTLVTVSS(配列番号:55)であり、リーダー配列を含む軽鎖配列は、MGWSCIILFLVATATGDIQMTQSQSSLSTSVGDRVTITCKASQNVRTVVAWYQQKPGKSPKTLIYLASNRHTGVPSRFSGSGSGTEFTLTISNVQPEDFADYFCLQHWSYPLTFGSGTKLEIKR(配列番号:56)である。下線を付した配列がリーダー配列に対応する。
SPR分析:ヒトGPA33(Novoprotein, Summit, NJ)をCM5チップに固定した。2倍段階希釈したhuA33 IgG1またはhuA33-BsAbの5つの濃度(20nMから開始)をBiacoreTM T100系(GE Healthcare, Chicago, IL)を用いチップ上に流した。huA33の結合カイネティクスを25°Cで測定し、huA33-BsAbの結合カイネティクスを25°Cおよび37°Cの両方で測定した。センサーグラムを双方について1:1結合モデルに適合させ、カイネティックパラメーターを得た。
huA33-BsAb二重特異性抗体の作出:以前にXuらおよびLopez-Albaiteroらが記載したように、(G4S)3リンカーを介しhuA33抗体軽鎖のC-末端にヒト化OKT3 scFvを融合させることによってhuA33-BsAbを構築した(Xu H et al., Cancer Immunology Research 3:266-277, 2015;およびLopez-Albaitero A et al., OncoImmunology 6:e1267891, 2017)。N297AおよびK322A変異を抗体のFc領域に導入し、それぞれFcRおよび補体結合活性を除去した(Shields RL et al., Journal of Biological Chemistry 276:6591-6604, 2001:Idusogie EE et al., Journal of Immunology 164:4178-4184, 2000)。続いて、当該DNA構築物をCHO-S細胞にトランスフェクトし、高レベル抗体生成について安定なクローンを選別した。大規模抗体精製のために、選別安定クローンを振盪フラスコで増殖させた。一工程タンパク質Aアフィニティークロマトグラフィーを用い、二重特異性抗体を上清から精製した。
T細胞依存細胞傷害性(TDCC)アッセイ51Cr放出アッセイおよびPierce LDH放出アッセイ(Thermo Fisher Scientific, Cambridge, MA)の両方を用いて、細胞傷害性アッセイを実施した。両アッセイのために、抗CD3/抗CD28ダイナビーズに14日間暴露することによって活性化したT細胞をエフェクター細胞としてその後で用いた。ただしPBMCから仕分けした細胞は例外とし、これらは前刺激無しにTDCCアッセイに用いられた。51Crアッセイは、Chengらが以前に記載したように実施した(Cheng M et al., International Journal of Cancer 136:476-486, 2015)。LDHアッセイは、下記の改変を加え、製造業者の指示にしたがって実施した。簡単に記せば、96ウェルの丸底プレートの各アッセイウェルのために、1.5x104の標的細胞を、目的のE:T比に応じて種々の数のエフェクター細胞とともにインキュベートした。続いて、種々の希釈の抗体を添加し、プレートを37°Cで16時間インキュベートした。各条件を3複製で実施した。続いて、上清を反応基質とともに平底プレートに移し、490nmで読み取る前に30分間インキュベートした。参照波長として680nmを用いた。EC50は、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)を用い4パラメーター非線形回帰モデルに曲線を適合させることによって計算した。
【0121】
サイトカインおよび細胞溶解分子放出アッセイ:汎T細胞単離キット(Miltenyi Biotec, Cambridge, MA)を用いて、PBMCからT細胞を精製した。24ウェルプレートで、標的腫瘍細胞およびコントロール腫瘍細胞を、5:1のエフェクター細胞対標的比で2x106細胞/ウェルでインキュベートした。ウェルにつき2mLの総体積を用い3複製で実施した。培養上清を24時間、48時間、72時間、および96時間で収集し、LEGENDplexTMヒトCD8/NKパネル(Biolegend, San Diego, CA)を製造業者のプロトコルにしたがって用いサイトカインレベルをフローサイトメトリーにより測定した。
T細胞増殖アッセイ:健康なドナーの新鮮なPBMCを2.5nMのCFSE(Life Technologies Corp., Carlsbad, CA)で室温で5分間標識し、続いて5%FBSを含むPBSを用いて中和した。続いて、標的細胞を標識PBMCとともに37°Cで種々の条件下でインキュベートし、24時間および96時間の表面活性化マーカーの発現およびT細胞増殖を分析した。
in vivo腫瘍治療:皮下(s.c.)腫瘍モデルについては、LS174T、Colo205またはSNU16細胞を新鮮なPBMCと1:1比で組み合わせ、マトリゲル(Matrigel)と混合し(細胞:ゲル体積=1:2)、Balb/c Rag2-/-IL2Rγ-/-(DKO)マウス(現在TaconicからCIEA BRGマウスとして市場で入手できる)の脇腹に移植した(100μL/マウス)。腫瘍の存在を確認した後、100μg/マウスでBIWスケジュールにより治療を開始し、3-4週間継続した。ノギスまたはデジタル装置Peira TM900スキャナー(Peira Scientific Instruments, Turnhout, Belgium)を用いて、腫瘍体積を毎週測定することによって、腫瘍増殖をモニターした。
腹腔内(i.p.)腫瘍モデルについては、ルシフェラーゼ発現LS174T-lucまたはSW1222-luc細胞をRPMI培養液に再懸濁し、DKOマウスの腹腔に注射した。ヒトエフェクター細胞を活性化T細胞として供給し、静脈内に注射した。抗体-T細胞-抗体レジメン(各成分は3-4日間離す)の2-3週間周期でマウスを治療した。腫瘍増殖は、IVISスペクトラムin vivo画像化系(PerkinElmer Inc., Waltham, MA)で3.3mg/マウスのルシフェリンの注射後に発光シグナルを測定することによって毎週追跡した。発光を分析し、生体画像ソフトウェア(PerkinElmer Inc., Waltham, MA)を用いて定量した。
【0122】
抗体およびフローサイトメトリー:抗体(抗-hCD25-PE、抗-CD69-PE、抗-hCD8-APC、抗-hCD45-PECy7、抗-hCD4-PE、抗-hCD4-BV421、抗-hCD62L-PercpCy5.5、抗-hPD1-BV421、抗-hCD45RO-PECy7)は、業者(Biolegend:San Diego, CA)から購入した。ヤギ抗ヒトIgG-PEは、業者(SouthernBiotech:Birmingham, AL)から購入した。ストレプトアビジン-PE、抗-hCD4-APCおよび抗-hCD25-APCは、業者(BD Biosciences:San Jose, CA)から購入した。全てのFACS分析は、FACSCaliburまたはLSRII系(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて実施し、FlowJo(FLOWJO, Ashland, OR)を用いて分析した。
