(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】方法と装置
(51)【国際特許分類】
B22F 10/31 20210101AFI20230628BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20230628BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20230628BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20230628BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20230628BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230628BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230628BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20230628BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230628BHJP
【FI】
B22F10/31
B22F3/105
B22F10/28
B22F12/90
B28B1/30
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2021568558
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020059056
(87)【国際公開番号】W WO2020233877
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】102019113104.9
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SLM Solutions Group AG
【住所又は居所原語表記】Estlandring 4, 23560 Luebeck, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ロエスゲン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ブリュック
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ビースナー
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/190863(WO,A1)
【文献】特表2019-510658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001568(US,A1)
【文献】特開2005-336547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/31
B22F 3/105
B22F 10/28
B22F 12/90
B28B 1/30
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 40/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元ワークピースを製造するために使用可能な積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正するための較正方法であって、前記較正方法は、
前記1つ又は複数の光学素子を使用して、材料上に光学パターンを投影して、前記材料から、積層造形技術を使用して固化した材料層を調製し、試験試料を形成するステップと、
前記試験試料の形状を判定するステップと、
前記判定された形状を公称形状と比較して、
較正データを生成するステップと、
前記較正データを使用して前記1つ又は複数の光学素子を較正するステップと、を含
み、
前記試験試料の前記材料層のうちの1つ又は複数は、前記光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は前記1つ又は複数の材料層が調製される筐体の第2の温度の第2の温度変化率及び/又は前記試験試料が形成される基板の第3の温度の第3の温度変化率が閾値率を下回る場合にのみ、調製される、較正方法。
【請求項2】
前記形状及び前記公称形状はそれぞれ、前記試験試料の場所の座標及び公称座標を含む、請求項1に記載の較正方法。
【請求項3】
前記判定するステップは、前記積層造形技術を使用して最後に調製された前記試験試料の前記材料層に関連する幾何学的データを判定するステップを含む、請求項1又は2に記載の較正方法。
【請求項4】
前記積層造形技術を使用して調製する前記ステップは、前記積層造形技術を使用して前記試験試料を調製するために同じ高さレベルで前記材料のさまざまな層を供給するステップを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項5】
前記同じ高さレベルで前記材料のさまざまな層を供給する前記ステップは、前記
さまざまな層の連続したものを供給する前に前記試験試料を降下させるステップを含む、請求項4に記載の較正方法。
【請求項6】
前記試験試料の前記形成は、閾値期間よりも長い期間にわたって実施される、請求項1~5のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項7】
前記公称形状は、前記光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである、請求項1~6のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項8】
前記基板は、前記試験試料の前記形成の間に、下降可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項9】
前記試験試料が形成される前記基板の基板材料が、前記試験試料を形成するために使用される前記材料と同一である、請求項1~8のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項10】
前記基板の前記第3の温度は、(i)前記試験試料の前記形成及び(ii)前記試験試料の前記形状の前記判定の一方又は両方の間に、目標温度及び/又は目標温度範囲内に維持される、請求項1~9のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項11】
前記試験試料の構築高さが、前記光学パターンが前記材料の反対側に投影される材料の領域から、前記試験試料を介して、伝達可能な熱量に依存する閾値高さを超える、請求項1~10のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項12】
前記試験試料の光学画像を撮影するステップをさらに含
み、前記試験試料の形状を判定
するステップは、前記光学画像を分析するステップを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項13】
