(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】電気的刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2021062834
(22)【出願日】2021-04-01
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】522377273
【氏名又は名称】奥田 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】奥田 孝夫
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特許第6745558(JP,B1)
【文献】特開2009-160328(JP,A)
【文献】特許第6800504(JP,B1)
【文献】特開2019-170873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 - 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療対象に治療波を出力する電気的刺激装置と、
前記電気的刺激装置とは別個に設けられる既存電気的刺激装置に着脱可能なデータ作成部とを備える電気的刺激システムであって、
前記電気的刺激装置は、
治療波の波形をデジタル化して得られた電子データを記録する記録部と、
前記記録部から読み取った複数の前記電子データに含まれる複数の治療波を時間軸に対して連結し、又は重ね合わせて得られた変換治療波を出力する変換部と、
前記変換部が生成した前記変換治療波を電気信号に変換して人体に対して出力する出力部とを備え、
前記データ作成部は、
前記既存電気的刺激装置に接続されている電極パッドから出力される電気信号を検出する検出部と、
前記検出部から受信した検出信号をレベル調整する調整部と、
前記調整部が調整して得られた調整信号を受信してデジタル化して電子データに変換するデジタル変換部とを備え、
前記既存電気的刺激装置は、前記電気的刺激システムの外部に設けられる、
電気的刺激システム。
【請求項2】
前記記録部は、前記電気的刺激装置から着脱可能な記録媒体である、請求項1に記載の電気的刺激装置システム。
【請求項3】
前記記録部は、前記電気的刺激装置に内蔵されたメモリであって、前記電子データを前記データ作成部から受け取って記録可能である
請求項1又は2に記載の電気的刺激装置システム。
【請求項4】
前記電子データは圧縮されており、前記変換部は、前記電子データを解凍して、解凍されたデータに基づいて変換治療波を出力する
請求項1から3のいずれかに記載の電気的刺激装置システム。
【請求項5】
前記記録部は、複数の治療波に各々対応する複数の電子データを記録する
請求項1から4のいずれかに記載の電気的刺激装置システム。
【請求項6】
前記電子データは、WAVデータ、又は前記WAVデータを圧縮した圧縮データである請求項1から5のいずれかに記載の電気的刺激装置システム。
【請求項7】
前記変換部は、前記電子データをアナログ信号に変換し、前記アナログ信号を増幅して変換治療波を出力する請求項1から6のいずれかに記載の電気的刺激装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の波形を有する治療波を対象に印加する電気的刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇圧回路、電圧調整回路、出力回路、及び電流検出回路を含む波形生成出力装置を備える電気治療器が知られている。昇圧回路は、電源電圧を所定の電圧に昇圧する。電圧調整回路は、昇圧回路により昇圧された電圧を、ユーザにより設定された電気刺激強度に対応する電圧に調整する。出力回路は、電圧調整回路により調整された電圧に基づいて、治療モードに応じた治療波形を生成し、当該治療波形をパッドに出力する。出力回路は、パルスの波形(パルス幅、パルス間隔、周波数、出力極性を含む)を変化させることにより、「もみ」、「たたき」、「押し」、「スイープ」といった様々なモードに対応する電気刺激を生成できる。また、出力回路は、パルス電圧の振幅を変化させることにより、電気刺激強度を調整する。