酵母ディスプレーを用いる親和性成熟:20アミノ酸(G4S)4リンカーを用いて親huA33をscFv形式に変換し、酵母ディスプレーベクターでクローニングした。GeneMorph II変異導入キット(Agilent Technologies, Santa Clara, CA)を用いて、huA33 scFvをランダムに変異させた。PCR生成物を線状化ベクターとともに酵母にエレクトロポレートし、ビオチン化GPA33を用い前記ライブラリーを4回の仕分けに付した。最終回から得た個々のクローンをPCR増幅し、配列決定して変異パターンを分析した。選別scFvクローンのhuA33-BsAb形式への変換は一工程4フラグメント連結方法を用いて実施し、50ngの線状化ベクターおよび他の3つの構成要素に対し1:3のベクター対挿入物モル比を用いた。連結は、迅速DNA連結キット(Rapid DNA ligation kit:Thermo Fisher Scientific, Cambridge, MA)を室温で1時間用いて実施した。II型制限酵素SapI(New England Biolabs, Ipswich, MA)を用い、異なる構成要素との間のシームレス連結を担保した(図13)。選別クローンは、Expi293発現系(Thermo Fisher Scientific, Cambridge, MA)を製造業者の指示にしたがって用いて一過性発現させた。振盪フラスコでの4-5日間の培養後のExpi293細胞上清を用いてMabSelect SuRe(GE Healthcare, Chicago, IL)で抗体を精製し、透析膜(Spectrum Laboratories, Inc., Rancho Dominguez, CA)でpH8.0のクエン酸緩衝液に対して透析した。
統計分析:有意さ(p<0.05)はスチューデントt検定を用いて試験した。
【実施例2】
【0123】
本技術のヒト化抗A33抗体の構造および結合親和性
図14は、マウスA33抗体のVHおよびVLドメインのアミノ酸配列並びに対応するそれらの相同なヒト配列を示す(配列番号:1-4)。本技術の3A3-H1/L1、3A3-H1/L2、3A3-H2/L1および3A3-H2/L2ヒト化A33抗体のVHおよびVLドメインのアミノ酸配列は、図15および図17に示される。3A3-H1/L1、3A3-H1/L2、3A3-H2/L1および3A3-H2/L2ヒト化A33抗体のVHおよびVLドメインのcDNA配列は、図16および図18に示される。図19は、Kingら(上掲書(1995))の元のヒト化アミノ酸配列hA33と新規に再ヒト化したhuA33(3A3)アミノ酸配列とのアラインメントを示す。
図24は、キメラchA33-IgG1の軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を示し、それらは配列番号:13および配列番号:14にそれぞれ対応する。図25は、huA33-IgG1(H2L2)の重鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示し、それらは配列番号:15および配列番号:16にそれぞれ対応する。図26は、huA33-IgG1(H2L2)の軽鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示し、それらは配列番号:17および配列番号:18にそれぞれ対応する。
キメラA33と比較したとき、4つの新規ヒト化A33抗体はいずれも、SPR分析で固定されたGPA33との結合でわずかに改善されるkoffを有する(図9および図20)。KD、37°Cの安定性およびT20ヒト性スコアを基準にして、H2L2 huA33クローンを更なる開発のために選択した。図23を参照されたい。図21および図22は、上掲書(Cheal et al., 2016)に記載の元のヒト化hA33(hA33-mC825 BsAb)は、huA33-H2L2と比較して結合親和性の相当な低下を示したことを提示する。
これらの結果は、本技術の抗体またはその結合フラグメントは、高い結合親和性で特異的にA33抗原と結合することを示す。したがって、本明細書に開示する免疫グロブリン関連構成物は、サンプル中のA33タンパク質を検出するために有用である。
【実施例3】
【0124】
本技術のT細胞嵌合huA33-BsAb抗体の構造および結合親和性
huA33抗体の二重特異性形式への再フォーマットは、可撓性GSリンカーによりヒト化OKT3のscFvを軽鎖のC-末端に融合させることによって実施された(図1(A))。DNA構築物を用いてCHO-S安定細胞株を樹立し、上清からhuA33-BsAbを精製した。タンパク質Aクロマトグラフィーを用いたタンパク質収量は、広範囲の最適化を実施することなく50mg/Lから100mg/Lであった。同様な収量がExpi293一過性発現系を用いて観察された(データは示されていない)。一工程タンパク質A精製は、SEC-HPLCで測定したとき90%を超える純度のタンパク質を日常的に生じた。4回の凍結融解は、SEC-HPLCプロフィールでは注目するような変化を引き起さなかった(データは示されていない)。当該分子を37°Cで4週間インキュベートした後では、図1(B)に示すようにモノマーパーセンテージにほんのわずかな減少があった。これらのデータは、huA33-BsAbは、良好な可溶性、純度および熱安定性(前記はいずれもその後の開発のために重要な特徴である)を有したことを示す。
図27は、T細胞嵌合huA33-BsAb二重特異性抗体の重鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示し、それらは配列番号:19および配列番号:20にそれぞれ対応する。図28は、T細胞嵌合huA33-BsAb二重特異性抗体の軽鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示し、それらは配列番号:21および配列番号:22にそれぞれ対応する。図29は、本明細書に開示するT細胞嵌合huA33-BsAb二重特異性抗体に対する潜在的改変の要旨を示す。
25°Cおよび37°Cの両温度におけるhuA33-BsAbのGPA33に対するアビディティーをGPA33固定CM5チップを用いて測定した。図1(C)に示すように、huA33-BsAbはおよそ0.2nMの高い見かけの親和性でGPA33と結合し、前記は親huA33で観察された0.13nMの値よりもわずかに低かった。種々の癌から誘導された細胞株パネルのFACS分析は、huA33-BsAbは複数の結腸癌細胞株および1つの胃癌細胞株を染色したが、GPA33(-)神経芽腫細胞株IMR32、骨肉腫細胞株TC32またはメラノーマ細胞株SKMEL5は染色しないことを示し(図1(D)および図10)、これは、結腸癌細胞およびサブセットの胃癌細胞上の標的抗原と結合するという親抗体A33の特異性をhuA33-BsAbが保持していることを示している。活性化T細胞の染色もまた、huA33-BsAbはT細胞表面のCD3と結合することを示した。図1(D)を参照されたい。
これらの結果は、本技術の抗体またはその結合フラグメントは、高い結合親和性で特異的にA33抗原と結合することを示す。したがって、本明細書に開示する免疫グロブリン関係組成物は、サンプル中のA33タンパク質を検出するために有用である。
【実施例4】
【0125】
本技術のT細胞嵌合huA33-BsAb抗体の生物学的活性
huA33-BsAbは新鮮T細胞を活性化しその細胞周期開始を誘発した:huA33-BsAbが未刺激T細胞を活性化する能力を試験するために、CFSE標識PBMCをColo205細胞とE:T比5で混合し、huA33-BsAb(1μg/mL)の存在下で培養した。抗CD3 scFvの代わりに無関係のscFvを保持するhuA33-C825(Cheal SM et al., Eur J Nucl Med Mol Imaging 43:925-37, 2016)とともに、無関係のT細胞嵌合-BsAb抗体L1CAM-BsAb(抗原L1CAM(L1CAMxCD3)に対抗し、FACSによればL1CAM(-)Colo205とは結合しない)を陰性コントロールとして用いた。
