(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】溶融金属の化学組成を決定する浸漬型センサー
(51)【国際特許分類】
G01N 27/411 20060101AFI20230628BHJP
G01N 33/205 20190101ALI20230628BHJP
【FI】
G01N27/411
G01N33/205
(21)【出願番号】P 2020519981
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(86)【国際出願番号】 US2018054625
(87)【国際公開番号】W WO2019071137
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520117927
【氏名又は名称】ベスビウス レフラタリオス リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】ピーターニー サッソ
(72)【発明者】
【氏名】エセキアス ジョゼ デ ソウザ
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-273055(JP,A)
【文献】米国特許第05577841(US,A)
【文献】実開昭52-065589(JP,U)
【文献】特開昭63-286760(JP,A)
【文献】特開2002-318225(JP,A)
【文献】特開2013-088436(JP,A)
【文献】実開昭48-044389(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/411
G01N 33/205
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属中の化学元素の含有量を決定するための浸漬型センサーであって、
センサーヘッドと、
耐熱性材料の中に形成された内部体積を有するサンプリングチャンバーと、
前記サンプリングチャンバーの前記内部体積と前記浸漬型センサーに対して外部の体積との間に延びる入口チャネルと、
前記サンプリングチャンバーの内面から前記内部体積の中に延びる補助電気化学セルと、を備え、
前記外部体積から前記入口チャネルを通じて前記サンプリングチャンバーの前記内部体積の中に流れ、かつ前記補助電気化学セルと接触する溶融金属の流れに対して構成され、
前記センサーヘッドが、製造用の耐熱性材料を含み、かつ前記サンプリングチャンバーが、前記センサーヘッドの中に一体に形成されて、前記センサーヘッドの遠位端の近位に位置
し、
前記補助電気化学セルが、前記補助電気化学セルの外面の少なくとも一部分上に金属被膜を備える、浸漬型センサー。
【請求項2】
前記補助電気化学セルが、前記補助電気化学セルの外面の少なくとも一部分上に補助電極被膜を備える、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項3】
前記補助電極被膜が、化学元素に対応する金属または金属酸化物化合物を含み、前記浸漬型センサーが、前記サンプリングチャンバーの前記内部体積における溶融金属中の前記化学元素の含有量を決定するように構成される、請求項2に記載の浸漬型センサー。
【請求項4】
前記金属被膜が、前記補助電気化学セルの外面の少なくとも一部分上の下にある補助電極被膜の少なくとも一部分を覆う、請求項
1に記載の浸漬型センサー。
【請求項5】
前記サンプリングチャンバーが、成型された鋳物/鋳造用の砂を含む耐熱性材料の中に形成される、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項6】
前記サンプリングチャンバーが、金属材料、セラミック材料、およびサーメット材料、およびそれらいずれかの組み合わせから成る群から選択される製造用材料を含む、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項7】
前記サンプリングチャンバーが、前記サンプリングチャンバーの内面の少なくとも一部分上に内部のセラミック被膜を備える、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項8】
前記サンプリングチャンバーが、前記サンプリングチャンバーの内面の少なくとも一部分上に内部の金属被膜を備える、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項9】
前記サンプリングチャンバーの前記内部体積が5cm
3~50cm
3の範囲である、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項10】
前記サンプリングチャンバーが、脱酸用材料を含む、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項11】
前記脱酸用材料が、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ジルコニウム、およびジルコニウム合金、ならびにそれらのいずれかの組み合わせから成る群から選択される、請求項
10に記載の浸漬型センサー。
【請求項12】
前記入口チャネルの中に位置する一時的な障壁構造体をさらに備える、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項13】
前記一時的な障壁構造体が、紙、厚紙、プラスチック、および金属、ならびにそれらのいずれかの組み合わせから成る群から選択される材料を含む、請求項
12に記載の浸漬型センサー。
【請求項14】
前記サンプリングチャンバーが、前記サンプリングチャンバーの内面の少なくとも一部分上に内部の金属被膜を備え、前記内部の金属被膜が前記補助電気化学セルに電気的に接続されて、前記補助電気化学セルの動作のための正接点として機能する、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項15】
前記サンプリングチャンバーの内面から前記内部体積の中に延びる金属電極をさらに備える浸漬型センサーであって、前記金属電極が前記補助電気化学セルに電気的に接続されて、前記補助電気化学セルの動作のための正接点として機能する、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項16】
