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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】加熱および/または冷却パッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
A61F7/00 310Z
A61F7/00 310J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020537599
(86)(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 IB2019050659
(87)【国際公開番号】W WO2019150238
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】18154286.1
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/000093
(32)【優先日】2019-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】520242469
【氏名又は名称】ブレインセプト アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレイター,マイケル
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0028196(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0022481(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0204169(US,A1)
【文献】国際公開第2017/201101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱および冷却エネルギーを身体(28)に送達するための加熱および冷却デバイス(10)であって、
前記身体(28)に接続することができ、上面(122)および下面(121)を有する加熱および冷却パッド(12)であって、前記加熱および冷却パッド(12)の前記下面(121)上に、前記身体(28)の皮膚の表面に前記加熱および冷却パッド(12)を固定するために接着表面(1210)が設けられており、少なくとも1つの加熱および冷却要素(26)を含み、前記少なくとも1つの加熱および冷却要素(26)により、電気エネルギー源(22)によって放出される電気エネルギーが加熱および冷却エネルギーに変換されることができる、加熱および冷却パッド(12)と、
前記エネルギー源(22)を受容するように設けられ、信号プロセッサ(16)を有し、開ループおよび/または閉ループ制御信号を出力するために設けられており、前記開ループおよび/または閉ループ制御信号により、前記エネルギー源(22)から前記加熱および冷却要素(26)に出力される前記エネルギーが開ループおよび/または閉ループ様式で制御されることができる、制御ユニット(14)と、を備え、
前記加熱および冷却パッド(12)ならびに前記制御ユニット(14)が、少なくとも1つの電気コネクタ(18)であって、前記少なくとも1つの電気コネクタ(18)を介して、前記電気エネルギーが前記加熱および冷却要素(26)に送信されることができる、少なくとも1つの電気コネクタ(18)と、少なくとも1つの磁気コネクタ(20)と、によって互いに電気的かつ機械的に接続されることができ、
前記加熱パッド12が、丸い角を有する正方形の全体形状を有し、
前記全体形状が、複数の抵抗加熱導体を有する8個の三角形の加熱要素26を有し、
各加熱要素26が、前記加熱パッド12の前記正方形の全体形状の外周まで、前記正方形の全体形状の中心から延在し、
前記8個の加熱要素26の各々が、2つの部位、具体的には、前記加熱パッド12の前記中心の部と、前記加熱パッド12の前記外周のさらなる部分を有し、前記中心の前記部分及び前記外周の前記部分は、いずれも前記複数の抵抗加熱導体を含み、
前記8個の加熱要素26の各々の前記中心の前記部分に含まれる前記抵抗加熱導体同士は、前記各加熱要素26の前記外周の前記部分に含まれる前記抵抗加熱導体同士よりも互いに近い位置にあり前記各加熱要素26の前記中心の前記部分と前記外周の前記部分とは、互いに電気的に接続されており、それにより、電流が前記加熱要素26の各々に印加されると、前記中心の前記部分が、前記外周の前記部分よりも迅速に加熱される、加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項2】
前記加熱および冷却パッド(12)ならびに前記制御ユニット(14)は、
-追加の電気コネクタ(18)であって、前記追加の電気コネクタ(18)を介して、前記電気エネルギーが前記加熱および冷却要素(26)に送信されることができる、追加の電気コネクタ(18)と、
-追加の磁気コネクタ(20)と、によって互いに電気的かつ機械的に接続されることができる、請求項1に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項3】
前記電気エネルギー源(22)ならびに前記加熱および冷却要素(26)が、前記加熱および冷却パッド(12)を1分未満で20Kだけ加熱および/または冷却するように設計されている、請求項1~2のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項4】
前記加熱および冷却デバイス(10)が、少なくとも1つの姿勢センサ(24、241)を備え、前記姿勢センサ(24、241)が、前記身体(28)の少なくとも部分における姿勢および/または運動を検出し、姿勢データを生成するように設計され、前記姿勢データによって、前記エネルギー源(22)から前記加熱および冷却要素(26)に出力される前記エネルギーが開ループおよび/または閉ループ様式で制御されることができる、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項5】
前記加熱および冷却デバイス(10)が、データを送信および/または受信するための無線ユニット(36)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項6】
前記加熱および冷却デバイス(10)が、温度データを生成するように設計されている温度センサ(38)を備え、前記信号プロセッサ(16)が、前記温度データに応じて前記電気エネルギー源(22)の開ループ(110)および/または閉ループ制御のための前記開ループおよび/または閉ループ制御信号を生成するように設計されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項7】
電極(40)が、前記加熱および冷却パッド(12)の前記下面に配置され、前記信号プロセッサ(16)が、筋電図検査による筋肉の緊張および/または導電率を測定することによる皮膚抵抗を決定するように設計されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項8】
前記加熱および冷却パッド(12)の前記接着表面(121)が、接着剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項9】
前記接着剤が、ゲル状である、請求項8に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項10】
前記加熱および冷却パッド(12)が、使い捨て要素であり、前記制御ユニット(14)が、再利用可能要素である、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項11】
前記加熱および冷却デバイス(10)が、前記電気エネルギー源(22)によって放出される電気エネルギーを、前記身体(28)に伝達されることができる機械エネルギーに変換するように設計されている振動発生器(42)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)。
【請求項12】
加熱および冷却エネルギーを身体(28)に送達して、前記身体の筋肉を弛緩させるためのシステム(30)であって、
少なくとも2つの請求項1に記載の加熱および冷却デバイス(10)と、前記少なくとも2つの加熱および冷却デバイス(10)とデータを交換するために好適であるモバイルデバイス(34)と、を備える、システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱および冷却デバイス(10)の開ループおよび/または閉ループ制御のための方法であって、前記加熱および冷却デバイス(10)は、前記身体(28)に加熱および冷却エネルギーを送達するために設けられ、制御ユニット(14)と、個人の前記身体(28)に接続されることができ、かつ加熱および冷却要素(26)が設けられている加熱および冷却パッド(12)と、を備え、前記制御ユニットおよび前記加熱および冷却パッドが、互いに電気的かつ機械的に接続され、制御信号が、前記制御ユニット(14)によって生成され、その制御信号によって、エネルギー源(22)から前記加熱および冷却要素(26)に出力される前記エネルギーが制御されることができる、方法。
【請求項14】
前記加熱および冷却デバイス(10)は、少なくとも1つの姿勢センサ(24、241)を備え、前記姿勢センサ(24、241)は、前記身体(28)の姿勢及び/又は動きを検知するように設計されており、
前記姿勢が、前記姿勢センサ(24)によって前記制御ユニット(14)内で測定および決定され、前記制御信号は、前記姿勢が矯正されるように前記加熱および冷却出力を制御するために、前記姿勢から計算される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、コンピュータまたはプロセッサ上で動作すると、請求項13または14に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に加熱および/または冷却エネルギーを送達するための加熱および/または冷却デバイス、そのようなデバイスの開ループおよび/または閉ループ制御のための方法、ならびにその方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムに関する。
【0002】
先行技術
人口の大多数は、「慢性的」な首および背中の緊張に苦しんでいる。慢性的な首および背中の緊張は、正しくない姿勢に繋がり得る。緊張および姿勢の悪さは、筋肉の血行不良を招き、例えば、偏頭痛を促進し得る。さらに、首および背中の緊張が起こった場合、痛みを避けるために、楽な姿勢がとられることが多い。長時間の楽な姿勢は、関節に甚大な損傷を引き起こす場合がある。加えて、椎間板は、悪い姿勢に起因して磨耗し得、急性椎間板ヘルニアに繋がり得る。これは、特に長期的な結果を有する。多くの影響を受ける人々は、いかなる追加の労力または運動を伴わずに、軟膏または温膏(heat plaster)などの受動的な手段を使用して緊張または痛みを取り除こうとする。多くの場合、痛みが残り、慢性化し得る。
【0003】
先行技術から、温膏は、例えば、上述のように、痛み、特に首および背中の緊張の治療のために既知である。これらの温膏は、化学反応によって熱を発生させ得る。しかしながら、これらの温膏はまた、熱を発生させる化学反応に起因して、多くの患者に皮膚発疹を引き起こす場合もある。加えて、化学反応剤を含む温膏は、定期的に新しい温膏と交換されなければならない。これは、持続可能ではない。
【0004】
さらに、温膏は、より長い期間にわたって、痛みまたは緊張点で一定の熱を発生させることができない。それゆえに、痛みは、短期間のみ緩和され、特に、より長く続く治療は、高価である。熱もまた、皮膚の表面のみで発生し、より深く体内に浸透しない。それゆえに、深い温熱を発生させることができない。
【0005】
さらに、温度を調節することができないため、個人および肌の種類に応じて、過剰に熱が加えられた場合、発赤または火傷などの皮膚損傷を引き起こし得る。
【0006】
熱供給もまた、オンおよびオフを切り替えることができない。従来の温膏では熱の交互供給(オン/オフの切り替え)は、不可能である。さらに、従来の温膏は、42℃の治療熱に達するまで約30分超必要とする。熱の連続供給は、病気に応じて、治癒プロセスに悪影響を有し得る。熱の連続供給は、筋肉組織が熱に慣れることに繋がり得、その結果、弛緩効果がない。それゆえに、制御されていない様式で熱が放出されるため、インテリジェント熱治療方法を使用することができない。
【0007】
熱治療の誤った適用の危険性もある。熱パッチは、多くの場合、痛みが発生するかまたは局所化された場所のみに適用される。これは、短期間で痛みおよび緊張を緩和し得るが、結果として、温まっている箇所が緩和される一方で他の箇所が窮屈になるため、身体の他の部位で新たな緊張が生じる場合がある。これは、局所熱の誤った適用に起因して、さらなる緊張を引き起こし得る。
【0008】
より大きい加熱パッドもまた既知であり、これらは、ソケットを介して電源に直接接続され得る。これらの加熱パッドは、比較的非可撓性であり、電源ケーブルがソケットに接続されなければならないため、日常生活での運動の自由を大きく制約する。
【0009】
本発明の目的
本発明の目的は、費用対効果がより高く、より持続可能であり、よりインテリジェントである、生物および/または動物(以下、生物と称される)の身体への加熱および/または冷却エネルギーの送達のための改善された概念を提供することである。
【0010】
目的の達成
この目的は、請求項1に記載の発明によるデバイス、請求項14に記載の発明による方法、および請求項16に記載の発明によるコンピュータプログラムによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、生物の身体に加熱および/または冷却エネルギーの送達のための加熱および/または冷却デバイスを含む。加熱および/または冷却デバイスは、生物の身体に接続され得る加熱および/または冷却パッドを備える。加熱および/または冷却パッドは、上面および下面を有し、接着表面が、加熱および/または冷却パッドを生物の皮膚の表面に取り付けるためにその下面に設けられている。加熱および/または冷却パッドは、少なくとも1つの加熱および/または冷却要素を備え、それによって、電気エネルギー源から出力される電気エネルギーが加熱および/または冷却エネルギーに変換されることができる。加熱および/または冷却デバイスは、追加的に、エネルギー源を堅固にまたは解放可能に受容するために設けられ、信号プロセッサを有する制御ユニットを備える。さらに、制御ユニットは、開ループおよび/または閉ループ制御信号を出力するために設けられ、それによって、エネルギー源から加熱および/または冷却要素へのエネルギーの出力が開ループおよび/または閉ループ様式で制御されることができる。加熱および/または冷却パッドならびに制御ユニットは、少なくとも1つの電気コネクタであって、それを介して、電気エネルギーが加熱および/または冷却要素に送信されることができる、少なくとも1つの電気コネクタと、少なくとも1つの機械および/または1つの磁気コネクタと、によって、互いに電気的かつ機械的に接続され得る。