24および96時間後、細胞を種々のT細胞活性化マーカーで染色し、T細胞活性化状況および増殖を評価した。早くも24時間に、CD25およびCD69マーカーの細胞表面でのアップレギュレーションによって示されるように、huA33-BsAbは、CD4(+)およびCD8(+)T細胞の両方の活性化を引き起こした(図2(A))。対照的に、huA33-C825およびL1CAM-BsAbは、最小限のCD25アップレギュレーションを引起しただけである。L1CAM-BsAbは、CD69の発現を、特にCD4(+)T細胞では増加させなかった(おそらくT細胞上のL1CAMの発現のためであろう)。同様に、PD-1アップレギュレーションが24時間後に観察され、96時間まで持続した(図11(A))。細胞分裂(CFSE色素希釈によって測定)は、96時間後にCD4(+)およびCD8(+)T細胞で観察された(図2(B))。CD8(+)T細胞は、より速い細胞分裂周期を示し、CD8(+)T細胞はCD4(+)T細胞よりも速く分裂することを示唆した(図2(C))。コントロール抗体huA33-C825は、どちらのT細胞サブセットも有意な量の細胞分裂を刺激せず、T細胞分裂のためにCD3活性化を要することが確認された。低レベルの細胞分裂がL1CAM-BsAbによって誘発され、上記で観察された低レベルの活性化と一致した。GPA33(-)SKMEL5標的細胞を用いたとき、huA33-BsAbはT細胞を活性化しなかった(図1(B))。これらの結果は、huA33-BsAbによるT細胞の活性化は、腫瘍細胞上での同族抗原の存在に左右されることを示している。我々はまた、細胞分裂はCD45RO(+)エフェクター/メモリー細胞の増殖を伴うことを観察し(図2(D))、T-BsAb活性の媒介にこのサブセットが重要であることが示唆された(以下で確認される)。これらのアッセイを異なる結腸癌細胞株LS174Tを用いて繰返し、同様な結果を得た(図11(C))。
T細胞がin vivoで活性化され得るか否かを決定するために、CFSE標識PBMCをColo205細胞と混合し、混合物をDKOマウスの皮下に移植することによって、in vivo増殖アッセイを実施した。次の日、huA33-BsAbを静脈内に注射し、さらに4日後に腫瘍を単離し、FACSによって分析した。図2(E)に示すように、CD4(+)およびCD8(+)T細胞のおよそ25%がCD25発現をアップレギュレートさせ、その間に細胞分裂が進み(CFSE蛍光は進行的に半減した)、huA33-BsAbはまたin vivoでT細胞活性化および増殖を刺激できることを示唆した。
【0126】
huA33-BsAbは炎症性サイトカインおよび細胞溶解分子の分泌を誘発した:標的腫瘍の存在下でhuA33-BsAbによって活性化されたT細胞のサイトカイン分泌プロフィールを調べた。全T細胞をPBMCから精製し、5:1のエフェクター:標的比でColo205腫瘍細胞の存在下で培養した。非特異的活性化の概算のために、SKMEL5細胞を陰性コントロールとして用いた。細胞培養上清を毎日4日間にわたって収集し、サイトカインおよび細胞傷害性分子のレベルをフローサイトメトリーによるマルチプレックス方法で測定した。図3に示すように、Th1サイトカイン(IL-2、IFNγ、TNFα)およびTh2サイトカイン(IL-4、IL-10)の両方が活性化T細胞によって分泌されたが、ただしIL-4は他のサイトカインよりはるかに低いレベルで分泌された。同様に、有意な量のIL-6が活性化T細胞によって分泌された。Th17サイトカインIL-17αもまた高レベルで分泌された。細胞傷害性成分sFas、グランザイムA、グランザイムB、パーフォリンおよびグラニュライシンはいずれも上清に放出された。
【0127】
huA33-BsAbは結腸癌および胃癌を特異的に殺滅すべくT細胞に再指令した:T細胞を再指令して癌細胞を殺滅するhuA33-BsAbの能力を試験した。複数のヒト癌細胞株におけるGPA33発現の調査に基づいて(図10)、3つの結腸癌細胞株(LS174T、SW1222およびColo205)および1つの胃癌細胞株(SNU16)を細胞傷害性実験のために選択した。これらの細胞株は、それらのマイクロサテライト不安定性プロフィールを基準にして、MSI(LS174T)またはMSS(SW1222、Colo205、SNU16)サブタイプとして分類された(Williams DS et al., PLOS ONE 5:e16012, 2011;Yoon K et al., Genome Research 23:1109-1117, 2013;Suter CM et al., Br J Cancer 88:413-419, 2003)。さらにまた、LS174T細胞はKRAS G12D変異を保持し、一方、他の細胞はp53変異または欠失を保持した(Ahmed D et al., Oncogenesis 2:e71, 2013;Liu Y & Bodmer WF, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103:976-981, 2006;Ku J-L & Park J-G: Cancer Research and Treatment : Official Journal of Korean Cancer Association 37:1-19, 2005;Ikediobi ON, Davies H, Bignell G, et al., Molecular cancer therapeutics 5:2606-2612, 2006)。
10:1のエフェクター対標的比で、癌細胞を10倍連続希釈のhuA33-BsAbの存在下で活性化T細胞とインキュベートした。GPA33(-)メラノーマ細胞株SKMEL5および骨肉腫細胞株TC32を陰性コントロールとして用いた。図4(A)に示すように、huA33-BsAbはT細胞に再指令して、全てのGPA33発現癌細胞をそれらの遺伝的バックグラウンドにかかわりなく特異的に殺滅し、一方、SKMEL5およびTC32は殺滅せず、huA33-BsAb媒介TDCCの抗原特異性が確認された。最大レベルの細胞傷害性は、FACS染色レベルと相関するように思われた(図1(D)および図4(A))。さらにまた、huA33-BsAbによって誘発されるTDCCは強力で、EC50値はpM範囲であった。図4(A)を参照されたい。
どのT細胞サブセットがhuA33-BsAbによって動員されたかを決定するために、CD4(+)およびCD8(+)T細胞の両方からCD45RA(+)CD62L(+)およびCD45RA(-)CD45RO(+)CD62L(-)メモリーサブセットを仕分けした。仕分けした細胞を5:1のE:T比でColo205腫瘍細胞の存在下で48時間培養してから、LDHアッセイを用いて細胞傷害性を測定した。図4(B)に示すように、CD4(+)およびCD8(+)メモリーT細胞サブセットはいずれも細胞傷害性を誘発できたが、CD8(+)メモリーT細胞はより有効な殺滅をより高い濃度で媒介した。CD4(+)およびCD8(+)集団のCD45RA(+)CD62L(+)サブセット(大半がナイーブT細胞である)はいずれも、48時間後に細胞傷害性を誘発できたが、ただしメモリーT細胞と比較して能力は低かった。
TDCCアッセイのT細胞をCD45ROおよびCD25で染色したとき、CD45RO+およびCD45RO-の両画分においてhuA33-BsAbの存在下でCD25発現がアップレギュレートされることが見出され(図12(A)および図12(B))、ナイーブT細胞およびメモリーT細胞の両方が、huA33-BsAbによって活性化され得ることが確認された。CD45RA(+)CD62L(+)T細胞の大半がインキュベーション後にCD45RO(-)のままであったが、小集団ではあるが有意な集団が、特にCD8(+)細胞でそれらのCD45RO発現を増加させた。図12(B)を参照されたい。しかしながら、この集団は、ナイーブT細胞の成熟から、または最初の培養に存在した希少なCD45RO+細胞の増殖から誘導されたものであり得る。総合すれば、これらのデータは、huA33-BsAbは、GPA33依存態様で結腸癌および胃癌細胞に対し強力な細胞傷害性を、CD4およびCD8T細胞の両方、特にメモリー表現型の細胞を動員することによって誘発できること示した。