熱分析チャンバーをさらに備える、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項17】
前記熱分析チャンバーおよび前記サンプリングチャンバーが、同一の耐熱性材料の中に一体に形成された、請求項
16に記載の浸漬型センサー。
【請求項18】
前記熱分析チャンバーおよび前記サンプリングチャンバーが、前記センサーヘッドの中に一体に形成された、請求項
17に記載の浸漬型センサー。
【請求項19】
前記補助電気化学セルが、前記サンプリングチャンバーの内側遠位面から前記内部体積の中に延びる、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項20】
前記補助電気化学セルが、前記サンプリングチャンバーの内側近位面から前記内部体積の中に延びる、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【請求項21】
前記補助電気化学セルが、前記サンプリングチャンバーの内側横方向面から前記内部体積の中に延びる、請求項1に記載の浸漬型センサー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液体状態で溶融金属および合金を溶融し精製する場合、様々な化学元素の含有量を速やかに決定して、精錬工、製鋼業者、またはその他の冶金技術者が、組成上の適切な補正を可能な限り速やかに進められるようにし、それにより、製造中に指定の組成品質を冶金技術者が経済的に実現できるようにすることが重要である可能性がある。溶融金属および合金内の特定の化学元素のレベルを決定することは、現状では使い捨て浸漬型センサーを使用して実行されており、このセンサーは概して、単一の電気化学セルを備える。
【0002】
例えば、現状の最先端技術による使い捨て浸漬型センサーは、センサーヘッドを支持する厚紙製チューブを備えることができる。センサーヘッドは、熱電対などのセンサー(溶融金属温度を決定するのに使用される)と、単一の電気化学セル(酸素含有量を決定し、溶融物中のその他の元素の存在を相関により決定するのに使用される)とを収容していてもよい。センサーヘッドは、溶融金属の試料を収集することが意図される金属成形品も収容していてもよく、この溶融金属は、実験室内で引き続いて分析されることになる。
【0003】
単一の電気化学セルを収容するセンサーを使用する化学元素レベルの決定は、鋼製造および鋳物作業に広く使用される公知の技法である。そのようなセンサーの一つは、当技術分野では「酸素プローブ」または「酸素センサー」と称されることが多いものであり、ネルンストの式に従って動作するが、この式は、金属溶融物中の酸素化学活性(例えば、溶融物中の酸素分圧)を、電気化学セルの両側の電位に定量的に関連付けるものである。
【0004】
例えば、英国特許第(GB)1283712号明細書および米国特許第(US)4,906,349号明細書などのいくつかの特許には、これらのタイプのセンサーが記載されており、溶融金属中の酸素活性を決定するのに使用されるセンサーが記載されている。酸素センサーを記載するその他の特許としては、例えば、英国特許第(GB)1271747号明細書および米国特許第(US)3,772,177号明細書が挙げられ、これらには、溶融金属中の酸素を直接決定するために使用されるセンサーが記載されている。
【0005】
電気化学セル上に補助電極を持つ酸素センサーの変形例であって、分析されることになる化学元素または化学元素の酸化物を補助電極が含有するものもまた当技術分野において公知である。そのような変形例を記載する特許としては、例えば、米国特許第(US)4,657,641号明細書、同第7,141,151明細書、および同第7,169,274号明細書、ならびに欧州特許第(EP)0295112B1号明細書などが挙げられ、これらには、溶融金属または合金中のケイ素を決定するのに使用されるセンサーが記載されている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載の発明は、溶融金属中の化学元素含有量を決定する浸漬型センサーを対象とする。本発明の一例では、浸漬型センサーは、サンプリングチャンバーの内側に位置する補助電気化学セルを備える。
【0007】
本発明の別の実施例では、浸漬型センサーは、耐熱性材料の中に形成された内部体積を有するサンプリングチャンバーと、サンプリングチャンバーの内面から内部体積の中に延びる補助電気化学セルとを備える。浸漬型センサーは、溶融金属のサンプリングチャンバーの内部体積の中への流れ、および補助電気化学セルとの接触に対して構成される。
【0008】
本発明の別の実施例では、浸漬型センサーは、センサーヘッドと、耐熱性材料の中に形成された内部体積を有するサンプリングチャンバーと、サンプリングチャンバーの内面から内部体積の中に延びる補助電気化学セルと、サンプリングチャンバーの内部体積と浸漬型センサーより外部の体積との間に延びる入口チャネルとを備える。浸漬型センサーは、外部体積から入口チャネルを通じてサンプリングチャンバーの内部体積の中に入り、そして補助電気化学セルと接触する溶融金属の流れに対して構成される。
【0009】
本明細書に記載の発明の様々な特徴および特性は、添付図への参照によりさらに徹底的に理解されよう。図面は概略的なものであり、必ずしも実寸に比例していないこと、そして本明細書に記載の発明を理解するには必要ではない特徴および特性は、明快さのために省略されている場合があることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、冶金学的容器内の溶融金属中に浸漬された最新型の浸漬型センサーの断面での側立面図である。
【
図2】
図2は、冶金学的容器内の溶融金属中に浸漬された、本発明による浸漬型センサーの断面での側立面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された浸漬型センサーの断面での側立面図であって、浸漬型センサーの特定の構成部分を例示するものである。
【
図4】
図4は、補助電気化学セルを備えるサンプリングチャンバーの外側の斜視図である。
【
図5】
図5は、担体チューブ内に位置する、
図4に示されたサンプリングチャンバーの断面での側立面図であって、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを例示するものである。
【
