(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-27
(45)【発行日】2023-07-05
(54)【発明の名称】患者データを表示するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/145 20060101AFI20230628BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20230628BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230628BHJP
A61M 5/172 20060101ALN20230628BHJP
【FI】
A61B5/145
G16H50/30
A61B5/00 D
A61M5/172 500
(21)【出願番号】P 2022527132
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2020059126
(87)【国際公開番号】W WO2021096756
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-02
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】アルデン,レット ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ジェナル リン
(72)【発明者】
【氏名】カッツ,ミシェル リン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルパート,ハワード アラン
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0226150(US,A1)
【文献】特表2014-504174(JP,A)
【文献】特開2017-117265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0068487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/145 - 5/1495
A61B 5/00
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 50/22
A61M 5/00 - 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された患者データをコンピューティングデバイスのディスプレイ画面に表示するための方法であって、
前記コンピューティングデバイスの前記ディスプレイ画面上に、複数のパネルを表示することであって、各パネルが、固有の時間ウィンドウに関連付けられ、前記固有の時間ウィンドウ中に記録された患者に対する1つ以上のグルコース測定値を表示する、表示することと、
複数のグルコース事象タイプのうちの少なくとも1つのグルコース事象タイプを選択する第1のユーザ入力を受信することと、
複数の状況的要因タイプのうちの少なくとも1つの状況的要因タイプを選択する第2のユーザ入力を受信することと、
前記第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、前記ディスプレイ画面に、前記複数のパネルから
それらのサブセットを表示することであって、
前記複数のパネルからなる、パネルの前記サブセットは、前記サブセットに含まれない前記複数のパネルからの他のパネルと視覚的に区別され、前記サブセット内の各パネルが、少なくとも1つのグルコース測定値を表示
し、前記少なくとも1つのグルコース測定値は、前記選択された少なくとも1つのグルコース事象タイプを呈し、前記選択された少なくとも1つの状況的要因タイプを前記患者が経験した期間中に記録されたものである、表示することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コンピューティングデバイスの前記ディスプレイ画面上に、前記複数のパネルとは別個の前記複数のグルコース事象タイプおよび前記複数の状況的要因タイプを表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブセットに含まれない前記複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別される前記パネルのサブセットを表示することが、前記ディスプレイ画面上で、前記サブセットに属さない前記複数のパネルからのパネルをフェード、不明瞭化、縮小、または彩度低下させることによって、視覚的に強調解除することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記サブセットに含まれない前記複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別される前記パネルのサブセットを表示することが、前記パネルのサブセットの色を変更すること、前記パネルのサブセットの周りに境界線を追加すること、前記パネルのサブセットの各パネルに記号を追加すること、または前記パネルのサブセットの各パネルのサイズを増加させることによって、前記ディスプレイ画面上で前記パネルのサブセットを視覚的に強調することを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のグルコース事象が、低血糖事象、夜間の低血糖事象、高血糖事象、および長期の高血糖事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の状況的要因が、自動投与量増加のユーザオーバーライド、自動投与量減少のユーザオーバーライド、遅いボーラス、手動ボーラス、見逃したボーラス、クリティカルポンプアラーム、注入部位の変更、および自動注入投与アルゴリズムの一時停止のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のパネルの各パネルが、異なる日に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各パネルが、血中グルコースモニタ(BGM)、連続グルコースモニタ(CGM)、およびフラッシュグルコースモニタ(FGM)のうちの少なくとも1つによって記録された1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コンピューティングデバイスであって、
ディスプレイ画面と、
少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータ実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記ディスプレイ画面上に、複数のパネルを表示することであって、各パネルが、固有の時間ウィンドウに関連付けられ、前記固有の時間ウィンドウ中に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、表示することと、
複数のグルコース事象タイプのうちの少なくとも1つのグルコース事象タイプを選択する第1のユーザ入力を受信することと、
複数の状況的要因タイプのうちの少なくとも1つの状況的要因タイプを選択する第2のユーザ入力を受信することと、
前記第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、
前記ディスプレイ画面に、前記複数のパネルから
それらのサブセットを表示することであって、
前記複数のパネルは、前記サブセットに含まれない前記複数のパネルからの他のパネルと視覚的に区別され、パネルの
前記サブセット内の各パネルが、少なくとも1つのグルコース測定値を表示
し、前記少なくとも1つのグルコース測定値は、前記選択された少なくとも1つのグルコース事象タイプを呈し、前記選択された少なくとも1つの状況的要因タイプを前記患者が経験した期間中に記録されたものである、表示することと、
を実行させるように動作可能である、非一時的なコンピュータ可読媒体と、
を含む、コンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記コンピューティングデバイスの前記ディスプレイ画面上に、前記複数のパネルとは別個の前記複数のグルコース事象タイプおよび前記複数の状況的要因タイプを表示するようにさらに構成されている、請求項
9に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記サブセットに含まれない前記複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別される前記パネルのサブセットを表示することが、前記ディスプレイ画面上で、前記サブセットに属さない前記複数のパネルからのパネルをフェード、不明瞭化、縮小、または彩度低下させることによって、視覚的に強調解除することを含む、請求項
9または
10に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記サブセットに含まれない前記複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別される前記パネルのサブセットを表示することが、前記パネルのサブセットの色を変更すること、前記パネルのサブセットの周りに境界線を追加すること、前記パネルのサブセットの各パネルに記号を追加すること、または前記パネルのサブセットの各パネルのサイズを増加させることによって、前記ディスプレイ画面上で前記パネルのサブセットを視覚的に強調することを含む、請求項
9~11のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記複数のグルコース事象が、低血糖事象、夜間の低血糖事象、高血糖事象、および長期の高血糖事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項
9~12のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記複数の状況的要因が、自動投与量増加のユーザオーバーライド、自動投与量減少のユーザオーバーライド、遅いボーラス、手動ボーラス、見逃したボーラス、クリティカルポンプアラーム、注入部位の変更、および自動注入投与アルゴリズムの一時停止のうちの少なくとも1つを含む、請求項
9~13のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記複数のパネルの各パネルが、異なる日に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項
9~14のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項16】
各パネルが、血中グルコースモニタ(BGM)、連続グルコースモニタ(CGM)、およびフラッシュグルコースモニタ(FGM)のうちの少なくとも1つによって記録された1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項
9~15のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
コンピュータにより実行可能な命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ実行可能命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサに、
コンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に、複数のパネルを表示することであって、各パネルが、固有の時間ウィンドウに関連付けられ、前記固有の時間ウィンドウ中に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、表示することと、
複数のグルコース事象タイプのうちの少なくとも1つのグルコース事象タイプを選択する第1のユーザ入力を受信することと、
複数の状況的要因タイプのうちの少なくとも1つの状況的要因タイプを選択する第2のユーザ入力を受信することと、
前記第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、前記ディスプレイ画面に、前記複数のパネルから
それらのサブセットを表示することであって、
前記複数のパネルからなる、パネルの前記サブセットは、前記サブセットに含まれない前記複数のパネルからの他のパネルと視覚的に区別され、前記サブセット内の各パネルが、少なくとも1つのグルコース測定値を表示
し、前記少なくとも1つのグルコース測定値は、前記選択された少なくとも1つのグルコース事象タイプを呈し、前記選択された少なくとも1つの状況的要因タイプを前記患者が経験した期間中に記録されたものである、表示することと、
を実行させるように動作可能である、コンピュータプログラム。
【請求項18】
前記コンピュータ実行可能命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサに、前記コンピューティングデバイスの前記ディスプレイ画面上に、前記複数のパネルとは別個の前記複数のグルコース事象タイプおよび前記複数の状況的要因タイプを表示させるようにさらに動作可能である、請求項
17に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記サブセットに含まれない前記複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別される前記パネルのサブセットを表示することが、前記ディスプレイ画面上で、前記サブセットに属さない前記複数のパネルからのパネルをフェード、不明瞭化、縮小、または彩度低下させることによって、視覚的に強調解除することを含む、請求項
17または