【0012】
実施形態は、生物の身体に加熱および/または冷却エネルギーを送達するための概念を提供する。加熱および/または冷却パッドは、接着表面によって、生物の身体に配置、粘着、または取り付けられ得る。加熱および/または冷却パッドは、多少の平坦な形状を有するか、または可能な限り、加熱および/または冷却デバイスが着用されるときに、生物の身体に圧力点が形成されないように平坦に設計され得る。さらに、加熱および/または冷却パッドは、可能な限り平坦な形状を有することに起因して可撓性である。加熱および/または冷却パッドは、下面、または第1の表面および上面、または第2の表面を有する実質的に平坦な形状を有し得る。接着表面は、加熱および/または冷却パッドの下面上に設けられるか、または形成され得る。接着表面は、偶発的な取り付けを防止するための保護層が設けられてもよく、これは、身体への取り付けの前に取り除かれ得る。加熱および/または冷却パッドは、例えば、電気エネルギーまたは電流を吸収し、それを加熱および/もしくは冷却エネルギー、または熱エネルギーに変換し得る。この変換は、例えば、電気抵抗器または電気昇温もしくは加熱および/または冷却要素によって行われ得る。電気抵抗器または電気加熱および/または冷却要素は、電気エネルギーを熱に変換し得る。熱および/または冷たさは、生物の身体との加熱および/または冷却パッドの接触によって、生物の身体に送達され得る。
【0013】
熱および/または冷たさを身体に送達する加熱および/または冷却パッドの部位の皮膚下に位置する筋肉(複数可)は、加熱および/または冷却パッドによって身体に送達される熱および/または冷たさによって刺激され得る。熱および/または冷たさを筋肉および他の軟組織に送達することは、引き締まったまたは収縮した筋肉および/または軟組織を弛緩させ得る。加えて、熱および/または冷たさを筋肉に送達することは、筋肉の血行を刺激し得る。
【0014】
筋肉を刺激することによって、痙攣が緩和され得、痛みが軽減され得る。また、筋肉または筋肉群の拮抗を刺激して、窮屈な対向部位(複数可)を弛緩させることも可能である。弛緩された筋肉および弛緩された筋系の結果として、一般に、生物の姿勢および/または運動が改善される。静的に理解され得る「姿勢」もまた、以下では、常に、動的に理解され得る身体運動を指す。良好な姿勢は、関節を保護し、痛みを軽減し得、したがって、生物の健康を向上する。
【0015】
温膏などの化学エネルギー貯蔵デバイスの代わりに電気エネルギー貯蔵デバイスを使用することによって、化学エネルギー貯蔵デバイスに対するアレルギー性皮膚反応の危険性が存在しない。
【0016】
加熱および/または冷却デバイスはまた、信号プロセッサ、プロセッサユニット、またはコントローラが配置され得る、制御ユニットを備え得る。信号プロセッサは、開ループおよび/もしくは閉ループ制御信号、または電気エネルギー源の開ループおよび/または閉ループ制御のための信号を生成するように設計され得る。信号プロセッサは、データまたは信号を受信および処理し、データまたは信号を送信し得る。信号は、無線信号または有線信号、アナログ信号またはデジタル信号として受信または送信され得る。データは、例えば、センサまたはコントローラによって生成され、信号プロセッサに供給され得る。処理は、例えば、測定または取得されたデータを基準データと評価、または査定、または比較することによって実行され得る。処理は、ソフトウェアまたはハードウェアによって実行され得る。
【0017】
信号プロセッサは、電気エネルギー源からのエネルギーの流れを制御するように設計され得る。信号プロセッサはまた、身体または筋肉への熱エネルギー供給またはエネルギー送達を制御するように設計され得る。電気エネルギーは、例えば、電力を調整することによって、またはパルス-休止比を変化させることによって、電気エネルギー源から加熱および/または冷却パッドに連続的に送達され得る。
【0018】
電気エネルギー源は、例えば、バッテリまたはアキュムレータであり得る。バッテリまたはアキュムレータは、電気エネルギーまたは電流を放出し得る。アキュムレータは、追加のエネルギー源および充電回路を介して電気エネルギーを充電または再充電し得る。
【0019】
したがって、例えば、モバイル電気エネルギー源として、アキュムレータまたはバッテリは、加熱および/または冷却パッドのための電気エネルギーを提供し得る。加えて、電気エネルギー源は、信号プロセッサ、センサ、無線ユニット、振動発生器、電極、加熱要素、または送信ユニットに電気エネルギーを供給し得る。バッテリまたはアキュムレータは、制御ユニットに取り付けられるか、または取り付け可能であり得る。しかしながら、電気エネルギーは、例えば、ケーブルを介して制御ユニットに送信されてもよい。ケーブルは、エネルギーを提供する電力供給ユニットまたはソケットに接続され得る。それゆえに、制御ユニット内に脱着可能に収容され得るエネルギー源は、ケーブル、例えば、電源ケーブルを介して制御ユニット内に収容される、外部エネルギー源であってもよい。
【0020】
電流は、制御ユニットまたは電気エネルギー源から、電気コネクタまたは電気接続要素を介して加熱および/または冷却パッドに伝達され得る。電気コネクタは、制御ユニットまたは電源と加熱および/または冷却パッドとの間の電気的な連結および分離を可能にする。プラグまたはピン、およびマッチングソケット、または磁石もしくはプッシュボタンなどの相補的な電気接続要素が、切断され得る安全かつ信頼性の高い電気接続を形成するために使用され得る。相補的な接続要素は、互いに非確動的および/または確動的接続を形成する接続要素である。
【0021】
加えて、少なくとも1つの機械および/もしくは磁気コネクタ、または機械および/もしくは磁気接続要素は、制御ユニット上に配置され得、相補的な機械および/または磁気接続要素が、加熱および/または冷却パッド上に配置され得る。接続要素は、加熱および/もしくは冷却パッドの上面上、または接着表面と反対側の加熱および/または冷却パッドの表面上に配置され得る。これは、加熱および/または冷却パッドが、制御ユニットと生物の身体との間に配置されることを可能にする。制御ユニットと加熱および/または冷却パッドとの間の安全かつ信頼性の高い機械および/または磁気連結は、機械および/または非機械コネクタによって確立され得、これらの連結は、分離され得る。電気接続要素について上述されたものなどの相補的な機械および/または磁気接続要素は、分離され得る、安全かつ信頼性の高い機械および/または磁気接続を形成するために使用され得る。機械および/または磁気接続要素は、加熱および/または冷却パッドが洗浄または廃棄のための使用の後に制御ユニットから分離されることを可能にする。制御ユニットは、必要に応じて繰り返し使用することができ、したがって、加熱および/または冷却デバイスの保守または運用コストを低減し、持続可能な利益を提供する。
【0022】
好ましい実施形態では、電気コネクタは、制御ユニットに接続された第1の電気接続要素と、加熱および/または冷却パッドに接続された第2の接続要素と、を有する。機械および/または磁気コネクタは、制御ユニットに接続された第1の機械および/または磁気接続要素と、加熱および/または冷却パッドに接続された第2の機械および/または磁気接続要素と、を備える。第1および第2の機械接続要素は、各々、対応する第1および第2の電気接続要素を取り囲む。電気コネクタ、または電気接続要素、または電気インターフェースは、機械コネクタまたは機械接続要素に配置または組み込まれ得る。機械および/もしくは磁気コネクタ、または機械および/もしくは磁気接続要素はまた、電気コネクタまたは電気接続要素に配置または組み込まれ得る。これは、加熱および/または冷却パッドを制御ユニットに接続するときに、互いに接続または連結されることを必要とするコネクタがより少ないという利点を有する。これは、運用および取り扱いを簡素化する。例えば、金属プッシュボタン、磁石、またはクリックシステムが、接続要素として使用され得る。一方、接続システムは、機械的に安定した脱着可能な接続を提供するべきであり、他方、電気抵抗は、可能な限り低くあるべきである。
【0023】
特に好ましい実施形態では、少なくとも3つの機械および/または磁気接続要素が制御ユニット上に形成され、3つの相補的な機械および/または磁気接続要素が、同じ場所の加熱および/または冷却パッド上で互いに対向して形成される。加熱および/または冷却パッドと制御ユニットとの間の安定した機械および/または磁気接続は、3つの機械および/または非機械接続要素によって確立され得る。これは、特に、加熱および/または冷却デバイスが生物の身体に取り付けられている場合である。機械および/または磁気接続要素が3つ以上存在する場合、生物の身体に加熱および/または冷却デバイスを取り付けるときの接続要素の位置は、あまり重要ではない。加えて、特に接続要素が非対称に配置される場合、3つ以上の接続要素が、加熱および/または冷却パッドと制御ユニットとの間の位置最適化または位置決定された接続を提供するために使用され得る。これは、制御ユニットが、2つの位置(0°および/または180°)で加熱および/または冷却パッドに接続され得ることを意味する。制御ユニットと加熱および/または冷却デバイスパッドとの間の誤動作または短絡は、可能ではない。
【0024】
好ましい実施形態では、エネルギー源ならびに加熱および/または冷却要素は、加熱および/または冷却パッドを1分未満、好ましくは20秒未満、特に好ましくは5秒未満で20Kだけ加熱および/または冷却するように設計されている。これは、急速な加熱および/または冷却に起因して、例えば、筋肉のトリガ点で、身体が、加熱および/または冷却エネルギーを迅速に供給され得るという利点を提供する。これは、筋肉の特に効果的な刺激、したがって、筋肉の弛緩に繋がり得る。加熱および/または冷却パッドは、8℃から42℃に、好ましくは同様に45℃まで、および逆も同様に(治療熱/冷却)、迅速に加熱および/または冷却され得る。身体は、自身の体温(36℃)の範囲で熱および/または冷たさを非常に敏感に反応し、この範囲での温度変化は、明確に知覚される。
【0025】
特に好ましい実施形態では、加熱および/または冷却デバイスは、少なくとも1つの姿勢センサを備える。姿勢センサは、少なくとも部分における生物の姿勢および/または運動を検出するように設計され得る。姿勢センサは、姿勢データを生成し得る。姿勢センサは、制御ユニット上に配置または形成され得る。姿勢センサは、以下のセンサ、例えば、3Dジャイロセンサ、加速度センサ、曲げセンサ、温度センサ、または歪みゲージを有するセンサのうちの少なくとも1つを備え得る。姿勢センサ(複数可)によって出力される姿勢データは、姿勢または運動を決定するために使用され得る。姿勢データは、信号プロセッサに供給または送信され得る。
【0026】
姿勢センサまたは生成された姿勢データによって、生物の姿勢が正しいか否か、または姿勢が正しくないかもしくは悪いかを認識または決定することが可能である。また、少なくとも1つの姿勢センサによって、姿勢の一部、例えば、生物の上半身の姿勢のみを検出し、姿勢データを生成することも可能である。
【0027】
正しい姿勢は、弛緩された筋肉を含み得る。正しい姿勢は、真っ直ぐである全身を含み得る。正しい姿勢によると、身体は、身体の左右に傾くべきではない。頭部または身体は、姿勢が正しいときに頭部の最も高い点に出る見えない糸に取り付けられているか、または吊るされているように見える場合がある。姿勢が正しくないか、または悪い場合、身体は、前後左右に傾き過ぎる場合がある。また、例えば、肩が上下に過剰に引っ張られている可能性もある。さらに、ハンプバックまたはホローバックは、悪いまたは正しくない姿勢であり得る。正しい姿勢は、弛緩された筋肉を示すものである。正しくない姿勢は、緊張または痙攣した筋肉を示すものである。
【0028】
弛緩された姿勢は、様々であり得る。特定の生物は、例えば、先天性の姿勢、または病気、事故もしくは年齢に起因して変化した姿勢を有し得る。また、この変化した姿勢を正しい姿勢と定義し、この変化した姿勢からのずれを姿勢障害または正しくない姿勢と考えることも可能である。また、例えば、先天性姿勢疾患を有する生物がいかなる誤った姿勢データも表示しないように、例えば現在の姿勢または正しい姿勢を較正することも可能である。
【0029】
姿勢は、姿勢データを評価もしくは査定するか、または測定もしくは記録された姿勢データを信号プロセッサ内の基準姿勢データと比較することによって、決定され得る。姿勢を決定することによって、例えば、緊張が身体内または生物の筋肉内に存在するか否かが認識され得る。筋肉の緊張は、首または背中などの、身体の様々な部位に痛みを引き起こし得る。姿勢データは、問題が対処または解決されることを必要とする場所を正確に示し得る。
【0030】
特定の筋肉またはいくつかの筋肉が緊張していることが姿勢に基づいて認識される場合、これらの筋肉は、例えば、エネルギーまたは熱および/もしくは冷たさを供給することによって刺激または弛緩され得る。身体データに応じて、信号プロセッサは、信号を変化させ、それによって、エネルギー源から加熱および/または冷却要素に出力されるエネルギーが制御されることができる。
【0031】
別の好ましい実施形態では、加熱および/または冷却デバイスは、データを送信および/または受信するための無線ユニットを備える。データは、センサデータ、制御データ、ステータスデータ、または他のデータを含み得る。無線ユニットは、制御ユニット上に配置または形成され得る。無線ユニットによって、第1の加熱および/または冷却デバイスは、少なくとも1つの第2の加熱および/または冷却デバイスとデータを交換し得る。しかしながら、無線ユニットはまた、加熱および/または冷却デバイスが、タブレット、携帯電話、またはスマートフォンなどのモバイルデバイスとデータを交換することも可能にする。データは、第1の加熱および/または冷却デバイス上の信号プロセッサと、第2の加熱および/もしくは冷却デバイス上の信号プロセッサ、またはモバイルデバイス上の信号プロセッサとの間で交換され得る。これは、例えば、制御での使い勝手および治療での効率を向上させ得る。