図6】
図6は、
図4に示されたサンプリングチャンバーの断面での斜視図であって、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを例示するものである。
【
図7】
図7は、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるサンプリングチャンバーの断面での側立面図であって、補助電気化学セルは、補助電気化学セルの外面の少なくとも一部分上に位置する被膜を備える。
【
図8】
図8は、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるサンプリングチャンバーの断面での側立面図であって、補助電気化学セルは、補助電気化学セルの外面の少なくとも一部分上に位置して熱衝撃遮蔽体として機能する金属被膜を備え、熱衝撃遮蔽体は、サンプリングチャンバー内に流れ込む溶融金属との初期接触時の熱衝撃損傷から補助電気化学セルを保護する。
【
図9】
図9は、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるサンプリングチャンバーの断面での側立面図であって、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの内面の少なくとも一部分上に位置するセラミック被膜をさらに備える。
【
図10】
図10は、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるサンプリングチャンバーの断面での側立面図であって、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの内面の少なくとも一部分上に位置する金属被膜をさらに備える。
【
図11】
図11は、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルと、補助電気化学セルの外面に隣接して位置する脱酸用材料とを備えるサンプリングチャンバーの断面での側立面図である。
【
図12】
図12は、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルと、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる電極とを備えるサンプリングチャンバーの断面での側立面図であって、電極は補助電気化学セルの正の接点として機能する。
【
図13】
図13は、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるサンプリングチャンバーであって、サンプリングチャンバーの内面の少なくとも一部分上に位置する金属被膜をさらに備えるものの断面での側立面図であって、金属被膜は、補助電気化学セルの正の接点として機能する。
【
図14】
図14は、担体チューブ内に位置するサンプリングチャンバーであって、サンプリングチャンバーの遠位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるものの断面での側立面図である。
【
図15】
図15は、担体チューブ内に位置するサンプリングチャンバーであって、サンプリングチャンバーの近位内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるものの断面での側立面図である。
【
図16】
図16は、担体チューブ内に位置するサンプリングチャンバーであって、サンプリングチャンバーの横方向内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備えるものの断面での側立面図である。
【
図17】
図17は、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーの断面での側立面図であって、センサーヘッドは、熱電対を備える。浸漬型センサーは、センサーヘッドの近位に位置するサンプリングチャンバーをさらに備え、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの中へ延びる補助電気化学セルを備え、サンプリングチャンバーは、センサーヘッドから分離している、またはサンプリングチャンバーと隣接していない耐熱性構造体の中に形成される。
【
図18】
図18は、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーの断面での側立面図であって、センサーヘッドは、溶融金属の試料を収集するように構成された金属成形品を備える。浸漬型センサーは、センサーヘッドの近位に位置するサンプリングチャンバーをさらに備え、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備え、サンプリングチャンバーは、センサーヘッドから分離している、またはセンサーヘッドと隣接していない耐熱性構造体の中に形成される。
【
図19】
図19は、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーの断面での側立面図であって、センサーヘッドは、溶融金属の試料を収集するように構成された金属成形品と、センサーヘッドの近位部分の中に一体に形成された熱分析チャンバーとを備える。浸漬型センサーは、センサーヘッドの近位に位置するサンプリングチャンバーをさらに備え、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備え、サンプリングチャンバーは、センサーヘッドから分離している、またはセンサーヘッドと隣接していない耐熱性構造体の中に形成される。
【
図20】
図20は、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーの断面での側立面図であって、センサーヘッドは、熱電対と一次電気化学セルとを備える。浸漬型センサーは、センサーヘッドの近位に位置するサンプリングチャンバーをさらに備え、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備え、サンプリングチャンバーは、センサーヘッドから分離している、またはセンサーヘッドと隣接していない耐熱性構造体の中に形成される。
【
図21】
