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特許7303889断熱材料からパイプシェルを製造するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】断熱材料からパイプシェルを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/50 20060101AFI20230628BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20230628BHJP
   B29C 53/56 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
B29C70/50
B29C70/06
B29C53/56
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021546678
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020053343
(87)【国際公開番号】W WO2020165100
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】102019103498.1
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505385343
【氏名又は名称】セイント-ゴバイン イソバー
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】ウィーズリー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ライテンベルグ,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー,ハンズ‐ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】リコンテ,ロメイン
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-508565(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第01571482(DE,A)
【文献】欧州特許出願公開第03211127(EP,A1)
【文献】特開昭53-064166(JP,A)
【文献】特公昭47-023907(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29B 11/16
B29B 15/08-15/14
C08J 5/04- 5/10
C08J 5/24
B29C 43/00-43/58
B29C 53/00-53/84
B65H 18/00-18/28
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材料のパイプシェル(32)を、結合剤を備える前記断熱材料の少なくとも1つのウエブ(29)によって製造するための方法であって、前記ウエブは、コア(19)の周りに部分的に巻き付く少なくとも2つの対向するベルト(12、13)によって前記コア(19)の周りに巻き付けられ、前記方法は、
断熱材料の前記少なくとも1つのウエブ(29)が前記ベルトの1つ(12)によって前記コア(19)に送り出されるステップと、
断熱材料の前記少なくとも1つのウエブ(29)が前記少なくとも2つのベルト(12、13)によって前記コア(19)上に巻き付けられるステップと、
断熱材料の少なくとも1つの巻き上げられたウエブ(29)が前記少なくとも2つのベルト(12、13)の間に取り出されるステップとを含む、方法において、
断熱材料の前記少なくとも1つの巻き上げられたウエブ(29)は、断熱材料の前記少なくとも1つのウエブ(29)が前記1つのベルト(12)によって送り出された方向の反対ではない前記コア(19)の径方向に、前記巻き上げられたウエブ(29)を前記ベルト(12)によって排出することにより送り出しと同じベルトで取り出されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
加熱ガスが、前記コア(19)を通って前記断熱材料の前記ウエブ(29)内に吹き込まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱ガスが高温空気であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