これらの結果は、本技術の抗体またはその抗原結合フラグメントは高い結合親和性でA33抗原と特異的に結合することを示す。したがって、本明細書に開示する免疫グロブリン関連構成物は、サンプル中のA33タンパク質の検出に有用である。
【実施例5】
【0128】
酵母ディスプレーによるhuA33-BsAbの親和性成熟
huA33-BsAbの性能の更なる改善を試みるために、酵母ディスプレー方法をhuA33誘導scFvの親和性成熟に用いた。scFvは容易に凝集する傾向があるので、scFvをT細胞嵌合huA33-BsAb(より適切な形式であり、高い収量および純度で迅速に生成され得よう)に迅速に再フォーマットする方法を開発した(図13)。
当該方法は一工程4フラグメント連結アプローチを基礎にし、前記アプローチは、II型酵素SapIを利用して異なるフラグメントのシームレス連結を可能にし、さらに他のベクターに容易に応用され高収量ワークフローへスケールアップすることができよう。マルチフラグメントインヒュージョン(商標)クローニング(Multi-fragment In-Fusion(商標) cloning(Clontech Laboratories, Mountain View, CA))もまた試され、首尾はよかったが、極めて強力とまでは言えず(データは示されていない)、おそらく発現ベクターの特異的配列のためであろう。
60の単一クローンの配列分析から、7つのクローン(図5(A))をSPRおよびTDCCアッセイによる更なる特徴付けのために選択した。7つのクローン全てが、親抗体と比較して、4.3から51倍の範囲で増加した結合親和性を示した(図5(B))。当該7つの親和性成熟クローンの重鎖および軽鎖のアミノ酸配列は図30-36に示される。改善の大半は、より遅いoff速度が原因であった。全てのクローンが、TDCCアッセイの最大殺滅でわずかな改善を示した(図5(C))。
これらの結果は、本技術の抗体またはその抗原結合フラグメントは高い結合親和性でA33抗原と特異的に結合することを示す。したがって、本明細書に開示する免疫グロブリン関連構成物は、サンプル中のA33タンパク質の検出に有用である。
【実施例6】
【0129】
huA33-BsAbを用いるin vivo治療試験
以下の異種移植で、2つの異なる腫瘍モデル、(1)皮下腫瘍+皮下エフェクターおよび(2)腹腔内腫瘍+静脈内エフェクターを用い、ヒト化DKOマウスでhuA33-BsAbの有効性をin vivoで試験した。
huA33-BsAbは、MSI腫瘍LS174Tを皮下異種移植モデルで治癒し、腹腔モデルで腫瘍増殖を抑制した:LS174T細胞をPBMCと1:1比で混合し、DKOマウスの皮下に移植した。図6(A)に示すように、抗体処置がないとき、腫瘍単独グループおよび腫瘍+PBMCグループは迅速な腫瘍増殖を示した。腫瘍+PBMCグループのマウスは腫瘍の潰瘍化を示し、安楽死させねばならなかった。対照的に、3週間で6用量のhuA33-BsAbは効果的にマウスを治癒し、前記マウスは無腫瘍を少なくとも120日間維持した。
悪性腹水(結腸癌で一般的に出現する)を模倣するために、ルシフェラーゼ発現LS174T細胞をDKOマウスの腹腔に植え付けた。発光によって腫瘍増殖を確認したときに、マウスを以下のように処置し種々の処置グループに任意抽出した:無抗体グループ(腫瘍単独)、腫瘍+T細胞単独グループ(腫瘍+ATC)、またはhuA33-BsAbの静注(3週間で7用量)、プラス3週間の間に毎週T細胞の注射。処置は、腫瘍移植後5日目に開始した。全てのT細胞を後眼窩ルートで注射した。
図6(B)および図6(C)に示すように、全てのコントロールグループ(無抗体グループまたは腫瘍+T細胞単独グループ)が、腹部で腫瘍の指数関数的増殖を示した。28日目までに、無抗体グループの4匹のマウスのち3匹および腫瘍+T細胞グループの5匹のマウスのうち3匹がそれぞれ腫瘍に屈した。対照的に、huA33-BsAbは、処置マウスの腹部領域でLS174T腫瘍細胞の転移増殖を有意に抑制した。全てのマウスが、更なる処置無しに少なくとも60日間生存を維持した。これらの結果は、huA33-BsAbはMSI遺伝型を有するCRC腫瘍に対して有効であることを示した。しかしながら、以前に記載したように、MSI腫瘍はCRC癌患者の少数を占めるだけである。大半のCRC患者はMSSである。したがって、huA33-BsAbの有効性をMSS腫瘍を用いて更に試験した。
【0130】
huA33-BsAbは、MSS腫瘍COLO205を皮下異種移植モデルで治癒し、転移MSS腫瘍SW1222の腫瘍増殖を抑制した:2つのMSS結腸癌細胞株Colo205およびSW1222を試験した。Colo205細胞については、エフェクター細胞としてPBMCとともに腫瘍を皮下に移植した。このモデルでは、Colo205腫瘍の完全な根絶のために4用量のhuA33-BsAbが十分であり、マウスは、合計6用量の抗体処置後に少なくとも4ヶ月間無腫瘍を維持した(図7(A)および図7(B))。
SW1222細胞株については、腫瘍を腹腔内に植え付け、3週間で6用量の静脈内抗体および2週間の間に毎週T細胞の静注により処置した。図7(C)および図7(D)に示すように、2つのコントロールグループは全腹腔領域中に腫瘍を広げ、一方、huA33-BsAbは腫瘍増殖を抑制し、マウスの生存を有意に延長した(p=0.0125)。これらの結果は、MSS腫瘍の治療におけるhuA33-BsAbの有効性は、MSI腫瘍治療時に観察された有効性に匹敵し得ることを示す。追加の処置サイクルは、皮下モデルの場合のように腫瘍増殖を完全に根絶するであろうと予想される。
huA33-BsAbは皮下異種移植モデルで胃癌の増殖を阻害した:GPA33は胃癌細胞サブセットで発現される。FACS分析およびTDCCアッセイは、SNU16はGPA33を発現することおよびhuA33-BsAb再指令T細胞殺滅に感受性であることを示した。SNU16細胞をヒトPBMCと混合した後で皮下に異種移植した。huA33-BsAbは、皮下腫瘍を保持するマウスを効果的に治癒し(図8(A))、生存を有意に延長した。NSGマウスとは異なり、DKOマウスはヒトPBMCの生着に対しより抵抗性であった。58日目の皮下SNU16モデルでは(図8(B))、大半のマウスがバラツキは大きいが低レベルのキメラ現象を示した。
上記に示すように、huA33-BsAbの有効性は、CRC腫瘍の遺伝的バックグラウンドまたは変異状況に左右されず、そのことは、CRCの大半に応用が所望される場合には重要な生物学的特性である。CAR改変T細胞とは異なり、huA33-BsAb再指令T細胞は、細胞消耗を示さず、継続的で定量的な腫瘍帰巣特性を3週間を超えて示した。PD1およびPD-L1の存在にもかかわらず腫瘍は治癒し、huA33-BsAbの治療用量未満でのチェックポイント遮断添加は、これらの抗腫瘍特性を更に強化した。本明細書に開示するA33免疫グロブリン関連構成物は、A33関連癌の診断および治療に対し、FcR依存およびT細胞依存免疫療法手段の両方を提供する。
総合すれば、これらの結果は、本技術の抗体またはその抗原結合フラグメントは腫瘍を検出し、さらに腫瘍増殖の進行および/または転移を阻害できることを示す。したがって、本明細書に開示する免疫グロブリン関連構成物は、A33陽性癌をその必要がある対象動物で検出および治療するために有用である。
【実施例7】
【0131】
プレターゲッティング放射性免疫療法における本技術のhuA33-C825抗体の使用