図21は、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーの断面での側立面図であって、センサーヘッドは、センサーヘッドの遠位端の近位に位置する一体に形成されたサンプリングチャンバーを備え、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備え、センサーヘッドは、サンプリングチャンバーとセンサーヘッドの遠位端との間に延びる入口チャネルを備える。
【
図22】
図22は、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーの断面での側立面図であって、センサーヘッドは、センサーヘッドの遠位端の近位に位置する一体に形成されたサンプリングチャンバーを備え、サンプリングチャンバーは、サンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備える。
【
図23】
図23は、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーの断面での側立面図であって、センサーヘッドは、センサーヘッドの遠位端の近位に位置するセンサーヘッドの中間部分の中に、一体に形成された熱分析チャンバーを備え、センサーヘッドは、熱分析チャンバーの近位に位置する一体に形成されたサンプリングチャンバーをさらに備える。
【
図24】
図24は、一体化したサンプリングチャンバーを備えるセンサーヘッドの相対場所を例示する、浸漬型センサーの断面図である。
【
図25】
図25は、センサーヘッドと、一体化したサンプリングチャンバーを備え、センサーヘッドとはつながっていない分離した耐熱性構造体との相対場所を例示する、浸漬型センサーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
読者は、発明の以下の詳細な記載を考慮すると、先の特徴や特性、およびその他を理解するであろう。
【0012】
特許請求の範囲を含め、本明細書において使用される場合、用語「遠位」およびその変形例は、浸漬型センサーの浸漬端部の方に向かって位置することを意味しており、用語「近位」およびその変形例は、浸漬型センサーの浸漬端部から遠ざかるように位置することを意味する。用語「遠位」と「近位」、およびその変形例は、浸漬型センサーの浸漬方向に沿った相対場所を記載する用語であり、例えば、浸漬型センサーはセンサーヘッドと担体チューブとを備える細長い浸漬型センサー組み立て体の長さ寸法に概して対応する。
【0013】
特許請求の範囲を含め、本明細書において使用される場合、用語「金属」は、元素金属と、主要金属および主要金属に添加された一つまたは複数の金属性または非金属性の合金元素を含む金属合金との両方を含む。また、特許請求の範囲を含め、本明細書において使用される場合、別途指定のない限り、用語「上方」、「下方」、「上向き」、「下向き」、「上に」、「下に」、およびその変形例、ならびに同類のものは、図面に示された向きに関しており、記載を容易にするために使用されているものであって、本発明の使用をいかなる特定の向きにも限定するものではない。
【0014】
従来の浸漬型センサーおよびプローブは概して、センサーヘッドの浸漬端部(すなわち、遠位端)上の外側に載置された電気化学セルを備える。この場所では、電気化学セルは、測定中に大量の溶融金属に露出され、よってセンサーの使用と測定の効率は制限される。同様に、測定中のバルク金属溶融物への露出によって、電気化学セル上に塗布された補助電極被膜を維持する能力は損なわれる。
【0015】
測定の限界と効率、および補助電極被膜が従来型センサーに塗布される場合その被膜の保守性の毀損は、センサーヘッドの浸漬端部(すなわち遠位端)上の電気化学セルの位置のせいであり、この場合、電気化学セルは、そのセルが露出される激しい環境、例えば高温、溶融金属の流速、攪拌、および測定中の乱流、ならびに電気化学セルを取り巻く大量の液体金属質量にも曝される。
【0016】
本発明の浸漬型センサーは、これらの課題に対処するものであり、浸漬型センサーの構造体の中に形成されたサンプリング(すなわち、試料収集)チャンバーの内側に位置する酸素測定用電気化学セルに基づき、補助電気化学セルの使用を通じて、精錬工、製鋼所従業員、またはその他の冶金技術者が対象とする化学元素の含有量を分析するのに使用することができる。サンプリングチャンバーの内側の補助電気化学セルの場所は、溶融金属がサンプリングチャンバー内に流れ込む時点から始まり、溶融金属がサンプリングチャンバーの内側で固化するまで、それほど攻撃的ではない環境における溶融金属中の酸素レベルの決定を容易にする。
【0017】
サンプリングチャンバーの内側の補助電気化学セルの場所は、バルク金属溶融物の激しい環境に付随する問題(例えば、大きな溶融物体積との接触、大きな熱質量との接触、および溶融物の攪拌、乱流、流れとの接触)を低減する、または取り除く。サンプリングチャンバーは、溶融金属が流れ込み、かつ補助電気化学セルと接触する比較的小さい体積を提供し、これは、露出したセンサーヘッド上の外側遠位端位置と比較して、補助電気化学セルと接触する溶融物体積、熱質量、および溶融物流体速度の減少を提供する。加えて、比較的小さいサンプリングチャンバー体積は、流入する溶融金属の温度を急速に下げるのを容易にし、これにより、固化が加速され、電気化学セル上に位置するいかなる補助電極被膜も測定中、定位置に維持され、これによって、センサーの測定効率が最大化する。
【0018】
また特許請求の範囲を含め、本明細書において使用される場合、用語「補助電気化学セル」は、電気化学セルの外面と接触している溶融金属中の化学元素の含有量を決定するように構成された電気化学セルを意味する。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、英国特許第1283712号明細書、米国特許第4,906,349号明細書、英国特許第1271747号明細書、米国特許第3,772,177号明細書、同第4,657,641号明細書、同第7,141,151号明細書、同第7,169,274号明細書、および欧州特許第0295112B1号明細書に記載の電気化学セルを参照されたい。補助電気化学セルは、補助電気化学セルの外面の少なくとも一部分上に位置する被膜を備える必要はないが、備えてもよい。そのような「補助電極被膜」は、金属溶融物中の酸素の含有量を決定するように構成された電気化学セルの外面上に存在する場合には、金属溶融物中の非酸素の化学元素の含有量の決定を容易にすることができる。