【0032】
好ましい実施形態では、加熱および/または冷却デバイスは、温度データを生成するように設計されている温度センサを備え、信号プロセッサは、温度データに応じて電気エネルギー源の開ループおよび/または閉ループ制御のための開ループおよび/または閉ループ制御信号を生成するように設計されている。温度センサは、加熱および/または冷却デバイス上、例えば、加熱および/または冷却パッド上に配置され得る。温度センサは、皮膚の表面温度、ならびに/または加熱および/もしくは冷却パッドの温度を検出または測定し得る。複数の温度センサはまた、加熱および/もしくは冷却デバイス、または加熱および/もしくは冷却パッド上に配置され得る。温度センサの検出された温度に応じて、電気エネルギー源および/または電流の開ループおよび/または閉ループ制御のための開ループおよび/または閉ループ制御信号が生成され得る。信号プロセッサは、例えば、温度データまたは検出された温度に応じて電流の開ループおよび/または閉ループ制御のために、したがって、加熱および/もしくは冷却エネルギーの出力、または加熱および/もしくは冷却パッドの温度の開ループおよび/または閉ループ制御のために、開ループおよび/または閉ループ制御信号を生成するように設計され得る。それゆえに、加熱および/または冷却パッドの温度は、開ループまたは閉ループ様式で制御され得る。
【0033】
例えば、体温または皮膚の表面温度を測定することは、生物に快適な、暖かい、および/または冷たい体感を提供し得る。さらに、加熱および/または冷却パッドの温度は、最適な治療温度に調整され得る。さらに、これは、加熱および/または冷却パッドの過剰な加熱および/または冷却によって引き起こされる火傷または他の皮膚損傷を防止し得る。
【0034】
生物および皮膚の種類に応じて、加熱および/または冷却パッド上の異なる高温および/または低温は、快適であると知覚され、筋肉の刺激または治癒を引き起こし得る。加熱および/または冷却パッドが十分に加熱および/または冷却されない場合、筋肉は、刺激されないかまたは弛緩されず、それゆえに、例えば、痛みが緩和されないため、生物に対するプラスの効果が存在しない。加熱および/または冷却パッドの温度を検出または測定し、それを目標値または目標温度と比較することによって、最適な温度が、加熱および/または冷却パッド上で生成され得る。温度センサが目標温度よりも低い皮膚上の温度を測定する場合、加熱および/または冷却パッドは、例えば、信号プロセッサによって作動され、電気エネルギーを加熱および/または冷却エネルギーに変換し得る。加熱および/または冷却エネルギーを皮膚に送達することによって、皮膚は、所定の目標温度に加熱および/または冷却され得る。目標温度に達すると、加熱および/または冷却パッド内の加熱および/または冷却エネルギーの変換は、皮膚の温度が再び所定値を下回るかまたは上回るまで、減少または増加する。
【0035】
温度は、好ましくは、皮膚(接着表面)と接触する加熱および/または冷却パッドの表面上で検出される。電流は、加熱および/または冷却パッドの温度に応じて、対応するように制御される。加熱および/または冷却パッドの目標温度が測定された温度よりも高い場合、電流または加熱および/もしくは冷却パッドへの電気エネルギーの送達は、増加され得る。加熱および/または冷却パッドの目標温度が測定された温度よりも低い場合、電流または加熱および/もしくは冷却パッドへの電気エネルギーの送達は、減少され得る。このようにして、所定のまたは最適な温度が、加熱および/または冷却パッドの接着表面上で達成され得る。熱送達は、加熱および/または冷却パッドの表面全体または接着表面もしくはフィルム表面にわたって一定であり得る。
【0036】
実験は、皮膚に接触したときの加熱および/または冷却パッドの温度が、皮膚損傷を避けるために、<60℃、好ましくは<50℃、特に好ましくは<45℃、または加熱の場合に38℃~42℃の範囲内にあるべきであることを示している。同様に、冷却時に、温度は、8℃~15℃の範囲内にあるべきである。例えば、特に小さい子供の場合、温度は、皮膚損傷を避けるために、<40℃であるが、8℃を上回るべきである。筋肉の刺激を達成するために、温度は、>35℃、好ましくは>40℃、特に好ましくは>45℃であるべきである。
【0037】
さらに、加熱および/または冷却パッドの温度に関する健康状態は、当該パッドのサイズに依存し得る。加熱および/または冷却パッドが大きいほど、大きい加熱パッドおよび/または冷却パッドによる皮膚損傷の危険性が大きくなるため、加熱パッドおよび/または冷却パッドが動作する温度が低くなる。加えて、大きい加熱および/または冷却パッドを使用する場合、生物の身体が過熱および/または過冷する危険性がある。
【0038】
別の好ましい実施形態では、電極が、加熱および/または冷却パッドの下面に配置され、信号プロセッサが、筋電図検査による筋肉の緊張および/または皮膚の導電率を測定することによる皮膚抵抗を決定するように設計されている、加熱および/または冷却デバイスは、筋肉の緊張を測定するための筋電図検査電極を備え得る。筋肉の緊張EMGを測定するための電極は、加熱および/または冷却デバイス上に配置され得る。筋電図検査(EMG)は、電気的な筋肉活動を測定するために使用される。皮膚の表面に配置された電極は、1つ以上の筋肉の潜在的な変化を測定するために使用され得る。EMGによる潜在的な変化の測定は、筋肉の緊張に関する情報を提供する。筋肉の緊張に関する情報は、信号プロセッサに提供され得る。信号プロセッサは、電気エネルギー源を制御するために筋肉の緊張に対して調整された制御信号を生成するように設計され得る。筋肉の緊張に関する情報は、筋肉に熱を供給することによって、目標とされる弛緩を達成するために使用され得る。したがって、筋系の緊張が決定されて排除され得る。EMGセンサはまた、皮膚データも識別または記録し得る。筋肉の緊張を検出するための他のセンサは、3Dジャイロセンサ(ジャイロスコープ3D)、加速度センサ、温度センサ、曲げセンサ、または歪みゲージなどの姿勢センサであり得る。
【0039】
加熱および/または冷却デバイスは、皮膚抵抗を検出するための電極を備え得る。加熱および/または冷却デバイスは、個人の皮膚抵抗を検出するように設計されている皮膚抵抗センサを備え得る。信号プロセッサは、電気エネルギー源を制御するため、またはエネルギー源から加熱要素に出力されるエネルギーを制御するために、皮膚抵抗に対して調整された制御信号を生成するように設計され得る。皮膚抵抗を検出することは、例えば、その個人がどの程度汗をかいているかを決定し得る。加熱および/または冷却デバイスはまた、水分または皮膚水分を検出するためのセンサを備え得る。そのような水分センサは、例えば、測定される水分に応じて、それらの電気抵抗を変化させる。したがって、電気エネルギー源による電気エネルギーの出力、したがって、加熱および/または冷却デバイスからの熱送達は、皮膚抵抗、または生物の発汗もしくは蒸散の強度に応じて制御または変化され得る。
【0040】
皮膚抵抗を決定するために、本体と接触する2つの電極間のインピーダンスも測定され得る。インピーダンスもまた、皮膚の表面上の汗に依存する。信号プロセッサは、インピーダンスを決定または測定するように設計され得る。信号プロセッサは、エネルギー源から加熱および/または冷却要素に出力されるエネルギーを制御するためのインピーダンスに対して調整された制御信号を生成するように設計され得る。
【0041】
別の好ましい実施形態では、加熱および/または冷却パッドの接着表面は、接着剤および/または接合要素を含む。感圧接着剤は、接着剤が固形化機構を有していないという利点を提供し、つまり、接着剤が恒久的接合を形成しないことを意味する。これは、加熱および/または冷却パッドが、使用後にユーザの身体または皮膚の表面から脱着され、必要に応じて生物の身体に再取り付けされ得ることを意味する。
【0042】
好ましい実施形態では、接着剤は、ゲル状である。加熱および/または冷却パッドの接着表面上の接着剤が、ゲル状接着剤を含んでもよく、または接着剤の粘度が、ゲル状であってもよい。ゲル状物質は、皮膚の表面などの不均一な表面に良好に適応され得、広いエリアにわたってそれらと接触し得る。広いエリアと接触することによって、加熱および/または冷却エネルギーは、加熱および/または冷却パッドから生物の身体に容易に伝達され得る。
【0043】
別の好ましい実施形態では、加熱および/または冷却パッドは、使い捨て要素であり、制御ユニットは、再利用可能要素である。加熱および/または冷却パッドは、個人の身体または皮膚に付着し得る。衛生上の理由(汗、身体の脂)、または、例えば、異なる個人が加熱および/または冷却デバイスを使用するため、もしくは接着剤の接着効果が一定時間後に消耗するため、加熱および/または冷却パッドは、一定の使用期間後、または一定の使用回数の後に廃棄され得る。
【0044】
制御ユニットは、必要に応じて再利用され得る電子機器または様々な電子要素を備え得る。加熱および/または冷却パッドは、摩耗後に制御ユニットから取り外され、新しい加熱および/または冷却パッドに交換され得る。制御ユニットを再利用し、生物の皮膚と接触することになる加熱および/または冷却パッドのみを交換することによって、加熱および/または冷却デバイスの運用コストが低減され得る。
【0045】
別の好ましい実施形態では、加熱および/または冷却デバイスは、電気エネルギー源によって放出される電気エネルギーを、個人の身体に伝達されることができる機械エネルギーに変換するように設計されている振動発生器を備える。振動発生器は、例えば、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、それを振動の形態で身体に送達し得る。振動発生器は、例えば、シャフト上に非対称に配置された質量体(アンバランス)を有する電気モータを有し得る。電気エネルギーによって電気モータのシャフトが駆動されると、シャフトに接続された質量体が回転し始める。回転質量体がアンバランスを生み出し、それが機械振動または機械エネルギーを引き起こす。アンバランスは、シャフトの回転軸に対する質量体の剪断点のオフセットによって生み出される。生物の身体との加熱および/または冷却デバイスの接触によって、機械エネルギーは、生物の皮膚または身体に伝達され得る。
【0046】
機械エネルギーは、とりわけ、質量体またはアンバランス、および電気モータまたは電気モータのシャフトの回転速度に依存する。アンバランスが大きいほど、機械エネルギーがより発生する。加えて、質量体または電気モータのシャフトの回転速度が大きいほど、発生する機械エネルギーが大きい。
【0047】
機械エネルギーを生物の身体に伝達することによって、その個人は、振動を知覚し得る。これらの振動は、生物に正しくない姿勢を知らせるか、または正しくない姿勢を合図し得る。振動に起因して、生物は、意識することができ、例えば、自身の意識的な観察を通じてその姿勢を改善することができる。したがって、悪い姿勢は、振動によって合図され得る。悪い姿勢はまた、例えば、悪い姿勢に近い加熱および/または冷却デバイスによって合図され得る。加えて、生物はまた、例えば、モバイルデバイスのディスプレイ上で、加熱および/または冷却デバイスからの情報の出力によって、生物に正しくない姿勢または姿勢の改善について知らされ得る。振動によって、生物は、例えば、姿勢を改善するための身体運動(体操)を促され得る。
【0048】
さらに、実施形態は、生物の身体に加熱および/または冷却エネルギーを送達するためのシステムを形成する。システムは、身体の筋肉の弛緩を促進し得る。システムは、説明される実施形態による少なくとも1つの第1の加熱および/または冷却デバイスと、第1の加熱および/または冷却デバイスとデータを交換するのに好適である、説明される実施形態による少なくとも1つの第2の加熱および/もしくは冷却デバイスならびに/またはモバイルデバイスと、を備える。実施形態では、システムは、第1の加熱および/または冷却デバイスから第2の加熱および/または冷却デバイスにデータを送信および/または受信するように設計され得る。したがって、加熱および/または冷却デバイスは、互いにデータを交換し、ネットワークを形成し得る。加熱および/または冷却デバイスはまた、データをモバイルデバイスに送信するように、および/またはモバイルデバイスからデータを受信するように設計され得る。モバイルデバイスは、携帯電話、またはスマートフォン、またはタブレット、または生物の身体に加熱および/もしくは冷却エネルギーを送達するように特別に設計されたモバイルデバイスであり得る。したがって、ネットワークもまた、形成され得る。データは、センサデータ、姿勢データ、制御データ、または加熱および/もしくは冷却デバイスの動作に不可欠な他のデータであり得る。加熱および/または冷却デバイスはまた、ケーブルを介して互いに接続されてもよい。
【0049】
さらに、実施形態による加熱および/または冷却デバイスを制御するための方法が提供され、方法は、生物の身体に加熱および/または冷却エネルギーを送達することが意図される。加熱および/または冷却デバイスは、制御ユニットと、生物の身体に接続されることができ、かつ加熱および/または冷却要素が設けられている加熱および/または冷却パッドと、を備え、制御ユニットおよびパッドが、互いに電気的かつ機械的に接続され、制御信号が、制御ユニットによって生成され、その制御信号によって、エネルギー源から加熱および/または冷却要素に出力されるエネルギーが制御されることができる。
【0050】
加えて、姿勢センサは、個人の姿勢を測定し、制御ユニット内で当該姿勢を決定するために使用され得、その姿勢から、開ループおよび/または閉ループ制御信号は、姿勢が矯正されるように熱出力を制御するために計算され得る。
【0051】
コンピュータプログラムがコンピュータまたはプロセッサ上で動作したときに上記の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムもまた、提供される。
【0052】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】平面図での加熱および/または冷却デバイスの第1の実施形態の概略図である。
図2】平面図での3つの接続要素を有する加熱および/または冷却デバイスの第2の実施形態の概略図である。
図3a】接続された加熱および/または冷却パッドならびに制御ユニットを含む、側面図での加熱および/または冷却デバイスのさらなる概略図である。
図3b】分離された加熱および/または冷却パッドならびに制御ユニットを含む、側面図での加熱および/または冷却デバイスのさらなる概略図である。