プレターゲッティング放射性免疫療法(PRIT)のための抗体薬剤の開発の主要な欠点は、正常組織における放射線過剰暴露、免疫原性、最適に達しない腫瘍線量および低い治療インデックスである。本実施例は、本技術のhuA33-DOTA二重特異性抗体がヒトA33抗原を発現する癌(例えば結腸直腸癌)を治療するPRITで有用であることを示す。
本技術のA33-DOTA二重特異性抗体は、本明細書に記載するヒト化A33抗体に基づく第一の抗原結合部位および小分子ハプテン(例えば、ベンジル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸[DOTA-Bn])と結合する第二の抗原結合部位を含む。親和性成熟2D 12.5抗体に基づく抗DOTA-Bn単鎖Fvフラグメント(scFv)が、ヒト化A33軽鎖のカルボキシル末端に連結されるであろう。図37は、二重特異性抗体huA33-huC825(H2L2)の重鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示し、それぞれ配列番号:58および配列番号:59に対応する。図38は、二重特異性抗体huA33-huC825(H2L2)の軽鎖のアミノ酸およびcDNA配列を示し、前記はそれぞれ配列番号:60および配列番号:61に対応する。図39は、二重特異性抗体huA33-mC825(H2L2)の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示し、前記はそれぞれ配列番号:62および配列番号:63に対応する。
腫瘍細胞株および細胞培養試薬:ヒト結腸直腸癌細胞株SW1222は連続継代によって維持されるであろう。細胞は、以下を補充した最少必須培養液で5%CO2を含む37°C環境で培養される(熱不活化10%ウシ胎児血清、2.0mMグルタミン、100ユニット/mLペニシリンおよび100ユニット/mLストレプトマイシン)。培養物を樹立し、継代を3か月未満に制限するために小アリコットで凍結保存し、マイコプラズマについて市場のキット(Lonza, Portsmouth, NH)を製造業者の指示にしたがって用いて定期的に試験する。継代および細胞採集時のトリプシン処理のために、ハンクス緩衝塩溶液(カルシウムおよびマグネシウムを含まない)中の0.25%トリプシン/0.53mM EDTA溶液を用いる。huA33-huC825およびhuA33-mC825はCHO細胞で哺乳動物発現ベクターで生成し、タンパク質Aアフィニティークロマトグラフィーによって精製する。
表面プラズモン共鳴試験:Biacore T100バイオセンサー、CM5センサーチップ、および関連試薬は業者(GE Healthcare, Chicago, IL)から購入する。組換えヒトA33タンパク質は業者(Novoprotein Scientific, Inc., Summit, NJ)から購入されるであろう。BSA- (Y)-DOTA-Bn複合体は、文献(Cheal et al, Mol. Cancer Ther. 13(7), 2014)の記載にしたがって調製されるであろう。A33およびDOTA抗原はアミノカップリングキット(Amino Coupling kit(GE Healthcare, Chicago, IL))を用いて固定する。精製二重特異性抗体およびコントロール抗体を分析し、Chealらの記載(Cheal et al, 2014)のようにBiacore T100評価ソフトウェアを用いてデータを二価分析物モデルに適合させる。
【0132】
PRIT試薬、プロトコルおよび異種移植試験:全ての動物実験は、当癌センターの動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee of Memorial Sloan Kettering Cancer Center)の承認を受け、研究時の適切な人道的動物使用のための当癌センターのガイドラインに沿うであろう。無胸腺nu/nu雌マウス(6-8週齢;Harlan Sprague Dawley)を少なくとも1週間飼育施設で環境に慣れさせる。1:1比のマトリゲル(BD Biosciences, San Jose, CA)で処方したA33陽性SW1222の5x106腫瘍細胞を、動物グループの左わき腹に皮下注射し、楕円形体積のための公式(V=4/3π(長さ/2x幅/2x高さ/2)を用いて樹立腫瘍(100-900mm2)を7-10日間観察する。全ての試薬は、外側尾静脈を介して静脈内(i.v.)に投与されるであろう。PRITプロトコルは、huA33-huC825またはhuA33-mC825の注射[t=-28h]、続いて除去剤[t=-4h]および4時間後[t=0h]の177Lu-DOTA-Bnの注射を含む。除去剤は500kDaデキストラン-(Y)-DOTA-Bn複合体であり、文献(Orcutt et al., Nucl. Med. Biol. 38:223-233, 2011)にしたがって調製され、24時間後の注射のために食塩水中で処方される。デキストランのモル数に対する(Y)-DOTA-Bnのモル数の置換比は61(Y)-DOTA-Bn/デキストランである。177Lu-DOTA-Bnは、以前に記載されたように、Macrocyclicsのアミノベンジル-DOTA(p-NH2-Bn-DOTA)および177LuCl3(比活性-30Ci/mg(Perkin Elmer))をインキュベートすることによって調製され、注射のために生理食塩水中で処方される。加えて、huA33-C825が、PRIT中の腫瘍取込みを概算するためにI131で放射性トレース標識される。
IODOGEN法(Cheal, S. et al., Mol. Cancer Ther. 13(7): 1-10, 2014)を用いて、131I-huA33-mC825または131I-huA33-huC825を調製し、さらにin vitro細胞結合免疫反応性は、文献(Lindmo, T. et al., J. Immunol. Meth. 126(2): 183-189, 1990)の記載に本質的にしたがいSW1222細胞を用いて評価されるであろう。131I-huA33-mC825または131I-huA33-huC825の最終比活性は95.5 MBq/mgであり(コールドのhuA33-huC825またはhuA33-mC825を添加して所望のmg線量を達成する)、放射性化学物質純度は、サイズ排除高圧液体クロマトグラフィーを用いたとき>98%である。非特異的IgG-C825を用いるPRITの場合、同等なmg線量のGD2標的二重特異性抗体(hu3F8-C825)がhuA33-mC825またはhuA33-huC825の代わりに用いられる。
ex vivo生体分布分析のために、マウスをCO2(g)窒息によって安楽死させ、腫瘍および選択器官を採集し水洗し風乾して重量を測定し、ガンマシンチレーション計測(Perkin Elmer Wallac Wizard 3", PerkinElmer Inc., Waltham, MA)によって放射線アッセイを実施する。カウント率は、バックグラウンドおよび崩壊修正し、系のキャリブレーション係数を用いて活性に変換し、投与活性に対して正規化して、1グラム当たりのパーセント注射線量(%ID/g)として表す。腫瘍および多様な組織における177Lu-活性濃度の相違は、適切な場合にはスチューデント独立t検定によって分析されるであろう。
【0133】