【0019】
したがって、本発明は、補助電極被膜で被覆されたまたは被覆されていない、酸素の決定用の補助電気化学セルであって、浸漬型センサーの中に形成されたサンプリングチャンバーの内部に位置する電気化学セルに関するものであり、サンプリングチャンバーは、金属溶融物中に浸漬されると溶融金属を受け取ることになる。次に、補助電気化学セルは、受け取った溶融金属中の酸素レベルを分析することができ、分析は、溶融金属がサンプリングチャンバーに入り補助電気化学セルと接触すると始まり、サンプリングチャンバー内の溶融金属が冷却し固化する間、進行する。このようにして、精錬工、製鋼所従業員、またはその他の冶金技術者は、例えば、経験的統計式を通じて、金属溶融物中の対象の化学元素の含有量を決定することが可能である。対象とするそのような化学元素としては、例えば、酸素、炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄、アルミニウム、銅、クロム、モリブデン、ニッケル、ホウ素、カルシウム、鉛、スズ、チタン、ニオブ、コバルト、鉄、バナジウム、タングステン、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、アンチモン、および同類のもの、ならびにこれらの元素の酸化物を挙げることができる。
【0020】
本発明の浸漬型センサーは、例えば、鉄およびその合金(鋼を含む)、アルミニウムおよびその合金、銅およびその合金、クロムおよびその合金、モリブデンおよびその合金、ニッケルおよびその合金、鉛およびその合金、スズおよびその合金、チタンおよびその合金、ニオブおよびその合金、コバルトおよびその合金、バナジウムおよびその合金、タングステンおよびその合金、マグネシウムおよびその合金、ジルコニウムおよびその合金、亜鉛およびその合金、アンチモンおよびその合金、マンガンおよびその合金、ならびに同類のものなどの任意のタイプの溶融金属における対象の元素の含有量を決定するのにも使用することができる。
【0021】
図24および25を参照すると、浸漬型センサー100は、担体チューブ101の遠位端112上に位置するセンサーヘッド102を備える。センサーヘッド102は、耐熱性材料、例えば、成型された鋳物/鋳造用の砂、アルミナ、または同類のものなどから作られた構造体を備えることができる。担体チューブ101は、単一の構造体として示されており、これは、例えば、厚紙、プラスチック、金属、または同類のものなどの、製造用材料を含むことができる。担体チューブ101は、複数の構成部分、例えば、厚紙製または紙製のスリーブ管で取り巻かれた金属製またはプラスチック製のチューブなどを含む可能性があることもまた理解される。センサーヘッド102は、遠位(下側の/浸漬)端122と近位(上側の)端124とを含む。センサーヘッド102の近位端124は、担体チューブ101の遠位端112を通じて担体チューブ101の内腔内に挿入される。センサーヘッド102の遠位端122は、使用中に溶融金属に露出されこれに接触する。電気化学セル、熱電対、またはその他のセンサー、ならびにセンサー電極、接点、および結線は、明瞭化のために
図24および25から省略されている。
【0022】
図24を参照すると、センサーヘッド102は、一体に形成されたサンプリングチャンバー105を備える。サンプリングチャンバー105は、センサーヘッド102の遠位端122の近位に位置しており、サンプリングチャンバー105は、センサーヘッド102の近位端124の遠位に位置している。
図25を参照すると、浸漬型センサー100は、センサーヘッド102と、分離した耐熱性構造体150とを備える。耐熱性構造体150は、製造用の耐熱性材料、例えば、成型された鋳物/鋳造用の砂、アルミナ、または同類のものなどを備えることができる。耐熱性構造体150は、センサーヘッド102の近位端124の近位の、担体チューブ101の内腔内に位置している。耐熱性構造体150は、遠位(下側の)端157と近位(上側の)端159とを備える。耐熱性構造体150はまた、一体に形成されたサンプリングチャンバー105も備える。サンプリングチャンバー105は、耐熱性構造体150の遠位端157の近位に位置しており、サンプリングチャンバー105は、耐熱性構造体150の近位端157の遠位に位置している。
【0023】
図24および25を再び参照すると、サンプリングチャンバー105は、遠位(下側の)内面152と、近位(上側の)内面154と、横方向内面156とを備える。サンプリングチャンバー105の内部体積は、入口チャネル110を通じて浸漬型センサー100の外部の体積と流体連通している。入口チャネル110は、サンプリングチャンバー105の横方向内面156から、センサーヘッド102または耐熱性構造体150(該当する場合)の横方向外面まで延びる。担体チューブ101における開口が入口チャネル110と整列して、サンプリングチャンバー105の内部体積と浸漬型センサー100の外部の体積との間に流体連通を提供する。
【0024】
図1は、使用中の浸漬型センサーを例示する。浸漬型センサーは、担体チューブ1の遠位端上に位置するセンサーヘッド2を備える。浸漬型センサーは、冶金学的容器3(例えば、ひしゃく、転換炉、または溶融金属を受け取り、かつ/または加工するように構成された任意の他のタイプの冶金学的容器)内の溶融金属4中に浸漬される。センサーヘッド2は、センサー(例えば、熱電対および/または電気化学セルなど)、および/または金属試料を収集するように構成された金属成形品を備え、引き続いて金属試料を、例えば、実験室内で分析することができる。センサーは、センサーヘッドの遠位端2上に位置している。
【0025】
図2に、本発明による使用中の浸漬型センサーAを例示する。浸漬型センサーAは、担体チューブ1の遠位端上に位置するセンサーヘッド2を備える。浸漬型センサーAは、冶金学的容器3(例えば、ひしゃく、転換炉、または溶融金属を受け取り、かつ/または加工するように構成された任意の他のタイプの冶金学的容器)内の溶融金属4中に浸漬されている。センサーヘッド2は、センサー(例えば、熱電対および/または電気化学セルなど)、および/または金属試料を収集するように構成された金属成形品を備え、引き続いて金属試料を、例えば、実験室内で分析することができる。センサーは、センサーヘッドの遠位端2上に位置している。担体チューブ1は、単一の構造体として示されており、この構造体は、例えば、厚紙、プラスチック、金属、または同類のものなどの、製造用材料を含むことができる。担体チューブ1は、複数の構成要素、例えば、厚紙製または紙製のスリーブ管で取り巻かれた金属製またはプラスチック製のチューブなどを含む可能性があることもまた理解される。
