(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】合成樹脂製アンテナを備えた車両の周辺把握のためのレーダーシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20230628BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230628BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20230628BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230628BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
G01S7/03 230
G01S13/931
H01Q1/32 Z
H01Q21/06
H01Q1/52
(21)【出願番号】P 2020541652
(86)(22)【出願日】2019-02-05
(86)【国際出願番号】 DE2019200010
(87)【国際公開番号】W WO2019166064
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】102018203106.1
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンターマンテル・マルクス
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-109570(JP,A)
【文献】国際公開第2007/091470(WO,A1)
【文献】特開2001-156536(JP,A)
【文献】特開2003-086728(JP,A)
【文献】特開2014-072573(JP,A)
【文献】国際公開第2010/114079(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014200660(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0034140(US,A1)
【文献】特開2007-274686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
13/00 - 13/95
H01Q 1/00 - 1/10
1/27 - 3/46
13/00 - 13/18
21/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-一本の樹脂ベースの
中空導体アンテナ、但し、該樹脂製アンテナは、一本の乃至複数本のレーダーシグナルを送信及び/或いは受信するためのシングルアンテナを有している、並びに、
-直接的な放射乃至受信を実施するための少なくとも一つのエレメント
を備えた高周波
チップを備えた車両の周辺把握を行うためのレーダーシステムであって、
-該樹脂製アンテナが、基板の高周波
チップとは反対側に配置され、
-該少なくとも一つの放射する乃至受信するエレメントが、基板の方向に放射、乃至、基板の方向から受信する様に構成されており、
-該基板が、少なくとも一つの放射する乃至受信するエレメントの領域において、レーダー波に対して透過性を有しており、
-該基板の該少なくとも一つの透過性の領域に該樹脂製アンテナ上のカップリング乃至アンカップリング部位が位置している
ことを特徴する車両の周辺把握のためのレーダーシステム。
【請求項2】
少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所が、基板に設けた金属化された側壁を備えた穴として構成されていることを特徴する請求項1に記載のレーダーシステム。
【請求項3】
該基板の少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所が、樹脂製アンテナからの導波路エクステンションが、その中にある、乃至、それを貫通している穿孔を、基板が有していることによって実現されていることを特徴する請求項1に記載のレーダーシステム。
【請求項4】
該基板の少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所が、基板の気質素材層の面及び/或いは該層間が、金属化されておらず、その場所が、好ましくは、貫通接続によって覆うことによって実現されていることを特徴する請求項1に記載のレーダーシステム。
【請求項5】
少なくとも一つの高周波
チップの下側において、少なくとも一つの放射する乃至受信するエレメントの周りに、高周波