吸収線量の概算:A33陽性SW1222腫瘍保持マウスのグループ(n=4-5)に、0.25mgのhuA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825のどちらか)、除去剤(62.5μg;25%(w/w))および1.85-2.0MBq (-10pmol)の177Lu-DOTA-Bを投与し、注射後2、24および120時間で犠牲にする。各組織について、エクセルを用い非崩壊修正時間活性濃度データを必要に応じて1成分、2成分またはさらに複雑な指数関数に適合させ、さらに解析積分を実施して投与活性ユニット当たりの累積活性濃度が得られるであろう(MBq-h/g per MBq)。非透過性放射線の177Lu平衡線量定数(8.49 g-cGy/MBq-h)を用いて、腫瘍対腫瘍および選択器官対器官自己吸収線量が概算されるであろう(ただし、177Luベータ線の完全な局所吸収のみを想定し、ガンマ線および非自己線量の寄与は無視する)。腫瘍および最高の吸収線量を有する選択組織(例えば血液、肝臓、脾臓および腎臓)の177Lu-DOTA-Bnの相対的取込みにおける177Lu-DOTA-Bn線量の影響を決定するために、SW1222腫瘍保持雌無胸腺ヌードマウスのグループ(n=5/グループ)に以下を投与する:t=-28hで0.25mg(1.19 nmol)のhuA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825のどちらか)およびt=-4hで62.5μgの除去剤、続いて以下のいずれか:11.1MBq(11.14-11.40MBq)、55.5MBq(54.61-55.06MBq)、または111MBq(109.52-112.5MBq)。177Lu活性の生体分布分析のために、全てのグループを177Lu-DOTA-Bn注射後24時間(すなわち最大腫瘍取込み時間)で犠牲にする。
【0134】
PRIT+ 86 Y-DOTA-BnのPET画像化:肩にA33陽性SW1222腫瘍を保持するマウスの一グループ(n=5)に、0.25mgのhuA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)、除去剤(62.5μ 25%(w/w))および8.6-8.8MBq(-50pmol)の86Y-DOTA-Bnを投与し、投与からおよそ2および20時間後に、マイクロPETフォーカス120(microPET Focus 120(CTI Molecular Imaging, Inc. Knoxville, TN))を用いて非侵襲的に画像化する。以下の画像取得パラメータを用いる:エネルギー幅350-750keV、同時計測時間幅6nsec、および取得時間20分。得られたリストモードデータを、フーリエリビニングにより2Dヒストグラムにソーティングし、フィルター逆投影によって横断画像を128x128x95マトリックスに再構築する(再構築される空間的解像は2.6mm半値全幅(FWHM)である)。スキャナーの応答の非均質性、デッドタイムカウントロス、物理的崩壊(注射時間に対して)、および86Y陽電子崩壊分岐比について画像データを修正する。無減弱、散乱、または部分体積平均化修正が適用されるであろう。マウスについて経験的に決定される系のキャリブレーション係数(すなわちμCi/mL/cps/voxel)を用いて、ボクセル計数率を活性濃度に変換する。続いて、得られた画像データを投与活性について正規化し、注射時間に対し放射性崩壊について修正した組織1グラム当たりの注射線量のパーセント(%ID/g)を対象領域分析によって決定する。AsiPRO VM 5.0ソフトウェア(Concorde Microsystems, Knoxville, TN)を用いて、画像化および対象領域(ROI)分析を実施する(ROI最大時%ID/g)。動物は、ex vivo生体分布分析のために投与24時間後に犠牲にする。
【0135】
オートラジオグラフィーおよび免疫組織化学:huA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)PRITを施し、その後11.1(11.14-11.40 MBq)、55.5(54.61-55.06 MBq)、または111 MBq(109.52-112.5 MBq)の177Lu-DOTA-Bnを投与した選別マウス(注射後24時間で犠牲にする)の凍結およびOCT包埋腫瘍並びに腎臓を、クリオスタット(Avantik, Springfield, NJ)を用いて10μm切片にし、直ちに画像化プレート(Fuji Photo Film, Kanagawa, Japan)に72時間暴露し、続いてタイフーンFLA7000スキャナー(Typhoon FLA 7000 scanner(GE, Pittsburg, PA))を用いてスキャンする。同じ切片をヘマトキシリンエオシン染色に付し、移動制御ステージ搭載オリンパスBX60顕微鏡(Olympus, Central Valley, PA)下でスキャンする。オートラジオグラムおよび顕微鏡画像の両方を処理し、ImageJ(NIH, Bethesda, MD)を用いて分析する。
【0136】
治療方法およびシンチグラフィー試験:樹立皮下A33陽性SW1222異種移植片を保持するマウスのグループに、huA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)、または非特異的(n.s.)IgG-C825 PRIT(すなわち1回処置、腫瘍接種後7日目に177Lu-DOTA-Bn注射)、または2回PRIT(すなわち2回処置、腫瘍接種後10日目および17日目に177Lu-DOTA-Bn注射)を注射する。2回処置試験については、腫瘍接種後10日目の腫瘍体積(TV10)を記載し、適切な時には平均±SDとして表す。以下の定義を用いて処置に対する応答を記載する:完全応答(CR)は<100mm3への腫瘍退縮が定義される。長期性応答(DR)は処置から140日後の生存と定義される。過剰腫瘍負荷は>2000mm3と定義される。シンチグラフィー試験のためには、処置を受けたA33陽性SW1222腫瘍保持マウスの精選グループをガス吸入で麻酔してから、注射から20時間後にナノSPECT(Bioscan, Washington D.C.)で30分間(画像当たり約105カウント)、低エネルギー高解像コリメーターおよび208keVのウィンドウ設定を用いてスキャンする。Bioscan HiSPECTソフトウェアを用いて画像を256x256マトリックスに再構築し、分析のためにASIPro VMにアップロードする。
結果:huA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)の1用量が、177Lu-DOTA-Bnの注射24時間後のSW1222腫瘍保持マウスにおける生体分布パイロット試験(0.1-0.6 mgのhuA33-C825(0.48-2.86nmol)および固定比の除去剤および177Lu-DOTA-Bn(5.6MBq)を用いる)に基づいて選択される。次に追加の生体分布実験を実施して、PRIT時の除去剤の用量を最適化する。腫瘍保持マウスのグループ(n=3-4/グループ)に、huA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)、続いて24時間後に以下のいずれかを注射する:生理食塩水(すなわちビヒクル)、(予め選択したhuA33-C825用量に対して)2.4%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、または25%(w/w)の除去剤(0-62.5μg/マウス)。さらに4時間経過後に、マウスに177Lu-DOTA-Bnの5.6MBqを注射し、24時間後に生体分布分析のために犠牲にする。除去剤用量は、顕著な影響を循環(すなわち血液)177Lu活性に与えること、およびその後の腫瘍の177Lu-DOTA-Bn取り込みの能力を低下させ得ることが予想される。
次に、huA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)および除去剤について最適化した用量を用いて、177Lu-DOTA-Bn線量滴定試験を実施する。Lu-DOTA-Bn線量滴定試験のために、腫瘍および重要な精選組織(血液、肝臓、脾臓および腎臓)についての177Lu活性生体分布データを、%ID/gおよび絶対取込み(kBq/g)の両方に関して177Lu-DOTA-Bn線量グループ間で比較する。最後に、131I-トレース標識huA33-C825(1.19 nmolの添加コールドhuA33-C825と併せて0.39-0.40 MBq)の注射24時間後における単一時点生体分布実験をSW1222腫瘍保持マウスで実施し、PRIT中の腫瘍におけるhuA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)の絶対的抗体取り込み(pmol/gとして)を概算する。