なお、出力回路は、パルス幅を変化させることにより電気刺激強度を調整する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電気治療器では、経年劣化により、生成される信号の周波数や振幅が設計値からずれ、これにより、装置の性能が変化して、治療効果が低下するおそれがある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、経年劣化により性能が変化しにくい電気的刺激装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明による電気的刺激装置は、治療波を予め変換して得られた電子データを記録する記録部と、記録部から読み取った電子データに基づいて変換治療波を出力する変換部と、変換部が生成した変換治療波を電気信号に変換して出力する出力部とを備える。
【0007】
記録部は、電気的刺激装置から着脱可能な記録媒体であることが好ましく、あるいは、電気的刺激装置に内蔵されたメモリであって、電子データを電気的刺激装置の外部から受け取って記録可能であってもよい。
【0008】
電子データは圧縮されており、変換部は、電子データを解凍して、解凍されたデータに基づいて変換治療波を生成することが好ましい。
【0009】
記録部は、複数の治療波に各々対応する複数の電子データを記録し、変換部は、複数の電子データに基づいて、各々対応する複数の治療波を生成し、各々対応する複数の治療波を合成して変換治療波を生成してもよい。
【0010】
電子データは、WAVデータ、又はWAVデータを圧縮した圧縮データが好適である。
【0011】
変換部は、電子データをアナログ信号に変換し、アナログ信号を増幅して変換治療波を出力することが好ましい。
【0012】
本願第2の発明による電気的刺激システムは、前記電気的刺激装置と、電子データを作成するデータ作成部とを備える。
【0013】
データ作成部は、治療波を作成し、作成された治療波を電子データに変換することが好ましい。あるいは、データ作成部は、既存の刺激装置に取り付けられる検出部と、検出部から受信した検出信号をレベル調整する調整部と、調整部が調整して得られた調整信号を受信して電子データに変換するデジタル変換部とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、経年劣化により性能が変化しにくい電気的刺激装置を得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願発明の一実施形態による電気的刺激装置のブロック図である。
【
図3】複数の治療波を連結して得られた治療波を簡略的に示す図である。
【
図4】複数の治療波を合成して得られた治療波を簡略的に示す図である。
【
図5】治療波の生成方法を簡略的に示すフローチャートである。
【
図6】電気的刺激システムを簡略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1及び2を用いて、本発明による一実施形態である電気的刺激装置100について説明する。電気的刺激装置100は、記録部110と、変換部120と、出力部130とを主に備える。
【0017】
記録部110は、治療波を予め変換して得られた1以上の電子データを記録する。より詳細には、記録部110は、電気的刺激装置100から着脱可能な記録媒体、及び/又は電気的刺激装置100に内蔵されたメモリを含む。記録媒体は、例えばUSBメモリ、SDメモリカード、及び/又は光ディスク媒体である。記録部110は、これらを着脱可能な構成を有するととともに、これらに記録された電子データを読み出し可能である。内蔵されたメモリは、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、及び/又はソリッドステートディスク等であり、図示されない接続部を介して外部から受け取って記録可能である。記録部110は、これらに記録された電子データを読み出し可能である。
【0018】
治療波は、人体に対して適用される電圧の振幅及び周波数を示すものであって、後述される手法を用いて作成される。複数の治療法に対して各々適合する治療波があり、治療波毎に電子データに変換される。例えば、振幅は0Vから最大500V、周波数は約1Hzから約100,000Hzが用いられる。治療波の種類として、正弦波、矩形波、干渉波(変調波)、バースト波、三角波、指数波等がある。干渉波は、周期の異なる複数の正弦波を合成したものである。バースト波は、正弦波を所定期間だけ出力した後に、所定期間だけ出力を停止し、その後に再度正弦波を所定期間だけ出力及び停止することを繰り返すものである。