前記光学画像全体にわたって実際及び/又は仮想のグリッドを配置
し、及び/又は試験試料が形成される筐体、特に前記筐体の床に1つ又は複数の基準マークを配置
するステップと、
前記光学画像にて、前記試験試料の形状を判定するための前記グリッド及び/又は1つ又は複数の基準マークに対する前記試験試料の場所を特定するステップと、をさらに含む、請求項12に記載の較正方法。
【請求項14】
前記光学画像は、前記試験試料の形成が完了した時点で撮影される、請求項12又は13に記載の較正方法。
【請求項15】
前記試験試料の形状の判定は、座標測定機を使用して実施される、請求項1~14のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項16】
三次元ワークピースを製造するための装置であって、前記装置は、
前記三次元ワークピースを製造するために使用可能な材料を受容するように構成された基板と、
前記材料上に光学パターンを投影して、前記材料から、積層造形技術を使用して固化した材料層を調製し、試験試料を形成するように構成された1つ又は複数の光学素子と、
較正ユニットであって、
前記試験試料の形状を判定し、
前記判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成し、
前記較正データを使用して、前記1つ又は複数の光学素子を較正する、ように構成される、較正ユニットと、を具備
し、
前記装置は、前記光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は前記1つ又は複数の材料層が調製されている筐体の第2の温度の第2の温度変化率及び/又は前記基板の第3の温度の第3の温度変化率が閾値率を下回っている場合にのみ、前記試験試料の前記材料層のうちの1つ又は複数を調製するように構成される、装置。
【請求項17】
加熱ユニット、特に加熱フレームをさらに具備
し、前記加熱ユニットは、前記基板に熱的に結合されて、前記基板を目標温度及び/又は目標温度範囲に加熱
し、及び/又は前記基板を目標温度及び/又は目標温度範囲に維持
する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
(i)前記1つ又は複数の光学素子、(ii)前記基板及び(iii)前記基板が配置される前記装置の前記筐体のうちの1つ又は複数の温度の温度変化率を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサと、
前記1つ又は複数の光学素子を制御するためのコントローラであって、前記1つ又は複数の温度センサは前記コントローラに結合される、コントローラと、をさらに具備
し、
前記コントローラは、前記光学パターンを前記材料に投影して、第1の温度変動率及び/又は第2の温度変動率及び/又は第3の温度変化率が前記閾値率を下回る場合にのみ、前記試験試料の前記1つ又は複数の材料層を調製するように前記1つ又は複数の光学素子を制御するように構成される、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記公称形状は、前記光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである、請求項16~18のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元ワークピースを製造するための較正方法及び装置に概ね関する。これによって、較正方法及び装置は、特に粉末床での画像場補正のために使用される場合がある。
【背景技術】
【0002】
積層造形法では、固化され相互接続された一連のワークピース層を生成することにより、ワークピースを層ごとに生成する。このようなプロセスは、ワークピースを製造するために、原材料のタイプ及び/又は原材料を固化する方法によって区別される場合がある。
【0003】
例えば、粉末床溶融とは、粉末原料、特に、金属原料及び/又はセラミック原料を複雑な形状の三次元ワークピースに加工することができる一種の積層造形プロセスである。その目的を達成するために、原料粉末層が担体上に塗布され、製造されるワークピースの所望の形状に応じて、例えば、部位選択的にレーザ照射を受ける。粉末層に浸透するレーザ照射は、加熱を引き起こし、その結果、原料粉末粒子の溶融又は焼結を引き起こす。次に、ワークピースが所望の形状及びサイズになるまで、すでにレーザ処理済みの担体上の層に、さらに原材料粉末層を連続的に塗布する。選択的レーザ溶融又はレーザ焼結を、CADデータに基づいて、プロトタイプ、工具、交換部品、あるいは歯科用又は整形外科用補綴などの医療用補綴の製造に特に使用することができる。
【0004】
現在、担体プレートに接着されたレーザ箔又はバーンオフ箔に光学(ドット)パターンを投影し、その後、座標測定機によって箔を評価することによって、(1つ又は複数の光学システムに含まれるか、統合され得る)1つ又は複数の光学素子を較正する場合がある。これは、光学素子ごとに個別に実施することも、全光学素子に対して同時に実施することもできる。バーンオフ箔の代わりに、陽極酸化アルミニウムプレートも頻繁に使用する。この方法には、以下に概説するように、いくつかの欠点がある。
【0005】
図1は、
図1(a)に示す概略図の上面図に示すように、第1の光学素子O1及び第2の光学素子O2によって一点を露光するための露光方法を示す。この例では、第1の光学素子O1は、領域102内の点を露光するように構成される。第2の光学素子O2は、領域104内の点を露光するように構成される。第2及び第1の光学素子の両方は、重複領域106内の点を露光するように構成される。
【0006】
図1(b)は、第1及び第2の光学素子によって走査範囲平面108を走査するときに、走査範囲補正を実施する、上記で概説した露光方法の正面図の概略図を示す。
【0007】
図1(c)は、第1及び第2の光学素子によって走査範囲平面を走査するときに、走査範囲補正を実施する、上記で概説した露光方法の側面図の概略図を示す。
【0008】
図1(d)は、ビルドジョブを示している上記で概説した露光方法の正面図の概略図を示す。
【0009】
図1(e)は、ビルドジョブを示している上記で概説した露光方法の側面図の概略図を示す。
【0010】
本発明者らは、以下を理解した。
【0011】
担体プレートの平面と露光面とは必ずしも一致しない。これにより、光学素子/システムが互いにオフセットする可能性がある。この不整合は、後で修正する必要がある可能性がある。
【0012】
さらに、装置は、現在の画像フィールド補正の間、(特に温度に関して)処理条件下にない可能性がある。
【0013】
さらにまた、箔は、三次元ワークピースを製造するために使用される粉末とは異なる反応をする可能性がある。三次元ワークピースを製造するための他のパラメータ及びモード(例えば、速度、遅延及び空中文字)を使用する場合がある。
【0014】
担体/基板プレートは、装置内にある間は膨張する可能性があり、室温で評価すると再び収縮する可能性がある。その結果、収縮が部分的に補償され、それによって、収縮は光学素子によって引き起こされることがないため、結果を改竄する可能性がある。
【0015】