チップと基板との間の空間から、放射が漏れることを低減乃至回避できる、特に複数の移行部間のカップリングを回避できる様にハンダ玉が配置されていることを特徴とすることを特徴とす
る請求項
1~4のうち何れか一項に記載のレーダーシステム。
【請求項6】
熱伝導性の良い部品、特に好ましくは、金属製のカバーを有している、但し、該部品は、基板の該少なくとも一つの高周波
チップと同じ側に配置され、更に、好ましくは、高周波
チップと該部品との間の熱コンタクトが、特に熱伝導ペーストによって形成されていることを特徴とす
る請求項
1~5のうち何れか一項に記載のレーダーシステム。
【請求項7】
該基板の樹脂製アンテナがある側に、少なくとも一つの部品が配置されている、但し、該部品は、好ましくは金属化された樹脂製アンテナのキャビティによってカバーされていることを特徴とす
る請求項
1~6のうち何れか一項に記載のレーダーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるドライバー・アシスタント・システムにおいて用いられるレーダーシステムに関する。該レーダーシステムは、本発明によれば、合成樹脂製アンテナ、並びに、直接的な放射乃至受信を実施するための少なくとも一つのエレメント備えた高周波部品を有している。
【背景技術】
【0002】
車両にはますます、センサーシステムの助けを借りて周辺部を捕捉し、その様にして認識された交通状況から車両の自動的リアクションを導き出す、及び/或いは、ドライバーに指示を出す、特に好ましくは、警告するドライバー・アシスタント・システムが装備される様になってきている。尚、これらは、快適機能と安全機能に分類される。
【0003】
快適機能としては、現時点の開発においては、FSRA(Full Speed Range Adaptive Cruise Control)が、最も重要な役割を果たしている。車両は、交通状況が許す場合、ドライバーが設定した希望速度に自己速度を制御するが、状況が適さない場合、その交通状況に自己速度を自動的に適合させる。
【0004】
近年、安全機能には、様々な様態が存在している。その中でも、緊急事態において制動距離、乃至、停止距離を削減するための機能から自立的な緊急制動機能までが、一つのグループを構成している。他のグループとしては、車線変更機能が挙げられる:これら機能は、ドライバーが、危険な車線変更を実施しようとした際に、即ち、隣接車線上の死角に車がある(BSD「Blind Spot Detection」と呼ばれる)、或いは、後方から高速で接近して来る車がある(LCA「Lane Change Assist」)場合に、ドライバーに警告を発する、乃至、操舵に介入する。
【0005】
しかし近い将来、ドライバーが、アシストされるのみならず、ドライバーの役割も、車両自体によって自律的に実施されるようになってくるであろう;要するに、ドライバーは、徐々に代替され、所謂自律走行へと変わっていくであろう。
【0006】
上記の如きシステムでは、レーダーセンサ類が、多くの場合、他の技術に基づいた、カメラセンサ類などのセンサ類との組み合わせとして、採用されている。レーダーセンサ類は、悪い気象条件下でも信頼性高く機能し、オブジェクトへの間隔だけでなく、ドップラー効果によって、ラジアル方向の相対速度も直接的に測定できると言う長所を有している。送信周波数としては、24GHz、77GHz並びに79GHzが採用されている。
【0007】
この様なシステムの機能範囲が増えてきていることにより、恒常的に、特に、最長検出距離など要求性能が、高まってきている。しかしながら同時に、価格は、大幅に下落している。
【0008】
レーダーセンサの主要部品は、アンテナである;実際、アンテナが、センサの性能と価格を決定していると言っても過言ではない。現在、アンテナは、多くの場合、例えば、パッチアンテナとして、高周波基板上にプレナ技術を用いて実現されている。この様なアンテナの実施形態の欠点は、供給経路とアンテナ自体における損失(到達距離を制限する)のみならず、この様な基板の高いコスト(特に、高周波に耐える特別で高価且つ製造工程が複雑な基材が必要であるため)が、挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、改善された性能とコスト削減が可能なレーダーシステムの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、請求項1~7に記載のレーダーシステムによって根本的に解決される。
【0011】
本発明の長所は、性能が改善されるにもかかわらず低コストで、レーダーシステムを実現できるのみならず、小型化も可能であると言う事実から得られている。