加熱ガスが前記ウエブ(29)が少なくとも1回の全回転で前記コア(19)の周りに部分的に巻き付けられた後、前記コア(19)を通って前記断熱材料の前記ウエブ(29)内に吹き込まれることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
断熱材料の前記ウエブ(29)内の前記結合剤が、前記加熱ガスによって部分的にのみ硬化され、前記ウエブ(29)を完全に巻き付けて前記パイプシェル(32)を形成した後、別個の炉内で完全に硬化されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
断熱材料の前記ウエブ(29)内の前記結合剤が、前記加熱ガスによって部分的にのみ硬化され、前記ウエブ(29)をを完全に巻き付けた後および、前記コア(19)が前記パイプシェル(32)から取り出された後に、別個の炉内で完全に硬化されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行するために構成され適合された装置であって、
コア(19)と、2つの輪郭ローラ(20、21)によってそれぞれ案内される、少なくとも2つの予め張力がかけられた対向するベルト(12、13)であって、前記輪郭ローラは、前記ベルト(12、13)それぞれが前記コア(19)周りに部分的に巻き付くように前記コア(19)に向かっておよび前記コア(19)から離れるように可動である、ベルトとを備える、装置。
【請求項8】
各ベルト(12、13)が、前記輪郭ローラ(20、21)を通っておよび偏向ローラ(14、15、16、17)を通って案内され、張力ローラ(18)によって予め張力がかけられ、それぞれ関連付けられた前記輪郭ローラ(20、21)、前記偏向ローラ(14から17)、および前記張力ローラ(18)を有する前記ベルト(12、13)の配置は、対称的に設計されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
それぞれ関連付けられた前記輪郭ローラ(20、21)、前記偏向ローラ(14から17)、および前記張力ローラを有する前記ベルト(12、13)の配置が、互いに向かっておよび互いから離れるように集合的に可動であることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ベルト(12、13)の少なくとも1つ、またはすべてのベルト(12、13)が、循環式に駆動可能であることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記ベルト(12、13)が、互いに同期して、または異なる速度で駆動可能であることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記コア(19)が、回転式に駆動可能である、または、前記ベルト(12、13)と同期して回転式に駆動可能である、ことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記輪郭ローラ(20、21)が、巻き付け装置(10、11)間の対称平面に平行な方向に変位されるように配置されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項14】
前記コア(19)が、加熱ガスによって内部から影響を受けるように適合されたガス透過性シースを備えることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記コア(19)が、2つの半体コアから形成され、前記半体コアは、前記パイプシェル(32)から相反する方向に引き出されるように適合されるように、前記コアの軸方向に見て前後に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材料からパイプシェルを製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材料のウエブをコアの周りに巻き付け、パイプシェルをこうして製造することが知られている。これらの装置のいくつかは、コアと、コアの周りに部分的に巻き付く、予め張力がかけられたベルトとを備える。このベルトにより、結合剤を備える断熱材料のウエブは、コアの周りに巻き付けられる。結合剤の少なくとも部分的な硬化のために、コアは、電気的に加熱されることが多い。パイプシェルは、意図通りに良好な断熱材料から形成されているが、そのためパイプシェル内の熱輸送は良好ではなく、それによってコアを強く加熱する必要がある。パイプシェルの内径はこのプロセスにおいて焼かれ、これは、「ブラックコア」という通り言葉で知られている。
【0003】