このため、本発明の目的には、三次元ワークピースを製造するための装置の(レーザ及び/又は他のビーム源及び/又は、例えば、レーザビームなどのビームを操縦するために使用される他の光学部品を含み得る)光学素子の較正を改善することが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、独立請求項に記載されている。本発明の好ましい実施形態を従属請求項に概説する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
三次元ワークピースを製造するために使用可能な積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正するための較正方法について記載する。この方法は、1つ又は複数の光学素子を使用して、材料上に光学パターンを投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するステップと、試験試料の形状を判定するステップと、判定された形状を公称形状と比較して、構成データを生成するステップと、較正データを使用して1つ又は複数の光学素子を較正するステップと、を含む。ここで、試験試料の材料層のうちの1つ又は複数は、光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は1つ又は複数の材料層が調製される筐体の第2の温度の第2の温度変化率及び/又は試験試料が形成される基板の第3の温度の第3の温度変化率が閾値率を下回る場合にのみ、調製される。さらに、三次元ワークピースを製造するための装置について記載する。この装置は、三次元ワークピースを製造するために使用可能な材料を受容するように構成された基板と、材料上に光学パターンを投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するように構成された1つ又は複数の光学素子と、較正ユニットであって、試験試料の形状を判定し、判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成し、較正データを使用して、1つ又は複数の光学素子を較正する、ように構成された、較正ユニットと、を備える。ここで、装置は、光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は1つ又は複数の材料層が調製されている筐体の第2の温度の第2の温度変化率及び/又は基板の第3の温度の第3の温度変化率が閾値率を下回っている場合にのみ試験試料の材料層のうちの1つ又は複数を調製するように構成される。
【0018】
これによって、試験試料の1つ又は複数の材料層は、例えば、最下層(又は複数の最下層)及び/又は最上層(又は複数の最上層)及び/又は試験試料の1つ又は複数の層のランダムな選択に関連するものである場合がある。特に、上記の条件が満たされた場合のみ、試験試料の任意の1つ又は複数の材料層を、すでに固化された1つ又は複数の材料層上に調製してもよい(その調製は、前述の第1及び/又は第2及び/又は第3の温度の温度変化をもたらした可能性がある)。
【0019】
いくつかの例では、温度変化率に関する上記の条件が満たされた場合にのみ、試験試料全体が材料層から調製される。これとは別に、温度変化率に関する上記の条件が満たされた場合にのみ、試験試料の1つ又は複数の層(必ずしも全層ではない)のみが調製される。条件が必ずしも満たされない(ただし満たされる可能性がある)材料層に基づいて試験試料の下部を調製し、条件が満たされる材料層に基づいて試験試料の上部を調製することが特に有利である可能性がある。これにより、試験試料の下部の調製を(上部と比較して)迅速にすることができ、この調製の間、温度変化を(いくつかの例では少なくともある程度)無視することができるが、上部は、試験試料の上部を調製する際の精度/品質を向上させるために、温度変化率条件が満たされている間に調製される。
【0020】
本開示を通して、筐体への任意の言及が、例えば、積層造形装置の処理室及び/又は積層造形装置の(処理室とは異なる)壁及び/又は固化する可能性のある材料層(ただし、材料層内)の周囲の領域及び/又は固化する可能性のある材料層の上方の体積に関するものである場合がある。
【0021】
三次元ワークピースを製造するために使用可能な積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正するための較正方法について記載する。この方法は、1つ又は複数の光学素子を使用して、材料上に光学パターンを投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するステップと、試験試料の形状を判定するステップと、判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成するステップであって、公称形状は光学パターンを規定するために使用されたデータに基づくものである、ステップと、較正データを使用して1つ又は複数の光学素子を較正するステップと、を含む。
【0022】
光学パターンを規定するデータに基づく公称形状は、積層造形技術を使用して、固化した材料層を材料から調製し、試験試料を形成するために、光学パターンをその後材料に投影するのに使用され得る(所定の)データに関連するものである場合がある。このため、投影ステップの前の較正方法の最初のステップが、例えば、試験試料の公称形状を規定するためのデータを取得したり、及び/又は生成したり、及び/又は規定したりするステップに関連するものである場合がある。このため、三次元ワークピースを製造するために使用可能な積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正するための較正方法について記載する。この方法は、試験試料の公称形状を規定するためのデータを取得したり、及び/又は生成したり、及び/又は規定したりするステップと、1つ又は複数の光学素子を使用して、規定されたデータに基づいて、光学パターンを材料に投影して、その材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するステップと、試験試料の形状を判定するステップと、判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成するステップと、この較正データを使用して、1つ又は複数の光学素子を較正するステップと、を含む。
【0023】
公称形状は、仮想、光投影又は実際の部分又は物体/参照構造、あるいはその任意の組み合わせに関連するものである場合がある。
【0024】
積層造形技術を使用して材料から調製された試験試料に基づいて積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正することにより、箔に関して上記で概説した欠点を排除することが可能になる可能性がある。
【0025】
特に、1つ又は複数の光学素子は、1つ又は複数の光学素子が較正された時点で、その後製造される三次元ワークピースと同じ露光面上で調製される試験試料に基づいて較正される場合がある。
【0026】
さらに、試験試料を使用して1つ又は複数の光学素子を較正するステップを、処理条件下で実施し、特に、1つ又は複数の光学素子が較正された時点で、三次元ワークピースがその後製造される温度(又は温度範囲内)にて実施する場合がある。