【0012】
本発明において該車両の周辺把握のためのレーダーシステムは、合成樹脂ベースのアンテナを包含するものであって、更に、該合成樹脂製アンテナが、一本乃至複数本のレーダー信号の送信及び/或いは受信用のシングルアンテナを有し、且つ、該基板が、直接的な放射乃至受信を実施するための少なくとも一つのエレメントを備えた高周波部品を有している高周波部品を有しているものである。即ち、該システムは、樹脂製アンテナが、該基板の、該少なくとも一つの高周波部品とは反対側に配置され、該少なくとも一つの放射乃至受信エレメントが、基板側に向かって放射、乃至、基板の方向から受信する様に構成されており、該基板が、少なくとも一つの放射乃至受信エレメントの領域においてレーダー波を透過させ、且つ、該基板の少なくとも一つの透過性の場所に、該樹脂製アンテナ上のカップリング乃至アンカプリング部位が位置していることを特徴としている。
【0013】
該樹脂製アンテナは、好ましくは、中空導体アンテナとして形成されている。本発明に係るレーダーシステムにより、好ましくは直接的な樹脂製アンテナへの供給が可能になる。これは、特に、レーダーシステムが、下側から基板を透過して、樹脂ベースの中空導体アンテナ内に直接的に放射する高周波部品乃至高周波チップを有することによって達成される。
【0014】
好ましくは、少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所は、基板に設けた金属化された側壁を備えた穴として構成される。
【0015】
更に、基板の少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所は、樹脂製アンテナからの導波路エクステンションが、その中にある、乃至、それを貫通している穿孔を、基板が、有していることによって実現されることができる。
【0016】
該基板の少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所は、基板の気質素材層の面及び/或いは該層間が、金属化されておらず、その場所は、好ましくは、貫通接続によって覆うことによって実施することも考え得る。
【0017】
この様なレーダーシステムにおいては、少なくとも一つの高周波部品の下側では、少なくとも一つの放射する乃至受信するエレメントの周りに、高周波部品と基板との間の空間から、放射が漏れることが低減乃至回避される様にハンダ玉が配置されることが好ましい。この様にすることで、特に、複数の移行部間のカップリングを回避することができる。
【0018】
レーダーシステムは、熱伝導性の良い部品、特に好ましくは、金属製のカバーを有していることが特に好ましい。この部品は、基板の該少なくとも一つの高周波部品と同じ側に配置されることが好ましい。尚、高周波部品と該部品との間の熱コンタクトが、特に熱伝導ペーストによって形成されていることが、特に好ましい。
【0019】
基板の樹脂製アンテナがある側には、少なくとも一つの部品が配置されていることが好ましい。尚、該部品は、好ましくは金属化された樹脂製アンテナのキャビティによってカバーされていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、従来の技術に係るレーダーシステムの高周波基板を示している。
【
図2】
図2は、正方形の樹脂ベース中空導体アンテナの上側(左)と下側(右)を示している。
【
図3】
図3は、高周波チップの上側から中空導体アンテナへ直接的に放射するレーダーセンサの断面を示している。
【
図4】
図4は、高周波チップの下側から基板内の開口部を介して基板の反対側に設けられている中空導体アンテナ内へ直接的に放射するレーダーセンサの断面を示している。
【
図5】
図5は、高周波チップの下側から反対にあるアンテナ側に設けられている中空導体アンテナ内へ直接的に放射する、但し、該中空導体アンテナの導波路エクステンションが、基板貫通部を介して高周波チップの方向に突出しているレーダーセンサの断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
現在、周辺把握をするためのレーダーシステム用アンテナの多くは、高周波基板上の平面アンテナとして実施されている。
図1には、高周波基板が、一つの高周波部品、一つの所謂MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)、3本の送信アンテナ(TX)並びに4本の受信アンテナ(RX)が示されているが、該アンテナは、それぞれ、複数のシングルビームから組み合わされている。アンテナは、平面パッチアンテナによって実施されている。
【0022】