EP0206310A2またはWO89/12776A1現況技術によれば、最初に円筒状コアが装置内に置かれる。次いで、ベルトがコアの周りに巻き付けられ、それによって巻き付き角度は180°を上回り、EP0206310A2によれば少なくとも270°であり、ベルトは、コアのシース表面と接触するように張力ローラによって予め張力がかけられる。ベルト自体は、循環式連続ベルトとして設計され、駆動ローラによって循環式に駆動される。断熱材料のウエブが、ベルトによって送り出され、ベルトとコアとの間に引き込まれる。ウエブの前端は、第1の回転後にウエブの後端とコアとの間に入り、それによってウエブは層状に完全に巻き上げられる。パイプシェルの所望の壁厚に到達するまで、必要な分の断熱材料のウエブが巻き上げられる。このプロセスでは、張力ローラは、連続的にベルトを解放する。
【0004】
パイプシェルを製造するための別の方法および装置が、CA706364Aから知られており、ここでも断熱材料のウエブは、循環式ベルトによってコア上に巻き上げられる。
【0005】
EP0551228A1は、ミネラルウールフリースを、その体積を輸送のために低減するように圧縮し、巻き上げるための方法および装置を説明している。ただし、フリースは、コアの周りに巻き付けられずにベルトによって巻き上げられる。これに非常に類似する方法および非常に類似する装置が、WO98/40297A1に示されている。
【0006】
現況技術ではコア周りのベルトの高い巻き付き角度により、新しいコアを挿入し、完全に巻き付けられたコアを取り出すことは、毎回ベルトをコアの周りに置く必要があり、および/または巻き上げられたコアから大角度で取り出さなければならないため、非常に時間がかかり、非常に複雑である。この結果、比較的高いサイクル時間が生じる。さらに、高い巻き付き角度により、ベルトが断熱材料のウエブをコアに押しつける押しつけ力をうまく制御することはできない。したがって、仕上げられるパイプシェルのかさ密度をうまく調節することもできない。これは、パイプシェルの品質を犠牲にする。
【0007】
DE1571482からの請求項1の前文による方法が、知られている。ここに示す装置は、1つの同じベルトの2つまたは3つのストランドによって、または2つの別個のベルトによって部分的に巻き付けられたコアを備える。この装置のコアは、スイベルアーム上に回転可能に装着される。断熱材料のウエブは、下側ストランドによってテーブルから取り出され、コアに送り出されて、ストランドによってコア上に巻かれる。ウエブを完全に巻き上げた後、コアは、巻き上げられたウエブと共にスイベル回転されてストランド間に出て、テーブル上に再度置かれる。巻き上げられたウエブは、送り出された方向の反対の方向にこうして取り出される。したがって、サイクル時間は、依然として満足ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第0206310明細書
【0009】
【文献】国際公開第89/12776号明細書
【0010】
【文献】加国特許出願公開第706364号明細書
【0011】
【文献】欧州特許第0551228号明細書
【0012】
【文献】国際公開第98/40297号明細書
【0013】
【文献】独国特許発明第1571482号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記から、本発明の基礎となる課題は、パイプシェルの品質を改善すると同時にサイクル時間をさらに低減することができる、パイプシェルを製造するための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題の解決のために、本発明による方法は、請求項1の特徴を含む。これは、断熱材料の少なくとも1つの巻き上げられたウエブが、断熱材料の少なくとも1つのウエブが1つのベルトによって送り出された方向の反対ではないコアの径方向に取り出されることを特徴とする。断熱材料の巻き上げられたウエブは、特に、少なくとも1つのウエブを送り出した同じベルトによって排出される。本発明による装置は、請求項4の特徴を含む。
【0016】
したがって、本発明によれば、巻き上げられたウエブがその送り出し方向の反対の方向には取り出されないことが実現される。換言すれば、ウエブの送り出し方向は、巻き上げられたウエブの取り出し方向に対する180°とは大いに異なる。特定の好ましい方法では、ウエブは、巻き上げ後、これが送り出されたのと同じ方向にさらに搬送される。したがって、ウエブが、たとえば、左からコアに送り出された場合、巻き上げられたウエブは、右に取り出される。これにより、ウエブが巻き上げられ、および/または取り出されている間に新しいパイプシェルの製造のための新しいウエブを提供することが可能になる。したがって、サイクル時間をさらに低減することができる。
【0017】
本発明の有利な別の開発は、従属請求項の主題である。
【0018】
したがって、たとえば、各ベルトは、輪郭ローラおよび偏向ローラを通って案内され、張力ローラによって予め張力がかけられ、それぞれの関連する輪郭ローラ、偏向ローラ、および張力ローラを有するベルトの配置は、対称的に設計される。そのとき2つの同一の配置が使用されてもよく、それによって装置の製造を容易にする。