18に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記サブセットに含まれない前記複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別される前記パネルのサブセットを表示することが、前記パネルのサブセットの色を変更すること、前記パネルのサブセットの周りに境界線を追加すること、前記パネルのサブセットの各パネルに記号を追加すること、または前記パネルのサブセットの各パネルのサイズを増加させることによって、前記ディスプレイ画面上で前記パネルのサブセットを視覚的に強調することを含む、請求項
17~19のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項21】
前記複数のグルコース事象が、低血糖事象、夜間の低血糖事象、高血糖事象、および長期の高血糖事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項
17~20のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項22】
前記複数の状況的要因が、自動投与量増加のユーザオーバーライド、自動投与量減少のユーザオーバーライド、遅いボーラス、手動ボーラス、見逃したボーラス、クリティカルポンプアラーム、注入部位の変更、および自動注入投与アルゴリズムの一時停止のうちの少なくとも1つを含む、請求項
17~21のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項23】
前記複数のパネルの各パネルが、異なる日に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項
17~22のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項24】
各パネルが、血中グルコースモニタ(BGM)、連続グルコースモニタ(CGM)、およびフラッシュグルコースモニタ(FGM)のうちの少なくとも1つによって記録された1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項
17~23のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者データを表示するためのシステム、デバイス、および方法に関する。より具体的には、本開示は、糖尿病の人に関連するログ記録された医学的および状況的情報を表示するためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の人の中には、自分の状態に関連する医学的および状況的情報のログおよび/または記録を保持している人もいる。そのようなログおよび/または記録は、彼らが受けたインスリンの投与に関するデータ、例えば、そのような投与がいつ行われたか、およびその投与の量などを含み得る。そのようなログおよび/または記録はまた、それらのグルコースレベル測定の履歴記録を含み得る。医療提供者は、そのような記録をレビューして、治療レジメンに対する人のコンプライアンスを監視するか、治療を必要とする医学的傾向もしくは状態を検出するか、または人との話し合いを必要とする他の問題を特定し得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、患者データを表示するためのシステム、デバイス、および方法に関する。このような患者データには、服用した薬、血中グルコースレベル、エラー/アラート/インスリン送達デバイスに関連する情報、食事に関する情報(例えば、摂取した食品の種類、食品の量、食事の時間)、ならびに患者の健康および/または状態に影響を与える可能性のある要因(例えば、病気、月経、ストレス、運動/活動など)などのログ記録された医学的および状況的情報が含まれる場合がある。より具体的には、本開示は、糖尿病の人に関連するログ記録された医学的および状況的情報を含む患者データを表示するためのシステム、デバイス、および方法に関する。そのようなログ記録された医学的および状況的情報には、グルコース事象と、手動による投与量のオーバーライド、部位の変更、および/または見逃した、もしくは遅いボーラスなどの状況的要因の両方が含まれ得る。
【0004】
以下の態様を含むがこれらに限定されない様々な態様が、本開示に記載されている。
1.選択された患者データをコンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に表示するための方法であって、コンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に、複数のパネルを表示することであって、各パネルが、固有の時間ウィンドウに関連付けられ、固有の時間ウィンドウ中に記録された患者に対する1つ以上のグルコース測定値を表示する、表示することと、複数のグルコース事象タイプのうちの少なくとも1つのグルコース事象タイプを選択する第1のユーザ入力を受信することと、複数の状況的要因タイプのうちの少なくとも1つの状況的要因タイプを選択する第2のユーザ入力を受信することと、第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、ディスプレイ画面に、パネルのサブセットに含まれない複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別される複数のパネルからのサブセットを表示することであって、パネルのサブセット内の各パネルが、選択された少なくとも1つのグルコース事象タイプを呈し、患者が選択された少なくとも1つの状況的要因タイプを経験した期間中に記録された少なくとも1つのグルコース測定値を表示する、表示することと、を含む、方法。
2.コンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に、複数のパネルとは別個の複数のグルコース事象タイプおよび複数の状況的要因タイプを表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
3.サブセットに含まれない複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、ディスプレイ画面上で、サブセットに属さない複数のパネルからのパネルを、フェード、不明瞭化、縮小、または彩度低下させることによって、視覚的に強調解除することを含む、請求項1または2に記載の方法。
4.サブセットに含まれない複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、ディスプレイ画面から、パネルのサブセットに属さない複数のパネルからのパネルを除去することを含む、請求項1または2に記載の方法。
5.サブセットに含まれない前記複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、パネルのサブセットの色を変更すること、パネルのサブセットの周りに境界線を追加すること、パネルのサブセットの各パネルに記号を追加すること、またはパネルのサブセットの各パネルのサイズを増加させることによって、ディスプレイ画面上でパネルのサブセットを視覚的に強調することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.複数のグルコース事象が、低血糖事象、夜間の低血糖事象、高血糖事象、および長期の高血糖事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.複数の状況的要因が、自動投与量増加のユーザオーバーライド、自動投与量減少のユーザオーバーライド、遅いボーラス、手動ボーラス、見逃したボーラス、クリティカルポンプアラーム、注入部位の変更、および自動注入投与アルゴリズムの一時停止のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
8.複数のパネルの各パネルが、異なる日に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.各パネルが、血中グルコースモニタ(BGM)、連続グルコースモニタ(CGM)、およびフラッシュグルコースモニタ(FGM)のうちの少なくとも1つによって記録された1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.コンピューティングデバイスであって、ディスプレイ画面と、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、コンピュータ実行可能命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、少なくとも1つのプロセッサに、ディスプレイ画面上に、複数のパネルを表示することであって、各パネルが、固有の時間ウィンドウに関連付けられ、固有の時間ウィンドウ中に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、表示することと、複数のグルコース事象タイプのうちの少なくとも1つのグルコース事象タイプを選択する第1のユーザ入力を受信することと、複数の状況的要因タイプのうちの少なくとも1つの状況的要因タイプを選択する第2のユーザ入力を受信することと、第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、パネルのサブセットに含まれない複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別される複数のパネルからのサブセットをディスプレイ画面に表示することであって、パネルのサブセット内の各パネルが、選択された少なくとも1つのグルコース事象タイプを呈し、患者が選択された少なくとも1つの状況的要因タイプを経験した期間中に記録された少なくとも1つのグルコース測定値を表示する、表示することと、を実行させるように動作可能である、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を含む、コンピューティングデバイス。
11.少なくとも1つのプロセッサが、コンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に、複数のパネルとは別個の複数のグルコース事象タイプおよび複数の状況的要因タイプを表示するようにさらに構成されている、請求項10に記載のコンピューティングデバイス。
12.サブセットに含まれない複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別される前記パネルのサブセットを表示することが、ディスプレイ画面上で、サブセットに属さない複数のパネルからのパネルを、フェード、不明瞭化、縮小、または彩度低下させることによって、視覚的に強調解除することを含む、請求項10または11に記載のコンピューティングデバイス。
13.サブセットに含まれない複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、ディスプレイ画面から、パネルのサブセットに属さない複数のパネルからのパネルを除去することを含む、請求項10または11に記載のコンピューティングデバイス。
14.サブセットに含まれない複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、パネルのサブセットの色を変更すること、パネルのサブセットの周りに境界線を追加すること、パネルのサブセットの各パネルに記号を追加すること、またはパネルのサブセットの各パネルのサイズを増加させることによって、ディスプレイ画面上でパネルのサブセットを視覚的に強調することを含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
15.複数のグルコース事象が、低血糖事象、夜間の低血糖事象、高血糖事象、および長期の高血糖事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項10~14のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
16.複数の状況的要因が、自動投与量増加のユーザオーバーライド、自動投与量減少のユーザオーバーライド、遅いボーラス、手動ボーラス、見逃したボーラス、クリティカルポンプアラーム、注入部位の変更、および自動注入投与アルゴリズムの一時停止のうちの少なくとも1つを含む、請求項10~15のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
17.複数のパネルの各パネルが、異なる日に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項10~16のいずれか一項のコンピューティングデバイス。
18.各パネルが、血中グルコースモニタ(BGM)、連続グルコースモニタ(CGM)、およびフラッシュグルコースモニタ(FGM)のうちの少なくとも1つによって記録された1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項10~17のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