アンテナとそれへの高周波チップからの供給経路は、高周波基板の上層の上に、高周波に適したマテリアル特性(例えば、定義された厚み、定義された誘電率、非常に小さい損失角)を有する特殊な基質を必要としている。特に、この特殊な基質のマテリアルコストとその処理(必要とされているストラクチャ精度も鑑みると)、同様な大きさで同様な層の数を有する単なる低周波基板と比較すると、コストが何倍にも膨れ上がる。コストのみならず、アンテナ内及びそこへの供給経路におけるシグナル損失も短所である。供給経路を含む送信アンテナと受信アンテナ全体におけるパワーロスは、一般的に、約6dBとされている。この様に減衰したセンサ感度の結果として、最長センサ到達距離は、約30%短くなる。
【0023】
基板ベースのアンテナにおける上記の如き欠点から、所謂導波路アンテナが注目される様になってきている。ここでは、アンテナとそれへの供給経路が、最も簡素化した場合、金属製の乃至金属化された壁を有する長方形断面を有する空洞として表すことができる中空導体を用いて実現している。この様なアンテナは、正六面体の合成樹脂製部品として実施されることができ、例えば
図2に示されている。
図2に示されている如く、上面には、放射用の開口部、下面には、供給用の開口部、更には、中空ストラクチャがあるが、表面は全て(外側も内側も)金属化されている。この様なアンテナは、一般的に、複数の層から構成されており、例えば、高周波接続がクロスすることが可能になっている。シングルアンテナの配置が、チップに依存していないため、
図2に示す様に、3本の送信アンテナは、4本の受信アンテナの下に配置することも可能である(
図1に係る基板ベースのアンテナでは、隣り合って配置されている)。即ち、該チップは、アンテナレイヤー上にないため、センサの小型化が可能になる。
【0024】
樹脂製アンテナの製造方法としては、射出成形の他、近年では、3Dプリントも候補となり得る。金属化される樹脂から製造された導波路アンテナは、金属のみで製造されているものよりもコスト的に有意に有利である。一方、樹脂ベースの導波路アンテナにおけるチャレンジは、ストラクチャが必要とする精度と、複数の樹脂層の高い精度の接続である-しかしこれは、新しい製造方法によって、近年、克服された。
【0025】
しかし、樹脂製アンテナを使用する場合であっても、現状では、高周波信号は、特に、チップ出力からの中空導体アンテナ内へ放射するためのストラクチャである基板上を介する。そのため、比較的高価な基板が必要となる。この理由から、
図3に示す如く、高周波チップの上面から直接的に中空導体アンテナに放射することが試みられている。しかしながらこの様なアプローチには、幾つかの短所がある:
-例えば、チップ3.6から導波路アンテナ3.2への移行部において、公差が厳密でなければならない。しかし、公差チェーンは長く、以下の様な項目がそれに属している:チップの半田付け、チップの厚さ、アンテナの公差;
-チップの損傷原因となり得る、チップとアンテナとの直接的な(製造時のみならず、使用寿命に至るまでずっと続く)接触;
-チップ3.6は、シリコン核3.9に加え、その下にある所謂再配分レイヤ3.10のみならず、放射エレメント3.7用の再配分レイヤ3.8も必要としている。
-チップの冷却は、樹脂製アンテナ3.2と前方の樹脂製ハウジング3.1が、断熱性であり、チップの熱は、略、基板3.3を介してのみ伝導されるため、難しい。即ち、該チップの熱伝導ペースト3.4を介した金属製センサ裏面3.5への熱的な接続は、直接的にではなく、基板を通してのみ可能である。
【0026】
この様な短所を避けるため、本件では、例えば
図4に示されている構成などが、提案されている。放射するエレメント4.7は、チップ4.6の下側の上に配置されているが、該チップ4.6は、基板4.3の樹脂製アンテナ4.2とは反対側に設けられている。該チップ4.6から樹脂製アンテナ4.2は、その場所においてレーダー波が透過できる基板4.3を介して供給されている;即ち、これは、チップ4.6から基板4.3を貫通する樹脂製アンテナ4.2への高周波移行部として実施されている。
【0027】
図4に示されている如く、基板4.3の透過性は、単純に基板4.3の穴によって実現できるが、基板4.3の側壁は、この場所では金属化されており、一種、導波路の様に実現されている。
【0028】
代案的には、
図5に示す如く、移行部を、基板5.3に貫通孔を設け、該貫通孔内に、乃至、該貫通孔を通して中空導体アンテナ5.2の導波路エクステンションが突出する様にして実現することも可能である。基板内の透過性を有する移行部を得るための他のアプローチとしては、基板の単体マテリアル層の上乃至それらの間の金属化をせず、それらの領域を複数の貫通接続によって取り囲むことも挙げられる。