図4】分離された加熱および/または冷却パッドならびに制御ユニットを含む、横断面図での加熱および/または冷却デバイスのさらなる概略図である。
図5a】複数の加熱および/または冷却デバイスを含む、正面図での個人を示す。
図5b】複数の加熱および/または冷却デバイスを含む、背面図での個人を示す。
図6】様々な加熱および/または冷却デバイスによって生物の身体に加熱および/または冷却エネルギーを送達するためのシステムを示す。
図7】モバイルデバイスによって生物の身体に加熱および/または冷却エネルギーを送達するためのシステムを示す。
図8a-8c】姿勢を改善するための図を含むモバイルデバイスを示す。
【0054】
図面の説明
本発明の実施形態の以下の説明では、図中の同一または同等の要素は、異なる実施形態のそれらの説明が互換可能であるように、同じ参照符号を提供される。
【0055】
図1は、生物の身体28に加熱および/または冷却エネルギーを送達するための加熱および/または冷却デバイス10の第1の実施形態の平面図の概略図である。加熱および/または冷却デバイス10は、個人の身体28に接続され、かつ上面および下面を有し得る加熱および/または冷却パッド12を備え、その下面上に、接着表面1210が、加熱および/または冷却パッド12を個人の皮膚の表面に取り付けるために設けられている。接着表面1210は、加熱および/または冷却パッド12の第1の表面上に形成され得る。接着表面1210は、生物の皮膚の表面と接触し得る。接着表面1210が個人の皮膚の表面と接触すると、加熱および/または冷却パッドの接着表面は、個人の皮膚に付着するかまたは接着するべきである。接着表面1210は、それが皮膚の表面に接触する前に、例えば、汚れまたは偶発的な取り付けに対して、接着剤の保護層で保護され得る。この保護層は、皮膚に取り付ける前に取り除かれる。
【0056】
使用される接着剤は、肌に優しい特性を有するべきである。これは、接着表面1210または接着剤が、皮膚を損傷させるべきではないか、または刺激するべきではないことを意味する。さらに、例えば、加熱および/または冷却パッド12の使用後、接着表面1210を皮膚から容易に取り除くことが可能であるべきである。接着表面1210は、再利用可能であるべきである。
【0057】
接着剤は、好ましくは感圧接着剤を含み得る。感圧接着剤は、接合機構を有していない。これは、担体材料に適用された後、高い粘度、かつ恒久的に粘着したままであり、接触圧力によって、対応物、例えば、皮膚に適用され、そこに接着されたままになることを意味する。加熱および/または冷却パッド12の接着表面1210上の接着剤は、ゲル状であり得る。加熱および/または冷却パッド12の接着表面上の接着剤は、高粘度であり得る。加熱および/または冷却パッド12の接着表面上の接着剤は、ゲル状の粘度を有し得る。ゲル状接着剤は、皮膚のひだまたは凹凸に容易に入り、したがって、良好な接着接触を提供する。接着剤は、良好な熱伝導率を有するべきである。良好な熱伝導率ならびに加熱および/または冷却パッド12と皮膚の表面との間の良好な熱接触は、加熱および/または冷却エネルギーが、加熱および/または冷却パッド12から個人の身体28または個人の皮膚に容易に伝達され得ることを意味する。
【0058】
加熱および/または冷却パッド12は、電気エネルギー源22によって供給される電気エネルギーまたは電流を、加熱および/もしくは冷却エネルギーまたは熱エネルギーに変換する、少なくとも1つの加熱および/または冷却要素26を備え得る。加熱および/もしくは冷却要素または加熱および/もしくは冷却パッド12は、加熱および/または冷却エネルギーを個人の身体28に送達または伝達するように設計され得る。加熱および/または冷却要素26は、電気エネルギーを加熱エネルギーに変換することによって加熱され得る。加熱エネルギーまたは熱エネルギーへの電気エネルギーまたは電流の変換は、例えば、電気抵抗器(R)または電気加熱要素によって達成され得る。発生する熱エネルギーは、使用または出力される電気エネルギーに、ほぼ比例する。
【0059】
加熱および/または冷却エネルギーは、温膏の場合と同様に、個人の身体28に送達され得る。加熱および/または冷却エネルギーの送達の結果として、収縮した筋肉は、特に良好に弛緩し得る。熱の送達は、筋肉内の血管を拡張させ得、したがって、筋肉内の血行を促進し得る。改善された血行に起因して、筋肉を塞ぐ有害物質もまた、筋肉から流れ出し得、筋肉が再生し得る。筋肉を弛緩させることによって、痙攣が解放され、痛みが軽減される。
【0060】
加熱および/もしくは冷却要素26、または電流を熱および/もしくは冷たさに変換する電気抵抗器は、加熱および/または冷却パッド12上に中央に配置され、金属などの熱伝導性の良い材料を介して加熱および/または冷却パッド12上に加熱および/または冷却エネルギーを分散させ得る。加熱および/または冷却要素26はまた、加熱および/または冷却パッド12上に平坦に配置され得る(破線によって図1に示される)。このようにして、電気エネルギーは、加熱および/または冷却パッド12上のより広いエリアにわたって加熱および/または冷却エネルギーに変換される。加熱および/もしくは冷却パッド12または加熱および/もしくは冷却要素26は、加熱フィルム、ワイヤ、ワイヤメッシュ、またはワイヤ生地を含み得る。これらは、例えば、ほぼそれらの表面全体にわたって一定の熱および/または冷却を放出し得る。
【0061】
図10は、制御ユニット14と加熱および/または冷却支持体12(図示せず)との間の複数の電気構成要素および1つ以上の電気接続要素18a、18bを含む制御ユニット14の一実施形態の概略図である。閉ループ/開ループ制御ユニット14は、以下のテキストでは制御ユニット14と称されることになる。当該ユニットは、以下を備える:
-エネルギー源22。エネルギー源22は、固定されたまたは脱着可能な様式のいずれかで制御ユニット14内に収容され得る。しかしながら、エネルギー源22はまた、外部に配置されたエネルギー源22、例えば、ケーブルを介して、または、例えば、誘導性もしくは容量性エネルギー伝達によって、制御ユニット14内に収容される、電力供給システムとすることもできる。再充電可能なバッテリがエネルギー源22として使用される場合、制御ユニット14はまた、好適な充電回路104も備え得る。
-制御ユニット14の動作に関連する信号を受信するように構成されている、信号プロセッサ16としての信号処理手段。これらの信号38、107、116、117のうちのいくつかは、電気的であり、かつ制御ユニット14の外側から入ってきてもよく、その場合、信号は、電気コネクタ18を通してガイドされ得る。信号117は、デジタルであってもよく、その場合、それらは、信号プロセッサ16によって直接処理され得る。いくつかの信号プロセッサ16は、アナログ信号を直接処理することができる場合があるが、ほとんどの場合、アナログ-デジタル変換器(ADC)108が、外部アナログ信号38、107、116を処理して、それに応じてそれらを変換または調整するために使用され得る。
-コントロールまたはマイクロコントローラ110。これは、図10に示されるように、別個の構成要素であってもよく、または信号プロセッサ16と組み合わせられてもよい。マイクロコントローラ110は、制御ユニット14の動作を制御するように構成および配置され、特に、制御ユニット14は、1つ以上の電気コネクタ18を介してエネルギー源22から1つ以上の加熱および/または冷却要素26に出力されるエネルギーを制御するように構成され得る。いくつかのマイクロコントローラ110は、1つ以上の加熱および/または冷却要素26に適切な電流および/または適切な電圧を直接提供することができるが、ほとんどの場合、別個のパルス幅変調(PWM)、例えば、パルス幅変調器112によるPWM制御が使用され得る。そのような場合、マイクロコントローラ110は、皮膚を30℃まで2分間加熱すること、室温に冷却すること、1分間繰り返すことなどの治療指示を提供し得、電力制御は、次いで、任意の好適な制御アルゴリズム、例えば、PIDコントローラの伝達関数を使用して1つ以上の加熱および/または冷却要素26を動作させるように構成され得る。
-任意選択的に、ディスプレイ101が、皮膚温度、バッテリ22のステータス、または動作モードなどの重要なパラメータをオペレータに知らせるために提供され得る。
-任意選択的に、振動発生器42が、加熱および/または冷却以外の刺激を提供する手段として制御ユニット14内に含有され得る。これらの追加の手段は、示されるように制御ユニット14内、またはこれらの追加の刺激手段114に電力を提供するための電気コネクタ18を使用して制御ユニット14の外側に設けられ得る。
-任意選択的に、皮膚に対する高温誘発および/または低温誘発損傷を防止するための1つ以上の皮膚温度センサ38。信号処理手段16およびコントロール110は、パッド12の近くの皮膚が十分に熱過ぎない、および/または冷た過ぎない場合のみ、治療段階中に熱および/または冷たさを提供するように構成され得る。例えば、1つ以上の加熱要素26に電力を供給する前に、パルス幅変調器112からの電流信号が、まず、皮膚が閾値温度を下回っているか否かをチェックするために使用され得る。加熱治療を開始した後、皮膚温度は、連続的に監視され得、治療は、皮膚温度が事前設定された閾値を超える場合、停止され得る。例えば、1つ以上の冷却要素26にパルス幅変調器112からの電流信号を供給する前に、まず、皮膚が閾値温度を上回っているか否かがチェックされ得る。冷却治療が開始されると、皮膚温度は、連続的に監視され得、治療は、皮膚温度が所定の閾値を下回って下がった場合、停止され得る。これらは、ユニット14の外側に示されるが、熱撮像カメラまたは皮膚に面する開口部を含むユニット14の内側に取り付けられた光学温度検出器などの、他の選択肢もまた、ユニット14の内側で使用され得る。一般的に、約42~43℃の最高温度が、皮膚への熱損傷を避けるために指定される。この目的のために、治療中の典型的な値は、約8℃~15℃、好ましくは同様に最大20℃である。これらの値は、治療が適用される身体上の位置に応じて変化し得、個々に依存する。
-任意選択的に、複数の皮膚検出センサ107のうちの1つ。信号処理手段16およびマイクロコントローラベースのコントロール110は、パッド12が皮膚表面と十分に接触している場合のみ、治療ステップ中に熱および/または冷たさを提供するように構成され得る。例えば、1つ以上の加熱および/または冷却要素26に電力を供給する前に、測定値107が、まず、皮膚との十分な接触を確保するために取得され得る。治療が開始されると、皮膚接触は、連続的に監視され得、治療は、皮膚接触の程度が所定の閾値を下回って下がった場合、停止され得る。ユニット14の外側に示されるが、ユニット14内の容量検出器などの、ユニット14内の他の選択肢もまた使用され得る。1つ以上の皮膚温度センサ38はまた、皮膚検出センサとしても構成され得る。
-任意選択的ではあるが、好ましくは、安全監視および保護デバイス109。動作中の所定の条件下で、信号処理手段16およびコントロール110は、例えば、上述のように、皮膚温度が所定の範囲外である場合、または皮膚接触の程度が所定の閾値を下回っている場合、1つ以上の加熱および/または冷却要素26に供給される電気エネルギーを変化、またはさらに停止するように構成され得る。任意選択的に、電流、電圧、エネルギーおよび/または電力モニタ113が、皮膚に対する適用量を決定するために提供され得、適用量が所定値を超える場合、パルス幅変調器112の電流信号の電力は、変化されるか、またはさらに停止され得る。任意選択的に、ユニット14は、事前設定された限界および範囲を記憶するメモリを備え得、ユーザがこれらの限界および範囲を変化させるかまたは調整することを可能にすることが有利であり得る。任意選択的に、エネルギー源22の温度またはエネルギー源22の電荷状態などの内部パラメータもまた監視され得、例えば、信号処理手段16およびコントロール110は、治療を完了するために十分なエネルギーがエネルギー源22に存在しない場合、治療を停止または阻止するように構成され得る。
-任意選択的に、1つ以上の姿勢センサ、1つ以上のEMG(筋電図検査)センサ、1つ以上の曲げセンサ、1つ以上の3Dジャイロセンサ、1つ以上の加速度センサ、または1つ以上の歪みゲージなどの、追加のセンサ116、117。
【0062】
信号プロセッサ16は、電源のコントロール110に制御信号を生成するように設計され得る。信号プロセッサ16は、1つ以上の信号源38、107、116、117、例えば、姿勢センサ、温度センサ38または他のセンサから信号を受信して処理するように設計され得る。信号プロセッサ16は、制御信号を生成し得、それによって、電気エネルギー源が制御されるかまたは身体もしくは筋肉へのエネルギー供給もしくはエネルギー送達が制御される。信号プロセッサ16は、処理手段またはコンピューティングユニットを備え得る。信号プロセッサ16はまた、信号を部分的に処理するかまたは全く処理せず、例えば、モバイルデバイス内の別の信号プロセッサ、あるいは別の加熱および/もしくは冷却デバイス10または制御ユニット14に処理するための信号を転送し得る。信号プロセッサ16は、例えば、無線信号を単に受信および/または送信し得る。
【0063】
加熱および/または冷却要素26は、電気エネルギー源22から直接電流を受信し、生物の皮膚に加熱および/または冷却エネルギーを送達するように設計され得る。加熱および/または冷却要素26はまた、信号プロセッサ16およびマイクロコントローラ110を介して電気エネルギー源22から電流を受信し、加熱および/または冷却エネルギーを個人の皮膚に送達するように設計され得る。加えて、信号プロセッサ16は、電気エネルギー源22を制御する(110)ための制御信号を加熱および/または冷却パッド12に送信し得、加熱および/または冷却パッド12は、信号を電気エネルギー源22に送信し、電気エネルギー源22から電気エネルギーを受信し得る。
【0064】
電気エネルギー源22ならびに加熱および/または冷却要素26は、加熱および/または冷却パッド12を1分未満、好ましくは20秒未満、特に好ましくは5秒未満で20Kだけ加熱するように設計され得る。加熱および/または冷却パッド12の加熱は、火傷などの皮膚損傷を避けるために温度センサ38によって監視され得る。温度センサ38は、例えば、加熱および/または冷却パッド12上に配置され得、加熱および/または冷却パッド12の温度を監視し得る。信号プロセッサ16は、例えば、温度センサ38からの測定された値を処理し、温度センサ38で測定された値または測定された温度値に応じて、加熱および/または冷却パッド12がより加熱されるべきである場合、より多くの電気エネルギーが加熱および/または冷却パッド12に供給され、かつ加熱および/または冷却パッド12がより少なく加熱されるべきであるかまたは全く加熱されるべきではない場合、より少ない電気エネルギーが加熱および/または冷却パッド12に供給されるか、または電気エネルギーが加熱および/または冷却パッド12に供給されないように、電気エネルギー源22を制御するための制御信号を変化させる。温度センサ38はまた、個人の皮膚温度または体温を測定し、体温に応じて、皮膚温度または体温が所定の値を下回って下がるとすぐに、加熱および/または冷却デバイス10が個人を温めるように、上記のように電気エネルギーを制御し得る。