【0019】
電子データは、例えばWAVデータ等の非圧縮データ、及び/又はWAVデータを圧縮した圧縮データである。圧縮データは、例えばMP3、AAC、FLAC、及び/又はWMA等の音声コーデック、あるいはZIP及び/又はLZH等のデータ圧縮アルゴリズムを用いて圧縮されたデータである。以下、これらの音声コーデック及びデータ圧縮アルゴリズムを、データ圧縮アルゴリズム等という。
【0020】
変換部120は、再生部121、増幅部122、及び昇圧部123を主に備え、記録部110から電子データを読み取り、読み取った電子データに基づいて変換治療波を出力する。
【0021】
図2を参照すると、再生部121は、演算素子、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)121a、及び/又はフィルタ121bを含み、記録部110から電子データを読み取り、電子データが非圧縮である場合には、電子データをアナログ信号に変換、あるいは電子データが圧縮データである場合には解凍した後、所定のフィルタを掛けて、アナログ信号に変換する。
【0022】
治療には、複数の治療波を時間軸に対して連結して用いる場合と、複数の治療波を重ね合わせて合成して用いる場合とがある。複数の治療波を連結して用いる場合、再生部121は1つあればよい。一例として、
図3を参照して、3つの治療波、すなわち、第1の治療波に対応する第1の電子データAと、第1の治療波とは異なる第2の治療波に対応する第2の電子データBと、第1及び第2の治療波とは異なる第3の治療波に対応する第3の電子データCとを連結する場合について説明する。まず、再生部121が第1の電子データAを第1のアナログ信号に変換し、次に連続して第2の電子データBを第2のアナログ信号に変換し、さらに連続して第3の電子データCを第3のアナログ信号に変換する。つまり、再生部121は、複数の電子データに基づいて複数のアナログ信号を連続的に出力する。これにより、複数のアナログ信号が時間軸に対して連結された1つのアナログ信号Dが生成、出力される(
図3参照)。他方、複数の治療波を合成して用いる場合、再生部121は治療波の数に応じて設けられる。一例として、
図4を参照して、2つの治療波、すなわち、第1の治療波に対応する第1の電子データと、第1の治療波とは異なる第2の治療波に対応する第2の電子データとを連結する場合について説明する。ここでは、第1の治療波は正弦波であり、第2の治療波は多段矩形波である。この場合、2つの再生部121が設けられ、1つの再生部121が第1の電子データを第1のアナログ信号に変換し、他方の再生部121が第2の電子データを第2のアナログ信号に変換する。つまり、再生部121は、複数の電子データに基づいて、各々対応する複数のアナログ信号を生成する。増幅部122がこれら複数のアナログ信号を合成し、増幅すると、
図4に示される、多段矩形波に正弦波が重畳されたアナログ信号が得られる。
【0023】
図2を参照すると、所定のフィルタは、-3dBとなる所定のカットオフ周波数以下の周波数を通過させるローパスフィルタ、及び/又は-3dBとなる所定のカットオフ周波数以上の周波数を通過させるハイパスフィルタである。治療波が矩形波である場合、生成されたアナログ信号の波形が矩形波にならず、角が落ち、あるいはアンダーシュート、オーバーシュート等して乱れ、これにより、矩形波のパルス幅が、電子データに記録されているパルス幅からずれてしまうことがある。再生部121は、生成されたアナログ信号にローパスフィルタ及び/又はハイパスフィルタを掛けることにより、電子データに記録されているパルス幅と同等のパルス幅を有する矩形波を成形できる。SSP療法では、双方向性対称波と呼ばれる矩形波を用いるが、この矩形波のパルス幅は50μsecであることが望ましい。治療波が作用する神経繊維の種類は、パルス幅毎に異なるため、所望の治療効果を得るためには、正確なパルス幅を持つ治療波を治療対象に加える必要がある。本実施形態では、所定のフィルタを掛けることにより、正確なパルス幅を持つ歪みの少ない矩形波を生成でき、これにより所望の治療効果を得ることができる。
【0024】
増幅部122は、例えばオペアンプ等から成る増幅回路を含み、再生部121から受信したアナログ信号を増幅する。また、再生部121から複数のアナログ信号を受信して、これらを合成し、増幅する。
【0025】