【0027】
本明細書に記載の較正方法の例示的な実施では、試験試料を生成するための材料であって、三次元ワークピースを製造するためにその後使用される材料と同じ材料を使用することをさらに可能にする可能性がある。このため、較正目的の試験試料を生成するための材料と、1つ又は複数の光学素子がそれぞれ較正された時点で製造される三次元ワークピースのための材料とが、固化した材料層を生成するために、材料に衝突するビームに応答して同じように反応することが確実なものになる可能性がある。
【0028】
1つ又は複数の光学素子は、いくつかの例では、1つ又は複数のビーム源と、特にレーザと、1つ又は複数の光ビーム操縦部品と、1つ又は複数の光学スキャナと、ここに挙げたもののいずれかの組み合わせとのうちの1つ又は複数を備える場合がある。
【0029】
パターンは、いくつかの例では、1つ又は複数の個別の要素を含む場合があり、それにより、1つ又は複数の個別の要素は、所定の長さ及び幅によって(一般にx-y平面と呼ばれる)材料層に平行な平面内に延びる場合がある。
【0030】
較正方法のいくつかの例では、形状及び公称形状はそれぞれ、試験試料の場所の座標及び公称座標を含む。これによって、座標及び公称座標は、いくつかの例では、試験試料が、例えば、複数の個別の要素を有するパターンであって、ドット又はドット状のパターンなどが挙げられるが、これに限定されないパターンを含む場合、試験試料の複数の場所を参照する場合がある。複数の個別要素を有するパターンを提供することにより、複数の場所が基準場所(例えば、基準点)として使用可能であることに基づいて、較正方法の精度を改善する可能性がある。
【0031】
較正方法のいくつかの例では、上記の判定は、積層造形技術を使用して最後に調製された試験試料の材料層(即ち、最上層)に関連する幾何学的データを判定するステップを含む。これは、試験試料を形成するプロセス中に1つ又は複数の光学素子が加熱され、それにより、1つ又は複数の光学素子の温度は、試験試料の最後の材料層が調製された時点で安定し得るため、特に有利である場合がある。結果として、1つ又は複数の光学素子の温度の温度変化に起因する、特に材料層の平面(即ち、x-y平面)でのビーム(例えば、レーザビーム)の潜在的な位置関連変動を最小化するか、回避することさえある場合がある。
【0032】
較正方法のいくつかの例では、積層造形技術を使用する上記の調製は、積層造形技術を使用して試験試料を調製するために、同じ高さレベルで上記材料のさまざまな層を供給するステップを含む。いくつかの例では、同じ高さレベルでの上記材料のさまざまな層の供給は、さまざまな層の連続したものを供給する前に試験試料を降下させるステップを含む。同じ高さレベルにて材料のさまざまな層を供給するステップは、積層造形プロセス中に1つの平面上で動作する(塗工機及び/又はリップ及び/又はブレードを含み得る)材料供給手段を含む場合がある。上記は、試験試料の調製が、三次元ワークピースを製造するためのプロセスと同じレベル(即ち、高さ)で実施され得るため、特に有利である可能性がある。さらに、較正方法は、いくつかの例では、1つの特定のレベル/高さに対して最適化されてもよい。
【0033】
いくつかの例では、材料供給手段は、較正が完了した後の三次元物体を製造するためのプロセス中と同じ高さレベル/平面での較正方法の間に動作してもよい。
【0034】
較正方法のいくつかの例では、試験試料の形成は、閾値期間よりも長い期間にわたって実施される。上記で概説したように、1つ又は複数の光学素子は、試験試料の調製中に加熱される可能性がある。一定時間後、1つ又は複数の光学素子の温度は一定であるか、ほぼ一定である可能性がある。結果として、1つ又は複数の光学素子の温度の温度変化に起因する、x-y平面内のビームの位置変動を最小化するか、回避さえする場合がある。これによって、1つ又は複数の光学素子を較正する精度をさらに改善する場合がある。
【0035】
較正方法のいくつかの例では、試験試料の上記の材料層(特に最上層)は、上記の光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は材料層が調製されている筐体の第2の温度の第2の温度変化率が第1の閾値率を下回っている場合にのみ、調製される。上記で概説したように、一定の温度条件又はほぼ一定の温度条件では、1つ又は複数の光学素子の温度の温度変化によるx-y平面内のビームの変動を最小化するか、回避さえする場合がある。これによって、1つ又は複数の光学素子を較正する精度をさらに改善する場合がある。
【0036】
較正方法のいくつかの例では、試験試料は、好ましくは、試験試料の形成中に降下可能である基板上に形成される。これによって、試験試料の形成中に降下可能な基板を提供するステップは、上記で概説したように、積層造形技術を使用して試験試料を調製するために、材料のさまざまな層を同じ高さレベルで供給し得るため、特に有利である。
【0037】
較正方法のいくつかの例では、試験試料が形成される基板(即ち、基板プレート/担体)の基板材料が、試験試料を形成するために使用される材料と同一である。これは、形成された試験試料と基板との間の接続を確立することを可能にする可能性がある。そうでなければ、異なる材料の混合が、脆性であるか脆弱である可能性のある化合物又は相(例えば、金属間化合物又は相)をもたらす可能性がある。
【0038】
較正方法のいくつかの例では、基板の第3の温度を、(i)試験試料の形成及び(ii)試験試料の形状の判定の一方又は両方の間に、目標温度及び/又は目標温度範囲内に維持する。これは、試験試料の調製が完了した時点で、基板の温度を実質的に一定(即ち、試験試料形成中と同じ温度)に維持し得る間に試験試料の形状を判定し得るため、特に有利である可能性がある。本明細書では、冷却中に試験試料の形状に影響を及ぼす可能性がある基板の収縮を最小化するか、回避さえする可能性があるため、1つ又は複数の光学素子を較正する精度をさらに改善する可能性がある。
【0039】
較正方法のいくつかの例では、試験試料の構築高さが、光学パターンが材料の反対側に(即ち、基板に対して)投影される材料の領域から試験試料を介して伝達可能な熱量に依存する閾値高さを超える。閾値高さを超える試験試料の構築高さを提供するステップは、1つ又は複数の光学素子(例えば、1つ又は複数のレーザ)を介して誘導される任意の熱が部分的に周囲の材料(例えば、粉末)に放出され、誘導熱の一部のみが基板に到達する場合があるため、有利である可能性がある。これは、特に、上記で概説したように、基板の温度を目標温度及び/又は目標温度範囲に維持することを確実にすることを可能にする可能性がある。
【0040】
いくつかの例では、較正方法は、試験試料の光学画像を撮影するステップをさらに含み、試験試料の形状の上記の判定は、光学画像を分析するステップを含む。これによって、1つ又は複数の光学素子を較正する精度をさらに改善する可能性がある。光学画像は、異なる形態をとる場合があったり、及び/又は画像は、カメラの異なる位置から撮影される場合がある。カメラ(又は複数のカメラ)は、ライン走査カメラ、標準カメラ、(レーザ/光ビーム経路に関する)軸上カメラ、(例えば、部屋の異なる場所に設置された)軸外カメラ、あるいはその組み合わせを含む場合がある。
【0041】