【0026】
浸漬型センサーAはまた、内部のサンプリングチャンバー5を備える、センサーヘッド2と隣接していない、分離した耐熱性構造体も備える。内部のサンプリングチャンバー5を収容する分離した耐熱性構造体は、センサーヘッド2の近位に位置している。サンプリングチャンバー5は、サンプリングチャンバーの内面からサンプリングチャンバーの中に延びる補助電気化学セルを備える。センサーヘッド2と、サンプリングチャンバー5を収容する耐熱性構造体とは、製造用の耐熱性材料、例えば、成型された鋳物/鋳造用の砂、アルミナ、または同類のものなどを独立して備えることができる。加えて、サンプリングチャンバーは、金属材料、セラミック材料、およびサーメット材料、ならびにそれらいずれかの組み合わせから成る群から選択される製造用材料を備えることができる。例えば、サンプリングチャンバーは、金属材料、セラミック材料、またはサーメット材料、または組み合わせ材料から作られた耐熱性構造体の中に形成することができる。
【0027】
図3にさらに、本発明による浸漬型センサーAを例示する。センサーヘッド2は、主要な電気化学セル8と、センサーヘッド2の遠位端上に位置する熱電対9とを備えて示される。センサーヘッド2はまた、センサーヘッド2の中に形成された金属成形品7も備える。金属成形品7は、実験室で引き続き分析されることになる溶融金属4(
図2を参照されたい)の試料を収集するように構成されている。補助電気化学セル6は、サンプリングチャンバー5の中に位置しており、サンプリングチャンバー5の内部体積の中に延びる。補助電気化学セルは、サンプリングチャンバーへの別の電気的接触に対して負であってもよく、また負接点と連通していてもよく、または負接点として機能してもよい。サンプリングチャンバーの中に延びる金属電極(図示せず)、サンプリングチャンバーの内面の少なくとも一部分の上の金属被膜(図示せず)、または金属成形品は、補助電気化学セルの正接点と連通してもよく、または正接点として機能してもよい。
【0028】
図4に、耐熱性構造体の中に形成されたサンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体の外面を示す。図示はしないが、補助電気化学セル6は、内部のサンプリングチャンバー5の中に位置している。
【0029】
図5に、浸漬型センサーAのサンプリングチャンバー5を備える耐熱性構造体をさらに例示する。補助電気化学セル6は、遠位内面からサンプリングチャンバー5の内部体積12の中に延びる。サンプリングチャンバー5の内部体積12は、5cm
3から50cm
3までの範囲、またはその中に包摂される任意の部分範囲、例えば、5~25cm
3、10~50cm
3、または15~45cm
3などの範囲とすることができる。入口チャネル10は、サンプリングチャンバー5の内部体積12の横方向内面から浸漬型センサーAの外面まで延びる。入口チャネル10は、サンプリングチャンバー5の内部体積12と浸漬型センサーAの外部の体積との間の流体連通を提供している。使用時には、溶融金属は、外部体積から、入口チャネル10を通じ、サンプリングチャンバー5の内部体積12の中に流れ、ここで、溶融金属は補助電気化学セル6と接触し、溶融金属中の化学元素の含有量が決定される。
【0030】
保護キャップまたはその他の一時的な障壁構造体11が、入口チャネル10の中に位置しており、金属溶融物の中への浸漬型センサーAの浸漬中に入口チャネル10を一時的に遮断することにより、サンプリングチャンバー5の内部体積12の中にスラグが入るのを防止するように機能する。入口チャネル10の外側の開口がスラグ層を通過して溶融金属に接触した後、紙、厚紙、プラスチック、金属/合金、または、別の逃散性材料、または、材料の組み合わせを含むことのできる保護キャップ、またはその他の一時的な障壁構造体11は、燃焼、溶融、または別の方法で除去され、これにより、入口チャネル10の遮断が解除されて、サンプリングチャンバー5の内部体積12の中へと溶融金属が流れることができるようになる。
【0031】
図6にさらに、浸漬型センサーAのサンプリングチャンバー5を備える耐熱性構造体を例示する。補助電気化学セル6は、遠位内面からサンプリングチャンバー5の内部体積12の中に延びる。入口チャネル10は、サンプリングチャンバー5の内部体積12の横方向内面から耐熱性構造体の外面まで延びる。使用時には、溶融金属は、入口チャネル10を通じ、サンプリングチャンバー5の内部体積12の中に流れ、ここで、溶融
金属は補助電気化学セル6と接触し、溶融金属中の化学元素の含有量が決定される。
【0032】
図7に、補助電気化学セル6の外面の少なくとも一部分上に位置する補助電極被膜13を示す。上記のとおり、補助電極被膜13は、サンプリングチャンバー5に入り、かつ補助電気化学セル6上の補助電極被膜13に接触する溶融金属中の対象の化学元素の含有量を決定する能力を提供する、任意の金属または金属化合物、例えば金属酸化物も含むことができる。
【0033】
図8に、補助電気化学セル6の外面の少なくとも一部分上に位置する金属被膜14を示す。金属被膜14は、サンプリングチャンバー5の中に流れ溶融金属との初期接触時での熱衝撃損傷から補助電気化学セル6を保護する熱衝撃遮蔽体として機能する。使用時には、溶融金属がサンプリングチャンバー5に入ると、金属被膜14が溶融し、溶融金属は続いて、下にある補助電気化学セル6の外面と接触するが、このセルは、
図7に示すような、補助電極被膜13を随意に備えることができ、この場合には溶融金属は、補助電極被膜13と接触する。
【0034】
図9に、サンプリングチャンバー5の内面の少なくとも一部分上に位置するセラミック被膜またはグレージング15を示す。セラミック被膜またはグレージング15は、内部のサンプリングチャンバー5を備える耐熱性構造体を形成する耐熱性材料からの、分析されることになる溶融金属の汚染を低減するまたは取り除くように機能する。
【0035】
図10に、サンプリングチャンバー5の内面の少なくとも一部分上に位置する金属被膜16を示す。金属被膜16は、サンプリングチャンバー5に入る溶融金属から熱を吸収する冷却用構成要素として機能することができる。金属被膜16は、接触すると溶融することができ、サンプリングチャンバー5に入る溶融金属の冷却速度および固化を加速させることができる。