19.コンピュータ実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、コンピュータ実行可能命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、1つ以上のプロセッサに、コンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に、複数のパネルを表示することであって、各パネルが、固有の時間ウィンドウに関連付けられ、固有の時間ウィンドウ中に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、表示することと、複数のグルコース事象タイプのうちの少なくとも1つのグルコース事象タイプを選択する第1のユーザ入力を受信することと、複数の状況的要因タイプのうちの少なくとも1つの状況的要因タイプを選択する第2のユーザ入力を受信することと、第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、ディスプレイ画面に、パネルのサブセットに含まれない複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別される複数のパネルからのサブセットを表示することであって、パネルのサブセット内の各パネルが、選択された少なくとも1つのグルコース事象タイプを呈し、患者が選択された少なくとも1つの状況的要因タイプを経験した期間中に記録された少なくとも1つのグルコース測定値を表示する、表示することと、を実行させるように動作可能である、非一時的なコンピュータ可読媒体。
20.コンピュータ実行可能命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、1つ以上のプロセッサを、コンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に、複数のパネルとは別個の複数のグルコース事象タイプおよび複数の状況的要因タイプを表示させるようにさらに動作可能である、請求項19に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
21.サブセットに含まれない複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、ディスプレイ画面上で、サブセットに属さない複数のパネルからのパネルを、フェード、不明瞭化、縮小、または彩度低下させることによって、視覚的に強調解除することを含む、請求項19または20に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
22.サブセットに含まれない複数のパネルから、他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、第1および第2のユーザ入力の受信に応答して、ディスプレイ画面から、パネルのサブセットに属さない複数のパネルからのパネルを除去することを含む、請求項19または20に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
23.サブセットに含まれない複数のパネルから他のパネルと視覚的に区別されるパネルのサブセットを表示することが、前述のパネルのサブセットの色を変更すること、前述のパネルのサブセットの周りに境界線を追加すること、前述のパネルのサブセットの各パネルに記号を追加すること、または前述のパネルのサブセットの各パネルのサイズを増加させることによって、ディスプレイ画面上でパネルのサブセットを視覚的に強調することを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
24.複数のグルコース事象が、低血糖事象、夜間の低血糖事象、高血糖事象、および長期の高血糖事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
25.複数の状況的要因が、自動投与量増加のユーザオーバーライド、自動投与量減少のユーザオーバーライド、遅いボーラス、手動ボーラス、見逃したボーラス、クリティカルポンプアラーム、注入部位の変更、および自動注入投与アルゴリズムの一時停止のうちの少なくとも1つを含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
26.複数のパネルの各パネルが、異なる日に記録された患者の1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項19~25のいずれか一項に記載の非一時的なのコンピュータ可読媒体。
27.各パネルが、血中グルコースモニタ(BGM)、連続グルコースモニタ(CGM)、およびフラッシュグルコースモニタ(FGM)のうちの少なくとも1つによって記録された1つ以上のグルコース測定値を表示する、請求項19~26のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の上述および他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方式は、本発明の実施形態の以下の説明を添付の図面と併せて参照することによってより明らかになり、またより良好に理解されよう。
【0006】
【
図1】いくつかの実施形態による、例示的な通信システム100を描写する。
【
図2】いくつかの実施形態による、本明細書に開示される方法および実施形態のいずれかを実行するために使用され得るコンピュータシステム200の例証的な実装を描写する。
【
図3】いくつかの実施形態による、糖尿病の人に関する患者データを表示するための例示的なプロセス300を描写するフローチャートである。
【
図4】いくつかの実施形態による、糖尿病の人のグルコース測定値を含む複数のパネルを有するディスプレイ画面の一例を例示する。
【
図5】いくつかの実施形態による、
図4に表示されたパネルのうちの1つのクローズアップ図を例示する。
【
図6】いくつかの実施形態による、詳細な患者データを含む、
図5に表示されるパネルの代替的なバージョンを例示する。
【
図7】いくつかの実施形態による、ユーザがグルコース事象「低血糖」(例えば、低血糖事象)を選択した例示的なディスプレイ画面を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、ユーザがグルコース事象「低血糖」(例えば、低血糖事象)および状況的要因「上方投与量オーバーライド」の両方を選択した例示的なディスプレイ画面を示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、複数の期間からのログ記録された医学的および/または状況的データを比較するための例示的なパネルを示す。
【0007】
複数の図面全体を通して、対応する参照符号は、対応する部品を示す。本明細書に記載される例示は、本発明の例示的な実施形態を例示し、そのような例示は、いかようにも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
糖尿病の人は、彼らが受けたインスリンの投与量、ならびに彼らのグルコースレベル測定値のログおよび/または記録を維持することができる。そのようなログおよび/または記録は、状況的要因で補足される場合もある。そのような状況的要因には、彼らが受けた投与量がボーラス計算機によって計算されたかどうか、もしそうであれば、彼らが受けた投与量が計算機によって推奨された投与量よりも多かった、または低かったかが含まれる。そのような状況的要因には、人がボーラスを逃したか、または遅れてボーラスを摂取したかどうか、人の自動インスリン送達デバイスが重大な障害(例えば、閉塞)を経験したかどうかおよび/またはいつそれを経験したか、もしくは人が自動インスリン送達デバイスの注入部位を変更したかどうかまたは/いつそれを変更したかに関するデータも含まれ得る。
【0009】
医療提供者は、そのようなログおよび/または記録をその人と共にレビューして、その人の治療レジメンのコンプライアンスを監視するか、治療を必要とする医学的傾向もしくは状態を検出するか、またはその人との話し合いを必要とする他の問題を特定し得る。ただし、人のログおよび/または記録に包含される情報の量が増えると、医療提供者(HCP)はこれらのタスクを迅速に遂行することがますます困難になる可能性がある。したがって、HCPが人の記録を迅速にフィルタリングおよびソートして、話し合いまたは治療が必要な医学的問題を特定することを許容するユーザインターフェースを提供する必要がある。
【0010】
さらに、ログ記録された事象間の相関関係は、話し合いまたは治療を必要とするより深い問題を示し得るか、または持続的な医学的問題の根本原因への洞察を明らかにし得る。例えば、ある人のグルコース記録において、望ましくないほど高いグルコースレベルの一貫した傾向(例えば、比較的多い高血糖事象)は、多数の要因に起因している可能性がある。このような高いグルコースレベルの根本原因を特定しないと、HCPは、将来このような高血糖事象をどのように回避するかについて、その人に効果的に助言することができない可能性がある。
【0011】
しかし、HCPが、その人の高血糖事象が、計算されたボーラス投与量を手動で下方にオーバーライドした日(すなわち、下方投与量オーバーライド)と相関する傾向があると観察した場合、HCPはその人が低血糖の恐れに苦しんでいると合理的に推論することができる。このシナリオでは、HCPは、その人が低血糖への恐怖を克服し、そのボーラス計算機で提案されたボーラス投与量をいつオーバーライドするかについてより良い判断を得るのに役立つ教育および/またはリソースを紹介することができる。
【0012】
一方、HCPが、その人の高血糖事象が、その人の自動化インスリン送達デバイスが重大な低インスリンリザーバアラームがあった日と相関する傾向があることを観察した場合(例えば、デバイスがインスリンを使い果たしている)、HCPは、その人がそのインスリン送達デバイスを十分な頻度で補充しない傾向があると合理的に推論することができる。このシナリオでは、適切な行動方針は、そのインスリン送達デバイスの維持および/または補充の方法についてその人によりよく伝えること、あるいは、その人が必要なインスリンを得るために金銭上の援助を必要としているかどうかを尋ねることである可能性がある。
【0013】
さらに別の例として、HCPが、人の高血糖事象が、その人がボーラスを逃すか、またはボーラスが遅れた日と相関する傾向があると観察した場合、HCPは、その人が毎食インスリンのボーラスを摂取することを覚えるのに苦労していると合理的に推論し得る。実際、その人の記録が、その人が夕食時にボーラスを摂取するのに問題がないが、昼食時にボーラスを摂取するのに問題がありがちであると示している場合、HCPはその人が特に職場でボーラスを摂取するのが困難であると推測し得る。このシナリオでは、適切な行動方針は、その人と協力してシステムを考案すること、またはその人が毎食ボーラスを摂取するのを手助けする習慣を形成するであり得る。
【0014】
この簡単な実施例が例示するように、単一のグルコース事象(例えば、高血糖事象)は、異なる根本原因によって引き起こされる可能性があり、各々が異なる戦略を使用して対処するのが最善であり得る。観察されたグルコース事象を状況的要因と相関させることにより、HCPはそのようなグルコース事象の背後にある根本原因への価値ある洞察を導き出し、それによって将来そのようなグルコース糖事象を防ぐための効果的な戦略を考案することができる。したがって、HCPが観察されたグルコース事象(例えば、低血糖または高血糖事象)を状況的要因(例えば、手動投与量のオーバーライド、または人のインスリン送達デバイスに関連するクリティカルアラーム)と相関させることを迅速に許容するユーザインターフェースを提供する必要がある。本明細書に開示されるシステム、方法、および装置は、上記の必要性のうちの少なくともいくつかに対処するのを手助けするように構成されている。
【0015】
図1は、少なくとも1つの実施形態による、例示的なHCPシステム102、例示的な健康ITシステム118、例示的な患者124(例えば、糖尿病の人)に関連付けられ、また例示的な患者124に関連付けられた複数の例示的なパーソナル医療デバイス(この描写では、例示的なグルコースメータ126および例示的な接続された注射デバイス134)と通信する例示的なモバイルデバイス104、例示的なプライベートネットワーク138を介して互いに通信可能に相互接続する1つ以上の例示的なサーバ140~146を含む例示的なサーバシステム106、および例示的な管理者ポータルシステム148を含む、通信システム100を描写している。また、
図1に描写されているのは、データネットワーク108、通信リンク110、112、114、116、128、136、150、152、および154、HCPシステム102のディスプレイ120、ならびにモバイルデバイス104のディスプレイ122である。さらに表示されているのは、関連付け矢印125、概念情報フロー矢印130、および概念情報フロー矢印132であり、これらは両方とも以下で説明される。
図1に描写されているエンティティおよび配置、ならびにそれらの相互接続は、
図1に描写されているエンティティならびにその配置および相互接続は、例示のために提供されており、例として、かつ限定するものではなく、他のエンティティ、配置および相互接続も、所与の文脈のために当業者によって好適と見なされるだけでなく、実装することができると理解されるべきである。
【0016】
(ディスプレイ120を含む)HCPシステム102は、物理的アーキテクチャの観点から、
図2と関連してより以下で十分に説明されるが、一般に、本明細書に記載の機能を実行するように装備、構成、およびプログラムされている任意のコンピューティングデバイスの形態を採り得る。HCPシステム102のいくつかの選択肢としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどのモバイルデバイス、または音声、拡張現実(AR)または仮想現実(VR)を使用してHCPと対話するデバイスが挙げられる。いくつかの実施形態では、HCPシステム102は、インターネットブラウザ(すなわち、ほんの数例を挙げればおそらくスタンドアローンアプリケーションとして、おそらく別のアプリケーション機能としてのウェブブラウザ)をサポートおよび動作させることが可能な任意の電子デバイスである。
図1に描写されているように、HCPシステム102は、通信リンク116を介して健康ITシステム118に、かつ通信リンク110を介してデータネットワーク108に通信可能に接続される。通信リンク116は、データネットワーク108から分離して図示されているが、場合によっては、リンク116のすべてまたは一部が、データネットワーク108の少なくとも一部分を経由し得ることが理解されるべきである。場合によっては、HCPシステム102は、