いくつかの例では、較正方法は、光学画像全体にわたって実際及び/又は仮想のグリッドを配置したり、及び/又は試験試料が形成される筐体、特に筐体の床に1つ又は複数の基準マークを配置したりするステップと、光学画像にて、試験試料の形状を判定するためのグリッド及び/又は1つ又は複数の基準マークに対する試験試料の場所を特定するステップと、をさらに含む。いくつかの例では、試験試料の場所は、試験試料の形状を判定するために、仮想グリッド及び/又は1つ又は複数の基準マークに対して識別される試験試料の複数の場所を含む。これは、複数の個別の要素を有するパターンであって、ドットパターンなどが挙げられるが、これに限定されないパターンで試験試料が構成される場合である。
【0042】
いくつかの例では、複数の画像が撮影され、次に、試験試料の形状を判定するためにつなぎ合わされる場合がある。いくつかの例では、これによって、複数の画像を取得するために、カメラ及び/又はx-yガイドを備えたカメラの異なる角度及び/又は位置を使用する場合がある。
【0043】
いくつかの例では、これによって、1つ又は複数の画像は、試験試料の形成が完了した時点で撮影される。これは、1つ又は複数の画像が撮影されたときに基板が収縮していなかったか、まだ収縮していないため、特に有利な場合がある。そうでなければ、試験試料の形状、ひいては較正プロセスに潜在的に影響を及ぼす可能性がある。
【0044】
較正方法のいくつかの例では、試験試料の形状の判定は、座標測定機を使用して実施される。
【0045】
三次元ワークピースを製造するための装置についてさらに記載する。この装置は、三次元ワークピースを製造するために使用可能な材料を受容するように構成された基板と、材料上に光学パターンを投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するように構成された1つ又は複数の光学素子と、較正ユニットであって、試験試料の形状を判定し、判定された形状を、光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである公称形状と比較して、較正データを生成し、較正データを使用して、1つ又は複数の光学素子を較正する、ように構成される、較正ユニットと、を備える。
【0046】
較正方法に関して上記で概説したように、装置は、例えば、試験試料の公称形状を規定するためのデータを取得したり、及び/又は生成したり、及び/又は規定したりするように構成される場合がある。ここで、1つ又は複数の光学素子は、規定されたデータに基づいて、材料上に光学パターンを投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するように構成される。試験試料の公称形状を規定するためのデータの取得及び/又は生成及び/又は規定が、例えば、プロセッサ及び/又は(プロセッサに結合され得る)メモリ及び/又は装置の(プロセッサとメモリの一方又は両方に結合され得る)受信機を使用して実施可能である場合がある。公称形状を規定するためのデータを、装置の外部で生成し、その後、受信機を介して装置が受信する場合がある。このため、データは、いくつかの例では、装置自体によって生成されない場合がある。
【0047】
三次元ワークピースを製造するための装置は、本開示全体を通して説明するように、上記の例のいずれか1つによる較正方法を実施するように構成される。このため、較正方法の任意の好ましい例示的な実施を、三次元ワークピースを製造するための装置に同じように適用可能である。
【0048】
いくつかの例では、装置は、加熱ユニット、特に加熱フレームをさらに備える。ここで、加熱ユニットは、基板に熱的に結合されて、基板を目標温度及び/又は目標温度範囲に加熱したり、及び/又は前記基板を目標温度及び/又は目標温度範囲に維持したりする。これは、基板の温度が、試験試料を調製するためのプロセス中の温度と同一の試験試料の形状の判定中の温度になるか、維持され得るため、特に有利である可能性がある。これにより、1つ又は複数の光学素子を較正する際の精度が向上する可能性がある。
【0049】
いくつかの例では、装置は、(i)1つ又は複数の光学素子、(ii)基板及び(iii)基板が配置される装置の筐体のうちの1つ又は複数の温度の温度変化率を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサと、1つ又は複数の光学素子を制御するためのコントローラであって、1つ又は複数の温度センサはコントローラに結合される、コントローラと、をさらに具備する。コントローラは、温度変化率が閾値率を下回る場合にのみ、試験試料の材料層(特に最上層)を調製するために、1つ又は複数の光学素子を制御して、光学パターンを材料に投影するように構成される。上記で概説したように、一定の温度条件又はほぼ一定の温度条件では、1つ又は複数の光学素子及び/又は基板及び/又は筐体の温度の温度変化に起因する、特にx-y平面でのビームの位置変動を最小化するか、回避さえする場合がある。このため、形状を判定するステップ及び/又は判定された形状を試験試料の公称形状と比較して較正データを生成するステップが、さらに正確なものになり、較正データを使用して1つ又は複数の光学素子を較正するための精度を改善する可能性がある。
【0050】
三次元ワークピースを製造するために使用可能な積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正するための較正方法についてさらに記載する。この方法は、1つ又は複数の光学素子を使用して、材料上に光学パターンを投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するステップと、試験試料の形状を判定するステップと、判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成するステップと、較正データを使用して1つ又は複数の光学素子を較正するステップと、を含む。この較正方法は、本開示全体を通して概説するような較正方法の例示的な実装のいずれか1つ又は複数を含んでもよい。特に、この較正方法では、公称形状は、光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである場合がある。
【0051】
三次元ワークピースを製造するための装置についてさらに記載する。この装置は、三次元ワークピースを製造するために使用可能な材料を受容するように構成された基板と、材料上に光学パターンを投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化した材料層を調製し、試験試料を形成するように構成された1つ又は複数の光学素子と、較正ユニットであって、試験試料の形状を判定し、判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成し、較正データを使用して、1つ又は複数の光学素子を較正する、ように構成される、較正ユニットと、を備える。この装置は、本開示全体を通して概説するような装置の例示的な実施のいずれか1つ又は複数を含む場合がある。特に、この装置では、公称形状は、光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである場合がある。
【0052】