【0036】
図11に、サンプリングチャンバー5内の補助電気化学セル6の外面に隣接して位置する脱酸用材料17を示す。脱酸用材料17は、補助電気化学セル6により分析されることになる溶融金属からの遊離酸素を除去するように機能する。脱酸用材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ジルコニウム、およびジルコニウム合金、ならびにそれらのいずれかの組み合わせから成る群から選択することができる。
【0037】
図12に、補助電気化学セル6と、遠位内面からサンプリングチャンバー5の中に延びる金属電極19とを示す。金属電極19は、補助電気化学セル6の正接点18として機能する。
【0038】
図13に、サンプリングチャンバー5の内面の少なくとも一部分上に位置する金属被膜16を示す。金属被膜16は、補助電気化学セル6の正接点18として機能する。
【0039】
図14に、遠位内面からサンプリングチャンバー5の中に延びる補助電気化学セル6を示す。
図15に、近位内面からサンプリングチャンバー5の中に延びる補助電気化学セル6を示す。
図16に、横方向内面からサンプリングチャンバー5の中に延びる補助電気化学セル6を示す。したがって、
図14~16は、それぞれ下側の位置、上側の位置、および横方向位置にある補助電気化学セル6を示す。
【0040】
図17に、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーAを示し、センサーヘッドは熱電対9を備える。浸漬型センサーAはまた、センサーヘッドとは隣接していない、サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体も備える。サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性は、センサーヘッドの近位に位置している。補助電気化学セル6は、上記のようにサンプリングチャンバー5の中に延びている。センサーヘッド遠位端キャップは、キャップが燃焼、溶融、または別の方法で除去されるまで、熱電対9を遮蔽する。センサーヘッド遠位端キャップの外側の部分は厚紙を含んでいてもよく、センサーヘッド遠位端キャップの内側部分は鋼を含んでいてもよい。
【0041】
図18に、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーAを示し、センサーヘッドは金属成形品7を備える。浸漬型センサーAはまた、センサーヘッドとは隣接していない、サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体も備える。サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体は、センサーヘッドの近位に位置している。金属成形品7は、溶融金属の試料を収集するように構成される。補助電気化学セル6は、上記のように、サンプリングチャンバー5の中に延びる。センサーヘッド遠位端キャップは、キャップが燃焼、溶融、または別の方法で除去されるまで、金属成形品7を遮蔽する。センサーヘッド遠位端キャップの外側の部分は厚紙を含んでもよく、センサーヘッド遠位端キャップの内側部分は鋼を含んでもよい。
【0042】
図19に、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーAを示し、センサーヘッドは、溶融金属の試料を収集するように構成された金属成形品を備え、また金属成形品の近位に位置するセンサーヘッドの中に一体に形成された熱分析チャンバー20も備える。浸漬型センサーAはまた、センサーヘッドと隣接していない、サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体も備える。サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体は、熱分析チャンバーを備えるセンサーヘッド20の近位に位置している。補助電気化学セル6は、上記のように、サンプリングチャンバー5の中に延びている。センサーヘッド遠位端キャップは、キャップが燃焼、溶融、または別の方法で除去されるまで、金属成形品を遮蔽する。センサーヘッド遠位端キャップは、鋼を含んでいてもよい。
【0043】
図20に、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーAを示し、センサーヘッドは熱電対を備え、また一次電気化学セル8も備える。熱電対および一次電気化学セル8は、センサーヘッドの遠位端上に位置し、かつ遠位端から延びる。浸漬型センサーAはまた、センサーヘッドと隣接していない、サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体も備える。サンプリングチャンバー5を備える分離した耐熱性構造体は、熱電対と一次電気化学セル8とを備えるセンサーヘッドの近位に位置している。補助電気化学セル6は、上記のように、サンプリングチャンバー5の中に延びる。センサーヘッド遠位端キャップは、キャップが燃焼、溶融、または別の方法で除去されるまで、熱電対および一次電気化学セル8を遮蔽する。センサーヘッド遠位端キャップの外側の部分は厚紙を含んでいてもよく、センサーヘッド遠位端キャップの内側部分は鋼を含んでいてもよい。
【0044】
図21に、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーAを示し、センサーヘッドは、センサーヘッドの遠位端の近位に位置する一体に形成されたサンプリングチャンバー5を備える。補助電気化学セル6は、上記のように、サンプリングチャンバー5の中に延びる。センサーヘッドはまた、サンプリングチャンバー5とセンサーヘッドの遠位端との間に延びる一体に形成された入口チャネル10も備える。センサーヘッド遠位端キャップは、キャップが燃焼、溶融、または別の方法で除去されるまで、入口チャネル10を遮蔽する。センサーヘッド遠位端キャップの外側の部分は厚紙を含んでいてもよく、センサーヘッド遠位端キャップの内側部分は鋼を含んでいてもよい。
【0045】