【0065】
皮膚が加熱および/または冷却されるまでの時間は、以下を含むいくつかのパラメータに依存する:
-加熱および/または冷却パッド12が所望される温度に達するまでに掛かる時間、ならびにパッド12と隣接する皮膚との間の熱伝達速度。
-パルス幅変調電力制御112の電流、電圧およびエネルギー出力。
-エネルギー源22の最大電流、最大電圧および最大エネルギー出力。
-加熱および/または冷却要素26の種類。
-加熱および/または冷却要素26の寸法。
-加熱要素26について、加熱導体の抵抗および寸法(好適な金属は、銅、アルミニウム、プラチナもしくはクロムまたはこれらの金属の合金を含む)。
-加熱要素26について、加熱導体の密度(距離)。1つ以上の抵抗加熱要素がパッド12の中心から接続される実施形態では、パッドの中心部は、パッドの縁よりも速く加熱する可能性が高くなる。
-サービス制御プロファイル、例えば、PID制御は、通常、実際の値と目標値との間の誤差に基づく。しかしながら、初期加熱および/または冷却は、開始時にPIDコントローラの閾値を超えることによって加速され得る。例えば、所望される値は、1または2℃だけ増加され得、目標値が実際に42℃である場合、加熱要素は、44℃またはさらに45℃のオーバーシュート値が与えられ得る。安全上の理由から、通常、皮膚温度は、42℃または43℃で最大であるが、5秒以下で45℃などの、より高温が非常に短期間に関して許容され得る。適切な最適化によって、パッド12の中央付近の最大42℃の温度が20秒以内で達成された。
【0066】
電気エネルギー源22は、例えば、バッテリまたはアキュムレータなどのモバイル電気エネルギー源とすることができる。バッテリまたはアキュムレータは、電気エネルギーまたは電流を放出し得る。アキュムレータは、追加のエネルギー源22および充電回路104を介して電気エネルギーを用いて充電または再充電され得る。電気エネルギー源22はまた、公衆電力供給システムであってもよく、この場合、例えば、電力供給システムの電圧は、加熱および/または冷却デバイス10に供給される前に、電力供給ユニットを介して低減され得る。
【0067】
加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14は、少なくとも1つの電気コネクタ18であって、それを介して、電気エネルギーが加熱および/または冷却要素26に送信されることができる、少なくとも1つの電気コネクタ18と、少なくとも1つの磁気コネクタ20と、によって、互いに電気的かつ機械的に接続されることができる。
【0068】
電気接続要素18aは、制御ユニット14から加熱および/または冷却パッド12上に形成される相補的な電気接続要素18bに電気エネルギーまたは電流を伝達するために制御ユニット14上に配置され得る。電気コネクタ18は、電気エネルギー源、信号プロセッサ16、または、例えば、電気エネルギー源22を制御110するための制御信号を受信する制御要素に接続され得る。電気コネクタ18は、例えば、電気プラグおよび電気ソケットとして、または磁石の形態で設計され得る。電気接続要素18a、18bは、好ましくは金属製である。電気接続要素18a、18bはまた、低接触抵抗を有するかまたは酸化しない別の金属(例えば、金)でコーティングされてもよい。電気コネクタ18は、電気エネルギーの伝達のために制御ユニット14上ならびに/または加熱および/もしくは冷却パッド12上に機械的に固定的に配置され得る。電気コネクタ18はまた、可撓性ケーブルを介して制御ユニット14ならびに/または加熱および/もしくは冷却パッド12に接続されてもよい。
【0069】
少なくとも1つの機械接続要素20aは、制御ユニット14上に配置され得る。制御ユニット14上に配置された機械接続要素20aに加えて、相補的な機械接続要素20bが、加熱および/または冷却パッド12上に配置され得る。機械接続要素20bは、加熱および/または冷却パッド12上の接着表面とは反対側の上面上で加熱および/または冷却パッド12上に配置され得る。制御ユニット14上の機械締結要素20aは、締結要素20a、20bが容易に接続されるように、加熱および/または冷却パッド12上の機械締結要素20bの位置と位置合わせされるべきである。
【0070】
機械コネクタ20a、20bによって、制御ユニット14および加熱および/または冷却パッド12は、容易に組み合わせられて、加熱および/または冷却デバイス10を形成し得る。逆に、加熱および/または冷却デバイス10は、磁気コネクタ20によって、実施形態による加熱および/または冷却デバイス10での使用のための制御ユニット14と、実施形態による加熱および/または冷却デバイス10での使用のための加熱および/または冷却パッド12とに分割または分離され得る。図1では、制御ユニット14ならびに加熱および/または冷却パッド12は、2つの磁気コネクタ20によって接続される。
【0071】
加熱および/または冷却パッド12は、1回以上、約10回、または約20回もしくは30回使用された後に交換され得る使い捨て要素であり得る。一方、これは、加熱および/または冷却パッド12が個人の身体または個人の皮膚に直接付着され、多くの身体の汗および脂と接触する場合があるため、衛生面での利点を有する。一方、接着効果が低下すると、加熱および/または冷却パッド12の接着表面は、加熱および/または冷却パッド12を交換することによって交換されて、再び個人の身体28に対する加熱および/または冷却デバイス10の良好な接着効果を達成し得る。また、例えば、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する加熱および/または冷却要素26に関して、使用済みの加熱および/または冷却パッド12から取り外され、別の新しい加熱および/または冷却パッド12に挿入されることも可能である。加熱要素26または加熱および/もしくは冷却パッド12上のセンサを再利用することによって、コストおよびリソースが節約され得る。
【0072】
制御ユニット14は、再利用可能要素であり得る。制御ユニット14は、例えば、信号プロセッサ16、無線ユニット、電気エネルギー源22、または他の電子機器を備え得る。制御ユニット14は、容易に再生利用することができ、かつ/または高価もしくは価値のある構成要素を含む場合がある。加熱および/または冷却デバイス10のインテリジェンスに寄与する全てのインテリジェンスまたは構成要素は、制御ユニット14上に配置され得る。制御ユニット14は、必要に応じて頻繁に再利用され、したがって、コストおよびリソースを節約し得る。
【0073】
制御ユニット14は、加熱および/もしくは冷却デバイス10が着用されているとき、またはそれが生物の身体28に取り付けられているとき、制御ユニット14が個人の皮膚と直接接触しないような手段で、加熱および/または冷却パッド12上に配置され得る。これは、例えば、汗または身体の脂による制御ユニット10の不衛生な汚染を少なくする。
【0074】
電気コネクタ18は、制御ユニット14に接続された第1の電気接続要素18aと、加熱および/または冷却パッド12に接続された第2の接続要素18bと、を有する。磁気コネクタ20は、制御ユニット14に接続された第1の機械コネクタ20aと、加熱および/または冷却パッド12に接続された第2の機械コネクタ20bと、をさらに備える。第1および第2の機械接続要素20a、20bは、それぞれ、対応する第1および第2の電気接続要素18a、18bを備え得る。機械接続要素20a、20bは、電流の伝達のための電気接続要素18a、18bを備え得る。言い換えると、電流の伝達のための電気接続要素18a、18bは、例えば、機械接続要素20a、20b内に組み込まれ得る。機械接続要素20a、20bはまた、例えば、電流を伝達するための電気接続要素18a、18b内に組み込まれ得る。例えば、対応する対応物または金属磁石を有する金属プッシュボタンは、機械接続要素20a、20b、および電流を伝達するための電気接続要素18a、18bの両方として使用され得る。
【0075】
加熱および/または冷却デバイス10の実施形態は、スマート温膏として自己接着性であり得、加熱および/または冷却パッド12内の加熱および/または冷却要素として、エネルギーによって40℃~42℃の治療熱に数秒以内に加熱され得る加熱フィルムまたはワイヤメッシュを含む。
【0076】
加熱および/または冷却パッド12の自己接着性フィルムは、数回、好ましくは20~30回使用され得る。さらに、本発明の実施形態で、加熱および/または冷却パッド12が、一時的なタトゥーと同様の様式で適用され得、かつ一晩または数日間皮膚上に残り得るように、特に皮膚に優しい接着剤が自己接着性フィルムに使用される場合、本発明の文脈で特に有利であることが実証されている。これは、治療が必要とされるときのみ、加熱および/または冷却パッド10の他の構成要素が加熱および/または冷却パッド12上に配置され得、治療後に再び取り除かれ得るため、特に有利である。
【0077】
図2は、3つの機械接続要素20a、20bを有する加熱および/または冷却デバイス10を示す。加熱および/または冷却デバイス10は、少なくとも3つの機械接続要素20a、20bを備え、3つの機械接続要素20aが、制御ユニット14上に形成されており、3つの相補的な機械接続要素20bが、加熱および/または冷却パッド12を制御ユニット14に接続するために反対側の同じ場所にある加熱および/または冷却パッド12上に形成されている。機械接続要素20a、20bはまた、電気接続要素18a、18bを備え得る。したがって、機械接続要素20a、20bは、制御ユニット14と加熱および/または冷却パッド12との間に鏡像反転様式で配置され得る。
【0078】
例えば、機械および/または磁気接続要素20a、20bを位置決めすることによって、制御ユニット14が特定の位置または場所のみで加熱および/または冷却パッド12に接続され得るように、位置合わせコーディングが達成され得る(コーディング)。これは、例えば、生物の身体28に着用されるときに加熱および/または冷却デバイス10に作用する特定の力、例えば、垂直力を吸収し易くする。さらに、機械接続要素20a、20bおよび電気接続要素18a、18bの両方を含む接続要素18a、18b、20a、20bのコーディングによって、加熱および/または冷却パッド12を制御ユニット14に接続するときの電気極性逆転の危険性が低減され得る。さらに、3つのペアの接続要素18a、18b、20a、20bによると、2極電源に加えて、制御信号が、第3の接続要素上で送信され得る。2極電源信号上で変調される制御信号の場合、接続要素18a、18b、20a、20bの第3のペアの必要性。しかしながら、3つよりも多い、例えば、4つ以上の機械接続要素20a、20b、および/または電気接続要素18a、20bが、加熱および/または冷却パッド12と制御ユニット14とを接続して、加熱および/または冷却デバイス10を形成してもよい。
【0079】
図3aおよび図3bは、側面図での加熱および/または冷却デバイス10の一実施形態の互いの例示である。図3aは、接続または連結された加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14を有する加熱および/または冷却デバイス10を示す。連結された状態では、制御ユニット14または加熱および/もしくは冷却パッド12に取り付けられている電気または機械および/もしくは磁気接続要素18a、18b、20a、20bの区別を、例示では行うことができない。個人の身体に接続され得る加熱および/または冷却デバイス12は、上面122および下面121を有し、その下面上に、接着表面1210が、加熱および/または冷却パッド12を身体28の皮膚の表面に取り付けるために設けられている。加熱および/または冷却パッド12は、少なくとも加熱および/または冷却要素26を備え、これは、電気エネルギー源22から出力される電気エネルギーを加熱および/または冷却エネルギーに変換し得る。制御ユニット14は、エネルギー源22から加熱および/または冷却要素26に出力されるエネルギーを制御するための信号プロセッサ16を備え得る。
【0080】
図3bは、分離された加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14を有する加熱および/または冷却デバイス10を示す。2つの電気接続要素18aおよび2つの機械接続要素20aが、制御ユニット14上に示されている。機械および/または磁気接続要素20aは、電流を伝達するための電気接続要素18aを取り囲むか、または包囲する。したがって、接続要素は、機械および/もしくは磁気接続要素20aならびに/または電気接続要素18aであり得る。制御ユニット14の接続要素18a、20aに相補的である、電気接続要素18bならびに機械および/または磁気接続要素20bは、加熱および/または冷却パッド12上に配置され得る。機械および/または磁気接続要素20bは、例示では、電流を伝達するための電気接続要素18bを取り囲むか、または包囲する。
【0081】
接着表面1210は、加熱および/または冷却パッド12の下面121または第1の表面121上に形成され得る。電気接続要素18bまたは機械および/もしくは磁気接続要素20bは、反対側の上面122または第2の表面上に配置され得る。加熱および/または冷却パッド12は、次いで、少なくとも加熱および/または冷却要素26を備える。加熱および/または冷却要素26は、電気エネルギー源22によって出力される電気エネルギーを加熱および/または冷却エネルギーに変換し得る。制御ユニット14は、エネルギー源22から加熱および/または冷却要素26に出力されるエネルギーを制御するための信号プロセッサ16を備え得る。
【0082】
図4は、分離された加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14を有する、横断面図での加熱および/または冷却デバイス10の別の概略図である。断面図は、制御ユニット14ならびに加熱および/または冷却パッド12を含み得る様々な要素を示す。