【0019】
さらに、それぞれの関連する輪郭ローラ、偏向ローラ、および張力ローラを有するベルトの配置は、互いに離れ、互いに向かうように集合的に可動となり得る。これにより、コアの交換をさらに容易にすることが可能になる。
【0020】
便宜上、ベルトの少なくとも1つは、循環式に駆動可能でなければならない。そのときコア、およびコアを介する他のベルトは引きずられ、それによって駆動が容易になる。しかし、駆動力はそのとき断熱材料のウエブを通って伝えられる必要もあるため、両方の(または場合によってはすべての)ベルトが、駆動されることが好ましい。ベルトは、そのとき、スリップを最小限にするために互いに同期して駆動されなければならない。場合によっては、スリップを完全に回避するために、コアも駆動されてもよい。
【0021】
しかし、ベルトを特異的には異なる速度で駆動することも考えられる。伸張または圧縮効果(「クレープ加工(crepage)」)が、ベルトの特異的に異なる速度によって達成することができる。
【0022】
輪郭ローラは、好ましくは、巻き付け装置間の対称面に平行な方向に変位されるように配置される。したがって、コア周りの各ベルトの巻き付き角度は、輪郭ローラが隙間を調整するために変位される場合に変化せず、またはわずかしか変化しない。
【0023】
本発明の別の開発によれば、加熱ガス、特に高温空気が、コアを通って断熱材料のウエブ内に吹き込まれる。本発明による装置の別の開発によれば、コアは、この目的のために、加熱ガス、特に高温空気によって内部から影響を受けるように適合されたガス透過性シースを備える。高温空気は、内部からシースを通ってウエブ内に吹き込まれる。このプロセスは、巻き付けプロセス中、好ましくはコアの第1の全回転後、すなわちウエブの第1の層が巻き上げられた後に事前に開始する。
【0024】
EP0206310A2による現況技術では、断熱材料の巻き上げられたウエブ内の結合剤は、加熱され、ひいては放射源によって硬化され、この放射源は、好ましくはコアの外側に配置されるが、コア内に配置されてもよい。しかし、最初にすでに述べたように、内部から加熱されるコアの場合、コアの温度は、断熱材料を通って外側縁層まで十分な熱を輸送するために非常に高くなるように選択されなければならない。したがって、パイプシェルの内部が燃えるという実践から知られている危険が、存在している。さらに、完全な硬化は比較的時間がかかるため、サイクル時間はさらに悪化する。WO89/12776A1による現況技術では、結合剤の硬化はもたらされない。したがって断熱材料の巻き上げられたウエブと共にコアを装置から取り出す必要があり、結合剤を別個に硬化させる必要がある。これには多くのコアが必要となる。さらに、巻き上げられたウエブが輸送中に意図せず再度ほどかれるという危険が存在し、これもパイプシェルの品質を犠牲にする。
【0025】
しかし、加熱ガスにより、断熱材料の巻き上げられたウエブ内の温度のさらに均一な分配をすばやくかつ確実に生み出すことができ、ひいては結合剤を迅速に硬化させることができる。パイプシェルの品質は改善され、サイクル時間は短縮される。コアから吹き込まれた高温空気によって結合剤が部分的にのみ硬化される場合、サイクル時間をさらに短縮することができる。これにより、部分的に硬化されたパイプシェルは事前に十分に安定化されており、コアを軸方向に引き出すことができる。コアは、新しい巻き付けにすぐに利用可能となる。パイプシェルの硬化は、別個の炉内で仕上げられる。したがって、必要とされるコアの数も同時に低減される。そのため、直径あたり1つのコアのみが必要とされる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構築設計によれば、コアは、2つの半体コアから形成される。これらは、コアの軸方向に見て前後に配置され、それにより、半体コアを相反する方向にパイプシェルから引き出すことができる。したがって、各コアは引き出し中、経路の半分のみを覆い、それによってこの手順もまた加速される。さらに、コアは相反する方向にパイプシェルから引き出されるため、パイプシェルと各半体コアとの摩擦力は、互いに対して実質的に相殺される。これにより、引き出し中のパイプシェルの必要な保持力が低減され、それによって損傷のリスクが最小限にされる。
【0027】
本発明は、図に示す実施形態によって以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の特徴を有する装置の概略側面図である。
図2】第1の材料ウエブを最初に送っている、図1による装置の図である。
図3】第1の材料ウエブが部分的に巻き上げられている、図1による装置の図である。
図4】加熱プロセスが始まり、第1の材料ウエブがさらに巻き上げられている、図1による装置の図である。
