(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】バルクフィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230628BHJP
B65G 47/28 20060101ALI20230628BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
H05K13/02 D
B65G47/28
B65G47/14 101C
(21)【出願番号】P 2021555737
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2019044791
(87)【国際公開番号】W WO2021095220
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】川崎 裕司
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-066222(JP,A)
【文献】特開2005-112553(JP,A)
【文献】特公昭60-014741(JP,B2)
【文献】特開平05-277447(JP,A)
【文献】特開2016-199371(JP,A)
【文献】特開昭57-043488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
B65G 47/14
B65G 47/16
B65G 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に設けられ、複数の部品をバルク状態で収容する部品ケースから排出される前記部品を受容する受容領域、前記部品を供給する供給領域、および前記受容領域から前記供給領域への前記部品の搬送路を有する軌道部材と、
前記フィーダ本体に設けられ、前記搬送路上の前記部品が搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記軌道部材のうち前記搬送路に設けられ、前記軌道部材の振動に伴って搬送される複数の前記部品に接触することにより前記搬送路の幅方向に分散させる分散部材と、
前記軌道部材のうち前記供給領域に設けられ、複数の前記部品を個々に収容する複数のキャビティを有し、前記軌道部材の振動に伴って搬送される複数の前記部品を案内して前記フィーダ本体に対して整列させる整列部材と、
を備え
、
複数の前記キャビティは、前記整列部材において、前記部品の搬送方向に複数個、前記搬送路の幅方向に複数個それぞれ配列され、
前記軌道部材は、前記部品の搬送方向において、前記分散部材と前記整列部材との間に前記分散部材が設けられていない前記搬送路上の領域を有し、
前記分散部材が前記搬送路を分割することにより形成された搬送経路の数は、前記搬送路の幅方向に配列された前記キャビティの数よりも小さいバルクフィーダ。
【請求項2】
前記分散部材は、前記搬送路における前記部品の搬送方向に延伸し、且つ前記搬送路から上方に突出し、前記搬送路の幅方向に互いに所定の間隔をあけて配置される複数の突条部を有する、請求項1に記載のバルクフィーダ。
【請求項3】
複数の前記突条部のそれぞれは、上方視において前記受容領域側の端部が前記搬送路の幅方向に対して傾斜した傾斜面を形成される、請求項2に記載のバルクフィーダ。
【請求項4】
前記バルクフィーダは、前記加振装置の動作を制御して、前記搬送路上の前記部品を前記供給領域へ向かう方向に搬送する送り動作、および前記搬送路上の前記部品を前記受容領域へ向かう方向に搬送する戻し動作を実行する搬送制御部をさらに備え、
複数の前記突条部のそれぞれは、上方視において前記供給領域側の端部が前記搬送路の幅方向に対して傾斜した傾斜面を形成される、請求項2または3に記載のバルクフィーダ。
【請求項5】
前記分散部材は、水平面に対して傾斜し、且つ法線が前記供給領域側および前記搬送路の幅方向外方を向く傾斜面を有する、請求項1-4の何れか一項に記載のバルクフィーダ。
【請求項6】
前記分散部材は、
前記軌道部材の振動に伴って搬送される複数の前記部品とそれぞれ衝突することにより別々の方向に飛散させる衝突板と、
前記軌道部材に対する前記衝突板の姿勢を調整可能に支持する支持部材と、
を有する請求項1-5の何れか一項に記載のバルクフィーダ。
【請求項7】
前記分散部材は、前記軌道部材に対して交換可能に取り付けられ、
前記バルクフィーダは、供給する前記部品の種類に対応して互いの形状が異なる複数種類の前記分散部材から選択された1つを前記軌道部材に取り付けられる、請求項1-6の何れか一項に記載のバルクフィーダ。
【請求項8】
前記分散部材は、前記軌道部材に対して一体的に形成され、
前記軌道部材は、前記フィーダ本体に対して交換可能に取り付けられ、
前記バルクフィーダは、供給する前記部品の種類に対応して互いの形状が異なる複数種類の前記分散部材の一つを形成された複数種類の前記軌道部材から選択された1つを前記フィーダ本体に取り付けられる、請求項1-6の何れか一項に記載のバルクフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルクフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バルクフィーダは、基板に部品を装着する部品装着機に装備され、バルク状態で収容された部品の供給に用いられる。バルクフィーダには、例えば搬送路上に設けられた整列機構によって複数の部品を一列に整列させた状態で部品を供給するタイプがある。また、バルクフィーダには、特許文献1に示すように、上記のような整列機構を省略し、吸着ノズルが部品を採取可能な供給領域において部品を散在させたバルク状態で供給するタイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように供給領域に複数の部品をバルク状態で供給するタイプのバルクフィーダの場合に、供給領域において部品同士が近接しているとそれらの部品を吸着ノズルが採取対象にすることができない。そのため、そのため、バルクフィーダには、供給領域に存在する部品が好適に分散した状態で供給されることが求められる。