【0137】
SW1222腫瘍細胞移植マウスの放射性標識DOTA-Bnの生体分布および吸収線量の概算を決定する。最適用量のhuA33-C825および除去剤、続いて2.0MBq(-10pmol)の177Lu-DOTA-Bnを用いてA33陽性SW1222腫瘍保持マウスグループでPRITを実施し、177Lu-DOTA-Bnの注射後2から120時間後の生体分布試験を実施して、腫瘍および多様な正常組織における177Lu活性滞留時間を決定する。簡単に記せば、腫瘍および多様な正常組織の177Lu活性は、PRIT(A33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)およびデキストラン-除去剤の最適用量並びに177Lu-DOTA-Bnの2.0MBq(-10pmol)を用いる)に続く生体分布アッセイを用いて決定される。SW1222腫瘍保持マウスのグループ(n=4から5)にhuA33-C825を投与し、続いて24時間後にデキストラン-除去剤、さらに4時間後に177Lu-DOTA-Bnの2.0MBq(-10pmol)を投与する。一グループの動物を177Lu-DOTA-Bnの注射後2、24および120時間に犠牲にする。これらのデータを本明細書に記載するように用いて、177Lu-DOTA-Bnによる放射線免疫療法のための吸収線量を概算する。177Luの腫瘍取込みは投与後非常に迅速に生じ、続く注射後120時間までの96時間の間に減少することが予想される。各標的領域について、吸収線量は、非透過性放射線(すなわちベータ線)の177Lu平衡線量定数および標的領域177Lu累積活性の所産として概算される(ただし、177Luベータ線の完全な局所吸収を想定し、ガンマ線および非自己線量の寄与は無視する)。血液に対する腫瘍の高い治療インデックスが1サイクル処置時に観察されるであろうということ、および長期性応答を示す対象動物で長期間にわたって毒性はほとんどまたは全く観察されないであろうということが予想される。PET画像化を用いて評価するときも、PRIT後の腫瘍での取り込みには同様な結果が予想される。
本実施例は、本技術のA33-DOTA二重特異性抗体を用いるPRITのA33陽性腫瘍に対する有効性を示す。治療インデックスの漸進的増加および絶対的腫瘍取込みの減少が用量の増加にしたがって観察されるであろうということが予想される。したがって、本技術のhuA33-DOTA二重特異性抗体は、ヒトA33抗原を発現する癌(例えば結腸直腸癌)の治療で有用である。
【実施例8】
【0138】
本技術のhuA33-C825抗体のin vivo治療効果
本実施例は、A33陽性癌細胞保持マウスにおいて腫瘍負荷の減少を媒介する、PRITにおけるhuA33-C825二重特異性抗体のin vivo有効性を示す。特に本実施例は、SW1222腫瘍保持マウスの腫瘍負荷における1サイクルおよび2サイクル療法の効果を述べる。
1サイクル療法試験時に、5グループの腫瘍保持マウス(n=6-8/グループ)は以下のいずれかで処置される:ビヒクル(すなわち無処置、n=8、TV7:76±15mm3)、33.3MBq 177Lu-DOTA-Bnのみ(二重特異性抗体および除去剤注射時に投与されるビヒクル、n=6、TV7:116±23 mm3)、1サイクルIgG-C825 PRIT+33.3MBq 177Lu-DOTA-Bn(huA33-C825の代わりに投与されるn.s. IgG-C825、n=8、TV7:100±10mm3)、または1サイクルhuA33-C825(huA33-huC825またはhuA33-mC825)PRIT+11.1MBqもしくは33.3MBqどちらかの177Lu-DOTA-Bn(両方ともn=8、それぞれTV7:103±17mm3およびTV7:93±15mm3)。処置時に177Lu-DOTA-Bn量が増加するにしたがって、相対的腫瘍取込みは低下することが予想される。無処置または以下のどちらかから成る処置(33.3MBq 177Lu-DOTA-Bnのみまたは1サイクルIgG-C825 PRIT+33.3MBq 177Lu-DOTA-Bn)を受ける腫瘍保持マウスのグループは、腫瘍応答を示さないであろうということが予想される。177Lu-DOTA-Bnを投与される後者2つのグループのシンチグラフィーは、腫瘍領域で最小限の活性を示すことが予想される。対照的に、1サイクルhuA33-C825 PRIT(huA33-huC825またはhuA33-mC825)+11.1MBqもしくは33.3MBq 177Lu-DOTA-Bnで処置されるグループは、処置後に腫瘍増殖の遅延を示すことが予想される。
第二の治療試験では、2サイクルhuA33-C825 PRIT(huA33-huC825またはhuA33-mC825)処置が精査される。マウスにどちらかの無処置を施すとき(n=5、TV10:314±77mm3)、全てのマウスが、過剰な腫瘍負荷のために30日以内に犠牲にされるであろう。2サイクルのPRIT+11.1MBq 177Lu-DOTA-Bn(合計177Lu-DOTA-Bn線量22.2MBq)(n=5、TV10:462±179mm3)は、処置対象動物で完全な腫瘍応答および/または腫瘍増殖遅延をもたらすであろう。
【0139】
毒性試験:簡単に記せば、2サイクルのPRIT+11.1MBqの177Lu-DOTA-Bn(n=3)または2サイクルのPRIT+1.5mCiの177Lu-DOTA-Bn(n=3)のどちらかで処置した合計6匹のマウスを、処置後9週間まで腎臓、骨髄、肝臓および脾臓の病理解剖に付す。腎臓、骨髄、肝臓および脾臓は処置動物で正常であり、さらにPRIT処置は放射線誘発毒性を伴わないであろうということが予想される。
治癒用セラノスティックPRIT:樹立SW1222皮下異種移植片を保持するヌードマウス(n=20;腫瘍体積=102±40mm3(平均±標準偏差(SD))を以下のいずれかの処置に付す(n=5-10/グループ):無処置(n=5)、177Lu-DOTA-Bnのみ(n=5)、または3サイクルPRITレジメン(huA33-C825 PRIT(huA33-huC825またはhuA33-mC825)+55MBqの177Lu-DOTA-Bnから成る)(n=10、合計165 MBq)。連続ナノSPECT/CT画像化を、5匹の任意選別マウスで実施する(前記マウスは177Lu-DOTA-Bnの最初のサイクルの注射後160時間まで線量測定計算のためにDPRITを受ける)。DPRITは、全ての処置マウスで完全な腫瘍応答を誘発し、腎臓、肝臓、脾臓および骨髄で明白な毒性を誘発しないであろうということが予想される。3サイクルPRITレジメン処置動物のルテチウム-177ナノSPECT/CT画像化は、腫瘍における目に見える取込みと最小限の組織バックグラウンドの高コントラストを示すことが予想される。これらの結果は、本技術のhuA33-DOTA二重特異性抗体は、in vivoでの腫瘍負荷の減少で有用であること、およびPRIT系セラノスティックは治癒をもたらす効果を有し得ること、および/または対象動物での腫瘍検出に有用であることを示す。
セラノスティックの“リアルタイム”同時治療および画像ガイド線量測定:“リアルタイム”線量測定のために177Lu-DPRIT処置を受けているマウスの高解像定量的画像化のためにナノSPECT/CTを利用する。SW1222腫瘍保持ヌードマウス(体積:ノギス測定で100mm3)をhuA33-C825 PRIT(huA33-huC825またはhuA33-mC825)+55MBq 177Lu-DOTA-Bnの1サイクルで処置し、177Lu-DOTA-Bnの注射に続いて3回、注射から1、24、および160時間後にナノSPECT/CTによって画像化する。画像を注射時に対して崩壊修正し、さらに既知の活性標準物を用いてキャリブレーションする。キャリブレーション済み画像の対象領域分析を用いて、腫瘍における活性濃度を決定する。