【0083】
電気エネルギー源22は、例えば、制御ユニット14内またはその上に配置または取り付けられ得る。電源22を配置または取り付けることも可能である。これは、電気エネルギー源22が、制御ユニット14に堅固に接続されてもよく、または取り外し可能であってもよいことを意味する。電気エネルギー源22は、加熱および/もしくは冷却パッド12ならびに/または制御ユニット14に電気エネルギーを供給するように設計され得る。これは、加熱および/または冷却デバイス10が、例えば、ソケットに接続されなければならず、かつ個人の運動の自由を制約する、有線電源から独立していることを意味する。モバイル電気エネルギー源22は、例えば、バッテリまたはアキュムレータであり得る。バッテリまたはアキュムレータは、電気エネルギーまたは電流を出力し得る。アキュムレータは、追加のエネルギー源22および充電回路104を介して電気エネルギーを用いて充電または再充電され得る。加熱および/または冷却デバイス10はまた、実施形態のエネルギー供給について、例えば、電力供給ユニットを介して、ソケットに接続され得る。したがって、加熱および/または冷却デバイス10は、外部に配置されたエネルギー源に接続され得る。加熱および/または冷却デバイス10にソケットから電気エネルギーを供給することによって、電気エネルギー源は、交換または再充電されることを必要としない。
【0084】
加熱および/または冷却デバイス10、好ましくは制御ユニット14が、姿勢センサ24を備え得、姿勢センサ24を設計して、個人の姿勢および/または運動を少なくとも部分的に検出し、姿勢データを生成することが可能である。信号プロセッサ16は、姿勢データによって、エネルギー源22から加熱および/または冷却要素26に出力されるエネルギーを制御するように設計され得る。加熱および/または冷却パッド10は、1つの姿勢センサ24のみ、または複数の姿勢センサ24を備え得る。複数の姿勢センサ24は、通常、より精密に姿勢を検出し得る。姿勢センサ24または信号プロセッサ16は、個人が悪いもしくは正しくない姿勢を有するか否か、または姿勢が正しいか、もしくはかなり正しいかを検出し得る。姿勢データは、姿勢に基づいて生成され得る。姿勢データは、姿勢センサ24によって生成されるアナログまたはデジタル電気信号であり得る。信号は、電線上の有線信号またはワイヤレス信号もしくは無線信号として姿勢センサ24から提供または出力され得る。
【0085】
姿勢センサ24は、制御ユニット14上またはその中に配置され得る。姿勢センサ24はまた、皮膚データを使用して姿勢を識別または検出することもできる。姿勢センサ24は、3Dジャイロセンサ(ジャイロスコープ3D)、加速度センサ、温度センサ38、曲げセンサ、EMGセンサ、歪みゲージ、または姿勢を検出するための他のセンサを備え得る。姿勢センサ24は、個人の姿勢を検出するために使用され得る。姿勢センサ24は、例えば、肩もしくは首、または背骨の領域に配置され、個人の姿勢を検出し得る。IvenSens Inc.製のITG-3200などの3Dジャイロセンサまたは3Dジャイロスコープは、3つの軸の運動を検出し、したがって空間中の位置を決定し得る。空間の位置の変化は、Bosch製のBMA400などの加速度センサまたは加速度計センサによって検出され得る。また、上記の2つの機能を組み合わせたセンサ、例えば、Makersan製のMO416.H1XまたはMO416.H13も存在する。
【0086】
曲げセンサ241はまた、好ましくは、制御ユニット14よりも身体の近くに位置決めされる、加熱および/または冷却パッド12上に姿勢センサ24として配置され得る。曲げセンサ241は、特に肩および背骨の領域内の姿勢を検出することができ、背骨の湾曲または肩が上がっていることもしくは下がっていることを容易に検出することができる。曲げセンサ241は、5cm~40cmの長さを有し得る。曲げセンサ241は、好ましくは10cm~30cmの長さを有する。長い曲げセンサ241は、例えば、背骨の領域内に配置され得、尾骨から頚椎までのその全長にわたって当該背骨を検出することができる。さらに、曲げセンサ241は、例えば、左腕から右腕まで、肩の姿勢を検出し得る。曲げセンサ241はまた、左肩および右肩に配置され得る。単一の長い曲げセンサ241の代わりに、例えば、1cm~5cm、好ましくは2cm~3cmの長さを有する数個のより短い曲げセンサ241が、例えば、説明された点に配置されてもよい。Spectra Symbo製のSEN-10264などの曲げセンサ241が、背骨の湾曲、または、例えば、肩が上がっていることもしくは下がっていることを検出するために使用され得る。曲げセンサは、長さ7.3cm、幅6.3mmの細片である。静止時に印加される抵抗は、25kオームである。センサが曲がるほど、抵抗がより大きくなり、最大125kオームになり得る。
【0087】
これは、姿勢センサ24が、例えば、姿勢の変形を検出するために使用され得ることを意味する。姿勢に関する変形は、例えば、ハンプバック、ホローバック、肩の緊張、または肩もしくは背中の位置ずれである。個人の姿勢は、次いで、様々な姿勢センサの測定された値から決定され得る。
【0088】
加えて、制御ユニット14は、信号プロセッサ16を備え得る。信号プロセッサ16は、制御ユニット14上またはその中に配置され得る。信号プロセッサ16は、例えば、処理手段または処理ユニットであり得る。処理手段はまた、例えば、特にモバイルデバイス上で、姿勢の改善に特化するデバイスに組み込まれ得る。処理手段はまた、タブレットもしくはスマートフォンまたは別のモバイルデバイスなどの汎用モバイルデバイスに組み込まれ得る。機能が、多くの場合、モバイルデバイス内のソフトウェアを介して提供され得るため、専用または汎用モバイルデバイス間を区別することが、多くの場合不可能である。専用または汎用モバイルデバイスは、通常、少なくとも1つの入力ユニット、ディスプレイ、処理手段、センサ、通信手段、およびエネルギー貯蔵デバイスを備える。
【0089】
姿勢データまたは姿勢センサ24からの信号に応じて、信号プロセッサ16は、姿勢を決定し得る。信号プロセッサ16によって決定される姿勢に応じて、信号プロセッサ16は、電気エネルギー源22を制御するための制御信号を生成し得る。電気エネルギー源22を制御するための制御信号は、次いで、信号プロセッサ16によって生成されるアナログまたはデジタル電気信号であり得る。信号は、電気配線上の有線信号として、またはワイヤレス信号もしくは無線信号として、信号プロセッサ16によって提供または出力され得る。信号プロセッサ16はまた、電気エネルギー源22によって生成または記憶された、多少の電気エネルギーを直接出力し得る。
【0090】
信号プロセッサ16は、姿勢データを受信するように設計され得る。信号プロセッサ16は、信号または電気信号として姿勢データを受信するように設計され得る。信号は、電気配線上の有線信号またはワイヤレスもしくは無線信号であり得る。好ましくは、信号プロセッサ16での信号の受信は、姿勢センサ(複数可)24、241の信号の出力と調整される。
【0091】
加熱および/もしくは冷却パッド10または制御ユニット14は、データを送信および/または受信するための無線ユニット36を備え得る。無線ユニットは、制御ユニット14上に配置され得る。無線ユニット36はまた、例えば、信号プロセッサ16または処理手段の中に組み込まれるかまたは配置され得る。無線ユニット36は、加熱および/もしくは冷却デバイス10ならびに/またはモバイルデバイス間でデータを交換し得る。全ての電子機器(いくつかのセンサを除く)は、制御ユニット14に位置し得る。
【0092】
加熱および/または冷却パッド12は、電気エネルギー源22または信号プロセッサ16から電流を受信するように設計され得る。加熱および/または冷却パッド12は、電気エネルギーまたは電流を伝達し得る電気配線を介して電気エネルギー源22または信号プロセッサ16に接続され得る。加熱および/または冷却パッド12は、温度センサ38、曲げセンサ241、電極40、加熱および/または冷却要素26(加熱フィルム/加熱ワイヤメッシュ)、接着剤および接続要素18b、20bを有する接着表面1210を含み得る。
【0093】
加熱および/または冷却パッド12は、電気エネルギーを少なくとも部分的に熱エネルギーに変換し、それを個人の身体28に送達し得る。送達される熱エネルギーは、筋肉に弛緩または刺激効果をもたらし、その個人の姿勢を改善し得る。
【0094】
1つ以上の加熱および/または冷却パッド12によって身体に送達されるエネルギーは、脂肪組織などの他の身体組織にも影響を及ぼし得る。特に筋肉の収縮は、体内の脂肪組織の燃焼を活性化させ得る。これもまた、個人の健康状態を向上させ、姿勢を改善し得る。
【0095】
例えば、加熱および/もしくは冷却要素26または加熱および/もしくは冷却パッド12内の加熱要素26は、フィルムを備え得、フィルムは、電気エネルギーをほぼその表面全体にわたって熱エネルギーに変換することができる。加熱フィルムとして、例えば、Kapton製のRSフィルムなどの電気的に加熱可能なポリアミドフィルムが使用され得る。加熱フィルムは、一定かつ効果的な熱交換を可能にする。加熱および/または冷却要素26はまた、例えば、電気導体またはワイヤメッシュを含み得、より少ないエネルギー消費量で一定の熱を送達するように設計される。加熱および/または冷却要素26はまた、比較的小さい空間で電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、金属プレートなどの良好な熱導体を介して加熱および/または冷却パッド12内またはその上のより大きい領域にわたって熱を分散させ得る。
【0096】
電極40は、加熱および/または冷却パッド12上に配置され得、信号プロセッサ16は、筋電図検査によって筋肉の緊張を決定するように設計され得る。電極40は、筋肉または筋肉群の電位変化を測定するために使用され得る。信号プロセッサ16は、筋肉の緊張に依存する電気エネルギー貯蔵デバイス22を制御するための制御信号を生成し得る。筋肉が緊張している場合、例えば、加熱および/または冷却デバイス10は、電気エネルギー貯蔵デバイス22から加熱および/または冷却パッド12に電気エネルギーを送達することによって昇温され得る。加熱は、筋肉を刺激し得る。
【0097】
皮膚抵抗もまた、電極40を使用して決定され得る。2つの電極間の電圧を測定することによって、電極40と個人の皮膚との間の導電率、抵抗またはインピーダンスが、例えば、第1の電極40から第2の電極40に流れる電流によって決定され得る。導電率または抵抗値はまた、加熱および/または冷却デバイス10で信号プロセッサ16によって加熱および/または冷却エネルギーを制御する(110)ために使用され得る。
【0098】
加熱および/または冷却デバイス10は、振動発生器42を備え得、これは、電気エネルギー源22によって放出される電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、機械エネルギーを個人の身体に送達するように設計される。機械エネルギーは、振動の形態で個人の皮膚または個人の身体に伝達され得る。振動は、例えば、電気モータおよびアンバランスを含む振動発生器42によって生成され得る。アンバランスの場合、重心は、回転軸上にない。振動発生器はまた、質量体を前後に移動させ、それによって振動を生成するリニアモータであってもよい。振動は、例えば、姿勢の指示を個人に与えるか、またはマッサージによって筋肉を弛緩もしくは解し得る。
【0099】
加熱および/もしくは冷却デバイス10または加熱および/もしくは冷却パッド12はまた、温度センサ38も備え得る。加熱および/もしくは冷却デバイス10または加熱および/もしくは冷却パッド12上の配置に応じて、温度センサ38は、個人の皮膚温度または体温を検出し得る。温度センサ38はまた、加熱および/または冷却パッド12の温度を検出し得る。温度センサ38は、信号プロセッサ16に接続され、温度センサ38の測定された温度値に基づいて、信号プロセッサ16に温度データを提供し得る。温度データに応じて、信号プロセッサ16は、電源22を制御する(110)ための制御信号を生成し得る。したがって、温度センサ38によって検出された温度値に応じて、エネルギー源22から加熱および/または冷却要素26に出力されるエネルギーが制御され得るか、または加熱パッド12に対する電気エネルギー供給が制御され得る。
【0100】
加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14の両方が、図1に丸で図示される。直径80mmの標準ゲルパッドが使用される場合、制御ユニット14は、好ましくは、約60~70mm、好ましくは62~68mmのより小さい直径で設計される。
【0101】
しかしながら、加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14はまた、楕円形または多角形の形状を有してもよい。加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14の両方はまた、例えば、尖っているかまたは丸い角を有する、長方形または正方形の形状を有してもよい。加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14の両方は、任意の形状を有し得る。加熱および/または冷却パッド12ならびに制御ユニット14はまた、異なる形状を有してもよい。例えば、制御ユニット14は、丸くてもよく、加熱および/または冷却パッド12は、細長い長方形形状を有する。
【0102】
図9は、抵抗導体を有する加熱要素26を備える加熱パッド12を示す。図面は、加熱パッドの上面122の上方からの図である。明確化のために、全ての特徴が示されているわけではない。
【0103】
加熱パッド12の全体形状は、丸い角を有する略正方形である。この構成では、8個の略三角形の加熱要素26が提供される:P、Q、R、S、T、U、VおよびW。各々が、中心付近の位置から、パッド12の外周に近い位置まで延在している。8つの加熱要素26の各々は、領域P1、Q1、R1、S1、T1、T1、U1、V1およびW1が存在する、導体同士が比較的近い(短い距離)プレート12の中心付近の部分と、領域P2、Q2、R2、S2、T2、U2、V2およびW2が存在する、導体が比較的離れている(より長い距離)パッド12の外周付近の別の部分と、の2つの部位にさらに分割される。各加熱要素26の部分は、電気的に接続される:P1とP2/Q1とQ2/R1とR2/S1とS2/T1とT2/U1とU2/V1とV2/W1とW2。これは、加熱要素26の各々に電流が印加されると、中心付近の部分が外周部分よりも迅速に加熱されることを意味する。