【0005】
本明細書は、供給領域における複数の部品を分散することが可能なバルクフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、フィーダ本体と、前記フィーダ本体に設けられ、複数の部品をバルク状態で収容する部品ケースから排出される前記部品を受容する受容領域、前記部品を供給する供給領域、および前記受容領域から前記供給領域への前記部品の搬送路を有する軌道部材と、前記フィーダ本体に設けられ、前記搬送路上の前記部品が搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、前記軌道部材のうち前記搬送路に設けられ、前記軌道部材の振動に伴って搬送される複数の前記部品に接触することにより前記搬送路の幅方向に分散させる分散部材と、を備えるバルクフィーダを開示する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によると、供給領域における複数の部品を分散することが可能となる。これにより、バルクフィーダの幅方向の小型化を図りつつ好適に複数の部品を採取可能に供給することができる。また、部品供給処理の効率化により所要時間を短縮できるので、バルクフィーダを用いた装着処理の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】バルクフィーダの要部を模式的に示す側面図である。
【
図6】搬送処理における部品の分散状態の遷移を示す図である。
【
図7】分散部材の第一変形態様の分散部材を示す平面図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII断面および一部の部品を拡大して示す図である。
【
図9】分散部材の第二変形態様の分散部材を示す平面図である。
【
図10】バルクフィーダに軌道部材または分散部材が選択的に取り付け可能な構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.部品装着機10の構成
バルクフィーダ20は、基板91に部品92を装着する部品装着機10に装備され、バルク状態で収容された部品92の供給に用いられる。部品装着機10は、例えば他の部品装着機10を含む複数種類の対基板作業機とともに、基板製品を生産する生産ラインを構成する。上記の生産ラインを構成する対基板作業機には、印刷機や検査装置、リフロー炉などが含まれ得る。
1-1.基板搬送制御部
部品装着機10は、
図1に示すように、基板搬送制御部11を備える。基板搬送制御部11は、基板91を搬送方向へと順次搬送するとともに、基板91を機内の所定位置に位置決めする。
【0010】
1-2.部品供給装置12
部品装着機10は、部品供給装置12を備える。部品供給装置12は、基板91に装着される部品を供給する。部品供給装置12は、複数のスロット121にフィーダ122をそれぞれ装備される。フィーダ122には、例えば多数の部品が収納されたキャリアテープを送り移動させて、部品を採取可能に供給するテープフィーダが適用される。また、フィーダ122には、バルク状態(それぞれの姿勢が不規則なばら状態)で収容された部品を採取可能に供給するバルクフィーダ20が適用される。バルクフィーダ20の詳細については後述する。
【0011】
1-3.部品移載装置13
部品装着機10は、部品移載装置13を備える。部品移載装置13は、部品供給装置12により供給された部品を基板91上の所定の装着位置に移載する。部品移載装置13は、ヘッド駆動装置131、移動台132、装着ヘッド133、および吸着ノズル134を備える。ヘッド駆動装置131は、直動機構により移動台132を水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。装着ヘッド133は、図示しないクランプ部材により移動台132に着脱可能に固定され、機内において水平方向に移動可能に設けられる。
【0012】
装着ヘッド133は、回転可能に且つ昇降可能に複数の吸着ノズル134を支持する。吸着ノズル134は、フィーダ122により供給される部品92を採取して保持する保持部材である。吸着ノズル134は、供給される負圧エアにより、フィーダ122により供給される部品を吸着する。装着ヘッド133に取り付けられる保持部材としては、部品を把持することにより保持するチャックなどが採用され得る。
【0013】
ここで、上記の装着ヘッド133には、種々のタイプが採用され得る。具体的には、複数の保持部材を、鉛直軸(Z軸)に平行なR軸周りに回転可能に設けられたロータリヘッドにより支持するタイプが装着ヘッド133にはある。本実施形態では、装着ヘッド133は、ロータリヘッドにより24本の吸着ノズル134を支持する。その他に、直線状またはマトリックス状に配列された複数の保持部材を支持するタイプ、1つの保持部材を支持するタイプなどが装着ヘッド133にはある。これらの装着ヘッド133のタイプは、例えば生産する基板製品の種類などに応じて適宜選択され得る。
【0014】
1-4.部品カメラ14、基板カメラ15