図1に図示されるように直接リンク116を通る代わりに、データネットワーク108を介して間接的にHITシステム118と通信することができる。HCPシステム102の典型的なユーザの中には、処方の役割を有するHCP(例えば、医師、医師助手(PA)、上級看護師など)、ならびに他の例の中でも、統合送達ネットワーク(Integrated Delivery Network、IDN)に関連付けられたケアチームの一部である非処方HCP、およびユーザが含まれる。
【0017】
様々な異なる実施形態において、HCPシステム102は、本明細書に列挙され得る他の実施例の中でも、薬剤投与レジメン(例えば、基礎インスリン投与レジメン、ボーラスインスリン投与レジメン、および/または同様のものなどのインスリン投与レジメン)の処方、既存の投与レジメン処方の修正、投与レジメパラメータの設定および/または修正、ならびに個々の患者データの閲覧などの機能を提供し、支援するHCPポータルアプリケーションまたはインターフェースを実装し得る。HCPシステム102を介したHCPによる投与レジメンに関する処方およびパラメータ設定は、患者が薬剤用量を決定するのを支援する。他の機能の中でも、HCPシステム102は、通信リンク116を介して健康ITシステム118から患者EHRデータをダウンロードし、HCPポータルでEHRデータを閲覧し、利用可能な薬剤投与レジメンの選択を閲覧し、患者に処方する投与レジメンを選択し、選択された投与レジメンに必要なパラメータ(インスリン投与レジメンの場合の例では、開始用量、インスリン対炭水化物比など)に値を割り当てる機能をHCPに提供する。HCPシステム102上のHCPポータルは、以下でさらに詳細に説明するように、HCPユーザが患者の履歴データをレビューすることを可能にするデータ可視化機能をさらに提供する。様々な実施形態では、この患者の履歴データは、チャート形態、グラフ形態、表形態、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる1つ以上の他の形態で閲覧可能である。
【0018】
(ディスプレイ122を含む)モバイルデバイス104は、物理的アーキテクチャの観点から、
図2と関連してより以下で十分に説明されるが、一般に、本明細書に記載のモバイルデバイス機能を実行するように装備、構成、およびプログラムされている任意のコンピューティングデバイスの形態を採り得る。モバイルデバイス104のいくつかの選択肢としては、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス、音声または仮想現実を介してユーザと対話するモバイルデバイスなどが挙げられる。
図1に描写されているように、モバイルデバイス104は、通信リンク128を介してグルコースメータ126に、通信リンク136を介して接続された注射デバイス134に、かつ通信リンク112を介してデータネットワーク108に通信可能に接続される。両端を有する点線による関連付け矢印125によって図示されるように、モバイルデバイス104は、例えば、サブスクリプションアカウント、所有権、所持、および/または1つ以上の他の方式によって、患者124に関連付けられる。
【0019】
C3サーバシステム106に関して、C3サーバ140~146のうちの例示的な1つは、物理的アーキテクチャの観点から、
図2と関連して以下により十分に説明される。しかしながら、一般に、C3サーバシステム106は、本明細書に記載のC3サーバシステム機能を集合的に実行するように集合的に装備、構成、およびプログラムされた1つ以上のサーバの任意の組の形態を採り得る。
図1に描写されるように、C3サーバシステム106は、通信リンク114を介してデータネットワーク108に通信可能に接続される。
【0020】
図1に描写されるように、C3サーバシステム106内の各C3サーバ140~146は、データネットワーク108とのそれ自身のそれぞれの通信リンク114を有し得、また、またはその代わりに、単一の通信リンク114は、おそらくファイアウォール、ネットワークアクセスサーバ(NAS)、および/もしくは同様のものを介して、C3サーバシステム106をデータネットワーク108と通信可能に接続し得ることに留意されたい。提示を明確にするために、1つ以上の通信リンク114は、本開示の残りの部分では「通信リンク114」と称される。さらに、
図1にも描写されるように、それぞれのC3サーバ140~146は、プライベートネットワーク138を介して互いに通信可能に相互接続され、プライベートネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる1つ以上の他の選択肢の形態を採るか、またはこれらを含み得る。いくつかの実施形態では、描写されているネットワーク138は、現在描写されているような別個のネットワークとして存在せず、そのような実施形態では、それぞれのC3サーバ140~146は、データネットワーク108へのそれらのリンクを介して互いに通信する。C3サーバシステム106と管理者ポータルシステム148との間の通信接続について、以下で論じる。
【0021】
一般事項として、C3サーバシステム106は、HCPシステム102、健康ITシステム118、およびモバイルデバイス104などのエンティティ(および、特にモバイルデバイス104上で実行される1つ以上のアプリケーション)に関して、その用語が当該技術分野で使用されるように、「クラウド」として機能する。いくつかの実施形態では、C3サーバ140~146のサブセットは、HCPシステム102、健康ITシステム118、およびモバイルデバイス104のうちの少なくとも1つに対応するために専用であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、C3サーバ140~146の各々は、これらの3つのエンティティのうちのいずれかの役割を果たすことが可能であり得る。特定のアーキテクチャの実装に関わらず、C3サーバシステム106は、それらのエンティティの特定の目的を有する少なくとも1つのクラウドとして機能する。そのため、少なくとも1つの実施形態では、C3サーバシステム106と任意の1つ以上の他のエンティティとのすべての通信は、安全な通信であり、例として、そのような通信は、当該技術分野で既知のように暗号化および/または署名することができる。そのような通信は、当業者によって様々なコンテキストに好適と見なされるように実装することができる他の通信セキュリティおよびデータセキュリティ選択肢の中でも、VPNなどのトンネル内部にあり得る。
【0022】
様々な異なる実施形態では、かつ以下でさらに説明されるように、C3サーバシステム106は、言及されたエンティティおよびおそらく他のエンティティに対して、HCPシステム102と、患者に関連付けられたモバイルデバイス上で実行されるアプリケーションとの間の(例えば、処方箋、患者追跡および共有健康データに関連する)情報およびデータの安全で信頼できる転送、データストレージ、患者とHCPとの間の関係、統合送達ネットワーク(IDN、例えば医療組織のネットワーク)、および同様のもの管理を提供し、かつサポートし、およびいくつかの実施形態では、代わりにまたは追加で、当業者によって所与の実装に好適と見なされる1つ以上の他の機能を提供し、かつサポートする。さらに、いくつかの実施形態では、C3サーバシステム106は、支払人(例えば、保険会社)が関与するデータ共有を容易にし、いくつかのそのような実施形態では、支払者エンティティとのそのようなデータ共有は、関連付けられた患者がそのような通信を許可することを選択することを条件とする。また、提供およびサポートされる機能の他の例も同様に、本明細書に列挙され得る。
【0023】
管理者ポータルシステム148は、物理的アーキテクチャの観点から、
図2と関連して以下でさらに十分に説明されるが、一般に、本明細書に記載の管理者ポータルシステム機能を実行するように装備、構成、およびプログラムされている任意のコンピューティングデバイスの形態を採り得る。管理者ポータルシステム148のためのいくつかの選択肢としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーションなどが挙げられる。
図1に描写されるように、少なくとも1つの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、通信リンク150を介して(特に、描写されている例では、プライベートネットワーク138を介して)C3サーバシステム106と通信するように動作可能である。他の実施形態では、
図1にも描写されるように、管理者ポータルシステム148は、データネットワーク108を介してHCPシステム102、モバイルデバイス104、および/またはC3サーバシステム106と通信するように動作可能である。また、いくつかの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、両方を行うように操作可能である。
【0024】
一般事項として、様々な異なる実施形態では、管理者ポータルシステム148は、HCPポータル102、モバイルデバイス104上で実行されるアプリケーション(例えば、モバイルメディカルアプリケーション、またはMMA)、および/またはC3サーバシステム106に関して様々なサービスを提供する。そのようなサービスの一例のカテゴリーは、ユーザ管理、ログイン、アクセスレベルなどに関係するものである。少なくとも1つの実施形態では、十分な許可を有するユーザは、管理者ポータルシステム148を使用して、HCPポータル102、モバイルデバイス104上で実行されるMMA、および/またはC3サーバシステム106の様々な設定を変更および/または管理することができる。場合によっては、管理者ポータルシステム148を介して行われる変更は、単一のMMA、単一のユーザ、単一のHCPなどにのみ影響を与え、他の場合には、そのような変更は、複数のMMA、複数のユーザアカウント、複数のHCPなどに影響を与える。例えば、IDNは、IDNに登録された患者のアカウントを管理する管理者ポータルシステム148が設けられ得る。いくつかの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、更新、アップグレードなどを展開するように操作可能である。いくつかの実施形態では、管理者ポータルシステム148は、個々のHCPアカウント、個々の患者アカウントなどを管理するように操作可能である。また、管理者ポータルシステム148を使用することができる、確かに多数の他の例示的な管理機能を本明細書で列挙することができる。
【0025】
図1に描写される例示的な環境では、データネットワーク108は、通信リンク110を介してHCPシステム102と、通信リンク112を介してモバイルデバイス104と、通信リンク114を介してC3サーバシステム106と、かつ通信リンク152を介して管理者ポータルシステム148と、通信可能に接続される。少なくとも1つの例示的なシナリオでは、データネットワーク108としては、典型的には、インターネットと広義に称されるネットワークの世界的なネットワーク、1つ以上のパブリックIPネットワーク、1つ以上のプライベート(例えば、企業)IPネットワーク、および/または当業者によって所与の実装に好適と見なされる任意の他の種類のうちの1つ以上のIPネットワークなどの1つ以上のInternet Protocol(IP)ネットワークが挙げられる。データネットワーク108を介して通信するエンティティは、IPアドレス(例えば、IPv4アドレスまたはIPv6アドレス)などのアドレスによって識別され得る。しかしながら、これは単なる例であるので、データネットワーク108がIPネットワークであるか、またはIPネットワークを含む必要はない。
【0026】
本明細書で使用される場合、「通信リンク」としては、1つ以上の有線通信(例えば、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(USB)、および/または同様のもの)リンク、および/または1つ以上の無線通信(例えば、セルラー、Wi-Fi、Bluetooth、および/または同様のもの)が挙げられ、また、ルータ、スイッチ、ブリッジ、および/または同様のものなどの任意の好適な数の中継デバイスを含み得る。具体的には通信リンク112は、モバイルデバイス104との双方向データ通信を容易にするために、少なくとも1つの無線通信リンクを含み得る。さらに、通信リンク128および136のいずれかまたは両方は、近距離無線通信(NFC)リンク、Bluetoothリンク、無線周波数識別(RFID)リンク、直接無線周波数(RF)リンク、および/もしくは1つ以上の他の種類の無線通信リンクのうちの少なくとも1つの形態を採るか、またはこれらを少なくとも含み得る。さらに、通信リンク128および136は、それぞれ(i)モバイルデバイス104と(ii)グルコースメータ126および接続された注射デバイス134との間のポイントツーポイントリンクであり得るが、その必要はなく、いくつかの実施形態では、通信リンク128および136のうちの一方または両方は、例えば、Wi-FiまたはZigBeeルータ、またはセルラーネットワークもしくはタワー(描写せず)を介した間接リンクである。また、他の実装例も同様に、確かに本明細書に列挙され得る。
【0027】
図1に描写される例示的なシナリオでは、健康ITシステム118は、通信リンク116を介してHCPシステム102に通信可能に接続され、一般に、1つ以上のサーバの形態を採り得る。健康ITシステム118は、それ自体のモニタディスプレイ、キーボード、マウス、タッチスクリーン、または他のユーザインターフェースなどのそれ自体のローカルユーザインターフェースを有する場合があるか、または有しない場合がある。様々な異なる実施形態では、健康ITシステム118は、任意選択的に、おそらく、当業者によって健康ITシステムに好適と見なされる他の機能の中でも、患者の電子健康記録(EHR-業界では電子医療記録またはEMRとも称される)の安全な維持、安全な格納、および安全なアクセスを提供およびサポートする。さらに、健康ITシステム118は、通信リンク154を介してデータネットワーク108に通信可能に連結される。健康ITシステム118はまた、データネットワーク108を介してC3サーバシステム106と通信することができる。いくつかの実施形態では、健康ITシステム118は、例として、Fast Healthcare Interoperability Resources(FHIR)プロトコル、またはSubstitutable Medical Applications and Reusable Technologies(SMART)プロトコルなどの標準化されたプロトコルを介して、C3サーバシステム106および/またはHCPシステム102とインターフェースで接続する。