いくつかの例では、装置は、光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は材料層が調製される筐体の第2の温度の第2の温度変化率及び/又は基板の第3の温度の第3の温度変化率に関連するデータを(無線又は有線接続を介して)受信するように構成される。その結果、装置は、受信したデータを使用して、温度変化率が閾値率を下回る場合にのみ、試験試料の材料層を調製するように構成される。これに加えて、あるいはこれとは別に、装置は、例えば、積層造形プロセスの監視及び/又は実施から得られたデータ及び/又は装置のデータ記憶媒体に保存された(例えば、温度変化率の以前に判定されたデータに基づく)データに基づいて、データを処理して、温度変動率を判定するように構成され、その結果、装置は、温度変化率が、判定された温度変化率に基づく閾値率を下回る場合にのみ、試験試料の材料層を調製するように構成される。
【0053】
本明細書に記載のさまざまな例では、1つ又は複数の光学素子が較正された時点で、(実際の)三次元ワークピースが積層造形技術を使用して調製される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明のこれまでに挙げた態様をはじめとする態様を、例示としてのみ、添付の図を参照して以下でさらに説明する。ここで、類似の参照番号は、類似の部品を指す。
【
図1】a)~e)は従来技術による露光方法を示す図である。
【
図2】三次元ワークピースを製造するための装置の構成要素の時間に対する温度を示す図である。
【
図3】本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による試験試料の画像を示す図である。
【
図4】本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による画像フィールド補正のための画像を示す図である。
【
図5】本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による試験試料及び仮想グリッドの画像を示す図である。
【
図6】本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による試験試料及び基準マークの画像を示す図である。
【
図7】本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による装置の概略ブロック図である。
【
図8】本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による方法の概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書に記載の例示的な方法及び装置を、特に粉末床の画像フィールド補正に使用してもよい。
【0056】
上記のような従来技術の問題を克服するために、いくつかの例では、(ドット)パターンが、箔又はプレート上に露光されないが、粉末中に露光される。これは、箔又はプレートが使用される従来技術にて使用される較正方法のあらゆる不利な点を取り除く可能性がある。
【0057】
本明細書に記載の較正方法の例を実施するために、いくつかの例では、塗工機が常に同じレベルで進行してもよい。適切な工具/測定装置を使用して、塗工機は常に同じ位置及び/又は高さに設定されてもよい。これにより、例えば、較正された光学装置を使用して三次元ワークピースを調製するために、その後に実施されるレーザ溶融プロセス又はレーザ焼結プロセスと同じ平面で試験試料を調製することが可能になる可能性がある。
【0058】
光学装置(例えば、スキャナ)は暖機段階を必要とし、いくつかの例では、一定の温度に到達するのに数時間かかる可能性があるため、試験試料の調製にかかる時間が増大する(例えば、所定の閾値よりも長くなる)場合に有利な場合がある。光学装置(例えば、スキャナ)のデルタT(即ち、温度変化)が、x-y方向へのレーザビームの位置変動をもたらす可能性がある。
【0059】
図2は、三次元ワークピースを製造するための装置の構成要素の時間(任意の単位)に対する温度(摂氏)を示す。
【0060】
この例では、参照パターン(この例では円柱)を、第1の光学装置/光学素子及び第2の光学装置/光学素子のそれぞれから生成した。
【0061】
図2にて取得され示されている測定値は、装置の流量センサ(206)、装置の処理室(208)、装置の第1の検流計スキャナ(210)、装置の第2の検流計スキャナ(212)、装置の基板プラットフォーム(214)の第1の(前)部分及び装置の基板プラットフォーム(216)の第2の(後)部分の時間に対する温度に関するものである。
【0062】
試験試料の最後の露光層では、検流計スキャナと処理室の温度が一定の温度に落ち着いていることがわかる。
【0063】
基板プラットフォームの温度の上昇が、レーザ照射から生じるエネルギーに起因するように、プラットフォームの加熱を停止した。
【0064】
留意する必要がある可能性のあるもう1つの点には、試験試料が構築される基板プレートの温度が挙げられる。基板プレートの材料は、いくつかの例では、溶融されるか焼結される粉末に対応する。これによって、生成された試験試料と基板プレートとの間の接続が達成される可能性がある。
【0065】
いくつかの例について次の表に示すように、材料が異なれば、線膨張係数αも異なる場合がある。
【0066】
【0067】
基板プレートは、試験試料の較正プロセス/調製の間に、例えば、100℃(鋼の予熱温度)に加熱される場合、係数αに従って膨張する。加熱は、加熱器を介して意図的に提供されてもよいが、これに加えて、あるいはこれとは別に、レーザも基板プレートに熱を導入する。試験試料が、例えば、座標測定機の下で、例えば、室温にて完了後に評価される場合、基板プレートは、生成された試験試料と共に収縮する。Invar(RTM)から調製された基板プレート(例えば、一辺の長さ600mm)の場合でも、収縮は600 mm×0.9×10-6K-1×(100K-20K)=0.0432mmになるであろう。
【0068】
この問題を排除するには、高い(所定の閾値よりも高い)試験試料が有利な場合がある。ビーム(例えば、レーザビーム)によって誘発された熱を、部分的に周囲の粉末に放出し、一部のみが基板プレートに到達する場合がある。同時に、基板プレートは、加熱ユニット及び対応する制御装置を用いて特定の温度に保持される場合がある。
【0069】
基板プレートは、試験試料を評価するとき、同じ温度(理想的には試験試料調製プロセスと同じ温度)にしてもよい。これは、例えば、加熱を統合した状態で、座標測定機用に特別に設計されたフレームを使用して実施することができる。さらに、基板プレートは、装置(例えば、選択的レーザ溶融機)とフレームの両方の中心に置いてもよい。これとは別に、あるいはこれに加えて、収縮した基板プレートのソフトウェアベースのシミュレーション/補正を(例えば、装置内の基板プレートの中央配置を想定する場合)、試験試料を評価するときに使用してもよい。
【0070】
図3は、本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による試験試料の画像を示す。
【0071】
試験試料は、この例では、所定の閾値を超える構築高さを有する個々の要素302のパターンを含む。
【0072】