部品装着機10は、部品カメラ14、および基板カメラ15を備える。部品カメラ14、および基板カメラ15は、CMOSなどの撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ14、および基板カメラ15は、制御信号に基づいて撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを送出する。部品カメラ14は、吸着ノズル134に保持された部品を下方から撮像可能に構成される。基板カメラ15は、装着ヘッド133と一体的に水平方向に移動可能に移動台132に設けられる。基板カメラ15は、基板91を上方から撮像可能に構成される。
【0015】
また、基板カメラ15は、基板91の表面を撮像対象とする他に、移動台132の可動範囲であれば種々の機器などを撮像対象にできる。例えば、基板カメラ15は、本実施形態において、バルクフィーダ20が部品92を供給する供給領域As(
図4を参照)を撮像することができる。このように、基板カメラ15は、種々の画像処理に用いられる画像データを取得するために、異なる撮像対象の撮像に兼用され得る。
【0016】
1-5.制御装置16
部品装着機10は、制御装置16を備える。制御装置16は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置16は、図略の記憶装置を備える。記憶装置は、ハードディスク装置などの光学ドライブ装置、またはフラッシュメモリなどにより構成される。制御装置16の記憶装置には、装着処理の制御に用いられる制御プログラムなどの各種データが記憶される。制御プログラムは、装着処理において基板91に装着される部品の装着位置および装着順序を示す。
【0017】
制御装置16は、複数の保持部材(吸着ノズル134)のそれぞれに保持された部品の保持状態の認識処理を実行する。具体的には、制御装置16は、部品カメラ14の撮像により取得された画像データを画像処理し、装着ヘッド133の基準位置に対する各部品の位置および角度を認識する。なお、制御装置16は、部品カメラ14の他に、例えば装着ヘッド133に一体的に設けられるヘッドカメラユニットなどが部品を側方、下方、または上方から撮像して取得された画像データを画像処理するようにしてもよい。
【0018】
制御装置16は、制御プログラムに基づいて、装着ヘッド133による部品の装着動作を制御して装着処理を実行する。ここで、装着処理には、採取動作と装着動作とが含まれるピックアンドプレースサイクル(以下、「PPサイクル」と称する)を複数回に亘って繰り返す処理が含まれる。上記の「採取動作」とは、部品供給装置12により供給された部品を吸着ノズル134により採取する動作である。
【0019】
本実施形態において、制御装置16は、上記の採取動作の実行に際して、バルクフィーダ20を含む部品供給装置12の動作を制御するとともに、バルクフィーダ20の供給領域Asにおける部品92の供給状態の認識処理を実行する。上記の「供給状態の認識処理」には、供給領域Asに採取可能な部品92があるか否かを認識し、ある場合には必要に応じて部品92の位置を認識する処理が含まれる。そして、制御装置16は、供給状態の認識処理の結果に基づいて、採取動作における装着ヘッド133の動作を制御する。
【0020】
また、上記の「装着動作」とは、採取した部品を基板91における所定の装着位置に装着する動作である。制御装置16は、装着処理において、各種センサから出力される情報や画像処理の結果、制御プログラムなどに基づき、装着ヘッド133の動作を制御する。これにより、装着ヘッド133に支持された複数の吸着ノズル134の位置および角度が制御される。
【0021】
2.バルクフィーダ20の構成
バルクフィーダ20は、部品装着機10に装備されて部品供給装置12の少なくとも一部として機能する。バルクフィーダ20は、テープフィーダと異なりキャリアテープを用いないため、キャリアテープの装填や使用済みテープの回収などを省略できる点でメリットがある。一方で、バルクフィーダ20は、キャリアテープのように整列されていないバルク状態で収容された部品92を供給するため、部品92の供給状態が吸着ノズル134などの保持部材による採取動作に影響し得る。
【0022】
詳細には、供給領域Asにおいて部品92同士が接触するほど接近していたり堆積(上下方向に重なり合っている状態)していたりすると、採取対象にすることができない。また、供給領域Asに不規則な姿勢で部品92が供給されると、供給状態(部品92の採取可否、および採取可能な部品92の姿勢)を認識するための画像処理が必要となる。そのため、バルクフィーダ20には、供給領域Asにおいて採取可能な複数の部品92が必要数に不足することなく供給され、さらには適宜分散した状態にあることが望まれる。
【0023】
これに対して、バルクフィーダ20には、供給領域Asに部品92が到達する前に、例えば搬送路上に設けられた整列機構によって複数の部品92を一列に整列させる構成を採用することが想定される。しかしながら、上記のような構成では、搬送路上の整列機構を設ける必要があるとともに、さらに整列された状態を維持して部品92を供給領域Asまで搬送する必要がある。そこで、本実施形態のバルクフィーダ20は、振動を用いた部品92の搬送を行うとともに、供給領域Asにおいて振動を用いて部品92を整列させる構成を採用する。
【0024】
2-1.フィーダ本体21
バルクフィーダ20は、
図2に示すように、フィーダ本体21を備える。フィーダ本体21は、扁平な箱状に形成される。フィーダ本体21は、部品供給装置12のスロット121にセットされる。フィーダ本体21の前部には、コネクタ211および2つのピン212が形成される。コネクタ211は、バルクフィーダ20がスロット121にセットされると、部品装着機10の本体側と通信可能に接続する。また、バルクフィーダ20は、コネクタ211を介して給電される。2つのピン212は、フィーダ本体21がスロット121にセットされる際の位置決めに用いられる。