図5】加熱プロセスが継続しており、第1の材料ウエブが完全に巻き上げられている、図1による装置の図である。
図6】加熱プロセスがさらに継続しており、別の材料ウエブの送り出し中の図1による装置の図である。
図7】加熱プロセスがさらに継続しており、別の材料ウエブが完全に巻き上げられている、図1による装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示す装置は、パイプラインの断熱のためのパイプシェルを製造するのに役立つ。装置は、基本的に、2つの半体の巻き付け装置、すなわち1つの底部巻き付け装置10および1つの上部巻き付け装置11を備える。図1から分かり得るように、底部巻き付け装置10および上部巻き付け装置11は、互いに対称的であり、それにより、2つの同一の組立体を互いに対してミラー反転で使用することができる。したがって、2つの巻き付け装置10、11の間に、この場合は水平に延びる対称平面が、結果として生じる。しかし、巻き付け装置10、11は、互いに非対称に設計されてもよい。
【0030】
底部巻き付け装置10は、循環式連続ベルト12として設計されたベルト12を備える。同様に、上部巻き付け装置11は、これもまた循環式連続ベルトとして設計されたベルト13を備える。ベルト12、13は、偏向ローラ14、15、16、および17の周りに案内され、張力ローラ18によって調整可能な引張強度で予め張力がかけられる。偏向ローラ14から17の少なくとも1つは、回転式に駆動され、したがってそれぞれのベルト12または13も駆動する。スリップを回避するために、ポジティブロック式、たとえば歯付きの連結が、それぞれの被駆動偏向ローラ14から17と関連するベルト12または13との間に設けられ得る。追加的に、または代替的には、張力ローラ18も駆動可能であり、場合によっては歯付きであるように設計され得る。
【0031】
ベルト12と13との間に、コア19が設けられる。異なる外径を有する異なるコア19が、準備される。パイプシェルの製造のために、適切なコア19が、パイプシェルの所望の内径に対応して選択される。コア19は、その長手方向軸周りで回転されるように装着され、ベルト12および13の運動に伴う。しかし、特にコア19とベルト12、13との間のスリップを回避する場合、コアもまた、それ自体回転式に駆動され得る。この場合、コア19は、ベルト12、13の速度と同期して駆動される。また、コア19だけが回転式に駆動され、ベルト12、13を伴わせることも考えられる。
【0032】
各巻き付け装置10、11は、2つの輪郭ローラ20および21を備え、これらのローラは、ベルト12および13が特定の弧度でコア19の周りに巻き付くことをもたらす。この場合、輪郭ローラ20、21は、ベルト12、13がそれぞれ幾分180°未満でコア19の周りに巻き付くように配置される。したがって両方のベルト12、13は結合して、コア19の周りにほぼ完全に巻き付く。
【0033】
コア19はガス透過性シースを備え、ガス透過性シースを通って外側に径方向に達する加熱ガス、具体的には高温空気によって内部から影響を受け得る。
【0034】
底部巻き付け装置10および上部巻き付け装置11は一緒になり、それぞれの両頭矢印22によって示すように、互いに向かっておよび互いから離れるように、この場合具体的には上部および底部に向けて可動である。それぞれの巻き付け装置10または11を参照すれば、偏向ローラ14から17は、固定された位置に配置され、関連付けする巻き付け装置10、11と結合して移動する。底部および上部巻き付け装置10、11の偏向ローラ14は、図1に認識できるように互いから離間され、それにより、偏向ローラ14と輪郭ローラ20との間を延びるベルト12、13のセクションは、輪郭ローラ20を起点にしてコア19からV字に離れるように開き、こうして入口開口23を形成する。張力ローラ18は、両頭矢印24によって示すように水平に変位可能であり、それぞれのベルト12、13の張力に適した別の方向の変位運動も可能である。張力ローラ18は、それぞれのベルト12または13の張力に合わせて適切に変位される。
【0035】
輪郭ローラ20、21は、コア19からおよびコア19に向かって、両頭矢印25によって示すように可動である。この場合、輪郭ローラ20、21は、水平に、または極めて一般的には巻き付け装置10、11間の対称平面に対して平行に変位可能であり、異なる変位方向も可能である。しかし、水平の変位方向は、コア19の周りのそれぞれのベルト12、13の巻き付き角度を変更せず、またはわずかしか変更しないので、好ましい。
【0036】
説明する装置により、パイプシェルは、以下のように製造される。
【0037】