【0028】
本明細書に記載の例示的なシナリオでは、患者124は、HCPシステム102に関連付けられたHCPによって糖尿病と診断されており、治療されているが、これは純粋に例であり、限定するものではない。記載の実施形態では、モバイルデバイス104(およびモバイルデバイス上で動作する少なくとも1つのMMA)、グルコースメータ126、および接続された注射デバイス134の両方は、各々患者124に少なくともその方式で互いに関連付けられる。上記の関連付け矢印125は、患者124とモバイルデバイス104との一般的な関連付けおよびユーザインターフェースレベルの対話を表すことを意図している。
【0029】
図1では、モバイルデバイス104がグルコースメータ126および接続された注射デバイス134の両方に通信可能に接続されていることを示しているが、場合によっては、グルコースメータ126および接続された注射デバイス134のうちの一方のみが、様々な異なるシナリオで存在し得、その両方が必要ではないことにさらに留意されたい。実際、一部のシナリオは、患者が個別に手動でグルコースレベルを測定し、かつ/または投薬量情報をログ記録することを必要とするシステムの場合のように、モバイルデバイス104に接続される追加の医療機器を全く伴わない。場合によっては、患者は、2つ以上のグルコースメータおよび/または2つ以上の接続された注射デバイスを、モバイルデバイス104のMMAに接続し得、例えば、患者は、自宅に1つのグルコースメータおよび/または注射デバイス、ならびに職場に別のグルコースメータおよび/または注射デバイスを有し得る。MMAは、各々の複数の接続をサポートするように構成することができる。さらに、場合によっては、グルコースメータおよび/または接続された注射デバイス以外の1つ以上の接続された医療デバイスが存在する。いくつかの例としては、血圧モニタ、脈拍/酸素モニタ、および/または他の好適な医療デバイスが挙げられる。
【0030】
グルコースメータ126は、医療、糖尿病治療の目的で患者124に関連付けられ、上記の通信リンク128を介してモバイルデバイス104と通信可能に接続される。グルコースメータ126としては、血中グルコースメータ(BGM)、連続グルコースメータ(CGM)、フラッシュグルコースモニタ(FGM)、または患者124の血中グルコースまたはグルコースレベルの他の源を測定する他のデバイス(例えば、コンタクトレンズデバイス、または近IR放射を使用してグルコースレベルを測定するデバイス)を挙げることができる。BGMは、(例えば、患者の指を刺して患者の毛細血管の全血グルコースレベルのスポット測定を行うことによって)患者の血中グルコースレベルの個別のスポット測定を行う。CGMおよびFGMの両方は、センサを使用して間質液中グルコースを測定する。CGMシステムは、センサ、送信機、および受信機/アプリを含み得る。CGMは、患者の間質液中グルコースレベルをより頻繁な(すなわち、より連続的に)測定し得、任意選択的に、比較的長期間(例えば、一度に数時間または数日)、患者によって連続的に装着され得る。そのようなCGMの一例は、Dexcom、Inc.によって製造されたG6センサである。FGMシステムは、患者の身体の一部分に装着または挿入されたセンサ、および作動すると、またはセンサの近位に配置されると、センサからグルコースレベルの読み取り値を受信する読み取り機(例えば、手持ち式読み取り機)を含み得る。そのようなFGMの一例は、Abbott Diabetes Care Inc.によって製造されたFreeStyle Libreデバイスである。いくつかの実施形態では、FGMは、指を刺すことによる検定を必要としない。他のタイプのグルコースメータも提供され得る。
【0031】
CGMおよびFGMシステムは、間質液中グルコースレベルを測定することができ、BGMシステムは、血中グルコースレベルを測定することができる。簡潔性および読みやすさのために、本開示の残りの部分では、単に「グルコース」値、または「GL」を指す。そのような参照は、必要に応じて、血中グルコースまたは間質液中グルコースのいずれかを指し得ることが理解される。
【0032】
接続された注射デバイス134はまた、医療、糖尿病治療の目的で患者124に関連付けられ、上記の通信リンク136を介してモバイルデバイス104と通信可能に接続される。デバイス134は、薬物または薬剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、デバイス134を含む1つ以上のデバイスおよび薬物または薬剤を含み得る。「薬物」または「薬剤」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、および上のデバイスによる送達が可能である任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。デバイス134で使用されるような薬物または薬剤は、1つ以上の賦形剤を配合され得る。デバイスは、本明細書に概して記載されているように、患者、介護者、または医療従事者によって、人に薬物を送達する様式で操作される。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、接続された注射デバイス134は、接続されたインスリン送達デバイスと当該技術分野でときに称されるもの(例えば、注射されたインスリンの量を自動検出し別の電子デバイスに報告するための、統合されたおよび/または取り付け可能な電子機器を有するペンなどの接続されたインスリンペン)であるか、または少なくともそれを含む。様々な異なる実施形態では、接続された注射デバイス134は、各々が参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる以下の特許出願のうちのいずれかに記載のインスリン送達デバイスのうちの1つ以上の形態を採るか、またはそれらを含む。
・2017年12月8日出願の、Medication Delivery Device with Sensing Systemと題されたPCT出願第PCT/US17/65251号(弁護士整理番号X21353)、
・2018年2月22日出願の、Dose Detection and Drug Identification for a Medication Delivery Deviceと題されたPCT出願第PCT/US18/19156号(弁護士整理番号X21457)、および
・2018年8月22日に出願され、Dose Detection with Piezoelectric Sensing for a Medication Delivery Deviceと題されたPCT出願第PCT/US18/47442号(代理人整理番号X21462)。
【0034】
いくつかの実施形態では、接続された注射デバイス134は、インスリンポンプなどの自動化インスリン送達デバイスの形態を採る。そのような自動化インスリン送達デバイスは、複数回の投与に十分な基礎インスリンおよび/またはボーラスインスリンを運ぶためにサイズ決定されたリザーバを含み得、患者124の身体に装着または取り付けられるように構成され得る。デバイスは、患者の身体、例えば、患者の腹部、背中、または腕に取り付けられた注入セットを介して、そのような基礎インスリンおよび/またはボーラスインスリンを患者の身体内に自動的に注入することができる。自動化インスリン送達デバイスの一例は、Medtronic PLCによって製造および販売されているMiniMedTM670Gインスリンポンプシステムである。さらに他の実施形態では、モバイルデバイス104は、接続されたインスリンペンならびに自動化インスリン送達デバイスの両方などの2つ以上の注射デバイス134に通信可能に結合され得る。
【0035】
さらに、場合によっては、本開示のこれらの2つのデバイスのうちの1つの機能のうちの1つ以上は、それらの2つのデバイスの他方、および/または1つ以上の追加のデバイスであるか、または代わりにそれらによって補われる。一例では、単一のデバイスが、グルコースを監視(および結果を報告)すること、およびインスリンを注射(および注射された量を報告)することの両方ができる。また、確かに他の機能の組み合わせを、本明細書で列挙することができる。
【0036】
さらに、また以下で説明されるように、いくつかの実施形態では、モバイルデバイス104上で実行されるMMAは、様々な理由(例えば、投与コマンドの送信、投与量確認報告の受信、(例えば、グルコース)読み取り値の要求、1つ以上の測定値の受信など)のために、例示的なグルコースメータ126および接続された注射デバイス134などの1つ以上の接続された医療デバイスと通信する。そのような通信は、所与のデバイスとの一方向または双方向の様式であり得る。接続された医療デバイスからMMAに伝達することができる情報の追加の例としては、エラーコード、デバイスの測定基準、投与記録、および/または投与確認が挙げられる。また、確かに他の例を、本明細書で列挙することができる。さらに、場合によっては、グルコースメータ126と、接続された注射デバイス134との間など、様々な接続された医療デバイス間に直接通信リンクが存在する。
【0037】
概念情報フロー矢印130は、他の情報の中で、以下でより十分に説明されるように、HCPシステム102が、直接か、データネットワーク108を介して、C3サーバシステム106を介して、または何らかの他の中間コンポーネントもしくはネットワークを介して、HCP選択薬剤投与レジメン(例えば、ボーラス投与レジメン)処方を、モバイルデバイス104上で実行されるMMAに送信し得ることを、図によって概念的に描写することを意味している。同様に、概念情報フロー矢印132は、他の情報の中でも、以下でより十分に説明されるように、モバイルデバイス104上で実行されるMMAが、直接、またはC3サーバシステム106を介してのいずれかで、患者の糖尿病および/または1つ以上の他の健康に関係する状態、話題などに関する、患者追跡および患者共有健康データを送信し得ることを、図によって概念的に図示することを意味している。
【0038】
一般事項として、HCPシステム102、健康ITシステム118、モバイルデバイス104(その上で実行されるMMAを含む)、C3サーバシステム106、および管理者ポータルシステム148を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載のエンティティのいずれかが、少なくとも1つの実施形態において、その通信を1つ以上の他のエンティティを通して送る必要なくこれらのエンティティの他のいずれかと通信し得ることを理解されたい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、HCPシステム102およびモバイルデバイス104は、情報をC3サーバシステム106に通過させることを必要とせずに、情報を交換することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、1つ以上のエンティティは、少なくとも1つの追加のエンティティを介して互いに通信し、一例として、少なくとも1つの実施形態では、データ(例えば、HCP選択レジメンデータ)は、HCPシステム102から、C3サーバシステム106を介してモバイルデバイス104上で実行されるMMAに通信される。
【0039】
通信状況100に関するさらなる詳細および例示的な実施形態は、2019年7月19日に出願され、SYSTEMS AND METHODS FOR REMOTE PRESCRIPTION OF MEDICATION-DOSING REGIMENSと題された国際出願第PCT/US19/42507号に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれている。
【0040】
本明細書に開示される方法/プロセスおよび実施形態の態様のいずれかを実行するために使用され得るコンピュータシステム200の例証的な実装を、
図2に示す。コンピュータシステム200は、HCPシステム102、健康ITシステム118、モバイルデバイス104、C3サーバ140~146、および/または管理者ポータルシステム148などの前述のシステムおよびデバイスのいずれかまたはすべてのための一般的なコンピュータアーキテクチャであり得る。コンピュータシステム200は、1つ以上のプロセッサ210および1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ220および1つ以上の不揮発性記憶媒体230)および任意選択的なディスプレイ240を含み得る。本明細書に記載される本発明の態様はこの点に関して限定されないため、プロセッサ210は、任意の好適な方法で、メモリ220および不揮発性記憶デバイス230へのデータの書き込みおよびそれらからのデータの読み取りを制御することができる。本明細書に記載される機能および/または技術を実施するために、プロセッサ210は、プロセッサ210によって実行するための命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として機能し得る、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ220、記憶媒体など)に格納された1つ以上の命令を実行することができる。任意選択的なディスプレイ240は、いくつかの実施形態では、ユーザ入力を受信するように動作するタッチスクリーンディスプレイを備えるグラフィカルユーザインターフェースを備え得る。コンピュータシステム200はまた、コンピュータのキーボードまたはマウス、スタイラス、音声入力デバイス(例えば、マイクロフォン)、カメラなどのような、1つ以上の他のデータ入力デバイスを含み得る。