【0025】
2-2.部品ケース22、排出装置23、カバー24
本実施形態においてフィーダ本体21には、複数の部品92をバルク状態で収容する部品ケース22が着脱可能に取り付けられる。部品ケース22は、外部へ部品92を排出可能に構成される。本実施形態において、部品ケース22は、バルクフィーダ20の外部装置であって、例えば種々のタイプのものから装着処理に適合する一つが選択されて、フィーダ本体21に取り付けられる。
【0026】
バルクフィーダ20は、排出装置23を備える。排出装置23は、部品ケース22から排出させる部品92の数量を調整する。排出装置23は、部品ケース22から排出された複数の部品92を後述する軌道部材30の受容領域Arに供給する。バルクフィーダ20は、カバー24を備える。カバー24は、フィーダ本体21の前側上部に着脱可能に取り付けられる。カバー24は、後述する軌道部材30の搬送路Rを搬送される部品92の外部への飛散を防止する。
【0027】
2-3.軌道部材30
バルクフィーダ20は、軌道部材30を備える。軌道部材30は、フィーダ本体21の前側上部に設けられる。軌道部材30は、
図3および
図4に示すように、フィーダ本体21の前後方向(
図3および
図4の左右方向)に延伸するように形成される。軌道部材30の幅方向(
図4の上下方向)の両縁には、上方に突出する一対の側壁31が形成される。一対の側壁31は、軌道部材30の先端部32とともに搬送路Rの周縁を囲い、搬送路Rを搬送される部品92の漏出を防止する。先端部32の上面には、バルクフィーダ20の基準位置を示す円形の基準マーク33が付される。
【0028】
上記のような構成からなる軌道部材30は、受容領域Ar、供給領域As、および搬送路Rを有する。ここで、「受容領域Ar」とは、部品ケース22から排出されるバルク状態の部品92を受容する領域である。本実施形態の受容領域Arは、部品ケース22の排出口の下方に位置する。また、「供給領域As」とは、部品92を供給する領域である。換言すると、装着ヘッド133に支持された吸着ノズル134により部品92を採取可能な領域であり、装着ヘッド133の可動範囲に含まれる。
【0029】
また、軌道部材30の「搬送路R」とは、受容領域Arから供給領域Asへの部品92の通り道である。本実施形態において、搬送路Rは、溝底面が水平となる溝形状に形成される。搬送路Rの溝側面は、一対の側壁31により形成される。搬送路Rの上側の溝開口は、カバー24により概ね閉塞される。軌道部材30は、前後方向および上下方向により形成される仮想的な垂直面において、フィーダ本体21に対して僅かに変位可能(即ち、振動可能)に支持される。
【0030】
2-4.加振装置40
バルクフィーダ20は、加振装置40を備える。加振装置40は、フィーダ本体21に設けられる。加振装置40は、搬送路R上の部品92が搬送されるように軌道部材30に振動を付与する。具体的には、加振装置40は、複数の第一支持部41、複数の第一圧電素子42、複数の第二支持部43、複数の第二圧電素子44、および駆動部45を有する。第一支持部41および第二支持部43は、フィーダ本体21と軌道部材30とを連結する連結部材である。
【0031】
第一支持部41は、鉛直方向に対して前方に傾斜して延伸した形状に形成される。第二支持部43は、鉛直方向に対して後方に傾斜して延伸した形状に形成される。第一圧電素子42および第二圧電素子44は、駆動部45から給電される電力に応じた周波数で振動する。第一圧電素子42は、第一支持部41に貼付されている。第二圧電素子44は、第二支持部43に貼付されている。第一圧電素子42が振動すると、第一支持部41を介して軌道部材30に振動が付与される。同様に、第二圧電素子44が振動すると、第二支持部43を介して軌道部材30に振動が付与される。
【0032】
また、第一圧電素子42または第二圧電素子44に印加する電圧に応じて、軌道部材30の振幅が変動する。加振装置40は、前方に傾斜する第一支持部41に貼付された第一圧電素子42を振動させることによって軌道部材30に振動を付与する。これにより、加振装置40は、搬送路Rにおける部品92の搬送方向に直交する水平方向(
図3の前後方向)において軌道部材30に時計回りの楕円運動をさせる。このとき、加振装置40は、搬送路R上の部品92に対して前方且つ上方に向かう外力が加えられるように軌道部材30を振動させる。
【0033】
また、加振装置40は、後方に傾斜する第二支持部43に貼付された第二圧電素子44を振動させることによって軌道部材30に振動を付与する。これにより、加振装置40は、搬送路Rにおける部品92の搬送方向に直交する水平方向(
図3の前後方向)において軌道部材30に反時計回りの楕円運動をさせる。このとき、加振装置40は、搬送路R上の部品92に対して後方且つ上方に向かう外力が加えられるように軌道部材30に振動させる。
【0034】
駆動部45は、後述するフィーダ制御装置70の指令に基づいて、第一圧電素子42および第二圧電素子44に供給する電力の周波数、および印加電圧を変動させる。これにより、軌道部材30に付与される振動の周波数および振幅が調整され、軌道部材30の楕円運動の回転方向が定まる。軌道部材30の振動の周波数や振幅、振動による楕円運動の回転方向が変動すると、搬送される部品92の搬送速度、部品92の分散度合い、および搬送方向などが変動する。
【0035】
上記のような構成により、加振装置40は、軌道部材30に所定の振動を付与し、部品ケース22から軌道部材30の受容領域Arに排出された複数の部品92を、搬送路Rを介して供給領域Asへと搬送可能とする。以下では、搬送路R上の部品92を供給領域Asへ向かう方向に搬送する加振装置40の動作を「送り動作」とする。また、搬送路R上の部品92を受容領域Arへ向かう方向に搬送する加振装置40の動作を「戻し動作」とする。なお、加振装置40の送り動作および戻し動作の切り換えによって、軌道部材の楕円運動は、逆回転となる。