最初に、底部巻き付け装置10および上部巻き付け装置11は、分かれるように駆動される。ここで、コア19が、装置内のベルト12、13間に導入される。コア19の外径は、製造されるパイプシェルの所望の内径に対応して選択される。ここで、巻き付け装置10、11は、再度一緒になるように駆動され、その結果、図1および2に示す位置になる。輪郭ローラ20および21は、コア19に接近して駆動され、それにより、ベルト12、13のそれぞれは、ほぼ180°でコア19の周りに巻き付く。図2に示すように、ベルト12、13は、駆動され、矢印26、27によって示すように循環する。ベルト12、13の循環方向は、それぞれ時計回り方向であり、それにより、下側ベルト12のセクションは、入口開口23においてコア19に向かって移動する。コア19は、矢印28によって示すように、ベルト12、13の方向に対応して反時計回り方向に回転する。
【0038】
結合剤を備える断熱材料のウエブ29、実際にはミネラルウールのウエブが、入口開口23内に適切に置かれ、下側ベルト12の対応するセクション上に載置するようになる(図2)。したがって、ウエブ29はベルト12によってコア19に向かって移動され、それにより、ウエブの前端は、コア19のシースと接触するようになる。したがってウエブ29は、コア19と下側ベルト12との間の空隙に引き込まれる。ウエブ29がさらに輸送されることにより、ウエブ29の前端は最初、コア19と下側ベルト12との間の空隙を離れ、コア19と上側ベルト13との間の空隙にさらに入り込む。輪郭ローラ20、21は、図3の矢印30によって示すようにコア19から離れるように連続的に移動される。張力ローラ18はこれに対応して従う(矢印31)。輪郭ローラ20、21を介して、とりわけ張力ローラ18によって調整されたベルト12、13の張力によって、ベルト12、13とコア19との間の隙間、ひいてはその後のパイプシェルのかさ密度が、調整される。張力ローラ18は、この目的のために力調節されながら移動する。
【0039】
図4に示すように、ウエブ29の前端は、ウエブ29のさらなる輸送によって、コア19の全回転後、さらに送り出されたウエブ29とコア19との間に達する。これに対応して、輪郭ローラ20、21は、コア19からさらに離れるように移動され、張力ローラ18は、再配置される。したがって、一方ではベルト12、13と、他方ではコア19との間の隙間は増大する。ここで、コア19はまた、内部から高温空気による影響を受け、前記高温空気は、コア19のガス透過性シースを通って外側に(図4のコア19内の径方向に外方向に向けられた矢印)、そして断熱材料の第1の層内に流れる。断熱材料内の結合剤は、それによって事前に部分的に硬化される。その間コア19は、ベルト12、13と共に回転し続ける。ウエブ29は、巻き上げられ続ける。
【0040】
図5は、第1のウエブ29がコア19上に完全に巻き上げられた状態の装置を示す。ウエブ29の長さに応じて、1つの層、または他には2つ以上の層が、生み出されている。コア19は、ベルト12、13と共に回転し続け、その間コア19は、内部から高温空気による影響を受け続け、前記高温空気は、このとき完全に巻き上げられたウエブ29内に流れ込んでおり、結合剤を部分的に硬化させている。
【0041】
さらにより大きい壁厚、すなわちさらにより大きい外径を有するパイプシェルが望まれる場合、断熱材料の1つ以上の別のウエブ29が、送り出される。これは、図6に示される。1つ以上の別のウエブ29は、ここで、先に巻かれたそれぞれのウエブ29上に第1のウエブ29と同じ方法で巻き上げられる。このプロセスでは、コア19は、連続的に内部から高温空気による影響を受け、前記高温空気は、ウエブ29を流れ抜けており、したがって結合剤を部分的に硬化させている。
【0042】
パイプチューブの所望の外径、したがって所望の壁厚が達成されるとすぐに、巻き付けプロセスは終了する。さらに、結合剤が部分的に十分硬化されるとすぐに、高温空気の供給も停止される。理想的には、この停止は、巻き付けプロセスの終了と同時に起こる。部分的に硬化されたパイプシェル32は、このときコア上に存在している。場合によっては、ベルト12、13は、高温空気の供給も終了できるまで、すなわちパイプシェル32が部分的に十分硬化されるまで、コア19と共に循環し続ける(図7)。これにより、パイプシェル32の円形の外面が生み出され、それにより、研磨によってこれ以上円形にされる必要はほとんどなく、または全くない。したがって研磨による材料の損失は、最小限にされるか、または完全に回避される。硬化の程度に応じて、外面を平滑化するための別個の平滑化バンドをさらにやめることもできる。
【0043】