【0041】
本明細書に記載の技術に関連して、例えば、糖尿病の人に関するログ記録されたデータを表示するために使用されるソフトウェアまたはファームウェアコードは、コンピュータシステム200の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。プロセッサ210は、任意のそのようなコードを実行して、本明細書に記載されるような運動を計画するための任意の技術を提供することができる。本明細書に記載されている他のソフトウェア、プログラム、または命令もまた、コンピュータシステム200によって格納および実行され得る。コンピュータコードは、本明細書に記載される方法および技術の任意の態様に適用され得ることが理解されよう。
【0042】
本明細書で概説される様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうちのいずれか1つを使用する1つ以上のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとして、コード化され得る。さらに、係るソフトウェアは、多数の好適なプログラミング言語および/またはプログラミングツールもしくはスクリプトツールのいずれかを使用して記述され得、また、仮想マシンまたは好適なフレームワーク上で実行される実行可能機械語コードまたは中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0043】
この点で、様々な発明概念は、1つ以上のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行されると本発明の様々な実施形態を実施する、1つ以上のプログラムで符号化された、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光学ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体装置における回路構成、など)として具体化され得る。非一時的コンピュータ可読媒体または複数の媒体は、移動可能であり得、その結果、そこに格納された1つ以上のプログラムは、上記で議論されているような本発明の様々な態様を実装するため任意のコンピュータリソースにロードされ得る。
【0044】
「論理」、「制御論理」、「プログラム」、「ソフトウェア」、「アプリケーション」、「方法」および/または「プロセス」という用語は、本明細書では、一般的な意味で使用され、上記で議論されているような実施形態の様々な態様を実施するためにコンピュータまたは他のプロセッサをプログラムするために採用される、任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指す。さらに、一態様によれば、実行されると本開示の方法を実施する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に存在する必要はないが、本発明の様々な態様を実施するため、異なるコンピュータまたはプロセッサ間でモジュール方式により配布され得ることを理解されたい。
【0045】
コンピュータ実行可能命令は、プログラムモジュールなど、1つ以上のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される多くの形態であり得る。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などが含まれる。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望されるように組み合わされ、または分散され得る。そのようなコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプログラム可能なプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/またはデジタル信号プロセッサ上で実行される、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの形態を採ることができる。そのようなコードまたは命令の全部または一部分はまた、代替的に、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)上に配線接続された回路の形で実装され得る。
【0046】
また、データ構造は、任意の好適な形態で、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。データ構造には、そのデータ構造内の場所によって関連付けられているフィールドが含まれる場合がある。係る関係は、同様に、フィールド間の関係を伝達する非一時的コンピュータ可読媒体内の場所を備えたフィールドに、記憶域を割り当てることによって達成することができる。ただし、任意の好適なメカニズムを使用して、データ要素間の関係を確立するポインタ、タグ、または他のメカニズムの使用を介することを含む、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立することができる。
【0047】
図3は、いくつかの実施形態による、糖尿病の人に関するログ記録された患者データを表示するための例示的なプロセス300を描写するフローチャートである。一般に、プロセス300は、情報を視覚的に表示するディスプレイ画面と、タッチスクリーン、キーボード、マウス、マイクロフォン、カメラ、または何らかの他の入力デバイスなどの1つ以上のユーザ入力デバイスとを含むユーザインターフェースを有する好適なコンピューティングデバイス上で実施され得る。いくつかの実施形態では、プロセス300は、HCPシステム102、健康ITシステム118、モバイルデバイス104、C3サーバ140~146、管理者ポータルシステム148、または前述のシステム、サーバ、またはデバイスの任意の組み合わせによって実施され得る。ディスプレイ画面にデータを「表示する」という言及は、HCPシステム102のディスプレイ120上、モバイルデバイス104のディスプレイ122上、または健康ITシステム118、C3サーバ140~146のいずれかまたはすべて、および/または管理者ポータルシステム148に関連するディスプレイ上にデータを表示することを指す場合がある。
【0048】
ステップ302において、プロセス300は、コンピューティングデバイスのディスプレイ画面上に複数のパネルを表示し、各パネルは、異なる期間において記録された糖尿病の人の1つ以上のグルコース測定値を表示する。本明細書で使用される場合、「パネル」は、視覚的ディスプレイ画面の画定された領域に表示するためにプロセッサによって生成されるテキスト、記号、および/または図を含む視覚的データのグループまたは集合を指すことができる。「パネル」の画定された領域は、正方形または長方形である必要はないが、任意の形状を採ることができ、さらに、「パネル」の画定された領域は、ディスプレイ画面のサブセットに限定されず、いくつかの実施形態では、ディスプレイ画面の可視領域全体を包囲し得る。本明細書でさらに詳細に論じられるように、「パネル」は、複数の「サブパネル」を含み得る。また、本明細書で使用される場合、「グルコース測定値」は、人の血中グルコースまたは間質液中グルコースレベルの測定値を指す場合がある。そのようなグルコース測定値は、患者124からの手動のユーザ入力に基づいて、または通信リンク128を介してグルコースメータ126から受信されたデータから、モバイルデバイス104によってログ記録され得る。また、本明細書で使用される場合、グルコース測定値が「記録される」時間は、グルコース測定値がグルコースセンサによって検出または測定された時間、グルコース測定値がグルコースセンサに送信され、かつ/またはモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)によって受信された時間、グルコース測定値がユーザによってモバイルデバイスに入力された時間、および/またはグルコース測定値がモバイルデバイスによってクラウドサーバにアップロードされた時間を指し得る。
【0049】
図4は、いくつかの実施形態による、糖尿病の人の1つ以上のグルコース測定値を含む前述の複数のパネルを表示するディスプレイ画面400の一例を提供する。この例では、ディスプレイ画面400は、集合的に410とラベル付けされた複数のパネルを含み、各パネルは、7月の単一の日に関する。各パネルには、対応する日に記録された人の1つ以上のグルコース測定値が表示される。
図4に表示される実施形態の各パネルは固有の日に対応するが、各パネルが任意の好適な長さ(例えば、1時間、半日、複数日、1週間、1か月など)の時間ウィンドウに対応し得る他の実施形態が可能である。いくつかの実施形態では、各パネルが対応する期間の長さは、ユーザによって選択可能であり得る。各パネルが対応する時間ウィンドウの長さに関係なく、各パネルは、好ましくは、一意で重複しない時間ウィンドウを表示する。
【0050】
明確にするために、
図5は、
図4に描写される日のうちの1つに関係するパネル500のクローズアップ図を提供する。パネル500は、パネル500が7月10日に記録されたデータを表示していることを示す日付ラベル502を含む。パネル500はまた、折れ線グラフ(横軸が一日の時間の経過を示し、縦軸がグルコースレベルを示す)の形で描写された、一日を通して取られた1つ以上のグルコース測定値を含むグルコース測定サブパネル510を含んでいる。パネル500はまた、その日を通して人に投与されたと記録されたボーラス投与量に関するデータを描写するボーラス投与サブパネル530を含む。パネル500はまた、その日を通して人に投与されたと記録された基礎投与量に関するデータを描写する基礎投与サブパネル550を含む。グルコース測定サブパネル510、ボーラス投与サブパネル530、および基礎投与サブパネル550は、
図6に関して、以下でさらに詳細に論じられる同じまたは類似のフォーマットを使用してデータを表示することができる。
【0051】
図6は、同じ日、すなわち7月10日に関する代替的なより詳細なパネル600を提供している。いくつかの実施形態では、パネル600は、ディスプレイ画面400上のより単純なパネル500の代わりに表示され得る。他の実施形態では、パネル600は、ユーザがパネル500を選択するとき、例えば、パネル500をクリックするか、それに触れるか、または別様でユーザがパネル500に関するさらなる詳細を見ることを望んでいると示すことによって表示され得る。パネル500と同様に、パネル600はまた、パネル600が2018年7月10日に記録されたデータを表示していることを示すデータラベル602を含む。パネル600はまた、グルコース測定サブパネル510に類似したグルコース測定サブパネル610、ボーラス投与サブパネル530に類似したボーラス投与サブパネル630、および基礎投与サブパネル550に類似した基礎投与サブパネル650を含む。
【0052】
グルコース測定サブパネル610は、朝の午前12時から翌日の午前12時までの時間の経過を示す水平時間軸612を含む。サブパネル610はまた、例えば、mg/dLの単位でグルコースレベルを示す垂直軸614を含む。サブパネル610は、7月10日の異なる時間に人について得られたグルコース測定値を表示するグルコース測定ライン616を含む。例えば、そのようなグルコース測定値は、グルコースメータ126によって得られ、モバイルデバイス104によって受信され、ログ記録され得る(
図1を参照)。前に論じたように、グルコースメータ126は、連続グルコースモニタ(CGM)、血中グルコースモニタ(BGM)、またはフラッシュグルコースモニタ(FGM)であり得る。CGMおよび/またはFGMを使用すると、1日の間に多数の測定を行うことができるが、逆に、BGMを使用すると、グルコース測定の頻度の減少を許容するしかできない可能性がある(例えば、1日3~4回のみ)。グルコース測定サブパネル610は、正常なグルコースレベルと高血糖のグルコースレベルとの間の閾値を視覚的に示す上側グルコース閾値ライン618をさらに含む。この実施形態では、上側グルコース閾値ライン618は、180mg/dLに設定されているが、他の設定も使用され得る。その人のグルコースレベルが、上側グルコース閾値ライン618によって示されるグルコースレベルを上回っている場合、その人は、高血糖エピソードまたは事象を有していると考えられる。同様に、グルコース測定サブパネル610はまた、下側グルコース閾値ライン620を含む。下側グルコース閾値ライン620は、正常なグルコースレベルと低血糖グルコースレベルとの間の閾値を示す。この実施形態では、下側グルコース閾値ライン620は、70mg/dLに設定されているが、他の設定も使用され得る。グルコース測定サブパネル610は、極端に低いグルコース閾値ライン622をさらに含む。極端に低いグルコース閾値ライン622は、低血糖グルコースレベルと極端にまたは重大な低血糖グルコースレベルとの間の閾値を示す。人のグルコースレベルが、下側グルコースライン620および極端に低いグルコース閾値ライン622によって示されるグルコースレベル間にあるとき、その人は、低血糖エピソードまたは事象を有していると考えられる。その人のグルコースレベルが、極端に低いグルコース閾値ライン622を下回っている場合、その人は、高血糖エピソードまたは事象を有していると考えられる。本明細書でさらに詳細に論じられるように、高血糖事象、低血糖事象、および極端/重大な低血糖事象は、グルコース事象の例である。
【0053】