昇圧部123は、電圧を昇圧可能な装置、例えば昇圧トランスを含み、増幅部122が出力したアナログ信号を、治療対象に適した電圧レベルにまで昇圧し、変換治療波として出力する。
【0026】
出力部130は、導子ケーブル及び電極パッドを含み、変換部120が生成した変換治療波を電気信号に変換して出力する。より詳細には、昇圧部123から昇圧された変換治療波を受信し、導子ケーブル及び電極パッドを介して治療対象に印加する。
【0027】
次に、
図5及び6を用いて、電気的刺激システム180について説明する。電気的刺激システム180は、電気的刺激装置100と電子データを作成するデータ作成部160とを主に備える。
【0028】
まず、
図5を用いて、データ作成部160が、治療波を作成し、この作成された治療波を電子データに変換する手法について説明する。この手法は、約1Hz~約100,000Hzの周波数を持つ波形を編集可能なソフトウェアがインストールされたパソコン等を用いる。このようなソフトウェアを用い、ステップS51では、正弦波や矩形波などの様々な波形に基づいて所望の波形を作成する。そしてステップS52では、デジタル信号、例えばPCMデータとして出力する。そして、このデジタル信号を非圧縮データとして用いる場合には、ステップS53において、WAVフォーマット等を用いて非圧縮データとして記録部110に保存する。圧縮データとして用いる場合には、ステップS53において、前述のデータ圧縮アルゴリズム等を用いて圧縮し、圧縮データとして、記録部110に保存する。
【0029】
次に、
図6を用いて、データ作成部160が、既存の刺激装置が出力した波形を用いて電子データを作成する手法について説明する。データ作成部160は、検出部161と、調整部162と、デジタル変換部163とを主に備える。検出部161は、既存の刺激装置200に接続されている電極パッド201に取り付けられ、この電極パッドから出力される電気信号を検出し、検出信号を調整部162に送信する。調整部162は、検出部161から受信した検出信号をレベル調整する。すなわち、調整部162は、後続のデジタル変換部163が適正に受信可能な程度の電圧に、例えば可変抵抗等を用いて、検出信号を調整し、調整信号として出力する。デジタル変換部163は、エンコーダ163a、非圧縮データ作成部163b、及び/又は圧縮部163cを主に備え、調整部162から調整信号を受信して電子データに変換する。エンコーダ163aは、アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)であって、調整信号をデジタル信号、例えば192kHzのサンプリングレートでPCMデータに変換する。非圧縮データ作成部163bは、エンコーダ163aからデジタル信号を受信し、これを非圧縮データ、例えばWAVデータに変換する。圧縮部163cは、非圧縮データ作成部163bからWAVデータを受信し、前述のデータ圧縮アルゴリズム等を用いて圧縮し、圧縮データとして、記録部110に保存する。
【0030】
上記2つの手法いずれにおいても、非圧縮データ及び圧縮データを作成する際、2チャンネルの治療波形を1つのファイルとして作成可能である。例えば、干渉波治療を行う場合、2組の導子を用いて2つの治療波形を治療対象に加えることがある。2チャンネルの治療波形、すなわち2つの治療波形を1つのファイルとして作成すれば、1つのファイルを用いて2つの治療波形を得て、これらを2組の導子それぞれに流すことにより、干渉波治療を行うことができる。なお、1つのファイルに2チャンネルの治療波形が記録されている場合、デジタル・アナログ・コンバータ121a及び/又はフィルタ121bは2チャンネルのデータを変換可能な数だけ設けられる。
【0031】
また、データ作成部160は、非圧縮データ及び圧縮データに加工を行ってもよい。加工は、例えばノイズ除去、信号レベルの調整、信号出力期間の調整、及び治療波の組み合わせである。ノイズ除去は、矩形波に含まれるアンダーシュート及び/又はオーバーシュートの除去及び整形、グランドレベル付近のノイズ除去を含む。信号レベルの調整は、治療法に適した信号レベルに調整することを含む。信号出力期間の調整は、治療法に適した期間だけ治療波が出力されるよう、出力期間を調整することを含む。治療波の組み合わせは、複数の治療波を時間軸に対して連結すること、及び複数の治療波を重ね合わせて合成することを含む。複数の治療波の連結は、例えば、第1の治療波と、第1の治療波とは異なる第2の治療波とを連結する。これにより、第1の治療波が終わった直後に第2の治療波が出力されることになる。つまり、