したがって、本技術のhuA33-DOTA二重特異性抗体は、A33陽性癌の治療で有用であり、対象動物での腫瘍の検出で有用である。
【実施例9】
【0140】
本技術のhuA33-DOTA二重特異性抗体によるex vivo生体分布試験
GPA33(+)ヒト結腸直腸癌細胞株SW1222は、ルートヴィッヒ癌免疫療法研究所(Ludwig Institute for Cancer Immunotherapy(New York, NY))から入手した。SW1222細胞は以下を補充した最少必須培養液で培養した:10%熱不活化ウシ胎児血清、2.0mMグルタミン、100ユニット/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシン。全ての細胞を5%CO2(g)を含む37°C環境で維持した。細胞株の受け取り時に培養を樹立し、小アリコットで凍結保存して3か月未満に継代を限定し、さらにマイコプラズマ陰性について市場のキット(Lonza, Portsmouth, NH)を用いて定期的に試験した。細胞の継代および採集時のトリプシン処理のために、ハンクス緩衝塩溶液(カルシウムおよびマグネシウムを含まない)中の0.25%トリプシン/0.53mM EDTA溶液を用いた。SW1222腫瘍樹立のために、マウスのグループに200μL細胞懸濁物中の5x106細胞を下部脇腹に皮下(s.c.)注射により接種し(前記細胞懸濁物は、再構成基底膜(BD Matrigel, Collaborative Biomedical Products Inc., Bedford, MA)を有する培地の1:1混合物である)、樹立腫瘍(100-300mm3)は7-10日以内に観察された。
全ての静脈内注射について、ヒートランプでマウスを穏やかに加温してマウスを拘束器に置いた。マウスの尾をアルコール綿で消毒し、外側尾静脈に注射した。
放射性トレーサーの投与に続く生体分布分析のために、マウスをCO2(g)窒息によって安楽死させ、腫瘍および選択器官を採集し水洗し風乾して重量を測定し、ガンマシンチレーション計測(Wallac Wizard 3", PerkinElmer Inc., Waltham, MA)によって放射線をアッセイした。カウント率は、バックグラウンドおよび崩壊について修正し、放射性同位体に特異的な系キャリブレーション係数を用いて活性に変換し、投与活性に対して正規化して、特段の記載がなければ平均±SD%ID/gとして表した。
huA33-DOTA BsAbの生体分布を決定するために、SW1222腫瘍保持マウス(グループサイズ:所与の除去剤(CA)工程ついてはn=2、生理食塩水コントロールについてはn=1;ex vivo腫瘍質量は生体分布時に225-571mgの範囲)は、以下の3つの別々の試薬を外側尾静脈により静脈内投与された: 0.25 mg(1.19nmol)のhuA33-C825(BC155-3クローン2G7)をt=-28hに、続いて500kDデキストラン-DOTA(Y)除去剤をt=-4hに、さらに[177Lu]Lu-DOTA-ビオチン(50μCi)をt=0hに。生体分布試験は、[177Lu]Lu-DOTA-ビオチントレーサーの注射後24時間で実施した。500kDデキストラン-DOTA(Y)除去剤および[177Lu]Lu-DOTA-ビオチンは、文献(Orcutt, K. D. et al., Mol Cancer Ther 11:1365-1372, 2012)に記載された方法を用いて調製され、[177Lu]Lu-DOTA-ベンゼンのために記載された同一の放射線化学プロトコルが[177Lu]Lu-DOTA-ビオチンのために用いられた。%ID/gm=組織1グラム当たりのパーセント注射線量。
図40に示されるように、本技術のhuA33-DOTA二重特異性抗体を用いるPRITを受けた動物は、除去剤の投与工程があってもなくても高度の腫瘍貫入を示し(約20-25%ID/gがGPA33(+)腫瘍に局在する)、したがってhuA33-DOTA二重特異性抗体は、in vivoで効果的に腫瘍を標的とできることを示している。
したがって、本技術のhuA33-DOTA二重特異性抗体は、A33陽性癌の治療で有用であり、対象動物の腫瘍の検出で有用である。
【0141】
等価物
本技術は、本出願に記載した特定の実施態様に限定されるべきではなく、それら実施態様は、本技術の個々の特徴のただ1つの例示として意図される。当業者には明白であろうが、本技術の多くの改変および変型はその趣旨および範囲を外れることなく実施され得る。本明細書に列挙したものの他に、本技術の範囲内の機能的に等価な方法および装置は前述の記載から当業者には明白であろう。そのような改変および変型は本技術の範囲内に含まれることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的な系に制限されず、それらは当然変動し得ることは理解されるべきである。本明細書で用いられる用語は特定の実施態様を説明することを目的とし、制限を意図しないこともまた理解されるべきである。
加えて、本開示の特色または特徴がマルクーシュグループに関して記載されている場合、当該開示はまた、それによってマルクーシュグループのメンバーの個々のメンバーまたはサブグループに関して記載されていることは当業者には理解されよう。
当業者には理解されるように、任意の目的および全ての目的のために、特に書面による説明を提供する場合には、本明細書に開示される全ての範囲はまた、任意のおよび全ての可能な部分範囲およびその部分範囲の組合せを包含する。列挙されたいずれの範囲も、十分に記載され、同じ範囲を少なくとも同じ半分、1/3、1/4、1/5、1/10などに分解することが可能であることは容易に理解されよう。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下方の3/1、真ん中の1/3、上方の1/3などに容易に分解することができる。当業者にはまた理解されるように、例えば、“まで”、“少なくとも”、“を超える”、“未満”などの言葉はいずれも列挙された数を含み、さらに上記で考察したように続いて部分範囲に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は個々のメンバーの各々を含む。したがって、例えば1-3の細胞を含むグループは、1、2または3つの細胞を含むグループを指す。同様に、1-5の細胞を含むグループは、1、2、3、4または5つの細胞を含むグループを指し、以下同様である。
本明細書で参照または引用した全ての特許、特許出願、仮特許出願、および公開物は、参照によってその全体(全ての図および表を含む)が本明細書に、本出願の明快な教示と矛盾しない範囲で含まれる。
図1A-B】
図1C-D】
図2A-B】
図2C
図2D-E】
図3
図4A-B】
図5A-B】
図5C
図6A-B】
図6C
図7A-B】
図7C-D】
図8A-B】
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12A-B】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
図23
図24
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図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
【配列表】
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