【0036】
2-5.整列部材50
バルクフィーダ20は、整列部材50を備える。整列部材50は、軌道部材30のうち供給領域Asに設けられる。整列部材50は、軌道部材30の振動に伴って搬送される複数の部品92を案内してフィーダ本体21に対して整列させる。例えば、整列部材50は、
図4に示すように、複数の部品92を個々に収容する複数のキャビティ51を有する。詳細には、複数のキャビティ51は、供給領域Asにおいてマトリックス状に配列される。例えば、整列部材50は、規則的に搬送方向に10個、搬送路Rの幅方向に12個それぞれ配列された計120個のキャビティ51を有する。
【0037】
また、複数のキャビティ51のそれぞれは、搬送路Rの上面において開口し、部品92の厚み方向が上下方向となる姿勢で部品92を収容する。キャビティ51の開口は、上方視における部品92の外形状よりも僅かに大きくなる寸法に設定される。キャビティ51の深さは、部品92の種類(形状、質量など)に応じて適宜設定することが可能である。キャビティ51の深さを浅く設定し、部品92が搬送路Rの上面より突出する状態では、採取動作における吸着ノズル134と整列部材50の干渉を確実に防止できる。
【0038】
一方で、キャビティ51の深さを深く設定し、部品92が搬送路Rの上面より低い状態では、キャビティ51に一旦収容された部品92が再び抜け出すことが低減される。そこで、整列部材50における複数のキャビティ51のそれぞれの深さは、部品92の厚みTp以上に設定される。但し、キャビティ51の深さが深すぎると、部品92を収容した状態のキャビティ51の上側を別の部品92が搬送方向に移動することを妨げるおそれがある。
【0039】
そのため、キャビティ51の深さは、キャビティ51に収容された状態の部品92の上端が搬送路Rの上面より僅かに低くなるように設定されると好適である。上記のように、キャビティ51の形状(開口、深さなど)は、適宜設定される。整列部材50のキャビティ51の形状は、当該部品92がキャリアテープに収納されてテープフィーダにより供給されると仮定したときに、そのキャリアテープに形成されるキャビティの形状に類似する。
【0040】
キャビティ51の形状は、部品92の形状および収容する姿勢によって適宜設定される。具体的には、キャビティ51は、部品92の長手方向が上下方向となる姿勢で部品92を収容する形状に形成されてもよい。また、キャビティ51の形状が設定されると、供給領域Asにおける1個辺りのキャビティ51の占有面積が定まる。さらに、キャビティ51の形状、必要数、搬送性に影響し得る密集度を加味して、整列部材50におけるキャビティ51の数が適宜設定される。
【0041】
また、整列部材50におけるキャビティ51の数は、1回のPPサイクルにおける採取動作によって採取される部品92の最大数よりも多く設定されると好適である。なお、上記の「最大数」は、装着ヘッド133が支持する吸着ノズル134の数に相当する。本実施形態において、装着ヘッド133は、24本の吸着ノズル134を支持することから、キャビティ51の数は、少なくとも24個より多くなるように設定されている。
【0042】
2-6.分散部材60
バルクフィーダ20は、分散部材60を備える。分散部材60は、軌道部材30のうち搬送路Rに設けられる。分散部材60は、軌道部材30の振動に伴って搬送される複数の部品92に接触することにより搬送路Rの幅方向に分散させる。本実施形態の分散部材60は、
図4に示すように、複数の突条部61を有する(本態様において3つ)。複数の突条部61は、搬送路Rにおける部品92の搬送方向に延伸し、且つ搬送路Rから上方に突出するように形成される。突条部61の搬送方向の長さ、幅、および上方への突出量は、例えば部品92の種類(形状、質量など)や搬送路R上の部品92の数量などに応じて適宜設定され得る。
【0043】
また、複数の突条部61は、搬送路Rの幅方向に互いに所定の間隔をあけて配置される。本態様において、3つの突条部61は、搬送路Rの幅方向に等間隔で配置される。これにより、搬送路Rは、4つの部分的な搬送経路に分割される。また、本態様において、複数の突条部61のそれぞれは、上方視において受容領域Ar側の端部が搬送路Rの幅方向に対して傾斜した第一傾斜面62を形成される。さらに、複数の突条部61のそれぞれは、上方視において供給領域As側の端部が搬送路Rの幅方向に対して傾斜した第二傾斜面63を形成される。
【0044】
上記の第一傾斜面62および第二傾斜面63は、上方視において円弧凸状となるように形成される。これに対して、第一傾斜面62および第二傾斜面63は、上方視において円弧凹状、または直線状に形成されてもよい。第一傾斜面62および第二傾斜面63の形状は、突条部61の長さなどと同様に、部品92の種類などに応じて適宜設定され得る。このように、分散部材60には、種々の態様が適用され得る。分散部材の種々の態様、および分散部材60による複数の部品92への作用については後述する。
【0045】
2-7.フィーダ制御装置70
バルクフィーダ20は、フィーダ制御装置70を備える。フィーダ制御装置70は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。フィーダ制御装置70は、バルクフィーダ20がスロット121にセットされた状態において、コネクタ211を介して給電され、また部品装着機10の制御装置16と通信可能な状態となる。
【0046】
フィーダ制御装置70は、