図3に示されるような、複数のアナログ信号が時間軸に対して連結された1つのアナログ信号が生成される。複数の治療波の合成は、例えば、第1の治療波に対応する第1の治療波と、第1の治療波とは異なる第2の治療波に対応する第2の治療波とを合成する。これにより、第1の治療波と第2の治療波との合成波が出力されることになる。つまり、
図4に示されるような、複数のアナログ信号が合成された1つのアナログ信号が生成される。
【0032】
次に、電気的刺激装置100の使用手法について説明する。まず、ユーザが、出力部130、すなわち導子ケーブル及び電極パッドを治療対象、例えば人体の治療箇所に取り付ける。次に、ユーザが、所望の治療波を指定する。これに応じて、電気的刺激装置100は、記録部110から、所望の治療波に対応する電子データを読み出し、変換部120に送信する。このとき、指定される治療波は複数であってもよい。変換部120において、再生部121は、記録部110から電子データを受信し、電子データが非圧縮である場合には、電子データをアナログ信号に変換、あるいは電子データが圧縮データである場合には解凍した後、アナログ信号に変換する。複数の治療波を合成して治療する場合、複数の治療波は、複数の再生部121の各々に送信され、各々アナログ信号に変換される。増幅部122は、再生部121から受信したアナログ信号を増幅する。アナログ信号が複数である場合には、再生部121から複数のアナログ信号を受信して、これらを合成し、増幅する。昇圧部123は、増幅部122が出力したアナログ信号を、治療対象に適したレベルにまで昇圧し、変換治療波として出力する。そして、導子ケーブル及び電極パッドから変換治療波が治療箇所に印加される。
【0033】
従来、電気治療器には、多数のディスクリート電子部品を組み合わせ、これにより治療波を生成する治療波生成回路を有するものがあった。このような電気治療器では、ディスクリート電子部品が経年劣化すると、各電子部品の抵抗値やキャパシタ容量等が変化して、生成される信号の周波数や振幅が設計値からずれ、これにより、装置の性能が変化して、治療効果が低下するおそれがあった。しかしながら、本実施形態によれば、治療波が電子データとして記録され、これを再生することによって変換治療波を作成し、治療対象に印加できる。これにより、従来必要であった治療波生成回路が不要になり、経年劣化しやすいディスクリート部品を極力用いずに治療波を生成することが可能になり、経年劣化によって治療波形が変化して、治療効果が低下することを防止できる。
【0034】
また、従来、治療波は、装置内部の回路構成によって生成されているため、その回路を構成する部品が製造中止になった場合には、回路構成を変更する必要があった。回路構成を変更すると、変更前の回路特性と完全に同じ回路特性を再現することは難しいため、同じ治療波を再現することが困難であった。しかしながら本実施形態によれば、治療波が記録部に記録されており、治療波は回路構成に依存しないため、回路構成を変更しても、容易に同じ治療波を再現できる。
【0035】
なお、増幅部122及び/又は昇圧部123は設けられなくてもよく、このとき、再生部121及び/又は増幅部122が出力したアナログ信号を変換治療波として用いる。
【0036】
なお、サンプリングレートは192kHzに限定されず、192kHz以下、あるいは以上であってもよく、治療波を再現可能な値であればよい。
【0037】
本明細書および図中に示した数値、各部材の大きさ及び量は例示であって、これらの数値、大きさ及び量に限定されない。また、各部材の素材は例示であって、これらの素材に限定されない。
【0038】
ここに付随する図面を参照して本発明の実施形態が説明されたが、記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0039】
100 電気的刺激装置
110 記録部
120 変換部
121 再生部
121a デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)
121b フィルタ
122 増幅部
123 昇圧部
130 出力部
160 データ作成部
161 検出部
162 調整部
163 デジタル変換部
163a エンコーダ
163b 非圧縮データ作成部
163c 圧縮部
180 電気的刺激システム
200 刺激装置