図22に、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーAを示し、センサーヘッドは、センサーヘッドの遠位端の近位に位置する一体に形成されたサンプリングチャンバー5を備える。補助電気化学セル6は、上記のように、サンプリングチャンバー5の中に延びる。センサーヘッドはまた、サンプリングチャンバー5と浸漬型センサーAの横方向外面との間に延びる一体に形成された入口チャネル10を備える。センサーヘッドはまたは、センサーヘッドの遠位端上に位置し、かつ遠位端から延びる熱電対と一次電気化学セルとを備える。センサーヘッド遠位端キャップは、キャップが燃焼、溶融、または別の方法で除去されるまで、熱電対および一次電気化学セルを遮蔽する。センサーヘッド遠位端キャップの外側の部分は厚紙を含んでいてもよく、センサーヘッド遠位端キャップの内側部分は鋼を含んでいてもよい。
【0046】
図23に、担体チューブの遠位端上に位置するセンサーヘッドを備える浸漬型センサーAを示し、センサーヘッドは、センサーヘッドの中間部分の中に一体に形成された熱分析チャンバー20を備える。センサーヘッドさらに、熱分析チャンバー20の近位に位置する一体に形成されたサンプリングチャンバー5を備える。補助電気化学セル6は、上記のようにサンプリングチャンバー5の中に延びる。センサーヘッドはまた、溶融金属の試料を収集するように構成された金属成形品も備える。金属成形品は、熱分析チャンバー20の遠位に位置する。センサーヘッド遠位端キャップは、キャップが燃焼、溶融、または別の方法で除去されるまで、金属成形品を遮蔽する。センサーヘッド遠位端キャップは、鋼を含んでいてもよい。
【0047】
本発明の全体的な理解が得られるよう、様々な特徴および特性を本明細書に記載し、かつ図面に例示している。本明細書に記載の、そして図面に例示の様々な特徴および特性を、そのような特徴および特性が、本明細書に明示的に記載されているか、組み合わせで例示されているにかかわらず、任意の実行可能な様式で組み合わせることができることが理解される。本発明者らおよび出願人は、機能および特徴のそうした組み合わせが本明細書の範囲内に含まれることを明示的に意図しており、そしてさらには、本出願に新規主題を追加することなく特徴および特性のそうした組み合わせを特許請求することを意図している。このように特許請求の範囲は、本明細書に明示的にもしくは本質的に記載された、または別の方法で本明細書によって明示的にもしくは本質的に裏付けられた任意の特徴および特性を任意の組み合わせで記述するように補正することができる。さらには、本出願人は、従来技術に存在する場合がある機能および特徴を肯定的に放棄するよう特許請求の範囲を補正する権利を、それらの特徴および特性が本明細書に明示的には記載されていない場合であっても留保している。したがって、そのようないかなる補正も、本明細書または特許請求の範囲に新規主題を加えることにはならず、記述、記述の充分性、および追加事項の要件(例えば、米国特許法112条(a)およびEPC123条(2))に従うことになる。本発明は、本明細書に記載の様々な特徴および特性を備えることができ、それらから成ることができる、またはそれらから実質的に成ることができる。
【0048】
また、本明細書に記述された任意の数値的範囲は、記述された終点を含んでおり、そして記述された範囲内に包摂される同一の数値的な精度の(すなわち、同一の指定された桁数を有する)すべての部分範囲を記載する。例えば、「1.0から10.0」と記述された範囲は、記述された最小値1.0と記述された最大値10.0との間の(そしてそれらを含む)すべての部分範囲、例えば「2.4から7.6」などを、たとえ「2.4から7.6」と記述された範囲が本明細書の本文に明示的に記述されていなくとも記載する。したがって、本出願人は、本明細書に明示的に記述された範囲内に包摂される同一の数値的精度のいかなる部分範囲も明示的に記述するよう、特許請求の範囲を含め、本明細書を補正する権利を留保している。すべてのそのような範囲は、いかなるそのような部分範囲であっても、その明示的な補正が、記述、記述の充分性、および追加事項の要件(例えば、米国特許法112条(a)およびEPC123条(2))に従うことになるように、本明細書に本質的に記載される。
【0049】
本明細書において使用される場合、文法上の冠詞「一つの(one)」、「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、別途表示されているまたは文脈から要求されているのでない限り、「少なくとも一つの(at least one)」または「一つまたは複数の(one or more)」を含むことが意図されている。よって、冠詞は、本明細書では、冠詞の文法上の目的語の一つ以上を(すなわち、「少なくとも一つ」を)指すのに使用される。例としては、「一つの構成要素(a component)」は、一つまたは複数の構成部分を意味し、よって本発明の実施では、場合によっては一つより多い構成要素が想起されて、これを採用または使用することができる。さらには、使用上の文脈から別途要求されるのでない限り、単数形の名詞の使用は複数を含み、複数形の名詞の使用は単数を含む。
【符号の説明】
【0050】
1. 担体チューブ
2. センサーヘッド
3. 冶金学的容器
4. 溶融金属
5. 内部のサンプリングチャンバー
6. 補助電気化学セル
7. 金属成形品
8. 電気化学セル
9. 熱電対
10. サンプリングチャンバー5の入口チャネル
11. 保護キャップまたはその他の一時的な障壁構造体
12. サンプリングチャンバー5の内部体積
13. 補助電極被膜
14. 金属被膜(補助電気化学セル6の外面の少なくとも一部分上の)
15. セラミック被膜またはグレージング
16. 金属被膜(サンプリングチャンバー5の内面の少なくとも一部分上の)
17. 脱酸用材料
18. 補助電気化学セル6の正接点
19. 金属電極
20. センサーヘッドの中に一体に形成された熱分析チャンバー
100. 浸漬型センサー
101. 担体チューブ。
102. センサーヘッド。
105. センサーヘッドの一体に形成されたサンプリングチャンバー
110. 入口チャネル
112. 担体チューブ101の遠位端
122. センサーヘッドの遠位端。
124. センサーヘッドの近位端
150. 分離した耐熱性構造体
152. サンプリングチャンバー105の遠位(下側)内面
154. サンプリングチャンバー105の近位(上側)内面
156. サンプリングチャンバー105の横方向内面
157. 耐熱性構造体150の遠位(下側)端
159. 耐熱性構造体150の近位(上側)端