ボーラス投与サブパネル630は、人に投与される補正ボーラス投与量を示す複数のブロック632と、人に投与される食事ボーラス投与量を示す複数のブロック636とを描いている。本明細書で使用される場合、「食事」ボーラス投与量は、食事に起因するグルコースレベルの上昇または予想される上昇を和らげるために摂取されるボーラス投与量を指し得る。「補正」ボーラス投与量は、特定の食事に関連してではなく、異常に高いグルコースレベルを和らげるために摂取されるボーラス投与量を指し得る。各ブロック632およびブロック636は、水平時間軸612に対する各ブロックの水平位置が、そのブロックのボーラス投与量が人に投与された時間を示すように、水平時間軸612に描写される時間スケールに対応するように水平に配置される。各ブロックの高さは、そのボーラスにおいて投与されるインスリンの量に比例してスケール調整される。
図6に描写される例では、食事ボーラスブロック636は白いブロックとして描写され、一方、補正ボーラスブロック632は黒一色のブロックとして描写されている。ただし、これら2つのタイプの食事ブロックは、異なる色、ハッシュ、強度レベル、または他の視覚的に区別する機能を使用して、視覚的に区別され得る。いくつかの実施形態では、ボーラス投与サブパネル630は、食事ボーラス投与量と補正ボーラス投与量とを区別せず、すべてのタイプのボーラス投与量に対して単一のタイプのブロックを単に表示することができる。
【0054】
ボーラス投与サブパネル630は、1つ以上の(黒一色で陰影が付けられた下向きの三角形として形成された)下方投与量オーバーライドインジケータ634および/または1つ以上の(白で陰影が付けられた上向きの三角形として形成された)上方投与量オーバーライドインジケータ638をさらに含み得る。特定のボーラス投与量ブロックの上部に位置決めされた下方投与量オーバーライドインジケータ634は、コンピューティングデバイス(例えば、ボーラスアドバイザまたはボーラス計算機が実装されているデバイス)が、人が、その人のグルコースレベル、炭水化物摂取量、および/または以前のボーラスからの活性インスリンの量などの様々な要因に基づいて、特定のボーラスでより多くのインスリンを摂取することを推奨したが、その人が摂取したそのボーラスのインスリンは推奨されるよりも少なかった(例えば、デバイスは人が12単位のインスリンを摂取することを推奨したが、その人が摂取したのはわずか10単位だった)ことを示す。特定のボーラス投与量ブロックの上部に位置決めされた上方投与量オーバーライドインジケータ638は、コンピューティングデバイスが特定のボーラスで摂取するインスリンを少なくすることを(これも様々な要因に基づいて)推奨したが、その人が摂取したそのボーラスのインスリンは推奨されるよりも多かった(例えば、デバイスは、人が10単位のインスリンを摂取することを推奨したが、その人が摂取したのは12単位だった)ことを示す。以下でさらに詳細に説明するように、下方投与量オーバーライドまたは上方投与量オーバーライドは、状況的要因の例である。
【0055】
ボーラス投与サブパネル630は、1つ以上の炭水化物インジケータ640をさらに含み得る。炭水化物インジケータは、人が食事中に摂取した炭水化物の数を示し得る(例えば、
図6に描写される例では、それぞれ午前6時、午前10時、および午後4時頃に60グラム、61グラム、および66グラム)。サブパネル630の他の要素と同様に、これらの炭水化物インジケータ640の水平方向の配置は、水平時間軸612上に描写される時間スケールに対応する。
【0056】
基礎投与サブパネル650は、人に投与される自動基礎マイクロボーラスを示す複数のブロック652、および人に投与される手動基礎マイクロボーラスを示す複数のブロック654を描いている。本明細書で使用される場合、「自動」基礎マイクロボーラスは、インスリンポンプなどの自動化インスリン送達デバイスによって決定され、人に自動的に投与されるマイクロボーラス(例えば、0.025単位から1単位の範囲の基礎インスリンの小さなボーラス)を指し得る。いくつかの実施形態では、そのような「自動」基礎マイクロボーラスは、ボーラス投与時に人による手動入力なしに、例えば、人が任意の指示を提供し、任意のプロンプトに応答し、または任意の情報もしくは確認を提供することを必要とせずに、決定され、投与され得る。代わりに、そのような「自動」基礎マイクロボーラスは、糖尿病の人、介護者、または医療提供者によって提供される事前にプログラムされたパラメータに基づいて、インスリン送達デバイスによって自動的に決定され得る。本明細書で使用される場合、「手動」マイクロボーラスは、人によって手動で要求されたマイクロボーラスを指す場合がある。各ブロック652および654は、水平時間軸612に沿った各ブロックの位置が、そのブロックのマイクロボーラスが人に投与された時間を示すように、水平時間軸612に描写される時間スケールに対応するように水平に配置される。各ブロックの高さは、そのマイクロボーラス中に投与されるインスリンの量に比例してスケール調整される。
図6に描写される例では、手動基礎マイクロボーラス654は白いブロックとして描写され、一方、自動基礎マイクロボーラス652は黒一色のブロックとして描写されている。ただし、これら2つのタイプの基礎マイクロボーラスブロックは、異なる色、ハッシュ、強度レベル、または他の視覚的に区別する機能を使用して、視覚的に区別され得る。いくつかの実施形態では、基礎投与サブパネル650は、自動および手動の基礎マイクロボーラスを全く区別せず、すべてのタイプの基礎マイクロボーラスに対して単一のタイプのブロックを単に表示することができる。
【0057】
基礎投与サブパネル650は、予測低グルコース一時停止(PLGS)の発生を示す記号またはインジケータ656をさらに含み得る。PLGSは、自動化インスリン送達デバイス(例えば、インスリンポンプなど)が、人のグルコースレベルが低血糖状態を下回っているか、低血糖状態に向かっていることを検出したときに発生し、この場合、送達デバイスは、人のグルコースレベルが安定するまで、基礎インスリンの送達を自動的に一時停止することができる。各PLGSインジケータ656は、水平時間軸612に沿った各インジケータの位置が、そのPLGS事象が発生した時間を示すように、時間スケール612に対応するように水平に配置される。以下でさらに詳しく説明するように、PLGSは状況的要因の例である。
【0058】
これらの特徴は、読みやすさのために
図5では明示的にラベル付けされていないが、グルコース測定サブパネル510は、グルコース測定サブパネル610と同様に構成され得、同じまたは類似の水平および垂直軸、閾値ライン、およびグルコース測定インジケータを組み込むことができる。ボーラス投与サブパネル530は、ボーラス投与サブパネル630と同様に構成することができ、同じまたは類似の投与ブロック、記号、および炭水化物インジケータを組み込むことができる。基礎投与サブパネル550は、基礎投与サブパネル650と同様に構成することができ、同じまたは類似の投与ブロックおよびインジケータを組み込むことができる。
【0059】
図3に戻ると、ステップ304で、プロセス100は、複数のグルコース事象のうちの少なくとも1つを選択する第1のユーザ入力を受信する。
図4のディスプレイ画面400は、ユーザが複数のグルコース事象のうちの少なくとも1つを選択する入力を提供することができる1つの例示的なパネル420を示している。グルコース事象パネル420は、「低血糖」(または低血糖エピソード)、「夜間低血糖」(または夜間低血糖エピソード)、「高血糖」(または高血糖エピソード)、または「長期高血糖」(または長期の高血糖エピソード)などの例示的グルコース事象のリストを表示する。低血糖エピソードは、人のグルコースレベルが70mg/dLを下回った任意の期間として定義することができる。夜間低血糖エピソードは、深夜から午前6時の間に発生する任意の低血糖エピソードとして定義することができる。高血糖エピソードは、人のグルコースレベルが180mg/dLを超えて上昇した任意の期間として定義することができる。長期の高血糖エピソードは、4時間超持続した任意の高血糖エピソードとして定義することができる。前述のグルコース閾値および期間は単なる例示であり、異なる実施形態に従って異なるように構成され得ることが理解されるべきである。例えば、低血糖エピソードの閾値は、代替的に、60~80mg/dLの間の任意のグルコースレベルに設定され得、高血糖エピソードの閾値は、代替的に、170~190mg/dLの間の任意のグルコースレベルに設定され得る。同様に、夜間低血糖エピソードの時間限界は、例えば、午後11時から午前7時までの任意の期間に設定することができ、長期の高血糖エピソードの閾値期間は、3~5時間の間の任意の期間に設定することができる。
【0060】
前述の各グルコース事象の各々は、ユーザが選択可能なラジオボタンに関連付けられている。ヘルスケア専門家(HCP)、介護提供者、糖尿病の人、および/またはその人の介護者または配偶者などのユーザは、これらのラジオボタンを選択することにより、これらのグルコース事象のうちの1つ以上を選択できる。
【0061】
図3に戻ると、ステップ306で、プロセス300は、複数の状況的要因のうちの少なくとも1つを選択する第2のユーザ入力を受信する。
図4のディスプレイ画面400は、ユーザが複数の状況的要因のうちの少なくとも1つを選択する入力を提供することができる1つの例示的なパネル430を示している。状況的要因パネル430は、上方投与量オーバーライド、下方投与量オーバーライド、遅いボーラス、手動ボーラス、見逃したボーラス、クリティカルアラーム、部位の変更、および一時停止などの例示的な状況的要因のリストを表示する。上方投与量オーバーライドインジケータ638(
図6を参照)に関して前述したように、上方投与量オーバーライド事象は、コンピューティングデバイスが、(その人のグルコースレベル、炭水化物摂取量、および/または以前のボーラスからの活性インスリンの量などの様々な要因に基づいて)特定のボーラスで人がより少ないインスリンを摂取することを推奨したが、その人がそのボーラスで摂取したインスリンが推奨されるよりも少なかった事象を含み得る。例えば、デバイスは、人が12単位のインスリンを摂取することを推奨している場合があるが、その人はそのボーラスで10単位のみを摂取した。また、下方投与量オーバーライドインジケータ634(
図6を参照)に関連して前述したように、下方投与量オーバーライド事象は、コンピューティングデバイスが、(これもまた、様々な要因に基づいて)特定のボーラスで人がより多くのインスリンを摂取することを推奨したが、その人がそのボーラスで摂取したインスリンが推奨されるよりも少なかったという事象であり得る。
【0062】
見逃したボーラスは、食事時のインスリンを必要とする糖尿病の人が、摂取した食品に起因する、または起因すると予想されるグルコースレベルの上昇を補償するためのインスリンボーラスを摂取せずに食品を摂取した場合(このような食品の摂取は、本明細書において「食事事象」とも呼ばれる)を含むことができる。「食事事象」または「食物」には、朝食、昼食、夕食、任意の軽食および/または任意の飲料を含むがこれらに限定されない、ユーザのグルコースレベルの増加をもたらすと予想され得る任意のタイプの食物、飲料または食事を含み得る。遅れたボーラスには、食事時のインスリンを必要とする糖尿病の人が食事事象において食物を摂取するが、食事事象を適切に補償するには遅すぎるインスリンボーラスを摂取する状況が含まれる場合がある。これは、インスリンボーラスが有効になる前に、人のグルコースレベルの望ましくないスパイクをもたらす可能性がある。見逃したボーラスおよび遅いボーラスは、人のグルコースレベルおよび/またはグルコースレベルの傾向を経時的に監視し、人のインスリンボーラスのログ(例えば、以前に投与されたインスリンボーラスの時間および量)と併せて前述のグルコースレベルを分析することによって検出され得る。
【0063】
次に、グルコース測定値およびインスリン投与情報に基づいて、見逃したボーラスおよび/または遅いボーラスを検出するためのいくつかの例示的かつ説明的な方法について論じる。前述のコンピュータシステムの少なくとも1つのプロセッサは、これらの方法を実施するためにソフトウェアおよび/またはファームウェアコードを実行することができる。
【0064】
1.グルコース増加閾値法
本明細書で「グルコース増加閾値」法と呼ばれる、見逃したボーラスを検出するための1つの例示的な方法は、以下の条件が満たされた場合に、ユーザがインスリンボーラスを逃した可能性があることを判定することである:
(i)現在の時間の所定のグルコース考慮時間ウィンドウ(TG、例えば、5~10分)内で、最大許容グルコース増加閾値(ΔGmax、例えば、20~60mg/dL)を超えて、人のグルコースレベルが増加し、かつ
(ii)人が、現在の時間の所定のボーラス考慮期間(TB、例えば、2時間)内にインスリンボーラスを摂取していない。
【0065】
パラメータΔGmax、TGおよびTBは、グルコース増加閾値法の感度を高く、または低くするように調整され得る。例えば、最大許容グルコース増加閾値(ΔGmax)を増加させることは、感度を減少させ、ΔGmaxを減少させることは、感度を増加させるであろう。グルコース考慮時間ウィンドウ(TG)を増加させることは、感度を減少させ、TGを減少させることは、感度を減少させるであろう。ボーラス考慮時間ウィンドウ(TB)を増加させることは、感度を減少させ、TBを減少させることは、感度を増加させるであろう。
【0066】
グルコース増加閾値法はまた、その人がボーラスを遅らせた可能性がある(すなわち、遅いボーラス事象が発生した)ことを判定するために使用され得る。上記と同じ条件(i)および(ii)を使用して、その人がボーラス投与を遅らせたかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、より短いボーラス考慮期間TBを使用して、見逃したボーラスを検出するのではなく遅いボーラスを検出することができる。
【0067】
2.グルコース変化率(「ROC」)閾値法
本明細書で「グルコースROC閾値」法と呼ばれる、見逃したボーラスを検出するための別の例示的な方法は、以下の条件が満たされた場合に、ユーザがインスリンボーラスを逃した可能性があることを判定することである:
(i)人のグルコースレベルが、最大許容グルコース変化率閾値(ROCmax、例えば、毎時2mg/dL)よりも大きい変化率(ROCG)を呈し、かつ