【0104】
パッド12の中央には、2つのより大きい接続AおよびB、ならびに4つのより小さい接続1、2、3、4の2つの異なるサイズを有する6つの電気接続18bおよび磁気接続20bが存在する。この構成では、18b、20bの接続は、対称軸を有し、それにより、パッド12は、2方向のうちの1つに接続され得る。2つの非常に大きいA、Bの接続(より小さい接続1、2、3、4の直径の約2倍)の使用は、他の配向および考えられる誤接続の可能性が少なくとも低くなり、いくつかの誤接続が不可能になることを意味する。
【0105】
Tと表記される温度センサはまた、中心にあり、このセンサは、皮膚付近の温度38を測定するために構成されて配置される。
【0106】
明確化のために、制御ユニット14は、示されていないが、示されている接続要素18b、20bに対応する、対応する電気接続要素18aおよび磁気接続要素20aを有する。それゆえに、これらの接続は、適切に寸法決めされた磁石をクロム、金またはプラチナなどの導電性金属でコーティングすることによって物理および電気接続を形成する。好適なカバープレート(図示せず)が、加熱パッド12の上側層122上に設けられ得、制御ユニット14の接続18a、20aまたは加熱パッド12の接続18b、20bと同じ寸法を有する開口部を含み、凹部が、接続18a~18bおよび20a~20bの2つの部位を容易に位置合わせさせるために設けられる。
【0107】
必要とされる異なる電気接続の数に応じて、磁気接続要素20a、20bのうちの1つ以上は、純粋に磁気接続として構成され得、電気接続として構成されず、例えば、接続AおよびBは、排他的に磁気20a、20bであり得、一方、1、2、3、4は、磁気20a、20bおよび電気18a、18b、18bの両方であり、制御ユニット14と加熱パッド12との間に4つの異なる電気接続を形成する。
【0108】
最も単純な構成では、全ての加熱要素26は、並列に動作し、2つの電気接続要素18a、18bのみを必要とする。接続要素18a、18bの望ましくない加熱を避けるために、2つ以上の接続が、各チャネルに対して使用され得、例えば、A、1、2が、各加熱要素26の一方側に接続され、B、3、4が、各加熱要素26の他方側に接続される。
【0109】
示される実施形態では、6つの異なる電気接続要素が提供される。各電気接続要素18bを少なくとも2つの加熱要素端子に接続することによって、各加熱要素26内の電気エネルギーを設定および調整することが可能である:
1からA=>加熱要素P(26)
1からB=>加熱要素Q(26)
Aに対して2=>加熱要素R(26)
Bに対して2=>加熱要素S(26)
3からA=>加熱要素T(26)
3からB=>加熱要素U(26)
Aに対して4=>加熱要素V(26)
Bに対して5=>加熱要素W(26)
【0110】
加熱パッド12は、いくつかのアプリケーションの後に処分されなければならないため、コストを低減するために、接続要素、したがってコネクタの数を可能な限り少なく維持することが有用であり得る。
【0111】
図9の構成では、加熱要素26は、加熱パッド12の外周の周囲に延在する異なる連続したセグメント内に位置した。代替的または追加的に、異なる同心加熱要素26が提供され得る。
【0112】
温度センサ38(T)は、センサの種類およびパーキングヒータ26によって供給される制御信号の数に応じて、電気接続18bのうちの2つ以上を使用し得る。
【0113】
抵抗導体がペルチェ素子などの適切に寸法決めされた冷却要素26によって交換されている場合、同様の構成が、冷却パッドにも提供され得る。
【0114】
図5aおよび図5bは、数個の加熱および/または冷却デバイス10が身体28に付着しているかまたは取り付けられている個人を示す。図5aは、正面図で個人を示す。1つの加熱および/または冷却デバイス10は、右および左大腿の各々に配置される。2つの他の加熱および/または冷却デバイス10は、胸部の上に配置される。加熱および/または冷却デバイス10は、身体上の任意の場所に配置または付着されることができる。好ましくは、加熱および/または冷却デバイス10は、痙攣または緊張している、下にある筋肉または筋肉群にわたる皮膚上に配置され得る。加熱および/または冷却デバイス10の熱は、筋肉を弛緩させることを助け得る。加熱および/または冷却デバイス10はまた、身体の全てのトリガ点(例えば、大腿、背中など)で使用され得る。
【0115】
医学では、筋肉の弛緩、血行の改善、滑液の粘度の低下、膠質性結合組織の弾性の改善、および痛みの緩和の効果が熱に起因する。加熱および/または冷却デバイス10は、痛みまたは緊張を、それが発生する場所で抑制または緩和し得る。熱治療は、炎症過程、例えば、炎症性リウマチ(急性再燃)、および身体自体の発熱に伴う急性疾患(局所的な炎症、発赤、過熱、発熱)に使用されるべきではない。
【0116】
加熱および/または冷却デバイス10は、身体28の皮膚の下に位置する収縮した筋肉が刺激されるように、すなわち、加熱および/または冷却デバイス10からの加熱および/または冷却エネルギーが供給され得るように、個人の身体28上に位置決めされるべきである。加熱および/または冷却デバイス10によって、エネルギーまたは加熱および/もしくは冷却エネルギーは、個人の身体28または収縮した筋肉に送達され得る。加熱および/または冷却デバイス10が収縮または緊張した筋肉の上に精密に配置されるほど、エネルギーは、収縮した筋肉により精密に送達され得る。したがって、不必要なエネルギー放出に起因する無駄は、緊張した筋肉が存在しない場所で低減され得、総エネルギー消費量は、エネルギーの効率的な使用によって低減され得る。それゆえに、バッテリは、より長持ちする。好ましくは、加熱パッド10は、エネルギーを可能な限り少ない損失で身体に伝達するために、身体に可能な限り近づけて、または身体に直接配置される。
【0117】
加熱および/または冷却デバイス10は、首または背骨の領域に配置され得る。首および/または背骨の領域では、筋肉の緊張もしくは痙攣または持続的な収縮が頻繁に生じる。加熱および/または冷却デバイス10は、それらを弛緩させる熱エネルギーを患部または筋肉に供給する。したがって、個人の体内の筋肉は、収縮緩和し得る。個人の身体に供給されるエネルギーは、個人の皮膚の下の筋肉の収縮の変化を引き起こし得る。この領域に加熱および/または冷却デバイス10を配置することによって、エネルギーは、緊張を伴う患部に少ない無駄で送達され得る。
【0118】
加熱および/または冷却デバイス10はまた、個人の姿勢に関して結論を導き出すことを可能にするように、身体の部位、例えば、肩もしくは背骨上、または肩もしくは背骨の近くに配置され得る。当然ながら、少なくとも1つの姿勢センサもまた、肩領域および背中領域の各々に位置してもよい。首、肩および背骨の領域は、個人の姿勢を検出するために特に好適である。好ましくは、姿勢センサは、姿勢データの取得時の測定誤差を可能な限り小さく保つために、または測定誤差を避けるために、身体に可能な限り近くに、または身体上に直接位置決めされる。
【0119】
加熱および/または冷却デバイス10はまた、異なる熱治療シナリオ(トリガ点治療)に使用され得る。ここでは、熱は、身体上のトリガ点で送達される。信号プロセッサ(複数可)は、エネルギー源から異なる加熱および/または冷却デバイス10内の加熱および/または冷却要素に出力されるエネルギーを制御するための所定のパターンに従って制御信号を生成し得る。治療中、加熱および/または冷却デバイス10は、短時間加熱され得る。加熱および/または冷却デバイス10の配置、ならびに加熱および/または冷却デバイス10を逐次的に予熱することに起因して、一種の熱波運動が、例えば、個人の身体28上に生成され得る。これは、例えば、ほぼ一直線状の複数の加熱および/または冷却デバイス10が、順々にオンに切り替えられることを意味する。加熱および/または冷却デバイス10を逐次的にオンに切り替えるかまたは予熱することによって、一種の波運動が、個人の身体28上に生成されるか、または加熱および/もしくは冷却デバイス10の調整された予熱は、1つの点から連続するかもしくは広がる熱波の効果を生み出す。この身体への波様の熱送達は、筋肉の特に効果的な弛緩を達成するために使用され得る。第1の加熱および/または冷却デバイス10は、例えば、5分~2時間、好ましくは20分~1時間、電気エネルギーを供給され、したがって、保温され得る。第2の加熱および/または冷却デバイス10は、次いで、同様の期間にわたって電気エネルギーを供給され、したがって、保温される。第1もしくは第3のまたは追加の加熱および/または冷却デバイス10が、次いで、加熱され、再び保温され得る。
【0120】
加熱および/または冷却パッド14は、指定されたエネルギー、例えば、指定された電圧(例えば、5ボルト(V))または指定された電流を連続的に供給され得る。加熱および/または冷却パッド14は、熱を制御する(110)ためのより低い電圧(例えば、3V)もしくはより高い電圧(例えば、7V)または電流を供給され得る。一定の電流または電圧で、当該パッドの加熱のオン/オフ時間(パルス-休止比)を変化させることによって、加熱および/または冷却パッド14を制御することも可能である。例えば、加熱および/または冷却パッド12は、2秒間電気エネルギーを供給され、1秒間電気エネルギーを供給されなくてもよい。加熱および/または冷却パッドの加熱は、エネルギー供給と非供給との間の時間の比率によって制御され得る。最適なパルス-休止比の持続時間は、加熱要素の熱容量に依存し、ミリ秒~数分であり得る。
【0121】
その際、個々の加熱および/もしくは冷却デバイス10または加熱および/もしくは冷却パッチへの熱は、それらの間で自律的かつインテリジェントに制御され得る。これは、各加熱および/または冷却デバイス10が、それ自体の温度を制御するか、または制御コマンドを受信し得ることを意味する。加熱および/または冷却デバイス10は、そのセンサおよび/またはその動作ステータス、例えば、他の加熱および/または冷却デバイス10からデータを通信または受信し得る。熱のインテリジェント分布は、人工知能によって生成され得る。したがって、異なる熱療法シナリオの選択が提供され得る。ソフトウェアおよび/または人工知能は、必要に応じてシステムを拡張および規制するために使用され得る。
【0122】
姿勢または正しくない姿勢に応じて、エネルギーまたは熱および/もしくは冷たさは、特定の時間に加熱および/または冷却デバイスによって不均等またはインテリジェントに分布され得、それにより、加熱および/または冷却パッドの個々の加熱および/または冷却要素は、異なるエネルギー量を同時に供給される。エネルギーはまた、加熱および/または冷却要素が順々にエネルギーを供給されるように、時間変異様式で供給され得る。その結果、痛みが緩和され、緊張を解放され得る。信号プロセッサは、姿勢データに基づいて個人の姿勢を検出し、加熱および/または冷却要素のうちの少なくとも1つへの電流の送達を制御することができるように設計され得る。身体データは、少なくとも1つの姿勢センサによって生成され得る。この身体データは、信号プロセッサに送信され得る。身体データに応じて、信号プロセッサは、制御信号を生成し得、それによって、エネルギー源から加熱および/または冷却要素に出力されるエネルギーが制御されることができる。
【0123】
図6は、異なる加熱および/または冷却デバイス10によって生物の身体に加熱および/または冷却エネルギーを送達するためのシステム30を示す。システム10は、無線ユニット36を有する少なくとも2つの加熱および/または冷却デバイス10を備え得、加熱および/または冷却デバイス10は、データを送信および/またはデータを受信するように設計されている。加熱および/または冷却デバイス10はまた、例えば、互いにならびに/または中央エネルギー源22および/もしくは信号プロセッサ16にケーブルによって接続され得る。加熱および/または冷却デバイス10はまた、例えば、無線リンク32を介して、データ交換のために互いに接続され得る。データは、姿勢データ、温度データ、エネルギー源22を制御するためのデータ、信号処理データ、センサデータ、制御データ、動作データ、または任意の他のデータであり得る。データは、第1の加熱および/または冷却デバイス10から第2の加熱および/または冷却デバイス10に送信され得る。したがって、加熱および/または冷却デバイス10は、互いにデータを交換して、システム30またはネットワーク30を形成し得る。接続は、例えば、無線リンク32を介して、Bluetooth、RF24、RF32、ANTまたはNFC(近距離無線通信)などのピコネットを介して実行され得る。加熱および/または冷却デバイス10はまた、互いに、または電気配線を介して中央コントロールもしくはエネルギー供給に接続され得る。
【0124】
一般に、加熱および/または冷却デバイス10は、図6に示されるように、多くの異なる形状を有し得る。特に、加熱および/または冷却デバイス10は、丸形、楕円形、正方形、または好ましくは刺激される筋肉の形状に適合する任意の他の形状であり得る。
【0125】
図7は、モバイルデバイス34を使用して身体28に加熱および/または冷却エネルギーを送達するためのシステム30を示す。システム30は、少なくとも1つの第1の加熱および/または冷却デバイス10と、少なくとも1つの第2の加熱および/または冷却デバイス10と、モバイルデバイス34と、を備え得る。第1および第2の加熱および/または冷却デバイス10ならびにモバイルデバイス34は、互いにデータを交換することができる。示される加熱および/または冷却デバイス10の各々は、データをモバイルデバイス34に送信するように、および/またはモバイルデバイス34からデータを受信するように設計され得る。加熱および/または冷却デバイス10は、無線ユニット36を介してデータ交換のために、携帯電話34に接続され得る。データは、結果的に、姿勢データ、温度データ、エネルギー源22を制御するためのデータ、信号処理データ、センサデータ、制御データ、動作データ、または任意の他のデータであり得る。データは、加熱および/または冷却デバイス10から、携帯電話34または別の加熱および/もしくは冷却デバイス10に送信され得る。したがって、加熱および/または冷却デバイス10は、携帯電話34または他の加熱および/もしくは冷却デバイス10の間でデータを交換して、システム30またはネットワーク30を形成し得る。接続は、例えば、無線リンク32を介して、Bluetooth、RF24、RF32、ANTまたはNFC(近距離無線通信)などのピコネットを介して形成され得る。携帯電話34の代わりに、スマートフォンもしくはタブレット、または姿勢改善のために特別に設計されたモバイルデバイスを使用することも可能である。加熱および/または冷却デバイス10はまた、例えば、電気回線を介してモバイルデバイス34またはエネルギー供給に接続され得る。