このとき部分的に硬化された管状パイプシェル32は、最終的に装置から取り出される。これは、巻き付け装置10、11が再度分かれるように駆動され、部分的に硬化されたパイプシェル32がコア19と共に装置から取り出されるようにして行われ得る。しかし、パイプシェル32は事前に部分的に十分硬化されており、したがって安定化しているため、最初にコア19をパイプシェル32から軸方向に引き出すこともでき、次いで、パイプシェル32のみを装置から取り出すことができる。ベルト12、13はその間パイプシェル32を保持する。コア19は、再度別のパイプシェルの製造にすぐ利用できる。1サイズ(パイプシェルの所望の内径)あたり1つだけのコア19が、装置に必要とされる。
【0044】
この場合、ウエブ29は、左側からベルト12によってコア19に送り出された。巻き上げられたウエブおよび/または(部分的に)硬化されたパイプシェル32は、同じ方向に、すなわちここでも右側に、コア19から離れるように装置から取り出される。これは、好ましくは、巻き上げられたウエブおよび/または(部分的に)硬化されたウエブもまた、同じ方向に依然として循環するベルト12によって装置から排出されるようにして行われる。
【0045】
パイプシェル32が装置から取り出されるとすぐに、パイプシェル32は、別の炉内で完全に硬化され、その後長手方向平面にたとえば2つの半体シェルに分割される。
【0046】
コア19は、一体的に形成することができ、そのため、パイプシェル32からその全長さにわたって引き出される。しかし、コア19および/またはパイプシェル32の軸方向に前後に配置された2つの部分的コアを設けることもできる。部分的コアのそれぞれは、そのとき、パイプシェル32から軸方向に前部および/または後部に向けて引き出される。各部分的コアに対して、より短い経路が結果として生じ、それにより、コア19を一緒にパイプシェル30からよりすばやく引き出すことができる。

【0047】
装置は、底部巻き付け装置10と上部巻き付け装置11との間の対称平面が水平面に延びるように図に示されている。しかし、装置は、巻き付け装置10、11間の対称平面が水平に対して角度を付けて、または垂直にも延びるように、異なって配向されてもよい。本説明および同封する特許請求の範囲において水平方向が述べられる限り、これは、巻き付け装置10、11間の対称平面が延びる方向を常に意味する。
【0048】
また、3つまたはさらにそれ以上の巻き付け装置を提供することも可能であり、そのベルトはそのとき、好ましくはそれぞれ円の三分の一、または円の四分の一、または対応するより小さい円セグメントでコアの周りに巻き付くことになる。これにより、断熱材料のウエブ上でベルトによってさらにより均整のとれた圧力分配を達成することが可能になる。しかし、それによって装置はより複雑になるため、2つの巻き付け装置10、11を有する図示する実施形態が、好ましい。
【0049】
前述の説明は、ベルト12、13が等しい循環速度で駆動され、コア19もまた、これが別個の駆動装置を有しベルトによって一緒に引きずられない限り、ベルトと同期して駆動されると仮定している。しかし、ベルト12および13を特異的に異なる速度で駆動することも考えられる。2つのベルト12、13の特異的に異なる速度により、伸張または圧縮効果(「クレープ加工)を達成することができる。
【0050】
内側ウエブ29および/またはウエブ29の少なくとも内側層は、巻き上げが続けられている間、事前に(部分的に)硬化されるため、ベルト12、13の張力もまた、層間のおよび/またはウエブ29間の張力ローラ18の適切な力調節によって、ひいてはかさ密度によっても変化させることができる。したがって、たとえば、内側により高いかさ密度をもたらし、外側領域内により低いかさ密度を実現することができる。
【0051】
パイプシェル32の所望の内径ごとに1つだけのコア19が必要とされるため、コアの交換を容易にするだけでなく自動化することもできる。したがって、コア19を、たとえばコア貯蔵庫内に準備することができ、ここからコアは自動的に取得される。コアはまた、ある種のリボルバ内に準備され得る。リボルバは、所望の直径を有するコア19を装置の正面に移動させ、次いで、変位ユニットがコア19を、図に示す巻き付け装置10、11間の位置に軸方向に変位させる。
【0052】
パイプシェル32はまた、後部だけを排出方向に、すなわち、輪郭ローラ対21およびローラ対17が分かれるように適切に駆動されるようにして、装置から取り出されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 底部巻き付け装置
11 上部巻き付け装置
12 ベルト
13 ベルト
14 偏向ローラ
15 偏向ローラ
16 偏向ローラ
17 偏向ローラ
18 張力ローラ
19 コア
20 輪郭ローラ
21 輪郭ローラ
22 両頭矢印
23 入口開口
24 両頭矢印
25 両頭矢印
26 矢印
27 矢印
28 矢印
29 ウエブ
30 矢印
31 矢印
32 パイプシェル
図1
図2
図3
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図5
図6
図7