図3に示すように、記憶部71を有する。記憶部71は、フラッシュメモリなどにより構成される。記憶部71には、部品供給処理の制御に用いられるプログラムや搬送パラメータF1などの各種データが記憶される。上記の「搬送パラメータF1」は、部品供給処理において部品92を搬送する際に、軌道部材30に付与する振動が適正となるように加振装置40の動作を制御するためのパラメータであり、例えば部品92の種類ごとに関連付けて予め設定される。
【0047】
フィーダ制御装置70は、搬送制御部72を有する。搬送制御部72は、加振装置40の動作を制御して、上記の送り動作、および戻し動作を実行する。詳細には、搬送制御部72は、送り動作を実行する場合に、加振装置40の駆動部45に対して指令を送出する。これにより、駆動部45が第一圧電素子42に所定の電力を供給することにより、第一支持部41を介して軌道部材30に振動が付与される。結果として、搬送路R上の部品92が搬送方向の前側に移動するように外力を受けて搬送される。
【0048】
また、搬送制御部72は、加振装置40の送り動作および戻し動作の実行時間などを組み合わせることにより種々の搬送態様を実現する。例えば、整列部材50が複数のキャビティ51を有する場合に、搬送制御部72は、以下のような収容工程および退避工程を実行してもよい。上記の「収容工程」とは、搬送路R上の複数の部品92の少なくとも一部が供給領域Asに到達するまで送り動作を実行して、複数のキャビティ51の少なくとも一部に部品92を収容させる工程である。
【0049】
このとき、搬送制御部72は、収容工程において、搬送路R上の複数の部品92の少なくとも一部が供給領域Asに到達した後に、送り動作および戻し動作を繰り返し実行して、軌道部材30が振動した状態で供給領域Asに複数の部品92を滞留させるようにしてもよい。また、上記の「退避工程」とは、収容工程を実行した後に、搬送路R上の複数の部品92の少なくとも一部が複数のキャビティ51に収容された状態で戻し動作を実行して、残りの部品92を供給領域Asから受容領域Ar側に退避させる工程である。
【0050】
搬送制御部72は、各工程における送り動作や戻し動作の実行時間、収容工程における滞留の動作の時間や繰り返し動作の実行回数を適宜設定することができる。また、搬送路R上の部品92の残数によっては、収容工程における滞留の動作や、退避工程を省略してもよい。さらに、搬送制御部72は、部品ケース22に収容された部品92の種類に応じて、加振装置40により軌道部材30に付与される振動の周波数、および振幅の少なくとも一方を調整してもよい。
【0051】
詳細には、バルクフィーダ20に部品ケース22が取り付けられる際に、部品ケース22に補充された部品92の種類と、バルクフィーダ20の識別情報とが照合される。そして、バルクフィーダ20がスロット121にセットされると、搬送制御部72は、搬送パラメータF1から部品92の種類に応じたパラメータを取得する。これにより、搬送制御部72は、加振装置40の駆動部45に送出する指令を調整する。
【0052】
結果として、加振装置40により軌道部材30に付与される振動の周波数などが部品の種類に応じて調整される。上記の搬送パラメータF1は、部品92の種類に加えて、整列部材50および分散部材60のそれぞれに採用される各種態様によっても適宜切り換えられる構成としてもよい。これにより、収容工程や滞留の動作、退避工程が好適に実行される。さらに、搬送パラメータF1は、過去に実行された部品供給処理の結果(成功率などを含む)に基づいて、管理者によりアップデートされてもよい。
【0053】
3.バルクフィーダ20による部品供給処理
バルクフィーダ20による部品供給処理について説明する。部品装着機10による装着処理の実行中において、バルクフィーダ20は、供給領域Asにおいて複数の部品92を採取可能に供給する部品供給処理を実行する。ここで、バルクフィーダ20が上記のように複数のキャビティ51をマトリックス状に形成された整列部材50を備える構成とする。このような場合に、部品装着機10の制御装置16は、バルクフィーダ20がスロットにセットされた後に、キャリブレーション処理を実行し、機内における整列部材50の位置を認識する。
【0054】
上記のキャリブレーション処理において、制御装置16は、先ず基板カメラ15をバルクフィーダ20の基準マーク33の上方に移動させて、基板カメラ15の撮像により画像データを取得する。そして、制御装置16は、画像処理により画像データに含まれる基準マーク33の位置、および撮像した際の基板カメラ15の位置に基づいて、機内における整列部材50の位置を認識する。制御装置16は、整列部材50の形状を示す配列情報とキャリブレーション処理の結果によって、整列部材50の位置、詳細には個々のキャビティ51の位置を認識する。
【0055】
装着処理において、制御装置16は、所定のタイミングでバルクフィーダ20に部品供給処理の実行を指令する。具体的には、制御装置は、例えば今回のPPサイクルの採取動作の実行後、次回のPPサイクルの採取動作の実行前までの期間に部品供給処理の実行を指令する。部品供給処理において、バルクフィーダ20の搬送制御部72は、供給領域Asにおいて部品92を整列させるように、上記の収容工程や退避工程を実行する。
【0056】
次に、制御装置16は、部品供給処理が実行された後に、供給領域Asにおける部品92の供給状態の認識処理を実行する。具体的には、制御装置16は、先ず基板カメラ15をバルクフィーダ20の供給領域Asにおける整列部材50の上方に移動させて、基板カメラ15の撮像により画像データを取得する。そして、制御装置16は、画像データに所定の画像処理を実行し、複数のキャビティ51にそれぞれ収容された部品92を認識する。
【0057】