【0126】
スマートフォンまたはタブレットなどのモバイルデバイスを使用して、データは、ソフトウェアアプリケーション(アプリ)を介して受信、評価、表示され得る。信号プロセッサ16はまた、モバイルデバイス34内に部分的または完全に位置し得る。モバイルデバイス34は、例えば、姿勢センサから、モバイルデバイス34のインターフェースを介して姿勢データを受信する信号プロセッサ16を含有し得る。しかしながら、モバイルデバイス34はまた、インターフェースで信号プロセッサ16から処理されたデータを受信し、例えば、当該データを表示または記憶することもできる。モバイルデバイス34はまた、そのインターフェースで、例えば、信号プロセッサ16によって部分的に処理された姿勢データを受信し、追加的に当該データを処理することもできる。
【0127】
アプリは、個人に姿勢改善のための助言を与えるために使用され得る。アプリはまた、個々の加熱および/もしくは冷却デバイス10を手動で制御し、それらにエネルギーを供給するために、または個人が緊張していると知覚し、領域を弛緩するために加熱および/または冷却エネルギーを供給したいと望む身体28上の領域をマークするためにも使用され得る。インテリジェントな自律加熱モードもまた、設定され得る。マイクロコントローラベース、したがって、インテリジェントコントロール110は、記憶されたデータおよびアルゴリズムに基づいて、加熱および/または冷却パッド10の昇温および/または冷却パッド12にエネルギーを供給するかまたは加熱し得る。また、例えば、グラフィックスで線を描画するかまたは変化させることによって、ユーザが熱パターンを定義することも可能である。また、例えば、先天性変形または病気による既存の正しくない姿勢について、システム30を最初に較正することも可能である。この既存の正しくない姿勢からのずれが、次いで、検出されて治療され得る。
【0128】
アプリはまた、個人またはユーザにその姿勢を改善するやり方を、例えば、その姿勢を改善するやり方を図形またはテキストで示すことによって推奨し得る。アプリはまた、例えば、姿勢を改善するために体操の提案を個人またはユーザに与え得る。アプリはまた、例えば、個人が姿勢を改善するのを助ける、インターネットからの情報を個人に提供し得る。さらに、アプリはまた、例えば、フィルムによって、個人の誤った姿勢または改善の提案に関する情報を個人に提供し得る。
【0129】
個人の姿勢の改善は、例えば、加熱および/もしくは冷却デバイス10からの振動または電気インパルスによって、またはモバイルデバイス34上のディスプレイ101によって、悪い姿勢を個人に知らせることによって、個人の姿勢を意識的に変化させることによって達成され得る。しかしながら、姿勢の改善または正しくない姿勢の矯正は、加熱および/または冷却パッド10からエネルギーを供給することによって、個々の筋肉または筋肉群を弛緩させることによって、個人に対して無意識に行われてもよい。
【0130】
図8aでは、生物の身体28の上半身の輪郭が、スマートフォンなどのモバイルデバイス34のディスプレイ101上に示されている。ディスプレイ101上のシルエットは、身体28上に位置する加熱および/もしくは冷却デバイス10ならびに/または姿勢センサ24を示し得る。システム30を使用して、生物の身体28に加熱および/または冷却エネルギーを送達する個人は、ユーザと呼ばれ得る。ユーザは、例えば、身体上の姿勢センサ24または加熱および/もしくは冷却デバイス10の配置を入力するか、チェックするか、または変化させ得る。また、個人28は、例えば、モバイルデバイス34のタッチスクリーン101を介して、電気エネルギーの供給または熱エネルギーが身体28に送達される強度に影響を及ぼすかまたは制御することも可能である。エネルギー出力の影響は、例えば、モバイルデバイス34のディスプレイ101上のプラス符号およびマイナス符号で示される。プラス符号をタッチすることによって、ユーザは、例えば、エネルギー出力を増加させ得る。マイナス符号をタッチすることによって、ユーザは、例えば、エネルギー出力を低減させ得る。
【0131】
図8bは、スマートフォンなどのモバイルデバイス34のディスプレイ101上で生物の身体28の上半身を示す。ディスプレイ101は、例えば、システムによって検出されるとおりにユーザにその姿勢を示し得る。ディスプレイ101はまた、ユーザに姿勢を改善するやり方を示すこともできる。改善の提案の出力は、記号を用いて補完されてもよく、またはアニメーション化されてもよい。
【0132】
図8cは、スマートフォンなどのモバイルデバイス34のディスプレイ101上で生物の身体28の上半身を再び示す。モバイルデバイス34として、スマートフォンは、姿勢を改善するための提案をユーザに与え得る。提案は、例えば、ユーザが実施するべき運動または体操を含み得る。提案は、ユーザに所定の時間間隔で送信され得、その結果、ユーザは、例えば、1日1回、特定の時間に運動または体操を実施するように促されるかまたは求められ得る。体操は、ユーザが、例えば、緊張した筋肉を弛緩させるか、または筋肉を強化し、それによって姿勢を改善するのを助ける。体操は、積極的な対策として説明され得る。体操は、特定のユーザまたは特定の誤った姿勢に対して個別化され、自動的に解釈されて出力され得る。定期的な通知は、より多くの運動を動機付ける。これは、慢性的な緊張および痛みを抑制し得る。
【0133】
積極的および受動的な測定の組み合わせは、健康および正しい姿勢に繋がる。特定の集中した熱は、身体がその自然な姿勢に戻ることができるように緊張を解放する。結果として、長期的な負の結果が生じない。
【0134】
実施形態では、加熱および/または冷却パッド12は、アレルギーに優しいか、または肌に優しいゲル状接着剤を含み得る。これは、皮膚のアレルギー反応のリスクを低減する。(アレルギーに優しい)さらに、電気エネルギー源22は、再充電可能であり得、それゆえに、従来の温膏よりも持続可能であり得る。加熱および/または冷却パッド12は、電気エネルギーによって熱を発生させ、温膏のように化学反応によって熱を発生させないため、本発明の加熱および/または冷却デバイス10による化学物質に対するアレルギー反応の危険性は、より低い。
【0135】
加熱および/または冷却デバイス10はまた、熱パッチ、熱パッド、加熱層、温膏、加熱マット、または加熱クッションとも呼ばれ得る。加熱および/または冷却デバイス10は、皮膚に対する熱エネルギーの局所化された位置依存性送達に関して意図され得る。加熱および/または冷却デバイス12はまた、温膏または加熱パッチとも呼ばれ得る。制御ユニットはまた、制御パッチとも呼ばれ得る。
【0136】
実施形態では、加熱および/または冷却デバイス10はまた、様々な形態で身体にエネルギーを送達するように設計され得る。身体への異なる形態のエネルギーの送達は、同時または逐次的であり得る。第1の段階では、例えば、熱エネルギーが、加熱および/または冷却デバイス10によって個人の身体28に送達され得る。第2の段階では、同じ加熱および/または冷却デバイス10は、例えば、個人の身体に機械または電気エネルギーを放出し得る。異なる形態のエネルギー(機械、熱、電気)で刺激することによって、筋肉のより速い、かつより持続的な弛緩が達成され得る。
【0137】
特定の態様がデバイスに関連して説明されてきたが、これらの態様はまた、デバイスのブロックまたは要素が、対応する方法ステップとして、または方法ステップの特徴としても理解され得るように、対応する方法の説明を構成し得る。
【0138】
したがって、方法ステップに関連してまたは方法ステップとして説明される態様は、対応するデバイスの対応するブロック、または詳細、または特徴の説明も構成する。プロセスステップのいくつかまたは全ては、スマートフォン、マイクロコントローラ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路などのハードウェア装置を使用して実行され得る。いくつかの例では、主な方法ステップのいくつかまたは多くは、そのようなハードウェアによって実行され得る。
【0139】
実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアに実装され得る。実装は、当該方法が実行されるようにプログラマブルコンピュータシステムと相互作用し得るかまたは相互作用する電子可読制御信号が記憶されている、デジタル記憶媒体、例えば、メモリスティック、メモリカード、DVD、ブルーレイディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ、ハードディスクまたは任意の他の磁気もしくは光学記憶デバイスを使用して実行され得る。それゆえに、デジタル記憶媒体は、コンピュータ可読であり得る。
【0140】
それゆえに、本発明による実施形態は、本明細書に説明される方法のうちの1つが実行され得るように、プログラマブルコンピュータシステムと相互作用することができる電子可読制御信号を含有するデータキャリアを含み得る。
【0141】
本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラムとして実装され得、プログラムコードは、コンピュータプログラムがコンピュータ上で動作するときに方法のうちの1つを実行することができる。プログラムコードはまた、例えば、機械可読キャリア上に記憶されてもよい。
【0142】
他の実施形態は、本明細書に説明される方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、機械可読キャリア上に記憶される。
【0143】
したがって、本発明による方法の一実施形態は、別の表現では、コンピュータプログラムがコンピュータ上で動作するときに、本明細書に説明される方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムである。データキャリア、デジタル記憶媒体または記録媒体は、通常、有形または不揮発性である。
【0144】
さらに、本発明による方法の別の実施形態は、本明細書に説明される方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムが記憶されているデータキャリア(またはデジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。
【0145】
本発明による方法のさらなる実施形態は、本明細書に説明される方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは一連の信号である。例えば、データストリームまたは一連のシーケンスは、例えば、インターネットを介して、データ通信リンクを介して伝達されるように構成され得る。
【0146】
さらなる実施形態は、本明細書に説明される方法のうちの1つを実行するように構成または適合される、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、またはプログラマブル論理デバイスなどの処理デバイスを含む。
【0147】
別の実施形態は、本明細書に説明される方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされているコンピュータを含む。
【0148】
本発明による別の実施形態は、本明細書に説明される方法のうちの少なくとも1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信機に送信するように構成されたデバイスまたはシステムを含む。送信は、電子的または光学的に行われ得る。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、記憶デバイス、または同様のデバイスであり得る。例えば、デバイスまたはシステムは、コンピュータプログラムを受信側に伝達するためのファイルサーバを含み得る。
【0149】
実施形態では、プログラマブル論理デバイス(フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGAなど)が、本明細書に説明される方法の機能のうちのいくつかまたは全てを実行するために使用され得る。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に説明される方法のうちの1つを実行するためにマイクロコントローラと相互作用し得る。一般に、いくつかの実施形態では、方法は、任意のハードウェアデバイスによって実行される。これは、コンピュータプロセッサ(CPU)などの汎用ハードウェア、またはASICなどの、方法に固有のハードウェアとすることができる。
【0150】
上記の実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。本明細書に説明される配置および詳細の修正および変更は、当業者にとって明らかであり得る。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲の保護範囲によってのみ限定されるべきであり、本明細書の実施形態の記載および説明で提示される具体的な詳細によって限定されるべきではない。

参照符号のリスト
10 加熱および/または冷却デバイス10
12 加熱および/または冷却パッド
121 加熱および/または冷却パッドの下面
1210 接着表面
122 加熱および/または冷却パッドの上面
14 制御ユニット
16 信号プロセッサ
18 電気コネクタ
18a 制御ユニット上の電気接続要素
18b 加熱および/または冷却パッド上の電気接続要素
20 磁気コネクタ
20a 制御ユニット上の機械および/または磁気接続要素
20b 加熱および/または冷却パッド上の機械および/または磁気接続要素
22 電気エネルギー源
24 姿勢センサ
241 曲げセンサ
26 加熱または冷却要素
28 身体
30 システム、ネットワーク
32 無線リンク
34 モバイルデバイス
36 無線ユニット
38 温度センサ
40 電極
42 振動発生器
101 ディスプレイ
102 アンテナ
104 充電回路
107 皮膚検出センサ
108 アナログ/デジタル変換器
109 安全監視および保護デバイス
110 マイクロコントローラ
112 パルス幅変調電力制御
113 電流、電圧、エネルギーおよび/または電力監視
114 追加の刺激
116 追加のアナログセンサおよび検出器
117 追加のデジタルセンサおよび検出器
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10