図4は、本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による画像フィールド補正のための画像を示す。画像フィールド補正は、複数の層402全体にわたる基板プレートに適用される。
【0073】
この例では、座標測定機を使用して、参照パターンの最後に露光された層が次に測定され、いくつかの例では、その測定値から、公称座標と実際の座標の差に基づいて各光学装置の補正ファイルが作成される。この補正は、この例では、試験試料の調製及び較正プロセスの間にプロセス条件下にあった装置に基づいて実施される。
【0074】
いくつかの例では、追加又は代替の評価が、カメラによって装置内で実施されてもよい。カメラは写真を撮影してもよく、複数の光学装置を使用する場合は、複数のカメラがそれぞれ写真を撮影してもよい。次に、このような写真をつなぎ合わせてもよい。
【0075】
(高い、即ち、閾値の高さを超える)試験試料の調製の後、1つ又は複数の画像が撮影され、それによって、2つのカメラが、いくつかの例では、互いにずれている場合がある。画像は、カメラのさまざまな角度及び/又は位置から撮影されてもよく、及び/又はx-yガイドを備えたカメラを使用して、複数の画像を取得してもよい。仮想及び/又は実際のグリッドを、1つ又は複数の画像全体にわたって配置してもよい。
【0076】
図5は、上記の試験試料と仮想グリッドの画像500を示す。この例では、試験試料は、複数の要素(例えば、ピン)502のパターンを含み、仮想グリッド504をこのパターン全体にわたって配置する。
【0077】
仮想グリッドを使用することに加えて、あるいはその代わりに、筐体内/処理室の床上のカメラの基準マークを使用してもよい。これに加えて、あるいはこれとは別に、(例えば、1つ又は複数のLED及び/又は1つ又は複数のレーザを使用する)光学パターンを試験試料に投影してもよい。光学パターンは、例えば、基準パターンを含む透明な(例えば、ガラス)プレート、基準パターンを含む透明な箔、1つ又は複数の回折光学素子(例えば、1つ又は複数のDOEレーザモジュール)及び1つ又は複数のパターン投影機(例えば、1つ又は複数のLEDパターン投影機)のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0078】
透明な(例えば、ガラス)プレート及び/又は箔は、較正の完了後に材料層(例えば、粉末床)上に配置されてもよい。プレート及び/又は箔は、ピン(例えば、合わせピン)を使用して位置決めされてもよい。
【0079】
1つ又は複数の回折光学素子(例えば、1つ又は複数のDOEレーザモジュール)及び/又は1つ又は複数のパターン投影機(例えば、1つ又は複数のLEDパターン投影機)を使用する場合、ここに挙げたものは、処理室内及び/又は処理室の外側に配置され、グリッドを材料層(例えば、粉末床)に投影してもよい。
【0080】
その後、参照パターンを含む透明な(例えば、ガラス)プレート及び/又は参照パターンを含む透明な箔及び/又は1つ又は複数の回折光学素子(例えば、1つ又は複数のDOEレーザモジュール)及び/又は1つ又は複数のパターン投影機(例えば、1つ又は複数のLEDパターン投影機)が位置決めされているときに、1つ又は複数の画像を撮影してもよい。
【0081】
図6は、基板606が配置されている処理室の床604に配置された試験試料及びそのような基準マーク602(この例では、実際に処理室の床に投影される基準マークの形態)の画像600を示す。
【0082】
次に、試験試料の要素の場所は、試験試料の形状を判定するために、仮想グリッド及び/又は1つ又は複数の基準マークに対して、特定されてもよい。
【0083】
この評価方法は、温度が下がらない可能性があるため、基板プレートが収縮するのを防止する。
【0084】
1つ又は複数の光学画像を使用する評価及び補正方法の例を、座標測定機を使用して上記で概説したような較正方法の例と組み合わせてもよい。
【0085】
図7は、本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による装置700のブロック図を示す。
【0086】
この例では、装置は、基板702と、1つ又は複数の光学素子704(例えば、レーザ光源などの1つ又は複数のビーム源及び/又は1つ又は複数のビーム操縦要素及び/又はビーム分割要素などであるが、ここに挙げたものに限定されない)と、1つ又は複数の光学素子704を制御するための光学素子コントローラ706と、光学素子コントローラ706を介して1つ又は複数の光学素子704を較正するために使用される(いくつかの例では、座標測定機を備える)較正ユニット708と、基板702を加熱するように構成された(及び/又は基板702を目標温度又は目標温度範囲に維持するように構成された)加熱ユニット710と、装置の基板702、1つ又は複数の光学素子704及び処理室716のうちの1つ又は複数の温度を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサ712と、基板702上に材料層を塗布するための塗工機714と、を備える。
【0087】
光学素子コントローラ706及び較正ユニット708は、単一のユニットに統合されてもよい。
【0088】
温度センサ712は、いくつかの例では、光学素子コントローラ706及び加熱ユニット710用のコントローラに結合される。
【0089】
図8は、本明細書に記載するいくつかの例示的な実施による方法800の概略流れ図を示す。
【0090】
この方法は、以下のステップを含む。ステップS802では、1つ又は複数の光学素子を使用して、光学パターンを材料上に投影して、材料から、積層造形技術を使用して、固化された材料層を調製し、試験試料を形成する。ステップS804では、試験試料の形状を判定する。ステップS806では、判定された形状は、較正データを生成するために公称形状と比較される。ここで、公称形状は、光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである。ステップS808では、1つ又は複数の光学素子は、較正データを使用して較正される。
【0091】
間違いなく、他の多くの効果的な代替案を当業者が想起するであろう。本発明は、記載した実施形態及び例示的な実施に限定されず、当業者に明らかであり、本明細書に添付された特許請求の範囲内にある修正を包含することが理解されよう。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
<態様1>
三次元ワークピースを製造するために使用可能な積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正するための較正方法であって、前記方法は、
前記1つ又は複数の光学素子を使用して、材料上に光学パターンを投影して、前記材料から、積層造形技術を使用して固化した材料層を調製し、試験試料を形成するステップと、
前記試験試料の形状を判定するステップと、
前記判定された形状を公称形状と比較して、構成データを生成するステップと、
前記較正データを使用して前記1つ又は複数の光学素子を較正するステップと、を含む較正方法において、