(ii)人が、現在の時間の所定のボーラス考慮期間(TB、例えば、2時間)内にインスリンボーラスを摂取していない。
【0068】
ROCGは、Dexcom,Inc.によって製造され、かつ販売されているG6 CGMセンサなどのいくつかの市販の持続グルコースモニタ(CGM)によって提供または計算され得る。例えば、グルコースセンサが3つの連続したグルコース読取値を記録する場合、時間的に最も近い隣接する読取値からの各々の間隔が5分以下であり、ROCGは、最後と最初のグルコース読取値の間の差を最初と最後のグルコース読取値の間で経過した時間量で除することによって計算され得る。ROCGを計算するための他の方法またはデバイスもまた、使用され得る。
【0069】
パラメータROCmaxおよびTBは、グルコースROC閾値法の感度を高く、または低くするように調整され得る。例えば、ROCmaxを増加させることは、感度を減少させ、一方ROCmaxを減少させることは、感度を増加させるであろう。ボーラス考慮時間ウィンドウ(TB)を増加させることは、感度を減少させ、TBを減少させることは、感度を増加させるであろう。
【0070】
グルコースROC閾値法はまた、その人がボーラスを遅らせた可能性がある(すなわち、遅いボーラス事象が発生した)ことを判定するために使用され得る。上記と同じ条件(i)および(ii)を使用して、その人がボーラス投与を遅らせたかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、より短いボーラス考慮期間TBを使用して、見逃したボーラスを検出するのではなく遅いボーラスを検出することができる。
【0071】
3.絶対グルコースレベル閾値法
本明細書で「絶対グルコースレベル閾値」法と呼ばれる、見逃したボーラスを検出するためのさらに別の例示的な方法は、以下の条件が満たされた場合に、人がインスリンボーラスを逃した可能性があることを判定することである:
(i)人のグルコースレベルが、絶対グルコースレベル閾値(Gmax、例えば180mg/dL)を超えており、かつ
(ii)人が、所定のボーラス考慮期間(TB、例えば、2時間)内にインスリンボーラスを摂取していない
【0072】
パラメータGmaxおよびTBは、絶対グルコースレベル閾値法の感度を高く、または低くするように調整され得る。例えば、最大許容グルコース増加閾値(Gmax)を増加させることは、感度を減少させ、一方、Gmaxを減少させることは、感度を増加させるであろう。ボーラス考慮時間ウィンドウ(TB)を増加させることは、感度を減少させ、TBを減少させることは、感度を増加させるであろう。
【0073】
絶対グルコースレベル閾値法はまた、その人がボーラスを遅らせた可能性がある(すなわち、遅いボーラス事象が発生した)ことを判定するために使用され得る。上記と同じ条件(i)および(ii)を使用して、その人がボーラス投与を遅らせたかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、より短いボーラス考慮期間TBを使用して、見逃したボーラスを検出するのではなく遅いボーラスを検出することができる。
【0074】
手動ボーラスは、糖尿病の人が、特定の時間において特定のインスリンボーラスを提供するようにインスリン送達デバイス(例えば、インスリンポンプ)に指示する手動のユーザ入力を提供する状況を含み得る。前に論じたように、手動ボーラスは、自動化インスリン送達デバイスによって決定され、人に自動的に投与される「自動」基礎マイクロボーラスと対比され得る。
【0075】
クリティカルアラームには、インスリン送達デバイスがその動作に関する技術的なエラーまたは問題を検出する状況が含まれ得る。そのようなエラーまたは問題には、インスリンリザーバとインスリン投与の部位との間の流体経路の閉塞、インスリン送達デバイスのいくつかの構成要素(例えば、ポンプ、投与量判定センサなど)の損傷または誤操作、(例えば、電磁干渉、またはデバイス間の距離が長すぎるため)モバイルデバイスおよび/またはグルコースセンサとの低バッテリ電力、接続の欠如、過度の熱または冷気、送達デバイスのリザーバ内の不十分なインスリン、またはインスリン送達デバイスのスムーズでエラーのない、および/または効率的な操作を妨げる他のタイプの技術的問題が含まれる。
【0076】
部位の変更は、例えば、人の腹部から人の背部に注射部位を変更するために、ユーザがインスリン送達デバイスを一時的に取り外す状況を含み得る。部位の変更は、ユーザがその注射部位を変更していることを示す手動のユーザ入力に基づいて検出され得る。いくつかの実施形態では、部位の変更は、インスリン送達デバイスの電源がオフおよびオンになるたびに推測することができる。
【0077】
一時停止は、
図6に関連して前述したように、予測低グルコース一時停止(PLGS)の発生を含み得る。
【0078】
図3に戻ると、ステップ308で、プロセス300は、ステップ302で表示された複数のパネルからのパネルのサブセットをディスプレイ画面上に表示する。パネルのサブセット内の各パネルは、少なくとも2つの条件、(i)各パネルが、ステップ304で選択されたグルコース事象の各々を呈する1つ以上のグルコース測定値を表示し、(ii)各パネルが、ステップ306で選択された少なくとも1つの状況的要因の各々を患者が呈した期間中に記録された1つ以上のグルコース測定値を表示するという少なくとも2つの条件を満たす。パネルのサブセット内の各パネルは、何らかの方法で視覚的にハイライト表示または強調される場合があるが、パネルのサブセット内にない各パネルは、視覚的に強調解除されるか、まったく表示されない場合がある。パネルを視覚的にハイライト表示する方法には、パネルのサイズを増加させる、パネルの色を変更する、パネルのフォントを変更または拡大する、輪郭および記号などの視覚要素を追加する、または別様でハイライト表示されたパネルの外観を変更することが挙げられる。逆に、パネルを視覚的に強調解除する方法には、フェード、不明瞭化、縮小、完全に削除、または前述の強調解除されたパネルの彩度を下げることが含まれる。
【0079】
図7および
図8は、いくつかの実施形態による、動作中のステップ308の例を提供する。
図7は、ユーザがグルコース事象パネル420内でグルコース事象「低血糖」(例えば、低血糖事象)を選択したディスプレイ画面700を示している。それに応じて、ディスプレイ画面700は、低血糖事象を呈する1つ以上のグルコース測定値を表示するパネルのサブセットを視覚的に強調する。この例では、パネルのサブセットには、7月6、7、10、11、15、18、19、21、22、および28日に関連するパネルが含まれている。この場合、視覚的な強調は、強調されたすべてのパネルの周りの太い黒い境界線の形態を採り得る。複数のパネル410内の他のすべてのパネルは、図ではグレー表示され、これらのパネルが視覚的に強調されていないことが図示されている。
【0080】
図8は、ユーザがグルコース事象420内でグルコース事象「低血糖」(例えば、低血糖事象)を選択し、また、状況的要因パネル430において状況的要因「上方投与量オーバーライド」を選択したディスプレイ画面800を示す。それに応じて、これに応答して、ディスプレイ画面800は、低血糖事象を呈する1つ以上のグルコース測定値を表示し、かつ、患者が状況的要因「上方投与量オーバーライド」を呈した期間に関連するパネルのサブセットを視覚的に強調する。この例では、そのパネルのサブセットには、7月10日と18日のみに関連するパネルが含まれている。この場合も、この例の視覚的な強調は、強調されたすべてのパネルの周りの太い黒い境界線の形態を採る。複数のパネル410内の他のすべてのパネルは、図ではグレー表示され、これらのパネルが視覚的に強調されていないことが図示されている。
【0081】
このようにして、開示されたシステム、方法、およびプロセスにより、ユーザは、(i)グルコース事象および(ii)状況的要因の両方に従って、糖尿病の人に関連するログ記録されたデータをフィルタリングすることが許容される。選択されたグルコース事象および状況的要因の両方を呈するデータを表示するパネルは、視覚的にハイライト表示および/または強調される。これにより、HCPなどのユーザは、糖尿病の人が1つのタイプの事象だけでなく、様々な事象の組み合わせを呈した期間をすばやく特定、分析、および/または比較するこが許容される。例えば、ユーザは、低血糖事象および上方投与量オーバーライドの両方についてフィルタリングすることにより、糖尿病の人が手動で自分の自動インスリン送達デバイスに過剰なインスリンを送達して、それにより、その人が低血糖に陥ってしまうように指示する傾向があるかどうかを迅速に判定することができる。低血糖事象および上方投与量オーバーライドの両方についてフィルタリングすることで、人が手動で不適切に自分の投与量を増やす傾向があることが明らかになった場合、これは、この傾向についての根本原因および解決策を調査するための、その人とその医療提供者との間の話し合いの基礎となり得る。
【0082】
複数のパネル410のいずれのパネルも視覚的に強調されていない場合、
図4に示すように、「日にちを比較」ボタン440は、グレー表示または非アクティブ化され得る。しかしながら、複数のパネル410のうちの2つ以上のパネルが選択されるか、または視覚的に強調されるときはいつでも、
図7および
図8に示されるように、「日にちを比較」ボタン440がアクティブになり得る。ユーザがアクティブ化された「日にちを比較」ボタン440を選択すると、システムは、選択された、または視覚的に強調されたパネルの比較を表示することができる。
【0083】
図9は、いくつかの実施形態による、複数のパネルからのデータを比較するための例示的なパネル900を示している。パネル900は、(
図6のデータラベル602とほぼ同じ位置にある)データラベル902を含み、これは、パネル900が「集約ビュー」、例えば、複数のパネルからのデータが「集約された」ビューを比較または分析のために表示していることを示す。パネル900はまた、グルコース測定サブパネル610に類似したグルコース測定サブパネル910、ボーラス投与サブパネル630に類似したボーラス投与サブパネル930、および基礎投与サブパネル650に類似した基礎投与サブパネル950を含む。
【0084】
グルコース測定サブパネル910は、水平時間軸612に類似する水平時間軸912を含み、これは、朝の午前12時から翌日の午前12時までの時間の経過を示す。サブパネル910はまた、垂直軸614に類似する垂直軸914を含み、これは、mg/dLの単位でのグルコースレベルを示す。サブパネル910はまた、2つ以上のグルコース測定ライン916を含む。各グルコース測定ラインには、選択した期間の異なる時間に、人に対して得られた複数のグルコース測定値が表示される。この例では、パネル900は、
図8で視覚的に強調された2つのパネル、すなわち、7月10日および7月18日に関連するパネルからのデータを比較している。結果として、グルコース測定サブパネル910は、2つのグルコース測定ライン916を含み、1つは7月10日に関するものであり、もう1つは7月18日に関するものである。グルコース測定サブパネル910はまた、上側グルコース閾値ライン618に類似する上側グルコース閾値ライン918、下側グルコース閾値ライン620に類似する下側グルコース閾値ライン920、および極端に低いグルコース閾値ライン622に類似する極端に低いグルコース閾値ライン922を含む。
【0085】
ボーラス投与サブパネル930は、ボーラス投与サブパネル630に類似している。ただし、サブパネル630は1つの期間に関連するデータのみを表示するが、サブパネル930は、選択または視覚的に強調されたパネル(この例では、7月10日および7月18日に関連するパネル)のうちの1つに対応する各期間に関連するデータを表示することができる。ボーラス投与サブパネル630と同様に、表示されるデータは、食事ボーラスブロック632、補正ボーラスブロック636、下方投与量オーバーライドインジケータ634、上方投与量オーバーライドインジケータ638、および/または炭水化物インジケータ640を含み得る。
【0086】
基礎投与サブパネル950は、ボーラス投与サブパネル640に類似している。ただし、同様に、サブパネル650は1つの期間に関連するデータのみを表示するが、サブパネル950は、選択または視覚的に強調されたパネル(例えば、7月10日および7月18日)のうちの1つに対応する各期間に関連するデータを表示することができる。この表示されたデータは、自動基礎マイクロボーラスブロック652、自動基礎マイクロボーラスブロック654、および/または1つ以上のPLGS記号またはインジケータ656を含み得る。
【0087】
記載または特許請求の範囲で使用される、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、類似の要素を区別するために提供され、必ずしも連続的なまたは時系列の順序を記載するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な環境下で交換可能であり(特に明確に開示されていない限り)、本明細書に記載の開示の実施形態は、本明細書に記載または図示されているもの以外の他のシーケンスおよび/または配置で動作可能であることを理解されたい。特に、
図3は、ステップ304での「第1の」ユーザ入力の受信およびステップ306での「第2の」ユーザ入力の受信を説明しているが、明細書および特許請求の範囲の両方において、ステップ306で説明された「第2の」ユーザ入力は、ステップ304で説明された「第1の」ユーザ入力が受信される前に、同時に、または後に受信され得ることを理解されたい。
【0088】
本発明は例示的な設計を有するものとして記載されてきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内でさらに修正することができる。したがって、本出願は、本発明の一般的原理を用いた本発明の任意の変形、使用、または適応を包含することが意図される。さらに、本出願は、本発明が関係する技術分野における既知のまたは慣習的な実施内にある、本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。