また、制御装置16は、供給状態の認識処理の結果において採取可能な部品92の数(供給数)が、今回のPPサイクルにおいて採取予定である部品92の数(必要数)未満である場合に、バルクフィーダ20に再度の部品供給処理の実行を指令する。このように、制御装置16は、現在の供給領域Asにおける部品92の供給状態で、今回のPPサイクルにおける必要数の部品92が採取可能でないと、部品供給処理を繰り返し実行させる。
【0058】
上記の部品供給処理において、搬送制御部72は、搬送路R上の部品92が適量でなく不足する場合に、部品ケース22から受容領域Arに所定量の部品92を排出させる。次に、搬送制御部72は、整列部材50に部品92を収容する収容工程を実行する。詳細には、搬送制御部72は、先ず加振装置40の送り動作を開始する。これにより、受容領域Arおよび搬送路R上の部品92が供給領域As側に搬送される。
【0059】
このとき、
図6の上段に示すように、搬送路R上に部品92の集合である部品群Gpが発生することがある。このような部品群Gpが例えば搬送路Rの幅方向の中央にあると、複数の部品92が供給領域Asに到達したときに偏りが生じ得る。供給領域Asにおいて堆積または接触するほどに接近した部品92は、採取動作において採取対象とされない。これに対して、搬送制御部72が加振装置40の送り動作を継続させて、部品群Gpが分散部材60を通過するように搬送すると、
図6の中段に示すように、部品群Gpが分割される。結果として、複数の部品92は、
図6の下段に示すように、搬送路Rの幅方向に分散する。
【0060】
上記のように複数の部品92が分散するのは、部品群Gpが分散部材60における突条部61の第一傾斜面62によって分割されることを要因の一つとする。その他の要因としては、複数の突条部61が配列されることによって、搬送路Rのうち分散部材60が存在する範囲における搬送幅が縮小されることが想定される。つまり、突条部61と側壁31との間、または突条部61と突条部61の間を通過する部品群Gpは、搬送方向に引き延ばされて、搬送路Rの幅方向における部品92の量が減少する。結果として、分散部材60を通過した後において、複数の部品92が搬送路Rの幅方向に分散することになる。
【0061】
搬送制御部72は、搬送路R上の複数の部品92の少なくとも一部が供給領域Asに到達するまで加振装置40の送り動作を継続する。搬送制御部72は、搬送パラメータF1に基づいて、その後の加振装置40による送り動作を所定時間だけ継続し、また滞留の動作を適宜実行する。これにより、整列部材50の複数のキャビティ51に部品92がそれぞれ収容される。
【0062】
搬送制御部72は、その後に、必要に応じて退避工程を実行する。搬送制御部72は、例えば搬送パラメータF1に基づいて、退避工程における加振装置40の戻し動作の要否を判定し、実行を要する場合には戻し動作を実行する。搬送制御部72は、戻し動作を実行することによって、整列部材50のキャビティ51に収容されなかった複数の部品92を供給領域Asから受容領域Ar側に退避させる。これにより、複数の部品92は、供給領域Asから受容領域Ar側へと搬送され、後に実行される採取動作に影響しないように退避した状態となる。
【0063】
このとき、複数の部品92は、分散部材60に到達すると、第二傾斜面63に案内されることにより滞留することなく、突条部61と側壁31との間、または突条部61と突条部61の間に搬送される。これにより、余りの複数の部品92が退避され、その後の供給領域Asにおける供給状態の認識処理や採取動作に影響することが低減される。搬送制御部72は、規定の戻し動作を実行した後に、部品供給処理を終了する。
【0064】
上記のような構成によると、バルクフィーダ20は、供給領域Asにおける複数の部品92を分散することが可能となる。これにより、バルクフィーダ20は、採取可能な供給数を確保するために供給領域Asを拡大することなく、効率的に供給領域Asにおいて部品92を供給することが可能となる。結果として、バルクフィーダ20の幅方向の小型化を図りつつ好適に複数の部品92を採取可能に供給することができる。また、部品供給処理の効率化により所要時間を短縮できるので、バルクフィーダ20を用いた装着処理の効率化を図ることができる。
【0065】
4.実施形態の変形態様
4-1.分散部材60について
実施形態において、分散部材60は、複数の突条部61を有する構成とした。これに対して、分散部材60は、種々の態様を採用し得る。具体的には、分散部材60は、例えば以下の第一変形態様および第二変形態様を採用し得る。
【0066】
4-1-1.分散部材60の第一変形態様
第一変形態様の分散部材160は、
図7および
図8に示すように、水平面に対して傾斜し、且つ法線が供給領域As側および搬送路Rの幅方向外方を向く傾斜面64を有する。本態様の傾斜面64は、
図7に示すように、搬送路Rの幅方向の中央部を中心とし、曲率の異なる3つの波状模様を形成する。3つの傾斜面64の一つは、
図8に示すように、搬送路Rから突出する突出部の外面のうち径方向外側の部分に位置する。
【0067】
傾斜面64の法線方向641は、供給領域As側を向く成分と、搬送路Rの幅方向外方を向く成分とにより構成される。このような分散部材160の構成によると、振動を付与された軌道部材30から前方且つ上方に向かう外力を付与されて搬送する部品92は、上方に跳ね上がった後に傾斜面64に衝突したり、突出部を乗り越えて傾斜面64に接触したりする。このとき、部品92には、搬送路Rの幅方向の位置に応じて異なる方向(傾斜面64の法線方向641に応じた方向)の外力を分散部材160から受ける。
【0068】