前記試験試料の前記材料層のうちの1つ又は複数は、前記光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は前記1つ又は複数の材料層が調製される筐体の第2の温度の第2の温度変化率及び/又は前記試験試料が形成される基板の第3の温度の第3の温度変化率が閾値率を下回る場合にのみ、調製される、較正方法。
<態様2>
前記形状及び前記公称形状はそれぞれ、前記試験試料の場所の座標及び公称座標を含む、態様1に記載の較正方法。
<態様3>
前記判定するステップは、前記積層造形技術を使用して最後に調製された前記試験試料の前記材料層に関連する幾何学的データを判定するステップを含む、態様1又は2に記載の較正方法。
<態様4>
前記積層造形技術を使用して調製する前記ステップは、前記積層造形技術を使用して前記試験試料を調製するために同じ高さレベルで前記材料のさまざまな層を供給するステップを含む、態様1~3のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様5>
前記同じ高さレベルで前記材料のさまざまな層を供給する前記ステップは、前記異なる層の連続したものを供給する前に前記試験試料を降下させるステップを含む、態様4に記載の較正方法。
<態様6>
前記試験試料の前記形成は、閾値期間よりも長い期間にわたって実施される、態様1~5のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様7>
前記公称形状は、前記光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである、態様1~6のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様8>
前記基板は、前記試験試料の前記形成の間に、下降可能である、態様1~7のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様9>
前記試験試料が形成される前記基板の基板材料が、前記試験試料を形成するために使用される前記材料と同一である、態様1~8のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様10>
前記基板の前記第3の温度は、(i)前記試験試料の前記形成及び(ii)前記試験試料の前記形状の前記判定の一方又は両方の間に、目標温度及び/又は目標温度範囲内に維持される、態様1~9のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様11>
前記試験試料の構築高さが、前記光学パターンが前記材料の反対側に投影される材料の領域から、前記試験試料を介して、伝達可能な熱量に依存する閾値高さを超える、態様1~10のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様12>
前記試験試料の光学画像を撮影するステップをさらに含む、態様1~11のいずれか1項に記載の較正方法であって、前記試験試料の形状の前記判定は、前記光学画像を分析するステップを含む、較正方法。
<態様13>
前記光学画像全体にわたって実際及び/又は仮想のグリッドを配置したり、及び/又は試験試料が形成される筐体、特に前記筐体の床に1つ又は複数の基準マークを配置したりするステップと、
前記光学画像にて、前記試験試料の形状を判定するための前記グリッド及び/又は1つ又は複数の基準マークに対する前記試験試料の場所を特定するステップと、をさらに含む、態様12に記載の較正方法。
<態様14>
前記光学画像は、前記試験試料の形成が完了した時点で撮影される、態様12又は13に記載の較正方法。
<態様15>
前記試験試料の形状の判定は、座標測定機を使用して実施される、態様1~14のいずれか1項に記載の較正方法。
<態様16>
三次元ワークピースを製造するための装置であって、前記装置は、
前記三次元ワークピースを製造するために使用可能な材料を受容するように構成された基板と、
前記材料上に光学パターンを投影して、前記材料から、積層造形技術を使用して固化した材料層を調製し、試験試料を形成するように構成された1つ又は複数の光学素子と、
較正ユニットであって、
前記試験試料の形状を判定し、
前記判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成し、
前記較正データを使用して、前記1つ又は複数の光学素子を較正する、ように構成される、較正ユニットと、を具備する、装置において、
前記装置は、前記光学素子の第1の温度の第1の温度変化率及び/又は前記1つ又は複数の材料層が調製されている筐体の第2の温度の第2の温度変化率及び/又は前記基板の第3の温度の第3の温度変化率が閾値率を下回っている場合にのみ、前記試験試料の前記材料層のうちの1つ又は複数を調製するように構成される、装置。
<態様17>
加熱ユニット、特に加熱フレームをさらに具備する、態様16に記載の装置であって、前記加熱ユニットは、前記基板に熱的に結合されて、前記基板を目標温度及び/又は目標温度範囲に加熱したり、及び/又は前記基板を目標温度及び/又は目標温度範囲に維持したりする、装置。
<態様18>
(i)前記1つ又は複数の光学素子、(ii)前記基板及び(iii)前記基板が配置される前記装置の前記筐体のうちの1つ又は複数の温度の温度変化率を測定するように構成された1つ又は複数の温度センサと、
前記1つ又は複数の光学素子を制御するためのコントローラであって、前記1つ又は複数の温度センサは前記コントローラに結合される、コントローラと、をさらに具備する、態様16又は17に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記光学パターンを前記材料に投影して、第1の温度変動率及び/又は第2の温度変動率及び/又は第3の温度変化率が前記閾値率を下回る場合にのみ、前記試験試料の前記1つ又は複数の材料層を調製するように前記1つ又は複数の光学素子を制御するように構成される、装置。
<態様19>
前記公称形状は、前記光学パターンを規定するために使用されるデータに基づくものである、態様16~18のいずれか1項に記載の装置。
<態様20>
三次元ワークピースを製造するために使用可能な積層造形装置の1つ又は複数の光学素子を較正するための較正方法であって、前記方法は、
前記1つ又は複数の光学素子を使用して、材料上に光学パターンを投影して、前記材料から、積層造形技術を使用して固化した材料層を調製し、試験試料を形成するステップと、
前記試験試料の形状を判定するステップと、
前記判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成するステップと、
前記較正データを使用して、前記1つ又は複数の光学素子を較正するステップと、を含む較正方法。
<態様21>
三次元ワークピースを製造するための装置であって、前記装置は、
前記三次元ワークピースを製造するために使用可能な材料を受容するように構成された基板と、
前記材料上に光学パターンを投影して、前記材料から、積層造形技術を使用して固化した材料層を調製し、試験試料を形成するように構成された1つ又は複数の光学素子と、
較正ユニットであって、
前記試験試料の形状を判定し、
前記判定された形状を公称形状と比較して、較正データを生成し、
前記較正データを使用して、前記1つ又は複数の光学素子を較正する、ように構成される、較正ユニットと、を具備する、装置。