【0029】
パワーの損失だけでなく、移行部間のカップリングの原因となり得る、移行部における放射の高周波部品と基板との間の空間への漏れを回避するために、移行部の周り、即ち、移行部の間に、ハンダ玉(ボール)を設けることができる。これは、例えば、
図4の所謂ボール・グリッド・アレーとして実施されているボール4.11を備えたチップ4.6が描かれている部分に示されている。このハンダ玉4.11を適切に設計、配置することにより、使用されている高周波用の帯域ストッパー、即ち、EBG(Electromagnetic Band-Gap)ストラクチャとして機能する。
【0030】
図4に係る該配置の更なる長所としては、電流供給が多く、事故発熱量が高い該チップ4.6の優れた熱接触を可能にすることを挙げることができる。ここでは、チップ4.6は、図示されている如く、熱伝導ペースト4.4を介して、センサ裏面の冷却フィンを有するアルミニウム製カバー4.5に接触している。
【0031】
図4には、基板4.3の樹脂製アンテナ4.2側にも、樹脂製アンテナ4.2のキャビティによってカバーされている部品4.12を取り付けることができることが示されている。樹脂製アンテナ4.2の上面が、いずれにせよ金属化されていることより、付加的なコストをかけることなく、部品を電気的にシールドできる。
【0032】
以下に備考を挙げる:
レーダーシステムでは、放射と受信の双方が行われている。上記説明では、記述の簡略化のために、双方を明示的に示していない、乃至、区別していない場合が多い。例えば、アンテナやチップ上のエレメントに関連して、「放射」と書かれているが、受信アンテナでは当然ながら「受信」を意味しており、アンテナの裏側の導波路と関連して「供給」と書かれている場合、受信用アンテナでは「アンカップリング」を意味している。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.-一本の樹脂ベースのアンテナ、但し、該樹脂製アンテナは、一本の乃至複数本のレーダーシグナルを送信及び/或いは受信するためのシングルアンテナを有している、並びに、
-直接的な放射乃至受信を実施するための少なくとも一つのエレメントを備えた高周波部品を備えた車両の周辺把握を行うためのレーダーシステムであって、
-該樹脂製アンテナが、基板の高周波部品とは反対側に配置され、
-該少なくとも一つの放射する乃至受信するエレメントが、基板の方向に放射、乃至、基板の方向から受信する様に構成されており、
-該基板が、少なくとも一つの放射する乃至受信するエレメントの領域において、レーダー波に対して透過性を有しており、
-該基板の該少なくとも一つの透過性の領域に該樹脂製アンテナ上のカップリング乃至アンカップリング部位が位置している
ことを特徴する車両の周辺把握のためのレーダーシステム。
2.少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所が、基板に設けた金属化された側壁を備えた穴として構成されていることを特徴する上記1.に記載のレーダーシステム。
3.該基板の少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所が、樹脂製アンテナからの導波路エクステンションが、その中にある、乃至、それを貫通している穿孔を、基板が有していることによって実現されていることを特徴する上記1.に記載のレーダーシステム。
4.該基板の少なくとも一つのレーダー波にとって透過可能な場所が、基板の気質素材層の面及び/或いは該層間が、金属化されておらず、その場所が、好ましくは、貫通接続によって覆うことによって実現されていることを特徴する上記1.に記載のレーダーシステム。
5.少なくとも一つの高周波部品の下側において、少なくとも一つの放射する乃至受信するエレメントの周りに、高周波部品と基板との間の空間から、放射が漏れることを低減乃至回避できる、特に複数の移行部間のカップリングを回避できる様にハンダ玉が配置されていることを特徴とすることを特徴とする上記1.~4.のうち何れか一つに記載のレーダーシステム。
6.熱伝導性の良い部品、特に好ましくは、金属製のカバーを有している、但し、該部品は、基板の該少なくとも一つの高周波部品と同じ側に配置され、更に、好ましくは、高周波部品と該部品との間の熱コンタクトが、特に熱伝導ペーストによって形成されていることを特徴とする上記1.~5.のうち何れか一つに記載のレーダーシステム。
7.該基板の樹脂製アンテナがある側に、少なくとも一つの部品が配置されている、但し、該部品は、好ましくは金属化された樹脂製アンテナのキャビティによってカバーされていることを特徴とする上記1.~6.のうち何れか一つに記載のレーダーシステム。