これにより、複数の部品92が搬送路Rの幅方向に分散される。よって、分散部材160を通過することにより、複数の部品92は、分散した状態で供給領域Asに到達することになる。結果として、バルクフィーダ20は、採取可能な供給数を確保することができるので、効率的な部品92の供給が可能となる。なお、本態様では、断面が円弧凸状の傾斜面64を例示したが、当該傾斜面64に接触した部品92が供給領域As側および搬送路Rの幅方向外方に案内される構成であれば、傾斜面64が円弧凹状や平面状に形成される態様を採用してもよい。
【0069】
また、本態様では、3つの傾斜面64によって、上方視で波状模様が形成される構成を例示した。これに対して、分散部材160は、少なくとも一つの傾斜面64を有していればよく、4以上の傾斜面64を有する構成としてもよい。また、傾斜面64は、上方視において、一対の側壁31の一方から搬送路Rの幅方向中央側および供給領域As側に直線的に延伸し、搬送路Rの幅方向中央で折り返されて一対の側壁31の他方側および受容領域Ar側に直線的に延伸するV字状に形成されてもよい。
【0070】
4-1-2.分散部材60の第二変形態様
第二変形態様の分散部材260は、
図9に示すように、衝突板65および支持部材66を有する。衝突板65は、加振装置40の送り動作において、軌道部材30の振動に伴って搬送される複数の部品92とそれぞれ衝突する。衝突板65は、複数の部品92と衝突することにより別々の方向に飛散させる。支持部材66は、軌道部材30に対する衝突板65の姿勢を調整可能に支持する。詳細には、衝突板65は、例えば作業者による調整作業によって、支持部材66を中心とする角度を調整される。これにより、搬送時に衝突板65と接触する複数の部品92は、衝突板65と衝突して飛散する。
【0071】
これにより、複数の部品92が搬送路Rの幅方向に分散される。よって、分散部材260を通過することにより、複数の部品92は、分散した状態で供給領域Asに到達することになる。結果として、バルクフィーダ20は、採取可能な供給数を確保することができるので、効率的な部品92の供給が可能となる。なお、搬送対象の部品の形状や分散の度合いなどを勘案して衝突板65の形状が設定され、また支持部材66を用いた姿勢の調整が適宜なされる。
【0072】
4-2.分散部材60、軌道部材30の交換性
ここで、バルクフィーダ20の分散部材60は、軌道部材30に対して交換可能に取り付けられる構成としてもよい。具体的には、バルクフィーダ20のセットアップに際して、
図10に示すように、例えば種々の態様に対応した複数種類の分散部材60,160,260が交換可能に準備される。そして、バルクフィーダ20は、供給する部品92の種類に対応して互いの形状が異なる複数種類の分散部材60,160,260から選択された1つを軌道部材30に取り付けられる。
【0073】
このような構成によると、バルクフィーダ20は、フィーダ本体21や軌道部材30、加振装置40を共通にし、分散部材60の交換によって部品92の種類や供給態様に対応することができる。これにより、バルクフィーダ20の利用範囲を拡大することができる。
【0074】
さらに、バルクフィーダ20の軌道部材30は、フィーダ本体21に対して交換可能に取り付けられる構成としてもよい。このとき、分散部材60は、軌道部材30に対して一体的に形成されるようにしてもよいし、交換可能としてもよい。具体的には、バルクフィーダ20のセットアップに際して、
図10に示すように、例えば種々の態様に対応した複数種類の分散部材60,160,260が形成された複数種類の軌道部材30A-30Cが交換可能に準備される。
【0075】
そして、バルクフィーダ20は、供給する部品92や供給態様に対応して互いの構成が異なる複数種類の分散部材60の一つを形成または取り付けられた複数種類の軌道部材30A-30Cから選択された1つをフィーダ本体21に取り付けられる。このような構成によると、バルクフィーダ20は、フィーダ本体21や加振装置40を共通にし、分散部材60や軌道部材30の交換によって部品92の種類や供給態様に対応することが可能となる。これにより、バルクフィーダ20の利用範囲を拡大することができ、基板製品の生産コストを低減できる。
【0076】
4-3.その他
実施形態において、バルクフィーダ20は、複数のキャビティ51を形成された整列部材50を備える構成とした。これに対して、整列部材50を省略した構成としてもよい。つまり、軌道部材30の供給領域Asには、搬送路Rの上面より低い位置で部品92が分散される凹状部や、搬送路Rの上面と均一な平面状部が形成され、バルク状態で部品92が供給されるようにしてもよい。
【0077】
但し、部品供給処理の効率化や、供給領域Asにおける供給状態の認識処理における画像処理の負荷を軽減する観点からは、実施形態にて例示した構成が好適である。つまり、バルクフィーダ20は、複数のキャビティ51を形成された整列部材50を備え、部品供給処理においてある程度の数量を確保された部品92の集合である部品群Gpを整列部材50の上側を移動させることによって複数のキャビティ51に部品92を収容させる。これにより、最大でキャビティ51の数だけ整列した状態の部品92を供給することができる。このような構成において、部品群Gpにおける部品92の疎密度合いを均一化するために、分散部材60を適用することは有用である。
【符号の説明】
【0078】
20:バルクフィーダ、 21:フィーダ本体、 22:部品ケース、 30、30A-30C:軌道部材、 40:加振装置、 50:整列部材、 51:キャビティ、 60,160,260:分散部材、 61:突条部、 62:第一傾斜面、 63:第二傾斜面、 64:傾斜面、 641:法線方向、 65:衝突板、 66:支持部材、 70:フィーダ制御装置、 72:搬送制御部、 91:基板、 92:部品、 Ar:受容領域、 As:供給領域、 R:搬送路、 F1:搬送パラメータ、 Gp:部品群